屋根
【課題】片流れ構造の屋根における換気効率を向上する。
【解決手段】一方側に配置された棟部21と、前記棟部21から他方側下方に傾斜して設けられる屋根部22と、を備え、棟部21は、第1方向に沿って設けられる棟木31と、棟木31の上側及び前記一方側の側方を覆う棟包32と、を有し、棟包32は、棟木31の一方側の側方を覆う側壁部41c,42dと、屋根部12の上方を覆う上壁部41bと、を有し、側壁部41c,42dを通じて棟部21の一方側の側方に向けて棟部21内の空気を排出可能とする第1の通気構造部34が設けられる。
【解決手段】一方側に配置された棟部21と、前記棟部21から他方側下方に傾斜して設けられる屋根部22と、を備え、棟部21は、第1方向に沿って設けられる棟木31と、棟木31の上側及び前記一方側の側方を覆う棟包32と、を有し、棟包32は、棟木31の一方側の側方を覆う側壁部41c,42dと、屋根部12の上方を覆う上壁部41bと、を有し、側壁部41c,42dを通じて棟部21の一方側の側方に向けて棟部21内の空気を排出可能とする第1の通気構造部34が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に係り、特に片流れ構造の屋根の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根の換気構造として、例えば棟部を中心として両側に傾斜する両流れ構造の屋根にあっては両側の軒先に設けられた通気経路を通じて、小屋裏や室内外の換気を可能とした構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、一方側のみに傾斜した片流れ構造の屋根にあっては、一端の棟部に向って流れる空気を他端の軒先側に返すように構成される通気経路を通じて、小屋裏や室内外の換気を可能とした構造が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−150904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術では以下のような問題がある。すなわち、片流れ構造の屋根では一端の棟部に向かって流れる空気の方向を変換して他端の軒先側に戻して排出して換気すると換気性能が劣るという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、換気効率の高い片流れ構造の屋根を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態にかかる片流れ構造の屋根は、一方側に配置された棟部と、前記棟部から他方側下方に傾斜して設けられる屋根部と、を備え、前記棟部は、第1方向に沿って設けられる棟木と、前記棟木の上側及び前記一方側の側方を覆う棟包と、を有し、前記棟包は、前記棟木の一方側の側方を覆う側壁部と、前記屋根部の上方を覆う上壁部と、を有し、前記側壁部を通じて前記棟部の前記一方側の側方に向けて前記棟部内の空気を排出可能とする第1の通気構造部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、片流れ構造の屋根における換気効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態にかかる屋根を有する建物上部の斜視図。
【図2】同建物上部の構造を示す断面図。
【図3】同実施形態にかかる屋根の棟部の構造を示す断面図。
【図4】同棟部の構成を示す斜視図。
【図5】同棟部の構成を示す側面図。
【図6】第2実施形態にかかる屋根を有する建物上部の斜視図。
【図7】同屋根の第1ユニットの構造を示す断面図。
【図8】同屋根の第2ユニットの構造を示す断面図。
【図9】本発明の他の実施形態にかかる屋根の第1ユニットの構造を示す断面図。
【図10】同屋根の第2ユニットの構造を示す断面図。
【図11】本発明の多の実施形態にかかる屋根の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる屋根について図1乃至図5を参照して説明する。
【0011】
図1は屋根を有する建物上部の斜視図、図2は断面図である。図3は棟部の断面図、図4は斜視図、図5は側面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、建物10は複数の外壁11と、複数の外壁11に囲まれた室内12の上部開口を塞ぐ天井13と、天井13の上方の小屋裏空間14を上方から塞ぐ屋根20と、を備えている。
【0013】
屋根20は、一方のみに傾斜した所謂片流れ構造であり、建物10の上部において例えば図中Xで示す幅方向(第2方向)の一端に配された棟部21と、棟部21から他端に向かって下方に傾斜して設けられた屋根部22と、を備えて構成されている。棟部21の長手方向が図中Yで示す前後方向(第1方向)に沿って延びている。
【0014】
図2及び図3に示すように、屋根部22は、棟部21から他端側下方に傾斜して延びる複数本の垂木23と、複数の垂木23の上に支持される野地板24と、野地板24の上に防水材25を介して設けられる屋根部材26と、を有して構成される。防水材25は、例えば防水シート25aや水返し板25bで構成されている。屋根部材26は例えば瓦であって、複数の屋根部材26がX及びY方向に並列配置され互いに係合して組み合わされている。
【0015】
屋根部22のX方向両端において外壁11より外側に突出した部分では、垂木23の下側に受材27や軒天材28が設けられ、軒天29を構成している。棟部21は、屋根部22の一端側であって建物10の外壁11から上方及び一方側の外方に離間した位置に配置され、棟部21と外壁11との間に軒天29が介在している。
【0016】
屋根部22の他端側であって建物10の外壁11から下方及び一方側に離間した位置には軒先30が構成されている。軒先30では軒天材28に複数の開口28aが設けられ、この開口28aによって軒先30の内外が通気可能に連通している。この開口28aを通じて外部の空気が他端側から一端側に向って小屋裏空間14へと流れ込む給気構造を構成している。
【0017】
図3に示すように、棟部21は、例えばY方向に沿って配置される棟木31と、この棟木31の上方及び一方側の側方を覆う棟包32と、を備えている。棟木31の上方であって棟包32の内側には通気空間33が形成されている。棟木31と野地板24の上端部との間には通気可能な隙間S1が形成され、この隙間S1を通って小屋裏空間14と棟包32の内側の通気空間33とが連通している。通気空間33はY方向に沿って連続し、棟包32のY方向両端部に至って形成されている。
【0018】
図1に示すように、棟包32は、複数(図1では3つ)の棟包ユニット32AをY方向に沿って連続して有している。図3に示すように、各ユニット32Aは、いずれも第1パネル部材41と第2パネル部材42とを組み合わせて構成されている。第1パネル部材41及び第2パネル部材42は、例えば、金属製の矩形の薄板からなり、プレス成形等により折曲形成されている。
【0019】
第1パネル部材41は、例えば一枚の矩形のパネル部材を折曲形成してなり、棟部21の上端に位置する頂部41aで屈曲され、屋根部22に沿って斜めに連続形成された上壁部としての第1片41bと、頂部から下方に縦方向に連続形成され側壁部を構成する第2片41cと、第1片41bの下端部から屋根部材26に近接するように下方に屈曲して連続形成された端片41dと、端片41dの下端部で屈曲して屋根部22に沿って斜めに連続形成された第1水切り片41eと、第2片41cの下端で屈曲して側方かつ下方に傾斜して連続形成された第2の水切り片41fと、を一体に備えている。
【0020】
第2パネル部材42は、例えば一枚の矩形のパネル部材を折曲形成してなり、第2片41cの裏側(内側)に所定の間隔を空けて対向して縦方向に延びる第3片42aと、第3片42aの上端で屈曲して外方かつ上方に向かって斜めに連続形成された斜片42bと、第3片42aの下端で屈曲して外方に向って横方向に連続形成された横片42cと、横片42cの外側端部から屈曲して下方に向かって縦方向に連続形成され側壁部を構成する第4片42dと、第4片42dの下端で屈曲して内側に向かって横方向に連続形成された端片42eと、端片42eの内側端から屈曲して下方に向かって破風板46に沿って縦方向に連続形成された第3の水切り片42fと、を一体に備えている。第4片42dは隙間S2を間に介在して第2片41cの下方に連続するように配置されている。
【0021】
第1パネル部材41は第2パネル部材42の上方に離間して配置され、第4片42dと第2片41cの間に隙間S2が形成されるとともに、屋根部材26の上面と第2の水切り片41eとの間に隙間S3が形成されている。第2片41cと第3片42a上端の斜片42bの先端部との間には隙間S4が形成されている。
【0022】
第2片41cの裏側と第3片42aとの間に形成される空間の上方かつ外方には第1の受桟44Aが配置され、釘部材Nによって固定されている。この受桟44Aの内側の空間に縦方向から横方向に屈曲するL字型の流路A1が形成され、通気空間33から隙間S4、流路A1、隙間S2を通って外部に連通する第1の通気構造部34を構成している。
【0023】
第1片41bの裏側には笠木43Aが配置され釘部材Nによって端片41dに固定されている。笠木43Aの下側と屋根部材26上面との間には屋根部22に沿って傾斜する流路A2が形成され、外部から隙間S3、流路A2を通って通気空間33に至る第2の通気構造部35を構成している。
【0024】
第4片42dの内側には第2の笠木43Bが配置され釘部材Nによって端片42eに固定されている。笠木43Bと棟木31との間の空間には第2の受桟44Bが介在されている。第2の受桟44Bの下側において、軒天材28の上端部28aと棟木31の外側面を覆うように、破風板46が取り付けられている。さらに笠木43Aの下面側には水返し板47が設けられている。
【0025】
図1、4,5に示すように、棟包32のY方向両端部分には止部50が設けられている。止部50は第3のパネル部材51と、第4のパネル部材52を組み合わせて形成されている。第3のパネル部材51と、第4のパネル部材52は、例えば、金属製の矩形の薄板からなり、プレス成形等により折曲形成されている。
【0026】
第3のパネル部材51は、棟包32のY方向端部において第1パネル部材41及び第2パネル部材42の端部に形成される開口を塞ぐように配置されている。第3のパネル部材51は、棟包ユニット32Aの端部形状に対応する所定形状を成し縦方向に沿って棟包ユニット32Aの端部を覆う第5片51aと、第5片51aの下端で屈曲してケラバ破風53に向って横方向に延びる横片51bと、横片51bの端部で屈曲してケラバ破風53に沿って縦方向に延びる水切り片51cとを連続して一体に有している。第5片51aの上下方向中央部分には、X方向に沿う開口部51dが形成され、開口部51dの上端縁から外方かつ下方に傾斜して突出する水切り片51eが設けられている。
【0027】
第4パネル部材52は第5片51aの裏側で縦方向に延びる第6片52aを有している。第6片52aの上端は外方かつ上方に傾斜した斜片52bが形成され、第6片52aの下端は屈曲して横方向に延びる横片52cが形成される。第6片52aの内側には第3の笠木43Cが配置され釘部材Nによって横片51bに固定されている。
【0028】
第3のパネル部材51と第4のパネル部材52は、互いに離間して配置されている。第5片51aの裏側には第3の受桟44Cが配置されている。この受桟44cと第6片52aとの間に縦方向から横方向に屈曲して開口部51dに至るL字状の流路A3が形成され、第3の通気構造部36を構成している。
【0029】
各水切り片41e、41f、42f、51eはその端部が折り返されて2重構造になっており、隙間S2、S3、破風板46部分、開口部51dから棟部21の内側に雨水や火が侵入するのを防ぐ防水・防火機能を有している。
【0030】
笠木43A,43B,43c、受桟44A,44B、44cはいずれもY方向に延びる細長い板材であり、Y方向に連続配置される複数のユニット32Aにわたって設けられ、棟部21のY方向両端部に至っている。
【0031】
第1乃至第3の通気構造部34,35,36には通気部材60が配置されている。通気部材60は、Y方向に延びる細長部材であり、一対のプレート61,61を平行に備え、これらの一対のプレート61,61間に例えばハニカム構造の支柱部材62を設けて構成されている。一対のプレート61,61間が四方に通気可能になっている。
【0032】
本実施形態では、第2通気構造部35には流路A2に通気部材60が2枚積層されて配置されている。また第1及び第3の通気構造部34,36では、縦方向から横方向に屈曲する流路A1,A3に沿って向きの異なる2つの通気部材60が配置されている。
【0033】
以上のように構成された屋根20においては通気空間33のX方向一方側は第1の通気構造部34を通じて一方の外部空間に連通し、他方側は第2の通気構造部35を通じて他方の外部空間と連通するようになっている。また、通気空間33のY方向両端部は第3の通気構造部36を通じて外部空間と連通するようになっている。さらに通気空間33は隙間S1を介して小屋裏、室内と連通している。
【0034】
小屋裏14内の空気(「内部空気」とする。)は、隙間S1通じて棟部21内部の通気空間33に流出可能になっている。また、建物10の外側で軒先30側から屋根部22に沿って流れる空気は、第2の通気構造部35を通じて棟部21内部の通気空間33に流入可能になっている。さらに建物10の外側の空気は図2中矢印で示すように軒先30から開口28aを通って小屋裏空間14及び棟部21に向って他方から一方に流れこむようになっている。
【0035】
棟部21内部の通気空間33に流入した空気は第1の通気構造部34を通って、棟部21の一方の側方から、建物10の外側に排出される。また、通気空間33の空気はY方向端部に設けられた止部50の第3の通気構造部36を通じて、屋根20のY方向両端部から建物10の外側に排出される。以上により、建物内外の空気が換気される。
【0036】
本実施形態の屋根20によれば、建物10の一端上部に設けられた棟部21の側方を通じて棟部21内外を通気可能とする第1の通気構造部34を構成したことにより、小屋裏空間14や建物10の内外において軒先30側から一方の棟部21に向って流れる空気を、一方側の側方に向かって流すように通気経路を確保でき、高い換気作用が得られる。
【0037】
また軒先30から開口28aを通じて矢印で示すように棟部21に向って風が流れるため、他方(図2中右方)から一方(左方)に向かって風圧が発生する。このため、空気を例えば棟部21から軒先30側に向って排出する場合にはこの風圧と逆方向となるので風圧によって空気の排出が妨げられて換気効率が低下するが、本実施形態の屋根20ではこの風圧の方向に沿って空気を棟部21の側方に向って空気を排出するようにしたので換気効率が向上する。
【0038】
また破風板46から離れた棟部21に通気構造部を構成したため、例えば破風板や外壁に通気用の構造を設ける場合に比べて室内12に雨水や火が入り難く、高い防火性及び防水性を維持することが出来る。
【0039】
また、上記実施形態によれば、一対のパネル部材41、42を組み合わせ、第1のパネル部材41を上方にずらして離間させて配置するだけの簡単な構造で、棟部21の両側に通気経路を確保できるので、組み立て性に優れている。
【0040】
さらに、Y方向端部の止部51にも第3の通気構造部36を設けたことにより、複数方向に通気経路が確保でき、換気効率をより一層向上できる。
【0041】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態にかかる屋根120について、図6、図7、及び図8を参照して説明する。図6は本実施形態に係る建物110の上部を示す斜視図であり、図7は第1ユニット32Aの断面図、図8は第2ユニット32Bの断面図である。なお、本実施形態では、Y方向において換気構造付きの第1ユニット32Aと換気構造のない第2ユニット32Bとを設けているが、各部材の基本的な構成は上記第1実施形態にかかる屋根120と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、図6に示すように、棟包32のY方向における一部分は換気構造付きの第1ユニット32Aで構成され、その他の部分は換気構造のない第2ユニット32Bで構成されている。ここでは、ユニット32A、32BがY方向に交互に並べて配置されている。そしてY方向両端部分には上記第1実施形態と同様に止部50が設けられている。
【0043】
第1ユニット32A及び第2ユニット32Bは、いずれも第1実施形態にかかる屋根20同様の第1パネル部材41と第2パネル部材42を組み合わせて構成されている。
【0044】
図7に示すように、第1ユニット32Aでは、第1パネル部材41と第2パネル部材42とは、上記第1実施形態と同様に、間に隙間S2,S3、流路A1、A2が形成されるように、離間して配置され、その間に通気部材60及び水返し板を配置して第1及び第2の通気構造部34.35を構成している。
【0045】
一方図8に示すように、第2ユニット32Bでは第1ユニット32Aと同じ構造の第1及び第2パネル部材41,42が隙間S2,S3を形成せずに近接して配置され、通気部材60や水返し板47を介在せずに配置されている。第2ユニット32Bでは、第2片41cの下に連続して第4片42dが配置され、水切り板41eの下面は屋根部材26上に当接している。
【0046】
すなわち図6に示すように、第1ユニット32Aでは第2ユニット32Bよりも第1パネル41が上方に位置するように配置されている。この他の部材は第1ユニット32Aと第2ユニット32Bとで、同じ高さ位置に配置され、Y方向に連続して配置されている。
【0047】
また、図7,8に示すように、屋根120では、Y方向に延びる棟木31は、第1ユニット32Aに対応する部分のみ上端31aが切りかかれて野地板24との間に隙間S1が形成されるようになっている。そして、第2ユニット32Bに対応する部分においては棟木31の上端31aが野地板24の下面に当接しており、隙間S1が形成されないようになっている。
【0048】
また、第2ユニット32Bにおいては、第2片41cの裏側と第3片42aとの間に形成される空間を埋めるように、上記第1実施形態よりも幅が大きく構成された第1の受桟44Aが配置され、釘部材Nによって固定されている。したがって、本実施形態の屋根120において第2ユニット32Bでは縦方向から横方向に屈曲するL字型の流路A1は形成されていない。
【0049】
すなわち、この第2ユニット32Bにおいては隙間S1〜S3、流路A1、A2及び通気構造部34,35が形成されず、換気構造付きの第1ユニット32Aにおいてのみ隙間S1〜S3,流路A1、A2及び通気構造部34,35が構成されている。建物10内外の空気は、この第1ユニット32Aの通気構造部34,35と、Y方向両端に形成された止部50の第3通気構造部36とを通って換気されるようになっている。
【0050】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、棟部21の側方から空気を流出可能とする第1の通気構造部34を構成したことにより、換気効率の向上ができ、さらに防水性・防火性に優れた構造とすることができる。
【0051】
また、本実施形態にかかる屋根120では、換気構造を構成する部位と換気構造を形成しない部位とで同じパネル部材41,42を用いてユニット32A、32Bを組み立てることができるので、部品組立て性に優れている。すなわち、同形状の複数のパネル部材を、一方のパネル部材41の位置を変えて間に通気部材60を介在させるだけで容易に通気経路を確保できる。
【0052】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。例えば、他の実施形態として図9,10に示すように、屋根20を構成する各部材の形状や配置を変えてもよい。この場合にも上記第2実施形態と同様の効果が得られる。また、他の実施形態として図11に示すように野地板24や防水材25に開口24aを形成して隙間S1を構成してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…建物、11…外壁、12…室内、13…天井、14…小屋裏空間、20,120…屋根、21…棟部、22…屋根部、23…垂木、24…野地板、25…防水材、26…屋根部材、28…軒天材、28a…上端部、29…軒、30…軒先、31…棟木、32…棟包、32A…棟包ユニット(第1ユニット)、32B…第2ユニット、33…通気空間、34…第1の通気構造部、35…第2の通気構造部、36…第3の通気構造部、41…第1パネル部材、42…第2パネル部材、50…止部、51…第3のパネル部材、52…第4のパネル部材、60…通気部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に係り、特に片流れ構造の屋根の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根の換気構造として、例えば棟部を中心として両側に傾斜する両流れ構造の屋根にあっては両側の軒先に設けられた通気経路を通じて、小屋裏や室内外の換気を可能とした構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、一方側のみに傾斜した片流れ構造の屋根にあっては、一端の棟部に向って流れる空気を他端の軒先側に返すように構成される通気経路を通じて、小屋裏や室内外の換気を可能とした構造が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−150904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術では以下のような問題がある。すなわち、片流れ構造の屋根では一端の棟部に向かって流れる空気の方向を変換して他端の軒先側に戻して排出して換気すると換気性能が劣るという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、換気効率の高い片流れ構造の屋根を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態にかかる片流れ構造の屋根は、一方側に配置された棟部と、前記棟部から他方側下方に傾斜して設けられる屋根部と、を備え、前記棟部は、第1方向に沿って設けられる棟木と、前記棟木の上側及び前記一方側の側方を覆う棟包と、を有し、前記棟包は、前記棟木の一方側の側方を覆う側壁部と、前記屋根部の上方を覆う上壁部と、を有し、前記側壁部を通じて前記棟部の前記一方側の側方に向けて前記棟部内の空気を排出可能とする第1の通気構造部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、片流れ構造の屋根における換気効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態にかかる屋根を有する建物上部の斜視図。
【図2】同建物上部の構造を示す断面図。
【図3】同実施形態にかかる屋根の棟部の構造を示す断面図。
【図4】同棟部の構成を示す斜視図。
【図5】同棟部の構成を示す側面図。
【図6】第2実施形態にかかる屋根を有する建物上部の斜視図。
【図7】同屋根の第1ユニットの構造を示す断面図。
【図8】同屋根の第2ユニットの構造を示す断面図。
【図9】本発明の他の実施形態にかかる屋根の第1ユニットの構造を示す断面図。
【図10】同屋根の第2ユニットの構造を示す断面図。
【図11】本発明の多の実施形態にかかる屋根の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる屋根について図1乃至図5を参照して説明する。
【0011】
図1は屋根を有する建物上部の斜視図、図2は断面図である。図3は棟部の断面図、図4は斜視図、図5は側面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、建物10は複数の外壁11と、複数の外壁11に囲まれた室内12の上部開口を塞ぐ天井13と、天井13の上方の小屋裏空間14を上方から塞ぐ屋根20と、を備えている。
【0013】
屋根20は、一方のみに傾斜した所謂片流れ構造であり、建物10の上部において例えば図中Xで示す幅方向(第2方向)の一端に配された棟部21と、棟部21から他端に向かって下方に傾斜して設けられた屋根部22と、を備えて構成されている。棟部21の長手方向が図中Yで示す前後方向(第1方向)に沿って延びている。
【0014】
図2及び図3に示すように、屋根部22は、棟部21から他端側下方に傾斜して延びる複数本の垂木23と、複数の垂木23の上に支持される野地板24と、野地板24の上に防水材25を介して設けられる屋根部材26と、を有して構成される。防水材25は、例えば防水シート25aや水返し板25bで構成されている。屋根部材26は例えば瓦であって、複数の屋根部材26がX及びY方向に並列配置され互いに係合して組み合わされている。
【0015】
屋根部22のX方向両端において外壁11より外側に突出した部分では、垂木23の下側に受材27や軒天材28が設けられ、軒天29を構成している。棟部21は、屋根部22の一端側であって建物10の外壁11から上方及び一方側の外方に離間した位置に配置され、棟部21と外壁11との間に軒天29が介在している。
【0016】
屋根部22の他端側であって建物10の外壁11から下方及び一方側に離間した位置には軒先30が構成されている。軒先30では軒天材28に複数の開口28aが設けられ、この開口28aによって軒先30の内外が通気可能に連通している。この開口28aを通じて外部の空気が他端側から一端側に向って小屋裏空間14へと流れ込む給気構造を構成している。
【0017】
図3に示すように、棟部21は、例えばY方向に沿って配置される棟木31と、この棟木31の上方及び一方側の側方を覆う棟包32と、を備えている。棟木31の上方であって棟包32の内側には通気空間33が形成されている。棟木31と野地板24の上端部との間には通気可能な隙間S1が形成され、この隙間S1を通って小屋裏空間14と棟包32の内側の通気空間33とが連通している。通気空間33はY方向に沿って連続し、棟包32のY方向両端部に至って形成されている。
【0018】
図1に示すように、棟包32は、複数(図1では3つ)の棟包ユニット32AをY方向に沿って連続して有している。図3に示すように、各ユニット32Aは、いずれも第1パネル部材41と第2パネル部材42とを組み合わせて構成されている。第1パネル部材41及び第2パネル部材42は、例えば、金属製の矩形の薄板からなり、プレス成形等により折曲形成されている。
【0019】
第1パネル部材41は、例えば一枚の矩形のパネル部材を折曲形成してなり、棟部21の上端に位置する頂部41aで屈曲され、屋根部22に沿って斜めに連続形成された上壁部としての第1片41bと、頂部から下方に縦方向に連続形成され側壁部を構成する第2片41cと、第1片41bの下端部から屋根部材26に近接するように下方に屈曲して連続形成された端片41dと、端片41dの下端部で屈曲して屋根部22に沿って斜めに連続形成された第1水切り片41eと、第2片41cの下端で屈曲して側方かつ下方に傾斜して連続形成された第2の水切り片41fと、を一体に備えている。
【0020】
第2パネル部材42は、例えば一枚の矩形のパネル部材を折曲形成してなり、第2片41cの裏側(内側)に所定の間隔を空けて対向して縦方向に延びる第3片42aと、第3片42aの上端で屈曲して外方かつ上方に向かって斜めに連続形成された斜片42bと、第3片42aの下端で屈曲して外方に向って横方向に連続形成された横片42cと、横片42cの外側端部から屈曲して下方に向かって縦方向に連続形成され側壁部を構成する第4片42dと、第4片42dの下端で屈曲して内側に向かって横方向に連続形成された端片42eと、端片42eの内側端から屈曲して下方に向かって破風板46に沿って縦方向に連続形成された第3の水切り片42fと、を一体に備えている。第4片42dは隙間S2を間に介在して第2片41cの下方に連続するように配置されている。
【0021】
第1パネル部材41は第2パネル部材42の上方に離間して配置され、第4片42dと第2片41cの間に隙間S2が形成されるとともに、屋根部材26の上面と第2の水切り片41eとの間に隙間S3が形成されている。第2片41cと第3片42a上端の斜片42bの先端部との間には隙間S4が形成されている。
【0022】
第2片41cの裏側と第3片42aとの間に形成される空間の上方かつ外方には第1の受桟44Aが配置され、釘部材Nによって固定されている。この受桟44Aの内側の空間に縦方向から横方向に屈曲するL字型の流路A1が形成され、通気空間33から隙間S4、流路A1、隙間S2を通って外部に連通する第1の通気構造部34を構成している。
【0023】
第1片41bの裏側には笠木43Aが配置され釘部材Nによって端片41dに固定されている。笠木43Aの下側と屋根部材26上面との間には屋根部22に沿って傾斜する流路A2が形成され、外部から隙間S3、流路A2を通って通気空間33に至る第2の通気構造部35を構成している。
【0024】
第4片42dの内側には第2の笠木43Bが配置され釘部材Nによって端片42eに固定されている。笠木43Bと棟木31との間の空間には第2の受桟44Bが介在されている。第2の受桟44Bの下側において、軒天材28の上端部28aと棟木31の外側面を覆うように、破風板46が取り付けられている。さらに笠木43Aの下面側には水返し板47が設けられている。
【0025】
図1、4,5に示すように、棟包32のY方向両端部分には止部50が設けられている。止部50は第3のパネル部材51と、第4のパネル部材52を組み合わせて形成されている。第3のパネル部材51と、第4のパネル部材52は、例えば、金属製の矩形の薄板からなり、プレス成形等により折曲形成されている。
【0026】
第3のパネル部材51は、棟包32のY方向端部において第1パネル部材41及び第2パネル部材42の端部に形成される開口を塞ぐように配置されている。第3のパネル部材51は、棟包ユニット32Aの端部形状に対応する所定形状を成し縦方向に沿って棟包ユニット32Aの端部を覆う第5片51aと、第5片51aの下端で屈曲してケラバ破風53に向って横方向に延びる横片51bと、横片51bの端部で屈曲してケラバ破風53に沿って縦方向に延びる水切り片51cとを連続して一体に有している。第5片51aの上下方向中央部分には、X方向に沿う開口部51dが形成され、開口部51dの上端縁から外方かつ下方に傾斜して突出する水切り片51eが設けられている。
【0027】
第4パネル部材52は第5片51aの裏側で縦方向に延びる第6片52aを有している。第6片52aの上端は外方かつ上方に傾斜した斜片52bが形成され、第6片52aの下端は屈曲して横方向に延びる横片52cが形成される。第6片52aの内側には第3の笠木43Cが配置され釘部材Nによって横片51bに固定されている。
【0028】
第3のパネル部材51と第4のパネル部材52は、互いに離間して配置されている。第5片51aの裏側には第3の受桟44Cが配置されている。この受桟44cと第6片52aとの間に縦方向から横方向に屈曲して開口部51dに至るL字状の流路A3が形成され、第3の通気構造部36を構成している。
【0029】
各水切り片41e、41f、42f、51eはその端部が折り返されて2重構造になっており、隙間S2、S3、破風板46部分、開口部51dから棟部21の内側に雨水や火が侵入するのを防ぐ防水・防火機能を有している。
【0030】
笠木43A,43B,43c、受桟44A,44B、44cはいずれもY方向に延びる細長い板材であり、Y方向に連続配置される複数のユニット32Aにわたって設けられ、棟部21のY方向両端部に至っている。
【0031】
第1乃至第3の通気構造部34,35,36には通気部材60が配置されている。通気部材60は、Y方向に延びる細長部材であり、一対のプレート61,61を平行に備え、これらの一対のプレート61,61間に例えばハニカム構造の支柱部材62を設けて構成されている。一対のプレート61,61間が四方に通気可能になっている。
【0032】
本実施形態では、第2通気構造部35には流路A2に通気部材60が2枚積層されて配置されている。また第1及び第3の通気構造部34,36では、縦方向から横方向に屈曲する流路A1,A3に沿って向きの異なる2つの通気部材60が配置されている。
【0033】
以上のように構成された屋根20においては通気空間33のX方向一方側は第1の通気構造部34を通じて一方の外部空間に連通し、他方側は第2の通気構造部35を通じて他方の外部空間と連通するようになっている。また、通気空間33のY方向両端部は第3の通気構造部36を通じて外部空間と連通するようになっている。さらに通気空間33は隙間S1を介して小屋裏、室内と連通している。
【0034】
小屋裏14内の空気(「内部空気」とする。)は、隙間S1通じて棟部21内部の通気空間33に流出可能になっている。また、建物10の外側で軒先30側から屋根部22に沿って流れる空気は、第2の通気構造部35を通じて棟部21内部の通気空間33に流入可能になっている。さらに建物10の外側の空気は図2中矢印で示すように軒先30から開口28aを通って小屋裏空間14及び棟部21に向って他方から一方に流れこむようになっている。
【0035】
棟部21内部の通気空間33に流入した空気は第1の通気構造部34を通って、棟部21の一方の側方から、建物10の外側に排出される。また、通気空間33の空気はY方向端部に設けられた止部50の第3の通気構造部36を通じて、屋根20のY方向両端部から建物10の外側に排出される。以上により、建物内外の空気が換気される。
【0036】
本実施形態の屋根20によれば、建物10の一端上部に設けられた棟部21の側方を通じて棟部21内外を通気可能とする第1の通気構造部34を構成したことにより、小屋裏空間14や建物10の内外において軒先30側から一方の棟部21に向って流れる空気を、一方側の側方に向かって流すように通気経路を確保でき、高い換気作用が得られる。
【0037】
また軒先30から開口28aを通じて矢印で示すように棟部21に向って風が流れるため、他方(図2中右方)から一方(左方)に向かって風圧が発生する。このため、空気を例えば棟部21から軒先30側に向って排出する場合にはこの風圧と逆方向となるので風圧によって空気の排出が妨げられて換気効率が低下するが、本実施形態の屋根20ではこの風圧の方向に沿って空気を棟部21の側方に向って空気を排出するようにしたので換気効率が向上する。
【0038】
また破風板46から離れた棟部21に通気構造部を構成したため、例えば破風板や外壁に通気用の構造を設ける場合に比べて室内12に雨水や火が入り難く、高い防火性及び防水性を維持することが出来る。
【0039】
また、上記実施形態によれば、一対のパネル部材41、42を組み合わせ、第1のパネル部材41を上方にずらして離間させて配置するだけの簡単な構造で、棟部21の両側に通気経路を確保できるので、組み立て性に優れている。
【0040】
さらに、Y方向端部の止部51にも第3の通気構造部36を設けたことにより、複数方向に通気経路が確保でき、換気効率をより一層向上できる。
【0041】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態にかかる屋根120について、図6、図7、及び図8を参照して説明する。図6は本実施形態に係る建物110の上部を示す斜視図であり、図7は第1ユニット32Aの断面図、図8は第2ユニット32Bの断面図である。なお、本実施形態では、Y方向において換気構造付きの第1ユニット32Aと換気構造のない第2ユニット32Bとを設けているが、各部材の基本的な構成は上記第1実施形態にかかる屋根120と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、図6に示すように、棟包32のY方向における一部分は換気構造付きの第1ユニット32Aで構成され、その他の部分は換気構造のない第2ユニット32Bで構成されている。ここでは、ユニット32A、32BがY方向に交互に並べて配置されている。そしてY方向両端部分には上記第1実施形態と同様に止部50が設けられている。
【0043】
第1ユニット32A及び第2ユニット32Bは、いずれも第1実施形態にかかる屋根20同様の第1パネル部材41と第2パネル部材42を組み合わせて構成されている。
【0044】
図7に示すように、第1ユニット32Aでは、第1パネル部材41と第2パネル部材42とは、上記第1実施形態と同様に、間に隙間S2,S3、流路A1、A2が形成されるように、離間して配置され、その間に通気部材60及び水返し板を配置して第1及び第2の通気構造部34.35を構成している。
【0045】
一方図8に示すように、第2ユニット32Bでは第1ユニット32Aと同じ構造の第1及び第2パネル部材41,42が隙間S2,S3を形成せずに近接して配置され、通気部材60や水返し板47を介在せずに配置されている。第2ユニット32Bでは、第2片41cの下に連続して第4片42dが配置され、水切り板41eの下面は屋根部材26上に当接している。
【0046】
すなわち図6に示すように、第1ユニット32Aでは第2ユニット32Bよりも第1パネル41が上方に位置するように配置されている。この他の部材は第1ユニット32Aと第2ユニット32Bとで、同じ高さ位置に配置され、Y方向に連続して配置されている。
【0047】
また、図7,8に示すように、屋根120では、Y方向に延びる棟木31は、第1ユニット32Aに対応する部分のみ上端31aが切りかかれて野地板24との間に隙間S1が形成されるようになっている。そして、第2ユニット32Bに対応する部分においては棟木31の上端31aが野地板24の下面に当接しており、隙間S1が形成されないようになっている。
【0048】
また、第2ユニット32Bにおいては、第2片41cの裏側と第3片42aとの間に形成される空間を埋めるように、上記第1実施形態よりも幅が大きく構成された第1の受桟44Aが配置され、釘部材Nによって固定されている。したがって、本実施形態の屋根120において第2ユニット32Bでは縦方向から横方向に屈曲するL字型の流路A1は形成されていない。
【0049】
すなわち、この第2ユニット32Bにおいては隙間S1〜S3、流路A1、A2及び通気構造部34,35が形成されず、換気構造付きの第1ユニット32Aにおいてのみ隙間S1〜S3,流路A1、A2及び通気構造部34,35が構成されている。建物10内外の空気は、この第1ユニット32Aの通気構造部34,35と、Y方向両端に形成された止部50の第3通気構造部36とを通って換気されるようになっている。
【0050】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、棟部21の側方から空気を流出可能とする第1の通気構造部34を構成したことにより、換気効率の向上ができ、さらに防水性・防火性に優れた構造とすることができる。
【0051】
また、本実施形態にかかる屋根120では、換気構造を構成する部位と換気構造を形成しない部位とで同じパネル部材41,42を用いてユニット32A、32Bを組み立てることができるので、部品組立て性に優れている。すなわち、同形状の複数のパネル部材を、一方のパネル部材41の位置を変えて間に通気部材60を介在させるだけで容易に通気経路を確保できる。
【0052】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。例えば、他の実施形態として図9,10に示すように、屋根20を構成する各部材の形状や配置を変えてもよい。この場合にも上記第2実施形態と同様の効果が得られる。また、他の実施形態として図11に示すように野地板24や防水材25に開口24aを形成して隙間S1を構成してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…建物、11…外壁、12…室内、13…天井、14…小屋裏空間、20,120…屋根、21…棟部、22…屋根部、23…垂木、24…野地板、25…防水材、26…屋根部材、28…軒天材、28a…上端部、29…軒、30…軒先、31…棟木、32…棟包、32A…棟包ユニット(第1ユニット)、32B…第2ユニット、33…通気空間、34…第1の通気構造部、35…第2の通気構造部、36…第3の通気構造部、41…第1パネル部材、42…第2パネル部材、50…止部、51…第3のパネル部材、52…第4のパネル部材、60…通気部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に配置された棟部と、
前記棟部から他方側下方に傾斜して設けられる屋根部と、を備え、
前記棟部は、棟木と、前記棟木の上側及び前記一方側の側方を覆う棟包と、を有し、
前記棟包は、前記棟木の一方側の側方を覆う側壁部と、前記屋根部の上方を覆う上壁部と、を有し、
前記側壁部を通じて前記棟部の前記一方側の側方に向けて前記棟部内の空気を排出可能とする第1の通気構造部が設けられたことを特徴とする片流れ構造の屋根。
【請求項2】
前記棟部は、建物の外壁に設けられる破風板から上方及び前記一端側の外方に離間して配置されたことを特徴とする請求項1記載の片流れ構造の屋根。
【請求項3】
前記棟木は第1方向に沿って設けられ、
前記上壁部は、前記屋根部の上方に第2の通気構造部を介在して設けられ、
前記棟包の内側には、前記第1通気構造部を通じて一方側の外部に連通するとともに、記第2の通気構造部を通じて他方側の外部に連通する、通気空間が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の片流れ構造の屋根。
【請求項4】
前記屋根部は、前記棟木から他方側下方に傾斜して延びる垂木と、前記垂木の上に設けられる野地板と、前記野地板の上に設けられる屋根部材と、を有し、
前記棟木と前記野地板との間に通気可能な隙間が形成され、
前記棟包の内側の前記通気空間は、前記棟木と前記野地板との間の前記隙間を通って前記建物の小屋裏に連通することを特徴とする請求項3記載の片流れ構造の屋根。
【請求項5】
前記棟包は、前記屋根部上端部分に対向配置される第1片と、前記第1面部の一端側上端の頂部で屈曲し縦方向に沿う第2片と、を連続して一体に有する第1パネル部材と、
前記第2片の内側で縦方向に沿う第3片と、前記第2片の下方で縦方向に沿う第4片とを連続して一体に有する第2パネル部材と、を有する棟包ユニットを備えて構成され、
前記第1パネル部材の第2片と、前記第2パネル部材との間に前記第1の通気構造部が形成され、
前記第1パネル部材の前記第1片と前記屋根部との間に前記第2の通気構造部が形成されることを特徴とする請求項3または4記載の片流れ構造の屋根。
【請求項6】
前記棟包は前記第1方向に複数の棟包ユニットを連続して備え、
前記棟部の少なくとも前記第1方向における一部に、前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とが離間して配置され、前記第1パネル部材及び前記第2パネル部材の間に通気構造部が形成される第1ユニットが配置され、
前記棟部の少なくとも前記第1方向における他の一部に、前記第1パネル部材及び前記第2パネル部材の間に前記通気構造部を介在させずに、前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とが近接して配置される第2ユニットが配置されることを特徴とする請求項5記載の片流れ構造の屋根。
【請求項7】
前記棟包は第1方向に沿って設けられ、
前記棟包の第1方向端部を塞ぐ止部が設けられ、
前記止部には、前記棟部の内外を通気可能とする第3の通気構造部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の片流れ構造の屋根。
【請求項8】
前記通気構造部には、通気板が設けられ、
前記通気板は、一対のプレートと、前記一対のプレート間に設けられる支柱部とを備え、前記一対のプレート間が通気可能に構成されたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の片流れ構造の屋根。
【請求項1】
一方側に配置された棟部と、
前記棟部から他方側下方に傾斜して設けられる屋根部と、を備え、
前記棟部は、棟木と、前記棟木の上側及び前記一方側の側方を覆う棟包と、を有し、
前記棟包は、前記棟木の一方側の側方を覆う側壁部と、前記屋根部の上方を覆う上壁部と、を有し、
前記側壁部を通じて前記棟部の前記一方側の側方に向けて前記棟部内の空気を排出可能とする第1の通気構造部が設けられたことを特徴とする片流れ構造の屋根。
【請求項2】
前記棟部は、建物の外壁に設けられる破風板から上方及び前記一端側の外方に離間して配置されたことを特徴とする請求項1記載の片流れ構造の屋根。
【請求項3】
前記棟木は第1方向に沿って設けられ、
前記上壁部は、前記屋根部の上方に第2の通気構造部を介在して設けられ、
前記棟包の内側には、前記第1通気構造部を通じて一方側の外部に連通するとともに、記第2の通気構造部を通じて他方側の外部に連通する、通気空間が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の片流れ構造の屋根。
【請求項4】
前記屋根部は、前記棟木から他方側下方に傾斜して延びる垂木と、前記垂木の上に設けられる野地板と、前記野地板の上に設けられる屋根部材と、を有し、
前記棟木と前記野地板との間に通気可能な隙間が形成され、
前記棟包の内側の前記通気空間は、前記棟木と前記野地板との間の前記隙間を通って前記建物の小屋裏に連通することを特徴とする請求項3記載の片流れ構造の屋根。
【請求項5】
前記棟包は、前記屋根部上端部分に対向配置される第1片と、前記第1面部の一端側上端の頂部で屈曲し縦方向に沿う第2片と、を連続して一体に有する第1パネル部材と、
前記第2片の内側で縦方向に沿う第3片と、前記第2片の下方で縦方向に沿う第4片とを連続して一体に有する第2パネル部材と、を有する棟包ユニットを備えて構成され、
前記第1パネル部材の第2片と、前記第2パネル部材との間に前記第1の通気構造部が形成され、
前記第1パネル部材の前記第1片と前記屋根部との間に前記第2の通気構造部が形成されることを特徴とする請求項3または4記載の片流れ構造の屋根。
【請求項6】
前記棟包は前記第1方向に複数の棟包ユニットを連続して備え、
前記棟部の少なくとも前記第1方向における一部に、前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とが離間して配置され、前記第1パネル部材及び前記第2パネル部材の間に通気構造部が形成される第1ユニットが配置され、
前記棟部の少なくとも前記第1方向における他の一部に、前記第1パネル部材及び前記第2パネル部材の間に前記通気構造部を介在させずに、前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とが近接して配置される第2ユニットが配置されることを特徴とする請求項5記載の片流れ構造の屋根。
【請求項7】
前記棟包は第1方向に沿って設けられ、
前記棟包の第1方向端部を塞ぐ止部が設けられ、
前記止部には、前記棟部の内外を通気可能とする第3の通気構造部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の片流れ構造の屋根。
【請求項8】
前記通気構造部には、通気板が設けられ、
前記通気板は、一対のプレートと、前記一対のプレート間に設けられる支柱部とを備え、前記一対のプレート間が通気可能に構成されたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の片流れ構造の屋根。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−241442(P2012−241442A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113386(P2011−113386)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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