帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置
【課題】 ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークに対応することができ、各帯状ワークを正確且つ容易に切断できると共に、取扱性や作業性、経済性等に優れた切断装置を提供する。
【解決手段】 パイロット孔Waを形成した帯状ワークWを切断して突合せ用溶接する帯状ワークWの突合せ接合装置に用いる切断装置1に於いて、切断装置1は、挿入穴9aを形成した雌型本体9と、雌型本体9の挿入穴9a内周縁部に着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃10と、挿入穴9a内に上下動自在に挿入れ、左右の切断下刃10との協働作用により帯状ワークWを切断する左右の切断上刃11aを備えた雄型11とから成り、各切断下刃10は、長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃10aに形成されていると共に、各切断刃10aが左右の切断上刃11aに対向できるようにその向きを変えて雌型本体9に着脱自在に取り付けられる構成とする。
【解決手段】 パイロット孔Waを形成した帯状ワークWを切断して突合せ用溶接する帯状ワークWの突合せ接合装置に用いる切断装置1に於いて、切断装置1は、挿入穴9aを形成した雌型本体9と、雌型本体9の挿入穴9a内周縁部に着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃10と、挿入穴9a内に上下動自在に挿入れ、左右の切断下刃10との協働作用により帯状ワークWを切断する左右の切断上刃11aを備えた雄型11とから成り、各切断下刃10は、長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃10aに形成されていると共に、各切断刃10aが左右の切断上刃11aに対向できるようにその向きを変えて雌型本体9に着脱自在に取り付けられる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板製の帯状ワークからリードフレームやコネクター、シャーシ類等の各種製品を連続的に生産するプレスラインやメッキライン、組立ライン等に設置され、ライン上を流れている先行の帯状ワークの終端に後行の帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合し、或いはライン上を流れている帯状ワークの不良部分を切断除去し、不良部分を除去した帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接により接合し、帯状ワークをライン上へ連続的に供給できるようにした帯状ワークの突合せ接合装置に用いられるものであり、特に、リードフレームのようにピッチの異なるパイロット孔を夫々等間隔毎に形成した数種類の帯状ワークに対応することができ、各帯状ワークを幅方向に沿って正確に且つ容易に切断することができると共に、取扱性や作業性、経済性等に優れた帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銅や鉄、アルミ、ステンレス等から成る金属薄板製の帯状ワークを連続的に供給しながらリードフレームやコネクター、シャーシ類等を成形加工するプレスライン等に於いては、プレス装置内へ帯状ワークを挿入するための手数を省くため、ライン上に繰り出されている帯状ワークの終端に新しい帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合し、新しい帯状ワークをライン上へ連続的に供給することが行われている。
【0003】
従来、帯状ワークを突合せ溶接により接合する装置としては、本件発明者等が先に開発した帯状金属薄板(帯状ワーク)の突合せ接合装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
即ち、前記突合せ接合装置は、図示していないが、帯状ワークを支持載置するテーブルを備えたキャビネット本体と、帯状ワークを幅方向に沿って切断する切断装置と、帯状ワークの切断端面同士を突合せた状態でその突合せ部近傍を上下方向から挾持するクランプ機構と、帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接用トーチを備えた溶接装置と、帯状ワークの溶接部を圧延して溶接部の厚みや組織を均一化する圧延装置等から構成されており、金属薄板製の帯状ワークの突合せ溶接を高精度で且つ高能率で行うことができる等の利点を有する。
【0005】
ところで、プレス加工されて位置決め用のパイロット孔等を形成したリードフレーム等の帯状ワークは、引き続き別のプレス工程(フォーミングプレス、切断プレス)やボンディング工程(ダイボンディング、ワイヤボンディング)等に送り込まれて加工されている。この場合にも、帯状ワークをプレス工程やボンディング工程等へ連続的に供給できるように、上述した帯状ワークの突合せ接合装置を用いて先行の帯状ワークの終端に後行の帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合することが行われている。
【0006】
又、リードフレーム等の帯状ワークに於いては、プレス加工中にバリや傷、打痕跡、変形等の不良部分が発生することがある。特に、帯状ワークに部分的な変形が生じた場合には、位置決め用のパイロット孔のピッチに狂いが生じることになる。
このような状態の帯状ワークを別のプレス工程やボンディング工程等に送り込んで加工した場合、製品の品質に支障を来たすばかりでなく、金型が損傷する等の問題が発生する。然も、プレス工程中やボンディング工程中に帯状ワークの送りが不良となったり、位置決め精度が悪くなったりする等の問題も発生する。
【0007】
そのため、位置決め用のパイロット孔を形成した帯状ワークを加工するプレスライン等に於いては、帯状ワークの不良部分近傍を幅方向に沿って切断して不良部分を取り除き、帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接により接合してから、不良部分の無くなった帯状ワークを後続の加工工程等へ送るようにしている。この突合せ溶接にも、上述した帯状ワークの突合せ接合装置が使用されている。
【0008】
ところが、上述した帯状ワークの突合せ接合装置を用いてリードフレームのように一旦加工された帯状ワークを突合せ溶接する場合には、様々な問題が生じることになる。
例えば、前記突合せ接合装置の切断装置を用いて位置決め用のパイロット孔を等間隔毎に形成した帯状ワークの終端部や始端部を幅方向に沿って切断した後、或いは帯状ワークの不良部分を切断加工により取り除いた後、二つの帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接により接合した場合、帯状ワークの突合せ部分のパイロット孔のピッチが狂うと云う問題が発生する。
何故なら、帯状ワークの終端部や始端部、不良部分を切断装置により切断する際に正確な位置で切断することが極めて困難であり、二つの帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接したときにパイロック孔のピッチにバラツキが生じるからである。その結果、この帯状ワークを後続の加工工程(ボンディング工程等)へ送り込むと、帯状ワークの送りが不良となったり、位置決め精度が悪くなったりする等、様々な不都合を生じることになる。
【0009】
一方、本件発明者等は、上述した問題を解決する新しい帯状ワークの突合せ接合装置を開発し、これを特開2004−283866号公報(特許文献3)として公開している。
【0010】
即ち、前記帯状ワークの突合せ接合装置は、図14に示す如く、位置決め用のパイロット孔を等間隔毎に形成した帯状ワークを幅方向に沿って切断する切断装置20と、帯状ワークの切断端面同士を突合せた状態でその突合せ部近傍を上下方向から挾持する上部クランプ21a及び下部クランプ21bから成るクランプ機構21と、帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接用トーチを備えた溶接装置22と、帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチで配置されて帯状ワークの各パイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される複数本の切断用位置決めピン23aから成る切断用位置決め機構23と、同じく帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチで配置されて帯状ワークの各パイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される複数本の突合せ用位置決めピン24aから成る突合せ用位置決め機構24等を備えており、帯状ワークの切断時にそのパイロット孔を切断用位置決め機構23の切断用位置決めピン23aに嵌め込み、又、帯状ワークの突合せ時にそのパイロット孔を突合せ用位置決め機構24の突合せ用位置決めピン24aに嵌め込むことによって、帯状ワークの位置決めを正確に行えるようになっている。
【0011】
その結果、この突合せ接合装置を用いれば、リードフレームのようにプレス加工等が施された帯状ワークであっても、切断装置20に設けた切断用位置決め機構23とクランプ機構21に設けた突合せ用位置決め機構24とによって、帯状ワークの切断と切断した帯状ワークの突合せ等を夫々正確に行うことができ、接合された帯状ワークもその寸法精度が高精度に保たれることになる。
【0012】
然し乍ら、上述した帯状ワークの突合せ接合装置に於いても、未だ解決すべき問題点が残されており、その中でも切断装置20部分に幾つかの問題がある。
【0013】
即ち、従来の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置20は、図15に示す如く、帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチで配設された左右の下刃25aを備えた雌型25と、雌型25に形成した平面形状凸形の挿入穴25b内に上下動自在に挿入され、左右の下刃25aとの協働作用により帯状ワークの不良部分近傍を幅方向に沿って切断する左右の上刃26aを備えた雄型26と、雄型26を上下動させる流体圧シリンダ27とから構成されており、切断処理する帯状ワークを左右の下刃25aと左右の上刃26aとの間に挿入し、雄型26を流体圧シリンダ27により上下動させることによって、左右の下刃25aと左右の上刃26aとで帯状ワークを幅方向に沿って切断するようになっている。
【0014】
ところで、切断装置20を長期間使用していると、特に、雌型25の左右の下刃25aのエッジ部分が摩耗、損傷、変形したりすることがあり、この場合には、切れ味が悪くなって帯状ワークの切断を正確且つ良好に行えなくなり、左右の下刃25aを新しい下刃25aと交換しなければならない。
しかし、従来の切断装置20に於いては、左右の下刃25aが雌型25の挿入穴25bの内周縁部に雌型25と一体的に形成されているため、左右の下刃25aを交換するには、雌型25全体を交換しなければならず、雌型25の取り外しや取り付けに極めて手数が掛かるうえ、経済性に劣ると云う問題があった。特に、プレスラインやメッキライン等が複数列並んだ状態で帯状ワークが加工処理されている場合には、一台の突合せ接合装置を各ライン上へ移動させ、一台の突合せ接合装置で各ライン上の帯状ワークの切断や突合せ溶接を行うようにしているため、切断装置20等の使用回数が大幅に増え、左右の下刃25a等がより短期間で摩耗、損傷、変形したりすることになり、前記問題がより助長されることになる。
【0015】
又、従来の切断装置20に於いては、帯状ワークの切断時に雌型25に設けた切断用位置決め機構23の切断用位置決めピン23aに帯状ワークのパイロット孔を嵌め込んで位置決めするようにしているが、帯状ワークの切断後に帯状ワークを切断用位置決めピン23aから引き抜くときに極めて引き抜き難く、取扱性や作業性に劣ると云う問題があった。特に、切断用位置決め機構23は、帯状ワークの位置決めを正確に行えるように帯状ワークのパイロット孔と切断用位置決め用ピン23aとの嵌め合い公差を小さく設定しているため、前記問題がより一層顕著に現れることになる。然も、厚みの極めて薄い帯状ワークを切断用位置決めピン23aから無理に引き抜いたりした場合、帯状ワークが部分的に変形してしまい、パイロット孔のピッチに狂いが生じると云う問題があった。この帯状ワークを後続の加工工程(ボンディング工程等)へ送り込んだ場合には、帯状ワークの送りが不良となったり、位置決め精度が悪くなったりする等、様々な不都合を生じることになる。
【0016】
更に、従来の切断装置20に於いては、雌型25に設けた切断用位置決め機構23の各切断用位置決めピン23aを全て同一ピッチで配置しているため、パイロット孔のピッチが全て同じ帯状ワークしか取り扱うことができないと云う問題があった。若し、パイロット孔のピッチが異なる別の帯状ワークを突合せ溶接する場合には、別の雌型25と交換しなければならず、取り換えに極めて手数が掛かるうえ、別の雌型25を用意しておかなければならないためにコストの高騰を招くと云う問題があった。
【特許文献1】特開平11−347792号公報
【特許文献2】特開2001−47281号公報
【特許文献3】特開2004−283866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、リードフレームのようにピッチの異なるパイロット孔を夫々等間隔毎に形成した数種類の帯状ワークに対応することができ、各帯状ワークを幅方向に沿って正確且つ容易に切断することができると共に、取扱性や作業性、経済性等に優れた帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、位置決め用のパイロット孔を等間隔毎に形成した帯状ワークを切断装置により幅方向に沿って切断し、切断した二つの帯状ワークの切断端面同士を突合せ固定した後、両帯状ワークの突合せ部を溶接装置により突合せ溶接して接合するようにした帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置に於いて、前記切断装置は、溝状の挿入穴を上下方向へ貫通状に形成した雌型本体と、雌型本体の挿入穴の内周縁部に対向状態で且つ着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃と、雌型本体の挿入穴内に上下動自在に挿入され、左右の切断下刃との協働作用により帯状ワークを幅方向に沿って切断する左右の切断上刃を備えた雄型とから成り、前記左右の切断下刃は、何れも長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃に形成されていると共に、各切断刃が雄型の左右の切断上刃に夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体に着脱自在に取り付けられる構成としたことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項2の発明は、雌型本体が、ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークを切断する際に、各帯状ワークを夫々位置決めする切断用位置決め機構を備えており、当該切断用位置決め機構は、各帯状ワークのパイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピンを複数列配置して成り、各列の切断用位置決めピンを各帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置したことに特徴がある。
【0020】
本発明の請求項3の発明は、切断用位置決め機構が、雌型本体の左右の切断下刃近傍位置に着脱自在に取り付けられ、ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークのパイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピンを複数列配置して成るピン用位置決め板を備えていることに特徴がある。
【0021】
本発明の請求項4の発明は、雌型本体が、帯状ワークの切断終了後に切断用位置決めピンに嵌合された帯状ワークを切断用位置決めピンに沿って移動させて切断用位置決めピンから押し出す払出し機構を備えていることに特徴がある。
【0022】
本発明の請求項5の発明は、払出し機構が、切断用位置決めピンに沿って上下動自在に配設され、切断用位置決めピンに嵌合された帯状ワークの裏面側に当接して帯状ワークの切断用位置決めピンに嵌合された部分全域を押し上げる昇降プレートと、昇降プレートを切断用位置決めピンに沿って上下動させる駆動部とから成り、前記昇降プレートを駆動部により切断用位置決めピンの先端側へ移動させて切断用位置決めピンに嵌合されている帯状ワークを切断用位置決めピンから押し出すようにしたことに特徴がある。
【0023】
本発明の請求項6の発明は、雄型が、帯状ワークの切断時に帯状ワークを雌型本体側へ押え付けると共に、左右の切断上刃及び左右の切断下刃を覆い隠すワーク押え機構を備えていることに特徴がある。
【0024】
本発明の請求項7の発明は、ワーク押え機構が、雄型の左右の切断上刃部分に昇降自在に被せられ、下方が開放されたボックス状の材料押えと、左右の切断上刃が材料押えにより隠されるように材料押えを下方へ附勢する弾性体とから成り、雄型が下降したときに材料押えの下端面が雌型本体の上面に配置した帯状ワークの上面へ弾性的に当接し、材料押えにより帯状ワークを雌型本体の上面側へ押圧固定すると共に、左右の切断上刃及び左右の切断下刃を覆い隠すように構成されていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1の切断装置は、左右の切断上刃との協働作用により帯状ワークを幅方向に沿って切断する左右の切断下刃を角柱形状に形成し、当該左右の切断下刃を雌型本体に着脱自在に取り付ける構成としているため、切断装置の長期間の使用により左右の切断下刃が摩耗、損傷、変形したりした場合、左右の切断下刃のみを新しい切断下刃と交換するだけで再度使用することができる。その結果、本発明の請求項1の切断装置は、従来の切断装置のように雌型全体を交換したりする必要もなく、取り換えを簡単且つ迅速に行えて取扱性及び作業性に優れていると共に、経済性にも優れたものとなる。
又、本発明の請求項1の切断装置は、角柱形状に形成した左右の切断下刃の長手方向の稜線部四個所を全て切断刃に形成し、左右の切断下刃を各切断刃が雄型の左右の切断上刃に夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体に着脱自在に取り付けられる構成としているため、左右の切断下刃の向きを変えることによって、左右の切断下刃の四個所の切断刃を全て使用することができ、切断下刃自体の交換回数が少なくて済み、より一層コストの削減を図れる。
【0026】
本発明の請求項2乃至請求項7の切断装置は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
即ち、本発明の請求項2の切断装置は、ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークを位置決めする切断用位置決め機構を備えており、当該切断用位置決め機構が、各帯状ワークのパイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピンを複数列配置して成り、各列の切断用位置決めピンを各帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置しているため、パイロット孔のピッチが異なる数種類の帯状ワークを切断する際に各帯状ワークを所定の位置に位置決めすることができ、数種類の帯状ワークの切断を正確に簡単且つ容易に行える。
【0027】
本発明の請求項3の発明は、切断用位置決め機構が、雌型本体に着脱自在に取り付けられて切断用位置決めピンを複数列配置して成るピン用位置決め板を備えているため、ピン用位置決め板を別のピン用位置決め板と交換することによって、更に別の数種類の帯状ワークを位置決めして切断することができる。その結果、本発明の請求項3の切断装置は、ピン用位置決め板を交換するだけで、パイロット孔のピッチが異なるあらゆる帯状ワークに対応させることができるうえ、従来の切断装置のように別の種類の帯状ワークを位置決めして切断する際に雌型全体を別の雌型と交換したりする必要もなく、取り換えを簡単且つ迅速に行えて取扱性及び作業性に優れていると共に、経済性にも優れたものとなる。
【0028】
本発明の請求項4の切断装置は、雌型本体が、帯状ワークの切断終了後に切断用位置決めピンに嵌合されている帯状ワークを切断用位置決めピンに沿って移動させて切断用位置決めピンから押し出す払出し機構を備えているため、帯状ワークのパイロット孔が複数本の切断用位置決めピンに嵌合されていても、帯状ワークを切断用位置決めピンから簡単且つ容易に引き抜くことができ、取扱性や作業性に優れたものとになる。然も、帯状ワークを切断用位置決めピンから無理に引き抜いたりすることがないため、帯状ワークの部分的な変形を防止することができ、帯状ワークのパイロット孔のピッチに狂いが生じることもない。
【0029】
本発明の請求項5の切断装置は、払出し機構が、切断用位置決めピンに嵌合された帯状ワークの裏面側に当接して帯状ワークの切断用位置決めピンに嵌合された部分全域を押し上げる昇降プレートと、昇降プレートを切断用位置決めピンに沿って上下動させる駆動部とから構成されているため、帯状ワークを切断用位置決めピンからより一層簡単且つ容易に引き抜くことができる。その結果、帯状ワークのパイロット孔と切断用位置決め用ピンとの嵌め合い公差が小さく設定されていても、帯状ワークを切断用位置決めピンから円滑且つスムースに引き抜くことができる。
【0030】
本発明の請求項6の切断装置は、雄型が、帯状ワークの切断時に帯状ワークを雌型本体側へ押え付けると共に、左右の切断上刃及び左右の切断下刃を覆い隠すワーク押え機構を備えているため、帯状ワークの切断をより安全に正確且つ確実に行える。
【0031】
本発明の請求項7の切断装置は、ワーク押え機構が、雄型の左右の切断上刃部分に昇降自在に被せられた下方が開放されたボックス状の材料押えと、左右の切断上刃が材料押えにより隠されるように材料押えを下方へ附勢する弾性体とから成るため、帯状ワークの切断時以外には左右の切断上刃が材料押えにより覆い隠されることになり、帯状ワークを左右の切断上刃と左右の切断下刃との間に挿入する際に、作業員が左右の切断上刃で怪我をすると云うことがなく、より安全性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る切断装置1を用いた帯状ワークWの突合せ接合装置を示し、当該帯状ワークWの突合せ接合装置は、銅やステンレス等の金属薄板製の帯状ワークWからリードフレームやコネクター、シャーシ類等の各種製品を連続的に生産するプレスラインやメッキライン、組立ライン等に移動自在に設置されており、リードフレームのように位置決め用のパイロット孔Waを等間隔毎に形成した先行の帯状ワークWの終端に同じく位置決め用のパイロット孔Waを等間隔毎に形成した後行の帯状ワークWの始端を突合せ溶接により接合し、後行の帯状ワークWを先行の帯状ワークWに引き続いてライン上へ供給できるようにしたり、或いは位置決め用のパイロット孔Waを等間隔毎に形成した帯状ワークWの不良部分を切断除去し、不良部分を除去した帯状ワークWの切断端面同士を突合せ溶接により接合し、接合した帯状ワークWを引き続きライン上へ供給できるようにしたものである。
【0033】
即ち、前記帯状ワークWの突合せ接合装置は、図1に示す如く、帯状ワークWが支持載置される水平姿勢の作業用テーブル2を備えたキャビネット本体3と、先行の帯状ワークWの終端部、後行の帯状ワークWの始端部、帯状ワークWの不良部分近傍を夫々幅方向に沿って切断する切断装置1と、二つの帯状ワークWの切断端面同士を突合せた状態でその突合せ部近傍を上下方向から挾持する上部クランプ及び下部クランプから成るクランプ機構4と、下部クランプに設けられ、二つの帯状ワークWの突合せ時に両帯状ワークWのパイロット孔Waに着脱自在に嵌合されて両帯状ワークWを突合せた状態で位置決めする複数本の突合せ用位置決めピンから成る突合せ用位置決め機構5と、両帯状ワークWの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置6(GTA溶接装置やプラズマ溶接装置、レーザー溶接装置)と、帯状ワークWの溶接部を圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化する圧延装置7等から構成されており、先行の帯状ワークWの終端部の切断、後行の帯状ワークWの始端部の切断、帯状ワークWの不良部分の切断除去、切断された帯状ワークWの突合せ溶接、帯状ワークWの溶接部の圧延加工等を夫々順序立てて行えるようになっている。
【0034】
そして、この帯状ワークWの突合せ接合装置は、例えば、帯状ワークWのプレスラインやメッキライン、組立ライン等を並列状に並べた工場内に移動自在に設置されており、突合せ接合装置を各ライン上へ移動させることによって、一台の突合せ接合装置で各ライン上を流れている帯状ワークWの切断加工や突合せ溶接等を行えるようになっている。
尚、切断装置1以外のキャビネット本体3、クランプ機構4、突合せ用位置決め機構5、溶接装置6及び圧延装置7等は、従来公知のものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0035】
本発明の実施の形態に係る切断装置1は、図2乃至図9に示す如く、作業用テーブル2の側方位置に前後方向へ移動自在に配設した移動フレーム(図示省略)に取付け台8を介して固定され、溝状の挿入穴9aを上下方向へ貫通状に形成した雌型本体9と、雌型本体9の挿入穴9aの内周縁部に対向状態で且つ着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃10と、雌型本体9の挿入穴9a内に上下動自在に挿入され、左右の切断下刃10との協働作用により帯状ワークWを幅方向に沿って切断する左右の切断上刃11aを備えた雄型11と、取付け台8の下面側に固定され、雄型11を上下動させる流体圧シリンダ12と、帯状ワークWを幅方向に沿って切断する際に帯状ワークWを所定の位置に位置決めする切断用位置決め機構13と、帯状ワークWの切断終了後に帯状ワークWを切断用位置決め機構13から取り出す払出し機構14と、帯状ワークWの切断時に帯状ワークWを雌型本体9側へ押え付けると共に、左右の切断上刃11a及び左右の切断下刃10を覆い隠すワーク押え機構15等から構成されている。
【0036】
前記雌型本体9は、図3乃至図5に示す如く、冷間工具鋼等の金属材により長方形のブロック状に形成されており、その中央部には、雄型11が上下動自在に挿入される平面形状凸形の溝状の挿入穴9aが雌型本体9の長手方向に沿う姿勢で上下方向へ貫通状に形成されている。
又、雌型本体9の上面には、左右の切断下刃10、切断用位置決め機構13及び払出し機構14の昇降プレート14′を収容するための凹部9bが挿入穴9aの幅の狭い部分に跨るようにして雌型本体9の幅方向に沿って形成されている。
更に、雌型本体9の左右の凹部9bに対向する裏面側には、払出し機構14の駆動部14″を構成するピストン14b及びロッド14cが挿入されるピストン穴9cが貫通状に形成されている。
【0037】
前記左右の切断下刃10は、図3に示す如く、高速度工具鋼等の金属材により角柱形状に形成されており、何れもその長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃10aに形成されていると共に、各切断刃10aが雄型11の左右の切断上刃11aに夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体9に着脱自在に取り付けられるように構成されている。
即ち、左右の切断下刃10は、その両端部に取付けボルト16が挿通される両面座ぐり穴付きの貫通状のボルト穴10bを備えており、左右の切断下刃10の上下又は左右の切断下刃10の両端を引っ繰り返してその向きを変え、この状態で左右の切断下刃10をボルト穴10bに平行な側面が雌型本体9の挿入穴9aの幅の狭い部分の内面と面一になるように雌型本体9の左右の凹部9bに夫々嵌め込み、左右の切断下刃10の両端部を取付けボルト16で雌型本体9側へ固定することによって、左右の切断下刃10の各切断刃10aが雄型11の左右の切断上刃11aに夫々対向できるように雌型本体9に着脱自在に取り付けられる。
この左右の切断下刃10の長さは、雌型本体9の凹部9bの幅(雌型本体9の長手方向の幅)と同一に、又、左右の切断下刃10の高さ(ボルト穴10bに沿う高さ)は、雌型本体9の凹部9bの深さと同一に夫々設定されている。
【0038】
前記雄型11は、図3乃至図6に示す如く、高速度工具鋼等の金属材により平面形状凸形のブロック状に形成されており、幅の狭い突起部11bの下面両側縁部には、左右の切断上刃11aが一体的に形成されている。この雄型11は、その平面形状が雌型本体9の挿入穴9aの平面形状と同じ形状及び同じ大きさに形成されており、雌型本体9の挿入穴9aに挿入したときに左右の切断上刃11aが雌型本体9に取り付けた左右の切断下刃10に夫々摺接するようになっている。
又、雄型11の左右の切断上刃11aは、その刃先が傾斜状に形成されており、左右の切断下刃10との協働作用により帯状ワークWを切断する際に切断装置1に大きな負荷が掛からないように工夫されている。
更に、雄型11には、グリースニップル17が挿着されるグリース供給孔11cが形成されていると共に、雄型11の外面には、グリース供給孔11cに連通するX形状のグリース溝11dが形成されている。
【0039】
そして、雄型11は、雌型本体9の挿入穴9aに上下動自在に挿入されており、取付け台8の下面側に固定した流体圧シリンダ12によって、左右の切断上刃11aが左右の切断下刃10よりも上方に位置して左右の切断上刃11aと左右の切断下刃10との間に帯状ワークWを挿入できる待機位置(図4及び図5に示す位置)と、左右の切断上刃11aが雌型本体9内に位置して帯状ワークWを切断する切断位置(図11に示す位置)とに亘って昇降自在に構成されている。
【0040】
前記切断用位置決め機構13は、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した数種類の帯状ワークWを切断する際に、各帯状ワークWを所定の位置に位置決めするものであり、雌型本体9の左右の切断下刃10近傍位置に夫々設けられている。
即ち、左右の切断用位置決め機構13は、図3乃至図6に示す如く、炭素工具鋼等の金属材より長方形状に形成され、雌型本体9の左右の凹部9bに左右の切断下刃10に隣接する状態でボルトにより着脱自在に取り付けられた左右のピン用位置決め板13′と、左右のピン用位置決め板13′に上方へ突出する状態で複数列配置され、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した数種類の帯状ワークWの各パイロット孔Waに夫々着脱自在に嵌合される複数本の切断用位置決めピン13″とから夫々構成されており、各列の切断用位置決めピン13″は、各帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置されている。
【0041】
この実施の形態に於いては、左右の切断用位置決め機構13は、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した三種類の帯状ワークWの位置決めを行えるように切断用位置決めピン13″がピン用位置決め板13′に複数列配置されており、ピン用位置決め板13′の一端部(図3に示すピン用位置決め板13′の右端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″で図13(A)に示す種類の帯状ワークWの位置決めを行い、ピン用位置決め板13′の中間部(図3に示すピン用位置決め板13′の中間部分)に位置する四つの切断用位置決めピン13″で図13(B)に示す別の種類の帯状ワークWの位置決めを行い、ピン用位置決め板13′の他端部(図3に示すピン用位置決め板13′の左端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″で更に別の種類の帯状ワークW(図示省略)の位置決めを行えるようになっている。
又、この実施の形態に於いては、ピン用位置決め板13′の一端部(図3に示すピン用位置決め板13′の右端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″は、図13(A)に示す種類の帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチの数倍のピッチで配置され、ピン用位置決め板13′の中間部(図3に示すピン用位置決め板13′の中間部分)に位置する四つの切断用位置決めピン13″は、図13(B)に示す別の種類の帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチの数倍のピッチで配置され、ピン用位置決め板13′の他端部(図3に示すピン用位置決め板13′の左端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″は、更に別の種類の帯状ワークW(図示省略)の両側縁部に形成したパイロット孔Waのピッチ(間隔)と同一のピッチで配置されている。
更に、この実施の形態に於いては、各切断用位置決めピン13″の上端部は、各帯状ワークWのパイロット孔Waが切断用位置決めピン13″へ簡単且つ容易に嵌合されるように先端が半球状となった先細り状に形成されている。
【0042】
そして、切断用位置決め機構13には、更にピッチの異なる切断用位置決めピン13″を複数列配置して成るピン用位置決め板13′が数種類用意されており、切断処理する帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチに応じて取り替えられるようになっている。
【0043】
尚、各切断用位置決めピン13″のピン用位置決め板13′に対する位置及び各切断用位置決めピン13″の左右の切断下刃10に対する位置は、左右の切断下刃10及び左右の切断上刃11aにより帯状ワークWを幅方向に沿って切断したときに帯状ワークWの一部分が帯状ワークW自体から切り離されないように設定されている。
又、左右のピン用位置決め板13′の厚みは、雌型本体9の凹部9bの深さの1/2に、左右のピン用位置決め板13′の長さは、雌型本体9の凹部9bの幅(雌型本体9の長手方向の幅)と同一に、左右のピン用位置決め板13′の幅は、左右のピン用位置決め板13′が左右の切断下刃10と一緒に雌型本体9の左右の凹部9bに丁度収まるように夫々設定されている。
【0044】
前記払出し機構14は、帯状ワークWが切断用位置決め機構13により位置決めされて切断装置1により切断された後、当該帯状ワークWを水平姿勢で切断用位置決めピン13″に沿って上方へ持ち上げて切断用位置決めピン13″から引き抜くものであり、図4及び図5に示す如く、左右のピン用位置決め板13′の上面に重ね合わされて切断用位置決めピン13″に沿って上下動自在に配設され、切断用位置決めピン13″に嵌合された帯状ワークWの裏面側に当接して帯状ワークWの切断用位置決めピン13″に嵌合された部分全域を押し上げる左右の昇降プレート14′と、雌型本体9に設けられ、左右の昇降プレート14′を切断用位置決めピン13″に沿って上下動させる駆動部14″とから構成されている。
【0045】
具体的には、左右の昇降プレート14′は、図3に示す如く、冷間工具鋼等の金属材により左右のピン用位置決め板13′と同じ形状の長方形状に夫々形成されており、当該左右の昇降プレート14′には、左右のピン用位置決め板13′の上面に重ね合わせたときに切断用位置決めピン13″が遊嵌状態で挿通される複数の貫通孔14aが形成されている。この貫通孔14aは、昇降プレート14′に切断用位置決めピン13″の数と同じ数で且つ切断用位置決めピン13″と同じ配列で形成されている。
又、左右の昇降プレート14′は、雌型本体9の凹部9b内に左右のピン用位置決め板13′の上面に重ね合わされた状態で収容され、左右の切断下刃10の上面と面一になって切断用位置決めピン13″の上端よりも下方に位置する下降位置(図8及び図9に示す位置)と、切断用位置決めピン13″の上端と面一又は切断用位置決めピン13″の上端よりも上方に位置して帯状ワークWを切断用位置決めピン13″から押し出す上昇位置(図12に示す位置)とに亘って上下動できるようになっている。
尚、左右の昇降プレート14′の厚みは、雌型本体9の凹部9bの深さの1/2に、左右の昇降プレート14′の長さは、左右のピン用位置決め板13′の長さと同一に、左右の昇降プレート14′の幅は、左右のピン用位置決め板13′の幅と同一に夫々設定されている。
【0046】
一方、駆動部14″は、図8及び図9に示す如く、雌型本体9のピストン穴9cの大径部分にOリング14fを介して上下方向へ摺動自在に嵌合されたピストン14bと、ピストン14bの上面に連設され、ピストン穴9cの小径部分及びピン用位置決め板13′に夫々挿通されて昇降プレート14′にボルト14gを介して連結されたロッド14cと、ピストン穴9cの大径部分に配設され、ピストン14b及びロッド14cを下方へ附勢して昇降プレート14′を雌型本体9の凹部9b内(下降位置)に位置させる復帰用の圧縮スプリング14dと、ピストン穴9cの大径部分に螺着され、ピストン14b等を抜け止めすると共に、ピストン14bの下面側へ作動流体(圧縮空気)を供給する作動流体用通路14e′を形成したプラグ14eとから構成されており、作動流体供給源(図示省略)からの作動流体をピストン穴9cへ供給すると、ピストン14b、ロッド14c及び昇降プレート14′が圧縮スプリング14dの弾性力に抗して上昇し、昇降プレート14′が切断用位置決めピン13″の上端と面一又は切断用位置決めピン13″の上端よりも上方位置になる上昇位置(図12に示す位置)になり、又、作動流体の供給を停止すると、圧縮スプリング14dの弾性力によりピストン14b、ロッド14c及び昇降プレート14′が下降し、昇降プレート14′が雌型本体9の凹部9b内に収納されて切断用位置決めピン13″の上端よりも下方に位置する下降位置(図8及び図9に示す位置)になるように制御されている。
【0047】
前記ワーク押え機構15は、図3及び図7に示す如く、雄型11の突起部11bの上面に立設した支持軸15aと、支持軸15aに上下動自在に支持され、雄型11の突起部11bを上方から覆う下方が開放されたアルミ合金等の金属材から成るボックス状の材料押え15bと、支持軸15aの上端部と材料押え15bとの間に介設され、材料押え15bを下方へ附勢する弾性体15c(圧縮スプリング)とから構成されており、雄型11が待機位置から切断位置へ下降したときに材料押え15bの下端面が雌型本体9の上面に配置した帯状ワークWの上面へ弾性的に当接し、材料押え15bにより帯状ワークWを雌型本体9の上面側へ押圧固定すると共に、左右の切断上刃11a及び左右の切断下刃10を覆い隠し、又、雄型11が切断位置から待機位置へ上昇したときに材料押え15bが弾性体15c(圧縮スプリング)により下方へ附勢されて左右の切断上刃11aを略覆い隠すようになっている。
【0048】
次に、上述した突合せ接合装置の切断装置1を用いてリードフレーム等の位置決め用のパイロット孔Waを形成した先行の帯状ワークWの終端部と同じく先行の帯状ワークWと同じ形状の後行の帯状ワークWの始端部とを幅方向に沿って切断する場合について説明する。
【0049】
プレスラインやメッキライン等のライン上を流れている先行の帯状ワークWが残り少なくなると、先行の帯状ワークWの終端部を切断用位置決め機構13により位置決めし、この状態で先行の帯状ワークWの終端部を切断上刃11a及び切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断する。
【0050】
即ち、雌型本体9と待機位置にある雄型11との間に先行の帯状ワークWの終端部を挿入し、先行の帯状ワークWの終端部が右側の切断上刃11aと右側の切断下刃10との間に位置するように帯状ワークWのパイロット孔Waの一部を右側の切断用位置決め機構13の切断用位置決めピン13″の何れかに嵌め込む(図10参照)。これによって、先行の帯状ワークWの終端部は、右側の切断用位置決め機構13により雌型本体9上で位置決めされる。このとき、切断装置1は、待機位置にある雄型11の左右の切断上刃11aがワーク押え機構15の材料押え15bにより略覆い隠されているため、作業員が左右の切断上刃11aで怪我をすると云うことがなく、位置決め作業を安全に行える。
【0051】
先行の帯状ワークWの終端部が雌型本体9上で位置決めされたら、この状態で待機位置にある雄型11を流体圧シリンダ12により切断位置に下降させる(図11参照)。そうすると、先行の帯状ワークWの終端部が右側の切断上刃11a及び右側の切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断される。このとき、ワーク押え機構15の材料押え15bの下端面が雌型本体9の上面に配置した帯状ワークWの上面へ弾性的に当接し、材料押え15bにより帯状ワークWを雌型本体9の上面側へ押圧固定すると共に、材料押え15bが左右の切断下刃10及び左右の切断上刃11aを略覆い隠しているため、帯状ワークWの切断をより安全に正確且つ確実に行えることになる。
【0052】
先行の帯状ワークWの終端部が幅方向に沿って切断されると、右側の払出し機構14を手動により又は自動により作動させる。そうすると、右側の払出し機構14の昇降プレート14′が下降位置から上昇位置へ上昇し、帯状ワークWの終端部を水平姿勢で切断用位置決めピン13″に沿って上方へ持ち上げ、切断用位置決めピン13″から引き抜く(図12参照)。このとき、昇降プレート14′が、切断用位置決めピン13″に嵌合された帯状ワークWの裏面側に当接して帯状ワークWの切断用位置決めピン13″に嵌合された部分全域を押し上げているため、帯状ワークWの複数のパイロット孔Waを複数本の切断用位置決めピン13″に嵌め込んでいても、帯状ワークWを変形させることなく、切断用位置決めピン13″から簡単且つ容易に引き抜くことができる。
【0053】
先行の帯状ワークWの終端部が切断用位置決めピン13″から引き抜かれたら、引き続き後行の帯状ワークWの始端部を切断用位置決め機構13により位置決めし、この状態で後行の帯状ワークWの始端部を切断上刃11a及び切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断する。
【0054】
即ち、雌型本体9と待機位置にある雄型11との間に後行の帯状ワークWの始端部を挿入し、後行の帯状ワークWの始端部が左側の切断上刃11aと左側の切断下刃10との間に位置するように帯状ワークWのパイロット孔Waの一部を左側の切断用位置決め機構13の切断用位置決めピン13″の何れかに嵌め込む。これによって、帯状ワークWの始端部は、左側の切断用位置決め機構13により雌型本体9上で位置決めされる。このときも、切断装置1は、待機位置にある雄型11の左右の切断上刃11aがワーク押え機構15の材料押え15bにより略覆い隠されているため、作業員が左右の切断上刃11aで怪我をすると云うことがなく、位置決め作業を安全に行える。
【0055】
後行の帯状ワークWの始端部が雌型本体9上で位置決めされたら、この状態で待機位置にある雄型11を流体圧シリンダ12により切断位置に下降させる。そうすると、後行の帯状ワークWの始端部が左側の切断上刃11a及び左側の切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断される。このときも、ワーク押え機構15の材料押え15bの下端面が雌型本体9の上面に配置した帯状ワークWの上面へ弾性的に当接し、材料押え15bにより帯状ワークWを雌型本体9の上面側へ押圧固定すると共に、材料押え15bが左右の切断下刃10及び左右の切断上刃11aを略覆い隠しているため、帯状ワークWの切断をより安全に正確且つ確実に行えることになる。
【0056】
後行の帯状ワークWの始端部が幅方向に沿って切断されると、左側の払出し機構14を手動により又は自動により作動させる。そうすると、左側の払出し機構14の昇降プレート14′が下降位置から上昇位置へ上昇し、後行の帯状ワークWの始端部を水平姿勢で切断用位置決めピン13″に沿って上方へ持ち上げ、切断用位置決めピン13″から引き抜く。このとき、昇降プレート14′が、切断用位置決めピン13″に嵌合された帯状ワークWの裏面側に当接して帯状ワークWの切断用位置決めピン13″に嵌合された部分全域を押し上げているため、帯状ワークWの複数のパイロット孔Waを複数本の切断用位置決めピン13″に嵌め込んでいても、帯状ワークWを変形させることなく、切断用位置決めピン13″から簡単且つ容易に引き抜くことができる。
【0057】
そして、切断装置1の長期間の使用により左右の切断下刃10に形成した四個所の切断刃10aのうちの一個所が摩耗、損傷、変形したりした場合、左右の切断下刃10を雌型本体9から取り外し、左右の切断下刃10の向きを変えて雌型本体9に取り付ける。これによって、左右の切断下刃10の摩耗、損傷、変形していない個所の切断刃10aが左右の切断上刃11aに対向することになり、引き続き左右の切断下刃10を使用することができる。
又、左右の切断下刃10の四個所の切断刃10aが全て摩耗、損傷、変形した場合には、左右の切断下刃10を新しいものと交換し、これを雌型本体9に取り付ける。
更に、雌型本体9に設けた切断用位置決め機構13の切断用位置決めピン13″のピッチと異なるパイロット孔Waを形成した帯状ワークWを切断する際には、切断用位置決め機構13を帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチに合致する切断用位置決めピン13″を備えたピン用位置決め板13′と交換することによって、帯状ワークWを切断処理することができる。
【0058】
このように、上述した構成の切断装置1は、左右の切断下刃10を角柱形状に形成し、これらを雌型本体9に着脱自在に取り付ける構成としているため、切断装置1の長期間の使用により左右の切断下刃10が摩耗、損傷、変形したりした場合、左右の切断下刃10のみを新しい切断下刃10と交換するだけで再度使用することができる。その結果、この切断装置1は、従来の切断装置のように雌型全体を交換したりする必要もなく、取り換えを簡単且つ迅速に行えて取扱性及び作業性に優れていると共に、経済性にも優れたものとなる。
又、この切断装置1は、角柱形状に形成した左右の切断下刃10の長手方向の稜線部四個所を全て切断刃10aに形成し、左右の切断下刃10を各切断刃10aが雄型11の左右の切断上刃11aに夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体9に着脱自在に取り付けられる構成としているため、左右の切断下刃10の向きを変えることによって、左右の切断下刃10の四個所の切断刃10aを全て使用することができ、切断下刃10自体の交換回数が少なくて済み、より一層コストの削減を図れる。
更に、この切断装置1は、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した数種類の帯状ワークWを位置決めする切断用位置決め機構13を備えているため、パイロット孔Waのピッチが異なる数種類の帯状ワークWの切断時に各帯状ワークWを所定の位置に位置決めすることができ、数種類の帯状ワークWの切断を正確に簡単且つ容易に行える。
加えて、この切断装置1は、切断用位置決め機構13が雌型本体9に着脱自在に取り付けられて切断用位置決めピン13″を複数列配置して成るピン用位置決め板13′を備えているため、ピン用位置決め板13′を別のピン用位置決め板13′と交換することによって、更に別の数種類の帯状ワークWを位置決めして切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る切断装置を用いた帯状ワークの突合せ接合装置の概略正面図である。
【図2】切断装置の斜視図である。
【図3】切断装置の分解斜視図である。
【図4】切断装置の正面図である。
【図5】切断装置の側面図である。
【図6】切断装置の平面図である。
【図7】図4のイ−イ線断面図である。
【図8】図4のロ−ロ線断面図である。
【図9】図5のハ−ハ線断面図である。
【図10】帯状ワークを切断用位置決め機構で位置決めした状態の切断装置の一部省略平面図である。
【図11】帯状ワークを切断上刃と切断下刃で切断した状態の切断装置の縦断正面図である。
【図12】切断された帯状ワークを払出し機構により切断用位置決めピンから引き抜いた状態の切断装置の縦断正面図である。
【図13】帯状ワークの要部の平面図である。
【図14】従来の切断装置を用いた帯状ワークの突合せ接合装置の要部を示す縦断正面図である。
【図15】従来の切断装置の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1は切断装置、9は雌型本体、9aは挿入穴、10は切断下刃、10aは切断刃、11は雄型、11aは切断上刃、13は切断用位置決め機構、13′はピン用位置決め板、13″は切断用位置決めピン、14は払出し機構、14′は昇降プレート、14″は駆動部、15はワーク押え機構、15bは材料押え、15cは弾性体、Wは帯状ワーク、Waはパイロット孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板製の帯状ワークからリードフレームやコネクター、シャーシ類等の各種製品を連続的に生産するプレスラインやメッキライン、組立ライン等に設置され、ライン上を流れている先行の帯状ワークの終端に後行の帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合し、或いはライン上を流れている帯状ワークの不良部分を切断除去し、不良部分を除去した帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接により接合し、帯状ワークをライン上へ連続的に供給できるようにした帯状ワークの突合せ接合装置に用いられるものであり、特に、リードフレームのようにピッチの異なるパイロット孔を夫々等間隔毎に形成した数種類の帯状ワークに対応することができ、各帯状ワークを幅方向に沿って正確に且つ容易に切断することができると共に、取扱性や作業性、経済性等に優れた帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銅や鉄、アルミ、ステンレス等から成る金属薄板製の帯状ワークを連続的に供給しながらリードフレームやコネクター、シャーシ類等を成形加工するプレスライン等に於いては、プレス装置内へ帯状ワークを挿入するための手数を省くため、ライン上に繰り出されている帯状ワークの終端に新しい帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合し、新しい帯状ワークをライン上へ連続的に供給することが行われている。
【0003】
従来、帯状ワークを突合せ溶接により接合する装置としては、本件発明者等が先に開発した帯状金属薄板(帯状ワーク)の突合せ接合装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
即ち、前記突合せ接合装置は、図示していないが、帯状ワークを支持載置するテーブルを備えたキャビネット本体と、帯状ワークを幅方向に沿って切断する切断装置と、帯状ワークの切断端面同士を突合せた状態でその突合せ部近傍を上下方向から挾持するクランプ機構と、帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接用トーチを備えた溶接装置と、帯状ワークの溶接部を圧延して溶接部の厚みや組織を均一化する圧延装置等から構成されており、金属薄板製の帯状ワークの突合せ溶接を高精度で且つ高能率で行うことができる等の利点を有する。
【0005】
ところで、プレス加工されて位置決め用のパイロット孔等を形成したリードフレーム等の帯状ワークは、引き続き別のプレス工程(フォーミングプレス、切断プレス)やボンディング工程(ダイボンディング、ワイヤボンディング)等に送り込まれて加工されている。この場合にも、帯状ワークをプレス工程やボンディング工程等へ連続的に供給できるように、上述した帯状ワークの突合せ接合装置を用いて先行の帯状ワークの終端に後行の帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合することが行われている。
【0006】
又、リードフレーム等の帯状ワークに於いては、プレス加工中にバリや傷、打痕跡、変形等の不良部分が発生することがある。特に、帯状ワークに部分的な変形が生じた場合には、位置決め用のパイロット孔のピッチに狂いが生じることになる。
このような状態の帯状ワークを別のプレス工程やボンディング工程等に送り込んで加工した場合、製品の品質に支障を来たすばかりでなく、金型が損傷する等の問題が発生する。然も、プレス工程中やボンディング工程中に帯状ワークの送りが不良となったり、位置決め精度が悪くなったりする等の問題も発生する。
【0007】
そのため、位置決め用のパイロット孔を形成した帯状ワークを加工するプレスライン等に於いては、帯状ワークの不良部分近傍を幅方向に沿って切断して不良部分を取り除き、帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接により接合してから、不良部分の無くなった帯状ワークを後続の加工工程等へ送るようにしている。この突合せ溶接にも、上述した帯状ワークの突合せ接合装置が使用されている。
【0008】
ところが、上述した帯状ワークの突合せ接合装置を用いてリードフレームのように一旦加工された帯状ワークを突合せ溶接する場合には、様々な問題が生じることになる。
例えば、前記突合せ接合装置の切断装置を用いて位置決め用のパイロット孔を等間隔毎に形成した帯状ワークの終端部や始端部を幅方向に沿って切断した後、或いは帯状ワークの不良部分を切断加工により取り除いた後、二つの帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接により接合した場合、帯状ワークの突合せ部分のパイロット孔のピッチが狂うと云う問題が発生する。
何故なら、帯状ワークの終端部や始端部、不良部分を切断装置により切断する際に正確な位置で切断することが極めて困難であり、二つの帯状ワークの切断端面同士を突合せ溶接したときにパイロック孔のピッチにバラツキが生じるからである。その結果、この帯状ワークを後続の加工工程(ボンディング工程等)へ送り込むと、帯状ワークの送りが不良となったり、位置決め精度が悪くなったりする等、様々な不都合を生じることになる。
【0009】
一方、本件発明者等は、上述した問題を解決する新しい帯状ワークの突合せ接合装置を開発し、これを特開2004−283866号公報(特許文献3)として公開している。
【0010】
即ち、前記帯状ワークの突合せ接合装置は、図14に示す如く、位置決め用のパイロット孔を等間隔毎に形成した帯状ワークを幅方向に沿って切断する切断装置20と、帯状ワークの切断端面同士を突合せた状態でその突合せ部近傍を上下方向から挾持する上部クランプ21a及び下部クランプ21bから成るクランプ機構21と、帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接用トーチを備えた溶接装置22と、帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチで配置されて帯状ワークの各パイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される複数本の切断用位置決めピン23aから成る切断用位置決め機構23と、同じく帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチで配置されて帯状ワークの各パイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される複数本の突合せ用位置決めピン24aから成る突合せ用位置決め機構24等を備えており、帯状ワークの切断時にそのパイロット孔を切断用位置決め機構23の切断用位置決めピン23aに嵌め込み、又、帯状ワークの突合せ時にそのパイロット孔を突合せ用位置決め機構24の突合せ用位置決めピン24aに嵌め込むことによって、帯状ワークの位置決めを正確に行えるようになっている。
【0011】
その結果、この突合せ接合装置を用いれば、リードフレームのようにプレス加工等が施された帯状ワークであっても、切断装置20に設けた切断用位置決め機構23とクランプ機構21に設けた突合せ用位置決め機構24とによって、帯状ワークの切断と切断した帯状ワークの突合せ等を夫々正確に行うことができ、接合された帯状ワークもその寸法精度が高精度に保たれることになる。
【0012】
然し乍ら、上述した帯状ワークの突合せ接合装置に於いても、未だ解決すべき問題点が残されており、その中でも切断装置20部分に幾つかの問題がある。
【0013】
即ち、従来の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置20は、図15に示す如く、帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチで配設された左右の下刃25aを備えた雌型25と、雌型25に形成した平面形状凸形の挿入穴25b内に上下動自在に挿入され、左右の下刃25aとの協働作用により帯状ワークの不良部分近傍を幅方向に沿って切断する左右の上刃26aを備えた雄型26と、雄型26を上下動させる流体圧シリンダ27とから構成されており、切断処理する帯状ワークを左右の下刃25aと左右の上刃26aとの間に挿入し、雄型26を流体圧シリンダ27により上下動させることによって、左右の下刃25aと左右の上刃26aとで帯状ワークを幅方向に沿って切断するようになっている。
【0014】
ところで、切断装置20を長期間使用していると、特に、雌型25の左右の下刃25aのエッジ部分が摩耗、損傷、変形したりすることがあり、この場合には、切れ味が悪くなって帯状ワークの切断を正確且つ良好に行えなくなり、左右の下刃25aを新しい下刃25aと交換しなければならない。
しかし、従来の切断装置20に於いては、左右の下刃25aが雌型25の挿入穴25bの内周縁部に雌型25と一体的に形成されているため、左右の下刃25aを交換するには、雌型25全体を交換しなければならず、雌型25の取り外しや取り付けに極めて手数が掛かるうえ、経済性に劣ると云う問題があった。特に、プレスラインやメッキライン等が複数列並んだ状態で帯状ワークが加工処理されている場合には、一台の突合せ接合装置を各ライン上へ移動させ、一台の突合せ接合装置で各ライン上の帯状ワークの切断や突合せ溶接を行うようにしているため、切断装置20等の使用回数が大幅に増え、左右の下刃25a等がより短期間で摩耗、損傷、変形したりすることになり、前記問題がより助長されることになる。
【0015】
又、従来の切断装置20に於いては、帯状ワークの切断時に雌型25に設けた切断用位置決め機構23の切断用位置決めピン23aに帯状ワークのパイロット孔を嵌め込んで位置決めするようにしているが、帯状ワークの切断後に帯状ワークを切断用位置決めピン23aから引き抜くときに極めて引き抜き難く、取扱性や作業性に劣ると云う問題があった。特に、切断用位置決め機構23は、帯状ワークの位置決めを正確に行えるように帯状ワークのパイロット孔と切断用位置決め用ピン23aとの嵌め合い公差を小さく設定しているため、前記問題がより一層顕著に現れることになる。然も、厚みの極めて薄い帯状ワークを切断用位置決めピン23aから無理に引き抜いたりした場合、帯状ワークが部分的に変形してしまい、パイロット孔のピッチに狂いが生じると云う問題があった。この帯状ワークを後続の加工工程(ボンディング工程等)へ送り込んだ場合には、帯状ワークの送りが不良となったり、位置決め精度が悪くなったりする等、様々な不都合を生じることになる。
【0016】
更に、従来の切断装置20に於いては、雌型25に設けた切断用位置決め機構23の各切断用位置決めピン23aを全て同一ピッチで配置しているため、パイロット孔のピッチが全て同じ帯状ワークしか取り扱うことができないと云う問題があった。若し、パイロット孔のピッチが異なる別の帯状ワークを突合せ溶接する場合には、別の雌型25と交換しなければならず、取り換えに極めて手数が掛かるうえ、別の雌型25を用意しておかなければならないためにコストの高騰を招くと云う問題があった。
【特許文献1】特開平11−347792号公報
【特許文献2】特開2001−47281号公報
【特許文献3】特開2004−283866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、リードフレームのようにピッチの異なるパイロット孔を夫々等間隔毎に形成した数種類の帯状ワークに対応することができ、各帯状ワークを幅方向に沿って正確且つ容易に切断することができると共に、取扱性や作業性、経済性等に優れた帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、位置決め用のパイロット孔を等間隔毎に形成した帯状ワークを切断装置により幅方向に沿って切断し、切断した二つの帯状ワークの切断端面同士を突合せ固定した後、両帯状ワークの突合せ部を溶接装置により突合せ溶接して接合するようにした帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置に於いて、前記切断装置は、溝状の挿入穴を上下方向へ貫通状に形成した雌型本体と、雌型本体の挿入穴の内周縁部に対向状態で且つ着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃と、雌型本体の挿入穴内に上下動自在に挿入され、左右の切断下刃との協働作用により帯状ワークを幅方向に沿って切断する左右の切断上刃を備えた雄型とから成り、前記左右の切断下刃は、何れも長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃に形成されていると共に、各切断刃が雄型の左右の切断上刃に夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体に着脱自在に取り付けられる構成としたことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項2の発明は、雌型本体が、ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークを切断する際に、各帯状ワークを夫々位置決めする切断用位置決め機構を備えており、当該切断用位置決め機構は、各帯状ワークのパイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピンを複数列配置して成り、各列の切断用位置決めピンを各帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置したことに特徴がある。
【0020】
本発明の請求項3の発明は、切断用位置決め機構が、雌型本体の左右の切断下刃近傍位置に着脱自在に取り付けられ、ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークのパイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピンを複数列配置して成るピン用位置決め板を備えていることに特徴がある。
【0021】
本発明の請求項4の発明は、雌型本体が、帯状ワークの切断終了後に切断用位置決めピンに嵌合された帯状ワークを切断用位置決めピンに沿って移動させて切断用位置決めピンから押し出す払出し機構を備えていることに特徴がある。
【0022】
本発明の請求項5の発明は、払出し機構が、切断用位置決めピンに沿って上下動自在に配設され、切断用位置決めピンに嵌合された帯状ワークの裏面側に当接して帯状ワークの切断用位置決めピンに嵌合された部分全域を押し上げる昇降プレートと、昇降プレートを切断用位置決めピンに沿って上下動させる駆動部とから成り、前記昇降プレートを駆動部により切断用位置決めピンの先端側へ移動させて切断用位置決めピンに嵌合されている帯状ワークを切断用位置決めピンから押し出すようにしたことに特徴がある。
【0023】
本発明の請求項6の発明は、雄型が、帯状ワークの切断時に帯状ワークを雌型本体側へ押え付けると共に、左右の切断上刃及び左右の切断下刃を覆い隠すワーク押え機構を備えていることに特徴がある。
【0024】
本発明の請求項7の発明は、ワーク押え機構が、雄型の左右の切断上刃部分に昇降自在に被せられ、下方が開放されたボックス状の材料押えと、左右の切断上刃が材料押えにより隠されるように材料押えを下方へ附勢する弾性体とから成り、雄型が下降したときに材料押えの下端面が雌型本体の上面に配置した帯状ワークの上面へ弾性的に当接し、材料押えにより帯状ワークを雌型本体の上面側へ押圧固定すると共に、左右の切断上刃及び左右の切断下刃を覆い隠すように構成されていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1の切断装置は、左右の切断上刃との協働作用により帯状ワークを幅方向に沿って切断する左右の切断下刃を角柱形状に形成し、当該左右の切断下刃を雌型本体に着脱自在に取り付ける構成としているため、切断装置の長期間の使用により左右の切断下刃が摩耗、損傷、変形したりした場合、左右の切断下刃のみを新しい切断下刃と交換するだけで再度使用することができる。その結果、本発明の請求項1の切断装置は、従来の切断装置のように雌型全体を交換したりする必要もなく、取り換えを簡単且つ迅速に行えて取扱性及び作業性に優れていると共に、経済性にも優れたものとなる。
又、本発明の請求項1の切断装置は、角柱形状に形成した左右の切断下刃の長手方向の稜線部四個所を全て切断刃に形成し、左右の切断下刃を各切断刃が雄型の左右の切断上刃に夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体に着脱自在に取り付けられる構成としているため、左右の切断下刃の向きを変えることによって、左右の切断下刃の四個所の切断刃を全て使用することができ、切断下刃自体の交換回数が少なくて済み、より一層コストの削減を図れる。
【0026】
本発明の請求項2乃至請求項7の切断装置は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
即ち、本発明の請求項2の切断装置は、ピッチの異なるパイロット孔を夫々形成した数種類の帯状ワークを位置決めする切断用位置決め機構を備えており、当該切断用位置決め機構が、各帯状ワークのパイロット孔に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピンを複数列配置して成り、各列の切断用位置決めピンを各帯状ワークのパイロット孔のピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置しているため、パイロット孔のピッチが異なる数種類の帯状ワークを切断する際に各帯状ワークを所定の位置に位置決めすることができ、数種類の帯状ワークの切断を正確に簡単且つ容易に行える。
【0027】
本発明の請求項3の発明は、切断用位置決め機構が、雌型本体に着脱自在に取り付けられて切断用位置決めピンを複数列配置して成るピン用位置決め板を備えているため、ピン用位置決め板を別のピン用位置決め板と交換することによって、更に別の数種類の帯状ワークを位置決めして切断することができる。その結果、本発明の請求項3の切断装置は、ピン用位置決め板を交換するだけで、パイロット孔のピッチが異なるあらゆる帯状ワークに対応させることができるうえ、従来の切断装置のように別の種類の帯状ワークを位置決めして切断する際に雌型全体を別の雌型と交換したりする必要もなく、取り換えを簡単且つ迅速に行えて取扱性及び作業性に優れていると共に、経済性にも優れたものとなる。
【0028】
本発明の請求項4の切断装置は、雌型本体が、帯状ワークの切断終了後に切断用位置決めピンに嵌合されている帯状ワークを切断用位置決めピンに沿って移動させて切断用位置決めピンから押し出す払出し機構を備えているため、帯状ワークのパイロット孔が複数本の切断用位置決めピンに嵌合されていても、帯状ワークを切断用位置決めピンから簡単且つ容易に引き抜くことができ、取扱性や作業性に優れたものとになる。然も、帯状ワークを切断用位置決めピンから無理に引き抜いたりすることがないため、帯状ワークの部分的な変形を防止することができ、帯状ワークのパイロット孔のピッチに狂いが生じることもない。
【0029】
本発明の請求項5の切断装置は、払出し機構が、切断用位置決めピンに嵌合された帯状ワークの裏面側に当接して帯状ワークの切断用位置決めピンに嵌合された部分全域を押し上げる昇降プレートと、昇降プレートを切断用位置決めピンに沿って上下動させる駆動部とから構成されているため、帯状ワークを切断用位置決めピンからより一層簡単且つ容易に引き抜くことができる。その結果、帯状ワークのパイロット孔と切断用位置決め用ピンとの嵌め合い公差が小さく設定されていても、帯状ワークを切断用位置決めピンから円滑且つスムースに引き抜くことができる。
【0030】
本発明の請求項6の切断装置は、雄型が、帯状ワークの切断時に帯状ワークを雌型本体側へ押え付けると共に、左右の切断上刃及び左右の切断下刃を覆い隠すワーク押え機構を備えているため、帯状ワークの切断をより安全に正確且つ確実に行える。
【0031】
本発明の請求項7の切断装置は、ワーク押え機構が、雄型の左右の切断上刃部分に昇降自在に被せられた下方が開放されたボックス状の材料押えと、左右の切断上刃が材料押えにより隠されるように材料押えを下方へ附勢する弾性体とから成るため、帯状ワークの切断時以外には左右の切断上刃が材料押えにより覆い隠されることになり、帯状ワークを左右の切断上刃と左右の切断下刃との間に挿入する際に、作業員が左右の切断上刃で怪我をすると云うことがなく、より安全性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る切断装置1を用いた帯状ワークWの突合せ接合装置を示し、当該帯状ワークWの突合せ接合装置は、銅やステンレス等の金属薄板製の帯状ワークWからリードフレームやコネクター、シャーシ類等の各種製品を連続的に生産するプレスラインやメッキライン、組立ライン等に移動自在に設置されており、リードフレームのように位置決め用のパイロット孔Waを等間隔毎に形成した先行の帯状ワークWの終端に同じく位置決め用のパイロット孔Waを等間隔毎に形成した後行の帯状ワークWの始端を突合せ溶接により接合し、後行の帯状ワークWを先行の帯状ワークWに引き続いてライン上へ供給できるようにしたり、或いは位置決め用のパイロット孔Waを等間隔毎に形成した帯状ワークWの不良部分を切断除去し、不良部分を除去した帯状ワークWの切断端面同士を突合せ溶接により接合し、接合した帯状ワークWを引き続きライン上へ供給できるようにしたものである。
【0033】
即ち、前記帯状ワークWの突合せ接合装置は、図1に示す如く、帯状ワークWが支持載置される水平姿勢の作業用テーブル2を備えたキャビネット本体3と、先行の帯状ワークWの終端部、後行の帯状ワークWの始端部、帯状ワークWの不良部分近傍を夫々幅方向に沿って切断する切断装置1と、二つの帯状ワークWの切断端面同士を突合せた状態でその突合せ部近傍を上下方向から挾持する上部クランプ及び下部クランプから成るクランプ機構4と、下部クランプに設けられ、二つの帯状ワークWの突合せ時に両帯状ワークWのパイロット孔Waに着脱自在に嵌合されて両帯状ワークWを突合せた状態で位置決めする複数本の突合せ用位置決めピンから成る突合せ用位置決め機構5と、両帯状ワークWの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置6(GTA溶接装置やプラズマ溶接装置、レーザー溶接装置)と、帯状ワークWの溶接部を圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化する圧延装置7等から構成されており、先行の帯状ワークWの終端部の切断、後行の帯状ワークWの始端部の切断、帯状ワークWの不良部分の切断除去、切断された帯状ワークWの突合せ溶接、帯状ワークWの溶接部の圧延加工等を夫々順序立てて行えるようになっている。
【0034】
そして、この帯状ワークWの突合せ接合装置は、例えば、帯状ワークWのプレスラインやメッキライン、組立ライン等を並列状に並べた工場内に移動自在に設置されており、突合せ接合装置を各ライン上へ移動させることによって、一台の突合せ接合装置で各ライン上を流れている帯状ワークWの切断加工や突合せ溶接等を行えるようになっている。
尚、切断装置1以外のキャビネット本体3、クランプ機構4、突合せ用位置決め機構5、溶接装置6及び圧延装置7等は、従来公知のものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0035】
本発明の実施の形態に係る切断装置1は、図2乃至図9に示す如く、作業用テーブル2の側方位置に前後方向へ移動自在に配設した移動フレーム(図示省略)に取付け台8を介して固定され、溝状の挿入穴9aを上下方向へ貫通状に形成した雌型本体9と、雌型本体9の挿入穴9aの内周縁部に対向状態で且つ着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃10と、雌型本体9の挿入穴9a内に上下動自在に挿入され、左右の切断下刃10との協働作用により帯状ワークWを幅方向に沿って切断する左右の切断上刃11aを備えた雄型11と、取付け台8の下面側に固定され、雄型11を上下動させる流体圧シリンダ12と、帯状ワークWを幅方向に沿って切断する際に帯状ワークWを所定の位置に位置決めする切断用位置決め機構13と、帯状ワークWの切断終了後に帯状ワークWを切断用位置決め機構13から取り出す払出し機構14と、帯状ワークWの切断時に帯状ワークWを雌型本体9側へ押え付けると共に、左右の切断上刃11a及び左右の切断下刃10を覆い隠すワーク押え機構15等から構成されている。
【0036】
前記雌型本体9は、図3乃至図5に示す如く、冷間工具鋼等の金属材により長方形のブロック状に形成されており、その中央部には、雄型11が上下動自在に挿入される平面形状凸形の溝状の挿入穴9aが雌型本体9の長手方向に沿う姿勢で上下方向へ貫通状に形成されている。
又、雌型本体9の上面には、左右の切断下刃10、切断用位置決め機構13及び払出し機構14の昇降プレート14′を収容するための凹部9bが挿入穴9aの幅の狭い部分に跨るようにして雌型本体9の幅方向に沿って形成されている。
更に、雌型本体9の左右の凹部9bに対向する裏面側には、払出し機構14の駆動部14″を構成するピストン14b及びロッド14cが挿入されるピストン穴9cが貫通状に形成されている。
【0037】
前記左右の切断下刃10は、図3に示す如く、高速度工具鋼等の金属材により角柱形状に形成されており、何れもその長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃10aに形成されていると共に、各切断刃10aが雄型11の左右の切断上刃11aに夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体9に着脱自在に取り付けられるように構成されている。
即ち、左右の切断下刃10は、その両端部に取付けボルト16が挿通される両面座ぐり穴付きの貫通状のボルト穴10bを備えており、左右の切断下刃10の上下又は左右の切断下刃10の両端を引っ繰り返してその向きを変え、この状態で左右の切断下刃10をボルト穴10bに平行な側面が雌型本体9の挿入穴9aの幅の狭い部分の内面と面一になるように雌型本体9の左右の凹部9bに夫々嵌め込み、左右の切断下刃10の両端部を取付けボルト16で雌型本体9側へ固定することによって、左右の切断下刃10の各切断刃10aが雄型11の左右の切断上刃11aに夫々対向できるように雌型本体9に着脱自在に取り付けられる。
この左右の切断下刃10の長さは、雌型本体9の凹部9bの幅(雌型本体9の長手方向の幅)と同一に、又、左右の切断下刃10の高さ(ボルト穴10bに沿う高さ)は、雌型本体9の凹部9bの深さと同一に夫々設定されている。
【0038】
前記雄型11は、図3乃至図6に示す如く、高速度工具鋼等の金属材により平面形状凸形のブロック状に形成されており、幅の狭い突起部11bの下面両側縁部には、左右の切断上刃11aが一体的に形成されている。この雄型11は、その平面形状が雌型本体9の挿入穴9aの平面形状と同じ形状及び同じ大きさに形成されており、雌型本体9の挿入穴9aに挿入したときに左右の切断上刃11aが雌型本体9に取り付けた左右の切断下刃10に夫々摺接するようになっている。
又、雄型11の左右の切断上刃11aは、その刃先が傾斜状に形成されており、左右の切断下刃10との協働作用により帯状ワークWを切断する際に切断装置1に大きな負荷が掛からないように工夫されている。
更に、雄型11には、グリースニップル17が挿着されるグリース供給孔11cが形成されていると共に、雄型11の外面には、グリース供給孔11cに連通するX形状のグリース溝11dが形成されている。
【0039】
そして、雄型11は、雌型本体9の挿入穴9aに上下動自在に挿入されており、取付け台8の下面側に固定した流体圧シリンダ12によって、左右の切断上刃11aが左右の切断下刃10よりも上方に位置して左右の切断上刃11aと左右の切断下刃10との間に帯状ワークWを挿入できる待機位置(図4及び図5に示す位置)と、左右の切断上刃11aが雌型本体9内に位置して帯状ワークWを切断する切断位置(図11に示す位置)とに亘って昇降自在に構成されている。
【0040】
前記切断用位置決め機構13は、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した数種類の帯状ワークWを切断する際に、各帯状ワークWを所定の位置に位置決めするものであり、雌型本体9の左右の切断下刃10近傍位置に夫々設けられている。
即ち、左右の切断用位置決め機構13は、図3乃至図6に示す如く、炭素工具鋼等の金属材より長方形状に形成され、雌型本体9の左右の凹部9bに左右の切断下刃10に隣接する状態でボルトにより着脱自在に取り付けられた左右のピン用位置決め板13′と、左右のピン用位置決め板13′に上方へ突出する状態で複数列配置され、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した数種類の帯状ワークWの各パイロット孔Waに夫々着脱自在に嵌合される複数本の切断用位置決めピン13″とから夫々構成されており、各列の切断用位置決めピン13″は、各帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置されている。
【0041】
この実施の形態に於いては、左右の切断用位置決め機構13は、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した三種類の帯状ワークWの位置決めを行えるように切断用位置決めピン13″がピン用位置決め板13′に複数列配置されており、ピン用位置決め板13′の一端部(図3に示すピン用位置決め板13′の右端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″で図13(A)に示す種類の帯状ワークWの位置決めを行い、ピン用位置決め板13′の中間部(図3に示すピン用位置決め板13′の中間部分)に位置する四つの切断用位置決めピン13″で図13(B)に示す別の種類の帯状ワークWの位置決めを行い、ピン用位置決め板13′の他端部(図3に示すピン用位置決め板13′の左端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″で更に別の種類の帯状ワークW(図示省略)の位置決めを行えるようになっている。
又、この実施の形態に於いては、ピン用位置決め板13′の一端部(図3に示すピン用位置決め板13′の右端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″は、図13(A)に示す種類の帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチの数倍のピッチで配置され、ピン用位置決め板13′の中間部(図3に示すピン用位置決め板13′の中間部分)に位置する四つの切断用位置決めピン13″は、図13(B)に示す別の種類の帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチの数倍のピッチで配置され、ピン用位置決め板13′の他端部(図3に示すピン用位置決め板13′の左端部分)に位置する二つの切断用位置決めピン13″は、更に別の種類の帯状ワークW(図示省略)の両側縁部に形成したパイロット孔Waのピッチ(間隔)と同一のピッチで配置されている。
更に、この実施の形態に於いては、各切断用位置決めピン13″の上端部は、各帯状ワークWのパイロット孔Waが切断用位置決めピン13″へ簡単且つ容易に嵌合されるように先端が半球状となった先細り状に形成されている。
【0042】
そして、切断用位置決め機構13には、更にピッチの異なる切断用位置決めピン13″を複数列配置して成るピン用位置決め板13′が数種類用意されており、切断処理する帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチに応じて取り替えられるようになっている。
【0043】
尚、各切断用位置決めピン13″のピン用位置決め板13′に対する位置及び各切断用位置決めピン13″の左右の切断下刃10に対する位置は、左右の切断下刃10及び左右の切断上刃11aにより帯状ワークWを幅方向に沿って切断したときに帯状ワークWの一部分が帯状ワークW自体から切り離されないように設定されている。
又、左右のピン用位置決め板13′の厚みは、雌型本体9の凹部9bの深さの1/2に、左右のピン用位置決め板13′の長さは、雌型本体9の凹部9bの幅(雌型本体9の長手方向の幅)と同一に、左右のピン用位置決め板13′の幅は、左右のピン用位置決め板13′が左右の切断下刃10と一緒に雌型本体9の左右の凹部9bに丁度収まるように夫々設定されている。
【0044】
前記払出し機構14は、帯状ワークWが切断用位置決め機構13により位置決めされて切断装置1により切断された後、当該帯状ワークWを水平姿勢で切断用位置決めピン13″に沿って上方へ持ち上げて切断用位置決めピン13″から引き抜くものであり、図4及び図5に示す如く、左右のピン用位置決め板13′の上面に重ね合わされて切断用位置決めピン13″に沿って上下動自在に配設され、切断用位置決めピン13″に嵌合された帯状ワークWの裏面側に当接して帯状ワークWの切断用位置決めピン13″に嵌合された部分全域を押し上げる左右の昇降プレート14′と、雌型本体9に設けられ、左右の昇降プレート14′を切断用位置決めピン13″に沿って上下動させる駆動部14″とから構成されている。
【0045】
具体的には、左右の昇降プレート14′は、図3に示す如く、冷間工具鋼等の金属材により左右のピン用位置決め板13′と同じ形状の長方形状に夫々形成されており、当該左右の昇降プレート14′には、左右のピン用位置決め板13′の上面に重ね合わせたときに切断用位置決めピン13″が遊嵌状態で挿通される複数の貫通孔14aが形成されている。この貫通孔14aは、昇降プレート14′に切断用位置決めピン13″の数と同じ数で且つ切断用位置決めピン13″と同じ配列で形成されている。
又、左右の昇降プレート14′は、雌型本体9の凹部9b内に左右のピン用位置決め板13′の上面に重ね合わされた状態で収容され、左右の切断下刃10の上面と面一になって切断用位置決めピン13″の上端よりも下方に位置する下降位置(図8及び図9に示す位置)と、切断用位置決めピン13″の上端と面一又は切断用位置決めピン13″の上端よりも上方に位置して帯状ワークWを切断用位置決めピン13″から押し出す上昇位置(図12に示す位置)とに亘って上下動できるようになっている。
尚、左右の昇降プレート14′の厚みは、雌型本体9の凹部9bの深さの1/2に、左右の昇降プレート14′の長さは、左右のピン用位置決め板13′の長さと同一に、左右の昇降プレート14′の幅は、左右のピン用位置決め板13′の幅と同一に夫々設定されている。
【0046】
一方、駆動部14″は、図8及び図9に示す如く、雌型本体9のピストン穴9cの大径部分にOリング14fを介して上下方向へ摺動自在に嵌合されたピストン14bと、ピストン14bの上面に連設され、ピストン穴9cの小径部分及びピン用位置決め板13′に夫々挿通されて昇降プレート14′にボルト14gを介して連結されたロッド14cと、ピストン穴9cの大径部分に配設され、ピストン14b及びロッド14cを下方へ附勢して昇降プレート14′を雌型本体9の凹部9b内(下降位置)に位置させる復帰用の圧縮スプリング14dと、ピストン穴9cの大径部分に螺着され、ピストン14b等を抜け止めすると共に、ピストン14bの下面側へ作動流体(圧縮空気)を供給する作動流体用通路14e′を形成したプラグ14eとから構成されており、作動流体供給源(図示省略)からの作動流体をピストン穴9cへ供給すると、ピストン14b、ロッド14c及び昇降プレート14′が圧縮スプリング14dの弾性力に抗して上昇し、昇降プレート14′が切断用位置決めピン13″の上端と面一又は切断用位置決めピン13″の上端よりも上方位置になる上昇位置(図12に示す位置)になり、又、作動流体の供給を停止すると、圧縮スプリング14dの弾性力によりピストン14b、ロッド14c及び昇降プレート14′が下降し、昇降プレート14′が雌型本体9の凹部9b内に収納されて切断用位置決めピン13″の上端よりも下方に位置する下降位置(図8及び図9に示す位置)になるように制御されている。
【0047】
前記ワーク押え機構15は、図3及び図7に示す如く、雄型11の突起部11bの上面に立設した支持軸15aと、支持軸15aに上下動自在に支持され、雄型11の突起部11bを上方から覆う下方が開放されたアルミ合金等の金属材から成るボックス状の材料押え15bと、支持軸15aの上端部と材料押え15bとの間に介設され、材料押え15bを下方へ附勢する弾性体15c(圧縮スプリング)とから構成されており、雄型11が待機位置から切断位置へ下降したときに材料押え15bの下端面が雌型本体9の上面に配置した帯状ワークWの上面へ弾性的に当接し、材料押え15bにより帯状ワークWを雌型本体9の上面側へ押圧固定すると共に、左右の切断上刃11a及び左右の切断下刃10を覆い隠し、又、雄型11が切断位置から待機位置へ上昇したときに材料押え15bが弾性体15c(圧縮スプリング)により下方へ附勢されて左右の切断上刃11aを略覆い隠すようになっている。
【0048】
次に、上述した突合せ接合装置の切断装置1を用いてリードフレーム等の位置決め用のパイロット孔Waを形成した先行の帯状ワークWの終端部と同じく先行の帯状ワークWと同じ形状の後行の帯状ワークWの始端部とを幅方向に沿って切断する場合について説明する。
【0049】
プレスラインやメッキライン等のライン上を流れている先行の帯状ワークWが残り少なくなると、先行の帯状ワークWの終端部を切断用位置決め機構13により位置決めし、この状態で先行の帯状ワークWの終端部を切断上刃11a及び切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断する。
【0050】
即ち、雌型本体9と待機位置にある雄型11との間に先行の帯状ワークWの終端部を挿入し、先行の帯状ワークWの終端部が右側の切断上刃11aと右側の切断下刃10との間に位置するように帯状ワークWのパイロット孔Waの一部を右側の切断用位置決め機構13の切断用位置決めピン13″の何れかに嵌め込む(図10参照)。これによって、先行の帯状ワークWの終端部は、右側の切断用位置決め機構13により雌型本体9上で位置決めされる。このとき、切断装置1は、待機位置にある雄型11の左右の切断上刃11aがワーク押え機構15の材料押え15bにより略覆い隠されているため、作業員が左右の切断上刃11aで怪我をすると云うことがなく、位置決め作業を安全に行える。
【0051】
先行の帯状ワークWの終端部が雌型本体9上で位置決めされたら、この状態で待機位置にある雄型11を流体圧シリンダ12により切断位置に下降させる(図11参照)。そうすると、先行の帯状ワークWの終端部が右側の切断上刃11a及び右側の切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断される。このとき、ワーク押え機構15の材料押え15bの下端面が雌型本体9の上面に配置した帯状ワークWの上面へ弾性的に当接し、材料押え15bにより帯状ワークWを雌型本体9の上面側へ押圧固定すると共に、材料押え15bが左右の切断下刃10及び左右の切断上刃11aを略覆い隠しているため、帯状ワークWの切断をより安全に正確且つ確実に行えることになる。
【0052】
先行の帯状ワークWの終端部が幅方向に沿って切断されると、右側の払出し機構14を手動により又は自動により作動させる。そうすると、右側の払出し機構14の昇降プレート14′が下降位置から上昇位置へ上昇し、帯状ワークWの終端部を水平姿勢で切断用位置決めピン13″に沿って上方へ持ち上げ、切断用位置決めピン13″から引き抜く(図12参照)。このとき、昇降プレート14′が、切断用位置決めピン13″に嵌合された帯状ワークWの裏面側に当接して帯状ワークWの切断用位置決めピン13″に嵌合された部分全域を押し上げているため、帯状ワークWの複数のパイロット孔Waを複数本の切断用位置決めピン13″に嵌め込んでいても、帯状ワークWを変形させることなく、切断用位置決めピン13″から簡単且つ容易に引き抜くことができる。
【0053】
先行の帯状ワークWの終端部が切断用位置決めピン13″から引き抜かれたら、引き続き後行の帯状ワークWの始端部を切断用位置決め機構13により位置決めし、この状態で後行の帯状ワークWの始端部を切断上刃11a及び切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断する。
【0054】
即ち、雌型本体9と待機位置にある雄型11との間に後行の帯状ワークWの始端部を挿入し、後行の帯状ワークWの始端部が左側の切断上刃11aと左側の切断下刃10との間に位置するように帯状ワークWのパイロット孔Waの一部を左側の切断用位置決め機構13の切断用位置決めピン13″の何れかに嵌め込む。これによって、帯状ワークWの始端部は、左側の切断用位置決め機構13により雌型本体9上で位置決めされる。このときも、切断装置1は、待機位置にある雄型11の左右の切断上刃11aがワーク押え機構15の材料押え15bにより略覆い隠されているため、作業員が左右の切断上刃11aで怪我をすると云うことがなく、位置決め作業を安全に行える。
【0055】
後行の帯状ワークWの始端部が雌型本体9上で位置決めされたら、この状態で待機位置にある雄型11を流体圧シリンダ12により切断位置に下降させる。そうすると、後行の帯状ワークWの始端部が左側の切断上刃11a及び左側の切断下刃10により幅方向に沿って一直線状に切断される。このときも、ワーク押え機構15の材料押え15bの下端面が雌型本体9の上面に配置した帯状ワークWの上面へ弾性的に当接し、材料押え15bにより帯状ワークWを雌型本体9の上面側へ押圧固定すると共に、材料押え15bが左右の切断下刃10及び左右の切断上刃11aを略覆い隠しているため、帯状ワークWの切断をより安全に正確且つ確実に行えることになる。
【0056】
後行の帯状ワークWの始端部が幅方向に沿って切断されると、左側の払出し機構14を手動により又は自動により作動させる。そうすると、左側の払出し機構14の昇降プレート14′が下降位置から上昇位置へ上昇し、後行の帯状ワークWの始端部を水平姿勢で切断用位置決めピン13″に沿って上方へ持ち上げ、切断用位置決めピン13″から引き抜く。このとき、昇降プレート14′が、切断用位置決めピン13″に嵌合された帯状ワークWの裏面側に当接して帯状ワークWの切断用位置決めピン13″に嵌合された部分全域を押し上げているため、帯状ワークWの複数のパイロット孔Waを複数本の切断用位置決めピン13″に嵌め込んでいても、帯状ワークWを変形させることなく、切断用位置決めピン13″から簡単且つ容易に引き抜くことができる。
【0057】
そして、切断装置1の長期間の使用により左右の切断下刃10に形成した四個所の切断刃10aのうちの一個所が摩耗、損傷、変形したりした場合、左右の切断下刃10を雌型本体9から取り外し、左右の切断下刃10の向きを変えて雌型本体9に取り付ける。これによって、左右の切断下刃10の摩耗、損傷、変形していない個所の切断刃10aが左右の切断上刃11aに対向することになり、引き続き左右の切断下刃10を使用することができる。
又、左右の切断下刃10の四個所の切断刃10aが全て摩耗、損傷、変形した場合には、左右の切断下刃10を新しいものと交換し、これを雌型本体9に取り付ける。
更に、雌型本体9に設けた切断用位置決め機構13の切断用位置決めピン13″のピッチと異なるパイロット孔Waを形成した帯状ワークWを切断する際には、切断用位置決め機構13を帯状ワークWのパイロット孔Waのピッチに合致する切断用位置決めピン13″を備えたピン用位置決め板13′と交換することによって、帯状ワークWを切断処理することができる。
【0058】
このように、上述した構成の切断装置1は、左右の切断下刃10を角柱形状に形成し、これらを雌型本体9に着脱自在に取り付ける構成としているため、切断装置1の長期間の使用により左右の切断下刃10が摩耗、損傷、変形したりした場合、左右の切断下刃10のみを新しい切断下刃10と交換するだけで再度使用することができる。その結果、この切断装置1は、従来の切断装置のように雌型全体を交換したりする必要もなく、取り換えを簡単且つ迅速に行えて取扱性及び作業性に優れていると共に、経済性にも優れたものとなる。
又、この切断装置1は、角柱形状に形成した左右の切断下刃10の長手方向の稜線部四個所を全て切断刃10aに形成し、左右の切断下刃10を各切断刃10aが雄型11の左右の切断上刃11aに夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体9に着脱自在に取り付けられる構成としているため、左右の切断下刃10の向きを変えることによって、左右の切断下刃10の四個所の切断刃10aを全て使用することができ、切断下刃10自体の交換回数が少なくて済み、より一層コストの削減を図れる。
更に、この切断装置1は、ピッチの異なるパイロット孔Waを夫々形成した数種類の帯状ワークWを位置決めする切断用位置決め機構13を備えているため、パイロット孔Waのピッチが異なる数種類の帯状ワークWの切断時に各帯状ワークWを所定の位置に位置決めすることができ、数種類の帯状ワークWの切断を正確に簡単且つ容易に行える。
加えて、この切断装置1は、切断用位置決め機構13が雌型本体9に着脱自在に取り付けられて切断用位置決めピン13″を複数列配置して成るピン用位置決め板13′を備えているため、ピン用位置決め板13′を別のピン用位置決め板13′と交換することによって、更に別の数種類の帯状ワークWを位置決めして切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る切断装置を用いた帯状ワークの突合せ接合装置の概略正面図である。
【図2】切断装置の斜視図である。
【図3】切断装置の分解斜視図である。
【図4】切断装置の正面図である。
【図5】切断装置の側面図である。
【図6】切断装置の平面図である。
【図7】図4のイ−イ線断面図である。
【図8】図4のロ−ロ線断面図である。
【図9】図5のハ−ハ線断面図である。
【図10】帯状ワークを切断用位置決め機構で位置決めした状態の切断装置の一部省略平面図である。
【図11】帯状ワークを切断上刃と切断下刃で切断した状態の切断装置の縦断正面図である。
【図12】切断された帯状ワークを払出し機構により切断用位置決めピンから引き抜いた状態の切断装置の縦断正面図である。
【図13】帯状ワークの要部の平面図である。
【図14】従来の切断装置を用いた帯状ワークの突合せ接合装置の要部を示す縦断正面図である。
【図15】従来の切断装置の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1は切断装置、9は雌型本体、9aは挿入穴、10は切断下刃、10aは切断刃、11は雄型、11aは切断上刃、13は切断用位置決め機構、13′はピン用位置決め板、13″は切断用位置決めピン、14は払出し機構、14′は昇降プレート、14″は駆動部、15はワーク押え機構、15bは材料押え、15cは弾性体、Wは帯状ワーク、Waはパイロット孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決め用のパイロット孔(Wa)を等間隔毎に形成した帯状ワーク(W)を切断装置(1)により幅方向に沿って切断し、切断した二つの帯状ワーク(W)の切断端面同士を突合せ固定した後、両帯状ワーク(W)の突合せ部を溶接装置により突合せ溶接して接合するようにした帯状ワーク(W)の突合せ接合装置に用いる切断装置(1)に於いて、前記切断装置(1)は、溝状の挿入穴(9a)を上下方向へ貫通状に形成した雌型本体(9)と、雌型本体(9)の挿入穴(9a)の内周縁部に対向状態で且つ着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃(10)と、雌型本体(9)の挿入穴(9a)内に上下動自在に挿入され、左右の切断下刃(10)との協働作用により帯状ワーク(W)を幅方向に沿って切断する左右の切断上刃(11a)を備えた雄型(11)とから成り、前記左右の切断下刃(10)は、何れも長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃(10a)に形成されていると共に、各切断刃(10a)が雄型(11)の左右の切断上刃(11a)に夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体(9)に着脱自在に取り付けられる構成としたことを特徴とする帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項2】
雌型本体(9)は、ピッチの異なるパイロット孔(Wa)を夫々形成した数種類の帯状ワーク(W)を切断する際に、各帯状ワーク(W)を夫々位置決めする切断用位置決め機構(13)を備えており、当該切断用位置決め機構(13)は、各帯状ワーク(W)のパイロット孔(Wa)に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピン(13″)を複数列配置して成り、各列の切断用位置決めピン(13″)を各帯状ワーク(W)のパイロット孔(Wa)のピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置したことを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項3】
切断用位置決め機構(13)は、雌型本体(9)の左右の切断下刃(10)近傍位置に着脱自在に取り付けられ、ピッチの異なるパイロット孔(Wa)を夫々形成した数種類の帯状ワーク(W)のパイロット孔(Wa)に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピン(13″)を複数列配置して成るピン用位置決め板(13′)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項4】
雌型本体(9)は、帯状ワーク(W)の切断終了後に切断用位置決めピン(13″)に嵌合された帯状ワーク(W)を切断用位置決めピン(13″)に沿って移動させて切断用位置決めピン(13″)から押し出す払出し機構(14)を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項5】
払出し機構(14)は、切断用位置決めピン(13″)に沿って上下動自在に配設され、切断用位置決めピン(13″)に嵌合された帯状ワーク(W)の裏面側に当接して帯状ワーク(W)の切断用位置決めピン(13″)に嵌合された部分全域を押し上げる昇降プレート(14′)と、昇降プレート(14′)を切断用位置決めピン(13″)に沿って上下動させる駆動部(14″)とから成り、前記昇降プレート(14′)を駆動部(14″)により切断用位置決めピン(13″)の先端側へ移動させて切断用位置決めピン(13″)に嵌合されている帯状ワーク(W)を切断用位置決めピン(13″)から押し出すようにしたことを特徴とする請求項4に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項6】
雄型(11)は、帯状ワーク(W)の切断時に帯状ワーク(W)を雌型本体(9)側へ押え付けると共に、左右の切断上刃(11a)及び左右の切断下刃(10)を覆い隠すワーク押え機構(15)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項7】
ワーク押え機構(15)は、雄型(11)の左右の切断上刃(11a)部分に昇降自在に被せられ、下方が開放されたボックス状の材料押え(15b)と、左右の切断上刃(11a)が材料押え(15b)により隠されるように材料押え(15b)を下方へ附勢する弾性体(15c)とから成り、雄型(11)が下降したときに材料押え(15b)の下端面が雌型本体(9)の上面に配置した帯状ワーク(W)の上面へ弾性的に当接し、材料押え(15b)により帯状ワーク(W)を雌型本体(9)の上面側へ押圧固定すると共に、左右の切断上刃(11a)及び左右の切断下刃(10)を覆い隠すように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項1】
位置決め用のパイロット孔(Wa)を等間隔毎に形成した帯状ワーク(W)を切断装置(1)により幅方向に沿って切断し、切断した二つの帯状ワーク(W)の切断端面同士を突合せ固定した後、両帯状ワーク(W)の突合せ部を溶接装置により突合せ溶接して接合するようにした帯状ワーク(W)の突合せ接合装置に用いる切断装置(1)に於いて、前記切断装置(1)は、溝状の挿入穴(9a)を上下方向へ貫通状に形成した雌型本体(9)と、雌型本体(9)の挿入穴(9a)の内周縁部に対向状態で且つ着脱自在に取り付けた角柱形状の左右の切断下刃(10)と、雌型本体(9)の挿入穴(9a)内に上下動自在に挿入され、左右の切断下刃(10)との協働作用により帯状ワーク(W)を幅方向に沿って切断する左右の切断上刃(11a)を備えた雄型(11)とから成り、前記左右の切断下刃(10)は、何れも長手方向の四個所の稜線部が全て切断刃(10a)に形成されていると共に、各切断刃(10a)が雄型(11)の左右の切断上刃(11a)に夫々対向できるようにその向きを変えて雌型本体(9)に着脱自在に取り付けられる構成としたことを特徴とする帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項2】
雌型本体(9)は、ピッチの異なるパイロット孔(Wa)を夫々形成した数種類の帯状ワーク(W)を切断する際に、各帯状ワーク(W)を夫々位置決めする切断用位置決め機構(13)を備えており、当該切断用位置決め機構(13)は、各帯状ワーク(W)のパイロット孔(Wa)に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピン(13″)を複数列配置して成り、各列の切断用位置決めピン(13″)を各帯状ワーク(W)のパイロット孔(Wa)のピッチと同一ピッチ又は数倍のピッチで夫々配置したことを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項3】
切断用位置決め機構(13)は、雌型本体(9)の左右の切断下刃(10)近傍位置に着脱自在に取り付けられ、ピッチの異なるパイロット孔(Wa)を夫々形成した数種類の帯状ワーク(W)のパイロット孔(Wa)に夫々着脱自在に嵌合される切断用位置決めピン(13″)を複数列配置して成るピン用位置決め板(13′)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項4】
雌型本体(9)は、帯状ワーク(W)の切断終了後に切断用位置決めピン(13″)に嵌合された帯状ワーク(W)を切断用位置決めピン(13″)に沿って移動させて切断用位置決めピン(13″)から押し出す払出し機構(14)を備えていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項5】
払出し機構(14)は、切断用位置決めピン(13″)に沿って上下動自在に配設され、切断用位置決めピン(13″)に嵌合された帯状ワーク(W)の裏面側に当接して帯状ワーク(W)の切断用位置決めピン(13″)に嵌合された部分全域を押し上げる昇降プレート(14′)と、昇降プレート(14′)を切断用位置決めピン(13″)に沿って上下動させる駆動部(14″)とから成り、前記昇降プレート(14′)を駆動部(14″)により切断用位置決めピン(13″)の先端側へ移動させて切断用位置決めピン(13″)に嵌合されている帯状ワーク(W)を切断用位置決めピン(13″)から押し出すようにしたことを特徴とする請求項4に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項6】
雄型(11)は、帯状ワーク(W)の切断時に帯状ワーク(W)を雌型本体(9)側へ押え付けると共に、左右の切断上刃(11a)及び左右の切断下刃(10)を覆い隠すワーク押え機構(15)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【請求項7】
ワーク押え機構(15)は、雄型(11)の左右の切断上刃(11a)部分に昇降自在に被せられ、下方が開放されたボックス状の材料押え(15b)と、左右の切断上刃(11a)が材料押え(15b)により隠されるように材料押え(15b)を下方へ附勢する弾性体(15c)とから成り、雄型(11)が下降したときに材料押え(15b)の下端面が雌型本体(9)の上面に配置した帯状ワーク(W)の上面へ弾性的に当接し、材料押え(15b)により帯状ワーク(W)を雌型本体(9)の上面側へ押圧固定すると共に、左右の切断上刃(11a)及び左右の切断下刃(10)を覆い隠すように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の帯状ワークの突合せ接合装置に用いる切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−113134(P2009−113134A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286854(P2007−286854)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(591286823)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(591286823)
【Fターム(参考)】
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