廃熱を用いた、コンパクトな廃水濃縮器
コンパクトな可搬型液体濃縮器は、ガス入口と、ガス出口と、前記ガス入口および前記ガス出口を接続するフロー通路とを含む。前記フロー通路は、前記フロー通路内を通過するガスを加速させる幅狭部を含む。前記幅狭部よりも前方の地点にあるガスストリームに液体入口から液体が注入され、これにより、前記フロー通路内において前記ガス液体混合物が十分に混合され、その結果前記液体の一部が蒸発する。前記幅狭部の下流に設けられたデミスターまたは流体スクラバーにより、前記ガスストリームから混入液滴が除去され、前記除去された液体は、再循環回路を通じて前記液体入口へと再循環される。新規の濃縮対象液体も、前記フロー通路中において蒸発する液体の量をオフセットさせるのに十分な速度で前記再循環回路内へ導入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第12/705,462号(出願日:2010年2月12日)の部分継続出願である。米国特許出願第12/705,462号は、米国特許出願第12/530,484号(出願日:2009年9月9日)の部分継続出願である。米国特許出願第12/530,484号は、国際(PCT)特許出願第PCT/US08/56702(出願日:2008年3月12日)の米国国内段階出願であり、米国仮特許出願第60/906,743号(出願日:2007年3月13日)の恩恵を主張する。本出願はまた、米国仮特許出願第61/152,248号(出願日:2009年2月12日)および米国仮特許出願第61/229,650号(出願日:2009年7月29日)の優先権による恩恵を主張する。本明細書中、出願第12/530,484号、60/906,743号、61/152,248号および61/229,650号それぞれの開示内容全体を明示的に参考のため援用する。
【0002】
本出願は、主に液体濃縮器に関し、より詳細には、コンパクトであり、ポータブルでありかつコスト効率の良い廃水濃縮器に関する。前記廃水濃縮器は、廃熱源に容易に接続可能でありかつ廃熱源を容易に利用することができる。
【背景技術】
【0003】
揮発性物質の濃縮は、広範かつ多様な廃水流の有効な形態の処理または前処理であり得、多様な種類の商用処理システム内において行うことができる。高レベルの濃度において、多くの廃水流を、高レベルの溶解固体および浮遊固体を含むスラリーの形態の残留物質に還元することができる。このような濃縮残留物は、従来の技術によって容易に固化した後に埋立地内に埋め立てることもできるし、あるいは、適用可能な場合は、下流プロセスへと送ってさらなる処理を施した後に最終埋め立てに送ることもできる。廃水を濃縮することで、輸送コストおよび必要な貯蔵容量の大幅な低減が可能になり、また、廃水からの物質回収を行う下流プロセスにおいても有用であり得る。
【0004】
産業廃水流の特性は、その発生元である多数の産業プロセスによって極めて広範に異なる。すなわち、産業内の制御条件下の設計に起因して発生する廃水に加え、事故および自然災害に起因して発生する制御不能な事態に起因する廃水もしばしば発生する。廃水制御のための技術を挙げると、下水処理工場への直接排水、前処理後の下水処理工場への排水、有用成分の再生利用のためのオンサイトプロセスまたはオフサイトプロセス、最終埋め立て前に廃水調整のみを行うオンサイト処理またはオフサイト処理がある。廃水源が制御不能である場合、有効な閉じ込め技術および回収技術を上記選択肢のいずれかに含める必要がある。
【0005】
廃水濃縮プロセスの有効性の重要な尺度として、発生残留物の体積と、プロセス内に入る廃水の体積との間の比率がある。詳細には、残留物体積と供給体積との間の比が低い(高レベル濃度)ほど望ましい。廃水中に溶解物質および/または浮遊不揮発性物質が含まれている場合、揮発性物質の蒸発に依存している特定の濃縮プロセスにおいて達成可能な体積低減は、プロセス流体への熱伝達のために選択された方法により、大幅に限定される。
【0006】
従来のプロセスの場合、水および他の揮発性物質の蒸発による濃度に影響が発生する。従来のプロセスは、濃縮中の液体(プロセス流体)への熱伝達方法に応じて、直接熱伝達システムまたは間接熱伝達システムに分類することができる。間接熱伝達デバイスは、ジャケット付き管またはプレート、バヨネットチューブまたはコイル型熱交換器を主に含む。前記ジャケット付き管は、プロセス流体を含む。前記プレート、バヨネットチューブまたはコイル型熱交換器は、前記プロセス流体中に浸漬される。蒸発に必要な熱伝達のために、媒体(例えば、蒸気または熱油)が前記ジャケットまたは熱交換器を通じて送られる。直接熱伝達デバイスによって行われるプロセスにおいては、熱媒体を前記プロセス流体と直接接触させる。このような直接接触は、例えば水中燃焼ガスシステム内において発生する。
【0007】
熱交換器(例えばジャケット、プレート、バヨネットチューブまたはコイル)に依存する間接熱伝達システムの場合、プロセス流体と直接接触する熱交換器表面上の固体蓄積によって制限を受けることが多い。また、このようなシステムの場合、熱媒体への熱エネルギー移動のために必要な別個のプロセス(例えば、蒸気ボイラーまたは他の熱伝達流体(例えば、熱油ヒーター)の加熱に用いられるデバイス)に起因して、システム設計が複雑である。この設計に起因して、濃縮プロセスを支持するために2つの間接熱伝達システムが必要となる。処理を受けている最中に熱交換器上に蓄積物を発生させるフィードストリームをファウリング流体と呼ぶ。温度上昇と共に溶解度が低下する特定の化合物(例えば、炭酸塩)がフィードストリーム中に含まれる場合、熱交換器表面の温度上昇に起因して、総体的に低い濃度においても蓄積物(一般的にボイラースケールとして知られる)が発生する。さらに、温度上昇と共に溶解度が高くなる化合物(例えば、塩化ナトリウム)が廃水フィード中に存在する場合、当該化合物に起因して、プロセス流体が高濃度になるにつれて、溶液から蓄積物がやはり沈殿する。このような蓄積物があると、プロセス効率維持のために熱交換表面のクリーニングを頻繁に行う必要がある。このような蓄積物は、廃水フィードと共にプロセス内に搬送される浮遊固体と、プロセス流体中から沈殿する固体との任意の組み合わせであり得る。このような熱交換表面上の固体蓄積による悪影響に起因して、間接熱伝達プロセスの稼働可能時間の長さが制限を受ける。なぜならば、定期クリーニング実施のために、当該プロセスの中断が必要となるからである。このように、このような悪影響に起因して、廃水範囲にファウリング流体が含まれる場合に特に、廃水の有効制御範囲が実際に制限される。従って、間接熱伝達機構に依存するプロセスは、多様かつ広範囲の廃水流の濃縮と、残留物対供給体積の比の低減とには不適切であることが多い。
【0008】
特許文献1(同文献を参考のため援用する)中において、特定の種類の直接熱伝達濃縮器についての開示がある。この直接熱伝達濃縮器は、水中ガスプロセスの形態をとっており、燃焼ガスを発生させ、入口パイプを通じてプロセス流体中の分散ユニットへと送る。前記分散ユニットは、複数の間隔を空けて配置されたガス送達パイプを含む。これらのガス送達パイプは、前記入口パイプからラジアル方向に外側に延びる。これらのガス送達パイプはそれぞれ、小穴を有する。これらの小穴は、前記ガス送達パイプの表面上の多様な位置において間隔を空けて配置され、これにより、処理管内に保持された液体の断面積上においてできるだけ均一に前記燃焼ガスを小泡として分散させる。先行技術における現行での理解によれば、この設計を用いれば、大きな界面表面積上において液体と高温ガスとを望ましく密接に接触させることが可能になる。このプロセスの意図とは、プロセス流体中の気相分散によって形成される動的かつ連続的に再生可能な界面表面積において熱および物質移動を発生させ、固体粒子蓄積が発生し得る固体熱交換表面においては熱および物質移動を発生させないようにすることである。そのため、この水中ガス濃縮プロセスを用いれば、従来の間接熱伝達プロセスと比較して大幅な利点が得られる。しかし、特許文献1の場合、ファウリング流体から形成された固体蓄積に起因して、デバイス内のプロセス流体内に高温ガスを分散させるために用いられるガス送達パイプ中の小穴が塞がれる。その結果プロセス流体への高温ガスの通り道となる入口パイプ内において、固体が蓄積する。
【0009】
さらに、連続的プロセス液相全体において大量のガスを分散させる必要があるため、特許文献1の場合、閉じ込め管の断面積を極めて大きくする必要があることが多い。このような閉じ込め管の内面および当該閉じ込め管内に取り付けられた任意の付属物を、プロセスの「湿潤表面」と総称する。これらの湿潤表面は、システム作動時において、多様な濃度の高温プロセス流体に耐える必要がある。広範囲の廃水流を処理するように設計されたシステムの場合、湿潤表面の構造材料に基づいて、腐食および温度耐性双方に関連して重大な設計事項が決定される。腐食および温度耐性については、設備コストおよび経時的メンテナンス/交換コストとのバランスをとる必要がある。一般的にいって、湿潤表面の耐久性およびメンテナンスコスト/交換コストの低さは高グレードの金属合金または特定の工業用プラスチック(例えば、ガラス繊維管の製造に用いられるもの)のいずれかを選択することにより、向上する。しかし、間接加熱システムまたは直接加熱システムのいずれかを用いた従来の濃縮プロセスの場合、高温媒体(例えば、管内の流体への熱移動のための蒸気、熱伝達油またはガス)のための手段も必要となる。多様な異なる高合金を用いれば、腐食および温度耐性についての答えは得られるものの、このような合金から作製された管および付属物のコストは極めて高いことが多い。さらに、工業用プラスチックの場合、閉じ込め管として直接形成することも湿潤表面上のコーティングとして利用することも可能であるが、多くの工業用プラスチックの温度耐性において制約があることが多い。例えば、特許文献1において用いられている管内の高温ガス用入口パイプの高温表面の場合もこのような制約がある。そのため、これらのプロセスにおいて用いられる管および他の設備は典型的には、製造および維持が極めて高価になることが多い。
【0010】
さらに、これらのシステムの全てにおいて、熱源において濃縮プロセスまたは蒸発プロセスを行う必要がある。多くのシステムが、多様な源によって生成された熱(例えば、エンジン内において発生した熱、燃焼室内において発生した熱、ガス圧縮プロセス内において発生した熱、等)を廃水処理の熱源として利用するように、開発されている。このようなシステムの一例について、特許文献2中に開示がある。同特許においては、水中燃焼ガス蒸発器内の埋立地ガスを燃焼させることにより熱を発生させ、この熱を用いて、埋立地現場において浸出液の処理を行う。特許文献3において、水中ガス蒸発器についての開示がある。この水中ガス蒸発器においては、廃熱をガス蒸発器の入力に提供して、液体の濃縮または蒸発に用いる。廃熱は低コストのエネルギー源としてみなされることが多いものの、廃水処理作業において廃熱を有効利用するためには、多くの場合において、廃熱源から廃熱を蒸発プロセスまたは濃縮プロセスの実行場所まで長距離にわたって搬送する必要があることが多い。例えば、多くの場合、埋立地作業においては、埋立地ガスを燃料として用いて作動する1つ以上の内燃機関を用いた発電機が用いられる。これらの発電機またはエンジンからの排気は典型的には、マフラーおよび排気筒を通じて発電機を含む建物上部の雰囲気へと送られ、廃熱源となる。しかし、この廃熱の収集および利用のためには、大量の高価な配管およびダクトを排気筒に接続して、廃熱を処理システム位置まで送る必要があり、また、処理システムの位置も、発電機を含む建物から離れた地表にあることが多い。重大なことに、排気筒内の高温(例えば、華氏950度)の排気ガスに耐えることが可能な配管、ダクト材料および制御デバイス(例えば、絞り弁および遮断弁)は極めて高価であり、また、輸送時の排気ガス中の熱を保持するために断熱も必要である。このような目的のための受容可能な断熱材料は多様な特性(例えば、脆性、経時的腐食および熱サイクルへの感度)に起因して概して破損することが多く、そのため、設計が複雑化する。断熱に起因して、配管、ダクトおよび制御デバイスの重量も増加し、その結果、構造支持要求コストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5342482号明細書
【特許文献2】米国特許第7214290号明細書
【特許文献3】米国特許第7416172号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に開示されるコンパクトな液体濃縮デバイスは、廃熱源(例えば、埋立地ガスフレアまたは燃焼機関排気筒)に容易に接続可能であり、この廃熱を用いて、直接熱伝達濃縮プロセスを行うことができ、その際、大型の高価な閉じ込め管は不要であり、大量の高価な高温耐性材料も不要である。前記コンパクトな液体濃縮器は、ガス入口と、ガス出口と、前記ガス入口および前記ガス出口を接続する混合通路またはフロー通路とを含む。前記フロー通路は、幅狭部を含む。前記幅狭部において、前記フロー通路内を通過するガスが加速される。前記ガス入口と、前記フロー通路の前記幅狭部との間に配置された液体入口から、前記幅狭部よりも前方の地点において前記ガスストリーム中に液体が注入され、これにより、前記フロー通路内においてガス液体混合物が十分に混合され、前記液体の一部が蒸発または濃縮される。デミスターまたは流体スクラバーが前記幅狭部の下流に設けられる。前記デミスターまたは流体スクラバーは、前記ガス出口に接続され、前記ガスストリームから混入液滴を除去し、前記除去された液体を再循環回路を通じて前記液体入口へと再循環させる。新規の濃縮対象液体も、前記フロー通路中において蒸発する液体および前記プロセスから引き出される全濃縮液体の総計をオフセットさせるのに十分な速度において、前記再循環回路内へ導入される。
【0013】
本明細書中に記載のコンパクトな液体濃縮器は、広範な特性を有する廃水流の濃縮をコスト効率良く行うよう機能する、複数の属性を含む。前記濃縮器は、広範なフィード特性において腐食作用に対して耐性を有し、製造コストおよび動作コストが合理的であり、高レベルの濃度において連続作動が可能であり、かつ、広範な源から直接得られた熱エネルギーを効率的に利用する。さらに、前記濃縮器はコンパクトであるためポータブルであり、廃水が制御不能な事象と共に発生する位置への輸送も容易であり、かつ、廃熱源に近接して取り付けることが可能である。よって、本明細書中に記載の濃縮器は、コスト効率が良く、信頼性があり、かつ耐性のあるデバイスであり、広範な異なる種類の廃水流を連続的に濃縮するように動作し、また、(目詰まりおよび蓄積物増加の原因となっていた)従来の間接熱伝達システムにおける従来の固体表面熱交換器の利用を不要とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンパクトな液体濃縮器の一般的模式図である。
【図2】トラック上での輸送が容易になるよう、パレットまたはスキッド上に取り付けられている、図1の液体濃縮器の実施形態を示す図である。
【図3】埋立地フレアによって生成された廃熱源に接続されている、図1の濃縮プロセスを実行するコンパクトな液体濃縮器の斜視図である。
【図4】図3のコンパクトな液体濃縮器の熱伝達部の斜視図である。
【図5】図3のコンパクトな液体濃縮器の蒸発器/濃縮器部分の正面斜視図である。
【図6】図3のコンパクトな液体濃縮器の一部上の容易に開口可能なアクセスドアの斜視図である。
【図7】図6の容易に開口可能なアクセスドアのうちの1つが開口位置にある様子の斜視図である。
【図8】図6および図7のアクセスドア上において用いられる容易に開口可能なラッチ機構の斜視図である。
【図9】図3のコンパクトな液体濃縮器内において、コンパクトな液体濃縮器の多様な構成成分の動作を制御するために用いることができる、制御システムの模式図である。
【図10】図3のコンパクトな液体濃縮器が、廃熱源としての燃焼機関スタックに取り付けられている様子を示す。
【図11】コンパクトな液体濃縮器の第2の実施形態の一般的模式図である。
【図12】図11のコンパクトな液体濃縮器の上面図である。
【図13】コンパクトな液体濃縮器の第3の実施形態の模式図であり、第3の実施形態は、分散型液体濃縮器である。
【図14】図13の分散型液体濃縮器の液体濃縮部分の側面断面図である。
【図15】図14の液体濃縮部の上面図である。
【図16】図13の分散型液体濃縮器のクエンチャおよびベンチュリ部の詳細な側面図である。
【図17】埋立地浸出液および天然ガス井戸からの生成水を濃縮するために用いられる例示的濃縮器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、液体濃縮器10の一般的模式図である。液体濃縮器10は、ガス入口20と、ガス出口22と、ガス入口20をガス出口22へと接続するフロー通路24とを含む。フロー通路24は、幅狭部26を含む。幅狭部26において、フロー通路24を通過するガスの流れが加速され、その結果、この位置においてまたはこの位置の近隣において、フロー通路24内に乱流が発生する。この実施形態における幅狭部26は、ベンチュリデバイスによって形成され得る。液体入口30から、(蒸発を介して)濃縮されるべき液体が、幅狭部26の上流の地点において、フロー通路24内の液体濃縮室内に注入される。前記注入された液体は、フロー通路24内のガス流と合流する。液体入口30は、フロー通路24内に液体を噴霧するための1つ以上の交換可能なノズル31を含み得る。入口30は、ノズル31を備えているか否かにかかわらず、ガスがフロー通路24を通じて流れる際に当該ガス流に対して(当該ガス流に対して垂直な方向から当該ガス流に対して平行な方向までの)任意の方向において前記液体を導入し得る。バッフル33を液体入口30の近隣に設けることで、液体入口30から導入された液体を前記バッフル上に衝突させ、その結果、前記液滴は、前記フロー通路内において分散して小液滴となる。
【0016】
前記ガスおよび液体が前記幅狭部26を流れて通過するにつれ、ベンチュリ法則により乱流が加速され、フロー通路24中および入口30の位置後において前記ガスおよび液体が十分に混合される。このような幅狭部26を通じた加速に起因して、前記ガス流と前記液滴との間と、前記液滴と幅狭部26の壁との間にせん断力が発生し、その結果、極めて微細な液滴が前記ガス中に混入し、これにより、前記液滴と前記ガスとの間の界面表面積が増加し、前記ガスと前記液滴との間の物質移動および熱伝達が高速化する。前記液体は、幅狭部26内に流入する液体の幾何学的形状に関係無く(例えば、前記液体は、シート状の液体として幅狭部26内に流入し得る)、幅狭部26から出て行く際に極めて微細な液滴になっている。乱流混合およびせん断力の結果、前記液体の一部は高速に蒸発し、前記ガスストリームの一部となる。前記ガス液体混合物が幅狭部26内を通過する際、前記ガス液体混合物の方向および/または速度を、調節可能な流量制限物(例えば、ベンチュリプレート32)によって変更することができる。この流量制限物は一般的には、ベンチュリプレート32の上流および下流のフロー通路24内に大きな圧力差を発生させるために用いられる。ベンチュリプレート32は、幅狭部26のサイズおよび/または形状を制御するように調節可能であり、また、耐食物質(例えば、高合金金属)(例えば、Hastelloy(登録商標)、Inconel(登録商標)およびMonel(登録商標)の商品名下で製造されているもの)から製造可能である。
【0017】
幅狭部26から出た後、前記ガス液体混合物は、ガス出口22に接続されたデミスター34(流体スクラバーまたはエントレインメント分離器とも呼ばれる)を通過する。デミスター34により、ガスストリームから混入液滴が除去される。デミスター34は、ガス流通路を含む。前記除去された液体は、前記ガス流通路内の液体収集器またはサンプ3内に集まる。サンプ36は、前記除去された液体を保持するリザーバも含み得る。サンプ36に流体接続されたポンプ40および/またはリザーバにより、再循環回路42を通じて液体入口30および/またはフロー通路24へと液体が戻される。このようにして、前記液体を所望の濃度まで蒸発により減少させることができる。新規の濃縮対象液体が、液体入口44を通じて再循環回路42へと入力される。この新規液体をベンチュリプレート32の上流のフロー通路24内に直接注入してもよい。新規の液体入力を再循環回路42内に入力する速度は、前記ガス液体混合物がフロー通路24内を通過する際の液体の蒸発速度と、サンプ40内のリザーバ内またはサンプ40内のリザーバの近隣に配置された濃縮流体抽出ポート46を通じて抽出される液体の速度との合計と同一であり得る。再循環液体と新規液体との間との比は、一般的にはおよそ1:1〜およそ100:1であり得、通常はおよそ5:1〜およそ25:1であり得る。例えば、再循環回路42における流体の循環速度がおよそ10gal/分である場合、新規液体をおよそ1gal/分の速度で(すなわち、10:1の比で)導入することができる。再循環回路42内の液体が所望の濃度に到達すると、前記液体の一部を抽出ポート46から吸い出すことが可能になる。再循環回路42は、蒸発プロセスにおけるバッファまたは緩衝装置として機能し、これにより、フロー通路24中に十分な水分が確保され、これにより、液体の完全な蒸発および/または乾いた微粒子の形成が回避される。
【0018】
デミスター34を通過した後、ガスストリームは、導入ファン50を通過する。導入ファン50は、負圧下においてフロー通路24およびデミスターガスフロー通路を通じてガスを吸入する。もちろん、濃縮器10は、液体入口30の前方に設けられた送風機(図示せず)によって生成された陽圧下において動作することも可能である。最終的に、前記ガスは、前記雰囲気に放出されるか、または、ガス出口22から出されてさらなる処理を受ける。
【0019】
濃縮器10は、濃縮対象液体を処理するための前処理システム52を含む。前記濃縮対象液体は、廃水フィードであり得る。例えば、エアストリッパーを前処理システム52として用いることで、悪臭の発生源となり得る物質または大気汚染物質として規制される物質を除去することができる。この場合、前記エアストリッパーは、任意の従来の種類のエアストリッパーであってもよいし、あるいは、本明細書中に記載の種類のさらなる濃縮器であってもよく、エアストリッパーとして直列に使用することが可能である。所望であれば、前処理システム52は、任意の所望の加熱技術を用いて濃縮対象液体を加熱することができる。さらに、濃縮器10内を循環するガスおよび/または廃水フィードは、プレヒーター54内において事前加熱することができる。事前加熱を用いて蒸発速度を上げることができ、よって液体濃縮速度を上げることができる。再生可能な燃料(例えば、木質チップ、バイオガス、メタン、または他の任意の種類の再生可能な燃料、または再生可能な燃料、化石燃料および廃熱の任意の組み合わせ)の燃焼を通じて、ガスおよび/または廃水フィードを事前加熱することができる。さらに、埋立地フレアまたはスタック内において発生した廃熱の利用を通じて、前記ガスおよび/または廃水を事前加熱することができる。また、エンジン(例えば、内燃機関)からの廃熱を用いて、前記ガスおよび/または廃水フィードを事前加熱することができる。さらに、天然ガスは廃熱源として利用可能であり、前記天然ガスは、未精製の状態で天然ガス源泉から直接供給可能であり、ガス流が安定する前の天然ガス井戸完成後すぐに供給することもできるし、あるいは、より安定状態となった天然ガス井戸内においてガス流が安定した後に供給することも可能である。必要に応じて、前記天然ガスを精製した後、フレア内において燃焼してもよい。さらに、濃縮器10のガス出口22から出てきたガスストリームをフレアまたは他の後処理デバイス56へと送り、前記ガスを処理した後に雰囲気に放出してもよい。
【0020】
本明細書中に記載される液体濃縮器10を用いて、広範な廃水流(例えば、産業からの廃水、自然災害からの流出水(洪水、ハリケーン)、精油所焼灼剤、浸出液(例えば、埋立地浸出液)、天然ガス井戸完成後の逆流水、天然ガス井戸の作動に起因して発生する水)を濃縮することができる。液体濃縮器10は、実用的であり、エネルギー効率が良く、信頼性があり、かつコスト効率が良い。この液体濃縮器の有用性を高めるために、液体濃縮器10は、トレーラーまたは可動スキッド上に取り付け可能なように容易に適合可能であり、これにより、事故または自然災害に起因して発生する廃水流に有効に対処するか、または、空間的に離れた遠隔地にある現場において発生した廃水を定期的に処理することができる。本明細書中において記載される液体濃縮器10は、これらの望ましい特性を全て備えており、特に広範かつ多様な廃水流を管理する目的において、従来の廃水濃縮器に比して大きな利点を提供する。
【0021】
さらに、濃縮器10のうち大部分は、耐食性が高くかつ低コストの材料(例えば、ガラス繊維および/または他の工業用プラスチック)から作製される。これが可能であるのは、開示の濃縮器が最小の差圧下において動作するように設計されているという点に部分的に起因する。例えば、一般的にわずか10〜30水柱インチの範囲の差圧しか必要でないことが多い。また、濃縮プロセスのガス液体接触ゾーンからは、流路のベンチュリ部においてまたは流路のベンチュリ部の直後において幅狭の(コンパクトな)通路内において高乱流が発生するため、ガス液体接触が大型プロセス管内において発生する従来の濃縮器と比較して、全体的設計が極めてコンパクトになる。その結果、濃縮器10に必要な高合金金属が極めて最低限になる。また、これらの高合金部品は小型であり、また、短時間かつ最小の労力で容易に交換可能であるため、これらの部品のうち一部または全てを定期的に交換すべきより低品質の合金から製造された摩耗アイテムとして設計することにより、作製コストをさらに節減することが可能である。所望であれば、これらのより低品質の合金(例えば、炭素鋼)を腐食および/または耐食処理が施されたライナー(例えば、弾性重合体を含む工業用プラスチック)によってコーティングすることで、当該コンポーネントの耐用年数を延ばすことができる。同様に、ポンプ40にも腐食および/または耐食処理が施されたライナーを施すことで、ポンプ40を寿命を延ばすことができ、これにより、メンテナンスコストおよび交換コストを低減することができる。
【0022】
理解されるように、液体濃縮器10は、濃縮対象液体および高温ガスの直接接触を起こすことで、高温ガスと前記液体(例えば、濃縮中の廃水)との間の乱流熱交換および物質移動を発生させる。さらに、濃縮器10は、極めてコンパクトなガス液体接触ゾーンを用いることで、当該ガス液体接触ゾーンを公知の濃縮器と比較して最小のサイズにしている。このような直接接触による熱交換機能により、高エネルギー効率が促進され、従来の間接熱伝達濃縮器において用いられていたような固体表面熱交換器が不要になる。さらに、前記コンパクトなガス液体接触ゾーンにより、従来の間接熱交換濃縮器および直接熱交換濃縮器双方において用いられていた嵩高なプロセス管が不要になる。これらの機能により、比較的低コストの作製技術を用いて濃縮器10を製造することが可能になり、濃縮器10の重量も従来の濃縮器よりも軽くすることができる。これらの要素が相乗して、可搬性およびコスト効率が高まる。このように、液体濃縮器10は従来の濃縮器よりもよりコンパクトでありかつ軽量であるため、可搬ユニットとしての用途に理想的である。さらに、液体濃縮器10は、直接接触による熱交換作業と固体熱交換器表面の欠落とに起因するファウリングおよび閉塞が起こりにくい。液体濃縮器10はまた、直接接触熱交換により、大量の浮遊固体を含む液体を処理することも可能である。その結果、濃縮器10のクリーニングを頻繁に行う必要無く、高濃度のプロセス流体を達成することが可能になる。
【0023】
より詳細には、間接熱伝達を用いた液体濃縮器において、熱交換器はファウリングが起こりやすく、そのため、熱交換器内において循環している高温の熱伝達媒体(蒸気または他の高温流体)の通常の使用温度において腐食が加速し易い。これらの要素それぞれに起因して、従来の間接的に加熱される濃縮器の耐久性および/または建築コストにおいて著しい制約が生じ、また、当該熱交換器の作動を中断してクリーニングまたは修理を行う時期までの動作可能時間も同様に著しい制約を受ける。嵩高なプロセス管を不要にすることにより、液体濃縮器の重量と、高合金コンポーネントの初期コストおよび交換コストとをどちらとも低減することができる。さらに、ガス/液体間の温度差と、システム内に含まれる比較的小体積の液体と、前記液体と前記ガスとの間の比較的大きな界面面積と、液体との混合前のガスの相対湿度の低下とに起因して、液体濃縮器10が、特定のガス液体混合物における断熱飽和温度に近づく。前記断熱飽和温度は典型的には、約華氏150度〜約華氏215度である(すなわち、この濃縮器は、「低運動量」濃縮器である)。
【0024】
さらに、濃縮器10は、負圧下において動作するように設計されており、このような機能により、極めて広範な燃料または廃熱源を蒸発のためのエネルギー源として利用することができる能力が大幅に向上する。実際、これらのシステムの牽引性により、加圧バーナーまたは非加圧バーナーを用いて濃縮器10内において用いられるガスの加熱および供給を行うことができる。さらに、最小数の可動部および摩耗部しか必要でないため、濃縮器10の簡潔性および信頼性が増す。一般的に、当該濃縮器が廃熱(例えば、エンジン(例えば、発電機または車両エンジン)、タービン、産業プロセススタック、ガスコンプレッサシステム、およびフレア(例えば、埋立地ガスフレア)からのスタックガス)上において動作するように構成されている場合、必要となるのは2つのポンプおよび単一の誘引通風ファンのみである。これらの機能により、濃縮器10の多様性と、濃縮器10の購入コスト、動作コストおよび維持コストとを好ましく反映できるという大きな利点が得られる。
【0025】
濃縮器10は、起動状態において動作することもできるし、あるいは定常状態において動作することも可能である。起動状態において、デミスター34のサンプおよび再循環回路42に新規の廃水を充填することができる。初期処理時において、入口30内に導入された前記新規の廃水が幅狭部26内において少なくとも部分的に蒸発され、デミスター34のサンプ内において前記新規の廃水よりも濃縮された様態で蓄積される。時間と共に、デミスターサンプ34内の廃水および再循環回路42が所望のレベルの濃度に近づく。この地点において、濃縮器10を連続的モードで動作させることができる。連続的モードにおいて、抽出ポート46から吸い出された固体量は、入口30を通じて新規の廃水内に導入された固体量に等しい。同様に、濃縮器10内において蒸発した水の量を、前記新規の廃水中の同量の水と交換する。よって、濃縮器10内の状態は、加熱されたガスおよび廃水の混合物の断熱飽和点に近づく。その結果、濃縮器10が高効率になる。
【0026】
図2は、可動フレーム60(例えば、パレット、トレーラーまたはスキッド)上に取り付けられた液体濃縮器10の側面図である。この可動フレームのサイズおよび形状は、輸送用車両62(例えば、トラクタートレーラートラック)へ容易に積載または接続できるようなサイズおよび形状にされる。同様に、このような取り付けられた濃縮器は、遠隔現場への高速輸送の際に列車、船舶または飛行機(図示せず)に容易に積載可能である。液体濃縮器10は、内部にバーナーおよび燃料供給を備えた完全自立型ユニットとして作動することもできるし、あるいは、液体濃縮器10は、オンサイトバーナーおよび/あるいはオンサイト燃料または廃熱源を用いて作動することもできる。濃縮器10の燃料は、再生可能な燃料源(例えば、廃棄物(紙、木質チップ)および埋立地ガスを含み得る。さらに、濃縮器10は、従来の化石燃料(例えば、石炭または石油)、再生可能な燃料および/または廃熱の任意の組み合わせによって作動し得る。
【0027】
典型的なトレーラー上に取り付けられた濃縮器10は、1日あたり10万ガロン以上もの廃水を処理することができ、一方、より大型の定置型ユニット(例えば、埋立地、下水処理工場、あるいは天然ガス田または油田に設置されたもの)を用いれば、1日あたり数10万ガロンの廃水を処理することができる。
【0028】
図3は、コンパクトな液体濃縮器110の1つの特定の実施形態を示す。液体濃縮器110は、図1について上述した原理を用いて動作し、埋立地フレアの形態をした廃熱源に接続される。一般的に言えば、図3のコンパクトな液体濃縮器110は、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)および/またはより地方の規制当局によって設定された基準を満たす様態で埋立地ガスを燃焼する埋立地フレア内において発生した排気または廃熱を用いて、廃水(例えば、埋立地浸出液)を濃縮するように動作する。既知のように、ほとんどの埋立地に含まれるフレアは、埋立地ガスを燃焼させてメタンおよび他のガスを除去した後、雰囲気へと放出するために用いられる。典型的には、前記フレアから出てきたガスは、華氏1200〜1500度であり、華氏1800度に到達し得る。図3に示すコンパクトな液体濃縮器100は、天然ガス井戸からの濃縮逆流または生成水においても等しく有効であり、源泉にあるかまたは源泉の近隣の天然ガスフレアまたはプロパンフレアからの排気ガス上において動作可能である。いくつかの実施形態において、前記天然ガスフレアは、天然ガス井戸から直接天然ガスと共に供給され得る。
【0029】
図3に示すように、コンパクトな液体濃縮器110は、一般的にフレアアセンブリ115を含むかまたはフレアアセンブリ115に接続される。コンパクトな液体濃縮器110は、熱伝達アセンブリ117(図4中により詳細を示す)と、空気前処理アセンブリ119と、濃縮器アセンブリ120(図5中により詳細を示す)と、流体スクラバー122と、排気部124とを含む。重要なことに、フレアアセンブリ115は、フレア130と、フレアキャップアセンブリ132とを含む。フレア130は、任意の既知の原理に従ってフレア130内の埋立地ガス(または他の可燃性燃料)を燃焼させる。フレアキャップアセンブリ132は、可動キャップ134(例えば、フレアキャップ、排気ガスキャップ)または他の種類のスタック(例えば、燃焼ガス排気筒)を含む。可動キャップ134は、フレア130の上部を被覆する。前記他の種類のスタック(例えば、燃焼ガス排気筒)は、フレアキャップ134が閉口位置にある際にフレア130の上部を封するか、または、部分的に閉口位置においてフレアガスの一部を方向転換させる。可動キャップ134は、フレアキャップ134が開口位置または部分的に開口位置にある際、フレア130内において発生したガスを主要ガス出口143を形成する開口端部を通じて雰囲気へと逃がす。フレアキャップアセンブリ132はまた、キャップアクチュエータ135(例えば、図4に示すモータ(例えば、電気モータ、油圧モータ、空気式モータ))も含む。キャップアクチュエータ135は、全開口位置と全閉口位置との間でフレアキャップ134を移動させる。図4に示すように、フレアキャップアクチュエータ135は、例えば、フレアキャップ134を回転軸136周囲において回転または移動させることで、フレアキャップ134を開閉する。フレアキャップアクチュエータ135は、チェーン駆動または他の任意の種類の駆機機構を用い得る。前記駆機機構は、フレアキャップ134を回転軸136周囲において移動させるように、フレアキャップ134に接続される。フレアキャップアセンブリ132はまた、カウンターウェイト137も含み得る。カウンターウェイト137は、フレアキャップ134からみて回転軸136の反対側に配置され、フレアキャップ134が回転軸136の周囲において移動する際、フレアキャップ134の重量の一部を均衡またはオフセットさせるようになっている。カウンターウェイト137により、フレアキャップ134を開口位置と閉口位置との間で移動または回転可能にしつつ、アクチュエータ135のサイズまたは出力を低減することが可能になる。前記開口位置において、フレア130の上部(または第1の燃焼ガス出口143)が雰囲気に対して開口状態であり、前記閉口位置において、フレアキャップ134は、フレア130の上部(または第1の燃焼ガス出口143)を被覆または実質的に密閉する。フレアキャップ134そのものは、高温耐性材料(例えば、ステンレス鋼または炭素鋼)によって構成され得、下部上の耐火材料(例えば、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニウム)によってライニングまたは断熱され得る。前記耐火材料は、フレアキャップ134が前記閉口位置にある際、高温フレアガスに直接接触する。
【0030】
所望であれば、フレア130は、アダプター部138を含み得る。アダプター部138は、第1の燃焼ガス出口143と、第1の燃焼ガス出口143の上流の第2の燃焼ガス出口141とを含む。フレアキャップ130が閉口位置にある場合、燃焼ガスが第2の燃焼ガス出口141を通じて送られる。アダプター部138は、コネクタ部139を含み得る。コネクタ部139は、90度の曲がり部または角部を用いて、フレア130(または排気筒)を熱伝達部117へと接続する。他のコネクタ配置構成も可能である。例えば、フレア130および熱伝達部117は、実質的に任意の0度〜180度の角度において接続され得る。この場合、フレアキャップアセンブリ132は、第1の燃焼ガス出口143の近隣においてアダプター部138の上部に取り付けられる。
【0031】
図3および図4に示すように、熱伝達アセンブリ117は、移送管140を含む。移送管140は、フレア130への空気前処理アセンブリ119の入口に接続し、より詳細には、フレア130のアダプター部138に接続する。支持部材142は、垂直バーまたはポールの形態をとり、地表と同じかまたは地表よりも高い所定の高さにおいて、フレア130と空気前処理アセンブリ119との間において熱伝達パイプ140を支持する。熱伝達パイプ140は、第2の燃焼ガス出口141においてコネクタ部139またはアダプター部138に接続され、前記移送管は、アダプター部138と第2のプロセス(例えば、流体濃縮プロセス)との間の流体通路の一部を形成する。支持部材142が必要な代表的理由として、熱伝達パイプ140は一般的に金属(例えば、カーボンスチールまたはステンレス鋼)で構成され、材料(例えば、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニウム)によって耐火ライニングが施され、これにより、フレア130から空気前処理アセンブリ119へと移動するガスの温度に耐えることができる。よって、熱伝達パイプ140は典型的には、高重量の設備である。しかし、その一方でフレア130および空気前処理アセンブリ119および濃縮器アセンブリ120は相互に直近して配置されているため、熱伝達パイプ140を比較的短い長さにすることが一般的に可能になり、これにより、濃縮器110内において用いられる材料のコストが低減し、また、濃縮器110の地表よりも高い高さにある高重量部分の重量を支持するために必要な支持構造の量も低減する。図3に示すように、熱伝達パイプ140および空気前処理アセンブリ1119は、上下逆のU字型構造を形成する。
【0032】
空気前処理アセンブリ119は、垂直配管部150と、外気弁(図3および図4中には明示せず)とを含む。前記外気弁は、垂直配管部150の上部に配置される。前記外気弁(ダンパまたはブリード弁とも呼ぶ)は、熱伝達パイプ140(または空気前処理アセンブリ119)と外気との間に流体通路を形成する。前記外気弁は、外気をメッシュバードスクリーン152(典型的には、ワイヤまたは金属)を通じて空気前処理アセンブリ119内部に流入させた後、フレア130から来た高温ガスと混合させるように、動作する。所望であれば、空気前処理アセンブリ119は、前記ブリード弁の近隣の永久開口部を含んでもよく、この永久開口部により、一定量のブリード空気を空気前処理アセンブリ119内へと入らせることができる。このようなブリード空気は、必要なブリード弁のサイズの低減および安全上の理由において望ましい場合がある。所望であれば、圧力送風機(図示せず)を前記外気弁の入口側に接続して、前記外気弁を通じて外気を強制排気することができる。圧力送風機を実装する場合、バードスクリーン152および永久開口部(実装した場合)を前記圧力送風機の入口側に再配置することができる。前記外気弁またはブリード弁の制御について本明細書中に以下により詳細に説明するが、この弁により、フレア130からのガスをより望ましい温度に冷却した後、濃縮器アセンブリ120内へと入らせることが一般的に可能になる。空気前処理アセンブリ119は、支持部材142に接続されたクロスメンバー154によって部分的に支持され得る。これらのクロスメンバー154により、空気前処理アセンブリ119が安定する。空気前処理アセンブリ119も、典型的には高濃度炭素またはステンレス鋼または他の金属で構成され、かつ、エネルギー効率の向上と、濃縮器110のこの部分内のガスの高温に対する耐久性とのために、耐火ライニングされ得る。所望であれば、垂直配管部150を延長させて、異なる高さのフレアに適合または対応できるようにして、これにより、液体濃縮器110を多くの異なるフレアまたは異なる高さのフレアに適合可能なものとし、また、コンポーネントの垂直および/または水平方向の若干のミスアライメントの修正時における濃縮器の組み立て時の効率を向上させる。このコンセプトを図3中により詳細に示す。図3に示すように、垂直配管部150は、第1の部分150A(点線で図示)を含み得る。第1の部150Aは、第2の部分150B内に設けられ、これにより垂直配管部150の長さ(高さ)が調節可能になっている。
【0033】
一般的に言えば、空気前処理アセンブリ119は、スクリーン152の真下の外気弁を通じて得られた外気と、フレア130から熱伝達パイプ140を通じて流れてきた高温ガスとを混合して、所望の温度のガスを濃縮器アセンブリ120の入口において得るように、動作する。
【0034】
液体濃縮器アセンブリ120は、導入部156を含む。導入部156は上部において断面が小さくなっており、この上部において、配管部150の下部と濃縮器アセンブリ120のクエンチャ159とが噛み合わされる。濃縮器アセンブリ120はまた、第1の流体入口160を含む。第1の流体入口160は、新規または未処理の濃縮対象液体(例えば、埋立地浸出液)をクエンチャ159の内部に注入する。図3中では図示していないが、入口160は、大型ノズルを備えた粗噴霧器を含み得る。前記粗噴霧器は、前記未処理の液体をクエンチャ159内に噴霧する。本システムにおけるこの地点においてクエンチャ159内に噴霧される液体はまだ濃縮されていないため、大量の水を含んでおり、また、前記噴霧器は粗噴霧器であるため、前記噴霧器ノズルにおいて、前記液体内の小粒子に起因してファウリングまたは塞栓が発生しない。理解されるように、クエンチャ159は、入口160において注入された液体の高度蒸発を行いつつ、ガスストリームの温度を(例えば、約華氏900度〜華氏200度)まで高速低減させるように、機能する。所望であれば、図3中には明示していないものの、温度センサを配管部150の出口またはその近隣あるいはクエンチャ159内に設けて、この温度センサを用いて、前記外気弁の位置を制御することで、濃縮器アセンブリ120の入口に存在するガスの温度を制御することができる。
【0035】
図3および図5に示すように、クエンチャ159は、液体注入チャンバに接続される。前記液体注入チャンバは、幅狭部またはベンチュリ部162に接続される。ベンチュリ部162は、クエンチャ159に対して幅狭断面を有し、内部に設けられたベンチュリプレート163(点線で図示)を有する。ベンチュリプレート163により、ベンチュリ部162内に幅狭通路が得られ、この幅狭通路により、ベンチュリ部162の入口と出口との間に大きな圧力降下が発生する。この大きな圧力降下により、クエンチャ159内およびベンチュリ部162の上部または入口にガス乱流およびせん断力が発生し、ベンチュリ部162からガス流が高速で出て行き、これらの結果に起因して、ベンチュリ部162内においてガスおよび液体が十分に混合される。ベンチュリプレート163の位置は、手動制御ロッド165(図5中に図示)を用いてまたは自動ポジショナーを介して、制御することができる。手動制御ロッド165(図5中に図示)は、プレート163の回転軸に接続される。前記自動ポジショナーは、電気モータまたは空気式シリンダ(図5中図示せず)により駆動することができる。
【0036】
再循環パイプ166は、ベンチュリ部162の入口の反対側周囲において延び、部分的に濃縮された(すなわち、再循環した)液体をベンチュリ部162内に注入するように動作し、これにより、前記液体をさらに濃縮しかつ/または前記濃縮器アセンブリ120内において前記フロー通路の1つ以上の側部上に配置された複数の流体入口を通過する微粒子の乾燥を回避する。図3および図5中では明示していないが、複数のパイプ(例えば、3本のパイプ(例えば、直径1/2インチのもの)を、ベンチュリ部162を部分的に包囲するパイプ166の対向脚部それぞれから延ばし、壁部を通じてベンチュリ部162の内部へと延ばすことができる。この地点において、濃縮器110に注入されている液体は再循環液体であるため、部分的に濃縮状態になっているかまたは特定の平衡濃度で維持された状態であり、濃縮入口160に注入されたより低濃度の液体よりも噴霧器ノズルを詰まらせる可能性が高いため、この液体を噴霧器を用いずに直接注入することで、目詰まりを回避する。しかし、所望であれば、平坦板の形状をしたバッフルを前記直径1/2インチのパイプの各開口部の前方に配置してもよく、これにより、本システム内のこの地点において注入された液体を前記バッフルと衝突させ、濃縮器アセンブリ120内においてより小さな液滴として分散させることができる。任意の事象において、この再循環システムの構成により、濃縮器アセンブリ120内を流れるガスストリーム内において、前記再循環液体が分配または分散される。
【0037】
高温ガスおよび液体は、共に乱流となってベンチュリ部162を通過する。上記したように、ベンチュリ部162は、濃縮器アセンブリ120の幅にわたって配置された可動ベンチュリプレート163を有する。このようなベンチュリ部162により、乱流が発生しまた液体およびガスの混合物が完成し、その結果、不連続液相が高速蒸発して連続気相となる。ベンチュリ部162によって得られる混合作用により高度蒸発が得られるため、前記ガスは濃縮器アセンブリ120内において実質的に冷却され、ベンチュリ部162から出て行って高速で浸水曲がり部164内へと入る。実際、この地点における前記ガス液体混合物の温度は、約華氏160度であり得る。
【0038】
典型的な浸水曲がり部と同様に、浸水曲がり部164の下部内の堰配置構成(図示せず)により、一定レベルの部分的にまたは完全に濃縮された再循環液体が内部において維持される。ガス液体混合物として気相内に混入された再循環液体の液滴は、ベンチュリ部162から高速で出て行き、前記ガス液体混合物が90度だけ強制的に回転して流体スクラバー122内に流入する際に発生した遠心力により、浸水曲がり部164の下部内に保持された前記再循環液体の表面へと外側方向に投射される。前記気相内に混入した多数の液滴は、浸水曲がり部164の下部内に保持された再循環液体の表面上に衝突し、その後前記再循環液体と共に合体し、その結果、浸水曲がり部164の下部内における再循環液体の体積が増加して、均等量の前記再循環液体が前記堰配置構成において氾濫し、重力により、流体スクラバー122の下部のサンプ172内へと流入する。よって、前記ガス液体ストリームと、浸水曲がり部164内の液体との相互作用により、前記ガス液体ストリームから液滴が除去され、また、前記ガス液体ストリーム内の浮遊粒子が浸水曲がり部164の下部に高速衝突する事態が回避され、これにより、前記堰配置構成の高さの真下および浸水曲がり部164の下部に配置された側壁部を形成する金属の腐食が回避される。
【0039】
浸水曲がり部164から出て行った後のガス液体ストリームは、蒸発液体および一定の液体および他の粒子を未だに含んだ状態であり、このガス液体ストリームは、流体スクラバー122を通過する。流体スクラバー122は、この場合においてクロスフロー流体スクラバーである。流体スクラバー122は、ガス液体ストリームから混入液体および他の粒子を除去する機能を有する多様なスクリーンまたはフィルタを含む。1つの特定の例において、クロスフロースクラバー122は、入力において初期粗衝突バッフル169を含む。初期粗衝突バッフル169は、サイズが50〜100ミクロン以上の液滴を除去するように設計される。その後、シェブロン170の形態をした2つの取り外し可能なフィルタを流体スクラバー122内の流体経路上に配置し、これらのシェブロン170は、より小さなサイズ(例えば、20〜30ミクロンおよび10ミクロン未満)の液滴を除去するように、漸次的にサイズ決めまたは構成可能である。もちろん、上記よりも多数または小数のフィルタまたはシェブロンを用いてもよい。
【0040】
典型的なクロスフロースクラバーと同様に、フィルタ169および170ならびに浸水曲がり部164の下部内の氾濫堰配置構成によって獲得された液体は、重力により、流体スクラバー122の下部に配置されたリザーバまたはサンプ172内に流入する。サンプ172は、例えばおよそ200ガロンの液体を保持することができ、これにより、前記ガス液体ストリームから除去された溶解固体および浮遊固体を含む濃縮流体を収集し、濃縮器アセンブリ120へと戻った再循環濃縮液体の源のリザーバとして機能し、これにより、前記液体を図1について上述したような様態でさらに処理しかつ/または濃縮器アセンブリ120内の微粒子の乾燥を回避できるようにする。1つの実施形態において、サンプ172は、傾斜したV字状下部171を含み得る。このV字状下部171は、V字状溝部175を有する。V字状溝部175は、流体スクラバー122の後部(浸水曲がり部164から最離隔部)から流体スクラバー122の前部(浸水曲がり部164に最近位部)へと延びる。V字状溝部175は、浸水曲がり部164から最離隔部においてよりも浸水曲がり部164に最も近い流体スクラバー122の端部においてV字状溝部175の下部が低くなるように、傾斜している。換言すれば、V字状下部171は、出口ポート173および/またはポンプ182の近隣のV字状下部171の最下地点と共に傾斜され得る。さらに、洗浄回路177(図9)により、濃縮流体をサンプ172からクロスフロースクラバー122内の噴霧器179へポンプ輸送することができる。噴霧器179は、V字状下部171にある液体を噴霧することを意図している。あるいは、噴霧器179は、V字状下部171において未濃縮液体または清浄水を噴霧し得る。噴霧器179は、V字状下部171の表面上に液体を定期的にまたは常時噴霧して、固体を洗浄し、V字状下部171上または出口ポート173および/またはポンプ182の固体蓄積を回避することができる。このV字状の傾斜した下部171および洗浄回路177により、サンプ172内に集まった液体を連続的に攪拌および再生することができ、これにより、比較的一定の一貫性を維持し、懸濁液中の固体を維持する。所望であれば、噴霧回路177は、例えばサンプ172内の入口と共に別個のポンプを用いた別個の回路であってもよく、以下に説明する濃縮液体再循環回路と関連付けられたポンプ182を用いて濃縮流体をサンプ172からV字状下部171上に噴霧することも可能である。
【0041】
図3に示すように、戻り配管180およびポンプ182は、前記ガス液体ストリームから除去された流体をサンプ172から濃縮器120へと再循環させるように動作し、これにより、流体または液体再循環回路を完成する。同様に、入力ライン186内にポンプ184を設けて、新規または未処理の液体(例えば、埋立地浸出液)を濃縮器アセンブリ120の入力160へとポンプ輸送することができる。また、1つ以上の噴霧器185をシェブロン170に隣接する流体スクラバー122内に設けて、これらの噴霧器185により、清浄水または前記廃水フィードの一部をシェブロン170上に定期噴霧して、シェブロン170を清浄に保持することもできる。
【0042】
濃縮液体は、出口ポート173を介して流体スクラバー122の下部から除去することもでき、また、任意の適切な様態で第2の再循環回路181内においてさらに処理または配置することもできる。詳細には、出口ポート173から除去された濃縮液体は、特定量の浮遊固体を含む。前記特定量の浮遊固体は好適には、前記濃縮液体の液体部分から分離し、第2の再循環回路181を用いてシステムから除去することができる。例えば、出口ポート173から除去された濃縮液体は、第2の再循環回路181を通じて1つ以上の固体/液体分離デバイス183(例えば、沈殿槽、振動ふるい、回転真空フィルタ、水平ベルト真空フィルタ、ベルトプレス、フィルタプレスおよび/または液体遠心分離機)を通じて輸送することができる。前記濃縮廃水の浮遊固体および液体部分を固体/液体分離デバイス183によって分離した後、前記濃縮廃水の液体部分が浮遊粒子と共に実質的に除去され、その後前記濃縮廃水をサンプ172へと戻して、前記濃縮器に接続された第1の再循環回路または第1次の再循環回路においてさらなる処理を施す。
【0043】
前記ガスは、前記ガスから除去された液体および浮遊固体と共に流体スクラバー122から出て行き、流体スクラバー122の後部(シェブロン170の下流)における配管またはダクトから出て行き、排気アセンブリ124の誘引通風ファン190から流出し、誘引通風ファン190から外気へと排気され、外気中において、冷却された高温入口ガスが蒸発した水蒸気と混合される。もちろん、誘引通風ファンモータ192はファン190に接続されて、ファン190によって流体スクラバー122内に負圧を発生させて、最終的にフレア130からのガスを移送管140、空気前処理アセンブリ119および濃縮器アセンブリ120を通じて吸引する。図1を参照して上述したように、誘引通風ファン190は、流体スクラバー122内の若干の負圧を発生させるだけでよく、これにより、濃縮器110の適切な作業が保証される。
【0044】
誘引通風ファン190の速度は、異なるレベルの負圧を流体スクラバー122内において発生させるように動作するデバイス(例えば、可変周波数駆動)によって異なり得るため、通常は一定のガス流能力内において動作可能であり、これにより、フレア130からの完全なガス流を保証することができる。フレア130から発生しているガスの量が不十分である場合、流体スクラバー122そのものの上における適切な圧力降下を保証できるように誘引通風ファン190の動作を調節することが必ずしも可能ではない場合がある。すなわち、効率的かつ適切な動作のために、流体スクラバー122内を流れるガスを流体スクラバー122の入力において十分な(最小の)流量にする必要がある。典型的には、この要求は、少なくとも流体スクラバー122上の事前設定された最小の圧力降下を保持することによって制御される。しかし、フレア130から発生しているガスが少なくとも最小のレベルに達していない場合、誘引通風ファン190の速度が上昇しても、流体スクラバー122上において必要な圧力降下は得ることができない。
【0045】
この状況を補償するために、クロスフロースクラバー122は、ガス再循環回路を含むように設計される。このガス再循環回路を用いて、流体スクラバー122の入力において十分なガスが確実に存在するようにすることができ、これにより、本システムにおいて、流体スクラバー122上における必要な圧力降下を得ることが可能になる。詳細には、前記ガス再循環回路は、ガス戻り配管または戻りダクト196を含む。戻りダクト196は、排気アセンブリ124の高圧力側(例えば、誘引通風ファン190の下流)を流体スクラバー122の入力(例えば、流体スクラバー122のガス入力)およびバッフルまたは制御機構198に接続させる。制御機構198は、戻りダクト196内に配置され、戻りダクト196を開閉するように動作することで、排気アセンブリ124の高圧力側と流体スクラバー122の入力とを流体接続させる。動作時において、流体スクラバー122内に入ったガスの量が、流体スクラバー122上の必要な最小圧力降下が得られるほどの十分な量ではない場合、バッフル198(これは、例えば、ガス弁、ダンパ(例えば、ルーバー付きダンパ)であり得る)を開口して、排気アセンブリ124の高圧力側からのガス(すなわち、誘引通風ファン190を通過してきたガス)が流体スクラバー122の入力へと戻るように、前記ガスを方向付ける。この動作により、流体スクラバー122の入力において十分な量のガスを得ることが可能になり、これにより、誘引通風ファン190の動作により、流体スクラバー122上の必要な最小圧力降下を得ることができる。
【0046】
図6は、図3のコンパクトな液体濃縮器110の特定の有利な特徴を示す。有利な特徴とは、1組の容易に開口可能なアクセスドア200の形態のことである。容易に開口可能なアクセスドア200を用いて、クリーニングおよび視認目的のために濃縮器110の内部にアクセスすることが可能になる。図6中では、容易に開口可能なアクセスドア200を流体スクラバー122の片側に図示しているが、同様の1組のドアを流体スクラバー122の他方側に設けることも可能であり、また、同様の1つのドアを図5に示すような浸水曲がり部164の前方に設けることも可能である。図6に示すように、流体スクラバー122上の容易にアクセス可能なドア200は、ドアプレート202を含む。ドアプレート202は、平坦な金属であり得、2つのヒンジ204を介して流体スクラバー122へと接続され、ドアプレート202は、ヒンジ204上において旋回して開閉することができる。複数のクイックリリースラッチが旋回ハンドル206と共にドアプレート202の周囲に配置され、流体スクラバー122の動作時において、ドアプレート202を閉口位置に保持しかつドア200を閉鎖するように動作する。図6に示す実施形態において、8個のクイックリリースラッチ206がドアプレート202それぞれの周囲に配置されているが、他の任意の所望の数のクイックリリースラッチ206を用いることも可能である。
【0047】
図7は、開口位置に配置されたドア200のうちの1つを示す。理解されるように、ドアシート208は、流体スクラバー122の壁部から離隔方向に取り付けられ、延長部材209は、ドアシート208と流体スクラバー122の外壁との間に配置される。ガスケット210は、ゴムまたは他の圧縮性材料で構成され得、ドアシート208上の開口部周囲に配置され得る。同様のガスケットを付加的にまたは代替的にドアプレート202の内側周囲に設けてもよく、その場合、ドア200が閉口位置にある際の密閉状態が向上する。
【0048】
クイックリリースラッチ206のうちの1つを図8中により詳細に示す。クイックリリースラッチ206は、ハンドル212およびラッチ214(この場合、U字型の金属ピース)を含む。ラッチ214は、ハンドル212を貫通して配置された旋回バー216上に取り付けられる。ハンドル212は、さらなる回転軸部材218上に取り付けられる。回転軸部材218は、取り付けブラケット219を介してドアプレート202の外壁上に取り付けられる。ハンドル212がさらなる旋回部材218の上方およびその周囲(すなわち、図8中に示す位置から)移動すると、(ドアプレート202が閉口位置にある場合は)ラッチ214は流体スクラバー112の外壁に向かって移動し、これにより、ドアプレート202から離隔方向にあるフック220側にラッチ214を配置することが可能になる。フック220は、延長部材209上に取り付けられる。その後ハンドル210が反対方向に回転すると、ラッチ214はフック220に堅く引き込まれ、これにより、さらなる旋回部材218およびよってドアプレート202がドアシート208に対して引き込まれる。全てのクイックリリースラッチ206が動作することにより、ドアプレート202がドアシート208に固定され、ガスケット210により、確固たる流体接続が得られる。よって、これら8個のクイックリリースラッチ206を特定のドア200上において図6に示すように閉鎖することで、ドア200を保持するための確実かつ気密な機構を得ることが可能になる。
【0049】
容易に開口可能なドア200を利用することで、穴付きプレートが不要になる。このような穴付きプレートの場合、濃縮器の外壁から延びた多数のボルトがプレートの穴部内に取り付けられ、前記ボルト上のナットを締めることで、前記プレートを前記濃縮器壁部に引きつけることが必要である。このようなナットおよびボルトを用いた固定機構は、濃縮器内部へのアクセスを得るために流体濃縮器において用いられることが多い。このような固定機構は極めて確実ではあるものの、アクセスパネルの開閉時において、この構成の作業には時間がかかり、また労力もかかる。この場合、図6のクイックリリースラッチ206を用いた高速開口ドア200を用いることができる。なぜならば、流体スクラバー122の内部は負圧状態になっており、流体スクラバー122内の圧力は外気圧力よりも低くなっているため、煩雑なナットおよびボルトを用いたアクセスパネルを閉鎖する必要は無いからである。もちろん、理解されるように、ドア200の構成により、最小の手作業でかつ器具を用いることなくドア200を容易に開閉することが可能であり、これにより、流体スクラバー122内の構造(例えば、衝突バッフル169または取り外し可能なフィルタ170、またはアクセスドア200が載置された濃縮器110の他の部分)へのアクセスを高速かつ容易に行うことが可能になる。
【0050】
再度図5を参照して、濃縮器アセンブリ120の浸水曲がり部164の前方には、高速開口するアクセスドア200も設けられることが理解される。アクセスドア200により、浸水曲がり部164内への容易なアクセスが可能になる。しかし、濃縮器10のほとんどの要素は負圧下において動作するため、同様の高速開口アクセスドアを流体濃縮器110の任意の所望の部分に設けることも可能である。
【0051】
図3〜図8に示す特徴を組み合わせることにより、コンパクトな流体濃縮器110が得られる。流体濃縮器110は、埋立地ガスを燃焼させる埋立地フレアの作用から発生するガスの形態を利用する。流体濃縮器110が無い場合、このような廃熱は、直接外気に排出される。重要なことに、濃縮器110の場合、フレア130から出て行く高温ガスを利用するために必要な配管および構造設備に必要な高価な高温耐性材料を最小量しか利用しない。例えば、最も高価な材料で構成された移送管140を短尺かつ最小長さにすることで、流体濃縮器110のコストおよび重量を低減する。さらに、熱伝達パイプ140のサイズは小さいため、単一の支持部材142のみで十分であり、これにより、濃縮器110の構築コストをさらに低減する。さらに、空気前処理アセンブリ119は流体濃縮器アセンブリ120上に直接配置されているため、これらの部分内において地面に向かって流れるガスにより、濃縮器110のこれらの部分を地面により直接支持することもできるし、または、これらの部材を支持しているスキッドによって支持することも可能になる。さらに、この構成により、濃縮器110がフレア130の極めて近隣に配置され、これにより、濃縮器110がよりコンパクトになる。同様に、この構成により、濃縮器110の高温部(例えば、フレア130の上部、熱伝達パイプ140および空気前処理アセンブリ119)を地面よりも上方かつ人間との偶発的接触の無い遠隔位置に配置することができるため、より安全な構成となる。実際、濃縮器アセンブリ120のベンチュリ部162内において発生する高速冷却により、ベンチュリ部162、浸水曲がり部164および流体スクラバー122は(フレア130から出て行くガスが華氏1800度である場合でも)負傷の無い程度まで冷却されることが多い。このようなガス液体混合物の高速冷却により、作製がより容易でありかつ耐食性である一般的により低コストの材料の利用が可能になる。さらに、浸水曲がり部164の下流の部品(例えば、流体スクラバー122、誘引通風ファン190、および排気部124)は、ガラス繊維などの材料から作製することが可能である。
【0052】
流体濃縮器110は、極めて高速に作動する濃縮器でもある。濃縮器110は直接接触型の濃縮器であるため、他のほとんどの濃縮器と同程度の蓄積物増加、目詰まりおよびファウリングが発生することが無い。さらに、濃縮器110が利用または作動しているかに応じてフレアキャップ134を制御して開閉することが可能であるため、濃縮器110の起動時または停止時に中断を伴うことなく、フレア130を用いて埋立地ガスを燃焼させることができる。より詳細には、フレアキャップ134は任意のタイミングで高速開口可能であり、これにより、濃縮器110の停止時と同様にフレア130によって埋立地ガスを簡単に燃焼させることができる。一方、濃縮器110の起動時にはフレアキャップ134は高速閉口することができ、これにより、フレア130中において発生した高温ガスを濃縮器110へと方向転換し、フレア130の動作を中断することなく濃縮器110を作動させることができる。いずれの場合においても、フレアキャップ134の動作に基づいてかつフレア130の動作を中断することなく、濃縮器110の起動および停止を行うことが可能である。
【0053】
所望であれば、濃縮器110の作動時においてフレアキャップ134を部分的に開口させることで、フレア130から濃縮器110へと移動するガス量を制御することが可能である。この動作を外気弁の動作と組み合わせると、ベンチュリ部162の入口の温度の制御において有用であり得る。
【0054】
さらに、空気前処理アセンブリ119、濃縮器アセンブリ120および流体スクラバー122から構成されたコンパクトな構成により、濃縮器アセンブリ120の部分、流体スクラバー122、牽引ファン190および少なくとも排気部124の下部を図2に示すようにスキッドまたはプレート230上に永久に取り付ける(かまたはスキッドまたはプレート230に接続し、スキッドまたはプレート230によって支持される)ようにすることができる。濃縮器アセンブリ120の上部、空気前処理アセンブリ119および熱伝達パイプ140ならびに排気筒の上部は、輸送時には取り外してスキッドまたはプレート230上において保存してもよいし、あるいは、別個のトラック内に入れて輸送してもよい。濃縮器110の下部はスキッドまたはプレート上に取り付けることが可能であるため、濃縮器110は移動および取り付けが容易である。詳細には、濃縮器110の設定時において、スキッド230上に流体スクラバー122、浸水曲がり部164および牽引ファン190が取り付けられた状態において、地面上または濃縮器110の組み立て場所である他の閉じ込め領域上にスキッド230を積み下ろすだけで、濃縮器110の使用場所である現場において積み下ろすことが可能である。その後、ベンチュリ部162、クエンチャ159および空気前処理アセンブリ119を浸水曲がり部164の上部に配置および取り付けることができる。その後、濃縮器110の接続先であるフレア130の高さに合うように、配管部150を延長することができる。いくつかの場合において、この延長のためには、先ずフレアキャップアセンブリ132を既存のフレア130に取り付けることが必要になり得る。その後、熱伝達パイプ140を適切な高さまで上昇させ、支持部材142を所定位置に配置した状態で、フレア130と空気前処理アセンブリ119との間に取り付けることができる。1日あたりの蒸発能力が10,000〜30,000ガロンである濃縮器の場合、濃縮器120と同一のスキッドまたはプレート230上にフレアアセンブリ115全体を取り付けることが可能である。
【0055】
ほとんどのポンプ、流体ライン、センサおよび電気設備が流体濃縮器アセンブリ120上に配置されているかまたは流体濃縮器アセンブリ120に接続されているため、流体スクラバー122または牽引ファンアセンブリ190、特定の現場における濃縮器110の設定の際に現場において必要となるのは、最低限の配管、機械工事および電気工事のみである。そのため、濃縮器110は特定の現場において比較的容易に据え付けおよび設定可能である(分解および取り外しも比較的容易である)。さらに、濃縮器110のコンポーネントのうちほとんどはスキッド230に永久取り付けされているため、濃縮器110はトラックまたは他の輸送用車両によって容易に輸送可能であり、また、特定の位置(例えば、埋立地フレアの近隣位置)において容易に積み下ろしおよび据え付け可能である。
【0056】
図9は、制御システム300の模式図である。制御システム300を用いて、図3の濃縮器110を作動させることができる。図9に示すように、制御システム300は、コントローラ302を含む。コントローラ302は、デジタル信号プロセッサ型のコントローラ、例えばラダーロジック制御を実行することが可能なプログラマブル論理コントローラ(PLC)、または他の任意の種類のコントローラであり得る。もちろん、コントローラ302は、濃縮器110内の多様なコンポーネントに接続される。詳細には、コントローラ302は、フレアキャップ駆動モータ135に接続される。フレアキャップ駆動モータ135は、フレアキャップ134の開閉動作を制御する。モータ135は、フレアキャップ134を制御して全開口位置と全閉口位置との間で移動するように、設定可能である。しかし、所望であれば、コントローラ302は、前記全開口位置と前記全閉口位置との間の1組の多様な異なる制御可能位置のうちの任意の位置までフレアキャップ134を開口させるように、駆動モータ135を制御することが可能である。所望であれば、モータ135を連続的に可変とし、これにより、フレアキャップ134を全開口位置と全閉口位置との間の任意の所望の地点に配置することが可能になる。
【0057】
さらに、コントローラ302は、ベンチュリ部162の上流の図3の空気前処理アセンブリ119内に配置された外気入口弁306に接続されかつ外気入口弁306を制御する。コントローラ302を用いて、ポンプ182および184を制御することができる。ポンプ182および184は、新規の処理対象液体の注入量を制御し、前記注入量と、濃縮器110内において処理されている再循環液体との間の比を制御する。コントローラ302は、サンプレベルセンサ317(例えば、フロートセンサ)、非接触センサ(例えば、レーダーまたは音波ユニット、または差圧セル)に動作可能に接続可能である。コントローラ302は、サンプレベルセンサ317からの信号を用いて、ポンプ182および184を制御して、サンプ172内の濃縮流体レベルを所定のレベルまたは所望のレベルに維持することができる。また、コントローラ302は、ファン190の動作を制御するように、誘引通風ファン190に接続することが可能である。ファン190は、単一速度ファン、可変速度ファンまたは速度が連続的に制御可能なファンであり得る。一実施形態において、誘引通風ファン190は可変周波数モータによって駆動され、これにより、前記モータの周波数は、誘引通風ファン190の速度を制御するように変更される。さらに、コントローラ302は、温度センサ308に接続される。温度センサ308は、例えば、濃縮器アセンブリ120の入口またはベンチュリ部162の入口に配置され、温度センサ308によって生成された温度信号を受信する。あるいは、温度センサ308をベンチュリ部162の下流に設けてもよいし、あるいは、圧力信号を生成する圧力センサを温度センサ308内に設けてもよい。
【0058】
動作時および例えば濃縮器110の起動時において、フレア130が実際に発生し、これにより埋立地ガスを燃焼させると、コントローラ302は先ず誘引通風ファン190をオンにして、流体スクラバー122および濃縮器アセンブリ120内に負圧を発生させる。その後または同時に、コントローラ302は、フレアキャップ134を部分的または完全に閉鎖せよとの信号をモータ135へと送って、フレア130からの廃熱を移送管140内および空気前処理アセンブリ119へと方向転換させる。温度センサ308からの温度信号に基づいて、コントローラ302は、(典型的には外気弁306を部分的または完全に閉鎖することにより)外気弁306および/またはフレアキャップアクチュエータを制御し得、これにより、濃縮器アセンブリ120の入口におけるガス温度を制御する。一般的に言えば、外気弁306は、付勢要素(例えば、バネ)によって全開口位置において付勢可能であり得る(すなわち、通常は開口状態であり得る)。コントローラ302は、弁306を閉鎖し始め、これにより(空気前処理アセンブリ119内の負圧に起因して)空気前処理アセンブリ119内に送られた外気量を制御し、これにより、フレア130からの外気および高温ガスの混合物を所望の温度にする。さらに、所望であれば、コントローラ302は、フレアキャップ134の位置(全開口〜全閉口間の任意の位置)を制御し得、誘引通風ファン190の速度を制御して、フレア130から空気前処理アセンブリ119内へと入るガスの量を制御し得る。理解されるように、濃縮器110内を流れるガスの量は、外気温度および湿度、フレアガスの温度、フレア130から出て行くガスの量などに応じて変更する必要があり得る。そのため、コントローラ302は、例えば濃縮器アセンブリ120の入口における温度センサ308の測定値に基づいて外気制御弁306、フレアキャップ134の位置および誘引通風ファン190の速度のうち1つまたはその任意の組み合わせを制御することにより、濃縮器アセンブリ120を通過するガスの温度および量を制御し得る。このフィードバックシステムが望ましいことの理由は、多くの場合において、フレア130から発生する空気は華氏1200〜1800度であり、このような温度は高温過ぎるか、または、濃縮器110の効率的かつ有効な動作に必要な温度よりもずっと高いからである。
【0059】
任意の事象において、図9に示すように、コントローラ302は、モータ310にも接続される。モータ310は、濃縮器アセンブリ120の幅狭部内のベンチュリプレート163の位置を駆動または制御することで、濃縮器アセンブリ120内に発生する乱流の量を制御する。さらに、コントローラ302は、ポンプ182および184の動作を制御することで、ポンプ182および184から再循環液体および新規処理対象廃液をクエンチャ159の入力およびベンチュリ部162へと送る速度(および両者間の比)を制御することができる。一実施形態において、コントローラ302は、再循環流体と新規流体との間の比を約10:1になるように制御し得、これにより、ポンプ184から新規液体が毎分あたり8ガロンの速度で入力160へと提供される場合、再循環ポンプ182は、毎分あたり80ガロンをポンプ輸送する。付加的にまたは代替的に、コントローラ302は、例えばレベルセンサ317を用いてサンプ172内において一定または所定のレベルの濃縮液体を維持することにより、(ポンプ184を介した)前記濃縮器内への新規処理対象液体の流れを制御することができる。もちろん、前記サンプ172中の液体の量は、前記濃縮器内の濃縮速度、濃縮液体をサンプ172から第2の再循環回路を通じてポンプ輸送する速度および他の場合にサンプ172内に存在する濃縮液体をポンプ輸送する速度、第2の再循環回路から液体をサンプ172へと返送する速度、ならびに第1の再循環回路を介して前記濃縮器へと送達するためにポンプ182によって液体をサンプ172からポンプ輸送する速度によって異なる。
【0060】
所望であれば、外気弁306およびフレアキャップ134のうちの1つまたは双方をフェールセーフ開口位置において動作させることができ、これにより、システムの故障(例えば、制御信号の欠落)または濃縮器110の停止時において、フレアキャップ134および外気弁306が開口する。1つの場合において、フレアキャップモータ135がバネ付勢されるか付勢要素(例えば、バネ)によって付勢され得、これにより、フレアキャップ134を開口させるか、または、モータ135への電力が失われた場合にフレアキャップ134を開口させる。あるいは、前記付勢要素は、カウンターウェイト137であってもよいし、あるいは、モータ135が電力を失うかまたは制御信号を失った際に、フレアキャップ134そのものがカウンターウェイト137から付加される力の下で開口位置に振れるようにフレアキャップ134を配置してもよい。この動作により、電力喪失時またはコントローラ302がフレアキャップ134を開口させたときのいずれかにおいて、フレアキャップ134を高速開口させることができ、これにより、フレア130内の高温ガスをフレア130の上部から出て行かせることが可能になる。もちろん、制御信号の喪失時においてフレアキャップ134を開口させるための他の方法も利用可能である(例えば、フレアキャップ134の回転軸136上におけるトーションバネの利用、シリンダを加圧してフレアキャップ134を閉鎖する油圧システムまたは加圧空気システムにおける圧力喪失による、制御信号喪失時におけるフレアキャップ134の開口)。
【0061】
よって、上記記載から理解されるように、フレアキャップ134および外気弁306は、協働して濃縮器110内において用いられている設計材料を保護する。なぜならば、システム停止のたびに、前記フレアキャップおよび空気弁306が自動的にすぐに開口することで、迅速に外気を取り入れてプロセスを冷却しつつ、フレア130中で発生する高温ガスをプロセスから断熱するからである。
【0062】
さらに、同様の様態で、濃縮器110の停止時または弁306への信号の喪失時において、外気弁306はバネ付勢されるかまたは他の場合に開口するように構成される。この動作により、フレアキャップ134の開口時において、空気前処理アセンブリ119および濃縮器アセンブリ120が迅速に冷却される。さらに、外気弁306およびフレアキャップ134は高速開口するため、コントローラ302は、フレア130の動作を停止または実行する必要無く、濃縮器110を高速停止させることができる。
【0063】
さらに、図9に示すように、コントローラ302は、ベンチュリプレートモータ310またはベンチュリ部162内にベンチュリプレート163を設ける角度を移動または作動させる他のアクチュエータに接続され得る。モータ310を用いて、コントローラ302は、ベンチュリプレート163の角度を変更して、濃縮器アセンブリ120内を通過するガス流を変化させ、これにより、濃縮器アセンブリ120内のガス乱流の性質を変化させ、その結果、内部の液体およびガスの混合を向上させ、前記液体をより完全に蒸発させることができる。この場合、コントローラ302は、ポンプ182および184の速度をベンチュリプレート163の動作と関連付けることで、処理中の廃水の濃度を最適化することができる。このようにして、理解されるように、コントローラ302は、微粒子の乾燥を回避できるよう前記廃水を完全に乾燥させることなく、ベンチュリプレート163の位置と、フレアキャップ134の動作と、外気またはブリード弁306の位置と、導入ファン190の速度とを協調させることで、廃水濃度(乱流混合)を最大化させることができる。コントローラ302は、前記圧力センサからの圧力入力を用いて、ベンチュリプレート163を配置することができる。もちろん、ベンチュリプレート163は、手動制御してもよいし、あるいは自動制御してもよい。
【0064】
コントローラ302はまた、モータ312に接続される。モータ312は、流体スクラバー122のガス再循環回路内のダンパ198の動作を制御する。例えば流体スクラバー122のガス入口およびガス出口に配置された圧力センサ313および315からの信号に基づいて、コントローラ302により、モータ312または他の種類のアクチュエータはダンパ198を閉口位置から開口位置または部分的開口位置へと移動させる。コントローラ302は、ダンパ198を制御して、排気部124の高圧力側(誘引通風ファン190の下流)からガスを流体スクラバー入口内へと強制流入させることで、2つの圧力センサ313および315間の所定の最小圧力差を維持することができる。この最小圧力差を維持することで、流体スクラバー122の適切な動作が保証される。もちろん、ダンパ198を電気制御する代わりまたは電気制御する他に、手動制御することも可能である。
【0065】
よって、上記記載から理解されるように、コントローラ302は、フレア130の動作に影響を与えることなく、濃縮器110の起動または停止に用いられる1つ以上のオン/オフ制御ループを実行することができる。例えば、コントローラ302は、フレアキャップ134を開閉させるフレアキャップ制御ループと、外気弁306を開口させるかまたは閉口させ始めるブリード弁制御ループと、濃縮器110の起動または停止に基づいて誘引通風ファン190を起動または停止させる誘引通風ファン制御ループとを行うことができる。さらに、動作時において、コントローラ302は、1つ以上のオンライン制御ループを実行することができる。前記1つ以上のオンライン制御ループは、濃縮器110の多様な要素を個別にまたは別の要素と関連して制御することで、濃度を向上または最適化することができる。これらのオンライン制御ループを実行する際、コントローラ302は、前記温度センサおよび圧力センサからの信号に基づいて、誘引通風ファン190の速度、ベンチュリプレート163の位置または角度、フレアキャップ134の位置および/または外気弁306の位置を制御することで、濃縮器110内を通過する流体流れおよび/または濃縮器アセンブリ120の入口にある空気の温度を制御することができる。さらに、コントローラ302は、ポンプ184および182を制御することにより、濃縮プロセスの性能を定常状態に維持することができる。ポンプ184および182は、濃縮すべき新規流体および再循環流体を濃縮器アセンブリ120内へとポンプ輸送する。さらに、コントローラ302は、圧力制御ループを実行することができる。圧力制御ループにおいて、ダンパ198の位置を制御して流体スクラバー122の適切な作業を保証する。もちろん、コントローラ302をこれらの多様な制御ループを実行する単一のコントローラデバイスとして図9中に図示しているが、コントローラ302を例えば複数の異なるPLCを用いて複数の異なる制御デバイスとして実行することも可能である。
【0066】
理解されるように、本明細書中に記載の濃縮器110は、排出基準を満たすように高温排ガスを十分に処理した後に、プロセスにおいて高温排ガスを直接利用し、これにより、簡潔であり信頼性がありかつ有効な様態で廃熱を利用するプロセスから廃熱を発生させるプロセスの動作要求を途切れなく分離する。
【0067】
濃縮器110の動作時における濃縮器110の重要要素である点に加えて、本明細書中に記載される自動化されたまたは手作業で作動するフレアキャップ134は、スタンドアロン的に利用することが可能であり、これにより、フレアがアイドル状態であるときのフレアまたはフレアおよび濃縮器の組み合わせに対する雨避けとして機能することができる。フレアキャップ134が閉口状態にある際、フレア130の金属シェルの内部は、フレアアセンブリ115の耐火要素、バーナー要素および他の重要要素ならびに熱伝達アセンブリ117と共に、腐食および成分への露出に関連する一般的劣化から保護される。この場合、フレア130がアイドル状態にある際、コントローラ302は、フレアキャップモータ135を作動させて、フレアキャップ134を全開口または部分的閉口状態で保持する。さらに、フレア130の停止時に自動閉口するフレアキャップ134またはフレア130の発火時に自動開口するフレアキャップ134の利用の他にも、小型バーナー(例えば、通常の点火用バーナー)をフレア130の内部に取り付けて、フレアキャップ134が閉口状態であるときにフレア130が停止している場合にこの小型バーナーを利用することも可能である。このような小型バーナーの利用によりフレア130内部の乾燥状態が保持されるため、湿気に起因するフレア成分の劣化をさらに保護することが可能になる。本明細書中に記載のフレアキャップ134をスタンドアロン的に利用することが可能なスタンドアロンフレアの一例として、スタンバイフレアを埋立地に据え付けることで、埋立地ガスによる燃料供給を受けている工場がオフラインである際のガス制御を確実にすることが可能になる。
【0068】
液体濃縮器110について、埋立地フレア内において発生した廃熱を利用できるように埋立地フレアに接続されたものとして上述してきたが、液体濃縮器110は、他の廃熱源にも容易に接続可能である。例えば、図10に示す濃縮器110の場合、燃焼機関工場400の排気筒に接続されており、エンジン排気からの廃熱を用いて液体濃縮を行うよう改変されている。一実施形態において、工場400内のエンジンは埋立地ガスによって動作して電気を生成するが、濃縮器110は、他の種類のエンジン(例えば、他の種類の燃焼機関(例えば、ガソリン、ディーゼル燃料などによって作動するもの))からの排気によって動作するように接続することも可能である。
【0069】
図10を参照して、工場400内のエンジン(図示せず)中において発生した排気は、工場400の外部のマフラー402へと送られ、マフラー402から燃焼ガス排気筒404内へと入る。燃焼ガス排気筒404の上部には、燃焼ガス排気筒キャップ406が設けられる。キャップ406は本質的には、スタック404から出て行く排気が無い場合は排気筒404上を被覆するようにカウンターウェイトされるが、排気がスタック404から出て行く際は、排気圧力により容易に押し上げることが可能である。この場合、排気筒404内に設けられたYコネクタが、スタック404を移送管408へと接続するように動作する。移送管408は、前記エンジンからの排気ガス(廃熱源)を拡張部410へと移動させる。拡張部410は、濃縮器110のクエンチャ159と噛み合い、前記エンジンからの排気ガスを直接濃縮器110の濃縮器アセンブリ120へと送る。エンジン排気を廃熱源として用いる場合、エアブリード弁を濃縮器部分120の上流に設けることは不要であることが多い。なぜならば、エンジンから出て行く排気ガスは典型的には華氏900度未満であるため、クエンチャ159に入る前に大幅に冷却する必要は無いからである。濃縮器110の残りの部分については、図3〜図8を参照して上述した物と同一である。このように、液体濃縮器110は、大幅な変更を要することなく、多様な異なる廃熱源を利用できるように容易に適合可能であることが理解される。
【0070】
一般的に、図10の液体濃縮器110を制御する際、コントローラは、工場400内のエンジンが動作している状態で、誘引通風ファン190をオンにする。コントローラは、スタック404内の排気のうちほとんどまたは全てが(排気筒404の上部から出て行く代わりに)移送管408内に入るまで、誘引通風ファン190の速度を最低速度から上昇させる。この動作地点を検出することは容易である。この動作地点に到達するのは、誘引通風ファン190の速度上昇と共に、キャップ406が先ずスタック404の上部に戻ったときである。誘引通風ファン190の速度がこの動作地点を超えることを回避することで、濃縮器110内の負圧が必要以上に高くならないようにし、これにより、濃縮器110の動作に起因して背圧が変化しない(詳細には、工場400内のエンジン内において望ましくないレベルの吸引が発生しない)ようにすることが重要である。背圧の変化または排気筒404内の吸引発生があると、エンジンの燃焼動作に悪影響が出るため、望ましくない。一実施形態において、コントローラ(図10中図示せず)(例えば、PLC)は、圧力変換器を用い得る。この圧力変換器は、キャップ406の位置の近隣のスタック404内に取り付けられて、この位置における圧力を連続監視する。その後、コントローラは、誘引通風ファン190上の可変周波数駆動へ信号を送って、誘引通風ファン190の速度を制御して、圧力を望ましい設定点において維持し、これにより、望ましくない背圧または吸引がエンジン上において発生しないようにする。
【0071】
図11および図12は、液体濃縮器500の別の実施形態の側断面図および水平断面図である。濃縮器500は、概して垂直方向に方向付けられている。しかし、図11に示す濃縮器500は、特定の用途における特定の制約に応じて、概して水平に方向付けてもよいし、あるいは概して垂直方向に方向付けてもよい。例えば、前記濃縮器をトラックに積載する場合は、前記濃縮器を概して水平に方向付けることで、前記濃縮器を積載したトラックが現場間の輸送時に橋の下をくぐることができるようにすることができる。液体濃縮器500は、ガス入口520と、ガス出口522とを有する。フロー通路524は、ガス入口520をガス出口522へと接続する。フロー通路524は、幅狭部526を有する。幅狭部526において、フロー通路524を通過するガスが加速される。幅狭部526の前において、液体入口530から液体がガスストリーム内に注入される。図1の実施形態と対照的に、図11の実施形態の幅狭部526の場合、ガス液体混合物をサイクロンチャンバ551内へと方向付ける。サイクロンチャンバ551により、図1中のデミスターの機能を提供しつつ、前記ガスおよび液体の混合が向上する。前記ガス液体混合物は、接線方向において(図12を参照)サイクロンチャンバ551内に入った後、サイクロンの様態でサイクロンチャンバ551を通過して、液体出口領域554へと進む。サイクロン循環は、サイクロンチャンバ551内に設けられた中空シリンダ556により、促進される。中空シリンダ556により、前記ガスはガス出口522へと導かれる。中空シリンダ556は、物理的障壁を提示し、サイクロンチャンバ551(液体出口領域554を含む)内におけるサイクロン循環を維持する。
【0072】
前記ガス液体混合物がフロー通路524の幅狭部526を通過し、サイクロンチャンバ551内において循環すると、前記液体の一部が蒸発し、前記ガスによって吸収される。さらに、前記ガス中の混入液滴のサイクロンチャンバ551の側壁552への移動が遠心力により加速され、側壁552において、前記混入液滴は合体して、側壁552上に膜を形成する。これと同時に、導入ファン550によって生成された求心力により、前記デミストされたガス流がシリンダ556の入口560において収集され、この流れはガス出口522へと方向付けられる。このように、サイクロンチャンバ551は、混合チャンバとしてもデミスト用チャンバとしても機能する。重力およびサイクロンチャンバ551内における液体出口領域554に向かったサイクロン運動による相乗効果により、前記液体膜が前記チャンバの液体出口領域554へと流れると、サイクロンチャンバ551中のガスの連続的循環により、前記液体膜の一部がさらに蒸発する。前記液体膜がサイクロンチャンバ551の液体出口領域554に到達すると、前記液体は、再循環回路542を通じて方向付けられる。このように、前記液体は、所望のレベルの濃度に到達するまで、濃縮器500内を再循環する。前記濃縮スラリーが前記所望の濃度に達した場合、前記濃縮スラリーの一部を抽出ポート546を通じて放出することができる(これをブローダウンと呼ぶ)。そして、前記蒸発速度と抽出ポート546を通じたスラリー放出速度との合計に等しい速度において、新規の液体入口544を通じて新規の液体を回路542に付加する。
【0073】
サイクロンチャンバ551内においてガスが循環するにつれ、前記ガスは浄化されて混入液滴が除去され、その後前記ガスは導入ファン550によってサイクロンチャンバ551の液体放出領域554に向かって引き出され、中空シリンダ556の入口560へと移動する。その後、前記浄化されたガスは中空シリンダ556を通じて移動し、最終的にガス出口522を通じて雰囲気またはさらなる処理(例えば、フレア中における酸化)へと出て行く。
【0074】
図13は、分散型液体濃縮器600の模式図である。分散型液体濃縮器600は、多くの種類の廃熱源(アクセスが困難な場所(例えば、建物の側部、多様な他の設備の中間部、道路または他のアクセス地点から離れた場所)に配置された廃熱源を含む)と共に利用することが可能なよう、構成される。本明細書中、液体濃縮器600を浸出液(例えば、埋立地から収集された浸出液)の処理または濃縮用途に用いるものとして説明するが、液体濃縮器600は、他の種類の液体の濃縮用途にも利用可能であり、あるいは、多くの任意の種類の廃水を含むことも可能である。
【0075】
一般的に言えば、液体濃縮器600は、ガス入口620と、ガス出口またはガス出口622と、ガス入口620をガス出口622に接続するフロー通路624と、液体再循環システム625とを含む。濃縮器部分は、フロー通路624を有する。フロー通路624は、クエンチャ部659と、ベンチュリ部626と、送風機または牽引ファン650とを含む。クエンチャ部659は、ガス入口620および流体入口630を含む。ベンチュリ部626は、クエンチャ部659の下流に設けられる。送風機または牽引ファン650は、ベンチュリ部626の下流に接続される。ファン650および浸水曲がり部654は、前記濃縮器部分のガス出口(例えば、ベンチュリ部626の出口)を配管部652へと連結させる。この場合、浸水曲がり部654は、フロー通路624内において90度の角部を形成する。しかし、浸水曲がり部654は、所望であれば、90度未満または90度を超える角部を形成することもできる。配管部652は、デミスター(この場合、クロスフロースクラバー634の形態で図示される)に接続される。クロスフロースクラバー634は、ガス出口622を有するスタック622Aに接続される。
【0076】
再循環システム625は、サンプ636と、再循環またはリサイクルポンプ640とを含む。サンプ636は、クロスフロースクラバー634の液体出口に連結される。再循環またはリサイクルポンプ640は、サンプ636と、配管部642との間に連結される。配管部642は、再循環流体を流体入口630へと送達する。プロセス流体フィード644もまた、浸出液または他の処理対象液体(例えば、濃縮液)を流体入口630へと送って、クエンチャ部659へと送る。再循環システム625はまた、液体テイクオフ646も含む。液体テイクオフ646は、配管部642に接続される。配管部642は、前記リサイクル流体(または濃縮流体)の一部を、保存、沈殿およびリサイクル用のタンク649へと送る。沈殿槽649中の液体の濃縮部分が重いかまたは多いほど、前記液体はタンク649の下部内にスラッジとして沈殿し、除去および輸送されて、濃縮形態で埋め立てられる。タンク649中の液体のうち濃縮部分の少ない液体は、サンプ636へと戻されて再処理およびさらなる濃縮が施され、液体入口630において適切な供給量の液体が常時利用可能なようにし、これにより微粒子の乾燥を回避する。微粒子が乾燥した場合、プロセス流体と高温ガス体積との間の比の低下の原因となり得る。
【0077】
動作時において、クエンチャ部659は、液体入口630から送達された流体と、例えばエンジンマフラーおよび内燃機関(図示せず)と関連付けられたスタック629から収集された廃熱を含むガスとを混合する。流体入口630からの液体は、例えば、処理対象または濃縮対象の浸出液であり得る。図13に示すように、クエンチャ部659は、ベンチュリ部626の上方において垂直方向に接続される。ベンチュリ部626は、幅狭部を有する。幅狭部により、ベンチュリ部626のすぐ下流およびファン650のすぐ上流にある流体フロー通路624の一部を通過するガスおよび液体の流れが加速する。もちろん、ファン650は、ベンチュリ部626のすぐ下流において低圧力領域を発生するように動作し、これにより、スタック629からガスをベンチュリ部626および浸水曲がり部654を通じて引き出し、前記ガスおよび液体を混合させる。
【0078】
上記したように、クエンチャ部659は、エンジン排気筒629から高温排気ガスを受け取り、排気筒629の任意の所望の部分に直接接続可能である。この図示の実施形態において、エンジン排気筒629は、建物631の外側に取り付けられる。建物631は、1つ以上の発電機を収容する。前記1つ以上の発電機は、埋立地ガスを燃料として用いて、発電を行う。この場合、クエンチャ部659は、スタック629(すなわち、排気筒629の下部)と関連付けられた凝縮物テイクオフ(例えば、ウィープレッグ)に直接接続可能である。ここで、クエンチャ部659は、スタック629の下側またはその近隣に直接取り付け可能であるため、両者を接続するための高価な高温配管材料を数インチまたは最大でも数フィートしか必要としない。しかし、所望であれば、クエンチャ部659は、適切な曲がり部またはテイクオフを介して、排気筒629の他の任意の部分(例えば、スタック629の上部または中間部)にも連結可能である。
【0079】
上記したように、液体入口630は、蒸発すべき液体(例えば、埋立地浸出液)をクエンチャ部659を通じてフロー通路624内に注入する。所望であれば、液体入口630は、交換可能なノズルを含み得る。前記交換可能なノズルは、前記液体をクエンチャ部659内に噴霧する。液体入口630は、ノズルを備えるか備えないかにかかわらず、前記ガスがフロー通路624を通じて移動する際に、前記液体を前記ガス流に対して垂直方向から水平方向までの任意の方向に導入し得る。さらに、前記ガス(およびその内部の廃熱)および液体がベンチュリ部626を通過すると、ベンチュリ原理により、乱流が加速し、これにより、ベンチュリ部626のすぐ下流にあるフロー通路624内において、前記ガスおよび液体が十分に混合される。この乱流混合の結果、前記液体の一部が高速に蒸発し、ガスストリームの一部となる。この蒸発において、廃熱内において大量の熱エネルギーが消費される。なぜならば、水として濃縮器システム600から出て行く潜熱は前記排気ガス内において蒸発するからである。
【0080】
ベンチュリ部626の幅狭部から出て行った後、前記ガス/液体混合物は、浸水曲がり部654を通過する。浸水曲がり部654において、フロー通路624は90度の角度で曲がっており、これにより垂直流れを水平流れに変更する。ガス/液体混合物は、ファン650を通過した後、ファン650の下流側において高圧力領域へと入る。この高圧力領域は、配管部652内に存在する。前記システム内におけるこの地点において浸水曲がり部654を用いることが望ましいのには、少なくとも2つの理由がある。第1に、浸水曲がり部654の下部に液体があると、フロー通路624の転換点における腐食が低減する。このような腐食は、90度の角部を高速で流れて、浸水曲がり部654が用いられていない従来の曲がり部の下部表面において急角度で直接衝突するガス/液体混合物内の浮遊粒子に起因して発生することが多い。浸水曲がり部654の下部内の液体は、これらの粒子中のエネルギーを吸収し、これにより、浸水曲がり部654の下部表面上の腐食を回避する。さらに、この混合物が浸水曲がり部654に到達した際に未だガス/液体混合物内に残っている液滴を液体に衝突させることで、前記液滴をより容易に収集し、流れストリームから除去することができる。すなわち、浸水曲がり部654の下部にある液体は、前記液体に衝突する液滴を収集するように動作する。なぜならば、これらの浮遊液滴が液体と接触しているときの方が、流れストリーム中の液滴をより容易に保持できるからである。よって、例えば再循環回路625に接続された液体テイクオフ(図示せず)を持ち得る浸水曲がり部654は、ベンチュリ部626から出てきたガス/液体混合物からのプロセス流体液滴および濃縮物の一部を除去するように、動作する。
【0081】
重要なことに、前記ガス/液体混合物は、ベンチュリ部626を通過するうちに、高速に断熱飽和点に到達する。前記断熱飽和点は、スタック629から出て行くガスの断熱飽和点よりもずっと低い。例えば、スタック629から出て行くガスは約華氏900〜約1800度であり得るが、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の全部分内のガス/液体混合物は一般的には華氏150度〜190度である。しかし、この温度は、システムの動作パラメータに基づいて、これらの値よりも高くても低くてもよい。その結果、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分を高温耐性材料で構成する必要がなくなり、また、濃縮器システム600の部分において、断熱がまったく不要であるか、または、入口高温ガスの廃熱量をより大きく利用する目的のために断熱を利用する場合において、より高温のガスの輸送に必要な程度まで断熱が不要になる。さらに、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分は、大きな危険性無しにまたは最小の外部保護と共に、領域(例えば、人間と接触する地面に沿った領域)内に配置される。詳細には、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分は、ガラス繊維によって構成可能であり、断熱も不要または最小ですむ。重要なことに、前記ガス/液体ストリームは、その内部のガス/液体混合物を前記断熱飽和点の近隣に維持しつつ、比較的長い距離にわたってベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分内において流れ得、これにより、建物631から離隔方向において配管部652から前記流れストリームをより容易にアクセス可能な位置へと容易に輸送することが可能になる。このより容易にアクセス可能な位置において、濃縮器600と関連付けられたその他の設備を簡便に配置することができる。詳細には、配管部652の内部の流れを前記断熱飽和点の近隣において維持しつつ、配管部652の長さを20フィート、40フィートまたはそれ以上にすることができる。もちろん、これらの長さは、雰囲気温度、配管種類および利用される断熱などに基づいてより長くまたはより短くすることも可能である。さらに配管部652はファン650の高圧力側に配置されるため濃縮物をより容易にこのストリームから除去することができる。図13の例示的実施形態において、配管部652は建物631内のエンジンと関連付けられた空気冷却器を通過するかまたは前記空気冷却器の下側に図示されている。しかし、図13の空気冷却器は、あくまで建物631の近隣に配置可能な障害物の種類の一例として示したものであり、濃縮器600の全コンポーネントを廃熱源(この場合、スタック629)の近隣に配置する際に問題になる。他の障害物を挙げると、他の設備、木などの植物、他の建物、道路または容易なアクセス地点が無いためアクセスできない地域などがある。
【0082】
任意の事象において、配管部652は、前記断熱飽和点に近いガス/液体ストリームをデミスター634へと送達する。デミスター634は、例えばクロスフロースクラバーであり得る。デミスター634は、前記ガス/液体ストリームから混入液滴を除去するように動作する。前記除去された液体は、サンプ636内に集まって、前記液体をポンプ640へと方向付ける。ポンプ640は、前記液体を再循環回路625の戻り配管642を通じて液体入口630へと戻す。このようにして、前記獲得された液体は、所望の濃度になるまで蒸発させることでさらに低減しかつ/または微粒子の乾燥を防ぐように再循環させることができる。新規の濃縮対象液体は、新規の液体入口644を通じて入力される。再循環回路625内に新規の液体を入力する速度は、前記ガス液体混合物がフロー通路624内を流れる際の液体蒸発速度と、沈殿槽649から抽出された液体またはスラッジの速度(このスラッジは、一定レベルで残っている沈殿槽649内の物質であると仮定する)との合計に等しくすべきである。詳細には、前記液体の一部は、再循環回路625中の液体が所望の濃度に到達した際に、抽出ポート646を通じて引き抜くすることができる。抽出ポート646から引き出された液体部分は、保存および沈殿槽649へと送ることができる。保存および沈殿槽649において、前記濃縮液体は沈殿し、構成成分(例えば、液体部分および半固体部分)へと分離する。この半固体部分は、タンク649から引き出すこともできるし、さらに処理することもできる。
【0083】
上記したように、ファン650は、負圧下においてフロー通路624の一部を通じてガスを引き出し、陽圧下においてフロー通路624の一部を通じてガスを押し出す。クエンチャ部659、ベンチュリ部626およびファン650は、任意の種類の接続デバイスによって建物631に取り付け可能であり、図13に示すように、廃熱源の近隣に配置される。しかしデミスター634およびガス出口622ならびに沈殿槽649は、クエンチャ部659、ベンチュリ部626およびファン650からある程度距離を空けた位置(例えば、アクセスが容易な位置)に配置してもよい。一実施形態において、デミスター634およびガス出口622ならびに沈殿槽649は、可動プラットフォーム(例えば、パレットまたはトレーラーベッド)上に取り付けることができる。
【0084】
図14〜図16は、液体濃縮器700の別の実施形態を示す。液体濃縮器700は、パレットまたはトレーラーベッド上に取り付けることができる。一実施形態において、濃縮器700のコンポーネントのうち一部を前記ベッド上に残しておき、濃縮活動に用いることができる。これらのコンポーネントのうち他のものも、例えば図13の実施形態中に示すように、取り外して廃熱源の近隣に取り付けることができる。液体濃縮器700は、ガス入口720と、ガス出口722とを有する。フロー通路724は、ガス入口720をガス出口722へと接続する。フロー通路724は、幅狭部またはベンチュリ部726を有する。ベンチュリ部726において、ガスがフロー通路724を通じて加速する。導入ファン(図示せず)により、ガスがクエンチャ部759内に引き込まれる。液体入口730から、クエンチャ部759中のガスストリーム内に液体が注入される。曲がり部733により、ガスはベンチュリ部726からデミスター(またはクロスフロースクラバー)734内へと方向付けられる。デミスター734から出て行った後、前記ガスは、スタック723を通じてガス出口722へと方向付けられる。もちろん、上述したように、これらのコンポーネントのうちいくつかを前記ベッドから取り外し、廃熱源の近隣に取り付けてもよく、その他のコンポーネント(例えば、デミスター734、スタック723およびガス出口722)を前記ベッド上において残しておいてもよい。
【0085】
前記ガス液体混合物がフロー通路724のベンチュリ部726を通過する際、前記液体の一部が蒸発し、前記ガスによって吸収され、これにより、潜熱が前記排気ガス中の水蒸気として濃縮器システム700から出て行く際、廃熱内の熱エネルギーのうち大部分が消費される。
【0086】
図14〜図16中に示す実施形態において、液体濃縮器700の部品を分解し、輸送用のパレットまたはトレーラースキッドに取り付けることができる。例えば、図14中の破線によって示すように、クエンチ部759およびベンチュリ部726を曲がり部733から取り外すことができる。同様に、図14中の破線によって示すように、スタック723を導入ファン750から取り外すことができる。曲がり部733、デミスター734および導入ファン750は、ユニットとしてパレットまたはトレーラースキッド799上に固定することができる。スタック723は、別個にパレットまたはトレーラースキッド799に固定することができる。クエンチ部759およびベンチュリ部726もまた、パレットまたはトレーラースキッド799に固定してもよいし、あるいは、別個に輸送してもよい。このように液体濃縮器700を区分化構造にすることにより、液体濃縮器700の輸送が容易になる。
【0087】
以下の例は、本発明の局面を示すために提示されるものであるが、本発明の範囲を限定することを意図していない。第1の例においては、浸出液を濃縮するためのプロセスの実施形態について記載する。第2の例においては、天然ガス井戸の動作からの「生成水」または「逆流水」として得られた廃水流の濃縮の実施形態について記載する。
【0088】
実施例I
【0089】
下記に述べる点を除いて図3について述べたものと同様の濃縮器アセンブリを用いて、埋立地施設において浸出液を濃縮した。前記処理された浸出液の化学組成は、以下の表(表1、表2)に示すようなものであった。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
前記濃縮器アセンブリに含まれる流体スクラバーそのものにおいて、初期粗衝突バッフルと、2つの取り外し可能なフィルタ(シェブロン)とが含まれていた。前記2つの取り外し可能なフィルタ(シェブロン)は、前記流体スクラバー内を通じて流体経路方向において直列に配置される。前記フィルタは、前記2つのシェブロンのうちの第1のシェブロンから約18.75インチ(in)の距離を空けて配置された。前記2つのシェブロンは、約30inの距離を空けて、相互に間隔を空けて配置した。最後に、前記2つのシェブロンのうち第2のシェブロンを、前記流体スクラバーの排気から約18.75inの距離だけ空けて、間隔を空けて配置した。前記フィルタは、約50ミクロン〜約100ミクロンのサイズの液滴を除去するように構成した。前記流体経路と出会う、前記2つのシェブロンのうち第1のシェブロンは、約20ミクロン〜約30ミクロンのサイズの液滴を除去するように構成し、前記2つのシェブロンのうち第2のシェブロンは、約10ミクロン〜約20ミクロンのサイズの液滴を除去するように構成した。これらのシェブロンは、Munters Corporation(会社所在地:Amesbury、MA)から市販されている。前記流体スクラバー中にはサンプを設けた。前記サンプの流体保持能力は、約200ガロン(約757リットル)であった。
【0093】
また、前記濃縮器アセンブリ内には、図3に示すように流体スクラバーの下流に誘引通風ファンを設けた。モータにより前記牽引ファンを作動させて、埋立地施設のフレアアセンブリから濃縮器アセンブリを通じて(すなわち、熱伝達アセンブリ、前処理アセンブリ、および前記濃縮器アセンブリの流体スクラバーを通じて)ガスを誘引するのに十分な負圧を前記流体スクラバー内に発生させた。前記ファンを、1350回転/分の96%で動作させた。この動作時において、前記ファンは、前記ベンチュリ部上において6.5インチの水柱(we)の差圧を発生させ、前記流体スクラバー上において1.6のインチの水柱(we)の差圧を発生させた。
【0094】
前記濃縮器アセンブリの入力ラインを、浸出液流れラインに接続した。前記入力流れラインを通じて、温度約25℃の浸出液を毎分あたり約7.1ガロン(gal/分)の定常流とした。前記浸出液(本明細書中「新規の浸出液」とも呼ぶ)の大部分は水であるが、上記表中に概要を示したような他の化合物も含まれていた。そのため、前記浸出液の濃度はほとんど水によって決定されるため、前記浸出液の蒸発熱を水と同様にした(すなわち、1000Btu/ポンド(lb))。前記新規の浸出液中には、(前記浸出液の総重量に基づいたときに)全部で2.3%の固体が含まれていた。再循環された、さらに部分的に濃縮した浸出液を、75gal/分の速度で前記再循環パイプを通じて前記ベンチュリ部内に送った。前記再循環速度を、前記入力ラインを通じて流れる浸出液の速度の約10倍に概して維持した。この再循環速度において、本例の目的のため、前記再循環された浸出液の温度および蒸発熱は、前記新規の浸出液のものと同一であると仮定した。
【0095】
前記濃縮器アセンブリの導入部は、排気ガス導入のために約10.5平方フィート(ft2)の断面積を有し、前記導入部からの排気ガス出力のために約15.8ft2の断面積を有し、平均流路長さは約7ft.2inであった。前記クエンチャの入力の断面積は、およそ8.3平方フィートであった。前記クエンチャの出力の断面積は、およそ3.14平方フィートであり、前記ベンチュリ部の入口の断面積と同じである。前記ベンチュリ部の出力の断面積は約2.42m2であり、前記ベンチュリプレートが全開口であるとき(すなわち、前記ガス/液体の流れに対して平行に配置されているとき)の前記ベンチュリ部の最幅狭部の断面積は約0.24m2であった。前記浸出液を濃縮する目的の動作において、前記ベンチュリプレートをこの全開口位置において維持した。
【0096】
前記近似蒸発熱、質量およびエネルギーのバランスを前記クエンチャおよび前記ベンチュリ部の周囲において実行して、前記浸出液のうちわずか97重量%を蒸発させるのに必要な熱量を決定するが、より高レベルの蒸発も可能である。97%を蒸発させると、前記濃縮浸出液は液体形態で残留する。熱量およびガス流を決定する際、前記牽引ファンのガス牽引能力と、前記流体スクラバー内の前記フィルタおよびシェブロンが有する、前記浸出液を濃縮する能力とを考慮すると好適である。上記バランスおよびその他の考慮事項に基づいて、前記熱伝達アセンブリ内への排気ガスの流れと、最終的には前記クエンチャおよびベンチュリ部内の排気ガスの流れとを(前記クエンチャへの導入部における発熱量5.6MMBTU/hrに基づいて)約11,500ACFMと決定した。この流れは、前記排気ガスの発熱量に応じて変更することができる(例えば、発熱量が低い場合、排気ガスの流れを高める必要があり、逆も成り立つ)。
【0097】
フレアアセンブリ中において燃焼されている特定のガス中には、メタン、エタンおよび同様の揮発度を有する他の炭化水素が一般的に含まれる。前記ガスは、前記埋立地施設から直接得たものであるか、または、他の場合にフレアアセンブリ中において燃焼されたものであり、(必要に応じて排出物を制御する政府規制に準じた汚染物質の除去の後)その排気が放出される。前記燃焼ガス出口および第2の燃焼ガス出口に隣接したフレアガス排気の温度を測定したところ、華氏900度(482℃)であった。前記排気ガスが前記熱伝達パイプの長さだけ移動した後に前記空気前処理アセンブリ内のクエンチャに入ると、このガスの温度は華氏888度(476℃)まで低下した。前記熱伝達パイプはステンレス鋼製であり、内径は約3ft.3in.であり、長さは約5ft.31/8inであった。前記熱伝達パイプ中の圧力は−0.12in.weであった。前記空気前処理アセンブリの垂直配管部もステンレス鋼製であり、メッシュバードスクリーンのベースからクエンチャ入口まで測定したところ、内径は約3ft.3in.であった。
【0098】
上記のアセンブリにより、前記流体スクラバー(華氏152度(66.7℃))上の温度を一定にして、前記浸出液を初期重量の約3パーセントまで連続的に濃縮した。前記濃縮器が定常状態で動作している際、前記濃縮器部分および前記流体スクラバー中の温度は、前記ガスおよび液体の混合物の断熱飽和温度に近づいた。濃縮浸出液中には21.2%の全固形分が含まれており、その一方でゼロ液体放出で動作する可能性を示し、また、再循環ラインによって上澄み部またはろ過液部を蒸発ゾーンへと戻す際、沈殿固体を上澄みまたはろ過液から分離した。上記プロセスの測定パラメータを以下の表中に示す。
【0099】
上記例から、前記システムは、安全かつ信頼性のある様態で連続して動作して、浸出液を濃縮することができたことが分かる。上記アセンブリは、従来の埋立地ガスフレアからの廃熱を主要エネルギー源として動作することができる。上記アセンブリはまた、埋立地ガスによって燃料補給を受ける工場において一般的に用いられる往復運動エンジンからの排気ガスから得られた熱によっても動作することができる。さらに、上記プロセスは、政府規制機関のガイドラインによって定められた要求内の排出物を生成した。
【0100】
実施例II
【0101】
下記に述べる点を除いて実施例Iについて述べたものと同様の濃縮器アセンブリを用いて、天然ガス井戸からの生成水を濃縮した。加熱された排気ガスを得るために埋立地ガス源を用いる代わりに、このプロセスにおいては、プロパンガスの燃焼により、加熱された排気ガスを得た。排気出口を有する燃焼器内においてプロパンを燃焼させた。前記排気出口は、図3に示す熱伝達パイプに接続した。その他の点においては、前記プロセスアセンブリは実施例Iのものと同様である。
【0102】
【表3】
【0103】
上記例から、前記システムは、安全かつ信頼性の有る様態で連続的に動作して、生成水を濃縮できたことが分かる。また、上記例から、前記アセンブリは、往復運動エンジンの排気ガスから得られた熱によって動作することができたことも分かる。さらに、上記プロセスは、政府規制機関のガイドラインによって定められた要求内の排出物を生成した。
【0104】
図17は、濃縮器800の模式図である。濃縮器800により、上記の実施例IおよびIIにおいて概要を述べたような埋立地浸出液および天然ガス井戸からの生成水を蒸発した。図17の濃縮器800の部分のうち、図3の濃縮器110と同様の部分については、同様の参照符号によって示す。
【0105】
開示の廃水濃縮プロセスの1つの局面は、加熱ガスおよび液体廃水を組み合わせて、加熱ガスおよび混入液体廃水の混合物を形成するステップと、前記混入廃水を破壊して微細な液滴として、前記混入液体廃水と前記加熱ガスとの間の界面面積を増加させて、高速な質量および熱伝達を可能にするステップと、前記加熱ガスからの熱を前記混入液体廃水へと伝達させて、前記混入液体廃水を部分的に蒸発させるステップと、前記混合物から前記混入液体廃水の一部を除去して、デミストされたガスを得るステップとを含む。
【0106】
開示の廃水濃縮プロセスの別の局面は、前記除去された混入液体廃水を再循環させるステップと、前記除去された混入液体廃水と、新規の液体廃水とを組み合わせるステップとを含む。
【0107】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、前記加熱ガスおよび混入液体廃水の混合物をクロスフロースクラバーを通じて送るステップを含む。
【0108】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、燃料の燃焼により前記加熱ガスを生成するステップを含む。
【0109】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、埋立地ガス、天然ガス源泉から直接供給された天然ガス、精製された天然ガス、プロパン、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つを燃焼させることにより前記加熱ガスを生成するステップを含む。
【0110】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、埋立地浸出液、逆流水、生成水、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から前記廃水を選択するステップを含む。
【0111】
特定の代表的な実施形態および詳細について、本発明の例示目的のために記載してきたが、当業者にとって、本発明の範囲から逸脱することなく、開示の本明細書中に開示の方法および装置において多様な変更が可能であることが明らかである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第12/705,462号(出願日:2010年2月12日)の部分継続出願である。米国特許出願第12/705,462号は、米国特許出願第12/530,484号(出願日:2009年9月9日)の部分継続出願である。米国特許出願第12/530,484号は、国際(PCT)特許出願第PCT/US08/56702(出願日:2008年3月12日)の米国国内段階出願であり、米国仮特許出願第60/906,743号(出願日:2007年3月13日)の恩恵を主張する。本出願はまた、米国仮特許出願第61/152,248号(出願日:2009年2月12日)および米国仮特許出願第61/229,650号(出願日:2009年7月29日)の優先権による恩恵を主張する。本明細書中、出願第12/530,484号、60/906,743号、61/152,248号および61/229,650号それぞれの開示内容全体を明示的に参考のため援用する。
【0002】
本出願は、主に液体濃縮器に関し、より詳細には、コンパクトであり、ポータブルでありかつコスト効率の良い廃水濃縮器に関する。前記廃水濃縮器は、廃熱源に容易に接続可能でありかつ廃熱源を容易に利用することができる。
【背景技術】
【0003】
揮発性物質の濃縮は、広範かつ多様な廃水流の有効な形態の処理または前処理であり得、多様な種類の商用処理システム内において行うことができる。高レベルの濃度において、多くの廃水流を、高レベルの溶解固体および浮遊固体を含むスラリーの形態の残留物質に還元することができる。このような濃縮残留物は、従来の技術によって容易に固化した後に埋立地内に埋め立てることもできるし、あるいは、適用可能な場合は、下流プロセスへと送ってさらなる処理を施した後に最終埋め立てに送ることもできる。廃水を濃縮することで、輸送コストおよび必要な貯蔵容量の大幅な低減が可能になり、また、廃水からの物質回収を行う下流プロセスにおいても有用であり得る。
【0004】
産業廃水流の特性は、その発生元である多数の産業プロセスによって極めて広範に異なる。すなわち、産業内の制御条件下の設計に起因して発生する廃水に加え、事故および自然災害に起因して発生する制御不能な事態に起因する廃水もしばしば発生する。廃水制御のための技術を挙げると、下水処理工場への直接排水、前処理後の下水処理工場への排水、有用成分の再生利用のためのオンサイトプロセスまたはオフサイトプロセス、最終埋め立て前に廃水調整のみを行うオンサイト処理またはオフサイト処理がある。廃水源が制御不能である場合、有効な閉じ込め技術および回収技術を上記選択肢のいずれかに含める必要がある。
【0005】
廃水濃縮プロセスの有効性の重要な尺度として、発生残留物の体積と、プロセス内に入る廃水の体積との間の比率がある。詳細には、残留物体積と供給体積との間の比が低い(高レベル濃度)ほど望ましい。廃水中に溶解物質および/または浮遊不揮発性物質が含まれている場合、揮発性物質の蒸発に依存している特定の濃縮プロセスにおいて達成可能な体積低減は、プロセス流体への熱伝達のために選択された方法により、大幅に限定される。
【0006】
従来のプロセスの場合、水および他の揮発性物質の蒸発による濃度に影響が発生する。従来のプロセスは、濃縮中の液体(プロセス流体)への熱伝達方法に応じて、直接熱伝達システムまたは間接熱伝達システムに分類することができる。間接熱伝達デバイスは、ジャケット付き管またはプレート、バヨネットチューブまたはコイル型熱交換器を主に含む。前記ジャケット付き管は、プロセス流体を含む。前記プレート、バヨネットチューブまたはコイル型熱交換器は、前記プロセス流体中に浸漬される。蒸発に必要な熱伝達のために、媒体(例えば、蒸気または熱油)が前記ジャケットまたは熱交換器を通じて送られる。直接熱伝達デバイスによって行われるプロセスにおいては、熱媒体を前記プロセス流体と直接接触させる。このような直接接触は、例えば水中燃焼ガスシステム内において発生する。
【0007】
熱交換器(例えばジャケット、プレート、バヨネットチューブまたはコイル)に依存する間接熱伝達システムの場合、プロセス流体と直接接触する熱交換器表面上の固体蓄積によって制限を受けることが多い。また、このようなシステムの場合、熱媒体への熱エネルギー移動のために必要な別個のプロセス(例えば、蒸気ボイラーまたは他の熱伝達流体(例えば、熱油ヒーター)の加熱に用いられるデバイス)に起因して、システム設計が複雑である。この設計に起因して、濃縮プロセスを支持するために2つの間接熱伝達システムが必要となる。処理を受けている最中に熱交換器上に蓄積物を発生させるフィードストリームをファウリング流体と呼ぶ。温度上昇と共に溶解度が低下する特定の化合物(例えば、炭酸塩)がフィードストリーム中に含まれる場合、熱交換器表面の温度上昇に起因して、総体的に低い濃度においても蓄積物(一般的にボイラースケールとして知られる)が発生する。さらに、温度上昇と共に溶解度が高くなる化合物(例えば、塩化ナトリウム)が廃水フィード中に存在する場合、当該化合物に起因して、プロセス流体が高濃度になるにつれて、溶液から蓄積物がやはり沈殿する。このような蓄積物があると、プロセス効率維持のために熱交換表面のクリーニングを頻繁に行う必要がある。このような蓄積物は、廃水フィードと共にプロセス内に搬送される浮遊固体と、プロセス流体中から沈殿する固体との任意の組み合わせであり得る。このような熱交換表面上の固体蓄積による悪影響に起因して、間接熱伝達プロセスの稼働可能時間の長さが制限を受ける。なぜならば、定期クリーニング実施のために、当該プロセスの中断が必要となるからである。このように、このような悪影響に起因して、廃水範囲にファウリング流体が含まれる場合に特に、廃水の有効制御範囲が実際に制限される。従って、間接熱伝達機構に依存するプロセスは、多様かつ広範囲の廃水流の濃縮と、残留物対供給体積の比の低減とには不適切であることが多い。
【0008】
特許文献1(同文献を参考のため援用する)中において、特定の種類の直接熱伝達濃縮器についての開示がある。この直接熱伝達濃縮器は、水中ガスプロセスの形態をとっており、燃焼ガスを発生させ、入口パイプを通じてプロセス流体中の分散ユニットへと送る。前記分散ユニットは、複数の間隔を空けて配置されたガス送達パイプを含む。これらのガス送達パイプは、前記入口パイプからラジアル方向に外側に延びる。これらのガス送達パイプはそれぞれ、小穴を有する。これらの小穴は、前記ガス送達パイプの表面上の多様な位置において間隔を空けて配置され、これにより、処理管内に保持された液体の断面積上においてできるだけ均一に前記燃焼ガスを小泡として分散させる。先行技術における現行での理解によれば、この設計を用いれば、大きな界面表面積上において液体と高温ガスとを望ましく密接に接触させることが可能になる。このプロセスの意図とは、プロセス流体中の気相分散によって形成される動的かつ連続的に再生可能な界面表面積において熱および物質移動を発生させ、固体粒子蓄積が発生し得る固体熱交換表面においては熱および物質移動を発生させないようにすることである。そのため、この水中ガス濃縮プロセスを用いれば、従来の間接熱伝達プロセスと比較して大幅な利点が得られる。しかし、特許文献1の場合、ファウリング流体から形成された固体蓄積に起因して、デバイス内のプロセス流体内に高温ガスを分散させるために用いられるガス送達パイプ中の小穴が塞がれる。その結果プロセス流体への高温ガスの通り道となる入口パイプ内において、固体が蓄積する。
【0009】
さらに、連続的プロセス液相全体において大量のガスを分散させる必要があるため、特許文献1の場合、閉じ込め管の断面積を極めて大きくする必要があることが多い。このような閉じ込め管の内面および当該閉じ込め管内に取り付けられた任意の付属物を、プロセスの「湿潤表面」と総称する。これらの湿潤表面は、システム作動時において、多様な濃度の高温プロセス流体に耐える必要がある。広範囲の廃水流を処理するように設計されたシステムの場合、湿潤表面の構造材料に基づいて、腐食および温度耐性双方に関連して重大な設計事項が決定される。腐食および温度耐性については、設備コストおよび経時的メンテナンス/交換コストとのバランスをとる必要がある。一般的にいって、湿潤表面の耐久性およびメンテナンスコスト/交換コストの低さは高グレードの金属合金または特定の工業用プラスチック(例えば、ガラス繊維管の製造に用いられるもの)のいずれかを選択することにより、向上する。しかし、間接加熱システムまたは直接加熱システムのいずれかを用いた従来の濃縮プロセスの場合、高温媒体(例えば、管内の流体への熱移動のための蒸気、熱伝達油またはガス)のための手段も必要となる。多様な異なる高合金を用いれば、腐食および温度耐性についての答えは得られるものの、このような合金から作製された管および付属物のコストは極めて高いことが多い。さらに、工業用プラスチックの場合、閉じ込め管として直接形成することも湿潤表面上のコーティングとして利用することも可能であるが、多くの工業用プラスチックの温度耐性において制約があることが多い。例えば、特許文献1において用いられている管内の高温ガス用入口パイプの高温表面の場合もこのような制約がある。そのため、これらのプロセスにおいて用いられる管および他の設備は典型的には、製造および維持が極めて高価になることが多い。
【0010】
さらに、これらのシステムの全てにおいて、熱源において濃縮プロセスまたは蒸発プロセスを行う必要がある。多くのシステムが、多様な源によって生成された熱(例えば、エンジン内において発生した熱、燃焼室内において発生した熱、ガス圧縮プロセス内において発生した熱、等)を廃水処理の熱源として利用するように、開発されている。このようなシステムの一例について、特許文献2中に開示がある。同特許においては、水中燃焼ガス蒸発器内の埋立地ガスを燃焼させることにより熱を発生させ、この熱を用いて、埋立地現場において浸出液の処理を行う。特許文献3において、水中ガス蒸発器についての開示がある。この水中ガス蒸発器においては、廃熱をガス蒸発器の入力に提供して、液体の濃縮または蒸発に用いる。廃熱は低コストのエネルギー源としてみなされることが多いものの、廃水処理作業において廃熱を有効利用するためには、多くの場合において、廃熱源から廃熱を蒸発プロセスまたは濃縮プロセスの実行場所まで長距離にわたって搬送する必要があることが多い。例えば、多くの場合、埋立地作業においては、埋立地ガスを燃料として用いて作動する1つ以上の内燃機関を用いた発電機が用いられる。これらの発電機またはエンジンからの排気は典型的には、マフラーおよび排気筒を通じて発電機を含む建物上部の雰囲気へと送られ、廃熱源となる。しかし、この廃熱の収集および利用のためには、大量の高価な配管およびダクトを排気筒に接続して、廃熱を処理システム位置まで送る必要があり、また、処理システムの位置も、発電機を含む建物から離れた地表にあることが多い。重大なことに、排気筒内の高温(例えば、華氏950度)の排気ガスに耐えることが可能な配管、ダクト材料および制御デバイス(例えば、絞り弁および遮断弁)は極めて高価であり、また、輸送時の排気ガス中の熱を保持するために断熱も必要である。このような目的のための受容可能な断熱材料は多様な特性(例えば、脆性、経時的腐食および熱サイクルへの感度)に起因して概して破損することが多く、そのため、設計が複雑化する。断熱に起因して、配管、ダクトおよび制御デバイスの重量も増加し、その結果、構造支持要求コストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5342482号明細書
【特許文献2】米国特許第7214290号明細書
【特許文献3】米国特許第7416172号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に開示されるコンパクトな液体濃縮デバイスは、廃熱源(例えば、埋立地ガスフレアまたは燃焼機関排気筒)に容易に接続可能であり、この廃熱を用いて、直接熱伝達濃縮プロセスを行うことができ、その際、大型の高価な閉じ込め管は不要であり、大量の高価な高温耐性材料も不要である。前記コンパクトな液体濃縮器は、ガス入口と、ガス出口と、前記ガス入口および前記ガス出口を接続する混合通路またはフロー通路とを含む。前記フロー通路は、幅狭部を含む。前記幅狭部において、前記フロー通路内を通過するガスが加速される。前記ガス入口と、前記フロー通路の前記幅狭部との間に配置された液体入口から、前記幅狭部よりも前方の地点において前記ガスストリーム中に液体が注入され、これにより、前記フロー通路内においてガス液体混合物が十分に混合され、前記液体の一部が蒸発または濃縮される。デミスターまたは流体スクラバーが前記幅狭部の下流に設けられる。前記デミスターまたは流体スクラバーは、前記ガス出口に接続され、前記ガスストリームから混入液滴を除去し、前記除去された液体を再循環回路を通じて前記液体入口へと再循環させる。新規の濃縮対象液体も、前記フロー通路中において蒸発する液体および前記プロセスから引き出される全濃縮液体の総計をオフセットさせるのに十分な速度において、前記再循環回路内へ導入される。
【0013】
本明細書中に記載のコンパクトな液体濃縮器は、広範な特性を有する廃水流の濃縮をコスト効率良く行うよう機能する、複数の属性を含む。前記濃縮器は、広範なフィード特性において腐食作用に対して耐性を有し、製造コストおよび動作コストが合理的であり、高レベルの濃度において連続作動が可能であり、かつ、広範な源から直接得られた熱エネルギーを効率的に利用する。さらに、前記濃縮器はコンパクトであるためポータブルであり、廃水が制御不能な事象と共に発生する位置への輸送も容易であり、かつ、廃熱源に近接して取り付けることが可能である。よって、本明細書中に記載の濃縮器は、コスト効率が良く、信頼性があり、かつ耐性のあるデバイスであり、広範な異なる種類の廃水流を連続的に濃縮するように動作し、また、(目詰まりおよび蓄積物増加の原因となっていた)従来の間接熱伝達システムにおける従来の固体表面熱交換器の利用を不要とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンパクトな液体濃縮器の一般的模式図である。
【図2】トラック上での輸送が容易になるよう、パレットまたはスキッド上に取り付けられている、図1の液体濃縮器の実施形態を示す図である。
【図3】埋立地フレアによって生成された廃熱源に接続されている、図1の濃縮プロセスを実行するコンパクトな液体濃縮器の斜視図である。
【図4】図3のコンパクトな液体濃縮器の熱伝達部の斜視図である。
【図5】図3のコンパクトな液体濃縮器の蒸発器/濃縮器部分の正面斜視図である。
【図6】図3のコンパクトな液体濃縮器の一部上の容易に開口可能なアクセスドアの斜視図である。
【図7】図6の容易に開口可能なアクセスドアのうちの1つが開口位置にある様子の斜視図である。
【図8】図6および図7のアクセスドア上において用いられる容易に開口可能なラッチ機構の斜視図である。
【図9】図3のコンパクトな液体濃縮器内において、コンパクトな液体濃縮器の多様な構成成分の動作を制御するために用いることができる、制御システムの模式図である。
【図10】図3のコンパクトな液体濃縮器が、廃熱源としての燃焼機関スタックに取り付けられている様子を示す。
【図11】コンパクトな液体濃縮器の第2の実施形態の一般的模式図である。
【図12】図11のコンパクトな液体濃縮器の上面図である。
【図13】コンパクトな液体濃縮器の第3の実施形態の模式図であり、第3の実施形態は、分散型液体濃縮器である。
【図14】図13の分散型液体濃縮器の液体濃縮部分の側面断面図である。
【図15】図14の液体濃縮部の上面図である。
【図16】図13の分散型液体濃縮器のクエンチャおよびベンチュリ部の詳細な側面図である。
【図17】埋立地浸出液および天然ガス井戸からの生成水を濃縮するために用いられる例示的濃縮器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、液体濃縮器10の一般的模式図である。液体濃縮器10は、ガス入口20と、ガス出口22と、ガス入口20をガス出口22へと接続するフロー通路24とを含む。フロー通路24は、幅狭部26を含む。幅狭部26において、フロー通路24を通過するガスの流れが加速され、その結果、この位置においてまたはこの位置の近隣において、フロー通路24内に乱流が発生する。この実施形態における幅狭部26は、ベンチュリデバイスによって形成され得る。液体入口30から、(蒸発を介して)濃縮されるべき液体が、幅狭部26の上流の地点において、フロー通路24内の液体濃縮室内に注入される。前記注入された液体は、フロー通路24内のガス流と合流する。液体入口30は、フロー通路24内に液体を噴霧するための1つ以上の交換可能なノズル31を含み得る。入口30は、ノズル31を備えているか否かにかかわらず、ガスがフロー通路24を通じて流れる際に当該ガス流に対して(当該ガス流に対して垂直な方向から当該ガス流に対して平行な方向までの)任意の方向において前記液体を導入し得る。バッフル33を液体入口30の近隣に設けることで、液体入口30から導入された液体を前記バッフル上に衝突させ、その結果、前記液滴は、前記フロー通路内において分散して小液滴となる。
【0016】
前記ガスおよび液体が前記幅狭部26を流れて通過するにつれ、ベンチュリ法則により乱流が加速され、フロー通路24中および入口30の位置後において前記ガスおよび液体が十分に混合される。このような幅狭部26を通じた加速に起因して、前記ガス流と前記液滴との間と、前記液滴と幅狭部26の壁との間にせん断力が発生し、その結果、極めて微細な液滴が前記ガス中に混入し、これにより、前記液滴と前記ガスとの間の界面表面積が増加し、前記ガスと前記液滴との間の物質移動および熱伝達が高速化する。前記液体は、幅狭部26内に流入する液体の幾何学的形状に関係無く(例えば、前記液体は、シート状の液体として幅狭部26内に流入し得る)、幅狭部26から出て行く際に極めて微細な液滴になっている。乱流混合およびせん断力の結果、前記液体の一部は高速に蒸発し、前記ガスストリームの一部となる。前記ガス液体混合物が幅狭部26内を通過する際、前記ガス液体混合物の方向および/または速度を、調節可能な流量制限物(例えば、ベンチュリプレート32)によって変更することができる。この流量制限物は一般的には、ベンチュリプレート32の上流および下流のフロー通路24内に大きな圧力差を発生させるために用いられる。ベンチュリプレート32は、幅狭部26のサイズおよび/または形状を制御するように調節可能であり、また、耐食物質(例えば、高合金金属)(例えば、Hastelloy(登録商標)、Inconel(登録商標)およびMonel(登録商標)の商品名下で製造されているもの)から製造可能である。
【0017】
幅狭部26から出た後、前記ガス液体混合物は、ガス出口22に接続されたデミスター34(流体スクラバーまたはエントレインメント分離器とも呼ばれる)を通過する。デミスター34により、ガスストリームから混入液滴が除去される。デミスター34は、ガス流通路を含む。前記除去された液体は、前記ガス流通路内の液体収集器またはサンプ3内に集まる。サンプ36は、前記除去された液体を保持するリザーバも含み得る。サンプ36に流体接続されたポンプ40および/またはリザーバにより、再循環回路42を通じて液体入口30および/またはフロー通路24へと液体が戻される。このようにして、前記液体を所望の濃度まで蒸発により減少させることができる。新規の濃縮対象液体が、液体入口44を通じて再循環回路42へと入力される。この新規液体をベンチュリプレート32の上流のフロー通路24内に直接注入してもよい。新規の液体入力を再循環回路42内に入力する速度は、前記ガス液体混合物がフロー通路24内を通過する際の液体の蒸発速度と、サンプ40内のリザーバ内またはサンプ40内のリザーバの近隣に配置された濃縮流体抽出ポート46を通じて抽出される液体の速度との合計と同一であり得る。再循環液体と新規液体との間との比は、一般的にはおよそ1:1〜およそ100:1であり得、通常はおよそ5:1〜およそ25:1であり得る。例えば、再循環回路42における流体の循環速度がおよそ10gal/分である場合、新規液体をおよそ1gal/分の速度で(すなわち、10:1の比で)導入することができる。再循環回路42内の液体が所望の濃度に到達すると、前記液体の一部を抽出ポート46から吸い出すことが可能になる。再循環回路42は、蒸発プロセスにおけるバッファまたは緩衝装置として機能し、これにより、フロー通路24中に十分な水分が確保され、これにより、液体の完全な蒸発および/または乾いた微粒子の形成が回避される。
【0018】
デミスター34を通過した後、ガスストリームは、導入ファン50を通過する。導入ファン50は、負圧下においてフロー通路24およびデミスターガスフロー通路を通じてガスを吸入する。もちろん、濃縮器10は、液体入口30の前方に設けられた送風機(図示せず)によって生成された陽圧下において動作することも可能である。最終的に、前記ガスは、前記雰囲気に放出されるか、または、ガス出口22から出されてさらなる処理を受ける。
【0019】
濃縮器10は、濃縮対象液体を処理するための前処理システム52を含む。前記濃縮対象液体は、廃水フィードであり得る。例えば、エアストリッパーを前処理システム52として用いることで、悪臭の発生源となり得る物質または大気汚染物質として規制される物質を除去することができる。この場合、前記エアストリッパーは、任意の従来の種類のエアストリッパーであってもよいし、あるいは、本明細書中に記載の種類のさらなる濃縮器であってもよく、エアストリッパーとして直列に使用することが可能である。所望であれば、前処理システム52は、任意の所望の加熱技術を用いて濃縮対象液体を加熱することができる。さらに、濃縮器10内を循環するガスおよび/または廃水フィードは、プレヒーター54内において事前加熱することができる。事前加熱を用いて蒸発速度を上げることができ、よって液体濃縮速度を上げることができる。再生可能な燃料(例えば、木質チップ、バイオガス、メタン、または他の任意の種類の再生可能な燃料、または再生可能な燃料、化石燃料および廃熱の任意の組み合わせ)の燃焼を通じて、ガスおよび/または廃水フィードを事前加熱することができる。さらに、埋立地フレアまたはスタック内において発生した廃熱の利用を通じて、前記ガスおよび/または廃水を事前加熱することができる。また、エンジン(例えば、内燃機関)からの廃熱を用いて、前記ガスおよび/または廃水フィードを事前加熱することができる。さらに、天然ガスは廃熱源として利用可能であり、前記天然ガスは、未精製の状態で天然ガス源泉から直接供給可能であり、ガス流が安定する前の天然ガス井戸完成後すぐに供給することもできるし、あるいは、より安定状態となった天然ガス井戸内においてガス流が安定した後に供給することも可能である。必要に応じて、前記天然ガスを精製した後、フレア内において燃焼してもよい。さらに、濃縮器10のガス出口22から出てきたガスストリームをフレアまたは他の後処理デバイス56へと送り、前記ガスを処理した後に雰囲気に放出してもよい。
【0020】
本明細書中に記載される液体濃縮器10を用いて、広範な廃水流(例えば、産業からの廃水、自然災害からの流出水(洪水、ハリケーン)、精油所焼灼剤、浸出液(例えば、埋立地浸出液)、天然ガス井戸完成後の逆流水、天然ガス井戸の作動に起因して発生する水)を濃縮することができる。液体濃縮器10は、実用的であり、エネルギー効率が良く、信頼性があり、かつコスト効率が良い。この液体濃縮器の有用性を高めるために、液体濃縮器10は、トレーラーまたは可動スキッド上に取り付け可能なように容易に適合可能であり、これにより、事故または自然災害に起因して発生する廃水流に有効に対処するか、または、空間的に離れた遠隔地にある現場において発生した廃水を定期的に処理することができる。本明細書中において記載される液体濃縮器10は、これらの望ましい特性を全て備えており、特に広範かつ多様な廃水流を管理する目的において、従来の廃水濃縮器に比して大きな利点を提供する。
【0021】
さらに、濃縮器10のうち大部分は、耐食性が高くかつ低コストの材料(例えば、ガラス繊維および/または他の工業用プラスチック)から作製される。これが可能であるのは、開示の濃縮器が最小の差圧下において動作するように設計されているという点に部分的に起因する。例えば、一般的にわずか10〜30水柱インチの範囲の差圧しか必要でないことが多い。また、濃縮プロセスのガス液体接触ゾーンからは、流路のベンチュリ部においてまたは流路のベンチュリ部の直後において幅狭の(コンパクトな)通路内において高乱流が発生するため、ガス液体接触が大型プロセス管内において発生する従来の濃縮器と比較して、全体的設計が極めてコンパクトになる。その結果、濃縮器10に必要な高合金金属が極めて最低限になる。また、これらの高合金部品は小型であり、また、短時間かつ最小の労力で容易に交換可能であるため、これらの部品のうち一部または全てを定期的に交換すべきより低品質の合金から製造された摩耗アイテムとして設計することにより、作製コストをさらに節減することが可能である。所望であれば、これらのより低品質の合金(例えば、炭素鋼)を腐食および/または耐食処理が施されたライナー(例えば、弾性重合体を含む工業用プラスチック)によってコーティングすることで、当該コンポーネントの耐用年数を延ばすことができる。同様に、ポンプ40にも腐食および/または耐食処理が施されたライナーを施すことで、ポンプ40を寿命を延ばすことができ、これにより、メンテナンスコストおよび交換コストを低減することができる。
【0022】
理解されるように、液体濃縮器10は、濃縮対象液体および高温ガスの直接接触を起こすことで、高温ガスと前記液体(例えば、濃縮中の廃水)との間の乱流熱交換および物質移動を発生させる。さらに、濃縮器10は、極めてコンパクトなガス液体接触ゾーンを用いることで、当該ガス液体接触ゾーンを公知の濃縮器と比較して最小のサイズにしている。このような直接接触による熱交換機能により、高エネルギー効率が促進され、従来の間接熱伝達濃縮器において用いられていたような固体表面熱交換器が不要になる。さらに、前記コンパクトなガス液体接触ゾーンにより、従来の間接熱交換濃縮器および直接熱交換濃縮器双方において用いられていた嵩高なプロセス管が不要になる。これらの機能により、比較的低コストの作製技術を用いて濃縮器10を製造することが可能になり、濃縮器10の重量も従来の濃縮器よりも軽くすることができる。これらの要素が相乗して、可搬性およびコスト効率が高まる。このように、液体濃縮器10は従来の濃縮器よりもよりコンパクトでありかつ軽量であるため、可搬ユニットとしての用途に理想的である。さらに、液体濃縮器10は、直接接触による熱交換作業と固体熱交換器表面の欠落とに起因するファウリングおよび閉塞が起こりにくい。液体濃縮器10はまた、直接接触熱交換により、大量の浮遊固体を含む液体を処理することも可能である。その結果、濃縮器10のクリーニングを頻繁に行う必要無く、高濃度のプロセス流体を達成することが可能になる。
【0023】
より詳細には、間接熱伝達を用いた液体濃縮器において、熱交換器はファウリングが起こりやすく、そのため、熱交換器内において循環している高温の熱伝達媒体(蒸気または他の高温流体)の通常の使用温度において腐食が加速し易い。これらの要素それぞれに起因して、従来の間接的に加熱される濃縮器の耐久性および/または建築コストにおいて著しい制約が生じ、また、当該熱交換器の作動を中断してクリーニングまたは修理を行う時期までの動作可能時間も同様に著しい制約を受ける。嵩高なプロセス管を不要にすることにより、液体濃縮器の重量と、高合金コンポーネントの初期コストおよび交換コストとをどちらとも低減することができる。さらに、ガス/液体間の温度差と、システム内に含まれる比較的小体積の液体と、前記液体と前記ガスとの間の比較的大きな界面面積と、液体との混合前のガスの相対湿度の低下とに起因して、液体濃縮器10が、特定のガス液体混合物における断熱飽和温度に近づく。前記断熱飽和温度は典型的には、約華氏150度〜約華氏215度である(すなわち、この濃縮器は、「低運動量」濃縮器である)。
【0024】
さらに、濃縮器10は、負圧下において動作するように設計されており、このような機能により、極めて広範な燃料または廃熱源を蒸発のためのエネルギー源として利用することができる能力が大幅に向上する。実際、これらのシステムの牽引性により、加圧バーナーまたは非加圧バーナーを用いて濃縮器10内において用いられるガスの加熱および供給を行うことができる。さらに、最小数の可動部および摩耗部しか必要でないため、濃縮器10の簡潔性および信頼性が増す。一般的に、当該濃縮器が廃熱(例えば、エンジン(例えば、発電機または車両エンジン)、タービン、産業プロセススタック、ガスコンプレッサシステム、およびフレア(例えば、埋立地ガスフレア)からのスタックガス)上において動作するように構成されている場合、必要となるのは2つのポンプおよび単一の誘引通風ファンのみである。これらの機能により、濃縮器10の多様性と、濃縮器10の購入コスト、動作コストおよび維持コストとを好ましく反映できるという大きな利点が得られる。
【0025】
濃縮器10は、起動状態において動作することもできるし、あるいは定常状態において動作することも可能である。起動状態において、デミスター34のサンプおよび再循環回路42に新規の廃水を充填することができる。初期処理時において、入口30内に導入された前記新規の廃水が幅狭部26内において少なくとも部分的に蒸発され、デミスター34のサンプ内において前記新規の廃水よりも濃縮された様態で蓄積される。時間と共に、デミスターサンプ34内の廃水および再循環回路42が所望のレベルの濃度に近づく。この地点において、濃縮器10を連続的モードで動作させることができる。連続的モードにおいて、抽出ポート46から吸い出された固体量は、入口30を通じて新規の廃水内に導入された固体量に等しい。同様に、濃縮器10内において蒸発した水の量を、前記新規の廃水中の同量の水と交換する。よって、濃縮器10内の状態は、加熱されたガスおよび廃水の混合物の断熱飽和点に近づく。その結果、濃縮器10が高効率になる。
【0026】
図2は、可動フレーム60(例えば、パレット、トレーラーまたはスキッド)上に取り付けられた液体濃縮器10の側面図である。この可動フレームのサイズおよび形状は、輸送用車両62(例えば、トラクタートレーラートラック)へ容易に積載または接続できるようなサイズおよび形状にされる。同様に、このような取り付けられた濃縮器は、遠隔現場への高速輸送の際に列車、船舶または飛行機(図示せず)に容易に積載可能である。液体濃縮器10は、内部にバーナーおよび燃料供給を備えた完全自立型ユニットとして作動することもできるし、あるいは、液体濃縮器10は、オンサイトバーナーおよび/あるいはオンサイト燃料または廃熱源を用いて作動することもできる。濃縮器10の燃料は、再生可能な燃料源(例えば、廃棄物(紙、木質チップ)および埋立地ガスを含み得る。さらに、濃縮器10は、従来の化石燃料(例えば、石炭または石油)、再生可能な燃料および/または廃熱の任意の組み合わせによって作動し得る。
【0027】
典型的なトレーラー上に取り付けられた濃縮器10は、1日あたり10万ガロン以上もの廃水を処理することができ、一方、より大型の定置型ユニット(例えば、埋立地、下水処理工場、あるいは天然ガス田または油田に設置されたもの)を用いれば、1日あたり数10万ガロンの廃水を処理することができる。
【0028】
図3は、コンパクトな液体濃縮器110の1つの特定の実施形態を示す。液体濃縮器110は、図1について上述した原理を用いて動作し、埋立地フレアの形態をした廃熱源に接続される。一般的に言えば、図3のコンパクトな液体濃縮器110は、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)および/またはより地方の規制当局によって設定された基準を満たす様態で埋立地ガスを燃焼する埋立地フレア内において発生した排気または廃熱を用いて、廃水(例えば、埋立地浸出液)を濃縮するように動作する。既知のように、ほとんどの埋立地に含まれるフレアは、埋立地ガスを燃焼させてメタンおよび他のガスを除去した後、雰囲気へと放出するために用いられる。典型的には、前記フレアから出てきたガスは、華氏1200〜1500度であり、華氏1800度に到達し得る。図3に示すコンパクトな液体濃縮器100は、天然ガス井戸からの濃縮逆流または生成水においても等しく有効であり、源泉にあるかまたは源泉の近隣の天然ガスフレアまたはプロパンフレアからの排気ガス上において動作可能である。いくつかの実施形態において、前記天然ガスフレアは、天然ガス井戸から直接天然ガスと共に供給され得る。
【0029】
図3に示すように、コンパクトな液体濃縮器110は、一般的にフレアアセンブリ115を含むかまたはフレアアセンブリ115に接続される。コンパクトな液体濃縮器110は、熱伝達アセンブリ117(図4中により詳細を示す)と、空気前処理アセンブリ119と、濃縮器アセンブリ120(図5中により詳細を示す)と、流体スクラバー122と、排気部124とを含む。重要なことに、フレアアセンブリ115は、フレア130と、フレアキャップアセンブリ132とを含む。フレア130は、任意の既知の原理に従ってフレア130内の埋立地ガス(または他の可燃性燃料)を燃焼させる。フレアキャップアセンブリ132は、可動キャップ134(例えば、フレアキャップ、排気ガスキャップ)または他の種類のスタック(例えば、燃焼ガス排気筒)を含む。可動キャップ134は、フレア130の上部を被覆する。前記他の種類のスタック(例えば、燃焼ガス排気筒)は、フレアキャップ134が閉口位置にある際にフレア130の上部を封するか、または、部分的に閉口位置においてフレアガスの一部を方向転換させる。可動キャップ134は、フレアキャップ134が開口位置または部分的に開口位置にある際、フレア130内において発生したガスを主要ガス出口143を形成する開口端部を通じて雰囲気へと逃がす。フレアキャップアセンブリ132はまた、キャップアクチュエータ135(例えば、図4に示すモータ(例えば、電気モータ、油圧モータ、空気式モータ))も含む。キャップアクチュエータ135は、全開口位置と全閉口位置との間でフレアキャップ134を移動させる。図4に示すように、フレアキャップアクチュエータ135は、例えば、フレアキャップ134を回転軸136周囲において回転または移動させることで、フレアキャップ134を開閉する。フレアキャップアクチュエータ135は、チェーン駆動または他の任意の種類の駆機機構を用い得る。前記駆機機構は、フレアキャップ134を回転軸136周囲において移動させるように、フレアキャップ134に接続される。フレアキャップアセンブリ132はまた、カウンターウェイト137も含み得る。カウンターウェイト137は、フレアキャップ134からみて回転軸136の反対側に配置され、フレアキャップ134が回転軸136の周囲において移動する際、フレアキャップ134の重量の一部を均衡またはオフセットさせるようになっている。カウンターウェイト137により、フレアキャップ134を開口位置と閉口位置との間で移動または回転可能にしつつ、アクチュエータ135のサイズまたは出力を低減することが可能になる。前記開口位置において、フレア130の上部(または第1の燃焼ガス出口143)が雰囲気に対して開口状態であり、前記閉口位置において、フレアキャップ134は、フレア130の上部(または第1の燃焼ガス出口143)を被覆または実質的に密閉する。フレアキャップ134そのものは、高温耐性材料(例えば、ステンレス鋼または炭素鋼)によって構成され得、下部上の耐火材料(例えば、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニウム)によってライニングまたは断熱され得る。前記耐火材料は、フレアキャップ134が前記閉口位置にある際、高温フレアガスに直接接触する。
【0030】
所望であれば、フレア130は、アダプター部138を含み得る。アダプター部138は、第1の燃焼ガス出口143と、第1の燃焼ガス出口143の上流の第2の燃焼ガス出口141とを含む。フレアキャップ130が閉口位置にある場合、燃焼ガスが第2の燃焼ガス出口141を通じて送られる。アダプター部138は、コネクタ部139を含み得る。コネクタ部139は、90度の曲がり部または角部を用いて、フレア130(または排気筒)を熱伝達部117へと接続する。他のコネクタ配置構成も可能である。例えば、フレア130および熱伝達部117は、実質的に任意の0度〜180度の角度において接続され得る。この場合、フレアキャップアセンブリ132は、第1の燃焼ガス出口143の近隣においてアダプター部138の上部に取り付けられる。
【0031】
図3および図4に示すように、熱伝達アセンブリ117は、移送管140を含む。移送管140は、フレア130への空気前処理アセンブリ119の入口に接続し、より詳細には、フレア130のアダプター部138に接続する。支持部材142は、垂直バーまたはポールの形態をとり、地表と同じかまたは地表よりも高い所定の高さにおいて、フレア130と空気前処理アセンブリ119との間において熱伝達パイプ140を支持する。熱伝達パイプ140は、第2の燃焼ガス出口141においてコネクタ部139またはアダプター部138に接続され、前記移送管は、アダプター部138と第2のプロセス(例えば、流体濃縮プロセス)との間の流体通路の一部を形成する。支持部材142が必要な代表的理由として、熱伝達パイプ140は一般的に金属(例えば、カーボンスチールまたはステンレス鋼)で構成され、材料(例えば、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニウム)によって耐火ライニングが施され、これにより、フレア130から空気前処理アセンブリ119へと移動するガスの温度に耐えることができる。よって、熱伝達パイプ140は典型的には、高重量の設備である。しかし、その一方でフレア130および空気前処理アセンブリ119および濃縮器アセンブリ120は相互に直近して配置されているため、熱伝達パイプ140を比較的短い長さにすることが一般的に可能になり、これにより、濃縮器110内において用いられる材料のコストが低減し、また、濃縮器110の地表よりも高い高さにある高重量部分の重量を支持するために必要な支持構造の量も低減する。図3に示すように、熱伝達パイプ140および空気前処理アセンブリ1119は、上下逆のU字型構造を形成する。
【0032】
空気前処理アセンブリ119は、垂直配管部150と、外気弁(図3および図4中には明示せず)とを含む。前記外気弁は、垂直配管部150の上部に配置される。前記外気弁(ダンパまたはブリード弁とも呼ぶ)は、熱伝達パイプ140(または空気前処理アセンブリ119)と外気との間に流体通路を形成する。前記外気弁は、外気をメッシュバードスクリーン152(典型的には、ワイヤまたは金属)を通じて空気前処理アセンブリ119内部に流入させた後、フレア130から来た高温ガスと混合させるように、動作する。所望であれば、空気前処理アセンブリ119は、前記ブリード弁の近隣の永久開口部を含んでもよく、この永久開口部により、一定量のブリード空気を空気前処理アセンブリ119内へと入らせることができる。このようなブリード空気は、必要なブリード弁のサイズの低減および安全上の理由において望ましい場合がある。所望であれば、圧力送風機(図示せず)を前記外気弁の入口側に接続して、前記外気弁を通じて外気を強制排気することができる。圧力送風機を実装する場合、バードスクリーン152および永久開口部(実装した場合)を前記圧力送風機の入口側に再配置することができる。前記外気弁またはブリード弁の制御について本明細書中に以下により詳細に説明するが、この弁により、フレア130からのガスをより望ましい温度に冷却した後、濃縮器アセンブリ120内へと入らせることが一般的に可能になる。空気前処理アセンブリ119は、支持部材142に接続されたクロスメンバー154によって部分的に支持され得る。これらのクロスメンバー154により、空気前処理アセンブリ119が安定する。空気前処理アセンブリ119も、典型的には高濃度炭素またはステンレス鋼または他の金属で構成され、かつ、エネルギー効率の向上と、濃縮器110のこの部分内のガスの高温に対する耐久性とのために、耐火ライニングされ得る。所望であれば、垂直配管部150を延長させて、異なる高さのフレアに適合または対応できるようにして、これにより、液体濃縮器110を多くの異なるフレアまたは異なる高さのフレアに適合可能なものとし、また、コンポーネントの垂直および/または水平方向の若干のミスアライメントの修正時における濃縮器の組み立て時の効率を向上させる。このコンセプトを図3中により詳細に示す。図3に示すように、垂直配管部150は、第1の部分150A(点線で図示)を含み得る。第1の部150Aは、第2の部分150B内に設けられ、これにより垂直配管部150の長さ(高さ)が調節可能になっている。
【0033】
一般的に言えば、空気前処理アセンブリ119は、スクリーン152の真下の外気弁を通じて得られた外気と、フレア130から熱伝達パイプ140を通じて流れてきた高温ガスとを混合して、所望の温度のガスを濃縮器アセンブリ120の入口において得るように、動作する。
【0034】
液体濃縮器アセンブリ120は、導入部156を含む。導入部156は上部において断面が小さくなっており、この上部において、配管部150の下部と濃縮器アセンブリ120のクエンチャ159とが噛み合わされる。濃縮器アセンブリ120はまた、第1の流体入口160を含む。第1の流体入口160は、新規または未処理の濃縮対象液体(例えば、埋立地浸出液)をクエンチャ159の内部に注入する。図3中では図示していないが、入口160は、大型ノズルを備えた粗噴霧器を含み得る。前記粗噴霧器は、前記未処理の液体をクエンチャ159内に噴霧する。本システムにおけるこの地点においてクエンチャ159内に噴霧される液体はまだ濃縮されていないため、大量の水を含んでおり、また、前記噴霧器は粗噴霧器であるため、前記噴霧器ノズルにおいて、前記液体内の小粒子に起因してファウリングまたは塞栓が発生しない。理解されるように、クエンチャ159は、入口160において注入された液体の高度蒸発を行いつつ、ガスストリームの温度を(例えば、約華氏900度〜華氏200度)まで高速低減させるように、機能する。所望であれば、図3中には明示していないものの、温度センサを配管部150の出口またはその近隣あるいはクエンチャ159内に設けて、この温度センサを用いて、前記外気弁の位置を制御することで、濃縮器アセンブリ120の入口に存在するガスの温度を制御することができる。
【0035】
図3および図5に示すように、クエンチャ159は、液体注入チャンバに接続される。前記液体注入チャンバは、幅狭部またはベンチュリ部162に接続される。ベンチュリ部162は、クエンチャ159に対して幅狭断面を有し、内部に設けられたベンチュリプレート163(点線で図示)を有する。ベンチュリプレート163により、ベンチュリ部162内に幅狭通路が得られ、この幅狭通路により、ベンチュリ部162の入口と出口との間に大きな圧力降下が発生する。この大きな圧力降下により、クエンチャ159内およびベンチュリ部162の上部または入口にガス乱流およびせん断力が発生し、ベンチュリ部162からガス流が高速で出て行き、これらの結果に起因して、ベンチュリ部162内においてガスおよび液体が十分に混合される。ベンチュリプレート163の位置は、手動制御ロッド165(図5中に図示)を用いてまたは自動ポジショナーを介して、制御することができる。手動制御ロッド165(図5中に図示)は、プレート163の回転軸に接続される。前記自動ポジショナーは、電気モータまたは空気式シリンダ(図5中図示せず)により駆動することができる。
【0036】
再循環パイプ166は、ベンチュリ部162の入口の反対側周囲において延び、部分的に濃縮された(すなわち、再循環した)液体をベンチュリ部162内に注入するように動作し、これにより、前記液体をさらに濃縮しかつ/または前記濃縮器アセンブリ120内において前記フロー通路の1つ以上の側部上に配置された複数の流体入口を通過する微粒子の乾燥を回避する。図3および図5中では明示していないが、複数のパイプ(例えば、3本のパイプ(例えば、直径1/2インチのもの)を、ベンチュリ部162を部分的に包囲するパイプ166の対向脚部それぞれから延ばし、壁部を通じてベンチュリ部162の内部へと延ばすことができる。この地点において、濃縮器110に注入されている液体は再循環液体であるため、部分的に濃縮状態になっているかまたは特定の平衡濃度で維持された状態であり、濃縮入口160に注入されたより低濃度の液体よりも噴霧器ノズルを詰まらせる可能性が高いため、この液体を噴霧器を用いずに直接注入することで、目詰まりを回避する。しかし、所望であれば、平坦板の形状をしたバッフルを前記直径1/2インチのパイプの各開口部の前方に配置してもよく、これにより、本システム内のこの地点において注入された液体を前記バッフルと衝突させ、濃縮器アセンブリ120内においてより小さな液滴として分散させることができる。任意の事象において、この再循環システムの構成により、濃縮器アセンブリ120内を流れるガスストリーム内において、前記再循環液体が分配または分散される。
【0037】
高温ガスおよび液体は、共に乱流となってベンチュリ部162を通過する。上記したように、ベンチュリ部162は、濃縮器アセンブリ120の幅にわたって配置された可動ベンチュリプレート163を有する。このようなベンチュリ部162により、乱流が発生しまた液体およびガスの混合物が完成し、その結果、不連続液相が高速蒸発して連続気相となる。ベンチュリ部162によって得られる混合作用により高度蒸発が得られるため、前記ガスは濃縮器アセンブリ120内において実質的に冷却され、ベンチュリ部162から出て行って高速で浸水曲がり部164内へと入る。実際、この地点における前記ガス液体混合物の温度は、約華氏160度であり得る。
【0038】
典型的な浸水曲がり部と同様に、浸水曲がり部164の下部内の堰配置構成(図示せず)により、一定レベルの部分的にまたは完全に濃縮された再循環液体が内部において維持される。ガス液体混合物として気相内に混入された再循環液体の液滴は、ベンチュリ部162から高速で出て行き、前記ガス液体混合物が90度だけ強制的に回転して流体スクラバー122内に流入する際に発生した遠心力により、浸水曲がり部164の下部内に保持された前記再循環液体の表面へと外側方向に投射される。前記気相内に混入した多数の液滴は、浸水曲がり部164の下部内に保持された再循環液体の表面上に衝突し、その後前記再循環液体と共に合体し、その結果、浸水曲がり部164の下部内における再循環液体の体積が増加して、均等量の前記再循環液体が前記堰配置構成において氾濫し、重力により、流体スクラバー122の下部のサンプ172内へと流入する。よって、前記ガス液体ストリームと、浸水曲がり部164内の液体との相互作用により、前記ガス液体ストリームから液滴が除去され、また、前記ガス液体ストリーム内の浮遊粒子が浸水曲がり部164の下部に高速衝突する事態が回避され、これにより、前記堰配置構成の高さの真下および浸水曲がり部164の下部に配置された側壁部を形成する金属の腐食が回避される。
【0039】
浸水曲がり部164から出て行った後のガス液体ストリームは、蒸発液体および一定の液体および他の粒子を未だに含んだ状態であり、このガス液体ストリームは、流体スクラバー122を通過する。流体スクラバー122は、この場合においてクロスフロー流体スクラバーである。流体スクラバー122は、ガス液体ストリームから混入液体および他の粒子を除去する機能を有する多様なスクリーンまたはフィルタを含む。1つの特定の例において、クロスフロースクラバー122は、入力において初期粗衝突バッフル169を含む。初期粗衝突バッフル169は、サイズが50〜100ミクロン以上の液滴を除去するように設計される。その後、シェブロン170の形態をした2つの取り外し可能なフィルタを流体スクラバー122内の流体経路上に配置し、これらのシェブロン170は、より小さなサイズ(例えば、20〜30ミクロンおよび10ミクロン未満)の液滴を除去するように、漸次的にサイズ決めまたは構成可能である。もちろん、上記よりも多数または小数のフィルタまたはシェブロンを用いてもよい。
【0040】
典型的なクロスフロースクラバーと同様に、フィルタ169および170ならびに浸水曲がり部164の下部内の氾濫堰配置構成によって獲得された液体は、重力により、流体スクラバー122の下部に配置されたリザーバまたはサンプ172内に流入する。サンプ172は、例えばおよそ200ガロンの液体を保持することができ、これにより、前記ガス液体ストリームから除去された溶解固体および浮遊固体を含む濃縮流体を収集し、濃縮器アセンブリ120へと戻った再循環濃縮液体の源のリザーバとして機能し、これにより、前記液体を図1について上述したような様態でさらに処理しかつ/または濃縮器アセンブリ120内の微粒子の乾燥を回避できるようにする。1つの実施形態において、サンプ172は、傾斜したV字状下部171を含み得る。このV字状下部171は、V字状溝部175を有する。V字状溝部175は、流体スクラバー122の後部(浸水曲がり部164から最離隔部)から流体スクラバー122の前部(浸水曲がり部164に最近位部)へと延びる。V字状溝部175は、浸水曲がり部164から最離隔部においてよりも浸水曲がり部164に最も近い流体スクラバー122の端部においてV字状溝部175の下部が低くなるように、傾斜している。換言すれば、V字状下部171は、出口ポート173および/またはポンプ182の近隣のV字状下部171の最下地点と共に傾斜され得る。さらに、洗浄回路177(図9)により、濃縮流体をサンプ172からクロスフロースクラバー122内の噴霧器179へポンプ輸送することができる。噴霧器179は、V字状下部171にある液体を噴霧することを意図している。あるいは、噴霧器179は、V字状下部171において未濃縮液体または清浄水を噴霧し得る。噴霧器179は、V字状下部171の表面上に液体を定期的にまたは常時噴霧して、固体を洗浄し、V字状下部171上または出口ポート173および/またはポンプ182の固体蓄積を回避することができる。このV字状の傾斜した下部171および洗浄回路177により、サンプ172内に集まった液体を連続的に攪拌および再生することができ、これにより、比較的一定の一貫性を維持し、懸濁液中の固体を維持する。所望であれば、噴霧回路177は、例えばサンプ172内の入口と共に別個のポンプを用いた別個の回路であってもよく、以下に説明する濃縮液体再循環回路と関連付けられたポンプ182を用いて濃縮流体をサンプ172からV字状下部171上に噴霧することも可能である。
【0041】
図3に示すように、戻り配管180およびポンプ182は、前記ガス液体ストリームから除去された流体をサンプ172から濃縮器120へと再循環させるように動作し、これにより、流体または液体再循環回路を完成する。同様に、入力ライン186内にポンプ184を設けて、新規または未処理の液体(例えば、埋立地浸出液)を濃縮器アセンブリ120の入力160へとポンプ輸送することができる。また、1つ以上の噴霧器185をシェブロン170に隣接する流体スクラバー122内に設けて、これらの噴霧器185により、清浄水または前記廃水フィードの一部をシェブロン170上に定期噴霧して、シェブロン170を清浄に保持することもできる。
【0042】
濃縮液体は、出口ポート173を介して流体スクラバー122の下部から除去することもでき、また、任意の適切な様態で第2の再循環回路181内においてさらに処理または配置することもできる。詳細には、出口ポート173から除去された濃縮液体は、特定量の浮遊固体を含む。前記特定量の浮遊固体は好適には、前記濃縮液体の液体部分から分離し、第2の再循環回路181を用いてシステムから除去することができる。例えば、出口ポート173から除去された濃縮液体は、第2の再循環回路181を通じて1つ以上の固体/液体分離デバイス183(例えば、沈殿槽、振動ふるい、回転真空フィルタ、水平ベルト真空フィルタ、ベルトプレス、フィルタプレスおよび/または液体遠心分離機)を通じて輸送することができる。前記濃縮廃水の浮遊固体および液体部分を固体/液体分離デバイス183によって分離した後、前記濃縮廃水の液体部分が浮遊粒子と共に実質的に除去され、その後前記濃縮廃水をサンプ172へと戻して、前記濃縮器に接続された第1の再循環回路または第1次の再循環回路においてさらなる処理を施す。
【0043】
前記ガスは、前記ガスから除去された液体および浮遊固体と共に流体スクラバー122から出て行き、流体スクラバー122の後部(シェブロン170の下流)における配管またはダクトから出て行き、排気アセンブリ124の誘引通風ファン190から流出し、誘引通風ファン190から外気へと排気され、外気中において、冷却された高温入口ガスが蒸発した水蒸気と混合される。もちろん、誘引通風ファンモータ192はファン190に接続されて、ファン190によって流体スクラバー122内に負圧を発生させて、最終的にフレア130からのガスを移送管140、空気前処理アセンブリ119および濃縮器アセンブリ120を通じて吸引する。図1を参照して上述したように、誘引通風ファン190は、流体スクラバー122内の若干の負圧を発生させるだけでよく、これにより、濃縮器110の適切な作業が保証される。
【0044】
誘引通風ファン190の速度は、異なるレベルの負圧を流体スクラバー122内において発生させるように動作するデバイス(例えば、可変周波数駆動)によって異なり得るため、通常は一定のガス流能力内において動作可能であり、これにより、フレア130からの完全なガス流を保証することができる。フレア130から発生しているガスの量が不十分である場合、流体スクラバー122そのものの上における適切な圧力降下を保証できるように誘引通風ファン190の動作を調節することが必ずしも可能ではない場合がある。すなわち、効率的かつ適切な動作のために、流体スクラバー122内を流れるガスを流体スクラバー122の入力において十分な(最小の)流量にする必要がある。典型的には、この要求は、少なくとも流体スクラバー122上の事前設定された最小の圧力降下を保持することによって制御される。しかし、フレア130から発生しているガスが少なくとも最小のレベルに達していない場合、誘引通風ファン190の速度が上昇しても、流体スクラバー122上において必要な圧力降下は得ることができない。
【0045】
この状況を補償するために、クロスフロースクラバー122は、ガス再循環回路を含むように設計される。このガス再循環回路を用いて、流体スクラバー122の入力において十分なガスが確実に存在するようにすることができ、これにより、本システムにおいて、流体スクラバー122上における必要な圧力降下を得ることが可能になる。詳細には、前記ガス再循環回路は、ガス戻り配管または戻りダクト196を含む。戻りダクト196は、排気アセンブリ124の高圧力側(例えば、誘引通風ファン190の下流)を流体スクラバー122の入力(例えば、流体スクラバー122のガス入力)およびバッフルまたは制御機構198に接続させる。制御機構198は、戻りダクト196内に配置され、戻りダクト196を開閉するように動作することで、排気アセンブリ124の高圧力側と流体スクラバー122の入力とを流体接続させる。動作時において、流体スクラバー122内に入ったガスの量が、流体スクラバー122上の必要な最小圧力降下が得られるほどの十分な量ではない場合、バッフル198(これは、例えば、ガス弁、ダンパ(例えば、ルーバー付きダンパ)であり得る)を開口して、排気アセンブリ124の高圧力側からのガス(すなわち、誘引通風ファン190を通過してきたガス)が流体スクラバー122の入力へと戻るように、前記ガスを方向付ける。この動作により、流体スクラバー122の入力において十分な量のガスを得ることが可能になり、これにより、誘引通風ファン190の動作により、流体スクラバー122上の必要な最小圧力降下を得ることができる。
【0046】
図6は、図3のコンパクトな液体濃縮器110の特定の有利な特徴を示す。有利な特徴とは、1組の容易に開口可能なアクセスドア200の形態のことである。容易に開口可能なアクセスドア200を用いて、クリーニングおよび視認目的のために濃縮器110の内部にアクセスすることが可能になる。図6中では、容易に開口可能なアクセスドア200を流体スクラバー122の片側に図示しているが、同様の1組のドアを流体スクラバー122の他方側に設けることも可能であり、また、同様の1つのドアを図5に示すような浸水曲がり部164の前方に設けることも可能である。図6に示すように、流体スクラバー122上の容易にアクセス可能なドア200は、ドアプレート202を含む。ドアプレート202は、平坦な金属であり得、2つのヒンジ204を介して流体スクラバー122へと接続され、ドアプレート202は、ヒンジ204上において旋回して開閉することができる。複数のクイックリリースラッチが旋回ハンドル206と共にドアプレート202の周囲に配置され、流体スクラバー122の動作時において、ドアプレート202を閉口位置に保持しかつドア200を閉鎖するように動作する。図6に示す実施形態において、8個のクイックリリースラッチ206がドアプレート202それぞれの周囲に配置されているが、他の任意の所望の数のクイックリリースラッチ206を用いることも可能である。
【0047】
図7は、開口位置に配置されたドア200のうちの1つを示す。理解されるように、ドアシート208は、流体スクラバー122の壁部から離隔方向に取り付けられ、延長部材209は、ドアシート208と流体スクラバー122の外壁との間に配置される。ガスケット210は、ゴムまたは他の圧縮性材料で構成され得、ドアシート208上の開口部周囲に配置され得る。同様のガスケットを付加的にまたは代替的にドアプレート202の内側周囲に設けてもよく、その場合、ドア200が閉口位置にある際の密閉状態が向上する。
【0048】
クイックリリースラッチ206のうちの1つを図8中により詳細に示す。クイックリリースラッチ206は、ハンドル212およびラッチ214(この場合、U字型の金属ピース)を含む。ラッチ214は、ハンドル212を貫通して配置された旋回バー216上に取り付けられる。ハンドル212は、さらなる回転軸部材218上に取り付けられる。回転軸部材218は、取り付けブラケット219を介してドアプレート202の外壁上に取り付けられる。ハンドル212がさらなる旋回部材218の上方およびその周囲(すなわち、図8中に示す位置から)移動すると、(ドアプレート202が閉口位置にある場合は)ラッチ214は流体スクラバー112の外壁に向かって移動し、これにより、ドアプレート202から離隔方向にあるフック220側にラッチ214を配置することが可能になる。フック220は、延長部材209上に取り付けられる。その後ハンドル210が反対方向に回転すると、ラッチ214はフック220に堅く引き込まれ、これにより、さらなる旋回部材218およびよってドアプレート202がドアシート208に対して引き込まれる。全てのクイックリリースラッチ206が動作することにより、ドアプレート202がドアシート208に固定され、ガスケット210により、確固たる流体接続が得られる。よって、これら8個のクイックリリースラッチ206を特定のドア200上において図6に示すように閉鎖することで、ドア200を保持するための確実かつ気密な機構を得ることが可能になる。
【0049】
容易に開口可能なドア200を利用することで、穴付きプレートが不要になる。このような穴付きプレートの場合、濃縮器の外壁から延びた多数のボルトがプレートの穴部内に取り付けられ、前記ボルト上のナットを締めることで、前記プレートを前記濃縮器壁部に引きつけることが必要である。このようなナットおよびボルトを用いた固定機構は、濃縮器内部へのアクセスを得るために流体濃縮器において用いられることが多い。このような固定機構は極めて確実ではあるものの、アクセスパネルの開閉時において、この構成の作業には時間がかかり、また労力もかかる。この場合、図6のクイックリリースラッチ206を用いた高速開口ドア200を用いることができる。なぜならば、流体スクラバー122の内部は負圧状態になっており、流体スクラバー122内の圧力は外気圧力よりも低くなっているため、煩雑なナットおよびボルトを用いたアクセスパネルを閉鎖する必要は無いからである。もちろん、理解されるように、ドア200の構成により、最小の手作業でかつ器具を用いることなくドア200を容易に開閉することが可能であり、これにより、流体スクラバー122内の構造(例えば、衝突バッフル169または取り外し可能なフィルタ170、またはアクセスドア200が載置された濃縮器110の他の部分)へのアクセスを高速かつ容易に行うことが可能になる。
【0050】
再度図5を参照して、濃縮器アセンブリ120の浸水曲がり部164の前方には、高速開口するアクセスドア200も設けられることが理解される。アクセスドア200により、浸水曲がり部164内への容易なアクセスが可能になる。しかし、濃縮器10のほとんどの要素は負圧下において動作するため、同様の高速開口アクセスドアを流体濃縮器110の任意の所望の部分に設けることも可能である。
【0051】
図3〜図8に示す特徴を組み合わせることにより、コンパクトな流体濃縮器110が得られる。流体濃縮器110は、埋立地ガスを燃焼させる埋立地フレアの作用から発生するガスの形態を利用する。流体濃縮器110が無い場合、このような廃熱は、直接外気に排出される。重要なことに、濃縮器110の場合、フレア130から出て行く高温ガスを利用するために必要な配管および構造設備に必要な高価な高温耐性材料を最小量しか利用しない。例えば、最も高価な材料で構成された移送管140を短尺かつ最小長さにすることで、流体濃縮器110のコストおよび重量を低減する。さらに、熱伝達パイプ140のサイズは小さいため、単一の支持部材142のみで十分であり、これにより、濃縮器110の構築コストをさらに低減する。さらに、空気前処理アセンブリ119は流体濃縮器アセンブリ120上に直接配置されているため、これらの部分内において地面に向かって流れるガスにより、濃縮器110のこれらの部分を地面により直接支持することもできるし、または、これらの部材を支持しているスキッドによって支持することも可能になる。さらに、この構成により、濃縮器110がフレア130の極めて近隣に配置され、これにより、濃縮器110がよりコンパクトになる。同様に、この構成により、濃縮器110の高温部(例えば、フレア130の上部、熱伝達パイプ140および空気前処理アセンブリ119)を地面よりも上方かつ人間との偶発的接触の無い遠隔位置に配置することができるため、より安全な構成となる。実際、濃縮器アセンブリ120のベンチュリ部162内において発生する高速冷却により、ベンチュリ部162、浸水曲がり部164および流体スクラバー122は(フレア130から出て行くガスが華氏1800度である場合でも)負傷の無い程度まで冷却されることが多い。このようなガス液体混合物の高速冷却により、作製がより容易でありかつ耐食性である一般的により低コストの材料の利用が可能になる。さらに、浸水曲がり部164の下流の部品(例えば、流体スクラバー122、誘引通風ファン190、および排気部124)は、ガラス繊維などの材料から作製することが可能である。
【0052】
流体濃縮器110は、極めて高速に作動する濃縮器でもある。濃縮器110は直接接触型の濃縮器であるため、他のほとんどの濃縮器と同程度の蓄積物増加、目詰まりおよびファウリングが発生することが無い。さらに、濃縮器110が利用または作動しているかに応じてフレアキャップ134を制御して開閉することが可能であるため、濃縮器110の起動時または停止時に中断を伴うことなく、フレア130を用いて埋立地ガスを燃焼させることができる。より詳細には、フレアキャップ134は任意のタイミングで高速開口可能であり、これにより、濃縮器110の停止時と同様にフレア130によって埋立地ガスを簡単に燃焼させることができる。一方、濃縮器110の起動時にはフレアキャップ134は高速閉口することができ、これにより、フレア130中において発生した高温ガスを濃縮器110へと方向転換し、フレア130の動作を中断することなく濃縮器110を作動させることができる。いずれの場合においても、フレアキャップ134の動作に基づいてかつフレア130の動作を中断することなく、濃縮器110の起動および停止を行うことが可能である。
【0053】
所望であれば、濃縮器110の作動時においてフレアキャップ134を部分的に開口させることで、フレア130から濃縮器110へと移動するガス量を制御することが可能である。この動作を外気弁の動作と組み合わせると、ベンチュリ部162の入口の温度の制御において有用であり得る。
【0054】
さらに、空気前処理アセンブリ119、濃縮器アセンブリ120および流体スクラバー122から構成されたコンパクトな構成により、濃縮器アセンブリ120の部分、流体スクラバー122、牽引ファン190および少なくとも排気部124の下部を図2に示すようにスキッドまたはプレート230上に永久に取り付ける(かまたはスキッドまたはプレート230に接続し、スキッドまたはプレート230によって支持される)ようにすることができる。濃縮器アセンブリ120の上部、空気前処理アセンブリ119および熱伝達パイプ140ならびに排気筒の上部は、輸送時には取り外してスキッドまたはプレート230上において保存してもよいし、あるいは、別個のトラック内に入れて輸送してもよい。濃縮器110の下部はスキッドまたはプレート上に取り付けることが可能であるため、濃縮器110は移動および取り付けが容易である。詳細には、濃縮器110の設定時において、スキッド230上に流体スクラバー122、浸水曲がり部164および牽引ファン190が取り付けられた状態において、地面上または濃縮器110の組み立て場所である他の閉じ込め領域上にスキッド230を積み下ろすだけで、濃縮器110の使用場所である現場において積み下ろすことが可能である。その後、ベンチュリ部162、クエンチャ159および空気前処理アセンブリ119を浸水曲がり部164の上部に配置および取り付けることができる。その後、濃縮器110の接続先であるフレア130の高さに合うように、配管部150を延長することができる。いくつかの場合において、この延長のためには、先ずフレアキャップアセンブリ132を既存のフレア130に取り付けることが必要になり得る。その後、熱伝達パイプ140を適切な高さまで上昇させ、支持部材142を所定位置に配置した状態で、フレア130と空気前処理アセンブリ119との間に取り付けることができる。1日あたりの蒸発能力が10,000〜30,000ガロンである濃縮器の場合、濃縮器120と同一のスキッドまたはプレート230上にフレアアセンブリ115全体を取り付けることが可能である。
【0055】
ほとんどのポンプ、流体ライン、センサおよび電気設備が流体濃縮器アセンブリ120上に配置されているかまたは流体濃縮器アセンブリ120に接続されているため、流体スクラバー122または牽引ファンアセンブリ190、特定の現場における濃縮器110の設定の際に現場において必要となるのは、最低限の配管、機械工事および電気工事のみである。そのため、濃縮器110は特定の現場において比較的容易に据え付けおよび設定可能である(分解および取り外しも比較的容易である)。さらに、濃縮器110のコンポーネントのうちほとんどはスキッド230に永久取り付けされているため、濃縮器110はトラックまたは他の輸送用車両によって容易に輸送可能であり、また、特定の位置(例えば、埋立地フレアの近隣位置)において容易に積み下ろしおよび据え付け可能である。
【0056】
図9は、制御システム300の模式図である。制御システム300を用いて、図3の濃縮器110を作動させることができる。図9に示すように、制御システム300は、コントローラ302を含む。コントローラ302は、デジタル信号プロセッサ型のコントローラ、例えばラダーロジック制御を実行することが可能なプログラマブル論理コントローラ(PLC)、または他の任意の種類のコントローラであり得る。もちろん、コントローラ302は、濃縮器110内の多様なコンポーネントに接続される。詳細には、コントローラ302は、フレアキャップ駆動モータ135に接続される。フレアキャップ駆動モータ135は、フレアキャップ134の開閉動作を制御する。モータ135は、フレアキャップ134を制御して全開口位置と全閉口位置との間で移動するように、設定可能である。しかし、所望であれば、コントローラ302は、前記全開口位置と前記全閉口位置との間の1組の多様な異なる制御可能位置のうちの任意の位置までフレアキャップ134を開口させるように、駆動モータ135を制御することが可能である。所望であれば、モータ135を連続的に可変とし、これにより、フレアキャップ134を全開口位置と全閉口位置との間の任意の所望の地点に配置することが可能になる。
【0057】
さらに、コントローラ302は、ベンチュリ部162の上流の図3の空気前処理アセンブリ119内に配置された外気入口弁306に接続されかつ外気入口弁306を制御する。コントローラ302を用いて、ポンプ182および184を制御することができる。ポンプ182および184は、新規の処理対象液体の注入量を制御し、前記注入量と、濃縮器110内において処理されている再循環液体との間の比を制御する。コントローラ302は、サンプレベルセンサ317(例えば、フロートセンサ)、非接触センサ(例えば、レーダーまたは音波ユニット、または差圧セル)に動作可能に接続可能である。コントローラ302は、サンプレベルセンサ317からの信号を用いて、ポンプ182および184を制御して、サンプ172内の濃縮流体レベルを所定のレベルまたは所望のレベルに維持することができる。また、コントローラ302は、ファン190の動作を制御するように、誘引通風ファン190に接続することが可能である。ファン190は、単一速度ファン、可変速度ファンまたは速度が連続的に制御可能なファンであり得る。一実施形態において、誘引通風ファン190は可変周波数モータによって駆動され、これにより、前記モータの周波数は、誘引通風ファン190の速度を制御するように変更される。さらに、コントローラ302は、温度センサ308に接続される。温度センサ308は、例えば、濃縮器アセンブリ120の入口またはベンチュリ部162の入口に配置され、温度センサ308によって生成された温度信号を受信する。あるいは、温度センサ308をベンチュリ部162の下流に設けてもよいし、あるいは、圧力信号を生成する圧力センサを温度センサ308内に設けてもよい。
【0058】
動作時および例えば濃縮器110の起動時において、フレア130が実際に発生し、これにより埋立地ガスを燃焼させると、コントローラ302は先ず誘引通風ファン190をオンにして、流体スクラバー122および濃縮器アセンブリ120内に負圧を発生させる。その後または同時に、コントローラ302は、フレアキャップ134を部分的または完全に閉鎖せよとの信号をモータ135へと送って、フレア130からの廃熱を移送管140内および空気前処理アセンブリ119へと方向転換させる。温度センサ308からの温度信号に基づいて、コントローラ302は、(典型的には外気弁306を部分的または完全に閉鎖することにより)外気弁306および/またはフレアキャップアクチュエータを制御し得、これにより、濃縮器アセンブリ120の入口におけるガス温度を制御する。一般的に言えば、外気弁306は、付勢要素(例えば、バネ)によって全開口位置において付勢可能であり得る(すなわち、通常は開口状態であり得る)。コントローラ302は、弁306を閉鎖し始め、これにより(空気前処理アセンブリ119内の負圧に起因して)空気前処理アセンブリ119内に送られた外気量を制御し、これにより、フレア130からの外気および高温ガスの混合物を所望の温度にする。さらに、所望であれば、コントローラ302は、フレアキャップ134の位置(全開口〜全閉口間の任意の位置)を制御し得、誘引通風ファン190の速度を制御して、フレア130から空気前処理アセンブリ119内へと入るガスの量を制御し得る。理解されるように、濃縮器110内を流れるガスの量は、外気温度および湿度、フレアガスの温度、フレア130から出て行くガスの量などに応じて変更する必要があり得る。そのため、コントローラ302は、例えば濃縮器アセンブリ120の入口における温度センサ308の測定値に基づいて外気制御弁306、フレアキャップ134の位置および誘引通風ファン190の速度のうち1つまたはその任意の組み合わせを制御することにより、濃縮器アセンブリ120を通過するガスの温度および量を制御し得る。このフィードバックシステムが望ましいことの理由は、多くの場合において、フレア130から発生する空気は華氏1200〜1800度であり、このような温度は高温過ぎるか、または、濃縮器110の効率的かつ有効な動作に必要な温度よりもずっと高いからである。
【0059】
任意の事象において、図9に示すように、コントローラ302は、モータ310にも接続される。モータ310は、濃縮器アセンブリ120の幅狭部内のベンチュリプレート163の位置を駆動または制御することで、濃縮器アセンブリ120内に発生する乱流の量を制御する。さらに、コントローラ302は、ポンプ182および184の動作を制御することで、ポンプ182および184から再循環液体および新規処理対象廃液をクエンチャ159の入力およびベンチュリ部162へと送る速度(および両者間の比)を制御することができる。一実施形態において、コントローラ302は、再循環流体と新規流体との間の比を約10:1になるように制御し得、これにより、ポンプ184から新規液体が毎分あたり8ガロンの速度で入力160へと提供される場合、再循環ポンプ182は、毎分あたり80ガロンをポンプ輸送する。付加的にまたは代替的に、コントローラ302は、例えばレベルセンサ317を用いてサンプ172内において一定または所定のレベルの濃縮液体を維持することにより、(ポンプ184を介した)前記濃縮器内への新規処理対象液体の流れを制御することができる。もちろん、前記サンプ172中の液体の量は、前記濃縮器内の濃縮速度、濃縮液体をサンプ172から第2の再循環回路を通じてポンプ輸送する速度および他の場合にサンプ172内に存在する濃縮液体をポンプ輸送する速度、第2の再循環回路から液体をサンプ172へと返送する速度、ならびに第1の再循環回路を介して前記濃縮器へと送達するためにポンプ182によって液体をサンプ172からポンプ輸送する速度によって異なる。
【0060】
所望であれば、外気弁306およびフレアキャップ134のうちの1つまたは双方をフェールセーフ開口位置において動作させることができ、これにより、システムの故障(例えば、制御信号の欠落)または濃縮器110の停止時において、フレアキャップ134および外気弁306が開口する。1つの場合において、フレアキャップモータ135がバネ付勢されるか付勢要素(例えば、バネ)によって付勢され得、これにより、フレアキャップ134を開口させるか、または、モータ135への電力が失われた場合にフレアキャップ134を開口させる。あるいは、前記付勢要素は、カウンターウェイト137であってもよいし、あるいは、モータ135が電力を失うかまたは制御信号を失った際に、フレアキャップ134そのものがカウンターウェイト137から付加される力の下で開口位置に振れるようにフレアキャップ134を配置してもよい。この動作により、電力喪失時またはコントローラ302がフレアキャップ134を開口させたときのいずれかにおいて、フレアキャップ134を高速開口させることができ、これにより、フレア130内の高温ガスをフレア130の上部から出て行かせることが可能になる。もちろん、制御信号の喪失時においてフレアキャップ134を開口させるための他の方法も利用可能である(例えば、フレアキャップ134の回転軸136上におけるトーションバネの利用、シリンダを加圧してフレアキャップ134を閉鎖する油圧システムまたは加圧空気システムにおける圧力喪失による、制御信号喪失時におけるフレアキャップ134の開口)。
【0061】
よって、上記記載から理解されるように、フレアキャップ134および外気弁306は、協働して濃縮器110内において用いられている設計材料を保護する。なぜならば、システム停止のたびに、前記フレアキャップおよび空気弁306が自動的にすぐに開口することで、迅速に外気を取り入れてプロセスを冷却しつつ、フレア130中で発生する高温ガスをプロセスから断熱するからである。
【0062】
さらに、同様の様態で、濃縮器110の停止時または弁306への信号の喪失時において、外気弁306はバネ付勢されるかまたは他の場合に開口するように構成される。この動作により、フレアキャップ134の開口時において、空気前処理アセンブリ119および濃縮器アセンブリ120が迅速に冷却される。さらに、外気弁306およびフレアキャップ134は高速開口するため、コントローラ302は、フレア130の動作を停止または実行する必要無く、濃縮器110を高速停止させることができる。
【0063】
さらに、図9に示すように、コントローラ302は、ベンチュリプレートモータ310またはベンチュリ部162内にベンチュリプレート163を設ける角度を移動または作動させる他のアクチュエータに接続され得る。モータ310を用いて、コントローラ302は、ベンチュリプレート163の角度を変更して、濃縮器アセンブリ120内を通過するガス流を変化させ、これにより、濃縮器アセンブリ120内のガス乱流の性質を変化させ、その結果、内部の液体およびガスの混合を向上させ、前記液体をより完全に蒸発させることができる。この場合、コントローラ302は、ポンプ182および184の速度をベンチュリプレート163の動作と関連付けることで、処理中の廃水の濃度を最適化することができる。このようにして、理解されるように、コントローラ302は、微粒子の乾燥を回避できるよう前記廃水を完全に乾燥させることなく、ベンチュリプレート163の位置と、フレアキャップ134の動作と、外気またはブリード弁306の位置と、導入ファン190の速度とを協調させることで、廃水濃度(乱流混合)を最大化させることができる。コントローラ302は、前記圧力センサからの圧力入力を用いて、ベンチュリプレート163を配置することができる。もちろん、ベンチュリプレート163は、手動制御してもよいし、あるいは自動制御してもよい。
【0064】
コントローラ302はまた、モータ312に接続される。モータ312は、流体スクラバー122のガス再循環回路内のダンパ198の動作を制御する。例えば流体スクラバー122のガス入口およびガス出口に配置された圧力センサ313および315からの信号に基づいて、コントローラ302により、モータ312または他の種類のアクチュエータはダンパ198を閉口位置から開口位置または部分的開口位置へと移動させる。コントローラ302は、ダンパ198を制御して、排気部124の高圧力側(誘引通風ファン190の下流)からガスを流体スクラバー入口内へと強制流入させることで、2つの圧力センサ313および315間の所定の最小圧力差を維持することができる。この最小圧力差を維持することで、流体スクラバー122の適切な動作が保証される。もちろん、ダンパ198を電気制御する代わりまたは電気制御する他に、手動制御することも可能である。
【0065】
よって、上記記載から理解されるように、コントローラ302は、フレア130の動作に影響を与えることなく、濃縮器110の起動または停止に用いられる1つ以上のオン/オフ制御ループを実行することができる。例えば、コントローラ302は、フレアキャップ134を開閉させるフレアキャップ制御ループと、外気弁306を開口させるかまたは閉口させ始めるブリード弁制御ループと、濃縮器110の起動または停止に基づいて誘引通風ファン190を起動または停止させる誘引通風ファン制御ループとを行うことができる。さらに、動作時において、コントローラ302は、1つ以上のオンライン制御ループを実行することができる。前記1つ以上のオンライン制御ループは、濃縮器110の多様な要素を個別にまたは別の要素と関連して制御することで、濃度を向上または最適化することができる。これらのオンライン制御ループを実行する際、コントローラ302は、前記温度センサおよび圧力センサからの信号に基づいて、誘引通風ファン190の速度、ベンチュリプレート163の位置または角度、フレアキャップ134の位置および/または外気弁306の位置を制御することで、濃縮器110内を通過する流体流れおよび/または濃縮器アセンブリ120の入口にある空気の温度を制御することができる。さらに、コントローラ302は、ポンプ184および182を制御することにより、濃縮プロセスの性能を定常状態に維持することができる。ポンプ184および182は、濃縮すべき新規流体および再循環流体を濃縮器アセンブリ120内へとポンプ輸送する。さらに、コントローラ302は、圧力制御ループを実行することができる。圧力制御ループにおいて、ダンパ198の位置を制御して流体スクラバー122の適切な作業を保証する。もちろん、コントローラ302をこれらの多様な制御ループを実行する単一のコントローラデバイスとして図9中に図示しているが、コントローラ302を例えば複数の異なるPLCを用いて複数の異なる制御デバイスとして実行することも可能である。
【0066】
理解されるように、本明細書中に記載の濃縮器110は、排出基準を満たすように高温排ガスを十分に処理した後に、プロセスにおいて高温排ガスを直接利用し、これにより、簡潔であり信頼性がありかつ有効な様態で廃熱を利用するプロセスから廃熱を発生させるプロセスの動作要求を途切れなく分離する。
【0067】
濃縮器110の動作時における濃縮器110の重要要素である点に加えて、本明細書中に記載される自動化されたまたは手作業で作動するフレアキャップ134は、スタンドアロン的に利用することが可能であり、これにより、フレアがアイドル状態であるときのフレアまたはフレアおよび濃縮器の組み合わせに対する雨避けとして機能することができる。フレアキャップ134が閉口状態にある際、フレア130の金属シェルの内部は、フレアアセンブリ115の耐火要素、バーナー要素および他の重要要素ならびに熱伝達アセンブリ117と共に、腐食および成分への露出に関連する一般的劣化から保護される。この場合、フレア130がアイドル状態にある際、コントローラ302は、フレアキャップモータ135を作動させて、フレアキャップ134を全開口または部分的閉口状態で保持する。さらに、フレア130の停止時に自動閉口するフレアキャップ134またはフレア130の発火時に自動開口するフレアキャップ134の利用の他にも、小型バーナー(例えば、通常の点火用バーナー)をフレア130の内部に取り付けて、フレアキャップ134が閉口状態であるときにフレア130が停止している場合にこの小型バーナーを利用することも可能である。このような小型バーナーの利用によりフレア130内部の乾燥状態が保持されるため、湿気に起因するフレア成分の劣化をさらに保護することが可能になる。本明細書中に記載のフレアキャップ134をスタンドアロン的に利用することが可能なスタンドアロンフレアの一例として、スタンバイフレアを埋立地に据え付けることで、埋立地ガスによる燃料供給を受けている工場がオフラインである際のガス制御を確実にすることが可能になる。
【0068】
液体濃縮器110について、埋立地フレア内において発生した廃熱を利用できるように埋立地フレアに接続されたものとして上述してきたが、液体濃縮器110は、他の廃熱源にも容易に接続可能である。例えば、図10に示す濃縮器110の場合、燃焼機関工場400の排気筒に接続されており、エンジン排気からの廃熱を用いて液体濃縮を行うよう改変されている。一実施形態において、工場400内のエンジンは埋立地ガスによって動作して電気を生成するが、濃縮器110は、他の種類のエンジン(例えば、他の種類の燃焼機関(例えば、ガソリン、ディーゼル燃料などによって作動するもの))からの排気によって動作するように接続することも可能である。
【0069】
図10を参照して、工場400内のエンジン(図示せず)中において発生した排気は、工場400の外部のマフラー402へと送られ、マフラー402から燃焼ガス排気筒404内へと入る。燃焼ガス排気筒404の上部には、燃焼ガス排気筒キャップ406が設けられる。キャップ406は本質的には、スタック404から出て行く排気が無い場合は排気筒404上を被覆するようにカウンターウェイトされるが、排気がスタック404から出て行く際は、排気圧力により容易に押し上げることが可能である。この場合、排気筒404内に設けられたYコネクタが、スタック404を移送管408へと接続するように動作する。移送管408は、前記エンジンからの排気ガス(廃熱源)を拡張部410へと移動させる。拡張部410は、濃縮器110のクエンチャ159と噛み合い、前記エンジンからの排気ガスを直接濃縮器110の濃縮器アセンブリ120へと送る。エンジン排気を廃熱源として用いる場合、エアブリード弁を濃縮器部分120の上流に設けることは不要であることが多い。なぜならば、エンジンから出て行く排気ガスは典型的には華氏900度未満であるため、クエンチャ159に入る前に大幅に冷却する必要は無いからである。濃縮器110の残りの部分については、図3〜図8を参照して上述した物と同一である。このように、液体濃縮器110は、大幅な変更を要することなく、多様な異なる廃熱源を利用できるように容易に適合可能であることが理解される。
【0070】
一般的に、図10の液体濃縮器110を制御する際、コントローラは、工場400内のエンジンが動作している状態で、誘引通風ファン190をオンにする。コントローラは、スタック404内の排気のうちほとんどまたは全てが(排気筒404の上部から出て行く代わりに)移送管408内に入るまで、誘引通風ファン190の速度を最低速度から上昇させる。この動作地点を検出することは容易である。この動作地点に到達するのは、誘引通風ファン190の速度上昇と共に、キャップ406が先ずスタック404の上部に戻ったときである。誘引通風ファン190の速度がこの動作地点を超えることを回避することで、濃縮器110内の負圧が必要以上に高くならないようにし、これにより、濃縮器110の動作に起因して背圧が変化しない(詳細には、工場400内のエンジン内において望ましくないレベルの吸引が発生しない)ようにすることが重要である。背圧の変化または排気筒404内の吸引発生があると、エンジンの燃焼動作に悪影響が出るため、望ましくない。一実施形態において、コントローラ(図10中図示せず)(例えば、PLC)は、圧力変換器を用い得る。この圧力変換器は、キャップ406の位置の近隣のスタック404内に取り付けられて、この位置における圧力を連続監視する。その後、コントローラは、誘引通風ファン190上の可変周波数駆動へ信号を送って、誘引通風ファン190の速度を制御して、圧力を望ましい設定点において維持し、これにより、望ましくない背圧または吸引がエンジン上において発生しないようにする。
【0071】
図11および図12は、液体濃縮器500の別の実施形態の側断面図および水平断面図である。濃縮器500は、概して垂直方向に方向付けられている。しかし、図11に示す濃縮器500は、特定の用途における特定の制約に応じて、概して水平に方向付けてもよいし、あるいは概して垂直方向に方向付けてもよい。例えば、前記濃縮器をトラックに積載する場合は、前記濃縮器を概して水平に方向付けることで、前記濃縮器を積載したトラックが現場間の輸送時に橋の下をくぐることができるようにすることができる。液体濃縮器500は、ガス入口520と、ガス出口522とを有する。フロー通路524は、ガス入口520をガス出口522へと接続する。フロー通路524は、幅狭部526を有する。幅狭部526において、フロー通路524を通過するガスが加速される。幅狭部526の前において、液体入口530から液体がガスストリーム内に注入される。図1の実施形態と対照的に、図11の実施形態の幅狭部526の場合、ガス液体混合物をサイクロンチャンバ551内へと方向付ける。サイクロンチャンバ551により、図1中のデミスターの機能を提供しつつ、前記ガスおよび液体の混合が向上する。前記ガス液体混合物は、接線方向において(図12を参照)サイクロンチャンバ551内に入った後、サイクロンの様態でサイクロンチャンバ551を通過して、液体出口領域554へと進む。サイクロン循環は、サイクロンチャンバ551内に設けられた中空シリンダ556により、促進される。中空シリンダ556により、前記ガスはガス出口522へと導かれる。中空シリンダ556は、物理的障壁を提示し、サイクロンチャンバ551(液体出口領域554を含む)内におけるサイクロン循環を維持する。
【0072】
前記ガス液体混合物がフロー通路524の幅狭部526を通過し、サイクロンチャンバ551内において循環すると、前記液体の一部が蒸発し、前記ガスによって吸収される。さらに、前記ガス中の混入液滴のサイクロンチャンバ551の側壁552への移動が遠心力により加速され、側壁552において、前記混入液滴は合体して、側壁552上に膜を形成する。これと同時に、導入ファン550によって生成された求心力により、前記デミストされたガス流がシリンダ556の入口560において収集され、この流れはガス出口522へと方向付けられる。このように、サイクロンチャンバ551は、混合チャンバとしてもデミスト用チャンバとしても機能する。重力およびサイクロンチャンバ551内における液体出口領域554に向かったサイクロン運動による相乗効果により、前記液体膜が前記チャンバの液体出口領域554へと流れると、サイクロンチャンバ551中のガスの連続的循環により、前記液体膜の一部がさらに蒸発する。前記液体膜がサイクロンチャンバ551の液体出口領域554に到達すると、前記液体は、再循環回路542を通じて方向付けられる。このように、前記液体は、所望のレベルの濃度に到達するまで、濃縮器500内を再循環する。前記濃縮スラリーが前記所望の濃度に達した場合、前記濃縮スラリーの一部を抽出ポート546を通じて放出することができる(これをブローダウンと呼ぶ)。そして、前記蒸発速度と抽出ポート546を通じたスラリー放出速度との合計に等しい速度において、新規の液体入口544を通じて新規の液体を回路542に付加する。
【0073】
サイクロンチャンバ551内においてガスが循環するにつれ、前記ガスは浄化されて混入液滴が除去され、その後前記ガスは導入ファン550によってサイクロンチャンバ551の液体放出領域554に向かって引き出され、中空シリンダ556の入口560へと移動する。その後、前記浄化されたガスは中空シリンダ556を通じて移動し、最終的にガス出口522を通じて雰囲気またはさらなる処理(例えば、フレア中における酸化)へと出て行く。
【0074】
図13は、分散型液体濃縮器600の模式図である。分散型液体濃縮器600は、多くの種類の廃熱源(アクセスが困難な場所(例えば、建物の側部、多様な他の設備の中間部、道路または他のアクセス地点から離れた場所)に配置された廃熱源を含む)と共に利用することが可能なよう、構成される。本明細書中、液体濃縮器600を浸出液(例えば、埋立地から収集された浸出液)の処理または濃縮用途に用いるものとして説明するが、液体濃縮器600は、他の種類の液体の濃縮用途にも利用可能であり、あるいは、多くの任意の種類の廃水を含むことも可能である。
【0075】
一般的に言えば、液体濃縮器600は、ガス入口620と、ガス出口またはガス出口622と、ガス入口620をガス出口622に接続するフロー通路624と、液体再循環システム625とを含む。濃縮器部分は、フロー通路624を有する。フロー通路624は、クエンチャ部659と、ベンチュリ部626と、送風機または牽引ファン650とを含む。クエンチャ部659は、ガス入口620および流体入口630を含む。ベンチュリ部626は、クエンチャ部659の下流に設けられる。送風機または牽引ファン650は、ベンチュリ部626の下流に接続される。ファン650および浸水曲がり部654は、前記濃縮器部分のガス出口(例えば、ベンチュリ部626の出口)を配管部652へと連結させる。この場合、浸水曲がり部654は、フロー通路624内において90度の角部を形成する。しかし、浸水曲がり部654は、所望であれば、90度未満または90度を超える角部を形成することもできる。配管部652は、デミスター(この場合、クロスフロースクラバー634の形態で図示される)に接続される。クロスフロースクラバー634は、ガス出口622を有するスタック622Aに接続される。
【0076】
再循環システム625は、サンプ636と、再循環またはリサイクルポンプ640とを含む。サンプ636は、クロスフロースクラバー634の液体出口に連結される。再循環またはリサイクルポンプ640は、サンプ636と、配管部642との間に連結される。配管部642は、再循環流体を流体入口630へと送達する。プロセス流体フィード644もまた、浸出液または他の処理対象液体(例えば、濃縮液)を流体入口630へと送って、クエンチャ部659へと送る。再循環システム625はまた、液体テイクオフ646も含む。液体テイクオフ646は、配管部642に接続される。配管部642は、前記リサイクル流体(または濃縮流体)の一部を、保存、沈殿およびリサイクル用のタンク649へと送る。沈殿槽649中の液体の濃縮部分が重いかまたは多いほど、前記液体はタンク649の下部内にスラッジとして沈殿し、除去および輸送されて、濃縮形態で埋め立てられる。タンク649中の液体のうち濃縮部分の少ない液体は、サンプ636へと戻されて再処理およびさらなる濃縮が施され、液体入口630において適切な供給量の液体が常時利用可能なようにし、これにより微粒子の乾燥を回避する。微粒子が乾燥した場合、プロセス流体と高温ガス体積との間の比の低下の原因となり得る。
【0077】
動作時において、クエンチャ部659は、液体入口630から送達された流体と、例えばエンジンマフラーおよび内燃機関(図示せず)と関連付けられたスタック629から収集された廃熱を含むガスとを混合する。流体入口630からの液体は、例えば、処理対象または濃縮対象の浸出液であり得る。図13に示すように、クエンチャ部659は、ベンチュリ部626の上方において垂直方向に接続される。ベンチュリ部626は、幅狭部を有する。幅狭部により、ベンチュリ部626のすぐ下流およびファン650のすぐ上流にある流体フロー通路624の一部を通過するガスおよび液体の流れが加速する。もちろん、ファン650は、ベンチュリ部626のすぐ下流において低圧力領域を発生するように動作し、これにより、スタック629からガスをベンチュリ部626および浸水曲がり部654を通じて引き出し、前記ガスおよび液体を混合させる。
【0078】
上記したように、クエンチャ部659は、エンジン排気筒629から高温排気ガスを受け取り、排気筒629の任意の所望の部分に直接接続可能である。この図示の実施形態において、エンジン排気筒629は、建物631の外側に取り付けられる。建物631は、1つ以上の発電機を収容する。前記1つ以上の発電機は、埋立地ガスを燃料として用いて、発電を行う。この場合、クエンチャ部659は、スタック629(すなわち、排気筒629の下部)と関連付けられた凝縮物テイクオフ(例えば、ウィープレッグ)に直接接続可能である。ここで、クエンチャ部659は、スタック629の下側またはその近隣に直接取り付け可能であるため、両者を接続するための高価な高温配管材料を数インチまたは最大でも数フィートしか必要としない。しかし、所望であれば、クエンチャ部659は、適切な曲がり部またはテイクオフを介して、排気筒629の他の任意の部分(例えば、スタック629の上部または中間部)にも連結可能である。
【0079】
上記したように、液体入口630は、蒸発すべき液体(例えば、埋立地浸出液)をクエンチャ部659を通じてフロー通路624内に注入する。所望であれば、液体入口630は、交換可能なノズルを含み得る。前記交換可能なノズルは、前記液体をクエンチャ部659内に噴霧する。液体入口630は、ノズルを備えるか備えないかにかかわらず、前記ガスがフロー通路624を通じて移動する際に、前記液体を前記ガス流に対して垂直方向から水平方向までの任意の方向に導入し得る。さらに、前記ガス(およびその内部の廃熱)および液体がベンチュリ部626を通過すると、ベンチュリ原理により、乱流が加速し、これにより、ベンチュリ部626のすぐ下流にあるフロー通路624内において、前記ガスおよび液体が十分に混合される。この乱流混合の結果、前記液体の一部が高速に蒸発し、ガスストリームの一部となる。この蒸発において、廃熱内において大量の熱エネルギーが消費される。なぜならば、水として濃縮器システム600から出て行く潜熱は前記排気ガス内において蒸発するからである。
【0080】
ベンチュリ部626の幅狭部から出て行った後、前記ガス/液体混合物は、浸水曲がり部654を通過する。浸水曲がり部654において、フロー通路624は90度の角度で曲がっており、これにより垂直流れを水平流れに変更する。ガス/液体混合物は、ファン650を通過した後、ファン650の下流側において高圧力領域へと入る。この高圧力領域は、配管部652内に存在する。前記システム内におけるこの地点において浸水曲がり部654を用いることが望ましいのには、少なくとも2つの理由がある。第1に、浸水曲がり部654の下部に液体があると、フロー通路624の転換点における腐食が低減する。このような腐食は、90度の角部を高速で流れて、浸水曲がり部654が用いられていない従来の曲がり部の下部表面において急角度で直接衝突するガス/液体混合物内の浮遊粒子に起因して発生することが多い。浸水曲がり部654の下部内の液体は、これらの粒子中のエネルギーを吸収し、これにより、浸水曲がり部654の下部表面上の腐食を回避する。さらに、この混合物が浸水曲がり部654に到達した際に未だガス/液体混合物内に残っている液滴を液体に衝突させることで、前記液滴をより容易に収集し、流れストリームから除去することができる。すなわち、浸水曲がり部654の下部にある液体は、前記液体に衝突する液滴を収集するように動作する。なぜならば、これらの浮遊液滴が液体と接触しているときの方が、流れストリーム中の液滴をより容易に保持できるからである。よって、例えば再循環回路625に接続された液体テイクオフ(図示せず)を持ち得る浸水曲がり部654は、ベンチュリ部626から出てきたガス/液体混合物からのプロセス流体液滴および濃縮物の一部を除去するように、動作する。
【0081】
重要なことに、前記ガス/液体混合物は、ベンチュリ部626を通過するうちに、高速に断熱飽和点に到達する。前記断熱飽和点は、スタック629から出て行くガスの断熱飽和点よりもずっと低い。例えば、スタック629から出て行くガスは約華氏900〜約1800度であり得るが、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の全部分内のガス/液体混合物は一般的には華氏150度〜190度である。しかし、この温度は、システムの動作パラメータに基づいて、これらの値よりも高くても低くてもよい。その結果、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分を高温耐性材料で構成する必要がなくなり、また、濃縮器システム600の部分において、断熱がまったく不要であるか、または、入口高温ガスの廃熱量をより大きく利用する目的のために断熱を利用する場合において、より高温のガスの輸送に必要な程度まで断熱が不要になる。さらに、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分は、大きな危険性無しにまたは最小の外部保護と共に、領域(例えば、人間と接触する地面に沿った領域)内に配置される。詳細には、ベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分は、ガラス繊維によって構成可能であり、断熱も不要または最小ですむ。重要なことに、前記ガス/液体ストリームは、その内部のガス/液体混合物を前記断熱飽和点の近隣に維持しつつ、比較的長い距離にわたってベンチュリ部626の下流の濃縮器システム600の部分内において流れ得、これにより、建物631から離隔方向において配管部652から前記流れストリームをより容易にアクセス可能な位置へと容易に輸送することが可能になる。このより容易にアクセス可能な位置において、濃縮器600と関連付けられたその他の設備を簡便に配置することができる。詳細には、配管部652の内部の流れを前記断熱飽和点の近隣において維持しつつ、配管部652の長さを20フィート、40フィートまたはそれ以上にすることができる。もちろん、これらの長さは、雰囲気温度、配管種類および利用される断熱などに基づいてより長くまたはより短くすることも可能である。さらに配管部652はファン650の高圧力側に配置されるため濃縮物をより容易にこのストリームから除去することができる。図13の例示的実施形態において、配管部652は建物631内のエンジンと関連付けられた空気冷却器を通過するかまたは前記空気冷却器の下側に図示されている。しかし、図13の空気冷却器は、あくまで建物631の近隣に配置可能な障害物の種類の一例として示したものであり、濃縮器600の全コンポーネントを廃熱源(この場合、スタック629)の近隣に配置する際に問題になる。他の障害物を挙げると、他の設備、木などの植物、他の建物、道路または容易なアクセス地点が無いためアクセスできない地域などがある。
【0082】
任意の事象において、配管部652は、前記断熱飽和点に近いガス/液体ストリームをデミスター634へと送達する。デミスター634は、例えばクロスフロースクラバーであり得る。デミスター634は、前記ガス/液体ストリームから混入液滴を除去するように動作する。前記除去された液体は、サンプ636内に集まって、前記液体をポンプ640へと方向付ける。ポンプ640は、前記液体を再循環回路625の戻り配管642を通じて液体入口630へと戻す。このようにして、前記獲得された液体は、所望の濃度になるまで蒸発させることでさらに低減しかつ/または微粒子の乾燥を防ぐように再循環させることができる。新規の濃縮対象液体は、新規の液体入口644を通じて入力される。再循環回路625内に新規の液体を入力する速度は、前記ガス液体混合物がフロー通路624内を流れる際の液体蒸発速度と、沈殿槽649から抽出された液体またはスラッジの速度(このスラッジは、一定レベルで残っている沈殿槽649内の物質であると仮定する)との合計に等しくすべきである。詳細には、前記液体の一部は、再循環回路625中の液体が所望の濃度に到達した際に、抽出ポート646を通じて引き抜くすることができる。抽出ポート646から引き出された液体部分は、保存および沈殿槽649へと送ることができる。保存および沈殿槽649において、前記濃縮液体は沈殿し、構成成分(例えば、液体部分および半固体部分)へと分離する。この半固体部分は、タンク649から引き出すこともできるし、さらに処理することもできる。
【0083】
上記したように、ファン650は、負圧下においてフロー通路624の一部を通じてガスを引き出し、陽圧下においてフロー通路624の一部を通じてガスを押し出す。クエンチャ部659、ベンチュリ部626およびファン650は、任意の種類の接続デバイスによって建物631に取り付け可能であり、図13に示すように、廃熱源の近隣に配置される。しかしデミスター634およびガス出口622ならびに沈殿槽649は、クエンチャ部659、ベンチュリ部626およびファン650からある程度距離を空けた位置(例えば、アクセスが容易な位置)に配置してもよい。一実施形態において、デミスター634およびガス出口622ならびに沈殿槽649は、可動プラットフォーム(例えば、パレットまたはトレーラーベッド)上に取り付けることができる。
【0084】
図14〜図16は、液体濃縮器700の別の実施形態を示す。液体濃縮器700は、パレットまたはトレーラーベッド上に取り付けることができる。一実施形態において、濃縮器700のコンポーネントのうち一部を前記ベッド上に残しておき、濃縮活動に用いることができる。これらのコンポーネントのうち他のものも、例えば図13の実施形態中に示すように、取り外して廃熱源の近隣に取り付けることができる。液体濃縮器700は、ガス入口720と、ガス出口722とを有する。フロー通路724は、ガス入口720をガス出口722へと接続する。フロー通路724は、幅狭部またはベンチュリ部726を有する。ベンチュリ部726において、ガスがフロー通路724を通じて加速する。導入ファン(図示せず)により、ガスがクエンチャ部759内に引き込まれる。液体入口730から、クエンチャ部759中のガスストリーム内に液体が注入される。曲がり部733により、ガスはベンチュリ部726からデミスター(またはクロスフロースクラバー)734内へと方向付けられる。デミスター734から出て行った後、前記ガスは、スタック723を通じてガス出口722へと方向付けられる。もちろん、上述したように、これらのコンポーネントのうちいくつかを前記ベッドから取り外し、廃熱源の近隣に取り付けてもよく、その他のコンポーネント(例えば、デミスター734、スタック723およびガス出口722)を前記ベッド上において残しておいてもよい。
【0085】
前記ガス液体混合物がフロー通路724のベンチュリ部726を通過する際、前記液体の一部が蒸発し、前記ガスによって吸収され、これにより、潜熱が前記排気ガス中の水蒸気として濃縮器システム700から出て行く際、廃熱内の熱エネルギーのうち大部分が消費される。
【0086】
図14〜図16中に示す実施形態において、液体濃縮器700の部品を分解し、輸送用のパレットまたはトレーラースキッドに取り付けることができる。例えば、図14中の破線によって示すように、クエンチ部759およびベンチュリ部726を曲がり部733から取り外すことができる。同様に、図14中の破線によって示すように、スタック723を導入ファン750から取り外すことができる。曲がり部733、デミスター734および導入ファン750は、ユニットとしてパレットまたはトレーラースキッド799上に固定することができる。スタック723は、別個にパレットまたはトレーラースキッド799に固定することができる。クエンチ部759およびベンチュリ部726もまた、パレットまたはトレーラースキッド799に固定してもよいし、あるいは、別個に輸送してもよい。このように液体濃縮器700を区分化構造にすることにより、液体濃縮器700の輸送が容易になる。
【0087】
以下の例は、本発明の局面を示すために提示されるものであるが、本発明の範囲を限定することを意図していない。第1の例においては、浸出液を濃縮するためのプロセスの実施形態について記載する。第2の例においては、天然ガス井戸の動作からの「生成水」または「逆流水」として得られた廃水流の濃縮の実施形態について記載する。
【0088】
実施例I
【0089】
下記に述べる点を除いて図3について述べたものと同様の濃縮器アセンブリを用いて、埋立地施設において浸出液を濃縮した。前記処理された浸出液の化学組成は、以下の表(表1、表2)に示すようなものであった。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
前記濃縮器アセンブリに含まれる流体スクラバーそのものにおいて、初期粗衝突バッフルと、2つの取り外し可能なフィルタ(シェブロン)とが含まれていた。前記2つの取り外し可能なフィルタ(シェブロン)は、前記流体スクラバー内を通じて流体経路方向において直列に配置される。前記フィルタは、前記2つのシェブロンのうちの第1のシェブロンから約18.75インチ(in)の距離を空けて配置された。前記2つのシェブロンは、約30inの距離を空けて、相互に間隔を空けて配置した。最後に、前記2つのシェブロンのうち第2のシェブロンを、前記流体スクラバーの排気から約18.75inの距離だけ空けて、間隔を空けて配置した。前記フィルタは、約50ミクロン〜約100ミクロンのサイズの液滴を除去するように構成した。前記流体経路と出会う、前記2つのシェブロンのうち第1のシェブロンは、約20ミクロン〜約30ミクロンのサイズの液滴を除去するように構成し、前記2つのシェブロンのうち第2のシェブロンは、約10ミクロン〜約20ミクロンのサイズの液滴を除去するように構成した。これらのシェブロンは、Munters Corporation(会社所在地:Amesbury、MA)から市販されている。前記流体スクラバー中にはサンプを設けた。前記サンプの流体保持能力は、約200ガロン(約757リットル)であった。
【0093】
また、前記濃縮器アセンブリ内には、図3に示すように流体スクラバーの下流に誘引通風ファンを設けた。モータにより前記牽引ファンを作動させて、埋立地施設のフレアアセンブリから濃縮器アセンブリを通じて(すなわち、熱伝達アセンブリ、前処理アセンブリ、および前記濃縮器アセンブリの流体スクラバーを通じて)ガスを誘引するのに十分な負圧を前記流体スクラバー内に発生させた。前記ファンを、1350回転/分の96%で動作させた。この動作時において、前記ファンは、前記ベンチュリ部上において6.5インチの水柱(we)の差圧を発生させ、前記流体スクラバー上において1.6のインチの水柱(we)の差圧を発生させた。
【0094】
前記濃縮器アセンブリの入力ラインを、浸出液流れラインに接続した。前記入力流れラインを通じて、温度約25℃の浸出液を毎分あたり約7.1ガロン(gal/分)の定常流とした。前記浸出液(本明細書中「新規の浸出液」とも呼ぶ)の大部分は水であるが、上記表中に概要を示したような他の化合物も含まれていた。そのため、前記浸出液の濃度はほとんど水によって決定されるため、前記浸出液の蒸発熱を水と同様にした(すなわち、1000Btu/ポンド(lb))。前記新規の浸出液中には、(前記浸出液の総重量に基づいたときに)全部で2.3%の固体が含まれていた。再循環された、さらに部分的に濃縮した浸出液を、75gal/分の速度で前記再循環パイプを通じて前記ベンチュリ部内に送った。前記再循環速度を、前記入力ラインを通じて流れる浸出液の速度の約10倍に概して維持した。この再循環速度において、本例の目的のため、前記再循環された浸出液の温度および蒸発熱は、前記新規の浸出液のものと同一であると仮定した。
【0095】
前記濃縮器アセンブリの導入部は、排気ガス導入のために約10.5平方フィート(ft2)の断面積を有し、前記導入部からの排気ガス出力のために約15.8ft2の断面積を有し、平均流路長さは約7ft.2inであった。前記クエンチャの入力の断面積は、およそ8.3平方フィートであった。前記クエンチャの出力の断面積は、およそ3.14平方フィートであり、前記ベンチュリ部の入口の断面積と同じである。前記ベンチュリ部の出力の断面積は約2.42m2であり、前記ベンチュリプレートが全開口であるとき(すなわち、前記ガス/液体の流れに対して平行に配置されているとき)の前記ベンチュリ部の最幅狭部の断面積は約0.24m2であった。前記浸出液を濃縮する目的の動作において、前記ベンチュリプレートをこの全開口位置において維持した。
【0096】
前記近似蒸発熱、質量およびエネルギーのバランスを前記クエンチャおよび前記ベンチュリ部の周囲において実行して、前記浸出液のうちわずか97重量%を蒸発させるのに必要な熱量を決定するが、より高レベルの蒸発も可能である。97%を蒸発させると、前記濃縮浸出液は液体形態で残留する。熱量およびガス流を決定する際、前記牽引ファンのガス牽引能力と、前記流体スクラバー内の前記フィルタおよびシェブロンが有する、前記浸出液を濃縮する能力とを考慮すると好適である。上記バランスおよびその他の考慮事項に基づいて、前記熱伝達アセンブリ内への排気ガスの流れと、最終的には前記クエンチャおよびベンチュリ部内の排気ガスの流れとを(前記クエンチャへの導入部における発熱量5.6MMBTU/hrに基づいて)約11,500ACFMと決定した。この流れは、前記排気ガスの発熱量に応じて変更することができる(例えば、発熱量が低い場合、排気ガスの流れを高める必要があり、逆も成り立つ)。
【0097】
フレアアセンブリ中において燃焼されている特定のガス中には、メタン、エタンおよび同様の揮発度を有する他の炭化水素が一般的に含まれる。前記ガスは、前記埋立地施設から直接得たものであるか、または、他の場合にフレアアセンブリ中において燃焼されたものであり、(必要に応じて排出物を制御する政府規制に準じた汚染物質の除去の後)その排気が放出される。前記燃焼ガス出口および第2の燃焼ガス出口に隣接したフレアガス排気の温度を測定したところ、華氏900度(482℃)であった。前記排気ガスが前記熱伝達パイプの長さだけ移動した後に前記空気前処理アセンブリ内のクエンチャに入ると、このガスの温度は華氏888度(476℃)まで低下した。前記熱伝達パイプはステンレス鋼製であり、内径は約3ft.3in.であり、長さは約5ft.31/8inであった。前記熱伝達パイプ中の圧力は−0.12in.weであった。前記空気前処理アセンブリの垂直配管部もステンレス鋼製であり、メッシュバードスクリーンのベースからクエンチャ入口まで測定したところ、内径は約3ft.3in.であった。
【0098】
上記のアセンブリにより、前記流体スクラバー(華氏152度(66.7℃))上の温度を一定にして、前記浸出液を初期重量の約3パーセントまで連続的に濃縮した。前記濃縮器が定常状態で動作している際、前記濃縮器部分および前記流体スクラバー中の温度は、前記ガスおよび液体の混合物の断熱飽和温度に近づいた。濃縮浸出液中には21.2%の全固形分が含まれており、その一方でゼロ液体放出で動作する可能性を示し、また、再循環ラインによって上澄み部またはろ過液部を蒸発ゾーンへと戻す際、沈殿固体を上澄みまたはろ過液から分離した。上記プロセスの測定パラメータを以下の表中に示す。
【0099】
上記例から、前記システムは、安全かつ信頼性のある様態で連続して動作して、浸出液を濃縮することができたことが分かる。上記アセンブリは、従来の埋立地ガスフレアからの廃熱を主要エネルギー源として動作することができる。上記アセンブリはまた、埋立地ガスによって燃料補給を受ける工場において一般的に用いられる往復運動エンジンからの排気ガスから得られた熱によっても動作することができる。さらに、上記プロセスは、政府規制機関のガイドラインによって定められた要求内の排出物を生成した。
【0100】
実施例II
【0101】
下記に述べる点を除いて実施例Iについて述べたものと同様の濃縮器アセンブリを用いて、天然ガス井戸からの生成水を濃縮した。加熱された排気ガスを得るために埋立地ガス源を用いる代わりに、このプロセスにおいては、プロパンガスの燃焼により、加熱された排気ガスを得た。排気出口を有する燃焼器内においてプロパンを燃焼させた。前記排気出口は、図3に示す熱伝達パイプに接続した。その他の点においては、前記プロセスアセンブリは実施例Iのものと同様である。
【0102】
【表3】
【0103】
上記例から、前記システムは、安全かつ信頼性の有る様態で連続的に動作して、生成水を濃縮できたことが分かる。また、上記例から、前記アセンブリは、往復運動エンジンの排気ガスから得られた熱によって動作することができたことも分かる。さらに、上記プロセスは、政府規制機関のガイドラインによって定められた要求内の排出物を生成した。
【0104】
図17は、濃縮器800の模式図である。濃縮器800により、上記の実施例IおよびIIにおいて概要を述べたような埋立地浸出液および天然ガス井戸からの生成水を蒸発した。図17の濃縮器800の部分のうち、図3の濃縮器110と同様の部分については、同様の参照符号によって示す。
【0105】
開示の廃水濃縮プロセスの1つの局面は、加熱ガスおよび液体廃水を組み合わせて、加熱ガスおよび混入液体廃水の混合物を形成するステップと、前記混入廃水を破壊して微細な液滴として、前記混入液体廃水と前記加熱ガスとの間の界面面積を増加させて、高速な質量および熱伝達を可能にするステップと、前記加熱ガスからの熱を前記混入液体廃水へと伝達させて、前記混入液体廃水を部分的に蒸発させるステップと、前記混合物から前記混入液体廃水の一部を除去して、デミストされたガスを得るステップとを含む。
【0106】
開示の廃水濃縮プロセスの別の局面は、前記除去された混入液体廃水を再循環させるステップと、前記除去された混入液体廃水と、新規の液体廃水とを組み合わせるステップとを含む。
【0107】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、前記加熱ガスおよび混入液体廃水の混合物をクロスフロースクラバーを通じて送るステップを含む。
【0108】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、燃料の燃焼により前記加熱ガスを生成するステップを含む。
【0109】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、埋立地ガス、天然ガス源泉から直接供給された天然ガス、精製された天然ガス、プロパン、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つを燃焼させることにより前記加熱ガスを生成するステップを含む。
【0110】
開示の廃水濃縮プロセスのさらに別の局面は、埋立地浸出液、逆流水、生成水、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から前記廃水を選択するステップを含む。
【0111】
特定の代表的な実施形態および詳細について、本発明の例示目的のために記載してきたが、当業者にとって、本発明の範囲から逸脱することなく、開示の本明細書中に開示の方法および装置において多様な変更が可能であることが明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)加熱ガスおよび液体廃水を混合して、加熱ガスおよび混入液体廃水の混合物を形成するステップと、
(b)前記混入液体廃水を破壊して、微細な混入液体の廃水液滴として、前記微細な混入液体の廃水液滴と、前記加熱ガスとの間の界面表面積を増加させ、これにより、前記微細な混入液体の廃水液滴と加熱ガスとの間において高速の質量および熱伝達を発生させるステップと、
(c)前記加熱ガスから熱を前記混入液体廃水へと伝達させて、前記混入液体廃水を部分的に蒸発させるステップと、
(d)前記微細な混入液体の廃水液滴の一部を前記混合物から除去して、デミストされたガスを得るステップと、
を含むことを特徴とする廃水を濃縮するためのプロセス。
【請求項2】
前記除去された混入液体の廃水液滴を再循環させるステップと、
前記除去された混入液体の廃水液滴と、新規の液体廃水とを混合するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記混入液体の廃水液滴の一部を除去するステップは、前記加熱ガスおよび混入液体の廃水液滴の混合物をクロスフロースクラバーを通じて送るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記加熱ガスおよび混入液体の廃水液滴の混合物の温度は、約華氏150度〜約華氏190度(約66℃〜約88℃)であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記加熱ガスは、燃料の燃焼から発生する排気ガスを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記燃料は、埋立地ガス、源泉から直接供給された天然ガス、精製された天然ガス、プロパン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記燃料は埋立地ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記燃料は、前記源泉から直接供給された天然ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記燃料は、精製された天然ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記加熱ガスの温度は、約華氏900度〜約華氏1200度(約482℃〜約649℃)であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記廃水は、浸出液、逆流水、生成水、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記廃水は浸出液であることを特徴とする請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記廃水は、前記浸出液の総重量に基づいて、約1wt.%〜約5wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約10wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約20wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約30wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約50wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ステップ(b)における前記部分的に蒸発した混合物は、前記部分的に蒸発した混合物の総重量に基づいて、約5wt.%〜約20wt.%の液体を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ステップ(b)における前記部分的に蒸発した混合物は、前記部分的に蒸発した混合物の総重量に基づいて、約10wt.%〜約15wt.%の液体を含むことを特徴とする請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
(a)加熱ガスと、廃水の液体流とを圧力下で混合するステップと、
(b)前記加熱ガス及び前記液体流が入口から出口へと流れる際に前記加熱ガス及び液体流が加速される幅狭部を有する濃縮器の混合通路に、混合された加熱ガス及び廃液の液体流を通過させて、ガス−液体混合物の総重量に基づいて、約5重量パーセント(wt.%)〜約20wt.%の液体濃度の前記ガス−液体混合物を生成するステップと、
(c)前記液体の一部を前記ガス−液体混合物から分離して、液滴が混入したガス混合物を得るステップと、
(d)前記ステップ(c)において得られた前記ガス−液体混合物中に混入した液滴を除去して、濃縮液体と、実質的に液体を含まないガスとを生成するステップと、
を含むことを特徴とする廃水を濃縮するためのプロセス。
【請求項21】
前記ステップ(a)における前記廃水の液体流と、前記ステップ(d)において得られた前記濃縮液体とを再循環させて混合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
ガス入口と、ガス出口と、ガスが前記ガス入口から前記ガス出口へと移動する際に加速される幅狭部を有して、前記ガス入口と前記ガス出口との間に配置された混合通路と、前記ガス入口と前記幅狭部との間の前記混合通路内に配置され、濃縮対象液体が前記混合通路内へ注入されるための液体入口とを含む濃縮器部分と、
前記濃縮器部分の前記ガス出口に接続されたデミスターガス流路と、前記デミスターガス流路内に配置され、前記デミスターガス流路内を流れるガスから液体を除去する液体収集器と、前記デミスターガス流路内を流れるガスから前記液体収集器によって除去された前記液体を収集するリザーバとを含むデミスターと、
前記デミスターに連結され、前記混合通路および前記ガス流路内のガスの流れを支援するファンと、
を備えることを特徴とする液体濃縮器システム。
【請求項23】
前記リザーバは、V字状下部を含むことを特徴とする請求項22に記載の濃縮器システム。
【請求項24】
前記V字状下部は、前記リザーバの一端から前記リザーバの別の端部へと傾斜することを特徴とする請求項23に記載の濃縮器システム。
【請求項25】
前記デミスター中の洗浄回路をさらに含み、前記洗浄回路は、前記V字状下部上に洗浄液体を噴霧することを特徴とする請求項24に記載の濃縮器システム。
【請求項26】
前記洗浄液体は、濃縮液体、未濃縮液体、および水、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つを含むことを特徴とする請求項25に記載の濃縮器システム。
【請求項27】
前記洗浄回路は、液体を噴霧器へとポンプ輸送するためのポンプを含むことを特徴とする請求項25に記載の濃縮器システム。
【請求項28】
濃縮液体を前記リザーバから前記液体入口へと移動させてさらなる濃縮を施すための第1の再循環回路と、
濃縮液体を前記リザーバから固体/液体分離デバイスへと移動させるための第2の再循環回路と、
をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の濃縮器システム。
【請求項29】
前記固体/液体分離デバイスは、沈殿槽、振動ふるい、フィルタプレス、および回転真空フィルタのうちの1つであることを特徴とする請求項28に記載の濃縮器システム。
【請求項30】
(a)加熱ガスおよび廃水の液体流を圧力下で混合して、その混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物の静圧を低下させて、前記混合物中の液体の一部を蒸発させ、混入濃縮液体を含む部分的に蒸発した混合物を得るステップと、
(c)前記混入濃縮液体の一部を前記部分的に蒸発した混合物から除去して、デミストされたガスを生成するステップと、
を含むことを特徴とする廃水を濃縮するためのプロセス。
【請求項1】
(a)加熱ガスおよび液体廃水を混合して、加熱ガスおよび混入液体廃水の混合物を形成するステップと、
(b)前記混入液体廃水を破壊して、微細な混入液体の廃水液滴として、前記微細な混入液体の廃水液滴と、前記加熱ガスとの間の界面表面積を増加させ、これにより、前記微細な混入液体の廃水液滴と加熱ガスとの間において高速の質量および熱伝達を発生させるステップと、
(c)前記加熱ガスから熱を前記混入液体廃水へと伝達させて、前記混入液体廃水を部分的に蒸発させるステップと、
(d)前記微細な混入液体の廃水液滴の一部を前記混合物から除去して、デミストされたガスを得るステップと、
を含むことを特徴とする廃水を濃縮するためのプロセス。
【請求項2】
前記除去された混入液体の廃水液滴を再循環させるステップと、
前記除去された混入液体の廃水液滴と、新規の液体廃水とを混合するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記混入液体の廃水液滴の一部を除去するステップは、前記加熱ガスおよび混入液体の廃水液滴の混合物をクロスフロースクラバーを通じて送るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記加熱ガスおよび混入液体の廃水液滴の混合物の温度は、約華氏150度〜約華氏190度(約66℃〜約88℃)であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記加熱ガスは、燃料の燃焼から発生する排気ガスを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記燃料は、埋立地ガス、源泉から直接供給された天然ガス、精製された天然ガス、プロパン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記燃料は埋立地ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記燃料は、前記源泉から直接供給された天然ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記燃料は、精製された天然ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記加熱ガスの温度は、約華氏900度〜約華氏1200度(約482℃〜約649℃)であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記廃水は、浸出液、逆流水、生成水、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記廃水は浸出液であることを特徴とする請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記廃水は、前記浸出液の総重量に基づいて、約1wt.%〜約5wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約10wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約20wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約30wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記液体濃縮物は、前記濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも約50wt.%の固体を含むことを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ステップ(b)における前記部分的に蒸発した混合物は、前記部分的に蒸発した混合物の総重量に基づいて、約5wt.%〜約20wt.%の液体を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ステップ(b)における前記部分的に蒸発した混合物は、前記部分的に蒸発した混合物の総重量に基づいて、約10wt.%〜約15wt.%の液体を含むことを特徴とする請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
(a)加熱ガスと、廃水の液体流とを圧力下で混合するステップと、
(b)前記加熱ガス及び前記液体流が入口から出口へと流れる際に前記加熱ガス及び液体流が加速される幅狭部を有する濃縮器の混合通路に、混合された加熱ガス及び廃液の液体流を通過させて、ガス−液体混合物の総重量に基づいて、約5重量パーセント(wt.%)〜約20wt.%の液体濃度の前記ガス−液体混合物を生成するステップと、
(c)前記液体の一部を前記ガス−液体混合物から分離して、液滴が混入したガス混合物を得るステップと、
(d)前記ステップ(c)において得られた前記ガス−液体混合物中に混入した液滴を除去して、濃縮液体と、実質的に液体を含まないガスとを生成するステップと、
を含むことを特徴とする廃水を濃縮するためのプロセス。
【請求項21】
前記ステップ(a)における前記廃水の液体流と、前記ステップ(d)において得られた前記濃縮液体とを再循環させて混合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
ガス入口と、ガス出口と、ガスが前記ガス入口から前記ガス出口へと移動する際に加速される幅狭部を有して、前記ガス入口と前記ガス出口との間に配置された混合通路と、前記ガス入口と前記幅狭部との間の前記混合通路内に配置され、濃縮対象液体が前記混合通路内へ注入されるための液体入口とを含む濃縮器部分と、
前記濃縮器部分の前記ガス出口に接続されたデミスターガス流路と、前記デミスターガス流路内に配置され、前記デミスターガス流路内を流れるガスから液体を除去する液体収集器と、前記デミスターガス流路内を流れるガスから前記液体収集器によって除去された前記液体を収集するリザーバとを含むデミスターと、
前記デミスターに連結され、前記混合通路および前記ガス流路内のガスの流れを支援するファンと、
を備えることを特徴とする液体濃縮器システム。
【請求項23】
前記リザーバは、V字状下部を含むことを特徴とする請求項22に記載の濃縮器システム。
【請求項24】
前記V字状下部は、前記リザーバの一端から前記リザーバの別の端部へと傾斜することを特徴とする請求項23に記載の濃縮器システム。
【請求項25】
前記デミスター中の洗浄回路をさらに含み、前記洗浄回路は、前記V字状下部上に洗浄液体を噴霧することを特徴とする請求項24に記載の濃縮器システム。
【請求項26】
前記洗浄液体は、濃縮液体、未濃縮液体、および水、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つを含むことを特徴とする請求項25に記載の濃縮器システム。
【請求項27】
前記洗浄回路は、液体を噴霧器へとポンプ輸送するためのポンプを含むことを特徴とする請求項25に記載の濃縮器システム。
【請求項28】
濃縮液体を前記リザーバから前記液体入口へと移動させてさらなる濃縮を施すための第1の再循環回路と、
濃縮液体を前記リザーバから固体/液体分離デバイスへと移動させるための第2の再循環回路と、
をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の濃縮器システム。
【請求項29】
前記固体/液体分離デバイスは、沈殿槽、振動ふるい、フィルタプレス、および回転真空フィルタのうちの1つであることを特徴とする請求項28に記載の濃縮器システム。
【請求項30】
(a)加熱ガスおよび廃水の液体流を圧力下で混合して、その混合物を生成するステップと、
(b)前記混合物の静圧を低下させて、前記混合物中の液体の一部を蒸発させ、混入濃縮液体を含む部分的に蒸発した混合物を得るステップと、
(c)前記混入濃縮液体の一部を前記部分的に蒸発した混合物から除去して、デミストされたガスを生成するステップと、
を含むことを特徴とする廃水を濃縮するためのプロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2013−500852(P2013−500852A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523025(P2012−523025)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043647
【国際公開番号】WO2011/014616
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511196766)ハートランド テクノロジー パートナーズ リミティッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】HEARTLAND TECHNOLOGY PARTNERS LLC
【住所又は居所原語表記】9870 Big Bend Blvd., P.O.Box 220842, Kirkwood, MO 63122, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043647
【国際公開番号】WO2011/014616
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511196766)ハートランド テクノロジー パートナーズ リミティッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】HEARTLAND TECHNOLOGY PARTNERS LLC
【住所又は居所原語表記】9870 Big Bend Blvd., P.O.Box 220842, Kirkwood, MO 63122, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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