廃棄物搬送用コンテナ型台車
【課題】キャスター台車に積載されている廃棄物運搬用の複数の梱包体の荷崩れを確実に阻止してキャスター台車上からの各梱包体の転倒およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止する。
【解決手段】ハンドル2a折り畳み式のキャスター台車2と、当該キャスター台車2上に脱着可能に取り付け且つ一側面に扉部5を有する側壁部3と、該側壁部3の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部3に対し脱着可能に取り付ける天井部4とを備え、キャスター台車2、側壁部3、天井部4それぞれによって囲んだ内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体Pの収容空間Sとした。
【解決手段】ハンドル2a折り畳み式のキャスター台車2と、当該キャスター台車2上に脱着可能に取り付け且つ一側面に扉部5を有する側壁部3と、該側壁部3の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部3に対し脱着可能に取り付ける天井部4とを備え、キャスター台車2、側壁部3、天井部4それぞれによって囲んだ内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体Pの収容空間Sとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルオフィス内での廃棄処分とされる重要機密書類等の各種廃棄物を運搬車両へ搬送する時に使用される所謂セーフティカーゴと称する廃棄物搬送用コンテナ型台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルオフィス内では、重要機密書類が大量に廃棄処分される。この各種廃棄物を運搬車両まで搬送する場合には、これら廃棄物を所謂シークレットキューブと称する梱包体に収納し、例えばハンドル折り畳み式のキャスター台車にこれら梱包体を積載し、必要に応じて梱包体上に荷崩れ防止用のネットを被せるか等して搬送していた。また、使用後のキャスター台車は、ハンドルを前方に倒してから収納されるものとなっている。この梱包体は、頑丈で機密性の高い強化ダンボール製の回収容器によって形成され、例えば上蓋を開放し側方に略V字状に折り畳んだ状態にし、各廃棄物は回収容器内にそれぞれ回収されるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキャスター台車においては、これに積載されている複数の梱包体上にたとえ荷崩れ防止用のネットを被せてあっても、これら梱包体をこのネットで確実に保持させておくことは不可能であり、キャスター台車移動中に梱包体が荷崩れして転倒し、内部の廃棄対象物である重要機密書類が周辺に飛散してし、盗まれてしまう危険性がある。しかも、梱包体はネットの隙間から露出しているため、隙を見て外部より梱包体を破断し、内部の重要機密書類を盗み出すという危険性もある。さらに、キャスター台車上において梱包体は上記したように露出状態であることから、雨天時での搬送中では、風雨によって梱包体が濡れ損じ、内部の重要機密書類が露出してしまう虞もある。
【0005】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、キャスター台車に積載されている廃棄物運搬用の複数の梱包体の荷崩れを確実に阻止してキャスター台車上からの各梱包体の転倒およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止することができ、さらに梱包体の盗難防止や、雨天時での風雨に対する梱包体の保護等を確実ならしめることを可能にし、また、不使用時にはコンパクトに分解して収納できるようにした廃棄物搬送用コンテナ型台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、ハンドル折り畳み式のキャスター台車と、当該キャスター台車上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部を有する側壁部と、該側壁部の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部に対し脱着可能に取り付けられる天井部とを備え、キャスター台車、側壁部、天井部それぞれによって囲まれた内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体の収容空間としたことを特徴とする。
【0007】
側壁部は、前記扉部を有する正面部、左右側面部、背面部がヒンジ部を介して互いに接続されて成り、左右側面部同士はこれら中央縦方向に沿って分断され且つヒンジ部を介して互いに接続されて成る中間折込部を備え、左右側面部それぞれの各中間折込部同士をヒンジ部を介してそれぞれ内方に向けて折り込むことで、側壁部を平面状に折り畳み可能としたものである。
【0008】
キャスター台車には、側壁部の下端縁部を装着させるための溝条と、側壁部の下端適所から下方に向けて突設した突起を装着するための穴部と、キャスター台車上に装着された側壁部を当該キャスター台車に対して固定するための第1スライドストッパ手段とを備えたものである。
【0009】
天井部は、側壁部の上側開口部に対し脱着可能に取り付けられるよう当該天井部の一端側を側壁部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段と、天井部の他端側を側壁部に係止するためのフック手段とを備えたものである。
【0010】
扉部は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸を有し、左右いずれか一方の開き戸には、当該開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるための第2スライドストッパ手段を備え、左右いずれか他方の開き戸には、キーの挿入回転により当該開き戸を前記閉鎖状態にある一方の開き戸に対して固定するためのキー孔を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャスター台車に積載されている廃棄物運搬用の複数の梱包体の荷崩れを確実に阻止してキャスター台車上からの各梱包体の転倒およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止することができ、さらに梱包体の盗難防止や、雨天時での風雨に対する梱包体の保護等を確実ならしめることを可能にし、また、不使用時にはコンパクトに分解して収納できる。
【0012】
すなわち、本発明は、ハンドル折り畳み式のキャスター台車と、当該キャスター台車上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部を有する側壁部と、該側壁部の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部に対し脱着可能に取り付けられる天井部とを備え、キャスター台車、側壁部、天井部それぞれによって囲まれた内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体の収容空間としたので、当該収容空間自体が外部とは遮断された密閉された空間となることによって梱包体を確実に保護することができる。
【0013】
側壁部は、前記扉部を有する正面部、左右側面部、背面部がヒンジ部を介して互いに接続されて成り、左右側面部同士はこれら中央縦方向に沿って分断され且つヒンジ部を介して互いに接続されて成る中間折込部を備え、左右側面部それぞれの各中間折込部同士をヒンジ部を介してそれぞれ内方に向けて折り込むことで、角筒状の側壁部を平面状に折り畳み可能としたので、不使用時には、平面状に折り畳まれた側壁部を、分解されたキャスター台車および天井部と共にコンパクトに収納することができる。
【0014】
キャスター台車には、側壁部の下端縁部を装着させるための溝条と、側壁部の下端適所から下方に向けて突設した突起を装着するための穴部と、キャスター台車上に装着された側壁部を当該キャスター台車に対して固定するための第1スライドストッパ手段とを備えたので、キャスター台車上への側壁部の装着が容易に行える。しかも第1スライドストッパ手段によってキャスター台車に対して側壁部がしっかりと固定されることで、搬送中におけるキャスター台車からの側壁部の脱落を未然に防止することができる。
【0015】
天井部は、側壁部の上側開口部に対し脱着可能に取り付けられるよう当該天井部の一端側を側壁部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段と、天井部の他端側を側壁部に係止するためのフック手段とを備えたので、側壁部に対する天井部の脱着が容易に行える。これと同時に、天井部の存在により梱包体の盗難防止や、雨天時での風雨に対する梱包体の保護等が担保される。
【0016】
扉部は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸を有し、左右いずれか一方の開き戸には、当該開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるための第2スライドストッパ手段を備え、左右いずれか他方の開き戸には、キーの挿入回転により当該開き戸を前記閉鎖状態にある一方の開き戸に対して固定するためのキー孔を備えたので、扉部からの梱包体の転倒、およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止することができ、さらに梱包体の盗難防止にも効果を発揮する等、諸々のセーフティカーゴシステムを構築可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す廃棄物搬送用コンテナ型台車の分解斜視図である。
【図2】同じく組立後の使用状態を示す廃棄物搬送用コンテナ型台車の斜視図である。
【図3】同じく廃棄物搬送用コンテナ型台車の扉部を開放して梱包体を収容した状態を示す斜視図である。
【図4】キャスター台車上にて側壁部を展開し組み付ける一例を示すもので、(a)は展開前の状態の斜視図、(b)は展開途中の状態の斜視図、(c)は展開後の組み付け状態の斜視図である。
【図5】キャスター台車上に側壁部が組み付けられている状態を上方から見た横断面図である。
【図6】キャスター台車に対して側壁部を固定するためのスライドストッパ手段の一例を示す斜視図である。
【図7】側壁部に対して天井部の一端側を枢着保持するためのジョイント手段の一例を示し、(a)は取付前の状態の斜視図、(b)は取付後の状態の斜視図である。
【図8】側壁部に対して天井部の他端側を係止固定するためのフック手段の一例を示す取付前の状態の斜視図である。
【図9】同じくフック手段の操作の一例を説明するもので、(a)はフック手段の爪片を側壁部内側の係止孔部に係架させた状態の斜視図、(b)は爪片の上からさらに押え片を係止孔部に係架させた状態の斜視図である。
【図10】扉部における左右いずれか一方の開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるためのスライドストッパ手段の一例を示し、(a)は開き戸を閉める前の状態の斜視図、(b)は開き戸を閉めた後にスライドストッパ手段によって固定した状態の斜視図である。
【図11】扉部における開き戸のキー孔にキーを挿入し回転することで、閉鎖状態にある他方の開き戸に対して固定する状態を示す斜視図である。
【図12】廃棄物を収納するための梱包体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る廃棄物搬送用コンテナ型台車の実施の一形態を詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る廃棄物搬送用コンテナ型台車を構成する台車本体1は、図1乃至図3に示すように、ハンドル2a折り畳み式のキャスター台車2と、当該キャスター台車2上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部5を有する角筒状の側壁部3と、該側壁部3の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部3に対し脱着可能に取り付けられる矩形平面状の天井部4とから構成されている。なお、側壁部3および天井部4は、例えばアルミニウム等の軽金属性から成る骨組み枠部材および平板材の貼り合わせによって形成されており、外側面の適宜箇所には不図示の緩衝部材が貼設されている。
【0020】
そして、本構成による台車本体1は、図3に示すように、キャスター台車2、側壁部3、天井部4それぞれによって囲まれた内部空間を梱包体Pの収容空間Sとし、主としてオフィスビル内で発生する重要機密書類等の廃棄物を収納した所謂シークレットキューブと称する複数の梱包体Pを扉部5から収容空間S内に積み込んで移送するものである。
【0021】
この梱包体Pは、図12に示すように、矩形箱状に成形された強化ダンボール製の回収容器P1によって形成され、その一つの側面端部側には細長の投入口P2が形成された略郵便ポスト箱タイプとなっている。この投入口P2に廃棄物である重要機密書類等を順次投入してゆくことで当該書類は回収容器P1によって隠蔽された状態で収納される。また、この孔部P2を有する面に隣接した他の側面端部側には、複数の円形状の孔部P3が穿設されており、回収容器P1を例えば棚部等から引き出す際の取っ手の役目を果たすと同時に、回収容器P1内に収納される廃棄物の数量がこの孔部P3から見えるようになっている。
【0022】
側壁部3は、図1乃至図5に示すように、正面部3a、左側面部3b、右側面部3c、背面部3dそれぞれの左右両端部同士がヒンジ部6を介して接続されて成る。このヒンジ部6は内側付けとなって外部に露出しないことで安全性を保っている。すなわち、図5に示すように、ヒンジ部6のヒンジ軸部6aが内側に位置するようにヒンジ軸部6a両側のヒンジ羽根部6b、6cが、展開時の直角に接合する両面にそれぞれネジ止めされることで角側折込部7を形成している。
【0023】
また、図1乃至図5に示すように、左右側面部3b、3cそれぞれはこれら中央縦方向に沿って分断されており、ヒンジ部6のヒンジ軸部6aが外側に位置するようにヒンジ軸部6a両側のヒンジ羽根部6b、6cが相対向する分断面にそれぞれネジ止めされることで中間折込部8を形成している。そして、図5に示すように、左右側面部3b、3cそれぞれの各中間折込部8同士をヒンジ部6を介して互いに内方に向けて折り込むことで、側壁部3を略平面状に折り畳み可能となるようにしてある(図4も参照)。
【0024】
また、正面部3aは、図3に示すように、当該正面部3aを構成する矩形枠部に対しヒンジ部6を介して観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸5a、5bから成る扉部5を備えている。さらに、図1、図4に示すように、正面部3aおよび背面部3dそれぞれの下端左右両側には下方に向けて突起21が突設されており、後述するキャスター台車2の各穴部22に装着される。なお、正面部3aの突起21は、背面部3dの突起21よりも短くなっている。
【0025】
キャスター台車2には、図1、図4、図5に示すように、側壁部3の下端縁部を嵌合装着させるための平面矩形状の溝条10が形成され、該溝条10内の4箇所には、上記した正面部3aおよび背面部3dに形成されている突起21を嵌挿するための穴部22が形成されている。また、図1、図3、図5に示すように、キャスター台車2上の溝条10内側には、例えばアルミニウム等の軽金属性から成る角棒を格子状に組み付けて成る底上げ補強部9が形成されている。
【0026】
さらに、この底上げ補強部9が配置されているキャスター台車2上の、前記側壁部3の正面部3aおよび背面部3dの装着位置に対応する前後箇所には、キャスター台車2に対して側壁部3を固定するための第1スライドストッパ手段11が設けられている。
【0027】
すなわち、第1スライドストッパ手段11は、図5および図6に示すように、キャスター台車2上に固定された軸受台座部11aに対して前後方向にスライド可能な係止ロッド11bを備え、該係止ロッド11bの周面一箇所には操作レバー11cが付設されている。この操作レバー11cは、軸受台座部11aの前後方向に形成されているスライド溝11dに沿って前後方向に移動させることにより、当該係止ロッド11bの先端側が軸受台座部11aより進出乃至退避できるようになっている。また、スライド溝11dの前後には直交状の溝となる係止溝11e、11fが形成され、操作レバー11cの前後スライド位置にてこれを回転させて係止溝11e、11fに係架させることで、操作レバー11cが固定保持できるようになっている。
【0028】
そして、キャスター台車2上の溝条10に装着された側壁部3の正面部3aおよび背面部3dそれぞれの下方に位置する骨組み枠部材内側には、軸受台座部11aの係止ロッド11bに対向して穴部11gが形成されており、操作レバー11cの前方移動操作で進出した係止ロッド11bがこの穴部11gに嵌合もしくは挿入されることで、キャスター台車2に対して側壁部3が固定されるものとなっている。
【0029】
また、天井部4および側壁部3それぞれには、天井部4の一端側を側壁部3の上側開口部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段12を備えている。
【0030】
すなわち、ジョイント手段12は、図7(a)、図7(b)に示すように、天井部4の一端側に、下端縁に左右一対の筒部12a、12bが互いに横向き対向状となって付設されている上側基板部12cがネジ止め固定され、当該両筒部12a、12bに跨って軸部12dが嵌着されている。これに対応して側壁部3の上側開口部における開口端外縁には、上端縁に断面略C環状の係架部12eが付設されている下側基板部12fがネジ止め固定されている。
【0031】
このとき、係架部12eの横幅員は、両筒部12a、12b間で露出している軸部12dの長さと略同じである。そして、天井部4を若干斜めにしてから係架部12eに軸部12dを係架させることで天井部4の一端側は側壁部3に対して回動可能に保持されるものとなっている。
【0032】
一方、天井部4の他端側には、当該天井部4を側壁部3の上側開口部に係止固定するためのフック手段13を備えている。
【0033】
すなわち、フック手段13は、図8、図9(a)、図9(b)に示すように、天井部4の他端側における骨組み枠部材内側に、下端縁に左右一対の筒部13a、13bが互いに横向き対向状となって付設されている上側基板部13cがネジ止め固定され、当該両筒部13a、13bに跨って軸部13dが嵌着されている。そして、軸部13dには回動片13eが取り付けられ、当該回動片13eの下端には、左右両側に爪片13f、13gを備えたフック13hが固定されている。
【0034】
また、回動片13eには、フック13hの爪片13f、13gを上側から押え込むための押え片13iが軸部13jを介して回動可能に設けられている。一方、このフック手段13に対応して、側壁部3の正面部3aにおける上側開口部を構成する骨組み枠部材内側には、フック13hの爪片13f、13gを係架させるための横向き長円形状の係止孔部13kが形成されており、フック13hの爪片13f、13gを係止孔部13kに係架させ、さらに爪片13f、13gの上から押え片13iを係止孔部13kに係架させることで天井部4の他端側は側壁部3に係止固定されるものとなっている。
【0035】
扉部5は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸5a、5bを有し、例えば左側の開き戸5aには、当該開き戸5aを閉鎖状態で側壁部3に固定させるための第2スライドストッパ手段14を備えている。なお、左右の開き戸5a、5bは共に、例えばアルミニウム等の軽金属性から成る骨組み枠部材および平板材の貼り合わせによって形成されている。また、左右の開き戸5a、5b中央の外側面には帯状の緩衝部材31(図1、図2、図4参照)が貼設されている。
【0036】
この第2スライドストッパ手段14は、左側の開き戸5aの開放端側の骨組み枠部材における内側の上下対称箇所に設けられ、左側の開き戸5aを上下にて側壁部3の上下骨組み枠部材に固定されるようになっている。なお、以下において上側の第2スライドストッパ手段14の具体的構成について説明するが、下側の第2スライドストッパ手段14もこの上側の第2スライドストッパ手段14と同じ構成であるのでその詳細な説明を省略する。
【0037】
すなわち、第2スライドストッパ手段14は、図10(a)、図10(b)に示すように、左側の開き戸5aの開放端側の骨組み枠部材内側にネジ止め固定されたガイド基部14aに対して上下方向にスライド可能な係止片14bを備え、該係止片14bの外面一箇所には操作突起14cが付設されている。この操作突起14cは、ガイド基部14aの上下方向に形成されているスライド溝14dに沿って上下方向に移動させることにより、係止片14bの先端側がガイド基部14aより進出乃至退避できるようになっている。
【0038】
一方、この第2スライドストッパ手段14の係止片14bに対応して、側壁部3の正面部3aにおける上側開口部を構成する骨組み枠部材内側には係止溝14eが形成されており、左側の開き戸5aを閉鎖した状態で操作突起14cを上方に移動させることで係止片14bは係止溝14eに係合され、これにより、左側の開き戸5aを側壁部3の骨組み枠部材に固定されるようになっている。
【0039】
また、図11に示すように、右側の開き戸5bの開放端側の骨組み枠部材における中央には、キーKを挿入するためのキー孔15が設けられ、このキー孔15にキーKを差し込んで反時計方向に回転させることで、キー孔15内端側のサムターン15aが、閉鎖状態にある左側の開き戸5a方向に回転し、これによって右側の開き戸5bは左側の開き戸5aに対して固定されるものとなっている。
【0040】
なお、上記したキャスター台車2側および左側の開き戸5a側の第2スライドストッパ手段14は本発明の一例に過ぎず、上記した各構成とは別の例えばフック構造等による他のストッパ手段を採用しても良い。
【0041】
次に、以上のように構成された形態についての組立・使用の一例について説明する。先ず、台車本体1の組立に際し、ハンドル2aを引き起こした状態のキャスター台車2の上に、折り畳まれている側壁部3を載せておき、側壁部3を展開状態にしつつ当該側壁部3の下端縁を溝条10に装着する。
【0042】
この場合、図4(a)に示すように、先に背面部3d側の下端の長い方の突起21を溝条10内の穴部22に嵌合させておき、図4(b)に示すように、当該背面部3dを支持した状態で正面部3aを矢票A方向に引き伸ばす。このとき、左右側面部3b、3cそれぞれの各中間折込部8同士はヒンジ部6を介して互いに外方に向けて展開される。その後、図4(c)に示すように、側壁部3が矩形筒状となった時点で、正面部3a側の下端の短い方の突起21を溝条10内の他方の穴部22に嵌合させる。
【0043】
そして、図5、図6に示すように、第1スライドストッパ手段11の操作レバー11cを軸受台座部11aのスライド溝11dに沿って前方向に移動させることにより、係止ロッド11bの先端側を軸受台座部11aより進出させ、係止ロッド11bを側壁部3下側の穴部11gに嵌合もしくは挿入させることで、キャスター台車2に対して側壁部3が固定される。然る後、操作レバー11cを回して前側の係止溝11eに係架させておく。
【0044】
次に、側壁部3の上側開口部に天井部4を取り付ける。この場合、図7(a)および図7(b)に示すように、天井部4を若干斜めにしてから側壁部3の背面部3dのジョイント手段12の係架部12eに天井部4の一端側のジョイント手段12の軸部12dを係架させることで天井部4の一端側を側壁部3に対して保持させておく。そして、図8、図9(a)、図9(b)に示すように、天井部4の他端側にあるフック手段13におけるフック13hの爪片13f、13gを、側壁部3の正面部3aにおける係止孔部13kに係架させ、さらに爪片13f、13gの上から押え片13iを係止孔部13kに係架させることで天井部4の他端側が側壁部3に係止固定される。
【0045】
次に、台車本体1の使用に際し、図3に示すように、扉部5の左右の開き戸5a、5bを開放させ、収容空間S内に、廃棄物が収納されている梱包体Pを順次収容する。このとき、孔部P3を有する面が上向きで且つ投入口P2を有する面が横向きとなるように配置する。そして、収容空間Sの左側に梱包体Pを順次積み重ね収容し、左側の開き戸5aを閉鎖してから、図10(a)、図10(b)に示すように、第2スライドストッパ手段14の操作突起14cを上方に移動させることで係止片14bを係止溝14eに係合させることにより、左側の開き戸5aを側壁部3の骨組み枠部材に固定させておく。
【0046】
次に、収容空間Sの右側に梱包体Pを積み重ね収容して右側の開き戸5bを閉鎖し、図11に示すように、キー孔15にキーKを差し込んで反時計方向に回転させることで、キー孔15内端側のサムターン15aを、閉鎖状態にある左側の開き戸5a方向に回転させる。これによって右側の開き戸5bは左側の開き戸5aに対して閉鎖固定される。こうして、廃棄物を収納した各梱包体Pは台車本体1によって保護された状態で荷車位置まで搬送される。
【0047】
なお、台車本体1の不使用の際には、上記した組み付け手順を逆に辿ることによって台車本体1は簡単に分解され、コンパクトな状態となって所定の保管場所に収納される。このとき、特に、側壁部3は、左右側面部3b、3cそれぞれの各中間折込部8同士をヒンジ部6を介して互いに内方に向けて折り込むことで、側壁部3自体を略平面状に折り畳み可能となるようにしてある(図4参照)ので、分解されたキャスター台車2および天井部4と共にコンパクトに収納保管しておくことができる。
【符号の説明】
【0048】
P 梱包体
S 収容空間
K キー
1 台車本体
2 キャスター台車
3 側壁部
3a 正面部
3b 左側面部
3c 右側面部
3d 背面部
4 天井部
5 扉部
6 ヒンジ部
7 角側折込部
8 中間折込部
10 溝条
11 第1スライドストッパ手段
12 ジョイント手段
13 フック手段
14 第2スライドストッパ手段
15 キー孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルオフィス内での廃棄処分とされる重要機密書類等の各種廃棄物を運搬車両へ搬送する時に使用される所謂セーフティカーゴと称する廃棄物搬送用コンテナ型台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルオフィス内では、重要機密書類が大量に廃棄処分される。この各種廃棄物を運搬車両まで搬送する場合には、これら廃棄物を所謂シークレットキューブと称する梱包体に収納し、例えばハンドル折り畳み式のキャスター台車にこれら梱包体を積載し、必要に応じて梱包体上に荷崩れ防止用のネットを被せるか等して搬送していた。また、使用後のキャスター台車は、ハンドルを前方に倒してから収納されるものとなっている。この梱包体は、頑丈で機密性の高い強化ダンボール製の回収容器によって形成され、例えば上蓋を開放し側方に略V字状に折り畳んだ状態にし、各廃棄物は回収容器内にそれぞれ回収されるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキャスター台車においては、これに積載されている複数の梱包体上にたとえ荷崩れ防止用のネットを被せてあっても、これら梱包体をこのネットで確実に保持させておくことは不可能であり、キャスター台車移動中に梱包体が荷崩れして転倒し、内部の廃棄対象物である重要機密書類が周辺に飛散してし、盗まれてしまう危険性がある。しかも、梱包体はネットの隙間から露出しているため、隙を見て外部より梱包体を破断し、内部の重要機密書類を盗み出すという危険性もある。さらに、キャスター台車上において梱包体は上記したように露出状態であることから、雨天時での搬送中では、風雨によって梱包体が濡れ損じ、内部の重要機密書類が露出してしまう虞もある。
【0005】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、キャスター台車に積載されている廃棄物運搬用の複数の梱包体の荷崩れを確実に阻止してキャスター台車上からの各梱包体の転倒およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止することができ、さらに梱包体の盗難防止や、雨天時での風雨に対する梱包体の保護等を確実ならしめることを可能にし、また、不使用時にはコンパクトに分解して収納できるようにした廃棄物搬送用コンテナ型台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、ハンドル折り畳み式のキャスター台車と、当該キャスター台車上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部を有する側壁部と、該側壁部の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部に対し脱着可能に取り付けられる天井部とを備え、キャスター台車、側壁部、天井部それぞれによって囲まれた内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体の収容空間としたことを特徴とする。
【0007】
側壁部は、前記扉部を有する正面部、左右側面部、背面部がヒンジ部を介して互いに接続されて成り、左右側面部同士はこれら中央縦方向に沿って分断され且つヒンジ部を介して互いに接続されて成る中間折込部を備え、左右側面部それぞれの各中間折込部同士をヒンジ部を介してそれぞれ内方に向けて折り込むことで、側壁部を平面状に折り畳み可能としたものである。
【0008】
キャスター台車には、側壁部の下端縁部を装着させるための溝条と、側壁部の下端適所から下方に向けて突設した突起を装着するための穴部と、キャスター台車上に装着された側壁部を当該キャスター台車に対して固定するための第1スライドストッパ手段とを備えたものである。
【0009】
天井部は、側壁部の上側開口部に対し脱着可能に取り付けられるよう当該天井部の一端側を側壁部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段と、天井部の他端側を側壁部に係止するためのフック手段とを備えたものである。
【0010】
扉部は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸を有し、左右いずれか一方の開き戸には、当該開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるための第2スライドストッパ手段を備え、左右いずれか他方の開き戸には、キーの挿入回転により当該開き戸を前記閉鎖状態にある一方の開き戸に対して固定するためのキー孔を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャスター台車に積載されている廃棄物運搬用の複数の梱包体の荷崩れを確実に阻止してキャスター台車上からの各梱包体の転倒およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止することができ、さらに梱包体の盗難防止や、雨天時での風雨に対する梱包体の保護等を確実ならしめることを可能にし、また、不使用時にはコンパクトに分解して収納できる。
【0012】
すなわち、本発明は、ハンドル折り畳み式のキャスター台車と、当該キャスター台車上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部を有する側壁部と、該側壁部の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部に対し脱着可能に取り付けられる天井部とを備え、キャスター台車、側壁部、天井部それぞれによって囲まれた内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体の収容空間としたので、当該収容空間自体が外部とは遮断された密閉された空間となることによって梱包体を確実に保護することができる。
【0013】
側壁部は、前記扉部を有する正面部、左右側面部、背面部がヒンジ部を介して互いに接続されて成り、左右側面部同士はこれら中央縦方向に沿って分断され且つヒンジ部を介して互いに接続されて成る中間折込部を備え、左右側面部それぞれの各中間折込部同士をヒンジ部を介してそれぞれ内方に向けて折り込むことで、角筒状の側壁部を平面状に折り畳み可能としたので、不使用時には、平面状に折り畳まれた側壁部を、分解されたキャスター台車および天井部と共にコンパクトに収納することができる。
【0014】
キャスター台車には、側壁部の下端縁部を装着させるための溝条と、側壁部の下端適所から下方に向けて突設した突起を装着するための穴部と、キャスター台車上に装着された側壁部を当該キャスター台車に対して固定するための第1スライドストッパ手段とを備えたので、キャスター台車上への側壁部の装着が容易に行える。しかも第1スライドストッパ手段によってキャスター台車に対して側壁部がしっかりと固定されることで、搬送中におけるキャスター台車からの側壁部の脱落を未然に防止することができる。
【0015】
天井部は、側壁部の上側開口部に対し脱着可能に取り付けられるよう当該天井部の一端側を側壁部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段と、天井部の他端側を側壁部に係止するためのフック手段とを備えたので、側壁部に対する天井部の脱着が容易に行える。これと同時に、天井部の存在により梱包体の盗難防止や、雨天時での風雨に対する梱包体の保護等が担保される。
【0016】
扉部は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸を有し、左右いずれか一方の開き戸には、当該開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるための第2スライドストッパ手段を備え、左右いずれか他方の開き戸には、キーの挿入回転により当該開き戸を前記閉鎖状態にある一方の開き戸に対して固定するためのキー孔を備えたので、扉部からの梱包体の転倒、およびこれに伴う梱包体内部の廃棄物の飛散を防止することができ、さらに梱包体の盗難防止にも効果を発揮する等、諸々のセーフティカーゴシステムを構築可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す廃棄物搬送用コンテナ型台車の分解斜視図である。
【図2】同じく組立後の使用状態を示す廃棄物搬送用コンテナ型台車の斜視図である。
【図3】同じく廃棄物搬送用コンテナ型台車の扉部を開放して梱包体を収容した状態を示す斜視図である。
【図4】キャスター台車上にて側壁部を展開し組み付ける一例を示すもので、(a)は展開前の状態の斜視図、(b)は展開途中の状態の斜視図、(c)は展開後の組み付け状態の斜視図である。
【図5】キャスター台車上に側壁部が組み付けられている状態を上方から見た横断面図である。
【図6】キャスター台車に対して側壁部を固定するためのスライドストッパ手段の一例を示す斜視図である。
【図7】側壁部に対して天井部の一端側を枢着保持するためのジョイント手段の一例を示し、(a)は取付前の状態の斜視図、(b)は取付後の状態の斜視図である。
【図8】側壁部に対して天井部の他端側を係止固定するためのフック手段の一例を示す取付前の状態の斜視図である。
【図9】同じくフック手段の操作の一例を説明するもので、(a)はフック手段の爪片を側壁部内側の係止孔部に係架させた状態の斜視図、(b)は爪片の上からさらに押え片を係止孔部に係架させた状態の斜視図である。
【図10】扉部における左右いずれか一方の開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるためのスライドストッパ手段の一例を示し、(a)は開き戸を閉める前の状態の斜視図、(b)は開き戸を閉めた後にスライドストッパ手段によって固定した状態の斜視図である。
【図11】扉部における開き戸のキー孔にキーを挿入し回転することで、閉鎖状態にある他方の開き戸に対して固定する状態を示す斜視図である。
【図12】廃棄物を収納するための梱包体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る廃棄物搬送用コンテナ型台車の実施の一形態を詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る廃棄物搬送用コンテナ型台車を構成する台車本体1は、図1乃至図3に示すように、ハンドル2a折り畳み式のキャスター台車2と、当該キャスター台車2上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部5を有する角筒状の側壁部3と、該側壁部3の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部3に対し脱着可能に取り付けられる矩形平面状の天井部4とから構成されている。なお、側壁部3および天井部4は、例えばアルミニウム等の軽金属性から成る骨組み枠部材および平板材の貼り合わせによって形成されており、外側面の適宜箇所には不図示の緩衝部材が貼設されている。
【0020】
そして、本構成による台車本体1は、図3に示すように、キャスター台車2、側壁部3、天井部4それぞれによって囲まれた内部空間を梱包体Pの収容空間Sとし、主としてオフィスビル内で発生する重要機密書類等の廃棄物を収納した所謂シークレットキューブと称する複数の梱包体Pを扉部5から収容空間S内に積み込んで移送するものである。
【0021】
この梱包体Pは、図12に示すように、矩形箱状に成形された強化ダンボール製の回収容器P1によって形成され、その一つの側面端部側には細長の投入口P2が形成された略郵便ポスト箱タイプとなっている。この投入口P2に廃棄物である重要機密書類等を順次投入してゆくことで当該書類は回収容器P1によって隠蔽された状態で収納される。また、この孔部P2を有する面に隣接した他の側面端部側には、複数の円形状の孔部P3が穿設されており、回収容器P1を例えば棚部等から引き出す際の取っ手の役目を果たすと同時に、回収容器P1内に収納される廃棄物の数量がこの孔部P3から見えるようになっている。
【0022】
側壁部3は、図1乃至図5に示すように、正面部3a、左側面部3b、右側面部3c、背面部3dそれぞれの左右両端部同士がヒンジ部6を介して接続されて成る。このヒンジ部6は内側付けとなって外部に露出しないことで安全性を保っている。すなわち、図5に示すように、ヒンジ部6のヒンジ軸部6aが内側に位置するようにヒンジ軸部6a両側のヒンジ羽根部6b、6cが、展開時の直角に接合する両面にそれぞれネジ止めされることで角側折込部7を形成している。
【0023】
また、図1乃至図5に示すように、左右側面部3b、3cそれぞれはこれら中央縦方向に沿って分断されており、ヒンジ部6のヒンジ軸部6aが外側に位置するようにヒンジ軸部6a両側のヒンジ羽根部6b、6cが相対向する分断面にそれぞれネジ止めされることで中間折込部8を形成している。そして、図5に示すように、左右側面部3b、3cそれぞれの各中間折込部8同士をヒンジ部6を介して互いに内方に向けて折り込むことで、側壁部3を略平面状に折り畳み可能となるようにしてある(図4も参照)。
【0024】
また、正面部3aは、図3に示すように、当該正面部3aを構成する矩形枠部に対しヒンジ部6を介して観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸5a、5bから成る扉部5を備えている。さらに、図1、図4に示すように、正面部3aおよび背面部3dそれぞれの下端左右両側には下方に向けて突起21が突設されており、後述するキャスター台車2の各穴部22に装着される。なお、正面部3aの突起21は、背面部3dの突起21よりも短くなっている。
【0025】
キャスター台車2には、図1、図4、図5に示すように、側壁部3の下端縁部を嵌合装着させるための平面矩形状の溝条10が形成され、該溝条10内の4箇所には、上記した正面部3aおよび背面部3dに形成されている突起21を嵌挿するための穴部22が形成されている。また、図1、図3、図5に示すように、キャスター台車2上の溝条10内側には、例えばアルミニウム等の軽金属性から成る角棒を格子状に組み付けて成る底上げ補強部9が形成されている。
【0026】
さらに、この底上げ補強部9が配置されているキャスター台車2上の、前記側壁部3の正面部3aおよび背面部3dの装着位置に対応する前後箇所には、キャスター台車2に対して側壁部3を固定するための第1スライドストッパ手段11が設けられている。
【0027】
すなわち、第1スライドストッパ手段11は、図5および図6に示すように、キャスター台車2上に固定された軸受台座部11aに対して前後方向にスライド可能な係止ロッド11bを備え、該係止ロッド11bの周面一箇所には操作レバー11cが付設されている。この操作レバー11cは、軸受台座部11aの前後方向に形成されているスライド溝11dに沿って前後方向に移動させることにより、当該係止ロッド11bの先端側が軸受台座部11aより進出乃至退避できるようになっている。また、スライド溝11dの前後には直交状の溝となる係止溝11e、11fが形成され、操作レバー11cの前後スライド位置にてこれを回転させて係止溝11e、11fに係架させることで、操作レバー11cが固定保持できるようになっている。
【0028】
そして、キャスター台車2上の溝条10に装着された側壁部3の正面部3aおよび背面部3dそれぞれの下方に位置する骨組み枠部材内側には、軸受台座部11aの係止ロッド11bに対向して穴部11gが形成されており、操作レバー11cの前方移動操作で進出した係止ロッド11bがこの穴部11gに嵌合もしくは挿入されることで、キャスター台車2に対して側壁部3が固定されるものとなっている。
【0029】
また、天井部4および側壁部3それぞれには、天井部4の一端側を側壁部3の上側開口部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段12を備えている。
【0030】
すなわち、ジョイント手段12は、図7(a)、図7(b)に示すように、天井部4の一端側に、下端縁に左右一対の筒部12a、12bが互いに横向き対向状となって付設されている上側基板部12cがネジ止め固定され、当該両筒部12a、12bに跨って軸部12dが嵌着されている。これに対応して側壁部3の上側開口部における開口端外縁には、上端縁に断面略C環状の係架部12eが付設されている下側基板部12fがネジ止め固定されている。
【0031】
このとき、係架部12eの横幅員は、両筒部12a、12b間で露出している軸部12dの長さと略同じである。そして、天井部4を若干斜めにしてから係架部12eに軸部12dを係架させることで天井部4の一端側は側壁部3に対して回動可能に保持されるものとなっている。
【0032】
一方、天井部4の他端側には、当該天井部4を側壁部3の上側開口部に係止固定するためのフック手段13を備えている。
【0033】
すなわち、フック手段13は、図8、図9(a)、図9(b)に示すように、天井部4の他端側における骨組み枠部材内側に、下端縁に左右一対の筒部13a、13bが互いに横向き対向状となって付設されている上側基板部13cがネジ止め固定され、当該両筒部13a、13bに跨って軸部13dが嵌着されている。そして、軸部13dには回動片13eが取り付けられ、当該回動片13eの下端には、左右両側に爪片13f、13gを備えたフック13hが固定されている。
【0034】
また、回動片13eには、フック13hの爪片13f、13gを上側から押え込むための押え片13iが軸部13jを介して回動可能に設けられている。一方、このフック手段13に対応して、側壁部3の正面部3aにおける上側開口部を構成する骨組み枠部材内側には、フック13hの爪片13f、13gを係架させるための横向き長円形状の係止孔部13kが形成されており、フック13hの爪片13f、13gを係止孔部13kに係架させ、さらに爪片13f、13gの上から押え片13iを係止孔部13kに係架させることで天井部4の他端側は側壁部3に係止固定されるものとなっている。
【0035】
扉部5は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸5a、5bを有し、例えば左側の開き戸5aには、当該開き戸5aを閉鎖状態で側壁部3に固定させるための第2スライドストッパ手段14を備えている。なお、左右の開き戸5a、5bは共に、例えばアルミニウム等の軽金属性から成る骨組み枠部材および平板材の貼り合わせによって形成されている。また、左右の開き戸5a、5b中央の外側面には帯状の緩衝部材31(図1、図2、図4参照)が貼設されている。
【0036】
この第2スライドストッパ手段14は、左側の開き戸5aの開放端側の骨組み枠部材における内側の上下対称箇所に設けられ、左側の開き戸5aを上下にて側壁部3の上下骨組み枠部材に固定されるようになっている。なお、以下において上側の第2スライドストッパ手段14の具体的構成について説明するが、下側の第2スライドストッパ手段14もこの上側の第2スライドストッパ手段14と同じ構成であるのでその詳細な説明を省略する。
【0037】
すなわち、第2スライドストッパ手段14は、図10(a)、図10(b)に示すように、左側の開き戸5aの開放端側の骨組み枠部材内側にネジ止め固定されたガイド基部14aに対して上下方向にスライド可能な係止片14bを備え、該係止片14bの外面一箇所には操作突起14cが付設されている。この操作突起14cは、ガイド基部14aの上下方向に形成されているスライド溝14dに沿って上下方向に移動させることにより、係止片14bの先端側がガイド基部14aより進出乃至退避できるようになっている。
【0038】
一方、この第2スライドストッパ手段14の係止片14bに対応して、側壁部3の正面部3aにおける上側開口部を構成する骨組み枠部材内側には係止溝14eが形成されており、左側の開き戸5aを閉鎖した状態で操作突起14cを上方に移動させることで係止片14bは係止溝14eに係合され、これにより、左側の開き戸5aを側壁部3の骨組み枠部材に固定されるようになっている。
【0039】
また、図11に示すように、右側の開き戸5bの開放端側の骨組み枠部材における中央には、キーKを挿入するためのキー孔15が設けられ、このキー孔15にキーKを差し込んで反時計方向に回転させることで、キー孔15内端側のサムターン15aが、閉鎖状態にある左側の開き戸5a方向に回転し、これによって右側の開き戸5bは左側の開き戸5aに対して固定されるものとなっている。
【0040】
なお、上記したキャスター台車2側および左側の開き戸5a側の第2スライドストッパ手段14は本発明の一例に過ぎず、上記した各構成とは別の例えばフック構造等による他のストッパ手段を採用しても良い。
【0041】
次に、以上のように構成された形態についての組立・使用の一例について説明する。先ず、台車本体1の組立に際し、ハンドル2aを引き起こした状態のキャスター台車2の上に、折り畳まれている側壁部3を載せておき、側壁部3を展開状態にしつつ当該側壁部3の下端縁を溝条10に装着する。
【0042】
この場合、図4(a)に示すように、先に背面部3d側の下端の長い方の突起21を溝条10内の穴部22に嵌合させておき、図4(b)に示すように、当該背面部3dを支持した状態で正面部3aを矢票A方向に引き伸ばす。このとき、左右側面部3b、3cそれぞれの各中間折込部8同士はヒンジ部6を介して互いに外方に向けて展開される。その後、図4(c)に示すように、側壁部3が矩形筒状となった時点で、正面部3a側の下端の短い方の突起21を溝条10内の他方の穴部22に嵌合させる。
【0043】
そして、図5、図6に示すように、第1スライドストッパ手段11の操作レバー11cを軸受台座部11aのスライド溝11dに沿って前方向に移動させることにより、係止ロッド11bの先端側を軸受台座部11aより進出させ、係止ロッド11bを側壁部3下側の穴部11gに嵌合もしくは挿入させることで、キャスター台車2に対して側壁部3が固定される。然る後、操作レバー11cを回して前側の係止溝11eに係架させておく。
【0044】
次に、側壁部3の上側開口部に天井部4を取り付ける。この場合、図7(a)および図7(b)に示すように、天井部4を若干斜めにしてから側壁部3の背面部3dのジョイント手段12の係架部12eに天井部4の一端側のジョイント手段12の軸部12dを係架させることで天井部4の一端側を側壁部3に対して保持させておく。そして、図8、図9(a)、図9(b)に示すように、天井部4の他端側にあるフック手段13におけるフック13hの爪片13f、13gを、側壁部3の正面部3aにおける係止孔部13kに係架させ、さらに爪片13f、13gの上から押え片13iを係止孔部13kに係架させることで天井部4の他端側が側壁部3に係止固定される。
【0045】
次に、台車本体1の使用に際し、図3に示すように、扉部5の左右の開き戸5a、5bを開放させ、収容空間S内に、廃棄物が収納されている梱包体Pを順次収容する。このとき、孔部P3を有する面が上向きで且つ投入口P2を有する面が横向きとなるように配置する。そして、収容空間Sの左側に梱包体Pを順次積み重ね収容し、左側の開き戸5aを閉鎖してから、図10(a)、図10(b)に示すように、第2スライドストッパ手段14の操作突起14cを上方に移動させることで係止片14bを係止溝14eに係合させることにより、左側の開き戸5aを側壁部3の骨組み枠部材に固定させておく。
【0046】
次に、収容空間Sの右側に梱包体Pを積み重ね収容して右側の開き戸5bを閉鎖し、図11に示すように、キー孔15にキーKを差し込んで反時計方向に回転させることで、キー孔15内端側のサムターン15aを、閉鎖状態にある左側の開き戸5a方向に回転させる。これによって右側の開き戸5bは左側の開き戸5aに対して閉鎖固定される。こうして、廃棄物を収納した各梱包体Pは台車本体1によって保護された状態で荷車位置まで搬送される。
【0047】
なお、台車本体1の不使用の際には、上記した組み付け手順を逆に辿ることによって台車本体1は簡単に分解され、コンパクトな状態となって所定の保管場所に収納される。このとき、特に、側壁部3は、左右側面部3b、3cそれぞれの各中間折込部8同士をヒンジ部6を介して互いに内方に向けて折り込むことで、側壁部3自体を略平面状に折り畳み可能となるようにしてある(図4参照)ので、分解されたキャスター台車2および天井部4と共にコンパクトに収納保管しておくことができる。
【符号の説明】
【0048】
P 梱包体
S 収容空間
K キー
1 台車本体
2 キャスター台車
3 側壁部
3a 正面部
3b 左側面部
3c 右側面部
3d 背面部
4 天井部
5 扉部
6 ヒンジ部
7 角側折込部
8 中間折込部
10 溝条
11 第1スライドストッパ手段
12 ジョイント手段
13 フック手段
14 第2スライドストッパ手段
15 キー孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル折り畳み式のキャスター台車と、当該キャスター台車上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部を有する側壁部と、該側壁部の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部に対し脱着可能に取り付けられる天井部とを備え、キャスター台車、側壁部、天井部それぞれによって囲まれた内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体の収容空間としたことを特徴とする廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項2】
側壁部は、前記扉部を有する正面部、左右側面部、背面部がヒンジ部を介して互いに接続されて成り、左右側面部同士はこれら中央縦方向に沿って分断され且つヒンジ部を介して互いに接続されて成る中間折込部を備え、左右側面部それぞれの各中間折込部同士をヒンジ部を介してそれぞれ内方に向けて折り込むことで、側壁部を平面状に折り畳み可能とした請求項1記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項3】
キャスター台車には、側壁部の下端縁部を装着させるための溝条と、側壁部の下端適所から下方に向けて突設した突起を装着するための穴部と、キャスター台車上に装着された側壁部を当該キャスター台車に対して固定するための第1スライドストッパ手段とを備えた請求項1または2記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項4】
天井部は、側壁部の上側開口部に対し脱着可能に取り付けられるよう当該天井部の一端側を側壁部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段と、天井部の他端側を側壁部に係止するためのフック手段とを備えた請求項1乃至3のいずれか記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項5】
扉部は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸を有し、左右いずれか一方の開き戸には、当該開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるための第2スライドストッパ手段を備え、左右いずれか他方の開き戸には、キーの挿入回転により当該開き戸を前記閉鎖状態にある一方の開き戸に対して固定するためのキー孔を備えた請求項1乃至4のいずれか記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項1】
ハンドル折り畳み式のキャスター台車と、当該キャスター台車上に脱着可能に取り付けられ且つ一側面に扉部を有する側壁部と、該側壁部の上側開口部を塞ぐよう当該側壁部に対し脱着可能に取り付けられる天井部とを備え、キャスター台車、側壁部、天井部それぞれによって囲まれた内部空間を、廃棄物を収納した複数の梱包体の収容空間としたことを特徴とする廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項2】
側壁部は、前記扉部を有する正面部、左右側面部、背面部がヒンジ部を介して互いに接続されて成り、左右側面部同士はこれら中央縦方向に沿って分断され且つヒンジ部を介して互いに接続されて成る中間折込部を備え、左右側面部それぞれの各中間折込部同士をヒンジ部を介してそれぞれ内方に向けて折り込むことで、側壁部を平面状に折り畳み可能とした請求項1記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項3】
キャスター台車には、側壁部の下端縁部を装着させるための溝条と、側壁部の下端適所から下方に向けて突設した突起を装着するための穴部と、キャスター台車上に装着された側壁部を当該キャスター台車に対して固定するための第1スライドストッパ手段とを備えた請求項1または2記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項4】
天井部は、側壁部の上側開口部に対し脱着可能に取り付けられるよう当該天井部の一端側を側壁部に対して回動可能に保持するためのジョイント手段と、天井部の他端側を側壁部に係止するためのフック手段とを備えた請求項1乃至3のいずれか記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【請求項5】
扉部は、観音開き状に開閉可能とした左右の開き戸を有し、左右いずれか一方の開き戸には、当該開き戸を閉鎖状態で側壁部に固定させるための第2スライドストッパ手段を備え、左右いずれか他方の開き戸には、キーの挿入回転により当該開き戸を前記閉鎖状態にある一方の開き戸に対して固定するためのキー孔を備えた請求項1乃至4のいずれか記載の廃棄物搬送用コンテナ型台車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−39879(P2013−39879A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178300(P2011−178300)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(599074040)株式会社シオザワ (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(599074040)株式会社シオザワ (2)
【Fターム(参考)】
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