説明

布地直接染料を有する布地処理組成物

100μm未満の平均粒径を有する粒子キャリアに装填される約0.0001重量%〜約0.005重量%の布地直接染料を含む布地処理組成物。前記布地処理組成物の製造方法。100μm未満の平均粒径を有し、約0.001重量%〜約1重量%の布地直接染料を含む、布地直接染料装填粒子キャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地直接染料を含む布地処理組成物に関する。特に、本発明は、処理される布地に染みをつけることなく好ましい色合いを布地に付与する布地直接染料を含む布地処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
布地物品の着用及び洗濯は、布地物品の元の布地色からの変色をもたらし得る。例えば、繰り返し洗濯される白色の布地は、布地を古く着古したように見せる黄色がかった外見を呈し得る。白色布地の望ましくない黄変、及び他の淡色布地の似たような変色を克服するために、布地処理組成物に布地直接染料を配合して、好ましい色合いを処理される布地に付与することが望ましい。
【0003】
しかしながら、布地直接染料を布地処理組成物に配合することに関連する1つの問題は、布地に対する染料の直接的性質により、布地に染みをつける可能性があることである。理論に束縛されるものではないが、染みの問題は、ある時点における布地処理組成物内の高濃度の染料により引き起こされると考えられ、これは、布地直接染料がスペックルの形態で布地処理組成物に配合されるときに通常起こる。加えて、布地直接染料の配合に関連する別の問題は、完成した布地処理組成物製品が、彩色効果をもたらすのに必要な濃度で染料により着色されることであり、これは製品の美的観点から、時として望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、布地に染みをつけることなく好ましい色合いを布地に付与する布地処理組成物の必要性が存在する。更に、完成した布地処理組成物を着色せずに好ましい色合いを布地に付与する布地処理組成物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、約0.0001重量%〜約0.005重量%の布地直接染料を含有する布地処理組成物を提供し、布地直接染料は、約100μm未満の平均粒径を有する粒子キャリアに装填され、布地処理組成物は、約0.01重量%〜約12重量%の布地直接染料装填キャリアを含む。規定の平均粒径を有する微粒子キャリアに布地直接染料を装填させ、次に染料装填粒子キャリアを布地処理組成物に規定の量で加えることにより、布地に染みをつけることなく、そのような組成物で処理された布地に望まれる色合いが付与され得ることが、驚くべきことに、発見された。理論に束縛されるものではないが、粒子キャリアの小さい粒径により、その上に装填される布地直接染料が布地処理組成物全体に均一に分配されることを確実とし、布地処理組成物の単一地点に染料が集中するのを防ぐと考えられている。その結果、布地直接染料を布地処理組成物に配合させることに関連する染みの問題が、解決される。加えて、布地処理組成物全体における布地直接染料の均一な分配により、染料が集中せずに布地処理組成物自体を着色することが確実となる。
【0006】
本発明の別の態様では、布地直接染料を含む布地処理組成物の製造方法が説明される。本方法は、液体布地直接染料又はその溶液を粒子キャリアに噴霧する工程と、布地直接染料装填粒子キャリアを得るための混合工程とを含み、布地直接染料装填粒子キャリアは、次に、布地処理組成物のベースパウダーを含有する界面活性剤に加えられる。
【0007】
本発明の更に別の態様では、100μm未満の平均粒径を有し、約0.001重量%〜約1重量%の布地直接染料を含む布地直接染料装填粒子キャリアが提供される。布地直接染料装填粒子キャリアは、望ましい色合いを布地に付与するための布地処理組成物の添加物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
他に特に規定されない限り、本明細書における全ての割合、比又は部は、重量基準である。
【0009】
布地処理組成物のベースパウダーを含有する界面活性剤は、布地処理組成物に布地直接染料装填粒子キャリアが加えられる前の、布地処理組成物の全ての中間製品を説明するために本明細書において使用される。
【0010】
本明細書の布地処理組成物は、洗濯品を処理するのに使用される。そのような組成物は、布地を洗浄するために使用される洗濯洗剤組成物、及び布地を柔軟にする又はコンディショニングするために使用される洗濯柔軟仕上げ剤であり得る。組成物は、錠剤又は粒状の形態のいずれかの固体の形態であってもよい。好ましくは、本明細書の布地処理組成物は、粒状の洗濯洗剤組成物である。
【0011】
布地直接染料
本明細書で使用されるとき、「布地直接染料」は、反応染料、直接染料及び酸性染料を含む。布地直接染料は、望ましい色合いを、布地処理組成物を含有する溶液で処理された布地にもたらすのに十分な量で、布地処理組成物に含まれる。その一方で、染料は布地に対して直接性であるため、望ましい色合いを布地に付与するのに少量だけ必要とされる。一実施形態では、布地処理組成物は、約0.0001重量%〜約0.005重量%、又は約0.0002重量%〜約0.001重量%の布地直接染料を含む。
【0012】
本明細書の布地直接染料は、青、紫及び/又はピンクの色調を有するのが好ましい。これは、布に吸収される染料のピーク吸収周波数が、500nm〜700nm、又は540nm〜640nmの範囲内にあることを意味する。それぞれは必ずしもこれらの好ましい範囲内のピーク吸収を有していないが、好ましい範囲の1つにあるピーク吸収を有する単一の染料と同等の人間の目に対する影響を共に生み出す染料の組合せにより、同じ効果を達成し得ることも可能である。
【0013】
染料は、従来、酸性染料、塩基性染料、反応染料、分散染料、直接染料、バット染料、硫化染料又は溶媒染料等として定義される。本発明の目的のためには、直接染料、酸性染料及び反応染料が好ましく、直接染料が最も好ましい。直接染料は、おそらく選択的な吸着に起因する、電解質を含有する水溶液から、繊維によって直接吸い上げられる水溶性染料の群である。色指数系において、直接染料とは、1つ以上のアニオン性スルホン酸基を含有する様々な平面的高度共役分子構造を指す。酸性染料は、酸性溶液から適用される水溶性アニオン性染料の群である。反応染料は、天然又は合成繊維の分子の特定部分と共有結合を形成することが可能な反応基を含有する染料の群である。化学構造の観点から、本明細書で有用な好適な布地直接染料は、アゾ化合物、スチルベン、オキサジン及びフタロシアニンであってもよい。
【0014】
本明細書に用いるのに好適な布地直接染料としては、直接バイオレット染料、直接ブルー染料、酸性バイオレット染料及び酸性ブルー染料として色指数に列記されるものが挙げられる。
【0015】
特定の実施形態では、布地直接染料はアゾ直接バイオレット99であり、これは以下の式を有するDV99染料としても知られている。
【化1】

【0016】
布地直接染料は、液体染料として、又は水、アルコール、グリコールエーテル、グリコール及びグリセロールからなる群から選択される溶媒中の染料溶液として、以下に記載される粒子キャリアに噴霧される。本明細書の一実施形態によると、布地直接染料は、約5重量%〜約99.9重量%、又は約10重量%〜約50重量%の布地直接染料を含む水溶液の形態で粒子キャリアに噴霧される。一実施形態では、布地直接染料装填粒子キャリアは、約0.001重量%〜約1重量%、好ましくは約0.01重量%〜約0.2重量%の布地直接染料を含む。
【0017】
粒子キャリア
本明細書の布地直接染料は粒子キャリアに装填され、次にこれは布地処理組成物のベースパウダーを含有する界面活性剤に加えられる。本明細書で有用な粒子キャリアは、レーザー回折法により測定したとき100μm未満、又は約1μm〜約50μmの平均粒径を有する。粒子キャリアのこの平均粒径の範囲は、布地処理組成物全体に布地直接染料を均一に分配することを確実にし、布地直接染料が集中するのを防ぎ、それ故に、布地における染みの問題が避けられる。
【0018】
本明細書で有用な粒子キャリアは、洗濯洗剤組成物に一般に見られる固体粒状材料であり、ゼオライト、カーボネート、サルフェート、シリケート、粘土、ホスフェート、シリカ、シトレート及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書の一実施形態では、粒子キャリアは、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトMAP及びこれらの混合物から選択されるゼオライトである。本明細書で使用される「ゼオライト」という用語は、結晶性アルミノシリケート材料を指す。ゼオライトの構造式は、結晶単位格子を基準とし、構造の最小単位は、
Mm/n[(AIO)m(SiO)y].xH
で表され、式中、nはカチオンMの価数であり、xは単位格子あたりの水分子の数であり、m及びyは単位格子あたりの四面体の合計数であり、y/mは1〜100である。y/mが1〜5であるのが最も好ましい。カチオンMは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムなどの、IA元素及びIIA元素であり得る。
【0020】
本明細書で有用なアルミノシリケートゼオライト材料は市販されている。ゼオライトを作り出すための方法は周知であり、教科書に記載されている。本明細書で有用な好ましい合成結晶性アルミノシリケート材料は、A型、X型又はY型の表記で入手可能である。
【0021】
更に別の実施形態では、「ゼオライトMAP」として知られているゼオライトの部類が、本発明に使用されてもよい。そのようなゼオライトは、1996年9月16日に出願され、「改善された布地ケアのためのゼオライトMAP及びアルカラーゼ(Zeolite MAP and Alcalase for Improved Fabric Care)」という題名の米国特許出願第08/716,147号に開示され、記載されている。
【0022】
布地直接染料が粒子キャリアに噴霧された後、布地直接染料装填キャリアは、約0.01重量%〜約12重量%、又は約0.05重量%〜約3重量%の、布地直接染料装填キャリアを含む布地処理組成物をもたらす量で、布地処理組成物のベースパウダーを含有する界面活性剤に加えられる。
【0023】
その他の構成成分
本明細書の布地処理組成物は、洗濯洗剤及び/又は柔軟仕上げ剤において一般に有用な様々なその他の構成成分を含んでもよい。
【0024】
一実施形態では、布地処理組成物は、約5重量%〜約90重量%、又は約5重量%〜約70重量%、又は約5重量%〜約40重量%の、アニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、両性及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む。より具体的な実施形態では、洗剤組成物にはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物が含まれている。
【0025】
本明細書で有用な好適なアニオン性界面活性剤は、液体及び/又は固体洗剤製品で典型的に使用される従来のアニオン性界面活性剤のあらゆる種類を含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜16アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。好ましくは、アルキル基は直鎖であり、そのような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、「LAS」として既知である。アルキルベンゼンスルホネート、特にLASは、当該技術分野において周知である。そのような界面活性剤及びそれらの製造は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の線状直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。C11〜C14ナトリウム、例えば、C12、LASは、そのような界面活性剤の具体例である。
【0026】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が含まれる。アルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても知られるそのような物質は、式:R’−O−(CO)n−SOMに相当するものであり、式中、R’はC8〜C20アルキル基であり、nは約1〜20であり、Mは塩生成カチオンである。
【0027】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体及び/又は固体洗剤製品で一般に使用される従来の非イオン性界面活性剤の任意の種類を含み得る。これらとしては、アルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で有用な、好適なアルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤は、一般式:R1(C2mO)OHに相当することができ、式中、R1はC8〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の好適な種類にはアミンオキシド界面活性剤類が含まれている。アミンオキシドは、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシドは、式:R(EO)x(PO)y(BO)zN(O)(CHR’)2.qH2Oを有する。この式において、Rは、飽和でも不飽和でもよく、直鎖でも分岐鎖でもよい、比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20の、又は10〜16の炭素原子を含有することができる。R’は短鎖部分で、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ及びBOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドで示される。
【0028】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、それらは26までの炭素原子を有することができる。追加の例としてはa)米国特許第6,136,769号で説明されたようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、b)米国特許第6,004,922号で説明されたようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム、c)PCT国際公開特許WO 98/35002、PCT国際公開特許WO 98/35003、PCT国際公開特許WO 98/35004、PCT国際公開特許WO 98/35005、及びPCT国際公開特許WO 98/35006で説明されたようなポリアミンカチオン性界面活性剤、d)米国特許第4,228,042号、米国特許第4,239,660号、米国特許第4,260,529号及び米国特許第6,022,844号で説明されたようなカチオン性エステル界面活性剤、並びにe)米国特許第6,221,825号及びPCT国際公開特許WO 00/47708で説明されたようなアミノ界面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0029】
双極性界面活性剤の非限定的な例としては、二級及び三級アミンの誘導体、複素環式二級及び三級アミンの誘導体、又は四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。例えば、ラフリン(Laughlin)らの米国特許第3,929,678号(1975年12月30日発行)、19欄38行目〜22欄48行目(双極性界面活性剤、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインなどのベタイン、C8〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタイン、例えばアルキル基がC8〜C18、好ましくはC10〜C14であり得るN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネート)を参照されたい。
【0030】
別の実施形態では、布地処理組成物は、有効量の従来的又は非従来的な布地柔軟化剤を含む布地柔軟化組成物である。本明細書における布地処理組成物中の布地柔軟化剤の典型的な濃度は、組成物の約1重量%〜約90重量%、又は約5重量%〜約40重量%、又は約12重量%〜約20重量%である。
【0031】
一実施形態では、布地柔軟化活性物質は、ジエステル四級アンモニウム(DEQA)化合物である。好適なDEAQには、式:
{R4−m−N−[(CH)n−Y−R1]} X
の化合物が挙げられ、式中、各R置換基は水素、短鎖C1〜C6、好ましくはC1〜C3アルキル又はヒドロキシアルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、ヒドロキシエチルなど、ポリ(C2〜3アルコキシ)基、好ましくはポリエトキシ基、ベンジル、又はこれらの混合物のいずれかであり、各mは2又は3であり、各nは1〜約4、好ましくは2であり、各Yは−O−(O)C−、−C(O)−O−、−NR−C(O)−、又は−C(O)−NR−であり、各Yは同じであっても異なっていてもよく、Yが−O−(O)C−又は−NR−C(O)−であるときの各R1中の炭素の合計プラス1はC12〜C22、好ましくはC14〜C20であって、各R1はヒドロカルビル、又は置換ヒドロカルビル基であり、R1は不飽和でも飽和でもよく、分岐鎖でも直鎖でもよいが、好ましくは直鎖であり、各R1は同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは同じであり、X−はいかなる柔軟剤適合性アニオンであり得るが、好ましくは、クロライド、ブロマイド、メチルサルフェート、エチルサルフェート、サルフェート、ホスフェート、及びニトレートであり、より好ましくはクロライド又はメチルサルフェートである。
【0032】
別の実施形態では、布地柔軟化活性物質は、ジタローオイルオキシエチル(ditallowoyloxyethyl)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ水素添加タローオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ジキャノーラ−オイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ジタロージメチルアンモニウムクロライド、トリタローメチルアンモニウムクロライド、メチルビス(タローアミドエチル)2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、メチルビス(水素添加タローアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、メチルビス(オレイルアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、ジタローオイルオキシエチルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジ水素添加タローオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ジキャノーラ−オイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、N−タローオイルオキシエチル−N−タローオイルアミノプロピルメチルアミン、1,2−ビス(硬化タローオイルオキシ)−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロライド、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される。
【0033】
本発明の布地処理組成物は、任意の数の追加の任意成分を含んでもよい。これらには、従来の洗濯洗剤組成物の構成成分、例えば洗浄性ビルダー、酵素、酵素安定剤(プロピレングリコール、ホウ酸及び/又はホウ砂など)、泡抑制剤、汚れ懸濁化剤、汚れ放出剤、その他の布地ケア有益剤、pH調整剤、キレート剤、スメクタイト粘土、溶媒、ヒドロトロープ及び位相安定剤、構造剤、光学的光沢剤並びに香料が挙げられる。種々の任意の洗剤組成物成分は、本明細書の組成物中に存在する場合、それらの望ましい寄与を組成物又は洗濯操作にもたらすため、慣習的に使用されている濃度で利用されるべきである。しばしば、そのような任意の洗剤組成物成分の総量は、本組成物の約0.01重量%〜約50重量%、より好ましくは約1重量%〜約30重量%の範囲であり得る。
【0034】
方法
前述のように、本明細書の布地処理組成物は、固体の形態で提供されてもよい。好適な固体形態には、錠剤及び粒子、例えば、粒状粒子又はフレークが挙げられる。本発明の一実施形態によると、布地直接染料が粒子キャリアに装填されて、布地直接染料装填粒子キャリアをもたらし、これは次にミキサー内で他の乾燥追加材料及び/又は他の噴霧された材料と共にベースパウダーを含有する界面活性剤に加えられて、完成した布地処理組成物をもたらす。ベースパウダーを含有する界面活性剤は、標準的な噴霧乾燥法又はアグロメレーション法など、当該技術分野において既知の任意の好適な方法で製造することができる。
【0035】
布地直接染料が室温において液体の場合は、布地直接染料はそのまま粒子キャリアに噴霧され得る。あるいは、布地直接染料は、水などの適切な溶媒で希釈され、次いで染料溶液をキャリアに噴霧することができる。本明細書の一実施形態では、布地直接染料が水で希釈されて、約5重量%〜約99.9重量%又は約10重量%〜約50重量%の布地直接染料を含む水性染料溶液が得られる。次いで、水性染料溶液は、ミキサー内で粒子キャリアに噴霧される。本明細書で使用されるミキサーの型式に特別な制限はなく、事例的なミキサーは、機械的ミキサーであり、好ましくは、約20〜約200の、又は約50〜約150のRPMで作動するプラウシェアミキサーであり、混合時間は約1分間〜約60分間、又は約10分間〜約30分間である。上記の作動パラメータは、布地直接染料を確実に均一に粒子キャリアに装填させるために必要とされる。
【0036】
一実施形態では、ベースパウダーを含有する界面活性剤は、噴霧乾燥塔又はアグロメレーション法で調製される。当該技術分野において既知の一般的な噴霧乾燥塔又はアグロメレーション法を、ベースパウダーを含有する界面活性剤の調製に使用することができる。一例として、米国特許第5,133,924号(1992年7月28日発行)、米国特許第4,637,891号(1987年1月20日発行)、米国特許第4,726,908号(1988年2月23日発行)、米国特許第5,160,657号(1992年11月3日発行)、米国特許第5,164,108号(1992年11月17日発行)、米国特許第5,569,645号(1996年10月29日発行)に記載される方法を参照されたい。
【0037】
ベースパウダーを含有する界面活性剤が、次にミキサーに入れられる。布地直接染料装填粒子キャリア及び他の乾燥追加材料並びに噴霧された材料が、既知の方法によってミキサー内に加えられる。この方法に有用である好適なミキサーは、連続的な円筒形ドラム又は商標名フォーバーグ(FORBERG)(商標)で市販されている機器であり得、ミキサーは通常の方法で操作され得る。
【0038】
上述のように調製された本発明の布地処理組成物は、布地の洗濯に使用する水性洗浄溶液の形成に使用することができる。一般に、こうした水性洗濯溶液を形成するため、水、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機中の水に、そのような組成物の有効量を加える。次に、このように形成された水性洗浄溶液を、好ましくは攪拌下で、それにより洗濯すべき布地と接触させる。粒子キャリアに装填された布地直接染料を含む本発明の布地処理組成物は、洗濯洗浄サイクル中に、望ましくない染みの問題を呈することなく良好な色付け効率を示すことがわかった。
【0039】
試験方法
布地直接染料により引き起こされる布地の染付けに関する試験
セルロースのスポンジを水のリザーバに設置し、スポンジを全テスト期間にわたって水で飽和した状態に維持する。テストされる布地(例えば、厚手の綿)の見本(10×10cm)をスポンジの上に設置し、布地がテストの期間中、濡れていることを確実にする。布地直接染料を含有する布地処理組成物20gを、濡れた見本全体に均一に広げ、布地処理組成物を濡れた見本上で2時間そのままにしておく。2時間後、見本をセルロースのスポンジから取り除き、見本をきれいな水に浸してから1回すすぐ。布地直接染料により引き起こされた染みの点が見本に見られたら、見本を手で25回こすり、その後その見本を自然乾燥させる。見本が乾燥したら、布地直接染料により引き起こされた染みの点が見本にあるかどうかをオブザーバーによって調べる。
【0040】
完成した布地処理組成物における布地直接染料の着色に関する試験
布地直接染料を含有しない製品及び類似する組成物であるが布地直接染料を含有する製品のハンターL、a、b値を、比色計(モデル:ハンターラボスキャンXE(Hunter LabscanXE)、光源=C、オブザーバー=2度)で測定する。布地直接染料を含有しない製品のハンターL、a、b値が基準として記録され、布地直接染料を含有する製品のハンターL、a、b値がサンプルとして記録される。基準のL、a、b値とサンプルのL、a、b値との間の差は、ΔL、Δa及びΔbとして記録される。サンプル製品と基準製品との間のΔEは、以下の式に従って計算される。
【数1】

【0041】
4.6未満、又は好ましくは3.5未満のΔE値が、消費者に許容される布地処理組成物の色の変化である。
【実施例】
【0042】
以下の実施例は、本発明を説明するが、本明細書の発明の範囲を制限又は定義することを必ずしも意味するものではない。
【0043】
14重量%の直接バイオレット99(DV99)布地直接染料を含む水性染料溶液が調製される。約2〜6μmの平均粒径を有するゼオライトAが入ったKM100ミキサー内に水性染料溶液を噴霧することにより、染色されたキャリアが作られる。KM100ミキサーは、176rpmで作動し、混合時間は30分間である。得られた染色されたキャリアの組成物が、以下の表1に示される。
【表1】

【0044】
染色されたキャリアは、標準的な噴霧乾燥法により得られたベースパウダーを含有する界面活性剤に加えられる。ベースパウダーを含有する界面活性剤は、比較例1に示される以下の組成を有する、粒状の洗濯洗剤である。
【表2】

【0045】
0.83gの染色されたキャリア1と6.64gの染色されたキャリア2とを、別々に比較例1の粒状洗濯洗剤組成物500gに加えて、以下のDV99及びDV99装填キャリアの濃度を有する粒状洗濯洗剤組成物を得る。
【表3】

【0046】
布地直接染料により引き起こされる布地の染みに関する試験が、上記実施例1及び2の粒状洗濯洗剤組成物を使用して、上述された試験方法に従って実施される。試験された厚手の綿の見本には、DV99により引き起こされる染みの点が観察されなかった。
【0047】
完成した布地処理組成物に対する布地直接染料の着色に関する試験が、上記実施例1及び2の粒状洗濯洗剤組成物をサンプルとして、また上記比較例1の粒状洗濯洗剤組成物を基準として使用され、上述された試験方法に従って実施される。結果を以下の表2に示す。
【表4】

【0048】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値と、その値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0049】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0050】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にそうしたすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲でカバーするものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.0001重量%〜約0.005重量%の布地直接染料を含む布地処理組成物であって、前記布地直接染料が、100μm未満の平均粒径を有する粒子キャリアに装填され、前記布地処理組成物が、約0.01重量%〜約12重量%の前記布地直接染料装填粒子キャリアを含む、布地処理組成物。
【請求項2】
前記布地直接染料が、直接染料、酸性染料、反応染料及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の布地処理組成物。
【請求項3】
前記粒子キャリアが、ゼオライト、カーボネート、サルフェート、シリケート、粘土、ホスフェート、シリカ、シトレート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の布地処理組成物。
【請求項4】
前記粒子キャリアが、約1μm〜約50μmの平均粒径を有するゼオライトである、請求項3に記載の布地処理組成物。
【請求項5】
約0.0001重量%〜約0.001重量%の前記布地直接染料と、約0.05重量%〜約3重量%の前記布地直接染料装填粒子キャリアとを含む粒状洗濯洗剤組成物である、請求項1に記載の布地処理組成物。
【請求項6】
前記粒状洗濯洗剤組成物が、前記布地直接染料装填粒子キャリアを含有しない洗濯洗剤組成物と比べて約4.6未満のΔEの色変化を有する、請求項5に記載の布地処理組成物。
【請求項7】
前記布地直接染料の溶液を前記粒子キャリアに噴霧する工程と、布地直接染料装填粒子キャリアをもたらすために混合する工程と、前記布地直接染料装填粒子キャリアを前記布地処理組成物のベースパウダーを含む界面活性剤に加える工程とを含む、請求項1に記載の布地処理組成物の製造方法。
【請求項8】
前記布地直接染料の溶液が、プラウシェアミキサー内で前記粒子キャリアに噴霧される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プラウシェアミキサーが、約20〜約200RPMで作動し、混合時間が、約1分間〜約60分間である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
布地を請求項1〜6の布地処理組成物の水性溶液に接触させる工程を含む、布地に望ましい色合いを付与するための方法。
【請求項11】
100μm未満の平均粒径を有し、約0.001重量%〜約1重量%の布地直接染料を含む、布地直接染料装填粒子キャリア。

【公表番号】特表2010−509513(P2010−509513A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535854(P2009−535854)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054508
【国際公開番号】WO2008/056324
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】