説明

工具位置検出装置

【課題】 工具の長さ方向の位置を正確に測定することが可能な工具位置検出装置を提供する。
【解決手段】 本体1aと、本体1aから延出し且つ本体1aに対して進退可能に設けられると共に、当該延出した端面に、工具が当接する測定面4aを有するスライド部4と、スライド部4を測定面4a側に付勢するコイルばね11と、スライド部4がコイルばね11の付勢力に抗して移動した際に、当該移動を検出する移動検出手段を備え、測定面4aの大きさが、スライド部4の進退方向に略垂直な断面の大きさ以下である工具位置検出装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等における切削工具等の長さ方向の位置を測定する工具位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主にフライス・マシニングセンタ等の工作機械において、それらの主軸に取付けた工具の刃先が、ワークに対してどのような位置にあるかを知る必要があり、そのための工具位置検出装置が種々知られている。例えば、工作機械の主軸に取付けられたタッチセンサ等でワークに接触したことを検出する工具位置検出装置がある。
【0003】
このような工具位置検出装置として、例えば、ハウジングの上部に、下方に摺動自在且つ上方に付勢されて突出しているスライド部(接触体)が設けられ、このスライド部の上端面は、前記ハウジングの底面と平行な平面とされ、スライド部の摺動方向と同方向のテーパ孔を有するブロック体と、このテーパ孔に嵌合する円錐形の遊導体とこの遊導体の小径側突出端に装着された電気接点とを有するスイッチが、前記ハウジングに内装されており、前記電気接点は、前記スライド部の下端と所定の間隔を隔てて退避可能に突出方向に付勢されて対峙しており、前記電気接点は、直列接続された通電検出素子と電源とを介して、前記スライド部に電気的に接続されているものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、チャックに掴持されるシャンク部と、このシャンク部と同軸に設けられたスライド部(検出用円盤)とからなり、このスライド部に、工具の−X方向または+X方向の座標位置を検出する−X方向及び+X方向当接部と、工具の−Z方向または+Z方向の座標位置を検出する−Z方向及び+Z方向当接部と、を備えた工具位置検出装置も紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
そしてまた、基準底面を有するベース部と、ヘッド部と、基準底面を有すると共に、ばねにより上向きに付勢されるスライド部(昇降ラム)と、発光体と、スライド部の移動を検出する検出手段と、発光制御回路部と、を備えた工具位置検出装置も紹介されている。この工具位置検出装置では、前記検出手段は、スライド部の昇降方向に直交する水平方向に延びる可動ピンと、可動ピンと直交する水平方向に延びる固定ピンとを有し、可動ピンと固定ピンとはそれぞれ長手方向中心部で交叉すると共にこの中心部交叉点上にスライド部の軸芯が位置し、常時は、ばねの付勢力で可動ピンが固定ピンに接触するようにした電気接点によって構成されている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】実開昭63−144154号公報
【特許文献2】実開平6−3551号公報
【特許文献3】実用新案登録第3025183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の工具位置検出装置は、ばね等の付勢力によりスライド部を上方に保持しており、工具の位置を測定する際には、スライド部の上部に形成された測定面(基準底面)に対して工具を垂直方向から当接させ、所定の荷重をかけてスライド部を押圧することで、当該工具の長さ方向の位置を測定するものであるが、工具の位置を容易に且つ確実に検出(測定)するため、前記測定面をできる限り大きく構成している。したがって、測定面の端部(外周)付近に工具が当接してスライド部を押圧すると、スライド部が傾き、測定誤差が生じる虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の工具位置検出装置を改良することを課題とするものであり、工具の長さ方向の位置を正確に測定することが可能な工具位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明は、本体と、前記本体から延出し且つ当該本体に対して進退可能に設けられると共に、当該延出した端面に、工具が当接する測定面を有するスライド部と、当該スライド部を前記測定面側に向けて付勢する付勢部材と、前記スライド部が前記付勢部材の付勢力に抗して移動した際に、当該移動を検出する移動検出手段と、を、備え、前記測定面の大きさが、前記スライド部の進退方向に略垂直な断面の大きさ以下である工具位置検出装置を提供するものである。
【0009】
この構成を備えた工具位置検出装置は、測定面の大きさが、前記スライド部の進退方向に略垂直な断面の大きさ以下であるため、工具の位置を検出する際に、仮に、当該工具が測定面の端部(外周)付近に当接してスライド部を押圧しても、スライド部が傾くことを防止することができる。したがって、工具の長さ方向の位置を正確に検出することができる。
【0010】
また、本発明にかかる工具位置検出装置は、前記付勢部材の設定圧と、前記スライド部の重量との差を0.3N以下に設定することができる。
【0011】
ここで、工具は、その直径が小さくなるほど、折損荷重が小さくなるが、従来の工具位置検出装置では、測定面を備えたスライド部を上方に確実に保持するため、当該スライド部を付勢するための付勢力を大きめに設定していた。したがって、特に直径が0.1mm以下である小径工具の位置を検出する場合であっても、前記測定面を、工具の折損荷重よりも大きな荷重をかけないと、スライド部を移動させることができず、実際には、直径が0.1mm以下である小径工具の長さ方向の位置を検出することが困難であった。
【0012】
そこで、本発明では、前記付勢部材の設定圧と、前記スライド部の重量との差を0.3N以下に設定することで、前記利点に加え、位置を検出すべき工具が、小径工具(例えば、直径が0.1mm以下)であっても、当該工具に支承を来すことなく長さ方向の位置を正確に検出することができる。
【0013】
そしてまた、本発明にかかる工具位置検出装置は、前記測定面の外周に鍔部を設けることができる。このようにすることで、前記利点に加え、切粉や切削水等が本体とスライド部との間に侵入することを防止することができる。
【0014】
また、本発明にかかる工具位置検出装置は、前記本体と、前記スライド部の当該本体から延出した部分との間に、蛇腹状の弾性体カバーを設けることもできる。このように構成することで、前記利点に加え、前記スライド部の進退運動に支承を来すことなく、切粉や切削水等が本体とスライド部との間に侵入することをさらに防止することができる。
【0015】
そしてまた、前記弾性体カバーは、前記鍔部よりも前記本体側に配設され、当該弾性体カバーの大きさが、当該鍔部の大きさ以下であるよう構成することもできる。このように構成することで、前記利点に加え、切粉や切削水等が、前記本体と、前記スライド部の当該本体から延出した部分との間に、直接かかることがないため、切粉が堆積することを防止することができる。したがって、スライド部が動作不良を引き起こすことを防止することができる。
【0016】
さらにまた、本発明にかかる工具位置検出装置は、前記本体の前記スライド部との摺動面、及び前記スライド部の前記本体との摺動面の少なくとも一方に、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部を形成することができる。このようにすることで、前記利点に加え、スライド部の進退運動の際に生じる摺動抵抗を減らすことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる工具位置検出装置は、測定面の大きさが、前記スライド部の進退方向に略垂直な断面の大きさ以下であるため、工具の位置を検出する際に、仮に、当該工具が測定面の端部(外周)付近に当接してスライド部を押圧しても、スライド部は傾くことなく進退移動することができる。この結果、工具の長さ方向の位置を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる工具位置検出装置について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態にかかる工具位置検出装置の正面図、図2は、図1に示すII−II線に沿った断面図、図3は、図2に示すIII−III線に沿った断面図、図4は、図1に示す工具位置検出装置の底面図、図5は、図1に示す工具位置検出装置の平面図、図6は、図1に示す工具位置検出装置の発光制御回路図、図7は、図1に示す工具位置検出装置の発光制御回路の結線図である。
【0020】
図1〜図7に示すように、本実施の形態にかかる工具位置検出装置1は、平らな基準底面2aを有するベース部2と、略円柱状に形成された導電性のスライド部4を進退可能(昇降可能)に保持するヘッド部3と、絶縁材料からなる中間部材5とによってほぼ円柱状に一体的に形成された本体1aと、ヘッド部3から延出し且つヘッド部3に対し進退可能に設けられたスライド部4と、を備えて構成されている。
【0021】
ベース部2には、3個のマグネット6が、互いに120度移相した位置に埋設されており、例えば、工作機械のテーブルやチャックまたはワークの表面に吸着し、基準底面2aがそれらの表面に密着するようになっている。また、ベース部2には、その上部側に、絶縁材料からなる円筒状の支持部材7が嵌着されている。この支持部材7は、前記中間部材5と一体に形成してもよいし、それと別体に形成してもよい。
【0022】
また、ベース部2内に嵌着された円筒状支持部材7の内部には、電池16が収容配置されており、この電池16は、ベース部2の基準底面2a側(以下、「基準底面2a側」を「下」、「基準底面2a側」と反対側を「上」として記載することがある)に螺合されたキャップ17の取り外しによって交換可能となっている。さらに、ベース部2側の支持部材7の上端部には、後に詳述するプリント基板10が固定されている。
【0023】
ヘッド部3の中央には、嵌合孔部3aがベース部2の基準底面2aと直交するように形成され、この嵌合孔部3aの上部側には、スライド部4を同軸芯に沿って進退可能(昇降可能)に摺動案内する軸受部材8が嵌着されている。また、嵌合孔部3aの下部側には、絶縁材料からなる円筒状の支持部材9が嵌着されている。この支持部材9も、支持部材7と同様に、中間部材5と一体に形成してもよいし、それと別体に形成してもよい。この支持部材9には、後に詳述する固定ピン13が、その両端部が挿着された状態で固定されている。また、ヘッド部3には、発光体としての発光ダイオード18が外部から視認可能に配設されると共に、後に詳述する発光制御回路部19が凹部3b内に配設されている。
【0024】
スライド部4は、上端に基準底面2aと平行な測定面4aを有し、このスライド部4の下端部と、ベース部2側の支持部材7の上端部に固定されたプリント基板10との間には、スライド部4を上向きに付勢する導電性の圧縮コイルばね11が介装されている。このコイルばね11の下端部は、プリント基板10の周辺部に設けられた接続電極20(図7参照)に接続されている。このプリント基板10の中央部には、電池16の負極取り出し用の接続電極21(図7参照)が設けられており、また電池16の正極取り出し用の接続電極22(図7参照)は、ベース部2の上端部内周側に配設されている。
【0025】
測定面4aの大きさは、略円柱状のスライド部4の大きさ以下となるように形成されている。具体的には、測定面4aは、図5に示すように、平面視で略円形を有し、この測定面4aの面積は、スライド部4の進退方向(軸芯P方向)に垂直な断面以下になるように形成されている。
【0026】
また、測定面4aの外周には、測定面4aと同心円状の鍔部4bが形成されている。この鍔部4bは、作業中に、例えば、切粉や切削水等がヘッド部3とスライド部4との間に侵入することを防止する機能を果たしている。そして、測定面4aは、鍔部4bよりも突出した状態で形成されている。
【0027】
そしてまた、スライド部4には、その進退方向に垂直である水平方向に延びる導電性の可動ピン12が、スライド部4を直径方向に貫通してこれと一体的に設けられている。このスライド部4の進退方向のほぼ中間部には、スライド部4の直径方向に貫通し且つスライド部4の軸芯Pに沿って延びるガイド孔14が形成されている。そして、このガイド孔14には、可動ピン12の上方に位置し、この可動ピン12に対して水平方向に延びる導電性の固定ピン13が摺動可能に挿通されている。
【0028】
この可動ピン12と、固定ピン13とは、それぞれ長手方向中心部で交叉すると共に、この中心部交叉点Q上にスライド部4の軸芯Pが位置し、常時はコイルばね11の付勢力によって可動ピン12が固定ピン13に接触するようになっている電気接点15を形成するもので、後に詳述するが、この電気接点15が、スライド部4の測定面4aに工具が当接した時のスライド部4の移動を検出する移動検出手段を構成している。
【0029】
また、スライド部4の鍔部4bの下方と、ヘッド部3の上面との間には、一端がスライド部4の鍔部4bの下方部分に固定され、他端がヘッド部3の上面であって、嵌合孔部3a付近に固定された蛇腹状の弾性体カバー30が配設されている。また、この弾性体カバー30は、その大きさが、鍔部4bの大きさ以下となるように形成されている。この弾性体カバー30は、スライド部4の進退運動に追従して蛇腹部分が伸縮可能であるため、スライド部4の進退運動に支承を来すことがなく、ヘッド部3とスライド部4との間に、切粉や切削水等が侵入することを防止することができる。また、鍔部4bによってカバーされるため、切粉や切削水等が直接かかることがない。したがって、切粉が堆積することを防止することができ、スライド部が動作不良を引き起こすことを防止することができる。なお、本実施の形態では、ゴム製の弾性体カバー30を使用した。
【0030】
そしてまた、スライド部4の外周面には、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部としての溝31が形成されている。そして、この溝31に潤滑剤を保持させることで、スライド部4の進退運動の際に生じる摺動抵抗を減らすことができ、スライド部4をスムーズに進退移動させることができる。
【0031】
発光ダイオード18の発光制御回路部19は、図6に示すように、電気接点15と抵抗24を直列接続した回路と、スイッチング素子としてのトランジスタ23と抵抗25と発光体としての発光ダイオード18を直列接続した回路とが並列接続され、電池16の正極が電気接点15とトランジスタ23に接続され、電池16の負極が抵抗24と発光ダイオード18に接続され、トランジスタ23のベースには電気接点15と抵抗24の中点が接続されている。
【0032】
なお、符号23は、スイッチング素子としてのトランジスタ、符号24は、例えば330KΩ程度の高い抵抗値の抵抗、符号25は、例えば220Ω程度の低い抵抗値の抵抗である。また、符号26a〜26eは接続端子、符号27は回路基板である。
【0033】
具体的な結線については、図7に示すように、接続電極22と接続電極20を接続端子26aに、電気接点15の固定ピン13を接続端子26cに、接続電極21を接続端子26dに、また発光ダイオード18を接続端子26bと接続端子26eに、それぞれ結線している。
【0034】
なお、スライド部4の進退移動のうち、測定面4aを押圧することによりスライド部4がヘッド部3内に挿入する方向への移動(下降)は、測定面4aを押圧する力が、コイルばね11の付勢力に抗した時に行われる。ここで、本実施の形態にかかる工具位置検出装置1は、コイルばね11の設定圧と、スライド部4の重量との差が0.3N以下となるように設定してある。
【0035】
以上のように構成される工具位置検出装置1は、基準底面2aに配設したマグネット6を利用して、例えば、ワークの表面や側面に吸着させ、工作機械に取付けた工具を測定面4aに垂直方向から接近させてこれに当接させることによって、工具の長さ方向の位置を検出する。
【0036】
すなわち、工具がスライド部4の測定面4aに当接すると、スライド部4が下降を開始すると共に、電気接点15が開成し、その結果、電気接点15を介してトランジスタ23のベースに印加されていた電池16の正極電圧が瞬時に低下する。これに伴って、トランジスタ23が導通して保護用の抵抗25を通して発光ダイオード18に所定の電流が流れ、この発光ダイオード18が発光する。また電気接点15の開成過程を細かく見ると、徐々に開成されて、トランジスタ23のベース電圧は、徐々に低下することになるが、トランジスタ23は、ベース電圧が所定電圧になった時点で瞬時に導通するので、発光ダイオード18は、常に電気接点15が一定の開成状態の時に発光する。
【0037】
このようにして、工具がスライド部4の測定面4aに当接すると、その瞬間に発光ダイオード18が明るく点灯し、その点灯時期が明瞭であるため、作業者や環境の相違による点灯の判断が異なるようなことなく、それに起因する測定誤差の発生がなくなる。尚、電気接点15の閉成状態では抵抗24を通して常時電流が流れることになるが、抵抗24の抵抗値が330KΩ程度と大きいために電池16の消耗は少なくて済む。
【0038】
さらに、電気接点15の開閉動作を機械的に見ると、この電気接点15は、前述した可動ピン12と、この可動ピン12の上方で可動ピン12に対して水平方向に延びる固定ピン13とからなるものであって、可動ピン12と固定ピン13とは、それぞれ長手方向中心部で交叉すると共に、この中心部交叉点Q上にスライド部4の軸芯Pが位置し、常時はコイルばね11の付勢力で可動ピン12が固定ピン13に接触するように構成されているため、可動ピン12は、常に固定ピン13に対してスライド部4の軸芯P上において前記中心部交叉点Qで接触している。また、測定面4aに、0.3N以下の荷重をかけた際に、スライド部4が下降して可動ピン12が、固定ピン13から離間することになる。したがって、この電気接点15、スライド部4の移動に対応して正確に開閉動作し、高精度の検出を行うことができる。
【0039】
また、この時、測定面4aの面積は、スライド部4の軸芯方向(進退方向)に垂直な断面以下になるように形成されているため、仮に、測定面4aの外周部付近に工具が当接しても、スライド部4は傾くことなく、ヘッド部3の嵌合孔部3a内に侵入するため、より一層高精度の検出を行うことができる。
【0040】
次に、本実施の形態にかかる工具位置検出装置1を用い、小径工具として、表1に示す径を備えた小径ドリルについて、以下に示す方法で、折損時の荷重と、折損までのスライド部4の実際の移動量を測定した。
【0041】
先ず、マシニングセンタのテーブル上に、0.1g単位の電子秤を載せ、この電子秤上に工具位置検出装置1を載せる。次に、表1に示す4種類の小径ドリルの各々について、個別にマシニングセンタの主軸にクランプさせ、工具位置検出装置1の測定面4aに小径ドリルの先端を0.001mm単位で、小径ドリルが折損するまで押し当てていく。小径ドリルが折損した時の電子秤の示す値(折損時荷重)と、小径ドリルが工具位置検出装置1の測定面4aに接触した時点から折損までの実際の移動量を読取る。この結果を表1に示す。
【0042】
なお、工具位置検出装置1の設定荷重を30gとし、小径ドリルは、菱高精機株式会社製、スーパーマイクロドリル(超硬 Vioコーティング)を使用した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から、直径が0.05mmの小径ドリルの場合、75.6g(約0.74N)の荷重を加えると、折損することが確認された。本発明にかかる工具位置検出装置1は、測定面4aを0.3N以下の荷重で押圧した際に、スライド部4がコイルばね11の付勢力に抗して下降する(移動する)ように構成されているため、直径が0.05mmの小径ドリルであっても、その長さ方向の位置を測定可能であることが判る。
【0045】
なお、本実施の形態では、スライド部4の外周面に、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部としての溝31が形成した場合について説明したが、これに限らず、溝31は、ヘッド部3(本実施の形態では軸受部材8)のスライド部4との摺動面に形成してもよく、また、スライド部4のヘッド部3(本実施の形態では軸受部材8)との摺動面と、ヘッド部3(本実施の形態では軸受部材8)のスライド部4との摺動面の両方に形成してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、測定面4aの外周に鍔部4bを形成した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図8及び図9に示すように、測定面4aの外周に鍔部4bを形成しなくてもよい。
【0047】
そしてまた、測定面4aの外周に鍔部4bを配設するための他の構成としては、鍔部4bをヘッド部3に固定して配設し、鍔部4bの中央部に形成された開口部から測定面4aが露出すると共に、鍔部4bに対し進退可能となる構成が挙げられる。
【0048】
また、本実施の形態では、測定面4aを鍔部4bよりも突出した状態で形成した場合について説明したが、これに限らず、測定面4aと鍔部4bとを区別することが可能であれば、測定面4aは、鍔部4bに対し凹状となっていてもよく、また、面一となっていてもよい。
【0049】
さらにまた、本実施の形態では、スライド部4を付勢する付勢部材としてコイルばね11を使用した場合について説明したが、これに限らず、付勢部材は、スライド部4を付勢することが可能であれば、他の部材を用いてもよい。
【0050】
そしてまた、本実施の形態では、移動検出手段として、可動ピン12と固定ピン13とからなる電気接点15を使用した場合について説明したが、これに限らず、移動検出手段は、スライド部4の移動を検出することが可能であれば、他の構成を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態にかかる工具位置検出装置の正面図である。
【図2】図1に示すII−II線に沿った断面図である。
【図3】図2に示すIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1に示す工具位置検出装置の底面図である。
【図5】図1に示す工具位置検出装置の平面図である。
【図6】図1に示す工具位置検出装置の発光制御回路図である。
【図7】図1に示す工具位置検出装置の発光制御回路の結線図である。
【図8】本発明の他の実施の形態にかかる工具位置検出装置の正面図である。
【図9】図8に示すIX−IX線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 工具位置検出装置
1a 本体
2 ベース部
3 ヘッド部
4 スライド部
4a 測定面
4b 鍔部
5 中間部材
11 コイルばね
30 弾性体カバー
31 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体から延出し且つ当該本体に対して進退可能に設けられると共に、当該延出した端面に、工具が当接する測定面を有するスライド部と、
当該スライド部を前記測定面側に向けて付勢する付勢部材と、
前記スライド部が前記付勢部材の付勢力に抗して移動した際に、当該移動を検出する移動検出手段と、
を、備え、
前記測定面の大きさが、前記スライド部の進退方向に略垂直な断面の大きさ以下である工具位置検出装置。
【請求項2】
前記付勢部材の設定圧と、前記スライド部の重量との差を0.3N以下に設定してなる請求項1記載の工具位置検出装置。
【請求項3】
前記測定面の外周に鍔部を設けた請求項1または請求項2記載の工具位置検出装置。
【請求項4】
前記本体と、前記スライド部の当該本体から延出した部分との間に、蛇腹状の弾性体カバーを設けた請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の工具位置検出装置。
【請求項5】
前記弾性体カバーは、前記鍔部よりも前記本体側に配設され、当該弾性体カバーの大きさが、当該鍔部の大きさ以下である請求項4記載の工具位置検出装置。
【請求項6】
前記本体の前記スライド部との摺動面、及び前記スライド部の前記本体との摺動面の少なくとも一方に、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部を形成してなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の工具位置検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−62061(P2006−62061A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250606(P2004−250606)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000205834)大昭和精機株式会社 (41)
【Fターム(参考)】