床暖房用石材
【課題】床暖房用に使用される石材からの放熱効果を発揮させる上で、石材本体の曲げ強度を低下させることなく、発熱体への電力の供給をし続ける必要を解消する。
【解決手段】板状に形成された石材本体2の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部2aを形成し、この複数の凹部2aを石材本体2の全面に分散して配置し、床暖房用石材1を構成する。
石材本体2を厚さ方向に貫通させて凹部2aを形成する。
凹部2aを石材本体2の周囲を除いた領域にスリット状に形成し、凹部2aの、石材本体2の背面からの深さを石材本体2の周囲寄りで小さくする。
凹部2a内に、発熱体3からの熱を石材本体2に伝える伝熱体4を挿入する。
【解決手段】板状に形成された石材本体2の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部2aを形成し、この複数の凹部2aを石材本体2の全面に分散して配置し、床暖房用石材1を構成する。
石材本体2を厚さ方向に貫通させて凹部2aを形成する。
凹部2aを石材本体2の周囲を除いた領域にスリット状に形成し、凹部2aの、石材本体2の背面からの深さを石材本体2の周囲寄りで小さくする。
凹部2a内に、発熱体3からの熱を石材本体2に伝える伝熱体4を挿入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床暖房用に使用される床暖房用石材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板状に成型された石材を床暖房の床材として使用する方法では、適度の熱伝導率を有する石材を利用して石材の上の空間を暖房するため、石材の背面に熱源としての発熱体が敷設される(特許文献1、2参照)。
【0003】
発熱体の使用中には発熱体が石材背面に接した状態で熱が石材表面にまで伝導し、その状態が継続するよう、発熱体の温度が常に一定に維持される必要があることから、発熱体には電源からの電力の供給を受け続ける導電シートの使用が不可欠になる(特許文献1、2参照)。
【0004】
また発熱体からの熱が石材の一部に集中的に伝わることを緩和させ、発熱体の熱を分散させて石材に伝導させるために、発熱体と石材との間に均熱板を介在させることもある(特許文献1参照)。
【0005】
特に発熱体から石材表面までの熱伝導効率を高めたい場合には、石材本体の背面側に凹部を形成し、この凹部内に発熱体(ヒーター)を収納することが行われる(特許文献3、4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−314536号公報(請求項1、段落0013〜0014、0020〜0025、0029〜0032、図2〜図3)
【特許文献2】実用新案登録第3075593号公報(請求項1、段落0019〜0025、図1、図3)
【特許文献3】特開平6−159695号公報(請求項2、段落0010〜0011、図2)
【特許文献4】特開平11−83057号公報(請求項3、段落0019、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2では石材の背面に発熱体が接触した状態にあるとき、発熱体の熱は石材背面から表面へかけて石材の厚さ方向に伝導するため、石材の厚さ(板厚)が大きければ石材背面からその表面までに熱が伝わり、石材表面上に暖房効果が表れるまでに時間を要する。
【0008】
従って床暖房用床材としての石材の暖房効率を上げる上では、石材の厚さを抑える方がよいが、厚さを小さくすれば上載荷重(鉛直荷重)に対する石材の曲げ強度を低下させるため、石材の厚さを低減させることには限界がある。
【0009】
特許文献3、4では凹部に発熱体が完全に収納されるだけの大きさを与えなければならないため、石材本体が元々有する板厚を不必要に減少させ、凹部が形成された領域の曲げ強度を低下させる不利益がある。この場合、石材本体の凹部の形成領域が薄肉化するため、床材として使用される場合に、上載荷重によって石材が破壊し易くなる。
【0010】
逆に特許文献3、4において石材本体に十分な曲げ強度を与えるには、加工前の元の石材に、本来、必要とされる石材本体の板厚に、発熱体の厚さを加えた大きさの厚さを与えておかなければならない。この場合、石材本体が必要以上に厚くなり、質量も大きくなるため、石材の使用効率が悪くなる。
【0011】
本発明は上記背景より、石材本体の曲げ強度を低下させることなく、石材表面からの放熱効果を有効に発揮させる形態の床暖房用石材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の床暖房用石材は、板状に形成された石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部が形成され、この複数の凹部が前記石材本体の全面に分散して配置されていることを構成要件とする。
【0013】
凹部は石材本体の表面、もしくは背面の全面の中で点状、あるいは線状等に形成され、具体的には例えば孔状に、または石材本体の面内方向に長さを持ったスリット状に形成される。孔状の凹部はドリル等によって形成され、スリット状の場合には電動カッター等によって形成される。石材本体は主に方形状等、多角形状に形成されるが、平面形状は問われない。
【0014】
凹部は石材本体の表面からその上の空気に均等に熱が放出される上では、孔状の場合には複数の凹部が石材本体の平面上、均等に分散して配置されることが適切であり、スリット状の場合には複数の凹部が凹部の長さ方向に交差する方向に等間隔を置いて配列することが適切である。
【0015】
石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中途までの区間に凹部が形成されることで、石材本体の背面に発熱体が接触している状態では、石材本体背面から表面へ石材本体の断面(凹部以外の部分)を通じて熱が伝導することに加え、発熱体に熱せられた凹部内の空気が凹部の奥まで到達する。
【0016】
この結果、凹部の奥からも熱が石材本体の断面を通じて石材本体表面まで伝導するため、凹部がない場合より発熱体から石材本体表面への熱の伝導効率と石材表面からの放熱効果が向上し、発熱体の熱が石材本体表面から放熱されるまでの時間が短縮される(表1、図12、図13)。凹部内の空気が熱せられることは熱の対流によって起こる。
【0017】
また凹部内で熱せられた空気が凹部内に留まろうとすることで、石材本体背面からの熱伝導のみによる場合より石材本体の蓄熱性も向上するため、発熱体が熱源としての機能を失った後にも石材本体の放熱効果(暖房効果)が持続する傾向が強まる。特に凹部が石材本体の全体に分散して形成されることで、石材本体からは均等に放熱されるため、放熱が特定の領域に集中することはない。
【0018】
石材本体には凹部が形成されるものの、例えば点状や線状等に、全体的に分散して形成されることで、石材本体の表面、もしくは背面の面積(平面積)に占める凹部の領域が部分的で済むため、石材本体の板厚が低減されることにはならない。全体的には凹部が形成されない状態の石材本体と同じ板厚を持った石材と同等程度の曲げ強度を発揮する。
【0019】
石材本体に凹部が形成されながらも、凹部は点状、あるいは線状等であることで、図7−(a)に示すように石材本体がその厚さ方向に受ける荷重を凹部以外の部分(中実部分)にアーチ作用により流す働きをする。また図9に示すように凹部以外の部分が石材本体に生ずる曲げモーメントに抵抗するリブとして機能することも期待されるため、凹部の形成によって石材本体の曲げモーメントに対する抵抗力が格別、低下することはない。従って特許文献3、4のような、石材本体に発熱体が納まる大きさの凹部を形成する場合の問題は発生しない。
【0020】
請求項2に記載のように凹部が石材本体を厚さ方向に貫通している場合には、凹部内の空気が石材表面にまで連通することで、発熱体からの対流による熱が石材表面にまで直接、到達するため、石材背面から表面への熱の伝達効率がより向上する。石材本体を厚さ方向に貫通する凹部は、凹部が孔状であるか、スリット状であるかに関係なく形成される。スリット状の場合にも、凹部が石材本体の側面間に連続して形成されない限り、石材本体を貫通できることによる。
【0021】
請求項2では凹部が石材本体を貫通することで、貫通しない場合より曲げ強度が低下することが想定されるが、石材本体の平面積に占める凹部の領域が部分的であることで、図7−(b)に示すように凹部以外の部分におけるアーチ作用とリブとしての機能は維持されるため、凹部が貫通することによる曲げ強度の低下が問題になることはない。
【0022】
請求項3に記載のように請求項2において凹部の、石材本体の背面側の断面と表面側の断面の大きさが相違している場合には、例えば孔状の凹部がその大きい側の断面と同一断面のまま厚さ方向に連続している場合との対比では、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達されにくくなり、凹部を通じた石材本体の背面から表面への熱の伝達を制御できる利点がある。ここで言う凹部の断面は石材本体の表面に平行な切断面(孔の軸方向に直交する断面)を言う。
【0023】
凹部の断面は図8に示すように石材本体の背面側から表面側へかけて次第に変化する場合と、図7−(b)に示すように段階的に変化する場合があり、断面の変化には図8−(a)に示すように石材本体の背面側から表面側へかけて小さくなる場合と、図8−(b)に示すように大きくなる場合がある。図8では便宜上、円錐台形の凹部を示しているが、径の異なるドリルを使用することによりこれに近い形状の凹部が形成される。
【0024】
図8−(a)に示すように例えば孔状の凹部の断面が石材本体の背面側から表面側へかけて小さくなる場合には、凹部の石材本体背面側の断面が表面側まで一定の場合との対比では、対流による発熱体からの熱の伝達が石材本体表面側で緩和されるため、上記のように発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達されにくくなる。
【0025】
凹部の断面が石材本体の背面側から表面側へかけて小さくなる場合において、凹部がその小さい側の断面と同一断面のまま厚さ方向に連続している場合との対比では、熱の出口(石材表面側)が同一のまま入り口(石材背面側)が拡大されることになる。従って凹部内で発熱体に接触する面積が大きくなるため、凹部内に存在し、発熱体により直接熱せられる空気の量が増える結果、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達され易くなる。
【0026】
逆に図8−(b)に示すように石材本体の背面側から表面側へかけて凹部の断面が大きくなる場合には、凹部の石材本体背面側の断面が表面側まで一定の場合との対比では、熱の入り口(石材背面側)が同一のまま出口(石材表面側)が拡大されることになるため、凹部内の熱が石材本体の表面側へ放出され易くなり、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達され易くなる。
【0027】
石材本体の背面側から表面側へかけて凹部の断面が大きくなる場合において、凹部の石材本体表面側の断面が背面側まで一定の場合との対比では、熱の出口(石材表面側)が同一のまま入り口(石材背面側)が縮小されることになる。従って凹部内で発熱体に接触する面積が小さくなるため、発熱体により直接熱せられる空気の量が減る結果、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達されにくくなる。
【0028】
このように請求項3では凹部の断面を石材本体の厚さ方向に変化させることで、発熱体からの熱の、石材本体表面までの伝達を促すか、または抑制することができるため、凹部を通じた石材本体の背面から表面への熱の伝達を制御できることになる。
【0029】
床暖房用石材は水平1方向、または2方向に互いに隣接して配置される。ここで、隣接する石材間に空隙が確保(形成)される場合において、スリット状の凹部が形成される場合のように、凹部が石材本体の対向する側面間を貫通する等、凹部内の空気が石材本体の側面に連通することによって凹部内の熱が石材間の空隙に放出されることが想定される場合には、スリット状の凹部は石材本体の周囲(縁)を除いた領域に形成される。
【0030】
特に請求項4に記載のように凹部を石材本体の周囲を除いた領域にスリット状に形成し、凹部の、石材本体の背面からの深さを石材本体の周囲寄りで小さくした場合には、隣接する石材間に空隙が存在しても凹部内に存在する熱せられた空気の漏れが生じにくい上、高温の空気が使用状態にある石材本体の凹部の奥に留まり易いため、凹部内の空気の保温効果が高まる利点がある。スリット状の凹部は1方向に配列するか、2方向に交差して配列する。
【0031】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の床暖房用石材は背面に発熱体(導電シート)が直接、もしくは間接的に接触した状態で発熱体上に敷設される。発熱体としては、例えば炭化繊維をプラスチックフィルム(ラミネートフィルム)等で挟み込んで密封した形態の導電シートが使用される。
【0032】
また請求項5に記載のように請求項1〜請求項4のいずれかに記載の床暖房用石材において、石材本体の凹部内に、発熱体からの熱を石材本体に伝える伝熱体が挿入されている場合には、発熱体からの熱が凹部内の伝熱体に伝わり、凹部内に空気のみが存在する場合より凹部内の熱の保温性が高まるため、石材本体の放熱効果(暖房効果)の持続性が一層強まる。伝熱体には発熱体と同一素材の使用が適する。例えば発熱体に前記の炭化繊維を使用した場合には、例えば炭化物を炭化繊維やプラスチックフィルム製等の袋体で包囲することにより伝熱体が構成される。
【発明の効果】
【0033】
板状に形成された石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部を形成しているため、石材本体の凹部以外の部分における熱伝導に加え、凹部内の空気を利用した熱伝導により発熱体からの熱を石材の表面まで伝えることができる。この結果、石材の背面から表面までの熱伝導効率が向上し、発熱体の熱が石材本体表面から放熱されるまでの時間を短縮することができる。
【0034】
また凹部内の空気を通じて発熱体の熱が石材本体に伝わることで、背面からの熱伝導のみによる場合より石材本体における蓄熱性が向上するため、発熱体が熱源としての機能を失った後にも石材本体の放熱効果が維持され、石材本体上の空気の保温性が高まる。
【0035】
凹部は石材本体に全体的に分散して形成され、石材本体の平面積に占める凹部の領域が部分的であるため、石材本体の板厚が低減されることにはならず、全体的には凹部が形成されない状態の石材本体が有する板厚を持った石材と同等程度の強度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0037】
図1、図2は板状に形成された石材本体2の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部2aが形成され、この複数の凹部2aが石材本体2の全面に分散して配置されている床暖房用石材(以下、石材と言う)1の具体例を示す。図1、図2では石材本体2を方形状に形成しているが、石材本体2の平面形状は任意であり、多角形状、あるいは円形状に形成されることもある。
【0038】
凹部2aは主に図1に示すように円形の孔状に、または図2に示すようにスリット状に形成されるが、この例には限定されず、複数の凹部2aが分散して配置される限り、任意の形態に形成される。凹部2aは孔とスリットが組み合わせされた形状に形成されることもある。
【0039】
図1、図2はいずれも石材本体2の背面(裏面)を示しており、石材本体2は床暖房材としての使用時には背面を下に向けて配置される。図1、図2は凹部2aの深さが石材本体2の板厚(石厚)より小さい場合の例を示している。図1中、左下の破線は凹部2aの深さを示している。石材本体2には大理石、御影石、花崗岩、凝灰岩等の天然石材の他、コンクリート等、または無機材料と有機材料等を原料として成型される人工石材が使用される。
【0040】
図1では孔状の凹部2aを石材本体2の面内の2方向の直線(座標)上に整然と配列させているが、孔状の凹部2aは石材本体2の平面上、均等に分散して配置されていればよく、配置の仕方は自由である。分散して配置とは、石材本体2の平面上、一部の領域に集中して配置されることがないことを言う。図2では1方向に連続するスリット状の凹部2aをその方向に直交する方向に一定の間隔を置いて配列させているが、配列方向は凹部2aの長さ方向に直交する方向である必要はなく、凹部2a、2a間の間隔は必ずしも一定である必要もない。スリット状の凹部2aは2方向以上に交差して配列することもある。
【0041】
図1に示す形態の石材1の表面と背面を図3−(a)、(b)に、石材1の使用時の状態を図3−(c)に示す。図3−(c)に示すように石材1は発熱体(導電シート)3に直接接触した状態で、または間接的に接触した状態で発熱体3上に載置され、発熱体3からの熱が石材1の背面から表面へ伝導する状態に置かれる。発熱体3は石材1が設置される構造物の構造形式に応じ、床スラブや床板、土間等、床仕上げ材を支持する面材、あるいは構造材の上に設置される。
【0042】
図3の例では凹部2aが石材本体2の背面側から形成され、石材1の使用状態ではその背面の全面が発熱体3に接触していることから、凹部2a内の空気の逃げ道がないため、発熱体3に熱せられた凹部2a内の空気による熱は石材1の凹部2aから、石材1を厚さ方向に貫通する方向の熱伝導により石材1の表面に伝達される。
【0043】
発熱体3は前記面材や構造材の上に、上面が平坦面をなした状態で、水平1方向、または2方向に平面をなすように連続的に敷設され、石材1は発熱体3上に直接、もしくは間接的に水平1方向、または2方向に平面をなすように連続的に敷設される。例えば発熱体3の上面に不陸が想定されるような場合には、その不陸を均すためのレベル調整材を介して石材1が発熱体3に間接的に接触した状態で設置される。この場合のレベル調整材には発熱体3から石材1への熱伝導を阻害しない材料が使用される。
【0044】
発熱体3は石材1を支持したときに破裂しないだけの引張強度と加工の自由度が高い弾性を有するプラスチックフィルム製等の袋体3a内に、例えば炭化繊維等を充填し、密閉することにより構成される。
【0045】
石材1、1は水平1方向、または2方向に互いに隣接しながら発熱体3上に敷設される。石材1、1間には空隙が形成される場合と形成されない場合があり、空隙からの熱の漏れを防止する必要があれば、空隙にシーリング材が充填され、空隙が閉塞させられる。
【0046】
図4−(a)、(b)は図2に示す形態の石材1の表面と背面を、(c)は使用時の状態をそれぞれ示す。図2、図4ではスリット状の凹部2aが1方向に間隔を置き、石材本体2の対向する側面間に亘って連続的に形成された石材1の製作例を示しているが、スリット状の凹部2aはその長さ方向に断続的に形成されることもある。スリット状の凹部2aは凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通しない場合には、図9に示すように平面上、2方向に交差して形成されることもある。
【0047】
図11はスリット状の凹部2aを石材本体2の対向する側面寄りの部分(周囲、もしくは縁の部分)を除いて連続的に、2方向に交差させて形成した場合の石材1の例を示す。この例のようにスリット状の凹部2aが石材本体2の側面に連通しない場合には凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通することもある。図11では凹部2aが石材本体2の側面に連通しないことで、凹部2a内の熱を石材本体2の側面から損失させない利点がある。
【0048】
図2、図4の例ではスリット状の凹部2aが石材1の対向する側面間に連続して形成されていることから、隣接する石材1、1間に空隙があれば、その空隙から熱せられた空気が漏れるため、熱は熱伝導に加え、石材1の側面を回り込んで直接、石材1の表面に伝達される。石材1、1間の空隙は隣接する石材1、1が互いに間隔を置いて配列する場合の他、隣接する石材1、1が互いに密着した状態で配列する場合にも形成される。石材1、1間の空隙が無用な場合には前記のように空隙にシーリング材が充填される。
【0049】
図5−(a)、(b)は孔状の凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通して形成された場合の石材1の表面と背面を、(c)は使用時の状態をそれぞれ示す。ここでは凹部2aが同一断面(同一大きさ)のまま、石材本体2の厚さ方向に連続しているが、凹部2aの断面は厚さ方向に変化し、図8に示すように石材本体2の背面側から表面側へかけて段階的に小さくなることも大きくなることもある。
【0050】
図6−(a)、(b)は孔状の凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通して形成された場合において、凹部2aの、石材本体2の背面側の断面と表面側の断面の大きさが相違している場合の石材1の表面と背面を、(c)は使用時の状態をそれぞれ示す。ここでは石材本体2の背面側の断面が表面側の断面より大きい場合を示しているが、逆の場合もある。
【0051】
図5、図6の例では凹部2aが石材本体2を貫通していることから、凹部2a内で熱せられた空気は石材1の表面に直接、伝達されるため、発熱体3からの熱の伝達の程度は図4の例より高い。図6の例ではまた、孔状の凹部2aの断面の大きさ(断面積)が石材1の表面側と背面側とで相違することから、凹部2aの形状を設定することにより凹部2aを通じての熱の伝達の程度を調整(制御)することができる利点がある。
【0052】
図7は石材1が床材として使用されたときの、孔状の凹部2aの周りの部分における力の流れを示す。(a)は凹部2aが石材本体2を貫通しない場合、(b)は凹部2aが石材本体2を貫通し、背面側の断面積が表面側の断面積より大きい場合である。
【0053】
図8は凹部2aが石材本体2を貫通し、孔状の凹部2aの断面積が背面側から表面側へかけて次第に変化する場合の形成例を示す。(a)は凹部2aの断面積が背面側から表面側へかけて次第に小さくなる場合、(b)は次第に大きくなる場合である。図中の破線は凹部2aの断面積が最大の位置と最小の位置を通り、凹部2aの中心軸に平行な直線を示す。
【0054】
図9は1方向に連続するスリット状の凹部2aを2方向に配列させた場合の凹部2aの形成例を示す。ここでは凹部2aが石材本体2を貫通しない様子を示しているが、前記のように石材本体2の周囲の部分(縁)を除いて凹部2aが形成される場合には、凹部2aは石材本体2を厚さ方向に貫通することもある。この他、スリット状の凹部2aはその長さ方向に断続的に形成されることもある。
【0055】
図10−(a)、(b)は図8−(a)、(b)に示す石材本体2の凹部2a内に背面側から、発熱体3からの熱を石材本体2に伝える伝熱体4を挿入することにより、凹部2a内の熱の保温性を高めた例を示す。伝熱体4には発熱体3からの熱の効率的に伝達されるよう、基本的には炭化繊維等、発熱体3と同一素材が使用されるが、素材は任意である。この例では発熱体3からの熱が直接、伝熱体4に伝達され、凹部2a内に籠るため、石材本体2からの放熱効果(暖房効果)が持続する利点がある。
【0056】
図11は凹部2aを石材本体2の周囲(縁)を除いた領域にスリット状に形成し、凹部2aの、石材本体2背面からの深さを周囲寄りで小さくし、凹部2a内の熱が凹部2aの上層に溜まる(籠る)ようにした石材1の製作例を示す。(a)は石材1の背面を、(b)は側面を示す。(c)は(a)の斜視図である。例えば石材本体2の縦と横の寸法が共に140mm、厚さが30mmも場合、凹部2aが形成されない周囲の範囲は石材本体2の側面から10mm前後程度が適切である。ここでは石材本体2の中心部寄りの、凹部2aの最も大きい深さを25mm程度にし、周辺寄りで次第に深さが小さくなるようにしている。
【0057】
ここで、凹部2aの形状と大きさ、配列を変えた下記の表1に示す複数通りの石材1を発熱体3の表面に接触させた状態に置いたときの、時間の経過に伴う石材1表面温度の変化の様子を図12、図13に示す。石材本体2には凝灰岩を使用し、前記の通り、縦140mm×横140mm×厚さ30mmの寸法で石材1を形成してある。図12は発熱体3の表面温度を41°C、室温を17°Cに維持した条件での結果を、図13は発熱体3の表面温度を41°C、室温を21°Cに維持した条件での結果を示している。
【表1】
【0058】
表1中、「裏穴」は孔状の凹部2aを指し、その後の数値は凹部2a(孔)の径を示す。「ピッチ」は凹部2a(孔)の間隔を、その後の「穴」の数値は凹部2aの数を示す。「裏スリット溝」はスリット状の凹部2aを指し、その後の数値は凹部2a(スリット)の幅を示す。「表穴」は孔状の凹部2aが石材本体2を貫通している場合の表面側の凹部2aを指し、その後の数値は表面側の径を示す。
【0059】
表1に列挙した9枚の試験体の内、試験体(1)、(2)は図1、図3に示すタイプ、試験体(6)は特に凹部2aの径を小さくし、数を多くしたタイプである。試験体(3)は図5に示すタイプ、試験体(5)、(7)は図6に示すタイプであり、いずれも凹部2aが石材本体2を貫通している。試験体(8)は図11に示すタイプであり、試験体(9)は凹部2aの形成がないタイプである。図12では(1)と(4)を除く7枚の試験体の結果を、図13では(4)を除く8枚の試験体の結果を示している。
【0060】
図12、図13から、いずれの試験体も発熱体3に接触したときから表面温度が上昇し、最終的に発熱体3の表面温度41°Cに達していることが分かる。また凹部2aのない試験体(9)は試験開始後、5分の時点で23°Cに上昇し、その後、発熱体3の温度に到達するまで90分の時間を要していることが分かる。
【0061】
これに対し、凹部2aを形成した本発明の試験体(1)〜(3)、(5)〜(8)は試験開始後、5分の時点で26〜27°Cに上昇し、その後、55〜75分が経過した時点でほぼ発熱体3の温度にまで上昇していることが分かる。特に室温が17°Cの場合(図12)、試験体(2)、(6)、(8)は試験開始後、70分の時点で発熱体3の温度にまで上昇し、室温が21°Cの場合(図13)には、試験体(6)、(8)が試験開始後、55分の時点で発熱体3の温度にまで上昇していることが分かる。
【0062】
この実験結果から、試験体(6)と試験体(8)が最も発熱体3からの熱伝導の効果が高いことが言える。試験体(6)は全試験体の内、最も小さい孔(5mm径)の凹部2aを最も多く配列させた(13行×13列)例であることから、小さめの孔を可能な限り、多数配列させることが熱伝導効率を上げる上で有効であることが理解される。
【0063】
また試験体(8)は石材本体2の周囲を除いた領域にスリット状の凹部2aを形成した例であるから、スリット状の凹部2aを形成する場合には、凹部2aを石材本体2の側面間を貫通させないことが熱伝導効率を上げる上で有効であることが理解される。
【0064】
凹部2aが石材本体2を貫通するタイプ(試験体(3)、(5)、(7))は最終的に(90分経過時点で)凹部2aのない試験体(9)と同時期に発熱体3の表面温度41°Cに達している。これは凹部2a内の熱が石材本体2の表面側の空間に直接放熱されることで、貫通しないタイプより石材本体2自体の表面温度の上昇が幾らか遅れる傾向にあるためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】石材本体の背面側から多数の孔状の凹部を分散させて形成した床暖房用石材の製作例を示した斜視図である。
【図2】石材本体の背面側から多数のスリット状の凹部を1方向に配列させて形成した床暖房用石材の製作例を示した斜視図である。
【図3】(a)は図1に示す形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のA−A線断面図である。
【図4】(a)は図2に示す形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のB−B線断面図である。
【図5】(a)は孔状の凹部が石材本体を貫通した形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のC−C線断面図である。
【図6】(a)は背面側と表面側とで断面積が相違する孔状の凹部が石材本体を貫通した形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のD−D線断面図である。
【図7】(a)は凹部が石材本体を貫通しない場合の床暖房用石材が受ける荷重による凹部周りの力の流れを示した断面図、(b)は凹部が石材本体を貫通する場合の床暖房用石材が受ける荷重による凹部周りの力の流れを示した断面図である。
【図8】(a)は凹部が石材本体を貫通する場合に、凹部の断面積が石材本体の背面側から表面側へかけて次第に小さくなる場合の凹部の形成例を示した断面図、(b)は凹部の断面積が石材本体の背面側から表面側へかけて次第に大きくなる場合の凹部の形成例を示した断面図である。
【図9】スリット状の凹部を2方向に交差させて形成した場合の床暖房用石材の製作例を示した斜視図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ図8−(a)、(b)に示す石材本体の凹部に伝熱体を挿入した様子を示した断面図である。
【図11】(a)は凹部を石材本体の周囲(縁)を除いた領域にスリット状に形成し、凹部の深さを石材本体の周囲寄りで小さくした場合の石材の製作例を示した背面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の斜視図である。
【図12】発熱体の表面温度を41°C、室温を17°Cに維持した条件での石材表面温度の変化の様子を示したグラフである。
【図13】発熱体の表面温度を41°C、室温を21°Cに維持した条件での石材表面温度の変化の様子を示したグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1……床暖房用石材
2……石材本体
2a…凹部
3……発熱体
3a…袋体
4……伝熱体
【技術分野】
【0001】
本発明は床暖房用に使用される床暖房用石材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板状に成型された石材を床暖房の床材として使用する方法では、適度の熱伝導率を有する石材を利用して石材の上の空間を暖房するため、石材の背面に熱源としての発熱体が敷設される(特許文献1、2参照)。
【0003】
発熱体の使用中には発熱体が石材背面に接した状態で熱が石材表面にまで伝導し、その状態が継続するよう、発熱体の温度が常に一定に維持される必要があることから、発熱体には電源からの電力の供給を受け続ける導電シートの使用が不可欠になる(特許文献1、2参照)。
【0004】
また発熱体からの熱が石材の一部に集中的に伝わることを緩和させ、発熱体の熱を分散させて石材に伝導させるために、発熱体と石材との間に均熱板を介在させることもある(特許文献1参照)。
【0005】
特に発熱体から石材表面までの熱伝導効率を高めたい場合には、石材本体の背面側に凹部を形成し、この凹部内に発熱体(ヒーター)を収納することが行われる(特許文献3、4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−314536号公報(請求項1、段落0013〜0014、0020〜0025、0029〜0032、図2〜図3)
【特許文献2】実用新案登録第3075593号公報(請求項1、段落0019〜0025、図1、図3)
【特許文献3】特開平6−159695号公報(請求項2、段落0010〜0011、図2)
【特許文献4】特開平11−83057号公報(請求項3、段落0019、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2では石材の背面に発熱体が接触した状態にあるとき、発熱体の熱は石材背面から表面へかけて石材の厚さ方向に伝導するため、石材の厚さ(板厚)が大きければ石材背面からその表面までに熱が伝わり、石材表面上に暖房効果が表れるまでに時間を要する。
【0008】
従って床暖房用床材としての石材の暖房効率を上げる上では、石材の厚さを抑える方がよいが、厚さを小さくすれば上載荷重(鉛直荷重)に対する石材の曲げ強度を低下させるため、石材の厚さを低減させることには限界がある。
【0009】
特許文献3、4では凹部に発熱体が完全に収納されるだけの大きさを与えなければならないため、石材本体が元々有する板厚を不必要に減少させ、凹部が形成された領域の曲げ強度を低下させる不利益がある。この場合、石材本体の凹部の形成領域が薄肉化するため、床材として使用される場合に、上載荷重によって石材が破壊し易くなる。
【0010】
逆に特許文献3、4において石材本体に十分な曲げ強度を与えるには、加工前の元の石材に、本来、必要とされる石材本体の板厚に、発熱体の厚さを加えた大きさの厚さを与えておかなければならない。この場合、石材本体が必要以上に厚くなり、質量も大きくなるため、石材の使用効率が悪くなる。
【0011】
本発明は上記背景より、石材本体の曲げ強度を低下させることなく、石材表面からの放熱効果を有効に発揮させる形態の床暖房用石材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の床暖房用石材は、板状に形成された石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部が形成され、この複数の凹部が前記石材本体の全面に分散して配置されていることを構成要件とする。
【0013】
凹部は石材本体の表面、もしくは背面の全面の中で点状、あるいは線状等に形成され、具体的には例えば孔状に、または石材本体の面内方向に長さを持ったスリット状に形成される。孔状の凹部はドリル等によって形成され、スリット状の場合には電動カッター等によって形成される。石材本体は主に方形状等、多角形状に形成されるが、平面形状は問われない。
【0014】
凹部は石材本体の表面からその上の空気に均等に熱が放出される上では、孔状の場合には複数の凹部が石材本体の平面上、均等に分散して配置されることが適切であり、スリット状の場合には複数の凹部が凹部の長さ方向に交差する方向に等間隔を置いて配列することが適切である。
【0015】
石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中途までの区間に凹部が形成されることで、石材本体の背面に発熱体が接触している状態では、石材本体背面から表面へ石材本体の断面(凹部以外の部分)を通じて熱が伝導することに加え、発熱体に熱せられた凹部内の空気が凹部の奥まで到達する。
【0016】
この結果、凹部の奥からも熱が石材本体の断面を通じて石材本体表面まで伝導するため、凹部がない場合より発熱体から石材本体表面への熱の伝導効率と石材表面からの放熱効果が向上し、発熱体の熱が石材本体表面から放熱されるまでの時間が短縮される(表1、図12、図13)。凹部内の空気が熱せられることは熱の対流によって起こる。
【0017】
また凹部内で熱せられた空気が凹部内に留まろうとすることで、石材本体背面からの熱伝導のみによる場合より石材本体の蓄熱性も向上するため、発熱体が熱源としての機能を失った後にも石材本体の放熱効果(暖房効果)が持続する傾向が強まる。特に凹部が石材本体の全体に分散して形成されることで、石材本体からは均等に放熱されるため、放熱が特定の領域に集中することはない。
【0018】
石材本体には凹部が形成されるものの、例えば点状や線状等に、全体的に分散して形成されることで、石材本体の表面、もしくは背面の面積(平面積)に占める凹部の領域が部分的で済むため、石材本体の板厚が低減されることにはならない。全体的には凹部が形成されない状態の石材本体と同じ板厚を持った石材と同等程度の曲げ強度を発揮する。
【0019】
石材本体に凹部が形成されながらも、凹部は点状、あるいは線状等であることで、図7−(a)に示すように石材本体がその厚さ方向に受ける荷重を凹部以外の部分(中実部分)にアーチ作用により流す働きをする。また図9に示すように凹部以外の部分が石材本体に生ずる曲げモーメントに抵抗するリブとして機能することも期待されるため、凹部の形成によって石材本体の曲げモーメントに対する抵抗力が格別、低下することはない。従って特許文献3、4のような、石材本体に発熱体が納まる大きさの凹部を形成する場合の問題は発生しない。
【0020】
請求項2に記載のように凹部が石材本体を厚さ方向に貫通している場合には、凹部内の空気が石材表面にまで連通することで、発熱体からの対流による熱が石材表面にまで直接、到達するため、石材背面から表面への熱の伝達効率がより向上する。石材本体を厚さ方向に貫通する凹部は、凹部が孔状であるか、スリット状であるかに関係なく形成される。スリット状の場合にも、凹部が石材本体の側面間に連続して形成されない限り、石材本体を貫通できることによる。
【0021】
請求項2では凹部が石材本体を貫通することで、貫通しない場合より曲げ強度が低下することが想定されるが、石材本体の平面積に占める凹部の領域が部分的であることで、図7−(b)に示すように凹部以外の部分におけるアーチ作用とリブとしての機能は維持されるため、凹部が貫通することによる曲げ強度の低下が問題になることはない。
【0022】
請求項3に記載のように請求項2において凹部の、石材本体の背面側の断面と表面側の断面の大きさが相違している場合には、例えば孔状の凹部がその大きい側の断面と同一断面のまま厚さ方向に連続している場合との対比では、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達されにくくなり、凹部を通じた石材本体の背面から表面への熱の伝達を制御できる利点がある。ここで言う凹部の断面は石材本体の表面に平行な切断面(孔の軸方向に直交する断面)を言う。
【0023】
凹部の断面は図8に示すように石材本体の背面側から表面側へかけて次第に変化する場合と、図7−(b)に示すように段階的に変化する場合があり、断面の変化には図8−(a)に示すように石材本体の背面側から表面側へかけて小さくなる場合と、図8−(b)に示すように大きくなる場合がある。図8では便宜上、円錐台形の凹部を示しているが、径の異なるドリルを使用することによりこれに近い形状の凹部が形成される。
【0024】
図8−(a)に示すように例えば孔状の凹部の断面が石材本体の背面側から表面側へかけて小さくなる場合には、凹部の石材本体背面側の断面が表面側まで一定の場合との対比では、対流による発熱体からの熱の伝達が石材本体表面側で緩和されるため、上記のように発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達されにくくなる。
【0025】
凹部の断面が石材本体の背面側から表面側へかけて小さくなる場合において、凹部がその小さい側の断面と同一断面のまま厚さ方向に連続している場合との対比では、熱の出口(石材表面側)が同一のまま入り口(石材背面側)が拡大されることになる。従って凹部内で発熱体に接触する面積が大きくなるため、凹部内に存在し、発熱体により直接熱せられる空気の量が増える結果、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達され易くなる。
【0026】
逆に図8−(b)に示すように石材本体の背面側から表面側へかけて凹部の断面が大きくなる場合には、凹部の石材本体背面側の断面が表面側まで一定の場合との対比では、熱の入り口(石材背面側)が同一のまま出口(石材表面側)が拡大されることになるため、凹部内の熱が石材本体の表面側へ放出され易くなり、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達され易くなる。
【0027】
石材本体の背面側から表面側へかけて凹部の断面が大きくなる場合において、凹部の石材本体表面側の断面が背面側まで一定の場合との対比では、熱の出口(石材表面側)が同一のまま入り口(石材背面側)が縮小されることになる。従って凹部内で発熱体に接触する面積が小さくなるため、発熱体により直接熱せられる空気の量が減る結果、発熱体からの熱が石材本体の表面側へ伝達されにくくなる。
【0028】
このように請求項3では凹部の断面を石材本体の厚さ方向に変化させることで、発熱体からの熱の、石材本体表面までの伝達を促すか、または抑制することができるため、凹部を通じた石材本体の背面から表面への熱の伝達を制御できることになる。
【0029】
床暖房用石材は水平1方向、または2方向に互いに隣接して配置される。ここで、隣接する石材間に空隙が確保(形成)される場合において、スリット状の凹部が形成される場合のように、凹部が石材本体の対向する側面間を貫通する等、凹部内の空気が石材本体の側面に連通することによって凹部内の熱が石材間の空隙に放出されることが想定される場合には、スリット状の凹部は石材本体の周囲(縁)を除いた領域に形成される。
【0030】
特に請求項4に記載のように凹部を石材本体の周囲を除いた領域にスリット状に形成し、凹部の、石材本体の背面からの深さを石材本体の周囲寄りで小さくした場合には、隣接する石材間に空隙が存在しても凹部内に存在する熱せられた空気の漏れが生じにくい上、高温の空気が使用状態にある石材本体の凹部の奥に留まり易いため、凹部内の空気の保温効果が高まる利点がある。スリット状の凹部は1方向に配列するか、2方向に交差して配列する。
【0031】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の床暖房用石材は背面に発熱体(導電シート)が直接、もしくは間接的に接触した状態で発熱体上に敷設される。発熱体としては、例えば炭化繊維をプラスチックフィルム(ラミネートフィルム)等で挟み込んで密封した形態の導電シートが使用される。
【0032】
また請求項5に記載のように請求項1〜請求項4のいずれかに記載の床暖房用石材において、石材本体の凹部内に、発熱体からの熱を石材本体に伝える伝熱体が挿入されている場合には、発熱体からの熱が凹部内の伝熱体に伝わり、凹部内に空気のみが存在する場合より凹部内の熱の保温性が高まるため、石材本体の放熱効果(暖房効果)の持続性が一層強まる。伝熱体には発熱体と同一素材の使用が適する。例えば発熱体に前記の炭化繊維を使用した場合には、例えば炭化物を炭化繊維やプラスチックフィルム製等の袋体で包囲することにより伝熱体が構成される。
【発明の効果】
【0033】
板状に形成された石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部を形成しているため、石材本体の凹部以外の部分における熱伝導に加え、凹部内の空気を利用した熱伝導により発熱体からの熱を石材の表面まで伝えることができる。この結果、石材の背面から表面までの熱伝導効率が向上し、発熱体の熱が石材本体表面から放熱されるまでの時間を短縮することができる。
【0034】
また凹部内の空気を通じて発熱体の熱が石材本体に伝わることで、背面からの熱伝導のみによる場合より石材本体における蓄熱性が向上するため、発熱体が熱源としての機能を失った後にも石材本体の放熱効果が維持され、石材本体上の空気の保温性が高まる。
【0035】
凹部は石材本体に全体的に分散して形成され、石材本体の平面積に占める凹部の領域が部分的であるため、石材本体の板厚が低減されることにはならず、全体的には凹部が形成されない状態の石材本体が有する板厚を持った石材と同等程度の強度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0037】
図1、図2は板状に形成された石材本体2の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部2aが形成され、この複数の凹部2aが石材本体2の全面に分散して配置されている床暖房用石材(以下、石材と言う)1の具体例を示す。図1、図2では石材本体2を方形状に形成しているが、石材本体2の平面形状は任意であり、多角形状、あるいは円形状に形成されることもある。
【0038】
凹部2aは主に図1に示すように円形の孔状に、または図2に示すようにスリット状に形成されるが、この例には限定されず、複数の凹部2aが分散して配置される限り、任意の形態に形成される。凹部2aは孔とスリットが組み合わせされた形状に形成されることもある。
【0039】
図1、図2はいずれも石材本体2の背面(裏面)を示しており、石材本体2は床暖房材としての使用時には背面を下に向けて配置される。図1、図2は凹部2aの深さが石材本体2の板厚(石厚)より小さい場合の例を示している。図1中、左下の破線は凹部2aの深さを示している。石材本体2には大理石、御影石、花崗岩、凝灰岩等の天然石材の他、コンクリート等、または無機材料と有機材料等を原料として成型される人工石材が使用される。
【0040】
図1では孔状の凹部2aを石材本体2の面内の2方向の直線(座標)上に整然と配列させているが、孔状の凹部2aは石材本体2の平面上、均等に分散して配置されていればよく、配置の仕方は自由である。分散して配置とは、石材本体2の平面上、一部の領域に集中して配置されることがないことを言う。図2では1方向に連続するスリット状の凹部2aをその方向に直交する方向に一定の間隔を置いて配列させているが、配列方向は凹部2aの長さ方向に直交する方向である必要はなく、凹部2a、2a間の間隔は必ずしも一定である必要もない。スリット状の凹部2aは2方向以上に交差して配列することもある。
【0041】
図1に示す形態の石材1の表面と背面を図3−(a)、(b)に、石材1の使用時の状態を図3−(c)に示す。図3−(c)に示すように石材1は発熱体(導電シート)3に直接接触した状態で、または間接的に接触した状態で発熱体3上に載置され、発熱体3からの熱が石材1の背面から表面へ伝導する状態に置かれる。発熱体3は石材1が設置される構造物の構造形式に応じ、床スラブや床板、土間等、床仕上げ材を支持する面材、あるいは構造材の上に設置される。
【0042】
図3の例では凹部2aが石材本体2の背面側から形成され、石材1の使用状態ではその背面の全面が発熱体3に接触していることから、凹部2a内の空気の逃げ道がないため、発熱体3に熱せられた凹部2a内の空気による熱は石材1の凹部2aから、石材1を厚さ方向に貫通する方向の熱伝導により石材1の表面に伝達される。
【0043】
発熱体3は前記面材や構造材の上に、上面が平坦面をなした状態で、水平1方向、または2方向に平面をなすように連続的に敷設され、石材1は発熱体3上に直接、もしくは間接的に水平1方向、または2方向に平面をなすように連続的に敷設される。例えば発熱体3の上面に不陸が想定されるような場合には、その不陸を均すためのレベル調整材を介して石材1が発熱体3に間接的に接触した状態で設置される。この場合のレベル調整材には発熱体3から石材1への熱伝導を阻害しない材料が使用される。
【0044】
発熱体3は石材1を支持したときに破裂しないだけの引張強度と加工の自由度が高い弾性を有するプラスチックフィルム製等の袋体3a内に、例えば炭化繊維等を充填し、密閉することにより構成される。
【0045】
石材1、1は水平1方向、または2方向に互いに隣接しながら発熱体3上に敷設される。石材1、1間には空隙が形成される場合と形成されない場合があり、空隙からの熱の漏れを防止する必要があれば、空隙にシーリング材が充填され、空隙が閉塞させられる。
【0046】
図4−(a)、(b)は図2に示す形態の石材1の表面と背面を、(c)は使用時の状態をそれぞれ示す。図2、図4ではスリット状の凹部2aが1方向に間隔を置き、石材本体2の対向する側面間に亘って連続的に形成された石材1の製作例を示しているが、スリット状の凹部2aはその長さ方向に断続的に形成されることもある。スリット状の凹部2aは凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通しない場合には、図9に示すように平面上、2方向に交差して形成されることもある。
【0047】
図11はスリット状の凹部2aを石材本体2の対向する側面寄りの部分(周囲、もしくは縁の部分)を除いて連続的に、2方向に交差させて形成した場合の石材1の例を示す。この例のようにスリット状の凹部2aが石材本体2の側面に連通しない場合には凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通することもある。図11では凹部2aが石材本体2の側面に連通しないことで、凹部2a内の熱を石材本体2の側面から損失させない利点がある。
【0048】
図2、図4の例ではスリット状の凹部2aが石材1の対向する側面間に連続して形成されていることから、隣接する石材1、1間に空隙があれば、その空隙から熱せられた空気が漏れるため、熱は熱伝導に加え、石材1の側面を回り込んで直接、石材1の表面に伝達される。石材1、1間の空隙は隣接する石材1、1が互いに間隔を置いて配列する場合の他、隣接する石材1、1が互いに密着した状態で配列する場合にも形成される。石材1、1間の空隙が無用な場合には前記のように空隙にシーリング材が充填される。
【0049】
図5−(a)、(b)は孔状の凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通して形成された場合の石材1の表面と背面を、(c)は使用時の状態をそれぞれ示す。ここでは凹部2aが同一断面(同一大きさ)のまま、石材本体2の厚さ方向に連続しているが、凹部2aの断面は厚さ方向に変化し、図8に示すように石材本体2の背面側から表面側へかけて段階的に小さくなることも大きくなることもある。
【0050】
図6−(a)、(b)は孔状の凹部2aが石材本体2を厚さ方向に貫通して形成された場合において、凹部2aの、石材本体2の背面側の断面と表面側の断面の大きさが相違している場合の石材1の表面と背面を、(c)は使用時の状態をそれぞれ示す。ここでは石材本体2の背面側の断面が表面側の断面より大きい場合を示しているが、逆の場合もある。
【0051】
図5、図6の例では凹部2aが石材本体2を貫通していることから、凹部2a内で熱せられた空気は石材1の表面に直接、伝達されるため、発熱体3からの熱の伝達の程度は図4の例より高い。図6の例ではまた、孔状の凹部2aの断面の大きさ(断面積)が石材1の表面側と背面側とで相違することから、凹部2aの形状を設定することにより凹部2aを通じての熱の伝達の程度を調整(制御)することができる利点がある。
【0052】
図7は石材1が床材として使用されたときの、孔状の凹部2aの周りの部分における力の流れを示す。(a)は凹部2aが石材本体2を貫通しない場合、(b)は凹部2aが石材本体2を貫通し、背面側の断面積が表面側の断面積より大きい場合である。
【0053】
図8は凹部2aが石材本体2を貫通し、孔状の凹部2aの断面積が背面側から表面側へかけて次第に変化する場合の形成例を示す。(a)は凹部2aの断面積が背面側から表面側へかけて次第に小さくなる場合、(b)は次第に大きくなる場合である。図中の破線は凹部2aの断面積が最大の位置と最小の位置を通り、凹部2aの中心軸に平行な直線を示す。
【0054】
図9は1方向に連続するスリット状の凹部2aを2方向に配列させた場合の凹部2aの形成例を示す。ここでは凹部2aが石材本体2を貫通しない様子を示しているが、前記のように石材本体2の周囲の部分(縁)を除いて凹部2aが形成される場合には、凹部2aは石材本体2を厚さ方向に貫通することもある。この他、スリット状の凹部2aはその長さ方向に断続的に形成されることもある。
【0055】
図10−(a)、(b)は図8−(a)、(b)に示す石材本体2の凹部2a内に背面側から、発熱体3からの熱を石材本体2に伝える伝熱体4を挿入することにより、凹部2a内の熱の保温性を高めた例を示す。伝熱体4には発熱体3からの熱の効率的に伝達されるよう、基本的には炭化繊維等、発熱体3と同一素材が使用されるが、素材は任意である。この例では発熱体3からの熱が直接、伝熱体4に伝達され、凹部2a内に籠るため、石材本体2からの放熱効果(暖房効果)が持続する利点がある。
【0056】
図11は凹部2aを石材本体2の周囲(縁)を除いた領域にスリット状に形成し、凹部2aの、石材本体2背面からの深さを周囲寄りで小さくし、凹部2a内の熱が凹部2aの上層に溜まる(籠る)ようにした石材1の製作例を示す。(a)は石材1の背面を、(b)は側面を示す。(c)は(a)の斜視図である。例えば石材本体2の縦と横の寸法が共に140mm、厚さが30mmも場合、凹部2aが形成されない周囲の範囲は石材本体2の側面から10mm前後程度が適切である。ここでは石材本体2の中心部寄りの、凹部2aの最も大きい深さを25mm程度にし、周辺寄りで次第に深さが小さくなるようにしている。
【0057】
ここで、凹部2aの形状と大きさ、配列を変えた下記の表1に示す複数通りの石材1を発熱体3の表面に接触させた状態に置いたときの、時間の経過に伴う石材1表面温度の変化の様子を図12、図13に示す。石材本体2には凝灰岩を使用し、前記の通り、縦140mm×横140mm×厚さ30mmの寸法で石材1を形成してある。図12は発熱体3の表面温度を41°C、室温を17°Cに維持した条件での結果を、図13は発熱体3の表面温度を41°C、室温を21°Cに維持した条件での結果を示している。
【表1】
【0058】
表1中、「裏穴」は孔状の凹部2aを指し、その後の数値は凹部2a(孔)の径を示す。「ピッチ」は凹部2a(孔)の間隔を、その後の「穴」の数値は凹部2aの数を示す。「裏スリット溝」はスリット状の凹部2aを指し、その後の数値は凹部2a(スリット)の幅を示す。「表穴」は孔状の凹部2aが石材本体2を貫通している場合の表面側の凹部2aを指し、その後の数値は表面側の径を示す。
【0059】
表1に列挙した9枚の試験体の内、試験体(1)、(2)は図1、図3に示すタイプ、試験体(6)は特に凹部2aの径を小さくし、数を多くしたタイプである。試験体(3)は図5に示すタイプ、試験体(5)、(7)は図6に示すタイプであり、いずれも凹部2aが石材本体2を貫通している。試験体(8)は図11に示すタイプであり、試験体(9)は凹部2aの形成がないタイプである。図12では(1)と(4)を除く7枚の試験体の結果を、図13では(4)を除く8枚の試験体の結果を示している。
【0060】
図12、図13から、いずれの試験体も発熱体3に接触したときから表面温度が上昇し、最終的に発熱体3の表面温度41°Cに達していることが分かる。また凹部2aのない試験体(9)は試験開始後、5分の時点で23°Cに上昇し、その後、発熱体3の温度に到達するまで90分の時間を要していることが分かる。
【0061】
これに対し、凹部2aを形成した本発明の試験体(1)〜(3)、(5)〜(8)は試験開始後、5分の時点で26〜27°Cに上昇し、その後、55〜75分が経過した時点でほぼ発熱体3の温度にまで上昇していることが分かる。特に室温が17°Cの場合(図12)、試験体(2)、(6)、(8)は試験開始後、70分の時点で発熱体3の温度にまで上昇し、室温が21°Cの場合(図13)には、試験体(6)、(8)が試験開始後、55分の時点で発熱体3の温度にまで上昇していることが分かる。
【0062】
この実験結果から、試験体(6)と試験体(8)が最も発熱体3からの熱伝導の効果が高いことが言える。試験体(6)は全試験体の内、最も小さい孔(5mm径)の凹部2aを最も多く配列させた(13行×13列)例であることから、小さめの孔を可能な限り、多数配列させることが熱伝導効率を上げる上で有効であることが理解される。
【0063】
また試験体(8)は石材本体2の周囲を除いた領域にスリット状の凹部2aを形成した例であるから、スリット状の凹部2aを形成する場合には、凹部2aを石材本体2の側面間を貫通させないことが熱伝導効率を上げる上で有効であることが理解される。
【0064】
凹部2aが石材本体2を貫通するタイプ(試験体(3)、(5)、(7))は最終的に(90分経過時点で)凹部2aのない試験体(9)と同時期に発熱体3の表面温度41°Cに達している。これは凹部2a内の熱が石材本体2の表面側の空間に直接放熱されることで、貫通しないタイプより石材本体2自体の表面温度の上昇が幾らか遅れる傾向にあるためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】石材本体の背面側から多数の孔状の凹部を分散させて形成した床暖房用石材の製作例を示した斜視図である。
【図2】石材本体の背面側から多数のスリット状の凹部を1方向に配列させて形成した床暖房用石材の製作例を示した斜視図である。
【図3】(a)は図1に示す形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のA−A線断面図である。
【図4】(a)は図2に示す形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のB−B線断面図である。
【図5】(a)は孔状の凹部が石材本体を貫通した形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のC−C線断面図である。
【図6】(a)は背面側と表面側とで断面積が相違する孔状の凹部が石材本体を貫通した形態の床暖房用石材の表面を示した平面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)に示す床暖房用石材を発熱体上に敷設した様子を示した(b)のD−D線断面図である。
【図7】(a)は凹部が石材本体を貫通しない場合の床暖房用石材が受ける荷重による凹部周りの力の流れを示した断面図、(b)は凹部が石材本体を貫通する場合の床暖房用石材が受ける荷重による凹部周りの力の流れを示した断面図である。
【図8】(a)は凹部が石材本体を貫通する場合に、凹部の断面積が石材本体の背面側から表面側へかけて次第に小さくなる場合の凹部の形成例を示した断面図、(b)は凹部の断面積が石材本体の背面側から表面側へかけて次第に大きくなる場合の凹部の形成例を示した断面図である。
【図9】スリット状の凹部を2方向に交差させて形成した場合の床暖房用石材の製作例を示した斜視図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ図8−(a)、(b)に示す石材本体の凹部に伝熱体を挿入した様子を示した断面図である。
【図11】(a)は凹部を石材本体の周囲(縁)を除いた領域にスリット状に形成し、凹部の深さを石材本体の周囲寄りで小さくした場合の石材の製作例を示した背面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の斜視図である。
【図12】発熱体の表面温度を41°C、室温を17°Cに維持した条件での石材表面温度の変化の様子を示したグラフである。
【図13】発熱体の表面温度を41°C、室温を21°Cに維持した条件での石材表面温度の変化の様子を示したグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1……床暖房用石材
2……石材本体
2a…凹部
3……発熱体
3a…袋体
4……伝熱体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成された石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部が形成され、この複数の凹部は前記石材本体の全面に分散して配置されていることを特徴とする床暖房用石材。
【請求項2】
前記凹部は前記石材本体を厚さ方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の床暖房用石材。
【請求項3】
前記凹部の、前記石材本体の背面側の断面と表面側の断面の大きさが相違していることを特徴とする請求項2に記載の床暖房用石材。
【請求項4】
前記凹部は前記石材本体の周囲を除いた領域にスリット状に形成され、前記凹部の、前記石材本体の背面からの深さは前記石材本体の周囲寄りで小さいことを特徴とする請求項1に記載の床暖房用石材。
【請求項5】
前記凹部内に、発熱体からの熱を前記石材本体に伝える伝熱体が挿入されていることを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の床暖房用石材。
【請求項1】
板状に形成された石材本体の背面から少なくとも厚さ方向の中間部までの区間に複数の凹部が形成され、この複数の凹部は前記石材本体の全面に分散して配置されていることを特徴とする床暖房用石材。
【請求項2】
前記凹部は前記石材本体を厚さ方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の床暖房用石材。
【請求項3】
前記凹部の、前記石材本体の背面側の断面と表面側の断面の大きさが相違していることを特徴とする請求項2に記載の床暖房用石材。
【請求項4】
前記凹部は前記石材本体の周囲を除いた領域にスリット状に形成され、前記凹部の、前記石材本体の背面からの深さは前記石材本体の周囲寄りで小さいことを特徴とする請求項1に記載の床暖房用石材。
【請求項5】
前記凹部内に、発熱体からの熱を前記石材本体に伝える伝熱体が挿入されていることを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の床暖房用石材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−121147(P2009−121147A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296884(P2007−296884)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(306000980)長谷川株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(306000980)長谷川株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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