説明

巻取り装置

本発明は、連続的に供給される糸(1,1′)をパッケージ(8.2,8.2′)に巻き取るための巻取り機に関する。この巻取り機は、少なくとも各1つの巻取りスピンドル(7,7′)を備えた、鏡像的に配置された2つの回転皿(9,9′)を有しており、前記巻取りスピンドルにはそれぞれ糸の一部が巻き付けられる。各回転皿には圧着ローラ(6,6′)が対応配置されており、該圧着ローラによって糸がパッケージに対して圧着される。圧着ローラはそれぞれ可動の支持体(14,14′)によって共通のホルダ(12)に組み付けられており、このホルダはパッケージの直径増大を補償するために駆動装置(19)によって垂直方向で移動可能である。両巻取りスピンドルにおいてパッケージの均等な巻成体構成を得るためには、本発明では少なくとも一方のパッケージの直径増大を検出するためのセンサ手段(5,5′)が設けられており、このセンサ手段は制御装置(17)と接続されている。この制御装置はセンサ信号を評価して結合値を形成し且つ調整値を共通のホルダの駆動装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の巻取り装置及び該巻取り装置の操作法に関する。
【0002】
このような巻取り装置は連続的に供給される糸、有利には化学糸を巻き取るために使用され、例えば国際公開第03/068648号パンフレットから公知である。巻取りのためには、1つ又は複数の巻管が、同時運転される、回転可能に支承された2つの巻取りスピンドルに設けられる。これらの巻取りスピンドルは2つの巻取りヘッドを成している。糸供給は、両巻取りヘッドに関して、これらの巻取りヘッド間に配置された共通の1平面内で行われる。巻取りスピンドルの回転により、供給される糸は巻管上にパッケージを形成する。共通の綾振り装置によって、糸は周期的にパッケージ軸線の方向で往復運動されるので、パッケージは円筒形の形状を得る。巻取りスピンドルの上位に取り付けられた圧着ローラがパッケージに接触して、糸を綾振り装置からパッケージに引き渡す。更に、圧着ローラの圧着圧力は固いパッケージを構成するために役立つ。パッケージ及び圧着ローラの駆動に関して、従来技術では多くのバリエーションが公知である。つまり、摩擦を介した圧着ローラによるパッケージの駆動、又は駆動装置無しの圧着ローラ或いは小さなトルクで駆動される圧着ローラの場合は巻取りスピンドルによるパッケージの駆動が公知である。前掲の国際公開第03/068648号パンフレットに記載の巻取り装置では、2つの巻取りスピンドルが、それぞれ鏡像的に相並んで配置された2つの回転皿に組み込まれている。巻取りモーションの開始時には、これらの回転皿はまず静止状態にある。パッケージの直径が増大するにつれて、回転皿はそれぞれ逆方向で回転され、これにより、巻取りスピンドルと圧着ローラとの間の間隔を拡大させる。付加的に、圧着ローラはやはり垂直方向で自由に可動な共通のキャリッジに組み込まれたロッカに支承されている。これらのロッカは同時に、ある程度の範囲内で2つのパッケージの直径増大を補償することもできる。前記キャリッジは、巻取りスピンドルと圧着ローラとの間の間隔を拡大するために、シフト運動の付加的な自由度を可能にする。前記両シフト運動の協調によって、広範なパッケージ直径範囲にわたって均一な接触角度が、パッケージと圧着ローラとの間で得られる。
【0003】
パッケージの最終直径に達した場合、満管を空管と交換する必要がある。前掲の国際公開第03/068648号パンフレットでは、このことはそれぞれ回転皿に配置された各2つの巻取りスピンドルによって行われる。これらの巻取りスピンドルは、休止位置と巻取り位置の間で交互に交替される。
【0004】
但し、前掲の国際公開第03/068648号パンフレットに開示された理論は、圧着ローラを支持する両ロッカはある程度の範囲内で両パッケージの直径差を補償することが可能だが、この補償は非調整で行われるという欠点を有している。更に、大きな直径差には反応することができない。このことは、パッケージ構成の品質にネガティブな結果をもたらす恐れがある。
【0005】
従って本発明の課題は、従来技術に基づき公知の2つの巻取りヘッドを備えた巻取り装置を改良して、直径差が大きな場合でもパッケージを確実に且つ最適な圧着力で巻き取ることである。
【0006】
この課題は本発明に基づき請求項1記載の巻取り装置により解決される。
【0007】
このためには、ホルダが駆動装置と結合されており、この駆動装置が、ホルダをパッケージ直径の増大に伴って所定のガイド内で可動に巻取りスピンドルから離反させる。センサ手段が少なくとも1つのパッケージ又は両パッケージの直径増大を検出する。調整値に関してセンサ手段の測定値を評価し且つこれに対応してホルダの駆動装置を制御する制御装置が設けられている。このことは、パッケージ直径が増大するにもかかわらず、ホルダが常にパッケージからの所要距離を有しているという利点を有している。更に、圧着ローラが糸の巻取りのために最適な位置に保持され得る。
【0008】
本発明による巻取り装置の1変化態様では、センサ手段が、ホルダに対する圧着ローラ又は支持体の位置を検出する複数のセンサによって形成される。この変化態様は、パッケージの直径が増大するにつれて、まず最初に可動の支持体に設けられた圧着ローラがホルダに対して持ち上げられるという事実を利用している。このためには、支持体に支承された圧着ローラ又は支持体自体がセンサと作用接続している。圧着ローラ又は支持体の位置は、例えば回転角度センサ、近接センサ又は距離センサによって検出可能である。この場合、パッケージは圧着ローラの自重によって負荷される。調整するためには、圧着力を有利には例えば支持体に作用する空圧シリンダによって変化させることもできる。
【0009】
本発明による巻取り装置の別の変化態様では、センサ手段によって圧着ローラとパッケージとの間の圧着力が検出される。但しこのことは、圧着力がパッケージ直径の増大に伴って大きくなることを前提としている。このことは、例えば支持体の運動学の構成又はばねの使用によって達成され得る。このための適当な構成手段は当業者には公知である。一般に、圧着力の測定は直接又は間接的に、例えば抵抗線ひずみゲージによって行われる。但し、例えば圧着ローラの軸受けにおける音響測定等の、別の間接的な力測定手段も考えられる。
【0010】
本発明による巻取り装置の更に別の有利な構成では、複数の供給糸の内の1本の糸の破断を検知する、複数の糸破断センサが設けられている。これらの糸破断センサは制御装置に接続されている。
【0011】
これにより、この制御装置は両パッケージの内の一方の形成時の障害を知り、このことを考慮することができる。糸破断センサと前記制御装置との間の接続は直接に行われるか、又は大抵巻取り装置の駆動装置を制御するために設けられた、上位に配置された制御装置を介して間接的に行われてよい。
【0012】
支持体の運動も、回転皿の回転も、巻取りスピンドルと圧着ローラとの間の間隔に影響を及ぼすので、有利な構成では制御装置と、回転皿の回転駆動装置を制御する制御装置とが作用接続されている。
【0013】
本発明による巻取り装置を運転するための本発明による方法では、制御装置において、検出された一方のパッケージの直径増大値から調整値を求め、この調整値をキャリッジの駆動装置に供給して、キャリッジを運動させる。この方法の利点は、1つのセンサしか必要としないということと、制御装置における測定信号の処理が容易であるという点にある。但し、例えば1巻取りポジションの糸を巻き取る場合に可能であるような、両パッケージの直径増大がほぼ等しいということを前提としている。
【0014】
本発明による巻取り装置を運転するための本発明による択一的な方法では、センサ手段によって両パッケージの直径増大が検出される。各センサの測定値から、まず最初に結合値が制御装置において求められる。この結合値に関連して調整値がキャリッジの駆動装置に供給され、この駆動装置がキャリッジの移動を生ぜしめる。この択一的な方法は、異なる直径増大も考慮され得るという利点を有している。
【0015】
本発明による方法の1変化態様では、前記結合値が両測定値の平均値によって形成される。このことは、パッケージ直径が相違している場合でも、両支持体が常に平均値付近の位置に位置しているという利点を有している。
【0016】
本発明による方法の別の変化態様では、結合値を求めるために両測定値の最大値を利用する。この場合は、その都度より大きな方のパッケージをプロセスに関連した巻取りヘッドとして使用する。小さな方のパッケージは、支持体の別の位置を以て大きな方のパッケージに追従する。
【0017】
本発明による方法の更に別の有利な変化態様では、センサの測定値に重みづけする。これにより、前記の2つの方法の利点が組み合わされる。つまり、例えば比較的小さな直径差に関しては、まず最初により大きな方のパッケージに対応する大きな方の測定値を極めて著しく重みづけすることができる。直径差の偏差が増大するにつれて、小さな方のパッケージの支持体は極端に中間位置から離れてしまう恐れがある。従って、平均値と極端に異なるこのような測定値がより多く考慮される。1つの例で本発明のこの思想を説明する。この例は、大きな方のパッケージに対応配置された支持体の測定値に関して大きな重みづけを用いて、中間位置からの偏差を線形に考慮する。これに対して他方の支持体の測定値は、比較的小さな重みづけを以て考慮される。但し、この他方の支持体において中間位置からの大きな偏差に反応できるようにするためには、当該測定値の指数(exponential)が考慮される。
【0018】
本発明による方法の更に別の有利な形態では、制御装置において、供給糸の糸破断を検知する糸破断センサの信号を処理し且つ結合値の形成時に考慮する。即ち、2つの糸群の内の一方の巻取り過程が中断した場合は、他方の糸群に対応した測定値しか考慮しないということが有利である。これにより、他方の糸群の巻取り過程は支障なく継続され得る。
【0019】
測定値の結合値から調整値を求めて、ホルダの駆動装置に供給する。本発明による方法の1変化態様では、調整値を結合値から連続的に形成して駆動装置に供給する。これにより、特に均一なプロセス経過が得られる。
【0020】
本発明による方法の別の変化態様では、結合値が限界値に達した場合にだけ、調整値を供給する。つまり、例えばホルダは最初は静止していてよい。パッケージの増大に基づいて支持体が圧着ローラと共に上側の限界値に達すると、直ちに制御装置が介入して、支持体を巻取りスピンドルの軸線から離反させる。このことは、支持体が圧着ローラと共に、駆動装置が再び遮断される下側の限界値に達するまで行われる。
【0021】
有利な方法では、巻取りモーションの間、巻取りスピンドルが固定された回転体(Rotoren)は回転されない。この場合はパッケージの増大がホルダの移動によってのみ補償される。但し、このことは例えばパッケージの衝突を防止するために、巻取りモーション中回転体を数段階回転させるということを排除するものではない。しかし、この回転は増大するパッケージ直径の補償のために第1に規定されているのではない。
【0022】
本発明による方法の更に別の1変化態様では、回転体を小刻みに多段階で又は連続して回転させる。この場合、回転体は回転速度が一定であってよいか、又はルート関数がパッケージの直径増大に従っている。この場合は、上で説明した方法の変化態様とは異なりホルダの移動が補償機能を有している一方で、回転皿の回転が、増大するパッケージ直径を補償する。
【0023】
本発明による方法の特に有利な形式では、結合値からの調整値の形成を、回転皿の制御と協調させる。つまり、例えばいずれにしろ同時に回転皿を回転させる場合は、ホルダの移動を阻止することが有利である。それというのも、両アクションは巻取りスピンドルと圧着ローラとの間の距離に影響を及ぼし、これにより相互に妨害し合うからである。
【0024】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0025】
図1には、本発明による巻取り機の1実施例が概略的に示されている。
【0026】
この巻取り機は、運転中同期的に作動可能な各2つの巻取りスピンドル7,7′,10,10′を備えた、鏡像的に配置された2つの回転皿9,9′から構成されている。
【0027】
例えば紡績装置(図示せず)から連続的に供給される1つの糸群が、まず最初に糸ガイドホルダ3により巻取り機の上位に配置された糸ガイド2,2′によって2つの部分糸群1,1′に分けられる。この場合、各部分糸群は1本の糸又は相前後して配置された複数本の糸を有していてよい。個々の糸は引き続く延在部において、綾振り部材4により周期的に往復ガイドされる綾振り糸ガイド5,5′によって綾振りされる。次いで糸は回転式の圧着ローラ6,6′に載置され且つこれらの圧着ローラ6,6′から、同一の周速で回転するパッケージ8.2,8.2′へ搬送され、これにより、これらのパッケージ8.2,8.2′に巻き取られる。
【0028】
パッケージ8.2,8.2′は、それぞれ巻取りスピンドル7,7′に設けられた巻管8.1,8.1′に巻き付けられる。半分ずつ巻き付けられる個別糸の数に対応して、各巻取りスピンドル7,7′には複数の巻管8.1,8.1′が相前後して配置されている。パッケージの駆動に関しては、巻取りスピンドル7,7′をモータにより直接に駆動することが可能である。択一的に、圧着ローラ6,6′をモータにより駆動することが可能であり、これにより、パッケージ8.2,8.2′は、圧着ローラ6,6′との周面接触による摩擦を介して駆動される。
【0029】
パッケージ8.2,8.2′の直径が大きくなるにつれて、圧着ローラ6,6′の軸線からの巻取りスピンドル7,7′の軸線の距離も必然的に対応して増大する。このためには、可動の支持体14,14′に支承された圧着ローラ6,6′が、綾振り部材4及び糸ガイド2,2′と一緒に共通のホルダ12に配置されている。このホルダ12は、垂直方向で配置されたガイド13を介してケーシング11に結合されている。前記ガイド13は、パッケージ直径の増大に伴って所定の駆動装置によりホルダ12を上方に移動させることができる。図1に示した実施例では、駆動装置は例えば電動モータ等のホルダ駆動装置19によって形成され、このホルダ駆動装置19は、ねじ山付きスピンドル20を介してホルダ12をリニア駆動する。別の駆動バリエーションも可能である。
【0030】
この場合、支持体14,14′及びこれらの支持体に結合された構成部材の重量並びに圧着ローラ6,6′の重量がパッケージ8.2,8.2′にかかる。これに関連した圧着力を低下させるためには、支持体14,14′に負荷軽減部材(図示せず)が設けられている。負荷軽減は、例えばばね力によって、又は圧縮空気を供給される空圧シリンダによって行うことができる。負荷軽減部材はホルダ12に支持されている。ここで再度支持体14,14′の力‐距離関連を理解しておきたい。パッケージ構成の所望の特徴及び支持体14,14′の運動学に応じて、本発明による巻取り装置は、ホルダ12に対して支持体14,14′が持ち上げられる距離と、圧着ローラ6;6′及びパッケージ8.2;8.2′間に作用する圧着力との間に種々様々な関連性を有していてよい。所要の関連性はとりわけ、測定値16;16′を記録するために使用されるセンサ手段若しくはセンサ15;15′のタイプにも依存する。
【0031】
本実施例では、センサ手段として2つのセンサ15,15′が使用され、これらのセンサ15,15′は、支持体14;14′がホルダ12に対して持ち上げられる距離を検出する。このことはホルダ12において直接に行われるか、又は圧着ローラ6;6′において行われる。この場合、センサとしてはあらゆる種類の距離センサが使用可能である。
【0032】
択一的に、圧着ローラ6;6′とパッケージ8.2;8.2′との間に作用する圧着力を、例えば抵抗線ひずみゲージ又は固体伝送音測定を介して、2つのセンサ15,15′によって検出することも可能である。
【0033】
別の択一的なセンサ手段の構成は、1本の巻取りスピンドルの回転数又は2本の巻取りスピンドルの回転数を検出するという点にある。糸は一定の巻取り速度で巻き取られるので、パッケージの直径が増大し、これによりパッケージの周速が変化する場合には、パッケージの増大にもかかわらず、パッケージの周速は一定に保たれるように巻取りスピンドルの駆動装置を制御することが必要とされる。即ち、巻取りスピンドルの回転数から直接に所属のパッケージの直径が規定され得る。センサとしては、巻取りスピンドルに対応配置された回転数センサが使用可能である。制御装置に供給される測定値は、直接又は間接的に調整値に変換され得る。
【0034】
センサ15,15′により記録された測定値16,16′は制御装置17に供給される。この制御装置17は両測定値16,16′から1つの結合値を形成し、この結合値は調整値18に換算される。次いで、調整値18はホルダ駆動装置19に供給され、このホルダ駆動装置19はねじ山付きスピンドル20を介してホルダ12を移動させる。従って、制御装置17において調整器が実現されている。この調整器は、測定値16,16′の変化に調整値18の変化を以て連続的に反応する連続調整器として構成されているか、又は測定値16,16′の内の一方又はこれらの測定値から導出された結合値を超過するか又は下回った場合にのみ、調整値18の変更を以て反応する2点調整器として構成されていてよい。
【0035】
供給される糸群1,1′の糸は、糸破断センサ21,21′によって監視される。糸破断の発生は制御装置17に伝送される。
【0036】
制御装置17は、回転皿9,9′の回転駆動装置(図示せず)と接続されており且つ回転皿9,9′の回転運動を制御する制御装置22と接続されている。このためには、回転皿9,9′は回転可能にケーシング11に支承されている。このことは、回転皿の回転とホルダ12の移動との間の協調を可能にする。
【0037】
次に、2つの巻取りシナリオを説明する。
【0038】
まず最初に、パッケージ8.2,8.2′の直径と直径増大速度の両方が同一であるものと仮定する。ホルダ12は図1に示した位置にある。支持体14,14′は図示の中間位置に位置している。供給される糸群1,1′は上で説明したようにパッケージ8.2,8.2′に巻き取られ、この場合、パッケージ8.2,8.2′の直径は常に増大している。支持体14,14′に固定された圧着ローラ6,6′は、支持体14,14′の運動学に基づいて、パッケージ8.2;8.2′と圧着ローラ6;6′との間の接触線及び接触接線により張設される平面に対して垂直方向で自由に可動である。パッケージの直径が増大するにつれて、支持体14,14′は上方に向かって変位する。このことはセンサ15,15′によってセンシングされ且つ制御装置17へ送られる。この制御装置17は、例えば2つの測定値16,16′から1つの平均値を形成して調整値18を高め、この調整値18はホルダ駆動装置19に供給される。すると、ホルダ12は上方に向かって、支持体14,14′が再度その中間位置を占めるまで移動する。当業者は、制御装置17によって形成される調整器を、一方ではホルダ12が適時に移動され且つ他方では不安定さやオーバシュートが防止されるように設定することが可能である。特に、オーバシュートに基づいてホルダが再び下方に向かって移動することはあまり重要ではない。理想的な場合には、ホルダ12は正確にパッケージ8.2,8.2′の直径増大速度で上方に向かって移動する。
【0039】
第2の巻取りシナリオの特徴は、パッケージ8.2,8.2′の直径がそれぞれ異なっている点にある。2つの測定値16,16′間の結合値を形成する方法は、一方では支持体14;14′の内のひとつがぶつかるまで移動することを防止する。支持体14;14′が極端な位置にあるとパッケージの品質が低下するということから出発すると、両支持体14;14′の内の一方、例えば比較的大きい方のパッケージの支持体を、この支持体14;14の中間位置にできるだけ近い位置で作動させることが有利であってもよいのに対して、他方の支持体においては、意図的にこの支持体の極端な位置が考慮される。
【0040】
生じる可能性のある別の巻取りシナリオは、両糸群1;1′の内の一方で糸破断が発生するというものである。このことは糸破断センサ18;18′によって検出され、この糸破断センサの信号は制御装置17にメモリされる。更に、この制御装置17は測定値16,16′間の結合値を求める際に、破断した糸群に所属する測定値を除去するので、損傷のない糸群に所属するパッケージを引き続き巻き取ることができる。
【0041】
図1に示した本発明による巻取り装置の実施例は、パッケージ8.2,8.2′の直径増大を検出するために、センサ手段として1つのセンサ15;15′しか有していなくてもよい。このような実施例の構成及び機能は、制御装置17において1つの測定値から、ホルダ駆動装置19を制御するための調整値が得られるということを除いて、先に説明した実施例と同一である。この場合、パッケージ8.2,8.2′のそれぞれ異なった巻体増大率において、センシングされない圧着ローラが許容不能な位置を占めないようにするためには、センシングされない圧着ローラに各2つのコンタクトスイッチが対応配置されており、これらのコンタクトスイッチが、圧着ローラ若しくは支持体の最大許容行程を制限し且つホルダ駆動装置の制御への介入を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による巻取り機の1実施例を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給される糸(1,1′)をパッケージ(8.2,8.2′)に巻き取るための巻取り装置であって、巻き取ろうとするパッケージ(8.2,8.2′)を保持する2つの回転可能な巻取りスピンドル(7,7′)が設けられており、これらの巻取りスピンドルが保持された2つの回転可能な回転皿(9,9′)が設けられており、各巻取りスピンドル(7,7′)に圧着ローラ(6,6′)が対応配置されており、これらの巻取りスピンドル(7,7′)と圧着ローラ(6,6′)とが、巻取りを両巻取りスピンドル(7,7′)において同時に行えるように配置されており、圧着ローラ(6,6′)が、可動の支持体(14,14′)を介して共通のホルダ(12)に配置されており、前記支持体(14,14′)が、ホルダ(12)に対する圧着ローラの相対運動を可能にしており、ホルダ(12)の形状が、ガイド(13)を介して可動に構成されており、パッケージ(8.2,8.2′)の直径増大に基づいて、圧着ローラ(6,6′)を伴ったホルダ(12)のシフト運動が可能である形式のものにおいて、
ホルダ(12)が、該ホルダ(12)をガイド(13)内で運動させる駆動装置(19,20)と接続されており、巻き取られたパッケージの内の少なくとも一方(8.2,8.2′)の直径増大を検出するセンサ手段(5,5′)が設けられており、該センサ手段(5,5′)と接続された制御装置(17)が設けられており、該制御装置が、パッケージ(8.2,8.2′)の測定された直径増大に関連して、前記駆動装置(19)を調整値(18)で以て制御することを特徴とする、巻取り装置。
【請求項2】
センサ手段が、ホルダ(12)に対する一方又は両方の支持体(14,14′)或いは一方又は両方の圧着ローラ(6,6′)の位置を検出する1つ又は2つのセンサ(15,15′)によって形成される、請求項1記載の巻取り装置。
【請求項3】
センサ手段が、圧着ローラ(6,6′)とパッケージ(8.2,8.2′)との間の圧着力又は該圧着力に関連した測定値を検出する1つ又は2つのセンサ(15,15′)によって形成される、請求項1記載の巻取り装置。
【請求項4】
糸(1,1′)の糸破断を検知するための糸破断センサ(21,21′)が設けられており、これらの糸破断センサが直接に又は間接的に制御装置(17)と接続されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の巻取り装置。
【請求項5】
前記制御装置(17)が、回転皿(9,9)の回転駆動を制御する制御装置(22)と接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の巻取り装置。
【請求項6】
以下のステップを実施する、即ち
‐一方のパッケージ(8.2,8.2′)の直径増大を測定し、
‐測定値(16)から調整値(18)を形成し、
‐該調整値(18)をホルダ駆動装置(19)に供給する
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の巻取り装置の操作法。
【請求項7】
以下のステップを実施する、即ち
‐両パッケージ(8.2,8.2′)の直径増大を測定し、
‐測定値(16,16′)から結合値を形成し、
‐該結合値から調整値(18)を形成し、
‐該調整値をホルダ駆動装置(19)に供給する
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の巻取り装置の操作法。
【請求項8】
結合値を、2つの測定値(16,16′)の平均値から形成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
結合値を、2つの測定値(16,16′)の最大値から形成する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
測定値(16,16′)の平均値からの偏差に関連して、結合値の形成時に測定値(16,16′)にそれぞれ重みづけする、請求項7記載の方法。
【請求項11】
糸破断センサ(21,21′)によって信号化される糸破断に際して、制御装置(17)が、糸請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
調整値(18)を連続的に供給する、請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
結合値が上側の限界値を超過したら直ちに調整値(18)を供給し、結合値が下側の限界値を超過したら直ちに調整値(18)を供給する、請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
回転皿(9,9′)を、巻取り中ずっと回転させないか、又は少なくとも巻取り時間の大部分の間は回転させない、請求項7から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
回転皿(9,9′)を、巻取り中ずっと回転させるか、少なくとも巻取り時間の大部分の間は連続的に回転させるか、又はパッケージ直径の増大に伴って段階的に回転させる、請求項7から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
結合値からの調整値(18)の形成を、制御装置(22)によって回転皿(9,9′)の駆動装置に供給される制御信号の形成と協調させる、請求項7から15までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−508157(P2008−508157A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522985(P2007−522985)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007911
【国際公開番号】WO2006/013005
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】