説明

廃棄プリント基板の回収方法

【課題】二次汚染を引き起こすことなく工業材料に直接転換できる廃棄プリント基板の回収方法の提供。
【解決手段】廃棄プリント基板の回収方法において、
加熱処理によってはんだ合金を溶解して搭載されたデバイス類を分離回収し、
さらに加熱して真空吸引によりはんだ合金を回収し、
基板を硝酸ナトリウム融液に浸漬して基板層内の錫はんだ合金を分離回収し、
さらに強酸溶液により、銅を回収し、
液酸処理によって基板上の配線金属、銅などを溶解、回収し、
溶融硝酸ナトリウム中で熱分解により臭化ナトリウム、炭化物とガラス繊維などを生成、分離し、
水洗浄により炭化物,ガラス繊維を分離回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄プリント基板(PCB)の回収再利用方法に関し、特に廃棄プリント基板内に残留する各種の金属物質を回収でき、二次汚染を引き起こすことなく、再利用可能な工業原料に直接転換する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、プリント基板(PCB)は各種の電気製品中に大量に使用されている。近年懸念されることとして、その電気製品が廃棄され、適当な回収または適当な処理がなされない場合、内部のプリント基板に含まれる錫、鉛および銅などの重金属は容易に自然環境を汚染し、特にプリント基板中のハロゲン化物質に属する臭化エポキシ樹脂は容易に環境破壊をもたらすので、世界各国の環境保護の専門家はハロゲン化物質の使用量削減を強く訴えている。
【0003】
従って世界各国において、廃棄プリント基板は規制対象の有害事業廃棄物に指定されており、現在その関連技術として粉砕法(例えば特許文献1および特許文献2)、直接焼却法、熱分解法、化学溶解法および溶融無機塩法などの方法が開発され、プリント基板内の銅金属材料および中間材料のガラス繊維が回収されるが、これらの各種方法においてプリント基板を回収処理するとき、下記の欠点が存在する。
【0004】
粉砕法:廃棄プリント基板を屑状に破砕した後、比重分離法により金属成分を多く含む屑と金属成分をあまり含まない屑とに分離するが、どちらの屑にしても、金属以外に臭化エポキシ樹脂およびガラス繊維などの成分が混在するので、回収処理上一定の困難および精製不足が発生する。特に臭化エポキシ樹脂およびガラス繊維の回収後の再利用価値は考慮されていない。
【0005】
直接焼却法:廃棄プリント基板を直接焼却してガラス繊維および金属の混合物を形成し、冷却後必要な金属を取得するもので、その過程においてエネルギーの浪費があるだけでなく、有毒である臭化水素が発生して環境を汚染し、回収物も低レベルの混合金属であり、冶金法による精製が必要であるため、この方法を直接利用する価値は低い。
【0006】
熱分解法:熱分解の過程において大量の有毒である臭化水素(BrH)が発生し、自然環境に重大な影響を与える。金属が分離されて直接回収されるが、ガラス繊維および臭化エポキシ樹脂などは再利用できず環境破壊をもたらすという欠点がある。
【0007】
化学溶解法:溶解過程において、廃棄プリント基板中間層内の金属を完全に溶解することができず、溶解後の臭化エポキシ樹脂内に重金属成分が残留し、それによって環境に悪影響を与えるという問題を有する。
【0008】
溶融無機塩法:廃棄プリント基板を溶融無機塩に投入し、金属およびガラス繊維を回収するが、下記の欠点を有する。
1.処理温度が400℃以上のとき、基板中の錫、鉛および銅は容易に混合されて合金状となり、回収後低価格の混合金属となってしまい、精製する場合、時間および手間が掛かり、コストが増加する。
2.溶融無機塩の比重はプリント基板よりも大きく、基板を溶融無機塩に投入したとき、基板が浮いてしまい、撹拌分離作業の過程において大きな困難を有する。
3.無機塩によって破壊された後、基板は軟化して、撹拌破砕ができなくなる。
4.プリント基板上の各半田箇所は、貫通孔よりも大きく、全ての製作が完了されたプリント基板は半田によって接続され、連結した構造が形成されるが、それによって基板のガラス繊維を緊密に固定するので分離作業が非常に困難であり、分離効果は相対的に極めて劣る。
5.廃棄プリント基板を長時間溶融無機塩内に放置した場合、ガラス繊維が破壊され、混合撹拌および再抽出過程における反応時間の制御を一致させることができないのでガラス繊維の回収が困難となり、同時に破砕後のガラス繊維の再利用性が低下する。
【0009】
上述の従来技術における廃棄プリント基板の各種処理方法は、最善の処理方法ではない。本発明は工程を数段階に分け、基板の特性に基づいて異なる方法およびステップを行って異なる材料を回収することによって、完全な回収を達成し、最良の再利用価値を創造することができるものである。
【特許文献1】台湾専利公告第247281号
【特許文献2】台湾専利公告第363904号
【特許文献3】特開2000−301131号公報
【特許文献4】特開平11−76980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、廃棄プリント基板(PCB)をプリント基板の構造特性に基づいて外部から内部に数段階に分けて基板の異なる材質を回収するものであり、再利用の価値に基づいて回収工程が設計され、回収物が最高の価値を得ることができる廃棄プリント基板の回収方法を提供することにあり、プリント基板産業において最良の回収再利用システムを構築するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、廃棄プリント基板上の全ての半田点を加熱して全ての搭載されたデバイス類を取り除き、搭載されたデバイス類が除去された廃棄プリント基板にし、全ての搭載されたデバイス類を分類して再利用するステップaと、搭載されたデバイス類が除去された廃棄プリント基板を200℃以上に加熱し、表層の半田を溶融状態にして真空吸引装置で直接外層上の錫合金を回収するステップbと、硝酸液にステップb処理後の搭載されたデバイス類が除去された廃棄プリント基板を浸漬し、その内層内の錫合金を溶解し、銅金属と分離させ、硝酸液によって内層内の全ての錫合金を直接回収するステップcと、強酸溶液でステップc処理後の搭載されたデバイス類が除去された廃棄プリント基板を溶解し、すべての半田点上の銅箔および基板の貫通孔上の銅鍍金を強酸溶液中に溶解し、銅箔のない半田点および貫通孔の廃棄プリント基板を形成するステップdと、ステップd処理後の廃棄プリント基板を溶融状態の硝酸ナトリウムに投入して化学反応を行い、溶融硝酸ナトリウムに内部の臭化エポキシ樹脂を熱分解させた後、ガラス繊維と分離させ、臭化ナトリウム、炭化物、ガラス繊維および銅箔混合物、有機気体および窒素酸化物をそれぞれ形成するステップeと、炭化物、ガラス繊維および銅箔の混合物を取り出し、水洗浄によって炭化物、ガラス繊維と純粋な銅箔とに分離し、直接回収して材料として再利用するステップfと、を含むことを特徴とする廃棄プリント基板の回収方法である。
【0012】
請求項2の発明は、ステップbにおける銅箔が溶解した後の強酸溶液は、銅イオンを含む酸性溶液を形成し、直接エッチング液として利用されることを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法である。
【0013】
請求項3の発明は、ステップdにおける強酸溶液は稀硝酸であるか、或いは塩酸または硫酸などが有酸素雰囲気中でスプレーで行われるものであり、同時に塩酸または硫酸中に少量の硝酸が選択的に加えられることを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法である。
【0014】
請求項4の発明は、ステップeは、熱エネルギーによって臭化エポキシ樹脂を熱分解し、同時に硝酸ナトリウムと直接化学変化を発生させて有機気体および窒素酸化物を形成し、臭化物イオンとナトリウムイオンとが直接臭化ナトリウムを形成して溶融硝酸ナトリウム内に残留し、エポキシ樹脂中の炭素はその大部分がガラス繊維上に直接付着し、ガラス繊維と炭化物に転換する処理を行うことを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法である。
【0015】
請求項5の発明は、ステップfの炭化物、ガラス繊維および銅箔の混合物中において、炭化物、ガラス繊維の比重は銅箔よりも軽いので、水洗浄後、炭化物、ガラス繊維は水溶液の上方に浮き、銅箔は下方に沈殿し、炭化物、ガラス繊維および銅箔の回収作業を容易にすることを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法である。
【0016】
請求項6の発明は、硝酸ナトリウムは、硝酸カリウムまたは亜硝酸ナトリウムに代替することを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法である。
【0017】
請求項7の発明は、硝酸液は、塩酸液に代替することを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明はプリント基板の特性を利用して数段階に分けて異なる処理工程を行うことによって基板上に残留する各種の金属を徐々に分離させ、それによって樹脂中の臭化物および重要なガラス繊維を回収でき、各種工業原料に転換して資源の再利用を行うことができ、廃棄プリント基板の回収再利用後において、自然環境の破壊を引き起こすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1、2に示すように、本発明は廃棄プリント基板の回収方法を提供するものであり、下記のステップを含む。
【0020】
a:廃棄プリント基板10上の全ての半田点を加熱して全ての搭載されたデバイス類を取り除いて、デバイス類が除去された廃棄プリント基板にし、除去されたデバイス類を分別する。
b:デバイス類が除去された廃棄プリント基板を200℃以上に加熱し、表層の半田を溶融状態にして真空吸引装置で直接外層上の錫合金(錫化物)を回収する。基板の最外層は錫化合物であり、デバイス類は錫によって半田接合され、錫は200℃以上で溶融し始めるので、基板の温度が200℃以上において、錫合金は溶融状態となり、真空吸引装置で直接大部分の錫合金を回収できる。
c:一般の硝酸液にステップbの処理後のデバイス類が除去された廃棄プリント基板を浸漬し、その内層内の錫合金を溶解して、銅金属と分離させ、硝酸液によって内層内の全ての錫合金を直接回収する。
d:強酸溶液でステップc処理後のデバイス類が除去された廃棄プリント基板を溶解し、すべての半田点上の銅箔および基板の貫通孔上の銅鍍金を強酸溶液中に溶解し、銅箔のない半田点および貫通孔の廃棄プリント基板とする。銅箔を溶解した後の強酸溶液は銅イオンを含む酸性溶液を形成し、直接エッチング液として利用することができ、本来基板内層に存在して回路を形成していた銅片または銅箔は未だ強酸溶液に接触して溶解していないので、ガラス繊維内に存在する。
e:ステップd処理後の廃棄プリント基板を溶融状態の硝酸ナトリウム20溶液に投入して化学反応を行い、溶融硝酸ナトリウム20に内部の臭化エポキシ樹脂を熱分解させた後、ガラス繊維と分離し、臭化ナトリウム11、炭化物、ガラス繊維12および銅箔13混合物、有機気体14および窒素酸化物15がそれぞれ形成される。臭化ナトリウム11は臭化塩類に属し、環境に対して無害であるので、直接廃棄または再利用することができ、有機気体14および窒素酸化物15は完全燃焼後、安定した無毒の気体となり、大気中に放出することができる。
f:炭化物、ガラス繊維12および銅箔13の混合物を取り出し、水洗浄によって炭化物、ガラス繊維12と純粋な銅箔13とに分離することができ、直接回収して材料として再利用することができる。
【0021】
ステップdにおける強酸溶液は、稀硝酸、或いは塩酸または硫酸などが有酸素雰囲気中でスプレーし、同時に塩酸または硫酸中に少量の硝酸を加えても良い。
【0022】
ステップeは、2に示すように、溶融硝酸ナトリウム20を利用して直接臭化エポキシ樹脂を破壊し、ナトリウムイオンと臭化物イオンとを迅速に結合させて安定した臭化ナトリウム11を形成し、臭化物が排出され空気および環境が汚染されるのを防止することができる。エポキシ樹脂は熱分解後、有機気体14およびガラス繊維に付着した黒色炭素を形成する。硝酸ナトリウム20はナトリウム元素を失って硝酸イオンとなり、有機気体14および硝酸イオンは加酸素燃焼によって破壊され、安定した気体が形成され、水洗浄装置によって有毒物質を容易に洗浄することができ、臭化物が回収される以外に、ガラス繊維と炭化物形成機能が加わり、ガラス繊維が応用されるときには炭化を強化し、大きな面積を形成する必要があるので、再利用に都合がよくなる。
【0023】
ステップfの炭化物、ガラス繊維12および銅箔13の混合物中において、炭化物、ガラス繊維12の比重は銅箔13よりも軽いので、水洗浄後、炭化物、ガラス繊維12は水溶液の上方に浮き、銅箔13は下方に沈殿し、炭化物、ガラス繊維12および銅箔13の回収作業を更に容易にする。
【0024】
上述の各ステップによって廃棄プリント基板10から半田、銅、臭化エポキシ樹脂およびガラス繊維などの材料成分を容易に分離できるので、分離過程において汚染防止に関わる問題および製品の再利用価値に関わる問題を抑制できる。本発明は従来技術と比較して下記の長所を有する。
【0025】
1.本発明は処理過程において、機械的な破砕工程を経ずに処理するので、破砕工程による処理コストの上昇はなく、極めて経済的である。
2.本発明の各処理工程は、それぞれ材料別の回収効果を備えるので、回収を容易に行うことができ、回収処理設備に掛かる投資を大幅に低下させることができ、操作方法も極めて容易である。
3.本発明の処理回収過程全体において、二次汚染を防止することができる。その理由を下記に示す。
(1)錫の溶解作業は、市販の硝酸液または塩酸液を使用するので、処理工程のレベルを高める効果を有する。
(2)銅の溶解作業は、強酸液によって行われ、その液体は従来技術におけるプリント基板の製造工程で使用されるエッチング液と同一であり、直接エッチング液として使用できる。
(3)強酸化剤によって臭化エポキシ樹脂を破壊し、ナトリウムイオンと臭化物イオンとを迅速に結合させて安定した臭化塩類を形成するので二次汚染を有効的に防止できる。
(4)回収された炭化物、ガラス繊維は完全であり、且つ面積が大きいので再利用性が高く、容易に加工することができ、また、内部に付着した炭素がガラス繊維を直接強化する機能を有し、繊維に炭素を加える熱を節約できるだけでなく、再利用材料を直接投入できる。
(5)ガラス繊維の回収は、簡単な水洗浄で完了される。
(6)銅箔の回収も水洗浄によって完了する。
(7)臭化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの性質は大きく異なり、硝酸ナトリウムの融点は300℃であるが、臭化ナトリウムの融点の757.7℃よりも低く、硝酸ナトリウムの比重は2.261であり、臭化ナトリウムの比重3.203よりも小さいので容易に分離を行うことができる。
(8)多種の回収物はすべて良好な回収価値を有し、回収工程におけるロスはない。
【0026】
本発明の廃棄プリント基板の回収方法において、廃棄プリント基板10と溶融硝酸ナトリウム20との熱分解を行う装置は、炉体30および加熱装置40を備える。炉体30上には入口31、臭化ナトリウム取り出しバルブ32、掻き出し装置33および出口34が設けられる。
【0027】
入口31は、外ゲートおよび内ゲートの二重ゲートの構造が採用され、主に臭化エポキシ樹脂およびガラス繊維を含む廃棄プリント基板10および硝酸ナトリウム20が先ず入口31の外ゲート内に投入され、次に内ゲートが開けられ、廃棄プリント基板10および硝酸ナトリウム20が炉体30に導入された後、内ゲートおよび外ゲートによる保護によって内部の気体が外部に漏れるのを防止し、作業の安全性が確保される。
【0028】
臭化ナトリウム取り出しバルブ32は、熱分解の化学反応後、炉内の硝酸ナトリウムおよび臭化ナトリウムの混合液を炉体30外部に放出する。比重差によって臭化ナトリウムの大部分は炉体30の下方に位置する。
【0029】
掻き出し装置33は、熱分解の化学反応後、炭化物、ガラス繊維12および銅箔15を出口34部分まで掻き出しし、出口34から炉体30外部に送り出して洗浄を行い、それによって炭化物、ガラス繊維および純粋な銅箔が取得される。
【0030】
加熱装置40は、硝酸ナトリウム20を350℃〜500℃の間に加熱し、硝酸ナトリウム20を溶融状態にする。
【0031】
上述の装置によって、廃棄プリント基板10と溶融硝酸ナトリウム20とを炉体30内で熱分解および化学反応させることができ、臭化ナトリウム11、炭化物、ガラス繊維12、有機気体14、窒素酸化物15および銅箔13がそれぞれ取得される。臭化ナトリウム11および炭化物、ガラス繊維12および銅箔13は掻き出し装置33によって炉体30外部に掻き出しされ、水洗浄によってガラス繊維12および銅箔13上の臭化ナトリウム11および硝酸ナトリウム20が除去され、炭化物、ガラス繊維12および銅箔13が取得され、工業原料として再利用することができる。
【0032】
有機気体14および窒素酸化物15は、気体完全燃焼装置50によって完全に燃焼され、その後、水洗浄して環境に無害な安定気体141に転化される。図3に示すように、循環反応装置51、加酸素助燃反応装置52、空気反応緩衝停留装置53、二次加熱燃焼装置54、ブロワ55、空気熱交換装置56、炉体冷却装置57、空気洗浄冷却装置58および圧力平衡装置59を備える。
【0033】
循環反応装置51は、炉体30内に設置され、モータの回転速度調整して廃棄プリント基板10および溶融硝酸ナトリウム20の反応時間を制御し、ガラス繊維の品質を保持する。
【0034】
加酸素助燃反応装置52は、炉体30内の上述の循環反応装置51の上方に設置され、圧縮酸素を供給することによって有機気体14を完全に燃焼する。
【0035】
空気反応緩衝停留装置53は、炉体30内の上述の加酸素助燃反応装置52の上方に設置され、炉体30内の気体を安定させ、熱空気中の酸素との結合を迅速に行う。
【0036】
二次加熱燃焼装置54は、炉体30上の上述の空気反応緩衝停留装置53上方に設置され、炉体30内の反応温度を高めるのに使用され、有機気体14の二次燃焼を行うときの完全燃焼を確保し、同時に空気洗浄冷却装置58を利用して燃焼後生成される気体を安定気体141にする。
【0037】
ブロワ55は、炉体30上に設置され、外界の空気を大量に炉体30内に送り込み、有機気体14の窒素酸化物15を完全に燃焼し、気体の不完全燃焼を防止する。
【0038】
空気熱交換装置56は、炉体30上の上述の二次加熱燃焼装置54の上方に設置され、炉体温度によって炉体30内に進入した冷たい空気を加熱して活性化させた後、炉体30内で燃焼中の酸素活性を強化し、燃料の無駄遣いを低減し、反応速度を加速させる。
【0039】
炉体冷却装置57は、炉体30上に設置され、熱交換によって冷却水と炉体温度との熱交換を行うことによって炉体30の温度を低下させる。
【0040】
空気洗浄冷却装置58は、燃焼後の気体の粉塵除去および吸着作用を行った後、外界に放出し、二次汚染を防止する。
【0041】
圧力平衡装置59は、圧力によって炉体30内の負荷圧力値を測定し、圧力制御装置の制御コンバータによってブロワ出力を直接制御し、炉体30内の圧力を平衡に保つと同時に有機気体14に単一方向の処理を行わせる。
【0042】
上述の実施例から分かるように、気体完全燃焼装置50によって確実に熱分解後の有機気体14および窒素酸化物15を無毒の安定気体141にすることができ、全ての処理過程において環境に有害な物質の排出は全くなく、環境保護の各規定に完全に符合する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の処理工程を示すフロー図である。
【図2】本発明において、廃棄プリント基板を溶融状態の硝酸ナトリウム中に投 入して化学反応を行うときの状態を示す流れ図である。
【図3】本発明において組み合わせて使用される回収装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
10 廃棄プリント基板
11 臭化ナトリウム
12 炭化物+ガラス繊維
13 銅箔
14 有機気体
15 窒素酸化物
20 硝酸ナトリウム
30 炉体
31 入口
32 臭化ナトリウム取り出しバルブ
33 掻き出し装置
34 出口
40 加熱装置
50 気体完全燃焼装置
51 循環反応装置
52 加酸素助燃反応装置
53 空気反応緩衝停留装置
54 二次加熱燃焼装置
55 ブロワ
56 空気熱交換装置
57 炉体冷却装置
58 空気洗浄冷却装置
59 圧力平衡装置
141安定気体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄プリント基板上の全ての半田点を加熱して全ての搭載されたデバイス類を除去して、デバイス類が除去された廃棄プリント基板とし、分離したデバイス類を分別するステップaと、
前記デバイス類が除去された廃棄プリント基板を200℃以上に加熱し、表層の半田を溶融状態として真空吸引装置で直接外層上の錫合金を回収するステップbと、
硝酸液にステップb処理後の前記デバイス類が除去された廃棄プリント基板を浸漬し、その内層内の錫合金を溶解して、銅金属と分離させ、硝酸液によって内層内の全ての錫合金を直接回収するステップcと、
強酸溶液にステップc処理後の前記デバイス類が除去された廃棄プリント基板を浸漬し、すべての半田点上の銅箔および基板の貫通孔上の銅鍍金を前記強酸溶液中に溶解し、銅箔のない半田点および貫通孔の廃棄プリント基板を形成するステップdと、
ステップd処理後の前記廃棄プリント基板を溶融状態の硝酸ナトリウム融液に投入して化学反応を行い、溶融硝酸ナトリウムに内部の臭化エポキシ樹脂を熱分解させた後、ガラス繊維と分離させ、臭化ナトリウム、炭化物、ガラス繊維および銅箔混合物、有機気体および窒素酸化物をそれぞれ形成するステップeと、
前記炭化物、ガラス繊維および銅箔の混合物を取り出し、水洗浄によって炭化物、ガラス繊維と純粋な銅箔とに分離し、回収するステップfと、
を含むことを特徴とする廃棄プリント基板の回収方法。
【請求項2】
前記ステップdにおける銅箔が溶解した後の強酸溶液は、銅イオンを含む酸性溶液を形成し、直接エッチング液として利用されることを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法。
【請求項3】
前記ステップdにおける強酸溶液は稀硝酸であるか、或いは塩酸または硫酸を酸素を含む雰囲気中でスプレーすると同時に前記塩酸または硫酸中に少量の硝酸が選択的に加えられることを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法。
【請求項4】
前記ステップeは、熱エネルギーによって臭化エポキシ樹脂を熱分解し、同時に硝酸ナトリウムと直接化学変化を発生させて有機気体および窒素酸化物を形成し、臭化物イオンとナトリウムイオンとが直接臭化ナトリウムを形成して溶融硝酸ナトリウム内に残留し、エポキシ樹脂中の炭素はその大部分がガラス繊維上に直接付着し、ガラス繊維と炭化物に転換する処理を行うことを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法。
【請求項5】
前記ステップfの炭化物とガラス繊維および銅箔の混合物中において、炭化物、ガラス繊維の比重は銅箔よりも軽いので、水洗浄後、炭化物、ガラス繊維は水溶液の上方に浮き、銅箔は下方に沈殿し、炭化物、ガラス繊維および銅箔の回収作業を容易にしたことを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法。
【請求項6】
前記硝酸ナトリウムは、硝酸カリウムまたは亜硝酸ナトリウムに代替することを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法。
【請求項7】
前記硝酸液は、塩酸液に代替することを特徴とする請求項1記載の廃棄プリント基板の回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−190551(P2007−190551A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9172(P2007−9172)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507019019)
【Fターム(参考)】