説明

廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法及び装置

【課題】 製品に未成型の炭化物が混入しないようにし、製造段階や製品搬送ラインにおいて炭化物が飛散しないようにする。
【解決手段】 廃棄物1を熱分解炉2で熱分解する。得られた炭化物3を粉砕機4で粉砕した後、調湿器5にて含水率10〜40%となるように調湿する。調湿された炭化物3aと廃プラスチック7と古紙8を破砕機9にて破砕すると同時に混合し、破砕されて粒径が細かくされ且つ調湿された炭化物3aの付着性と分散性を利用して均質な破砕片混合物10とする。調湿された炭化物3aを含んだ状態の破砕片混合物10を圧縮成型した後、形成される圧縮成型品11aを養生保管ゾーン18にて冷却乾燥させて廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ等の廃棄物の熱分解処理により生じる炭化物とプラスチックを主原料として固形燃料化する、廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、可燃性の廃棄物を処理する方法のうち、廃棄物を焼却炉で燃焼するようにした燃焼方式に代るものとして、廃棄物を加工することにより資源として再生させて利用することが提案されており、かかる廃棄物の資源化の一つとしては、上記廃棄物中の可燃成分を燃料(熱源)として再利用する、所謂、サーマルリサイクルを図るものがある。
【0003】
この種の廃棄物中の可燃成分を燃料として再利用するために提案されている手法の一つとしては、都市ごみ等の廃棄物(一般廃棄物)を原料として破砕、選別、圧縮成型等の工程を経てごみ固形化燃料(Refuse Derived Fuel:以下、RDFという)を製造し、該R
DFを必要に応じて貯留、搬送して、発電用やその他各種の燃焼炉(焼却炉)にて燃料として利用するものがある。しかし、上記RDFは、原料としているものが一般廃棄物であることから、組成のばらつきが大きく、そのため、燃焼時の発熱量が不安定になるおそれがあって、品質を安定化させることが難しいと云われていた。又、原料とする一般廃棄物に厨芥類等が含まれているときには腐敗の問題が懸念されるため、石灰等を別途添加してpHを調整する必要があった。更に、原料に塩化ビニル等の塩素含有プラスチックが含まれている場合は燃焼時に塩化水素ガスやダイオキシン類が発生する虞があるため、その対策が必要とされること等の問題が懸念されていた。しかも、燃焼時の発熱量が比較的低いことから、燃料としての利用価値はあまり高くないというのが実状である。
【0004】
そのため、廃棄物中の可燃成分を利用してより発熱量の高い燃料化を図るための手法として、上記都市ごみ等の一般廃棄物に比して排出源がより明らかな産業廃棄物としての紙(古紙)とプラスチック(廃プラスチック)や、一般廃棄物中から選別された古紙と廃プラスチックを原料として高発熱量の固形燃料(RPF:Refuse Paper&Plastic Fuel)を製造するようにしたものが近年着目されてきている。
【0005】
上記RPFは、たとえば、再生困難な古紙と、塩化ビニル等の塩素含有プラスチックを除去した廃プラスチックとをそれぞれ破砕した後、混合し、該古紙破砕片と廃プラスチック破砕片の混合物を、所要形状に押出成型(圧縮成型)させることによって製造するようにしてある。これにより、上記RPFは、古紙と廃プラスチックという品質の比較的安定した原料を使用することに起因して、燃料としての品質の安定化を図ることができると共に腐敗の虞を解消でき、又、プラスチックを含んでいるため化石燃料の代替燃料として使用可能な程度まで熱量を高めることができて、燃料としての利用価値を高めることができるものとなる。更には、古紙と廃プラスチックとの混合割合を変化させることによって発熱量を調整することも可能とされている。
【0006】
更に、上記RPFと同様の古紙と廃プラスチックに加えて、より広範な可燃性の廃棄物を原料として固形燃料化を図る手法として、以下のような手法も提案されてきている。すなわち、図3及び図4に示す如く、主に家庭から排出されるごみに代表されるような可燃ごみ(廃棄物)aを、先ず、炭化工程ST1にて、図示しない炭化装置(熱分解炉)に装入して、蒸し焼きにすることにより炭化させてごみ炭(炭化物)bとする。次に、混合工程ST2にて、上記ごみ炭bと廃プラスチックcと古紙dとを所定の重量比で混合した後、該混合物を、破砕工程ST3にて所要の大きさに破砕する。次いで、得られる破砕物を、圧縮工程ST4にて、圧縮に伴って発生する摩擦熱等により含まれている廃プラスチックcが軟化するまで圧縮すると共に、該圧縮された圧縮物を、整粒工程ST5にて所要形状に整粒(成型)して固形燃料化するものである。
【0007】
具体的には、上記圧縮工程ST4及び整粒工程ST5は、図4に示す如き一つの圧縮・整粒装置eにて行うようにしてある。すなわち、図4に示す圧縮・整粒装置eは、ケーシングf内に、周壁面に多数のダイ孔hを有してなる回転ドラム状のダイ(リングダイ)gと、上記ダイgに内接して該ダイgを支えると共に回転させるローラi,jと、上記ダイgの外周面に沿って配置したカッタkと、上記ダイgの内側へ上記破砕工程ST3にて破砕処理された破砕物lを投入する投入ダクトmとからなる構成としてある。これにより、上記投入ダクトmを通してダイgの内側に投入された破砕物lが、ローラi,jで強く押されることによりダイ孔hへ押し込まれて、この際生じる摩擦熱による発熱により上記破砕物l中に含まれている廃プラスチックcの破砕片を軟化させて、ごみ炭bや古紙dの破砕片と融合させて一体化させるようにすると同時に、このダイ孔hへの押し込みに伴って、既にダイ孔hに入っていた破砕物lが、該ダイ孔hよりダイgの外周側へはみ出すように押し出されるようにし、このはみ出た部分の破砕物lがカッタkにより切断されることによって、一定の径で且つ一定の長さ寸法に製粒された固形燃料(廃棄物の炭化物と紙・プラスチックの混合燃料:C−RPF)nが製造されるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
ところで、本出願人は、以前、都市ごみ等の廃棄物を熱分解処理した後のチャー(炭化物)から固形燃料(RDF)を製造できるようにするために、熱分解炉へ給じん機より廃棄物を供給し、該廃棄物を熱分解炉内にて不活性雰囲気下で外熱により間接的に加熱、乾燥させて熱分解させ、しかる後、上記熱分解炉の出口部となる分離室より熱分解残渣としてのチャーを取り出し、その後、大型不燃物と金属類とを取り除いた後のチャーに対し、水分を10〜30%添加して混練した後、圧縮成型することにより所要形状の圧縮成型品を造り、次に、該圧縮成型品を強制通風冷却させて硬化させて固形燃料(RDF)を得るようにする手法を提案している(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2001−240882号公報
【特許文献2】特開2001−271080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献1に記載されているものは、可燃ごみ(廃棄物)aの炭化により生じるごみ炭(炭化物)bを、比重の軽いフレーク状や粉状となっている状態で、固形燃料nの製造を行うために搬送して、固形燃料nを製造するようにしてある。
【0011】
又、特許文献2に記載されたものは、廃棄物を熱分解処理した後のチャー(炭化物)のみを原料として湿式で固形燃料化する手法であるが、チャーを他の材料と共に固形燃料化する考えは全く示されておらず、示唆すらされるものではない。
【0012】
そこで、本発明は、特許文献1に記載されているものを更に押し進めて、廃棄物の炭化物と廃プラスチックを主原料として製造される製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造過程で廃棄物の炭化物の搬送をより容易にすると共に、プラスチックとの混合をより良好に行わせて、製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の個々の粒子の均質性をより高めることができて、燃料としての燃焼性の改善もより期待できる廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、廃棄物を熱分解炉にて熱分解して得られる炭化物を粉砕した後、所要の含水率となるように調湿し、該調湿された炭化物を、プラスチックと一緒に破砕処理して混合するか、又は、破砕処理したプラスチックに混合するようにし、次いで、得られる炭化物とプラスチックの混合物を、所要形状に圧縮成型し養生して廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料を製造する廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法、及び、廃棄物を熱分解ガスと炭化物に熱分解する熱分解炉より炭化物を取り出す炭化物ラインの下流側に、上記廃棄物の炭化物を粉砕するための粉砕機と、該粉砕機にて粉砕された炭化物を調湿するための調湿器を設けると共に、プラスチックの供給部より供給されるプラスチックを破砕する破砕機を設けて、該破砕機の上流側又は下流側に、上記調湿器より得られる調湿された炭化物を供給してプラスチックと混合できるようにし、更に、上記炭化物とプラスチックの混合物を圧縮成型する成型機を備えてなる構成を有する廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造装置とする。
【0014】
又、上記において、調湿された炭化物の含水率を10〜40%とする方法、及び、調湿器を、粉砕機にて粉砕された炭化物に10〜40%量の水を含ませるものとした装置構成とする。
【0015】
更に、上記各構成において、プラスチックを調湿された炭化物と一緒に、又は、単独で破砕処理するときに、所要量の紙を加えるようにする方法、及び、破砕機の上流側に、紙の供給部を設けるようにした装置構成とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)廃棄物を熱分解炉にて熱分解して得られる炭化物を粉砕した後、所要の含水率となるように調湿し、該調湿された炭化物を、プラスチックと一緒に破砕処理して混合するか、又は、破砕処理したプラスチックに混合するようにし、次いで、得られる炭化物とプラスチックの混合物を、所要形状に圧縮成型し養生して廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料を製造する廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法及び装置としてあるので、廃棄物の炭化物を、粉砕し、調湿して粒径を細かくすると共に付着性を生じた状態でプラスチックと混合できるため、副資材としてリグニンのようなバインダを別途必要とすることなく、廃棄物の炭化物とプラスチックを任意の割合で混合してなる廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料を製造することができる。又、製造される廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の性状を、全体に緻密で且つ混合均質化の図られたものとすることができて、製品としての個々の固形燃料粒子の均質性をより高めることができる。これにより、燃料としての燃焼性をより改善して、燃焼させる際に燃焼状態にむらの生じない良質の固形燃料とすることが可能となる。
(2)上記炭化物は水分を含んだ状態とするため、製造段階や製品搬送ラインにおいて上記炭化物が飛散しないようにすること、未成型の炭化物が製品に残る割合を低減させて、歩留まりをより向上させること、上記圧縮成型される時点で炭化物を水分を含んだ状態とさせて、圧縮成型時に摩擦熱等により温度が上昇しても、発火する虞がないようにすると共に、局部的に温度が上昇して圧縮成型後の圧縮成型品中に火種が残る現象を回避して、製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料が発火する虞をより確実に解消させること等ができる。更に、上記調湿された炭化物の有している水分は、圧縮成型時の圧縮熱により加熱される圧縮成型品が冷める段階でほとんど蒸発するため、別途、乾燥装置等を必要とすることなく、乾燥した製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料を製造することができる。
(3)更に、従来の廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙を原料として混合燃料(C−RPF)を製造する設備における破砕機の上流側又は下流側に、廃棄物の炭化物を粉砕した後、調湿してなる調湿された炭化物を供給できるようにすれば、従来の廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙を原料として混合燃料を製造する設備に、容易に本発明を適用することが可能となる。
(4)調湿された炭化物の含水率を10〜40%とすることにより、炭化物の飛散をより確実に防止できると共に、成型機における圧縮成型をより良好に行わせることができる。
(5)プラスチックを調湿された炭化物と一緒に、又は、単独で破砕処理するときに、所要量の紙を加えるようにすることにより、圧縮機における圧縮成型する際の全体の水分量を調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法及び装置の実施の一形態を示すもので、都市ごみの如き廃棄物1を熱分解炉2で熱分解させて熱分解残渣としての炭化物3を生成し、該炭化物3を粉砕機4で粉砕した後、調湿器5にて所要量の水6を添加して所定の含水率、たとえば、10〜40%、好ましくは、20〜30%の含水率となるように調湿し、該調湿された炭化物3aと、廃プラスチック7とを、必要に応じて古紙8を加えた状態で破砕機9へ供給して、該破砕機9にて上記各原料を一緒に破砕すると同時に混合して破砕片混合物10とし、次いで、該破砕片混合物10を圧縮成型した後、養生保管して、廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料(C−RPF)11を製造するようにする。
【0019】
詳述すると、廃棄物1を外熱により間接的に加熱して熱分解ガスと熱分解残渣としての炭化物3に熱分解させて、上記炭化物3を上記熱分解ガスと分離して取り出すことができるようにしてある熱分解炉2を設け、該熱分解炉2の入口側に、都市ごみ等の廃棄物(一般廃棄物)1と塩化ビニル等の塩素含有プラスチック12とを一緒に、あるいは、個別に供給するための図示しない供給部を取り付ける。上記熱分解炉2より炭化物3を取り出す炭化物取出ライン13の下流側には、炭化物3の貯留と供給を行なうことができるようにしてある炭化物貯留・供給部14を設ける。
【0020】
上記炭化物貯留・供給部14の下流側には、粉砕機4と調湿器5とを順に設ける。これにより、上記熱分解炉2より取り出された状態のままでは比重の軽いフレーク状や粉状等の様々な形状を有していて、単に水を添加しただけでは容易に混合できない炭化物3を、上記炭化物貯留・供給部14より上記粉砕機4へ供給し粉砕処理することによって均質な粉状にしてから上記調湿器5へ送るようにしてあり、その後、上記調湿器5では、上記均質な粉状とされている炭化物3に対して10〜40%量の水6を添加することにより、含水率10〜40%の調湿された炭化物3aを生成できるようにしてある。ここで、含水率を10〜40%としたのは、含水率が10%未満の場合は炭化物3がぱさぱさして飛散防止等の調湿の効果が少なく、プラスチックや紙に対する付着性を高める効果があまり期待できず、一方、含水率が40%を越える場合は、炭化物3がべとべとして付着性が過剰となり、下流側の機器に付着して安定した運転が困難になると共に、後述する圧縮成型機17内で水分を蒸発させることが難しくなるためである。
【0021】
上記調湿器5の下流側には、破砕機9を設け、且つ該破砕機9の上流側(入口側)には、原料として、排出源が明らかな産業廃棄物としての廃プラスチックや予め選別された一般廃棄物中の廃プラスチックの如き塩素含有プラスチックを含まない廃プラスチック(以下、単に廃プラスチックという)7を供給するための廃プラスチック供給部15と、後述する再調湿用の原料として、排出源が明らかな産業廃棄物としての再生困難な古紙や予め一般廃棄物中より選別された古紙8を供給するための古紙供給部16とを取り付けるようにする。これにより、廃プラスチック供給部15より供給される廃プラスチック7と、上記調湿器5より送られる含水率10〜40%に調湿された炭化物3aとを、任意の割合、たとえば、1:1の割合となるようにして上記破砕機9に投入し、更に、必要に応じて上記古紙供給部16より所要量の古紙8を投入した後、これらの原料を一緒に破砕処理し、この破砕処理に伴って上記廃プラスチック7と調湿された炭化物3aと古紙8の破砕片同士を混合(混練)できるようにしてある。
【0022】
更に、上記破砕機9の下流位置には、成型機として、たとえば、図4に示したリングダイgを具備してなる圧縮・整粒装置eと同様の圧縮成型を行う圧縮(押出)成型機17を設けて、上記破砕機9にて上記廃プラスチック7と調湿された炭化物3aと古紙8が破砕されると同時に混合されて生じる破砕片混合物10を、圧縮しながら図示しないダイを通して所要形状に押し出して成型させるようにする。そのために、上記圧縮成型機17は、発生する摩擦熱により破砕片混合物10が発熱させられて、該破砕片混合物10中の廃プラスチック7の破砕片が軟化させられるようにして、この軟化した廃プラスチック7の破砕片を、破砕片混合物10中に含まれる調湿された炭化物3aや古紙8の破砕片と融合させるようにして、一体に成型された圧縮成型品11aを得ることができるようにしてある。
【0023】
上記圧縮成型機17の下流側には、養生保管ゾーン18を設けて、上記圧縮成型機17において上記破砕片混合物10の圧縮成型時に発生する摩擦熱で発熱されている上記圧縮成型品11aを、該成型品11a自体の熱により自然乾燥及び硬化させて、製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11を得ることができるようにしてある。
【0024】
上記構成としてある本発明の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造装置を用いて廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11を製造する場合は、先ず、廃棄物1と塩素含有プラスチック12が熱分解炉2へ供給されて熱分解され、この熱分解により発生する炭化物3が、炭化物貯留・供給部14へ一旦貯留されるようにする。
【0025】
次に、上記炭化物貯留・供給部14より供給される炭化物3を粉砕機4により粉砕してから、調湿器5にて含水率10〜40%となるように調湿し、この調湿された炭化物3aと、廃プラスチック供給部15より供給される廃プラスチック7とを、所要の混合比となるようにして破砕機9に供給する。更に、該破砕機9にて破砕、混合される全体量に対して上記調湿された炭化物3aに由来する水分量が多く、次の工程の圧縮成型機17による圧縮成型時に十分な圧縮による摩擦熱を発生させることが困難になる場合には、破砕、混合される全体量に対する水分量の割合を低減させるために、古紙供給部16から水分調整を目的とする再調湿用の原料としての古紙8を所要量加えるようにした後、破砕処理すると共に、混合する。
【0026】
これにより、上記調湿された炭化物3aと廃プラスチック7と古紙8は、それぞれ所要サイズに破砕されると同時に、破砕片同士が混合させられて破砕片混合物10とされる。この際、上記調湿された炭化物3aは、調湿状態とされていることに起因して付着性を有しているため、上記廃プラスチック7及び古紙8に付着することで、バインダを要することなく破砕片同士をまとめることができる。しかも、上記調湿された炭化物3aは、予め粉砕されて粒径が細かくされているため、良好に分散させることができる。このため、上記調湿された炭化物3aと廃プラスチック7と古紙8の各破砕片同士に比重差やサイズの差が生じていても、この比重差やサイズの差によって上記各原料の破砕片の分布に偏りが生じる虞を防止できるようになることから、生成される上記破砕片混合物10は、全体に混合均質化の図られたものとすることができる。
【0027】
したがって、その後、圧縮成型機17にて、上記破砕機9より得られる破砕片混合物10を圧縮成型して圧縮成型品11aを形成すると、得られる圧縮成型品11aは、上記破砕片混合物10と同様に、調湿された炭化物3aと廃プラスチック7と古紙8の破砕片が全体に亘り均等に分散された均質な状態のものとなる。更に、上記調湿された炭化物3aは、予め粉砕されて粒径が細かくされているため、廃プラスチック7との融合性を高めることができて、安定した性状の圧縮成型品11aを形成できる。又、炭化物3は、調湿された炭化物3a、すなわち、調湿され且つ付着性を生じた状態で圧縮成型が行われるようにしてあるため、圧縮成型後の圧縮成型品11aに未成型の炭化物3が混入する虞を解消でき、更に、圧縮成型時に発生する摩擦熱により発熱が生じても、炭化物3が発火したり、形成される圧縮成型品11aに火種が残る虞を解消できる。
【0028】
しかる後、上記圧縮成型品11aを、養生保管ゾーン18にて、上記圧縮成型時に作用する熱により昇温している圧縮成型品11a自体の熱を利用して乾燥、硬化させるようにする。これにより、乾燥した製品、すなわち、上記圧縮成型品11aの形状に対応した所要形状の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11が製造されるようになる。
【0029】
このように、本発明の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法及び装置とすれば、副資材としてリグニンのようなバインダを別途必要とすることなく、廃棄物1や塩素含有プラスチック12の炭化物3と、廃プラスチック7を主原料とし、古紙8を適宜所要の割合で混合してなる廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11を製造することができる。したがって、特許文献1に記載された固形燃料nの原料として用いていた古紙dの代替として、上記炭化物3を任意の割合で廃プラスチック7と混合して、C−RPFとしてのより安定した性状の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11を製造できる。
【0030】
又、原料として使用する炭化物3は、粉砕して粒径を細かくすると共に調湿して付着性を生じた状態で廃プラスチック7や古紙8と混合しているため、上記製造される廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11の性状を、全体に緻密で且つ混合均質化の図られたものとすることができて、製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の個々の粒子の均質性をより高めることができ、燃料としての燃焼性をより改善して、燃焼させる際に燃焼状態にむらの生じない良質の固形燃料とすることが可能となる。
【0031】
更に、上記炭化物3を破砕機9へ投入するときには、10〜40%の水分を含んだ状態とするようにしてあるため、上記破砕機9における破砕、混合処理の際に、上記炭化物3が周囲に飛散する虞を解消できる。同様に、破砕片混合物10を圧縮成型機17にて圧縮成型する際にも、炭化物3は調湿された状態となっており、炭化物が周囲に飛散する虞はない。よって、製造段階や製品搬送ラインにおいて上記炭化物3が飛散しないようにすることができる。
【0032】
したがって、未成型の炭化物3が製品に残る割合を低減させて、歩留まりをより向上させることができる。更には、上記圧縮成型される時点で炭化物3は水分を含んでいるため、圧縮成型時に摩擦熱等により温度が上昇しても、発火する虞はなく、又、局部的に温度が上昇して圧縮成型品11a中に火種が残る現象を回避でき、養生中に製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11が発火するような虞を確実に解消できる。
【0033】
上記調湿された炭化物3aの有している水分は、圧縮成型時の圧縮熱により加熱される圧縮成型品11aが冷める段階でほとんど蒸発するため、別途、乾燥装置等を必要とすることなく、乾燥した製品としての廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料11を製造することができる。
【0034】
更に、従来、廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙を原料として混合燃料(C−RPF)を製造する設備も、廃プラスチック供給部より供給される廃プラスチックと、古紙供給部より供給される古紙とを投入して、破砕すると同時に混合するための破砕機、及び、該破砕機にて得られる廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙の破砕片混合物を圧縮成型する圧縮成型機を備えていることから、上記破砕機の上流側に、廃棄物1の炭化物3を粉砕するための粉砕機4と調湿器5とを設けて、該調湿器5にて調湿された炭化物3aを上記破砕機に供給できるような構成とすれば、従来の廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙を原料として混合燃料(C−RPF)を製造する設備に、容易に本発明を適用することが可能となる。
【0035】
なお、上述したように、上記古紙8は、破砕片混合物10を圧縮成型する際、該破砕片混合物10全体での水分量を調整するために加える再調湿用の原料であるため、調湿された炭化物3aと廃プラスチック7のみを破砕機9にて破砕、混合することにより形成される破砕片混合物10の水分量が、圧縮成型機17による圧縮成型に適した水分量となっていて、圧縮成型時に廃プラスチック7の破砕片を軟化させる温度まで圧縮成型機の温度を十分に高めることが可能な場合には、上記古紙8は加えなくてもよい。
【0036】
又、上記実施の形態においては、リングダイを具備してなる形式の圧縮成型機17により圧縮成型を行うものとして説明したが、破砕片混合物10に、圧縮して所要のダイより押し出しながら成型を行わせるようにして、成型時に発生する摩擦熱等により破砕片混合物10を廃プラスチック7の破砕片を軟化させて炭化物3や古紙8の破砕片と融合させて一体化できるような温度まで昇温できれば、圧縮成型を行うために一般的に用いられている様々な形式の成型機を採用してもよい。この場合、採用する成型機の形式等により、破砕片混合物10を圧縮して成型する際に作用させることができる温度が異なるため、この圧縮成型時に作用させることができる温度の高低に応じて、調湿器5にて炭化物3に含ませる水の量を増減させて、調湿された炭化物3aの含水率を10〜40%の範囲で適宜調整するようにすればよい。
【0037】
次に、図2は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1に示したと同様の構成において、廃棄物1の炭化物3を粉砕機4にて粉砕した後、調湿器5にて水6を添加して得られる調湿された炭化物3aを、廃プラスチック7と古紙8を破砕するための破砕機9へ投入するようにした構成に代えて、上記調湿器5から供給される調湿された炭化物3aを、上記破砕機9より得られる廃プラスチック7と古紙8の破砕片混合物10aに対して混合するようにしたものである。
【0038】
なお、上記炭化物3の調湿の方法としては、スプレー等で水を添加することが一般的だが、塩素分を除去するために洗浄するような工程が追加された場合は、脱水器や乾燥機を使用して所要の含水率となるように減湿することも有り得る。更に、成形性をより強化するために、従来と同様にリグニン等の添加物を加えて成形する方法も当然採用可能である。
【0039】
その他の構成は図1に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0040】
本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
又、本実施の形態においても、従来の廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙を原料として混合燃料(C−RPF)を製造する設備における破砕機の下流側に、上記調湿器5より得られる調湿された炭化物3aを供給できるような構成とすれば、従来の廃棄物の炭化物と廃プラスチックと古紙を原料として混合燃料(C−RPF)を製造する設備に、容易に適用することができる。
【0042】
更に、本実施の形態においても、上記実施の形態と同様に、上記古紙8は、破砕片混合物10aを圧縮成型する際、該破砕片混合物10a全体の水分量を考慮して加えるか否かを決定するようにしてよい。又、上記古紙8の代りに、あるいは、古紙8と共に乾燥した草、木等の繊維を含んだバイオマスを使用することも可能である。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、たとえば、養生保管ゾーン18にて、他に余剰の空気供給源がある場合には、送風等を行って、圧縮成型品11aをより積極的に冷却、乾燥させるようにしてもよい。熱分解炉2は廃棄物1や塩素含有プラスチック12を熱分解処理して発生する炭化物3を、熱分解ガスと分離して回収できれば、いかなる形式の熱分解炉2を用いてもよい。熱分解炉2にて熱分解して炭化物3を発生させるための原料としては、塩素含有プラスチック12を用いずに、廃棄物1のみを用いるようにしてもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料製造方法及び装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の他の形態を示す概要図である。
【図3】従来提案されている一般廃棄物と廃プラスチックと古紙を原料として固形燃料を製造する方法を示す概要図である。
【図4】図3における圧縮・整粒装置の概略を示す切断側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 廃棄物
2 熱分解炉
3 炭化物
3a 調湿された炭化物
4 粉砕機
5 調湿器
6 水
7 廃プラスチック(プラスチック)
8 古紙(紙)
9 破砕機
10,10a 破砕片混合物(混合物)
11 廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料
11a 圧縮成型品
13 炭化物取出ライン
15 廃プラスチック供給部(プラスチックの供給部)
16 古紙供給部(紙の供給部)
17 圧縮成型機(成型機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を熱分解炉にて熱分解して得られる炭化物を粉砕した後、所要の含水率となるように調湿し、該調湿された炭化物を、プラスチックと一緒に破砕処理して混合するか、又は、破砕処理したプラスチックに混合するようにし、次いで、得られる炭化物とプラスチックの混合物を、所要形状に圧縮成型し養生して廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料を製造することを特徴とする廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法。
【請求項2】
調湿された炭化物の含水率を10〜40%とする請求項1記載の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法。
【請求項3】
プラスチックを調湿された炭化物と一緒に、又は、単独で破砕処理するときに、所要量の紙を加えるようにする請求項1又は2記載の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造方法。
【請求項4】
廃棄物を熱分解ガスと炭化物に熱分解する熱分解炉より炭化物を取り出す炭化物取出ラインの下流側に、上記廃棄物の炭化物を粉砕するための粉砕機と、該粉砕機にて粉砕された炭化物を調湿するための調湿器を設けると共に、プラスチックの供給部より供給されるプラスチックを破砕する破砕機を設けて、該破砕機の上流側又は下流側に、上記調湿器より得られる調湿された炭化物を供給してプラスチックと混合できるようにし、更に、上記炭化物とプラスチックの混合物を圧縮成型する成型機を備えてなる構成を有することを特徴とする廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造装置。
【請求項5】
調湿器を、粉砕機にて粉砕された炭化物に10〜40%量の水を含ませるものとした請求項4記載の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造装置。
【請求項6】
破砕機の上流側に、紙の供給部を設けるようにした請求項4又は5記載の廃棄物の炭化物とプラスチック含有固形燃料の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−204712(P2007−204712A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28556(P2006−28556)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【出願人】(593195819)株式会社関商店 (7)
【Fターム(参考)】