説明

局所用ヒドロゲル組成物

皮膚および/または創傷に局所適用するための組成物を開示する。ある態様において、該組成物は、金属塩とキレートしているかまたはコンプレックスを形成している少なくとも1の難溶性医薬の粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを含む。該組成物は、さらに少なくとも1の安定化剤、少なくとも1の賦形剤、および少なくとも1の生理学的に許容される担体を含みうる。該組成物の製造方法、該組成物を含む医薬製剤、および該組成物を利用する治療方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第61/089,568号(2008年8月18日出願)の優先権を主張する(この内容は本明細書の一部を構成する)。
【0002】
本発明は、皮膚および/または創傷に適用するための局所用組成物に関する。また、本発明は、そのような組成物を用いて皮膚および/または創傷を治療する方法および該組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
創傷被覆材は、その適用によって創傷の炎症や損傷を増大させることのないように注意して設計される。創傷治癒の主な決定要因の一つは、乾燥被覆材は治癒を遅延させることが多いので創傷を湿潤に保つことである。被覆材の厚さ、拡散性、密封性、および浸透圧などの要因は、被覆材の膜を横切るガスや水の移動方向と速度に影響を与える。
【0004】
創傷、血漿、および細胞の相対的浸透圧は、これら部位間の水の配分を決定する。電解質、グリセロール、および他の化合物が、創傷の再構成とエネルギー代謝を改善することについて提唱されている。特に、グルコース、ピルベート、アラニン、および/またはラクテートは、細胞が利用することができるエネルギーの量を増大させる機能があるので、有用であることが証明されている(例えば、米国特許No.5,238,684参照)。アルギニンは、創傷の閉鎖(治癒)速度を増加させるのに潜在的有用性があることも提唱されてきた。
【0005】
最近数年以内に、以下のような多くの銀ベースの抗菌被覆材が利用可能になってきた:Acticoat(登録商標) (Smith & Nephew、Largo、FL)、Silverlon(登録商標) (Argentum、Lakemont、GA)、およびSilvasorb(登録商標) (Medline Industries、Inc、Mundelein、IL)。しかしながら、そのような被覆材は比較的高価であるため、治療の標準は、単純に被覆材を毎日交換するか、または抗菌被覆材を一週間に1回交換することである。
【0006】
銀ベースの被覆材にも種々の欠点が確認されている。例えば、前臨床試験と臨床試験のデータは以下のことを示唆する:a)銀に対する細菌の耐性が生じることがある;b)用いる試験媒質により銀の解離が影響を受けることがある;c)殺菌活性の相違は、試験に用いる細菌株に応じることがある;d)銀イオンとタンパク質および核酸の結合には比較的高い銀濃度が必要なことがある;e)銀の急速な送達(すなわち、殺速度)は、銀抵抗性およびバイオフィルム形成の予防を考えるときに肯定的因子となりうる;およびf)銀は生細胞に影響を及ぼし、細胞毒性がある場合がある。
【0007】
また、銀中毒は、銀ベースの創傷被覆材で起こりうる副作用である。銀中毒は、銀の過剰投与と沈着が皮膚または粘膜に永久に不可逆的な灰色-青色変色を引き起こす希な皮膚炎である。変色の量は、典型的には、銀送達の経路(すなわち、経口投与または局所投与)および投与した銀化合物を吸収および排出する身体の能力に依存する。銀粒子が皮膚および/または粘膜内に沈着すると、銀粒子は固定されたままになり、老化の過程で蓄積することがある。
【0008】
他の形の皮膚炎および刺激性反応(例えば接触性皮膚炎)は、銀ベースの絆創膏の使用によっても生じることがあり、基剤の成分および/または活性成分に起因しうる。結果として、抗菌効果をもたらし、創傷治癒を促進し、望ましくない副作用を避けるための銀局所治療の代替法が当該分野で求められてきた。
【0009】
検討されてきた代替法に、テトラサイクリン化合物を利用する治療がある。しかしながら、そのような化合物の溶液中での安定性はしばしば低い。テトラサイクリンの安定性を改善する1つの方法は、そのような化合物およびその誘導体を水性サスペンジョン/ディスパージョン中に含むことであり、該サスペンジョン/ディスパージョンの水性相は、該化合物の溶解性が許すより大量の化合物を含む。例えば、ドキシサイクリン1水和物は、pH6以上で水溶性が0.8mg/ml以下であり、水にはごくわずかしか溶解しない(Bogardus、JB、et al. 1979. J. Pharm Sci 68:188-94)。しかしながら、そのような組成物では、比較的高濃度、例えば0.1質量%以上のドキシサイクリンは皮膚または創傷への局所適用に適さない粗いサスペンジョンを生じる。したがって、そのような組成物は、一般的には代替経路で、例えば経口的に身体に投与される。
【0010】
経口投与に適したサスペンジョンの一例に、粘性シロップ中にドキシサイクリンの大粒子を含むVibramycin(ビブラマイシン)(登録商標)(Pfizer)がある。しかしながら、ビブラマイシンは局所(localまたはtopical)使用には承認されておらず、そのpHは創傷に適用するのに不適当である。さらに、ビブラマイシン中の粒子サイズは、サスペンジョンを局所適用すると創傷に刺激をもたらし得る。
【0011】
すなわち、テトラサイクリンクラスの化合物、例えばドキシサイクリンを、その化合物の水溶解度を超えた高濃度で、上記問題を生じることなく送達するための局所用組成物および方法が当該分野で求められ続けている。本発明は、例えば、生理学的に許容される担体、例えばヒドロゲル中で生理学的に許容される塩とキレートしているかまたはコンプレックスを形成している難溶性薬剤、例えばドキシサイクリンの小粒子を含む組成物を提供することによりこの要求に取り組むものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、皮膚および/または創傷に局所適用するための組成物を開示する。非限定的態様において、該組成物は、生理学的に許容される塩、例えばカルシウム塩とキレートしているかまたはコンプレックスを形成している少なくとも1の難溶性薬剤の粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを含む。該組成物は、さらに、少なくとも1の生理学的に許容される担体を含み、所望によりさらに少なくとも1の安定化剤および/または少なくとも1の賦形剤を含む。
【0013】
本発明のある非限定的態様は、生理学的に許容される金属塩とコンプレックスを形成した少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物の粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを含む、さらに、少なくとも1の安定化剤、少なくとも1の賦形剤、および少なくとも1の生理学的に許容される担体を含み、該粒子の平均直径が約100μmまたはそれ以下である、皮膚および/または創傷に局所適用するための組成物である。
【0014】
本発明の別の非限定的態様は、生理学的に許容されるカルシウム塩とキレートしている少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物の粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを含む、さらにカルボキシメチルセルロースヒドロゲル、グリセロール、水、および少なくとも1のpH安定化剤を含み、該粒子の平均直径が約100μmまたはそれ以下である、皮膚および/または創傷に局所適用するための組成物である。
【0015】
本発明のさらなる非限定的態様は、少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物の粒子を少なくとも1の生理学的に許容される金属塩と混合して平均直径が約100μmまたはそれ以下である金属キレート粒子を形成し、該金属キレート粒子と少なくとも1の生理学的に許容される担体を混合して金属キレート粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを形成させ、所望により少なくとも1の賦形剤および/または少なくとも1の安定化剤を該サスペンジョンまたはディスパージョンと混合することを含む、皮膚および/または創傷に局所適用するための組成物の製造方法である。
【0016】
本発明は、本明細書に記載の組成物を含む医薬製剤、該組成物の製造方法、および該組成物を利用する治療方法も開示する。
【0017】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の説明に一部記載し、一部は該説明から自明であるか、または本発明の実施により解るであろう。本発明の目的および利点は、特に特許請求の範囲で指摘した要素および組み合わせにより完全に理解され、達成されよう。
【0018】
前記の一般的説明および以下の詳細な説明が単に例示および説明であって、クレームした本発明を制限するものではないと理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(詳細な説明)
本発明のある局面は、皮膚および/または創傷に適用するための局所用組成物に関する。一般に、本明細書に記載の組成物には、生理学的塩とキレートしているかまたはコンプレックスを形成している少なくとも1の難溶性薬剤、例えばテトラサイクリンクラスの化合物を含む粒子の生理学的に許容される担体中のサスペンジョンまたはディスパージョンが含まれる。該サスペンジョンまたはディスパージョンは、少なくとも1の安定化剤および/または少なくとも1の賦形剤も含みうる。
【0020】
本明細書で用いている、用語「薬剤」は、薬剤の遊離塩基形、ならびに該薬剤の対応する塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、キレート、およびコンプレックスが含まれる。すなわち、本発明の薬剤は、例えば、遊離塩基、塩、水和物、プロドラッグ、溶媒和物(混合溶媒和物を含む)、キレート(例えば、金属塩との医薬的に許容されるキレート)、またはコンプレックス(例えば、医薬的に許容されるコンプレックスおよび/またはポリマーとのコンプレックス)の形で存在しうる。
【0021】
本明細書で用いている、用語「コンプレックス」は、化合物、分子、原子などの可逆的会合を意味する。反対に、用語「キレート」は、特定タイプのコンプレックス、すなわち、金属イオンが同じ分子(リガンド)の2またはそれ以上の結合と結合しているものを表す。
【0022】
本明細書で用いている、用語「難溶性薬剤」は、中性(すなわち非荷電)状態において比較的水に低溶解度の薬剤を表す。例えば、本発明のある態様において、難溶性薬剤は、中性pHで約10mg/mlまたはそれ以下、例えば約5mg/mlまたはそれ以下、または約1mg/mlまたはそれ以下の中性状態の溶解度を有する薬剤から選ばれる。
【0023】
本発明に用いることができる難溶性薬剤の例として、溶解度が中性pHで10mg/ml以下であるテトラサイクリンクラスの化合物、例えばドキシサイクリンを非限定的に示す。
【0024】
本発明のある態様において、少なくとも1の難溶性薬剤はテトラサイクリン抗生物質から選ばれる。テトラサイクリン抗生物質には、例えば天然および半合成の、例えば、ドキシサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ロリテトラサイクリン、およびテトラサイクリンが含まれる。
【0025】
該少なくとも1の難溶性薬剤は、望ましい適用に適したあらゆる量で存在しうる。例えば、該少なくとも1の難溶性薬剤は、該組成物の重量に対して約1%以下〜約90重量%の範囲の量で存在しうる。もちろん、該少なくとも1の難溶性薬剤はより高濃度またはより低濃度で用いることができ、該濃度は前記範囲内で変化しうる。例えば、該難溶性薬剤は、該組成物の重量に対して、約0.01%〜約90%、約0.01%〜約10%、約0.2〜約5%、約<1%〜約10%、約0.01%〜約10%、約0.1%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約3%、約1%〜約50%以下、約1%〜約30%以下、約1%〜約80%以下、約5%〜約90%、約10%〜約95%、または約0.1〜約5%(重量%)の範囲の量で存在しうる。ある態様において、該少なくとも1の難溶性薬剤は、該組成物の重量に対して約0.3〜約3重量%(例えば約1重量%)の範囲の量で存在する。
【0026】
該少なくとも1の難溶性薬剤の粒子サイズは、少なくとも1の難溶性薬剤の粒子が皮膚および/または創傷に局所適用するのに適した平均粒子直径を有する限り、あらゆる希望するサイズに調節してよい。例えば、少なくとも1の難溶性薬剤の粒子の平均粒子サイズは、約1000μm以下、例えば約500μm以下、約300μm以下、約150μm以下、または約100μm以下でありうる。もちろん、より大きいかより小さい平均直径の少なくとも1の難溶性薬剤の粒子を用いることができ、該平均直径は前記範囲内で増加的に変化しうる。ある態様において、該少なくとも1の難溶性薬剤の粒子サイズは約1〜約10μmの範囲である。
【0027】
該少なくとも1の難溶性薬剤は、少なくとも1の生理学的に許容される塩、例えば生理学的に許容される金属塩とキレートしているかまたはコンプレックスを形成している。本発明に用いることができる生理学的に許容される金属塩の例には、カルシウム塩(例えば塩化カルシウム)および亜鉛塩が非限定的に挙げられる。
【0028】
生理学的に許容される担体は、該少なくとも1の難溶性薬剤の有効性に影響を及ぼし得るので、該少なくとも1の難溶性薬剤の望ましい効果を確実に得るために適切に注意して選ぶべきである。本発明のある態様において、生理学的に許容される担体は、ポリマー、例えば、水溶性ポリマー、中性荷電のポリマー、または中性荷電の水溶性ポリマーから選ばれる。生理学的に許容される担体は、一般に安全とみなされる(GRAS)とFDAもみなしているかもしれない。本発明に従って用いることができる生理学的に許容される担体の例には、限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロース(CMC)のようなセルロース含有ヒドロゲルを含むヒドロゲルがある。本発明のある態様において、少なくとも1の生理学的に許容される担体は、少なくとも1の水、グリセロール、およびその混合物も含む。
【0029】
生理学的に許容される担体の平均分子量は、例えば、約100ダルトン(Da)〜約1,000,000Da、例えば約500,000Da〜約1,000,000Daの範囲である。
【0030】
生理学的に許容される担体の粘度も、目的とする適用に適するように選ぶことができる。例えば、生理学的に許容される担体の粘度は、0〜約10,000センチポアズ(cps)またはそれ以上、例えば約100〜約10,000cps、約500〜約5,000cps、または約1000〜約3000cpsの範囲でありうる。ある態様において、生理学的に許容される担体は、25℃の水中の1%CMC溶液から測定して、約1,500〜約3,000cpsの範囲の粘度を有する高粘度CMCである。多くの場合、生理学的に許容される担体の粘度は、濃度と温度の両方に依存する。すなわち、該粘度は温度が増加すると減少し、温度が下がると増加する。同様に、該粘度は濃度が下がると減少し、濃度が上がると増加する。
【0031】
ある態様において、本発明の組成物は、少なくとも1の安定化剤も含む。そのような安定化剤は種々の目的に役立つかも知れない。例えば、安定化剤は、種々の金属塩の存在下で、生理学的に許容される担体(例えば、ヒドロゲル)のpHおよび/または粘度を緩衝するために本発明の組成物に加えることができよう。該安定化剤は、天然または合成であってよく、所望により生分解性および/または生体内崩壊性(bioerodable)である。本発明に用いるのに適したpH安定化剤の非限定的例には、緩衝塩、および有機化学化合物、例えば第3アミンとトリアルコールの両方であるトリエタノールアミン(TEA)が含まれる。クエン酸もpH安定剤として本発明に用いるのに適している。
【0032】
本発明の組成物は少なくとも1の賦形剤も含みうる。該少なくとも1の賦形剤は、例えば、界面活性剤(陽イオン性、陰イオン性、または中性)、表面安定化剤、および他の促進剤、例えば保存料から選ぶことができる。本発明に用いることができる界面活性剤の非限定的例には、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート界面活性剤(例えば、ポリソルベート20(Tween 20(登録商標))およびポリソルベート80(Tween 80(登録商標)))が含まれる。ある態様において、本発明の組成物は、該組成物内にpH緩衝系を形成するように複数のpH安定化剤を含む。本発明の組成物に加えることができる保存料の例として、限定されるものではないが、一定濃度で保存料として作用しうるグリセロールがある。
【0033】
本発明の組成物は少なくとも1の乳化剤も含みうる。適切な乳化剤の非限定的例には、リン脂質、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポロキサマー、およびグリセリルモノステアレートが含まれる。もちろん、他の既知の医薬的乳化剤を用いることができる。
【0034】
本発明の組成物は、皮膚および/または創傷に局所適用するのに適したあらゆる形でありうる。例えば、該組成物は、溶液、例えばヒドロゲル、チンキ剤、クリーム剤、軟膏、ゲル、ローション、および/またはエアロゾルスプレーの形でありうる。
【0035】
本発明の組成物は、局所的皮膚治療剤の形でありうる。例えば、本明細書に記載の該組成物は、洗浄剤、吸収剤、抗感染薬、抗炎症剤、エモリエント(皮膚軟化剤)、および角質溶解剤(すなわち、表皮の扁平上皮を軟化し、柔らかくし、剥離を促進する薬剤)の形でありうる。
【0036】
本発明は、本発明の組成物の製造方法にも関する。ある態様において、本発明の組成物は、生理学的に許容される担体(例えばヒドロゲル)を加熱またはオートクレーブし、次いで生理学的に許容される担体を、生理学的に許容される金属塩とキレートするかまたはコンプレックスを形成している少なくとも1の難溶性薬剤(例えば少なくとも1のテトラサイクリン抗生物質)の粒子と混合して、生理学的に許容される担体と該粒子のディスパージョンまたはサスペンジョンを形成することにより製造される。
【0037】
少なくとも1の安定化剤および/または少なくとも1の賦形剤(先に記載した)は、生理学的に許容される担体を該粒子と混合する前または後に生理学的に許容される担体に加えることができる。特定のpHが望ましい場合は、例えば、pH安定化剤、例えばトリエタノールアミンを生理学的に許容される担体に加えて、最終製剤および/またはディスパージョン/サスペンジョンのpHを安定化させることができる。該成分を混合した後、最終製剤を室温に冷却する。最終製剤の粘度は、例えば安定化剤および/または他の成分の量を調節することにより調節することができる。
【0038】
本発明製剤の製造方法には、高剪断条件下でのサスペンジョン/ディスパージョンの形成が含まれうる。さらに、該サスペンジョン/ディスパージョンは、例えば米国特許出願公開第2005/0175707号に記載の約1〜約1,000ヘルツの低周波数超音波処理(LFS)を用いて形成することができる(この内容は本明細書の一部を構成する)。LFSを使用すると、通常のプロペラミキサーまたはホモゲナイザーに比べて組成物の均質性が改善されうる。さらに、該粒子のサイズは、LFSの強度ならびにサスペンジョン/ディスパージョンの形成中の他の条件を調節することにより調節することができる。
【0039】
本発明の組成物は、有効量の少なくとも1の難溶性薬剤の送達系、例えば粒子送達系(「PDS」)中にも存在しうる。例えば、ある非限定的態様において、PDSは、生理学的に許容される金属塩とキレートし、少なくとも1の生理学的に許容される担体内に分散および/または懸濁している、少なくとも1の難溶性薬剤、例えばドキシサイクリンの粒子を含む。ある態様において、該少なくとも1の難溶性薬剤の粒子は、平均直径が約100μm以下、例えば約1〜約10μmの微細粒子である。
【0040】
別の非限定的態様において、本発明の組成物またはPDSは、少なくとも1の生理学的に許容される担体および溶媒からなる少なくとも1のヒドロゲルを含む。適切な生理学的に許容される担体の例として、限定されるものではないが、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールがある。適切な溶媒の非限定的例は水である。もちろん、他の生理学的に許容される担体および溶媒を用いることができる。
【0041】
ある態様において、本発明の組成物および/またはPDSは、少なくとも1の水ベースのヒドロゲルが含まれる。そのようなヒドロゲルの非限定的例には、ポリアクリル酸、ポビドン、セルロール、およびアロエから製造されるヒドロゲルがある。ある態様において、カルボキシメチルセルロースヒドロゲルを用いる。もちろん、他のヒドロゲルを本明細書の開示に従って用いることもできる。
【0042】
本発明の別の局面は、本明細書に記載の少なくとも1の組成物を含む医薬製剤および/または本明細書に記載の少なくとも1の組成物を含む少なくとも1のPDSに関する。
【0043】
ある態様において、該医薬製剤は、さらに、少なくとも1の賦形剤、例えば水溶性ポリマー、界面活性剤、および/または別の促進剤、例えば医薬的に許容される賦形剤を含む。医薬的に許容される賦形剤の非限定的例は、E.W. MartinのRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されており、セルロース、デンプン、グルコース、ラクトース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。ある態様において、医薬製剤は、pH緩衝試薬、および湿潤剤もしくは乳化剤も含まれる。
【0044】
本発明の医薬製剤は、患者に投与するのに適したあらゆる形、例えば水性ディスパージョンまたはサスペンジョンの形でありうる。該医薬製剤は、種々のさらなる成分、例えば懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤も含むことができる。
【0045】
ある態様において、本明細書に記載の医薬製剤は、製剤化しない難溶性薬剤に比べて難溶性薬剤の局所濃度の改善をもたらす。例えば、該局所濃度を、例えば前臨床動物モデルにおけるin vivo組織分布試験またはヒト臨床評価で測定すると、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、93%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、もしくは200%、または、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、もしくは1000倍増加させることができる。
【0046】
ある態様において、該医薬製剤は、制御放出製剤の形である。
【0047】
ある態様において、本明細書に記載の医薬製剤は、該難溶性薬剤を含む別の医薬製剤(別の剤形、例えば注射可能製剤のようなより侵襲性の剤形であってよい)に比べて患者のコンプライアンスの改善と関連がある。
【0048】
本発明の別の局面は、必要とする患者の皮膚および/または創傷に本発明の少なくとも1の組成物および/または微粒子送達系の局所投与を含む治療方法に関する。
【0049】
本明細書で用いている用語「治療(処置)する」、「治療(処置)」、および「治療(処置)すること」は、(1)疾患もしくは病状の重症度や持続時間の減少、(2)疾患もしくは病状を必ずしも治癒させない疾患もしくは病状に関連する1またはそれ以上の症状の改善、または(3)疾患もしくは病状の予防を表す。適切な対象には、例えばヒト、ならびに例えばマウス、ラット、イヌ、および非ヒト霊長類のような他の哺乳動物が含まれる。
【0050】
例えば、ある態様において、該方法には、生理学的に許容される塩(例えば、生理学的に許容される金属塩)とキレートし、少なくとも1の生理学的に許容される担体中に分散および/または懸濁させた少なくとも1の難溶性薬剤の有効量を含む組成物の局所適用が含まれる。ある場合には、そのような方法は、有効な(すなわち、改善された)創傷治癒、創傷の閉鎖速度、炎症の減少、および/または感染速度の減少および/または感染の改善をもたらす。
【0051】
ある態様において、該治療方法には、少なくとも1の生理学的に許容される担体 (例えば水)、グリセロールを含むサスペンジョン/ディスパージョンを含む組成物を適用することが含まれ、ここで、該サスペンジョン/ディスパージョンは、生理学的に許容される担体 (例えば、天然もしくは合成ポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース)と、生理学的に許容される塩、例えばカルシウム塩(例えば、塩化カルシウム)とキレートしたドキシサイクリンのような少なくとも1のテトラサイクリン抗生物質を含む。そのような方法において、該少なくとも1の難溶性薬剤は、例えば、該組成物の質量に比べて、約0.1重量%より大きい量、例えば、約0.3%〜約1.0%(質量)またはそれ以上の量で存在し得る。ある態様において、該少なくとも1の難溶性薬剤には、生理学的に許容されるカルシウム塩(平均直径が約100μm(例えば、約1〜約10μm)より少ない粒子の微粒子サスペンジョンとして生理学的に許容されるカルシウム塩とキレートしたドキシサイクリンが含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の実施例は単に本発明の例示を意図する。
【実施例1】
【0053】
ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲル微粒子送達系の製造
0.3、1.0、および3重量%のUSPグレードのドキシサイクリン1水和物 (Spectrum Chemicals、Brunswick、New Jersey)、カルボキシメチルセルロース (CMC)ヒドロゲル、塩化カルシウム、グリセロール、注射用水(WFI)、トリエタノールアミン、およびクエン酸を含むドキシサイクリン1水和物ヒドロゲル微粒子送達系を以下のごとく製造した。
【0054】
簡単には、3%CMC溶液は、USPグレードのCMCをWFIと混合し、次いでオートクレーブしてCMCを完全に溶解して溶液とし、CMCヒドロゲルを形成させることにより製造した。ドキシサイクリンサスペンジョンは、ドキシサイクリン1水和物(ふるいにかけて粒子サイズ150μm未満とした)をCMCヒドロゲル中のWFIに加えて製造した。塩化カルシウムおよび安定化剤(TEA、クエン酸)をCMCヒドロゲルに加えることにより、カルシウムがドキシサイクリンとのキレートに利用可能であった。得られた混合物を、上昇する温度(40〜50℃)で米国特許出願公開公報第2005/0175707号に記載のごとく高剪断条件(パドルミキサーおよびソニケーション)下で混合した。グリセロールおよびさらなるWFIも該サスペンジョンに加えた。該ヒドロゲルに加える賦形剤の量を調節し、目的とするドキシサイクリン濃度を達成した。
【0055】
この希釈液および温度で、ドキシサイクリンをカルシウムとキレートさせ、安定な小粒子サスペンジョンを形成した。3%CMCヒドロゲルおよびドキシサイクリンサスペンジョンを、さらに20分間混合し、バルクヒドロゲルサスペンジョンを形成させた。バルクヒドロゲルサスペンジョンが、倍率100〜200倍の光学顕微鏡下で観察された。該懸濁した粒子の主要粒子サイズは約10μm未満であり、該組成物を解放創傷または擦り傷のない他の組織に局所適用することができる。
【0056】
最終製剤を特定疾患を治療するのに適した量で医薬グレードのホイルオンホイルの小さな容器に包装する。例えば、小糖尿病性潰瘍に適用するために小さな容器に名目2.5gバルクヒドロゲル組成物を充填した。次に、包装した製剤を名目5kGyで放射線照射した。内容物と無菌性に対する品質管理検査に合格した製品を使用に供した。すべての製造工程は、保証されたクリーンルーム、層流フード、またはバイオセイフティキャビネット中で行った。クリーニング、更衣、物流、および物質の試験は、標準操作手順(SOP)に従った。
【0057】
小容器の充填をバルクヒドロゲルサスペンジョンの合成と同日に行わない場合は、バルクヒドロゲルサスペンジョンを保存容器(例えば4Lカーボイ)に移し、ラベルを付け、小容器に充填するまで冷蔵庫内に置いた。
【0058】
プラセボヒドロゲルを、ドキシサイクリンを高剪断器に加えない以外は正確に上記と同じ方法で合成した。
【0059】
すべてのヒドロゲルについて、ISO、AAMI、USP、およびFDA標準(方法1605000)の記載に従って容器の完全性、pH、粘性、およびTotal Bioburden Panel(トータルバイオバーデンパネル)について試験した。最終産物のドキシサイクリン含有量も有効なHPLC法を用いて試験した。この試験結果を各ロットに対する現在のProduction Batch Record(プロダクションバッチレコード)に記載し、最終産物は試験結果が許容限度内にあれば使用に供した。
【実施例2】
【0060】
ヒドロゲル安定化剤からのドキシサイクリンの拡散性
透過性膜(セルロースアセテート)によるフランツ拡散を用い、実施例1に従って製造した0.3重量%ドキシサイクリン(Doxycyline)1水和物ヒドロゲルおよび1.0重量%ドキシサイクリン(Doxycyline)1水和物ヒドロゲルの局所適用剤からの開放創傷へのドキシサイクリンの伝達性について評価した。静置型フランツ拡散セル(PermeGear)を用い、セルロースアセテート非律速膜(1,000 MWCO)を用いて37℃におけるドキシサイクリンのヒドロゲルから生理学的緩衝液中への放出データを得た。陽性コントロールの0.3重量%(生理食塩水中0.3%ドキシサイクリン)ヒドロゲルと陽性コントロールの1.0重量%(生理食塩水中1%ドキシサイクリン)ヒドロゲル両方について、24時間にわたり該膜を横切るドキシサイクリンの拡散を有効なHPLCアッセイを用いて分析した。
【0061】
24時間後、利用可能なドキシサイクリンの総量(1.0重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルの場合は10mg/1gmヒドロゲル、および0.3重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルの場合は3mg/1gmヒドロゲル)の1%未満(プロトコール拡散通過上限)がセルロースアセテート膜を通して拡散した。生理食塩水中の0.3重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルおよび0.3重量%ドキシサイクリン1水和物粒子サスペンジョンは、それぞれ利用可能な総ドキシサイクリン3mgの0.12%(0.0036mg)および0.80%(0.02385mg)を生じた。生理食塩水中の1.0重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルおよび1.0%ドキシサイクリン1水和物粒子サスペンジョンは、それぞれ利用可能な総ドキシサイクリン10mgの0.09%(0.00925mg)および0.37%(0.0365mg)を生じた。このデータは、ドキシサイクリンが開放創傷のような該ヒドロゲルが適用された局所環境内に保持されることを示唆した。
【実施例3】
【0062】
ラットにおける創傷治癒試験
実施例1から得た0.3、1.0、および3.0重量%のドキシサイクリン1水和物を含むヒドロゲルの創傷治癒能力をプラセボヒドロゲル(ドキシサイクリン不含)および無処置コントロールに対して得た。この試験では完全な厚さの皮膚パンチバイオプシーを用いて創傷治癒の評価を行った。
【0063】
試験結果は、全ての濃度に対する組織学的スコアとコントロールの間の有意差を示さなかった。さらに、全てのヒドロゲル濃度は、コントロールに比べて非刺激性となるように調整した。さらに、ドキシサイクリン含有ヒドロゲルで処置した創傷は、プラセボまたは無処置コントロール部位に比べて3、7、および10日間の経過にわたってより速い治癒速度(測定した創傷面積のより急速な減少)を示した。
【実施例4】
【0064】
ラットにおける皮膚吸収
0.3重量%、1.0重量%、および3.0重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルの局所適用剤からのドキシサイクリンの全身吸収を測定するため、実施例3の創傷治癒試験の第14日の種々の時点で血液試料を採取した。用量は、ヒト臨床試験で提唱した用量の約20〜200倍(0.3〜3%ドキシサイクリンヒドロゲルについて0.5〜5.25g/kgドキシサイクリン)であった。最後の被験物質適用(第14日)後、30分、8時間、24時間、およびと殺時に血液を採取した。血清を採取し、凍結し、次いで有効な抽出/LC-MSアッセイを用いて分析した。
【0065】
0.3重量%、1.0重量%、および3.0重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルを14日間局所投与後の結晶中のドキシサイクリン濃度の評価は、0.3重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルについては1.7〜26.8ng/ml、1.0重量%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルについては3.2〜73.6ng/ml、3.0%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルについては2.1〜239.5ng/mlの範囲で一貫性の無い結果をもたらした。提唱した1.0%ドキシサイクリン1水和物ヒドロゲルの平均100倍を投与して14日後の全ての全身濃度は、すべて報告された毒性レベル未満であった。
【実施例5】
【0066】
ヒトにおける糖尿病性足潰瘍試験
小さなIRB承認ヒト臨床試験において、6人の糖尿病患者に潰瘍が治癒するまで局所ドキシサイクリンヒドロゲルを投与し、プラセボと比較した。最初の20週間の治療期間中に、ドキシサイクリンで処置した創傷は治癒したが、プラセボで処置した3人の患者では1人だけが治癒した。34週における患者の治癒結果の統計分析では、局所的ドキシサイクリンヒドロゲル処置は、プラセボヒドロゲルによる処置と比べて潰瘍の治癒を有意に増加させた。
【0067】
本発明の他の態様は、本明細書およびここに開示した本発明の実施を考察すれば当業者に明らかであろう。本明細書および実施例は単に例示であって、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲に示すものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される金属塩とコンプレックスを形成した少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物の粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを含む皮膚または創傷に局所適用するための組成物であって、少なくとも1の生理学的に許容される担体、少なくとも1の賦形剤、および少なくとも1の安定化剤をさらに含み、該粒子の平均直径が約100μmまたはそれ以下である組成物。
【請求項2】
該生理学的に許容される金属塩が生理学的に許容されるカルシウム塩を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物が該生理学的に許容されるカルシウム塩とキレートしている請求項2記載の組成物。
【請求項4】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物がテトラサイクリン抗生物質から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項5】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物が、ドキシサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ロリテトラサイクリン、およびテトラサイクリン、およびその塩、水和物、キレート、およびコンプレックスから選ばれる請求項4記載の組成物。
【請求項6】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物がドキシサイクリン、およびその塩、水和物、キレート、およびコンプレックスから選ばれる請求項4記載の組成物。
【請求項7】
該ドキシサイクリンが該組成物中に約0.3重量%以上〜約3重量%の範囲の量で存在する請求項6記載の組成物。
【請求項8】
該少なくとも1の生理学的に許容される担体が、水溶性ポリマー、中性荷電のポリマー、および水溶性中性荷電のポリマーから選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項9】
該少なくとも1の生理学的に許容される担体がヒドロゲルである請求項8記載の組成物。
【請求項10】
該ヒドロゲルがセルロースを含む請求項9記載の組成物。
【請求項11】
該粒子の平均粒子直径が約1〜約10μmの範囲である請求項1記載の組成物。
【請求項12】
該少なくとも1の賦形剤が、界面活性剤、表面安定化剤、および保存料から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項13】
該界面活性剤が少なくとも1の非イオン性界面活性剤を含み、該保存料がグリセロールを含む請求項12記載の組成物。
【請求項14】
該少なくとも1の安定化剤が、緩衝塩、トリエタノールアミン、およびクエン酸の少なくとも1を含む少なくとも1の安定化剤を含む請求項1記載の組成物。
【請求項15】
生理学的に許容されるカルシウム塩とキレートしている少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物の粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを含む皮膚または創傷に局所適用するための組成物であって、さらに、カルボキシメチルセルロースヒドロゲル、グリセロール、水、および少なくとも1のpH安定化剤を含み、該粒子の平均直径が約100μmまたはそれ以下である請求項1記載の組成物。
【請求項16】
皮膚および/または創傷に局所適用するための組成物の製造方法であって、
少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物と少なくとも1の生理学的に許容される金属塩を混合して平均直径が約100μmまたはそれ以下である金属キレート粒子を形成し、
該金属キレート粒子および少なくとも1の生理学的に許容される担体で金属キレート粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを形成し、
所望により、少なくとも1の賦形剤および/または少なくとも1の安定化剤を該金属キレート粒子サスペンジョンまたはディスパージョンと混合する、ことを含む製造方法。
【請求項17】
該生理学的に許容される金属塩が生理学的に許容されるカルシウム塩を含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物がテトラサイクリン抗生物質から選ばれる請求項16記載の方法。
【請求項19】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物が、ドキシサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ロリテトラサイクリン、およびテトラサイクリン、およびその塩、水和物、キレート、およびコンプレックスから選ばれる請求項18記載の方法。
【請求項20】
該少なくとも1のテトラサイクリンクラスの化合物が、ドキシサイクリン、およびその塩、水和物、キレート、およびコンプレックスから選ばれる請求項19記載の方法。
【請求項21】
該ドキシサイクリンが、該組成物中に約0.01重量%より大きく約3重量%までの範囲の量で存在する請求項20記載の方法。
【請求項22】
該少なくとも1の生理学的に許容される担体が、水溶性ポリマー、中性荷電のポリマー、および水溶性中性荷電のポリマーから選ばれる請求項16記載の方法。
【請求項23】
該少なくとも1の生理学的に許容される担体がヒドロゲルである請求項22記載の方法。
【請求項24】
該ヒドロゲルがセルロースを含む請求項23記載の方法。
【請求項25】
該金属キレート粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを、界面活性剤、表面安定化剤、および保存料の少なくとも1を含む少なくとも1の賦形剤と混合することを含む請求項16記載の方法。
【請求項26】
該界面活性剤が少なくとも1の非イオン性界面活性剤を含み、該保存料がグリセロール、クエン酸、およびその混合物の少なくとも1を含む請求項25記載の方法。
【請求項27】
該金属キレート粒子のサスペンジョンまたはディスパージョンを、緩衝塩、トリエタノールアミン、およびクエン酸から選ばれる少なくとも1のpH安定化剤を含む少なくとも1の安定化剤と混合することを含む請求項16記載の方法。
【請求項28】
皮膚または創傷の治療方法であって、有効量の請求項1記載の組成物を含む医薬製剤を得、該医薬製剤を該治療が必要な患者の皮膚または創傷に局所投与することを含む方法。

【公表番号】特表2012−500274(P2012−500274A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523925(P2011−523925)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/054130
【国際公開番号】WO2010/022031
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(506299054)ナノセラピューティクス・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】NANOTHERAPEUTICS, INC.
【Fターム(参考)】