説明

床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物及びその改修方法並びにレジンコンクリート製パネル

【課題】 本発明は、画期的な床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物及びその改修方法並びにレジンコンクリート製パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】 床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物であって、このコンクリート構造物1の少なくとも表層部1Aは、骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物及びその改修方法並びにレジンコンクリート製パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、河川に配設されるコンクリート構造物、例えば河川の底に配設される床止め工作物や、河川に横断状態で配設される横断工作物(代表例は堰)は、それらの表面を自然石模様として自然環境に調和させるなど種々の工夫が施されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、これらコンクリート構造物は、セメントコンクリートで構成されるのが一般的であるが、セメントコンクリートを、例えば火山地域のように硫化水素が流れ出す河川や、或いは、生活廃水が流れ出す河川などで使用した場合、これらの河川の水に含まれる酸性物質に対してセメントは弱い為、該セメントが変色して美観が悪くなってしまい、しかも、その変色部分(劣化部分)から崩壊してしまうなどの問題点がある。
【0004】
本発明は、上述の問題点を解決したもので、従来にない作用効果を発揮する画期的な床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物及びその改修方法並びにレジンコンクリート製パネルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物であって、このコンクリート構造物1の少なくとも表層部1Aは、骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されていることを特徴とするコンクリート構造物に係るものである。
【0007】
また、請求項1記載の床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物において、前記耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂製の結合材を採用したことを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物に係るものである。
【0008】
また、床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法であって、既設コンクリート構造物1の表層部1Aを除去し、続いて、この除去部位に骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートを打設して当該コンクリート構造物1の表層部1Aを形成することを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法に係るものである。
【0009】
また、床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法であって、既設コンクリート構造物1の表層部1Aを除去し、続いて、この除去部位に表面部が骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されたレジンコンクリート製パネル2を配設して当該コンクリート構造物1の表層部1Aを形成することを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法に係るものである。
【0010】
また、請求項3,4いずれか1項に記載の床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法において、前記耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂製の結合材を採用したことを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法に係るものである。
【0011】
また、適宜な部材の外面に配設されるコンクリート製パネルであって、少なくとも表面部が骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されていることを特徴とするレジンコンクリート製パネルに係るものである。
【0012】
また、請求項6記載のレジンコンクリート製パネルにおいて、前記耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂製の結合材を採用したことを特徴とするレジンコンクリート製パネルに係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、例えば河川の水に含まれる酸性の強い物質に晒されても変色や劣化することがなく、常に良好な景観及び強度を保持することができ、耐久性に秀れ、よって、継続的に本来の機能を発揮し得るなど画期的な床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物となる。
【0014】
また、請求項3,4記載の発明においては、確実に変色や劣化の生じにくいコンクリート構造物が得られることになるのは勿論、コンクリート構造物全てをレジンコンクリートで形成する場合に比して、コスト安にして短期間で改修工事ができるなど画期的な床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
本発明に係るコンクリート構造物1の少なくとも表層部1Aは、骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成される。
【0017】
従って、例えば河川の水に含まれる酸性の強い物質にコンクリート構造物1が晒されても、該コンクリート構造物1の少なくとも表層部1Aが骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されているため、変色や劣化が可及的に防止されることになる。
【0018】
また、請求項3,4記載の発明においては、例えば表層部1Aが変色や劣化した既設コンクリート構造物1を改修する場合、該既設コンクリート構造物1の表層部1Aを除去し、この除去部位に骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートを打設して当該コンクリート構造物の表層部1Aを形成するか、或いは、この除去部位に骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで表面部2aが形成されたパネル2を配設して当該コンクリート構造物1の表層部1Aを形成する為、変色や劣化の生じにくいコンクリート構造物1が簡易な改修により得られることになるのは勿論、コンクリート構造物1全てをレジンコンクリートで形成する場合に比して、コスト安にして短期間で改修が完了することになる。
【実施例】
【0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、床止め工作物や横断工作物などの河川に配されるコンクリート構造物1であって、骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して構成されるレジンコンクリートで形成されているものである。
【0021】
床止め構造物は、河川,湖沼,海などの底に配設され、該底を構成するものであり、また、横断工作物は、その代表例として河川,湖沼,海などに横断状態で配設される堰である。尚、図面は横断工作物である。
【0022】
本実施例では、レジンコンクリートを構成する耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル)が採用されており、この結合材と、骨材(珪砂、砂利)と、増量材(粉体の炭酸カルシウム)とを混合してレジンコンクリートとしている。
【0023】
尚、耐酸性樹脂製の結合材としては、上記の他にもエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などでも良く、また、熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリエチレン)でも良いが、剛性、耐熱性などの点を考慮すると熱硬化性樹脂が望ましい。
【0024】
また、このレジンコンクリートによりレジンコンクリート製パネル2を形成しても良い。
【0025】
このレジンコンクリート製パネル2は、図2に図示したように表面部3a、背面部3b、左側面部3c、右側面部3d及び底面部3eから成る型枠3に前述したレジンコンクリートを充填硬化して形成される。
【0026】
また、このレジンコンクリート製パネル2の表面には自然石模様が形成されている。
【0027】
尚、上記の通り、コンクリートパネル全体をレジンコンクリート製とせず、コンクリートパネルの表面部2aのみをレジンコンクリートで形成する構成でも良い。
【0028】
以上のレジンコンクリート、レジンコンクリート製パネル2を用いてコンクリート構造物1(横断工作物である堰)を構築する場合、コンクリート構造物1の全ての部位をレジンコンクリートで形成する場合や、骨格となる部位をセメントコンクリートで形成し、このセメントコンクリート製の骨格部位の表面をレジンコンクリートで被覆して表層部1Aを形成する場合、或いは、図1,3に図示したようにセメントコンクリート製の骨格部位の表面(本実施例では水に触れる部位のみ)にレジンコンクリート製パネル2を配設することで被覆して表層部1Aを形成する場合がある。
【0029】
尚、本実施例では、セメントコンクリート製の骨格部位の表面にレジンコンクリート製パネル2を配設する際には樹脂製(不飽和ポリエステル製)のパテを接着手段として貼着している。
【0030】
本実施例は上述のように構成したから、コンクリート構造物1の少なくとも表層部1Aは、骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して構成されるレジンコンクリートで形成される。
【0031】
よって、本実施例によれば、例えば河川の水に含まれる酸性の強い物質に晒されてもコンクリート構造物1の少なくとも表層部1Aが骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して構成されるレジンコンクリートで形成されているため、変色や劣化が可及的に防止されることになり、常に良好な景観及び強度を保持することができ、耐久性に秀れ、よって、継続的に本来の機能を発揮し得ることになる。
【0032】
また、本実施例に係るレジンコンクリート、レジンコンクリート製パネル2を用いて既設のコンクリート構造物1を改修することも可能である。
【0033】
具体的には、図4,5に図示したように既設コンクリート構造物1の表層部1Aを除去し、この除去部位にレジンコンクリートを打設して表層部1Aを形成する場合、或いは、この除去部位に図6に図示したようにレジンコンクリート製パネル2を配設して表層部1Aを形成する場合がある。
【0034】
このようにして改修を行なえば、上述のレジンコンクリート、レジンコンクリート製パネル2を用いた場合の効果の他、その簡易な改修方法故に、確実に変色や劣化の生じにくいコンクリート構造物1が得られることになるのは勿論、コンクリート構造物1全てをレジンコンクリートで形成する場合に比して、コスト安にして短期間で改修工事が完了することになる。
【0035】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施例を示す斜視図である。
【図2】レジンコンクリート製パネル2を用いたコンクリート構造物の構築方法の説明図である。
【図3】レジンコンクリート製パネル2の製造方法を説明する分解斜視図である。
【図4】コンクリート構造物の改修方法の説明図である。
【図5】コンクリート構造物の改修方法の説明図である。
【図6】コンクリート構造物の改修方法の説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 コンクリート構造物
1A 表層部
2 レジンコンクリート製パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物であって、このコンクリート構造物の少なくとも表層部は、骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されていることを特徴とするコンクリート構造物。
【請求項2】
請求項1記載の床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物において、前記耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂製の結合材を採用したことを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物。
【請求項3】
床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法であって、既設コンクリート構造物の表層部を除去し、続いて、この除去部位に骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートを打設して当該コンクリート構造物の表層部を形成することを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法。
【請求項4】
床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法であって、既設コンクリート構造物の表層部を除去し、続いて、この除去部位に表面部が骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されたレジンコンクリート製パネルを配設して当該コンクリート構造物の表層部を形成することを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法。
【請求項5】
請求項3,4いずれか1項に記載の床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法において、前記耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂製の結合材を採用したことを特徴とする床止め工作物や横断工作物などの河川,湖沼,海などに配設されるコンクリート構造物の改修方法。
【請求項6】
適宜な部材の外面に配設されるコンクリート製パネルであって、少なくとも表面部が骨材と耐酸性樹脂製の結合材とを混合して成るレジンコンクリートで形成されていることを特徴とするレジンコンクリート製パネル。
【請求項7】
請求項6記載のレジンコンクリート製パネルにおいて、前記耐酸性樹脂製の結合材として熱硬化性樹脂製の結合材を採用したことを特徴とするレジンコンクリート製パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−104662(P2006−104662A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288331(P2004−288331)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000229966)株式会社エヌピーエフ (1)
【Fターム(参考)】