説明

屑ガラスの再固形化技法。

【課題】 屑ガラスのリサイクル市場が未だ十分に整備されおらず、種々の活用方法が研究されているが、ガラスの持つ透明な素材を活かしてガラス質ブロックを製造する。
【解決手段】 適度の粒度に破砕した屑ガラスに、ガラスの軟化点よりやや低い温度で焼結するが熱間で高粘稠性の可塑性ガラス物質を、混合あるいはコーティングしたのち、箱状あるいは板状に成型して焼成し、壁面装飾用あるいは舗装用等のガラス固形体を得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、屑ガラスやクリンカーを有効活用する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
屑ガラスには廃ビンと産業系廃棄ガラスがある。このうちリュースされる回収ビンとクリアー・緑・茶色ビンがカレット原料として再利用されているが、その他の雑色ビンはコンクリートに砂の代用品として使用されているものの、その他の産業廃棄ガラスやクリンカーとともに引き取り手が無いまま大量に廃棄されている。
【本発明が解決しようとしている課題】
【0003】
今日、国内で排出・破砕されている屑ガラスは、廃ビンだけでも年間1,100,000トンあると言われ、そのうち雑色廃ビンや焼却場の高温クリンカーをどのように始末するかは、集積場担当者あるいは処理業者等の頭痛の種になっている。
また、ガラス屑のうち、いわゆる産業系・医療系廃棄ガラスは含まれる樹脂フィルム・コーティング剤あるいは付着している残留医療薬等により公害の発生をおそれて引き取り手の無い厄介物になっている。本発明の課題は、このリサイクルされる屑ガラスの有効な活用法を探求しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題を解決するために、栓、ラベル、樹脂フィルム環境汚染を予知される内容物等を、可及的除去した廃ガラスを適度の粒度に破砕あるいは微粉砕する。これに、可塑性を与えて成型を容易にするほか、熱間高粘稠性を保つ等の諸機能をもつ、言わば一般耐火煉瓦の粘土の用を為す、粘土仕様にして透火性をもつ充填材を加える。
次に、一般セラミックス建築材料と同様な製造方法によって、水分調整・混合/混練・成型・焼成して、壁面装飾用のガラスブロックあるいは舗装用ブロック等のガラス固形体を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の重要な技術的ポイントである骨材を繋ぐ充填材と成型品の焼成温度について実施例を挙げて説明する。
1.充填材の調合例。
骨材;屑ガラス・クリンカー等。 53.5%
可塑材;木節粘土・CMC等。 23.5%
粘稠材;珪砂・カオリン等。 16.5%
熔融材;コレマナイト・ウレキサイト等。 6.5%
2.未成型品の調合例。
骨材; 71.0%
充填材; 29.0%
この調合物に15%加水し、ウエットパンミルで混練後一夜寝かして水分を均一にしてから、油圧プレスで加圧成型し乾燥後熔融固着防止用珪砂粒を、図1に示すように窯材あるいは製品同士の接触面にコーティングしてから焼成炉に挿入して、カレットの熔融温度1,100℃以下の安全な温度、即ち、900℃〜1,050℃で焼結固形化する。
【発明の効果】
【0006】
I.屑ガラスのリサイクル効果。
1.市民の協力で集荷された廃ビンのうち廃棄されている雑色ビンの再利用ができる。
2.鉛クリスタルガラス、赤色ガラス、車のウインドウガラス、ブラウン管ガラスあるいは医療関連等に含まれる、レアメタルの酸化物、樹脂フィルム、または医療薬品等の汚染物質を含む屑ガラスも、これを充填材によって完全コーティングするので環境再汚染を予防できる。
3.本発明の粘稠材を増量してゆけば組成的に磁器質になり、一般の床タイルが低コストで製造できる。また、曹達長石を屑ガラスに置換すれば、それより200%から250%多く含まれるアルカリ類によって焼成温度が引下げられ、相対的に燃料コストをカットすることができる。
4.冶金鉱碎あるいは高温焼却場からでるクリンカーも、本発明の充填材を使用することで、低コストで固形製品化することができ環境改善に役立てることができる。
II.ガラスブロック等の低コスト化効果。
1.使用原材料の低コスト化。
屑ガラスを使用するので通常のガラス製品に比較して格段に低コストが図れる。
2.ガラス原料は1,400℃℃〜1,500℃の高温で熔融させているが、本発明では熔化ずみのフリット化したカレットを使用するので約450℃低温化でき、燃料費の大幅な削減が図れる。
III.その他の装飾美的効果。
1.屑ガラスであっても、通常回収時点でクリアーホワイト、グリーン、ブラウン等の色分けがなされ、雑色混合と言へども美麗である。また、ブラック、コバル色トビン等も選択利用は容易である。
2.また、これらの単色粒同士を混合した色調も装飾的に美麗であり、種々の色調や混合技法によって多彩な装飾感覚を創造することができる。
3.また、暖色あるいはパステルカラーの採用も充填材に加色するだけでよい。顔料は充填材にだけ使用するから、通常のガラスブロックに比べて低コストで加色することができる。また、焼成温度が低温であることは通常の高温溶解ガラス製品と比べて、顔料の発色がよく使用量を大幅にカットできる。
4.骨材も補充材もガラス質であるから、その素材のもつ光の透過と反射屈折は、そのまま本発明のガラスブロックにも受け継ぐので、通常のガラスブロックには無い透光性ならびに光乱反射のソフトな外光の取入れが可能となる。
5.粘稠材を増量して微粉砕した磁器質素地は、使用する雑色屑ガラスは淡グレーになる。また、クリアー、緑、茶色はそれぞれ、白、淡浅黄、アイボリー等美麗な磁器質床タイル用の素地が得られ、また、素地用顔料を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスブロック構造図例
【符号の説明】
1はガラスブロックの本体であり、2はガラスブロックの空洞であり、また、3は珪砂粒塗布層である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.成型時の可塑性を担保する木節粘土と糊剤等(以下、可塑材という)。と、
2.焼成時の粘稠性を調整する珪砂・アルミナ・カオリン等(以下、粘稠材という)。と、
3.必要に応じて、焼成時の熔融性を加減するコレマナイト・ウレマナイト等(以下、熔融材という)を加えて微粉砕する。
以上の諸材(以下、充填材という)を単独に、あるいは、破砕した屑ガラス、あるいは鉱砕または高温焼却クリンカー等を骨材として加え適宜加水して乾式混合あるいは湿式混練する。これに加圧、震動、イコミ、あるいは湿式押出し成型して成型品を得る。
この成型品の下面に珪砂粒・粘土・糊剤等による泥しょうを塗布して焼成炉に挿入し、フリット化している屑ガラスやクリンカー本来の熔化温度よりもさらに低温度で焼結させ固形化をはかる。
以上において、可塑材の可塑性により成形性を高め、粘稠材の粘稠性により焼成時の形状の安定化を図り、必要に応じて熔融材を加えて、その熔融性により製品の透光性を維持して屑ガラスの持つ素材を活かすことを特徴とする屑ガラスの再固形化技法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−1823(P2006−1823A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204020(P2004−204020)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【出願人】(300053542)
【Fターム(参考)】