説明

床パネル接合方法および床パネル接合用雇い実

【課題】 熱や力が加わっても隙間が生じ難い実接合を実現することのできる床パネル接合方法および床パネル接合用雇い実を提供する。
【解決手段】 金属爪32a,32bを持つ雇い実3を床パネル1a,1bの接合端部に設けられたメス実2a,2bに嵌入させ、接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際にその力に対抗するよう金属爪がメス実内にて突っ張ることができる状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、床暖房等に用いられる床パネル同士を実接合させる方法、およびそれに用いられる雇い実に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接する床パネル同士の接合方法としては、たとえば図3に示したように、各床パネル1a,1bの接合端部に設けられた凹溝状のメス実2a,2b間に雇い実3を嵌入させる方法が知られている(たとえば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2000−129896号公報
【特許文献2】特開平6−158835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この接合方法では、図4に示したように、床パネル1a,1bが乾燥した際に含水率の低下によって縮み、実接合した端部間に隙間が生じる恐れがある。
【0004】
特に、合板基材などを用いた木質の床パネル1a,1bが床暖房に利用されるものである場合には、熱がかかるために乾燥収縮による隙間が発生し易いと考えられる。
【0005】
また、床暖房の場合では、一枚毎のメンテナンスを可能ならしめるために、メス実2a,2bと雇い実3をボンド等によって接着していない。このため、熱や力が加わると目隙がより発生し易いのである。
【0006】
そこで、以上のとおりの事情に鑑み、本願発明は、熱や力が加わっても隙間が生じ難い実接合を実現することのできる床パネル接合方法、およびそれに用いられる床パネル接合用雇い実を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、隣接する床パネル同士を実接合させる床パネル接合方法であって、金属爪を持つ雇い実を各床パネルの接合端部に設けられたメス実に嵌入させ、接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際にその力に対抗するよう金属爪がメス実内にて突っ張ることができる状態にすることを特徴とし、第2には、雇い実の金属爪は、くの字状に折り曲げられた一対の金属板でなり、それぞれ、雇い実本体の左半分および右半分の適宜位置にてメス実への嵌入方向に折り曲げ頂部が向くよう対称配置されて備え付けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本願発明は、第3には、隣接する床パネル同士を各々の接合端部に設けられたメス実にて実接合させるための床パネル接合用雇い実であって、接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際にその力に対抗するようメス実内にて突っ張る金属爪を、表面から突出して有していることを特徴とし、第4には、雇い実の金属爪は、くの字状に折り曲げられて対称配置された一対の金属板でなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の発明によれば、熱や力が加わって床パネルの接合端部同士を離す方向の力が床パネル自体に生じても、金属爪がメス実の内壁面に引っ掛かったり食い込んだりしてメス実内で突っ張ることで、接合端部間に隙間が発生することを効果的に防止できる。これにより、たとえば床パネルを床暖房に用いた場合でも、暖房時の乾燥収縮による隙間が発生し難くなる。
【0010】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明と同様な効果が得られ、また、くの字状に折り曲げられた一対の金属板でなる金属爪がそれぞれ雇い実本体の左半分および右半分にて折り曲げ頂部がメス実への嵌入方向を向くように対称配置されて備え付けられていることで、金属爪の先端がメス実への嵌入方向とは逆方向に向かって傾斜した状態で雇い実本体から突出することになり、よって、その先端が雇い実をメス実に嵌入させる際にはメス実の内壁面に引っ掛からずに、スムーズな嵌入が実現され、逆に接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際には、つまりその力によって雇い実が抜けそうになる際には、先端がメス実内にてよりしっかりと引っ掛かったり食い込んだりして突っ張ることで、より一層効果的に接合端部間の隙間の発生を防ぐことができる。
【0011】
上記第3の発明によれば、上記第1の発明と同様な効果が得られる雇い実が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1および図2は、本願発明の一実施形態を示したものである。
【0013】
この実施形態では、雇い実3は、雇い実本体31と、くの字状に折り曲げられた一対の金属板がそれぞれ雇い実本体31の左半分および右半分の適宜位置にてメス実2a,2bへの嵌入方向に折り曲げ頂部が向くよう対称配置されて備え付けられてなる金属爪32a,32bとで構成されている。
【0014】
より具体的には、雇い実本体31は、床パネル1a,1b各々の接合端部に蟻溝等の凹溝状に形成されたメス実2a,2bに、左半分、右半分が嵌め込まれる形状および寸法となっている。
【0015】
金属爪32a,32bについては、図2に示すように、くの字状に折り曲げられた金属板が用いられ、その金属板が、雇い実本体31の上記左半分および右半分の適宜位置に、折り曲げ頂部がメス実2a,2bへの嵌入方向を向くよう、言い換えるとくの字の頂部が左方向および右方向へ向くよう、且つ板端部が上方および下方へ突出するよう備え付けられている。これにより、金属爪32a,32bは、雇い実本体31の左半分上下面および右半分上下面から突出した爪として、雇い実本体31に一体化されることになる。このとき、その爪先は、メス実2a,2bへの嵌入方向とは逆方向に向かって傾斜した状態、言い換える上下面の略中央に向かって内傾した状態で雇い実本体31から突出している。また、上下対称に突出してもいる。
【0016】
なお、たとえば、雇い実本体31は樹脂製とすることができ、樹脂製の雇い実本体31と金属爪32a,32bとをインサートモールド成形等により一体化することで、雇い実3を製造できる。
【0017】
以上の雇い実3をメス実2a,2bに嵌入させて床パネル1a,1b同士を実接合させることで、床パネルの接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際に、雇い実本体31から飛び出ている左右の金属爪32a,32bの爪先が左右のメス実2a,メス実2bそれぞれの内壁に引っ掛かったり食い込んだりして突っ張る状態となるため、対向する接合端部が離れて隙間が生じるのを効果的に防ぐことができる。
【0018】
もちろん金属爪32a,32bの爪先は、より食い込み易くするために、刃状になっていることが好ましい(図1中の拡大図参照)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の一実施形態を示した断面図である。
【図2】本願発明の一実施形態を示した別の断面図である。
【図3】従来の実接合について説明するための図である。
【図4】従来の実接合について説明するための別の図である。
【符号の説明】
【0020】
1a,1b 床パネル
2a,2b メス実
3 雇い実
31 雇い実本体
32a,32b 金属爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する床パネル同士を実接合させる床パネル接合方法であって、金属爪を持つ雇い実を各床パネルの接合端部に設けられたメス実に嵌入させ、接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際にその力に対抗するよう金属爪がメス実内にて突っ張ることができる状態にすることを特徴とする床パネル接合方法。
【請求項2】
雇い実の金属爪は、くの字状に折り曲げられた一対の金属板でなり、それぞれ、雇い実本体の左半分および右半分の適宜位置にてメス実への嵌入方向に折り曲げ頂部が向くよう対称配置されて備え付けられていることを特徴とする請求項1記載の床パネル接合方法。
【請求項3】
隣接する床パネル同士を各々の接合端部に設けられたメス実にて実接合させるための床パネル接合用雇い実であって、接合端部同士を離す方向の力が床パネルに生じた際にその力に対抗するようメス実内にて突っ張る金属爪を、表面から突出して有していることを特徴とする床パネル接合用雇い実。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−57360(P2006−57360A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241613(P2004−241613)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】