説明

平面入力キーボード

【課題】タッチパネルを具備する平面入力キーボードにおいて、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性を備えるようにする。
【解決手段】平面入力キーボード30は、入力操作面32を有するタッチパネル34と、タッチパネル34の入力操作面32に重ねて配置され、押圧力によって局部的に弾性変形可能な弾性板状部材36とを備える。弾性板状部材36は、押圧力により入力操作面32に向かって弾性変形することでタッチパネル34の入力操作を許容する入力領域56と、押圧力による弾性変形の有無に関わらずタッチパネル34の入力操作を許容しない非入力領域58とが設けられる。入力領域56は非入力領域58よりも小さな厚みを有し、弾性板状部材36の内面52に、入力領域56と非入力領域58との厚みの差によって入力領域56に与えられる凹部60が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面入力キーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器の入力装置であるキーボードとして、メンブレンスイッチ等を用いたメカニカルキースイッチの代りに、タッチパネルの二次元座標データ指示機能によってキー入力を実行できるようにした平面入力型のキーボードが知られている(例えば特許文献1参照)。タッチパネルは、パネル表面の所望位置にオペレータがペンや指を押し付けたり接触させたりすることにより、当該位置に対応する二次元座標データを指示することができるパネル型入力装置(又は座標検出装置)である。
【0003】
一般にタッチパネルは、抵抗膜式や静電容量式等の座標検出方式の違いに関わらず、パネル構造体の最外部の平板状部材(ガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム等)の平坦な外面が、ペンや指による入力操作面を構成している。入力操作面が平板状部材の外面であって、しかも一般にタッチパネルが全体として柔軟性を有さないものであることから、入力時に例えば指が入力操作面から受ける感触は硬質なものとなる。例えば特許文献2には、静電容量式タッチパネルにおいて、最外層としてシリコーン樹脂のような弾性を有する層を設置することで、使用者がタッチパネルを押すと凹むようになって操作感が高まることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−100259号公報
【特許文献2】特開2010−061425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルを具備する平面入力キーボードにおいて、メカニカルキースイッチの特徴である入力操作時の押下ストロークやクリック感のような、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性を備えることが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、入力操作面を有するタッチパネルを具備する平面入力キーボードにおいて、タッチパネルの入力操作面に重ねて配置され、押圧力によって局部的に弾性変形可能な弾性板状部材を具備し、弾性板状部材は、押圧力により入力操作面に向かって弾性変形することでタッチパネルの入力操作を許容する入力領域と、押圧力による弾性変形の有無に関わらずタッチパネルの入力操作を許容しない非入力領域とを有すること、を特徴とする平面入力キーボードである。
【0007】
上記した平面入力キーボードでは、入力領域は非入力領域よりも小さな厚みを有し、弾性板状部材は、タッチパネルの入力操作面に対向する内面に、入力領域と非入力領域との厚みの差によって入力領域に与えられる凹部を有する構成とすることができる。
【0008】
上記した平面入力キーボードでは、入力領域は非入力領域よりも大きな厚みを有し、弾性板状部材は、タッチパネルの入力操作面に対向しない外面に、入力領域と非入力領域との厚みの差によって入力領域に与えられる凸部を有する構成とすることができる。
【0009】
上記した平面入力キーボードでは、弾性板状部材は、タッチパネルの入力操作面に対向する内面に、入力領域に与えられる凹部を有するとともに、内面とは反対側の外面に、凹部に対応して入力領域に与えられる凸部を有する構成とすることができる。
【0010】
上記した平面入力キーボードでは、入力領域と非入力領域とが互いに異なる材質を有する構成とすることができる。
【0011】
上記した平面入力キーボードでは、タッチパネルは、基板及び基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えてそれら導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされる一対の電極板と、一対の電極板の互いに対向する導電膜の間に分散して配置される複数のドットスペーサとを具備し、弾性板状部材の入力領域に対応する領域におけるドットスペーサの配置密度が、弾性板状部材の非入力領域に対応する領域におけるドットスペーサの配置密度よりも小さい構成とすることができる。
【0012】
上記した平面入力キーボードでは、タッチパネルは、基板及び基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えてそれら導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされる一対の電極板を具備し、平面入力キーボードは、弾性板状部材の非入力領域に対応する領域におけるタッチパネルの入力信号をキャンセルする信号処理部をさらに具備する構成とすることができる。
【0013】
上記した平面入力キーボードでは、タッチパネルは、単一の導電膜又は互いに絶縁して対面配置される一対の導電膜を具備し、平面入力キーボードは、弾性板状部材の非入力領域に対応する領域におけるタッチパネルの入力信号をキャンセルする信号処理部をさらに具備する構成とすることができる。
【0014】
上記した平面入力キーボードでは、弾性板状部材の入力領域に、タッチパネルの導電膜から絶縁された補助導電膜が設けられる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様による平面入力キーボードによれば、オペレータは、弾性板状部材の入力領域を介して、タッチパネルの入力操作面の所望位置を間接的に入力操作できる。したがって、弾性板状部材の入力領域及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、メカニカルキースイッチの特徴である入力操作時の押下ストロークやクリック感のような、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。また、タッチパネルの入力操作面ではなく弾性板状部材の外面を打鍵操作する構成であるから、操作時の騒音を低減できるとともに、オペレータの指への衝撃や疲労を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態による平面入力キーボードを概略で示す分解斜視図である。
【図2】他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図で、(a)入力操作前の状態、及び(b)入力操作中の状態を示す。
【図3】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを概略で示す分解斜視図である。
【図4】図3の平面入力キーボードの模式図的な断面図である。
【図5】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【図6】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【図7】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【図8】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図で、(a)入力操作前の状態、及び(b)入力操作中の状態を示す。
【図9】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【図10】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【図11】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【図12】さらに他の実施形態による平面入力キーボードを模式図的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0018】
図1は、一実施形態による平面入力キーボード10を概略で示す。平面入力キーボード10は、入力操作面12を有するタッチパネル14と、タッチパネル14の入力操作面12に重ねて配置され、押圧力によって局部的に弾性変形可能な弾性板状部材16とを備えている。
【0019】
タッチパネル14は、抵抗膜式、静電容量式等の、種々の座標検出方式により、入力操作面12内の入力操作位置の二次元座標を検出する公知のパネル型入力装置(又は座標検出装置)である。入力操作面12は、タッチパネル14の最外部の平板状部材(ガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム等)の平坦な外面によって構成される。タッチパネル14は、LCD等の表示装置(図示せず)の画面に重ねて設置できる透明な構造や、表示装置から分離して用いられる不透明な構造を有することができる。タッチパネル14の座標検出方式等の構成は、特に限定されない。
【0020】
弾性板状部材16は、タッチパネル14の入力操作面12の好ましくは全体を覆うようにして入力操作面12に載置可能な平板状の部材であって、入力操作面12に対向する内面18と、内面18の反対側で入力操作面12に対向しない外面(すなわち露出面)20とを有する。弾性板状部材16には、押圧力により入力操作面12に向かって弾性変形することでタッチパネル14の入力操作を許容する入力領域22と、押圧力による弾性変形の有無に関わらずタッチパネル14の入力操作を許容しない非入力領域24とが設けられる。
【0021】
弾性板状部材16は、例えばシリコーン、ポリウレタン等の、外面20の所望位置に加えられる適当な押圧力によって局部的に(すなわち押圧部位及びその周辺の限定的領域が)弾性変形可能な素材から作製される。弾性板状部材16の素材、形状、寸法は、少なくとも入力領域22が、所定範囲の押圧力により、それ自体でタッチパネル14の入力操作を実行するに十分な程度まで弾性変形できることを要件として選定される。また、弾性板状部材16の少なくとも入力領域22を、タッチパネル14の入力操作を実行するに十分な程度まで弾性変形させるに要する押圧力の範囲は、メカニカルキースイッチを有するキーボードにおいて一般的に設定されているキー入力時の押下力の範囲に相当するものとすることができる。
【0022】
弾性板状部材16は、それ自体が透明であってもよいし、半透明や不透明であってもよい。適当な接着剤により、弾性板状部材16をタッチパネル14に固着することができる。或いは、弾性板状部材16を、自己粘着性を有する素材から作製することにより、接着剤の使用を省略することもできる。弾性板状部材16の素材、形状、寸法等の構成は、前述した事項を除き特に限定されない。
【0023】
平面入力キーボード10では、オペレータの入力操作対象となるキーは、弾性板状部材16の入力領域22によって構成される。図1では、JIS等で規定されたキー配列に従う複数の入力領域22(破線で囲んだ領域)と、それら入力領域22を包囲する非入力領域24とが例示されている。入力領域22における文字、数字、記号等の表示(図示せず)は、タッチパネル14を挟んで弾性板状部材16とは反対側に設置される表示装置(図示せず)の画面表示、タッチパネル14の入力操作面12への印刷表示、弾性板状部材16自体への印刷表示、印刷シート(図示せず)の組み込み等によって実現できる。
【0024】
平面入力キーボード10では、オペレータは、弾性板状部材16の入力領域22に表示されるキー表示に従って、所望の入力領域22を打鍵操作することができる。入力領域22は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル14の入力操作面12の、入力領域22に対応する位置に対し、入力操作を実行する。すなわちオペレータは、弾性板状部材16の入力領域22を介して、タッチパネル14の入力操作面12の所望のキー入力位置を間接的に入力操作することになる。したがって平面入力キーボード10によれば、弾性板状部材16の入力領域22及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、メカニカルキースイッチの特徴である入力操作時の押下ストロークやクリック感のような、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。また、タッチパネル14の入力操作面12ではなく弾性板状部材16の外面20を打鍵操作する構成であるから、操作時の騒音を低減できるとともに、オペレータの指への衝撃や疲労を軽減できる。さらに、タッチパネル14の入力操作面12に1枚の弾性板状部材16を設置するだけの構成であるから、個別分離された複数のメカニカルキースイッチを備えるキーボードに比べて、装置構造を単純化できる。
【0025】
入力領域22及び非入力領域24は、様々な手段によって弾性板状部材16に設けることができる。以下、図2〜図11を参照して、入力領域及び非入力領域を様々な手段によって弾性板状部材に設けた種々の実施形態による平面入力キーボードを説明する。なお、図2〜図11に示す実施形態は、弾性板状部材に入力領域及び非入力領域を設けるための具体的手段を備えている点、並びにタッチパネルの構成を具体化した点以外は、図1に示す実施形態と実質的に同一の構成を有するものとする。
【0026】
図2〜図7に示す平面入力キーボード30は、入力操作面32を有する抵抗膜式のタッチパネル34と、タッチパネル34の入力操作面32に重ねて配置され、押圧力によって局部的に弾性変形可能な弾性板状部材36とを備えている。
【0027】
抵抗膜式のタッチパネル34は、基板38及び基板38の表面に設けられる導電膜40を備えた第1電極板42と、基板44及び基板44の表面に設けられる導電膜46を備えた第2電極板48とを備え、第1及び第2電極板42、48が、それぞれの導電膜40、46を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされて構成される。第1及び第2電極板42、48の互いに対向する導電膜40、46の間には、複数のドットスペーサ50が適当に分散して配置される。図示構成では、第2電極板48が入力側に配置され、導電膜46とは反対側の基板44の裏面が入力操作面32を構成している。支持側の第1電極板42の基板38は、例えばガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム等から作製され、入力側の第2電極板48の基板44は、例えばプラスチック板、プラスチックフィルム等から作製される。
【0028】
第1及び第2電極板42、48の各々には、その外縁に沿った領域に、正負一対の短冊状電極(すなわち平行電極対)が互いに平行に離隔して導電膜40、46の上に形成されるとともに、平行電極対に接続される導線が導電膜40、46上の絶縁層の上に形成される。両電極板42、48の導電膜40、46には、導線及び平行電極対を介して互いに直交する方向へ電圧が印加され、その状態で、オペレータが入力操作面32の所望位置を押圧(すなわちタッチ入力)して導電膜40、46同士を局所的に導通接触させると、押圧点で個々の導電膜40、46の抵抗値に応じた分圧が測定されて、押圧点の二次元座標が検出される。このような入力座標検出方式は、アナログ方式として知られている。なお、タッチパネル34として、各電極板の導電膜が基板表面上で複数の帯状部分に分割される構成を有するデジタル方式の抵抗膜式タッチパネルを用いることもできる。抵抗膜式タッチパネル自体の構成は公知であるので、さらなる詳細を省略する。
【0029】
弾性板状部材36は、図1に示す弾性板状部材16と同様の平板状の部材であって、タッチパネル34の入力操作面32に対向する内面52と、内面52の反対側で入力操作面32に対向しない外面(すなわち露出面)54とを有する。弾性板状部材36には、図1に示す入力領域22及び非入力領域24に相当する複数の入力領域56及び非入力領域58が設けられる。
【0030】
図2に示す実施形態では、入力領域56及び非入力領域58は、同じ押圧力に対して異なる弾性変形様態を示す互いに異なる形状を有する部分として、弾性板状部材36に設けられる。具体的には、入力領域56は非入力領域58よりも小さな厚みを有し、弾性板状部材36の内面52に、入力領域56と非入力領域58との厚みの差によって入力領域56に与えられる凹部60が形成される。
【0031】
図2の平面入力キーボード30では、オペレータは、弾性板状部材36の入力領域56に表示される文字、数字、記号等のキー表示(図示せず)に従って、所望の入力領域56を打鍵操作することができる(図2(a))。入力領域56におけるキー表示は、タッチパネル34を挟んで弾性板状部材36とは反対側に設置される表示装置(図示せず)の画面表示、タッチパネル34の入力操作面32への印刷表示、弾性板状部材36自体への印刷表示、印刷シート(図示せず)の組み込み等によって実現できる。
【0032】
入力領域56は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル34の入力操作面32の、入力領域56に対応する位置に対し、入力操作を実行する。抵抗膜式のタッチパネル34は、弾性板状部材36の入力領域56を介して入力操作面32に加わる押圧力により、第2電極板48が局部的に撓んで、その導電膜46が第1電極板42の導電膜40に局部的に接触する(図2(b))。タッチパネル34の信号処理部(図示せず)は、オペレータの打鍵操作による導電膜40、46同士の接触を検知して、その接触位置を前述した手法により二次元座標で特定し、以って、入力操作されたキーを特定する。
【0033】
図2の平面入力キーボード30においても、弾性板状部材36の入力領域56及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。ここで、図2の構成では、入力領域56は非入力領域58よりも薄肉であって、入力領域56には弾性板状部材36の内面52側に凹部60が形成されているから、入力領域56は非入力領域58に比べて、同じ押圧力の下で一層容易に弾性変形する。したがって、タッチパネル34の入力操作を実行するに十分な程度まで弾性板状部材36を弾性変形させるに要する押圧力の範囲が、入力領域56では、メカニカルキースイッチを有するキーボードにおいて一般的に設定されているキー入力時の押下力の範囲に相当するもの(以下、通常押圧力と称する。)になる一方、非入力領域58では、通常押圧力を超える範囲(以下、過大押圧力と称する。)になるように、弾性板状部材36の寸法(特に厚み)や素材を選定することにより、タッチパネル34の入力操作を許容する入力領域56とタッチパネル34の入力操作を許容しない非入力領域58とを構成できる。
【0034】
図2の構成では、入力領域56と非入力領域58との厚みの差(すなわち凹部60の深さ)の選択により、オペレータが指を弾性板状部材36の外面54に接触させてから入力領域56を撓ませて入力を完了するまでに至る操作ストロークを、適宜設定できる。凹部60は、一体成形品としての弾性板状部材36の成形時に型内で形成してもよいし、複数の素材の積層体としての弾性板状部材36の素材積層時に形成してもよい。また図2の構成では、弾性板状部材36の入力領域56が非入力領域58に比べて容易に弾性変形するから、オペレータは、入力領域56を正確に打鍵しているか否かを、指先に受ける操作感覚から判断できる。
【0035】
図2の平面入力キーボード30では、タッチパネル34のドットスペーサ50を、入力領域56に対応する領域における配置密度が、非入力領域58に対応する領域における配置密度よりも小さくなるように構成できる。図示のように、入力領域56に対応する領域には、ドットスペーサ50を実質的に配置しないようにすることもできる。この構成により、非入力領域58に押圧力が加わったときに非入力領域58においてタッチパネル34の入力が行なわれてしまうことを、未然に防止することができる。また図示のように、非入力領域58に対応する領域に配置された配置密度の大きなドットスペーサ50の一部を、入力領域56側に食み出すように配置することにより、入力領域56が一定の弾性変形様態を示すようになり、操作感覚のバラツキが抑制される。なお、弾性板状部材36の構成だけで、入力領域56と非入力領域58とを操作特性で明確に区別でき、非入力領域58における誤入力を十分に防止できる場合には、タッチパネル34のドットスペーサ50を全体に一様な配置密度で構成することもできる。
【0036】
図2の平面入力キーボード30では、入力領域56と非入力領域58とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材36を例えば二色成形法により作製して、非入力領域58を入力領域56よりも弾性変形し難い材質にすることで、入力領域56と非入力領域58とを構成することもできる。
【0037】
図2の平面入力キーボード30では、弾性板状部材36の内面52側に形成される凹部60に空気が封入されていると、空気ばねにより、入力領域56の打鍵操作特性が影響を受ける場合がある。そこで、弾性板状部材36の内面52の所要位置に、凹部60と外部との空気の流通を許容する通路(図示せず)を形成することができる。
【0038】
図3及び図4に示す実施形態(図2の平面入力キーボード30の変形形態)では、入力領域56及び非入力領域58は、同じ押圧力に対して異なる弾性変形様態を示す互いに異なる形状を有する部分として、弾性板状部材36に設けられる。具体的には、入力領域56は非入力領域58よりも大きな厚みを有し、弾性板状部材36の外面54に、入力領域56と非入力領域58との厚みの差によって入力領域56に与えられる凸部62が形成される。
【0039】
図3及び図4の平面入力キーボード30は、タッチパネル34を挟んで弾性板状部材36とは反対側に設置されるLCD等の表示装置64を備えている。また、タッチパネル34及び弾性板状部材36は、弾性板状部材36の外面54側から表示装置64の画面66を視認できる光透過性を有する。したがってオペレータは、弾性板状部材36の入力領域56にて視認される表示装置64の画面66のキー表示に従って、所望の入力領域56を打鍵操作することができる。入力領域56は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル34の入力操作面32の、入力領域56に対応する位置に対し、入力操作を実行する。抵抗膜式のタッチパネル34は、弾性板状部材36の入力領域56を介して入力操作面32に加わる押圧力により、第2電極板48が局部的に撓んで、その導電膜46が第1電極板42の導電膜40に局部的に接触する。タッチパネル34の信号処理部は、オペレータの打鍵操作による導電膜40、46同士の接触を検知して、その接触位置を前述した手法により二次元座標で特定し、以って、入力操作されたキーを特定する。
【0040】
図3及び図4の平面入力キーボード30においても、弾性板状部材36の入力領域56及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。ここで、図3及び図4の構成では、入力領域56は非入力領域58よりも厚肉であるから、入力領域56は非入力領域58に比べて、同じ押圧力の下では弾性変形し難くなる。その反面、入力領域56には弾性板状部材36の外面54側に凸部62が形成されているから、入力領域56を外面54上の凸部62として視覚的及び触覚的に容易に認識できる。また、一般的なキーボードのキー配列に従った場合、隣り合う入力領域56の間に形成される非入力領域58は、入力領域56に比べて面積が小さくなるので、オペレータは入力領域56を正確に打鍵することができる。
【0041】
図3及び図4の平面入力キーボード30では、タッチパネル34のドットスペーサ50を、入力領域56に対応する領域における配置密度が、非入力領域58に対応する領域における配置密度よりも小さくなるように構成することで、非入力領域58に押圧力が加わったときに非入力領域58においてタッチパネル34の入力が行なわれてしまうことを防止できる。これにより、タッチパネル34の入力操作を許容する入力領域56とタッチパネル34の入力操作を許容しない非入力領域58とを構成できる。或いは、入力領域56と非入力領域58とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材36を例えば二色成形法により作製して、非入力領域58を入力領域56よりも弾性変形し難い材質にすることで、入力領域56と非入力領域58とを構成することもできる。
【0042】
図3及び図4の構成では、入力領域56と非入力領域58との厚みの差(すなわち凸部62の高さ)の選択により、オペレータが指を弾性板状部材36の外面54(凸部62の頂面)に接触させてから入力領域56を撓ませて入力を完了するまでに至る操作ストロークを、適宜設定できる。凸部62は、一体成形品としての弾性板状部材36の成形時に型内で形成してもよいし、複数の素材の積層体としての弾性板状部材36の素材積層時に形成してもよい。
【0043】
図5に示す実施形態(図2〜図4の平面入力キーボード30の変形形態)では、入力領域56及び非入力領域58は、同じ押圧力に対して異なる弾性変形様態を示す互いに異なる形状を有する部分として、弾性板状部材36に設けられる。具体的には、弾性板状部材36の内面52に、入力領域56に与えられる凹部60が形成されるとともに、弾性板状部材36の外面54に、凹部60に対応して入力領域56に与えられる凸部62が形成される。これにより、非入力領域58に対して一方向へ椀状に屈曲して膨出する入力領域56が形成される。
【0044】
図5の平面入力キーボード30は、タッチパネル34を挟んで弾性板状部材36とは反対側に設置される印刷シート68を備えている。また、タッチパネル34及び弾性板状部材36は、弾性板状部材36の外面54側から印刷シート68の印刷面70を視認できる光透過性を有する。したがってオペレータは、弾性板状部材36の入力領域56にて視認される印刷シート68の印刷面70のキー表示に従って、所望の入力領域56を打鍵操作することができる。入力領域56は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル34の入力操作面32の、入力領域56に対応する位置に対し、入力操作を実行する。抵抗膜式のタッチパネル34による入力キーの特定手法は、図2〜図4の実施形態に関連して説明した通りである。
【0045】
図5の平面入力キーボード30においても、弾性板状部材36の入力領域56及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。ここで、図5の構成では、入力領域56には弾性板状部材36の外面54側に凸部62が形成されているから、入力領域56を外面54上の凸部62として視覚的及び触覚的に容易に認識できる。しかも、入力領域56には弾性板状部材36の内面52側に凹部60が形成されているから、入力領域56は、タッチパネル34の入力操作面32に支持されている非入力領域58に比べて、同じ押圧力の下で一層容易に弾性変形する。したがって、タッチパネル34の入力操作を実行するに十分な程度まで弾性板状部材36を弾性変形させるに要する押圧力の範囲が、入力領域56では、メカニカルキースイッチを有するキーボードにおいて一般的に設定されているキー入力時の押下力の範囲に相当するもの(以下、通常押圧力と称する。)になる一方、非入力領域58では、通常押圧力を超える範囲(以下、過大押圧力と称する。)になるように、弾性板状部材36の寸法(特に厚み)や素材を選定することにより、タッチパネル34の入力操作を許容する入力領域56とタッチパネル34の入力操作を許容しない非入力領域58とを構成できる。
【0046】
図5の構成では、入力領域56における凹部60の深さ及び凸部62の高さの選択により、オペレータが指を弾性板状部材36の外面54(凸部62の頂面)に接触させてから入力領域56を撓ませて入力を完了するまでに至る操作ストロークを、適宜設定できる。凹部60及び凸部62は、一体成形品としての弾性板状部材36の成形時に型内で形成してもよいし、複数の素材の積層体としての弾性板状部材36の素材積層時に形成してもよい。
【0047】
図5の平面入力キーボード30では、図2〜図4の実施形態と同様に、タッチパネル34のドットスペーサ50を、入力領域56に対応する領域における配置密度が、非入力領域58に対応する領域における配置密度よりも小さくなるように構成することで、非入力領域58に押圧力が加わったときに非入力領域58においてタッチパネル34の入力が行なわれてしまうことを防止できる。或いは図示のように、タッチパネル34のドットスペーサ50を全体に一様な配置密度で構成することもできる。また、入力領域56と非入力領域58とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材36を例えば二色成形法により作製して、非入力領域58を入力領域56よりも弾性変形し難い材質にすることもできる。
【0048】
抵抗膜式のタッチパネル34を備えた平面入力キーボード30においては、図6の実施形態のように、タッチパネル34のドットスペーサ50を、入力領域56に対応する領域における配置密度が、非入力領域58に対応する領域における配置密度よりも小さくなるように構成することで、全体に一様な構造(形状、素材等)を有する弾性板状部材36を用いた場合であっても、タッチパネル34の入力操作を許容する入力領域56とタッチパネル34の入力操作を許容しない非入力領域58とを構成できる。或いは、図7の実施形態のように、入力領域56と非入力領域58とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材36を例えば二色成形法により作製して、入力領域56を非入力領域58よりも弾性変形し易い材質にすることで、タッチパネル34のドットスペーサ50を全体に一様な配置密度で設置した場合や、全体に一様な形状(厚み)を有する弾性板状部材36を用いた場合であっても、タッチパネル34の入力操作を許容する入力領域56とタッチパネル34の入力操作を許容しない非入力領域58とを構成できる。
【0049】
図7に示すように、平面入力キーボード30は、弾性板状部材36の非入力領域58に対応する領域におけるタッチパネル34の入力信号をキャンセルする信号処理部72を備えることができる。信号処理部72は、非入力領域58に押圧力が加わったときに、非入力領域58を介して入力操作面32に加わる押圧力によりタッチパネル34の第1及び第2電極板42、48の導電膜40、46同士が局部的に接触したとしても、接触により得られる入力信号をキャンセルして入力位置の特定を行わないように、予め処理ルーチンが設定される。この構成により、非入力領域58においてタッチパネル34の入力が行なわれてしまうことを、確実に防止することができる。このような信号処理部72は、図2〜図6のいずれの実施形態にも装備することができる。
【0050】
図8〜図12に示す平面入力キーボード80は、入力操作面82を有する静電容量式のタッチパネル84と、タッチパネル84の入力操作面82に重ねて配置され、押圧力によって局部的に弾性変形可能な弾性板状部材86とを備えている。
【0051】
静電容量式のタッチパネル84は、基板88と、基板88の両面に設けられ、それぞれが複数の帯状部分(図示せず)に分割された一対の導電膜90、92とを備え、それら導電膜90、92の帯状部分が互いに直交する方向へ延びるように配置されて構成される。図示構成では、一方(図で上方)の導電膜92が入力側に配置され、導電膜92を設けた基板88の表面が入力操作面82を構成している。基板88は、例えばガラス板、プラスチック板等から作製される。
【0052】
個々の導電膜90、92には、複数の帯状部分に電圧が印加され、オペレータが指を入力操作面82の所望位置に接近させるか接触させる(すなわちタッチ入力する)と、両導電膜90、92の個々の帯状部分に、タッチ点からの距離に応じた電流変化が生じ、各帯状部分における電流変化量からタッチ点の二次元座標が検出される。このような入力座標検出方式は、投影型容量結合(プロジェクテッドキャパシティブ)方式として知られている。なお、タッチパネル84として、2枚の基板の相互対向面にそれぞれが複数の帯状部分に分割された一対の導電膜を設けて構成される投影型容量結合(プロジェクテッドキャパシティブ)方式の静電容量式タッチパネルや、1枚の基板の一表面の全体に一様に導電膜を設けて構成される表面容量結合(サーフェイスキャパシティブ)方式の静電容量式タッチパネルを用いることもできる。静電容量式タッチパネル自体の構成は公知であるので、さらなる詳細を省略する。
【0053】
弾性板状部材86は、図1に示す弾性板状部材16と同様の平板状の部材であって、タッチパネル84の入力操作面82に対向する内面94と、内面94の反対側で入力操作面82に対向しない外面(すなわち露出面)96とを有する。弾性板状部材86には、図1に示す入力領域22及び非入力領域24に相当する複数の入力領域98及び非入力領域100が設けられる。
【0054】
図8に示す実施形態では、入力領域98及び非入力領域100は、同じ押圧力に対して異なる弾性変形様態を示す互いに異なる形状を有する部分として、弾性板状部材86に設けられる。具体的には、入力領域98は非入力領域100よりも小さな厚みを有し、弾性板状部材86の内面94に、入力領域98と非入力領域100との厚みの差によって入力領域98に与えられる凹部102が形成される。
【0055】
図8の平面入力キーボード80では、オペレータは、弾性板状部材86の入力領域98に表示される文字、数字、記号等のキー表示(図示せず)に従って、所望の入力領域98を打鍵操作することができる(図8(a))。入力領域98におけるキー表示は、タッチパネル84を挟んで弾性板状部材86とは反対側に設置される表示装置(図示せず)の画面表示、タッチパネル84の入力操作面82への印刷表示、弾性板状部材86自体への印刷表示、印刷シート(図示せず)の組み込み等によって実現できる。
【0056】
入力領域98は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル84の入力操作面82の、入力領域98に対応する位置に対し、入力操作を実行する(図8(b))。静電容量式のタッチパネル84は、弾性板状部材86の入力領域98を押圧する指と導電膜90、92との距離の変化(従って静電容量の変化)に応じて、前述した各導電膜90、92の帯状部分に電流変化を生じる。タッチパネル84の信号処理部(図示せず)は、オペレータの打鍵操作による各導電膜90、92の電流変化が所定の閾値を超えたときに、その押圧位置を前述した手法により二次元座標で特定し、以って、入力操作されたキーを特定する。
【0057】
図8の平面入力キーボード80においても、弾性板状部材86の入力領域98及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。ここで、図8の構成では、入力領域98は非入力領域100よりも薄肉であって、入力領域98には弾性板状部材86の内面94側に凹部102が形成されているから、入力領域98は非入力領域100に比べて、同じ押圧力の下で一層容易に弾性変形する。したがって、タッチパネル84の入力操作を実行するに十分な程度まで弾性板状部材86を弾性変形させるに要する押圧力の範囲が、入力領域98では、メカニカルキースイッチを有するキーボードにおいて一般的に設定されているキー入力時の押下力の範囲に相当するもの(以下、通常押圧力と称する。)になる一方、非入力領域100では、通常押圧力を超える範囲(以下、過大押圧力と称する。)になるように、弾性板状部材86の寸法(特に厚み)や素材を選定することにより、タッチパネル84の入力操作を許容する入力領域98とタッチパネル84の入力操作を許容しない非入力領域100とを構成できる。
【0058】
図8の構成では、入力領域98と非入力領域100との厚みの差(すなわち凹部102の深さ)の選択により、オペレータが指を弾性板状部材86の外面96に接触させてから入力領域98を撓ませて入力を完了するまでに至る操作ストロークを、適宜設定できる。凹部102は、一体成形品としての弾性板状部材86の成形時に型内で形成してもよいし、複数の素材の積層体としての弾性板状部材86の素材積層時に形成してもよい。また図8の構成では、弾性板状部材86の入力領域98が非入力領域100に比べて容易に弾性変形するから、オペレータは、入力領域98を正確に打鍵しているか否かを、指先に受ける操作感覚から判断できる。
【0059】
図8の平面入力キーボード80では、入力領域98と非入力領域100とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材86を例えば二色成形法により作製して、非入力領域100を入力領域98よりも弾性変形し難い材質にすることで、入力領域98と非入力領域100とを構成することもできる。
【0060】
図8の平面入力キーボード80では、弾性板状部材86の内面94側に形成される凹部102に空気が封入されていると、空気ばねにより、入力領域98の打鍵操作特性が影響を受ける場合がある。そこで、弾性板状部材86の内面94の所要位置に、凹部102と外部との空気の流通を許容する通路(図示せず)を形成することができる。
【0061】
図9に示す実施形態(図8の平面入力キーボード80の変形形態)では、入力領域98及び非入力領域100は、同じ押圧力に対して異なる弾性変形様態を示す互いに異なる形状を有する部分として、弾性板状部材86に設けられる。具体的には、入力領域98は非入力領域100よりも大きな厚みを有し、弾性板状部材86の外面96に、入力領域98と非入力領域100との厚みの差によって入力領域98に与えられる凸部104が形成される。
【0062】
図9の平面入力キーボード80は、タッチパネル84を挟んで弾性板状部材86とは反対側に設置されるLCD等の表示装置106を備えている。また、タッチパネル84及び弾性板状部材86は、弾性板状部材86の外面96側から表示装置106の画面108を視認できる光透過性を有する。したがってオペレータは、弾性板状部材86の入力領域98にて視認される表示装置106の画面108のキー表示に従って、所望の入力領域98を打鍵操作することができる。入力領域98は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル84の入力操作面82の、入力領域98に対応する位置に対し、入力操作を実行する。静電容量式のタッチパネル84は、弾性板状部材86の入力領域98を押圧する指と導電膜90、92との距離の変化(従って静電容量の変化)に応じて、前述した各導電膜90、92の帯状部分に電流変化を生じる。タッチパネル84の信号処理部は、オペレータの打鍵操作による各導電膜90、92の電流変化が所定の閾値を超えたときに、その接触位置を前述した手法により二次元座標で特定し、以って、入力操作されたキーを特定する。
【0063】
図9の平面入力キーボード80においても、弾性板状部材86の入力領域98及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。ここで、図9の構成では、入力領域98は非入力領域100よりも厚肉であるから、入力領域98は非入力領域100に比べて、同じ押圧力の下では弾性変形し難くなる。その反面、入力領域98には弾性板状部材86の外面96側に凸部104が形成されているから、入力領域98を外面96上の凸部104として視覚的及び触覚的に容易に認識できる。また、一般的なキーボードのキー配列に従った場合、隣り合う入力領域98の間に形成される非入力領域100は、入力領域98に比べて面積が小さくなるので、オペレータは入力領域98を正確に打鍵することができる。
【0064】
図9の平面入力キーボード80では、入力領域98と非入力領域100とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材86を例えば二色成形法により作製して、非入力領域100を入力領域98よりも弾性変形し難い材質にすることで、タッチパネル84の入力操作を許容する入力領域98とタッチパネル84の入力操作を許容しない非入力領域100とを構成できる。
【0065】
図9の構成では、入力領域98と非入力領域100との厚みの差(すなわち凸部104の高さ)の選択により、オペレータが指を弾性板状部材86の外面96(凸部104の頂面)に接触させてから入力領域98を撓ませて入力を完了するまでに至る操作ストロークを、適宜設定できる。凸部104は、一体成形品としての弾性板状部材86の成形時に型内で形成してもよいし、複数の素材の積層体としての弾性板状部材86の素材積層時に形成してもよい。
【0066】
図10に示す実施形態(図8及び図9の平面入力キーボード80の変形形態)では、入力領域98及び非入力領域100は、同じ押圧力に対して異なる弾性変形様態を示す互いに異なる形状を有する部分として、弾性板状部材86に設けられる。具体的には、弾性板状部材86の内面94に、入力領域98に与えられる凹部102が形成されるとともに、弾性板状部材86の外面96に、凹部102に対応して入力領域98に与えられる凸部104が形成される。これにより、非入力領域100に対して一方向へ椀状に屈曲して膨出する入力領域98が形成される。
【0067】
図10の平面入力キーボード80は、タッチパネル84を挟んで弾性板状部材86とは反対側に設置される印刷シート110を備えている。また、タッチパネル84及び弾性板状部材86は、弾性板状部材86の外面96側から印刷シート110の印刷面112を視認できる光透過性を有する。したがってオペレータは、弾性板状部材86の入力領域98にて視認される印刷シート110の印刷面112のキー表示に従って、所望の入力領域98を打鍵操作することができる。入力領域98は、オペレータの打鍵操作に応じて弾性変形し、打鍵操作による押圧力が予め定めた閾値を超えたときに、タッチパネル84の入力操作面82の、入力領域98に対応する位置に対し、入力操作を実行する。静電容量式のタッチパネル84による入力キーの特定手法は、図8及び図9の実施形態に関連して説明した通りである。
【0068】
図10の平面入力キーボード80においても、弾性板状部材86の入力領域98及びその周辺領域の弾性変形量や弾性反力により、オペレータが自己の指の操作感覚でキー入力を自覚できる打鍵操作特性が確保される。ここで、図10の構成では、入力領域98には弾性板状部材86の外面96側に凸部104が形成されているから、入力領域98を外面96上の凸部104として視覚的及び触覚的に容易に認識できる。しかも、入力領域98には弾性板状部材86の内面94側に凹部102が形成されているから、入力領域98は、タッチパネル84の入力操作面82に支持されている非入力領域100に比べて、同じ押圧力の下で一層容易に弾性変形する。したがって、タッチパネル84の入力操作を実行するに十分な程度まで弾性板状部材86を弾性変形させるに要する押圧力の範囲が、入力領域98では、メカニカルキースイッチを有するキーボードにおいて一般的に設定されているキー入力時の押下力の範囲に相当するもの(以下、通常押圧力と称する。)になる一方、非入力領域100では、通常押圧力を超える範囲(以下、過大押圧力と称する。)になるように、弾性板状部材86の寸法(特に厚み)や素材を選定することにより、タッチパネル84の入力操作を許容する入力領域98とタッチパネル84の入力操作を許容しない非入力領域100とを構成できる。
【0069】
図10の構成では、入力領域98における凹部102の深さ及び凸部104の高さの選択により、オペレータが指を弾性板状部材86の外面96(凸部104の頂面)に接触させてから入力領域98を撓ませて入力を完了するまでに至る操作ストロークを、適宜設定できる。凹部102及び凸部104は、一体成形品としての弾性板状部材86の成形時に型内で形成してもよいし、複数の素材の積層体としての弾性板状部材86の素材積層時に形成してもよい。
【0070】
図10の平面入力キーボード80では、入力領域98と非入力領域100とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材86を例えば二色成形法により作製して、非入力領域100を入力領域98よりも弾性変形し難い材質にすることで、タッチパネル84の入力操作を許容する入力領域98とタッチパネル84の入力操作を許容しない非入力領域100とを構成することもできる。
【0071】
静電容量式のタッチパネル84を備えた平面入力キーボード80においては、図11の実施形態のように、弾性板状部材86の入力領域98に、タッチパネル84の導電膜90、92から絶縁された補助導電膜114を設けることができる。図示構成では、弾性板状部材86の内面94側で入力領域98に与えられた凹部102の底面に、補助導電膜114が設けられている。入力領域98に補助導電膜114を設けることにより、打鍵操作時に、入力領域98を押圧する指と導電膜90、92との間の静電容量の変化が、補助導電膜114を設けない場合に比べて大きくなるので、タッチパネル84の感度が高まり、打鍵操作ストロークが短縮される(すなわち平面入力キーボード80の感度が高まる)。
【0072】
静電容量式のタッチパネル84を備えた平面入力キーボード80においては、図12の実施形態のように、入力領域98と非入力領域100とが互いに異なる材質(密度、素材等)を有するように、弾性板状部材86を例えば二色成形法により作製して、入力領域98を非入力領域100よりも弾性変形し易い材質にすることで、全体に一様な形状(厚み)を有する弾性板状部材86を用いた場合であっても、タッチパネル84の入力操作を許容する入力領域98とタッチパネル84の入力操作を許容しない非入力領域100とを構成できる。
【0073】
図12に示すように、平面入力キーボード80は、弾性板状部材86の非入力領域100に対応する領域におけるタッチパネル84の入力信号をキャンセルする信号処理部116を備えることができる。信号処理部116は、非入力領域100に押圧力が加わったときに、オペレータの打鍵操作による各導電膜90、92の電流変化が所定の閾値を超えたとしても、閾値を超えた電流変化により得られる入力信号をキャンセルして入力位置の特定を行わないように、予め処理ルーチンが設定される。この構成により、非入力領域100においてタッチパネル84の入力が行なわれてしまうことを、確実に防止することができる。このような信号処理部116は、図8〜図11のいずれの実施形態にも装備することができる。
【0074】
本発明は、図示の構成に限定されない。例えば、本発明の一態様による平面入力キーボードは、図示のキー配列に限らず他の様々なキー配列を有することができる。例えば、本発明の一態様による平面入力キーボードは、オーディオビジュアル機器や他の家庭用電気機器等のリモートコントロール装置のような、打鍵ないし押圧操作されるスイッチを有する種々の入力装置を、包含する。
【符号の説明】
【0075】
10、30、80 平面入力キーボード
12、32、82 入力操作面
14、34、84 タッチパネル
16、36、86 弾性板状部材
18、52、94 内面
20、54、96 外面
22、56、98 入力領域
24、58、100 非入力領域
50 ドットスペーサ
60、102 凹部
62、104 凸部
72、116 信号処理部
114 補助導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作面を有するタッチパネルを具備する平面入力キーボードにおいて、
前記タッチパネルの前記入力操作面に重ねて配置され、押圧力によって局部的に弾性変形可能な弾性板状部材を具備し、
前記弾性板状部材は、前記押圧力により前記入力操作面に向かって弾性変形することで前記タッチパネルの入力操作を許容する入力領域と、前記押圧力による弾性変形の有無に関わらず前記タッチパネルの入力操作を許容しない非入力領域とを有すること、
を特徴とする平面入力キーボード。
【請求項2】
前記入力領域は前記非入力領域よりも小さな厚みを有し、前記弾性板状部材は、前記タッチパネルの前記入力操作面に対向する内面に、前記入力領域と前記非入力領域との厚みの差によって前記入力領域に与えられる凹部を有する、請求項1に記載の平面入力キーボード。
【請求項3】
前記入力領域は前記非入力領域よりも大きな厚みを有し、前記弾性板状部材は、前記タッチパネルの前記入力操作面に対向しない外面に、前記入力領域と前記非入力領域との厚みの差によって前記入力領域に与えられる凸部を有する、請求項1に記載の平面入力キーボード。
【請求項4】
前記弾性板状部材は、前記タッチパネルの前記入力操作面に対向する内面に、前記入力領域に与えられる凹部を有するとともに、該内面とは反対側の外面に、該凹部に対応して前記入力領域に与えられる凸部を有する、請求項1に記載の平面入力キーボード。
【請求項5】
前記入力領域と前記非入力領域とが互いに異なる材質を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平面入力キーボード。
【請求項6】
前記タッチパネルは、基板及び該基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えてそれら導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされる一対の電極板と、該一対の電極板の互いに対向する該導電膜の間に分散して配置される複数のドットスペーサとを具備し、前記弾性板状部材の前記入力領域に対応する領域における前記ドットスペーサの配置密度が、前記弾性板状部材の前記非入力領域に対応する領域における前記ドットスペーサの配置密度よりも小さい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平面入力キーボード。
【請求項7】
前記タッチパネルは、基板及び該基板の表面に設けられる導電膜をそれぞれに備えてそれら導電膜を互いに導通接触可能に対向かつ離間させた相対配置で組み合わされる一対の電極板を具備し、
前記弾性板状部材の前記非入力領域に対応する領域における前記タッチパネルの入力信号をキャンセルする信号処理部をさらに具備する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の平面入力キーボード。
【請求項8】
前記タッチパネルは、単一の導電膜又は互いに絶縁して対面配置される一対の導電膜を具備し、
前記弾性板状部材の前記非入力領域に対応する領域における前記タッチパネルの入力信号をキャンセルする信号処理部をさらに具備する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の平面入力キーボード。
【請求項9】
前記弾性板状部材の前記入力領域に、前記タッチパネルの前記導電膜から絶縁された補助導電膜が設けられる、請求項8に記載の平面入力キーボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−50903(P2013−50903A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189407(P2011−189407)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】