説明

幅木兼用床材

【課題】洗面所、トイレ、浴室に接する部屋等、病院、老人介護施設等常に清潔さが必要な建物、水を使ったり、ペットが糞尿を漏らしたときにもしみ込みにくく掃除しやすく、更に、床面から壁面にたち上がった端目にも埃が積もり難い衛生的な幅木兼用床材を提供する。
【解決手段】四方に返しのある嵌合をもち、裏面全面に化粧シートに達しない溝を長さ方向と幅方向に入れた木粉含有熱可塑性樹脂基材層に化粧シートを貼り合わせた床材において、該床材を壁面10に沿って立ち上げ、更に壁面10に沿って立ち上げた床材の端面に水平方向から地面方向に傾けた見切縁11を載せた幅木兼用床材13である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面に溝の入った床材から連続に幅木になるため洗面所、トイレ、浴室に接する部屋等、病院、老人介護施設等常に清潔さが必要な建物、水を使ったり、ペットが糞尿を漏らしたときにもしみ込みにくい掃除しやすい幅木兼用床材に関するものである。更に、床から壁にたち上がった端目にも埃が積もり難い衛生的な幅木兼用床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床材の基材に切り込みを入れて、不陸、音鳴り対策することは知られていたが壁まで同じ基材が立ち上っていなかった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、床材の裏面に切り込み(溝)を入れて壁に立ち上げて幅木にする方法は知られていたが、床材と幅木の間は、溶着していた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、遮水処理をするため床材を壁に立ち上げる方法も知られていたが床材と壁に立ち上る間を溶着していた(特許文献3)。
【0005】
また、床材を壁面に立ち上げると材料の上部の切り口が露出され意匠的に問題があり(例えば、特許文献2参照)、埃も積もりやすかった(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特許第3378299号公報(特開平06−336815)第2頁
【特許文献2】特開2000−136624号公報第2−3頁、第1図、第3図
【特許文献3】実開平05−21779号公報
【特許文献4】実登第2591107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、洗面所、トイレ、浴室に接する部屋等、病院、老人介護施設等常に清潔さが必要な建物、水を使ったり、ペットが糞尿を漏らしたときにもしみ込みにくい掃除しやすく、更に、床から壁にたち上がった端目にも埃が積もり難い衛生的な幅木兼用床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、四方に返しのある嵌合をもち、裏面全面に化粧シート12に達しない溝8を長さ方向と幅方向に入れた木粉含有熱可塑性樹脂基材層7に化粧シート12を貼り合わせた床材において、該床材を壁面10に沿って立ち上げた事を特徴とする幅木兼用床材である。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の、壁面10に沿って立ち上げた床材の端面に水平方向から地面方向に傾けた見切縁11を載せた事を特徴とする幅木兼用床材である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、四方に返しのある嵌合をもち、裏面全面に化粧シートに達しない溝を長さ方向と幅方向に入れた木粉含有熱可塑性樹脂基材に化粧シートを貼り合わせた床材において、該床材を壁面に沿って立ち上げた事により、四方に返しのある嵌合をもつため、水がほとんどしみ込まない。
【0010】
また、裏面全面に化粧シートに達しない溝を長さ方向と幅方向に入れたので、該床材を壁面に沿って立ち上げる事が出きる。
【0011】
更に、四方の嵌合部をはめ込んだ後でも該床材を壁面に沿って立ち上げる事が出きる。また、該基材の流れ方向、幅方向に溝が入っているため、壁面に沿って立ち上げた後端部をそろえるとき簡単に切断できて、端部をそろえる事が出きる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、壁面に沿って立ち上げた幅木兼用床材の端面に水平方向から地面方向に傾けた見切縁を載せた事により埃が積もらない床材となり衛生的になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明に係る幅木兼用床材13を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に係る幅木兼用床材13の層構成の一実施例を示す側断面図であり、図2は本発明に係る幅木兼用床材13の壁面10に沿って立ち上げた一実施例を示す側断面図であり、図3は本発明に係る幅木兼用床材13の木粉含有熱可塑性樹脂基材7の裏面に溝8を入れた一実施例を示す平面図であり、図4は本発明に係る幅木兼用床材13の縦方向の溝8で曲げた一実施例を示す斜視図である。
【0015】
本実施例における幅木兼用床材13は、図1に示すように、表面保護層1、透明熱可塑性樹脂層2、接着剤層3、絵柄層4、着色熱可塑性樹脂層5を順次積層した化粧シート12と接着剤層6を介して、木粉含有熱可塑性樹脂基材層7とを貼り合わせ、該木粉含有熱可塑性樹脂基材層7に溝8を設け、更にクッション材層9と粘着して構成されている。
【0016】
本発明における表面保護層1としては、2液硬化ウレタン樹脂系、2液アクリルウレタン樹脂、電離放射斜線樹脂系等が使用可能であり、特には電離放射斜線樹脂系が好適であり、厚みとしては1μm〜100μmが耐キャスター性、耐磨耗性、耐キズ付き性の点で好適である。
【0017】
本発明における透明熱可塑性樹脂層2としては、ポリプロピレン樹脂系、ポリエチレン樹脂系、ポリエステル樹脂系、共重合ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系等が使用可能であり、特にはポリオレフィン樹脂系が透明性等から好適であり、厚みとしては50μm〜150μmが耐キャスター性、耐磨耗性、耐キズ付き性の点で好適である。
【0018】
本発明における接着剤層3としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系、2液硬化型ポリウレタン系、2液硬化型エポキシ系などの接着剤を使用することが出来る。
【0019】
厚みとしては、2μm〜100μm程度が好適であり、2μmより薄くなると後述の研摩模様の凹凸を十分に覆うことが出来ず、所謂エア噛みなどの意匠上、物性上の欠点を引き起こす場合がある。
【0020】
本発明における着色熱可塑性樹脂層5としては、有機無機系顔料やヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を添加したポリプロピレン樹脂系、ポリエチレン
樹脂系、ポリエステル樹脂系、共重合ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系等が使用可能であり、厚みとしては50μm〜150μmが好適である。
【0021】
本発明における接着剤層6としては、一液湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤(通称PUR)、水性2液型ウレタンエマルジョン系接着剤等が使用可能であり、特には一液湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤が耐熱性、耐久性、耐溶剤性等から好適であり、厚みとしては5μm〜30μmが接着性の点で好適である。
【0022】
本発明における木粉含有熱可塑性樹脂基材層7としては、木粉とポリプロピレン樹脂の異型成形発泡体等が使用可能であり、厚みとしては1.5mm〜10mmが施工性等の点で好適である。
【0023】
本発明における木粉含有熱可塑性樹脂基材層7への溝8としては、該基材層7の厚み以下で、該基材層7の厚みが5mmの場合は、2mmから4.5mm程度が望ましい。幅は0.5mmから2mm程度が望ましい。間隔は5mmから20mm程度が望ましい。
【0024】
本発明におけるクッション材層9としては、2から10倍発泡のウレタン樹脂製等が使える。市販の両面テープで木粉含有熱可塑性樹脂基材層7と粘着すれば良い。
【0025】
本発明における端部上の見切縁11としては、熱可塑性樹脂製、アルミ製、木製等の見切縁11が使える。色を幅木兼用床材13に合せておくと違和感が無くなる。
【実施例】
【0026】
以下に、本考案の具体的な実施例について説明する。
【0027】
<実施例1>
厚み0.070mmのポリプロピレン樹脂製着色熱可塑性樹脂層5(RIVEST TPO リケンテクノス社製)に絵柄層4として2液ウレタン樹脂系バインダーのグラビアインキにて木目柄を印刷し、その上に透明熱可塑性樹脂層3として透明ポリプロピレン樹脂を押出しラミネートし、更に、表面に表面保護層2として2液ウレタン樹脂の中に熱可塑性樹脂ビーズaとしてガラス転移点が23℃と−2℃の熱可塑性樹脂ビーズaを各々3重量部添加し塗布した後、乾燥させて厚み0.25mmのオレフィン系化粧シート12を作製した。
【0028】
次に、ホモポリプロピレン樹脂90重量部、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂10重量部に木質系添加剤40重量部を2軸押し出し混錬機によって混合、ペレット化して木粉混合樹脂ペレットを作製した。
【0029】
この木粉混合樹脂ペレットを異形押し出し成形法にて断面が5mm×157mmサイズで相欠き嵌合部分をもつ床状形状に押し出した。
【0030】
次に、この木粉含有熱可塑性樹脂基材層7に、厚み0.25mmのオレフィン系化粧シート12を一液湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤6にてラッピング法により積層した。
【0031】
次に、木粉含有熱可塑性樹脂基材層7裏面に、深さ4mm、1mm、間隔5mmの切れ目を丸の子又はレーザー光線を木粉含有熱可塑性樹脂基材層7の横から当てて切れ目を入れた。
【0032】
次に両面テープにて1mmの発泡ウレタンからなるクッション材層9を貼りつけ幅木兼
用床材13を作製した。
【0033】
次に、四方の返しの有る嵌合をスナップフィットしながら施工して、壁面10に沿って50mm立上げて端部をカットしてそろえた。
【0034】
次に、前記端部の上に図2に示すように、見切縁11を両面テープにて貼りつけた。
【0035】
本発明は、床材から連続に幅木になるため洗面所、トイレ、浴室に接する部屋等、水を使ったり、ペットが糞尿を漏らしたときにもしみ込みにくい掃除しやすい幅木兼用床材13であり、更に、床面14から壁面10にたち上がった端目にも傾斜のついた見切縁11を載せるため埃が積もり難い衛生的な幅木兼用床材13を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る幅木兼用床材の層構成の一実施例を示す側断面図である。
【図2】本発明に係る幅木兼用床材の壁に沿って立ち上げた一実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る幅木兼用床材の木粉含有熱可塑性樹脂基材の裏面に溝を入れた一実施例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る幅木兼用床材の縦方向の溝で曲げた一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・表面保護層
2・・・透明熱可塑性樹脂層
3・・・接着剤層
4・・・絵柄層
5・・・着色熱可塑性樹脂層
6・・・接着剤層
7・・・木粉含有熱可塑性樹脂基材層
8・・・溝
9・・・クッション材層
10・・・壁面
11・・・見切縁
12・・・化粧シート
13・・・幅木兼用床材
14・・・床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方に返しのある嵌合をもち、裏面全面に化粧シートに達しない溝を長さ方向と幅方向に入れた木粉含有熱可塑性樹脂基材層に化粧シートを貼り合わせた床材において、該床材を壁面に沿って立ち上げた事を特徴とする幅木兼用床材。
【請求項2】
請求項1記載の、壁面に沿って立ち上げた床材の端面に水平方向から地面方向に傾けた見切縁を載せた事を特徴とする幅木兼用床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−9298(P2006−9298A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184578(P2004−184578)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】