説明

布地処理用組成物

布地を処理するための組成物。本発明の組成物は、布地が標準的な洗濯プロセス全体を行う必要なく、嗅覚認識及び/又は布地の外観などの布地の種々の特性を改善するために使用され得る。布地を処理するための方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地の種々の特性を改善するため、特に悪臭の削減若しくはフレッシュニングによる嗅覚認識の回復又は改善のため、及び/あるいは皺の発生した布地における皺の除去による外観の回復のため、特に衣服が標準的な洗濯プロセスを行う必要なく着用に好適になるようにするための、布地ケア組成物並びに布地の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
布地の、特に衣料の通常の着用、並びに場合によっては洗濯及び保存のプロセスは、特に嗅覚及び視覚の点から布地を所有者が着用するのにもはや見苦しく又は容認できないようにする。結果として、清浄な/爽やかな香りがしない、及び/又は特に皺若しくは静電気の観点から、視覚的に魅力がない布地を、洗濯機及び乾燥機を使用する標準的な時間のかかる洗濯プロセスを行う必要なく、着用できる状態に回復させるために、布地、特に衣料品を処理する目的で使用するのに単純で容易である「リフレッシャー」製品を発見することに対して、長年にわたる切実な必要性があった。
【0003】
種々の組成物が先行技術において皺抑制組成物として開示されている。市販の皺抑制組成物には、皺の除去を可能にするためにシリコーン含有物質に頼る傾向があるものが挙げられる。これらの市販の組成物には、スプレーディスペンサーから布地に適用されるものが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの組成物の欠点は、これらが十分な水溶性第四級界面活性剤マイクロエマルションを含まないことであり、本出願者は、着用された又は皺の発生した布地の優れた皺除去及び外観の回復を迅速に行うのに水溶性第四級界面活性剤マイクロエマルションが有用であることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、安定であり、好ましくはよく分散し、より好ましくは半透明であり、更により好ましくは透明である、第四級マイクロエマルション布地リフレッシング組成物、布地のリフレッシュ方法及びこのような布地リフレッシング組成物を使用する製品に関する。本発明は、水溶性第四級アンモニウム化合物(「水溶性quat」)を含む布地リフレッシャー製品に関する。水、水溶性第四級アンモニウム化合物及び実質的に非水溶性の油ミックスの混合物は、驚くべきことに、皺、悪臭、及び静電気の削減という所望の効果を提供するマイクロエマルションを形成することができることが発見された。
【0006】
本発明の布地リフレッシング組成物は、以下のものを含む:
A.以下に列挙される成分の残部として添加される水。典型的には、水は約30%〜約99.9%の濃度で添加され得る;
B.水溶性第四級アンモニウム界面活性剤、本組成物中に含まれる水溶性第四級剤の典型的な最低濃度は、少なくとも約0.01%、好ましくは少なくとも約0.05%、より好ましくは少なくとも0.1%であり、一方で、水溶性第四級剤の典型的な最大濃度は、最大約20%、好ましくは約10%未満、より好ましくは約3%未満であり、一般に約0.2%〜約1.0%の範囲にある;
C.実質的に非水溶性の油成分又は油ミックス、油成分は1を超えるclogPを有し得る。典型的には、本組成物中に含まれる油成分の最低濃度は、少なくとも約0.001%、好ましくは少なくとも約0.005%、更により好ましくは少なくとも0.01%であり、一方で、油成分の典型的な最大濃度は、最大約5.0%、好ましくは約3%未満、より好ましくは1.5%未満であり、一般に約0.05%〜約1%の範囲にある;
D.所望により、有効量の非イオン性界面活性剤を添加して所望の物理特性を増大させてもよい。典型的には、非イオン性界面活性剤の最低濃度は、使用される時、少なくとも約0.01%、好ましくは少なくとも約0.05%、より好ましくは少なくとも約0.1%であり、非イオン性界面活性剤の典型的な最大濃度は、最大約5%、好ましくは約3%以下、より好ましくは約1.5%以下である。
E.所望により、緩衝剤を有効量添加して本組成物のpH変化耐性を増大させてもよく、使用される時、少なくとも約0.01%の緩衝剤が添加され、好ましくは少なくとも約0.05%が添加され、より好ましくは少なくとも約0.1%が添加され、一方で、緩衝剤の典型的な最大濃度は、最大約3%、好ましくは約1.5%未満、より好ましくは約0.5%未満である。
F.所望により、有効量の匂い抑制剤を使用して追加的な悪臭捕捉/封鎖効果を提供してもよく、使用される時、この匂い抑制剤は、約0.01%、好ましくは少なくとも約0.1%、より好ましくは少なくとも約0.2%の最小量で添加され、一方で、匂い抑制剤の典型的な最大濃度は、最大約5%、好ましくは約3%未満、より好ましくは約2%未満である;
G.所望により、有効量の抗菌剤を使用して微生物を殺す又はその成長を抑えてもよく、使用される時、抗菌剤は典型的には、少なくとも約0.001%、好ましくは少なくとも約0.002%、より好ましくは少なくとも約0.005%の最小量で使用され、一方で、抗菌剤の典型的な最大濃度は、最大約0.5%、好ましくは約0.2%未満、より好ましくは約0.1%未満である;
H.所望により、有効量のpH調整剤を使用して、約3〜約11、好ましくは約4〜約10、より好ましくは約5〜約9のpHを達成してもよい;
I.所望により、特に抗菌活性物質が防腐剤として作用するのに十分でない時、有効量の可溶化された、水溶性抗菌防腐剤。典型的には、使用される時、これらの抗菌防腐剤の最小量は、少なくとも約0.001%、好ましくは少なくとも約0.002%、より好ましくは少なくとも0.005%であり、一方で、使用される時、典型的な最大量は、最大約0.5%、好ましくは約0.2%未満、より好ましくは約0.1%未満である;並びに、
J.所望により、他の水溶性溶媒、使用される時、これらの水溶性溶媒の典型的な最小量は、少なくとも約0.05%、好ましくは少なくとも約0.1%、より好ましくは少なくとも約0.2%であり、一方で、使用される時、典型的な最大量は、最大約8%、好ましくは約5%未満、より好ましくは約3%未満である;
本組成物は、使用条件下で布地を損傷するあらゆる物質を本質的に含まないことが望ましい。
【0007】
1つの非限定的な実施形態では、本明細書で記載される布地リフレッシャー組成物は、スプレーディスペンサーに組み込まれ、有効であるが、色あせの回復を除いて布地上で乾燥した時に容易には認識できない量のリフレッシャー組成物で布地及び/又は表面の処理を促進することができる製品を作製する。スプレーディスペンサーは、手動で起動する及び非手動で作動する(操作される)噴霧手段と、布地リフレッシャー組成物を収容する容器とを備える。本明細書に記載される布地リフレッシャー組成物の1つの実施形態では、不活性で不揮発性のガスが、エアゾールディスペンサー缶内で推進剤として使用される。
【0008】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、本明細書では、この組成物の小さな直径の液滴を作り出す装置を使用して、処理される表面に供給される。このような装置の非限定的な例には、圧力噴霧器、アトマイザー、及びネブライザーが挙げられる。選択された装置は、好ましくは約5μm〜約300μm、より好ましくは約10μm〜約200μm、更により好ましくは約20μm〜約150μmの重量平均直径粒子径(直径)を有する非常に小さな粒子(液滴)として組成物を布地及び他の表面に供給する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、布地を処理するための組成物に関する。本発明はまた、本発明の組成物を製造するための方法にも関する。本発明は更に、本発明の組成物を含む物品、及び本発明の組成物を使用する方法に関する。次に、参照は、本発明の様々な実施形態において、詳細になされるであろう。本明細書に記載されるすべての百分率、比率、及び割合は、特に指示されない限り重量基準である。特に断りのない限り、分量、百分率、部分、及び比を含むすべての量は、「約」という言葉によって修飾されるものと理解され、量は、有効数字を示すことを意図したものではない。特に断りのない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は「1つ以上の」を意味する。
【0010】
本明細書で使用する時、「含む」は、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を含み得ることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載される本発明の必須要素及び限定、並びに本明細書に記載されるいかなる追加又は任意の成分、成分、工程、若しくは限定を含む、それらからなる、及びそれらから本質的になることができる。
【0011】
本明細書を通じて記載されているあらゆる最大数値限定は、それよりも小さいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含すると理解すべきである。本明細書を通じて記載されているあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書を通じて記載されているあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように包含する。
【0012】
また、これらの組成物による布地における静電気の防止を示すための定性的方法も本明細書に含まれる。静電気(Static又はstatic electricity)は、布地の表面における電荷の不均衡である。これは典型的には、布地材料を接触させ、その後引き離すと、電子が材料により交換され、一方には相対的正電荷を、もう一方には負電荷を残す「摩擦充電」によって生じる。2つの表面間の摩擦は、この電荷分離プロセスを増強させることができ、「摩擦帯電系列」において更に引き離された材料は、より効率的に電子を伝達する傾向を有する。
【0013】
布地の表面における静電気の存在は、非接触式交流電圧検出器によって示すことができることが発見された。非接触式交流電圧検出器は、活性状態の交流電気ワイヤと接続又は接触することなく、交流電圧を検出するために使用される。これらの装置は、交流電場付近に静止して保持されるように設計される。例えば、一般的な使用法は、交流電圧の存在を示すために、これらの装置のプローブを交流電力出力部に配置することである。装置は静止して保持され、電圧の変化を感知し、典型的には音又は光で電圧の存在を示す。布地の表面の上で装置を動かすことにより、非接触式交流電圧検出器が布地における静電気の存在を示すことが可能であり、非常に有効であることが発見された。理論に束縛されるものではないが、布地上に存在する不均一静電場の上で装置を動かすことが、交流ライン電圧の電場の変化をシミュレートすると考えられる。典型的には、装置を、布地の上、約30.5cm(12インチ)未満の距離及び約30.5cm/秒(1フィート/秒)の速度で動かす。布地上の静電気の存在は、計測器によりその通常の方法で示される。布地に静電気がない場合には、計測器はいかなる電圧の存在も示さない。この技術の好ましい例は、グリーンリー・テクストロン(Greenlee Textron)(イリノイ州ロックフォード(Rockford))により流通されるグリーンリー(GREENLEE)G−11非接触式電圧検出器を利用する。本明細書で記載される組成物は、布地に現存する静電気の除去及び静電気の蓄積防止の両方を行うことができる。
【0014】
布地リフレッシング:
前述したように、本発明は、爽やかでなく、悪臭がする及び/又は皺が発生している布地を回復するために、少なくとも有効量で利用する布地リフレッシングのための方法及び組成物に関する。
【0015】
マイクロエマルションは、油、水、及び界面活性剤の巨視的に均質な混合物であり、巨視的レベルでは、両親媒性物質の単層により分離された油及び水の個々の領域から構成される。本明細書で使用する時、「両親媒性物質」は、親水性特性及び疎水性特性の両方を有する化合物を指す。マイクロエマルションは油回収に使用されており、アニオン性界面活性剤と幾分小さな非イオン性アルコールを含有するマイクロエマルションが広範に検証されてきた。マイクロエマルションを記述するのに数多くの方法があるが、これらを記述する、より一般的な特性は、1)外観、すなわち、透明からわずかに不透明な視覚的外観と、2)複雑な相挙動と、3)安定な溶液を作るための混合及び生成の容易さと、4)小さな粒子径及び単位体積当たりの大きな界面面積と、5)有機相及び水相の可溶化能力と、6)優れた濡れ特性と、である。
【0016】
しかしながら、本研究の焦点は、皺除去、悪臭抑制、又は静電気削減のために布地コンテキストにおける第四級アンモニウム界面活性剤系マイクロエマルションの使用である。これらの第四級アンモニウム界面活性剤系マイクロエマルションを寸法取りするために使用される鍵となる物理的特性は、粒子径及び布地湿潤力であり、審美性のために透明な製品が好ましい。布地繊維への浸透を促進するため及び適切な安定性を提供するために、水中油型粒子径が小さいことがこれらの布地処理マイクロエマルション組成物にとって望ましい。加えて、小さな粒子径は、審美目的のために、ある程度の均質性及び/又は透明性を提供することができる。本明細書で使用する時、用語「均質」及び「安定」は、混合又は振盪の後の少なくとも48時間にわたって外観において視覚的に均一であると記述される組成物を指す。好ましくは、油液滴粒子径は、約300nm以下、好ましくは約100nm以下、最も好ましくは約50nm以下である。本発明に関して、典型的な油液滴粒子径は、約1nm〜約300nmの範囲であり得る。
【0017】
理論に束縛されるものではないが、特定の界面活性剤及び油成分及びこれらのモル比はマイクロエマルションの作製における決定要因であり得ると考えられている。適切な粒子径を得るのに寄与する要因は、構成要素の溶解度パラメーター、これらの分子サイズ及び分子形状である。
【0018】
更に、理論に束縛されるものではないが、本組成物のマイクロエマルションの高度に有効な濡れ特性は、綿繊維の毛管及び孔をより完璧に濡らすことにより、速やかかつ徹底的な様式で、組成物が布地、特に綿に浸透することを助け、これにより、セルロース構造中のより多くの内部水素結合に接近する。存在する皺を保持するのを助ける水素結合を切断することは、皺を除去するために重要である。布地構造についての急速な浸透はまた、特に組成物が布地に適用された直後に引張りが適用される場合に、引張りと調和してより良好な皺除去を促進するのを助ける。この急速な開放は、組成物が適用されたすぐ後に布地を引く又は引張ることにより張力を印加し得る消費者に正の強化を提供する。同様に、急速な濡れ及び組成物の展開は、布地上に、より良好な適用範囲を提供し、中和及び錯化されるべき悪臭原因成分とのより良好な接触によって悪臭削減の効率を改善する。布地上での効率的な濡れ及び適用範囲は更に、布地表面にわたる第四級界面活性剤の分布を促進し、特に乾燥又は低湿度環境下で、布地表面における静電気の蓄積を防止する。
【0019】
濡れ指数を使用して所与の処理組成物の濡れ挙動を記述してもよい。特に関心があるのは、綿衣類を濡らす能力である。濡れ指数は、種々の布地上での製品組成物の濡れ速度を測る試験である。この試験は、1滴の試験製品(水は参照製品である)を布地試料上に配置して、製品組成物の滴が布地表面を完全に浸透するのにどれだけかかるかを時間測定することを包含する。濡れ指数は、水対照が表面を完全に浸透するのにかかる時間(秒)を試験製品組成物がかかる時間によって除したものとして定義される。より大きな濡れ指数の数は、より良好な濡れを示し、製品組成物が水よりも何倍速く布地を濡らすかを表すものとして考えることができる。綿についての濡れ指数は好ましくは2以上であり、より好ましくは5を超え、最も好ましくは9を超える。
【0020】
本発明の別の態様は、組成物での布地の前処理及び布地を乾燥させておくことによって達成できる水分管理における改善である。この場合には、水分管理とは、前処理を受けていない布地に比べて、処理された布地へより良好に水を吸上させる能力を意味する。この改善された吸上能力は、皮膚から、皮膚と直接接触して乾燥を早め皮膚の快適さを改善する布地/衣類へ、水/汗を移送する能力と訳せる。
【0021】
本発明の目的に関して、実質的に非水溶性の油成分は、1を超えるlogP計算値(「clogP」)を有するものとして定義される。P値は、対象とする物質のオクタノール/水分配係数の測定値であり、その平衡状態でのオクタノール中と水中の濃度の間の比率である。本発明の好ましい成分の分配係数は高い値を有するので、それらの10を底とする対数、logPの形で示すことがより便利であり、これはlogP値として知られる。これらの値は、clogP値を与えるために便利に計算することができる。多くの香料成分についてのclogP値が報告されており、例えば、デイライト・ケミカル・インフォーメーション・システム社(Daylight Chemical Information Systems, Inc.)(デイライトCIS(Daylight CIS))(カリフォルニア州アーバイン(Irvine))から入手可能なポモナ(Pomona)92データベースに、オリジナル文献への言及と共に、多数のclogP値が掲載されている。ただし、clogP値はまた、デイライトCIS(Daylight CIS)からも入手可能な「CLOGP」プログラムによって計算することもできる。「clogP値」は、ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)のフラグメントアプローチにより求められる(A.レオ(A. Leo)の、「総括医薬品化学(Comprehensive Medicinal Chemistry)」、第4巻、C.ハンシュ(C.Hansch)、P.G.サメンス(P.G.Sammens)、J.B.テイラー(J.B. Taylor)、及びC.A.ラムスデン(C. A. Ramsden)編、295頁、ペルガモン出版(Pergamon Press)、1990年を参照されたい)。
【0022】
logP値計算の別の供給元は、ケムシロLLC(ChemSilo LLC)(マサチューセッツ州テュークスベリー(Tewksbury)、01816)により供給されるLogP特性予測子(CSLogP)による。
【0023】
A.組成物
水溶性第四級アンモニウム界面活性剤:
典型的には、本発明の組成物中に含まれる水溶性第四級アンモニウム化合物の最低濃度は、組成物の総重量を基準として、少なくとも約0.01重量%、好ましくは少なくとも約0.05重量%、より好ましくは少なくとも約0.1重量%、更により好ましくは少なくとも約0.2重量%である。典型的には、組成物中に含まれる水溶性第四級剤の最大濃度は、組成物の総重量を基準として、最大約20%、好ましくは約10%未満、より好ましくは約3%未満である。典型的には、剤は、組成物中に、約0.2%〜約1.0%の量で存在する。
【0024】
具体的には、好ましい水溶性第四級化合物は、ジアルキル(dialkly)第四級界面活性剤化合物である。好適な第四級界面活性剤には、式:
【化1】

を有する第四級アンモニウム界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない(式中、R及びRは独立して、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、ベンジル、及び−(CO)H(式中、xは約2〜約5の値を有する)からなる群から選択され、Xはアニオンであり、(1)R及びRは各々C〜C14アルキルであり、又は(2)RはC〜C18アルキルであり、RはC〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、ベンジル、及び−(CO)H(式中、xは2〜5の値を有する)からなる群から選択される)。本発明に好ましい非対称第四級化合物は、式中、R3及びR4が同一でない化合物であり、好ましくは一方は分枝鎖状であり、もう一方は直鎖状である。
【0025】
好ましい非対称第四級化合物の例は、アーカード(ARQUAD)HTL8−MSであり、式中、Xは硫酸メチルイオンであり、R1及びR2はメチル基であり、R3はモノ不飽和が5%を超える水素添加タロー基であり、R4は2−エチルヘキシル基である。アーカード(ARQUAD)HTL8−MSは、アクゾ・ノーベル・ケミカル(Akzo Nobel Chemical)(オランダ、アーネム(Arnhem))から入手可能である。
【0026】
好適な対称第四級化合物の例は、ユニクオート(UNIQUAT)22c50であり、式中、Xは炭酸イオン及び重炭酸イオンであり、R1及びR2はメチル基であり、R3及びR4はC10アルキル基である。ユニクオート(UNIQUAT)22c50は、ロンザ(Lonza)の登録商標であり、北米ではロンザ社(Lonza Incorporated)(ニュージャージー州アレンデール(Allendale))により入手可能である。
【0027】
好適な水溶性第四級化合物の別の例は、バークオート(BARQUAT)CME−35であり、これはロンザ(Lonza)から入手可能であり、下式を有するN−セチルエチルモルホリニウムエトサルフェートである。
【化2】

【0028】
油成分:
本発明の油成分は、マイクロエマルションにより組成物に組み込まれる実質的に非水溶性の物質を示す。典型的には組成物中に含まれる油成分の最低濃度は、少なくとも約0.001%、好ましくは少なくとも約0.005%、より好ましくは少なくとも約0.01%であり、典型的には油成分の最大濃度は、最大約5%、好ましくは約3%未満、より好ましくは1.5%未満であり、典型的な濃度は約0.05%〜約1%の範囲である。油成分は単一の成分であることができるが、典型的には混合物であり、通常、組成物中にいくらかの有益剤の組み込みを示す。典型的には、油成分は、複数の成分の混合物で製造される香料であるが、置換又は非置換炭化水素及び同様物などの非香料物質であることもできる。噴霧手段に関しては、油成分又はミックスが、組成物への組み込みの容易さのために室温で液体であることが好ましく、乾燥時にノズルが目詰まりする可能性が低い。
【0029】
本発明の油成分は、実質的に非水溶性であり、マイクロエマルションを形成する。実質的に非水溶性であるとは、成分のclogPが約1を超えることを意味する。約1のclogPは、成分がオクタノール中に水の約10倍分離する傾向を有することを示す。油混合物中のいくつかの好ましいが非限定的な成分は、分枝鎖炭化水素、及び香料が使用される時には香料である。
【0030】
香料:
本明細書に記載される布地リフレッシャー組成物はまた、処理された布地に爽やかな印象をもたらす快い匂いの形で「香気信号(scent signal)」を提供することができる。香気信号は、一時的又はそれより長く続く香料の香気を提供するようにデザインすることができる。香料が香気信号として添加される時、香料は、例えば、組成物の使用量の約0.001重量%〜約0.01重量%といった、非常に低濃度でしか添加されない。
【0031】
香料はまた、製品中及び布地上に、より強い匂いとして添加することもできる。布地の爽やかさの水準が高いことが好ましい時、比較的高濃度の香料を添加することができる。これらの濃度は、最小で約0.005%、好ましくは少なくとも約0.01%、より好ましくは少なくとも約0.1%、典型的には最大約5%、好ましくは約3%未満、よりこの好ましくは約1%未満の最大濃度であり得る。
【0032】
好適な香料、香料成分、及び香料キャリアは、米国特許第5,500,138号(ベーコン(Bacon)ら、1996年3月19日発行)及び米国特許出願公開第2002/0035053(A1)号(ディマイヤ(Demeyere)らの名義で2002年3月21日に公開)に開示されている。
【0033】
いかなる種類の香料も、本発明の組成物に組み込むことができる。好ましい香料成分は、布地及び衣類に適用するための使用に好適なものである。このような好ましい成分の典型的な例は、米国特許第5,445,747号(クビトク(Kvietok)ら、1995年8月29日発行)に与えられている。
【0034】
布地上で芳香剤の匂いが長持ちすることが所望される時、約240℃以上、好ましくは約250℃以上の沸点を有する香料成分を少なくとも有効量で用いることが好ましい。このような好ましい成分の非限定的な例は、米国特許第5,500,138号(ベーコン(Bacon)ら、1996年3月19日発行)に与えられている。本発明の皺抑制組成物によって布地が処理された後に、香料成分をゆっくりと放出できる物質を使用することもまた好ましい。この種の物質の非限定的な例は、米国特許第5,531,910号(セバンズ(Severns)ら、1996年7月2日発行)に開示されている。
【0035】
他の香料成分は溶媒として作用することができる。いくつかの場合では、これは、他の香料又は油成分の組成物全体への組み込みを促進するのを助けることができる。本明細書で特によい例は、ベンジルアルコールである。ベンジルアルコールは、水溶性を限定しており(約1.2のclogP)、他の香料成分のこれらの組成物への組み込みを促進するのを助けることが分かっている。
【0036】
分枝鎖炭化水素:
十分に分枝している炭化水素の有効量が利用され、安定で、好ましくは十分に分散した、より好ましくは半透明な、更により好ましくは透明な、高度水性マイクロエマルション皺削減組成物を提供する。炭化水素成分は、飽和又は不飽和であってもよく、好ましくは、揮発性又は固体であるのとは対照的に、室温で液体であるような炭素の含有量及び構造を有する。
【0037】
好適な分枝鎖炭化水素の1つの非限定的な例は、エクソンモービル社(ExxonMobile Incorporated)(テキサス州アーヴィング(Irving))から入手可能なアイソパー(ISOPAR)Vである。別の好適な分枝鎖炭化水素は、プレスパース社(Presperse Incorporated)(ニュージャージー州サマセット(Somerset))から入手可能なパーメチル(PERMETHYL)102Aである。
【0038】
分枝鎖炭化水素は、水溶性第四級界面活性剤、及び好ましくは香料成分と共に、好ましくは透明な、安定マイクロエマルションを作るのに適切な濃度で使用される。分枝鎖炭化水素は、香料成分とは別個に又は香料成分と共にプレミックスされて、リフレッシャースプレーに組み込まれ得る。
【0039】
本発明に所望により使用されてもよい他の任意だが望ましい成分には、非イオン性界面活性剤、緩衝剤、匂い抑制剤、香料マイクロカプセル、シクロデキストリン、低分子量ポリオール、金属塩、抗菌及び防腐剤、pH調整剤、並びに他の任意成分が挙げられる。
【0040】
非イオン性界面活性剤:
任意だが好ましい非イオン性界面活性剤の例は、サーフィノール(SURFYNOL)465、サーフィノール104(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール)、及びこの2つの混合物である。好ましい混合物は、サーフィノール465:サーフィノール104=3:1である。サーフィノール界面活性剤は、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Incorporated)(ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown))から入手可能である。
【0041】
別の好ましい界面活性剤の非イオン性の部類は、アルキル(alkly)ポリグリコシド界面活性剤である。これらの界面活性剤の例は、グルコポン(GLUCOPON)215、プランタレン(PLANTAREN)2000 N UP及びグルコポン425及び同様物である。これらの界面活性剤は、コグニス・オレオケミカルズ(Cognis Oleochemicals)(マレーシア、スランゴル(Selangor))により入手可能である。これらの界面活性剤は、組成物のpHが中性(pH7)から外れて標的とされる時に、これらが広範囲のpHに対して安定であることから、特に有用である。
【0042】
pHが7又はその付近である時に使用できる別の非イオン性界面活性剤の部類は、シルウェット(SILWET)シリコーンポリエーテルである。これらのシリコーンポリエーテルの非限定的な例は、GEシリコーンズ(GE Silicones)から入手可能なシルウェット(SILWET)(登録商標)材料である。エチレンオキシ(CO)基のみを含有する代表的なシルウェット(SILWET)(登録商標)シリコーンポリエーテルは、以下のものである:
【表1】

【0043】
エチレンオキシ(CO)及びプロピレンオキシ(CO)基の両方を含有するシルウェット(SILWET)(登録商標)シリコーンポリエーテルの非限定的な例は、以下のものである:
【表2】

【0044】
プロピレンオキシ(CO)基のみを含有するシルウェット(SILWET)(登録商標)シリコーンポリエーテルの非限定的な例は、以下のものである:
【表3】

【0045】
好ましいシルウェット(Silwet)(登録商標)は、十分な濃度で組成物に含まれる時、色回復を助け、また柔軟性を提供することもできる(これは、シリコーンポリマーが布地の表面上に粗い感触を残す時、特に好ましい)。好ましいシルウェット(Silwet)(登録商標)の非限定的な例には、L77、L7001、L7200、L7087が挙げられ、特にL−7600である。
【0046】
いくつかの非限定的な好ましいダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)シリコーンポリエーテルには、ダウ・コーニング(登録商標)DC Q2−5247、(ジメチル,メチルヒドロキシプロピル,エトキシ化プロポキシ化シロキサン、主に[CAS番号68937−55−3]シロキサン、EO、及びPOから構成される)が挙げられる。本発明で有用なシリコーンポリエーテルの他の非限定的な例には、ダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)から入手可能な以下の化合物、193、112、8600、FF−400流体、Q2−5220、Q4−3667、PP5495、並びに東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社(Toray Dow Corning Silicone Co., Ltd.)から入手可能な、SH3771C、SH3772C、SH3773C、SH3746、SH3748、SH3749、SH8400、SF8410、及びSH8700として既知である化合物、信越化学工業(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.)のKF351(A)、KF352(A)、KF354(A)、及びKF615(A)、東芝シリコーン社(Toshiba Silicone Company)のTSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452が挙げられる。別の非限定的な例は、ドイツのワッカー(Wacker)からのSLM21200である。
【0047】
いくつかのシリコーンポリエーテル(特に、より疎水性のもの)は、安定なスプレー組成物を作製するために、追加の乳化剤を必要とする場合がある。このような乳化剤は、典型的には、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、若しくは双極性界面活性剤又はこれらの混合物である。典型的には、乳化剤及び界面活性剤はまた、布地上で展着剤として作用し、シリコーンポリマーのような活性成分を広げることができる。
【0048】
典型的には、非イオン性界面活性剤の最低濃度は、少なくとも約0.01%、好ましくは少なくとも約0.05%、より好ましくは少なくとも約0.1%であり、一方で、非イオン性界面活性剤の最大濃度は、最大約5%、好ましくは約3%未満、より好ましくは約1.5%未満である。
【0049】
任意の緩衝剤:
緩衝剤は、製造時又は使用中に、製品のpHを制御するのを助けるために本発明に組み込まれてもよい。製品がアルカリ性のpHで配合され、使用時に噴霧される場合には、好ましいアルカリ性pH範囲にある緩衝剤は、噴霧時に空気からの二酸化炭素と混合する結果としてpHが低下するのを防止する助けとなり得る。pHを標的とされる値に維持することはまた、布地上の汚れ又は悪臭を中和するのに役立つことができる。緩衝剤が適切な安定性を混合物に与える濃度で使用される場合には、所望の製品pHのために有機又は無機の、任意の好適な緩衝剤を使用することができる。好ましいアルカリ性緩衝剤には、トリエタノールアミン、グリシン、アルギニン、炭酸塩、重炭酸塩(重炭酸ナトリウムなど)、及び同様物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
任意の匂い抑制剤:
所望により、追加的な悪臭捕捉/封鎖効果を提供することが所望される場合には、有効量の悪臭抑制剤が使用されてもよい。
【0051】
匂いを抑制するための組成物は、米国特許第5,534,165号、同第5,578,563号、同第5,663,134号、同第5,668,097号、同第5,670,475号、及び同第5,714,137号に開示されている種類のものである。
【0052】
香料マイクロカプセル:
一実施形態では、香料は香料マイクロカプセルを含む。好適な香料マイクロカプセル及び香料ナノカプセルには、米国特許出願公開第2003/215417(A1)号、同第2003/216488(A1)号、同第2003/158344(A1)号、同第2003/165692(A1)号、同第2004/071742(A1)号、同第2004/071746(A1)号、同第2004/072719(A1)号、同第2004/072720(A1)号、同第2003/203829(A1)号、同第2003/195133(A1)号、同第2004/087477(A1)号、同第2004/0106536(A1)号に開示されているものが挙げられる。また、米国特許第6,645,479号、同第6,200,949号、同第4,882,220号、同第4,917,920号、同第4,514,461号、米国再発行特許第32713号、米国特許第4,234,627号、及び欧州特許第1,393,706(A1)号に開示されているもの。本発明の目的のためには、「香料マイクロカプセル」という用語は、香料マイクロカプセルと香料ナノカプセルとの両方を表す。別の実施形態では、香料は、上記の香料マイクロカプセル及びカプセル化されていない香料を含む。
【0053】
シクロデキストリン:
本明細書で使用する時、「シクロデキストリン」という用語は、6〜12個のグルコース単位を含有する非置換型シクロデキストリン、特に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び/若しくはこれらの誘導体並びに/又はこれらの混合物のような既知のシクロデキストリンのいずれかを含む。α−シクロデキストリンは、6個のグルコース単位からなり、β−シクロデキストリンは、7個のグルコース単位からなり、γ−シクロデキストリンは、ドーナツ状の環に配置される8個のグルコース単位からなる。グルコース単位の特定のカップリング及び高次構造は、シクロデキストリンに特定の体積の中空内部を有する剛性、円錐分子構造をもたらす。空洞の独特の形状及び空洞の物理的−化学的性質により、シクロデキストリン分子は、空洞に収まることのできる有機分子又は有機分子の一部を吸収する(包接錯体を形成する)ことが可能になる。多くの悪臭分子及び香料分子などの、多くの匂い分子が空洞に収まることができる。したがって、シクロデキストリン及び特に異なる大きさの空洞を有するシクロデキストリンの混合物を用いて、反応性官能基を含有し得る、広域スペクトルの、匂いを発生する有機物質に起因する匂いを抑制することができる。シクロデキストリンと匂い分子との間の錯体化は、水の存在下で容易に生じる。しかしながら、錯体形成の程度は、吸収される分子の極性にも依存する。水溶液では、親水性の高い分子(極めて水溶性であるもの)は、仮に吸収されたとしても、一部しか吸収されない。したがって、シクロデキストリンは、濡れた布地上に低濃度で存在する時、数種の非常に低分子量である有機アミン及び酸とは効率よく錯体を形成しない。しかしながら、水を除去した時、例えば布地を完全に乾燥させた時、数種の低分子量有機アミン及び酸は、より高い親和性を有し、より容易にシクロデキストリンと錯体を形成する。
【0054】
本明細書に記載される溶液組成物中のシクロデキストリン内の空洞は、溶液を表面に適用する時、シクロデキストリンが種々の匂い分子を吸収できるように、溶液中では本質的に空である(シクロデキストリンが錯体化しないまま残っている)べきである。誘導体化されていない(標準的な)β−シクロデキストリンは、室温で、その溶解限度の約1.85%(水100g中に約1.85g)以下の濃度で存在することができる。β−シクロデキストリンは、その溶解限度より高いシクロデキストリン濃度を必要とする組成物中では好ましくない。非誘導体化β−シクロデキストリンは、誘導体化シクロデキストリンに適合する大部分の好ましい界面活性剤の界面活性に影響を及ぼすため、組成物が界面活性剤を含有する場合は一般に好ましくない。
【0055】
布地上の匂いを抑制するために、組成物は好ましくはスプレーとして用いられる。本発明の使用組成物は、通常の使用濃度で布地上に目に見える染みが現れないように、低濃度のシクロデキストリンを含有することが好ましい。好ましくは、使用条件下で表面を処理するために用いられる溶液は、乾燥した時実質上認識不可能である。使用条件での使用組成物中のシクロデキストリンの典型的な濃度は、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約2重量%である。より高濃度である組成物は、溶液が布地から蒸発すると、布地上に許容できないほどの目に見える染みが残る場合がある。これは、薄い、有色の合成繊維で特に問題であり、布地の染みの発生を避ける又は最小限に抑えるために、布地1g当たりシクロデキストリン約5mg未満の濃度で布地を処理することが好ましく、より好ましくは布地1g当たり約2mg未満の濃度で布地を処理する。界面活性剤の存在は、局部的な斑点を最小限に抑えることにより、外観を向上させることができる。
【0056】
低分子量ポリオール:
エチレングリコール、プロピレングリコール、及び/又はグリセロールのような、水に比べて比較的高い沸点を有する低分子量ポリオールは、シクロデキストリンが存在する時、本発明の組成物の匂い抑制性能を向上させるために好ましい任意成分である。理論に束縛されるものではないが、少量の低分子量グリコールを本発明の組成物に組み込むことにより、布地を乾燥させる時、シクロデキストリン包接錯体の形成が促進されると考えられる。
【0057】
ポリオールが水より長期間布地上に留まることができることにより、布地が乾燥する時に、シクロデキストリンといくらかの悪臭分子とが三元錯体を形成することが可能になると考えられている。グリコールの添加は、比較的サイズの小さな一部の悪臭分子によって埋めることのできないシクロデキストリンの空洞内の空間を埋めると考えられている。好ましくは、用いられるグリコールは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物であり、より好ましくはエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールである。ある程度のこのようなポリオールが生じるプロセスにより調製されたシクロデキストリンが極めて望ましく、それはポリオールを除去することなく用いることができるためである。
【0058】
このようなポリオール、例えば、ジプロピレングリコールはまた、本発明の組成物中の一部の香料成分の可溶化を促進するのにも有用である。
【0059】
典型的には、グリコールは、本発明の組成物に、組成物の約0.01重量%〜約3重量%、好ましくは約0.05重量%〜約1重量%、より好ましくは組成物の約0.1重量%〜約0.5重量%の濃度で添加される。低分子量ポリオールとシクロデキストリンとの好ましい重量比は、約2:1,000〜20:100、より好ましくは約3:1,000〜約15:100、更により好ましくは約5:1,000〜約10:100、最も好ましくは約1:100〜約7:100である。
【0060】
金属塩:
所望により、本発明は、シクロデキストリンが存在する時、シクロデキストリン溶液の匂い吸収及び/又は抗微生物効果を付加するために、金属塩を含むことができる。金属塩は、銅塩、亜鉛塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0061】
金属塩を本発明の組成物に添加する時、それらは典型的には、使用組成物の約0.05重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の濃度で存在する。亜鉛塩が金属塩として使用され、透明溶液が所望される時、溶液を透明にしておくために、溶液のpHを約7未満に調製することが必要であり得る。
【0062】
任意の匂い抑制剤が本発明の組成物に添加される時、これらは典型的には、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の濃度で存在する。
【0063】
抗菌剤及び防腐剤:
所望により、本発明のリフレッシャー組成物は、微生物を殺す又はその成長を抑えるために、有効量の抗菌剤を含み、使用される時、抗菌性活性物質の量は、使用組成物の好ましくは約0.001重量%〜約0.5重量%、より好ましくは約0.002重量%〜約0.2重量%、更により好ましくは約0.005重量%〜約0.1重量%である。有効な抗微生物活性物質は、消毒剤/清浄剤として機能することができ、布地に付着する生物からの保護を提供するのに有用である。
【0064】
追加的な防腐剤の例には、ヒダントイン化学系物質が挙げられる。ヒダントイン化学系物質の好適な例には、ロンザ・グループ社(Lonza Group Ltd.)(スイス、バーゼル(Basel))から入手可能なダントガード(Dantogard)2000及びダントガードプラス(Dantogard Plus)により例示されるジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン(DMDMH)系防腐剤が挙げられる。
【0065】
単独で又は組み合わせて使用できる好適な防腐剤の他の非限定的な例は、ローム&ハース(Rohm & Haas)により供給されるネオロン(Neolone)M−10により例示される2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−3(2H)イソチアゾリン;ローム&ハースによるコラローン(Koralone)B−119により例示される1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン系物質;トール/アクティケム(Thor/Actichem)によるアクティサイド(Acticide)MBSにより例示されるメチルイソチアゾリノンとベンズイソチアゾリノン化合物との混合物;ローム&ハースにより供給されるカトン(Kathon)GCにより例示されるメチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンとの混合物;並びにアーチ・ケミカルズ(Arch Chemicals)により供給されるプロキセル(Proxel)GXLにより例示される1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンである。
【0066】
pH調整剤:
組成物のpHを所望のレベルに低下させるために、酸性物質を利用することができる。好適な酸の非限定的な例は、クエン酸のような小さな有機酸、及び硫酸又は塩酸のような無機酸である。好ましくは、使用される酸及び組成物の最終pHは、化学的及び物理的の両方で安定なミックスをもたらすように選択される。
【0067】
組成物のpHを所望のレベルに上昇させるために、塩基性物質を利用することができる。好適な塩基の非限定的な例は、典型的には、水酸化ナトリウムのような低分子量無機塩基である。好ましくは、使用される塩基及び組成物の最終pHは、化学的及び物理的の両方で安定なミックスをもたらすように選択される。好ましくは、本発明の組成物は、約3〜約11、好ましくは約4〜約10、より好ましくは約5〜約9のpHを有する。
【0068】
他の任意成分:
本発明の組成物は、所望により、シリコーン分子に加えて、補助匂い抑制物質、キレート化剤、静電気防止剤、柔軟化剤、昆虫及び蛾忌避剤、着色剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、ひだ及び形状制御剤、スムージング剤、皺抑制剤、清浄剤、消毒剤、細菌抑制剤、カビ抑制剤、白カビ抑制剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、染み防止剤、汚れ放出剤、悪臭抑制剤、布地リフレッシュ剤及び洗い立て感維持剤(freshness extending agent)、塩素漂白匂い抑制剤、染料固定剤、移染防止剤、色保全剤、蛍光増白剤、色回復/再生剤、退色防止剤、白色度強化剤、抗摩擦剤、耐摩耗剤、布地保全剤(fabric integrity agent)、磨耗防止剤、毛玉防止剤、消泡剤及び起泡防止剤、布地及び皮膚用の紫外線保護剤、太陽光劣化阻害剤、抗アレルギー剤、酵素、防水剤、布地調整剤(fabric comfort agent)、防縮剤、伸び防止剤、伸び回復剤、香料のような活性物質を含有する機能性マイクロカプセル、シリコーン、スキンケア剤、グリセリン、並びにアロエベラ、ビタミンE、シアバターなどのような天然活性物質、並びにこれらの混合物を含有することができる。任意成分の総濃度は低く、好ましくは使用組成物の約5重量%未満、より好ましくは約3重量%未満、更により好ましくは約2重量%未満である。これらの任意成分は、具体的に上述した他の成分を除く。補助匂い抑制物質を組み込むことにより、シクロデキストリンの匂いを抑制する能力を強化し、抑制することができる匂いの種類及び分子量サイズの範囲を広げることができる。このような物質には、例えば、金属塩、水溶性のカチオン性及びアニオン性ポリマー、ゼオライト、水溶性重炭酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
キャリア:
本発明の好ましいキャリアは水である。用いられる水は、蒸留水、脱イオン水、又は水道水であることができる。水は、その低コスト、有効性、安全性、及び環境適合性のために、主な液体キャリアである。水溶液はまた、皺抑制及び匂い抑制効果が望ましい時、好ましい。
【0070】
水は、布地の皺除去又は削減に非常に有用である。理論に束縛されるものではないが、水は、布地を皺が発生した状態に保つ多くの繊維内及び繊維間水素結合を壊すと考えられている。それはまた、繊維を膨潤、潤滑及び弛緩させ、皺除去プロセスを補助する。
【0071】
水はまた、シクロデキストリンの液体キャリアとしても機能し、シクロデキストリン分子と、処理される時布地上に存在する任意の悪臭分子との錯体化反応を促進する。希釈水溶液はまた、布地上のシクロデキストリン分子の最大分離をもたらし、それにより匂い分子がシクロデキストリン分子と相互作用する機会を最大化する。近年、水はそれ自体予想外の匂い抑制効果を有することが発見されている。匂いで汚染された布地を水溶液で処理すると、いくつかの極性、低分子量有機アミン、酸及びメルカプタンにより生成される匂いの強度が低下することが発見されている。理論に束縛されるものではないが、水は、これらの極性、低分子量有機分子を可溶化し、その蒸気圧を低下させ、それにより匂い強度を低下させると考えられる。
【0072】
本発明の組成物中の液体キャリアの濃度は、典型的には、組成物の少なくとも約80重量%、好ましくは約90重量%超、より好ましくは約95重量%超である。濃縮組成物が使用される時、液体キャリアの濃度は、典型的には、組成物の約50重量%以下、好ましくは組成物の約40重量%以下、より好ましくは組成物の約30重量%以下である。
【0073】
水溶性溶媒:
所望により、水に加えて、キャリアは、実質的に水に可溶性である低分子量有機溶媒を含有することができる。非限定的な例は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第三級ブチルアルコール脱臭化アセトン、アセトン、及び同様物、並びにこれらの混合物である。低分子量アルコールは、処理された布地を素早く乾燥させるのを補助することができる。また、エチレングリコール及びプロピレングリコールのエーテル(例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル)、並びにグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びエチレングリコールなどといったグリコールのような他の溶媒を用いることもできる。他の非限定的な例には、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,2,3−プロパントリオール、プロピレンカーボネート、フェニルエチルアルコール、2−メチル1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ピナコール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(及びエトキシレート)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、フェノキシエタノール(及びエトキシレート)、他のグリコールエーテル(ブチルカルビトール及びジプロピレングリコールn−ブチルエーテルなど)、エステル溶媒(アジピン酸、グルタル酸、及びコハク酸のジメチルエステルなど)、並びにこれらの混合物が挙げられる。最適な溶媒はまた、いくつかの保形ポリマー及びいくつかの上述のシリコーンポリマーの可溶化にも有用である。任意の水溶性低分子量溶媒は、組成物全体の最大約8重量%、典型的には約0.05重量%〜約8重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約3重量%の濃度で使用することができる。高濃度の溶媒を組成物中で用いる時、考慮する必要がある要因は、コスト、匂い、可燃性、及び環境的影響である。組成物の目的とする使用が、それを自動衣類乾燥機内に分配すること(例えば、スプレー)である場合には、可燃性有機溶媒は好ましくない。
【0074】
B.製品
本発明はまた、組成物、及び組成物を分配するディスペンサーを含み得る。組成物を分配又は収容するための好適なディスペンサーの非限定的な例には、自己加圧式スプレー容器(エアゾール容器など);トリガー噴霧器のような噴霧器;米国特許第7,059,065号(ゲルラッハ(Gerlach)ら、2006年6月13日発行)、同第7,043,855号(ヘイルマン(Heilman)ら、2006年5月16日発行)、米国特許出願公開第2004/0143994号(バロン(Barron)らの名義で2004年7月29日に公開)及び同第2004/0123489号(パンチェリ(Pancheri)らの名義で2004年7月1日に公開)に開示されているもののようなディスペンサー及び同様物;並びにネブライザー;組成物を運搬/収容する基材が挙げられ、このような基材にはワイプ若しくはパッド、又はローラー(この1つの非限定的な例は、糸くず取りローラーである)のような基材、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。所望される場合には、組成物は処理される布地に直接分配されてもよい。
【0075】
液体組成物の有効量は、好ましくは布地、特に衣料の上に噴霧される。組成物が布地上に噴霧される時、布地が組成物で湿る又は完全に飽和するようになるまで、典型的には噴霧される布地の約0.05重量%〜約150重量%、好ましくは約1.0重量%〜約75重量%、より好ましくは約2重量%〜約25重量%の有効量が布地上に付着すべきである。いったん噴霧されると、布地は、所望により及び皺除去の目的で、好ましくは伸張される。引張りは、おもり、滑車などによるような機械的手段により、又は引く及び引張る働きかけで手により、適用することができる。布地は、典型的には皺に対して垂直に、又は張力として重力を使用して布地が垂下する場合には、衣類の垂直軸に沿って、伸張される。布地はまた、皺を除去するために噴霧された後に、手で皺を伸ばしたり及び/又は振り動かしたりすることができる。
【0076】
別の方法としては又は加えて、組成物は、布地処理装置内に、直接加えられてもよい及び/又は分配されてもよく、この布地処理装置の非限定的な例には、布地洗浄装置(この非限定的な例は洗濯機である)、布地乾燥装置(この1つの非限定的な例はタンブル乾燥機である)、布地リフレッシング装置(この1つの非限定的な例は、米国特許第6,726,186号(ガールール(Gaaloul)ら、2004年4月27日発行)、同第6,893,469号(ファン・ハウウェルマイレン(Van Hauwermeiren)ら、2005年5月17日発行)、及び同第6,840,068号(パシン(Pasin)ら、2005年1月11日発行)が挙げられる。
【0077】
1.自己加圧式スプレー製品
1つの非限定的な実施形態では、本発明は、自己加圧式スプレー製品であってもよい。
(1)破裂又は変形を生じずに容器内部で所望の圧力を維持できる分配容器;
(2)噴射剤;
(3)水溶性ジアルキル第四級アンモニウム化合物、香料及び/又は炭化水素を含む油、十分に分枝した炭化水素、並びに上述した任意成分を含有する、皺除去及び脱臭などの効果を提供するための水性処理配合物;
(4)バルブ、ノズル開口部、及び作動時に均等な表面適用範囲で均一にエアロゾル化された円錐状スプレーを供給する作動装置アセンブリ。
【0078】
加圧式分配容器
本発明の分配容器は、噴射剤によって引き起こされる圧力下で成分を保持するために好適ないかなる容器であることもでき、典型的にエアゾール容器と呼ばれる。金属缶の形態のこうした容器の設計は周知であり、スチール(ブリキ)及びアルミニウムエアゾール容器の両方を包含する。より最近では、容器内の噴射剤により引き起こされる圧力を維持するために使用できるプラスチック容器さえもが、開発されてきた。
【0079】
エアゾール容器は加圧式容器であるので、こうした容器の仕様は、含有される圧力に従って多くの国で規制されている。これは、エアゾール容器のための多数の標準工業仕様になった。例えば、米国における標準エアゾール容器は、典型的に無仕様(nonspecification)、2P又は2Q容器に分類される。これらの仕様は、容器の最小限の坐屈及び破裂圧力、並びに最小限の壁の厚さを指定している。例えば、54.5℃(130゜F)において1070キロパスカル(「kPa」)未満の圧力を示すエアゾール製品は、無仕様(nonspecification)容器に分類され、典型的に識別されない。54.5℃において1070kPa〜1200kPaの圧力を示すエアゾール系は、2P仕様又はこれ以上を有する缶構造を使用することを要求される。54.5℃において1200kPa〜1340kPaの圧力を示すエアゾール系は、典型的に2Q仕様又はそれ以上を有する缶構造を使用することを要求される。同様の標準は欧州にも存在し、代替の指定は1200kPa(12バール)及び1800kPa(18バール)缶標準を含む。これらの工業規格は、エアゾール容器の構造における厳しい制御を維持するために開発されてきた。
【0080】
本発明においては、2Q仕様を満たしているアルミニウム缶が望ましい。こうした缶は、CCLコンテナ・エアゾール部門(CCL Container Aerosol Division)(ペンシルベニア州エルミタージュ(Hermitage))、又はエクサル容器(Exal Container)(オハイオ州ヤングズタウン(Youngstown))が挙げられるが、これらに限定されない多くのエアゾール容器製造業者から得ることができる。
【0081】
分配容器は、任意の好適な形状を有することができる。例えば、円筒形状のエアゾール缶は当業界で周知である。実際、工業規格缶の寸法も、貯蔵缶サイズの範囲であるという条件で確立されてきた。これらの缶は、典型的に缶の全体的な直径及び全体的な高さに従って指定される。容器が缶の上部に向かって内部ヘ先細りになる首付き缶が一般に使用される。また、肩部を有する缶を使用してもよい。様々な実施形態において、容器は多くの形状を有することができるが、首付き円筒缶形状が、人間工学的に望ましい傾向がある。本発明の1つの非限定的な実施形態では、直径53mm及び高さ約205mmを有する首付き円筒缶形状が使用されてもよい。
【0082】
ほとんどの缶は、容器を腐食から保護するため、及び製品を容器自体とのあらゆる可能性のある化学反応から保護するための助けとして、コーティング又はライナーを包含する。容器内の製品と容器冶金との間のわずかな反応でさえ、芳香の変化、色の変化、重大な構成要素の化学活性の損失、及び更なるガスを発生する反応による過度の圧力状態を引き起こし得る。したがって、業界はこうした相互作用を防止するために、広範囲のコーティング及びライナーを開発してきた。これらには、エナメル質及び以下の種類の樹脂から作られたライナーが挙げられるが、これらに限定されない:アクリル、マレイン、ポリアミドイミド、アルキド、ビニル、ポリブタジエン、フェノール、エポキシ−アミン、エポキシ−エステル、エポキシ−フェノール、含油樹脂、及びその他。コーティング又はライナーの選択は、製品特性及びエアゾール容器の冶金に依存する。ポリアミドイミドライナーコーティングを使用する一実施形態は、PPG包装コーティング(PPG Packaging Coatings)、HOBA部門(HOBA Division)(ドイツ、グラベンストラーべ(Grabenstrabe))から入手可能なPAM8460Nとして販売されている。
【0083】
噴射剤
本発明の噴射剤は、21℃(70゜F)において、446kPa(50psig)超過、及び製剤の75%を使用した後に、377kPa(40psig)超過の全缶圧を維持できる。噴射剤は、エアゾール工業において一般に使用される多くの噴射剤の中から選択することができる。これらは、典型的に液化ガス噴射剤又は圧縮ガス噴射剤のどちらかとして分類される。好適な圧縮ガス噴射剤には、圧縮空気、窒素、笑気、二酸化炭素、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な液化ガス噴射剤には、プロパン、イソブタン、イソプロパン、イソブテン、n−ブタン、ジメチルエーテル(「DME」)、及びこれらの混合物のような炭化水素噴射剤、並びにHFC152a及びHFC134aのようなヒドロフルオロカーボンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
噴射剤の選択は、バルブの作動に際し、缶内のガス圧に影響し、次にはスプレーに関連した供給量と衝撃圧に同様に影響を及ぼす主な要因である。特定の実施形態では、製品の消費に起因して缶のガス体積が増加すると、液相噴射剤が蒸発して圧力を維持するため、製品の使用を通して缶内の圧力をよりよく維持する傾向があるので、液化ガス噴射は、圧縮ガス噴射剤よりも好ましい可能性がある。スプレーにより放出される揮発性有機化合物(VOC)の濃度を制御することが所望される場合には、窒素のような圧縮された気体が所望され得る。
【0085】
一般に噴射剤は、所望の缶圧を達成するように混合される。噴射剤の混合物は、プロパン、イソブタン、及びn−ブタンを含有できる。本発明の種々の実施形態では、21℃(70゜F)において約483kPa(70psig)〜約689kPa(100psig)の蒸気圧を有するプロパン及びイソブタンの混合物が、望ましい可能性がある。本発明の1つの非限定的実施形態では、アエロン(Aeron)A85と呼ばれ、ダイバーシファイドCPCインターナショナル社(Diversified CPC International, Inc.)(USAイリノイ州シャナホン(Channahon))から入手可能なプロパン及びイソブタンの一般のブレンドを使用してもよい。このブレンドは、68.9モル%のプロパン、及び31.1モル%のイソブタンを含み、21℃(70゜F)において586kPa(85psig)の蒸気圧を提供する。
【0086】
所望により、噴射剤と製品との間の過度の相互作用を回避する必要がある場合、噴射剤をエアゾール容器内の製品から分離するために、バリア包装システムが開発されてきた。これらには、CCLコンテナ、アドバンス・モノブロック・エアゾール部門(CCL Container, Advance Monobloc Aerosol Division)(ペンシルベニア州エルミタージュ(Hermitage))から入手可能なABS(登録商標)改良型バリアシステム(Advanced Barrier System)のようなピストンバリア包装及びバッグ−イン−カン包装が挙げられる。ある実施形態では、製品の使用期間を通して、より一貫した製品特性を得るために、これらのバリア包装の取り組みを採用することができる。
【0087】
システム
本発明の自己加圧式スプレーリフレッシング物品は、リフレッシング物品として単独で使用されてもよく、又は所望される場合には、布地から皺及び匂いを除去するためのシステムと共に使用されてもよい。例えば、1つの非限定例では、自己加圧式皺及び匂いリフレッシング物品は、洗濯の前に匂いを除去するために、洗濯プロセスに関連して使用されてもよい。例えば、自己加圧式皺及び匂いリフレッシング物品は、洗濯機が挙げられるがこれに限定されない布地洗浄装置に関連して使用することができ、布地は、自己加圧式皺及び匂いリフレッシング物品で処理され、その後、布地洗濯機で洗濯される。あるいは、自己加圧式皺及び匂いリフレッシング物品による処理の前又は後のいずれかで、布地は、リフレッシングキャビネットが挙げられるがこれに限定されないリフレッシング装置でリフレッシュすることができ、リフレッシングキャビネットの非限定的な例は米国特許第6,726,186号に開示されている。所望される場合には、自己加圧式皺及び匂いリフレッシング物品は、洗濯及び/リフレッシングに先立って布地の染み又は特に悪臭領域を前処理するために、前処理の一部として使用されてもよい。加えて、所望される場合には、自己加圧式皺及び匂いリフレッシング物品による処理の前又は後のいずれかで、布地を、布地物品乾燥装置内で処理することができるが、布地物品乾燥装置の1つの非限定的な例はタンブラー乾燥機である。
【0088】
更に加えて、自己加圧式リフレッシング物品は、所望される場合には、洗濯洗浄プロセスに頼る必要なしに、布地処理効果を提供するために有用である布地処理の一連の製品の一部を形成するための他の布地処理製品と共に使用、販売、及び/又は分類されてもよい。例えば、1つの非限定的な例では、自己加圧式リフレッシング物品は、布地をリフレッシュするための製品及び/又は染みを除去するための製品及び又は色外観向上製品(米国特許出願公開第12/008,427号及び同第12/008504号(共に2008年1月11日に出願)に開示されているものなど)と共に提供されてもよく、これらはすべて、洗濯洗浄プロセスの一部として適用される必要なしに、布地に適用されてもよい。その一連の布地処理製品は、異なる形態でも入手可能である。例えば、リフレッシング製品及び/又は染み除去製品は、クロス、ワイプ、パッド、スポンジ、テープ(この非限定的な例は、糸くず取りローラー又は染み除去ペンである)などの形態で又はスプレーの形態であってもよい。同様に、色外観向上製品は、スプレー又は基材の形態であってもよい。
【0089】
引張り
布地物品をリフレッシュする時、布地物品における皺の量を低減するために張力の印加と製品適用を組み合わせることが有利であり、好ましい。湿った布地が「可動」(伸ばすことができる)になり/のままであり、完全に乾燥していない「好機」の時間帯に、張力を印加することは、特に有利である。本明細書で使用する時、用語「張力」は、繊維マトリックスの伸び、引張り又は平坦化を生じさせるために布地に印加される力を指す。張力は、不均一又は均一な方法で印加することができる。不均一な張力の例には、乾燥機内でのタンブル及び風によるつり干し(line-drying)が挙げられるが、これらに限定されない。均一な引張りには、重力、特定の方向における手による操作(例えば、引き、くせ取り、引張り)、アイロンがけ、重り又は別の機械的引張りシステムの適用が挙げられるが、これらに限定されない。くせ取り/皺削減効果の規模は、印加される張力の性質、量、及び持続時間に比例する。一般に、最終結果は、不均一な引張りに対して均一な引張りの方が優れ、不均一な引張りが小さな力なのに対して均一な引張りは大きな力である。
【0090】
本発明の組成物はまた、アイロンがけの補助として使用することもできる。有効量の組成物を布地上に噴霧することができ、その布地はアイロンがけされるべき通常の温度でアイロンがけされる。布地は、有効量の組成物で噴霧し、そのまま乾燥させ、その後アイロンがけするか、又は噴霧してすぐにアイロンがけするかのいずれでも行うことができる。
【0091】
本発明の更に別の態様では、組成物は、皺取りされるべき及び/又は所望により脱臭されるべき布地を収容する家庭用皺取りチャンバにより、布地上に噴霧することができ、これにより作業を容易にすることができる。従来の個人用並びに産業用の脱臭及び/又は皺取り装置は、本明細書に用いるのに好適である。伝統的には、これらの装置は、交互に繊維の弛緩をもたらす蒸気プロセスによって作用し、布地はリフレッシング組成物を噴霧され、続いて加熱された及び/又は乾燥している環境に曝されてもよい。家庭用皺取りチャンバの例には、シャワー室が挙げられる。次に、布地への組成物又は化合物の噴霧は、装置のチャンバ内で、又はチャンバ内に布地を配置する前に、実施することができる。再び、噴霧手段は好ましくは、約8〜約100μm、好ましくは約10〜約50μmの重量平均直径を有する液滴を提供可能であるべきである。好ましくは、天然及び合成繊維製の布地上での水分の負荷は、噴霧された布地の約0.05重量%〜約150重量%、好ましくは約1重量%〜約75重量%、より好ましくは約2重量%〜約25重量%である。皺取り装置内で実行できる他の従来工程、例えば加熱及び乾燥を適用することができる。好ましくは、最適な利益のために、チャンバ内部の温度プロファイルは、約30℃〜約80℃、より好ましくは約40℃〜約70℃、更により好ましくは約50℃〜約80℃の範囲である。乾燥サイクルの好ましい長さは、約3〜約60分、より好ましくは約10〜約30分である。皺取り装置内での蒸気処理工程はまた、組成物が噴霧前に約22℃(約72°F)〜約76℃(170°F)の範囲の温度に維持される場合には、省いてもよい。
【0092】
自己教育型商品
本発明はまた、自己加圧式スプレー皺取り及び匂いリフレッシング物品を包含する。物品に関連して、一連の説明書が含まれてもよく、これは物品により布地から皺及び悪臭を除去する方法に従うようにユーザーに指示する。例えば、1つの非限定的な実施形態では、こうした説明書は、スプレーを布地上の皺が発生した領域に適用するように、ユーザーに指示してもよい。別の非限定的な実施形態では、説明書は、スプレーを布地上の皺が発生した又は悪臭のする領域に適用するように、ユーザーに指示してもよい。更に別の実施形態では、説明書は、布地の表面から約5.08cm(2インチ)〜約20.32cm(8インチ)の距離でスプレーを適用するように、ユーザーに指示してもよい。更に別の実施形態では、説明書は、皺が発生した又は悪臭のする領域にスプレーの焦点を合わせ、スプレーをその領域の中心から外側に向かってゆっくりと動かすように、ユーザーに指示してもよい。更に別の実施形態では、説明書は、布地の皺が発生した領域にスプレーを適用し、次に上記のように張力を印加するように、ユーザーに指示してもよい。
【0093】
本明細書において、「関連付けられた」は、そのような説明書に対していう時、説明書が、物品上に直接印刷されるか、物品の包装に直接印刷されるか、物品用の包装に添付されるラベル上に印刷されるか、あるいはパンフレット、印刷広告、電子広告、放送若しくはインターネット広告、及び/又は他のメディアなどが挙げられるが、これらに限定されない異なる方法で提示されるかのいずれかであって、物品の消費者にその一連の説明を伝えるようになっていることを意味する。
【0094】
本発明の自己加圧式スプレー皺及び匂いリフレッシング物品での布地処理方法
本発明はまた、本発明の自己加圧型スプレー物品での布地上の皺及び匂いリフレッシングのための使用方法も含む。これは、スプレー流が布地上の皺又は悪臭領域と接触するようにスプレー物品を作動することを含む。使用方法は、所望により、布地が物品により接触された後の布地の拭き取り、吸い取り、又は洗濯を含む。
【0095】
試験方法
濡れ指数試験
濡れ指数は、種々の布地上での製品の濡れ速度を測定する試験である。この試験は、1滴の試験製品(水は対照製品である)を布地試料上に置いて、製品の滴が布地表面に完全に浸透するのにどれだけかかるかを時間測定することを包含する。濡れ指数は、水対照が表面に完全に浸透するのにかかる時間(秒)を試験製品がかかる時間によって除したものとして定義される。より大きな濡れ指数の数は、より良好な濡れを示し、製品が水よりも何倍速く濡らすかを表すものとして考えることができる。
【0096】
この方法は、以下の工程からなる:
1)標準的な15.2cm(6’’)直径の刺繍リング/フープを使用して布地材料を保持する。フープよりも大きな布地試料を、平らに横たわるように内側フープの上に置く。外側/第2のフープを見本の上に定置し、2つのフープの間の布地を挟み込む内側フープの上に押し下げる。これは、布地試料をわずかな張力で2つのフープの間の位置で保持される平坦な状態にするはずである。
2)布地と共にフープを、フープの外側の布地が水平面上に定置された時に折りたたまれないように注意深く、水平面上に定置する。この意図は、試験のために布地を水平(重力方向に垂直又は鉛直)にすることである。
3)分配チップが布地表面の0.64±0.16cm(1/4±1/16インチ)上にあるように、VWR20〜200マイクロリットルピペットを実装する(ピペットは表面に垂直である)。30μL滴を分配するようにピペットを設定する。
4)明確に滴浸透を観測して終止点を測定するために、光源を実装して、表面に対して約45度の角度で布地を照らす。
5)試験を開始するために、30μL滴をピペットから分配する。滴が分配されて布地に接触すると同時に、タイマーを始動する。終止点は、周囲光源から可視表面反射率の消失により測定されるような、表面上に遊離製品が残っていない時に、確定される。光の点としての製品表面からの光の反射は、もはや観察されないが、布地表面のみが見える。この点でタイマーを停止し、濡れ時間(T)を記録する。
6)時間測定手順を蒸留水で実行し、水濡れ時間をTとして示す。時間測定手順を試験製品でも実行し、その濡れ時間をTとして示す。
7)濡れ指数は、WI=T/Tとして計算される。
【0097】
本明細書で報告される試験用に、以下の布地試料を使用した。
100%綿織布地:テストファブリックス社(Testfabrics, Inc.)(ニュージャージー州ミドルセックス(Middlesex))から入手可能なスタイル400綿プリントクロス(Style 400 Cotton Print Cloth)。
75%ポリエステル、25%綿織布地:エンピリカル・マニュファクチャリング社(Empirical Manufacturing Company)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))から入手可能なスタイルPC49ポリコットン(Style PC 49 PolyCotton)。
エンピリカル・マニュファクチャリング社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能な100%ポリエステル織物。
エンピリカル・マニュファクチャリング社(オハイオ州シンシナティ)から入手可能な100%ウールクロス。
【0098】
水分管理試験
布地上での布地リフレッシャー組成物の使用の結果、処理された布地の水分管理特性が改善された。水分管理能力全体を評価するために一般に使用される特性には、濡れ時間、吸収速度、最大濡れ半径、展開速度及び一方向の移送のダイナミズムが挙げられる。濡れ速度は、快適性を向上させるために皮膚から水分が出て行くプロセスを教えるパラメーターである。この測定は、本明細書での濡れ管理試験に示されているように、実験室で容易に行われる。
【0099】
水分管理試験は、上記の濡れ指数試験と同様に実行されるが、この試験においては、製品が前処理として保持フープ内にあるうちに布地表面上に噴霧され、前処理された布地は最短で2時間乾燥させる。製品は、任意の好適な噴霧装置で布地上の均一な適用範囲を得るのに十分な距離で布地上に噴霧される。エアゾール容器及び圧力トリガー霧吹き噴霧器については、スプレー距離は、約12.7cm(5インチ)である。1〜2グラムの製品を15.2cm(6’’)フープ試験領域に適用する。いったん前処理された布地が乾燥したならば、濡れ指数試験で記載したようなやり方で表面に適用後、1滴(30μリットル)の蒸留水についての濡れ時間を測定する。水分管理効果に関して、1滴の水についての濡れ時間は、水単独で前処理されたものと比較して、布地が布地リフレッシャー組成物で処理された後では、より早い。
【0100】
噴霧試験後の製品pH
この試験は、最終的に噴霧されたpHを報告し、Δすなわち噴霧の結果としてのpHにおける変化を決定するために、製品の噴霧の前後のpHを測定する。
【0101】
VWRインターナショナル(VWR International)(ペンシルバニア州ウェストチェスター(West Chester))から入手可能なゲル・スリー・イン・ワン・ゲルpH電極を有するVWRシンフォニー(Symphony)SP80PIpH計測器を使用して、噴霧前後の試料のpHを測定した。使用前に、各日毎に、試料のpHの範囲をひとまとまりにした最小2つのバッファを使用して、製造者の手順毎に計測器を較正した。
【0102】
試験試料のpHは、噴霧に先立ってまずニート(neat)すなわちそのままで測定され(初期pH)、次に、標準的な旋回チャンバアトマイザーを有し、引く毎におよそ1.0〜1.5ccを分配するカルマー(Calmar)圧力トリガー噴霧器を使用して、35〜40グラムの試験試料を好適なプラスチックカップの中にカップの底から15.2cm(6’’)上の距離で噴霧する。
【0103】
トリガーを急速に引くと、最適なアトマイゼーションが促進される。噴霧の完了後に、最終pHを測定する。この手順を5回繰り返し、平均を取って、代表の初期pH及び噴霧後の最終pHを得る。
【0104】
pHにおける変化(ΔpH)を以下のようにして計算する:ΔpH=(噴霧後のpH)−(初期pH)
ΔpHが正であれば、噴霧はpHを上昇させたことになり、これは酸性製品にとって好ましくないものであり得る。ΔpHが負であれば、噴霧はpHを低下させたことになり、これはアルカリ性製品にとって好ましくないものであり得る。
【0105】
悪臭除去試験A
この試験方法は、布地からの悪臭の低減又は除去における組成物の有効性を評価するために使用される。試験布地をまず、香りのしない洗濯洗剤を使用して洗濯洗浄機で洗浄し、次に洗濯乾燥機で乾燥させる。約5ミリリットルの希釈された合成身体悪臭組成物を各試験布地の51.6cm(8平方インチ)領域上に適用する。悪臭処理された布地を乾燥させ、次にバッグ内に密封して、周囲温度で一晩平衡させておく。有資格匂い格付け検査員が、下記の悪臭評価スケールに従って、悪臭処理された試験布地の初期悪臭レベルを評価し、悪臭等級を割り当てる。次に、有効量の試験組成物(約60重量%)を試験布地上に噴霧して試験布地を乾燥させておくことにより、悪臭処理された試験布地を対応量の試験組成物で処理する。いったん試験布地が乾燥してから、有資格匂い格付け検査員が再び、下記の悪臭評価スケールに従って、試験布地の悪臭レベルを評価し、悪臭等級を割り当てる。初期悪臭等級及び処理後悪臭等級を記録し、これらの等級の違いを計算して、「悪臭削減」値を定める。
【表4】

【0106】
悪臭除去試験B
この試験方法は、布地からの悪臭の低減又は除去における組成物の有効性を評価するために使用される。官能試験員に新しい衣類を与えて、着用機会の間に洗濯を行わないで数回着用させる。有資格匂い格付け検査員が、上記の悪臭評価スケールに従って、悪臭処理された試験布地の初期悪臭レベルを評価し、悪臭等級を割り当てる。次に、有効量の試験組成物(約2重量%〜5重量%)を試験衣類上に噴霧して試験衣類を乾燥させておくことにより、悪臭処理された試験布地を対応量の試験組成物で処理する。いったん試験衣類が乾燥してから、有資格匂い格付け検査員が再び、上記の悪臭評価スケールに従って、試験衣類の悪臭レベルを評価し、悪臭等級を割り当てる。初期悪臭等級及び処理後悪臭等級を記録し、これらの等級の違いを計算して、「悪臭削減」値を定める。
【0107】
皺除去試験
この試験方法は、布地からの皺の低減又は除去における組成物の有効性を評価するために使用される。米国繊維染色協会(American Association of Textile Chemist and Colorists)(「AATCC」)の定義に従う滑らかさ外観(「SA」)(すなわち、洗濯により引き起こされた皺)又は皺回復(「WR」)(すなわち、着用により引き起こされた皺)のいずれかを引き起こすことにより、試験布地を調製する。有資格皺格付け検査員が、AATCC試験方法(AATCC Test Method)128及び試験方法143に従って、布地の初期皺レベルを評価し、皺スコアを割り当てる。次に、試験組成物を試験布地上に噴霧することにより、試験布地を対応量の試験組成物で処理する。布地が濡れている間に、例えば、布地に伸び、引き及び/又はくせ取りを行うことにより、引張りを印加し、皺除去を促進して試験布地を乾燥させておいてもよい。いったん試験布地が乾燥してから、有資格皺格付け検査員が再びAATCCスケールに従って皺を評価する。
【0108】
マイクロエマルション粒子径評価:
マルバーンゼータサイザーナノZS動的光散乱ユニット(Malvern Zetasizer Nano ZS dynamic light scattering unit)を使用して、平均粒子径を測定する。清浄な使い捨て10mmキュベット内で0.954mPa秒の粘度を使用して、すべての測定を22Cで行う。10mmol NaCl中に分散した100nmの米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology)(「NIST」)標準のチェックを使用して、操作を検証する。試料を10分にわたって平衡させておく。
【0109】
操作ソフトウェアの内部最適化アルゴリズムを使用して、器具を減衰及び測定位置に設定する。20秒の30回の実行それぞれの平均を取って結果とする。試料毎に合計3つの結果を用意するために、各試料について3回の実行がなされる。あらゆる大きな汚染物質を除去するために、分析に先立って、0.5マイクロメートルフィルターに試料を通すことができる。
【0110】
マルバーン(Malvern)ソフトウェアにより、Z平均パラメーターとして、各試料についての平均粒子直径を報告する。
【実施例】
【0111】
【表5】

(1)アクゾ・ノーベル・ケミカル(Akzo Nobel Chemical)(オランダ、アーネム(Arnhem))から入手可能
(2)ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)(ミシガン州ミッドランド(Midland))から入手可能
(3)プレスパース社(Presperse Inc.)(ニュージャージー州サマセット(Somerset))から入手可能
(4)エクソンモービル社(ExxonMobile Inc.)(テキサス州アーヴィング(Irving))から入手可能
(5)エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)(ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown))から入手可能
(6)GEシリコーンズ(GESilicones)(コネチカット州ウィルトン(Wilton))から入手可能
(7)クローダ社(Croda Inc.)(ニュージャージー州エジソン(Edison))から入手可能
(8)ロンザ・グループ社(Lonza Group Ltd.)(スイス、バーゼル(Basel))から入手可能
(9)コグニス・オレオケミカルズ(Cognis Oleochemicals)(マレーシア、スランゴル(Selangor))から入手可能
【0112】
【表6】

(1)アクゾ・ノーベル・ケミカル(Akzo Nobel Chemical)(オランダ、アーネム(Arnhem))から入手可能
(2)ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)(ミシガン州ミッドランド(Midland))から入手可能
(3)プレスパース社(Presperse Inc.)(ニュージャージー州サマセット(Somerset))から入手可能
(4)エクソンモービル社(ExxonMobile Inc.)(テキサス州アーヴィング(Irving))から入手可能
(5)エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)(ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown))から入手可能
(6)GEシリコーンズ(GESilicones)(コネチカット州ウィルトン(Wilton))から入手可能
(7)クローダ社(Croda Inc.)(ニュージャージー州エジソン(Edison))から入手可能
(8)ロンザ・グループ社(Lonza Group Ltd.)(スイス、バーゼル(Basel))から入手可能
(9)コグニス・オレオケミカルズ(Cognis Oleochemicals)(マレーシア、スランゴル(Selangor))から入手可能
(10)ローム&ハース(Rohm & Haas)(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia))から入手可能
【0113】
実施例1及び2:悪臭除去及び皺除去
上記表1内の組成物Aを使用する。攪拌しながらヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン及びTEAを精製水に添加する(ミックスA)。別個の容器内で攪拌しながらパーメチル(Permethyl)102Aをアーカード(Arquad)HTL8MSに添加する。次に香料を添加し、混合物を攪拌して、その結果、単相の透明な混合物を得る(ミックスB)。 別個の容器内で攪拌しながらサーフィノール(SURFYNOL)104pgをサーフィノール465と3:2の比で混合する(ミックスC)。攪拌しながらミックスBをミックスAに添加する。10分にわたっての攪拌後、次にミックスCを添加する。この混合物のpHをHClで8.4に調整し、最終混合物を更に10分攪拌する。この混合物の表面張力は、およそ26〜29ダイン/cmである。
【0114】
CCLコンテナ(CCL Container)(ペンシルバニア州エルミタージュ(Hermitage))から入手可能なPAMライナー(PAM Liner)を有する53×205mm2Qアルミニウム缶から布地上に組成物Aを噴霧する。この缶を、シークイストパーフェクト・ディスペンシングLLC(SeaquistPerfect Dispensing LLC)(イリノイ州ケーリー(Cary))から入手可能なモリッツロッキングエアゾール作動装置(Moritz locking aerosol actuator)と嵌合する。この作動装置を、0.04cm(0.016インチ)バルブステムオリフィス直径及び0.04cm(0.016インチ)バルブ本体オリフィス直径を有するXt−96バルブタイプと嵌合する。0.03cm(0.012インチ)オリフィス直径を有するDU3027挿入タイプを使用する。缶に組成物Aをおよそ60体積%まで充填する。バルブステムを通して21℃(70°F)でおよそ965kPa(140psi)まで、及び54℃(130°F)でおよそ1069kPa(155psi)まで、窒素を添加する。製品は、作動時に、およそ1.1g/秒の質量放出速度でスプレー流を放出する。適用範囲の濃度は、消費者に明らかである製品の濡れムラ(wet patches)が適切な使用で避けられるように、均一である。適用の容易さ及び便利さが、従来の手動式噴霧器に優る。本開示の試験方法部分で記載した試験方法により測定される時、製品による効率的な悪臭削減及び爽やかさの送達が達成され、布地が引張られる場合には効率的な皺除去もまた達成される。
【表7】

【表8】

【0115】
実施例3:皺除去試験
SA皺試験方法を使用して、3つの異なる布地を皺除去について評価する。上記で概略を示した方法によって、100%綿カプリ(Capri)パンツ、55/40ポリ/綿白色婦人用織シャツ(woven shirt)、及び100%綿織青色綿シャツに予め皺を発生させる。カルマー(Calmar)からの圧力トリガー手動式噴霧器を使用して、衣類に、一方の側に均一な適用範囲で噴霧する。次に、続いて、手で引く及び引張ることで、衣類を引張る。カプリ(Capri)パンツ、白色ポリ/綿シャツ、及び青色綿シャツ上に噴霧する量は、それぞれおよそ10グラム、5グラム、及び8グラムである。各処理について、各衣類の3つの反復試験片に噴霧する。初期皺等級及び最終等級を3人の審査員により記録し、各衣類のタイプについて皺等級における全体平均デルタ(平均最終等級−平均初期等級)を計算する。全体平均デルタ等級について正の結果は皺除去を示し、より大きな数はより良好な結果(より多くの皺削減)を表す。
【表9】

【0116】
これらの実施例は、本組成物がこれらの異なる衣類において皺等級でおよそ1〜1.5の改善を提供できることを示す。これは消費者が気付くことができる改善のレベルである。これらの組成物についての良好な皺除去性能は、これらの濡れ指数と一致することに留意すべきである。
【0117】
実施例4噴霧試験後の製品pH
組成物Cが、上記のように製造され、再び反復されるが、トリエタノールアミン(TEA)緩衝剤は有さない。希釈された塩化水素酸で試料のpHを7.8に調整し、試料を一晩おいて平衡させる。
【表10】

【0118】
上記の実施例は、空気を介して噴霧された時に、緩衝剤の添加がどのようにアルカリ性製品のpH変化を減じるのを助けることができるかを示す。
【0119】
実施例5:濡れ指数試験
組成物C、D、E、F、Gは、水溶性第四級アンモニウム化合物をベースとして上記のように製造され、綿基材を使用する濡れ指数試験において評価される。3回の反復(Rep)を実行し、次に平均を取る。
【表11】

水についての濡れ指数は、デフォルトで1.0である
【0120】
実施例6:濡れ指数試験
組成物C、D、E、F、Gは、水溶性第四級アンモニウム化合物をベースとして上記のように製造され、ポリ−綿75/25基材を使用する濡れ指数試験において評価される。3回の反復(Rep)を実行し、次に平均を取る。
【表12】

水についての濡れ指数は、デフォルトで1.0である
【0121】
実施例7:濡れ指数試験
組成物C及びDは、水溶性第四級アンモニウム化合物をベースとして上記のように製造され、ポリエステル及びウール基材を使用する濡れ指数試験において評価される。3回の反復(Rep)を実行し、次に平均を取る。この試験では、水滴は浸透するのが非常に遅く、そのために3分後に試験を停止し、時間を180秒超と記載する。
【表13】

水についての濡れ指数は、デフォルトで1.0である
【0122】
実施例8:水分管理試験
水分管理が特に関心のものである2つの布地は、100%綿及び100%ポリエステルに基づく。組成物C及びDは、水溶性第四級アンモニウム化合物をベースとして上記のように製造され、ポリエステル及び綿基材を使用する濡れ指数試験において評価される。4回の反復(Rep)を実行し、次に平均を取る。この試験では、水滴は浸透するのが非常に遅く、そのために5分後に試験を停止し、時間を300秒超と記載する。
【0123】
【表14】

【0124】
この実施例におけるデータは、開示された組成物でいくつかの布地を前処理することがどのように印象の違いを生み出すのかを、処理された布地表面によりその後どれだけの速さで水が吸収されるかで示す。
【0125】
実施例9:マイクロエマルション粒子径分析
組成物H及びIは、同一の界面活性剤濃度を有して製造され、それぞれ組成物C及びDと同様であるが、H及びIは、添加されたシクロデキストリンからの見込まれる干渉なしに形成されるマイクロエマルションの粒子径で可能な限り正確な読み取り値を得るように、シクロデキストリンが除去されている。
【0126】
組成物Hの3つのバージョンは、異なる濃度の香料で製造される。この場合の油成分は、ケムシロLLC(ChemSilo LLC)からのLogP予測子により計算される時に、3.79のclogPを有する香料、及び6.58のclogPを有するパーメチル(Permethyl)102Aを構成する。油を室温でアーカード(Arquad)HTL8MS界面活性剤と一緒に混合して、次に水及びTEA混合物に添加する。低剪断力プロペラ混合を使用して、最終混合物を得る。最終工程としてHSO溶液を滴定して、pHをその最終値に調整する。
【0127】
組成物Iの3つのバージョンは、異なる濃度の香料で製造される。この場合の油成分は、3.79のCLogPを有する香料を構成する。油を室温でユニクオート(UNIQUAT)22c50界面活性剤と一緒に混合して、次に水及びTEA混合物に添加する。低剪断力プロペラ混合を使用して、最終混合物を得る。最終工程としてHSO溶液を滴定して、pHをその最終値に調整する。
【0128】
組成物H及び組成物Iの種々のバージョンを本明細書で記載した粒子径方法により分析し、各試料について3つの反復の平均を最終報告の直径(ナノメートル)として取る。
【0129】
【表15】

【0130】
上記データは、第四級界面活性剤系が耐用性を示してマイクロエマルション特性を維持できる油の量には限界があることを示す。300nmの平均粒子径辺りを超えると、この系は、2日以内に高い不透明度及び非均質性が観察されるマイクロエマルションとして振舞う。
【0131】
実施例10:静電気抑制
この試験は、100%ポリエステルシャツ上で実証されるように、これらの組成物の特徴的な静電気抑制を実証する。
【0132】
この試験では、代表的な100%ポリエステル婦人用ブラウス、レイディ・エドワーズ(Lady Edwards)(商標)スタイル5050−00カットSN0414を使用する。シャツの真ん中からマスキングテープの線を垂直に下ろすことにより、シャツの前側を左半分と右半分に区分化する。シャツの長さに沿って8往復にわたり、シャツの各側部の袖をシャツの袖のそれぞれの前半分で垂直に摩擦させて、シャツのその側部に静電気を生じさせる。先述のように、グリーンリー(Greenlee)非接触式電圧検出器モデルGT−11を使用して静電気の存在について各側部を評価する。次に、圧力トリガー手動式噴霧器を使用して、その各側部上を均一に噴霧し、左半分に表1の組成物Cを6グラム噴霧し、右半分に6グラムの蒸留水を噴霧する。噴霧後、15秒の待機後、まだ湿っているうちに静電気について各側部を評価する。シャツを90分にわたって乾燥させ、次に、袖を再びそのそれぞれの側部上で8回摩擦させて、静電気の再生成を試みる。摩擦後、再びGT−11非接触式電圧検出器を使用して静電気の存在について各側部を評価する。
【0133】
【表16】

【0134】
この試験の結果は、布地上に事前に形成された静電気を水は一時的に消散させることができるが、水はその後の静電気蓄積を防止しないことを示す。第四級アンモニウム化合物系マイクロエマルションは、布地表面上に形成された静電気を消散させるだけでなく、第四級アンモニウム化合物の特性及びこれらの組成物が提供する優れた濡れ適用範囲によって、その後の静電気の生成を防止する。
【0135】
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行うことが可能である点は当業者には自明であろう。したがって本発明の範囲に含まれるすべてのこうした変更及び改変を付属の特許請求の範囲において網羅するものである。引用される文献は、すべて関連部分において本明細書に参照により組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を処理するための組成物であって、前記組成物が、
a)約0.01%〜約20%の水溶性第四級アンモニウム界面活性剤と、
b)約0.001%〜約5%の実質的に非水溶性の油成分と、
c)所望により、約0.01%〜約5%の非イオン性界面活性剤と、
d)所望により、約0.01%〜約3%の緩衝剤と、
e)所望により、約0.01%〜約5%の匂い抑制剤と、
f)所望により、約0.001%〜約0.5%の抗菌剤と、
g)所望により、約3〜約11のpHを達成するのに十分なpH調整剤と、
h)所望により、約0.001%〜約0.5%の防腐剤と、
i)所望により、約0.05%〜約8%の実質的に水溶性の溶媒と、
j)残部の水と、
を含み、
前記組成物が、均質及び安定である、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約300nm以下の平均粒子径を有するマイクロエマルションを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、透明である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、綿布地において約2の濡れ指数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
布地を処理するための方法であって、前記方法が、
a)
i)約0.01%〜約20%の水溶性第四級アンモニウム界面活性剤と、
ii)約0.001%〜約5%の実質的に非水溶性の油成分と、
iii)残部の水と、
を含む、組成物を提供する工程と、
b)布地に前記組成物を適用する工程と、
を含む、方法。
【請求項6】
前記組成物が、噴霧により前記布地に適用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物を前記布地に適用する前記工程の前又は後のいずれかで、前記布地を引張る工程を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記布地が、前記組成物を前記布地に適用する前記工程の前又は後のいずれかで、洗濯機内に定置される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記布地が、前記組成物を前記布地に適用する前記工程の前又は後のいずれかで、リフレッシング装置内に定置される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記布地が、前記組成物を前記布地に適用する前記工程の前に、乾燥装置内に定置される、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
自己加圧式布地リフレッシング物品であって、請求項1に記載の組成物を含有する、自己加圧式布地リフレッシング物品。
【請求項12】
前記自己加圧式布地リフレッシング物品が、染み除去のための製品又は色向上のための製品を更に含む一連の製品の一部である、請求項11に記載の自己加圧式布地リフレッシング物品。

【公表番号】特表2010−538182(P2010−538182A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524264(P2010−524264)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/076174
【国際公開番号】WO2009/036277
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】