説明

巻回帯状体残量長測定装置

【課題】製品の製造に使用する資材を巻回した巻回帯状体51を、現場で目視して残量長を推定するやり方は、あまり正確ではなく、その推定値も現場責任者の経験年数,熟練度等により、相当バラツキがあった。そのため、予測より早く資材がなくなってしまったり、次の資材を早く持って来すぎてしまい作業の邪魔になったりすることがあった。
【解決手段】測定値に対応した信号を外部へ取り出せるようにしダイヤルノギス4と、演算表示装置3とを接続して巻回帯状体残量長測定装置1を構成する。巻回帯状体51の残量長Lは、ダイヤルノギス4で巻回帯状体直径D,芯筒直径d,および帯状体厚さtを測定し、演算表示装置3でπ(D2 −d2 )÷4tの演算をさせれば正確に求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯筒に巻いてある帯状体が、あとどの位の長さ残っているかを測定する巻回帯状体残量長測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の製品を製造する場合、製造に必要とされる資材は、しばしば帯状体の形で供給されている。例えば、帯状体の紙,布,不織布,ビニール,プラスチックフィルム,金属板等が巻回して保持されており、そこから少しづつ巻きほどきながら供給し、必要な長さだけ切って製品の製造に用いられている。
帯状体の資材は、筒状の芯筒に巻回されている。芯筒には、紙で作られたものや(紙管)、金属やプラスチック等で作られたものがあるが、どのようなものを用いるかは、それに巻回する資材に応じて適宜決定される。
【0003】
製造現場で帯状体の資材を使用する場合、重要なことの1つは、資材があとどの位の長さ残っているか(残量長)を知ることである。なぜなら、資材がなくなれば製品の製造が完全にストップしてしまうからである。従って、そうならないよう、タイミングよく次の資材を供給する必要がある。そのためには、残量長を製造現場で出来るだけ正確に知ることが出来る、ということが重要である。
【0004】
図4は、巻回帯状体の種々の残量状態を示す図である。図4において、51は巻回帯状体、52は帯状体端部、53は芯筒である。図4(1)は残量大の場合を示し、(2)は残量中の場合を示し、(3)は残量小の場合を示している。巻回帯状体51の残量長を、数学的に算出し得ることは勿論知られている。
図5は、巻回帯状体の残量長の計算式を説明するための図である。符号は図4のものに対応し、Dは巻回帯状体直径、dは芯筒直径、tは帯状体厚さである。まだ巻回されて残っている残量長をLとすると、残量長Lは次の(1)式で算出されることが知られている。
π(D2 −d2
L= (1)
4t
従来の製造現場においては、巻回帯状体51を目視することにより残量長を推定し、次の供給計画を立てるようにしているところが少なくなかった。
【特許文献1】特開平07−041036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したように、巻回帯状体を現場で目視することにより残量長を推定するやり方は、あまり正確ではなく、その推定値も現場責任者の経験年数,熟練度等により、相当バラツキがあった。
そのため、予測より早く資材がなくなってしまい、供給が間に合わなかったり、あるいは、次の資材を早く持って来すぎてしまい、現場の作業の邪魔になったりするというようなことがあった。
本発明は、このような問題点を解決するため、現場で出来るだけ正確に残量長を測定し得るようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明では、測定値に対応した信号を外部へ取り出せるようにしたダイヤルノギスから成る測定部と、入力が巻回帯状体直径Dであるか芯筒直径dであるか帯状体厚さtであるかを区別して入力する入力選択手段,入力された値を基にして所定の演算を行う演算手段,および演算結果を表示する表示手段とを具えた演算表示装置とにより構成され、前記ダイヤルノギスにより、巻回帯状体直径D,芯筒直径d,および帯状体厚さtを測定して前記演算表示装置に入力し、該演算表示装置において巻回帯状体の残量長Lを求める演算π(D2 −d2 )÷4tを行わせ、その結果を表示するようにしたことを特徴とする巻回帯状体残量長測定装置を提供することとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の巻回帯状体残量長測定装置によれば、その測定部を形成するダイヤルノギスで、巻回帯状体直径D,芯筒直径d,および帯状体厚さtを測定してやりさえすれば、正確な残量長を演算表示装置に表示させることが出来る。
そのため、次の資材供給をタイミングよく行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の巻回帯状体残量長測定装置を示す図である。図1において、1は巻回帯状体残量長測定装置、2は測定部、3は演算表示装置、4はダイヤルノギス、5は測定信号出力線、6,31はコネクタ、32〜34は選択ボタン、41は表示部である。
本発明の巻回帯状体残量長測定装置1は、前記した(1)式により残量長Lを正確に求めようとする装置であり、測定部2と演算表示装置3とにより構成されている。
【0009】
測定部2としては、測定信号が電気信号の形で外部へ取り出されるようにしたダイヤルノギス4を用いる。ダイヤルノギス4は、言うまでもなく、測定対象物の直径とか厚み等を測定したりして、その測定値をデジタル値で表示するようにした道具である。デジタル値で表示するために、測定値は電気信号に変換され、更にデジタル信号に変換されている。
本発明では、その電気信号を外部へ取り出すように改良したものを用いる。電気信号は、アナログ信号の段階で外部へ取り出しても良いし、デジタル信号に変換された段階のものを取り出してもよい。図1中の測定信号出力線5は、そのような信号を取り出している線であり、その先端には、演算表示装置3と接続するためのコネクタ6が取り付けられている。
【0010】
演算表示装置3は、前記(1)式で残量長Lを算出するために必要とされる値、即ち、巻回帯状体直径D,芯筒直径dおよび帯状体厚さtを入力し、それらを用いて(1)式の演算をし、演算の結果求められた残量長Lを表示する装置である。
コネクタ31には、ダイヤルノギス4のコネクタ6が差し込まれ、ここより上記の各測定値が入力される。入力するに際しては、これから入力しようとしている測定値の種類に応じて、対応する選択ボタンを押し、演算表示装置3に対し測定値の種類を知らせる。
例えば、ダイヤルノギス4で巻回帯状体直径Dを測定する時には、それに先立ち、巻回帯状体直径Dに対応した選択ボタン32を押す。これにより、これから演算表示装置3へ入力する値は、巻回帯状体直径Dの測定値であることが知らされる。
巻回帯状体直径D,芯筒直径dおよび帯状体厚さtが入力されると、演算表示装置3の中で前記(1)式の演算がなされ、算出された残量長Lが、表示部41に表示される。
【0011】
図2は、演算表示装置3の構成を示す図である。図2において、31はコネクタ、32〜34は選択ボタン、35は入力I/F、36は入力選択部、37はRAM、38はROM、39はCPU(中央演算処理装置)、40は出力I/F、41は表示部である。
演算表示装置3は、コンピュータ的に構成される。即ち、演算処理をするためのCPU39、一時的に情報を記憶するRAM37、演算に必要とされるプログラムを格納しておくROM38、演算結果を表示する表示部41、CPU39へ入力を取り次ぐ入力I/F35、CPU39からの出力を表示部41へ取り次ぐ出力I/F40等を備えている。入力選択部36は、選択ボタン32〜34の操作に応じ、これから入力される測定値の種類を認識するためのものである。
なお、これはダイヤルノギス4からの入力が、デジタル信号で与えられる場合の構成である。入力がアナログ信号で与えられる場合には、入力を最初に受け取る部分に、アナログ・デジタル変換部を介挿した構成にしてやる必要がある。
以上述べたような構成により、コネクタ31からの入力を基にして前記(1)式の演算を行い、演算結果を表示部41に表示する。
【0012】
図3は、本発明の巻回帯状体残量長測定装置を用いて測定するときの状況を示す図であり、符号は図1,図4のものに対応している。
先ず、ダイヤルノギス4に付いているコネクタ6を、コネクタ31に差し込んでおく。図示のように巻回帯状体51の巻回帯状体直径Dを測定するときは、巻回帯状体直径Dに対応して設けられている選択ボタン32を押して測定する。すると、演算表示装置3には、今測定した値は「巻回帯状体直径D」の測定値だということで入力される。
【0013】
次に芯筒直径dを測定するときは、芯筒直径dに対応して設けられている選択ボタン33を押して測定する。同様に、帯状体厚さtを測定するときは、帯状体厚さtに対応して設けられている選択ボタン34を押して測定する。
前記(1)式の演算をするに必要な測定値が入力されれば、残量長Lを算出する(1)式の演算が行われ、その結果が表示部41に表示される。
このようにして算出された残量長Lは、長さを精密に測定し得るダイヤルノギス4を用いて測定した値を基に算出したものであるので、極めて正確なものである。この残量長Lに基づき次の資材を供給すれば、タイミングよく供給できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の巻回帯状体残量長測定装置を示す図
【図2】演算表示装置の構成を示す図
【図3】本発明の巻回帯状体残量長測定装置で測定するときの状況を示す図
【図4】巻回帯状体の種々の残量状態を示す図
【図5】巻回帯状体の残量長計算式を説明するための図
【符号の説明】
【0015】
1…巻回帯状体残量長測定装置、2…測定部、3…演算表示装置、4…ダイヤルノギス、5…測定信号出力線、6,31…コネクタ、32〜34…選択ボタン、35…入力I/F、36…入力選択部、37…RAM、38…ROM、39…CPU、40…出力I/F、41…表示部、51…巻回帯状体、52…帯状体端部、53…芯筒、D…巻回帯状体直径、d…芯筒直径、t…帯状体厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定値に対応した信号を外部へ取り出せるようにしたダイヤルノギスから成る測定部と、
入力が巻回帯状体直径Dであるか芯筒直径dであるか帯状体厚さtであるかを区別して入力する入力選択手段,
入力された値を基にして所定の演算を行う演算手段,
および演算結果を表示する表示手段と
を具えた演算表示装置と
により構成され、
前記ダイヤルノギスにより、巻回帯状体直径D,芯筒直径d,および帯状体厚さtを測定して前記演算表示装置に入力し、該演算表示装置において巻回帯状体の残量長Lを求める演算π(D2 −d2 )÷4tを行わせ、その結果を表示するようにした
ことを特徴とする巻回帯状体残量長測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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