説明

座席制御装置

【課題】前後の関係にある座席において、乗客の不便を緩和する技術を提供する。
【解決手段】可倒式の背もたれ部材の傾きを制御する傾き制御手段と、前記背もたれ部材の背面側の搭乗者の有無を判定する搭乗判定手段と、前記搭乗判定手段が搭乗者有りと判定した場合に、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させる座席制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席制御装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車において、ラゲッジルームに荷物が積み込まれる際に、荷物と座席が近接すると座席を奥に移動させる技術が用いられている。特許文献1には、このような座席の制御装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−111178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような座席の制御装置では、ラゲッジルームに荷物を積むことを優先しており、前後の座席の距離および座席の傾き等が適切に調整されるとはいえず、乗客は不便を強いられる可能性が高い。
【0005】
本発明の目的は、前後の関係にある座席において、乗客の不便を緩和する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る座席制御装置は、可倒式の背もたれ部材の傾きを制御する傾き制御手段と、前記背もたれ部材の背面側の搭乗者の有無を判定する搭乗判定手段と、前記搭乗判定手段が搭乗者有りと判定した場合に、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させる座席制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る座席集中制御装置は、複数の座席のうちの一つの座席について、可倒式の背もたれ部材の傾きを制御する傾き制御手段と、前記座席の方向が、前記背もたれ部材の背面側の座席の方向と一致するか否かを判定する座席方向判定手段と、前記座席方向判定手段が判定した座席の方向の一致または不一致に応じて、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させる座席制御手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】座席制御装置の概略構成図である。
【図2】座席調整値テーブルの構成を示す図である。
【図3】演算処理部の機能構成図である。
【図4】座席の配置の構成図である。
【図5】座席調整初期処理のフロー図である。
【図6】座席制御処理のフロー図である。
【図7】座席調整値テーブルの変形例を示す図である。
【図8】座席制御処理の変形例を示すフロー図である。
【図9】背面の乗客の体格が小さい場合の座席の構成図である。
【図10】背面の乗客の体格が大きい場合の座席の構成図である。
【図11】列車における実施形態の概要図である。
【図12】列車における実施形態の座席制御システムの概略構成図である。
【図13】列車における実施形態の座席調整値テーブルの構成を示す図である。
【図14】列車における実施形態の制御開始処理のフロー図である。
【図15】同方向制御処理のフロー図である。
【図16】同方向制御処理のフロー図である。
【図17】異方向制御処理のフロー図である。
【図18】異方向制御処理のフロー図である。
【図19】異方向の座席の構成図である。
【図20】出力画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を適用した座席制御装置100について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に、座席制御装置100の構成図を示す。座席制御装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、リクライニングセンサ7と、対人距離センサ8と、姿勢センサ9と、着座センサ10と、を備えている。
【0011】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種のセンサ7〜10からの出力値を収集する。また、座席制御装置100が取り付けられる座席のリクライニングおよびスライドを制御するリクライニング制御装置5およびスライド制御装置6に対し、リクライニング動作およびスライド動作を制御する指示を行う。
【0012】
また、演算処理部1は、出力対象の視覚情報(メッセージ等の文字情報や画像情報)を出力するよう出力情報を作成し、ディスプレイ2へ出力を指示する。また、演算処理部1は、出力対象の聴覚情報(メッセージ等の音声情報や音楽情報)を出力するよう出力情報を作成し、スピーカ42へ出力を指示する。
【0013】
座席制御装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0014】
ディスプレイ2は、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0015】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0016】
この記憶媒体には、図2に示す座席調整値テーブル200等が記憶されている。
【0017】
図2は、座席調整値テーブル200の構成を示す図である。座席調整値テーブル200は、座席の調整を行うための制御に関する情報を含んでいる。
【0018】
座席調整値テーブル200には、座席のスライド操作、すなわち座席の前後方向への平行移動操作において、移動を許容する距離を特定する情報であるスライド許容距離211と、座席のリクライニング操作、すなわち座席の背もたれ部の傾斜変更操作において、傾斜度合いを許容する距離を特定する情報であるリクライニング許容距離212と、を含んでいる。なお、座席は、所定の位置から背面方向にスライド移動させて調整を行うことができ、背もたれは、所定の位置から背面方向に傾けて調整を行うことができるものとする。
【0019】
なお、ここでは、座席のスライドとリクライニングの移動量とを距離で表すようにしているが、これに限らず、角度や座標値あるいは相対値(所定の段数の調整値等)で表すものであっても良い。
【0020】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などの座席制御装置100の外部の音声を取得する。
【0021】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された搭乗者へのメッセージを音声信号として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、座席の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。座席制御装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0022】
リクライニング制御装置5は、座席のリクライニングの度合いを制御する装置である。例えば、傾斜角の変更を一切行えない様に制御するリクライニング禁止機構や、リクライニング度合いが所定以上とならないよう傾斜角を制限するよう制御するリクライニング制限機構等を備える。本実施形態においては、リクライニング制御装置5は、演算処理部1からリクライニング禁止指示を受け付けると、傾斜角の変更を一切行えない様に制御する。また、リクライニング制御装置5は、演算処理部1からリクライニング制限指示を受け付けると、指示されたリクライニング度合いを超えないよう傾斜角の変更範囲を制限する。また、リクライニング制御装置5は、演算処理部1からリクライニング制限指示を受け付けた際に、既に指示されたリクライニング度合いを超えてリクライニングされている場合には、指示されたリクライニング度合いを超えないよう傾斜角を変更する。
【0023】
スライド制御装置6は、座席のスライドの度合いを制御する装置である。例えば、スライドの変更を一切行えない様に制御するスライド禁止機構や、スライド度合いが所定以上とならないようスライド度合いを制限するよう制御するスライド制限機構等を備える。本実施形態においては、スライド制御装置6は、演算処理部1からスライド禁止指示を受け付けると、スライド度合いの変更を一切行えない様に制御する。また、スライド制御装置6は、演算処理部1からスライド制限指示を受け付けると、指示されたスライド度合いを超えないようスライド度合いの変更範囲を制限する。また、スライド制御装置6は、演算処理部1からスライド制限指示を受け付けた際に、既に指示されたスライド度合いを超えて移動されている場合には、指示されたスライド度合いを超えないよう移動量を変更する。
【0024】
リクライニングセンサ7は、所定のタイミング(例えば、1/10秒単位)で座席のリクライニングの度合いを計測し、計測した情報に基づいてリクライニング可能距離を演算処理部1へ出力する。なお、リクライニング可能距離は、リクライニングセンサ7が取り付けられた座席の背もたれ部の所定位置から、所定の方向(通常は、背もたれの背面側の所定部位から背面側へ向かう垂直な方向)へ向けて計測した最寄りの障害物、例えば背面搭乗者の脚部までの最短距離である。
【0025】
対人距離センサ8は、所定のタイミング(例えば、1/10秒単位)で座席のスライドの度合いを計測し、計測した情報であるスライド可能距離を演算処理部1へ出力する。なお、スライド可能距離は、対人距離センサ8が取り付けられた座席の座面部の所定位置から、略水平方向へ向けて計測した最寄りの障害物、例えば搭乗者の脚部までの最短距離である。
【0026】
姿勢センサ9は、所定のタイミング(例えば、1/10秒単位)で座席の所定の部位へ所定以上の重量がかけられているか否かを計測し、計測した情報が所定以上の重量がかかっているものであれば、適正な姿勢であることを示す情報を演算処理部1へ出力する。なお、姿勢センサ9は、例えば座席の背もたれの最下部付近に設けられ、水平方向にかかる圧力を計測する加圧センサである。しかし、これに限られず、姿勢センサ9は、例えば座席の背もたれの最下部付近に設けられ、水平方向の所定距離内に物体が存在するか否かを判定するフォトセンサ等であって、物体が存在する場合には適正な姿勢であることを示す情報を演算処理部1へ出力するセンサであってもよい。
【0027】
着座センサ10は、所定のタイミング(例えば、1/10秒単位)で座席の床面の所定の部位へ所定以上の重量がかかっているか否かを計測し、計測した情報が所定以上の重量がかかっていれば、着座を示す情報を演算処理部1へ出力する。なお、着座センサ10は、例えば座席の足元のフットレスト付近に設けられ、垂直方向にかかる圧力を計測する加圧センサである。しかし、これに限られず、着座センサ10は、例えば座席の足元のフットレスト付近に設けられ、垂直方向の所定距離内に物体が存在するか否かを判定するフォトセンサ等であって、物体が存在する場合には着座を示す情報を演算処理部1へ出力するセンサであってもよい。また、着座センサ10は、例えば搭乗者が着座した場合に、搭乗者の顔が位置すると想定される所定の範囲の光学映像を得られるよう取り付けたカメラを備え、当該カメラにより撮影された映像について顔認識処理を行い、顔の認識ができた場合には着座を示す情報を演算処理部1へ出力する顔認識装置であってもよい。
【0028】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、基本制御部101と、センサ入力受付部102と、出力処理部103と、座席制御部104と、調整範囲特定部105と、を有する。
【0029】
基本制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、座席制御装置100のハードウェアの連携等、制御全般を実施する。また、基本制御部101は、他の座席制御装置からの図示しない車内ネットワーク等を介した要求に応じて、リクライニングセンサ7、対人距離センサ8、姿勢センサ9、着座センサ10等の各種センサから出力された情報を提供する。
【0030】
センサ入力受付部102は、リクライニングセンサ7、対人距離センサ8、姿勢センサ9、着座センサ10等の各種センサから出力された情報を受け付け、基本制御部101へ送信する。
【0031】
出力処理部103は、ディスプレイ2に表示させる画面情報を基本制御部101から受け取り、ディスプレイ2に描画するための信号に変換してディスプレイ2に対して描画する指示を行う。
【0032】
座席制御部104は、座席制御装置100が取り付けられた座席の動作を制御する。具体的には、座席制御部104は、座席制御装置100に接続されたリクライニング制御装置5と、スライド制御装置6に対する指示を行う。当該指示に際しては、座席制御部104は、調整範囲特定部105が特定した調整範囲にしたがって、行うべき指示およびその指示内容を決定する。
【0033】
調整範囲特定部105は、座席の制御のための調整範囲を特定する。具体的には、調整範囲特定部105は、座席調整値テーブル200に格納された情報を用いて、調整範囲を特定する。
【0034】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち基本制御部101、センサ入力受付部102、出力処理部103、座席制御部104、調整範囲特定部105は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0035】
なお、上記した各構成要素は、座席制御装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。座席制御装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0036】
また、各機能部は、ハードウェア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0037】
図4は、第一の実施形態における座席と、座席制御装置100の各センサと、搭乗者と、の配置関係を示す図である。第一の実施形態においては、理解を容易とするために、乗用車あるいはバス(長距離バス等、座席調整を行うことが可能なバス)等の自動車等に設けられたリクライニングと前後スライドが可能な前後に設けられる座席を対象としている。しかし、本願発明では、これらに限られるものではなく、例えば列車、船舶、航空機等の移動体の座席を対象とするものでもよいし、映画館やプラネタリウム等の移動しない施設、あるいは遊園地のアトラクション等の施設に設けられる座席であってもよい。なお、説明を簡便なものとするため、座席に座る人物を便宜上搭乗者と記載するが、「搭乗」する者に限られず、乗員、観客、利用者等の概念を含むものとする。
【0038】
座席C300Fは、搭乗者Aが座る座席である。座席C300Fの背面側には、搭乗者Bが座る座席D300Rが配置されている。座席C300Fは、搭乗者Bに対して近づくように、または遠ざかるように水平方向X309にスライド可能である。また、座席C300Fの背もたれは、搭乗者Bに対して近づくように、または遠ざかるようにY方向308にリクライニング可能である。
【0039】
座席C300Fの背もたれの座席D300R側の表面付近には、リクライニングセンサ302Fと、搭乗者Bから視認できるよう画面表示されるディスプレイ305Fと、が取り付けられている。なお、リクライニングセンサ302Fの座面に対する取り付け高さは、座席C300Fの背もたれの高さの半分程度の高さであることが望ましい。取り付け高さがあまりに高すぎると、リクライニング距離を測る基準位置がリクライニング度合いによって大きく変化し、リクライニング度合いが少ない場合には搭乗者Bの上半身を基準としてしまうために、適切に搭乗者Bの脚部(望ましくは、膝位置)までの距離であるリクライニング可能距離q306を測距できなくなってしまうからである。また、取り付け高さがあまりに低すぎると、リクライニング距離を測る障害物が搭乗者Bの下半身を捉えきれず床面等となってしまう可能性が高くなるために、適切に搭乗者Bの脚部(望ましくは、膝位置)までの距離であるリクライニング可能距離q306を測距できなくなってしまうからである。
【0040】
座席C300Fの背もたれの搭乗者A側には、姿勢センサ304Fが取り付けられている。また、座席C300Fの座面の背面側、すなわち搭乗者B側には、対人距離センサ303Fが取り付けられている。対人距離センサ303Fは、搭乗者Bの脚部(望ましくは、脛位置)までの距離であるスライド可能距離p307を測距する。そして、座席C300Fに搭乗者Aが座った場合に搭乗者Aが足裏を設地させると考えられる座席Cの前方の床面の所定位置には、着座センサ301Fが取り付けられている。
【0041】
座席D300Rについても、座席D300Rの背面側に配置される座席に座る搭乗者がいる場合には、座席C300Fと同様に、着座センサ301R、リクライニングセンサ302R、対人距離センサ303R、姿勢センサ304R、ディスプレイ305Rを備える構成を有するため、詳細な説明を省略する。
【0042】
[動作の説明]次に、座席制御装置100の動作について説明する。図5は、座席制御処理を開始する前に、すなわち座席制御装置100が設けられた座席を備える自動車のドア開放時、あるいは停車時に開始される座席調整初期処理のフロー図である。
【0043】
まず、座席制御部104は、座席制御装置100が取り付けられた座席のスライド動作と、リクライニング動作と、をロックする(ステップS001)。具体的には、座席制御部104は、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、に対してそれぞれ、リクライニング禁止指示、スライド禁止指示を出力する。なお、当ステップ実施時点で既に座席に対してリクライニングやスライドがなされている場合には、座席制御部104は、座席を初期位置に戻すように指示してからロックするようにしてもよい。
【0044】
次に、基本制御部101は、座席制御装置100が取り付けられた座席を備える自動車の全てのドアが全閉したこと、または自動車が走行を開始したことを検出したか否か判定する(ステップS002)。具体的には、基本制御部101は、自動車に設けられた図示しない車内ネットワーク上に、ドアの全閉あるいは自動車の現在地が移動を開始したことを示す情報が流れたか否かを判定する。いずれの情報も流れていない場合には、基本制御部101は、ステップS001へ制御を戻す。
【0045】
ドアの全閉あるいは自動車の現在地が移動を開始したことを示す情報が車内ネットワーク上に流れた場合(ステップS002にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、座席の動作ロックを解除する(ステップS003)。具体的には、座席制御部104は、ステップS001にてロックしたスライド動作と、リクライニング動作とを解除するよう、リクライニング制御装置5とスライド制御装置6とに対して指示を出力する。
【0046】
そして、調整範囲特定部105は、背面の席に搭乗者があれば、座席調整範囲を特定する(ステップS004)。具体的には、調整範囲特定部105は、背面に位置する座席の座席制御装置100において、当該背面の座席に着座を示す情報が得られている場合には、座席調整値テーブル200のスライド許容距離211とリクライニング許容距離212とを座席調整範囲として特定する。なお、調整範囲特定部105は、背面に位置する座席の座席制御装置100において、当該背面の座席に着座を示す情報が得られているか否かを判定するために、当該背面の座席に設けられた基本制御部101に対して、着座センサ10の出力情報を要求する。そして、調整範囲特定部105は、着座センサ10の出力情報が着座を示す情報であれば、当該背面の座席に着座を示す情報が得られていると判定する。なお、調整範囲特定部105は、着座センサ10の出力情報が着座を示す情報でなければ、当該背面の座席に着座を示す情報が得られていないと判定し、座席調整範囲の特定を行わない。
【0047】
以上が、座席調整初期処理の処理フローである。座席調整初期処理によると、座席の調整範囲を特定する必要がある場合に、座席の調整範囲を適切に特定することができるといえる。
【0048】
図6は、座席制御処理のフロー図である。座席制御処理は、座席調整初期処理が行われた後、続けて開始される。
【0049】
まず、センサ入力受付部102は、スライド可能距離と、リクライニング可能距離と、をセンサから取得する(ステップS101)。具体的には、センサ入力受付部102は、対人距離センサ8からスライド可能距離と、リクライニングセンサ7からリクライニング可能距離と、の情報を取得する。
【0050】
そして、座席制御部104は、スライド可能距離がスライド許容距離以下であるか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、座席制御部104は、ステップS101で取得したスライド可能距離が、座席調整初期処理のステップS004で特定された座席調整範囲であるスライド許容距離以下であるか否かを判定する。
【0051】
スライド可能距離がスライド許容距離以下である場合(ステップS102にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、座席制御装置100が取り付けられた座席のスライド動作と、リクライニング動作と、をロックする(ステップS103)。具体的には、座席制御部104は、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、に対してそれぞれ、リクライニング禁止指示、スライド禁止指示を出力する。そして、座席制御部104は、制御をステップS101へ戻す。
【0052】
スライド可能距離がスライド許容距離と同じかそれ以上の場合(ステップS102にて「No」の場合)には、座席制御部104は、座席制御装置100が取り付けられた座席のスライド動作と、リクライニング動作と、がロックされていれば、これを解除する(ステップS104)。具体的には、座席制御部104は、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、に対して、ロックしたスライド動作と、リクライニング動作とを解除するよう、指示を出力する。
【0053】
そして、座席制御部104は、リクライニング可能距離がリクライニング許容距離以下であるか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、座席制御部104は、ステップS101で取得したリクライニング可能距離が、座席調整初期処理のステップS004で特定された座席調整範囲であるリクライニング許容距離以下であるか否かを判定する。
【0054】
リクライニング可能距離がリクライニング許容距離以下である場合(ステップS105にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、座席制御装置100が取り付けられた座席のスライド動作と、リクライニング動作と、をロックする(ステップS106)。具体的には、座席制御部104は、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、に対してそれぞれ、リクライニング禁止指示、スライド禁止指示を出力する。そして、座席制御部104は、制御をステップS101へ戻す。
【0055】
リクライニング可能距離がリクライニング許容距離と同じかそれ以上の場合(ステップS105にて「No」の場合)には、座席制御部104は、座席制御装置100が取り付けられた座席のスライド動作と、リクライニング動作と、がロックされていれば、これを解除する(ステップS107)。具体的には、座席制御部104は、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、に対して、ロックしたスライド動作と、リクライニング動作とを解除するよう、指示を出力する。そして、座席制御部104は、制御をステップS101へ戻す。
【0056】
以上が、座席制御処理の処理フローである。座席制御処理によると、座席制御装置100は、リクライニングとスライドの動作に関して、背面の座席に搭乗者がいる場合には、所定の制限を超えてリクライニングまたはスライドすることができないようにできる。これは、背面の座席に座る者が利用できる空間を不当に制限されることを減らすことができるといえる。すなわち、前後の関係にある座席において、乗客の不便を緩和することができる。
【0057】
以上、本発明の第一の実施形態について説明した。
【0058】
本発明の第一の実施形態によると、座席制御装置100は、前後の関係にある座席において、乗客の不便を緩和することができる。より具体的には、座席制御装置100は、リクライニングとスライドの動作に関して、背面の座席に搭乗者がいる場合には、所定の制限を超えてリクライニングまたはスライドすることができないように制限することができる。
【0059】
本発明は、上記第一の実施形態に制限されない。上記第一の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記第一の実施形態の座席制限処理においては、背面の座席の搭乗者の有無に応じて所定の調整値を用いて座席の動作制限を行っているが、これに限られず、背面の座席の搭乗者の体格に応じて異なる調整値を用いて座席の動作制限を行うようにしてもよい。このように変形すると、よりきめ細やかに乗客の不便を緩和することができるようになる。
【0060】
このように変形した第一の実施形態について、図7〜図10を用いて、より具体的に説明する。変形した第一の実施形態は、基本的な構成としては、第一の実施形態と同様の構成を備える。そのため、以下においては、第一の実施形態との差異を中心に説明する。
【0061】
図7は、座席調整値テーブル200を変形した座席調整値テーブル200´の構成を示す図である。座席調整値テーブル200´は、座席調整値テーブル200と同様にスライド許容距離211およびリクライニング許容距離212の情報を備え、さらに、スライド許容距離(小)221、リクライニング許容距離(小)222、スライド許容距離(大)231、リクライニング許容距離(大)232、を備える。
【0062】
スライド許容距離(小)221、リクライニング許容距離(小)222は、それぞれ、背面座席の搭乗者の体格が所定の範囲よりも小さい場合に、スライド許容距離211、リクライニング許容距離212のそれぞれの代わりに用いられる情報である。
【0063】
スライド許容距離(大)231、リクライニング許容距離(大)232は、それぞれ、背面座席の搭乗者の体格が所定の範囲よりも大きい場合に、スライド許容距離211、リクライニング許容距離212のそれぞれの代わりに用いられる情報である。
【0064】
図8は、変形した第一の実施形態において実施される座席制御処理(体格考慮)の処理フローを示す図である。基本的な処理の内容は、第一の実施形態における座席制御処理と同様であるため、相違点を中心に以下に説明する。
【0065】
まず、ステップS101の処理を開始する前に、調整範囲特定部105は、背面座席の姿勢センサと着座センサの情報を取得して、背面座席の搭乗者の体格を特定する(ステップS110)。具体的には、センサ入力受付部102を介して、調整範囲特定部105は、背面座席の姿勢センサ304Rおよび着座センサ301Rの情報を取得し、着座センサ301Rの出力情報が着座状態を示す情報である場合に、姿勢センサ304Rの出力値が所定の上限閾値を超える場合には、背面座席の搭乗者の体格を「大」と特定し、所定の下限閾値を下回る場合には、背面座席の搭乗者の体格を「小」と特定する。そして、調整範囲特定部105は、特定された体格に応じたスライド許容距離およびリクライニング許容距離を、座席調整値テーブル200´を参照して特定する。
【0066】
したがって、座席制御処理(体格考慮)のステップS102´、ステップS105´のそれぞれにおいて用いられるリクライニング可能距離と、スライド可能距離は、ステップS110で特定された背面側の搭乗者の体格に応じて所定の値が選択され、設定されることとなる。
【0067】
以上が、変形した第一の実施形態における座席制御処理(体格考慮)の処理である。このように変形することで、座席制御装置100は、背面座席の搭乗者の体格に応じて、調整値を変化させて座席の動作の制御を行うことができるようになる。したがって、よりきめ細やかな制御が可能となる。
【0068】
図9は、座席C300Fの背面側の座席D300Rの搭乗者Bの体格が「小」と判定された場合の座席制御装置等の配置例である。ここで、搭乗者Bの体格が小さいため、一般的に、座席C300Fに設けられたリクライニングセンサ302Fにより出力されるリクライニング可能距離qh316は、搭乗者Bが標準的な体格である場合のリクライニング可能距離q306に比べて、大きい値となる。同様に、座席C300Fに設けられた対人距離センサ303Fにより出力されるスライド可能距離ph317は、搭乗者Bが標準的な体格である場合のスライド可能距離p307に比べて、大きい値となる。したがって、体格が小さい搭乗者が背面座席に座る場合のスライド許容距離と、リクライニング許容距離については、予めそれぞれの体格にあわせて座席調整値テーブル200´に格納された値が用いられる事により、適切に設定される。
【0069】
図10は、座席C300Fの背面側の座席D300Rの搭乗者Bの体格が「大」と判定された場合の座席制御装置等の配置例である。ここで、搭乗者Bの体格が大きいため、一般的に、座席C300Fに設けられたリクライニングセンサ302Fにより出力されるリクライニング可能距離qg326は、搭乗者Bが標準的な体格である場合のリクライニング可能距離q306に比べて、小さい値となる。同様に、座席C300Fに設けられた対人距離センサ303Fにより出力されるスライド可能距離pg327は、搭乗者Bが標準的な体格である場合のスライド可能距離p307に比べて、小さい値となる。したがって、体格が大きい搭乗者が背面座席に座る場合のスライド許容距離と、リクライニング許容距離については、予めそれぞれの体格にあわせて座席調整値テーブル200´に格納された値が用いられる事により、適切に設定される。
【0070】
以上、変形した第一の実施形態について説明した。このような変形によると、背面側の搭乗者の体格に応じて、適切な座席の動作を制御することができるといえる。
【0071】
以下に、本願発明に係る第二の実施形態について、図11〜図20を用いて説明する。本願発明に係る第二の実施形態においては、複数の座席が前後に並べられて配置され、その向きを搭乗者により反転させることが可能な列車の座席に適用される。
【0072】
図11は、このような列車の運行を管理・監視するシステムの一部についての概要を示す図である。当該システムにおいては、複数の駅および駅舎が存在し、列車が各駅間を所定の進行方向に向かって走行するものとする。また、列車に搭乗するためには、各駅舎の出入り口等に配備された改札設備561E、561Fのそれぞれにおいて改札手続き、すなわち入場、出場の手続きを経なければならないものとする。また、各駅での改札手続きの情報(搭乗者を特定する情報と、改札入場記録と、を含む情報等)は、各駅あるいはいくつかの駅に代表して設けられる駅舎装置560を介して、運行管理を司る情報処理センター等に備えられた改札情報提供装置550に送信されて蓄積され、蓄積された改札手続きの情報は、関連する車両に対して、改札入場記録として各列車の車両に配置される集中制御装置500に送信されるものとする。
【0073】
列車の車両には、集中制御装置500により制御される座席450が複数設けられている。各座席450は、搭乗者が車両の進行方向およびその逆の方向のいずれかの方向を向いて座ることができる。例えば、背面同士が向き合うように前後の座席の向きを異ならせるよう反転させることができる。また、正面同士が向き合うように前後の座席の向きを異ならせるよう反転させることも可能である。
【0074】
駅舎装置560には、当該駅舎装置560が配置された駅舎あるいは関連する駅舎(例えば、近隣に存在する駅舎)に設けられた一つまたは複数の改札設備561E、561F等から、改札入場記録の情報を収集し、改札情報提供装置550へ送信する。なお、駅舎装置560は、改札入場記録の情報が、指定された座席に搭乗予定の搭乗者の改札入場記録の情報を改札設備561E、561Fから受信した場合には、当該搭乗予定者を特定する情報を付加して改札入場記録の情報を改札情報提供装置550へ送信する。搭乗予定者を特定する情報は、個人情報に限らず、例えばチケット番号等、他の搭乗予定者との相違を識別しうる情報であればよい。駅舎装置560は、少なくともCPU、RAM等の演算処理部を備える通常の汎用計算機、例えばサーバ装置やパーソナルコンピュータ等によって実現される。
【0075】
改札情報提供装置550は、駅舎装置560から送信された改札入場記録の情報を、所定のネットワークを介して受信する。そして、受信した情報を記憶装置等に格納する。そして、改札情報提供装置550は、格納された改札入場記録の情報を、所定のタイミングで選別し、選別した改札入場記録の情報を関連する車両の集中制御装置500へ所定のネットワークを介して送信する。なお、改札情報提供装置550は、改札入場記録の情報のうち、指定座席に関する情報を、当該指定座席が属する車両ごとに選別して、関連する集中制御装置500へ送信する。改札情報提供装置550は、少なくともCPU、RAM等の演算処理部を備える通常の汎用計算機、例えばサーバ装置やパーソナルコンピュータ等によって実現される。
【0076】
座席450と、集中制御装置500について、図12を用いて説明する。図12は、座席450に設けられる座席制御装置400と、車両に設けられ、複数の座席についての制御を実施する集中制御装置500と、改札情報提供装置550と、駅舎装置560と、についての構成を示す構成図である。
【0077】
座席制御装置400は、ディスプレイ402と、音声入出力装置404(音声入力装置としてマイクロフォン441、音声出力装置としてスピーカ442を備える)と、リクライニング制御装置405と、スライド制御装置406と、リクライニングセンサ407と、対人距離センサ408と、姿勢センサ409と、着座センサ410と、を含んで構成される。
【0078】
ディスプレイ402と、音声入出力装置404のスピーカ442と、リクライニング制御装置405と、スライド制御装置406とは、集中制御装置500と通信を行うことが可能であり、集中制御装置500からの制御指示を受け付けると、指示に応じた制御を実施する。音声入出力装置404のマイクロフォン441と、リクライニングセンサ407と、対人距離センサ408と、姿勢センサ409と、着座センサ410とは、集中制御装置500に対して、センサ等において取得した情報を送信する。
【0079】
座席制御装置400のディスプレイ402と、音声入出力装置404と、リクライニング制御装置405と、スライド制御装置406と、リクライニングセンサ407と、対人距離センサ408と、姿勢センサ409と、着座センサ410とは、第一の実施形態におけるディスプレイ2と、音声入出力装置4と、リクライニング制御装置5と、スライド制御装置6と、リクライニングセンサ7と、対人距離センサ8と、姿勢センサ9と、着座センサ10と略同様の構成を備える。なお、ディスプレイ402と、音声入出力装置404と、リクライニング制御装置405と、スライド制御装置406と、リクライニングセンサ407と、対人距離センサ408と、姿勢センサ409と、着座センサ410とは、集中制御装置500が他の座席制御装置400の各構成から識別可能なように、集中制御装置500と通信を行うための情報に、予め定められた所定の識別子を含めて通信を行う。
【0080】
集中制御装置500は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)521と、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)522と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)523と、各種ハードウェアを集中制御装置500と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、ネットワーク570を介して改札情報提供装置550と通信を行うための通信装置526とが、バス527により接続された構成を備えている。CPU521と、RAM522と、ROM523と、I/F524とは、集中制御装置500の演算処理部を構成する。
【0081】
CPU521を含む集中制御装置500の演算処理部は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種のセンサ407〜410からの出力値を収集する。また、座席制御装置400が取り付けられる座席のリクライニングおよびスライドを制御するリクライニング制御装置405およびスライド制御装置406に対し、リクライニング動作およびスライド動作を制御する指示を行う。
【0082】
また、集中制御装置500の演算処理部は、出力対象の視覚情報(メッセージ等の文字情報や画像情報)を出力するよう出力情報を作成し、ディスプレイ402へ出力を指示する。また、集中制御装置500の演算処理部は、出力対象の聴覚情報(メッセージ等の音声情報や音楽情報)を出力するよう出力情報を作成し、スピーカ442へ出力を指示する。
【0083】
集中制御装置500の演算処理部は、第一の実施形態と略同様の機能部を備える。すなわち、集中制御装置500の演算処理部は、基本制御部101と、センサ入力受付部102と、出力処理部103と、座席制御部104と、調整範囲特定部105と、を有する。各機能部は、CPU521が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM522には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0084】
なお、上記した各構成要素は、集中制御装置500の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。集中制御装置500の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0085】
また、各機能部は、ハードウェア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0086】
記憶装置525は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0087】
この記憶媒体には、図13に示す座席調整値テーブル600等が記憶されている。
【0088】
図13は、座席調整値テーブル600の構成を示す図である。座席調整値テーブル600は、座席の調整を行うための制御に関する情報を含んでいる。
【0089】
座席調整値テーブル600には、座席を特定する座席ID601ごとに、座席調整値テーブル200と同様に、座席のスライド操作、すなわち座席の前後方向への平行移動操作において、移動を許容する距離を特定する情報であるスライド許容距離611と、座席のリクライニング操作、すなわち座席の背もたれ部の傾斜変更操作において、傾斜度合いを許容する距離を特定する情報であるリクライニング許容距離612と、が格納される。
【0090】
また、さらに、座席調整値テーブル600には、座席ID601ごとに、スライド許容距離(小)613と、リクライニング許容距離(小)614と、スライド許容距離(大)615と、リクライニング許容距離(大)616と、対人距離センサ408から取得したスライド可能距離618と、リクライニングセンサ407から取得したリクライニング可能距離618と、座席が向けられている方向を特定する情報である座席方向619と、当該座席への搭乗者の着座状態を特定する情報である着座状態620と、当該座席の向きに対する背面側の座席の向きとの相違を特定する情報である背面座席方向相違621と、予め定められたスライド許容距離を特定する情報であるスライド許容中間距離622と、予め定められたリクライニング許容距離を特定する情報であるリクライニング許容中間距離623と、が格納される。
【0091】
スライド許容距離(小)613、リクライニング許容距離(小)614には、それぞれ、背面座席の搭乗者の体格が所定の範囲よりも小さい場合に、スライド許容距離611、リクライニング許容距離612のそれぞれの代わりに用いられる情報が格納される。
【0092】
スライド許容距離(大)615、リクライニング許容距離(大)616には、それぞれ、背面座席の搭乗者の体格が所定の範囲よりも大きい場合に、スライド許容距離611、リクライニング許容距離612のそれぞれの代わりに用いられる情報が格納される。
【0093】
スライド可能距離617、リクライニング可能距離618には、それぞれ、対人距離センサ408から取得したスライド可能距離と、リクライニングセンサ407から取得したリクライニング可能距離と、についての直近に受信した情報が格納される。
【0094】
座席方向619には、当該座席が向けられている方向を特定する情報が格納される。当該座席が向けられている方向を特定する情報は、例えば、座席の向きを判定する図示しないセンサ等により取得される方向を特定する情報である。より具体的には、座席に取り付けられ、座席が所定の一方向に向けられている間は通電状態となる所定のスイッチからの出力を取得して座席の向きを取得するセンサ等によって定期的に取得される方向の情報が格納される。
【0095】
着座状態620には、当該座席への搭乗者の着座状態を特定する情報が格納される。着座状態を特定する情報は、姿勢センサ409および着座センサ410により、所定のタイミング(例えば、1/10秒単位)で出力される情報を用いて特定された、「正常着座」、「異常着座」、「非着座」等の着座を示す情報である。
【0096】
背面座席方向相違621には、当該座席の向きに対する背面側の座席の向きとの相違を特定する情報が格納される。ここで、背面座席とは、座席方向619で特定される方向と逆の方向にある隣接する座席をいう。そのため、座席方向619で特定される方向と逆の方向にある隣接する座席についての座席方向619と比較して差異があれば、背面座席方向相違621は「相違がある」旨を示す情報が格納され、差異が無ければ、「相違がない」旨を示す情報が格納される。
【0097】
スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623には、それぞれ、予め定められたスライド許容距離を特定する情報と、予め定められたリクライニング許容距離を特定する情報と、が格納される。スライド許容中間距離と、リクライニング許容中間距離とは、当該座席の方向が背面座席の方向と相違する場合に、当該座席と背面座席との中間となる位置に相当する位置までに座席の移動を制限するための情報である。
【0098】
通信装置526は、ネットワーク570を介して改札情報提供装置550と通信を行う。ネットワーク570は、改札情報提供装置550から送信される自車両に関する改札入場記録を伝送する。当該ネットワーク570は、例えば列車沿線に巡らされたブロードバンド、あるいはナローバンドのネットワークである。当該ネットワーク570においては、通信をセキュアに行うためのVPN(Virtual Private Network)等が構成されることが望ましい。
【0099】
次に、第二の実施形態に係る制御開始処理について、図14の処理フローを用いて説明する。なお、制御開始処理は、列車の車両が出発駅を出発する際(例えば、車両のブレーキが解除された際)に開始される。
【0100】
まず、集中制御装置500のセンサ入力受付部102は、管理下にある各座席からのセンサ情報の入力を受信し、記録する(ステップS201)。具体的には、センサ入力受付部102は、対人距離センサ408から受信した情報を、スライド可能距離617へ格納する。また、センサ入力受付部102は、リクライニングセンサ407から受信した情報を、リクライニング可能距離618へ格納する。また、センサ入力受付部102は、姿勢センサ409および着座センサ410の情報を用いて、着座状態を特定し、着座状態620へ格納する。なお、センサ入力受付部102は、着座状態を特定する処理において、着座センサ410から得られた情報が「着座」を表していない場合には、着座状態を「非着座」として特定し、着座センサ410から得られた情報が着座を表しており、かつ、姿勢センサ409から得られた情報が適正な姿勢を表している場合には、着座状態を「正常着座」として特定し、着座センサ410から得られた情報が着座を表しており、かつ、姿勢センサ409から得られた情報が適正な姿勢を表していない場合には、着座状態を「異常着座」として特定する。そして、センサ入力受付部102は、特定した着座状態を着座状態620へ格納する。
【0101】
次に、集中制御装置500の座席制御部104は、制御処理未開始の座席一つを制御対象の座席として特定する(ステップS202)。具体的には、座席制御部104は、制御対象としている車両の座席のうち、後述するステップS204またはステップS205で開始する制御処理が開始されていない座席を一つ特定する。
【0102】
そして、座席制御部104は、制御対象の座席の方向が、背面側の座席と異なるか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、座席制御部104は、背面座席方向相違621に格納された情報が「相違がない」ことを示す情報であれば、背面側の座席の方向と異ならないと判定し、「相違がある」ことを示す情報であれば、背面側の座席の方向と異なると判定する。
【0103】
背面側の座席の方向と異ならない場合(ステップS203にて「No」の場合)、座席制御部104は、制御対象の座席について、後述する同方向制御処理を開始させる(ステップS204)。
【0104】
背面側の座席の方向と異なる場合(ステップS203にて「Yes」の場合)、座席制御部104は、制御対象の座席について、後述する異方向制御処理を開始させる(ステップS205)。
【0105】
そして、制御対象の座席に対して、同方向制御処理または異方向制御処理のいずれかを開始させると、座席制御部104は、全座席について制御処理を実施したか否かを判定する(ステップS206)。全座席について制御処理を実施した場合には、座席制御部104は、図20(b)に示す画面例810の画面を所定時間(例えば、10秒間)出力するよう出力処理部103に指示し、制御開始処理を終了する。なお、画面例810では、「前席のお客様の座席を動かせる範囲を設定しました。ご協力ありがとうございました。」という設定完了の旨のメッセージが出力される。
【0106】
未だ全座席について制御処理を実施していない場合(ステップS206にて「No」の場合)には、座席制御部104は、制御をステップS202に戻す。
【0107】
以上が、第二の実施形態における制御開始処理の処理である。このようにすることで、集中制御装置500は、背面座席方向との相違に応じて、座席の動作の制御を行うことができるようになる。したがって、座席を反転させることができる列車等において、よりきめ細やかな制御が可能となる。
【0108】
次に、図15および図16を用いて、同方向制御処理について説明する。図15および図16は、同方向制御処理の処理フローを示す図である。
【0109】
まず、調整範囲特定部105は、制御対象の座席について、背面座席に着座搭乗者があるか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席の背面側に位置する座席の着座状態620の情報を取得し、「非着座」の状態を示す情報であれば背面座席に着座搭乗者がないと判定し、「非着座」の状態を示す情報以外の情報、すなわち「正常着座」または「異常着座」の状態を示す情報であれば背面座席に着座搭乗者があると判定する。着座搭乗者がある場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS309へ進める。
【0110】
着座搭乗者がない場合(ステップS301にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、次の停車駅到着まで所定時間以下か否かを判定する(ステップS302)。具体的には、調整範囲特定部105は、現在時刻と、予定されている次の停車駅への到着予想時刻とを比較し、基本制御部101から取得した現在時刻から、次の停車駅への到着予想時刻までの時間が所定時間以下であるか否かを判定する。所定時間以下ではない場合、すなわち次の停車駅まで時間的な猶予がある場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS301へ戻す。
【0111】
所定時間以下である場合(ステップS302において「Yes」の場合)、すなわち次の停車駅まで時間的な猶予が少ない場合には、調整範囲特定部105は、背面側座席に相当する座席は次の駅で乗車する搭乗者があるか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、調整範囲特定部105は、基本制御部101に対して、背面側座席に相当する座席は次の駅で乗車する搭乗者があるか否かを基本制御部101に問い合わせ、あらかじめ改札情報提供装置550から受信した所定の座席着席予定の情報に基づいて搭乗者の有無を判定する。背面側座席に相当する座席に次の駅で乗車する搭乗者がない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS301へ戻す。
【0112】
背面側座席に相当する座席に次の駅で乗車する搭乗者がある場合(ステップS303にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、当該背面座席に搭乗予定の搭乗者が次の駅の改札を入場済みか否かを判定する(ステップS304)。具体的には、調整範囲特定部105は、あらかじめ改札情報提供装置550から受信した改札の入場情報に背面側座席の搭乗予定者が入場したことを示す情報があるか否かに応じて、入場済みか否かを判定する。なお、改札情報提供装置550は、ネットワーク570を介して、改札の入場者の情報を、搭乗予定車両を管理する集中制御装置500へ随時送信しているため、搭乗直前に入場した搭乗者の情報であっても集中制御装置500は適時に参照することができる。背面側座席の搭乗予定者が次駅改札に入場済みでない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS301へ戻す。
【0113】
背面側座席の搭乗予定者が次駅改札に入場済みである場合(ステップS304にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席が、所定の調整可動範囲を超えて座席調整されているか否かを判定する(ステップS305)。具体的には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席のスライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回っているか否かを判定し、いずれかの距離が下回っている場合には、調整可動範囲を超えて座席調整されていると判定する。いずれの距離も下回っていない場合には、調整範囲特定部105は、調整可動範囲内で座席調整されているものと判定する。調整可動範囲内で調整されていると判定された場合には、調整範囲特定部105は、後述するステップS307へ制御を進める。
【0114】
調整可動範囲を超えて座席調整されていると判定された場合(ステップS305にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、所定の調整可動範囲内まで座席調整を解除する(ステップS306)。具体的には、座席制御部104は、制御対象の座席について、スライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回るまで座席のスライドおよびリクライニングを解除するよう制御する。すなわち、座席制御部104は、リクライニングの度合いが高すぎる場合にはリクライニングの度合いが低くなるよう強制的にリクライニング度合いを変更し、スライドの度合いが高すぎる場合にはスライドの度合いが低くなるよう強制的にスライドの度合いを変更し、スライドおよびリクライニングのいずれの度合いも高すぎる場合には、スライドおよびリクライニングの度合いの両方の度合いが低くなるよう強制的に変更する。
【0115】
そして、座席制御部104は、所定の調整可動範囲内までの座席調整を可能化する(ステップS307)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0116】
そして、調整範囲特定部105は、次停車駅に到着したか否かを判定する(ステップS308)。具体的には、調整範囲特定部105は、基本制御部101に対して、現在位置が次停車駅に到着したか否かを問い合わせ、応答に応じて到着を判定する。次停車駅に到着していない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS307に戻す。
【0117】
次に、座席制御部104は、背面側座席が異方向に変えられたか否かを判定する(ステップS309)。具体的には、座席制御部104は、背面座席方向相違621に格納された情報が、「相違がある」ことを示す情報であれば、背面側の座席の方向が異方向に変えられたと判定する。
【0118】
背面側座席が異方向に変えられた場合(ステップS309にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格に関わらず、所定の中間点までの座席の調整を可能化する(ステップS310)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0119】
ここで、背面側座席が制御対象の座席と異方向である場合の、両座席間の中間点までの座席の可動範囲の制限状態について、図19を用いて説明する。図19は、座席C300Fあるいは座席D300Rのいずれかを制御対象の座席とする場合のスライドおよびリクライニングの可動範囲を中間点340に制限している状態を示す図である。このとき、リクライニング可能距離qj336と、スライド可能距離pj337とは、あらかじめ定められた座席間の中間点340までを特定する距離であり、当該制限がなされた座席C300Fおよび座席D300Rにおいては、スライド許容中間距離622に相当するスライド可能距離pj337と、およびリクライニング許容中間距離623に相当するリクライニング可能距離qj336とを下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0120】
背面側座席が異方向に変えられなかった場合(ステップS309にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の乗車姿勢が適正であるか否かを判定する(ステップS311)。具体的には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席の背面側に位置する座席の着座状態620の情報を取得して、当該情報が「正常着座」を示す情報であれば、乗車姿勢は適正であると判定する。
【0121】
背面側座席の搭乗者の乗車姿勢が適正ではない場合(ステップS311にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、出力処理部103に依頼して、背面側座席の搭乗者に向けて、適正姿勢での着席を促す警告を出力する(ステップS312)。具体的には、調整範囲特定部105は、図20(a)に示す画面例800に類する画面出力を行うよう出力処理部103へ指示を行う。図20(a)に示された画面例800では、メッセージとして、「前席のお客様の座席を動かせる範囲を設定中です。お客様の体格に合わせて調整しますので、姿勢良くご着席ください。」を出力している。当該メッセージは、すなわち、背面側座席の搭乗者に対して、正常な着座を促すメッセージである。
【0122】
そして、調整範囲特定部105は、次駅に到着して後、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS313)。具体的には、調整範囲特定部105は、基本制御部101に問い合わせて、次駅に到着してから経過した時間を取得し、当該経過した時間が所定の時間(例えば、60秒)を超える場合には、所定の時間が経過したと判定する。所定の時間が経過していない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS311へ戻す。
【0123】
次駅に到着して後、所定の時間が経過した場合(ステップS313にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「小」として、あらかじめ定められた体格「小」に対応する座席調整値までの座席の調整を可能化する(ステップS314)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離(小)613およびリクライニング許容距離(小)614の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離(小)613およびリクライニング許容距離(小)614を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0124】
背面側座席の搭乗者の乗車姿勢が適正である場合(ステップS311にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「小」であるか否かを判定する(ステップS315)。具体的には、調整範囲特定部105は、背面座席の搭乗者の体格を、背面側座席にかかる荷重の情報を図示しない重量センサ等を用いて取得し、推測する。推測した体格が所定よりも小さい体格である場合に、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「小」であると判定する。なお、これに限らず、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格を、リクライニングセンサ407、対人距離センサ408、姿勢センサ409、着座センサ410の各センサからの出力を用いて推測するものであってもよい。
【0125】
背面側座席の搭乗者の体格が「小」である場合(ステップS315にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、前述したステップS314の処理を実施する。
【0126】
背面側座席の搭乗者の体格が「小」でない場合(ステップS315にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「大」であるか否かを判定する(ステップS316)。具体的には、調整範囲特定部105は、背面座席の搭乗者の体格を、背面側座席にかかる荷重の情報を図示しない重量センサ等を用いて取得し、推測する。推測した体格が所定よりも大きい体格である場合に、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「大」であると判定する。なお、これに限らず、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格を、リクライニングセンサ407、対人距離センサ408、姿勢センサ409、着座センサ410の各センサからの出力を用いて推測するものであってもよい。
【0127】
背面側座席の搭乗者の体格が「大」である場合(ステップS316にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「大」として、あらかじめ定められた体格「大」に対応する座席調整値までの座席の調整を解除する(ステップS317)。具体的には、座席制御部104は、制御対象の座席について、スライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回るまで座席のスライドおよびリクライニングを解除するよう制御する。すなわち、座席制御部104は、リクライニングの度合いが高すぎる場合にはリクライニングの度合いが低くなるよう強制的にリクライニング度合いを変更し、スライドの度合いが高すぎる場合にはスライドの度合いが低くなるよう強制的にスライドの度合いを変更し、スライドおよびリクライニングのいずれの度合いも高すぎる場合には、スライドおよびリクライニングの度合いの両方の度合いが低くなるよう強制的に変更する。
【0128】
そして、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「大」として、あらかじめ定められた体格「大」に対応する座席調整値までの座席の調整を可能化する(ステップS318)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0129】
背面側座席の搭乗者の体格が「大」でない場合(ステップS316にて「No」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「標準」として、あらかじめ定められた体格「標準」に対応する座席調整値までの座席の調整を解除する(ステップS319)。具体的には、座席制御部104は、制御対象の座席について、スライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容距離611およびリクライニング許容距離612を下回るまで座席のスライドおよびリクライニングを解除するよう制御する。すなわち、座席制御部104は、リクライニングの度合いが高すぎる場合にはリクライニングの度合いが低くなるよう強制的にリクライニング度合いを変更し、スライドの度合いが高すぎる場合にはスライドの度合いが低くなるよう強制的にスライドの度合いを変更し、スライドおよびリクライニングのいずれの度合いも高すぎる場合には、スライドおよびリクライニングの度合いの両方の度合いが低くなるよう強制的に変更する。
【0130】
そして、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「標準」として、あらかじめ定められた体格「標準」に対応する座席調整値までの座席の調整を可能化する(ステップS320)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離611およびリクライニング許容距離612の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離611およびリクライニング許容距離612を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0131】
以上が、同方向制御処理の処理フローである。同方向制御処理を実施することで、制御対象の座席の背面側の座席が同方向の向きである場合に、制御対象の座席に対して適切な可動範囲を設定することができる。
【0132】
次に、異方向制御処理について、図17、18を用いて説明する。図17および図18は、異方向制御処理の処理フローを示す図である。
【0133】
まず、調整範囲特定部105は、制御対象の座席について、背面座席に着座搭乗者があるか否かを判定する(ステップS401)。具体的には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席の背面側に位置する座席の着座状態620の情報を取得し、「非着座」の状態を示す情報であれば背面座席に着座搭乗者がないと判定し、「非着座」の状態を示す情報以外の情報、すなわち「正常着座」または「異常着座」の状態を示す情報であれば背面座席に着座搭乗者があると判定する。着座搭乗者がある場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS409へ進める。
【0134】
着座搭乗者がない場合(ステップS401にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、次の停車駅到着まで所定時間以下か否かを判定する(ステップS402)。具体的には、調整範囲特定部105は、現在時刻と、予定されている次の停車駅への到着予想時刻とを比較し、基本制御部101から取得した現在時刻から、次の停車駅への到着予想時刻までの時間が所定時間以下であるか否かを判定する。所定時間以下ではない場合、すなわち次の停車駅まで時間的な猶予がある場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS401へ戻す。
【0135】
所定時間以下である場合、すなわち次の停車駅まで時間的な猶予が少ない場合には、調整範囲特定部105は、背面側座席に相当する座席は次の駅で乗車する搭乗者があるか否かを判定する(ステップS403)。具体的には、調整範囲特定部105は、基本制御部101に対して、背面側座席に相当する座席は次の駅で乗車する搭乗者があるか否かを基本制御部101に問い合わせ、あらかじめ改札情報提供装置550から受信した所定の座席着席予定の情報に基づいて搭乗者の有無を判定する。背面側座席に相当する座席に次の駅で乗車する搭乗者がない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS401へ戻す。
【0136】
背面側座席に相当する座席に次の駅で乗車する搭乗者がある場合(ステップS403にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、当該背面座席に搭乗予定の搭乗者が次の駅の改札を入場済みか否かを判定する(ステップS404)。具体的には、調整範囲特定部105は、あらかじめ改札情報提供装置550から受信した改札の入場情報に背面側座席の搭乗予定者が入場したことを示す情報があるか否かに応じて、入場済みか否かを判定する。なお、改札情報提供装置550は、ネットワーク570を介して、改札の入場者の情報を搭乗予定車両を管理する集中制御装置500へ随時送信しているため、搭乗直前に入場した搭乗者の情報であっても集中制御装置500は適時に参照することができる。背面側座席の搭乗予定者が次駅改札に入場済みでない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS401へ戻す。
【0137】
背面側座席の搭乗予定者が次駅改札に入場済みである場合(ステップS404にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席が、所定の中間位置を超えて座席調整されているか否かを判定する(ステップS405)。具体的には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席のスライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623を下回っているか否かを判定し、いずれかの距離が下回っている場合には、所定の中間位置を超えて座席調整されていると判定する。いずれの距離も下回っていない場合には、調整範囲特定部105は、中間位置内で座席調整されているものと判定する。中間位置内で調整されていると判定された場合には、調整範囲特定部105は、後述するステップS407へ制御を進める。
【0138】
中間位置を超えて座席調整されていると判定された場合(ステップS405にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、所定の中間位置まで座席調整を解除する(ステップS406)。具体的には、座席制御部104は、制御対象の座席について、スライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623を下回るまで座席のスライドおよびリクライニングを解除するよう制御する。すなわち、座席制御部104は、リクライニングの度合いが高すぎる場合にはリクライニングの度合いが低くなるよう強制的にリクライニング度合いを変更し、スライドの度合いが高すぎる場合にはスライドの度合いが低くなるよう強制的にスライドの度合いを変更し、スライドおよびリクライニングのいずれの度合いも高すぎる場合には、スライドおよびリクライニングの度合いの両方の度合いが低くなるよう強制的に変更する。
【0139】
そして、座席制御部104は、所定の中間位置までの座席調整を可能化する(ステップS407)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0140】
そして、調整範囲特定部105は、次停車駅に到着したか否かを判定する(ステップS408)。具体的には、調整範囲特定部105は、基本制御部101に対して、現在位置が次停車駅に到着したか否かを問い合わせ、応答に応じて到着を判定する。次停車駅に到着していない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS407に戻す。
【0141】
次に、座席制御部104は、背面側座席が同方向に変えられたか否かを判定する(ステップS409)。具体的には、座席制御部104は、背面座席方向相違621に格納された情報が、「相違がない」ことを示す情報であれば、背面側の座席の方向が同方向に変えられたと判定する。
【0142】
背面側座席が同方向に変えられなかった場合(ステップS409にて「No」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格に関わらず、所定の中間点までの座席の調整を可能化する(ステップS410)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容中間距離622およびリクライニング許容中間距離623を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0143】
背面側座席が同方向に変えられた場合(ステップS409にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の乗車姿勢が適正であるか否かを判定する(ステップS411)。具体的には、調整範囲特定部105は、制御対象の座席の背面側に位置する座席の着座状態620の情報を取得して、当該情報が「正常着座」を示す情報であれば、乗車姿勢は適正であると判定する。
【0144】
背面側座席の搭乗者の乗車姿勢が適正ではない場合(ステップS411にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、出力処理部103に依頼して、背面側座席の搭乗者に向けて、適正姿勢での着席を促す警告を出力する(ステップS412)。具体的には、調整範囲特定部105は、図20(a)に示す画面例800に類する画面出力を行うよう出力処理部103へ指示を行う。図20(a)に示された画面例800では、メッセージとして、「前席のお客様の座席を動かせる範囲を設定中です。お客様の体格に合わせて調整しますので、姿勢良くご着席ください。」を出力している。当該メッセージは、すなわち、背面側座席の搭乗者に対して、正常な着座を促すメッセージである。
【0145】
そして、調整範囲特定部105は、次駅に到着して後、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS413)。具体的には、調整範囲特定部105は、基本制御部101に問い合わせて、次駅に到着してから経過した時間を取得し、当該経過した時間が所定の時間(例えば、60秒)を超える場合には、所定の時間が経過したと判定する。所定の時間が経過していない場合には、調整範囲特定部105は、制御をステップS411へ戻す。
【0146】
次駅に到着して後、所定の時間が経過した場合(ステップS413にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「小」として、あらかじめ定められた体格「小」に対応する座席調整値までの座席の調整を可能化する(ステップS414)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離(小)613およびリクライニング許容距離(小)614の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離(小)613およびリクライニング許容距離(小)614を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0147】
背面側座席の搭乗者の乗車姿勢が適正である場合(ステップS411にて「Yes」の場合)には、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「小」であるか否かを判定する(ステップS415)。具体的には、調整範囲特定部105は、背面座席の搭乗者の体格を、背面側座席にかかる荷重の情報を図示しない重量センサ等を用いて取得し、推測する。推測した体格が所定よりも小さい体格である場合に、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「小」であると判定する。なお、これに限らず、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格を、リクライニングセンサ407、対人距離センサ408、姿勢センサ409、着座センサ410の各センサからの出力を用いて推測するものであってもよい。
【0148】
背面側座席の搭乗者の体格が「小」である場合(ステップS415にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、前述したステップS414の処理を実施する。
【0149】
背面側座席の搭乗者の体格が「小」でない場合(ステップS415にて「No」の場合)には、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「大」であるか否かを判定する(ステップS416)。具体的には、調整範囲特定部105は、背面座席の搭乗者の体格を、背面側座席にかかる荷重の情報を図示しない重量センサ等を用いて取得し、推測する。推測した体格が所定よりも大きい体格である場合に、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格が「大」であると判定する。なお、これに限らず、調整範囲特定部105は、背面側座席の搭乗者の体格を、リクライニングセンサ407、対人距離センサ408、姿勢センサ409、着座センサ410の各センサからの出力を用いて推測するものであってもよい。
【0150】
背面側座席の搭乗者の体格が「大」である場合(ステップS416にて「Yes」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「大」として、あらかじめ定められた体格「大」に対応する座席調整値までの座席の調整を解除する(ステップS417)。具体的には、座席制御部104は、制御対象の座席について、スライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回るまで座席のスライドおよびリクライニングを解除するよう制御する。すなわち、座席制御部104は、リクライニングの度合いが高すぎる場合にはリクライニングの度合いが低くなるよう強制的にリクライニング度合いを変更し、スライドの度合いが高すぎる場合にはスライドの度合いが低くなるよう強制的にスライドの度合いを変更し、スライドおよびリクライニングのいずれの度合いも高すぎる場合には、スライドおよびリクライニングの度合いの両方の度合いが低くなるよう強制的に変更する。
【0151】
そして、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「大」として、あらかじめ定められた体格「大」に対応する座席調整値までの座席の調整を可能化する(ステップS418)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離(大)615およびリクライニング許容距離(大)616を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0152】
背面側座席の搭乗者の体格が「大」でない場合(ステップS416にて「No」の場合)には、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「標準」として、あらかじめ定められた体格「標準」に対応する座席調整値までの座席の調整を解除する(ステップS419)。具体的には、座席制御部104は、制御対象の座席について、スライド可能距離617またはリクライニング可能距離618が、それぞれ、スライド許容距離611およびリクライニング許容距離612を下回るまで座席のスライドおよびリクライニングを解除するよう制御する。すなわち、座席制御部104は、リクライニングの度合いが高すぎる場合にはリクライニングの度合いが低くなるよう強制的にリクライニング度合いを変更し、スライドの度合いが高すぎる場合にはスライドの度合いが低くなるよう強制的にスライドの度合いを変更し、スライドおよびリクライニングのいずれの度合いも高すぎる場合には、スライドおよびリクライニングの度合いの両方の度合いが低くなるよう強制的に変更する。
【0153】
そして、座席制御部104は、背面側座席の搭乗者の体格を「標準」として、あらかじめ定められた体格「標準」に対応する座席調整値までの座席の調整を可能化する(ステップS420)。具体的には、座席制御部104は、当該座席について、スライド許容距離611およびリクライニング許容距離612の情報に基づいて可動範囲を設定する。すなわち、当該設定がなされた座席は、スライド許容距離611およびリクライニング許容距離612を下回る範囲でのみ座席の調整が可能となる。
【0154】
以上が、異方向制御処理の処理フローである。異方向制御処理を実施することで、制御対象の座席の背面側の座席が異方向の向きである場合に、制御対象の座席に対して適切な可動範囲を設定することができる。
【0155】
以上、第二の実施形態について、図面を用いて説明した。第二の実施形態によれば、座席方向を前方あるいは後方へ変更することができる乗り物において、適切に座席の調整範囲を設定することができる。また、背面に位置する搭乗者の体格に応じて、適切に座席の調整範囲を設定することができる。
【0156】
また、上記第二の実施形態においては、列車における実施形態を想定しているが、これに限られない。すなわち、長距離バスや、飛行機、船等、様々な乗り物についても座席の制御を行うことができる。また、ネットワーク570は、携帯電話網等の無線ネットワークで実現されてもよい。
【0157】
さらに、上記第一の実施形態、第二の実施形態、およびそれらの変形として記載されたそれぞれの発明技術の全てあるいはいくつかを組み合わせてもよい。
【0158】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明した。
【0159】
なお、上記の実施形態では、本発明を乗り物の座席を制御する装置に適用したが、これに限らず、遊園地のアトラクションや、プラネタリウム等の移動体ではない施設等、可動の座席を有する施設全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0160】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・リクライニング制御装置、6・・・スライド制御装置、7・・・リクライニングセンサ、8・・・対人距離センサ、9・・・姿勢センサ、10・・・着座センサ、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・I/F、25・・・バス、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、100・・・座席制御装置、101・・・基本制御部、102・・・センサ入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・座席制御、105・・・調整範囲特定部、200・・・座席調整値テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可倒式の背もたれ部材の傾きを制御する傾き制御手段と、
前記背もたれ部材の背面側の搭乗者の有無を判定する搭乗判定手段と、
前記搭乗判定手段が搭乗者有りと判定した場合に、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させる座席制御手段と、
を備えることを特徴とする座席制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の座席制御装置であって、
前記搭乗判定手段は、前記背面側の搭乗者の着座を検出して前記搭乗者の有無を判定する、
ことを特徴とする座席制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の座席制御装置であって、さらに、
前後方向に略水平にスライドして移動する座板部材のスライド移動量を制御するスライド移動制御手段を備え、
前記座席制御手段は、前記搭乗判定手段が搭乗者有りと判定した場合に、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させるとともに、前記スライド移動制御手段に対して、前記座板部材の移動量を所定の移動量に制限させる、
ことを特徴とする座席制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の座席制御装置であって、
前記座席制御手段は、前記搭乗判定手段が搭乗者有りと判定した場合に、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いが前記所定の度合いを超えている場合には、前記背もたれ部材を、前記所定の度合いまで起こすよう前記傾き制御手段に指示する、
ことを特徴とする座席制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の座席制御装置であって、
移動体に搭載されており、
前記座席制御手段は、当該座席制御装置が搭載された前記移動体が移動を開始したことを検知すると、前記座席に対する制御を実施する、
ことを特徴とする座席制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の座席制御装置であって、さらに、
前記背もたれ部材の背面側の搭乗者の体格を特定する背面側搭乗者体格特定手段を備え、
前記座席制御手段は、前記背もたれ部材の傾きの度合いを、前記背面側搭乗者体格特定手段により特定した背面側の搭乗者の体格に応じて特定し、前記傾き制御手段に用いる、
ことを特徴とする座席制御装置。
【請求項7】
複数の座席のうちの一つの座席について、可倒式の背もたれ部材の傾きを制御する傾き制御手段と、
前記座席の方向が、前記背もたれ部材の背面側の座席の方向と一致するか否かを判定する座席方向判定手段と、
前記座席方向判定手段が判定した座席の方向の一致または不一致に応じて、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させる座席制御手段と、
を備えることを特徴とする座席集中制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の座席集中制御装置であって、
前記背もたれ部材の背面側の搭乗者の体格を特定する背面側搭乗者体格特定手段を備え、
前記座席制御手段は、前記座席について前記座席方向判定手段が判定した座席の方向が一致する場合には、前記背もたれ部材の背面側の座席の搭乗者の体格に応じて、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを制限させる、
ことを特徴とする座席集中制御装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の座席集中制御装置であって、さらに、
前後方向に略水平にスライドして移動する座板部材のスライド移動量を制御するスライド移動制御手段を備え、
前記座席制御手段は、前記座席方向判定手段が判定した座席の方向の一致または不一致に応じて、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いを所定の度合いに制限させるとともに、前記スライド移動制御手段に対して、前記座板部材の移動量を所定の移動量に制限させる、
ことを特徴とする座席集中制御装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の座席集中制御装置であって、
前記座席制御手段は、前記座席方向判定手段が判定した座席の方向の一致または不一致に応じて、前記傾き制御手段に対して、前記背もたれ部材の傾きの度合いが前記所定の度合いを超えている場合には、前記背もたれ部材を、前記所定の度合いまで起こすよう前記傾き制御手段に指示する、
ことを特徴とする座席集中制御装置。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の座席集中制御装置であって、
複数の駅間を走行する列車に搭載されており、
前記座席制御手段は、当該座席集中制御装置が搭載された前記列車が所定の駅から次の駅への移動を開始したことを検知すると、前記座席に対する制御を実施する、
ことを特徴とする座席集中制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の座席集中制御装置であって、さらに、
前記次の駅への到着前に、前記次の駅の改札情報を受信する受信手段と、
前記座席制御手段は、前記背面側の座席の搭乗者が搭乗しているか、または前記次の駅の改札情報に前記背面側の座席の搭乗者の入場記録が含まれる場合には、前記傾きの制御を実施する、
ことを特徴とする座席集中制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate