説明

店頭カード発行用の識別カードプリンタ−アッセンブル装置

【課題】IDドキュメントの品質及び耐久性を維持しながら、IDドキュメントのコストを下げるようにIDドキュメントの設計及び/又は製造を改善する。
【解決手段】インクジェットプリンタ202、204をベースとするアッセンブルシステムが提供される。識別ドキュメント基板219は、インクジェット印刷される情報を受け取る。印刷された基板は、積層化される。別の実施形態では、キャリアウェブ600がラミネート部片を支持する。穴又はノッチを使用して、基板219をラミネート部片に整列させると共に、積層化されたドキュメント基板219を最終的な切断のために整列させる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のデータ】
【0001】
本出願は、参考としてその内容の全体をここに援用する次の米国プロビジョナル出願の優先権を請求する。
・2002年5月10日に出願されたIdentification CardPrinter - Assembler For Over-The-Counter Card Issuing(出願第60/379,646号、代理人ドケット第P612号、発明者:デニス・メイロークス、ダオシェン・バイ及びロバート・ジョーンズ);及び
・ 2002年5月10日に出願されたApplication of pigmentedjet inks to ID cards(出願第60/379,704号、代理人ドケット第P0640号、発明者:ダオシェン・バイ、デニス・メイロークス及びロバート・ジョーンズ)。
【0002】
また、本出願は、次の米国特許出願にも係る。
・Use of Pearlescent and Other Pigments toCreates Security Documents(2001年10月2日に出願された出願第09/969,020号、代理人ドケット第P0537D号、発明者:ベントレー・ブルーンベルグ及びロバートL.ジョーンズ);
・Identification Card Printed With Jet Inksand Systems and Methods of Making Same(2002年11月6日に出願された出願第10/289,962号、代理人ドケット第P0708D号、発明者:ロバート・ジョーンズ、デニス・メイロークス及びダオシェン・バイ);
・Contact Smart Cards Having a DocumentCore, Contactless Smart Cards Including Multi-Layered Structure, PET-BasedIdentification Document, and Methods of Making Same(2002年12月23日に出願された出願第10/329,318号、代理人ドケット第P0711D号、発明者:ロバート・ジョーンズ、ジョセフ・アンダーソン、ダオシェン・バイ、トーマス・レーガン、及びデニス・メイロークス);
・Ink with Cohesive Failure andIdentification Document Including Same(2002年12月23日に出願された出願第10/329,315号、代理人ドケット第P0714D号、発明者:ロバート・ジョーンズ及びベントレー・ブルーンベルグ);
・Laser Engraving Methods and Compositions,and Articles Having Laser Engraving Thereon(2002年12月20日に出願された出願第10/326,886号、代理人ドケット第P0724D号、発明者:ブレイン・ラブレック及びロバート・ジョーンズ);
・Multiple Image Security Features forIdentification Documents and Methods of Making Same(2002年12月18日に出願された出願第10/325,434号、代理人ドケット第P028D号、発明者:ブレイン・ラブレック、ジョセフ・アンダーソン、ロバート・ジョーンズ、及びデニール・バティー);
・Covert Variable Information onIdentification Documents and Methods of Making Same(2002年12月24日に出願された出願第10/330,032号、代理人ドケット第P0732D号、発明者:ロバート・ジョーンズ、及びダオシェン・バイ);
・Systems, Compositions, and Methods forFull Color Laser Engraving of Documents(2002年12月24日に出願された出願第10/330,034号、代理人ドケット第P0734D号、発明者:ロバート・ジョーンズ);
・Laser Etched Security Features forIdentification Documents and Methods of Making Same(2002年12月24日に出願された出願第10/330,033号、代理人ドケット第P0736D号、発明者:ジョージ・セオドッシュー、及びロバート・ジョーンズ);
・Image Processing Techniques for PrintingIdentification Cards and Documents(2003年4月9日に出願された出願番号未指定、代理人ドケット第P0819D号、発明者:チャック・ダガン、及びネルソン・シュネック)。
【0003】
また、本発明は、次のプロビジョナル出願にも係る。
・Identification Document and RelatedMethods(出願第60/421,254号、代理人ドケット第P0703号、発明者:ジョフ・ロアド氏等);
・Identification Document and RelatedMethods(出願第60/418,762号、代理人ドケット第P0696号、発明者:ジョフ・ロアド氏等);
・Shadow Reduction System and RelatedTechniques for Digital Image Capture(出願第60/410,544号、代理人ドケット第P0689D号、発明者:スコットD・ハイ、及びツアンA.ホーン);
・Systems and Methods for Recognition ofIndividuals Using Combination of Biometric Techniques(出願第60/418,129号、代理人ドケット第P0698D号、発明者:ジェームスV.ホワード、及びフランシス・フラチア);
・Systems and Methods for Managing andDetecting Fraud in Image Database Used With Identification Documents(出願第60/429,501号、代理人ドケット第P0718D号、発明者:ジェームスV.ホワード、及びフランシス・フラチア);
・Enhanced Shadow Reduction System andRelated Technologies for Digital Image Capture(出願第60/447,502号、代理人ドケット第P0789D号、発明者:スコットD.ハイ、タンA.ホーン、チャールズR.ダガン、デビッド・ボカー、及びレオM.ケネン);
・Integrating and Enhancing Searching ofMedia Content and Biometric Databases(2003年3月3日に出願された出願第60/451,840号、代理人ドケット第P0803号);
・Optically Variable Devices with EmbeddedData for Authentication of Identity Documents(2003年3月31日に出願された出願番号未指定、代理人ドケット第P0816号、発明者:ロバート・ジョーンズ);
・Optically Variable Devices with EncryptedEmbedded Data for Authentication of Identity Documents(2003年3月31日に出願された出願番号未指定、代理人ドケット第P0824号、発明者:ロバート・ジョーンズ、及びレオ・ケネン);及び
・Image Processing Techniques for PrintingIdentification Cards and Document(2003年3月31日に出願された出願番号未指定、代理人ドケット第P0825号、発明者:ロバート・ジョーンズ、及びブライアン・ラブレック)。
【0004】
また、本発明は、2000年12月22日に出願された米国特許出願第09/747,735号;2000年6月23日に出願された第09/602,313号;及び2002年3月6日に出願された第10/094,593号、2002年2月19日に出願された米国プロビジョナル特許出願第60/358,321号、並びに米国特許第6,066,594号にも関連している。
【技術分野】
【0005】
本発明は、一般に、識別及び機密ドキュメントに係り、より詳細には、識別ドキュメントの印刷及びアッセンブルシステム並びに方法に係る。
【背景技術】
【0006】
[識別ドキュメント]
識別ドキュメント(以下、「IDドキュメント」)は、今日の社会において重要な役割を演じる。IDドキュメントの一例は、識別カード(「IDカード」)である。IDドキュメントは、認識を証明し、年齢を照合し、保安エリアに立ち入り、運転許可の証拠となり、小切手を現金化し、等々のために毎日使用される。航空機の乗客は、チェックイン、セキュリティ審査の間、及び飛行機に搭乗する前に、IDドキュメントの提示を求められる。更に、我々は絶えず発展を続けるキャッシュレス社会に生きているので、支払を行なったり、ATMにアクセスしたり、口座をデビットしたり、払い込みを行なったり、等々に、IDドキュメントが使用される。
【0007】
(この開示の目的として、IDドキュメントは、ここでは広く定義され、例えば、クレジットカード、銀行カード、電話カード、パスポート、運転免許証、ネットワークアクセスカード、従業員バッジ、デビットカード、セキュリティカード、ビザ、イミグレーションドキュメント、国内IDカード、市民資格カード、社会的セキュリティカード、セキュリティバッジ、証明書、識別カード又はドキュメント、選挙人登録カード、警察官IDカード、国境横断カード、証券、セキュリティクリアランスバッジ及びカード、銃の許可証、贈与証明書又はカード、会員カード又はバッジ、等々を含む。また、「ドキュメント」、「カード」、「バッジ」及び「ドキュメント化」という語は、本特許出願全体にわたり交換可能に使用される。)
【0008】
多数の形式の識別カード及びドキュメント、例えば、運転免許証、国又は政府の識別カード、銀行カード、クレジットカード、アクセス制御カード及びスマートカードは、その持参人の認識に関連した幾つかの情報アイテムを保持している。このような情報は、例えば、名前、住所、生年月日、署名、及び写真像を含み、カード又はドキュメントは、それに加えて、他の変動データ(即ち、特定カード又はドキュメントに特有のデータ、例えば、従業員番号)や、不変データ(即ち、多数のカードに共通したデータ、例えば、雇用主の名前)を保持してもよい。上述したカードは、全て、以下「IDドキュメント」と一般に称される。
【0009】
識別ドキュメント化の分野に有用な像を形成する際には、ドキュメントの発行者を表わすデータ又は表示(例えば、公式のシール、或いは会社又は教育団体の名称又はマーク)及びドキュメントの持参人を表わすデータ又は表示(例えば、写真肖像、名前又は住所)をドキュメント(例えば、IDカード、運転免許証、パスポート等)に織り込むことがしばしば望まれる。通常、ドキュメント発行者を表わすパターン、ロゴ、又は他の個別のマークは、ドキュメントが本物、正真正銘又は有効な発行物であることを照合する手段として働く。持参人の個人的な写真肖像或いは他のデータ又は表示は、ある施設への立ち入りの権利、或いは商取引及び活動に参加するための事前許可を確認するものである。
【0010】
カード持参人の背景セキュリティパターン、デザイン又はロゴや、個人的識別データが印刷されたIDカードのような識別ドキュメントは、既に知られていて、例えば、1973年9月18日にM.アニーンベルグ氏に発行された米国特許第3,758,970号、1976年3月10日に公告され、G.A.O.Gesellschaft Fur Automation Und Organisation mbHに発行された英国特許第1,472,581号、公告第WO82/04149号として1982年11月25日に公告された国際特許出願PCT/GB82/00150号、1987年3月31日にT.ラフィール氏等に発行された米国特許第4,653,775号、1988年4月19日にG.S.セシ氏等に発行された米国特許第4,738,949号、及び1993年11月16日にJ.W.ルーニング氏等に発行された米国特許第5,261,987号に説明されている。積層型IDドキュメントは、市民資格の証明書、識別カード、運転免許証、会員カード、パスポート、取引カード、国内識別カード、等々として使用される。
【0011】
[IDドキュメントにおける印刷情報]
熱転写により染料像を作成するための業務用装置(プリンタ)の出現は、ビデオカメラで取得した電子データからのカラープリントの形成を比較的日常的なものにした。一般に、これは、カラーフィルタ又は他の既知の手段を使用して原稿の赤、緑及び青の含有量を表わすデジタル像情報(電子信号)を取得することにより達成される。これらの信号は、次いで、一連のドナーシート(各々、昇華可能なシアン、マゼンタ及びイエロー染料を保持する)の各々を像方向に加熱するための複数の小さな加熱素子(例えば、ピン)を有するプリンタにより使用される。ドナーシートは、それらドナーシートから像方向に転写された染料を受け取るための層を有する受像素子(例えば、基板でよい)と接触状態にされる。上述した熱染料転写方法は、既に知られており、例えば、1986年11月4日にS.ブラウンステイン氏に発行された米国特許第4,621,271号、及び1991年6月18日にY.H.チャン氏等に発行された米国特許第5,024,989号に説明されている。
【0012】
染料拡散熱転写印刷(「D2T2」)及び熱転写(質量転写印刷とも称される)は、識別カードに情報を印刷するのに使用される2つの印刷技術である。例えば、D2T2は、映像及び画像を印刷するのに使用される一方、熱転写は、テキスト、バーコード及び単一カラーグラフィックを印刷するのに使用されている。
【0013】
D2T2は、写真品質の像の作成を許す熱像形成技術である。D2T2印刷では、1つ以上の熱転写可能な染料(例えば、シアン、イエロー及びマゼンタ)が、個別のポイントにおいてスタイラス又はサーマルプリントヘッドを介して熱又は圧力を局部的に印加することにより、染料(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等)が被覆されたドナー染料シートのようなドナー又は1組のパネル(又はリボン)から、受け取りシート(例えば、IDドキュメントの一部分でよい)へ転写される。染料が受け取りシートに転写されると、染料がそのシート(又はIDカード基板)内へ拡散し、そこで、染料が基板へ、又はもし設けられていれば受容体被覆へ化学的に結合する。通常、ドキュメントを横切って次々のカラーパネルで印刷すると、ドキュメントの表面上又はその中に像が形成される。D2T2は、特に、サーマルプリントヘッドに印加されるエネルギーを変化させて、受け取りシートに形成される像ピクセルの染料密度を変化させ、連続階調像を作成することができるので、非常に高品質の印刷を得ることができる。しかしながら、D2T2は、特殊な染料を必要とする上にD2T2リボンのコストが高いので、他の方法に比してコストが高くなる。また、D2T2印刷された像の品質は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの印刷シーケンスを空間的に正確に位置合わせするための機械的プリンタシステムの能力に少なくとも依存してもよい。
【0014】
別の熱像形成技術は、熱又は質量転写印刷である。質量転写印刷では、受け取り部に堆積されるべき材料(例えば、カーボンブラック(記号「K」で示される))が質量転写ドナー媒体に設けられる。局所化された熱が質量転写ドナー媒体に印加されると、材料の一部分(質量)が受け取り部に物理的に転写されて、受け取り部の「上面」に位置する。例えば、質量転写印刷は、テキスト、バーコード、及びモノクロ像を印刷するのにしばしば使用される。ディザ型グレースケールを用いてグレースケール画像を印刷するのに樹脂ブラック質量転写が使用されているが、その像は、D2T2を使用して発生される像より粗く見えることが時々ある。しかしながら、質量転写印刷は、D2T2より高速であることが時々あり、ある状況においては高速印刷が望まれる。
【0015】
ブラック(「K」)の印刷は、D2T2又は質量転写のいずれかを使用して達成することができる。例えば、ブラックモノクロ「K」質量転写リボンは、Kr(熱転写リボンを示す)及びKd(染料拡散を示す)を備えている。
【0016】
D2T2及び熱インクは、両方とも、単一のリボンに結合されており、これは、良く知られたYMCK(イエロー−マゼンタ−シアン−ブラック)リボンである(文字「K」は、印刷業界においてブラックの色を指定するのに使用される)。保護材(「P」)又はラミネート(通常は透明パネル)を含む別のパネルをYMCKリボンに追加することもできる。
【0017】
[製造及び印刷環境]
IDドキュメントを発行するための営業用システムは、2つの主たる形式があり、即ちいわゆる「中央」発行(CI)と、いわゆる「現場」又は「店頭」(OTC)発行である。
【0018】
CI形式のIDドキュメントは、持参人に直ちに与えられるのではなく、中央位置から持参人に後で発行される。例えば、一形式のCI環境では、持参人が、データが収集されるドキュメントステーションへ報告を行い、そのデータが、カードが作成される中央位置へ転送され、次いで、カードが、しばしば郵送で持参人へ送付される。CIアッセンブルプロセスの別の説明例は、運転者が運転試験に合格したが、免許証を短期間後にCI施設から郵送で受け取るという設定のものである。CIアッセンブルプロセスの更に別の説明例は、運転者が自分の免許証を郵送又はインターネットを経て更新し、次いで、郵送で運転免許証カードを受け取るという設定のものである。
【0019】
これに対して、CIアッセンブルプロセスは、その多くが大量プロセス施設のもので、多数のカードが中央施設で次から次へと作成される。(例えば、運転者が運転試験に合格したが、自分の免許証をCI施設から短期間の後に受け取るという設定を想像されたい。CI施設は、数千のカードを連続的に処理してもよい。)
【0020】
中央で発行される識別ドキュメントは、デジタル記憶された情報から作成することができ、一般的には、紙又はプラスチックのような不透明なコア材料(「基板」とも称される)を、ポリエステルのような透明なプラスチックラミネートの2枚の層間にサンドイッチして、前記情報アイテムを磨耗、素子への露出及びいたずらから保護するようにしたもので構成される。このようなCI識別ドキュメントに使用される材料は、究極の耐久性を与えることができる。更に、中央で発行されるデジタル識別ドキュメントは、一般に、OTC識別ドキュメントよりも高いレベルのセキュリティを与える。というのは、それらは、中央発行ドキュメントのコアに、「マイクロプリンティング」のようなセキュリティ特徴や、紫外線セキュリティ特徴や、中央で発行される識別ドキュメントにとって現在独特のセキュリティ指示及び他の特徴を予め印刷する能力があるからである。
【0021】
更に、CIアッセンブルプロセスは、その多くが大量プロセス施設のもので、多数のカードが中央施設で次から次へと作成される。CI施設は、例えば、数千のカードを連続的に処理してもよい。処理は大量に行なわれるので、CIは、あるOTCプロセス、特に、間欠的に運転されるOTCプロセスに比して、高い効率をもつことができる。従って、CIプロセスは、大量のIDドキュメントが製造される場合には、IDドキュメント当りのコストを時々下げることができる。
【0022】
CI識別ドキュメントとは対照的に、OTC識別ドキュメントは、持参者がドキュメント発行ステーションにいるときに直ちに発行される。OTCアッセンブルプロセスは、IDドキュメントを「現場」で与える。(OTCアッセンブルプロセスの説明例は、運転者の免許証が試験にパスした後に現場で個人に発行される陸運局(「DMV」)設定である。)ある場合に、OTCアッセンブルプロセスの真の特性は、IDドキュメントを印刷するための小さな、時にはコンパクトな、印刷及びカードアッセンブル装置を生じさせる。OTCカード発行プロセスは、その性質上、連続プロセスに比して、間欠的プロセスとなる。
【0023】
上述した形式のOTC識別ドキュメントは、コスト及び希望の特徴に基づいて多数の形態をとり得る。あるOTC IDドキュメントは、高度に可塑化されたポリ(塩化ビニル)を含むか、又はポリエステルが0.5−2.0ミル(13−51.mu.m)のポリ(塩化ビニル)膜に積層化された複合構造を有し、これは、持参人を識別するに必要な変動又は不変データと共に写真像を形成する熱転写可能な染料に適した受け取り層を形成する。これらのデータは、その後、プリントヘッドにおいて付着される透明な薄い(0.125−0.250ミル、3−6.mu.m)オーバーレイパッチ、ホログラフのホットスタンプホイル(0.125−0.250ミル、3−6.mu.m)、又は透明なポリエステルラミネート(0.5−10ミル、13−254.mu.m)により種々の程度で保護されて、通常のセキュリティ特徴をサポートする。これらの最後の2つの形式の保護ホイル又はラミネートは、時には、プリントヘッドとは個別の積層化ステーションで付着される。ラミネートの選択で、像及び他のデータを保護するためにシステムに与えられる耐久性及びセキュリティの程度が指示される。
【0024】
当業者に知られたように、運転免許証のようなIDドキュメントは、写真像のような情報と、バーコード(写真像に像が現われている個人に特有の情報及び/又はIDドキュメントからIDドキュメントへと同じである情報を含んでもよい)と、住所、署名及び/又は生年月日のような可変の個人情報と、写真像に像が現われている個人に関連した生物測定情報(例えば、指紋)と、磁気ストライプ(例えば、写真像をもつ側とは反対のIDドキュメントの側に設けることのできる)と、セキュリティパターンのような種々のセキュリティ特徴(例えば、微細に分割された印刷領域と非印刷領域が互いに接近した密接印刷パターンで、銀行券や株券等の印刷に使用される細線印刷セキュリティパターンのようなもの)とを含むことができる。
【0025】
IDドキュメントは、例えば、明るく着色された不透明材料(例えば、TESLIN(PPGインダストリーから入手できる)又は塩化ポリビニール(PVC)材料)のようなコア層を含むことができる。このコアは、透明なPVCのような透明材料を積層して、いわゆる「カードブランク」が形成される。可変のパーソナル情報(例えば、写真情報)のような情報は、参考としてその全体をここに援用する共通に譲渡された米国特許第6,066,594号にも説明された染料拡散熱転写(「D2T2」)印刷のような方法を使用してカードブランクに印刷される。この情報は、例えば、多数の識別ドキュメントに共通の不変即ち変化しない情報、例えば、ドキュメントを発行する組織の名称及びロゴのような指示又は表示を含むことができる。この情報は、使用する特定のコア材料に指示を形成することのできる任意の既知のプロセスで形成されてもよい。
【0026】
印刷された情報を保護するために、当業者に知られたように、透明なオーバーラミネートの追加層をカードブランク及び印刷情報に結合することができる。オーバーラミネートとして使用できる材料は、例えば、双軸配向のポリエステル又はその他光学的に透明な耐久性プラスチックフィルムを含む。
【0027】
図1及び2は、各々、例示的な従来のOTC識別ドキュメント1の前面図及び断面図(A−A線に沿った)である。図1において、従来のOTC IDドキュメント1は、写真像2と、個人情報3と、セキュリティパターン3(例えば、銀行券や株券等の印刷に使用される細線印刷セキュリティパターンのように、微細に分割された印刷及び非印刷領域が互いに接近した密接印刷パターンで構成される印刷パターン)とを備えている。必要に応じて、セキュリティパターン4は、異なるパターン設計(例えば、装飾模様、組み紐模様)の一部分でもよく、異なるインク(例えば、UVインク)で印刷することができる。
【0028】
図2を参照すれば、従来のOTC IDドキュメント1は、予め印刷されたコア5(例えば、ホワイトのPVC材料)を備え、これは、例えば、約30ミル厚みである。コア5には、透明のPVC材料6が積層化され、これは、例えば、約1−5ミル厚みである。コア5と透明PVC材料6の複合体は、約30ミル厚みのいわゆる「カードブランク」7を形成する。このカードブランク7に、染料拡散熱転写(「D2T2」)印刷(以下で詳細に説明する)を使用して情報8が印刷される。D2T2印刷により印刷された情報8を保護するために、オーバーラミネートの追加層9が、例えば、1ミルの接着剤(図示せず)を使用して、カードブランク7及びD2T2印刷部に結合される。
【0029】
本発明の譲受人から入手できる一形式のOTC識別ドキュメントは、いわゆる「デスクトップセキュリティカード(DSC)」であり、これは、ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズインクにより「TESLIN」という登録商標で市販されている材料のような、印刷可能なシリカ充填ポリオレフィンの不透明シート等の不透明な印刷可能材料のシートで形成されたコア層(「基板」とも称される)を有している。このDCSカードの現在現場に出ているバージョンでは、OTC環境におけるIDドキュメントの印刷はD2T2プリンタで達成される。印刷された像の印刷品質は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの印刷シーケンスを正確に位置合わせする機械的プリンタシステムの能力に少なくとも依存してもよい。共通に譲渡された米国特許第6,066,594号は、この形式のOTC識別ドキュメントを詳細に説明しており、この特許の内容全体を参考としてここに援用する。
【発明の概要】
【0030】
[製造コスト及びその他の問題]
OTC環境におけるIDドキュメントの印刷は、D2T2プリンタでしばしば達成される。このようなD2T2プリンタでのリボンの使用は、非常に経費高であると共に、D2T2で印刷されるカードブランク(例えば、PVC又は他のもっと高価なカードブランク)も経費高である。「Application of pigmented jet inks to ID cards」と称する出願中の共通に譲渡された米国プロビジョナル特許出願第60/379,704号、及び「Identification Card Printed With Jet Inks and Systems and Methods ofMaking Same」と題する米国ノンプロジジョナル特許出願第10/298,962号は、インクジェット印刷(D2T2リボンを使用するものより著しく低廉にすることができる)を使用して、ブランクシート(例えば、TESLINシート)に印刷を行い、これを次いで積層化して印刷を保護することのできる本発明の方法及び技術に関する情報を与える。
【0031】
現在利用できる染料拡散印刷も、特に、現在入手できるインクジェットプリンタのコストに比して経費高である。経費の一部分は、染料拡散リボンの短いライフスパンに起因し、例えば、リボンは、それが尽きるまでに数回の印刷(時には一回の印刷のみ)にしか使用できない。これは、単一カードの印刷にD2T2カラーパネルの全セットが必要となり、その結果、未使用の(及び不幸にも廃棄される)像形成材料の割合が高くなるために、時々生じる。また、これらのシステムは、高価なPVC又は他のもっと高価な基板に染料を拡散することになる。
【0032】
OTC IDドキュメントに伴う更に別の重要な問題は、それらの耐久性である。運転免許証等の多数のIDドキュメントは、カードのラミネート、像及び/又はテキストに著しいダメージを及ぼし得る湿度や水や汚れや熱のような環境条件を受ける。このような環境条件は、カードの有効寿命を短縮するが、発行者は、10年までの寿命をもつカードをしばしば希望する。既知の技術及び材料を使用してこのように長い寿命をもつIDドキュメントを製造することは、カードのコストを著しく増大する。
【0033】
IDドキュメントのOTC製造に伴う更に別の問題は、効率である。ある環境では、OTCカード発行プロセスは、あるときには、間欠的プロセスとなる。OTCアッセンブルプロセスの間欠的オペレーションは、時には、IDドキュメントを形成するのに使用される原料の浪費を招く。原料の浪費は、IDカード当りのコストを高める。しかしながら、OTCカードアッセンブルプロセスは、連続的でもよいし、又は間欠周期の連続運転を有してもよいことが考えられる。
【0034】
IDドキュメントの多くの発行者は、カードの高品質耐久性を維持しながらIDドキュメントのコストを低く保持するために、予算的な圧力をしばしば受けるので、IDドキュメントの品質及び耐久性を維持しながらIDドキュメントのコストを下げるようにIDドキュメントの設計及び/又は製造を改善することが要望される。
【0035】
本出願人は、OTCの用途において、インクジェット印刷を使用して基板シートに印刷を行なうことにより印刷及び耐久性に優れた結果が得られることが分かった。一実施形態では、基板シートは、微孔性材料、例えば、TESLINシートで構成される。(TESLINは、米国15272ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズ、ワンPPGプレースから入手できる合成材料である。)微孔性材料は、複数のボイドを含み、この微孔性材料とインクジェットインクの顔料との間に親和性があるために、インクジェットインクの少なくとも一部分がボイドを満たす。インクジェット印刷された基板は、次いで、例えば、ポリエステルラミネートでオーバーラミネートされ、その後、典型的なIDカードサイズ(例えば、ISO規格に合致する)に切断されるのが好ましい。本発明の方法及びシステムは、耐久性及びいたずら防止性に優れたIDドキュメントを形成し、しかも、低コストの解決策であり、ひいては、低いコストで優れた製品を生み出すことができる。
【0036】
本発明の別の態様は、IDドキュメント積層化プロセスにおいていわゆるキャリアウェブを使用してラミネートパッチを支持し且つその配向を制御することである。キャリアウェブは、紙をベースとする材料でよい。OTCカード発行プロセスは、その性質上、連続プロセスに比して、間欠的プロセスである。いわゆる連続ロールラミネート処理は、中央発行環境においてカードを積層化する迅速且つ効率的な方法を与えるが、この同じ連続ラミネートプロセスは、材料利用率が悪くなるために、通常、間欠的プロセスには適合しない。例えば、1つの運転中に1枚のカードしか形成されない状態を考える。最初のカードの直後に後続カードが続くのではないので、何インチ(又はフィート)ものロールラミネートが浪費されることになる。キャリアウェブの使用は、ロールラミネート処理を間欠的なカードアッセンブル環境において高いラミネート収率で使用する独特の方法を提供する。
【0037】
本発明の一実施形態では、キャリアウェブ及び/又は基板に、印刷及び/又は積層化マシン方向エッジに沿って穿孔を入れて物理的な位置合わせ特徴部が形成される。本発明の穿孔穴(即ち「フォームフィード穴」)は、材料を確実に運搬すると共に、多数のカード層(ラミネート−基板−ラミネート)が結合されて積層化IDカードを形成するときにそれらの層を正確に位置合わせするのに使用できる。幾つかの実施形態では、ウェブ又は基板の2つの平行な方向のエッジに沿って穴が配置される。
【0038】
一実施形態では、識別ドキュメントを間欠的にアッセンブルするためのシステムであって、識別ドキュメントは、上面及び下面をもつ基板を備え、上面及び下面が積層化されるようなシステムにおいて、第1インクジェットプリンタと、コンベヤと、第2インクジェットプリンタと、積層化装置と、カッターとを備えたシステムが提供される。第1インクジェットプリンタは、基板シートの上面に第1情報を印刷するように動作でき、前記第1インクジェットプリンタは、基板シートを受け取るための印刷トレー即ち入力部を含む。コンベヤは、一度印刷された基板シートを第1インクジェットプリンタから運搬する。第2インクジェットプリンタは、一度印刷された基板シートをコンベヤから受け取り、一度印刷された基板シートは、第2インクジェットプリンタから第2情報を受け取るようにその基板シートの下面を配置するよう運搬され、第2インクジェットプリンタは、基板シートの下面に第2情報を印刷するように動作できる。
【0039】
積層化装置は、二度印刷された基板シートを受け取り、二度印刷された基板シートの上面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、二度印刷された基板シートの下面に接触するように下部ラミネートを設けるように動作できるもので、積層化装置は、二度印刷された基板シートの上面に上部ラミネートを積層化すると共に、二度印刷された基板シートの下面に下部ラミネートを積層化する。カッターは、積層化された二度印刷された基板シートから余計な材料を切断するように動作でき、その切断され、積層化された二度印刷された基板シートが識別ドキュメントを形成する。
【0040】
別の実施形態において、識別ドキュメントを間欠的にアッセンブルするための別のシステムであって、識別ドキュメントは、上面及び下面をもつ基板を備え、上面及び下面が積層化されるようなシステムにおいて、第1インクジェットプリンタと、第1コンベヤと、第2コンベヤと、積層化装置とを備えたシステムが提供される。
【0041】
第1インクジェットプリンタは、基板シートの上面に第1情報を印刷するように動作でき、前記第1インクジェットプリンタは、基板シートを受け取るための入力部と、印刷された基板シートが第1インクジェットプリンタから退出する出口部とを備えている。第1コンベヤは、一度印刷された基板シートを第1インクジェットプリンタの出口部から第1インクジェットプリンタの入口部へ戻すように運搬し、第1コンベヤは、印刷シートの下面に印刷情報を受け取るように前記一度印刷された基板シートを配置させるよう運搬し、基板の上面及び下面は異なる面であり、第1インクジェットプリンタは、基板シートの下面に第2情報を印刷するように動作できる。第2コンベヤは、二度印刷された基板シートを第1インクジェットプリンタの出力部から運搬する。
【0042】
積層化装置は、二度印刷された基板シートを受け取り、二度印刷された基板シートの上面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、二度印刷された基板シートの下面に接触するように下部ラミネートを設けるように動作できるもので、積層化装置は、二度印刷された基板シートの上面に上部ラミネートを積層化すると共に、二度印刷された基板シートの下面に下部ラミネートを積層化する。カッターは、積層化された二度印刷された基板シートから余計な材料を切断し、その切断され、積層化された二度印刷された基板シートが識別ドキュメントを形成する。
【0043】
更に別の実施形態では、識別ドキュメントを間欠的にアッセンブルするためのシステムであって、識別ドキュメントは、上面及び下面をもつ基板を備え、上面及び下面が積層化されるようなシステムにおいて、第1及び第2のインクジェットプリンタと、積層化装置とを備えたシステムが提供される。
【0044】
第1インクジェットプリンタは、基板シートの上面に第1情報を印刷するように動作できる。第2インクジェットプリンタは、基板シートの下面に第2情報を印刷するように動作でき、第2インクジェットプリンタは、第1インクジェットプリンタに対して、基板シートを所定経路に沿って移動できると共に、その所定経路に沿って基板の向きを変更する必要なく、その上面を第1インクジェットプリンタで印刷し、且つその下面を第2インクジェットプリンタで印刷するような構造及び構成にされる。積層化装置は、二度印刷された基板シートを受け取り、二度印刷された基板シートの上面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、二度印刷された基板シートの下面に接触するように下部ラミネートを設けるように動作できるもので、積層化装置は、二度印刷された基板シートの上面に上部ラミネートを積層化すると共に、二度印刷された基板シートの下面に下部ラミネートを積層化し、その積層化された二度印刷された基板シートが識別ドキュメントを形成する。更に別の実施形態では、第1及び第2のインクジェットプリンタは、基板シートを実質的に同時に印刷する構造及び構成にされる。
【0045】
更に別の実施形態では、識別ドキュメントをアッセンブルするための方法であって、アッセンブルされた識別ドキュメントは、少なくとも、上面及び下面をもつ基板を含むものであり、この基板が積層化されるような方法が提供される。
【0046】
印刷を有する基板であって、カードの輪郭を含むように穿孔又はカットされた基板シートを用意する。上面及び下面を有するカードを基板シートから分離する。カードの上面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、カードの下面に接触するように下部ラミネートを設け、前記上部ラミネート、基板及び下部ラミネートがカードサンドイッチを形成し、前記ラミネートを設けるステップは、第1ステーションにおいて実行される。カードサンドイッチは、第1ステーションから離れた第2ステーションにおいてカードサンドイッチの積層化を容易にするために加熱及び加圧される。積層化されたカードサンドイッチを、第1及び第2ステーションから離れた第3ステーションにおいて冷却する。
【0047】
更に別の実施形態では、間欠的なアッセンブル環境において識別ドキュメントをアッセンブルする方法が提供される。ドキュメント基板の第1表面に第1情報を印刷すると共に、ドキュメント基板の第2表面には、第1情報に対して独特の少なくとも1組のデータを含む第2情報を印刷するように、インクジェット印刷が制御される。ドキュメント基板の第1表面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、ドキュメント基板の第2表面に接触するように下部ラミネートを設けるように、印刷されたドキュメント基板の積層化を制御する。ドキュメント基板、及び上部又は下部ラミネートを支持するキャリアウェブの少なくとも一方のエッジに沿って配置された少なくともフォームフィード穴により、積層化されたドキュメント基板の整列が制御され、この整列は、積層化されたドキュメント基板におけるセキュリティ特徴部の切断、材料位置合わせ及び配置の少なくとも1つに関連したものである。
【0048】
更に別の実施形態では、第1及び第2の面を有し所定の材料で構成された基板から識別ドキュメントを形成するためのシステムにおいて、基板の第1面に印刷するための手段であって、所定の材料に対して親和性を有するインクを使用して識別ドキュメントを印刷するように動作できる印刷手段と、識別ドキュメントの少なくとも一方の面を積層化するための手段と、この積層化手段に印刷された基板を移送するための手段とを備えたシステムが提供される。
【0049】
本発明の前記及び他の特徴並びに効果は、添付図面を参照した以下に詳細な説明から容易に明らかとなろう。
【0050】
添付図面は、必ずしも正しい縮尺ではなく、本発明の原理を例示するために一般的に強調がなされている。更に、図中、同じ要素は同じ番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の識別ドキュメントの一例を示す図である。
【図2】図1のA−A線に沿った従来の識別ドキュメントの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による識別ドキュメントの一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による店頭IDドキュメントアッセンブルシステムにおけるプロセスのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による二重インクジェットプリンタ実施の第1例を含む店頭IDドキュメントアッセンブルシステムを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に基づく1つの制御プロセスの概要を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による二重インクジェットプリンタ実施の第2例を含む店頭IDドキュメントアッセンブルシステムを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による単一インクジェットプリンタ実施を含む店頭IDドキュメントアッセンブルシステムを示す図である。
【図9】本発明の少なくとも1つの実施形態に使用できるキャリアウェブを示す図である。
【図10】図9のキャリアウェブにおけるラミネートパッチを示す図である。
【図11】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施形態により第1及び第2の移動の向きに対するシート及び印刷方向を例示する図である。
【図12】本発明の少なくとも1つの実施形態に使用できる積層化装置のロールアッセンブリを示す斜視図である。
【図13】複数のフォームフィード穴をその方向エッジに沿って含む基板シートを示す図である。
【図14】本発明の実施形態に基づく回転テーブル処理法方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の詳細な説明は、本発明の多数の実施形態を開示する。ある実施形態の区分で見られる開示は、別の区分で見られる開示と容易に結合できることが明らかであろう。
【0053】
以上の説明において、「カード」という語の使用は、全ての形式のIDドキュメントを含むことを意図している。(この開示の目的として、「ドキュメント」、「カード」、「バッジ」及び「ドキュメント化」という用語は、交換可能に使用される。更に、IDドキュメントは、識別されるべきオブジェクト又は他のエンティティに関連し得る情報、像及び/又は他のデータを記録できるドキュメント、磁気ディスク、CD、又は他の適当な品目を含むが、これらに限定されない。)
【0054】
インクジェットプリンタは、現在、いつでも入手できるが、IDカード印刷におけるそれらの使用は、多数のファクタにより制限される。インクジェットプリンタに慣習的に使用される通常の染料系インクは、時間と共に又は日光に長時間露出した状態のもとで退色に耐える安定性に欠ける。ラミネート型IDカードでは、基板(例えば、TESLINシート)に堆積されたインクが、基板にしばしば結合される保護ラミネートの接合部と干渉しないことが好ましい。干渉があると、ラミネートにより与えられるセキュリティ又は出来上がったIDドキュメントの長い寿命を無効にすることがある。
【0055】
本発明者は、染料系インクジェットインクは、高品質の印刷見掛けを形成するためにいわゆる受け取り層(又は薄い被覆)をIDドキュメント基板に付着する必要があると分かった。従来の受け取り層は、水分吸収特性を有していて、IDカードの物理的完全性を弱くしてしまう。例えば、受け取り層と共に処理されたカード基板は、特に、カードの縁において水分を吸収する。水分の吸収は、悲惨な影響を及ぼし得るもので、カードが膨張したり反ったりし、ラミネートが剥離し、弱点が生じて侵入点を与え、更に、印刷インクがぼけたり失われたりすることになる。また、本出願の発明者は、受け取り層が基板とラミネートとの間の接合をしばしば弱めることを発見した。
【0056】
従来の染料系インクジェットインクの別の欠点は、ドキュメント基板内でインクが移動することである。染料系インクジェットインクは、ドキュメント基板に塗布した後、特に、受け取り層が基板に付着されていないときには、基板の厚み全体に浸透することがしばしばある。インクの移動は、少なくとも2つの否定的結果を生じる。第1に、ドキュメント基板の表面に見えるインクが減少されて、「洗い落とされた」像を招く。第2に、最悪の筋書きにおいて、基板の前面に印刷されたインクが基板の背面に見えることになる。
【0057】
顔料インクジェットインクの使用は、これら問題のほとんどを実質的に排除し又は少なくとも顕著に緩和し、このような顔料インクジェットインクを、IDカード基板に情報を印刷するのに適したものにすることを発見した。このような顔料インクの光及び劣化安定性は、優れたものである。また、これらの顔料インクで印刷するときには、受け取り層は必要とされず、印刷された基板に対するラミネートの接合を受け入れられるものにする一方、優れた耐水分性を維持することも決定された。顔料粒子は、TESLIN(ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズインクにより製造された)基板のような微孔性ポリエチレン−ポリマー含有材料等の基板への制御された浸透レベルを示し、基板の背面への浸出がほとんどないか全くない優れた品質の高密度像を形成する。特に、本発明者は、次のことを発見した。
【0058】
・このような顔料インクの光及び劣化安定性が優れている。
・顔料インクでTESLINシートのような微孔性コアを印刷するときには受け取り層が必要とされない。TESLINのような微孔性コア材料は、ある場合に、表面付近のインク顔料の大部分に残されている顔料インクから顔料粒子をフィルタする傾向がある。TESLINの孔へのある程度の浸透が生じると思われ、これは、基板に顔料をロックする上で助けとなる。しかしながら、顔料インクの浸透は、慣習的な染料インクに比して僅かであることが観察されている。それにより生じる微孔性材料へのラミネート接合強度は優れており、水分により実質的に影響を受けないと思われる。
・基板への顔料の浸透レベルを制限できるので、基板の前面から背面への浸出は観察されなかった。
・層剥離の試みは、いたずらが行なわれたという明確な証拠を残す結果となる。例えば、顔料インクジェットインクで印刷されたTESLIN系基板からラミネートを除去した場合には、TESLINが凝集性の破断を生じるか(材料の厚みを下るように)又はインクが凝集性の破断を生じるか(ほとんどのインクはラミネート共に留まり、残りはTESLINと共に留まる)或いはこれら2つのモードの組合せとなる。これらの破断モードは、改造を極めて明白にし、写真の交換やデータの変更を非常に困難にし、接着層を追加せずに層剥離を行なうのを不可能にする。
【0059】
また、顔料インクジェットインクの本発明による使用は、特に、インクジェットプリンタの解像度が、IDカードを製造する目的でTESLINに印刷するのに使用されるレーザプリンタに勝る状況では、IDドキュメントの中央発行製造にもIDドキュメントの店頭製造にも適用できると考えられる。顔料インクの本発明による使用に関する更なる詳細は、参考としてその内容をここに援用する「Identification Card Printed with Jet Inks and Systems and Methods ofMaking Same」と題する共通に譲渡された米国特許出願第10/289,962号に見ることができる。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態により製造されたIDドキュメント10の一例を示す。IDドキュメント10は、基板21(例示の目的で、「カード状」の形状をもつものとして示されている)を備え、更に、IDドキュメント10は、任意であるが、第1及び第2のラミネート層23、25間にシールすることができ(また、IDドキュメント10は、一方のラミネート層(第1層23又は第2層25のいずれか)のみでシールされてもよく)、また、複数のラミネート層でシールされてもよい。
【0061】
本発明では必要とされないが、IDドキュメント10は、写真14と、種々の印刷情報12、例えば、データ、テキスト情報、グラフィック、バーコード、生体情報(例えば、指紋)、個人情報(例えば、名前、住所等)、等々を含んでもよい。写真及び/又は印刷情報の少なくとも一部分がインクジェットインク印刷29で基板21に印刷される。少なくとも1つの実施形態では、基板21の両側に、インクジェットカラー印刷又はインクジェット白黒印刷のような印刷29を受け取ることができる。ある実施形態では、情報が、ラミネート23、25の一方又は両方に支持された記録媒体(例えば、磁気ストライプ27)に光学的又は磁気的に記憶されてもよい。
【0062】
ラミネートシート23及び25を基板21に接合するのに熱及び/又は接着剤が使用される。接着剤は、ラミネート23及び25の基板係合面に被覆することもできるし設けることもできる。また、ラミネートは、基板21が滑り込む小袋を含むこともできる。この場合も、熱及び/又は接着剤を使用して、基板21を小袋ラミネートに接合する。ここでは、本発明により仕上げられた好ましいIDドキュメントは、少なくとも3層構造を含む(例えば、ラミネート−基板−ラミネート)。ラミネートは、印刷された基板のための保護カバーをなすと共に、無許可のいたずらに対してあるレベルの保護を与える。(例えば、ラミネートは、印刷された情報を変更するためにこれを除去し、次いで、変更後に元に戻さねばならない。)種々の積層化プロセスが、譲受人の米国特許第5,783,024号、第6,007,660号及び第6,159,327号に開示されている。他の積層化プロセスが、例えば、米国特許第6,283,188号及び第6,003,581号に開示されている。本発明の開示は、これら積層化技術に勝る改良をもたらす。
【0063】
認識の不正行為を減少する助けをするために、基板上に印刷された情報及び/又は像のいずれか又は全部が1つ以上の内蔵セキュリティ特徴を含んでもよい。例えば、本発明の一実施形態では、像又はバーコードのようなIDドキュメント10の一部分は、デジタル透かし模様を含むことができる。デジタル透かし模様を入れることは、マシン読み取り可能なコードを埋め込むように物理的又は電子的媒体を変更するプロセスである。媒体は、埋め込まれたコードがユーザに気付かれないか又はほとんど気付かれないが、自動検出プロセスを介して検出できるように変更されてもよい。コードは、例えば、写真、テキスト、グラフィック、像、基板又はラミネートテクスチャー、及び/又は写真−識別ドキュメントの背景パターン又は濃淡に埋め込まれてもよい。また、コードは、紫外線又は赤外線インク及び染料を介して搬送することもできる。
【0064】
デジタル透かし模様システムは、通常、2つの主たる要素、即ち、ホスト媒体信号にデジタル透かし模様を埋め込むエンコーダと、デジタル透かし模様を含むと思われる信号から埋め込まれたデジタル透かし模様を検出して読み取るデコーダとを有する。エンコーダは、ホスト媒体信号を変更することによりデジタル透かし模様を埋め込む。説明上、ホスト媒体信号が写真を含む場合には、デジタル透かし模様を写真に埋め込むことができ、その埋め込まれた写真を写真−識別ドキュメントに印刷することができる。デコード要素は、疑わしい信号を分析して、デジタル透かし模様が存在するかどうか検出する。デジタル透かし模様が情報(例えば、独特の識別子)をエンコードするアプリケーションでは、デコード要素が、検出されたデジタル透かし模様からこの情報を抽出する。
【0065】
多数の特定のデジタル透かし模様技術が開発されている。読者は、この分野の文献に馴染みがあると推測する。気付かれない透かし模様を媒体に埋め込んだり検出したりする特定の技術が、例えば、デジマックスの出願中の米国特許出願第09/503,881号、及び米国特許第6,122,403号に詳細に説明されている。デジタル透かし模様を識別ドキュメントに埋め込む技術は、更に、例えば、2002年3月6日に出願されたデジマックスの出願中の米国特許出願第10/094,593号及び2002年6月10日に出願された第10/170,223号、更に、2002年2月19日に出願された出願中の米国プロビジョナル特許出願第60/358,321号、並びに米国特許第5,841,886号に詳細に説明されている。
【0066】
[実施形態1−識別ドキュメントをインクジェット印刷するプロセス]
図6は、本発明の一実施形態による店頭IDドキュメントアッセンブルシステム100に含まれる一般的なプロセスを示すフローチャートである。この一般的プロセスは、ここに述べる本発明の他の実施形態の少なくとも幾つかに適用することができ、以下に詳細に説明すべきプロセス、システム、装置及び技術の一般的な概要を読者に与えるためのものである。ハードウェアを使用するか、ソフトウェアを使用するか、或いはこれらの2つ以上の組合せを使用して、以下のプロセスのいずれか又は全部を手動で制御することができる。
【0067】
印刷のための基礎材料が用意される(ステップ102、104)。用意される基礎材料は、使用するプリンタの形式に少なくとも一部分依存する。一実施形態において、印刷は、1つ以上のインクジェット型のプリンタを使用して遂行され、基礎材料は、インクジェット印刷することのできる材料である。一実施形態において、印刷は、所与の顔料インクジェットインクが供給される1つ以上のインクジェット型プリンタを使用して遂行され、基礎材料は、所与の顔料インクジェットインクに対して親和性を有する材料である。当業者に明らかなように、適当なインクジェットプリンタが、多数の異なる売主、例えば、ヒューレットパッカード(94304カリフォルニア州パロ・アルト、ハノーバー・ストリート3000)、エプソン(例えば、エプソン・フォト2000Pモデルを含む)(90806カリフォルニア州キルロイ・エアポート・ウェイ・ロング・ビーチ3840)、キャノンUSAインク(11042ニューヨーク州レークサクセス、ワン・キャノン・プラザ)、及びレクスマーク(40550ケンタッキー州レキシントン、ウェスト・ニュー・サークル・ロード740)から入手できる。
【0068】
任意のステップとして、基礎材料の印刷中及び/又は印刷後に、例えば、エアドライヤー、ヒートランプ又は他の乾燥装置を使用して、基礎材料を乾燥することができる(ステップ108)。このような強制乾燥は、好都合にも、基礎材料に印刷されたインクを硬化させ、カードの製造をスピードアップし、且つ印刷パスと印刷パスとの間の手荒な取り扱い(例えば、コンベヤ)に印刷が耐えられるようにする上で助けとなり得る。また、強制乾燥は、積層化中に発生し得る気泡及び他の問題を緩和し、最終的なカードにおけるそのような欠陥を減少する上で助けとなり得る。時間が許せば、ステップ108の乾燥は、インクジェット印刷が乾燥するのに必要な所定長さの時間、基礎材料の通過を待機するか又は遅延することで達成することもできる。当業者に明らかなように、強制乾燥及び時間遅延の組合せを使用して乾燥を行なうこともできる。
【0069】
積層化ステップ106は、この技術で知られた実質上いかなる積層化システムを使用して遂行することもでき、これは、加熱ローラー、基礎材料に直接付着されるラミネートの小袋、パッチ、プラテン積層化、キャリア支持積層化、手動積層化等のシステムを含む。使用する積層化の形式に基づいて、積層化された基礎材料の冷却中に(ステップ110)、積層化された基礎材料に付加的な圧力を印加して(例えば、一連のローラー及び/又は1つ以上のプレート)、冷却中にラミネートをフラットに保持する助けとすることができる。
【0070】
積層化された基礎材料の切断(ステップ112)は、基礎材料の形式及びプロセスの構成に基づいて多数の異なる方法で遂行することができる。例えば、本発明の少なくとも幾つかの実施形態では、基礎材料(ここで更に詳細に述べる)がキャリアウェブに設けられ、次いで、積層化され(パッチ積層化のような方法によることを含む)、積層化された基礎材料を切断中にキャリアウェブから押し抜き、引き裂き、剥離、又は他のやり方で除去することができる。射出成形のような方法を用いて積層化を遂行する場合には、切断ステップ112は、射出成形された基礎材料を型から除去することも包含し得る。使用する特定の積層化技術に基づき、種々の形式及び量のスクラップ材料が生じる。ロール型積層化の場合には、スクラップ材料を再巻き取りして(ステップ116)、後で再使用することができる。プラテン及びキャリア支持積層化の場合には、スクラップ材料をスタック又はパイルとして蓄積し(ステップ118)、及び/又は切り刻むことができる(ステップ120)。スクラップが所有権資料(例えば、ラミネート材料に含まれた内密な記録)を含むかもしれない場合には切り刻むのが好都合である。
【0071】
積層化された基礎材料がエンコードされるべき部分(例えば、磁気ストライプ又はバーコード)を有する場合には(ステップ122)、切断ステップ(112)に続いて行うことができる。もちろん、特に、基礎材料の向き及び位置合わせを制御できるシステムでは、ステップ112及び122を逆にしてもよいことが明らかであろう。エンコード動作の後に、積層された基礎材料をIDドキュメントとして出力することができる(ステップ124)。
【0072】
[実施形態2−二重インクジェット印刷プロセス]
この実施形態は、本発明の店頭(「OTC」)IDドキュメント印刷システム及びそれに関連した方法を提供する。一般的な概要として、図5を参照すれば、本発明のOTCシステム200は、2つのインクジェットプリンタ202及び204(例えば、HP、エプソン、キャノン及びレクスマークにより製造されたもの)と、ロール型積層装置205と、冷却装置214と、引っ張りローラー216と、カッター218とを含むのが好ましい。図5には示されていないが、当業者に明らかなように、図5のシステム200は、図示された要素を付勢及び駆動するためのメカニズム、例えば、モーター(1つ又は複数)や、ローラー等を駆動するための駆動アッセンブリを含むこともできる。少なくとも1つの実施形態では、前記要素がコントローラ(図示せず)と協働して、本発明のアッセンブルシステムを通して基板を容易に滑らかに移行させる。コントローラは、汎用処理回路で実行されるソフトウェアモジュールでもよい。或いはまた、コントローラは、ハードウェア制御又はハードウェア/ソフトウェア制御で実施することもできる。コントローラは、種々のシステムセンサと協働してもよい。また、制御は、完全に手動又は部分的に手動でもよい。
【0073】
基板シート219(インクジェットプリンタからのインクで確実に印刷できる材料で形成された)は、印刷のために第1インクジェットプリンタ202へ供給される。少なくとも1つの実施形態では、インクジェットプリンタには顔料インクジェットインクが供給され、基板シートはTESLINのシートであり、TESLINは、インクジェットインクがTESLIN材料に対して親和性を有するように予め選択されているので、受け取り層を必要としない。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、TESLINに受け取り層を予め被覆することができると共に、TESLINに対してインクジェットインクを特別に予め選択する必要はない。
【0074】
本発明のIDドキュメント基板は、基板シートから形成される。このシートは、出来上がったカードのサイズより若干大きいのが好ましい。この過剰サイズは、余分な材料が、例えばシステムを通してシートを搬送する上で助けとなるようにする。この余計な基板材料は、指定のサイズを得るために後で切り取ることができる。(もちろん、基板シートを、出来上がったカードのサイズにすることもできる。)基板シートは、第1インクジェットプリンタ202のシートフィーダー202aに配置される。第1インクジェットプリンタ202は、基板シートの第1面に希望の印刷(例えば、可変情報、写真、バーコード、グラフィック等)を施す。
【0075】
基板シート219は、好ましくはシートの第2面を第2インクジェットプリンタ204に向けるように、経路203に沿って第2インクジェットプリンタ204のフィードトレー204aへ運搬される。(例えば、経路203は、シートの第2面を第2インクジェットプリンタのプリントヘッドに向けるように「C」字型にされる。)経路203は、当業者に明らかなように、ベルト、ローラーシステム及び/又は真空等で達成することができる。第2インクジェットプリンタ204は、シートの第2面に希望の印刷を施す。印刷されたシートは、次いで、第2インクジェットプリンタ204から積層化装置205へ運搬される。
【0076】
積層化装置205は、ラミネート供給源212、ガイドローラー210、予熱ローラー208、及び積層化ローラー206を含むのが好ましい。(別の実施形態では、積層化装置205は、積層化ローラー206のみ、或いは予熱ローラー208と積層化ローラー206のような要素のサブセットを含むことに注意されたい。)積層化装置205は、冷却装置214を含むものとして示されているが、冷却装置214は、積層化装置の一部分である必要はなく、実際に、個別の品目でよい。同様に、当然、図5に示す要素のいずれも、個々に実施することもできるし及び/又は複合要素として設けることもできる。例えば、プリンタ202、204は、単一の両面プリンタとして結合することもできるし、或いは積層化装置と共に単一のハウジング等の中で結合することもできる。積層化装置205は、基板に対して保護ラミネート層を設ける。一実施形態では、積層化装置は、ラミネートウェブの接着剤を活性化し、次いで、積層化装置の挟みロール206間の圧力を使用して、印刷された基板の両面にラミネートを押し付ける。
【0077】
通常のラミネート材料は、ポリカーボネート又はポリエステルを含む。このようなラミネートは、EVA、EVA混合物、等の接着層又は被覆を含むのが最も多い。積層化装置205は、上部ラミネート供給源212a及び下部ラミネート供給源212bから連続ウェブの形態でラミネートを受け取る。ラミネートウェブは、供給源212a及び212bから各々ガイドロール210a及び210bを経て送られる。ラミネートウェブは、上部及び下部の予熱ローラー208a及び208bで予熱される。ラミネートの接着剤面が予熱ローラー208を向く(及び接触する)のが好ましい。予熱ローラー208a及び208bは、それらの各ラミネートを加熱して、ラミネート接着剤の温度を、その接着剤の活性化温度(約170°F)より若干低くする(例えば、活性化温度より約5−20°F低い)。予熱温度は、ラミネート材料(例えば、アモルファスポリエステル)が、予熱ローラー208から積層化ローラー206へ不当に伸張する点まで軟化することのない温度であるのが好ましい。積層化ロール206a及び206bは、ラミネートの接着剤を活性化するための熱を与えると共に、印刷された基板シートの上面及び下面に上部及び下部ラミネートを各々押し付ける。一実施形態では、積層化ローラー206は、ラミネートの温度を活性化温度から約230−240°Fへ上昇させる。別の実施形態では、予熱ローラー208が150−180°Fに維持されると共に、積層化ローラー206が250−330°Fに維持される。ラミネートの速度は積層化温度に比例するので(例えば、熱いほど、速い)、ある実施形態では、積層化ロール206が330°Fより高く上昇される。
【0078】
(説明を簡単にするために、「ローラー」及び「ロール」という用語を使用することで、ある程度の自由度を考えていることを理解されたい。従来、「ローラー」という語は、金属又はアノード処理された金属の表面を特に意味するのに使用され、一方、「ロール」という語は、金属ローラー上に適合するか、さもなければ、それを包囲するゴム被覆ロールを特に意味するのに使用される。このような区別は、本発明を理解する上で重要ではない。従って、ローラー及びロールという語は、ここでは、交換可能に使用される。)
【0079】
積層化された基板シートは、冷却装置214へ供給される。一実施形態では、冷却装置214は、ラミネートを冷却する間に平坦に保持するために複数の冷却ローラー215を備えている。冷却装置214の別の実施形態(図示せず)では、ラミネートの表面に接触するための平坦なヒートシンクが設けられる(ローラーに代わって)。当業者に明らかなように、基板シートを冷却する他のやり方(例えば、ラミネートを冷却することのできる物質中に浸漬したり、冷たい空気をラミネートに向けたり、等々)を使用して、積層化基板シートを冷却することができる。
【0080】
冷却された積層化基板シートは、カッター218へ供給される。一対の引っ張りローラー216を設けて、これを選択的に作動させ、積層化装置205及び冷却器214を通して連続的なラミネートウェブを引っ張ることができる点に注意されたい。積層化基板シートがカッター218内に配置されると、引っ張りローラー216が不作動にされ、ラミネートウェブの移動を停止させる。カッター218が繰り返し作動されて、ラミネートウェブからカード状のIDドキュメントを切断する。これにより得られたIDドキュメントは、カッター218から、例えば、コンベアに放出され、システム200からカードが出て来る。
【0081】
印刷及び積層化/切断プロセスは独立しているので、積層化/切断操作で手前のカードを処理している間に別のIDドキュメントの印刷を開始することができる。積層化/切断プロセスの時間巾は、一般に、印刷プロセスの時間より短いので、第1カードの後の全サイクル時間を、印刷サイクル時間に減少することができる。
【0082】
少なくとも1つの実施形態では、図5のシステムは、ラミネート(又は基板)がデータを保持するのに適した磁気ストライプを含むときには磁気ストライプエンコーダ(書き込み装置)222のような付加的な要素を含む。磁気ストライプエンコーダ222は、磁気ストライプ内にデータをエンコードする(書き込む)。他の会社の中でも、米国90746カリフォルニア州カルソンのマグテック・インクは、適当な時期ストライプ技術を提供する。エンコードされたデータは、印刷情報に関連させることもできるし、又は生体情報、個人情報、立ち入り許可、特権等の情報を含むことができる。
【0083】
少なくとも1つの実施形態では、図5のシステムは、スクラップ又は残留ウェブラミネートを蓄積するための残留材料蓄積装置220を備えている。例えば、残留材料蓄積装置220は、図5に示すように、スクラップ再巻き取り装置である。蓄積装置220は、残留ウェブラミネートを再巻き取りするための残留物再巻き取り装置を含んでもよいし又はそれと協働してもよい。コンベヤベルト又は他の放出メカニズム224を設けて、システム200からカードを放出することができる。或いはまた、蓄積装置220は、シュレッダーを含む。シュレッダーの利点は、残留材料のサイズを減少し、蓄積された材料に残っている残留セキュリティ特徴を破壊することである。
【0084】
1つ以上の乾燥装置(図5には示さず)をシステム200に追加して、印刷後及び/又は印刷中に印刷基板を乾燥させることができる。例えば、乾燥装置は、経路203に沿って及び/又は第2プリンタ204から積層装置205への経路204bに沿って配置することができる。乾燥装置は、放射加熱等を含んでもよいが、強制型高温空気乾燥装置であるのが好ましい。強制型乾燥は、少なくとも2つの効果を有する。第1に、強制型乾燥は、インクの「硬化」を生じさせ、印刷パスと印刷パスとの間の手荒い取り扱いに耐えられるようにする。第2に、最終印刷後(例えば、第2プリンタ204による印刷後)のシートの乾燥は、水分気泡を防止するのにも有用である。水分気泡は、積層化の間に発生して、出来上がったカードに目に見える欠陥をしばしば生じさせる。一実施形態では、所定時間の空気乾燥(例えば、経路203及び/又は前面プリンタ204と積層化装置205との間の経路に沿って基板を遅延させることによる)を強制型乾燥に代わって使用することができる。
【0085】
図6を参照して、システムコントローラの一実施形態の概要を述べる。図6の実施形態は、多カード印刷プロセスに理想的に適している。また、図示された制御プロセスは、制御プロセスの第2の繰り返しが開始される前に、完了まで継続する必要がないことにも注意されたい。第1プリンタは、ステップ401で作動される。プリンタは、コントローラからの作動信号で作動することもできるし、又はフィードトレー内に基板シートが配置されたという指示があったときに作動することもできる。この作動ステップは、基板シートに印刷されるべき印刷データを第1プリンタで受信することを含んでもよいことに注意されたい。シートの第1面の印刷後に(又は印刷中に)、第2プリンタが使用できるかどうか決定される(ステップ402)。(単一カードを印刷するときにはこのステップを排除できることに注意されたい。)もし使用できない場合には、プロセスは、第2プリンタが使用可能になるまで待機する(403)。第2プリンタは、積層化装置又はダイカッターを待機しているか、別のシートを印刷している等々を含む多数の理由で、使用できないことがある。
【0086】
第2プリンタは、それが使用可能になったときに作動される(404)。シートの第2面の印刷後に(又は印刷中に)、コントローラは、積層化装置が使用できるかどうか決定する。積層化装置は、手前のカードを処理しているか、ラミネートウェブが加熱されるのを待機しているか、冷却を待機している等々を含む多数の理由で、使用できないことがある。任意のステップとして、ウェブが充分に加熱されたかどうか決定することができる(ステップ407及び408)。
【0087】
もし使用できる場合には、積層化装置が作動される(409)。積層化装置を作動することは、例えば、引っ張りローラーでラミネートウェブを引っ張り、必要に応じてローラーを加熱し、必要に応じて冷却時間を計算し等々の多数のステップを含んでもよい。ラミネートウェブは、積層化されたシートがカッターに配置されたかどうか決定されるまで引っ張られ(ステップ410及び411)、その時点で積層化装置が不作動にされる(412)。積層化されたシートは、IDカードに切断され、システムから放出される(413)。切断の後(又は放出の後)、コントローラは、積層化装置が使用できることを指示する信号を発生することができる(414)。この信号は、例えば、ステップ405の入力として使用することができる。
【0088】
図6の制御プロセスには多数の変更がなされることに注意されたい。例えば、このプロセスは、印刷区分及び積層化/切断区分のような種々の制御区分にセグメント化することができる。各区分の制御は、別々に取り扱うことができる。或いは、印刷及び積層化区分の正確なタイミングが決定された場合には、制御プロセスを簡単化することができる。簡単な実施形態では、制御プロセスが印刷をスタートし、次いで、印刷されたシートを積層化装置へ進める前に積層化装置を使用できるかどうか単にチェックするだけでよい。更に別の実施形態では、コントローラは、プリンタ、積層化装置、冷却装置、センサ及び/又はカッターからの信号に基づいて、システムを通しての基板(1つ又は複数)の前進を調整する。もちろん、図2のシステム200を制御するのに、他の制御プロセスを実施することもできる。
【0089】
[実施形態3−別のプリンタ構成を伴う二重インクジェット印刷プロセス]
図5の実施形態(及び図5に関連した種々の別の実施形態)は、第1のインクジェットプリンタが第2のインクジェットプリンタの真上で逆方向に配置されたものを説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0090】
例えば、プリンタ202及び204は、互いに上下にしかも同じ方向に向けて配置すると共に、第1プリンタが基板シートの一方の面に印刷し、基板シートがまっすぐな経路を第2プリンタへ進行し、そこで、基板シートの他方の面が印刷されるように、基板シートの両側に配置することもできる。第2プリンタは「上下反転して」配置されるので、インク滴は、通常の重力の助けを伴わずにシートへと水平に(又はプリンタの配置によっては垂直に)進行する。このような上下反転した印刷条件のもとでも満足な印刷が得られることが実験で明らかとなった。
【0091】
図7に示す別の実施形態では、基板の両面が実質的に同時に印刷される。図7を参照すれば、インクジェットプリンタ201は、2つのプリントヘッド202’、204’が基板の各面において各々印刷を実行するように構成される。基板は、2つのプリントヘッド間を進行するときに印刷される。印刷サイクル時間は、IDドキュメント製造における重要な時間ファクタであり、且つ二重プリントヘッド構成は、処理ユニットの全サイズを著しく減少するので、同時又は実質的に同時の印刷構成は、魅力的な実施形態である。図7に示されていないが、1つ以上の乾燥装置を経路211に沿って配置して、基板の片面又は両面を乾燥することもできる。乾燥装置(1つ又は複数)は、当然、基板の両面を同時に乾燥するように構成することもできる。
【0092】
[実施形態4−別の積層化装置を伴う二重インクジェット印刷プロセス]
この実施形態では、前記システムで述べたロール積層化装置205に代わってプラテン積層化が別々の実施形態で使用される。プラテン積層化プロセスは、基本的に、プラテン(例えば、金属、ガラス又はセラミック表面)をラミネートに接触配置して熱及び/又は圧力を与え、ラミネートの接着剤を活性化させることを含む。あるラミネート(例えば、アモルファスポリエステルラミネート)は、積層化プロセス中に軟化し、その結果、ラミネートは、積層化又は冷却表面の仕上げを果たしてもよい(例えば、ローラー又はプラテン)。
【0093】
いわゆる光沢仕上げプラテンを設けて、円滑な又は光沢のあるラミネート仕上げを果たすこともできる。或いは、冷却されたベルトからの解離を許す解離特性をもつベルトを、カードとプラテンとの間の間紙として使用することができる。光沢仕上げプラテン(又は光沢仕上げベルト)とラミネートとの間に空気が捕獲されるのを防止するために、ラミネートの外面にマット仕上げを施すことができる。
【0094】
プラテン積層化は、ロール形式の積層化装置に比してハードウェアのサイズが大きく且つ複雑であるために、店頭(OTC)IDカード積層化にこれまで使用されていないと理解されているが、プラテン積層化は、これらの欠点を相殺する幾つかの独特の能力を発揮することが分かった。例えば、積層化温度において寸法安定性に乏しい材料は、これら材料が圧力状態下にあって望ましからぬ寸法又は物理的変化から拘束されている間に加熱及び冷却の両方が行なわれるプラテンプレスでなければ処理できないことが多い。加熱及び冷却ステップは、1つ以上のステーションにおいて実行することができる。1つのステーションのみで実行されるときには、ハードウェアサイズは小さいが、プラテンは、加熱温度と冷却温度との間を繰り返さねばならず、その結果、サイクル時間が長くなる。2つのステーションにおいて実行されるときには、ハードウェアのサイズは増大するが、各ステーションのプラテンが適切な処理温度に維持されるので、サイクル時間は減少する。プラテンの実施形態は、後で説明する。
【0095】
[実施形態5−単一インクジェット印刷プロセス]
図5の実施形態は、二重プリンタシステム200に代わって、図8に示すように、単一プリンタシステム300を含むように変更することができる。単一インクジェットプリンタ302は、IDドキュメント基板の両面を印刷するのに使用される。基板シート219(例えば、TESLINシート)は、印刷トレー302aに入れられる。プリンタ302は、シートの第1面を印刷する。第1シートコンベア303(例えば、コンベヤベルト、ガイドローラー、真空、等々)が設けられていて、印刷されたシート219を印刷トレー302aへ返送する。第1シートコンベア303は、プリンタ302により基板シートの第2面を印刷できるようにする向きで、印刷されたシート219を印刷トレー302へ返送するのが好ましい。任意であるが、システム300は、経路303に沿って基板219の第1の印刷面を乾燥するための乾燥装置305を含むことができる。また、任意であるが、システム300は、経路304に沿って他の印刷基板を乾燥するための乾燥装置305’を含むことができる。任意であるが、乾燥装置305’は、経路304に沿って基板の両面を同時に乾燥するように構成することもできる(図8には示さず)。任意であるが、システム300は、「フリッパー」305’を含むことができ、これは、基板219を自動的にひっくり返すことにより、プリンタ202により基板の第2面を印刷できるようにする向きで第1シートコンベア303が印刷シート219を返送する上で助けとなり得る。このような「ひっくり返し」は、もちろん、手動で行うこともできる。
【0096】
再び図8を参照すれば、第2シートコンベア304は、積層化シートを積層化装置205へ運搬する。同じ機能を含む同様の要素は、図2及び3において同じ参照番号で示されていることに注意されたい。
【0097】
もちろん、基板シートの印刷及び運搬、並びに印刷されたシートの積層化及び切断を制御するためにコントローラ(図示せず)をシステム300に使用することができる。
【0098】
印刷後に印刷された基板を乾燥するために乾燥装置305(図示せず)をシステム300に追加することもできる。例えば、乾燥装置は、経路303及び/又は304に沿って配置することができる。乾燥装置の効果は、図5を参照して既に説明した。
【0099】
システム200に勝るシステム300の1つの効果は、1つのプリンタ302で2つのプリンタ202及び204の機能を果たし、即ちハードウェアのコスト及びサイズを節減することである。システム200は基板シートの前面及び背面を順次に印刷するものであるから、システム300は、システム200を上回る印刷時間の著しい増加を経験しないことに注意されたい。
【0100】
[実施形態6−キャリア支持ラミネートを伴うインクジェット印刷]
基板シートは、通常、ラミネートウェブが進行するアッセンブル経路(例えば、図5を参照すれば、ガイドローラー210a及び210bで始まって、予熱ローラー208a及び208bを通り、加圧(又は「挟み」)ロール206a及び206bを通り、冷却装置214を通り、引っ張りローラー216を通って、カッター218へ至る)よりも非常に短いことに注意されたい。従って、1つの基板シートを処理するのに消費されるラミネートの量は、しばしば、使用する基板の量の4又は5倍であり、その結果、ラミネートの設計収率は、20%から25%以下である。次に述べる本発明の技術によりこの収率を改善することができる。
【0101】
図4〜8のシステムのいずれか又は全部が、ラミネートのパッチ又は個別カードサイズのラミネートシートを使用することでIDドキュメントの製造に必要なラミネートの量を減少するように変更される。ラミネートパッチは、キャリアウェブに接合されるか、さもなければ、それに支持される。キャリアウェブに沿ってラミネートパッチの間隔をあけて、ラミネートではなくキャリアウェブがアッセンブル経路の大部分に延びるようにする。この構成は、ラミネートの収率を著しく高める一方、全コストを低減させる。
【0102】
図9は、本発明の少なくとも1つの実施形態に使用できるキャリアウェブ600を示す図であり、図10は、図9のキャリアウェブ600におけるラミネートパッチを示す図である(図9及び10において、図示された寸法は、何らこれに限定されるものではなく、単なる例示に過ぎないことを理解されたい)。図9及び10を参照すれば、キャリア600は、ウェブを貫通する「窓」602(例えば、窓にはキャリア材料がない)を有するのが好ましい。一実施形態では、キャリア600は、2ミルのライナー紙から作られる。この例では、キャリアウェブ600は、フォームフィード(以下に詳細に述べる)に使用する構造とされ、複数のフォームフィード穴604を含むが、本発明は、当然、キャリアウェブ600をフォームフィード型環境に使用することを要求するものではない。ラミネートパッチ606は、これらのキャリア窓602において(又はその上で)キャリアウェブ600に接合される。一実施形態では、1つ以上のヒートシール608でラミネートパッチ606をキャリアウェブ600に接合する。窓602は、キャリアの材料が最終的なIDカードへ導入されるのを防止する上で助けとなる。再び図5を参照すれば、ラミネートパッチ606(及びキャリア窓602)は、手前のラミネートパッチがカッター218にあるときに積層化装置205に入る(例えば、予熱ローラー208a及び208b又は積層化ローラー206a及び206bに入る)ように間隔があけられる。
【0103】
(一実施形態では、例えば、ラミネートパッチは、4つの全方向において基板シートより約1/4インチ大きい。この過剰サイズは、例えば、充分なラミネート重畳、ローラーにより取り扱われるべき余計な材料、切断の不正確さ、及び積層化ローラー206がキャリアウェブ上のラミネートに乗り上げるのを緩衝するための必要に応じたいわゆる「デッドゾーン」に対する緩衝帯を許すものである。)
【0104】
キャリアウェブ窓上に接合されるか又は支持されたラミネートパッチ606を含むキャリアウェブ600は、ロールの形態で(例えば、図2及び3に示されたラミネートウェブ供給源212a及び212bに取って代わる)積層化装置205へ導入することができる。或いはまた、キャリアウェブは、扇のように折り畳まれたキャリアウェブ上のラミネートパッチのボックス又は他の供給源からガイドローラー(例えば、ローラー210a及び210b)を経て供給される。この別の実施形態では、扇のようの折り畳まれたキャリアウェブ600上のラミネートパッチ606の供給源は、上部及び下部ラミネート供給源212a及び212bに取って代わる。
【0105】
カード及びラミネートパッチ606の向きは、図9及び10に示されたものに限定されない。図11の(a)及び(b)は、本発明の実施形態に基づく第1及び第2の移動方向に対するシート及び印刷の方向を例示する。実質的に長方形のIDドキュメントの例では、窓602をキャリアウェブ600において、IDドキュメントの長軸がマシン方向に移動するような向きとすることができ(長い配向、図11の(a))、或いはカードの短軸がマシン方向に移動する向きとすることができる(短い配向、図11の(b))。
【0106】
長い配向においては、IDドキュメントの長寸法の軸がシートの移動方向に平行に延びるようにシートがプリンタを通して移動する。それ故、プリントヘッドは、IDドキュメントの短寸法を横断し、多数の短い横断を行なってIDドキュメントを印刷する。短い配向においては、IDドキュメントの短寸法の軸がシートの移動方向に平行に延びる。それ故、プリントヘッドは、カードの長寸法を横断し、より少数であるがより長い距離の横断を行なってカードを印刷することが必要となる。
【0107】
エプソン・フォト2000Pプリンタでの実験中に、シートの前面を印刷するのに必要な時間は、プリントヘッドが何回もの短い横断を行なう長い配向のシートでは69秒であり、一方、プリントヘッドが、より少数であるがより長い横断を行なう短い配向のシートでは45秒であることが分かった。高品質の印刷設定にセットしたときには、長い配向のシートは、カードの前面を印刷するのに134秒を要し、短い配向は、93秒を要した。
【0108】
ラミネート収率を改善するのに加えて、キャリアウェブの改良から多数の他の効果が得られる。
【0109】
第1に、カードサイクル間では、図4から8に示されたプロセスにおいて、サーモプラスチックラミネートが加熱されたローラー(例えば、予熱ローラー208及び/又は積層化ローラー206)に接触される。このような加熱されたローラーの接触は、サイクル間にローラーの温度を下げ、次いで、次のアッセンブルサイクルが開始するときにリセットすることを必要とすることがある。しかしながら、キャリアウェブラミネートシステムでは、ラミネート材料ではなくキャリアがカードサイクル間に積層化ローラーに接触される。キャリアウェブは、種々の温度に耐えるように調整することができる。例えば、紙系のキャリアウェブは、比較的低廉である上に、積層化温度においてラミネートより耐温度性が高い。
【0110】
第2に、紙系のキャリアウェブは、積層化温度及び圧力において寸法安定性がある。従って、キャリアウェブは、積層化プロセス中に寸法安定性を失う(例えば、ラミネートが軟化し伸張する)サーモプラスチックラミネートのための支持体をなす。
【0111】
第3に、寸法安定性のあるキャリアウェブには、そのキャリアウェブのエッジにパンチするか又は他のやり方で設けられたフォームフィード穴(或いは穿孔穴又はノッチ)を形成することができる。例えば、図12は、フォームフィード穴を有するキャリアに使用される積層化ロールアッセンブリ680(例えば、ロール206a、206b、215(全ロール)、216a及び216bを含む)の斜視図である。当業者に明らかなように、積層化ロールアッセンブリ680は、単なる例示に過ぎず、当然、ローラーと共にフォームフィード穴を使用する多数の異なる方法を使用することができる。キャリアウェブは、例えば、ピン又はノッチの係合を使用して積層化及び切断プロセスを通してこのキャリアウェブを移動することによりラミネートの搬送を与えるだけでなく、キャリアウェブは、ラミネートを互いに且つ基板シートに正確に位置合わせするのに使用することもできる。基板シートにフォームフィード穴を設けることで、この位置合わせプロセスが更に向上される。フォームフィード穴は、基板と上部及び下部ラミネートパッチとの位置合わせを向上させる(エッジガイド又は光学的位置合わせ方法に比して)。また、フォームフィード穴は、必要に応じてラミネート表面に与えられたセキュリティ特徴部の位置合わせを向上させると共に、カッター218に対する位置合わせも改善する。切断の位置合わせが改善されるので、基板のエッジにより接近したところに情報を印刷することができる。
【0112】
図4〜8のシステム環境のいずれかで設定されたプロセスであって、前記第3の効果を達成するように次の変更を伴うプロセスを以下に説明する。このプロセスは、基板シートを受け取る。図13を参照すれば、フォームフィード穴(或いは他のノッチ又は開口)50が基板シート700の方向エッジに沿って予めパンチされている。例えば、図13の矢印は、シート700の方向エッジ、例えば、シート700が通常アッセンブルシステムにおいて移動する方向を示す。フォームフィード穴50は、カードが切断されるエリア又は情報が印刷されるエリアの外側に配置される。基板シート700は、フォームフィード穴を配置するための余裕を許すために過剰サイズにされるのが好ましい。基板は、後で、特定のサイズにトリミングすることができる。
【0113】
(図示されていない別の実施形態では、フォームフィード穴が一方の方向エッジのみに沿って含まれる。)
【0114】
一実施形態では、1/2インチの付加的な材料が、フォームフィード穴を受け入れる2つの方向エッジにあり、且つ約1/8インチがそれら方向エッジに垂直に延びる2つのエッジにある状態で開始される。この特定のサイズでは、約69%の材料利用率が得られる。当然、これら過剰サイズの寸法は、システムのニーズ及び/又は材料利用要件に対して変更することができる。
【0115】
図5及び7を参照すれば、例えば、第1プリンタ202及び第2プリンタ204により印刷された後に(又は図8を参照すれば、プリンタ302で基板の両面を印刷した後に)、穿孔をもつ印刷された基板は、積層化装置205へ運搬される。このような運搬は、必要に応じてフォームフィード穴を使用して遂行することができる(例えば、図12を参照)。例えば、当業者に容易に明らかなように、複数のピンを含むピンベルト又はホイールが設けられる。ピンは、フォームフィード穴に係合し、ピンと穴との係合によりベルト又はホイールが基板を繰り返し運搬する。積層化装置205への基板シートの到着は、キャリアウェブ上のラミネートの到着と一致するようなタイミングにされるのが好ましい。例えば、センサは、印刷された基板シートがプリンタから運搬されるときにその位置を感知することができる(例えば、シートの後縁に対する先縁を感知する)。また、タイミングマーカー(或いは位置又はカウンタ)が所定の位置に到着して、シートの先導穴に係合されたピンが、合流点からラミネートパッチと同じ距離にあることを指示するときを決定することもできる。基板コンベヤ(又はピンベルト)モーターを積層化装置のモーターに対してスレーブとして、IDカーフォの3つの要素(ラミネート−基板−ラミネート)を積層化装置5に位置合わせ状態で到着させることができる。印刷されたシートにおけるフォームフィード穴はピンにより係合されて、支持されたラミネートが積層化ロールの周りで運搬される。別の実施形態では、センサ(又はタイミングモジュール)がラミネート及び/又は基板の位置を感知するか、さもなければ、決定し、次いで、コントローラが、積層化装置205への基板及び/又はラミネートの相対的な運搬(又は到着)を制御する。
【0116】
一実施形態において、基板シートとラミネートパッチとの配置は、基板シート上のフォームフィード穴をキャリアウェブ上のフォームフィード穴と整列させることにより位置合わせされる。整列されたフォームフィード穴に係合するピンを使用して、支持された基板及びラミネートを積層化装置205へ及びこの装置を通して搬送することができる。積層化装置205は、ラミネートの接着剤を活性化し、次いで、ローラー206間の圧力を使用して、ラミネートを、印刷された基板シートの両面に押し付ける。冷却装置214は、冷却中にラミネートを平坦に保持する。冷却されたラミネートは、次いで、カッター218に入る。積層化装置205及びキャリアウェブの移動は、積層化された基板がカッター218内に適切に配置されると、停止される。カッター218におけるラミネート基板の配置は、フォームフィード穴の整列により、又はこれら穴の係合を介して積層化基板を搬送することにより、向上される。
【0117】
残留キャリアウェブ及びラミネートは、蓄積装置(シュレッダーを含む)に蓄積できることに注意されたい。切断、エンコード動作、スクラップの蓄積、切り刻み、及び放出は、図4から8を参照して上述したように行なわれる。
【0118】
引っ張りローラー216は、この第3実施形態におけるピン又はノッチベースの運搬システムに置き換えできることに注意されたい。また、任意であるが、ピン又はノッチシステムをプリンタの経路203及び204bに使用することもできる。
【0119】
別の実施形態として、基板は、シートではなくロール(例えば、ウェブ)として設けられる。従って、システムは、印刷プロセス前のある点で基板を切断するためのシートカッターを含む。
【0120】
図4〜8の実施形態に対して同様の変更を行うことができる。例えば、ピン又はノッチベースの運搬方法を使用して、経路303及び304に沿って印刷された基板を搬送し、及び/又は積層化装置205、冷却装置214を経てカッター218へ基板、ラミネート部片及びキャリアウェブを搬送することができる。
【0121】
[実施形態7−付加的な別の実施形態]
キャリアウェブの使用は、ラミネート収率を改善するための魅力的な解決策であるが、余計なキャリアウェブ廃棄物が、意図されない副産物になることがある。後から生じるキャリアウェブ廃棄物を著しく減少するための実施形態が開発された。キャリアウェブを、ダウンウェブ張力を(例えば、引っ張りローラー216で)維持することにより制御される「連続的な」ウェブとして使用するのではなく、キャリアの個別部片又はシートを各個々のラミネート部片に対して使用することができる。図9及び10に示された実施形態と同様に、ラミネートの単一部片が「額縁状」にされ、次いで、各キャリアシートに接合される(さもなければ、それに支持される)。これら個々のキャリアシートは、ラミネートパッチをもつ連続キャリアのロール又は扇のように折り畳まれたボックスから供給することができる。キャリア部片は、次いで、積層化装置205に入る前に単一部片に切断されるか、或いは交差ウェブミシン目線605(図9)に沿ってキャリアを破断することによりロールから分離される。或いはまた、キャリアシートのスタックからキャリアシートを得ることもできる。上述したキャリアウェブの場合と同様に、キャリアシートは、開口即ち窓602を含み、その上にラミネート部片606が配置される(又は接合される)。キャリアシートのエッジ(片方又は両方)に沿ったフォームフィード穴604は、積層化装置205、冷却装置214、及びカッター218を通して個々のキャリアシートを運搬するのに使用される。ピンフィードメカニズムは、キャリアウェブのフォームフィード穴の係合により力を伝達することによりキャリアシート/ラミネート移動及び整列を制御する。
【0122】
図4〜8の実施形態に対する次の変更について考える。基板シートの方向エッジと、少なくともキャリアシートとに沿ってフォームフィード穴が予めパンチされる。基板が印刷されると、印刷された基板は、フォームフィード穴を使用して積層化装置205へと運搬されるが、これは、積層化装置205へとスタートされているキャリアシートのラミネートパッチと位置合わせして(例えば、整列して)運搬される。積層化され冷却されると、積層化された基板は、ピンがフォームフィード穴に係合した状態のピンベルトを使用することによりカッターへと搬送されて、そこに配置される。
[ダイカッター構成]
【0123】
ブランキングダイは、カッター218として働くのに理想的に適している(図2b及び3bを参照)。これは、例えば、ISO仕様を満足するための重要な問題であるが、出来上がったカードの寸法を維持できる精度、特に、カードの高さに対する精度が、±0.002インチの公差しかないためである。従って、ブランキングダイカッターをカッター218として好ましく使用できる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0124】
例えば、それとは別に、回転ダイカッターを使用することができる。回転ダイカッターは、ブランキングダイに比して同様の寸法精度を生じると共に、他の連続移動プロセスと結合されたときに幾つかの設計効果をもたらすことのある連続移動プロセスを与える。もちろん、回転ダイカッターの複雑さと、カードの2つの交差ウェブ辺を切断するのに必要な大きな力は、回転ダイカッターを使用するときに考慮すべき重要な問題の2つである。
【0125】
スチールルールダイカッターも別の代替カッターである。このダイカット方法の大きな効果は、ツーリングコストが比較的低いことである。スチールルールダイカッターを使用するときに考慮する必要のある問題は、カードの全周を一度に切断するのに必要な大きな力である。この形式の力を発生することのできるハードウェアは、通常、物理的に大きいか、又はカードを切断するときにフライホイール又は他の形式のエネルギー蓄積装置から大量の予め蓄積されたエネルギーが解放されるという点で騒々しいかのいずれかである。他の問題は、必要な寸法精度、例えば、ISOカード高さ公差仕様でダイを製造することである。
【0126】
また、レーザ切断を使用することもできる。レーザカッターを使用するときに考慮すべき幾つかのファクタは、カードエッジの焦げを回避すること、切断したカードエッジの凹凸に対処すること、このような装置に要求される個人的安全要件、及びレーザオフガスの環境取り扱い要件である。
【0127】
[ダイカッタープレス構成]
上述したプロセスにおいてカードをブランクダイカットするのに必要な力を発生するために、多数の別の方法を使用することができる。ブランキングダイは、カード製品の寸法精度を犠牲にすることなくパンチ面に剪断角又は2倍の剪断角をもつ形態にすることができるので、切断サイクルにおいて所与の瞬間にカード全周の僅かな部分しか切断されない。これは、カードを切断するのに要する力を相当に減少する。それ故、機械的効果の高いスクリューや他の駆動機構を駆動する小型電気モーターでカードをゆっくり切断すれば充分である。比較的長いオフデューティサイクル時間中に「チャージ」状態となり、短い切断サイクル中にディスチャージされるスプリングやフライホイール装置のようなエネルギー蓄積システムで迅速なサイクル時間が可能となる。
【0128】
上述した多数の切断方法には、水圧又は圧縮空気プレスを使用することができる。
【0129】
従来のブランキングダイを付勢するための本発明の改良は、低背型電気ソレノイドの列を使用して、ブランキングダイを駆動するための駆動力を発生することである。このソレノイド方法から少なくとも2つの重要な効果が導出され、即ち動作速度が速いことと、ハードウェアに必要な体積が小さいことである。
【0130】
[カード及びカード要素の運搬]
多数の運搬メカニズムについて上述したが、ベルトは、本発明のカード構造に使用される薄い柔軟な材料(例えば、ラミネート及び基板シート)を運搬する上で効果を発揮できることに注意されたい。ベルト駆動は、簡単で信頼性があり、確実な送り又は制御された滑りに必要なベルト摩擦レベルを与えるように調整することができる。例えば、ベルトは、プリンタ経路203、204b、303及び304として使用することができる。また、ベルトは、積層化装置の経路、冷却装置の経路、及び放出経路に沿って使用することもできる。
【0131】
更に、カード要素にカットされたフォームフィード穴又は特徴部に確実に係合するピンベルトは、おそらく、部品を互いに正確に位置合わせすると共に、本発明のシステムを通して材料を搬送する最良の方法であると考えられる。
【0132】
ローラーフィードは、ベルトコンベヤと同じ特性を多数有し、本発明のシステムにおいてそれに代わって使用することができる。
【0133】
真空ベースの運搬も、別の運搬方法である。
【0134】
[実施形態8−プラテン積層化を使用した回転テーブル又は直線キャリッジ]
プラテン積層化は、回転テーブル又は直線キャリッジに理想的に適している。回転テーブル及び直線キャリッジは、特定の処理段階に各々割り当てられた専用ステーションを備え、IDドキュメント部品(例えば、前面ラミネート、基板シート及び背面ラミネート)が各ステーションへ供給され又は各ステーションからアンロードされる。
【0135】
図14を参照して、本発明の回転テーブルIDカードアッセンブルプロセスについて考える。本発明のプロセスは、出来上がったIDドキュメントのサイズより若干大きい基板の小さなシートでスタートする。これらのシートは、最終的カードサイズのチップが小さな全基板シート内に収容されるように予めカットされるか又は穿孔が設けられるのが好ましい。基板シートは、第1インクジェットプリンタのシートフィーダーに入れられる。第1インクジェットプリンタは、基板シートの一方の面に希望の印刷を施す。基板シートは、シートの反対面がプリンタを向くように第2インクジェットプリンタのフィードトレーに運搬される。第2インクジェットプリンタは、シートの反対面に希望の印刷を施す。(或いはまた、例えば、図5を参照して述べたように、第1プリンタにより第2の印刷サイクルが実行される。)印刷された基板シートは、第1ステーションへ供給される。
【0136】
(印刷された基板は、その周囲の基板材料から、予めカットされた最終サイズチップ又は部片を分断するために、鋭い又は著しい屈曲部を巡って第1ステーションへ運搬されるのが好ましい。この技術は、剥離ライナーから感圧接着材ラベルを貼付する方法に類似している。分離されたチップ又は部片は、回転テーブルの第1ステーションへ供給される。或いはまた、「分断」を前ステーションで行うこともできる。)
【0137】
第1ステーションは、カードサイズのラミネート部片(例えば、このようなラミネート部片のマガジン又は供給源から得られた)を、その接着面が上を向くように配置し、従って、印刷された基板チップをラミネートの上面に設けることができる。チップは、ラミネートの上面に配置されて、ラミネート部片の接着面がチップの下面に接触される。チップ及びラミネートは、第2ステーションへ供給される。
【0138】
第2ステーションは、カードサイズのラミネート部片を取り上げて、そのラミネート部片の接着面をチップの上面に接触配置する。ラミネート−チップ−ラミネート構造体はチップサンドイッチを形成し、これが第3ステーションへ供給される。
【0139】
第3ステーションは、チップサンドイッチの上面をプラテンカバーで閉じる。(ある場合には、サンドイッチが下部プラテンカバーに載せられる。しかしながら、下部プラテンカバーは、一般に必要とされない。というのは、その後のステーションが、固定の下部プラテンカバーを有するステーションネストをしばしば含むからである。)
【0140】
第4ステーションでは、加熱されたプラテンプレスが、プラテン上部(及びもし設けられていればおそらく下部)カバー上を閉ざし、チップサンドイッチを加熱及び加圧する。
【0141】
第5ステーションでは、上部(及びもし設けられていればおそらく下部)プラテンカバー上及びその周囲を閉ざして、チップサンドイッチを冷却する。
【0142】
第6ステーションでは、プラテンカバーが開けられる。
【0143】
任意の第7ステーションでは、冷却されたIDカードの磁気ストライプがエンコードされる。
【0144】
更に、第8ステーションでは、出来上がったカードが回転テーブルから放出される。或いはまた、当然、プラテンカバーが開いた後に(ステーション6)、又は磁気ストライプがエンコードされた後に(ステーション7)、カードを放出することもできる。
【0145】
この解決策は、多数のステップを有するが、カッターを排除するという効果を有する。それとは別に、予めカットされたラミネート部片が低接合力の接着剤でキャリアに取り付けられていてそれら部片をキャリアからテーブルへ「ラベル供給」できるようなキャリアウェブからラミネート部片を導入することもできる。前記ステーションの幾つか、例えば、ステーション1及び2、5及び6を結合できることにも注意されたい。
【0146】
[実施形態9−半自動プロセス]
手動介在を使用して本発明のプロセスを簡単化することができる。このような半自動システムは、通常、1つ以上のインクジェットプリンタ、ベルト型積層化装置、手動ダイカッター、及び任意であるが、磁気ストライプエンコーダを使用する。本発明による次のプロセスについて考える。
【0147】
オペレータが基板シートを第1インクジェットプリンタのプリンタシートフィーダーに入れる。第1インクジェットプリンタは、基板シートの第1面に希望の印刷を施す。次いで、シートは、シートの第2面がプリンタに向くように第2インクジェットプリンタのフィードトレーへ運搬される。オペレータ又は運搬経路(例えば、経路203)のどちらが基板シートを第2プリンタへ送給してもよいことに注意されたい。第2インクジェットプリンタは、シートの反対面に希望の印刷を施す。(或いはまた、図5を参照して上述したように、単一プリンタシステムを使用できることにも注意されたい。)
【0148】
オペレータは、印刷された基板を取り出し、それを前面及び背面ラミネートの部片間に入れる。或いはまた、オペレータは、印刷された基板をいわゆる積層化小袋に滑り込ませる。次いで、オペレータは、材料のスタック(例えば、ラミネート−基板−ラミネート)を積層化装置へ導入し、そこで、スタックが加熱され、冷却され、次いで、積層化装置から送り出される。次いで、オペレータは、積層化されたスタックを手動カッターに入れ、出来上がったカードへと切断する。
【0149】
別の実施形態では、前記手動操作のサブセットだけが手動で実行され、残りの操作が自動化される。
【0150】
積層化手段(例えば、光沢仕上げ積層化ベルト)とラミネートとの間に気泡が入るのを防止する助けとして、ラミネートの外面にマット仕上げを施すことができる。もちろん、積層化ベルトは、図4−8を参照して上述したように、積層化ロールに置き換えることができる。この場合も、ラミネートの外面のマット仕上げは、気泡を防止する助けとなる。
【0151】
[実施形態10−射出成形プロセス]
上述した積層化プロセスとは別に、射出成形プロセスが使用される。
【0152】
図4〜8を参照して上述したように、単一又は二重印刷システムを使用して基板シートが印刷される。印刷された基板シートは、次いで、例えば2つの半部分を含む開放型に入れる。型の半部分を、印刷された基板シートに対して閉じ、ポリマー(又は他の保護被覆)を、好ましくは基板シートの両面において型へ注入する。(ポリマーは、粘性による基板への不当な剪断力を回避するためには熱可塑性又は熱硬化性が理想であることに注意されたい。)成形サイクルの終りに、型を開き、成形された基板を取り出す。ポリマーのエッジを越えて延びる基板がもしあれば、切断により取り除く。当業者であれば、他の射出成形方法も当然使用できることが更に明らかであろう。
【0153】
[結論考察]
以上、特定の実施形態を参照して、技術の原理を図示して説明したが、この技術は、多数の他の異なる形態及び多数の異なる環境においても実施できることが理解されよう。
【0154】
例えば、好ましいラミネート材料は、ポリマー系であり、通常は、ラミネート接着剤を軟化及び活性化するに必要な温度で軟化することに注意されたい。この軟化点は、出来上がったIDカードにおける優れた特徴となる。というのは、熱を使用してラミネートを除去しようと試みたときにラミネートの伸びや歪が生じるためにカードをいたずらした証拠が残るからである。従って、積層化装置は、時々、伸張及び歪状態で取り扱うことになり、それ故、ベルト、冷却ローラー又は特殊な小袋付きキャリアの概念が導入された。もちろん、接着剤積層化温度で軟化しない基本的ポリマーを使用するラミネートを使用すれば、これらの要素を簡単化することができる。しかしながら、出来上がったカードのいたずら防止性があまり役立たなくなるという妥協が生じる。
【0155】
特定の温度範囲を一例として示したが、本発明は、これに限定されるものではない。実際に、上述した接着剤活性化温度及び接着剤接合温度は、使用する接着剤の材料、使用するラミネートの材料、等々に基づいて変更することができる。同様に、カード及びラミネート材料に対して幾つかの特定の寸法を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明の範囲から逸脱せずに寸法変更を行うことができる。
【0156】
特定の寸法を一例として示したが、本発明は、このような寸法に限定されるものではない。
【0157】
本譲受人の米国プロビジョナル特許出願第60/344,685号、及び出願中の米国ノンプロビジョナル特許出願第10/289,962号に開示されたように、例えば、TESLINのような基板シートは、インクジェット印刷を良好に受け入れるように処理できることに注意されたい。また、これら特許出願に開示された技術及び顔料インクは、本出願の本発明の特徴と結合できることが明確に意図され且つそのことに注意されたい。
【0158】
明細書を不当に長くすることなく包括的な開示を与えるために、本出願人は、上述した米国特許ドキュメントの各々を参考としてここに援用する。
【0159】
上で詳細に述べた実施形態における要素及び特徴の特定の組合せは、単なる例示に過ぎず、これら技術と、本書及び参考として援用する特許ドキュメントにおける他の技術との交換及び置き換えも明確に意図される。
【0160】
更に、本発明の実施形態の種々の特徴を説明するために、幾つかのワード、言語、フレーズ、用語及び商品ブランドを使用したが、それらの使用は、それに限定することを意図するものではない。所与のワード、フレーズ、言語、用語又は商品ブランドの使用は、全ての文法的、直解的、科学的、技術的及び機能的な同等物を包含することが意図される。
【0161】
特許請求の範囲に規定された本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、上述した説明の変更、修正及び他の実施をなし得ることが当業者に明らかであろう。従って、以上の説明は、一例に過ぎず、それに限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等効物において規定される。
【符号の説明】
【0162】
1・・・従来のOTC IDドキュメント、2・・・写真像、3・・・個人情報、4・・・セキュリティパターン、5・・・予め印刷されたコア、6・・・PVC材料、7・・・カードブランク、8・・・情報、9・・・オーバーラミネート、10・・・本発明のIDドキュメント、21・・・基板、23、25・・・ラミネート層、27・・・磁気ストライプ、29・・・インクジェットインク印刷、200・・・本発明のOTCシステム、202、204・・・インクジェットプリンタ、202a・・・シートフィーダー、205・・・ロール型積層化装置、206・・・積層化ローラー、208・・・予熱ローラー、210・・・ガイドローラー、212・・・ラミネート供給源、214・・・冷却装置、215・・・冷却ローラー、216・・・引っ張りローラー、218・・・カッター、219・・・基板シート、220・・・残留材料蓄積装置、222・・・磁気ストライプエンコーダ、300・・・単一プリンタシステム、302・・・単一インクジェットプリンタ、302a・・・印刷トレー、303・・・第1シートコンベヤ、305・・・乾燥装置、600・・・キャリアウェブ、602・・・窓、604・・・フォームフィード穴、606・・・ラミネートパッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別ドキュメントを間欠的にアッセンブルするためのシステムであって、前記識別ドキュメントは、上面及び下面をもつ基板を備え、前記上面及び下面が積層化されるようなシステムにおいて、
基板シートの上面に第1情報を印刷するように動作できる第1インクジェットプリンタであって、前記基板シートを受け取るための入力部と、印刷された基板シートがこの第1インクジェットプリンタから退出する出口部とを含む第1インクジェットプリンタと、
一度印刷された基板シートを前記第1インクジェットプリンタの出口部から前記第1インクジェットプリンタの入口部へ戻すように運搬する第1コンベヤであって、該第1コンベヤは、前記基板シートの下面に印刷情報を受け取るように前記一度印刷された基板シートを配置させるよう運搬し、前記基板の上面及び下面は異なる面であり、前記第1インクジェットプリンタが前記基板シートの前記下面に第2情報を印刷するように動作できるようにした第1コンベヤと、
二度印刷された基板シートを前記第1インクジェットプリンタの出力部から運搬する第2コンベヤと、
前記二度印刷された基板シートを受け取り、前記二度印刷された基板シートの前記上面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、前記二度印刷された基板シートの前記下面に接触するように下部ラミネートを設けるように動作できる積層化装置であって、前記二度印刷された基板シートの前記上面に前記上部ラミネートを積層化すると共に、前記二度印刷された基板シートの前記下面に前記下部ラミネートを積層化するような積層化装置と、
前記積層化された二度印刷された基板シートから余計な材料を切断するカッターであって、その切断された、積層化された二度印刷された基板シートが前記識別ドキュメントを形成するようなカッターと、
を備えるシステム。
【請求項2】
新しく積層化された二度印刷された基板シートを受け取る冷却装置であって、複数のローラー、冷却ベルト及びヒートシンクの少なくとも1つを含む冷却装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記積層化装置は、上部ラミネート供給源と、該上部ラミネート供給源から得た上部ラミネートを加熱して前記二度印刷された基板シートの前記上面へ押し付けるための少なくとも積層化ローラーとを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記積層化装置は、更に、下部ラミネート供給源と、該下部ラミネート供給源から得た下部ラミネートを加熱して前記二度印刷された基板シートの前記下面へ押し付けるための少なくとも積層化ローラーとを含み、前記下部積層化ローラーは、相対的に前記上部積層化ローラーより下に配置される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記基板、上部ラミネート及び下部ラミネートの少なくとも1つは、磁気ストライプを含み、前記システムは、更に、該磁気ストライプにデータをエンコードするための磁気ストライプエンコーダを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
残留スクラップ材料を収集するためのスクラップ材料収集装置と、残留スクラップ材料を切り刻むためのシュレッダーと、残留スタック材料をスタックするためのスタック装置と、残留スクラップ材料を再巻き取りするための再巻き取り装置の少なくとも1つを更に備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カッターは、ブランキングダイカッター、レーザカッター、回転ダイカッター及びスチールルールダイカッターの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記上部ラミネート及び下部ラミネートの少なくとも一方は、ラミネート材料の連続ウェブで構成され、前記システムは、更に、前記積層化装置及び冷却装置を通して前記ラミネート材料の連続ウェブを引っ張るための一対の引っ張りローラーを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記上部ラミネート及び下部ラミネートの少なくとも一方は、ラミネート材料の個々のシートで構成され、前記上部ラミネート及び下部ラミネートは、各々、上部キャリアウェブ及び下部キャリアウェブにより支持され、該上部キャリアウェブは上部開口を含み、前記上部ラミネートは該上部開口の上に配置され、前記下部キャリアウェブは下部開口を含み、前記下部ラミネートは該下部開口の上に配置される、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記積層化装置及び冷却装置を通して前記キャリアウェブを引っ張るための一対の引っ張りローラーを更に備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記上部キャリアウェブ及び下部キャリアウェブの少なくとも一方は、複数のフォームフィード穴を含み、前記システムは、更に、上部フォームフィード穴及び下部フォームフィード穴の少なくとも一方に係合するための複数のピンを含むピンベルトを備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記係合は、前記ピンベルトが移動するときに、前記上部キャリアウェブ及び下部キャリアウェブの少なくとも一方を、前記積層化装置及び冷却装置を通して搬送するように作用する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記係合は、前記ピンベルトが移動するときに、前記積層化された基板シートを含む前記キャリアウェブを前記カッターへ搬送するように作用する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記係合は、前記カッター内で前記キャリアウェブを整列させるように作用する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記基板シートは複数のフォームフィード穴を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記基板シートの前記フォームフィード穴と、前記上部キャリアウェブのフォームフィード穴及び前記下部キャリアウェブのフォームフィード穴の少なくとも一方とは、前記基板を前記上部ラミネート及び下部ラミネートの少なくとも一方に対して位置合わせするように整列される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記上部キャリアウェブ及び下部キャリアウェブの少なくとも一方は、連続ウェブで構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記上部キャリアウェブ及び下部キャリアウェブの少なくとも一方は、キャリアウェブシートで構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項19】
前記基板シートは、微孔性材料と、相変化、溶媒系及び水性系インクジェットインクの少なくとも1つを受け入れることのできる材料と、シリカ充填ポリオレフィンと、TESLINと、の少なくとも1つで構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
識別ドキュメントをアッセンブルする方法であって、そのアッセンブルされた識別ドキュメントは、少なくとも、上面及び下面をもつ基板を含むものであり、該基板を積層化するようにした方法において、
印刷を有する基板シートであって、カードの輪郭を含むように穿孔又はカットされた基板シートを用意するステップと、
上面及び下面を有する前記カードを前記基板シートから分離するステップと、
前記カードの上面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、前記カードの下面に接触するように下部ラミネートを設けるステップであって、前記上部ラミネート、基板及び下部ラミネートがカードサンドイッチを形成し、前記ラミネートを設けるステップは、第1ステーションにおいて実行されるようなステップと、
前記第1ステーションから離れた第2ステーションにおいて前記カードサンドイッチの積層化を容易にするために前記カードサンドイッチを加熱及び加圧するステップと、
前記積層化されたカードサンドイッチを、前記第1及び第2ステーションから離れた第3ステーションにおいて冷却するステップと、
を備える方法。
【請求項21】
前記冷却された積層化されたカードサンドイッチを放出するステップであって、その放出された冷却された積層化されたカードサンドイッチが前記識別カードを構成するようなステップを更に備えた、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1ステーションの後であるが、前記第2ステーションの前に、前記方法は、前記上部ラミネート及び下部ラミネートの各々にプラテンカバーを配置するステップを備え、前記加熱及び加圧ステップと前記冷却ステップは、各々、前記プラテンを加熱及び加圧し、前記プラテンを冷却することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記冷却ステップの後に、前記方法は、更に、前記冷却されたプラテンを個別のステーションにおいて開放するステップを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第1ステーションは、前記下部ラミネート及び上部ラミネートを各々取り扱う2つの別々のステーションで構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記第1、第2及び第3ステーションの各々とは個別の第4ステーションにおいて前記積層化された冷却されたカードサンドイッチにより磁気ストライプキャリアをエンコードするステップを更に備えた、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
間欠的なアッセンブル環境で識別ドキュメントをアッセンブルする方法において、
識別ドキュメント基板の第1表面に第1情報を印刷すると共に、前記ドキュメント基板の第2表面には、前記第1情報に対して独特の少なくとも1組のデータを含む第2情報を印刷するように、前記識別ドキュメント基板のインクジェット印刷を制御するステップと、
前記ドキュメント基板の前記第1表面に接触するように上部ラミネートを設けると共に、前記ドキュメント基板の前記第2表面に接触するように下部ラミネートを設けるように、前記印刷されたドキュメント基板の積層化を制御するステップと、
前記ドキュメント基板、及び前記上部又は下部ラミネートを支持するキャリアウェブの少なくとも一方のエッジに沿って配置された少なくともフォームフィード穴により、前記積層化されたドキュメント基板の整列を制御するステップであって、前記整列は、前記積層化されたドキュメント基板におけるセキュリティ特徴部の切断、材料位置合わせ及び配置の少なくとも1つに関連したものであるステップと、
を備える方法。
【請求項27】
第1及び第2の面を有し所定の材料で構成された基板から識別ドキュメントを形成するためのシステムにおいて、
前記基板の第1面に印刷するための手段であって、前記所定の材料に対して親和性を有するインクを使用して前記識別ドキュメントを印刷するように動作できる印刷手段と、
前記識別ドキュメントの少なくとも一方の面を積層化するための手段と、
前記積層化手段に前記印刷された基板を移送するための手段と、
を備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−25166(P2012−25166A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−206407(P2011−206407)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【分割の表示】特願2010−22511(P2010−22511)の分割
【原出願日】平成15年5月12日(2003.5.12)
【出願人】(310021113)エル−1 セキュア クレデンシャリング,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】