局側装置、光ネットワークシステム
【課題】波長多重したTDM−PONにおいて、上り受信部において複数波長で光アンプを共有しても飽和しないようにする。
【解決手段】複数の加入者装置に接続される局側装置の帯域割当部は、複数の波長間で各加入者装置への帯域割当を連携して制御することにより、局側装置の受信部に配置された光増幅器に複数の加入者装置からの光信号が入力しても合計電力が抑制される。
【解決手段】複数の加入者装置に接続される局側装置の帯域割当部は、複数の波長間で各加入者装置への帯域割当を連携して制御することにより、局側装置の受信部に配置された光増幅器に複数の加入者装置からの光信号が入力しても合計電力が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
波長多重したPON(PassiveOpticalNetwork)における、光加入者装置(OLT)の動的帯域制御の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[光アクセスネットワークの普及]
近年、インターネットの普及に伴い、ネットワークへの高速化への要求が高まり、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、そしてB−PON(Broadband PON)、E−PON(Ethernet PON)、G−PON(Gigabit Capable PON)の普及が進んでいる。特に、PON方式は、局に置かれる収容局(OLT:Optical Line Terminal)と各ユーザー宅に置かれるネットワークユニット(ONU:Optical Network Unit)の間を接続する際に、OLTから1本のファイバを出し、光スプリッタを用いて分岐して各ユーザーが接続される。このため、ファイバの敷設コストが安く、かつ光伝送を用いるため高速に通信を行うことが可能であるため、世界各国で普及が進んでいる状況にある。
【0003】
[TDM−PON方式]
PON方式の中でも、OLTからONUへの下り伝送用とONUからOLTへの下り伝送用で別々の波長の光を用い、ONU毎の信号を時分割するTDM−PON方式が広く利用されている。このTDM(Time Division Multiplexing)−PON方式は、B−PON、E−PON,G−PON,10G−EPON,XG−PONにおいて採用されている。
【0004】
[TDM−PON向けのDBA制御]
TDM−PONにおいては、上り伝送での各ONUからの光信号の衝突を防ぐために、OLTがONUの光信号の送出タイミングを制御している。具体的には、OLTは各ONUに対して、送信を許可する期間を指示する制御フレームを送信し、ONUは送信を許可された期間に、上りの制御フレームおよび上りデータを送信する。また、ONUは、接続している端末から受信したフレームのデータ量に基づいて、帯域要求量をOLTに要求する制御フレームをOLTに送信する。一般的には、ONUに対して送信を許可する期間は、ONUが要求した帯域要求量に基づいて動的に制御する、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)制御が利用されている。
【0005】
このDBAに関連した様々な制御方法が知られている。例えば、特許文献2では、 逆バイアス電圧の差が小さくなるようにDBA順序を決定し、ONUからの受信タイミングに合わせて逆バイアス電圧を制御する方法が記載されている。
【0006】
[WDM/TDM−PON方式]
10G−EPONやXG−PONよりさらに次世代のPON方式の候補として、従来のTDM−PONを複数の波長で束ねるWDM/TDM−PON方式が考えられる。WDM/TDM−PONに関しては、例えば、特許文献1や非特許文献2に記載されている。 [TDM−PONでの多分岐・延伸化への要求]
TDM−PONにおいて多分岐・延伸化を実現する手法として、OLTに光アンプを用いて光送信部の高出力化や光受信部の高感度化が知られている。TDM−PONにおいては、上り伝送の信号は、強弱が大きく変動するバースト信号となる。信号の強弱が大きく変動するのは、OLTとONUと間の距離がONU毎に異なり、その結果OLTとONU間の光ファイバで生じる光損失量がONU毎に異なるためである。そこで、光アンプを利用することによって、PON区間での伝送許容損失を拡大する方法が知られている。例えば、非特許文献1に、G−PONにおいて光アンプを利用した伝送許容損失を拡大する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011―55407号公報
【特許文献2】特開2009−152706号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Z. Belfqih et al, “ClassB+ GPON extended to 44dB while maintaining 15dB optical budget difference”,ECOC2008, Th2.F.4. (2008)
【非特許文献2】S. Kimura,“10−Gbit/s TDM−PON and over−40−Gbit/s WDM/TDM−PON systems with OPEX−effective burst−mode technologies,“OFC2009, OWH−6, Mar. 2009.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[WDM/TDM−PONでの多分岐・延伸化への要求]
WDM/TDM−PONシステムにおいても、光アンプを用いて多分岐・延伸化を実現することが求められる。
【0010】
[OLTの構成例1]
WDM/TDM−PONにおいて光アンプを用いて多分岐・延伸化を実現するOLTの構成例1を、図2を用いて説明する。
【0011】
OLTは、合波分波器101、EDFA(Erbium−Doped optical Fiber Amplifier)111、SOA(Semiconducter Optical Amplifier)121〜124、合波分波器102、光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、DBA制御部151〜154、NNI処理部161〜164から構成される。ここでは、光アンプの例として、SOA及びEDFAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られない。
【0012】
この構成では、波長λU1、λU2、λU3、λU4の上り光信号をそれぞれSOA121、122、123、124で増幅し、波長λD1、λD2、λD3、λD4の下り光信号はEDFA111で増幅する。
【0013】
本構成では、上り1波長毎に1個のSOAで増幅する。SOAに入力される光パワーは小さくなるためSOAが飽和して、増幅した光波形が歪まない。しかしながら、計4個のSOAが必要になり、コストおよび実装面積の増大をもたらす。
【0014】
[OLTの構成例2]
次に、WDM/TDM−PONにおいて多分岐・延伸化を実現するOLTの構成例2を、図3を用いて説明する。
【0015】
OLTは合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、DBA制御部151〜154、NNI処理部161〜164から構成される。ここでは、光アンプの例として、SOA及びEDFAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られない。
【0016】
この構成では、波長λU1、λU2、λU3、λU4の上り光信号を単一のSOA125で増幅し、波長λD1、λD2、λD3、λD4の下り光信号はEDFA111で増幅する。
【0017】
本構成では、上り4波長分を1個のSOAで増幅し、各波長のDBA制御は独立に制御を実施するものとする。
【0018】
[OLTの構成例2における上り光信号の例]
しかしながら、構成例22のOLTにおいては、複数の波長の光信号を、OLTから近い距離にあるONUから同時に受信する期間が発生し、その際にSOAに入力される光信号の光パワーの合計が大きくなりSOAが飽和して、増幅した光波形が歪んでしまい、受信した光信号を正常に処理できない可能性が生じる。
【0019】
構成例22での、SOAに入力される光信号の入力パワーの合計が一定値以上になり、飽和してしまう動作を、図5を用いて説明する。
【0020】
図5は、SOAに入力される各波長の光パワー、SOAに入力される光パワーの合計、SOAの注入電流、及び、SOAから出力される光パワーの合計の時間推移を表している。この例では、ONU1−3,ONU2−2,ONU3−2,ONU4−2から同時に受信する期間(t1)において、SOA入力パワーの合計が大きくなることが分かる。構成例2においては、SOAは一定の注入電流で動作している。そのため、ONU1−3,ONU2−2,ONU3−2、ONU4−2から同時に光信号を受信する期間(t1)においては、SOAの出力パワーも大きくなり、飽和レベルを上回ってしまう。そのため、この期間においては、各波長のSOAの出力波形が劣化してしまう。特許文献2を含む従来のTDM−PON向けのDBA制御を各波長で独立に制御すると、SOAの出力波形が飽和により劣化する。
【0021】
従って、WDM/TDM−PONシステムにおいて多分岐化・延伸化を低コストで実現する際に、複数の波長の上り光信号を1の光アンプで増幅可能で、かつ、光アンプの飽和による波形劣化を防ぐことが望まれる。
【0022】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、複数の波長の上り光信号を一括して増幅可能で、かつ、光アンプの飽和による波形劣化を防ぐことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
複数の加入者装置からの光信号が光多重された光波長多重信号を受信する第1の受信部と、第1の受信部を介して受信する光波長多重信号に含まれる加入者装置からの帯域割当要求に基づいて前記各加入者装置に送信帯域を割り当てる帯域割当制御部と、帯域割当制御部で割り当てられた送信帯域の情報を含む帯域割当情報を前記加入者装置に送信する送信部と、を有し、帯域割当制御部は、送信波長が第1の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求と、送信波長が第2の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求とに基づいて、前記送信波長が第1の波長の加入者装置への送信帯域を決定することをと特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、多分岐、延伸化を実現するWDM/TDM−PONを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】WDM/TDM−PONシステムの構成
【図2】従来のOLTの構成例1
【図3】従来のOLTの構成例2
【図4】ONUの構成例(波長λU1,λD1用)
【図5】従来における上り光信号の例
【図6】本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成
【図7】本発明におけるOLTが保持するONUパワー管理テーブルの例
【図8】本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を表すフローチャート
【図9】本発明の第1の実施形態における連携DBA制御時の上り光信号の例
【図10】本発明におけるOLT−ONU間の動作を表すシーケンス図
【図11】本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャート
【図12】本発明におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法1
【図13】本発明におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法2
【図14】本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成
【図15】本発明の第2の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を表すフローチャート
【図16】本発明の第2の実施形態における連携DBA制御時の上り光信号の例
【図17】本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成
【図18】本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を表すフローチャート
【図19】本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付与されている。また、特に断らない限り、PON区間の制御フレームの説明は、10G−EPONの規格で規定されているMPCP制御フレームに基づいて実施する。
【0027】
[第1の実施形態]
[WDM/TDM−PONシステムの構成]
図1にWDM/TDM−PONの光アクセス網の構成を示す。光アクセス網は、OLT1、合波分波器(WDMカプラ)5、光スプリッタ3(3−1〜3−4)、複数のONU2(2−1−1〜2−4−n)、及び複数の端末6(6−1−1〜6−4−n)を備える。OLT1は幹線の光ファイバ4−0−0を介して合波分波器5と接続される。合波分波器5は光ファイバ4−0−1、4−0−2、4−0−3、4−0−4を介して光スプリッタ3−1、3−2、3−3、3−4と接続される。光スプリッタ3−1は光ファイバ4−1−1〜4−1−nを介してONU2−1−1〜2−1−nに接続される。端末6−1−1〜6−4−nはそれぞれONU2−1−1〜2−4−nに接続される。
【0028】
まず、WDM/TDM−PONでのOLTからONUへの下り伝送に関して説明する。OLT1は、ONU2−1−1〜2−1−n宛に光信号を送信する場合には波長λD1の光信号で、ONU2−2−1〜2−2−n宛に光信号を送信する場合には波長λD2の光信号で、ONU2−3−1〜2−3−n宛に光信号を送信する場合には波長λD3の光信号で、ONU2−4−1〜2−4−n宛に光信号を送信する場合には波長λD4の光信号で送出する。波長λD1、λD2、λD3、λD4で多重された光波長多重信号が合波分波器5に入力されると、波長λD1の光信号は光スプリッタ3−1を介してONU2−1−1〜2−1−nに、波長λD2の光信号は光スプリッタ3−2を介してONU2−2−1〜2−2−nに、波長λD3の光信号は光スプリッタ3−3を介してONU2−3−1〜2−3−nに、波長λD4の光信号は光スプリッタ3−4を介してONU2−4−1〜2−4−nに送られる。
【0029】
次に、WDM/TDM−PONでのONUからOLTへの上り伝送に関して説明する。ONU2−1−1〜2−1−nはOLTが指示した時刻に、波長λU1の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は光スプリッタ3−1、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU1の光信号がOLT1に入力される。ONU2−2−1〜2−2−nはOLTが指示した時刻に、波長λU2の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は光スプリッタ3−2、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU2の光信号がOLT1に入力される。ONU2−3−1〜2−3−nはOLT1が指示した時刻に、波長λU3の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は光スプリッタ3−3、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU3の光信号がOLT1に入力される。ONU2−4−1〜2−4−nはOLT1が指示した時刻に、波長λU4の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は、光スプリッタ3−4、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU4の光信号がOLT1に入力される。従って、OLT1には、おのおの時分割多重された波長λU1〜λU4の光信号が波長多重された光信号が入力される。
【0030】
このWDM/TDM−PONにおいては、従来のTDM−PONを複数の波長で束ねることにより、1台のOLTでより多くのONUを収容可能であり、より大きな伝送容量を実現できるため、次世代PONの候補として考えられる。
【0031】
[WDM/TDM−PON向けのONUの構成]
WDM/TDM−PONで用いるONUの構成を、図4を用いて説明する。なお、図4に示したONUは下り波長λD1、上り波長λU1に対応したものとする。
【0032】
ONUは、UNI(User Network Interface )処理部211、ONU PHY/MAC処理部221、ONU光送受信部231から構成される。
【0033】
ONU光送受信部231は、光ファイバから入力された波長λD1の光信号を電流信号に変換し、電流信号をさらに電圧信号に変換・増幅した電気信号をONU PHY/MAC処理部に入力する。また、ONU PHY/MAC処理部221から入力された電気信号を、波長λU1の光信号に変換して、光ファイバより出力する。
【0034】
ONU PHY/MAC処理部221は、ONU光送受信部231より入力された電気信号からクロックを抽出し、抽出したクロックで電圧信号をリタイミングして、デジタル信号に変換する。さらに、デジタル信号を復号化し、フレームを抽出する。抽出されたフレームをユーザーデータと制御信号を識別し、データはUNI処理部211へ送出する。また、UNI処理部211から入力された信号に基づいて、PON区間で利用されるフレームに変換して、ONU光送受信部231に出力する。
【0035】
UNI処理部211は、端末から受信したデータ信号をONU PHY/MAC処理部に送出する。また、ONU PHY/MAC処理部から受信したデータ信号をユーザーネットワークインタフェースにあった信号に変換して送出する。
【0036】
なお、ここでは対応できる波長が固定のONU光送受信部を想定して説明するが、例えば、波長可変レーザーなどを利用して、波長が動的に変更できるものであっても構わない。
【0037】
[本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成]
本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成を図6を用いて説明する。OLTは合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、連携DBA制御部155、NNI処理部161〜164、光スプリッタ171〜174、パワーモニタ181〜184から構成される。以下、各部分の機能を説明する。ここでは、光アンプの例として、SOA及びEDFAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られない。
【0038】
合波分波器103は、波長λU1〜λU4の上り光信号と波長λD1〜λD4の下り光信号を合波・分波する。合波分波器103は、OLTに入力される波長λU1〜λU4の上り光波長多重信号をSOA125に出力する。また、合波分波器103は、EDFA111から入力された波長λD1〜λD4の光信号を合波してOLTより出力する。
【0039】
EDFA111は、合波分波器104から入力された波長λD1〜λD4の光信号を光増幅して、合波分波器103へ出力する。
【0040】
SOA125は、合波分波器103から入力された波長λU1〜λU4の光波長多重信号を光増幅して、合波分波器104へ出力する。
【0041】
合波分波器104は、SOA125から入力された波長λU1〜λU4の光波長多重信号を分波してそれぞれ光スプリッタ171〜174へ送出する。また、光スプリッタ171〜174より入力された波長λD1〜λD4の光信号を合波して、EDFA111へ出力する。
【0042】
光スプリッタ171〜174は、合波分波器104から入力された光信号の一部をそれぞれパワーモニタ181〜184に出力し、残りの光信号をそれぞれOLT光送受信部131〜134に出力する。また、OLT光送受信部131〜134から入力された光信号のほぼすべてを合波分波器104に出力する。なお、OLT光送受信部131〜134から入力された光信号ができるだけパワーモニタ181〜184に出力されないことが望ましい。
【0043】
OLT光送受信部131〜134は、それぞれ光スプリッタ171〜174から入力された波長λU1〜λU4の上り光信号を受信し、光信号を電流信号に変換し、さらに電流信号を電圧信号に変換して増幅した電気信号をそれぞれOLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、OLT PHY/MAC処理部141〜144から入力された電気信号をそれぞれ波長λD1〜λD4の光信号に変換して、それぞれ光スプリッタ171〜174に出力する。
【0044】
OLT PHY/MAC処理部141〜144は、それぞれOLT光送受信部131〜134から入力された電気信号からクロックを抽出し、抽出したクロックで電気信号をリタイミングして、デジタル信号に変換する。さらに、デジタル信号を復号化し、フレームを抽出する。抽出されたフレームをユーザーデータと制御信号を識別し、データはそれぞれNNI処理部161〜164へ送出する。また、受信した制御信号を解析し、制御信号から抽出した各ONUからの帯域要求量を連携DBA制御部155に出力する。また、連携DBA制御部155から出力された帯域割当情報に基づいて、ONUに送信する制御信号を生成する。
【0045】
連携DBA制御部155は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力された各ONUからの帯域要求量、および、連携DBA制御部155が保持するONUパワー管理テーブルに基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定し、OLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、ONU登録時にパワーモニタ181〜184より受信したONU光パワー情報に基づいて、ONUパワー管理テーブルにONU−IDとONU光パワー情報の対応を登録する。
【0046】
NNI処理部161〜164は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力されたフレームをNNIのインタフェースにあった信号に変換して、ネットワークに出力する。
【0047】
パワーモニタ181〜184は、それぞれ光スプリッタ171〜174から入力された波長λU1〜λU4の上り光信号を受信して、光信号の光パワーに対応した電圧の電気信号に変換する。さらに、電気信号をアナログからデジタルに変換して、変換されたデジタル信号であるONU光パワー情報を連携DBA制御部155に出力する。なお、ONU光パワー情報は、例えばパワーの強い順にHigh,Middle,Lowの3値とする。
【0048】
本発明の構成によれば、連携DBA制御部155は、各ONUからの入力パワー及び各波長での各ONUからの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定することができる。従って、複数の波長間で連携してDBA制御をすることが可能である。
【0049】
[本発明における連携DBA制御部で管理するONUパワー管理テーブル]
次に、連携DBA制御部が管理するONUパワー管理テーブルに関して説明する。本発明における、OLTが保持するONUパワー管理テーブルの例を図7に示す。このテーブルにおいては、波長識別子λU、ONU識別子を表すONU−IDと、SOAに入力されるパワーP_soa_in、入力パワーを分類した値P_sの対応を保持する。なお、入力パワー分類は、入力パワーを2つの閾値P_th1,P_th2と比較してP_Low, P_Middle,P_Highの3種類の値をとるものとする。P_soa_in≦P_th1のときP_s=P_Low、P_th1<P_soa_in<P_th2のときP_s=P_Middle、P_soa_in≧P_th2のときP_s=P_Highとする。例えば、P_th1=−30dBm、P_th2=−22dBmとすると、SOAに入力する光信号の光パワーが−30dBm以下の場合にP_Low、−22dBm以上の場合にP_High,それ以外の場合にP_Middleとなる。
【0050】
例えば、λU=1、ONU−ID=1に対応するSOA入力パワーは、P_soa_in=−30dBmであり、P_s=Lowとなる。λU=2、ONU−ID=2に対応するSOA入力パワーは、P_soa_in=−13dBmであり、P_s=Highとなる。また、λU=3、ONU−ID=4に対応するSOA入力パワーは、P_soa_in=−25dBmであり、P_s=Middleとなる。
【0051】
なお、連携DBA制御においてP_soa_inの代わりに、P_sのみを利用する場合にはP_soa_inの情報を保持しなくてもよい。
【0052】
[本発明の第1の実施形態における連携DBA制御の動作]
次に、本発明の第1の実施形態における連携DBA制御の動作を説明する。なお、各波長でのDBA制御の帯域割当周期は、同一に設定する。第1の実施形態における連携DBA制御部においては、SOAに入力される各波長からの入力パワーの合計が一定値以下になるように各ONUに割り当てる帯域割当の順序を入れ替える。
【0053】
[本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部の動作を表すフローチャート]
連携DBA制御部の動作を表すフローチャートを、図8を用いて説明する。各ステップに従って動作を説明する。
【0054】
S801においては、連携DBA制御の動作を開始し、S802に移る。
【0055】
S802において連携DBA制御部は、波長毎に各ONUに対して帯域割当周期内の仮帯域割当期間を設定する。この仮設定では、従来のDBA制御と同様に同一波長内での各ONUの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間を設定する。なお、各波長でのONUへの帯域割当期間を決定するアルゴリズムはどのようなものであっても構わない。帯域割当周期内での各ONUへの帯域割当期間を仮設定した後にS803に移る。
【0056】
S803において連携DBA制御部は、DBA制御の帯域割当周期内での各期間で、想定される入力パワー合計P_totalを算出する。ここで、入力パワー合計P_totalは、複数の波長からの入力パワーを合計した値(波長多重された光信号の入力パワー)であり、各期間は帯域割当期間を分割した期間である。入力パワー合計値は、ONUパワー管理テーブルを参照して算出する。連携DBA制御部は、S802で仮設定した各ONUのONU識別子に対応するSOA入力パワーをONUパワー管理テーブルを参照して求め、各期間にどのONU識別子のONUに割り当てるよう設定したかに基づいて各期間における入力パワーの合計を算出する。各期間での入力パワー合計算出後に、S804に移る。
【0057】
S804においては、各期間での入力パワー合計P_totalに基づいて、帯域割当期間内の入力パワー合計P_totalの最大値である最大値P_total_maxを算出する。算出した最大値P_total_maxと閾値P_satを比較し、P_total_max<P_satである場合には、S805に移る。それ以外の場合には、S806に移る。
【0058】
S805において連携DBA制御部は、仮設定した各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間をそのまま各ONUへの帯域割当期間と決定する。連携DBA制御部は、決定した各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間を各OLT PHY/MAC処理部に出力し、S802に戻る。
【0059】
S806において連携DBA制御部は、入力パワー合計の最大値P_total_maxが最小となるように帯域割当周期内で各ONUの割当順序を算出する。なお、各ONUの割当順序の算出方法に関しては後述する。また、順序入替後の入力パワー合計の最大値をP_sw_total_maxとする。算出後に、S807に移る。
【0060】
S807においては、算出したP_sw_total_maxと閾値P_satを比較する。P_sw_total_max<P_satの場合には、S808に移る。それ以外の場合には、S809に移る。
【0061】
S808において連携DBA制御部は、順序入替後の帯域割当順序での帯域割当周期内の帯域割当期間にて割当を実施する。決定した帯域割当周期内の各ONUの帯域割当期間を各OLT PHY/MAC処理部に出力し、S802に戻る。
【0062】
S809においては、一部のONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期にて実施することにする。次以降の帯域割当周期で割当予定のONUに対しては、帯域割当の計算対象から外し、S806に戻る。
【0063】
連携DBA制御部は、以上の動作を実施することにより、SOAの入力パワー合計が閾値未満である場合には仮設定した通りに各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間を決定し、SOAの入力パワーが閾値以上である場合には閾値以下になるように帯域割当周期内で各ONUへの割当順序を入れ替える。また、稀に順序入替を実施しても閾値以下にならない場合には一部のONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期にて実施し、再度順序入替を実施して閾値以下にする。よって、本発明の第1の実施形態における連携DBA制御によって、SOAへの入力パワー合計を常に閾値以下にすることができる。
【0064】
[ONUの割当順序の算出方法]
ここで、入力パワー合計の最大値P_total_maxが最小となるように帯域割当周期内でのONUへの帯域割当順序を算出する方法を説明する。P_total_maxを最小とするONU帯域割当順序は、例えば、各波長の各ONUのすべての順序にした場合のP_total_maxを算出して比較することで可能であるが、計算時間が長く実用的でない可能性がある。そこで、より簡易的に算出するために、ONUパワー管理テーブルにあるパワー分類の値を用いて、P_s=P_HighとなるONUが各波長で重なる個数を最小にするように制御すればよい。
【0065】
なお、本発明においては帯域割当順序入替後のP_total_maxをできる限り下げて飽和レベル以下に抑えることが目的であるため、必ずしもP_total_maxを最小にする必要はない。
【0066】
例えば、波長1でP_sがP_LowのONUに帯域割当期間を割り当てた期間には波長2でP_sがP_HighのONUに帯域割当期間を割当てるなどP_sがP_HighとP_LowのONUをできるだけペアにして割り当てることでP_sがP_HighのONUへの帯域割当期間が重なる回数を低減できる。
【0067】
他には、波長1、波長2ではDBA帯域割当周期の先頭からP_sがP_Low,P_Middle,P_Highの順になるように帯域割当周期内で各ONUへの帯域割当期間を配置し、波長3や波長4では、P_sがP_High,P_Middle,P_Lowの順になるように帯域割当周期内で各ONUへの帯域割当期間を配置する方法によってもP_s=P_HighのONUへの帯域割当期間が重なる個数を減らすことができる。
【0068】
[閾値P_satの決定方法]
ここで、閾値P_satの設定方法を説明する。SOAの利得をG_soaとする。例えば、P_sat×G_soaをSOAの飽和出力レベル以下に設定すればよい。この場合には、SOAの出力パワーの最大値はP_total×G_soaとなり、この値はSOAの飽和出力レベルになる。なお、飽和出力レベルはあくまで目安であり、飽和による劣化がゼロではない。そのため、飽和による劣化をさらに防ぎたい場合には、飽和出力レベルよりさらに低いレベルに設定しても構わない。
【0069】
[本発明の第1の実施形態における上り光信号の例]
次に、本発明の第1の実施形態における連携DBA制御の動作により、SOAに入力される光信号の入力パワーの合計が一定値以下になる場合の動作を、図9を用いて説明する。
【0070】
図9は、図5に本願のOLTの構成を適用した時のSOAに入力される各波長の光パワー、SOAに入力される光パワーの合計、SOAの注入電流、及び、SOAから出力される光パワーの合計の時間推移を表している。本発明の第1の実施形態によれば、SOAに入力される光パワーの合計が小さくなるように帯域割当周期内で各ONUへの帯域割当順序を入れ替える。具体的には、波長λU1のONU群に関しては、仮設定ではONU1−1,ONU1−2,ONU1−3,ONU1−4,ONU1−5であったところ、ONU1−3,ONU1−1,ONU1−2,ONU1−4,ONU1−5の順に帯域割当期間を割り当てるように帯域割当順序を入れ替える。波長λU2のONU群に関しては、仮設定ではONU2−1,ONU2−2,ONU2−3,ONU2−4であったところ、ONU2−2,ONU2−1,ONU2−3,ONU2−4の順に帯域割当期間を割り当てるように帯域割当順序を入れ替える。波長λU3のONU群に関しては、仮設定で設定した帯域割当順序であるONU3−1,ONU3−2,ONU3−3,ONU3−4の順に帯域割当期間を割当てる。波長λU4のONU群に関しても、仮設定で設定した順序であるONU4−1,ONU4−2,ONU4−3,ONU4−4の順で各ONUに帯域割当期間を割当てる。
【0071】
以上のように、帯域割当順序を入れ替えた場合のSOA入力光パワーの合計は、従来のOLTの構成を用いた図5に比べて小さく抑えられていることが分かる。第1の実施形態においては、SOAの注入電流は一定である。そのため、SOA出力光パワーの合計も、従来例に比べて小さく抑えることが可能であり、飽和レベル以下に抑えることが可能となる。 従って、SOAで飽和が起きないため、波形劣化も生じなくなる。
【0072】
[本発明におけるOLTとONUと間の動作]
本発明における、OLTとONU間との動作を、図10を用いて説明する。なお、説明を簡潔にするため、接続しているONUは、ONU1−1,ONU1−2、ONU2−1,ONU3−1,ONU4−1,ONU4−2の6台であるとする。
【0073】
まず、OLTは各波長の光送受信機TRx1、TRx2、TRx3、TRx4より、全ONUに対してGATEフレームを送信する(SIG1001、SIG1002、SIG1003、SIG1004、SIG1005、SIG1006)。次に、GATEフレームを受信したONUは、GATEフレームで指示された時刻にREPORTフレームおよび上りデータを送信する。ONU1−1は、REPORTフレーム(SIG1007)を送信した後に,データを送信する(DAT101SからDAT101Eまで)。ONU2−1は、REPORTフレーム(SIG1008)を送信した後に,データを送信する(DAT102SからDAT102Eまで)。ONU3−1は、REPORTフレーム(SIG1009)を送信した後に,データを送信する(DAT103SからDAT103Eまで)。ONU4−1は、REPORTフレーム(SIG1010)を送信した後に,データを送信する(DAT104SからDAT104Eまで)。ONU1−2は、REPORTフレーム(SIG1011)を送信した後に,データを送信する(DAT105SからDAT105Eまで)。ONU4−2は、REPORTフレーム(SIG1012)を送信した後に,データを送信する(DAT106SからDAT106Eまで)。
【0074】
ここで、ONUがOLTに帯域要求量を通知するREPORTフレーム、および、OLTがONUに対して帯域割当周期内での帯域割当期間を指示するGATEフレームの利用方法について説明する。REPORTフレームおよびGATEフレームの各フィールドの構成は、IEEE802.3av Clause77.3.6に記載されている通りの構成を適用する。
【0075】
REPORTフレームには帯域要求量を表す「QUEUE#0REPORT」〜「QUEUE#7REPORT」のフィールドがある。本発明においては、帯域要求量を「QUEUE#0REPORT」に入力する。
【0076】
GATEフレームにはOLTが各ONUに割り当てた送信帯域、すなわち、帯域割当周期内での各ONUの帯域割当期間を表す「GRANT#1StartTime」[GRANT#1Length]〜「GRANT#4StartTime」[GRANT#4Length]のフィールドがある。本発明においては、帯域割当周期内での帯域割当期間を「GRANT#1StartTime」[GRANT#1Length]で指定する。
【0077】
なお、サービスや優先度毎に帯域要求量や帯域割当期間を複数利用しても構わない。
【0078】
従って、ONUに送信する各波長のGATEフレームのタイミングを調整することによって、各波長間で同期した帯域割当周期で、上り通信を実現することができる。
【0079】
[本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャート]
本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャートを、図11を用いて説明する。各ステップに従って動作を説明する。
【0080】
S1101において連携DBA制御部は、連携DBA制御でディスカバリの動作を開始し、S1102に移る。
【0081】
S1102において、連携DBA制御部は、パワーモニタよりOLT光送受信部に入力される光パワーを取得し、S1103に移る。
【0082】
S1103において連携DBA制御部は、ディスカバリ期間中にONUが新規に登録されたか否かをOLT PHY/MAC処理部に確認する。ディスカバリ期間中にONUが新規に登録されている場合はS1104に移り、登録されていない場合にはS1108に移る。
【0083】
S1104において連携DBA制御部は、OLT PHY/MAC処理部より、ディスカバリ期間に登録されたONU−IDを取得する。取得完了後に、S1105に移る。
【0084】
S1105において連携DBA制御部は、S1102にてパワーモニタより取得したOLT光送受信部の入力光パワーに基づいてSOA入力パワーを推定する。具体的には、連携DBA制御部は、光信号の波長とSOAに設定されている注入電流とからSOA利得を算出し、算出したSOA利得分だけ入力パワーを小さくした値をSOA入力パワーであると推定する。なお、第1の実施形態においては、注入電流は一定であり、またSOAの利得が信号波長にあまり依存しない領域であれば、利得も固定値になるため、より容易に算出が可能である。算出が完了したら、S1106に移る。
【0085】
S1106において連携DBA制御部は、S1105にて推定したSOA入力パワーを閾値と比較して、入力パワー分類Low、Middle,highを決定する。決定後にS1107に移る。
【0086】
S1107において連携DBA制御部は、波長識別子λU,ONU−ID、SOAに入力されるパワーP_soa_in、入力パワー分類P_sをONUパワー管理テーブルに登録する。
【0087】
従って、S1101からS1108を実行することによって、連携DBA制御部は、ディスカバリ期間中にONUが新規に登録された場合のみ、波長識別子λU,ONU−ID、SOAに入力されるパワーP_soa_in、入力パワー分類P_sをONUパワー管理テーブルに登録することが可能である。
【0088】
[本発明の第1の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間]
本発明の第1の実施形態における、「ディスカバリ割当期間」と「通常転送割当期間」の割当方法について説明する。「ディスカバリ割当期間」は、新規にOLTに接続したONUが、OLTが新規に接続されたONUを登録するため送出した光信号(ディスカバリ信号)に対する応答信号(ディスカバリ応答信号)を送出する期間である。「通常転送割当期間」は、新規に接続されたONUを登録するため制御情報以外の情報や、ONUに送信すべき情報を送出する期間である。
【0089】
ディスカバリ割当期間においては、OLTは、該OLTからの距離が不明なONU、即ち、入力パワーが不明なONUから光信号を受信する可能性がある。そのため、通常転送割当期間で述べたようにDBA制御の連携によって入力パワー合計を一定値以下にすることができない。そのため、ある波長の光信号を用いて実施するディスカバリ割当期間とその他の波長の光信号を受信する通常転送割当期間が重なる期間においては、入力パワー合計が一定値以下にならない期間が発生し、その期間は通常転送が正常に実現できない可能性がある。
【0090】
そこで、ディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当を考慮する必要がある。割当方法としては、ある波長の光信号によりディスカバリ割当期間においても入力パワー合計を一定値以下にする方法(1)と、全波長の光信号によるディスカバリ割当期間を同一期間に設定し、通常転送での動作への影響を防ぐ方法(2)が考えられる。通常転送割当期間は、上記で説明した連携DBA制御部の動作によって各ONUに帯域を割り当てる。
【0091】
[本発明の第1の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法1]
まず、方法(1)について説明する。方法(1)においては、いずれかの波長にてディスカバリを実施する通常転送・ディスカバリ混在期間と、すべての波長で通常転送を実施する通常転送単独期間に分ける。この通常転送・ディスカバリ混在期間と通常転送単独期間は交互に割り当てるものとする。例えば、通常転送・ディスカバリ混在期間を4msだけ割り当て、通常転送単独期間を996msだけ割り当てる動作を繰り返す。以下、方法(1)に関して図12を用いて説明する。
【0092】
通常転送・ディスカバリ混在期間(tD−1〜tN−1)においては、各波長の上り伝送は、ディスカバリ割当期間(Discovery)、通常転送割当期間(Normal)、非通信期間(Empty)のいずれかの期間となる。具体的には、波長λU1では、Discovery、Normal、Normal、Emptyの順に割当てる。波長λU2では、Empty,Discovery、Normal、Normalの順に割当てる。波長λU3では、Normal、Empty,Discovery、Normalの順に割当てる。波長λU4では、Normal,Normal、Empty,Discoveryの順に割当てる。
【0093】
通常転送単独期間(tN−1〜tN−2)においては、全波長の上り伝送は、Normalのみである。また、各波長のNormalの期間は同期している。
【0094】
なお、この例では、通常転送・ディスカバリ混在期間においては、Discoveryが1波長、Emptyが1波長、Normalが2波長としているが、SOA入力パワー合計をより小さくする必要がある場合は、Emptyとする波長の数を増やしてもよい。
【0095】
従って、方法(1)では、非通信期間を設けることによって、SOA入力パワー合計を抑制し、いずれかの波長でディスカバリを実施する通常転送・ディスカバリ混在期間においても、入力パワー合計を必ず一定値以下にすることができ、通常転送に影響が生じることはない。
【0096】
[本発明の第1の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法2]
次に、方法(2)に関して説明する。方法(2)においては、すべての波長にてディスカバリを実施するディスカバリ単独期間と、すべての波長で通常転送を実施する通常転送単独期間に分ける。このディスカバリ単独期間と通常転送単独期間は交互に割り当てるものとする。例えば、ディスカバリ単独期間を1msだけ割り当て、通常転送単独期間を999msだけ割り当てる動作を繰り返す。以下、方法(2)に関して図13を用いて説明する。
【0097】
ディスカバリ単独期間(tD−a〜tN−a)においては、波長λU1〜λU4の全ての波長においてディスカバリ割当期間(Discovery)を割当てる。複数の波長で同時にディスカバリ動作を実施するため、OLTからの距離が近く、かつ、波長の異なる複数のONUが同時にディスカバリ応答信号を送出した場合は、SOA入力パワー合計が大きくなり、SOAの飽和によってディスカバリ応答信号を正しく受信することができず、全ての波長のディスカバリが失敗する場合がある。しかしながら、このような事象が起きる確率は極めて低く、また、ディスカバリが失敗しても次以降のディスカバリ割当期間でディスカバリが成功すればよいため、システムとしては特に問題がないと考えられる。また、この事象が起きる確率を低減するために、ディスカバリ割当期間、即ち、ディスカバリ単独期間を1波長で従来実施していた期間に比べ長く割当ててもよい。
【0098】
また、通常転送単独期間(tN−a〜tN−b)に関しては方法(1)と同様である。
従って、方法(2)では、ディスカバリを複数の波長で同時に実施することによって、通常転送への影響を防ぐことができる。
【0099】
[本発明の第1の実施形態における効果]
本発明の第1の実施形態における効果を説明する。本実施形態によれば、WDM/TDM−PONのOLTの受信部の光アンプを複数の波長で共用しても、光アンプが飽和することなく上り伝送を実現できる。従って、WDM/TDM−PONにおいて、延伸化や多分岐化を図る場合に、OLTの上り受信用に利用する光アンプの数を低減でき、OLTの低コスト化・小型化が可能となる。
【0100】
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、SOAの注入電流を一定として、SOAに入力する光パワーの合計が一定以下になるように連携してDBA制御を実施した。第2の実施形態においては、各波長からの入力パワーが類似するように連携してDBA制御し、かつ、入力パワー合計に応じて注入電流を制御する。このように制御することで、各波長の光信号の入力パワーが小さいときに注入電流を大きくして利得を大きくし、各波長の光信号の入力パワーが大きいときに注入電流を小さくして利得を小さくする。
【0101】
各波長の光信号の入力パワー合計が小さい時には注入電流を大きくしても飽和しにくく、また、各波長の光信号の入力パワーが大きい時には注入電流を小さくすることで飽和しにくくして、飽和による波形劣化を防ぐ。
【0102】
ここでは、光アンプの例として、SOAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られず、利得を制御可能な光アンプであれば他の光アンプでも適用が可能である。。SOAにおいては、注入電流を制御することで光アンプの利得を制御する。EDFAやPDFAではポンプ光のパワーを制御すればよい。
【0103】
[本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成]
本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成を図14を用いて説明する。第1の実施形態におけるOLTの構成との差分を中心に説明する。OLTは合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、連携DBA制御部156、NNI処理部161〜164、光スプリッタ171〜174、パワーモニタ181〜184に加え、注入電流制御部191から構成される。
【0104】
合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、光スプリッタ171〜174、合波分波器104から入力された光信号の一部をそれぞれパワーモニタ181〜184、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、NNI処理部161〜164、パワーモニタ181〜184の動作は第1の実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
【0105】
連携DBA制御部156は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力された各ONUからの帯域要求量、および、連携DBA制御部155にて保持するONUパワー管理テーブルに基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定し、OLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、ONU登録時にパワーモニタ181〜184より受信したONU光パワー情報に基づいて、ONUパワー管理テーブルにONU−IDとONU光パワー情報の対応を登録する。
【0106】
さらに、第2の実施形態における連携DBA制御部156は、決定した帯域割当情報に基づいて、注入電流情報を注入電流制御部191に出力する。
【0107】
注入電流制御部191は、連携DBA制御部156から入力された注入電流情報に基づいてSOAに注入する電流量を制御する。本実施形態では、注入電流情報はHighとLowの2値を表し、注入電流情報がHighであるときの電流量をI_high、注入電流情報がLowであるときの電流量をI_lowとする。電流量I_high,I_lowの値の決め方については後述する。なお、注入電流情報は3値以上としても構わない。
【0108】
本発明の構成によれば、連携DBA制御部156は、各ONUからの入力パワー及び各波長での各ONUからの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定することができる。さらに、決定した帯域割当情報に基づいて、SOAの注入電流を制御することができる。従って、複数の波長間で連携してDBA制御をし、さらに受信期間毎に注入電流を動的に制御することが可能である。
【0109】
尚、上記では、SOAの注入電流を制御する例を説明したが、光アンプの利得を制御できれば、他の方法でもよい。すなわち、連携DBA制御部156は、決定した帯域割当情報に基づいて、利得情報を注入電流制御部191に相当する利得制御部に出力し、利得制御部は、連携DBA制御部156から入力された利得情報に基づいて光アンプの利得を制御する。例えば、光アンプにEDFAを用いた場合にはポンプ光のパワーを制御すればよい。
【0110】
[注入電流量I_high、I_lowの決定方法]
ここで、注入電流量I_high,I_lowの値の決め方に関して説明する。これらの注入電流量の値はPONシステムで定められたOLTの受光可能範囲(P_in_min〜P_in_max)、トランシーバの受光可能範囲(P_rx_min〜P_rx_max)及び、SOA利得の注入電流依存性に基づいて定める。I_highは、規格で定められた最小受光パワーP_in_minの光信号を受信できるように、SOAで光増幅後の光パワーがトランシーバの最小受光感度P_rx_minより大きくなるように定める。I_lowは、規格で定められた最大受光パワーの光信号を受信できるように、SOAで光増幅後の光パワーがトランシーバの最大受光感度P_rx_maxより小さくなるように定める。
【0111】
例えば、P_in_min=−34dBm,P_in_max=−12dBm、P_rx_min=−28dBm、P_rx_max=−6dBmであり、注入電流200mAでSOA利得が15dB,注入電流100mAでSOA利得が3dBである場合を考える。この場合に、I_high=200mA、I_low=100mAとすれば、最小受光パワー受信時での光増幅後の光パワーは−34+15=−19dBm>P_rx_minとなり,最大受光パワー受信時での光増幅後の光パワーは−12+3=−9<P_rx_maxとなる。
【0112】
[本発明の第2の実施形態における連携DBA制御の動作]
次に、本発明の第2の実施形態における連携DBA制御部の動作を説明する。なお、各波長でのDBA制御の帯域割当周期は、同一に設定する。第2の実施形態における連携DBA制御部においては、SOAに入力される各波長の光信号の入力パワーができるだけ類似するように各ONUに割り当てる帯域割当の順序を入れ替える。すなわち、SOAに同時に入力される各波長からの光信号の光パワーの差が小さくなるように、同一波長内で帯域を割り当てる。
【0113】
[本発明の第2の実施形態における連携DBA制御部の通常転送の動作を表すフローチャート]
第2の実施形態における連携DBA制御部の動作を表すフローチャートを図15を用いて説明する。各ステップに従って動作を説明する。
【0114】
S1501においては、連携DBA制御部で通常転送の動作を開始し、S1502に移る。
【0115】
S1502において連携DBA制御部は、各波長のOLT PHY/MAC処理部より各ONUの帯域要求量を取得し、S1503に移る。
【0116】
S1503において連携DBA制御部は、各波長にて各ONUに対して仮帯域割当期間を設定する。この仮設定では、従来と同様に同一波長内での各ONUの帯域要求量に基づいて、帯域割当周期内での各ONUへの帯域割当期間を設定する。帯域割当期間を設定した後にS1504に移る。
【0117】
S1504において連携DBA制御部は、帯域割当期間を仮設定した各ONUの入力パワー分類をONUパワー管理テーブルより取得する。ここで、入力パワー分類は、P_Low,P_Middle,P_Highの3種類の値をとるものとする。入力パワー分類がP_Lowに分類されているONUから送信される光信号は、SOAの利得レベルがG_High(注入電流がI_high)に設定されているとき受信可能である。入力パワー分類がP_Highに分類されているONUから送信される光信号は、SOAの利得レベルがG_Low(注入電流がI_low)に設定されていると受信可能である。また、P_Middleに分類されているONUから送信される光信号は、SOAの利得レベルがG_High、G_Lowのいずれの条件においても受信可能である。入力分類を取得完了すると、S1505に移る。なお、第2の実施形態においては、入力パワー分類を決定するための閾値P_th1,P_th2はSOAの飽和を防ぎ、かつ、光増幅後の光パワーがトランシーバの受光可能範囲に入るように決定する必要がある。閾値P_th1,P_th2の決定方法に関しては後述する。
【0118】
S1505において連携DBA制御部は、入力パワー分類がP_LowのONUの帯域割当期間を帯域割当周期の先頭に配置する。入力パワー分類がP_LowのONUが各波長で複数ある場合には、そのONU間の配置順序は問わない。配置決定後に、S1506に移る。
【0119】
S1506において連携DBA制御部は、入力パワー分類がP_HighのONUの帯域割当を帯域割当周期の後尾に配置する。入力パワー分類がHighのONUが各波長で複数ある場合には、そのONU間の配置順序は問わない。配置決定後に、S1507に移る。
【0120】
S1507において連携DBA制御部は、入力パワー分類がP_MiddleのONUの帯域割当を、P_LowのONUの帯域割当期間の終了時刻から、P_HighのONUの帯域割当期間の開始時刻の間に割り当てる。なお、LowのONUの帯域割当期間の終了時刻、P_HighのONUの帯域割当期間の開始時刻は波長によって異なっていてもよい。配置決定後にS1508に移る。
【0121】
S1508において連携DBA制御部は、各波長での帯域割当を分析し、帯域割当周期の期間を領域A〜領域Fの6つの領域に分類する。入力パワー分類LowのONUの帯域割当期間のみの領域を領域A、入力パワー分類がP_LowとP_MiddleのONUの帯域割当期間が混在している領域を領域B、入力パワー分類がP_MiddleのONUの帯域割当期間のみの領域を領域C、入力パワー分類がP_MiddleとP_HighのONUの帯域割当期間が混在している領域を領域D、入力パワー分類がP_HighのONUの帯域割当期間のみの領域を領域E、入力パワー分類がP_LowとP_HighのONUの帯域割当期間が混在している領域を領域Fと呼ぶことにする。なお、波長毎の帯域割当周期内のONUの帯域割当順序によっては、各帯域割当周期で領域AからFのうちすべての領域が必ず生じるわけではない。
【0122】
分析後に、入力パワー分類がP_LowとP_Highが混在している領域(領域F)があるか否かを判定する。領域Fがない場合にはS1509に移る。領域Fがある場合にはS1510に移る。
【0123】
S1509において連携DBA制御部は、注入電流の切替タイミングを決定し、注入電流制御部に注入電流切替を指示する。例えば、注入電流の切替タイミングは以下のように決定する。
【0124】
連携DBA制御部は、帯域割当周期内に領域Cがある場合には、領域Cの開始時刻または領域Cの終了時刻を注入電流の切替タイミングとする。帯域割当期間内に領域Cがない場合には、領域Aまたは領域Bから領域Dまたは領域Eへ切り替わる時刻を注入電流の切替タイミングとする。このように切替タイミングを決定することで、注入電流をデータ受信時に切り替えないようにする。
【0125】
連携DBA制御部は、注入電流の切替タイミングを決定した後に、注入電流制御部に切替を指示し、S1511に移る。
【0126】
S1510において連携DBA制御部は、一部ONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期で実施することにし、本帯域割当周期では帯域割当の対象から外す。これは、S1505〜S1507での配置を実施しても、領域Fが生じた場合に,一部のONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期にて実施し、領域Fを生じなくして注入電流の切替が可能な期間を確保するためである。実施完了後に、S1505に移る。
【0127】
S1511において連携DBA制御部は、各波長のOLT PHY/MAC処理部に帯域割当情報を通知して、S1512に移り、通常転送の動作を終了する。
【0128】
以上の動作を実施することにより、連携DBA制御部は、DBAの帯域割当周期の前半領域にSOAの入力パワー合計を小さくし、帯域割当周期の中間領域にSOAの入力パワー合計が中間の値とし、帯域割当周期の後半領域にSOAの入力パワー合計を大きくすることができ,中間領域において注入電流を切り替えることができる。
【0129】
[閾値P_th1,P_th2の決定方法]
ここで、閾値P_th1,P_th2の決定方法を説明する。これらの閾値は、下記2つの条件を満たすように決定する。第1に、ある波長の入力パワーがP_th1〜P_th2にあるときに、いずれの利得G_high,G_lowにおいても受光可能である必要がある。具体的には、G_high×P_th2<P_rx_maxかつG_low×P_th1>P_rx_minを満たすように定めればよい。第2に、SOA利得がG_highで、各波長の入力パワーがP_th1〜P_th2である場合に、SOAが飽和しないようにする必要がある。具体的には、N×G_high×P_th2<飽和出力レベルとすればよい。Nは波長多重数であり、ここでは4である。
【0130】
例えば、P_in_min=−34dBm,P_in_max=−12dBm、P_rx_min=−28dBm、P_rx_max=−6dBmであり、注入電流200mAでSOA利得が15dB,注入電流100mAでSOA利得が3dB、SOAの飽和出力レベルが+7dBmである場合を考える。この場合においては、第1の条件より、P_th1>−31dBm、P_th2<−21dBmである。第2の条件より、P_th2<−14dBmである。従って、P_th1=−30dBm、P_th2=−22dBmとすればよい。
【0131】
[本発明の第2の実施形態における上り光信号の例]
次に、本発明の第2の実施形態における連携DBA制御の動作により、SOAの飽和を防ぐ動作を、図16を用いて説明する。
【0132】
図16は、SOAに入力される各波長の光パワー、SOAに入力される光パワーの合計、SOAの注入電流、及び、SOAから出力される光パワーの合計の時間推移を表している。
【0133】
本発明の第2の実施形態によれば、連携DBA制御部は、SOAへの入力光パワーが小さいONUにはDBAの帯域割当周期の前半に、SOAへの入力光パワーが大きいONUにはDBAの帯域割当周期の後半に、帯域を割当てる。連携DBA制御部は、波長λU1のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU1−1,ONU1−4には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU1−3には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU1−5、ONU1−2には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。波長λU2のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU2−3,ONU2−4には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU2−2には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU2−1には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。波長λU3のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU3−1には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU3−2、ONU3−3には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU3−4には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。波長λU4のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU4−3には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU4−2、ONU4−4には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU4−1には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。
【0134】
このように割当を実施した場合には、帯域割当周期は領域A,領域B,領域D,領域Eの順になることが分かる。
【0135】
本発明の第2の実施形態によれば、連携DBA制御部は、領域Bと領域Dの境界で注入電流をI_highからI_lowに切り替えるよう注入電流制御部に指示する。
【0136】
本発明の第2の実施形態によれば、連携DBA制御部は、SOA入力パワーがLowの期間に注入電流を大きく、SOA入力パワーがHighの期間に注入電流を小さくするよう注入電流制御部に注入電流の切替を指示する。その結果、SOAの出力光パワーの合計は飽和レベル以下となり、SOAの飽和による波形劣化を防ぐことができる。
【0137】
[本発明の第2の実施形態におけるOLTとONUの動作]
第1の実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
【0138】
[本発明の第2の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間]
本発明の第2の実施形態における、ディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法について説明する。第2の実施形態においては、SOAへの入力パワーの合計に基づいて注入電流を制御する。ディスカバリ割当期間においては、OLTは距離が不明なONU、即ち、入力パワーが不明なONUから光信号を受信する可能性がある。そのため、上記で説明した連携DBA制御部の制御のみによって注入電流の制御を実施できない。
【0139】
そこで、本発明の第2の実施形態においては、本発明の第1の実施形態で述べた方法(2)と同様にすべての波長にてディスカバリを実施するディスカバリ割当期間と、すべての波長で通常転送を実施する通常転送割当期間に分ける。通常転送割当期間は、上記で説明した連携DBA制御部の動作によって各ONUに帯域割り当てを行う。このディスカバリ割当期間と通常転送割当期間は交互に割り当てるものとする。以下、図12を用いて説明する。
【0140】
ディスカバリ割当期間においては、波長λU1〜λU4の全ての波長においてディスカバリ期間(Discovery)を割当て、連携DBA制御部は、ディスカバリ期間の前半をOLTからの距離が遠いONUからのディスカバリ応答を受信するために、ディスカバリ期間の前半で注入電流をI_highに設定するよう注入電流制御部に指示し、ディスカバリ期間の後半をOLTから距離が近いONUからのディスカバリ応答を受信するために、ディスカバリ期間の後半で注入電流をI_lowに設定するよう注入電流制御部に指示する。注入電流をI_highに設定したディスカバリ期間の前半にOLTからの距離が近いONUがディスカバリの応答信号を送信した場合、注入電流をI_lowと設定するディスカバリ期間の後半にOLTからの距離が遠いONUがディスカバリの応答信号を送信した場合には、ディスカバリは失敗する。しかしながら、ディスカバリが失敗しても次以降のディスカバリ割当期間でディスカバリが成功すればよいため、システムとしては特に問題がないと考えられる。また、この事象が起きる確率を低減するために、ディスカバリ割当期間を1波長で従来実施していた期間に比べ長く割当ててもよい。
【0141】
また、ディスカバリ割当期間を前半と後半に分けてSOAの注入電流を切り替える代わりに、ディスカバリ割当期間毎に注入電流を切り替えてもよい。例えば、1回目のディスカバリ割当期間は注入電流をI_highに設定し、2回目のディスカバリ割当期間は注入電流をI_lowに設定し、これを繰り返してもよい。この場合、OLTからの距離が近いONUは、1回目のディスカバリ割当期間でディスカバリ応答信号を送信した場合にはディスカバリが失敗するが、2回目のディスカバリ割当期間でディスカバリ応答信号を送信し、同じ波長の他のONUと衝突しなければディスカバリが成功する。
【0142】
[本発明の第2の実施形態における効果]
本発明の第2の実施形態における効果を説明する。本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に光アンプが飽和することなく上り伝送を実現できる。従って、WDM/TDM−PONにおいて、延伸化や多分岐化を図る場合に、OLTの上り受信用に利用する光アンプの数を低減でき、OLTの低コスト化・小型化が可能となる。
【0143】
また、注入電流を入力パワーに応じて制御可能であるため、第1の実施形態に比べて、OLTが各波長で受光可能な入力パワーの範囲であるダイナミックレンジをさらに向上することができる。
【0144】
さらに、SOAの飽和レベルが低い場合においても、注入電流を入力パワーに応じて制御することで、SOAの飽和を防ぐことが可能となる。従って、SOAへ要求される仕様が緩和できる。尚、上記では、SOAの注入電流を制御する例を説明したが、光アンプの利得を制御することによって光アンプの飽和を防ぐことができる。
【0145】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。第1の実施形態においては、少なくとも一つの波長で、ほぼすべてのONUがOLTから近い距離にある場合には、ONUの帯域割当順序を入れ替えてもSOAへの入力パワーの合計を一定以下にすることができない。そのため、次以降のDBA帯域割当周期で帯域割当を実施する事象が頻発して、上り伝送での遅延や帯域効率が大きく低下する可能性がある。そこで、第3の実施形態においては波長毎にSOAに入力する光パワーを調整可能とする。
【0146】
[本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成]
本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成を図17を用いて説明する。第1の実施形態におけるOLTの構成との差分を中心に説明する。OLTは合波分波器105〜106、EDFA111、SOA125、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、連携DBA制御部157、NNI処理部161〜164、光スプリッタ171〜174、パワーモニタ181〜184に加え、減衰量制御部192、可変減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)193〜196から構成される。第1の実施形態との差分は、波長グループ毎に減衰を可能とする可変減衰器193〜196と、可変減衰器を制御する減衰量制御部192を備えている点である。
【0147】
EDFA111、SOA125、合波分波器104、光スプリッタ171〜174、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、NNI処理部161〜164、パワーモニタ181〜184の動作は第1の実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
【0148】
連携DBA制御部157は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力された各ONUからの帯域要求量、および、連携DBA制御部155にて保持するONUパワー管理テーブルに基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定し、OLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、ONU登録時にパワーモニタ181〜184より受信したONU光パワー情報に基づいて、ONUパワー管理テーブルにONU−IDとONU光パワー情報の対応を登録する。
【0149】
さらに、第3の実施形態における連携DBA制御部157は、ONUパワー管理テーブルに基づいて各波長での減衰量を決定し、減衰量情報を減衰量制御部192に出力する。
【0150】
減衰量制御部192は、連携DBA制御部157から入力された減衰量情報に基づいて可変減衰器193〜196での減衰量を制御する。
【0151】
可変減衰器193〜196は、合波分波器105から出力されたそれぞれ波長λU1〜λU4の上り光信号を、減衰量制御部192で指示された減衰量だけ減衰させ、合波分波器106に出力する。また、合波分波器106から出力されたそれぞれ波長λD1〜λD4の下り光信号を、減衰量制御部192で指示された減衰量だけ減衰させ、合波分波器105に出力する。
【0152】
本発明の構成によれば、連携DBA制御部157は、各ONUからの入力パワー及び各波長での各ONUからの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定することができる。さらに、ONUパワー管理テーブルに基づいて、各波長グループでの減衰量を制御することができる。
[本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作]
第3の実施形態における連携DBA制御は第1の実施形態とほぼ同様である。第1の実施形態での制御に、可変減衰器の制御が追加されている点が異なる。まず、第3の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を、図18を用いて説明する。
【0153】
S1801において、連携DBA制御部は通常転送の動作を開始する。
【0154】
S1802において連携DBA制御部は、各波長の可変減衰器に通常転送時の減衰量を通知し、S1803に移る。なお、ここで通知する減衰量は、ディスカバリ時の動作で決定した減衰量の値を設定するものとする。
【0155】
S1803からS1813までの連携DBA制御部の動作は、第1の実施形態の動作と同じであるため、説明を割愛する。
【0156】
[本発明の第3の実施形態における上り光信号の例]
第3の実施形態においては、第1の実施形態とほぼ同じである。なお、各波長での可変減衰器によってSOAへの入力パワーを減衰する点のみが異なる。
【0157】
[本発明の第3の実施形態におけるOLTとONUの動作]
第3の実施形態での動作は、第1の実施形態での動作と同じであるため、説明を割愛する。
【0158】
[本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作]
次に、第3の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を、図19を用いて説明する。なお、可変減衰器の減衰量が0dBの時にOLTが受信可能な入力パワー範囲をP_rx_min〜P_rx_maxとする。
【0159】
S1901において、ディスカバリ時の動作を開始し、S1902に移る。
【0160】
S1902において、ディスカバリ時の減衰量を減衰量制御部に通知する。ディスカバリ時の減衰量は、例えば0dBと設定する。なお、ここで設定すべき減衰量は、ディスカバリ時にシステムで定められている最も遠距離にあるONUおよび最も近距離にあるONUのいずれからも受信できるのであれば、どのような値でも構わない。
【0161】
S1903からS1906までの動作は、第1の実施形態の動作と同じであるため、説明を割愛する。S1906での処理が完了すると、S1907に移る。
【0162】
S1907においては、通常転送時に設定すべき減衰量ATTを算出する。新規に登録したONUが送信する波長を求め、その波長で登録されている全ONUのSOA入力パワーを取得する。取得したSOA入力パワーのうち、最大のSOA入力パワーをP_max,最小のSOA入力パワーをP_minとする。P_min/ATT≧P_rx_minかつP_max/ATT≦P_rx_maxを満たすATTで、ATTが最大となる値ATT_maxを設定する。このように設定することで、通常転送時に、登録されているONUから受信可能で、かつ、減衰量をできるだけ大きくすることができる。減衰量の算出が完了したら、S1908に移る。
【0163】
S1908においては、新規に登録したONUが送信する波長で登録されている全ONU及び新規に登録すべきONUに関して、減衰量がATT_maxである場合のSOA入力パワーを算出する。算出完了後に、S1909に移る。
【0164】
S1909において、S1908にて算出したSOA入力パワーに基づいて、ONUパワー管理テーブルを更新する。テーブル更新後に、S1910に移る。
【0165】
S1910において、ディスカバリ時の動作を終了する。
【0166】
従って、S1901からS1910までの処理を実行することによって、ONUが新規に登録された場合にのみ、該当する波長の可変減衰器の減衰量を算出し、ONUパワー管理テーブルを更新することができる。
【0167】
[本発明の第3の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間]
ディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当に関しては、第1の実施形態での割当と同じである。なお、ディスカバリ割当期間においては、可変減衰器の減衰量を0dBに設定し、通常転送時にはOLTに入力した上り光信号は各波長の可変減衰器で設定された減衰量で減衰される。
【0168】
[本発明の第3の実施形態における効果]
第3の実施形態によれば、第1の実施形態で述べて効果に加えて、少なくても1つ以上の波長においてONUがすべて近距離にある場合でも、遅延の増加および帯域利用効率の低下を防ぐことができる。
【0169】
[補足]
本説明においては、多重する波長は4波であるとしたが、本発明は多重する波長数に関係なく、適用が可能である。多重する波長数が増大するほど、SOAに入力される光パワーの合計が大きくなるため、より本発明の効果が増すであろう。
【0170】
本説明においては、10G−EPONで規定されているフレームに基づいて説明したが、E−PON,G−PON、XG−PONなど他のTDM−PONで規定されたフレームにおいても同様に適用が可能である。
【0171】
また、第2の実施形態の説明においては、注入電流を2値で切り替えているが、必ずしも2値で切り替える必要はなく。例えば、3値以上で切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0172】
1 光回線装置(OLT)
2−1−1〜2−4−n 光ネットワーク装置(ONU)
3−1〜3−4 光スプリッタ
4−0−1〜4−0−4、 4−1−1〜4−4−n 光ファイバ
5 合波・分波器(WDMカプラ)
6−1−1〜6−4−n 端末
7 ネットワーク
101、102、103、104,105 合波・分波器(WDMカプラ)
111 EDFA
121、122、123、124、125 半導体光アンプ(SOA)
131、132、133,134 OLT光送受信機
141、142、143、144 OLT PHY/MAC処理部
151、152、153、154 DBA制御部
155、156、157 連携DBA制御部
161、162、163、164 NNI処理部
171、172、173、174 非対称光スプリッタ
181、182、183、184 パワーモニタ
191 注入電流制御部
192 減衰量制御部
193、194、195、196 可変減衰器(VOA)
211 UNI処理部
221 ONU PHY/MAC処理部
231 ONU光送受信部
【技術分野】
【0001】
波長多重したPON(PassiveOpticalNetwork)における、光加入者装置(OLT)の動的帯域制御の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[光アクセスネットワークの普及]
近年、インターネットの普及に伴い、ネットワークへの高速化への要求が高まり、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、そしてB−PON(Broadband PON)、E−PON(Ethernet PON)、G−PON(Gigabit Capable PON)の普及が進んでいる。特に、PON方式は、局に置かれる収容局(OLT:Optical Line Terminal)と各ユーザー宅に置かれるネットワークユニット(ONU:Optical Network Unit)の間を接続する際に、OLTから1本のファイバを出し、光スプリッタを用いて分岐して各ユーザーが接続される。このため、ファイバの敷設コストが安く、かつ光伝送を用いるため高速に通信を行うことが可能であるため、世界各国で普及が進んでいる状況にある。
【0003】
[TDM−PON方式]
PON方式の中でも、OLTからONUへの下り伝送用とONUからOLTへの下り伝送用で別々の波長の光を用い、ONU毎の信号を時分割するTDM−PON方式が広く利用されている。このTDM(Time Division Multiplexing)−PON方式は、B−PON、E−PON,G−PON,10G−EPON,XG−PONにおいて採用されている。
【0004】
[TDM−PON向けのDBA制御]
TDM−PONにおいては、上り伝送での各ONUからの光信号の衝突を防ぐために、OLTがONUの光信号の送出タイミングを制御している。具体的には、OLTは各ONUに対して、送信を許可する期間を指示する制御フレームを送信し、ONUは送信を許可された期間に、上りの制御フレームおよび上りデータを送信する。また、ONUは、接続している端末から受信したフレームのデータ量に基づいて、帯域要求量をOLTに要求する制御フレームをOLTに送信する。一般的には、ONUに対して送信を許可する期間は、ONUが要求した帯域要求量に基づいて動的に制御する、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)制御が利用されている。
【0005】
このDBAに関連した様々な制御方法が知られている。例えば、特許文献2では、 逆バイアス電圧の差が小さくなるようにDBA順序を決定し、ONUからの受信タイミングに合わせて逆バイアス電圧を制御する方法が記載されている。
【0006】
[WDM/TDM−PON方式]
10G−EPONやXG−PONよりさらに次世代のPON方式の候補として、従来のTDM−PONを複数の波長で束ねるWDM/TDM−PON方式が考えられる。WDM/TDM−PONに関しては、例えば、特許文献1や非特許文献2に記載されている。 [TDM−PONでの多分岐・延伸化への要求]
TDM−PONにおいて多分岐・延伸化を実現する手法として、OLTに光アンプを用いて光送信部の高出力化や光受信部の高感度化が知られている。TDM−PONにおいては、上り伝送の信号は、強弱が大きく変動するバースト信号となる。信号の強弱が大きく変動するのは、OLTとONUと間の距離がONU毎に異なり、その結果OLTとONU間の光ファイバで生じる光損失量がONU毎に異なるためである。そこで、光アンプを利用することによって、PON区間での伝送許容損失を拡大する方法が知られている。例えば、非特許文献1に、G−PONにおいて光アンプを利用した伝送許容損失を拡大する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011―55407号公報
【特許文献2】特開2009−152706号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Z. Belfqih et al, “ClassB+ GPON extended to 44dB while maintaining 15dB optical budget difference”,ECOC2008, Th2.F.4. (2008)
【非特許文献2】S. Kimura,“10−Gbit/s TDM−PON and over−40−Gbit/s WDM/TDM−PON systems with OPEX−effective burst−mode technologies,“OFC2009, OWH−6, Mar. 2009.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[WDM/TDM−PONでの多分岐・延伸化への要求]
WDM/TDM−PONシステムにおいても、光アンプを用いて多分岐・延伸化を実現することが求められる。
【0010】
[OLTの構成例1]
WDM/TDM−PONにおいて光アンプを用いて多分岐・延伸化を実現するOLTの構成例1を、図2を用いて説明する。
【0011】
OLTは、合波分波器101、EDFA(Erbium−Doped optical Fiber Amplifier)111、SOA(Semiconducter Optical Amplifier)121〜124、合波分波器102、光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、DBA制御部151〜154、NNI処理部161〜164から構成される。ここでは、光アンプの例として、SOA及びEDFAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られない。
【0012】
この構成では、波長λU1、λU2、λU3、λU4の上り光信号をそれぞれSOA121、122、123、124で増幅し、波長λD1、λD2、λD3、λD4の下り光信号はEDFA111で増幅する。
【0013】
本構成では、上り1波長毎に1個のSOAで増幅する。SOAに入力される光パワーは小さくなるためSOAが飽和して、増幅した光波形が歪まない。しかしながら、計4個のSOAが必要になり、コストおよび実装面積の増大をもたらす。
【0014】
[OLTの構成例2]
次に、WDM/TDM−PONにおいて多分岐・延伸化を実現するOLTの構成例2を、図3を用いて説明する。
【0015】
OLTは合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、DBA制御部151〜154、NNI処理部161〜164から構成される。ここでは、光アンプの例として、SOA及びEDFAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られない。
【0016】
この構成では、波長λU1、λU2、λU3、λU4の上り光信号を単一のSOA125で増幅し、波長λD1、λD2、λD3、λD4の下り光信号はEDFA111で増幅する。
【0017】
本構成では、上り4波長分を1個のSOAで増幅し、各波長のDBA制御は独立に制御を実施するものとする。
【0018】
[OLTの構成例2における上り光信号の例]
しかしながら、構成例22のOLTにおいては、複数の波長の光信号を、OLTから近い距離にあるONUから同時に受信する期間が発生し、その際にSOAに入力される光信号の光パワーの合計が大きくなりSOAが飽和して、増幅した光波形が歪んでしまい、受信した光信号を正常に処理できない可能性が生じる。
【0019】
構成例22での、SOAに入力される光信号の入力パワーの合計が一定値以上になり、飽和してしまう動作を、図5を用いて説明する。
【0020】
図5は、SOAに入力される各波長の光パワー、SOAに入力される光パワーの合計、SOAの注入電流、及び、SOAから出力される光パワーの合計の時間推移を表している。この例では、ONU1−3,ONU2−2,ONU3−2,ONU4−2から同時に受信する期間(t1)において、SOA入力パワーの合計が大きくなることが分かる。構成例2においては、SOAは一定の注入電流で動作している。そのため、ONU1−3,ONU2−2,ONU3−2、ONU4−2から同時に光信号を受信する期間(t1)においては、SOAの出力パワーも大きくなり、飽和レベルを上回ってしまう。そのため、この期間においては、各波長のSOAの出力波形が劣化してしまう。特許文献2を含む従来のTDM−PON向けのDBA制御を各波長で独立に制御すると、SOAの出力波形が飽和により劣化する。
【0021】
従って、WDM/TDM−PONシステムにおいて多分岐化・延伸化を低コストで実現する際に、複数の波長の上り光信号を1の光アンプで増幅可能で、かつ、光アンプの飽和による波形劣化を防ぐことが望まれる。
【0022】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、複数の波長の上り光信号を一括して増幅可能で、かつ、光アンプの飽和による波形劣化を防ぐことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
複数の加入者装置からの光信号が光多重された光波長多重信号を受信する第1の受信部と、第1の受信部を介して受信する光波長多重信号に含まれる加入者装置からの帯域割当要求に基づいて前記各加入者装置に送信帯域を割り当てる帯域割当制御部と、帯域割当制御部で割り当てられた送信帯域の情報を含む帯域割当情報を前記加入者装置に送信する送信部と、を有し、帯域割当制御部は、送信波長が第1の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求と、送信波長が第2の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求とに基づいて、前記送信波長が第1の波長の加入者装置への送信帯域を決定することをと特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、多分岐、延伸化を実現するWDM/TDM−PONを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】WDM/TDM−PONシステムの構成
【図2】従来のOLTの構成例1
【図3】従来のOLTの構成例2
【図4】ONUの構成例(波長λU1,λD1用)
【図5】従来における上り光信号の例
【図6】本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成
【図7】本発明におけるOLTが保持するONUパワー管理テーブルの例
【図8】本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を表すフローチャート
【図9】本発明の第1の実施形態における連携DBA制御時の上り光信号の例
【図10】本発明におけるOLT−ONU間の動作を表すシーケンス図
【図11】本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャート
【図12】本発明におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法1
【図13】本発明におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法2
【図14】本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成
【図15】本発明の第2の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を表すフローチャート
【図16】本発明の第2の実施形態における連携DBA制御時の上り光信号の例
【図17】本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成
【図18】本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を表すフローチャート
【図19】本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付与されている。また、特に断らない限り、PON区間の制御フレームの説明は、10G−EPONの規格で規定されているMPCP制御フレームに基づいて実施する。
【0027】
[第1の実施形態]
[WDM/TDM−PONシステムの構成]
図1にWDM/TDM−PONの光アクセス網の構成を示す。光アクセス網は、OLT1、合波分波器(WDMカプラ)5、光スプリッタ3(3−1〜3−4)、複数のONU2(2−1−1〜2−4−n)、及び複数の端末6(6−1−1〜6−4−n)を備える。OLT1は幹線の光ファイバ4−0−0を介して合波分波器5と接続される。合波分波器5は光ファイバ4−0−1、4−0−2、4−0−3、4−0−4を介して光スプリッタ3−1、3−2、3−3、3−4と接続される。光スプリッタ3−1は光ファイバ4−1−1〜4−1−nを介してONU2−1−1〜2−1−nに接続される。端末6−1−1〜6−4−nはそれぞれONU2−1−1〜2−4−nに接続される。
【0028】
まず、WDM/TDM−PONでのOLTからONUへの下り伝送に関して説明する。OLT1は、ONU2−1−1〜2−1−n宛に光信号を送信する場合には波長λD1の光信号で、ONU2−2−1〜2−2−n宛に光信号を送信する場合には波長λD2の光信号で、ONU2−3−1〜2−3−n宛に光信号を送信する場合には波長λD3の光信号で、ONU2−4−1〜2−4−n宛に光信号を送信する場合には波長λD4の光信号で送出する。波長λD1、λD2、λD3、λD4で多重された光波長多重信号が合波分波器5に入力されると、波長λD1の光信号は光スプリッタ3−1を介してONU2−1−1〜2−1−nに、波長λD2の光信号は光スプリッタ3−2を介してONU2−2−1〜2−2−nに、波長λD3の光信号は光スプリッタ3−3を介してONU2−3−1〜2−3−nに、波長λD4の光信号は光スプリッタ3−4を介してONU2−4−1〜2−4−nに送られる。
【0029】
次に、WDM/TDM−PONでのONUからOLTへの上り伝送に関して説明する。ONU2−1−1〜2−1−nはOLTが指示した時刻に、波長λU1の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は光スプリッタ3−1、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU1の光信号がOLT1に入力される。ONU2−2−1〜2−2−nはOLTが指示した時刻に、波長λU2の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は光スプリッタ3−2、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU2の光信号がOLT1に入力される。ONU2−3−1〜2−3−nはOLT1が指示した時刻に、波長λU3の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は光スプリッタ3−3、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU3の光信号がOLT1に入力される。ONU2−4−1〜2−4−nはOLT1が指示した時刻に、波長λU4の上り光信号を送出する。各ONUからの光信号は、光スプリッタ3−4、合波分波器5を経由して時分割多重された波長λU4の光信号がOLT1に入力される。従って、OLT1には、おのおの時分割多重された波長λU1〜λU4の光信号が波長多重された光信号が入力される。
【0030】
このWDM/TDM−PONにおいては、従来のTDM−PONを複数の波長で束ねることにより、1台のOLTでより多くのONUを収容可能であり、より大きな伝送容量を実現できるため、次世代PONの候補として考えられる。
【0031】
[WDM/TDM−PON向けのONUの構成]
WDM/TDM−PONで用いるONUの構成を、図4を用いて説明する。なお、図4に示したONUは下り波長λD1、上り波長λU1に対応したものとする。
【0032】
ONUは、UNI(User Network Interface )処理部211、ONU PHY/MAC処理部221、ONU光送受信部231から構成される。
【0033】
ONU光送受信部231は、光ファイバから入力された波長λD1の光信号を電流信号に変換し、電流信号をさらに電圧信号に変換・増幅した電気信号をONU PHY/MAC処理部に入力する。また、ONU PHY/MAC処理部221から入力された電気信号を、波長λU1の光信号に変換して、光ファイバより出力する。
【0034】
ONU PHY/MAC処理部221は、ONU光送受信部231より入力された電気信号からクロックを抽出し、抽出したクロックで電圧信号をリタイミングして、デジタル信号に変換する。さらに、デジタル信号を復号化し、フレームを抽出する。抽出されたフレームをユーザーデータと制御信号を識別し、データはUNI処理部211へ送出する。また、UNI処理部211から入力された信号に基づいて、PON区間で利用されるフレームに変換して、ONU光送受信部231に出力する。
【0035】
UNI処理部211は、端末から受信したデータ信号をONU PHY/MAC処理部に送出する。また、ONU PHY/MAC処理部から受信したデータ信号をユーザーネットワークインタフェースにあった信号に変換して送出する。
【0036】
なお、ここでは対応できる波長が固定のONU光送受信部を想定して説明するが、例えば、波長可変レーザーなどを利用して、波長が動的に変更できるものであっても構わない。
【0037】
[本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成]
本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成を図6を用いて説明する。OLTは合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、連携DBA制御部155、NNI処理部161〜164、光スプリッタ171〜174、パワーモニタ181〜184から構成される。以下、各部分の機能を説明する。ここでは、光アンプの例として、SOA及びEDFAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られない。
【0038】
合波分波器103は、波長λU1〜λU4の上り光信号と波長λD1〜λD4の下り光信号を合波・分波する。合波分波器103は、OLTに入力される波長λU1〜λU4の上り光波長多重信号をSOA125に出力する。また、合波分波器103は、EDFA111から入力された波長λD1〜λD4の光信号を合波してOLTより出力する。
【0039】
EDFA111は、合波分波器104から入力された波長λD1〜λD4の光信号を光増幅して、合波分波器103へ出力する。
【0040】
SOA125は、合波分波器103から入力された波長λU1〜λU4の光波長多重信号を光増幅して、合波分波器104へ出力する。
【0041】
合波分波器104は、SOA125から入力された波長λU1〜λU4の光波長多重信号を分波してそれぞれ光スプリッタ171〜174へ送出する。また、光スプリッタ171〜174より入力された波長λD1〜λD4の光信号を合波して、EDFA111へ出力する。
【0042】
光スプリッタ171〜174は、合波分波器104から入力された光信号の一部をそれぞれパワーモニタ181〜184に出力し、残りの光信号をそれぞれOLT光送受信部131〜134に出力する。また、OLT光送受信部131〜134から入力された光信号のほぼすべてを合波分波器104に出力する。なお、OLT光送受信部131〜134から入力された光信号ができるだけパワーモニタ181〜184に出力されないことが望ましい。
【0043】
OLT光送受信部131〜134は、それぞれ光スプリッタ171〜174から入力された波長λU1〜λU4の上り光信号を受信し、光信号を電流信号に変換し、さらに電流信号を電圧信号に変換して増幅した電気信号をそれぞれOLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、OLT PHY/MAC処理部141〜144から入力された電気信号をそれぞれ波長λD1〜λD4の光信号に変換して、それぞれ光スプリッタ171〜174に出力する。
【0044】
OLT PHY/MAC処理部141〜144は、それぞれOLT光送受信部131〜134から入力された電気信号からクロックを抽出し、抽出したクロックで電気信号をリタイミングして、デジタル信号に変換する。さらに、デジタル信号を復号化し、フレームを抽出する。抽出されたフレームをユーザーデータと制御信号を識別し、データはそれぞれNNI処理部161〜164へ送出する。また、受信した制御信号を解析し、制御信号から抽出した各ONUからの帯域要求量を連携DBA制御部155に出力する。また、連携DBA制御部155から出力された帯域割当情報に基づいて、ONUに送信する制御信号を生成する。
【0045】
連携DBA制御部155は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力された各ONUからの帯域要求量、および、連携DBA制御部155が保持するONUパワー管理テーブルに基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定し、OLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、ONU登録時にパワーモニタ181〜184より受信したONU光パワー情報に基づいて、ONUパワー管理テーブルにONU−IDとONU光パワー情報の対応を登録する。
【0046】
NNI処理部161〜164は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力されたフレームをNNIのインタフェースにあった信号に変換して、ネットワークに出力する。
【0047】
パワーモニタ181〜184は、それぞれ光スプリッタ171〜174から入力された波長λU1〜λU4の上り光信号を受信して、光信号の光パワーに対応した電圧の電気信号に変換する。さらに、電気信号をアナログからデジタルに変換して、変換されたデジタル信号であるONU光パワー情報を連携DBA制御部155に出力する。なお、ONU光パワー情報は、例えばパワーの強い順にHigh,Middle,Lowの3値とする。
【0048】
本発明の構成によれば、連携DBA制御部155は、各ONUからの入力パワー及び各波長での各ONUからの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定することができる。従って、複数の波長間で連携してDBA制御をすることが可能である。
【0049】
[本発明における連携DBA制御部で管理するONUパワー管理テーブル]
次に、連携DBA制御部が管理するONUパワー管理テーブルに関して説明する。本発明における、OLTが保持するONUパワー管理テーブルの例を図7に示す。このテーブルにおいては、波長識別子λU、ONU識別子を表すONU−IDと、SOAに入力されるパワーP_soa_in、入力パワーを分類した値P_sの対応を保持する。なお、入力パワー分類は、入力パワーを2つの閾値P_th1,P_th2と比較してP_Low, P_Middle,P_Highの3種類の値をとるものとする。P_soa_in≦P_th1のときP_s=P_Low、P_th1<P_soa_in<P_th2のときP_s=P_Middle、P_soa_in≧P_th2のときP_s=P_Highとする。例えば、P_th1=−30dBm、P_th2=−22dBmとすると、SOAに入力する光信号の光パワーが−30dBm以下の場合にP_Low、−22dBm以上の場合にP_High,それ以外の場合にP_Middleとなる。
【0050】
例えば、λU=1、ONU−ID=1に対応するSOA入力パワーは、P_soa_in=−30dBmであり、P_s=Lowとなる。λU=2、ONU−ID=2に対応するSOA入力パワーは、P_soa_in=−13dBmであり、P_s=Highとなる。また、λU=3、ONU−ID=4に対応するSOA入力パワーは、P_soa_in=−25dBmであり、P_s=Middleとなる。
【0051】
なお、連携DBA制御においてP_soa_inの代わりに、P_sのみを利用する場合にはP_soa_inの情報を保持しなくてもよい。
【0052】
[本発明の第1の実施形態における連携DBA制御の動作]
次に、本発明の第1の実施形態における連携DBA制御の動作を説明する。なお、各波長でのDBA制御の帯域割当周期は、同一に設定する。第1の実施形態における連携DBA制御部においては、SOAに入力される各波長からの入力パワーの合計が一定値以下になるように各ONUに割り当てる帯域割当の順序を入れ替える。
【0053】
[本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部の動作を表すフローチャート]
連携DBA制御部の動作を表すフローチャートを、図8を用いて説明する。各ステップに従って動作を説明する。
【0054】
S801においては、連携DBA制御の動作を開始し、S802に移る。
【0055】
S802において連携DBA制御部は、波長毎に各ONUに対して帯域割当周期内の仮帯域割当期間を設定する。この仮設定では、従来のDBA制御と同様に同一波長内での各ONUの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間を設定する。なお、各波長でのONUへの帯域割当期間を決定するアルゴリズムはどのようなものであっても構わない。帯域割当周期内での各ONUへの帯域割当期間を仮設定した後にS803に移る。
【0056】
S803において連携DBA制御部は、DBA制御の帯域割当周期内での各期間で、想定される入力パワー合計P_totalを算出する。ここで、入力パワー合計P_totalは、複数の波長からの入力パワーを合計した値(波長多重された光信号の入力パワー)であり、各期間は帯域割当期間を分割した期間である。入力パワー合計値は、ONUパワー管理テーブルを参照して算出する。連携DBA制御部は、S802で仮設定した各ONUのONU識別子に対応するSOA入力パワーをONUパワー管理テーブルを参照して求め、各期間にどのONU識別子のONUに割り当てるよう設定したかに基づいて各期間における入力パワーの合計を算出する。各期間での入力パワー合計算出後に、S804に移る。
【0057】
S804においては、各期間での入力パワー合計P_totalに基づいて、帯域割当期間内の入力パワー合計P_totalの最大値である最大値P_total_maxを算出する。算出した最大値P_total_maxと閾値P_satを比較し、P_total_max<P_satである場合には、S805に移る。それ以外の場合には、S806に移る。
【0058】
S805において連携DBA制御部は、仮設定した各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間をそのまま各ONUへの帯域割当期間と決定する。連携DBA制御部は、決定した各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間を各OLT PHY/MAC処理部に出力し、S802に戻る。
【0059】
S806において連携DBA制御部は、入力パワー合計の最大値P_total_maxが最小となるように帯域割当周期内で各ONUの割当順序を算出する。なお、各ONUの割当順序の算出方法に関しては後述する。また、順序入替後の入力パワー合計の最大値をP_sw_total_maxとする。算出後に、S807に移る。
【0060】
S807においては、算出したP_sw_total_maxと閾値P_satを比較する。P_sw_total_max<P_satの場合には、S808に移る。それ以外の場合には、S809に移る。
【0061】
S808において連携DBA制御部は、順序入替後の帯域割当順序での帯域割当周期内の帯域割当期間にて割当を実施する。決定した帯域割当周期内の各ONUの帯域割当期間を各OLT PHY/MAC処理部に出力し、S802に戻る。
【0062】
S809においては、一部のONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期にて実施することにする。次以降の帯域割当周期で割当予定のONUに対しては、帯域割当の計算対象から外し、S806に戻る。
【0063】
連携DBA制御部は、以上の動作を実施することにより、SOAの入力パワー合計が閾値未満である場合には仮設定した通りに各ONUへの帯域割当周期内の帯域割当期間を決定し、SOAの入力パワーが閾値以上である場合には閾値以下になるように帯域割当周期内で各ONUへの割当順序を入れ替える。また、稀に順序入替を実施しても閾値以下にならない場合には一部のONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期にて実施し、再度順序入替を実施して閾値以下にする。よって、本発明の第1の実施形態における連携DBA制御によって、SOAへの入力パワー合計を常に閾値以下にすることができる。
【0064】
[ONUの割当順序の算出方法]
ここで、入力パワー合計の最大値P_total_maxが最小となるように帯域割当周期内でのONUへの帯域割当順序を算出する方法を説明する。P_total_maxを最小とするONU帯域割当順序は、例えば、各波長の各ONUのすべての順序にした場合のP_total_maxを算出して比較することで可能であるが、計算時間が長く実用的でない可能性がある。そこで、より簡易的に算出するために、ONUパワー管理テーブルにあるパワー分類の値を用いて、P_s=P_HighとなるONUが各波長で重なる個数を最小にするように制御すればよい。
【0065】
なお、本発明においては帯域割当順序入替後のP_total_maxをできる限り下げて飽和レベル以下に抑えることが目的であるため、必ずしもP_total_maxを最小にする必要はない。
【0066】
例えば、波長1でP_sがP_LowのONUに帯域割当期間を割り当てた期間には波長2でP_sがP_HighのONUに帯域割当期間を割当てるなどP_sがP_HighとP_LowのONUをできるだけペアにして割り当てることでP_sがP_HighのONUへの帯域割当期間が重なる回数を低減できる。
【0067】
他には、波長1、波長2ではDBA帯域割当周期の先頭からP_sがP_Low,P_Middle,P_Highの順になるように帯域割当周期内で各ONUへの帯域割当期間を配置し、波長3や波長4では、P_sがP_High,P_Middle,P_Lowの順になるように帯域割当周期内で各ONUへの帯域割当期間を配置する方法によってもP_s=P_HighのONUへの帯域割当期間が重なる個数を減らすことができる。
【0068】
[閾値P_satの決定方法]
ここで、閾値P_satの設定方法を説明する。SOAの利得をG_soaとする。例えば、P_sat×G_soaをSOAの飽和出力レベル以下に設定すればよい。この場合には、SOAの出力パワーの最大値はP_total×G_soaとなり、この値はSOAの飽和出力レベルになる。なお、飽和出力レベルはあくまで目安であり、飽和による劣化がゼロではない。そのため、飽和による劣化をさらに防ぎたい場合には、飽和出力レベルよりさらに低いレベルに設定しても構わない。
【0069】
[本発明の第1の実施形態における上り光信号の例]
次に、本発明の第1の実施形態における連携DBA制御の動作により、SOAに入力される光信号の入力パワーの合計が一定値以下になる場合の動作を、図9を用いて説明する。
【0070】
図9は、図5に本願のOLTの構成を適用した時のSOAに入力される各波長の光パワー、SOAに入力される光パワーの合計、SOAの注入電流、及び、SOAから出力される光パワーの合計の時間推移を表している。本発明の第1の実施形態によれば、SOAに入力される光パワーの合計が小さくなるように帯域割当周期内で各ONUへの帯域割当順序を入れ替える。具体的には、波長λU1のONU群に関しては、仮設定ではONU1−1,ONU1−2,ONU1−3,ONU1−4,ONU1−5であったところ、ONU1−3,ONU1−1,ONU1−2,ONU1−4,ONU1−5の順に帯域割当期間を割り当てるように帯域割当順序を入れ替える。波長λU2のONU群に関しては、仮設定ではONU2−1,ONU2−2,ONU2−3,ONU2−4であったところ、ONU2−2,ONU2−1,ONU2−3,ONU2−4の順に帯域割当期間を割り当てるように帯域割当順序を入れ替える。波長λU3のONU群に関しては、仮設定で設定した帯域割当順序であるONU3−1,ONU3−2,ONU3−3,ONU3−4の順に帯域割当期間を割当てる。波長λU4のONU群に関しても、仮設定で設定した順序であるONU4−1,ONU4−2,ONU4−3,ONU4−4の順で各ONUに帯域割当期間を割当てる。
【0071】
以上のように、帯域割当順序を入れ替えた場合のSOA入力光パワーの合計は、従来のOLTの構成を用いた図5に比べて小さく抑えられていることが分かる。第1の実施形態においては、SOAの注入電流は一定である。そのため、SOA出力光パワーの合計も、従来例に比べて小さく抑えることが可能であり、飽和レベル以下に抑えることが可能となる。 従って、SOAで飽和が起きないため、波形劣化も生じなくなる。
【0072】
[本発明におけるOLTとONUと間の動作]
本発明における、OLTとONU間との動作を、図10を用いて説明する。なお、説明を簡潔にするため、接続しているONUは、ONU1−1,ONU1−2、ONU2−1,ONU3−1,ONU4−1,ONU4−2の6台であるとする。
【0073】
まず、OLTは各波長の光送受信機TRx1、TRx2、TRx3、TRx4より、全ONUに対してGATEフレームを送信する(SIG1001、SIG1002、SIG1003、SIG1004、SIG1005、SIG1006)。次に、GATEフレームを受信したONUは、GATEフレームで指示された時刻にREPORTフレームおよび上りデータを送信する。ONU1−1は、REPORTフレーム(SIG1007)を送信した後に,データを送信する(DAT101SからDAT101Eまで)。ONU2−1は、REPORTフレーム(SIG1008)を送信した後に,データを送信する(DAT102SからDAT102Eまで)。ONU3−1は、REPORTフレーム(SIG1009)を送信した後に,データを送信する(DAT103SからDAT103Eまで)。ONU4−1は、REPORTフレーム(SIG1010)を送信した後に,データを送信する(DAT104SからDAT104Eまで)。ONU1−2は、REPORTフレーム(SIG1011)を送信した後に,データを送信する(DAT105SからDAT105Eまで)。ONU4−2は、REPORTフレーム(SIG1012)を送信した後に,データを送信する(DAT106SからDAT106Eまで)。
【0074】
ここで、ONUがOLTに帯域要求量を通知するREPORTフレーム、および、OLTがONUに対して帯域割当周期内での帯域割当期間を指示するGATEフレームの利用方法について説明する。REPORTフレームおよびGATEフレームの各フィールドの構成は、IEEE802.3av Clause77.3.6に記載されている通りの構成を適用する。
【0075】
REPORTフレームには帯域要求量を表す「QUEUE#0REPORT」〜「QUEUE#7REPORT」のフィールドがある。本発明においては、帯域要求量を「QUEUE#0REPORT」に入力する。
【0076】
GATEフレームにはOLTが各ONUに割り当てた送信帯域、すなわち、帯域割当周期内での各ONUの帯域割当期間を表す「GRANT#1StartTime」[GRANT#1Length]〜「GRANT#4StartTime」[GRANT#4Length]のフィールドがある。本発明においては、帯域割当周期内での帯域割当期間を「GRANT#1StartTime」[GRANT#1Length]で指定する。
【0077】
なお、サービスや優先度毎に帯域要求量や帯域割当期間を複数利用しても構わない。
【0078】
従って、ONUに送信する各波長のGATEフレームのタイミングを調整することによって、各波長間で同期した帯域割当周期で、上り通信を実現することができる。
【0079】
[本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャート]
本発明の第1の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を表すフローチャートを、図11を用いて説明する。各ステップに従って動作を説明する。
【0080】
S1101において連携DBA制御部は、連携DBA制御でディスカバリの動作を開始し、S1102に移る。
【0081】
S1102において、連携DBA制御部は、パワーモニタよりOLT光送受信部に入力される光パワーを取得し、S1103に移る。
【0082】
S1103において連携DBA制御部は、ディスカバリ期間中にONUが新規に登録されたか否かをOLT PHY/MAC処理部に確認する。ディスカバリ期間中にONUが新規に登録されている場合はS1104に移り、登録されていない場合にはS1108に移る。
【0083】
S1104において連携DBA制御部は、OLT PHY/MAC処理部より、ディスカバリ期間に登録されたONU−IDを取得する。取得完了後に、S1105に移る。
【0084】
S1105において連携DBA制御部は、S1102にてパワーモニタより取得したOLT光送受信部の入力光パワーに基づいてSOA入力パワーを推定する。具体的には、連携DBA制御部は、光信号の波長とSOAに設定されている注入電流とからSOA利得を算出し、算出したSOA利得分だけ入力パワーを小さくした値をSOA入力パワーであると推定する。なお、第1の実施形態においては、注入電流は一定であり、またSOAの利得が信号波長にあまり依存しない領域であれば、利得も固定値になるため、より容易に算出が可能である。算出が完了したら、S1106に移る。
【0085】
S1106において連携DBA制御部は、S1105にて推定したSOA入力パワーを閾値と比較して、入力パワー分類Low、Middle,highを決定する。決定後にS1107に移る。
【0086】
S1107において連携DBA制御部は、波長識別子λU,ONU−ID、SOAに入力されるパワーP_soa_in、入力パワー分類P_sをONUパワー管理テーブルに登録する。
【0087】
従って、S1101からS1108を実行することによって、連携DBA制御部は、ディスカバリ期間中にONUが新規に登録された場合のみ、波長識別子λU,ONU−ID、SOAに入力されるパワーP_soa_in、入力パワー分類P_sをONUパワー管理テーブルに登録することが可能である。
【0088】
[本発明の第1の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間]
本発明の第1の実施形態における、「ディスカバリ割当期間」と「通常転送割当期間」の割当方法について説明する。「ディスカバリ割当期間」は、新規にOLTに接続したONUが、OLTが新規に接続されたONUを登録するため送出した光信号(ディスカバリ信号)に対する応答信号(ディスカバリ応答信号)を送出する期間である。「通常転送割当期間」は、新規に接続されたONUを登録するため制御情報以外の情報や、ONUに送信すべき情報を送出する期間である。
【0089】
ディスカバリ割当期間においては、OLTは、該OLTからの距離が不明なONU、即ち、入力パワーが不明なONUから光信号を受信する可能性がある。そのため、通常転送割当期間で述べたようにDBA制御の連携によって入力パワー合計を一定値以下にすることができない。そのため、ある波長の光信号を用いて実施するディスカバリ割当期間とその他の波長の光信号を受信する通常転送割当期間が重なる期間においては、入力パワー合計が一定値以下にならない期間が発生し、その期間は通常転送が正常に実現できない可能性がある。
【0090】
そこで、ディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当を考慮する必要がある。割当方法としては、ある波長の光信号によりディスカバリ割当期間においても入力パワー合計を一定値以下にする方法(1)と、全波長の光信号によるディスカバリ割当期間を同一期間に設定し、通常転送での動作への影響を防ぐ方法(2)が考えられる。通常転送割当期間は、上記で説明した連携DBA制御部の動作によって各ONUに帯域を割り当てる。
【0091】
[本発明の第1の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法1]
まず、方法(1)について説明する。方法(1)においては、いずれかの波長にてディスカバリを実施する通常転送・ディスカバリ混在期間と、すべての波長で通常転送を実施する通常転送単独期間に分ける。この通常転送・ディスカバリ混在期間と通常転送単独期間は交互に割り当てるものとする。例えば、通常転送・ディスカバリ混在期間を4msだけ割り当て、通常転送単独期間を996msだけ割り当てる動作を繰り返す。以下、方法(1)に関して図12を用いて説明する。
【0092】
通常転送・ディスカバリ混在期間(tD−1〜tN−1)においては、各波長の上り伝送は、ディスカバリ割当期間(Discovery)、通常転送割当期間(Normal)、非通信期間(Empty)のいずれかの期間となる。具体的には、波長λU1では、Discovery、Normal、Normal、Emptyの順に割当てる。波長λU2では、Empty,Discovery、Normal、Normalの順に割当てる。波長λU3では、Normal、Empty,Discovery、Normalの順に割当てる。波長λU4では、Normal,Normal、Empty,Discoveryの順に割当てる。
【0093】
通常転送単独期間(tN−1〜tN−2)においては、全波長の上り伝送は、Normalのみである。また、各波長のNormalの期間は同期している。
【0094】
なお、この例では、通常転送・ディスカバリ混在期間においては、Discoveryが1波長、Emptyが1波長、Normalが2波長としているが、SOA入力パワー合計をより小さくする必要がある場合は、Emptyとする波長の数を増やしてもよい。
【0095】
従って、方法(1)では、非通信期間を設けることによって、SOA入力パワー合計を抑制し、いずれかの波長でディスカバリを実施する通常転送・ディスカバリ混在期間においても、入力パワー合計を必ず一定値以下にすることができ、通常転送に影響が生じることはない。
【0096】
[本発明の第1の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法2]
次に、方法(2)に関して説明する。方法(2)においては、すべての波長にてディスカバリを実施するディスカバリ単独期間と、すべての波長で通常転送を実施する通常転送単独期間に分ける。このディスカバリ単独期間と通常転送単独期間は交互に割り当てるものとする。例えば、ディスカバリ単独期間を1msだけ割り当て、通常転送単独期間を999msだけ割り当てる動作を繰り返す。以下、方法(2)に関して図13を用いて説明する。
【0097】
ディスカバリ単独期間(tD−a〜tN−a)においては、波長λU1〜λU4の全ての波長においてディスカバリ割当期間(Discovery)を割当てる。複数の波長で同時にディスカバリ動作を実施するため、OLTからの距離が近く、かつ、波長の異なる複数のONUが同時にディスカバリ応答信号を送出した場合は、SOA入力パワー合計が大きくなり、SOAの飽和によってディスカバリ応答信号を正しく受信することができず、全ての波長のディスカバリが失敗する場合がある。しかしながら、このような事象が起きる確率は極めて低く、また、ディスカバリが失敗しても次以降のディスカバリ割当期間でディスカバリが成功すればよいため、システムとしては特に問題がないと考えられる。また、この事象が起きる確率を低減するために、ディスカバリ割当期間、即ち、ディスカバリ単独期間を1波長で従来実施していた期間に比べ長く割当ててもよい。
【0098】
また、通常転送単独期間(tN−a〜tN−b)に関しては方法(1)と同様である。
従って、方法(2)では、ディスカバリを複数の波長で同時に実施することによって、通常転送への影響を防ぐことができる。
【0099】
[本発明の第1の実施形態における効果]
本発明の第1の実施形態における効果を説明する。本実施形態によれば、WDM/TDM−PONのOLTの受信部の光アンプを複数の波長で共用しても、光アンプが飽和することなく上り伝送を実現できる。従って、WDM/TDM−PONにおいて、延伸化や多分岐化を図る場合に、OLTの上り受信用に利用する光アンプの数を低減でき、OLTの低コスト化・小型化が可能となる。
【0100】
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、SOAの注入電流を一定として、SOAに入力する光パワーの合計が一定以下になるように連携してDBA制御を実施した。第2の実施形態においては、各波長からの入力パワーが類似するように連携してDBA制御し、かつ、入力パワー合計に応じて注入電流を制御する。このように制御することで、各波長の光信号の入力パワーが小さいときに注入電流を大きくして利得を大きくし、各波長の光信号の入力パワーが大きいときに注入電流を小さくして利得を小さくする。
【0101】
各波長の光信号の入力パワー合計が小さい時には注入電流を大きくしても飽和しにくく、また、各波長の光信号の入力パワーが大きい時には注入電流を小さくすることで飽和しにくくして、飽和による波形劣化を防ぐ。
【0102】
ここでは、光アンプの例として、SOAを用いて説明しているが、これらの光アンプに限られず、利得を制御可能な光アンプであれば他の光アンプでも適用が可能である。。SOAにおいては、注入電流を制御することで光アンプの利得を制御する。EDFAやPDFAではポンプ光のパワーを制御すればよい。
【0103】
[本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成]
本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成を図14を用いて説明する。第1の実施形態におけるOLTの構成との差分を中心に説明する。OLTは合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、連携DBA制御部156、NNI処理部161〜164、光スプリッタ171〜174、パワーモニタ181〜184に加え、注入電流制御部191から構成される。
【0104】
合波分波器103、EDFA111、SOA125、合波分波器104、光スプリッタ171〜174、合波分波器104から入力された光信号の一部をそれぞれパワーモニタ181〜184、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、NNI処理部161〜164、パワーモニタ181〜184の動作は第1の実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
【0105】
連携DBA制御部156は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力された各ONUからの帯域要求量、および、連携DBA制御部155にて保持するONUパワー管理テーブルに基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定し、OLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、ONU登録時にパワーモニタ181〜184より受信したONU光パワー情報に基づいて、ONUパワー管理テーブルにONU−IDとONU光パワー情報の対応を登録する。
【0106】
さらに、第2の実施形態における連携DBA制御部156は、決定した帯域割当情報に基づいて、注入電流情報を注入電流制御部191に出力する。
【0107】
注入電流制御部191は、連携DBA制御部156から入力された注入電流情報に基づいてSOAに注入する電流量を制御する。本実施形態では、注入電流情報はHighとLowの2値を表し、注入電流情報がHighであるときの電流量をI_high、注入電流情報がLowであるときの電流量をI_lowとする。電流量I_high,I_lowの値の決め方については後述する。なお、注入電流情報は3値以上としても構わない。
【0108】
本発明の構成によれば、連携DBA制御部156は、各ONUからの入力パワー及び各波長での各ONUからの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定することができる。さらに、決定した帯域割当情報に基づいて、SOAの注入電流を制御することができる。従って、複数の波長間で連携してDBA制御をし、さらに受信期間毎に注入電流を動的に制御することが可能である。
【0109】
尚、上記では、SOAの注入電流を制御する例を説明したが、光アンプの利得を制御できれば、他の方法でもよい。すなわち、連携DBA制御部156は、決定した帯域割当情報に基づいて、利得情報を注入電流制御部191に相当する利得制御部に出力し、利得制御部は、連携DBA制御部156から入力された利得情報に基づいて光アンプの利得を制御する。例えば、光アンプにEDFAを用いた場合にはポンプ光のパワーを制御すればよい。
【0110】
[注入電流量I_high、I_lowの決定方法]
ここで、注入電流量I_high,I_lowの値の決め方に関して説明する。これらの注入電流量の値はPONシステムで定められたOLTの受光可能範囲(P_in_min〜P_in_max)、トランシーバの受光可能範囲(P_rx_min〜P_rx_max)及び、SOA利得の注入電流依存性に基づいて定める。I_highは、規格で定められた最小受光パワーP_in_minの光信号を受信できるように、SOAで光増幅後の光パワーがトランシーバの最小受光感度P_rx_minより大きくなるように定める。I_lowは、規格で定められた最大受光パワーの光信号を受信できるように、SOAで光増幅後の光パワーがトランシーバの最大受光感度P_rx_maxより小さくなるように定める。
【0111】
例えば、P_in_min=−34dBm,P_in_max=−12dBm、P_rx_min=−28dBm、P_rx_max=−6dBmであり、注入電流200mAでSOA利得が15dB,注入電流100mAでSOA利得が3dBである場合を考える。この場合に、I_high=200mA、I_low=100mAとすれば、最小受光パワー受信時での光増幅後の光パワーは−34+15=−19dBm>P_rx_minとなり,最大受光パワー受信時での光増幅後の光パワーは−12+3=−9<P_rx_maxとなる。
【0112】
[本発明の第2の実施形態における連携DBA制御の動作]
次に、本発明の第2の実施形態における連携DBA制御部の動作を説明する。なお、各波長でのDBA制御の帯域割当周期は、同一に設定する。第2の実施形態における連携DBA制御部においては、SOAに入力される各波長の光信号の入力パワーができるだけ類似するように各ONUに割り当てる帯域割当の順序を入れ替える。すなわち、SOAに同時に入力される各波長からの光信号の光パワーの差が小さくなるように、同一波長内で帯域を割り当てる。
【0113】
[本発明の第2の実施形態における連携DBA制御部の通常転送の動作を表すフローチャート]
第2の実施形態における連携DBA制御部の動作を表すフローチャートを図15を用いて説明する。各ステップに従って動作を説明する。
【0114】
S1501においては、連携DBA制御部で通常転送の動作を開始し、S1502に移る。
【0115】
S1502において連携DBA制御部は、各波長のOLT PHY/MAC処理部より各ONUの帯域要求量を取得し、S1503に移る。
【0116】
S1503において連携DBA制御部は、各波長にて各ONUに対して仮帯域割当期間を設定する。この仮設定では、従来と同様に同一波長内での各ONUの帯域要求量に基づいて、帯域割当周期内での各ONUへの帯域割当期間を設定する。帯域割当期間を設定した後にS1504に移る。
【0117】
S1504において連携DBA制御部は、帯域割当期間を仮設定した各ONUの入力パワー分類をONUパワー管理テーブルより取得する。ここで、入力パワー分類は、P_Low,P_Middle,P_Highの3種類の値をとるものとする。入力パワー分類がP_Lowに分類されているONUから送信される光信号は、SOAの利得レベルがG_High(注入電流がI_high)に設定されているとき受信可能である。入力パワー分類がP_Highに分類されているONUから送信される光信号は、SOAの利得レベルがG_Low(注入電流がI_low)に設定されていると受信可能である。また、P_Middleに分類されているONUから送信される光信号は、SOAの利得レベルがG_High、G_Lowのいずれの条件においても受信可能である。入力分類を取得完了すると、S1505に移る。なお、第2の実施形態においては、入力パワー分類を決定するための閾値P_th1,P_th2はSOAの飽和を防ぎ、かつ、光増幅後の光パワーがトランシーバの受光可能範囲に入るように決定する必要がある。閾値P_th1,P_th2の決定方法に関しては後述する。
【0118】
S1505において連携DBA制御部は、入力パワー分類がP_LowのONUの帯域割当期間を帯域割当周期の先頭に配置する。入力パワー分類がP_LowのONUが各波長で複数ある場合には、そのONU間の配置順序は問わない。配置決定後に、S1506に移る。
【0119】
S1506において連携DBA制御部は、入力パワー分類がP_HighのONUの帯域割当を帯域割当周期の後尾に配置する。入力パワー分類がHighのONUが各波長で複数ある場合には、そのONU間の配置順序は問わない。配置決定後に、S1507に移る。
【0120】
S1507において連携DBA制御部は、入力パワー分類がP_MiddleのONUの帯域割当を、P_LowのONUの帯域割当期間の終了時刻から、P_HighのONUの帯域割当期間の開始時刻の間に割り当てる。なお、LowのONUの帯域割当期間の終了時刻、P_HighのONUの帯域割当期間の開始時刻は波長によって異なっていてもよい。配置決定後にS1508に移る。
【0121】
S1508において連携DBA制御部は、各波長での帯域割当を分析し、帯域割当周期の期間を領域A〜領域Fの6つの領域に分類する。入力パワー分類LowのONUの帯域割当期間のみの領域を領域A、入力パワー分類がP_LowとP_MiddleのONUの帯域割当期間が混在している領域を領域B、入力パワー分類がP_MiddleのONUの帯域割当期間のみの領域を領域C、入力パワー分類がP_MiddleとP_HighのONUの帯域割当期間が混在している領域を領域D、入力パワー分類がP_HighのONUの帯域割当期間のみの領域を領域E、入力パワー分類がP_LowとP_HighのONUの帯域割当期間が混在している領域を領域Fと呼ぶことにする。なお、波長毎の帯域割当周期内のONUの帯域割当順序によっては、各帯域割当周期で領域AからFのうちすべての領域が必ず生じるわけではない。
【0122】
分析後に、入力パワー分類がP_LowとP_Highが混在している領域(領域F)があるか否かを判定する。領域Fがない場合にはS1509に移る。領域Fがある場合にはS1510に移る。
【0123】
S1509において連携DBA制御部は、注入電流の切替タイミングを決定し、注入電流制御部に注入電流切替を指示する。例えば、注入電流の切替タイミングは以下のように決定する。
【0124】
連携DBA制御部は、帯域割当周期内に領域Cがある場合には、領域Cの開始時刻または領域Cの終了時刻を注入電流の切替タイミングとする。帯域割当期間内に領域Cがない場合には、領域Aまたは領域Bから領域Dまたは領域Eへ切り替わる時刻を注入電流の切替タイミングとする。このように切替タイミングを決定することで、注入電流をデータ受信時に切り替えないようにする。
【0125】
連携DBA制御部は、注入電流の切替タイミングを決定した後に、注入電流制御部に切替を指示し、S1511に移る。
【0126】
S1510において連携DBA制御部は、一部ONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期で実施することにし、本帯域割当周期では帯域割当の対象から外す。これは、S1505〜S1507での配置を実施しても、領域Fが生じた場合に,一部のONUへの帯域割当を次以降の帯域割当周期にて実施し、領域Fを生じなくして注入電流の切替が可能な期間を確保するためである。実施完了後に、S1505に移る。
【0127】
S1511において連携DBA制御部は、各波長のOLT PHY/MAC処理部に帯域割当情報を通知して、S1512に移り、通常転送の動作を終了する。
【0128】
以上の動作を実施することにより、連携DBA制御部は、DBAの帯域割当周期の前半領域にSOAの入力パワー合計を小さくし、帯域割当周期の中間領域にSOAの入力パワー合計が中間の値とし、帯域割当周期の後半領域にSOAの入力パワー合計を大きくすることができ,中間領域において注入電流を切り替えることができる。
【0129】
[閾値P_th1,P_th2の決定方法]
ここで、閾値P_th1,P_th2の決定方法を説明する。これらの閾値は、下記2つの条件を満たすように決定する。第1に、ある波長の入力パワーがP_th1〜P_th2にあるときに、いずれの利得G_high,G_lowにおいても受光可能である必要がある。具体的には、G_high×P_th2<P_rx_maxかつG_low×P_th1>P_rx_minを満たすように定めればよい。第2に、SOA利得がG_highで、各波長の入力パワーがP_th1〜P_th2である場合に、SOAが飽和しないようにする必要がある。具体的には、N×G_high×P_th2<飽和出力レベルとすればよい。Nは波長多重数であり、ここでは4である。
【0130】
例えば、P_in_min=−34dBm,P_in_max=−12dBm、P_rx_min=−28dBm、P_rx_max=−6dBmであり、注入電流200mAでSOA利得が15dB,注入電流100mAでSOA利得が3dB、SOAの飽和出力レベルが+7dBmである場合を考える。この場合においては、第1の条件より、P_th1>−31dBm、P_th2<−21dBmである。第2の条件より、P_th2<−14dBmである。従って、P_th1=−30dBm、P_th2=−22dBmとすればよい。
【0131】
[本発明の第2の実施形態における上り光信号の例]
次に、本発明の第2の実施形態における連携DBA制御の動作により、SOAの飽和を防ぐ動作を、図16を用いて説明する。
【0132】
図16は、SOAに入力される各波長の光パワー、SOAに入力される光パワーの合計、SOAの注入電流、及び、SOAから出力される光パワーの合計の時間推移を表している。
【0133】
本発明の第2の実施形態によれば、連携DBA制御部は、SOAへの入力光パワーが小さいONUにはDBAの帯域割当周期の前半に、SOAへの入力光パワーが大きいONUにはDBAの帯域割当周期の後半に、帯域を割当てる。連携DBA制御部は、波長λU1のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU1−1,ONU1−4には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU1−3には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU1−5、ONU1−2には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。波長λU2のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU2−3,ONU2−4には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU2−2には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU2−1には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。波長λU3のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU3−1には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU3−2、ONU3−3には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU3−4には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。波長λU4のONU群に関しては、入力パワー分類がLowとなるONU4−3には帯域割当周期の前半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がHighとなるONU4−2、ONU4−4には帯域割当周期の後半領域で帯域割当期間を割り当て、入力パワー分類がMiddleとなるONU4−1には帯域割当周期の中間領域で帯域割当期間を割り当てる。
【0134】
このように割当を実施した場合には、帯域割当周期は領域A,領域B,領域D,領域Eの順になることが分かる。
【0135】
本発明の第2の実施形態によれば、連携DBA制御部は、領域Bと領域Dの境界で注入電流をI_highからI_lowに切り替えるよう注入電流制御部に指示する。
【0136】
本発明の第2の実施形態によれば、連携DBA制御部は、SOA入力パワーがLowの期間に注入電流を大きく、SOA入力パワーがHighの期間に注入電流を小さくするよう注入電流制御部に注入電流の切替を指示する。その結果、SOAの出力光パワーの合計は飽和レベル以下となり、SOAの飽和による波形劣化を防ぐことができる。
【0137】
[本発明の第2の実施形態におけるOLTとONUの動作]
第1の実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
【0138】
[本発明の第2の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間]
本発明の第2の実施形態における、ディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当方法について説明する。第2の実施形態においては、SOAへの入力パワーの合計に基づいて注入電流を制御する。ディスカバリ割当期間においては、OLTは距離が不明なONU、即ち、入力パワーが不明なONUから光信号を受信する可能性がある。そのため、上記で説明した連携DBA制御部の制御のみによって注入電流の制御を実施できない。
【0139】
そこで、本発明の第2の実施形態においては、本発明の第1の実施形態で述べた方法(2)と同様にすべての波長にてディスカバリを実施するディスカバリ割当期間と、すべての波長で通常転送を実施する通常転送割当期間に分ける。通常転送割当期間は、上記で説明した連携DBA制御部の動作によって各ONUに帯域割り当てを行う。このディスカバリ割当期間と通常転送割当期間は交互に割り当てるものとする。以下、図12を用いて説明する。
【0140】
ディスカバリ割当期間においては、波長λU1〜λU4の全ての波長においてディスカバリ期間(Discovery)を割当て、連携DBA制御部は、ディスカバリ期間の前半をOLTからの距離が遠いONUからのディスカバリ応答を受信するために、ディスカバリ期間の前半で注入電流をI_highに設定するよう注入電流制御部に指示し、ディスカバリ期間の後半をOLTから距離が近いONUからのディスカバリ応答を受信するために、ディスカバリ期間の後半で注入電流をI_lowに設定するよう注入電流制御部に指示する。注入電流をI_highに設定したディスカバリ期間の前半にOLTからの距離が近いONUがディスカバリの応答信号を送信した場合、注入電流をI_lowと設定するディスカバリ期間の後半にOLTからの距離が遠いONUがディスカバリの応答信号を送信した場合には、ディスカバリは失敗する。しかしながら、ディスカバリが失敗しても次以降のディスカバリ割当期間でディスカバリが成功すればよいため、システムとしては特に問題がないと考えられる。また、この事象が起きる確率を低減するために、ディスカバリ割当期間を1波長で従来実施していた期間に比べ長く割当ててもよい。
【0141】
また、ディスカバリ割当期間を前半と後半に分けてSOAの注入電流を切り替える代わりに、ディスカバリ割当期間毎に注入電流を切り替えてもよい。例えば、1回目のディスカバリ割当期間は注入電流をI_highに設定し、2回目のディスカバリ割当期間は注入電流をI_lowに設定し、これを繰り返してもよい。この場合、OLTからの距離が近いONUは、1回目のディスカバリ割当期間でディスカバリ応答信号を送信した場合にはディスカバリが失敗するが、2回目のディスカバリ割当期間でディスカバリ応答信号を送信し、同じ波長の他のONUと衝突しなければディスカバリが成功する。
【0142】
[本発明の第2の実施形態における効果]
本発明の第2の実施形態における効果を説明する。本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に光アンプが飽和することなく上り伝送を実現できる。従って、WDM/TDM−PONにおいて、延伸化や多分岐化を図る場合に、OLTの上り受信用に利用する光アンプの数を低減でき、OLTの低コスト化・小型化が可能となる。
【0143】
また、注入電流を入力パワーに応じて制御可能であるため、第1の実施形態に比べて、OLTが各波長で受光可能な入力パワーの範囲であるダイナミックレンジをさらに向上することができる。
【0144】
さらに、SOAの飽和レベルが低い場合においても、注入電流を入力パワーに応じて制御することで、SOAの飽和を防ぐことが可能となる。従って、SOAへ要求される仕様が緩和できる。尚、上記では、SOAの注入電流を制御する例を説明したが、光アンプの利得を制御することによって光アンプの飽和を防ぐことができる。
【0145】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態との差分を中心に説明する。第1の実施形態においては、少なくとも一つの波長で、ほぼすべてのONUがOLTから近い距離にある場合には、ONUの帯域割当順序を入れ替えてもSOAへの入力パワーの合計を一定以下にすることができない。そのため、次以降のDBA帯域割当周期で帯域割当を実施する事象が頻発して、上り伝送での遅延や帯域効率が大きく低下する可能性がある。そこで、第3の実施形態においては波長毎にSOAに入力する光パワーを調整可能とする。
【0146】
[本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成]
本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成を図17を用いて説明する。第1の実施形態におけるOLTの構成との差分を中心に説明する。OLTは合波分波器105〜106、EDFA111、SOA125、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、連携DBA制御部157、NNI処理部161〜164、光スプリッタ171〜174、パワーモニタ181〜184に加え、減衰量制御部192、可変減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)193〜196から構成される。第1の実施形態との差分は、波長グループ毎に減衰を可能とする可変減衰器193〜196と、可変減衰器を制御する減衰量制御部192を備えている点である。
【0147】
EDFA111、SOA125、合波分波器104、光スプリッタ171〜174、合波分波器104、OLT光送受信部131〜134、OLT PHY/MAC処理部141〜144、NNI処理部161〜164、パワーモニタ181〜184の動作は第1の実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
【0148】
連携DBA制御部157は、OLT PHY/MAC処理部141〜144より入力された各ONUからの帯域要求量、および、連携DBA制御部155にて保持するONUパワー管理テーブルに基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定し、OLT PHY/MAC処理部141〜144に出力する。また、ONU登録時にパワーモニタ181〜184より受信したONU光パワー情報に基づいて、ONUパワー管理テーブルにONU−IDとONU光パワー情報の対応を登録する。
【0149】
さらに、第3の実施形態における連携DBA制御部157は、ONUパワー管理テーブルに基づいて各波長での減衰量を決定し、減衰量情報を減衰量制御部192に出力する。
【0150】
減衰量制御部192は、連携DBA制御部157から入力された減衰量情報に基づいて可変減衰器193〜196での減衰量を制御する。
【0151】
可変減衰器193〜196は、合波分波器105から出力されたそれぞれ波長λU1〜λU4の上り光信号を、減衰量制御部192で指示された減衰量だけ減衰させ、合波分波器106に出力する。また、合波分波器106から出力されたそれぞれ波長λD1〜λD4の下り光信号を、減衰量制御部192で指示された減衰量だけ減衰させ、合波分波器105に出力する。
【0152】
本発明の構成によれば、連携DBA制御部157は、各ONUからの入力パワー及び各波長での各ONUからの帯域要求量に基づいて、各ONUへの帯域割当情報を決定することができる。さらに、ONUパワー管理テーブルに基づいて、各波長グループでの減衰量を制御することができる。
[本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作]
第3の実施形態における連携DBA制御は第1の実施形態とほぼ同様である。第1の実施形態での制御に、可変減衰器の制御が追加されている点が異なる。まず、第3の実施形態における連携DBA制御部の通常転送時の動作を、図18を用いて説明する。
【0153】
S1801において、連携DBA制御部は通常転送の動作を開始する。
【0154】
S1802において連携DBA制御部は、各波長の可変減衰器に通常転送時の減衰量を通知し、S1803に移る。なお、ここで通知する減衰量は、ディスカバリ時の動作で決定した減衰量の値を設定するものとする。
【0155】
S1803からS1813までの連携DBA制御部の動作は、第1の実施形態の動作と同じであるため、説明を割愛する。
【0156】
[本発明の第3の実施形態における上り光信号の例]
第3の実施形態においては、第1の実施形態とほぼ同じである。なお、各波長での可変減衰器によってSOAへの入力パワーを減衰する点のみが異なる。
【0157】
[本発明の第3の実施形態におけるOLTとONUの動作]
第3の実施形態での動作は、第1の実施形態での動作と同じであるため、説明を割愛する。
【0158】
[本発明の第3の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作]
次に、第3の実施形態における連携DBA制御部のディスカバリ時の動作を、図19を用いて説明する。なお、可変減衰器の減衰量が0dBの時にOLTが受信可能な入力パワー範囲をP_rx_min〜P_rx_maxとする。
【0159】
S1901において、ディスカバリ時の動作を開始し、S1902に移る。
【0160】
S1902において、ディスカバリ時の減衰量を減衰量制御部に通知する。ディスカバリ時の減衰量は、例えば0dBと設定する。なお、ここで設定すべき減衰量は、ディスカバリ時にシステムで定められている最も遠距離にあるONUおよび最も近距離にあるONUのいずれからも受信できるのであれば、どのような値でも構わない。
【0161】
S1903からS1906までの動作は、第1の実施形態の動作と同じであるため、説明を割愛する。S1906での処理が完了すると、S1907に移る。
【0162】
S1907においては、通常転送時に設定すべき減衰量ATTを算出する。新規に登録したONUが送信する波長を求め、その波長で登録されている全ONUのSOA入力パワーを取得する。取得したSOA入力パワーのうち、最大のSOA入力パワーをP_max,最小のSOA入力パワーをP_minとする。P_min/ATT≧P_rx_minかつP_max/ATT≦P_rx_maxを満たすATTで、ATTが最大となる値ATT_maxを設定する。このように設定することで、通常転送時に、登録されているONUから受信可能で、かつ、減衰量をできるだけ大きくすることができる。減衰量の算出が完了したら、S1908に移る。
【0163】
S1908においては、新規に登録したONUが送信する波長で登録されている全ONU及び新規に登録すべきONUに関して、減衰量がATT_maxである場合のSOA入力パワーを算出する。算出完了後に、S1909に移る。
【0164】
S1909において、S1908にて算出したSOA入力パワーに基づいて、ONUパワー管理テーブルを更新する。テーブル更新後に、S1910に移る。
【0165】
S1910において、ディスカバリ時の動作を終了する。
【0166】
従って、S1901からS1910までの処理を実行することによって、ONUが新規に登録された場合にのみ、該当する波長の可変減衰器の減衰量を算出し、ONUパワー管理テーブルを更新することができる。
【0167】
[本発明の第3の実施形態におけるディスカバリ割当期間と通常転送割当期間]
ディスカバリ割当期間と通常転送割当期間の割当に関しては、第1の実施形態での割当と同じである。なお、ディスカバリ割当期間においては、可変減衰器の減衰量を0dBに設定し、通常転送時にはOLTに入力した上り光信号は各波長の可変減衰器で設定された減衰量で減衰される。
【0168】
[本発明の第3の実施形態における効果]
第3の実施形態によれば、第1の実施形態で述べて効果に加えて、少なくても1つ以上の波長においてONUがすべて近距離にある場合でも、遅延の増加および帯域利用効率の低下を防ぐことができる。
【0169】
[補足]
本説明においては、多重する波長は4波であるとしたが、本発明は多重する波長数に関係なく、適用が可能である。多重する波長数が増大するほど、SOAに入力される光パワーの合計が大きくなるため、より本発明の効果が増すであろう。
【0170】
本説明においては、10G−EPONで規定されているフレームに基づいて説明したが、E−PON,G−PON、XG−PONなど他のTDM−PONで規定されたフレームにおいても同様に適用が可能である。
【0171】
また、第2の実施形態の説明においては、注入電流を2値で切り替えているが、必ずしも2値で切り替える必要はなく。例えば、3値以上で切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0172】
1 光回線装置(OLT)
2−1−1〜2−4−n 光ネットワーク装置(ONU)
3−1〜3−4 光スプリッタ
4−0−1〜4−0−4、 4−1−1〜4−4−n 光ファイバ
5 合波・分波器(WDMカプラ)
6−1−1〜6−4−n 端末
7 ネットワーク
101、102、103、104,105 合波・分波器(WDMカプラ)
111 EDFA
121、122、123、124、125 半導体光アンプ(SOA)
131、132、133,134 OLT光送受信機
141、142、143、144 OLT PHY/MAC処理部
151、152、153、154 DBA制御部
155、156、157 連携DBA制御部
161、162、163、164 NNI処理部
171、172、173、174 非対称光スプリッタ
181、182、183、184 パワーモニタ
191 注入電流制御部
192 減衰量制御部
193、194、195、196 可変減衰器(VOA)
211 UNI処理部
221 ONU PHY/MAC処理部
231 ONU光送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加入者装置からの光信号が光多重された光波長多重信号を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部を介して受信する光波長多重信号に含まれる加入者装置からの帯域割当要求に基づいて前記各加入者装置に送信帯域を割り当てる帯域割当制御部と、
前記帯域割当制御部で割り当てられた送信帯域の情報を含む帯域割当情報を前記加入者装置に送信する送信部と、を有し、
前記帯域割当制御部は、送信波長が第1の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求と、送信波長が第2の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求とに基づいて、前記送信波長が第1の波長の加入者装置への送信帯域を決定することを特徴とする局側装置。
【請求項2】
前記第1の受信部で受信する波長多重光信号を増幅し、増幅した信号を出力する光増幅部を備え、
前記帯域割当制御部は、各加入者装置から受信し前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて、各波長の帯域割当期間毎に前記各加入者装置に送信帯域を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の局側装置。
【請求項3】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、複数の加入者装置から前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーが所定の閾値以下になるように各加入者装置への送信帯域を割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項4】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、送信波長が同じ複数の加入者装置の帯域割当要求に基づいて、各波長毎に送信帯域を設定し、さらに、該設定した送信帯域に基づいて各加入者装置が光信号を送出したとき前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーを算出し、該光パワーが、所定の閾値を上回る場合、同じ送信波長の加入者装置間で送信順序を変更することを特徴とする局側装置。
【請求項5】
前記光増幅器から出力された光波長多重信号を分波する第1の光合分波器と、
前記第1の光合分波器から出力された各波長の光信号を電気信号に変換して出力する第2の受信部と、
前記第2の受信部から出力された電気信号から各加入者装置から送信された帯域割当要求を抽出して前記帯域割当制御部に出力する処理部を備えることを特徴とする請求項2に記載の局側装置。
【請求項6】
請求項1に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、新規の加入者装置を登録する際に同じ波長で登録済み加入者装置の送信を禁止する登録期間を、複数の波長間で同一の期間に割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項7】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて前記光増幅器の利得を決定する利得制御部を備えることを特徴とする局側装置。
【請求項8】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当部は、前記光増幅器に入力される光波長多重信号の各光信号の光パワーの差が小さくなるように同一送信波長内で加入者装置に送信帯域を割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項9】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記光増幅器は、半導体光増幅器であり、
前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて前記光増幅器への注入電流を決定する注入電流制御部を備えることを特徴とする局側装置。
【請求項10】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記光増幅器に入力される各波長の光信号のパワーを減衰する可変減衰部と、前記可変減衰部の減衰量を制御する減衰量制御部を備え、
前記帯域割当制御部は、前記複数の加入者装置から入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて、前記光信号のパワーを減衰する波長を決定し、
前記減衰量制御部は、前記決定した波長の可変減衰部の減衰量を制御することを特徴とする局側装置。
【請求項11】
請求項4に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、前記光波長多重信号の入力パワーが閾値以下にならない場合に、前記各加入者装置のうち一部の加入者装置への帯域割当を次以降の帯域割当周期で送信帯域を割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項12】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、新規に接続された加入者装置を登録するための光信号を送信する期間において、前記期間のうち第1の期間と第2の期間の前記利得制御部に設定する利得を切り替えることを特徴とする局側装置。
【請求項13】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、新規に接続された加入者装置を登録するための信号を送信するときは前記可変減衰器の減衰量をゼロに設定することを特徴とする局側装置。
【請求項14】
複数の加入者装置と、光スプリッタ及び光合分波器を介して前記複数の加入者装置に接続される局側装置とを備えた光ネットワークシステムであって、
前記各加入者装置は、
前記局側装置から送信される帯域割当情報を受信する受信部と、
前記受信部で受信した帯域割当情報に基づいて光信号を送出する送信部と、を備え、
前記局側装置は、
前記複数の加入者装置からの光信号が光多重された光波長多重信号を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部を介して受信する光波長多重信号に含まれる加入者装置からの帯域割当要求に基づいて前記各加入者装置に送信帯域を割り当てる帯域割当制御部と、
前記帯域割当制御部で割り当てられた送信帯域の情報を含む帯域割当情報を前記加入者装置に送信する送信部と、を有し、
前記帯域割当制御部は、送信波長が第1の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求と、送信波長が第2の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求とに基づいて、前記送信波長が第1の波長の加入者装置への送信帯域を決定することを特徴とする光ネットワークシステム。
【請求項15】
前記局側装置は、
前記光波長多重信号を増幅し、増幅した信号を出力する光増幅部を備え、
前記帯域割当制御部は、各加入者装置から受信し前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて、各送信波長の帯域割当期間毎に前記各加入者装置に送信帯域を割り当てることを特徴とする請求項14に記載の光ネットワークシステム。
【請求項1】
複数の加入者装置からの光信号が光多重された光波長多重信号を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部を介して受信する光波長多重信号に含まれる加入者装置からの帯域割当要求に基づいて前記各加入者装置に送信帯域を割り当てる帯域割当制御部と、
前記帯域割当制御部で割り当てられた送信帯域の情報を含む帯域割当情報を前記加入者装置に送信する送信部と、を有し、
前記帯域割当制御部は、送信波長が第1の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求と、送信波長が第2の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求とに基づいて、前記送信波長が第1の波長の加入者装置への送信帯域を決定することを特徴とする局側装置。
【請求項2】
前記第1の受信部で受信する波長多重光信号を増幅し、増幅した信号を出力する光増幅部を備え、
前記帯域割当制御部は、各加入者装置から受信し前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて、各波長の帯域割当期間毎に前記各加入者装置に送信帯域を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の局側装置。
【請求項3】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、複数の加入者装置から前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーが所定の閾値以下になるように各加入者装置への送信帯域を割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項4】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、送信波長が同じ複数の加入者装置の帯域割当要求に基づいて、各波長毎に送信帯域を設定し、さらに、該設定した送信帯域に基づいて各加入者装置が光信号を送出したとき前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーを算出し、該光パワーが、所定の閾値を上回る場合、同じ送信波長の加入者装置間で送信順序を変更することを特徴とする局側装置。
【請求項5】
前記光増幅器から出力された光波長多重信号を分波する第1の光合分波器と、
前記第1の光合分波器から出力された各波長の光信号を電気信号に変換して出力する第2の受信部と、
前記第2の受信部から出力された電気信号から各加入者装置から送信された帯域割当要求を抽出して前記帯域割当制御部に出力する処理部を備えることを特徴とする請求項2に記載の局側装置。
【請求項6】
請求項1に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、新規の加入者装置を登録する際に同じ波長で登録済み加入者装置の送信を禁止する登録期間を、複数の波長間で同一の期間に割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項7】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて前記光増幅器の利得を決定する利得制御部を備えることを特徴とする局側装置。
【請求項8】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当部は、前記光増幅器に入力される光波長多重信号の各光信号の光パワーの差が小さくなるように同一送信波長内で加入者装置に送信帯域を割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項9】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記光増幅器は、半導体光増幅器であり、
前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて前記光増幅器への注入電流を決定する注入電流制御部を備えることを特徴とする局側装置。
【請求項10】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記光増幅器に入力される各波長の光信号のパワーを減衰する可変減衰部と、前記可変減衰部の減衰量を制御する減衰量制御部を備え、
前記帯域割当制御部は、前記複数の加入者装置から入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて、前記光信号のパワーを減衰する波長を決定し、
前記減衰量制御部は、前記決定した波長の可変減衰部の減衰量を制御することを特徴とする局側装置。
【請求項11】
請求項4に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、前記光波長多重信号の入力パワーが閾値以下にならない場合に、前記各加入者装置のうち一部の加入者装置への帯域割当を次以降の帯域割当周期で送信帯域を割り当てることを特徴とする局側装置。
【請求項12】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、新規に接続された加入者装置を登録するための光信号を送信する期間において、前記期間のうち第1の期間と第2の期間の前記利得制御部に設定する利得を切り替えることを特徴とする局側装置。
【請求項13】
請求項2に記載の局側装置であって、
前記帯域割当制御部は、新規に接続された加入者装置を登録するための信号を送信するときは前記可変減衰器の減衰量をゼロに設定することを特徴とする局側装置。
【請求項14】
複数の加入者装置と、光スプリッタ及び光合分波器を介して前記複数の加入者装置に接続される局側装置とを備えた光ネットワークシステムであって、
前記各加入者装置は、
前記局側装置から送信される帯域割当情報を受信する受信部と、
前記受信部で受信した帯域割当情報に基づいて光信号を送出する送信部と、を備え、
前記局側装置は、
前記複数の加入者装置からの光信号が光多重された光波長多重信号を受信する第1の受信部と、
前記第1の受信部を介して受信する光波長多重信号に含まれる加入者装置からの帯域割当要求に基づいて前記各加入者装置に送信帯域を割り当てる帯域割当制御部と、
前記帯域割当制御部で割り当てられた送信帯域の情報を含む帯域割当情報を前記加入者装置に送信する送信部と、を有し、
前記帯域割当制御部は、送信波長が第1の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求と、送信波長が第2の波長である複数の加入者装置からの帯域割当要求とに基づいて、前記送信波長が第1の波長の加入者装置への送信帯域を決定することを特徴とする光ネットワークシステム。
【請求項15】
前記局側装置は、
前記光波長多重信号を増幅し、増幅した信号を出力する光増幅部を備え、
前記帯域割当制御部は、各加入者装置から受信し前記光増幅器に入力される光波長多重信号の光パワーに基づいて、各送信波長の帯域割当期間毎に前記各加入者装置に送信帯域を割り当てることを特徴とする請求項14に記載の光ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図5】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図5】
【図9】
【図10】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−12968(P2013−12968A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145120(P2011−145120)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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