説明

平行光源を使用したビット単位のホログラフィデータを平行に記憶する方法

【課題】ホログラフィデータディスク(10)を事前記録するのに逆伝播平行光波(30、34)を出力する技術を提供すること。
【解決手段】平行光波(30、34)は、複数の偏光保持(PM)光ファイバ(76、78、80、96)を含む光ファイバ束(98)を介してホログラフィシステム(16)を通って伝送される。光ファイバ束(98)内のPM光ファイバ(76、78、80、96)のそれぞれは、ディスク(10)内のクロストークを低減するために、異なる波長(102、104)、異なるコヒーレンス長、及び異なる偏光方向のうちの1以上を有することができる。さらに、光ファイバ束アレイ(112、114)は、光ファイバ束(98)によって出力されている光波(30、34)を受けるホログラフィディスク(10)のデータトラック(12)のピッチに応じてマイクロホログラム(68)を示す干渉スポット(88、110)を生成するために回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概略的には、ビット単位のホログラフィデータ記憶技術に関する。より具体的には、本技術は、ホログラフィディスクの平行複製を行う方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
計算性能が進歩したので、計算技術は、特に、民生ビデオ、データ保管、文書記憶、画像処理、及び映画製作などの新しい適用分野に入ってきた。これらの適用例は、記憶容量及びデータ速度を増大させるデータ記憶技術の開発を推し進めてきた。
【0003】
データ記憶技術の開発の1例は、光記憶システムの革新的に大きい記憶容量である可能性がある。例えば、1980年代初期に開発されたコンパクトディスクは、約650〜700MBのデータ、又は約74〜80分の2チャンネルオーディオプログラムの容量を有する。それに対して、1990年代初期に開発されたデジタル多用途ディスク(DVD)形式は、約4.7GB(1層)又は8.5GB(2層)の容量を有する。さらに、一層大きい記憶容量技術が、より高解像度のビデオ形式に対する需要などのより大きい需要に合わせるために開発されてきた。例えば、Blu−ray Disc(商標)形式などの大容量記憶形式は、1層ディスクには約25GB、又は2層ディスクには50GBを保持することができる。計算技術が進歩し続けるにつれて、一層大きい容量を有する記憶媒体が望まれる可能性がある。例えば、ホログラフィ記憶システム及びマイクロホログラフィ記憶システムが、記憶装置産業における容量増大要件を達成することができる、他の進歩する記憶技術の例である。
【0004】
ホログラフィ記憶は、感光記憶媒体内で2つの光ビームの交差により作られる3次元干渉パターンの影像である、ホログラム形式のデータ記憶である。ページに基づくホログラフィ技術及びビット単位のホログラフィ技術の両方を追求してきた。ページに基づくホログラフィデータ記憶では、デジタル形式でエンコードされたデータ(例えば複数のビット)を含む信号ビームが、化学反応をもたらす記憶媒体の体積内の参照ビームと重畳されるが、この参照ビームは、この体積内の媒体の屈折率を変調する。従って、通常、各ビットが干渉パターンの一部として記憶される。ビット単位のホログラフィ又はマイクロホログラフィデータ記憶では、全ビットが、通常は2つの記録用逆伝播集束ビームにより生成される、マイクロホログラム又はブラッグ反射回折格子として書き込まれる。次に、記録用ビームを再構成するのに、マイクロホログラムに反射する読出ビームを使用することによってデータが検索される。
【0005】
ビット単位のホログラフィシステムは、より小さい空間の、層に集束するマイクロホログラムの記録を可能にし、従って、従来の光システムよりも大幅に大きい記憶容量を提供することができる。しかし、ビット単位のホログラフィシステムのバンド幅は、1つの伝送チャンネルの伝送速度、及びホログラフィ記憶ディスクの回転速度によって制限される可能性がある。例えば、Blu−ray(商標)システムの通常のディスク回転速度は、12倍BD速度で、約430メガビット/秒の1チャンネル伝送となる可能性がある。この伝送速度において、ディスクのデータ層当りの記録時間は、約500秒である。ビット単位のマイクロホログラフィシステムの伝送速度を増大させる技術は、効果的である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0147333号明細書
【発明の概要】
【0007】
本技術の実施形態は、複数の光波を1組の集束用要素に伝送及び出力するように構成された複数の光ファイバを有する光デバイスを提供する。1組の集束用要素は、複数の光ファイバによって出力される複数の光波を受けるように構成され、複数の照射スポットをホログラフィディスク上に集束するように構成される。複数の照射スポットの各照射スポットは、ホログラフィディスク内の複数のデータトラックのうちの1つの上に位置する。
【0008】
別の実施形態は、複数の光波を伝送及び出力するように構成された光デバイスを提供する。本光デバイスは、第1の組の光学要素及び第2の組の光学要素を含む。第1の組の光学要素は、複数の光ファイバによって出力される複数の光波を受けるように構成され、ディスクの一方の側から、複数の光波をホログラフィディスク内の複数の第1の光スポットに集束するように構成され、複数の第1の光スポットの各光スポットは、光ディスク内の複数のデータトラックのうちの1つの上に位置する。第2の組の光学要素は、複数の光ファイバによって出力される複数の光波を受けるように構成され、ディスクの他方の側から、複数の光波をホログラフィディスク内の複数の第2の光スポットに集束するように構成され、複数の第2の光スポットの各光スポットは、複数の第1の光スポットの対応する光スポットと重畳し、ホログラムを形成する。
【0009】
別の実施形態は、ホログラフィディスク内の平行データトラック上にマイクロホログラムを記録して読み出す方法を提供する。本方法は、光学システム内に光ファイバ束を設けることを含む。光ファイバ束は、複数の光ファイバを含み、光ファイバ束は、ホログラフィディスク内に集束スポットを形成するように構成される。本方法は、集束スポットが複数のデータトラック上に形成されるように、光学システム内の1以上の要素を調整することをさらに含む。
【0010】
図面を通して同様の記号が同様の部品を表す、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点が、より十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ある実施形態に係るデータトラックを有する光ディスクを示す図である。
【図2】ある実施形態に係るマイクロホログラフィ複製システムのブロック図である。
【図3A−3B】ある実施形態に係る単一ビーム複製技術と複数平行ビーム複製技術とを比較した概略図である。
【図4】ある実施形態に係るホログラフィディスクの複数のトラック上に平行に記録するマルチヘッドシステムの概略図である。
【図5】ある実施形態に係るホログラフィディスクの複数のトラック上に平行に記録する複数のビームを伝送する単一ヘッドの概略図である。
【図6】ある実施形態に係る様々なタイプの偏光保持光ファイバ(PMF)を表す断面図である。
【図7】ある実施形態に係るホログラフィディスクに入射する複数の光波の概略側面図である。
【図8】ある実施形態に係るホログラフィディスクにおける干渉を示す、図7の拡大概略図である。
【図9】ある実施形態に係る偏光が1方向に並んだ複数の光ビームを伝送するように構成された、複数のPMFの断面図である。
【図10】ある実施形態に係る偏光が交互に並んだ複数の光ビームを伝送するように構成された、複数のPMFの断面図である。
【図11】ある実施形態に係る1波長及び異なる空間コヒーレンスで複数の光ビームを伝送するように構成された、複数のPMFの断面図である。
【図12】ある実施形態に係る異なる空間コヒーレンス及び異なる波長を有する複数の光ビームを伝送するように構成された、複数のPMFの断面図である。
【図13】ある実施形態に係る溝付取付具に嵌合するように構成された、複数のPMFの断面図である。
【図14】ある実施形態に係るホログラフィ記憶媒体のトラックピッチに応じて傾斜する1次元ファイバアレイを示す概略図である。
【図15】ある実施形態に係るホログラフィ記憶媒体のトラックピッチに応じて傾斜する2次元ファイバアレイを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本技術の1以上の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、明細書には、実際の実装形態の特徴を全て説明するわけではない。いかなる工学技術又は設計プロジェクトでも同様であるが、いかなるこのような実際の実施形態の開発においても、実施形態ごとに異なる可能性があるシステム関連及びビジネス関連の制約に従うことなどの、開発者固有の目的を達成するのに、多くの実施形態に即した判断を行う必要があることを理解されたい。さらに、このような開発努力は、複雑で時間が掛かる可能性があるが、それでも、本開示の利益を受ける当業者にとっては、設計、加工、及び製造を行う日常業務であることを理解されたい。
【0013】
ビット単位のホログラフィデータ記憶システムには、通常、記録媒体(例えばホログラフィディスク)内の2つの重畳干渉ビームを放射することによって記録することが含まれる。集束ビームにより照射されるとき、体積反射鏡として作用するマイクロホログラムと呼ばれる微視的サイズの局在化するホログラフィパターンが存在するか、又は存在しないかによって、データビットを表す。例えば、図1に示すホログラフィディスク10は、その層内にデータビットをどのように構成することができるかを表す。通常、ホログラフィディスク10は、透明なプラスチック被覆に埋め込まれた1以上のデータ記憶層を含む平坦な円形ディスクである。データ層は、ビット単位のホログラフィデータ記憶に使用されるマイクロホログラムなどの、光を反射することができる多数の表面を含むことができる。ある実施形態では、データ層は、ディスク10に当たる強照射光ビームに反応するホログラフィ記録可能材料を含むことができる。例えば、様々な実施形態では、ディスク10の材料は、閾値反応性又は線形反応性とすることができる。データ層は、約0.05μm〜5μmの間の厚さとすることができ、約0.5μm〜250μmの間の間隔を有することができる。
【0014】
マイクロホログラム形式のデータは、通常、ディスク10の外縁部から内側限界部までの連続的な螺旋状トラック12内に記憶することができるが、同心円状の円形トラック又は他の構成を使用することができる。主軸穴14は、ホログラフィシステムの主軸の周りに係合するように寸法を決めることができ、データ記録及び/又は読出しのためにディスク10を回転させることができるようにする。
【0015】
ホログラフィディスク10にマイクロホログラムを記録する一般的なシステムを、図2のブロック図に提供する。ホログラフィシステム16は、信号ビーム20及び参照ビーム22に分割することができる光源18を含む。説明するように、ある実施形態では、光源18(単一の光源又は複数の光源である可能性がある)は、ディスク10の平行トラック12上に記録する複数の平行光ビームを放射することができる。平行光源ビームは、平行信号ビーム20及び平行参照ビーム22に分割することもできる。信号ビーム20は、ディスク10上に記録するデータに応じて変調することができる(ブロック24)。ある実施形態では、プロセッサ40は、信号ビーム20の変調(ブロック24)を制御することができる。変調信号ビーム26は、光学素子兼サーボ機構システム28を通過することができ、光学素子兼サーボ機構システム28は、集束信号ビーム30をディスク10の特定の位置に集束するように構成された様々な光学及びサーボ機構デバイスを含むことができる。例えば、光学素子兼サーボ機構システム28は、集束信号ビーム30をディスク10の特定のデータ層又はデータトラック12に集束することができる。
【0016】
参照ビーム22は、集束参照ビーム34をディスク10の特定のデータ層又はデータトラック12に集束するように設計された様々な光学素子兼サーボ機構デバイスを含む光学素子兼サーボ機構システム32を通過することもでき、集束参照ビーム34が集束信号ビーム30と重畳するようにする。マイクロホログラムは、ホログラフィディスク10内の、2つの重畳する逆伝播集束レーザビーム30及び34により形成された干渉パターンの照射スポットに記録することができる。ある実施形態では、記録されたマイクロホログラムは、集束参照ビーム34を使用してディスク10から検索することができる。データ反射光36と呼ばれる集束参照ビーム34の反射光は、信号検出用の検出器38において受け取ることができる。
【0017】
連続する複数のマイクロホログラムは、主軸穴14を通して配置される主軸の周りにディスク10を回転させるとき、所望のトラックへの重畳する逆伝播集束ビームを保持することによって、ディスク10のトラック12上に記録することができる。通常、マイクロホログラムをホログラフィディスク10の適当なトラック12及び/又は層に正確に確実に記録するように、ある程度の逆伝播ビーム重畳を保持する。光学及びサーボ機構システム28及び32は、マイクロホログラム記録プロセス中にディスク回転によって所望の重畳を動的に保持するために利用することができる。
【0018】
このような光学及びサーボ機構要素28及び32は、ホログラフィディスク10に記録するエンドユーザデバイスの複雑性を増大させる可能性がある。本技術は、単一ビーム露光を使用して、エンドユーザデバイスによりディスク10を変更及び/又は消去することができるように、マイクロホログラムを有するホログラフィディスク10を事前作成する方法及びシステムを提供する。ホログラフィディスクの事前作成は、ホログラフィディスク10の製造プロセス中にマイクロホログラムを記録することを指す。事前作成プロセス中に記録されたマイクロホログラムは、コード、アドレス、トラッキングデータ、及び/又は他の補助的な情報を表すことができる。事前記録されたマイクロホログラムは、重畳する逆伝播ビームではなく、単一ビームを使用して引き続き変更及び/又は消去することができる。従って、エンドユーザシステムは、事前作成されたホログラフィディスクにデータを記録するのに、重畳する逆伝播レーザビームを保持する必要がない。その代わりに、単一ビームを使用するエンドユーザシステムは、事前作成されたホログラフィディスク上でマイクロホログラムを記録、変更、及び/又は消去するのに使用することができる。
【0019】
ホログラフィディスクを事前作成するのに逆伝播ビームによってマイクロホログラムを記録することが、エンドユーザデバイスのマイクロホログラム変更の複雑性を低減することができる一方で、ディスクを事前作成するプロセスは、本技術によって改善することもできる。説明したように、ホログラフィディスク10を事前作成するとき、ディスク10は、ディスク10に導かれる重畳する逆伝播ビームがディスク10の選択されたトラック12及び/又は層上にマイクロホログラムを記録することができるように、ホログラフィシステム内で回転する。ディスク材料の機械強度によりある程度制限されるディスク10の回転速度は、マイクロホログラムの記録可能速度(伝送速度と呼ばれる)を制限する。例えば、Blu−ray Disc(商標)の通常のディスク回転速度は、12倍BD速度で、約430メガビット/秒の1チャンネルシステムの伝送速度となる可能性がある。この伝送速度において、ディスクのデータ層当りの記録時間は、約500秒である。
【0020】
1以上の実施形態では、ホログラフィディスク10の伝送速度を増大させ、その記録時間を低減するのに、平行マイクロホログラム記録技術を使用することができる。例えば、平行マイクロホログラム記録は、ディスク10の複数のトラック12を照射するのに複数のビームをホログラフィディスクに導くことを含むことができる。ビームは、同じ組の光学要素を通ってほぼ同じ方向に伝播する光を集めることを指すことができ、様々な光源から発した光を含むことができる。複数の重複する逆伝播ビームが、ディスク10の平行トラック12内に記録される複数のマイクロホログラムをもたらす、複数の照射スポットの干渉パターンを形成することができるように、反対方向から複数のビーム(即ち逆伝播ビーム)をディスク10の複数のトラック12に導くこともできる。さらに、ある実施形態では、重畳するビームは、データ層平面の比較的小さい領域を有する集束スポットにおいて干渉することができる。干渉パターンの集中照射スポットは、非照射領域によって分離することができる。データ層上の照射領域を制限することにより、記録されるマイクロホログラムの深部領域は、所望のサイズに制限され、及び/又は所望のデータ層に制限することができる(例えば約0.05μm〜5μm)。
【0021】
図3A及び3Bの概略図は、マイクロホログラムを平行に記録する、2つの異なる手法を比較する。図3Aでは、単一ビーム手法42を使用する広範囲の照射は、マスターディスク46内の比較的広範囲を(例えば、複数のデータトラック12にわたって)照射するために単一ビーム44を使用することを含む。マスターディスク46は、複製ディスク10上に複製するデータを含むことができ、広範囲の複数データトラック12は、単一ビーム44によって、複数のデータトラック12上のデータを同時に複製することができる。マスターディスク46からの反射光48は、図3Aにレンズとして表される光作像システム50を通過することができるが、光作像システム50は、反射光48を集束し、集束反射光52を複製ディスク10に導くことができる。集束反射光52及び参照ビーム54が逆伝播し、干渉し、ホログラムパターン56を形成することができるように、単一の広範囲参照ビーム54を複製ディスク10の反対側に導くこともできる。複製ディスク10は、鉛直線L0、L1、及びL2により表される複数のデータ層を有することができる。
【0022】
しかし、単一ビーム44及び54の照射視野の増大は、通常、複製ディスク10内に記録されるホログラムの深部領域の増大をもたらす。深部領域の増大特性は、ディスク10のより大きい厚さ(単一ビーム44及び54の方向)を貫通し、複数層を貫通する可能性があるホログラムのサイズの増大を指すことができる。例えば、単一ビーム44及び54のいずれも層L1に導くことができるとき、このようなページに基づく広範囲照射システムに通常使用する線形材料は、広い照射範囲に対して比較的高感度である可能性があり、隣接層L0及びL2の材料は、単一ビーム44及び54に影響を受ける可能性もある。従って、1つのホログラフィパターンの記録が複数のデータ層を必要とする可能性があるので、ホログラム記録における深部領域の増大は、ホログラフィディスク10のデータ容量を制限、又は低減する可能性がある。
【0023】
本技術の1実施形態を、図3Bの複数平行ビーム手法58に示す。図3Aの単一ビーム手法42のように、単一ビームによって比較的広範囲を照射するのではなく、複数平行ビーム手法58は、ホログラフィディスク10に複数の逆伝播平行ビームを当てることを含む。1実施形態では、複数の平行信号ビーム60が、マスターディスク46に導かれ、マスターディスク46からの反射光62は、図3Bにレンズとして表される光作像システム50を通過することができるが、光作像システム50は、反射光62を集束し、集束反射光64を複製ディスク10に導くことができる。
【0024】
複数の平行参照ビーム66をディスク10の反対側に導くこともできる。ある実施形態では、平行参照ビーム66及び平行信号ビーム60を、共通の平行チャンネル光源18(図2)から分割することができ、ある実施形態では、平行参照ビーム66及び平行信号ビーム60を、様々な光源から伝送することができる。平行参照ビーム66及び集束反射光64は、逆伝播し、干渉し、ディスク10のデータ層(例えばデータ層L1)上に干渉パターンを形成することができる。干渉パターンは、非照射領域により分離される複数の照射スポット(例えば、各スポットが逆伝播平行ビームの対の1つの干渉に対応することができる)を含むことができる。干渉スポットのそれぞれは、データ層L1内のマイクロホログラム68を形成することができる。(単一ビーム手法42での広範な領域ではなく)データ層L1のデータ層平面全体の領域に対してデータ層平面のわずかな部分のみを照射するので、照射パターンのビームスポット(又はマイクロホログラム68)のそれぞれを1つのデータ層L1内に比較的集束することができ、ディスク10のデータ容量を増大させる可能性がある。
【0025】
ある実施形態では、平行マイクロホログラム記録に複数の平行ビームを使用することは、図4に示す複数の光学ヘッドを利用する可能性がある。光学ヘッド70は、単一ビームを照射することができ、複製システム16(例えば図2)内の複数の光学ヘッド70を、ディスク10のデータトラック12上にビーム60がそれぞれ当たるように配置することができ、複数のビーム60が複数のトラック12に平行に照射するようにする。ある実施形態では、各光学ヘッドは、ビーム60をトラック12上に集束するように構成された別個の光学素子を有することができる。さらに、光学ヘッドの追加の組は、ディスク10に反対方向から当たるように構成することができ、各光学ヘッド70から放射された平行ビーム60が、逆伝播し、ディスク10の1層内のデータトラック12で干渉するようにする。ある実施形態では、光学ヘッド70は、1以上のドーブプリズム、ペンタプリズム、又は他の光学要素を含むことができる。
【0026】
図5に示す別の実施形態では、複数の平行ビームを使用する平行マイクロホログラム記録は、光学素子の1組から複数の光ビーム60を平行に伝送する光学ヘッド72を利用することができる。1実施形態では、単一の光学ヘッド72からの複数の平行信号ビーム60を、光ビームを伝送するのに適した個々のファイバの束を通って伝送させることができ、各ビームが、光学ヘッド72からディスク10の複数のトラック12上に伝送されるとき、離散的となるようにする。説明するように、光学ヘッド72は、複数のビーム60によってデータ平面(例えば、ディスク10の1以上のデータ層)上に形成される照射パターンを縮小するように構成された作像光学素子を含むことができるか、又はその作像光学素子に結合することができる。照射パターンの縮小によって、各照射スポットがディスクのデータトラック12に記録される確率が増大する可能性がある。ある実施形態では、光学ヘッド72は、ドーブプリズム、ペンタプリズム、又は他の光学要素を含むことができる。ディスク10の反対側から個々のファイバの別の束を有する別の光学ヘッド74から逆伝播平行ビーム66を伝送することにより、又は平行ビームを(図2に関して論じたように)信号ビーム60及び参照ビーム66に分割することにより、逆伝播平行信号ビーム60を得ることができる。
【0027】
1以上の実施形態では、個々の光ファイバの束は、複数のビーム(即ち光波)をホログラフィディスク10に伝送するのに使用することができる。例えば、ファイバ束は、複数のビーム60を伝送するのに適した複数の光学ヘッド70、又は単一の光学ヘッド72を通して光波を出力することができる。ファイバ束は、単一モードのファイバなどの複数の光ファイバを含むことができる。ある実施形態では、ファイバ束は、複数の偏光保持光ファイバ(PMF又はPMファイバ)を含むことができる。PMファイバは、ファイバを通して伝送される直線偏光した光波の偏光が光波の伝播中に保持される、光ファイバである。ある実施形態では、記録用又は逆伝播する光波は、各PMファイバを通って伝播し、ディスク10上にマイクロホログラムを事前記録することができる。光波は、通常、PMファイバ内に発射される前に偏光素子によって偏光され、PMファイバ内の温度及び応力などの様々な要素に応じて、偏光された光波の偏光を、PMファイバの入力部から出力部までほぼ保持することができる。
【0028】
図6は、本技術に使用することができるPMファイバの3つの例の断面図を示す。PMファイバ76、78、及び80は、それぞれ、ファイバコア82内に応力を誘導するように設計することができる。例えば、PMファイバ76は、Corning(登録商標)により製造されたPandaPMファイバと同様である可能性があり、PMファイバ80は、Fibercore(登録商標)により製造されたボウタイPMファイバと同様である可能性がある。PMファイバの他の構成及びタイプは、本技術に応じて使用することができる。応力は、PMファイバ76、78、及び80の全長を通して、コア82と位置合わせされた様々な形の応力ロッド84によって誘導することができる。ある実施形態では、加わった温度は、PMファイバ76、78、及び80を通って伝播する光波の偏光を保持するのに寄与する、ファイバコア82上の応力ロッド84の熱膨張をもたらす可能性がある。
【0029】
複数のPMファイバ76、78、及び80を有するPMファイバ束によりホログラフィディスク10に事前記録することによって、照射光スポットのパターンは、ディスク10上に形成され、ディスク10の複数のデータトラック12上に記録することができる。説明したように、ディスク10が回転しながら複数の平行データトラック12上に記録することによって、伝送速度は増大し、ディスク10にデータを事前作成し、又は書き込むのに必要な時間は減少する。しかし、PMファイバ76、78、及び80の束の平行性及び物理的接近性は、伝播光波の隣接するチャンネル間に干渉をもたらす可能性がある。図7及び8は、隣接するチャンネル間で干渉がどのように起こる可能性があるかを示す。図7では、平行信号ビーム26は、光学システム28(例えばレンズ)を通過することができ、集束信号ビーム30は、ディスク10の方に導くことができる。集束信号ビーム30は、ディスク10の平面上に集束し、マイクロホログラムに平行に書き込むことができる。
【0030】
図7の拡大図を図8に示すが、集束信号ビーム30は、焦点面86上の複数の照射スポット88上に集束する。複数の照射スポット88のそれぞれは、マイクロホログラムを示すことができ、ディスク10の異なるデータトラック12上に集束することができる。焦点面86は、ディスク10の1つのデータ層又は複数のデータ層を表すことができる。図8に示すように、ビーム30は、焦点面86のスポット88上に集束する前に重畳し、ディスク10内に干渉領域90を形成する。図8に影の領域として表した干渉領域90がディスク10内で発生すると、事前に記録された層のデータエラーにつながる可能性があるクロストークが発生する可能性がある。例えば、干渉領域90が、事前に記録された焦点面92(例えば、事前に記録された層)上に発生すると、焦点面92上にデータエラー又はデータの消去が発生する可能性がある。
【0031】
ある実施形態では、平行データチャンネルの干渉及び/又はクロストークを最小化するのに、様々な偏光又は波長制御方式を使用することができる。このような技術を図9〜12において全体的に説明する。ある実施形態では、PMファイバ束98は、複数のPMファイバ96を含むことができる。図9に示すように、平行PMファイバ96のそれぞれを通って伝播する光波の偏光94は、1方向に並ぶことができ、光波間のクロストークは、より小さいコヒーレンス長(約30μm)を有する光波を、ファイバ束98の入力部に結合する1以上のレーザダイオード内に導くことによって低減することができる。ファイバ束98に入力する光波の1以上のコヒーレンス長を低減することによって、ディスク10内の干渉の確率を低減することができる。
【0032】
別の実施形態では、平行データチャンネル間のクロストークは、図10に示すように、隣接する光波が直交偏光するように構成することによって低減することができる。ファイバ束98内の隣接するPMファイバ96の光波間の直交出力偏光100は、ディスク10上の出力光波の干渉を低減することができる。ある実施形態では、様々な光偏光素子は、光波を偏光して直交出力偏光100を発生させるのに使用することができ、ある実施形態では、様々なタイプのPMファイバ76、78、及び80は、ファイバ束98内の平行光波の偏光状態に応じて、偏光状態を保持するのに使用することができる。例えば、PMファイバ76は、ある偏光方向に使用することができるが、PMファイバ78は、別の偏光方向に使用することができる。
【0033】
ディスク10内の出力光波の干渉を低減するのに、PMファイバ束98を通して入力される光波の波長を制御することもできる。例えば、図11に示すように、ファイバ束98に入力する複数のレーザダイオードは、同じ波長(λ1)102で放射することができ、光波間のクロストークは、より小さいコヒーレンス長を有する光波を、レーザダイオードの1以上に導くことによって低減することができる。PMファイバ96のそれぞれを通して同じ波長の光を放射し、光波の1以上のコヒーレンス長を低減することによって、ファイバ束98から出力される光波の干渉を低減することができる。
【0034】
さらに、別の実施形態では、平行データチャンネル間のクロストークは、図12に示すように、隣接する光波が様々な波長を有するように構成することによって低減することができる。例えば、複数のレーザダイオードは、2以上の波長(λ1及びλ2)104で光波をファイバ束98に入力し、ディスク10内の出力光波の干渉を低減することができる。以下の式(1)に説明するように、光波のコヒーレンス長は、その光波と、隣接する光波との間の波長の分離によって影響を受ける。2つの隣接する光波の波長間の分離が大きくなるほど、コヒーレンス長は小さくなる。
【0035】
【数1】

様々な実施形態では、平行データチャンネル間のクロストークを低減する上述の技術は、別々に、又は組み合わせて使用することができる。例えば、ファイバ束98は、同じ又は異なる出力偏光、コヒーレンス長、及び/又は波長を有する光波を伝送するように構成することができる。様々な特性を有するPMファイバ96をファイバ束98内に交互に並べる(例えば、交互配置する)ことができる。さらに、ファイバ束98の各PMファイバ96は、一定の出力偏光、コヒーレンス、及び/又は波長を有する光波を伝送するように構成することができ、あるいは、ファイバ束98の各PMファイバ96は、様々な特性を有する光波を伝送するように構成することができる。
【0036】
ある実施形態では、ホログラフィディスク上にデータを平行に事前記録し、及び/又はデータを平行に記録する技術は、複数のレーザスポットを配置することも含み、従って、記録プログラムを通して各レーザスポットをディスク10上のデータトラック12に記録する。データトラックピッチが、CDディスクで約1.6μm、DVDで約0.74μm、Blu−ray Disc(商標)で約0.3μmであるとき、複数のデータトラックにわたる複数のレーザスポットの正確性を制御するのに、十分な測定精度を使用することができる。1以上の実施形態では、ファイバ束98内のPMファイバ76、78、及び80の配置を制御するのに、取付構造体を使用することができる。取付構造体の1例は、複数のPMファイバ96を挟み込む溝付上部106及び溝付下部108を含む、図13に示す溝付構造体である。溝付上部106及び溝付下部108のそれぞれは、PMファイバ96を所定の位置に保持する傾斜面を有する。1実施形態では、隣接するPMファイバ96の中心間運動を、約±0.25μm内に抑えることができる。ファイバ束98が、約1:5に縮小して出力光を焦点面に導くので、焦点面の最終位置公差は、約±0.05μmとすることができ、その公差は、約0.3μmのBlu−ray Disc(商標)トラックピッチよりも大幅に小さい。
【0037】
隣接するPMファイバ96の中心間間隔(即ちピッチ)は、通常、約20μm〜250μmである。しかし、標準的ファイバ束98ピッチは、Blu−ray Disc(商標)のピッチ(0.3μm)よりも大幅に大きい。1以上の実施形態では、ホログラフィディスク10内の隣接するデータトラック12には、ファイバ束98を回転させることによって平行に記録することができる。ファイバ束98の回転角度は、ディスク10上の照射スポット間の間隔を制御する(例えば縮小する)ように調整することができる。例えば、ファイバ束98内のPMファイバ96のピッチ、ファイバ束98の回転角度、及びディスク10内のトラック12のピッチ間の関係を、以下の式(2)に表すことができる。
【0038】
【数2】

ここで、Ptrackはディスク10内のトラック12のピッチであり、Pbundleはファイバ束98内のPMファイバ96のピッチであり、θはファイバ束98が回転する角度である。
【0039】
様々な実施形態では、様々なホログラフィシステムは、データトラック12間の様々な間隔を含むことができる。本技術によれば、ファイバ束98によって出力される照射スポットの所望のトラック間隔を得るために、ファイバ束98を通って伝播するビームの伝播に沿った様々な角度にファイバ束98を回転させることができる。さらに、反対側のファイバ束98は、反対方向からデータ面86内のデータトラック12上で十分に重畳する、逆伝播光波を出力するように回転、又は構成することもできる。
【0040】
より小さいトラックピッチを有するトラック12上に照射スポットを形成するのにファイバ束98を回転させることを図14に示す。ある実施形態では、ファイバ束98は、1次元アレイ112の形態とすることができる。このアレイ112は、127μmのファイバ間隔を有することができ、ほぼトラック12に沿って照射スポット110を形成するのに30°の角度θだけ回転することができる。角度θは、トラックピッチPtrackに基づいており、より大きいファイバ束ピッチPbundleは、より小さいトラックピッチPtrackを有するディスク10上に照射スポットを形成するのに、より大きい回転角度θを必要とする可能性がある。
【0041】
ある実施形態では、ファイバ束98は、図15に示すように、2次元ファイバアレイの形態とすることができる。2Dファイバアレイ114は、80μmのファイバ間隔を有することができる。2Dファイバアレイ114は、図14で説明した1Dファイバアレイ112よりも小さいトラックピッチを有することができるので、2.5°のより小さい角度θだけ回転することができる。
【0042】
1以上の実施形態では、ファイバ束98を通ってディスク10又はディスク10内の1以上のデータ層に伝送される光は、複数の光波を伝送する光学ヘッド(例えば図5の光学ヘッド72)に結合する作像光学素子を使用することによって、所望のデータトラック12上にさらに集束させることもできる。光学ヘッド72は、データ面(例えば、ディスク10の1以上のデータ層)上にファイバ束98から出力される複数のビームによって形成される、照射パターンを縮小するように構成された作像光学素子を含むか、又はその作像光学素子に結合することができる。照射パターンのサイズを縮小することによって、各照射スポットをディスクのデータトラック12に記録する確率が増大する可能性がある。ある実施形態では、画像縮小率と呼ばれる、ファイバ束98から出力される原型と比較した照射パターンを縮小する倍率は、約2:1〜10:1とすることができる。
【0043】
本明細書では、本発明のある特徴のみを例示及び説明してきたが、当業者なら多くの変形及び変更を想起するであろう。従って添付された特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内に収まるそのような変形及び変更の全てをカバーすることを意図していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0044】
10 ホログラフィディスク
12 データトラック
14 主軸穴
16 複製システム
18 光源
20 信号ビーム
22 参照ビーム
24 信号変調
26 変調信号ビーム
28 光学素子兼サーボシステム
30 集束信号ビーム
32 光学素子兼サーボシステム
34 集束参照ビーム
36 検出ビーム
38 信号検出
40 プロセッサ
42 単一ビーム手法
44 単一ビーム
46 マスターディスク
48 反射光
50 光作像システム
52 集束反射光
54 単一参照ビーム
56 マイクロホログラム
58 複数平行ビーム手法
60 平行ビーム
62 反射光
64 集束反射光
66 平行参照ビーム
68 マイクロホログラム
70 光学ヘッド
72 複数のビームを伝送する光学ヘッド
74 複数のビームを伝送する光学ヘッド
76 PMファイバ
78 PMファイバ
80 PMファイバ
82 ファイバコア
84 応力ロッド
86 焦点面
88 照射スポット
90 干渉領域
92 焦点面
94 偏光
96 PMファイバ
98 ファイバ束
100 偏光
102 波長
104 波長
106 溝付上部
108 溝付下部
110 照射スポット
112 ファイバアレイ
114 ファイバアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光波(22、26)を伝送及び出力するように構成された複数の光ファイバ(76、78、80、96)と、
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)によって出力される前記複数の光波(22、26)を受けるように構成され、前記複数の出力光波(30、34)を光ディスク(10)内の複数の照射スポット(88、110)に集束するように構成された1組の光学要素(28、32)であって、前記複数の照射スポット(88、110)の各照射スポット(88、110)が、前記光ディスク(10)内の複数のデータトラック(12)のうちの1つの上に位置する、1組の光学要素(28、32)と
を含む光デバイス(16)。
【請求項2】
前記複数の照射スポット(88、110)が前記光ディスク(10)内の1つのデータ層にほぼ制限される、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の照射スポット(88、110)が前記光ディスク(10)内の複数のデータ層に分配される、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が単一モードのファイバである、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が偏光保持(PM)ファイバである、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が、V字溝付き構造体(106、108)を使用して共に束ねられる、請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が取付部材(98)内に共に束ねられ、前記取付部材(98)がビーム伝播軸に沿って回転可能である、請求項6記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が、1次元アレイ(112)内に構成される、請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が、2次元アレイ(114)内に構成される、請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
前記複数の光ファイバ(76、78、80、96)が、1つのコヒーレンス値を有する複数の光波(102、104)を伝送するように構成される、請求項1記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A−3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−89227(P2012−89227A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−219687(P2011−219687)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】