説明

屋根用パネル

【課題】断熱材と通気用の胴縁とを有する屋根用パネルにおいて、施工に際して、垂木の方向と直角の方向の撓み量を小さくして、屋根への施工を容易とすることができ、特に、剛性の低い断熱材を使用しても、垂木の方向と直角の方向の撓み量を小さくすることができ、また、施工後の屋根用パネルの強度を十分確保することができる屋根用パネルを提供する。
【解決手段】長方形状の野地板10と、野地板10に固着して設けられた胴縁20と、胴縁20に固着された遮熱材50とを有し、胴縁20は、長辺に平行に設けられた胴縁部材22、24、26、28と、短辺に平行に設けられた胴縁部材30、32、34a〜34cとを有し、各胴縁部材において、長手方向の両側面を連通する複数の凹部40が野地板10側に一定の間隔を介して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根用パネルに関するものであり、特に、屋根の断熱と通気を行なうことができる屋根用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木造家屋の屋根の断熱と通気を行なう方法として、特許文献1には、特許文献1の図3に示すように、垂木(たるき)の屋外側にアルミ熱線反射材を取り付け、アルミ熱線反射材の屋外側に垂木に通気胴縁を設け、通気胴縁の屋外側にルーフィングを設ける点が開示されている。
【0003】
また、従来における屋根の施工方法として、図13に示すように、垂木500の屋外側に合板502を設け、該合板502の屋外側に遮熱材504を設け、遮熱材504の屋外側の垂木500に対応する位置に垂木500に平行に板状の胴縁506を設け、該胴縁506の屋外側に合板からなる野地板508を設け、該野地板508の上面にルーフィング510を設ける方法が行われる。ここで、該遮熱材504は、一対のアルミニウム層の内側に空気袋が平面状に配列された空気層を設けたものである。また、ルーフィング510は、例えば、野地板508の屋外側に設けられたアスファルトルーフィング512と、アスファルトルーフィング512の屋外側に設けられたコロニアル514から構成されている。
【0004】
また、垂木に支持される屋根パネルとして、特許文献2に示すように、板状の断熱材からなる芯材部と、該芯材部の一方面に胴縁を介して取付けられる野地板と、野地板と芯材部との間に形成される通気層と、芯材部の他方面に垂木を挟む間隔を設けて芯材部より突出した断熱補足材とを設けたものが存在する。
【0005】
また、出願人は、木造家屋用胴縁材に関して、特許文献3に記載のものを知得している。
【特許文献1】特開2007−138558号公報
【特許文献2】実用新案登録第2603627号公報
【特許文献3】特許第2844457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に示す施工方法においては、垂木の屋外側にアルミ熱線反射材を設け、その後に通気胴縁を設けることから、施工者はアルミ熱線反射材の上側から通気胴縁を施工しなければならないが、アルミ熱線反射材に垂木が覆われているので垂木の位置を確認しづらく、また、アルミ熱線反射材は柔らかい素材であるので、施工者がアルミ熱線反射材における垂木の位置以外の位置を踏むと、施工者が落下してしまうおそれがある。
【0007】
そのような問題を解決するために図13に示す施工方法が採られており、図13に示す施工方法においては、垂木500の屋外側に合板502を施工し、合板502の上に遮熱材504を施工するので、遮熱材504の施工に際しては、施工者は合板502の上に乗って施工作業を行うことができるので、落下のおそれがない。
【0008】
しかし、図13に示す施工方法の場合には、遮熱材504の下側に設けられる合板502を施工しなければならないという問題がある。つまり、断熱の点では本来不要であるはずの合板502を施工しなけれならない。また、図13に示す方法においても、胴縁506を垂木500に対応する位置に施工しなければならないが、垂木500は合板502と遮熱材504に覆われているので、胴縁506を垂木500の位置に正確に施工するのが困難であるという問題がある。つまり、胴縁506の施工が困難であり、その点は、特許文献1においても同様である。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の屋根パネルにおいては、断熱材からなる芯材部と、胴縁と、野地板とが一体になっているので、図13に示す施工方法のように合板を別途施工する必要はないが、胴縁が互いに平行に設けられているのみであるので、剛性が十分でないという問題があった。特に、胴縁の方向の撓(たわ)みには剛性があっても、胴縁の方向と直角の方向の撓みには弱いという問題があった。特に、断熱材に剛性が弱いものを使用すると、胴縁の方向と直角方向に撓みやすくなり、全体の剛性が低くなって、屋根への施工に際して、屋根用パネルが撓んで施工が困難となる。つまり、特許文献2の屋根パネルにおいては、胴縁を垂木に対して平行に施工するので、胴縁の方向と直角の方向に屋根パネルが撓むと、垂木の上に屋根パネルを配置する作業が容易ではない。すなわち、特許文献1の屋根パネルは、屋根パネルが垂木間のピッチの2つ分の長さの幅を有し、2ピッチ長さ分の間隔をなす2つの垂木間に屋根パネルを配置するが、胴縁と直角の方向の屋根パネルの撓み量が大きいと、容易に2つの垂木間に屋根パネルを配置することができない。
【0010】
また、特許文献2の屋根パネルでは、垂木に施工した状態では、垂木と胴縁とが平行になるため、屋根パネルにおける胴縁が形成されていない辺部が垂木には固定されず、屋根パネルが垂木から胴縁が形成されていない辺部の側から剥がれてしまうおそれがあり、結果として、施工後の屋根パネルの強度が十分でないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、断熱材と通気用の胴縁とを有する屋根用パネルにおいて、施工に際して、垂木の方向と直角の方向の撓み量を小さくして、屋根への施工を容易とすることができ、特に、剛性の低い断熱材を使用しても、垂木の方向と直角の方向の撓み量を小さくすることができ、また、施工後の屋根用パネルの強度を十分確保することができる屋根用パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、木造家屋の屋根の垂木に取り付ける屋根用パネルであって、方形状の板状の野地板と、野地板の一方の面に固着して設けられた胴縁で、野地板の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第1胴縁部材と、野地板の他の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第2胴縁部材とにより枠状に形成され、第1胴縁部材及び第2胴縁部材において、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された胴縁と、胴縁の野地板側とは反対側に固着して設けられた方形状の板状の遮熱材と、を有し、野地板と遮熱材との間に空気層が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この第1の構成の屋根用パネルにおいては、第1胴縁部材又は第2胴縁部材を垂木に対して直角方向として垂木の上に施工する。胴縁が第1胴縁部材と第2胴縁部材とにより枠状に形成されているので、胴縁の剛性を高くすることができ、剛性の低い遮熱材を用いても屋根用パネル全体の剛性を高くすることができる。よって、屋根への施工に際して、屋根用パネルが撓むことがなく、特に、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられているので、垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。また、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられていて、これらも該胴縁部材の上から釘で打ち付ける等により垂木に固定されるので、施工後の屋根用パネルの強度も十分確保することができる。また、第1胴縁部材及び第2胴縁部材には凹部が設けられているので、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられていても、空気層を支障なく通気させることができる。
【0014】
また、本発明の屋根用パネルによれば、複数の屋根用パネルを屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、従来のように遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネルを垂木の上に施工することにより、遮熱材と胴縁と野地板とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【0015】
また、第2には、木造家屋の屋根の垂木に取り付ける屋根用パネルであって、方形状の板状の野地板と、野地板の一方の面に固着して設けられた胴縁で、野地板の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第1胴縁部材と、野地板の他の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第2胴縁部材とにより略枠状に形成され、一対の第1胴縁部材における一方の第1胴縁部材が、複数の略四角柱状の部材を間隔を介して直線状に配して構成されるとともに、一対の第2胴縁部材との間にも間隔を介して構成され、第1胴縁部材及び第2胴縁部材において、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された胴縁と、胴縁の野地板側とは反対側に固着して設けられた方形状の板状の遮熱材と、を有し、野地板と遮熱材との間に空気層が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この第2の構成の屋根用パネルにおいては、第1胴縁部材又は第2胴縁部材を垂木に対して直角方向として垂木の上に施工する。胴縁が第1胴縁部材と第2胴縁部材とにより枠状に形成されているので、胴縁の剛性を高くすることができ、剛性の低い遮熱材を用いても屋根用パネル全体の剛性を高くすることができる。よって、屋根への施工に際して、屋根用パネルが撓むことがなく、特に、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられているので、垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。また、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられていて、これらも該胴縁部材の上から釘で打ち付ける等により垂木に固定されるので、施工後の屋根用パネルの強度も十分確保することができる。また、第1胴縁部材及び第2胴縁部材には凹部が設けられているので、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられていても、空気層を支障なく通気させることができる。
【0017】
また、一方の第1胴縁部材が、複数の略四角柱状の部材を間隔を介して直線状に配して構成されるとともに、一対の第2胴縁部材との間にも間隔を介して構成されているので、縦方向に隣接する2つの屋根用パネルが横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル間の空気層を支障なく通気することができる。
【0018】
また、本発明の屋根用パネルによれば、複数の屋根用パネルを屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、従来のように遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネルを垂木の上に施工することにより、遮熱材と胴縁と野地板とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【0019】
また、第3には、上記第2の構成において、該一方の第1胴縁部材を構成する複数の略四角柱状の部材間の間隔及び該一方の第1胴縁部材と第2胴縁部材との間隔が、隣接する凹部間の該一定の間隔よりも大きく形成されていることを特徴とする。よって、縦方向に隣接する2つの屋根用パネルが横方向に任意の位置にずれて施工された場合でも、隣接する屋根用パネルにおける他方の第1胴縁部材の凹部の少なくとも一部が、上記各隙間に臨むので、野地板と遮熱材間の空気層間を縦方向に隣接する屋根用パネル間で通気させることができる。
【0020】
また、第4には、上記第1から第3までのいずれかの構成において、野地板及び遮熱材が長方形状を呈し、野地板の長辺に沿って第1胴縁部材が設けられ、野地板の短辺に沿って第2胴縁部材が設けられ、2つの第1胴縁部材において、複数の凹部における各凹部が長辺方向において同じ位置に設けられ、屋根用パネルの長辺側同士が接した状態で2つの屋根用パネルを隣接させた際に、屋根用パネルの長辺の長さの2分の1の長さだけずらした隣接した場合及び屋根用パネルの長辺の長さの4分の1の長さだけずらした隣接した場合に、2つの屋根用パネルにおける互いに対応する凹部において一方の凹部における他方の凹部側の領域の少なくとも一部が他方の凹部における一方の凹部側の領域と対向することを特徴とする。よって、縦方向に隣接する屋根用パネル同士の空気層の通気に支障を来すことがない。
【0021】
また、第5には、上記第4の構成において、野地板は、その長辺が胴縁の長辺方向の最大長さと同じに形成されるとともに、その短辺が胴縁の短辺方向の最大長さと同じに形成され、一方の第1胴縁部材における外側面を正面側とした場合に、野地板の正面側の端部は、該胴縁の正面側の端部よりも正面側に突出して形成され、野地板の背面側の端部は、背面側の第1胴縁部材の上面に位置し、野地板の右側面側の端部は胴縁の右側面側の端部である一方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成され、野地板の左側面側の端部は胴縁の左側面側の端部である他方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成され、遮熱材は、野地板の外形と同じ大きさに形成され、遮熱材の正面側の端部は、胴縁の正面側の端部と長辺方向において一致して形成され、遮熱材の背面側の端部は、胴縁の背面側の端部である他方の第1胴縁部材の外側面と前後方向において一致して形成され、遮熱材の右側面側の端部は胴縁の右側面側の端部である一方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成され、遮熱材の左側面側の端部は胴縁の左側面側の端部である他方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成されていることを特徴とする。
【0022】
よって、縦方向に屋根用パネルを隣接して施工した場合に、野地板の正面側の下面が正面側に隣接する屋根用パネルの胴縁部材の上面に接した状態で、野地板の正面側の端部が正面側に隣接する屋根用パネルの野地板の背面側に当接するので、屋根用パネルの内側の密閉度を高くすることができる。
【0023】
また、第6には、上記第5の構成において、胴縁を構成する一対の第1胴縁部材における正面側の第1胴縁部材の正面側の外側面は、遮熱材の正面側の端部と前後方向において一致して形成されていることを特徴とする。
【0024】
よって、縦方向に屋根用パネルを隣接して施工する場合には、一方の屋根用パネルの正面側の第1胴縁部材と、他方の屋根用パネルの背面側の第1胴縁部材とを接するように並べて配置すればよいので、屋根用パネルの施工が容易である。
【0025】
また、第7には、上記第5の構成において、胴縁を構成する一対の第1胴縁部材における正面側の第1胴縁部材は、遮熱材の正面側の端部及び胴縁の正面側の端部をなす第2胴縁部材の正面側の端部よりも背面側にずれて形成され、該正面側の第1胴縁部材と遮熱材の正面側の端部との間には間隔が設けられていることを特徴とする。
【0026】
よって、縦方向に屋根用パネルを隣接して施工した場合に、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)の正面側の第1胴縁部材と、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)の背面側の第1胴縁部材との間には隙間が形成され、縦方向に隣接する2つの屋根用パネルが横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル間の空気層の通気に支障を来すことがない。
【0027】
なお、上記第5の構成において、上記一方の第1胴縁部材が、複数の略四角柱状の部材を間隔を介して直線状に配して構成され、複数の部材における一部が、遮熱材の正面側の端部と一致して形成され、複数の部材における該一部の部材以外の部材が、遮熱材の正面側の端部及び胴縁の正面側の端部をなす第2胴縁部材の正面側の端部よりも背面側にずれて形成され、該背面側にずれた部材と遮熱材の正面側の端部との間には間隔が設けられている構成としてもよい。
【0028】
また、第8には、上記第1から第7までのいずれかの構成において、上記一対の第1胴縁部材の間の位置に、一対の第1胴縁部材に平行に設けられた略四角柱状の内側第1胴縁部材で、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された内側第1胴縁部材が設けられ、また、上記一対の第2胴縁部材の間の位置に、一対の第2胴縁部材に平行に設けられた略四角柱状の内側第2胴縁部材で、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された内側第2胴縁部材が設けられていることを特徴とする。よって、屋根用パネルの強度をより向上させることができる。
【0029】
また、第9には、木造家屋の屋根の垂木に取り付ける屋根用パネルであって、板状の野地板と、野地板の一方の面に設けられた胴縁で、互いに平行に設けられた複数の略四角柱状の胴縁部材を有し、各胴縁部材が、長手方向の両側面を連通する凹部を野地板側に有する胴縁と、胴縁の野地板側とは反対側に設けられた板状の遮熱材で、一対のシート状のアルミニウム層の間に複数の樹脂製空気袋を有する遮熱材と、を有し、野地板と遮熱材との間に空気層が形成されていることを特徴とする。
【0030】
この第9の構成の屋根用パネルにおいては、胴縁部材を垂木に対して直角方向として垂木の上に施工する。屋根用パネルにおいては、胴縁部材が垂木に対して直角方向に施工できるので、剛性の低い遮熱材を用いても、垂木の上に配置する際に垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。また、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられていて、該胴縁部材の上から釘で打ち付ける等により垂木に固定されるので、施工後の屋根用パネルの強度も十分確保することができる。また、胴縁部材材には凹部が設けられているので、胴縁部材が垂木に対して直角の方向に施工されても、空気層を支障なく通気させることができる。
【0031】
また、本発明の屋根用パネルによれば、複数の屋根用パネルを屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、従来のように遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネルを垂木の上に施工することにより、遮熱材と胴縁と野地板とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【0032】
また、第10には、上記第9の構成において、野地板及び遮熱材が長方形状を呈し、野地板の長辺に沿って上記胴縁部材が設けられ、複数の胴縁部材において、複数の凹部における各凹部が長辺方向において同じ位置に設けられ、屋根用パネルの長辺側同士が接した状態で2つの屋根用パネルを隣接させた際に、屋根用パネルの長辺の長さの2分の1の長さだけずらした隣接した場合及び屋根用パネルの長辺の長さの4分の1の長さだけずらした隣接した場合に、2つの屋根用パネルにおける互いに対応する凹部において一方の凹部における他方の凹部側の領域の少なくとも一部が他方の凹部における一方の凹部側の領域と対向することを特徴とする。よって、縦方向に隣接する屋根用パネル同士の空気層の通気に支障を来すことがない。
【0033】
また、第11には、上記第1から第10までのいずれかの構成において、上記遮熱材が、一対のシート状のアルミニウム層の間に複数の樹脂製空気袋を有する構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に基づく屋根用パネルによれば、胴縁部材が垂木に対して直角方向に施工できるので、剛性の低い遮熱材を用いても、垂木の上に配置する際に垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。特に、胴縁が第1胴縁部材と第2胴縁部材とにより枠状(又は略枠状)に形成される場合には、胴縁の剛性を高くすることができ、剛性の低い遮熱材を用いても屋根用パネル全体の剛性を高くすることができ、屋根への施工に際して、屋根用パネルが撓むことがない。
【0035】
また、垂木に対して直角の方向となる胴縁部材が設けられていて、該胴縁部材の上から釘で打ち付ける等により垂木に固定されるので、施工後の屋根用パネルの強度も十分確保することができる。また、胴縁部材材には凹部が設けられているので、胴縁部材が垂木に対して直角の方向に施工されても、空気層を支障なく通気させることができる。
【0036】
また、本発明の屋根用パネルによれば、複数の屋根用パネルを屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、従来のように遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネルを垂木の上に施工することにより、遮熱材と胴縁と野地板とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明においては、断熱材と通気用の胴縁とを有する屋根用パネルにおいて、全体の剛性を十分確保することができ、特に、剛性の低い断熱材を使用しても屋根用パネルの剛性を十分確保できて、屋根への施工に支障がなく、また、施工後の屋根自体の剛性も十分確保することができる屋根用パネルを提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0038】
なお、図1(実施例1)、図10(実施例2)、図11(実施例3)、図12(実施例4)において、(a)は屋根用パネルの平面図を示し、(b)は屋根用パネルの正面図を示し、(c)は屋根用パネルの側面図を示すものである。また、図3において、Y1−Y2方向は、X1−X2方向に直角な方向であり、Z1−Z2方向は、X1−X2方向及びY1−Y2方向に直角な方向である。
【実施例1】
【0039】
本発明に基づく屋根用パネル5は、図1〜図4に示すように構成され、野地板10と、胴縁20と、遮熱材(「断熱材」としてもよい。他においても同じ)50とを有していて、野地板10と遮熱材50との間には、空気層が形成されている。
【0040】
ここで、野地板10は、方形状(具体的には、長方形状)の板状に形成され、木製の合板により形成されている。
【0041】
また、胴縁20は、枠状に形成され、胴縁部材22と、胴縁部材24と、胴縁部材26と、胴縁部材28と、胴縁部材30と、胴縁部材32と、胴縁部材34aと、胴縁部材34bと、胴縁部材34cとを有している。各胴縁部材は、ともに、木製であり、棒状を呈している。すなわち、各胴縁部材は、略四角柱状を呈し、四角柱状(角材状)に複数の凹部40を間隔を介して設けた形状を呈している。胴縁部材22、24、26、28は、野地板10の長手辺と平行に設けられ、胴縁部材22、24、26、28における各胴縁部材は互いに平行に設けられている。また、胴縁部材30、32、34a、34b、34cは、野地板10の短手辺と平行に設けられ、胴縁部材30と胴縁部材32と胴縁部材34a、34b、34cとは互いに平行に設けられ、胴縁部材30、32、34a、34b、34cは、胴縁部材22、24、26、28と直角方向に形成されている。
【0042】
胴縁部材22は、野地板10の背面側の辺部10Bに沿って設けられ、胴縁部材22の背面側の面は、野地板10の背面側の辺部10Bから背面側に突出して形成されている。つまり、胴縁部材22の背面側の端部と野地板10の背面側の端部(辺部)間には、間隔S1が形成されている。これにより、野地板10の背面側の端部は、背面側の胴縁部材22の上面に位置している。また、胴縁部材22の長さは、野地板10の長手辺の長さに対して胴縁部材30の幅と胴縁部材32の幅の分だけ短く形成されている。
【0043】
また、胴縁部材24は、胴縁部材22と平行に胴縁部材22よりも正面側に間隔を介して設けられている。胴縁部材24の構成は、胴縁部材22と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0044】
また、胴縁部材26は、胴縁部材22、24と平行に胴縁部材24よりも正面側に間隔を介して設けられている。胴縁部材26の構成は、胴縁部材22と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0045】
また、胴縁部材28は、胴縁部材22、24、26と平行に胴縁部材26よりも正面側に間隔を介して設けられている。つまり、胴縁部材28は、野地板10の正面側の辺部10Aに沿って設けられ、胴縁部材28の正面側の面は、野地板10の正面側の端部よりも背面側にずれた位置となっている。つまり、胴縁部材28の正面側の端部と野地板10の正面側の端部(辺部)間には、間隔S2が形成されていて、間隔S1と間隔S2とは同じ長さとなっている。すなわち、胴縁部材22が野地板10の辺部10Bから突出した長さだけ胴縁部材28の正面側の面が野地板10の辺部10Aから背面側の位置にある。つまり、野地板10と胴縁20の外形は同大同形状に形成され、野地板10が幅S1(=S2)だけ胴縁20に対して正面側にずれて形成されているといえる。つまり、野地板10の正面側の端部は、胴縁20の正面側の端部(つまり、胴縁部材28の正面側の端部)よりも正面側に突出して形成されている。胴縁部材28の構成は、胴縁部材22と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0046】
なお、胴縁部材22と胴縁部材24間の距離S11と胴縁部材24と胴縁部材26間の距離S12とは略同一に形成され、胴縁部材26と胴縁部材28間の距離S13は、S11、S12よりも若干短く形成されている。
【0047】
また、胴縁部材30は、野地板10の左側面側の辺部10Cに沿って設けられ、胴縁部材30の左側面側の面は、野地板10の辺部10Cと左右方向(長辺方向)において一致している。つまり、胴縁部材30の左側面側の面と、野地板10の辺部10C側の端部とは面一となっている。この胴縁部材30の長さは、野地板10の短手方向の長さと同一に形成され、胴縁部材30の背面側の端部は、胴縁部材22と同様に、野地板10の背面側の辺部10Bから突出して形成され、胴縁部材30の正面側の端部は、胴縁部材28と同様に、野地板10の正面側の辺部10Aよりも背面側にある。つまり、胴縁部材30の背面側の面と胴縁部材22の背面側の面とは面一に形成され、胴縁部材30の正面側の面と胴縁部材28の正面側の面とは面一に形成されている。
【0048】
また、胴縁部材32は、野地板10の右側面側の辺部10Dに沿って設けられ、胴縁部材32の右側面側の面は、野地板10の辺部10Dと左右方向において一致している。つまり、胴縁部材32の右側面側の面と、野地板10の辺部10D側の端部とは面一となっている。この胴縁部材32の長さは、野地板10の短手方向の長さと同一に形成され、胴縁部材32の背面側の端部は、胴縁部材22と同様に、野地板10の背面側の辺部10Bから突出して形成され、胴縁部材32の正面側の端部は、胴縁部材28と同様に、野地板10の正面側の辺部10Aよりも背面側にある。つまり、胴縁部材32の背面側の面と胴縁部材22の背面側の面とは面一に形成され、胴縁部材32の正面側の面と胴縁部材28の正面側の面とは面一に形成されている。この胴縁部材32は、胴縁部材30と平行に設けられ、その長さは、胴縁部材30の長さと同一に形成されている。
【0049】
また、胴縁部材34aは、胴縁部材30、32と平行に設けられ、胴縁部材22と胴縁部材24間に設けられている。すなわち、胴縁部材34aは、胴縁部材22と胴縁部材24間の間隔の長さに形成され、胴縁部材34aの背面側の端部は、胴縁部材22の正面側の面に接して設けられ、胴縁部材34aの正面側の端部は、胴縁部材24の背面側の面に接して設けられている。また、胴縁部材34aは、胴縁部材30と胴縁部材32間の位置に設けられ、胴縁部材30及び胴縁部材32から等距離の位置に設けられている。
【0050】
また、胴縁部材34bは、胴縁部材30、32と平行に設けられ、胴縁部材24と胴縁部材26間に設けられている。すなわち、胴縁部材34bは、胴縁部材24と胴縁部材26間の間隔の長さに形成され、胴縁部材34bの背面側の端部は、胴縁部材24の正面側の面に接して設けられ、胴縁部材34bの正面側の端部は、胴縁部材26の背面側の面に接して設けられている。また、胴縁部材34bは、胴縁部材30と胴縁部材32間の位置に設けられ、胴縁部材30及び胴縁部材32から等距離の位置に設けられている。
【0051】
また、胴縁部材34cは、胴縁部材30、32と平行に設けられ、胴縁部材26と胴縁部材28間に設けられている。すなわち、胴縁部材34cは、胴縁部材26と胴縁部材28間の間隔の長さに形成され、胴縁部材34cの背面側の端部は、胴縁部材26の正面側の面に接して設けられ、胴縁部材34cの正面側の端部は、胴縁部材28の背面側の面に接して設けられている。また、胴縁部材34cは、胴縁部材30と胴縁部材32間の位置に設けられ、胴縁部材30及び胴縁部材32から等距離の位置に設けられている。
【0052】
胴縁部材34aと胴縁部材34bと胴縁部材34cとは左右方向において同じ位置に設けられ、直線状に配設されている。
【0053】
胴縁20を構成する上記各胴縁部材22、24、26、28、30、32、34a、34b、34c(以下「胴縁部材22等」とする)は、野地板10に接着剤により接着して固定されている。
【0054】
また、胴縁部材22等の横断面形状(凹部40が設けられていない位置の断面形状)は、方形状であり、具体的には、水平方向の幅S21は、高さ方向の幅S22よりも大きく形成されている。
【0055】
また、胴縁部材22等には凹部40が形成されているが、凹部40は、一定の間隔ごとに設けられ、各凹部40の形状は、胴縁部材22等の水平の幅方向(図3におけるY1−Y2方向)に胴縁部材22等の一方の端部から他方の端部にまで形成され(つまり、凹部40は、胴縁部材の長手方向の両側面を連通している)、その上面側(Z2側)から底面側(Z1側)にいくに従い、凹部の幅(X1−X2方向の幅)が小さくなるように形成されている。すなわち、凹部40の内底面の縦断面形状は、円弧又は楕円弧形状に形成され、凹部40の縦断面形状は、水平の幅方向において同大同形状に形成されている。凹部40が上記のように形成されていることにより、胴縁部材22等の凹部40の形成側の面に野地板10が設けられるが、胴縁部材22等の一方の側面方向(Y1方向とY2方向の一方)から他方の側面方向(Y1方向とY2方向の他方)に通気可能となっている。また、胴縁部材22等における各凹部40は、同じ構成(つまり、同大同形状)となっている。
【0056】
なお、胴縁部材22、24、26、28においては、凹部40は左右方向(長辺方向)に同じ位置に形成され、胴縁部材30、32、34a〜34cにおいては、凹部40は前後方向(短辺の方向)に同じ位置に形成されている。
【0057】
また、凹部40は、縦方向に隣接した2つの屋根用パネル5において、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、2つの屋根用パネル5において、凹部40の少なくとも一部が対向するように形成されている。つまり、縦方向に隣接した2つの屋根用パネル5において、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向している。つまり、正面視において、凹部40の領域の少なくとも一部同士が重なり合っている。
【0058】
すなわち、胴縁部材22、24、26、28において、左右方向の両端に位置する凹部40から胴縁部材20の左右方向の端部(距離が短い方の端部)までの長さS25は、隣接する凹部40間の長さS23の半分よりも若干長く形成されているので、縦方向に2つの屋根用パネル5を隣接させた場合に、左右方向にずれた位置で隣接させると、凹部40の位置が若干ずれることになるが、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、2つの屋根用パネル5において、凹部40の少なくとも一部が対向するように形成されている。
【0059】
また、各胴縁部材における隣接する凹部40間の長さS23は、凹部40の胴縁部材の長手方向の長さS24よりも長く形成されている。
【0060】
また、胴縁20を構成する各胴縁部材の接続位置は、凹部40が設けられていない位置であり、例えば、胴縁部材22、24、26、28と胴縁部材30、32の接続位置は、凹部40が設けられていない位置であり、また、胴縁部材34aの胴縁部材22、24に対する接続位置や胴縁部材34bの胴縁部材24、26に対する接続位置や胴縁部材34cの胴縁部材26、28に対する接続位置は、凹部40が設けられていない位置となっている。これにより、凹部40による通気の障害となることがない。
【0061】
なお、胴縁20は、少なくとも胴縁部材22、28、30、32により枠状に形成されているといえる。また、胴縁部材22、24、26、28は、上記第1胴縁部材に当たり、胴縁部材30、32、34a、34b、34cは、上記第2胴縁部材に当たる。また、胴縁部材24、26は、上記内側第1胴縁部材に当たり、胴縁部材34a、34b、34cは、上記内側第2胴縁部材に当たる。
【0062】
また、遮熱材50は、胴縁20の野地板10とは反対側に設けられ、全体に略板状(略シート状としてもよい)を呈している。この遮熱材50は、一対のシート状のアルミニウム層52、62間に複数の空気袋(樹脂製空気袋)64が設けられたものであり、アルミニウム層52とポリエチレン層54とバブル層56とポリエチレン層60とアルミニウム層62とを有している。
【0063】
すなわち、アルミニウム層52は、シート状のアルミニウムにより形成されている。また、ポリエチレン層54は、アルミニウム層52の上面に接着して形成され、シート状のポリエチレンにより形成されている。また、バブル層56は、ポリエチレン層54の上面に接着して形成され、ポリエチレン製であり、所定の間隔で円柱状の凸部58を有している。つまり、バブル層56は、所定の間隔で円形の開口部が形成されたベース部57と、該ベース部57の開口部の位置に設けられた凸部58とを有し、凸部58は、円筒状の筒状部58aと筒状部58aの上端を被覆する上面部58bとからなる形状を有している。この凸部58の下面は、ポリエチレン層54により被覆されるので、このポリエチレン層54と凸部58により空気袋64が形成される。
【0064】
また、ポリエチレン層60は、バブル層56の上面に接着して形成され(つまり、凸部58の上面に接着している)、シート状のポリエチレンにより形成されている。また、アルミニウム層62は、シート状のアルミニウムにより形成され、ポリエチレン層60の上面に接着して形成されている。遮熱材50における上下方向に隣接する部材は、熱溶着により接着されている。
【0065】
遮熱材50の外形は、胴縁20の外形に合わせて形成されている。すなわち、遮熱材50の正面側の端部は胴縁部材28の正面側の面と面一であり、遮熱材50の背面側の端部は胴縁部材22の背面側の面と面一であり、遮熱材50の左側面側の端部は胴縁部材30の左側面側の面と面一であり、遮熱材50の右側面側の端部は胴縁部材32の右側面側の面と面一となっている。
【0066】
遮熱材50は、上記のように構成されているので、遮熱材50の一方の面と他方の面とで断熱を行なうことができ、アルミニウム層52、62により輻射熱が反射され、また、空気袋62によっても断熱が行われる。
【0067】
なお、遮熱材50は上記のように構成されているので、全体の剛性は低いものであるといえる。この遮熱材50は、胴縁20に対して、接着剤又はタッカーにより固着されている。
【0068】
なお、屋根用パネル5の長辺の長さは、平行に設けられた複数の垂木において隣接する垂木間のピッチの4倍の長さに形成されている。
【0069】
上記構成の屋根用パネル5の使用状態について説明する。屋根用パネル5は、垂木の奥側に施工して使用する。すなわち、図5に示すように、垂木500は、棟木(むねぎ)522と軒桁(のきげた)524間に互いに平行に設けられるが、この垂木500の上面に施工する。
【0070】
屋根用パネル5の施工に際しては、野地板10を屋外側とし遮熱材50を屋内側とし、屋根用パネル5の長辺を垂木500に対して直角方向として施工し、垂木500には、野地板10側から釘を垂木500に対して打ち付けることにより垂木500に固定する。つまり、胴縁20を構成する胴縁部材22、24、26、28が垂木500に対して直角方向に施工される。また、屋根用パネル5において釘を打つ位置は、胴縁20を構成する各胴縁部材の位置であり、垂木500に対して直角方向の胴縁部材22、24、26、28は垂木500と交差するので、胴縁部材22、24、26、28における垂木500の位置に釘を打ち付ければよい。なお、垂木500と平行となる胴縁部材30、32、34a〜34cが垂木500の上面にある場合には、これらの胴縁部材30、32、34a〜34cにも釘を打ち付けることができる。
【0071】
なお、実際には、図5、図6に示すように、屋根用パネル5の左右端部を垂木500の幅方向(左右方向)の中央に位置するように配置して、野地板10の側から垂木500に対して釘で打ち付ける。
【0072】
なお、隣接する屋根用パネル5の施工に際しては、横方向に隣接する2つの屋根用パネル5については、胴縁部材30の外面(左側面)と胴縁部材32の外面(右側面)とを接するように配置して施工し、縦方向に隣接する(「上下方向に隣接する」としてもよい。他においても同じ)2つの屋根用パネル5については、胴縁部材28の外面(正面)と胴縁部材22の外面(背面)とを接するように配置して施工する。すると、野地板10の正面側の辺部10Aと、正面側に隣接する屋根用パネル5の野地板10の背面側の辺部10Bとは互いに当接し、同様に、遮熱材50の正面側の辺部と、正面側に隣接する屋根用パネル5の遮熱材50の背面側の辺部とは互いに当接する。
【0073】
なお、野地板10と遮熱材50の間の空気層においては、太陽熱により屋根用パネル5が加熱されることにより上昇気流が発生するが、胴縁部材22等(特に、垂木500に対して直角に設けられる胴縁部材22、24、26、28)には、凹部40が形成されているので、凹部40を介して通気させることができる。
【0074】
なお、凹部40は、縦方向に隣接した2つの屋根用パネル5において、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、2つの屋根用パネル5において、凹部40の少なくとも一部が対向するように形成されているので、縦方向に隣接する屋根用パネル5同士の通気に支障を来すことがない。つまり、屋根用パネル5の長辺側同士が接した状態で2つの屋根用パネル5を隣接させた際に、屋根用パネル5の長辺の長さの2分の1の長さだけずらした隣接した場合及び屋根用パネル5の長辺の長さの4分の1の長さだけずらした隣接した場合に、2つの屋根用パネル5における互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部側の領域と対向するので、縦方向に隣接する屋根用パネル5同士の空気層の通気に支障を来すことがない。
【0075】
すなわち、図7に示すように、縦方向に隣接して施工される屋根用パネル5−Aと屋根用パネル5−Bとが垂木500間のピッチ長さの2つ分ずれて施工された場合(つまり、図7の例では、屋根用パネル5−Bの左端は、屋根用パネル5−Aの左右方向の中間位置にある)には、屋根用パネル5−Bの凹部40が屋根用パネル5−Aの凹部40よりも若干右側にずれるが、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向しているので、屋根用パネル5−Aと屋根用パネル5−B間の通気に支障を来すことがない。
【0076】
また、図8に示すように、縦方向に隣接して施工される屋根用パネル5−Aと屋根用パネル5−Bとが垂木500間のピッチ長さの1つ分ずれて施工された場合(つまり、図8の例では、屋根用パネル5−Bの左端は、屋根用パネル5−Aの左端から屋根用パネル5−Aの左右方向の長さの4分の1の長さ(=T10)の位置にある)には、屋根用パネル5−Bの凹部40が屋根用パネル5−Aの凹部40よりも若干右側にずれるが、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向しているので、屋根用パネル5−Aと屋根用パネル5−B間の通気に支障を来すことがない。
【0077】
さらに、図9に示すように、縦方向に隣接して施工される屋根用パネル5−Aと屋根用パネル5−Bとが垂木500間のピッチ長さの3つ分ずれて施工された場合(つまり、図9の例では、屋根用パネル5−Bの左端は、屋根用パネル5−Aの右端から屋根用パネル5−Aの左右方向の長さの4分の1の長さ(=T11)の位置にある)には、屋根用パネル5−Bの凹部40が屋根用パネル5−Aの凹部40よりも若干右側にずれるが、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向しているので、屋根用パネル5−Aと屋根用パネル5−B間の通気に支障を来すことがない。
【0078】
なお、図5において、屋根用パネル5よりも小さい大きさの屋根用パネル5−1、5−2は、施工面積に応じて小さく形成されたものであり、この場合には、屋根用パネル5を切断することにより形成する。なお、屋根用パネル5の切断の方法としては、屋根用パネル5自体を切断する方法と、野地板10と胴縁20とが固着された部材と遮熱材50とを予め別々に作成し、それぞれを必要な大きさに切断した後に、切断された遮熱材50を切断された胴縁20に対して固着してもよい。
【0079】
また、施工対象の状況(例えば、施工対象の形状)によっては、屋根用パネル5の短辺を垂木500に対して直角に施工することも可能である。すなわち、胴縁部材30、32、34a〜34cにも凹部40が形成されているので、胴縁部材30、32、34a〜34cを垂木500に対して直角に施工しても通気を行なうことができる。
【0080】
以上のように、本実施例の屋根用パネル5においては、胴縁20において、互いに平行に設けられた胴縁部材22、24、26、28に対して、胴縁部材30、32、34a〜34cが直角に設けられていて、特に、胴縁部材22、30、28、32により枠状に形成されているので、胴縁20の剛性を高くすることができ、屋根用パネル5全体の剛性を高くすることができる。特に、本実施例における遮熱材50は剛性が低いものであるが、胴縁20の剛性が高いので、屋根用パネル5全体の剛性を十分高くすることができる。よって、屋根への施工に際して、屋根用パネル5を撓むことがなく、施工が容易となる。特に、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、28が設けられているので、垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木500の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。
【0081】
また、本実施例の屋根用パネル5においては、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、28が設けられていて、これらも垂木500に固定されるので、施工後の屋根用パネル5の強度も十分確保することができる。特に、屋根用パネル5の長辺に沿って胴縁部材22、28が設けられていて、これらが垂木500に固定されるので、屋根用パネル5が垂木500から長辺の側から剥がれてしまうおそれがない。
【0082】
また、胴縁部材が垂木500に対して直角方向に施工されても各胴縁部材には凹部40が設けられているので、野地板10と遮熱材50間の空間の通気に支障はない。
【0083】
また、屋根用パネル5においては、野地板10が胴縁20に対して正面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル5を隣接して施工した場合に、野地板10の正面側の下面が正面側に隣接する屋根用パネル5の胴縁部材22の上面に接した状態で、野地板10の正面側の端部が正面側に隣接する屋根用パネル5の野地板10の背面側に当接するので、屋根用パネル5の内側の密閉度を高くすることができる。
【0084】
また、屋根用パネル5には、長辺に平行に形成された胴縁部材22、24、26、28と、長辺と直角の短辺に平行に形成された胴縁部材30、32、34a〜34cとが設けられ、各胴縁部材には凹部40が設けられているので、屋根用パネル5の長辺を垂木500に直角にして施工する場合と該長辺を垂木500に平行にして施工する場合のいずれの場合にも施工可能であり、施工対象の状況に応じて臨機応変に施工することができる。
【0085】
また、屋根用パネル5においては、胴縁部材20が胴縁部材22、28、30、32により枠状に形成されているので、屋根用パネル5の施工に際して、隣接する屋根用パネル5における胴縁20を接するように並べて施工すればよいので、施工が容易である。
【0086】
また、胴縁部材22と胴縁部材28間には、胴縁部材24、26が設けられ、また、胴縁部材30と胴縁部材32間には、胴縁部材34a、34b、34cが設けられているので、胴縁20の強度をより向上させることができ、結果として、屋根用パネルの強度をより向上させることができる。
【0087】
また、屋根用パネル5によれば、複数の屋根用パネル5を屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、図13に示すように、遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネル5を垂木の上に施工することにより、遮熱材50と胴縁20と野地板10とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【実施例2】
【0088】
次に、実施例2の屋根用パネルについて説明する。実施例2の屋根用パネル105は、図10に示すように構成され、実施例1の屋根用パネル5と略同様の構成であるが、胴縁20において、正面側の胴縁部材が、複数の胴縁部材により間隔を介して形成されている点が異なる。
【0089】
すなわち、野地板10の正面側の辺部10Aに沿って、胴縁部材128aと胴縁部材128bと胴縁部材128cとが互いに間隔を介して直線状に設けられている。すなわち、実施例1における胴縁部材28の代わりに、胴縁部材128a、128b、128cが設けられている。
【0090】
ここで、胴縁部材128bは、胴縁部材34cの正面側の端部に接して設けられ、胴縁部材34cが胴縁部材128bの長さ方向の中央位置に接するように設けられている。
【0091】
また、胴縁部材128aは、胴縁部材128bと胴縁部材30との間の位置に設けられ、胴縁部材128aと胴縁部材128b間には隙間が設けられ、さらに、胴縁部材128aと胴縁部材30間にも隙間が設けられている。
【0092】
胴縁部材128cは胴縁部材128aと対称に設けられている。すなわち、胴縁部材128cは、胴縁部材128bと胴縁部材32との間の位置に設けられ、胴縁部材128cと胴縁部材128b間には隙間が設けられ、さらに、胴縁部材128cと胴縁部材32間にも隙間が設けられている。
【0093】
胴縁部材128a、128b、128cの前後方向(正面と背面間の方向)における形成位置は、実施例1の胴縁部材28と同様であり、胴縁部材128a〜128cの正面側の面は、野地板10の正面側の端部よりも背面側にずれた位置となっていて、胴縁部材128a〜128cの正面側の端部と野地板10の正面側の端部(辺部)間には、間隔S2(=S1)が形成されている。
【0094】
また、胴縁部材128aの野地板10側には、2つの凹部40が形成され、胴縁部材128bの野地板10側には、2つの凹部40が形成され、胴縁部材128cの野地板10側には、2つの凹部40が形成されている。ここで、胴縁部材128aに設けられた2つの凹部40は、実施例1の屋根用パネル5の胴縁部材28における左から3番目と4番目の凹部40の位置に設けられ、また、胴縁部材128bに設けられた2つの凹部40は、実施例1の屋根用パネル5の胴縁部材28における左から6番目と7番目の凹部40の位置に設けられ、また、胴縁部材128cに設けられた2つの凹部40は、実施例1の屋根用パネル5の胴縁部材28における左から9番目と10番目の凹部40の位置に設けられている。これにより、屋根用パネル(第1屋根用パネル)105の正面側に屋根用パネル(第2屋根用パネル)105を隣接して施工した場合に、左右方向にずれていない場合には、屋根用パネル(第1屋根用パネル)105の胴縁部材128a、128b、128cに設けられた凹部40は、屋根用パネル(第2屋根用パネル)105の胴縁部材22に設けられた凹部40と対応することになる。
【0095】
なお、胴縁部材30と胴縁部材128a間の隙間29aの長さS31と、胴縁部材128aと胴縁部材128b間の隙間29bの長さS32と、胴縁部材128bと胴縁部材128c間の隙間29cの長さS33と、胴縁部材128cと胴縁部材32間の隙間29dの長さS34は、いずれも胴縁部材22における隣接する凹部40間の長さS35よりも長く形成され、屋根用パネル105の正面側に隣接する屋根用パネル105が左右方向にいずれの位置にずれても、凹部40の少なくとも一部が上記各隙間(隙間29aと、隙間29bと、隙間29cと、隙間29d)に臨むようになっている。これにより、屋根用パネル105の正面側に隣接する屋根用パネル105が左右方向にいずれの位置にずれても、野地板10と遮熱材50間の空間を縦方向に隣接する屋根用パネル105間で通気させることができる。
【0096】
なお、屋根用パネル105は、少なくとも胴縁部材22、128a、128b、128c、30、32により略枠状に形成されているといえる。
【0097】
胴縁部材128a、128b、128cにおける横断面の形状及び大きさや凹部40の形状及び大きさは、他の胴縁部材と同様である。また、胴縁部材128a、128b、128cにおいても、隣接する凹部40間の長さや凹部40の胴縁部材の長手方向の長さは、上記と同様である。つまり、隣接する凹部40間の長さは、長さS23と同じであり、凹部40の胴縁部材の長手方向の長さは、長さS24と同じである。
【0098】
胴縁部材128a、128b、128cは、他の胴縁部材と同様に、野地板10に接着剤により接着して固着されている。また、遮熱材50は、他の胴縁部材に対してと同様に、胴縁部材128a、128b、128cに対して、接着剤又はタッカーにより固着されている。
【0099】
なお、実施例2の屋根用パネル105においては、胴縁部材128a、128b、128cの構成以外の構成は実施例1と同様の構成であるので詳しい説明を省略する。
【0100】
実施例2の屋根用パネル105の使用状態も実施例1の屋根用パネル5と同様であり、野地板10を屋外側とし遮熱材50を屋内側とし、屋根用パネル105の長辺を垂木500に対して直角方向として施工し(胴縁部材22、24、26、128a〜128cを垂木500に対して直角方向に施工する)、特に、隣接する屋根用パネル105の施工に際しては、横方向に隣接する2つの屋根用パネル105については、胴縁部材30の外面(左側面)と胴縁部材32の外面(右側面)とを接するように配置して施工し、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル105については、胴縁部材28の外面(正面)と胴縁部材22の外面(背面)とを接するように配置して施工する。すると、野地板10の正面側の辺部10Aと、正面側に隣接する屋根用パネル105の野地板10の背面側の辺部10Bとは互いに当接し、同様に、遮熱材50の正面側の辺部と、正面側に隣接する屋根用パネル105の遮熱材50の背面側の辺部とは互いに当接する。
【0101】
なお、屋根用パネル105においては、隙間29a、29b、29c、29dが設けられているので、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル105が横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル105間の通気に支障を来すことがない。特に、凹部40の位置が対応しない場合でも(特に、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向しない場合でも)、凹部40の少なくとも一部が上記各隙間(隙間29aと、隙間29bと、隙間29cと、隙間29d)に臨むので、横方向に任意の位置にずれて施工されても、野地板10と遮熱材50間の空気層(空間)を縦方向に隣接する屋根用パネル105間で通気させることができる。
【0102】
なお、当然、縦方向に隣接した2つの屋根用パネル105において、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、隣接する屋根用パネル105間で通気に支障を来すことがない。
【0103】
また、施工対象の状況(例えば、施工対象の形状)によっては、屋根用パネル105の短辺を垂木500に対して直角に施工することも可能である。
【0104】
以上のように、本実施例の屋根用パネル105においては、胴縁20において、互いに平行に設けられた胴縁部材22、24、26、128a〜128cに対して、胴縁部材30、32、34a〜34cが直角に設けられていて、特に、胴縁部材22、30、128a〜128c、32により枠状に形成されているので、胴縁20の剛性を高くすることができ、屋根用パネル105全体の剛性を高くすることができる。特に、本実施例における遮熱材50は剛性が低いものであるが、胴縁20の剛性が高いので、屋根用パネル105全体の剛性を十分高くすることができる。よって、屋根への施工に際して、屋根用パネル105を撓むことがなく、施工が容易となる。特に、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、128a〜128cが設けられているので、垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木500の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。
【0105】
また、本実施例の屋根用パネル105においては、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、128a〜128cが設けられていて、これらも垂木500に固定されるので、施工後の屋根用パネル105の強度も十分確保することができる。特に、屋根用パネル105の長辺に沿って胴縁部材22、128a〜128cが設けられていて、これらが垂木500に固定されるので、屋根用パネル105が垂木500から長辺の側から剥がれてしまうおそれがない。
【0106】
また、胴縁部材が垂木500に対して直角方向に施工されても各胴縁部材には凹部40が設けられているので、野地板10と遮熱材50間の空間の通気に支障はない。特に、屋根用パネル105においては、隙間29a、29b、29c、29dが設けられているので、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル105が横方向にずれて施工された場合に、凹部40の位置が対応しない場合でも、凹部40の少なくとも一部が上記各隙間(隙間29aと、隙間29bと、隙間29cと、隙間29d)に臨むので、縦方向に隣接する屋根用パネル105において、左右方向の任意の位置にずれても、野地板10と遮熱材50間の空間を縦方向に隣接する屋根用パネル105間で通気させることができ、屋根用パネル105の施工が極めて容易となる。
【0107】
また、屋根用パネル105においては、野地板10が胴縁20に対して正面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル105を隣接して施工した場合に、野地板10の正面側の下面が正面側に隣接する屋根用パネル105の胴縁部材22の上面に接した状態で、野地板10の正面側の端部が正面側に隣接する屋根用パネル105の野地板10の背面側に当接するので、屋根用パネル105の内側の密閉度を高くすることができる。
【0108】
また、屋根用パネル105には、長辺に平行に形成された胴縁部材22、24、26、128a〜128cと、長辺と直角の短辺に平行に形成された胴縁部材30、32、34a〜34cとが設けられ、各胴縁部材には凹部40が設けられているので、屋根用パネル105の長辺を垂木500に直角にして施工する場合と該長辺を垂木500に平行にして施工する場合のいずれの場合にも施工可能であり、施工対象の状況に応じて臨機応変に施工することができる。
【0109】
また、屋根用パネル105においては、胴縁部材20が胴縁部材22、128a〜128c、30、32により枠状に形成されているので、屋根用パネル105の施工に際して、隣接する屋根用パネル105における胴縁20を接するように並べて施工すればよいので、施工が容易である。
【0110】
また、胴縁部材22と胴縁部材128a〜128c間には、胴縁部材24、26が設けられ、また、胴縁部材30と胴縁部材32間には、胴縁部材34a、34b、34cが設けられているので、胴縁20の強度をより向上させることができ、結果として、屋根用パネルの強度をより向上させることができる。
【0111】
また、屋根用パネル105によれば、複数の屋根用パネル105を屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、図13に示すように、遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネル105を垂木の上に施工することにより、遮熱材50と胴縁20と野地板10とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【0112】
なお、上記実施例2において、胴縁部材22と胴縁部材128a、128b、128cとが逆に設けられていてもよい。すなわち、前後方向において、胴縁部材22の位置に胴縁部材128a、128b、128cが設けられ、胴縁部材128a、128b、128cの位置に胴縁部材22が設けられた構成としてもよい。
【実施例3】
【0113】
次に、実施例3の屋根用パネルについて説明する。実施例3の屋根用パネル205は、図11に示すように構成され、実施例1の屋根用パネル5と略同様の構成であるが、胴縁20において、正面側の胴縁部材については、実施例1の胴縁部材28の代わりに、胴縁部材228a、228bが設けられ、これらは実施例1の胴縁部材28に比べて背面側にずれた位置に形成され、また、胴縁部材34cの正面側の端部が、胴縁部材30、32の正面側の位置まで伸びて形成されている点が異なる。
【0114】
すなわち、胴縁部材34cは、実施例1における胴縁部材34cと略同様の構成であるが、胴縁部材34cの正面側の端部は、前後方向において、胴縁部材30、32の正面側の端部と同じ位置に形成されている。
【0115】
また、胴縁部材228aは、胴縁部材30と胴縁部材34c間に設けられ、一方の端部は胴縁部材30に接し、他方の端部は胴縁部材34cに接している。胴縁部材228aには、所定間隔ごとに凹部40が形成され、具体的には6つの凹部40が形成されている。胴縁部材228aにおける各凹部40は、左右方向において、胴縁部材22、24、26における左側の6つの凹部40に対応した位置に形成されている。
【0116】
また、胴縁部材228bは、胴縁部材32と胴縁部材34c間に設けられ、一方の端部は胴縁部材32に接し、他方の端部は胴縁部材34cに接している。胴縁部材228bには、所定間隔ごとに凹部40が形成され、具体的には6つの凹部40が形成されている。胴縁部材228bにおける各凹部40は、左右方向において、胴縁部材22、24、26における右側の6つの凹部40に対応した位置に形成されている。
【0117】
また、胴縁部材228a、228bの正面側の面は、胴縁部材30、32、34cの正面側の面や遮熱材50の正面側の端部に対して、背面側にずれて形成されている。具体的には、胴縁部材228a、228bの前後方向の幅分だけ背面側にずれた位置に設けられている。つまり、胴縁部材228a、228bの正面側の面と遮熱材50の正面側の端部との間に間隔が形成される。
【0118】
なお、この実施例3において、胴縁部材30、32の長さが胴縁20の短辺方向の最大長さとなる。
【0119】
胴縁部材228a、228b、34cにおける横断面の形状及び大きさや凹部40の形状及び大きさは、他の胴縁部材と同様である。また、胴縁部材228a、228b、34cにおいても、隣接する凹部40間の長さや凹部40の胴縁部材の長手方向の長さは、上記と同様である。つまり、隣接する凹部40間の長さは、長さS23と同じであり、凹部40の胴縁部材の長手方向の長さは、長さS24と同じである。
【0120】
胴縁部材228a、228b、34cが、他の胴縁部材と同様に、野地板10に接着剤により接着して固着されている。また、遮熱材50は、他の胴縁部材に対してと同様に、胴縁部材228a、228b、34cに対して、接着剤又はタッカーにより固着されている。
【0121】
なお、実施例3の屋根用パネル205においては、胴縁部材228a、228b、34cの構成以外の構成は実施例1と同様の構成であるので詳しい説明を省略する。
【0122】
実施例3の屋根用パネル205の使用状態も実施例1の屋根用パネル5と略同様であり、野地板10を屋外側とし遮熱材50を屋内側とし、屋根用パネル205の長辺を垂木500に対して直角方向として施工し(胴縁部材22、24、26、228a、228bを垂木500に対して直角方向に施工する)、特に、隣接する屋根用パネル205の施工に際しては、横方向に隣接する2つの屋根用パネル205については、胴縁部材30の外面(左側面)と胴縁部材32の外面(右側面)とを接するように配置して施工するが、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル205については、胴縁部材30、32、34cの正面側の面を胴縁部材22の背面側の面に当接させて施工する。すると、野地板10の正面側の辺部10Aと、正面側に隣接する屋根用パネル205の野地板10の背面側の辺部10Bとは互いに当接し、同様に、遮熱材50の正面側の辺部と、正面側に隣接する屋根用パネル205の遮熱材50の背面側の辺部とは互いに当接する。これにより、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル205において、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)205の胴縁部材228a、228bと、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)205の胴縁部材22との間には、隙間が形成される。
【0123】
なお、屋根用パネル205においては、胴縁部材228a、228bは、胴縁部材30、32、34cの正面側の面や遮熱材50の正面側の端部に対して背面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル205を隣接して施工した場合に、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)205の胴縁部材228a、228bと、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)205の胴縁部材22との間には隙間が形成され、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル205が横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル205間の通気に支障を来すことがない。特に、凹部40の位置が対応しない場合でも(特に、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向しない場合でも)、胴縁部材228a、228bと他方の屋根用パネル205の胴縁部材22間の隙間により通気を可能とすることができる。
【0124】
なお、当然、縦方向に隣接した2つの屋根用パネル205において、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、隣接する屋根用パネル205間で通気に支障を来すことがない。
【0125】
また、施工対象の状況(例えば、施工対象の形状)によっては、屋根用パネル205の短辺を垂木500に対して直角に施工することも可能である。
【0126】
以上のように、本実施例の屋根用パネル205においては、胴縁20において、互いに平行に設けられた胴縁部材22、24、26、228a、228bに対して、胴縁部材30、32、34a〜34cが直角に設けられていて、特に、胴縁部材22、30、228a、228b、32により枠状に形成されているので、胴縁20の剛性を高くすることができ、屋根用パネル205全体の剛性を高くすることができる。特に、本実施例における遮熱材50は剛性が低いものであるが、胴縁20の剛性が高いので、屋根用パネル205全体の剛性を十分高くすることができる。よって、屋根への施工に際して、屋根用パネル205を撓むことがなく、施工が容易となる。特に、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、228a、228bが設けられているので、垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木500の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。
【0127】
また、本実施例の屋根用パネル205においては、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、228a、228bが設けられていて、これらも垂木500に固定されるので、施工後の屋根用パネル205の強度も十分確保することができる。特に、屋根用パネル205の長辺に沿って胴縁部材22、228a、228bが設けられていて、これらが垂木500に固定されるので、屋根用パネル205が垂木500から長辺の側から剥がれてしまうおそれがない。
【0128】
また、胴縁部材が垂木500に対して直角方向に施工されても各胴縁部材には凹部40が設けられているので、野地板10と遮熱材50間の空間の通気に支障はない。特に、屋根用パネル205においては、胴縁部材228a、228bは、胴縁部材30、32、34cの正面側の面や遮熱材50の正面側の端部に対して背面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル205を隣接して施工した場合に、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)205の胴縁部材228a、228bと、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)205の胴縁部材22との間には隙間が形成され、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル205が横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル205間の空気層の通気に支障を来すことがなく、屋根用パネル205の施工が極めて容易となる。
【0129】
また、屋根用パネル205においては、野地板10が胴縁20に対して正面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル205を隣接して施工した場合に、野地板10の正面側の下面が正面側に隣接する屋根用パネル205の胴縁部材22の上面に接した状態で、野地板10の正面側の端部が正面側に隣接する屋根用パネル205の野地板10の背面側に当接するので、屋根用パネル205の内側の密閉度を高くすることができる。
【0130】
また、屋根用パネル205には、長辺に平行に形成された胴縁部材22、24、26、228a、228bと、長辺と直角の短辺に平行に形成された胴縁部材30、32、34a〜34cとが設けられ、各胴縁部材には凹部40が設けられているので、屋根用パネル205の長辺を垂木500に直角にして施工する場合と該長辺を垂木500に平行にして施工する場合のいずれの場合にも施工可能であり、施工対象の状況に応じて臨機応変に施工することができる。
【0131】
また、屋根用パネル205においては、胴縁部材20が胴縁部材22、228a、228b、30、32により枠状に形成されているので、屋根用パネル205の施工に際して、隣接する屋根用パネル205における胴縁20を接するように並べて施工すればよいので、施工が容易である。
【0132】
また、胴縁部材22と胴縁部材28間には、胴縁部材24、26が設けられ、また、胴縁部材30と胴縁部材32間には、胴縁部材34a、34b、34cが設けられているので、胴縁20の強度をより向上させることができ、結果として、屋根用パネルの強度をより向上させることができる。
【0133】
また、屋根用パネル205によれば、複数の屋根用パネル205を屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、図13に示すように、遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネル205を垂木の上に施工することにより、遮熱材50と胴縁20と野地板10とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【0134】
なお、上記実施例1〜3において、胴縁20の左右方向の端部間の長さが胴縁20の長辺方向の最大長さであり、野地板10と遮熱材50の長辺は該長辺方向の最大長さと同じである。また、実施例1〜3において、胴縁20の胴縁部材30、32の長さが胴縁20の短辺方向の最大長さであり、野地板10と遮熱材50の短辺は該短辺方向の最大長さと同じである。
【実施例4】
【0135】
次に、実施例4の屋根用パネルについて説明する。実施例4の屋根用パネル305は、図12に示すように構成され、実施例1の屋根用パネル5と比較して、短辺方向の胴縁部材が設けられていない点が異なる。
【0136】
すなわち、胴縁部材20は、屋根用パネル305の長辺に平行に設けられた胴縁部材22、24、26、28とを有している。
【0137】
胴縁部材22、24、26、28の構成は、実施例1における胴縁部材22、24、26、28と同様の構成であるが、左右方向の端部が、野地板10や遮熱材50の左右方向の端部にまで形成されている点が異なる。つまり、胴縁部材22、24、26、28の左側面側の端面は、野地板10や遮熱材50の左側面側の端部と面一に形成され、胴縁部材22、24、26、28の右側面側の端面は、野地板10や遮熱材50の右側面側の端部と面一に形成されている。
【0138】
また、胴縁部材28の正面側の面は、遮熱材50の正面側の端部に対して、背面側にずれて形成されている。具体的には、胴縁部材28の前後方向の幅分だけ背面側にずれた位置に設けられている。
【0139】
胴縁部材22、24、26、28における横断面の形状及び大きさや凹部40の形状及び大きさは、実施例1における胴縁部材と同様である。また、本実施例の胴縁部材22、24、26、28においても、隣接する凹部40間の長さや凹部40の胴縁部材の長手方向の長さは、上記と同様である。つまり、隣接する凹部40間の長さは、長さS23と同じであり、凹部40の胴縁部材の長手方向の長さは、長さS24と同じである。
【0140】
胴縁部材22、24、26、28は、野地板10に接着剤により接着して固着されている。また、遮熱材50は、胴縁部材22、24、26、28に対して、接着剤又はタッカーにより固着されている。
【0141】
なお、実施例4の屋根用パネル305においては、胴縁部材20以外の構成は実施例1と同様の構成であるので詳しい説明を省略する。
【0142】
実施例4の屋根用パネル305の使用状態も実施例1の屋根用パネル5と略同様であり、野地板10を屋外側とし遮熱材50を屋内側とし、屋根用パネル305の長辺を垂木500に対して直角方向として施工し(胴縁部材22、24、26、28を垂木500に対して直角方向に施工する)、特に、隣接する屋根用パネル305の施工に際しては、横方向に隣接する2つの屋根用パネル305については、胴縁部材22、24、26、28の外面(左側面)と胴縁部材22、24、26、28の外面(右側面)とを接するように配置して施工し、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル305については、野地板10の正面側の面を野地板10の背面側の面に当接させて施工する。すると、遮熱材50の正面側の辺部と、正面側に隣接する屋根用パネル305の遮熱材50の背面側の辺部とは互いに当接する。これにより、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル305において、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)305の胴縁部材28と、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)305の胴縁部材22との間には、隙間が形成される。
【0143】
なお、屋根用パネル305においては、胴縁部材28は遮熱材50の正面側の端部に対して背面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル305を隣接して施工した場合に、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)305の胴縁部材28と、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)305の胴縁部材22との間には隙間が形成され、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル305が横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル305間の通気に支障を来すことがない。特に、凹部40の位置が対応しない場合でも(特に、互いに対応する凹部40において一方の凹部40における他方の凹部40側の領域の少なくとも一部が他方の凹部40における一方の凹部40側の領域と対向しない場合でも)、胴縁部材28と他方の屋根用パネル305の胴縁部材22間の隙間により通気を可能とすることができる。
【0144】
なお、当然、縦方向に隣接した2つの屋根用パネル305において、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、隣接する屋根用パネル305間で通気に支障を来すことがない。
【0145】
以上のように、本実施例の屋根用パネル305においては、胴縁20において、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、28が設けられているので、屋根用パネル305を垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木500の上に容易に屋根用パネルを配置することができる。本実施例における遮熱材50は剛性が低いものであるが、胴縁部材22、24、26、28が垂木500に対して直角に設けられるので、屋根用パネル305を垂木の上に配置する際に、垂木の方向と直角の方向に撓むことがなく、垂木の上に容易に配置することができる。
【0146】
また、本実施例の屋根用パネル305においては、垂木500に対して直角の方向となる胴縁部材22、24、26、28が設けられていて、これらが垂木500に固定されるので、施工後の屋根用パネル305の強度も十分確保することができる。特に、屋根用パネル305の長辺に沿って胴縁部材22、28が設けられていて、これらが垂木500に固定されるので、屋根用パネル305が垂木500から長辺の側から剥がれてしまうおそれがない。なお、胴縁部材22、24、26、28が互いに平行に設けられているので、屋根用パネル305の短辺方向にも複数箇所(4本の胴縁部材が設けられているので、4つの箇所)で固定され、短辺方向にも垂木に対して十分強固に固定することができる。
【0147】
また、胴縁部材が垂木500に対して直角方向に施工されても各胴縁部材には凹部40が設けられているので、野地板10と遮熱材50間の空間の通気に支障はない。特に、屋根用パネル305においては、胴縁部材28は、遮熱材50の正面側の端部に対して背面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル305を隣接して施工した場合に、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)305の胴縁部材28と、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)305の胴縁部材22との間には隙間が形成され、縦方向に隣接する2つの屋根用パネル305が横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル305間の通気に支障を来すことがなく、屋根用パネル305の施工が極めて容易となる。
【0148】
また、屋根用パネル305においては、野地板10が胴縁部材22に対して正面側にずれて形成されているので、縦方向に屋根用パネル305を隣接して施工した場合に、野地板10の正面側の下面が正面側に隣接する屋根用パネル305の胴縁部材22の上面に接した状態で、野地板10の正面側の端部が正面側に隣接する屋根用パネル305の野地板10の背面側に当接するので、屋根用パネル305の内側の密閉度を高くすることができる。
【0149】
また、胴縁部材22と胴縁部材28間には、胴縁部材24、26が設けられているので、胴縁20の強度をより向上させることができ、結果として、屋根用パネルの強度をより向上させることができる。
【0150】
また、屋根用パネル305によれば、複数の屋根用パネル305を屋根に施工していくことにより遮熱材を屋根に施工していくことができるので、図13に示すように、遮熱材の下面に合板を施工する必要がない。また、屋根用パネル305を垂木の上に施工することにより、遮熱材50と胴縁20と野地板10とを同時に施工することができるので、それぞれを別途に施工する手間が不要となる。また、遮熱材を施工した後に胴縁を施工することがないので、施工者が落下する危険もない。
【0151】
なお、上記実施例4において、胴縁部材22と胴縁部材28との間に2つの胴縁部材24、26を設けるものとして説明したが、胴縁部材22と胴縁部材28との間に胴縁部材22、28と平行な1つの胴縁部材を設けるものとしてもよい。
【0152】
また、実施例2の構成において、正面側の胴縁部材128a、128b、128cを実施例3のように背面側にずらした構成としてもよい。つまり、正面側の胴縁部材128a、128b、128cの正面側の面と遮熱材50の正面側の端部との間に間隔を設ける。なお、その場合には、中央に位置する胴縁部材128bは、2つに分割して胴縁部材34cの両側に配置することになり、また、胴縁部材34cの正面側の面は、遮熱材50の正面側の端部の位置とすることになる。
【0153】
このような構成とすることにより、縦方向に屋根用パネルを隣接して施工した場合に、一方の屋根用パネル(第1屋根用パネル)の胴縁部材128a、128b、128cと、他方の屋根用パネル(第2屋根用パネル)の胴縁部材22との間には隙間が形成され、縦方向に隣接する2つの屋根用パネルが横方向にずれて施工された場合でも、縦方向に隣接する屋根用パネル間の通気に支障を来すことがない。
【0154】
また、実施例2の説明において、胴縁部材128a、128b、128cの正面側の面は、遮熱材50の正面側の端部と前後方向に同じ位置に形成されているとしたが、胴縁部材128a、128b、128cのうちのいずれか1つ又は2つを背面側にずらした構成としてもよい。
【0155】
すなわち、胴縁部材128a、128b、128cのうちのいずれか1つ又は2つを、実施例3の胴縁部材228a、228bや実施例4の胴縁部材28のように、遮熱材50の正面側の端部よりも背面側にずらして形成することにより、縦方向に隣接する屋根用パネル間の通気性をより向上させることができる。
【0156】
なお、胴縁部材128a、128b、128cのうちのいずれか1つ又は2つを背面側にずらす態様としては、胴縁部材128bのみを背面側にずらす方法や、胴縁部材128a、128cのみを背面側にずらす方法がある。このように、胴縁部材128a、128b、128cのうちのいずれか1つの正面側の面を遮熱材50の正面側の端部に合わせておくことにより、正面側に屋根用パネル105を隣接させる場合に、その胴縁部材と他の屋根用パネル105の胴縁部材22を接するように配置すればよいので、施工が容易となる。すなわち、胴縁部材128a、128b、128cのうちのいずれか1つ又は2つを背面側にずらした構成とすることにより、縦方向の屋根用パネルを隣接させる施工が容易であるとともに、通気性も向上された構成となる。
【0157】
なお、実施例1〜3において、左右方向の両端に位置する凹部40から胴縁部材20の左右方向の端部(距離が短い方の端部)までの長さS25は、隣接する凹部40間の長さS23の半分よりも若干長く形成されているとしたが、長さS25を長さS23の丁度半分としてもよく、そのように構成することにより、縦方向に屋根用パネルを隣接して施工する際に、左右方向に垂木間のピッチ長さ分の1又は複数分ずらしても、2つの屋根用パネルにおいて、凹部40の位置を一致させることができる。
【0158】
また、上記の説明では、遮熱材50は上記の構成のものであるとして説明したが、他の構成の遮熱材でもよく、例えば、アルミニウム層52とポリエチレン層54との間に、さらに、バブル層とポリエチレン層とを設けることにより(つまり、ポリエチレン層54の下面にバブル層56と同様の構成のバブル層を設け、該バブル層の下面にポリエチレン層54と同様の構成のポリエチレン層を設ける)、空気袋を2層としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】屋根用パネルの構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図を示であり(c)は右側面図である(実施例1)。
【図2】屋根用パネルの分解斜視図である(実施例1)。
【図3】胴縁部材の要部斜視図である。
【図4】遮熱材を示す図であり、(a)はその要部平面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
【図5】屋根用パネルの使用状態を示す斜視図である。
【図6】屋根用パネルの使用状態を示す要部正面図である。
【図7】2つの屋根用パネルを縦方向に隣接して施工する場合の例を示す要部平面図である。
【図8】2つの屋根用パネルを縦方向に隣接して施工する場合の例を示す要部平面図である。
【図9】2つの屋根用パネルを縦方向に隣接して施工する場合の例を示す要部平面図である。
【図10】屋根用パネルの構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図を示であり(c)は右側面図である(実施例2)。
【図11】屋根用パネルの構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図を示であり(c)は右側面図である(実施例3)。
【図12】屋根用パネルの構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図を示であり(c)は右側面図である(実施例4)。
【図13】従来における屋根の施工方法を示す一部破断斜視図である。
【符号の説明】
【0160】
5、105、205、305 屋根用パネル
10 野地板
20 胴縁
22、24、26、28、30、32、34a、34b、34c、128a、128b、128c、228a、228b 胴縁部材
40 凹部
50 遮熱材
52、62 アルミニウム層
54、60 ポリエチレン層
56 バブル層
64 空気袋
500 垂木
522 棟木
524 軒桁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造家屋の屋根の垂木に取り付ける屋根用パネルであって、
方形状の板状の野地板と、
野地板の一方の面に固着して設けられた胴縁で、野地板の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第1胴縁部材と、野地板の他の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第2胴縁部材とにより枠状に形成され、第1胴縁部材及び第2胴縁部材において、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された胴縁と、
胴縁の野地板側とは反対側に固着して設けられた方形状の板状の遮熱材と、
を有し、
野地板と遮熱材との間に空気層が形成されていることを特徴とする屋根用パネル。
【請求項2】
木造家屋の屋根の垂木に取り付ける屋根用パネルであって、
方形状の板状の野地板と、
野地板の一方の面に固着して設けられた胴縁で、野地板の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第1胴縁部材と、野地板の他の相対する辺部に沿って設けられた略四角柱状の第2胴縁部材とにより略枠状に形成され、一対の第1胴縁部材における一方の第1胴縁部材が、複数の略四角柱状の部材を間隔を介して直線状に配して構成されるとともに、一対の第2胴縁部材との間にも間隔を介して構成され、第1胴縁部材及び第2胴縁部材において、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された胴縁と、
胴縁の野地板側とは反対側に固着して設けられた方形状の板状の遮熱材と、
を有し、
野地板と遮熱材との間に空気層が形成されていることを特徴とする屋根用パネル。
【請求項3】
該一方の第1胴縁部材を構成する複数の略四角柱状の部材間の間隔及び該一方の第1胴縁部材と第2胴縁部材との間隔が、隣接する凹部間の該一定の間隔よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項2に記載の屋根用パネル。
【請求項4】
野地板及び遮熱材が長方形状を呈し、野地板の長辺に沿って第1胴縁部材が設けられ、野地板の短辺に沿って第2胴縁部材が設けられ、2つの第1胴縁部材において、複数の凹部における各凹部が長辺方向において同じ位置に設けられ、屋根用パネルの長辺側同士が接した状態で2つの屋根用パネルを隣接させた際に、屋根用パネルの長辺の長さの2分の1の長さだけずらした隣接した場合及び屋根用パネルの長辺の長さの4分の1の長さだけずらした隣接した場合に、2つの屋根用パネルにおける互いに対応する凹部において一方の凹部における他方の凹部側の領域の少なくとも一部が他方の凹部における一方の凹部側の領域と対向することを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の屋根用パネル。
【請求項5】
野地板は、その長辺が胴縁の長辺方向の最大長さと同じに形成されるとともに、その短辺が胴縁の短辺方向の最大長さと同じに形成され、一方の第1胴縁部材における外側面を正面側とした場合に、野地板の正面側の端部は、該胴縁の正面側の端部よりも正面側に突出して形成され、野地板の背面側の端部は、背面側の第1胴縁部材の上面に位置し、野地板の右側面側の端部は胴縁の右側面側の端部である一方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成され、野地板の左側面側の端部は胴縁の左側面側の端部である他方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成され、遮熱材は、野地板の外形と同じ大きさに形成され、遮熱材の正面側の端部は、胴縁の正面側の端部と長辺方向において一致して形成され、遮熱材の背面側の端部は、胴縁の背面側の端部である他方の第1胴縁部材の外側面と前後方向において一致して形成され、遮熱材の右側面側の端部は胴縁の右側面側の端部である一方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成され、遮熱材の左側面側の端部は胴縁の左側面側の端部である他方の第2胴縁部材の外側面と長辺方向において一致して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の屋根用パネル。
【請求項6】
胴縁を構成する一対の第1胴縁部材における正面側の第1胴縁部材の正面側の外側面は、遮熱材の正面側の端部と前後方向において一致して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の屋根用パネル。
【請求項7】
胴縁を構成する一対の第1胴縁部材における正面側の第1胴縁部材は、遮熱材の正面側の端部及び胴縁の正面側の端部をなす第2胴縁部材の正面側の端部よりも背面側にずれて形成され、該正面側の第1胴縁部材と遮熱材の正面側の端部との間には間隔が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の屋根用パネル。
【請求項8】
上記一対の第1胴縁部材の間の位置に、一対の第1胴縁部材に平行に設けられた略四角柱状の内側第1胴縁部材で、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された内側第1胴縁部材が設けられ、また、上記一対の第2胴縁部材の間の位置に、一対の第2胴縁部材に平行に設けられた略四角柱状の内側第2胴縁部材で、長手方向の両側面を連通する複数の凹部が野地板側に一定の間隔を介して形成された内側第2胴縁部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7に記載の屋根用パネル。
【請求項9】
木造家屋の屋根の垂木に取り付ける屋根用パネルであって、
板状の野地板と、
野地板の一方の面に設けられた胴縁で、互いに平行に設けられた複数の略四角柱状の胴縁部材を有し、各胴縁部材が、長手方向の両側面を連通する凹部を野地板側に有する胴縁と、
胴縁の野地板側とは反対側に設けられた板状の遮熱材で、一対のシート状のアルミニウム層の間に複数の樹脂製空気袋を有する遮熱材と、
を有し、
野地板と遮熱材との間に空気層が形成されていることを特徴とする屋根用パネル。
【請求項10】
野地板及び遮熱材が長方形状を呈し、野地板の長辺に沿って上記胴縁部材が設けられ、複数の胴縁部材において、複数の凹部における各凹部が長辺方向において同じ位置に設けられ、屋根用パネルの長辺側同士が接した状態で2つの屋根用パネルを隣接させた際に、屋根用パネルの長辺の長さの2分の1の長さだけずらした隣接した場合及び屋根用パネルの長辺の長さの4分の1の長さだけずらした隣接した場合に、2つの屋根用パネルにおける互いに対応する凹部において一方の凹部における他方の凹部側の領域の少なくとも一部が他方の凹部における一方の凹部側の領域と対向することを特徴とする請求項9に記載の屋根用パネル。
【請求項11】
上記遮熱材が、一対のシート状のアルミニウム層の間に複数の樹脂製空気袋を有する構成であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10に記載の屋根用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−150886(P2010−150886A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333040(P2008−333040)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(599131147)プレイリーホームズ株式会社 (3)
【出願人】(591093726)セブン工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】