平ガスケット、特にシリンダヘッドガスケット
【課題】支持要素の設計に際し設計技術者が支持要素の厚さや幅制限に左右されないものを提案する。
【解決手段】ばね鋼から成る第1のシートメタル層と延性鋼から成る第2のシートメタル層とからなり、第1の層にはシーリングビードが設けられ、第2の層には該層の端縁に連続する端縁領域に圧力を受容する支持要素として肥厚地帯が設けられる平ガスケットであって、この種の支持要素の設計可能性を向上させるため、支持要素は第2の層の端縁領域にスタンピングされて該端縁領域の自由端縁とほぼ平行に延びる第2の層に配設された少なくとも1つの伸長アーチによって形成され、該アーチが圧縮されることにより支持要素の金属体積は該支持要素と該支持要素に当接して第2の層の面と平行に延びる2つの接面との間に挟まれた空隙体積全体の少なくとも3倍であるように構成した平ガスケット。
【解決手段】ばね鋼から成る第1のシートメタル層と延性鋼から成る第2のシートメタル層とからなり、第1の層にはシーリングビードが設けられ、第2の層には該層の端縁に連続する端縁領域に圧力を受容する支持要素として肥厚地帯が設けられる平ガスケットであって、この種の支持要素の設計可能性を向上させるため、支持要素は第2の層の端縁領域にスタンピングされて該端縁領域の自由端縁とほぼ平行に延びる第2の層に配設された少なくとも1つの伸長アーチによって形成され、該アーチが圧縮されることにより支持要素の金属体積は該支持要素と該支持要素に当接して第2の層の面と平行に延びる2つの接面との間に挟まれた空隙体積全体の少なくとも3倍であるように構成した平ガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次のような少なくとも略金属製の平ガスケットに関する。即ち、ばね鋼から成る少なくとも1つの第1のシートメタル層と、延性鋼から成る少なくとも1つの第2のシートメタル層とを含む少なくとも略金属製の平ガスケットであって、前記第1の層が少なくとも1つのシーリングビードを備え、かつ、前記第2の層が、該シートメタル層の自由周囲端縁又は内側端縁に接する少なくとも1つの端縁領域に、該平ガスケットが組み付けられた場合に該平ガスケットに作用する圧力を受容する支持要素として少なくとも1つの肥厚地帯を備えたものである。
【0002】
特に、本発明はシリンダヘッドガスケットとして設計される平ガスケットに関し、以下では、本発明をシリンダヘッドガスケットに関連して説明する。但し、本発明による平ガスケットは、他の用途、例えば、シリンダヘッドと排気マニホルドとの間のガスケット、或いは、2つのパイプのフランジ間又は互いにねじで結合されるその他の部品間のいわゆるフランジガスケットにも適している。
【背景技術】
【0003】
このような平ガスケットの典型が、例えばUS 2002/0063394 A1に開示されたシリンダヘッドガスケットである。このシリンダヘッドガスケットは、ばね鋼から成る2つの第1の外側シートメタル層とそれらの間に配された第2のシートメタル層とを含む。このシリンダヘッドガスケットの燃焼室穴の周囲に、前記2つの第1の外側シートメタルはスタンピングされたシーリングビードを備える。シリンダヘッドガスケットが組み付けられ、エンジンが稼働している間、シーリングビードは、シリンダヘッドガスケットに作用する圧力に起因する過度の扁平化に対し、中間の第2のシートメタル層に燃焼室穴を囲繞する変形デリミタ(いわゆるストッパ)を設けることで保護される。この変形デリミタは、第2のシートメタル層を燃焼室穴の周囲で当該シートメタル層に向かってそれぞれ折り返して成るリング状端縁領域により作られる。従って、この端縁領域はリング状肥厚地帯を形成する。これにより非圧縮性の肥厚支持要素が得られるものの、これには幾つかの欠点がある。上述した方法では、各シートメタル層の厚さの2倍に等しい厚さを有する支持要素しか作ることができないが、多くの用途では支持要素の厚さがより大きい方が望ましい。更に、上述した方法では、その幅(即ち、関連する燃焼室穴と対比した半径方向寸法)が比較的小さな支持要素しか作ることができない。というのも、仮により幅の広い支持要素を作ることを望めば、シートメタルは前記端縁領域へ折り重ねる際その自由端縁から裂け始めるからである。
【0004】
US 1,587,626には、1つのシートメタル層から作られた単層シリンダヘッドガスケットが開示されている。ここでは、各燃焼室穴の周囲に肥厚リング状シーリング要素が形成されるよう、シートメタル層は燃焼室穴の周囲で自らに向かいそれぞれ複数回折り畳まれる。このリング状シーリング要素の断面において、シートメタルはS字構造又は入れ子になった2つのリング(その断面はそれぞれ横向きのU字に対応する)を備えた構造を形成する。この既知のシリンダヘッドガスケットは単層ガスケットであり、シーリング要素を製造可能にするためにばね鋼板で構成されておらず、高さ方向に弾性を有する通常のシーリングビードを備えていない。このことは別にして、その肥厚地帯はシーリング要素を形成しており、シーリング要素に付け加えられる支持要素を形成していない。更に、この既知のシリンダヘッドガスケットにおいて、肥厚地帯の厚さは結果として常にシート厚さの複数倍とならざるを得ず、加えて、これらの肥厚地帯は、そうしないと折り重ねる際にシートメタルが裂けることから、僅かな幅のものしか作ることができない。
【0005】
単層及び多層の金属製シリンダヘッドガスケットでは、肥厚支持要素はシーリングすべきシリンダヘッドガスケットの穴の周囲以外の場所にも使用される。多気筒エンジンにおいて、シリンダヘッドねじが通常の位置にあると、結果として、シリンダヘッドはその短辺側領域(即ち、その長手方向端部)でより強く下方に(即ち、エンジンブロックの方向に)引っ張られる傾向にある。加えて、エンジン稼働中に燃焼室内に広がる高圧ガスのため、エンジンが稼働している間、シリンダヘッドはその長手方向端部間において僅かではあるが湾曲する。これら2つの作用は、シリンダヘッドガスケットの長手方向端部領域に次のような肥厚地帯を設けることで既に対処されている。即ち、シリンダヘッドの長手方向端部のための隆起支持要素として機能する肥厚地帯である。この支持要素を作るために、通常、シリンダヘッドガスケットのシートメタル層の周縁に設けられる舌状又は耳状の端縁領域が折り返され、当該シートメタル層の上に置かれる。ここでも、この支持要素の厚さが結果としてシートメタルの厚さの2倍に等しくなるのを避けることができない。シートメタル層の端縁領域(平面図では円形である)に、シリンダヘッドガスケットの端縁からガスケットの内側のかなり深い位置まで延伸する支持要素を作ることにも、上述した通り折り重ねる際にシートメタルが裂け易くなることから、問題がある。
【特許文献1】US 2002/0063394 A1
【特許文献2】US 1,587,626
【特許文献3】EP 1 298 364 B1
【特許文献4】DE 100 60 872 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基調を成す目的は、冒頭で述べた類の平ガスケットであって、支持要素の設計に際し設計技術者が上で説明した制限に左右されないものを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明に従い、次のようにすることで達成される。即ち、上記支持要素が、延性鋼から成る上記第2の層の少なくとも1つの伸長アーチにより形成されると共に、前記アーチが、上記第2の層の上記端縁領域にスタンピングされ、かつ上記端縁領域の自由端縁に概ね平行に延伸すること、及び、上記支持要素の金属体積が、該支持要素と該支持要素に当接しつつ上記第2の層の面に平行に延伸する2つの接面との間に含まれる空隙体積全体の複数倍になるよう、上記支持要素が圧縮されること、である。
【0008】
このようなアーチは、従来のスタンピングビードと同じく、所望の高さに容易に作ることができ、又、複数のこのようなアーチを何らの困難もなく互いに直接隣接させて容易に作ることもでき、更に又、このアーチ又は互いに隣接する複数のアーチを適切なプレス器具により前記層の面に垂直及び/又は平行に強力に圧縮することができる。このため、本発明によれば、所定かつ所望の高さ及び/又は幅を備えた支持要素を簡単な再形成技法により作ることができる。この支持要素は、さもなければ、シートメタル層に溶接接合するか又はその他の方法で着設された別に作られる支持要素によって可能となるに過ぎない。
【0009】
本発明に関して、ばね鋼板は次のような鋼板として理解されるべきであることを指摘しておく。即ち、自らに形成される上記シーリングビードが、上記平ガスケットが組み付けられ稼働状態下にある場合に、その高さ方向にも弾性を有することを保証するような鋼板でる。このようなシリンダヘッドガスケット製造用ばね鋼の代表的なものは、降伏強さReが1000N/mm2を超えるタイプの鋼である。
【0010】
これに対し、延性鋼から成るシートメタル層は、次のようなシートメタルとして理解されるべきである。即ち、スタンピング工具及び/又はプレス工具による再成形によって永久塑性変形を受けることが可能なシートメタルである。これに使用する代表的なタイプの鋼は、再成形の前において、降伏強さReが600N/mm2を下回るようなものである。
【0011】
なお、1つ又は互いに隣接する複数のアーチを十分に圧縮することにより、次のような支持要素を作ることができるということである。即ち、上記平ガスケットが組み付けられて稼働状態下にある場合に生ずる圧力を受けた時、耐圧性を示すと共にその高さにおいて変形可能でない支持要素である。
【0012】
本発明による支持要素は、その(つまり、上記第2の)層の平面図において、EP 1 298 364 B1の図17及び19に示された支持要素と同様に、蛇行形状を有するようにしてもよい。
【0013】
上述した従来技術に加えて、DE 100 60 872 A1が参照される。なぜなら、その図2には、次のような三層式金属製シリンダヘッドガスケットが示されているからである。即ち、ばね鋼板から成る2つの外側シートメタル層が、各燃焼室孔のために、この孔を囲繞しつつ中央のシートメタル層の方に向かって突き出たシーリングビードを有しており、中央のシートメタル層には、(各燃焼室孔に係る)各シーリングビードの半径方向内側に、シーリングビードを保護する機能を果たす変形デリミタ又はストッパが設けられたシリンダヘッドガスケットである。このストッパは中央シートメタル層にスタンピングされた複数のビードの形態を成しており、これらビードは燃焼室孔をリング状に囲繞しかつ互いに直接隣接して配される。このため、燃焼室孔を囲繞する中央シートメタル層のリング領域は、波状の断面形状を有する。もっとも、このいわゆる波状ストッパは、その形状のために、シリンダヘッドガスケットが組み付けられてエンジン稼働状態にある場合に生ずる圧力の影響下にある際、耐圧性(即ち、高さ方向における非変形性)を有することができず、又、波状ストッパ(即ち、このような公知のシリンダヘッドガスケットの支持要素)の金属体積は、支持要素とこの支持要素に当接しつつ中央シートメタル層の面に平行に延伸する2つの接面との間に含まれる空隙体積全体の複数倍(本発明の意義の範囲内である)に達しない。ここで、本発明の意義の範囲内で、複数倍とは、少なくとも3倍、好ましくは少なくとも概ね5倍と理解されるべきである。又、本発明によれば、上記空隙体積は、コーティング、例えば耐熱樹脂で満たすこともできる。
【0014】
まず、上記支持要素を形成するよう圧縮されるべきアーチは、上記第2のシートメタル層にスタンピングされた略円弧状又はU字状の断面を有する従来のいわゆるフルビードとすることができる。次に、このフルビードは、対応するプレス工具によりその幅の拡張が防がれると共に、上記ビードの長手方向に対して直交する方向と上記第2の層の面に対して少なくとも略垂直の方向において、強く圧縮され再成形される。その結果、上記ビードの凹面によって最初に形成された空隙はほぼ消失し、上記支持要素の断面は、とりわけ次のような概ね長方形のブロックを成す。即ち、上記ビードによって先に形成される空隙に代わり、今度は小さな溝を有するだけのブロックである。
【0015】
但し、追加で或いは選択的に、上記アーチ(即ち、特にビード)は、対応する工具により該アーチの高さが増大することを防ぐことができると共に、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向と上記第2の層の面に対して平行の方向において、強く圧縮され再成形される。その結果、先のアーチからコンパクトなブロックが得られる。始めは従来のフルビードであるが、ビード側方の脚部は互いに接しており、上記ブロックは、せいぜい、その側面の一方に非常に小さな溝を有するに過ぎない。
【0016】
この又はこれらの再成形工程において、上記支持要素は適切なプレス工具により(特に、その高さに関して)調整することができるだけでなく、本発明によれば、高さ勾配を設けることもできる。その結果、上記支持要素の高さは該要素に沿って変化する。このような高さ勾配は、それ自体、変形デリミタ(即ち、いわゆるストッパ)において知られていおり、次のような事実を考慮に入れる上で役立つ。即ち、上記平ガスケットをその間で締め付ける部品が全体として同じ剛性を有しない、及び/又は、前記締め付け力が全体として同じ大きさでないため、上記平ガスケットが組み付けられて圧力を受ける際、互いにシーリングされるべき上記部品のシーリング面(上記平ガスケットを収容する)が水平な面ではない、という事実である。
【0017】
(その長手方向に対して直交する方向において)特に幅の広い支持要素が平ガスケット上に作られる場合、本発明に従い、次のことを提案する。即ち、前記支持要素が、互いにほぼ平行かつ隣接して延伸する複数のアーチ(これらは、特に、圧縮前はフルビードである)によって形成されており、その断面につき、コンパクトな蛇行構造を形成するよう該アーチの長手方向広がりに対して垂直に圧縮されること、及び、特に安定した支持要素は、とりわけ、互いに接する該支持要素の蛇行ループにより特徴付けられること、である。
【0018】
このような本件支持要素は、いずれにせよ、全体として、絶対的な意味において耐圧性でありその高さにおいて非変形性である必要はない。僅かでも弾性及び/又は塑性特性を有する支持要素であれば多くの用途にとって十分である。もっとも、次のような実施形態が好ましい。即ち、上記平ガスケットが組み付けられて稼働状態下にある場合に生ずる圧力の下、上記支持要素が少なくとも略耐圧性を有し、その高さにおいて非変形性を有するよう、上記支持要素の寸法及び上記第2の層の鋼が選択されるような実施形態である。
【0019】
特に本発明に係る平ガスケットがシリンダヘッドガスケットである場合、次のようにすることが有利である。即ち、上記1つ又は複数の支持要素を設けた上記第2のシートメタル層が、シーリングビードを設けた2つの第1のシートメタル層の間に配置されることである。この場合、1つ又は複数の支持要素は、上記2つの第1のシートメタル層のシーリングビードを過度の変形から保護するための1つ又は複数のストッパを形成することができる。
【0020】
上記支持要素がシーリングビードのための変形デリミタとして機能する場合、この支持要素は、上記平ガスケットの平面図において、上記シーリングビードに隣接する。
【0021】
上記支持要素が、例えばシリンダヘッドの反りを防止するために圧力を吸収する機能を果たすだけである場合、この支持要素は上記平ガスケットの外周縁に隣接して配されると有利である。
【0022】
上述したところから明らかなように、本発明は、本発明に係る平ガスケットを製造する方法にも関する。この製造方法では、十分に延性を有する鋼から成るシートメタル層が、自由端縁で画された該シートメタル層の端縁領域に上記支持要素を作るため、該端縁領域の近くであってかつ該領域に沿って固定されると共に、上記自由端縁が上記シートメタル層の上記固定領域の方に向かって引っ張られるよう、上記少なくとも1つのアーチが上記シートメタル層にスタンピングされる。従って、この製造形式によれば、上記アーチをスタンピングするために必要な材料は、上記シートメタル層の上記自由端縁から、再成形される領域内に引き込まれる。その結果、上記アーチの領域のシート厚さは、上記アーチをスタンピングすることで、少なくとも大幅に減ぜられることはない。
【0023】
こうして上記アーチをスタンピングする方式では、上記シートメタル層の上記自由端縁は(それが該シートメタル層の外側の縁、即ち外周縁であるか、該シートメタル層に設けられた孔の縁であるかに関わりなく)変位される。このため、上記支持要素を形成、即ち完成させた後、引き続きこの自由端縁をパンチングすることが勧められる。従って、本発明によれば、上記シートメタル層の端縁領域の自由端縁(上記支持要素が設けられる)は、パンチングにより上記支持要素の完成させた後、その最終的な形状及び位置を得る。
【0024】
本発明の更なる特徴、利点、及び詳細は、添付の請求の範囲、及び/又は本発明に係る平ガスケットの好適な実施形態の下記説明並びに添付図面より明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に一部を示したシリンダヘッドガスケットは複数個の燃焼室孔12及びシリンダヘッドねじを通すためのねじ孔14の穿設された、全体として10で表されたガスケットプレート10を有している。ガスケットプレート10は3つのシートメタル層即ち2つの第1の外側シートメタル層16とそれらの間に配置された1つの第2の内側シートメタル層18とから成っている。2つの外側シートメタル層16の製造にはばね鋼シートメタルが使用され、内側シートメタル層18の製造には相対延性鋼からなるシートメタルが使用された。外側シートメタル層16のそれぞれは各燃焼室孔12を囲繞するフルビードの形のシーリングビード20を有している。図示実施形態に比較して幾分変更された、燃焼室孔12間の相互離間間隔がもう少し広い実施形態では、これらのシーリングビード20はそれぞれ互いに独立した完全に閉じた円環を形成することになろう。但し図示実施形態では、燃焼室孔12間の相互離間間隔が僅かであることから、それぞれの外側シートメタル層16において、隣接する燃焼室孔12を囲繞するそれぞれのシーリングビード20は燃焼室孔12の間のガスケットプレート10のウェブ領域において必然的に一体化せざるを得ず、そのため、2つの外側シートメタル層16のそれぞれは該ウェブ領域において単一のシーリングビード20を有しているにすぎない。特に図2から明白となるように、シーリングビード20は燃焼室孔12の穴縁に直接配置されているのではなく、穴縁から半径方向に僅かな距離だけ離間している。
【0026】
それぞれの燃焼室孔12のために、内側シートメタル層18はガスケットプレート10の平面図で見て円環状の形のストッパを備えている。このストッパは内側シートメタル層18の肥厚部であって、この肥厚部は本発明の趣旨における支持要素22を形成する。シリンダヘッドガスケットが組付けられ、即ち圧力が加えられると、エンジンの稼動中、支持要素22はシーリングビード20の扁平化境界を画定し、これによってシーリングビードを過度の変形に起因する損傷から保護する。支持要素22の形態については図3A〜3Cを参照して詳細に説明することとする。
【0027】
追加的に又は別法として、シリンダヘッドガスケットは内側シートメタル層18に本発明になる周縁支持要素を含んでいてよく、図1にはそれらのうち単一の支持要素26のみが示されている(これは上側シートメタル層16によって覆われていることから、実際には図1に破線で表されるのが至当である)。支持要素22はガスケットプレート10の自由内側端縁に接しており、他方、支持要素26はガスケットプレート10の自由周縁に接している。
【0028】
図1及び2に示したシリンダヘッドガスケットのシートメタル層例えば内側シートメタル層18に本発明による支持要素を形成するため、相対延性鋼からなる平シートメタル層30(図3A、参照)が出発点として使用される。該シートメタル層はこのシートメタル層の仕上げ後に該シートメタル層の外側周縁を形成するか又は(場合により、上述した事後のパンチング後の)該シートメタル層に穿設された穴を囲繞する内側自由端縁を形成する自由端縁32を有している。この端縁32にはシートメタル層30の端縁領域34が連続しており、該領域は端縁32と平行に延びる細いストリップを形成している。図3A及び3Bが示しているように、シートメタル層30は端縁領域34の外部で、シートメタル層30に対して垂直方向にのみ相互相対変位可能であってその他の点では不動の2つの挟掴あご36と38によって挟掴固定されている。続いて、上型40と下型42からなるスタンピング工具を用いて端縁領域34に波形パターンがスタンピングされる。この波形パターンは相互にかつ自由端縁32と平行に延びる複数のビード状アーチ44からなっている。有利にはプレス型40及び42は、互いに最大限接近させられる際に、ビード底即ち波形パターンの下底が図3Aに示したように、挟掴あご36,38間に挟掴固定されたシートメタル層30の領域の下側面と整合した1つの面内に位置するように構成されている。図3Aから明白となるように、アーチ44のスタンピングの間に、自由端縁32は図3Aに示したように左側に向かって、即ち挟掴あご36,38間に挟掴固定されたシートメタル層30の被挟掴固定領域方向に向かって変位した。これはいうまでもなくシートメタル層とプレス型との間の摩擦条件によって可能とされなければならず、板金のスタンピング又は深絞り成形に通じた者ならば誰でも知っている技術である。
【0029】
次のステップのために、プレス型40及び42に代えて、互いに対向する端面48aと50aの間に、形成さるべき本発明の支持要素の厚さに相当する高さの隙間52を有する2つの限界あご48と50が使用される。場合により、端面48a,50aの一方又は双方の形状は形成さるべき支持要素が対応する高さ勾配を有するように構成されていてよい。押し型53がこの隙間に挿入され、シートメタル層30の波形パターンを備えた端縁領域34が図面に示したように水平方向即ちシートメタル層30の被挟掴固定領域方向に向かって圧縮され、図3Cに示したように、アーチ44を形成するビードの脚が互いに密接させられる。このようにして、図3Cに示した本発明の支持要素54が形成される。これはシーリングビードと相関したストッパであるか又は図1から看取される支持要素26の類の支持要素であってよい。もし支持要素54が真っ直ぐな縦長の要素ではなく、弧状に推移する支持要素(この場合には、図3Aに示した端縁領域34もシートメタル層30の平面図で見て弧状の推移を有している)であれば、押し型53に代えて、それぞれ半径方向外側に運動させられるいくつかの押し型セグメントが使用されるか又は、押し型53に代えて、液圧又はその他の方法で円周方向に均等に膨張可能な膨張リングが使用される。
【0030】
図3Cから、本発明による支持要素54において、該支持要素の金属体積は、支持要素と支持要素に当接してシートメタル層30の面と平行即ち図3Cに示したように水平方向に延びる2つの接面56との間に挟まれた空隙体積全体の少なくとも10倍であることが明確になろう。というのも、この空隙体積は支持要素54の上部と下部に残存する非常に小さな溝と、支持要素54を形成する蛇行ループの間に挟まれたさらに遥かに小さな断面積の空所空間とによって形成されているにすぎないからである。
【0031】
図4A〜4Dには、図4A〜4Dに示した実施形態は前述した実施形態と大幅に相違しているわけではないため、できるかぎり図3A〜3Cと同じ符号が、但しダッシュ記号を付して使用された。以下では相違点のみを説明する。
【0032】
挟掴あご36’と38’の間に挟掴固定されたシートメタル層30’の端縁領域34’に、型40’と42’を用いてパターンがスタンピングされる。このパターンの断面は扁平なW字形に類似しており、断面テーパ部43’を経てシートメタル層30’の被挟掴固定領域に連続している。従って、端縁領域34’の断面パターンは1つのアーチ44’と、上方に向かって傾斜した2本の脚44a’,44b’とを有している。図面に示さない1方法ステップにおいて、端縁領域34’は断面テーパ部43’の箇所で上方に90°折り曲げられて、図4Bに示したシートメタル層30’の形態が形成される。その際、図面に示したように下側挟掴あご38’は僅かに右側に運動させられる結果、該挟掴あごは図4Bに示した位置を占めている。続いて、端縁領域34’は図4Bに示したように押し型54’によって長手方向広がりに対して横向きに圧縮され、その際、端縁領域34’は押し型54’と挟掴あご36’との間に挟まれているため、端縁領域34’は図面から判明するように水平方向に反れたり曲がったりすることはできない。続いて、端縁領域34’は、図4Cに示した押し型54a’によって断面テーパ部43’を中心にして再び下方へ旋回させられ、続いてさらに、2つの型48’と50’の間で長手方向広がりに対して垂直方向かつシートメタル層30’の面に対して垂直方向に圧縮される結果、断面がほぼ長方形で、元のシートメタル層30’の厚さよりも著しく大きな厚みを有したコンパクトな支持要素54’が得られる。
【0033】
この第2の実施形態においても、端縁領域34’の自由端縁32’は、図4Aに示したスタンピング工程の間、図面に示したように左側に向かって変位する。
【0034】
図5A〜5Dに示した第3の実施形態において、またも2つの挟掴あご36’’と38’’の間に挟掴固定されたシートメタル層30’’の端縁領域34’’に、上型40’’と下型42’’からなるスタンピング工具を用いてビード状アーチ44’’がスタンピングされる。端縁領域34’’は次いで、図5Bに示した多型スタンピング工具を用いて圧縮され、再成形される。このスタンピング工具は上型54a’’、下型54b’’、プレスダイ54c’’及びアバットメントダイ54d’’を有している。これらの各押し型の運動方向は図5Bに矢印によって表されている。端縁領域34’’はシートメタル層30’’の面に対して垂直方向に圧縮されるだけでなく、図面に示したアバットメントダイ54d’’の左側斜面とプレスダイ54c’’とによって図面に示したように水平方向にも圧縮される。こうして、金属平ガスケットの構造デザイナーの専門用語では矩形ビードと称されると考えられる、下側面に小さな溝を有したほぼ長方形ブロックに相当する断面を呈する端縁領域34’’の断面パターンが得られる。端縁領域34’’はさらに、図5Cに示した、プレス上型70’’とプレス下型72’’を有した二部分プレス工具によって垂直方向に圧縮される結果、上述した溝はほぼ完全に消失し、断面がほぼ長方形であって、元のシートメタル層30’’よりも大きな厚さを有した本発明による支持要素54’’が得られる。図5Dの垂直な一点鎖線80’’によって示唆されているように、続いてパンチングが行われ、こうしてシートメタル層30’’の自由端縁はその最終的な形状ならびに位置を占めることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るシリンダヘッドガスケットの一部の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図であり、同図では本発明の第1の好適な実施形態が示されている。
【図3A】本発明に係る支持要素の第1の実施形態の製造時における連続した3つのステップを示す図。
【図3B】本発明に係る支持要素の第1の実施形態の製造時における連続した3つのステップを示す図。
【図3C】本発明に係る支持要素の第1の実施形態の製造時における連続した3つのステップを示す図。
【図4A】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図4B】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図4C】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップならびに完成した支持要素を示す図。
【図4D】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5A】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5B】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5C】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5D】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、次のような少なくとも略金属製の平ガスケットに関する。即ち、ばね鋼から成る少なくとも1つの第1のシートメタル層と、延性鋼から成る少なくとも1つの第2のシートメタル層とを含む少なくとも略金属製の平ガスケットであって、前記第1の層が少なくとも1つのシーリングビードを備え、かつ、前記第2の層が、該シートメタル層の自由周囲端縁又は内側端縁に接する少なくとも1つの端縁領域に、該平ガスケットが組み付けられた場合に該平ガスケットに作用する圧力を受容する支持要素として少なくとも1つの肥厚地帯を備えたものである。
【0002】
特に、本発明はシリンダヘッドガスケットとして設計される平ガスケットに関し、以下では、本発明をシリンダヘッドガスケットに関連して説明する。但し、本発明による平ガスケットは、他の用途、例えば、シリンダヘッドと排気マニホルドとの間のガスケット、或いは、2つのパイプのフランジ間又は互いにねじで結合されるその他の部品間のいわゆるフランジガスケットにも適している。
【背景技術】
【0003】
このような平ガスケットの典型が、例えばUS 2002/0063394 A1に開示されたシリンダヘッドガスケットである。このシリンダヘッドガスケットは、ばね鋼から成る2つの第1の外側シートメタル層とそれらの間に配された第2のシートメタル層とを含む。このシリンダヘッドガスケットの燃焼室穴の周囲に、前記2つの第1の外側シートメタルはスタンピングされたシーリングビードを備える。シリンダヘッドガスケットが組み付けられ、エンジンが稼働している間、シーリングビードは、シリンダヘッドガスケットに作用する圧力に起因する過度の扁平化に対し、中間の第2のシートメタル層に燃焼室穴を囲繞する変形デリミタ(いわゆるストッパ)を設けることで保護される。この変形デリミタは、第2のシートメタル層を燃焼室穴の周囲で当該シートメタル層に向かってそれぞれ折り返して成るリング状端縁領域により作られる。従って、この端縁領域はリング状肥厚地帯を形成する。これにより非圧縮性の肥厚支持要素が得られるものの、これには幾つかの欠点がある。上述した方法では、各シートメタル層の厚さの2倍に等しい厚さを有する支持要素しか作ることができないが、多くの用途では支持要素の厚さがより大きい方が望ましい。更に、上述した方法では、その幅(即ち、関連する燃焼室穴と対比した半径方向寸法)が比較的小さな支持要素しか作ることができない。というのも、仮により幅の広い支持要素を作ることを望めば、シートメタルは前記端縁領域へ折り重ねる際その自由端縁から裂け始めるからである。
【0004】
US 1,587,626には、1つのシートメタル層から作られた単層シリンダヘッドガスケットが開示されている。ここでは、各燃焼室穴の周囲に肥厚リング状シーリング要素が形成されるよう、シートメタル層は燃焼室穴の周囲で自らに向かいそれぞれ複数回折り畳まれる。このリング状シーリング要素の断面において、シートメタルはS字構造又は入れ子になった2つのリング(その断面はそれぞれ横向きのU字に対応する)を備えた構造を形成する。この既知のシリンダヘッドガスケットは単層ガスケットであり、シーリング要素を製造可能にするためにばね鋼板で構成されておらず、高さ方向に弾性を有する通常のシーリングビードを備えていない。このことは別にして、その肥厚地帯はシーリング要素を形成しており、シーリング要素に付け加えられる支持要素を形成していない。更に、この既知のシリンダヘッドガスケットにおいて、肥厚地帯の厚さは結果として常にシート厚さの複数倍とならざるを得ず、加えて、これらの肥厚地帯は、そうしないと折り重ねる際にシートメタルが裂けることから、僅かな幅のものしか作ることができない。
【0005】
単層及び多層の金属製シリンダヘッドガスケットでは、肥厚支持要素はシーリングすべきシリンダヘッドガスケットの穴の周囲以外の場所にも使用される。多気筒エンジンにおいて、シリンダヘッドねじが通常の位置にあると、結果として、シリンダヘッドはその短辺側領域(即ち、その長手方向端部)でより強く下方に(即ち、エンジンブロックの方向に)引っ張られる傾向にある。加えて、エンジン稼働中に燃焼室内に広がる高圧ガスのため、エンジンが稼働している間、シリンダヘッドはその長手方向端部間において僅かではあるが湾曲する。これら2つの作用は、シリンダヘッドガスケットの長手方向端部領域に次のような肥厚地帯を設けることで既に対処されている。即ち、シリンダヘッドの長手方向端部のための隆起支持要素として機能する肥厚地帯である。この支持要素を作るために、通常、シリンダヘッドガスケットのシートメタル層の周縁に設けられる舌状又は耳状の端縁領域が折り返され、当該シートメタル層の上に置かれる。ここでも、この支持要素の厚さが結果としてシートメタルの厚さの2倍に等しくなるのを避けることができない。シートメタル層の端縁領域(平面図では円形である)に、シリンダヘッドガスケットの端縁からガスケットの内側のかなり深い位置まで延伸する支持要素を作ることにも、上述した通り折り重ねる際にシートメタルが裂け易くなることから、問題がある。
【特許文献1】US 2002/0063394 A1
【特許文献2】US 1,587,626
【特許文献3】EP 1 298 364 B1
【特許文献4】DE 100 60 872 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基調を成す目的は、冒頭で述べた類の平ガスケットであって、支持要素の設計に際し設計技術者が上で説明した制限に左右されないものを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明に従い、次のようにすることで達成される。即ち、上記支持要素が、延性鋼から成る上記第2の層の少なくとも1つの伸長アーチにより形成されると共に、前記アーチが、上記第2の層の上記端縁領域にスタンピングされ、かつ上記端縁領域の自由端縁に概ね平行に延伸すること、及び、上記支持要素の金属体積が、該支持要素と該支持要素に当接しつつ上記第2の層の面に平行に延伸する2つの接面との間に含まれる空隙体積全体の複数倍になるよう、上記支持要素が圧縮されること、である。
【0008】
このようなアーチは、従来のスタンピングビードと同じく、所望の高さに容易に作ることができ、又、複数のこのようなアーチを何らの困難もなく互いに直接隣接させて容易に作ることもでき、更に又、このアーチ又は互いに隣接する複数のアーチを適切なプレス器具により前記層の面に垂直及び/又は平行に強力に圧縮することができる。このため、本発明によれば、所定かつ所望の高さ及び/又は幅を備えた支持要素を簡単な再形成技法により作ることができる。この支持要素は、さもなければ、シートメタル層に溶接接合するか又はその他の方法で着設された別に作られる支持要素によって可能となるに過ぎない。
【0009】
本発明に関して、ばね鋼板は次のような鋼板として理解されるべきであることを指摘しておく。即ち、自らに形成される上記シーリングビードが、上記平ガスケットが組み付けられ稼働状態下にある場合に、その高さ方向にも弾性を有することを保証するような鋼板でる。このようなシリンダヘッドガスケット製造用ばね鋼の代表的なものは、降伏強さReが1000N/mm2を超えるタイプの鋼である。
【0010】
これに対し、延性鋼から成るシートメタル層は、次のようなシートメタルとして理解されるべきである。即ち、スタンピング工具及び/又はプレス工具による再成形によって永久塑性変形を受けることが可能なシートメタルである。これに使用する代表的なタイプの鋼は、再成形の前において、降伏強さReが600N/mm2を下回るようなものである。
【0011】
なお、1つ又は互いに隣接する複数のアーチを十分に圧縮することにより、次のような支持要素を作ることができるということである。即ち、上記平ガスケットが組み付けられて稼働状態下にある場合に生ずる圧力を受けた時、耐圧性を示すと共にその高さにおいて変形可能でない支持要素である。
【0012】
本発明による支持要素は、その(つまり、上記第2の)層の平面図において、EP 1 298 364 B1の図17及び19に示された支持要素と同様に、蛇行形状を有するようにしてもよい。
【0013】
上述した従来技術に加えて、DE 100 60 872 A1が参照される。なぜなら、その図2には、次のような三層式金属製シリンダヘッドガスケットが示されているからである。即ち、ばね鋼板から成る2つの外側シートメタル層が、各燃焼室孔のために、この孔を囲繞しつつ中央のシートメタル層の方に向かって突き出たシーリングビードを有しており、中央のシートメタル層には、(各燃焼室孔に係る)各シーリングビードの半径方向内側に、シーリングビードを保護する機能を果たす変形デリミタ又はストッパが設けられたシリンダヘッドガスケットである。このストッパは中央シートメタル層にスタンピングされた複数のビードの形態を成しており、これらビードは燃焼室孔をリング状に囲繞しかつ互いに直接隣接して配される。このため、燃焼室孔を囲繞する中央シートメタル層のリング領域は、波状の断面形状を有する。もっとも、このいわゆる波状ストッパは、その形状のために、シリンダヘッドガスケットが組み付けられてエンジン稼働状態にある場合に生ずる圧力の影響下にある際、耐圧性(即ち、高さ方向における非変形性)を有することができず、又、波状ストッパ(即ち、このような公知のシリンダヘッドガスケットの支持要素)の金属体積は、支持要素とこの支持要素に当接しつつ中央シートメタル層の面に平行に延伸する2つの接面との間に含まれる空隙体積全体の複数倍(本発明の意義の範囲内である)に達しない。ここで、本発明の意義の範囲内で、複数倍とは、少なくとも3倍、好ましくは少なくとも概ね5倍と理解されるべきである。又、本発明によれば、上記空隙体積は、コーティング、例えば耐熱樹脂で満たすこともできる。
【0014】
まず、上記支持要素を形成するよう圧縮されるべきアーチは、上記第2のシートメタル層にスタンピングされた略円弧状又はU字状の断面を有する従来のいわゆるフルビードとすることができる。次に、このフルビードは、対応するプレス工具によりその幅の拡張が防がれると共に、上記ビードの長手方向に対して直交する方向と上記第2の層の面に対して少なくとも略垂直の方向において、強く圧縮され再成形される。その結果、上記ビードの凹面によって最初に形成された空隙はほぼ消失し、上記支持要素の断面は、とりわけ次のような概ね長方形のブロックを成す。即ち、上記ビードによって先に形成される空隙に代わり、今度は小さな溝を有するだけのブロックである。
【0015】
但し、追加で或いは選択的に、上記アーチ(即ち、特にビード)は、対応する工具により該アーチの高さが増大することを防ぐことができると共に、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向と上記第2の層の面に対して平行の方向において、強く圧縮され再成形される。その結果、先のアーチからコンパクトなブロックが得られる。始めは従来のフルビードであるが、ビード側方の脚部は互いに接しており、上記ブロックは、せいぜい、その側面の一方に非常に小さな溝を有するに過ぎない。
【0016】
この又はこれらの再成形工程において、上記支持要素は適切なプレス工具により(特に、その高さに関して)調整することができるだけでなく、本発明によれば、高さ勾配を設けることもできる。その結果、上記支持要素の高さは該要素に沿って変化する。このような高さ勾配は、それ自体、変形デリミタ(即ち、いわゆるストッパ)において知られていおり、次のような事実を考慮に入れる上で役立つ。即ち、上記平ガスケットをその間で締め付ける部品が全体として同じ剛性を有しない、及び/又は、前記締め付け力が全体として同じ大きさでないため、上記平ガスケットが組み付けられて圧力を受ける際、互いにシーリングされるべき上記部品のシーリング面(上記平ガスケットを収容する)が水平な面ではない、という事実である。
【0017】
(その長手方向に対して直交する方向において)特に幅の広い支持要素が平ガスケット上に作られる場合、本発明に従い、次のことを提案する。即ち、前記支持要素が、互いにほぼ平行かつ隣接して延伸する複数のアーチ(これらは、特に、圧縮前はフルビードである)によって形成されており、その断面につき、コンパクトな蛇行構造を形成するよう該アーチの長手方向広がりに対して垂直に圧縮されること、及び、特に安定した支持要素は、とりわけ、互いに接する該支持要素の蛇行ループにより特徴付けられること、である。
【0018】
このような本件支持要素は、いずれにせよ、全体として、絶対的な意味において耐圧性でありその高さにおいて非変形性である必要はない。僅かでも弾性及び/又は塑性特性を有する支持要素であれば多くの用途にとって十分である。もっとも、次のような実施形態が好ましい。即ち、上記平ガスケットが組み付けられて稼働状態下にある場合に生ずる圧力の下、上記支持要素が少なくとも略耐圧性を有し、その高さにおいて非変形性を有するよう、上記支持要素の寸法及び上記第2の層の鋼が選択されるような実施形態である。
【0019】
特に本発明に係る平ガスケットがシリンダヘッドガスケットである場合、次のようにすることが有利である。即ち、上記1つ又は複数の支持要素を設けた上記第2のシートメタル層が、シーリングビードを設けた2つの第1のシートメタル層の間に配置されることである。この場合、1つ又は複数の支持要素は、上記2つの第1のシートメタル層のシーリングビードを過度の変形から保護するための1つ又は複数のストッパを形成することができる。
【0020】
上記支持要素がシーリングビードのための変形デリミタとして機能する場合、この支持要素は、上記平ガスケットの平面図において、上記シーリングビードに隣接する。
【0021】
上記支持要素が、例えばシリンダヘッドの反りを防止するために圧力を吸収する機能を果たすだけである場合、この支持要素は上記平ガスケットの外周縁に隣接して配されると有利である。
【0022】
上述したところから明らかなように、本発明は、本発明に係る平ガスケットを製造する方法にも関する。この製造方法では、十分に延性を有する鋼から成るシートメタル層が、自由端縁で画された該シートメタル層の端縁領域に上記支持要素を作るため、該端縁領域の近くであってかつ該領域に沿って固定されると共に、上記自由端縁が上記シートメタル層の上記固定領域の方に向かって引っ張られるよう、上記少なくとも1つのアーチが上記シートメタル層にスタンピングされる。従って、この製造形式によれば、上記アーチをスタンピングするために必要な材料は、上記シートメタル層の上記自由端縁から、再成形される領域内に引き込まれる。その結果、上記アーチの領域のシート厚さは、上記アーチをスタンピングすることで、少なくとも大幅に減ぜられることはない。
【0023】
こうして上記アーチをスタンピングする方式では、上記シートメタル層の上記自由端縁は(それが該シートメタル層の外側の縁、即ち外周縁であるか、該シートメタル層に設けられた孔の縁であるかに関わりなく)変位される。このため、上記支持要素を形成、即ち完成させた後、引き続きこの自由端縁をパンチングすることが勧められる。従って、本発明によれば、上記シートメタル層の端縁領域の自由端縁(上記支持要素が設けられる)は、パンチングにより上記支持要素の完成させた後、その最終的な形状及び位置を得る。
【0024】
本発明の更なる特徴、利点、及び詳細は、添付の請求の範囲、及び/又は本発明に係る平ガスケットの好適な実施形態の下記説明並びに添付図面より明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に一部を示したシリンダヘッドガスケットは複数個の燃焼室孔12及びシリンダヘッドねじを通すためのねじ孔14の穿設された、全体として10で表されたガスケットプレート10を有している。ガスケットプレート10は3つのシートメタル層即ち2つの第1の外側シートメタル層16とそれらの間に配置された1つの第2の内側シートメタル層18とから成っている。2つの外側シートメタル層16の製造にはばね鋼シートメタルが使用され、内側シートメタル層18の製造には相対延性鋼からなるシートメタルが使用された。外側シートメタル層16のそれぞれは各燃焼室孔12を囲繞するフルビードの形のシーリングビード20を有している。図示実施形態に比較して幾分変更された、燃焼室孔12間の相互離間間隔がもう少し広い実施形態では、これらのシーリングビード20はそれぞれ互いに独立した完全に閉じた円環を形成することになろう。但し図示実施形態では、燃焼室孔12間の相互離間間隔が僅かであることから、それぞれの外側シートメタル層16において、隣接する燃焼室孔12を囲繞するそれぞれのシーリングビード20は燃焼室孔12の間のガスケットプレート10のウェブ領域において必然的に一体化せざるを得ず、そのため、2つの外側シートメタル層16のそれぞれは該ウェブ領域において単一のシーリングビード20を有しているにすぎない。特に図2から明白となるように、シーリングビード20は燃焼室孔12の穴縁に直接配置されているのではなく、穴縁から半径方向に僅かな距離だけ離間している。
【0026】
それぞれの燃焼室孔12のために、内側シートメタル層18はガスケットプレート10の平面図で見て円環状の形のストッパを備えている。このストッパは内側シートメタル層18の肥厚部であって、この肥厚部は本発明の趣旨における支持要素22を形成する。シリンダヘッドガスケットが組付けられ、即ち圧力が加えられると、エンジンの稼動中、支持要素22はシーリングビード20の扁平化境界を画定し、これによってシーリングビードを過度の変形に起因する損傷から保護する。支持要素22の形態については図3A〜3Cを参照して詳細に説明することとする。
【0027】
追加的に又は別法として、シリンダヘッドガスケットは内側シートメタル層18に本発明になる周縁支持要素を含んでいてよく、図1にはそれらのうち単一の支持要素26のみが示されている(これは上側シートメタル層16によって覆われていることから、実際には図1に破線で表されるのが至当である)。支持要素22はガスケットプレート10の自由内側端縁に接しており、他方、支持要素26はガスケットプレート10の自由周縁に接している。
【0028】
図1及び2に示したシリンダヘッドガスケットのシートメタル層例えば内側シートメタル層18に本発明による支持要素を形成するため、相対延性鋼からなる平シートメタル層30(図3A、参照)が出発点として使用される。該シートメタル層はこのシートメタル層の仕上げ後に該シートメタル層の外側周縁を形成するか又は(場合により、上述した事後のパンチング後の)該シートメタル層に穿設された穴を囲繞する内側自由端縁を形成する自由端縁32を有している。この端縁32にはシートメタル層30の端縁領域34が連続しており、該領域は端縁32と平行に延びる細いストリップを形成している。図3A及び3Bが示しているように、シートメタル層30は端縁領域34の外部で、シートメタル層30に対して垂直方向にのみ相互相対変位可能であってその他の点では不動の2つの挟掴あご36と38によって挟掴固定されている。続いて、上型40と下型42からなるスタンピング工具を用いて端縁領域34に波形パターンがスタンピングされる。この波形パターンは相互にかつ自由端縁32と平行に延びる複数のビード状アーチ44からなっている。有利にはプレス型40及び42は、互いに最大限接近させられる際に、ビード底即ち波形パターンの下底が図3Aに示したように、挟掴あご36,38間に挟掴固定されたシートメタル層30の領域の下側面と整合した1つの面内に位置するように構成されている。図3Aから明白となるように、アーチ44のスタンピングの間に、自由端縁32は図3Aに示したように左側に向かって、即ち挟掴あご36,38間に挟掴固定されたシートメタル層30の被挟掴固定領域方向に向かって変位した。これはいうまでもなくシートメタル層とプレス型との間の摩擦条件によって可能とされなければならず、板金のスタンピング又は深絞り成形に通じた者ならば誰でも知っている技術である。
【0029】
次のステップのために、プレス型40及び42に代えて、互いに対向する端面48aと50aの間に、形成さるべき本発明の支持要素の厚さに相当する高さの隙間52を有する2つの限界あご48と50が使用される。場合により、端面48a,50aの一方又は双方の形状は形成さるべき支持要素が対応する高さ勾配を有するように構成されていてよい。押し型53がこの隙間に挿入され、シートメタル層30の波形パターンを備えた端縁領域34が図面に示したように水平方向即ちシートメタル層30の被挟掴固定領域方向に向かって圧縮され、図3Cに示したように、アーチ44を形成するビードの脚が互いに密接させられる。このようにして、図3Cに示した本発明の支持要素54が形成される。これはシーリングビードと相関したストッパであるか又は図1から看取される支持要素26の類の支持要素であってよい。もし支持要素54が真っ直ぐな縦長の要素ではなく、弧状に推移する支持要素(この場合には、図3Aに示した端縁領域34もシートメタル層30の平面図で見て弧状の推移を有している)であれば、押し型53に代えて、それぞれ半径方向外側に運動させられるいくつかの押し型セグメントが使用されるか又は、押し型53に代えて、液圧又はその他の方法で円周方向に均等に膨張可能な膨張リングが使用される。
【0030】
図3Cから、本発明による支持要素54において、該支持要素の金属体積は、支持要素と支持要素に当接してシートメタル層30の面と平行即ち図3Cに示したように水平方向に延びる2つの接面56との間に挟まれた空隙体積全体の少なくとも10倍であることが明確になろう。というのも、この空隙体積は支持要素54の上部と下部に残存する非常に小さな溝と、支持要素54を形成する蛇行ループの間に挟まれたさらに遥かに小さな断面積の空所空間とによって形成されているにすぎないからである。
【0031】
図4A〜4Dには、図4A〜4Dに示した実施形態は前述した実施形態と大幅に相違しているわけではないため、できるかぎり図3A〜3Cと同じ符号が、但しダッシュ記号を付して使用された。以下では相違点のみを説明する。
【0032】
挟掴あご36’と38’の間に挟掴固定されたシートメタル層30’の端縁領域34’に、型40’と42’を用いてパターンがスタンピングされる。このパターンの断面は扁平なW字形に類似しており、断面テーパ部43’を経てシートメタル層30’の被挟掴固定領域に連続している。従って、端縁領域34’の断面パターンは1つのアーチ44’と、上方に向かって傾斜した2本の脚44a’,44b’とを有している。図面に示さない1方法ステップにおいて、端縁領域34’は断面テーパ部43’の箇所で上方に90°折り曲げられて、図4Bに示したシートメタル層30’の形態が形成される。その際、図面に示したように下側挟掴あご38’は僅かに右側に運動させられる結果、該挟掴あごは図4Bに示した位置を占めている。続いて、端縁領域34’は図4Bに示したように押し型54’によって長手方向広がりに対して横向きに圧縮され、その際、端縁領域34’は押し型54’と挟掴あご36’との間に挟まれているため、端縁領域34’は図面から判明するように水平方向に反れたり曲がったりすることはできない。続いて、端縁領域34’は、図4Cに示した押し型54a’によって断面テーパ部43’を中心にして再び下方へ旋回させられ、続いてさらに、2つの型48’と50’の間で長手方向広がりに対して垂直方向かつシートメタル層30’の面に対して垂直方向に圧縮される結果、断面がほぼ長方形で、元のシートメタル層30’の厚さよりも著しく大きな厚みを有したコンパクトな支持要素54’が得られる。
【0033】
この第2の実施形態においても、端縁領域34’の自由端縁32’は、図4Aに示したスタンピング工程の間、図面に示したように左側に向かって変位する。
【0034】
図5A〜5Dに示した第3の実施形態において、またも2つの挟掴あご36’’と38’’の間に挟掴固定されたシートメタル層30’’の端縁領域34’’に、上型40’’と下型42’’からなるスタンピング工具を用いてビード状アーチ44’’がスタンピングされる。端縁領域34’’は次いで、図5Bに示した多型スタンピング工具を用いて圧縮され、再成形される。このスタンピング工具は上型54a’’、下型54b’’、プレスダイ54c’’及びアバットメントダイ54d’’を有している。これらの各押し型の運動方向は図5Bに矢印によって表されている。端縁領域34’’はシートメタル層30’’の面に対して垂直方向に圧縮されるだけでなく、図面に示したアバットメントダイ54d’’の左側斜面とプレスダイ54c’’とによって図面に示したように水平方向にも圧縮される。こうして、金属平ガスケットの構造デザイナーの専門用語では矩形ビードと称されると考えられる、下側面に小さな溝を有したほぼ長方形ブロックに相当する断面を呈する端縁領域34’’の断面パターンが得られる。端縁領域34’’はさらに、図5Cに示した、プレス上型70’’とプレス下型72’’を有した二部分プレス工具によって垂直方向に圧縮される結果、上述した溝はほぼ完全に消失し、断面がほぼ長方形であって、元のシートメタル層30’’よりも大きな厚さを有した本発明による支持要素54’’が得られる。図5Dの垂直な一点鎖線80’’によって示唆されているように、続いてパンチングが行われ、こうしてシートメタル層30’’の自由端縁はその最終的な形状ならびに位置を占めることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るシリンダヘッドガスケットの一部の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図であり、同図では本発明の第1の好適な実施形態が示されている。
【図3A】本発明に係る支持要素の第1の実施形態の製造時における連続した3つのステップを示す図。
【図3B】本発明に係る支持要素の第1の実施形態の製造時における連続した3つのステップを示す図。
【図3C】本発明に係る支持要素の第1の実施形態の製造時における連続した3つのステップを示す図。
【図4A】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図4B】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図4C】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップならびに完成した支持要素を示す図。
【図4D】本発明に係る支持要素の第2の好適な実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5A】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5B】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5C】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【図5D】本発明に係る支持要素の第3の実施形態の製造時における連続した4つのステップ並びに完成した支持要素を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね鋼から成る少なくとも1つの第1のシートメタル層と、延性鋼から成る少なくとも1つの第2のシートメタル層とを含む平ガスケットであって、
前記第1の層が少なくとも1つのシーリングビードを備え、かつ
前記第2の層が、該シートメタル層の端縁に接する少なくとも1つの端縁領域に、該平ガスケットが組み付けられた場合に該平ガスケットに作用する圧力を受容する支持要素として少なくとも1つの肥厚地帯を備えたものにおいて、
上記支持要素が、上記第2の層の少なくとも1つの伸長アーチにより形成されると共に、前記アーチが、上記第2の層の上記端縁領域にスタンピングされ、かつ上記端縁領域の上記自由端縁に概ね平行に延伸すること、及び
上記支持要素の金属体積が、該支持要素と該支持要素に当接しつつ上記第2の層の面に平行に延伸する2つの接面との間に含まれる空隙体積全体の複数倍になるよう、上記アーチが圧縮されること、
を特徴とする平ガスケット。
【請求項2】
上記金属体積が上記空隙体積全体の少なくとも3倍であることを特徴とする、請求項1に記載の平ガスケット。
【請求項3】
上記アーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記第2の層の面に平行に圧縮されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の平ガスケット。
【請求項4】
上記アーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記第2の層の面に対して直交する方向に圧縮されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項5】
上記支持要素が、互いに概ね平行にかつ互いに隣接して延伸すると共に上記アーチの長手方向広がりに対して垂直な断面においてコンパクトな蛇行構造を形成するよう圧縮される複数のアーチによって形成されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項6】
上記支持要素の蛇行ループが互いに接することを特徴とする、請求項5に記載の平ガスケット。
【請求項7】
上記平ガスケットが組み付けられて稼働状態下にある場合に生ずる圧力の下、上記支持要素が少なくとも略耐圧性を有し、その高さにおいて非変形性を有するよう、上記支持要素の寸法及び上記第2の層の鋼が選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項8】
上記支持要素が、断面において、平坦な矩形ビードの形状を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項9】
上記第2の層が2つの第1の層の間に配されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項10】
上記支持要素が、上記平ガスケットの平面図において、上記シーリングビードに隣接しており、かつ、上記シーリングビードの過度の扁平化を回避するために該シーリングビードに対する変形限定手段を形成することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項11】
上記支持要素が、上記平ガスケットの外側端縁に隣接して配されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項12】
上記平ガスケットがシリンダヘッドガスケットとして構成されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項13】
上記支持要素が、該支持要素の長手方向広がりの少なくとも一部に沿って高さ勾配を備えることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項14】
延性鋼から成るシートメタル層が、自由端縁で画される該シートメタル層の端縁領域に上記支持要素を作るために、該端縁領域に近接しかつ該領域に沿って固定されること、及び
上記少なくとも1つのアーチが、上記自由端縁が上記シートメタル層の固定領域の方に向かって引っ張られるよう該シートメタル層にスタンピングされることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の平ガスケットを製造する方法。
【請求項15】
スタンピングされた上記少なくとも1つのアーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記シートメタル層の面に平行に圧縮されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記シートメタル層の上記端縁領域が、上記圧縮の間、上記シートメタル層の面に平行に延伸する定置された水平な限界面の間に保持されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記少なくとも1つのアーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記シートメタル層の面に対して直交する方向に圧縮されることを特徴とする、請求項14から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
上記支持要素の形成後、該支持要素を備えた上記シートメタル層の端縁領域の自由端縁が、パンチングにより、その最終的な形状及び位置を付与されることを特徴とする、請求項14から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
ばね鋼から成る少なくとも1つの第1のシートメタル層と、延性鋼から成る少なくとも1つの第2のシートメタル層とを含む平ガスケットであって、
前記第1の層が少なくとも1つのシーリングビードを備え、かつ
前記第2の層が、該シートメタル層の端縁に接する少なくとも1つの端縁領域に、該平ガスケットが組み付けられた場合に該平ガスケットに作用する圧力を受容する支持要素として少なくとも1つの肥厚地帯を備えたものにおいて、
上記支持要素が、上記第2の層の少なくとも1つの伸長アーチにより形成されると共に、前記アーチが、上記第2の層の上記端縁領域にスタンピングされ、かつ上記端縁領域の上記自由端縁に概ね平行に延伸すること、及び
上記支持要素の金属体積が、該支持要素と該支持要素に当接しつつ上記第2の層の面に平行に延伸する2つの接面との間に含まれる空隙体積全体の複数倍になるよう、上記アーチが圧縮されること、
を特徴とする平ガスケット。
【請求項2】
上記金属体積が上記空隙体積全体の少なくとも3倍であることを特徴とする、請求項1に記載の平ガスケット。
【請求項3】
上記アーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記第2の層の面に平行に圧縮されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の平ガスケット。
【請求項4】
上記アーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記第2の層の面に対して直交する方向に圧縮されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項5】
上記支持要素が、互いに概ね平行にかつ互いに隣接して延伸すると共に上記アーチの長手方向広がりに対して垂直な断面においてコンパクトな蛇行構造を形成するよう圧縮される複数のアーチによって形成されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項6】
上記支持要素の蛇行ループが互いに接することを特徴とする、請求項5に記載の平ガスケット。
【請求項7】
上記平ガスケットが組み付けられて稼働状態下にある場合に生ずる圧力の下、上記支持要素が少なくとも略耐圧性を有し、その高さにおいて非変形性を有するよう、上記支持要素の寸法及び上記第2の層の鋼が選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項8】
上記支持要素が、断面において、平坦な矩形ビードの形状を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項9】
上記第2の層が2つの第1の層の間に配されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項10】
上記支持要素が、上記平ガスケットの平面図において、上記シーリングビードに隣接しており、かつ、上記シーリングビードの過度の扁平化を回避するために該シーリングビードに対する変形限定手段を形成することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項11】
上記支持要素が、上記平ガスケットの外側端縁に隣接して配されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項12】
上記平ガスケットがシリンダヘッドガスケットとして構成されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項13】
上記支持要素が、該支持要素の長手方向広がりの少なくとも一部に沿って高さ勾配を備えることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の平ガスケット。
【請求項14】
延性鋼から成るシートメタル層が、自由端縁で画される該シートメタル層の端縁領域に上記支持要素を作るために、該端縁領域に近接しかつ該領域に沿って固定されること、及び
上記少なくとも1つのアーチが、上記自由端縁が上記シートメタル層の固定領域の方に向かって引っ張られるよう該シートメタル層にスタンピングされることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の平ガスケットを製造する方法。
【請求項15】
スタンピングされた上記少なくとも1つのアーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記シートメタル層の面に平行に圧縮されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記シートメタル層の上記端縁領域が、上記圧縮の間、上記シートメタル層の面に平行に延伸する定置された水平な限界面の間に保持されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記少なくとも1つのアーチが、該アーチの長手方向広がりに対して直交する方向にかつ上記シートメタル層の面に対して直交する方向に圧縮されることを特徴とする、請求項14から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
上記支持要素の形成後、該支持要素を備えた上記シートメタル層の端縁領域の自由端縁が、パンチングにより、その最終的な形状及び位置を付与されることを特徴とする、請求項14から17までのいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【公開番号】特開2007−315596(P2007−315596A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−121607(P2007−121607)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(504207307)エルリングクリンガー アーゲー (6)
【氏名又は名称原語表記】ElringKlinger AG
【住所又は居所原語表記】Max−Eyth−Strasse 2, 72581 Dettingen, Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121607(P2007−121607)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(504207307)エルリングクリンガー アーゲー (6)
【氏名又は名称原語表記】ElringKlinger AG
【住所又は居所原語表記】Max−Eyth−Strasse 2, 72581 Dettingen, Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
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