説明

廃プラスチックの油化方法及び装置

【課題】
熱分解と接触分解を同時に行う加熱・接触分解槽による一次加熱処理のみで、軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を留出できるようにすると共に、熱分解によって発生したカーボンなどの熱分解残渣物を外部から導入した流動用空気中に含有する少量の酸素との反応で部分的に自己燃焼させながら流動接触分解が行われる廃プラスチックの油化方法及び装置を提供する。
【解決手段】
加熱・接触分解槽2内に設けた分解用触媒による触媒流動層6を外部から導入した流動用空気で流動させ、原料投入手段3,4を介して溶融状態で投入した廃プラスチックに接触させると共に、熱分解残渣物に対して流動用空気中に含有する少量の酸素で部分的に自己燃焼させながら流動接触分解を行い、加熱・接触分解槽2から軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を生成処理部1B側へ留出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不要になった熱可塑性のプラスチック類(廃プラスチック)を燃料として再利用するために、廃プラスチックを熱分解及び触媒との接触分解によって油化し、炭化水素油として回収する油化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の廃プラスチックの油化方法及び装置として、一般的な油化方法では原料となる廃プラスチックを攪拌しながら加熱融解して熱分解させると共に、気化した重質油留分を含む熱分解ガスを留出して触媒を添加して流動接触分解させ、留出した軽質油留分を冷却して凝縮させ、炭化水素油として回収する熱分解法が広く知られている。
【0003】
また、上記油化方法を実施するための一般的な油化装置として、廃プラスチックの供給手段と、廃プラスチックを熱分解して熱分解ガスを留出する熱分解槽と、熱分解ガスに触媒を添加して流動接触分解(FCC)で軽質油化した接触分解ガスを留出する接触分解槽と、接触分解ガスを冷却で凝縮させて気液分離を行う冷却器と、液化した炭化水素油を貯蔵するタンクなどを備えた構成が採られている。
【0004】
さらに、これらの油化方法及び装置に関する従来技術として、例えば特許文献1乃至5などを含む数多くの提案がなされ且つ実施されている。
【特許文献1】特公昭60−14068号公報
【特許文献2】特公昭63−28002号公報
【特許文献3】特公平8−32889号公報
【特許文献4】特許第3113812号公報
【特許文献5】特開平10−237460号公報
【0005】
因みに、これらの特許文献による従来技術は一般的な油化方法又は油化装置に対し、例えば特許文献1の場合は、触媒を添加した廃プラスチックを予備反応槽内で熱溶融させた後に第1反応槽に送ること、第1反応槽内で劣化した触媒は槽外へ抜き取ることなどに特徴があり、特許文献2の場合は、接触分解する触媒として用いるゼオライトの粒径と重量比及び加熱処理温度を特定したことに特徴がある。
【0006】
また、特許文献3の場合は、接触分解する触媒として用いるゼオライトの拘束係数及び加熱処理温度を特定したことに特徴があり、特許文献4の場合は、触媒を用いて接触分解による二次熱分解処理をした後に、白金などの金属を触媒とした三次熱分解処理を行うことに特徴があり、特許文献5の場合は、熱処理後に処理槽から取り出した熱分解残渣物から炭化水素油を分離し、処理装置内の熱源として利用することに特徴がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの特許文献1乃至5などを含む従来技術のように、熱分解槽内で重質油留分を含む分解生成物を留出する熱分解処理と、接触分解槽で触媒によって軽質油留分を留出する接触分解処理の2段階に分けた一次及び二次加熱処理によって分解処理を行う場合には、2槽以上の加熱処理槽を必要とするので油化装置を簡略化して小型化及びコストダウンを図ることが困難であると共に、移送管路を介して重質油留分を含む分解生成物を接触分解槽に移送する際に、重質油留分によって移送管路に詰まらせる恐れもあった。
【0008】
また、熱分解によってカーボンなどの熱分解残渣物が発生して熱分解槽内に堆積するが、この熱分解残渣物中には留出できなかった炭化水素油が含有されているので炭化水素油の回収率を低下させること、熱分解残渣物が熱分解槽の内壁面に付着すると外部加熱による加熱効率を低下させること、廃プラスチックと触媒の攪拌手段に熱分解残渣物が付着して攪拌性能を低下させる恐れがあること、多孔質の触媒に熱分解残渣物が付着して接触分解性能を低下させる恐れがあること、などの改善すべき課題があった。
【0009】
そこで本発明では、これら従来技術の課題を解決し得る廃プラスチックの油化方法及び装置を提供するものであって、特に熱分解と接触分解を同時に行う加熱・接触分解槽による一次加熱処理のみで、軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を留出できるようにすると共に、熱分解によって発生したカーボンなどの熱分解残渣物を外部から導入した流動用空気中に含有する少量の酸素との反応で部分的に自己燃焼させながら流動接触分解が行われるようにすること、などを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、加熱・接触分解槽内に設けた分解用触媒による触媒流動層を外部から導入した流動用空気で流動させ、原料投入手段を介して溶融状態で投入した廃プラスチックに接触させると共に、熱分解残渣物に対して流動用空気中に含有する少量の酸素で部分的に自己燃焼させながら流動接触分解を行い、加熱・接触分解槽から軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を留出する廃プラスチックの油化方法である。(請求項1)
【0011】
本発明は、廃プラスチックを溶融して供給する原料投入手段及び、熱分解及び触媒との接触分解によって軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を留出する加熱・接触分解槽で分解処理部を構成すると共に、留出したガス状の分解生成物を冷却による凝縮で気液分離して炭化水素油を生成する生成処理部を構成し、前記加熱・接触分解槽は外部に加熱手段を内部に多孔性の分散板を設けると共に、分散板上には分解用触媒を充填した触媒流動層を形成し、触媒流動層の上部に設けた排気筒を生成処理部側に連通させ、触媒流動層の下部に設けた給気槽は分解用触媒を流動させる流動用空気を導入する空気供給管路に連通させた廃プラスチックの油化装置である。(請求項2)
【0012】
請求項1又は2に記載した廃プラスチックの油化方法又は装置において、触媒流動層の分解用触媒として粒子径を0.2〜5.0程度に調製した後に脱水して焼成処理を施した天然ゼオライト粒子を主材として用いる形態を採ることができる。(請求項3)
【発明の効果】
【0013】
本発明による廃プラスチックの油化方法及び油化装置では、加熱・接触分解槽内で分解用触媒と流動接触した廃プラスチックに対して加熱による熱分解処理と触媒との化学反応による接触分解処理が同時に行われ、炭化数の多い重質油留分の炭素鎖を切って軽質油留分に分解する低分子化及び液状化を図ると共に、軽質油留分化したガス状の分解生成物を触媒流動層の上部に設けた排気筒から生成処理部側に留出させることができる。
【0014】
従って、熱分解による一次加熱処理処理と接触分解による二次加熱処理の2段階に分け行っていた従来技術に比べ、油化装置を簡略化して小型化及びコストダウンが可能であると共に、従来技術のように移送管路を介して重質油留分を含む分解生成物を接触分解槽に移送する必要がないので、重質油留分によって移送管路に詰まらせる恐れもない。
【0015】
また、触媒流動層を形成する分解用触媒を外部から導入した流動用空気で流動化させると共に、流動用空気中に含有する少量の酸素を熱分解で発生した熱分解残渣物と反応させて部分的に自己燃焼させながら接触分解が行われるので、従来技術のように単なる熱分解のみ場合と比べて、分解速度を約2倍程度に速めて処理能力を高めることが可能であると共に、堆積するカーボンその他の熱分解残渣物を減少させ且つ、自己燃焼を内部加熱源として活用することができる。
【0016】
すなわち、自己燃焼によって熱分解残渣物を減少させると、熱分解残渣物中に含有されている炭化水素油を留出して回収率を向上することができると共に、熱分解残渣物が加熱・接触分解槽内の各部に付着することで発生する各種の弊害を解消でき、自己燃焼を内部加熱源に活用するとヒータなどの外部加熱手段による加熱を停止しても加熱・接触分解槽内を設定温度に維持できるので、外部加熱手段の負担を軽減して省エネルギーによるコストダウンを図ることができる。
【0017】
また、熱分解残渣物の減少によって解消される弊害としては、例えば分散板に付着して通気性を低下させること、槽内壁面に付着して外部加熱による加熱効率を低下させること、触媒の攪拌手段などに付着して攪拌性能を低下させること、多孔質の分解用触媒に付着して接触分解性能を低下させること、などである。
【0018】
さらに、触媒流動層の分解用触媒として粒子径を0.2〜5.0程度に調製した後に脱水して焼成処理を施した天然ゼオライト粒子を主材として用いる形態を採ると、表面積及びポアーサイズを大きくして流動接触を良くし且つ目詰まりを防止することが可能であると共に、摩擦や水分に対して強い構造となって変形や変質の少ない長期間に亘って安定的に使用することが可能となり、触媒粒子に合成ゼオライトなどを用いた比べて効果的に活性化処理を行うことができ、使用済みの分解用触媒はカーボンなどの付着物を除去し、活性を復元させて再使用することも可能である。
【実施例】
【0019】
本発明による廃プラスチックの油化方法及び装置について、本発明を適用した好適な実施形態を示す図1の油化装置1に基づき詳細に説明すると、原料投入手段を介して溶融状態で供給した油化原料となる廃プラスチックに対して、加熱・接触分解槽内で触媒流動を行って炭化水素油を含有したガス状の分解生成物を留出する分解処理部1Aと、分解処理部で留出したガス状の分解生成物に対して、冷却による凝縮で気液分離を行って炭化水素油を生成する生成処理部1Bによって油化装置1を構成している。
【0020】
分解処理部1Aには、筒状容器で形成した加熱・接触分解槽2を設けると共に、加熱・接触分解槽2に対して油化する廃プラスチックを供給するための原料投入手段として、図示の実施例では原料ホッパー3とスクリューフィーダー4を設け、原料ホッパー3には予め所定径に破砕したPE,PP,PSその他による熱可塑性の廃プラスチックを投入し、投入した廃プラスチックを溶融させるために、スクリューフィーダー4にはヒータやバーナーなどの予熱手段(図示を省略)を設け、設定温度(例えば、260〜300℃程度)に加熱している。
【0021】
加熱・接触分解槽2には、内部の中段にステンレス金網などによる多孔性の分散板5を設けると共に、分散板5上には廃プラスチックに対して触媒流動酸化反応を行う分解用触媒による触媒流動層6を設け、触媒流動層6の上下に排気筒7と給気槽8を形成させ、加熱・接触分解槽2の略下半部外周には触媒流動層6に対する加熱手段として、外周側を断熱材10で被覆したヒータ9(又はバーナー)を設け、通電によって加熱・接触分解槽2内を設定温度(例えば、420〜500℃程度)に加熱するが、分解用触媒には天然ゼオライト粒子を主材として用いる。
【0022】
また、加熱・接触分解槽2にはバルブ11を開閉して触媒流動層6となる分解用触媒を供給する触媒供給管路12と、触媒流動による酸化反応で重質油留分を軽質油留分化して留出したガス状の分解生成物を取り出す生成物移送管路13を排気筒7に連通させて設けると共に、分解用触媒による触媒流動層6を流動させる流動用空気を導入する空気供給管路14を吸気層8に連通させて設け、バルブ15を開閉して分散板3上に堆積する熱分解残渣物や劣化した分解用触媒を除去する残渣除去管路16を触媒流動層6に連通させて設けるようにしている。
【0023】
生成処理部1Bには、生成物移送管路13から取り出したガス状の分解生成物に対し、循環させた冷却水によって生成物を凝縮させる冷却器17と、凝縮して気液分離を行った液状の分解生成物を燃料用の炭化水素油として貯蔵する受液槽18と、凝縮しなかったガス状の分解生成物を受液槽18の上部側から分離して回収し、揮発性炭化水素ガスとして別途に再利用するか、無害化して大気に放出するガス排出管路19を設けている。
【0024】
以上の構成による油化装置1では、加熱・接触分解槽2の分散板3上に設けた触媒流動層6に対し、加熱手段であるヒータ9によって分解用触媒を設定温度に加熱すると共に、空気供給管路14から導入した流動用空気で分解用触媒を流動化させ触媒流動層6中に、溶融した一定量の廃プラスチックを原料ホッパー3から投入し、流動用空気を介して分解用触媒を廃プラスチックに流動接触して触媒流動酸化反応させると、加熱分解と流動接触分解(加熱・流動接触分解)によって分解生成物として炭化水素ガスを留出できる。
【0025】
分解処理部1Aにおける加熱・接触分解槽2は、従来技術では熱分解槽内で含む分解生成物を留出する熱分解処理と、接触分解槽で触媒によって軽質油留分を留出する接触分解処理の2段階に分けた一次及び二次加熱処理を行っていたのを、加熱処理槽と接触分解槽を兼用した機能を有する加熱・接触分解槽2のみの1槽による一次加熱処理で、熱分解と接触分解を同時に行って軽質油留分化したガス状の分解生成物を留出して生成処理部1B側へ移送することができる。
【0026】
すなわち、加熱・接触分解槽2に従来技術における加熱処理槽と接触分解槽を兼用した機能を付与させたことによって、予熱して溶融した廃プラスチックを加熱・接触分解槽2に投入すると、加熱による熱分解及び触媒流動層6における分解用触媒との化学反応による接触分解とが同時に行われ、炭化数の多い重質油留分の炭素鎖を切って低分子化及び液状化して軽質油留分に分解し、軽質油留分化したガス状の分解生成物を触媒流動層6の上部に設けた排気筒7に留出させることができる。
【0027】
特に、触媒流動層6における分解用触媒は加熱によって分解用触媒中のカーボンを部分燃焼させて活性化して流動化を促進することができるので、熱分解のみ場合と比べて分解速度を約2倍程度に速めて処理能力を高め且つ、分解用触媒との接触反応によって分解生成物を軽質油留分までに軟質化することができ、良質な分解生成物を効率良く留出させることができると共に、油化装置1を簡略化して小型化及びコストダウンが可能であり、従来技術のように移送管路を介して重質油留分を含む分解生成物を接触分解槽に移送する必要がないので、重質油留分によって移送管路に詰まらせる恐れもない。
【0028】
また、熱分解で発生したカーボンその他の熱分解残渣物が分散板5上に堆積すると、熱分解残渣物に対して外部から導入した流動用空気中に含有する少量の酸素が反応し、特に触媒流動層6の下層側において部分的に自己燃焼しながら流動接触分解が行われるので、熱分解残渣物を減少させることができると共に、この自己燃焼を内部加熱源として活用すると、外部加熱手段であるヒータ9の通電を停止しても加熱・接触分解槽2内を設定温度に維持することが可能であるから、外部加熱手段の負担を軽減して省エネルギーによるコストダウンを図ることができる。
【0029】
このように、自己燃焼によって熱分解残渣物を減少させると、熱分解残渣物中に含有されている炭化水素油を留出して回収率を向上することができると共に、熱分解残渣物が加熱・接触分解槽2内の各部に付着することによって発生する弊害、例えば分散板5に付着して通気性を低下させること、槽内壁面に付着して外部加熱による加熱効率を低下させること、触媒の攪拌手段などに付着して攪拌性能を低下させること、多孔質の分解用触媒に付着して接触分解性能を低下させること、などを解消することが可能である。
【0030】
触媒流動層6を構成する分解用触媒は、天然ゼオライトの粒子を主材としているが、必要に応じてやシリカやアルミナなどの無機酸化物類或いは、ニッケルやモリブデンなどの活性金属類を添加することも可能可能であって、特に天然ゼオライトとして加工処理を施した触媒粒子を用いるのが望ましく、例えば天然ゼオライトを破砕・粉砕して粒子径を0.2〜5.0程度に調製した後に脱水して焼成を行う加工処理を施すと、結晶構造を破壊しない状態で細孔径(ポアーサイズ)を大きくし且つ表面が隆起に富んだ多孔質構造にすることができる。
【0031】
この天然ゼオライトを加工した分解用触媒は、表面積及びポアーサイズを大きくしたことによって、流動接触を良くし且つ目詰まりを防止することが可能であると共に、摩擦や水分に対して強い構造にしたことによって、変形や変質の少ない長期間に亘って安定的に使用することが可能であるから、触媒粒子に合成ゼオライトなどを用いた比べて効果的に活性化処理を行うことができ、使用済みの分解用触媒はカーボンなどの付着物を除去し、活性を復元させて再使用することも可能である。
【0032】
触媒流動層6における触媒粒子は、流動用空気量や使用する触媒粒子径或いは分散板5上に充填する触媒粒子量などで流動化速度が変化するが、例えば粒子径が0.2〜0.4mmの触媒粒子を用いて流動化させるのに必要な最低流動化速度を1.8cm/secとした場合に、その4倍の7.2cm/sec程度の流速で運転することが望ましく、また流動用空気中に含有する酸素量は理論上で約21%であるが、廃プラスチックを完全燃焼させるのに必要な理論酸素量の約1/20程度になるように、導入する流動用空気量を制限することが望ましい。
【0033】
また、自己燃焼した熱分解残渣物の残留分や劣化した分解触媒などの残渣類はバルブ15を開いて残渣除去管路16から除去すると共に、除去分に相当する新たな分解触媒はバルブ11を開いて触媒供給管路12から補充することが可能であって、加熱・接触分解槽2内の分散板5上には常に活性化した一定量の分解用触媒による触媒流動層6を構成することができるので、安定した流動接触分解が行われ且つ分解生成物の留出速度及び回収率を向上することができ、除去した分解触媒はカーボンなどの付着物を分離除去して活性化させて再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による廃プラスチックの油化方法及び装置を適用した実施形態であって、油化装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
【0035】
1 油化装置
1A 分解処理部
1B 生成処理部
2 加熱・接触分解槽
3 原料ホッパー
4 スクリューフィーダー
5 分散板
6 触媒流動層
7 排気筒
8 給気槽
9 ヒータ(加熱手段)
10 断熱材
11,15 バルブ
12 触媒供給管路
13 生成物移送管路
14 空気供給管路
16 残渣除去管路
17 冷却器
18 受液槽
19 ガス排出管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱・接触分解槽内に設けた分解用触媒による触媒流動層を外部から導入した流動用空気で流動させ、原料投入手段を介して溶融状態で投入した廃プラスチックに接触させると共に、熱分解残渣物に対して流動用空気中に含有する少量の酸素で部分的に自己燃焼させながら流動接触分解を行い、加熱・接触分解槽から軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を留出することを特徴とした廃プラスチックの油化方法。
【請求項2】
廃プラスチックを溶融して供給する原料投入手段及び、熱分解及び触媒との接触分解によって軽質油留分に油化したガス状の分解生成物を留出する加熱・接触分解槽で分解処理部を構成すると共に、留出したガス状の分解生成物を冷却による凝縮で気液分離して炭化水素油を生成する生成処理部を構成し、前記加熱・接触分解槽は外部に加熱手段を内部に多孔性の分散板を設けると共に、分散板上には分解用触媒を充填した触媒流動層を形成し、触媒流動層の上部に設けた排気筒を生成処理部側に連通させ、触媒流動層の下部に設けた給気槽は分解用触媒を流動させる流動用空気を導入する空気供給管路に連通させたことを特徴とした廃プラスチックの油化装置。
【請求項3】
触媒流動層の分解用触媒として、粒子径を0.2〜5.0程度に調製した後に脱水して焼成処理を施した天然ゼオライト粒子を主材として用いる請求項1又は2に記載した廃プラスチックの油化方法又は装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−154059(P2007−154059A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351900(P2005−351900)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(591075777)
【Fターム(参考)】