説明

廃棄物処理設備

【課題】破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を手分別コンベヤに搬送し、予め定めた種類別に手分別し、予め定めた廃棄物の種類に応じた処理をなす複数の廃棄物処理ラインに送ることになり、破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を手分別コンベヤ上に搬送しつつ予め定めた種類別に手分別する構造であるから、設備コストの低減を図ることができると共にライン稼働率の向上を図ることができる。
【解決手段】回収された廃棄物袋等の袋体を破袋する破袋機1と、破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を予め定めた種類別に手分別するための手分別コンベヤ2と、種類別に手分別された廃棄物を受け入れて予め定めた廃棄物の種類に応じた処理をなす複数の廃棄物処理ライン3とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば都市ごみや産業廃棄物等の再利用資源化等の廃棄物処理に用いられる廃棄物処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の廃棄物処理設備として、発泡スチロール系廃棄物、ペットボトル系廃棄物及び廃プラスチック系廃棄物等の設備が知られている。
【特許文献1】特開平8−10743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来構造の場合、例えば、都市ゴミの回収地域によっては、各種類の都市ゴミの回収量がそれほど多くないことがあり、このような地域にあっては、各々、各種類の廃棄物を当該種類に応じた処理経路で処理する単独の廃棄物処理ラインを構築した場合、毎日稼働するだけの量を確保することができず、ライン稼働率が低下し、設備が有効に活用されず、無駄な設備投資になることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、回収された廃棄物袋等の袋体を破袋する破袋機と、該破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を予め定めた種類別に手分別するための手分別コンベヤと、該種類別に手分別された廃棄物を受け入れて予め定めた廃棄物の種類に応じた処理をなす複数の廃棄物処理ラインとからなることを特徴とする廃棄物処理設備にある。
【0005】
又、請求項2記載の発明は、上記手分別すべき廃棄物の種類は、破砕不適物、発泡スチロール系廃棄物、ペットボトル系廃棄物及び廃プラスチック系廃棄物に定められていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記発泡スチロール系廃棄物を処理する発泡スチロール系廃棄物処理ラインに、少なくとも発泡スチロール破砕機及び発泡スチロール減容機を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記ペットボトル系廃棄物を処理するペットボトル系廃棄物処理ラインに、少なくともラベル・キャップ切断機、ペットボトル粉砕機及びペットボトル洗浄機を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明にあっては、上記廃プラスチック系廃棄物を処理する廃プラスチック系廃棄物処理ラインに、少なくとも廃プラスチック破砕機及び廃プラスチック減容成型機を備えてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、回収された廃棄物袋等の袋体は破袋機により破袋され、破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を手分別コンベヤに搬送し、手分別コンベヤ上を搬送される途中において、予め定めた種類別に手分別し、この種類別に手分別された廃棄物を予め定めた廃棄物の種類に応じた処理をなす複数の廃棄物処理ラインに送ることになり、破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を手分別コンベヤ上に搬送しつつ予め定めた種類別に手分別する構造であるから、各種類の廃棄物を当該種類に応じた処理経路で処理する単独の廃棄物処理ラインを構築した場合に比べ、設備コストの低減を図ることができると共にライン稼働率の向上を図ることができる。
【0007】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記手分別すべき廃棄物の種類は、破砕不適物、発泡スチロール系廃棄物、ペットボトル系廃棄物及び廃プラスチック系廃棄物に定められているから、各種の廃棄物の再利用資源化処理を効率的に行うことができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記発泡スチロール系廃棄物を処理する発泡スチロール系廃棄物処理ラインに、少なくとも発泡スチロール破砕機及び発泡スチロール減容機を備えてなるから、発泡スチロール系廃棄物の破砕減容により再利用資源化処理を容易に行うことができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記ペットボトル系廃棄物を処理するペットボトル系廃棄物処理ラインに、少なくともラベル・キャップ切断機、ペットボトル粉砕機及びペットボトル洗浄機を備えてなるから、ペットボトル系廃棄物の切断、破砕及び洗浄により再利用資源化処理を容易に行うことができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記廃プラスチック系廃棄物を処理する廃プラスチック系廃棄物処理ラインに、少なくとも、廃プラスチック破砕機及び廃プラスチック減容成型機を備えてなるから、廃プラスチック系廃棄物の破砕及び減容成型により再利用資源化処理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図5は本発明の実施の形態例を示し、1は破袋機であって、カッター式等破袋機1が用いられ、例えば、各市町村等が収集し、回収された都市ごみ等の廃棄物袋等の袋体Wを破袋する構造となっている。
【0009】
2は手分別コンベヤであって、上記破袋機1で破袋された袋体W内の廃棄物を受け入れ、搬送途中において、予め定めた種類別に手分別するためのコンベヤであり、この場合、破砕不適物A、発泡スチロール系廃棄物B、ペットボトル系廃棄物C及び廃プラスチック系廃棄物Dに分別するように定められ、破砕不適物A、発泡スチロール系廃棄物B、ペットボトル系廃棄物Cについては、作業者により手分別コンベヤ2から分別して取り出され、廃プラスチック系廃棄物Dについては、そのまま手分別コンベヤ2により搬送される構造となっている。
【0010】
3は廃棄物処理ラインであって、この場合、例えば、鍋、やかん、鉄塊等の金属類やガラス瓶、缶等の破砕不適物Aを処理する不適物処理ラインE、発泡スチロール系廃棄物Bを処理する発泡スチロール系廃棄物処理ラインF、ペットボトル系廃棄物Cを処理するペットボトル系廃棄物処理ラインG及び廃プラスチック系廃棄物Dを処理する廃プラスチック系廃棄物処理ラインHの四つの廃棄物処理ラインから構成されている。
【0011】
この場合、上記不適物処理ラインEは、図2の如く、上記破砕不適物Aを埋め立て処理や破砕不適物処理業者に委託A1する処理経路に構成されている。
【0012】
又、この場合、発泡スチロール系廃棄物処理ラインFは、図3の如く、発泡スチロール破砕機F1により発泡スチロール系廃棄物Bを破砕処理し、破砕後にブロワーF2等により搬送され、その後、例えば、加熱式、溶剤式等の発泡スチロール減容機F3により減容し、発泡スチロール減容機F3には活性炭式、オゾン式等の脱臭機F4が接続され、減容後に処理袋F5に詰入し、再利用資源として回収処理する処理経路に構成されている。
【0013】
又、この場合、ペットボトル系廃棄物処理ラインGは、図4の如く、例えば、回転刃式、カッター式等のラベル・キャップ切断機G1によりペットボトル系廃棄物Cのラベル及びキャップを切断し、例えば、振動式の篩い機G2によりラベル及びキャップを篩い落として分別し、残存するペットボトルを例えば、乾式、湿式等のペットボトル粉砕機G3により粉砕し、粉砕後に、スクリュウ式、トロンメル式等のペットボトル洗浄機G4により洗浄し、この場合、洗浄水供給機G5から洗浄水が供給されて洗浄され、洗浄水供給機G5にはフィルター濾過式、砂濾過式等の洗浄水再使用機G6が接続され、必要に応じ、水に代えて、温水ボイラーから温水が供給され、洗浄後に、処理袋G7に詰入し、再利用資源として回収する処理経路に構成されている。
【0014】
又、この場合、廃プラスチック系廃棄物処理ラインHは、図5の如く、手選別コンベヤ2に残留して送られてくる廃プラスチック系廃棄物Dを廃プラスチック破砕機H1により破砕し、廃プラスチック破砕機H1にはサイクロン式、フィルター式等の集塵機H2が接続され、この破砕後に搬送コンベヤH3上を搬送しつつ例えば永久磁石式、電磁石式等の磁力選別機H4により金属類を除去処理し、搬入パイプコンベヤH5等により定量供給機H6に搬送し、金属類除去処理後の廃プラスチック系廃棄物Dを定量供給機H6により廃プラスチック減容成型機H8に搬出パイプコンベヤH7を介して搬送し、廃プラスチック減容成型機H8により減容成型し、廃プラスチック減容成型機H8には脱臭機H9が接続され、減容成型後、搬送コンテナH10に収納し、再利用資源として回収処理する処理経路に構成されている。
【0015】
この実施の形態例は上記構成であるから、回収された廃棄物袋等の袋体Wは破袋機1により破袋され、破袋機1で破袋された袋体W内の廃棄物を手分別コンベヤ2に搬送し、手分別コンベヤ2上を搬送される途中において、予め定めた種類別に手分別し、この種類別に手分別された廃棄物を予め定めた廃棄物の種類に応じた処理をなす複数の廃棄物処理ライン3に送ることになり、破袋機1で破袋された袋体W内の廃棄物を手分別コンベヤ2上に搬送しつつ予め定めた種類別に手分別する構造であるから、各種類の廃棄物を当該種類に応じた処理経路で処理する単独の廃棄物処理ラインを構築した場合に比べ、設備コストの低減を図ることができると共にライン稼働率の向上を図ることができる。
【0016】
又、この場合、上記手分別すべき廃棄物の種類は、破砕不適物A、発泡スチロール系廃棄物B、ペットボトル系廃棄物C及び廃プラスチック系廃棄物Dに定められているから、各種の廃棄物の再利用資源化処理を効率的に行うことができ、又、この場合、上記発泡スチロール系廃棄物Bを処理する発泡スチロール系廃棄物処理ラインFに、少なくとも発泡スチロール破砕機F1及び発泡スチロール減容機F3を備えてなるから、発泡スチロール系廃棄物Bの破砕減容により再利用資源化処理を容易に行うことができ、又、この場合、上記ペットボトル系廃棄物Cを処理するペットボトル系廃棄物処理ラインGに、少なくともラベル・キャップ切断機G1、ペットボトル粉砕機G3及びペットボトル洗浄機G4を備えてなるから、ペットボトル系廃棄物Cの切断、破砕及び洗浄により再利用資源化処理を容易に行うことができ、又、この場合、上記廃プラスチック系廃棄物Dを処理する廃プラスチック系廃棄物処理ラインHに、少なくとも、廃プラスチック破砕機H1及び廃プラスチック減容成型機H8を備えてなるから、廃プラスチック系廃棄物Dの破砕及び減容成型により再利用資源化処理を容易に行うことができる。
【0017】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、破袋機1の構造や手分別コンベヤ2の構造、廃棄物処理ライン3の数や構造等は廃棄物の種類や分別数等に応じて適宜変更して設計されるものである。
【0018】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態例の全体構成系統図である。
【図2】本発明の実施の形態例の部分構成系統図である。
【図3】本発明の実施の形態例の部分構成系統図である。
【図4】本発明の実施の形態例の部分構成系統図である。
【図5】本発明の実施の形態例の部分構成系統図である。
【符号の説明】
【0020】
A 破砕不適物
B 発泡スチロール系廃棄物
C ペットボトル系廃棄物
D 廃プラスチック系廃棄物
E 不適物処理ライン
F 発泡スチロール系処理ライン
G ペットボトル系処理ライン
1 ラベル・キャップ切断機
3 ペットボトル粉砕機
4 ペットボトル洗浄機
H 廃プラスチック系廃棄物処理ライン
1 廃プラスチック破砕機
8 廃プラスチック減容成型機
1 破袋機
2 手分別コンベヤ
3 廃棄物処理ライン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収された廃棄物袋等の袋体を破袋する破袋機と、該破袋機で破袋された袋体内の廃棄物を予め定めた種類別に手分別するための手分別コンベヤと、該種類別に手分別された廃棄物を受け入れて予め定めた廃棄物の種類に応じた処理をなす複数の廃棄物処理ラインとからなることを特徴とする廃棄物処理設備。
【請求項2】
上記手分別すべき廃棄物の種類は、破砕不適物、発泡スチロール系廃棄物、ペットボトル系廃棄物及び廃プラスチック系廃棄物に定められていることを特徴とする請求項1記載の廃棄物処理設備。
【請求項3】
上記発泡スチロール系廃棄物を処理する発泡スチロール系廃棄物処理ラインに、少なくとも発泡スチロール破砕機及び発泡スチロール減容機を備えてなることを特徴とする請求項2記載の廃棄物処理設備。
【請求項4】
上記ペットボトル系廃棄物を処理するペットボトル系廃棄物処理ラインに、少なくともラベル・キャップ切断機、ペットボトル粉砕機及びペットボトル洗浄機を備えてなることを特徴とする請求項2記載の廃棄物処理設備。
【請求項5】
上記廃プラスチック系廃棄物を処理する廃プラスチック系廃棄物処理ラインに、少なくとも廃プラスチック破砕機及び廃プラスチック減容成型機を備えてなることを特徴とする請求項2記載の廃棄物処理設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75803(P2006−75803A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265570(P2004−265570)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(304000663)株式会社ダイコー (6)
【Fターム(参考)】