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延伸積層フィルムの製造方法、延伸積層フィルム、ピローシュリンク包装体及びケーシング包装体
説明

延伸積層フィルムの製造方法、延伸積層フィルム、ピローシュリンク包装体及びケーシング包装体

【課題】酸素バリア性を確保しつつ酸素バリア性樹脂を含む層を薄膜化することが可能な延伸積層フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の延伸積層フィルムの製造方法は、メタキシリレンジアミンと炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを含む組成物を重合して得られる芳香族ポリアミド樹脂を含む層を有する積層体を、下記式(1)で表される条件を満たす延伸温度Tで延伸する。
Tg+5℃≦T≦Tg+25℃ (1)
[式中、Tgは、芳香族ポリアミド樹脂を含む層のガラス転移温度(℃)を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸積層フィルムの製造方法、その製法から得られた延伸積層フィルム、当該延伸積層フィルムを用いたピローシュリンク包装体及びケーシング包装体に関する。特に、本発明は、酸素バリア性樹脂である芳香族ポリアミド系樹脂を用いた延伸積層フィルムの製造方法、その製法から得られた延伸積層フィルム、当該延伸積層フィルムを用いたピローシュリンク包装体及びケーシング包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食料品、医薬品、化粧品等を包装するために、様々な形態のプラスチック製包装容器が開発され提案されている。さらに近年では、環境への配慮から、スーパーやコンビニ等で売れ残った食品等の廃棄を削減する意識が高まり、長期保存性又は常温保存性に優れたハム・ソーセージ等のケーシング商品或いはガスパック包装商品が注目されている。
【0003】
使用する包装フィルムには、従来、酸素バリア性の樹脂であるポリアミド系樹脂からなるフィルム、或いは前記ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを共押出又はラミネート積層した多層フィルムが知られている。必要とされる酸素バリア性能は、包装する商品によって異なるが、酸素バリア性樹脂の厚みを増減することによって調節されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂を含有する両表面層と、芳香族ポリアミド樹脂を含有する中間層とを積層してなる延伸フィルムが開示されている。
特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂からなる少なくとも一つの外層と、芳香族系ジアミン共重合体と芳香族系ジアミン重合体とを含むポリアミド系樹脂組成物からなる中間層とを積層してなる二軸延伸フィルムが開示されている。
特許文献3には、芳香族ポリアミド樹脂層を少なくとも一層有する多層構造体を縦・横方向共に4倍を超える倍率で延伸して得られる、多層の芳香族ポリアミド延伸フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−29908号公報
【特許文献2】特開2000−79669号公報
【特許文献3】特開2006−152288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、環境への配慮という観点から包装フィルムの容積削減が望ましく、高い酸素バリア性が要求される場合においてもフィルムを薄膜化することが望ましい。さらに、酸素バリア性樹脂は高価であるため、フィルムの薄膜化によるコストメリットは大きい。しかしながら、フィルムを薄膜化すると酸素バリア性が低下する傾向があり、上記特許文献1〜3では、これらを満足するフィルムは得られていない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、酸素バリア性を確保しつつ酸素バリア性樹脂を含む層を薄膜化することが可能な延伸積層フィルムの製造方法、その製法から得られた延伸積層フィルム、当該延伸積層フィルムを用いたピローシュリンク包装体及びケーシング包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決する為鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.メタキシリレンジアミンと炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを含む組成物を重合して得られる芳香族ポリアミド樹脂を含む層を有する積層体を、下記式(1)で表される条件を満たす延伸温度Tで延伸する、延伸積層フィルムの製造方法。
Tg+5℃≦T≦Tg+25℃ (1)
[式中、Tgは、前記芳香族ポリアミド樹脂を含む層のガラス転移温度(℃)を示す。]
2.前記積層体が、ポリオレフィン系樹脂を含む外表面層と、ポリオレフィン系樹脂を含む内表面層と、を更に有し、
前記芳香族ポリアミド樹脂を含む層が前記外表面層及び前記内表面層の間に配置されている、1.に記載の延伸積層フィルムの製造方法。
3.1.又は2.に記載の製造方法で得られた延伸積層フィルムであって、
140℃におけるMD方向及びTD方向それぞれの熱収縮率が30%以上である、延伸積層フィルム。
4.3.に記載の延伸積層フィルムを備える、ピローシュリンク包装体。
5.3.に記載の延伸積層フィルムを備える、ケーシング包装体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の芳香族ポリアミド樹脂を含む層を有する積層体を特定の温度で延伸することによって、延伸積層フィルムの酸素バリア性(ガスバリア性)を従来よりも高くすることができるため、必要とされる酸素バリア性を確保しつつ酸素バリア性樹脂を含む層を薄膜化することができる。このような本発明によれば、高価な酸素バリア性樹脂の量を減らすことができるため、製造コストダウン及び変形回復性に優れる延伸積層フィルムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
本実施形態の延伸積層フィルムは、所定の芳香族ポリアミド樹脂(以下、場合により「MXD6Ny樹脂」と言う)を含む芳香族ポリアミド樹脂層(A)(以下、場合により「MXD6Ny樹脂層(A)」と言う)を少なくとも1層有している。本実施形態の延伸積層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を含む外表面層(B)と、ポリオレフィン系樹脂を含む内表面層(C)とを更に有する多層フィルムであってもよい。この場合、延伸積層フィルムは、MXD6Ny樹脂層(A)、外表面層(B)及び内表面層(C)の3層を少なくとも有しており、上記MXD6Ny樹脂層(A)が中間層として外表面層(B)及び内表面層(C)の間に配置されている。
【0012】
本実施形態の延伸積層フィルムは、メタキシリレンジアミンと炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを含む単量体組成物を共重合して得られるMXD6Ny樹脂を含むMXD6Ny樹脂層(A)を少なくとも1層有する延伸前積層体を、下記式(1)で表される条件を満たす延伸温度Tで延伸することにより得ることができる。
Tg+5℃≦T≦Tg+25℃ (1)
[式中、Tgは、MXD6Ny樹脂層(A)のガラス転移温度(℃)を示す。]
【0013】
本発明者らは、上記のとおりMXD6Ny樹脂層(A)を含んだ延伸前積層体を(Tg+5℃)〜(Tg+25℃)の範囲の延伸温度で延伸することにより、酸素バリア性に優れた延伸積層フィルムを得ることが可能であることを見出した。これにより、本発明者らは、酸素バリア性を必要とするガスパック包装において、酸素バリア性を悪化させずにフィルムを薄膜化する製法技術を確立して、包装材の廃棄量削減及びコストダウンを達成し得ることを見出した。なお、上記のTgとは、MXD6Ny樹脂層(A)のガラス転移温度である。MXD6Ny樹脂層(A)のガラス転移温度は、50〜120℃であることが好ましい。ガラス転移温度はDSC法により測定することができる。
【0014】
MXD6Ny樹脂層(A)は、例えばMXD6Ny樹脂からなる層である。MXD6Ny樹脂層(A)におけるMXD6Ny樹脂は、酸素バリア性樹脂であり、ジアミン成分としてのメタキシリレンジアミンと、ジカルボン酸成分としての炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを含む単量体組成物を共重合して得られる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられ、アジピン酸が好ましい。
【0015】
上記単量体組成物は、メタキシリレンジアミン以外のジアミンをジアミン成分として含んでいてもよい。メタキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、1,3ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン等の脂環族ジアミン類等が挙げられる。ジアミン成分は、メタキシリレンジアミンを主体とすることが好ましく、ジアミン成分におけるメタキシリレンジアミンの含有量は、50〜100重量%であることが好ましい。
【0016】
上記単量体組成物は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸をジカルボン酸成分として含んでいてもよい。このようなジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。ジカルボン酸成分は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を主体とすることが好ましく、ジカルボン酸成分における炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の含有量は、80〜100モル%であることが好ましい。
【0017】
MXD6Ny樹脂の具体例としては、例えば、メタキシリレンアジパミド(メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合物)や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸との重縮合物などが挙げられる。MXD6Ny樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。MXD6Ny樹脂は、ナイロン6やナイロン6/66等の脂肪族ナイロン樹脂に比べて、酸素バリア性や臭いバリア性に優れ、耐ピンホール性等の強度や延伸性、成型加工性等が良好であり、更に、被包装物が光照射によって色調変化や劣化がしにくい、などの特徴を有する。MXD6Ny樹脂に脂肪族ナイロン樹脂を混ぜて使用してもよいが、酸素バリア性の観点からMXD6Ny樹脂の含有量が、MXD6Ny樹脂層(A)全体を基準として80〜100重量%であることが好ましい。
【0018】
MXD6Ny樹脂層(A)の厚みの全層に対する比率は、酸素バリア性及び延伸製膜性の観点から、5体積%以上が好ましい。また、ケーシング包装用途としてフィルムを使う場合のMXD6Ny樹脂層(A)の厚みの全層に対する比率は、製造コスト及びフィルムの柔軟性の観点から、30体積%以下が好ましく、20体積%以下がより好ましい。ピローシュリンク包装用途としてフィルムを使う場合のMXD6Ny樹脂層(A)の厚みの全層に対する比率は、製造コスト、製膜後のフィルムの柔軟性及び変形回復性の観点から20体積%以下が好ましく、15体積%以下が更に好ましい。
【0019】
外表面層(B)は、MXD6Ny樹脂層(A)の一方の外側に配置される。自動包装機にて熱シールする時に外表面層(B)をシールバーに接触させる場合、外表面層(B)の耐熱性が乏しいと、ピンホールが発生したり、表面が荒れたりするなどして外観の美麗性が損なわれる場合がある。外観の美麗性の低下を抑制する観点から、外表面層(B)の主成分を構成する樹脂の融点は、内表面層(C)の主成分を構成する樹脂の融点以上であることが好ましい。なお、外表面層(B)を構成する樹脂としては、内表面層(C)を構成する樹脂と同一のものを用いてもよい。
【0020】
外表面層(B)は、ポリオレフィン系樹脂を含んでおり、例えばポリオレフィン系樹脂からなる層である。ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン単量体(エチレン、プロピレン、ブテン等)の単独重合体、オレフィン単量体2種以上の共重合体、又はオレフィン単量体と非オレフィン系単量体の共重合体を意味する。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体などが挙げられるが、この限りではない。ポリオレフィン系樹脂としては、一般に高融点であり且つ包装後の変形回復性に優れる観点で、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン共重合体が好ましい。
【0021】
外表面層(B)のポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、外表面層(B)に公知の防曇剤、酸化防止剤、帯電防止剤、石油樹脂、ミネラルオイルなどの添加剤を添加してもよい。上記添加剤の添加量は、外表面層(B)全体を基準として通常0.1〜5重量%である。外表面層(B)の厚みは、例えば1〜20μmである。
【0022】
内表面層(C)は、MXD6Ny樹脂層(A)の他方の外側に配置される。内表面層(C)は、ポリオレフィン系樹脂を含んでおり、例えばポリオレフィン系樹脂からなる層である。ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン単量体(エチレン、プロピレン、ブテン等)の単独重合体、オレフィン単量体2種以上の共重合体、又はオレフィン単量体と非オレフィン系単量体の共重合体を意味する。内表面層(C)は、熱シール可能であることが好ましい。熱シール可能なポリオレフィン系樹脂を積層することにより、ピローシュリンク包装機などの自動包装機で包装できるようになる。熱シール性を有するポリオレフィン系樹脂としては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体などが挙げられるが、この限りではない。ポリオレフィン系樹脂としては、熱シール性に優れる点で、エチレン−α−オレフィン共重合体又はエチレン−ブテン−プロピレン共重合体が好ましい。
【0023】
内表面層(C)のポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、外表面層(C)に公知の防曇剤、酸化防止剤、帯電防止剤、石油樹脂、ミネラルオイルなどの添加剤を添加することにより、フィルムに実用的な性能を付与することができるので好ましい。上記添加剤の添加量は、外表面層(C)全体を基準として通常0.1〜5重量%である。内表面層(C)の厚みは、安定した熱シールを実現するために5μm以上であることが好ましい。
【0024】
各層間の接着力が十分でない場合、MXD6Ny樹脂層(A)及び外表面層(B)の間や、MXD6Ny樹脂層(A)及び内表面層(C)の間に接着性樹脂層を設けることができる。接着性樹脂としては公知のものを用いればよいが、例えば、ポリオレフィン樹脂とα,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種のモノマーをグラフトした変性ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
【0025】
本実施形態の延伸積層フィルムでピローシュリンク包装する場合の厚みは、自動包装機による包装適性の観点から、10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、また環境への配慮、原料コスト及びフィルムの柔軟性の観点から、25μm以下が好ましく、22μm以下がより好ましい。
本実施形態の延伸積層フィルムでケーシング包装する場合の厚みは、自動充填機による充填適性、内容物の常温保存性及び剛性の観点から、30μm以上が好ましく、35μm以上がより好ましく、また環境への配慮、原料コスト及びフィルムの柔軟性の観点から、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。
【0026】
本実施形態の延伸積層フィルムの140℃におけるMD方向及びTD方向それぞれの熱収縮率は、30%以上であることが好ましい。熱収縮率は、ASTM−D2732に準拠して測定した値である。熱収縮率のMD方向及びTD方向それぞれの平均値が30%以上であれば、ケーシング包装或いはシュリンク包装として使用するときに熱収縮後にタイトな仕上がりとなる包装物を得ることができる。
【0027】
本実施形態の延伸積層フィルムは、ピローシュリンク包装やケーシング包装に好適に使用できる。本実施形態のピローシュリンク包装体及びケーシング包装体は、本実施形態の延伸積層フィルムを備えている。ピローシュリンク包装体は、例えば、本実施形態の延伸積層フィルムにより包装されてなる包装体である。ケーシング包装体は、例えば、本実施形態の延伸積層フィルムをバックシームしてなる包装体である。
【0028】
本実施形態の延伸積層フィルムの製造方法において、MXD6Ny樹脂層(A)を含んだ延伸前積層体は、例えば、MXD6Ny樹脂層(A)を含んだ積層体を押出機及びダイで溶融共押出してから一旦冷却固化することにより得ることができる。例えば、Tダイ式(共)押出法、サーキュラーダイ式(共)押出法等の公知の押出法により、ダイスからMXD6Ny樹脂層(A)を含んだ未延伸積層体を(共)押出した後、当該積層体を冷水などで急冷する。延伸前積層体は、MXD6Ny樹脂層(A)が中間層として外表面層(B)及び内表面層(C)の間に配置されている構成であってもよい。
【0029】
このようにして得られた未延伸積層体を(Tg+5℃)〜(Tg+25℃)の温度(Tgは、MXD6Ny樹脂層(A)のガラス転移温度(℃))に加熱して延伸することにより本実施形態の延伸積層フィルムを製膜することができる。延伸倍率は、MD方向及びTD方向それぞれ4.0〜8.0倍に設定することが好ましく、二軸延伸が好ましい。
【0030】
延伸温度が低いほど酸素バリア性能は良好であり、(Tg+5℃)〜(Tg+20℃)の範囲の延伸温度が好ましい。なお、酸素バリア性は、ASTM D−3985に準じて、MOCON社製の酸素透過分析装置(OX−TRAN(登録商標2/21SH))を用いて、23℃、65%RHの条件にて測定することができる。
【0031】
上述した延伸の前あるいは後において、電子線照射等により架橋処理することができる。架橋処理により延伸性、耐熱性などの改善が期待される。
また、上述した延伸の後に、熱風吹きつけ式、熱ローラ式、又は赤外加熱ヒーター等の熱処理を、単独又は併用して行うと保管時、特に夏場などの高温保管時のフィルム収縮による原反の巾不足を防ぐことができるので好ましい。
さらに、印刷適正を向上させるために、延伸後のフィルム表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を行ってもよい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例の延伸積層フィルムの熱収縮率、酸素透過率、包装体の仕上がり性、変形回復時間を以下の方法により測定・評価した。
【0033】
[熱収縮率]
ASTM−D2732に準拠して、140℃の温度にて二軸延伸フィルムを10分間収縮させて、熱収縮率をMD方向及びTD方向についてそれぞれ測定した。
【0034】
[酸素透過率]
MOCON社製の酸素透過分析装置(OX−TRAN(登録商標2/21SH))を用いて、酸素の条件を65%RH、測定温度を23℃として酸素透過率を測定し、測定開始3時間経過後の酸素透過率の値を用いて評価した。
【0035】
[包装体の仕上がり性]
(ピローシュリンク包装)
得られた延伸積層フィルムを所定の幅にスリットし、茨木精機(株)製VSP−2000を用いて、内部に200gの粘土を入れたポリスチレン製トレー容器を用いて包装速度30パック/分で包装を行った。なお、積層フィルムのTD方向をトレー容器の短軸方向に合わせて包装を行った。熱風トンネルはK&Uシステム(株)製FB−800を用い、熱風温度は140℃に設定し、下記の評価基準により目視にて外観評価を行った。
<評価基準>
○:トレー容器に変形(歪みや反り)が認められず、かつ角残りが少ない。
×:トレー容器に変形(歪みや反り)が認められる、又は収縮不足により角残りが多い。
【0036】
(ケーシング包装)
得られた延伸積層フィルムを所定の幅にスリットし、自動充填包装機「ADP(旭化成ケミカルズ(株)製、登録商標)」にて、平坦状のフィルムを筒状に成形した後、フィルムが折り重なる部分を熱風によりヒートシールし、1〜2mm程度のシール線1本により封筒貼りシールしてフィルムケーシングとし、このフィルムケーシングに加圧熱水殺菌を要する製品を充填し、両端をアルミワイヤー等の金属クリップで結紮した後に120℃20分のレトルト殺菌処理を行ってケーシング包装体を得た。下記の評価基準により評価を行った。
<評価基準>
○:200本の包装体について、レトルト殺菌処理時にシール破袋せず、且つ包装体が適度な張りを有している。
×:200本の包装体について、レトルト殺菌処理時にシール破袋する、或いは包装体の熱収縮が不十分で内容物に張りが無い。
【0037】
[変形回復時間]
上記の茨木精機製自動包装機「VSP−2000」及び熱風トンネル(FB−800)でピローシュリンク包装した包装体の天面中央部(鉄棒で押した時に粘土が当らない部分)を、先端が球状(直径15mm)の鉄棒で、室温=23℃、荷重=10N、押し込み速度=300mm/分の条件で押し込んでから直ちに鉄棒を取り除き、その変形痕(シワ)が自然回復して消失するまでに要する時間を測定した。
【0038】
実施例及び比較例において使用した合成樹脂の略号を表1に記す。なお融点はPerkinElmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を用いて測定した。
【0039】
【表1】

【0040】
層構成、厚み、延伸条件、及び得られた二軸延伸フィルムの評価結果を表2及び表3に示す。なお、二軸延伸フィルムの各構成層は、表2及び表3中の「体積比率」の値と同様の比率の膜厚を有している。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
各実施例及び比較例についての詳細を以下に述べる。
【0044】
[実施例1]
まず環状5層ダイを用いて表2に示す樹脂を溶融共押出した後に約15℃の冷水で固化して、総厚みが1400μmのチューブ状の未延伸原反を作製した。ついで、この未延伸原反をインフレーション法により、延伸温度105℃(Tg1+20℃)で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み40μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた二軸延伸積層フィルムの酸素透過率は非常に低く、また高熱収縮率であった。
【0045】
[実施例2]
延伸温度を100℃(Tg1+15℃)とする以外は実施例1と同様に製膜を行って最終厚み40μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた二軸延伸積層フィルムの酸素透過率は実施例1よりも更に低く、また高熱収縮率であった。
【0046】
[比較例1]
延伸温度を120℃(Tg1+35℃)とする以外は実施例1と同様に製膜を行って最終厚み40μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた延伸積層フィルムの酸素透過率は実施例1〜2に比べて高い。
【0047】
[比較例2]
延伸温度を125℃(Tg1+40℃)とする以外は実施例1と同様に製膜を行って最終厚み40μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた延伸積層フィルムの酸素透過率は実施例1〜2に比べて高い。
【0048】
[比較例3]
まず環状5層ダイを用いて表3に示す樹脂を溶融共押出した後に約15℃の冷水で固化して、総厚みが600μmのチューブ状の未延伸原反を作製した。ついで、この未延伸原反をインフレーション法により、延伸温度118℃(Tg2+26℃)で二軸延伸した後、70℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み20μmの延伸積層フィルムを得た。
【0049】
[実施例3]
内表面層のLL樹脂を表3に示す樹脂とし、延伸温度を107℃(Tg2+15℃)とする以外は比較例3と同様に製膜を行って最終厚み20μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた延伸積層フィルムの酸素透過率は、同等の膜厚を有する比較例3のフィルムに比べて低く、また高熱収縮率であった。
【0050】
[実施例4]
延伸温度を100℃(Tg2+8℃)とする以外は実施例3と同様に製膜を行って最終厚み20μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた延伸積層フィルムの酸素透過率は、同等の膜厚を有する比較例3のフィルムに比べて非常に低く、また高熱収縮率であった。
【0051】
[実施例5]
MXD6Ny層厚みを薄く(2.7μm)し、且つ延伸温度を100℃(Tg2+8℃)とする以外は実施例3と同様に製膜を行って最終厚み20μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた延伸積層フィルムの酸素透過率は、MXD6Ny層の厚い比較例3よりも低かった。また変形回復時間は実施例3、4及び比較例3に比べて短縮しており、変形回復性に優れた延伸積層フィルムであった。
【0052】
[実施例6]
MXD6Ny層厚みを更に薄く(2.4μm)し、延伸温度を100℃(Tg2+8℃)とする以外は実施例3と同様に製膜を行って最終厚み20μmの延伸積層フィルムを得た。
得られた延伸積層フィルムの酸素透過率は、比較例3に比してNy層が薄いにも関わらず比較例3と同等であった。また変形回復時間は実施例5よりも更に短縮しており、変形回復性がより優れた延伸積層フィルムであった。
【0053】
[比較例4]
延伸温度を95℃(Tg2+3℃)とする以外は実施例3と同様に製膜を試みたが、延伸性が不良ですぐにバブルがパンクしてしまうためサンプル採取できなかった。
【0054】
表2において、実施例と比較例の延伸積層フィルムの酸素透過率を比べると、実施例1、2の方が比較例1、2よりも酸素透過率が低く、酸素バリア性が良好なフィルムであることが分かる。
【0055】
MXD6Ny樹脂を変えて製膜した表3の延伸積層フィルムの酸素透過率を比べると、実施例3及び4の方が比較例3よりも酸素透過率が低く、酸素バリア性が良好なフィルムであることが分かる。MXD6Ny層厚みを実施例3及び比較例3に対して10%薄くして、且つ延伸温度を低くして二軸延伸した実施例5の延伸積層フィルムは、比較例3の延伸積層フィルムよりも酸素バリア性が優れており、更に、MXD6Ny層厚みを実施例3及び比較例3に対して20%薄くして、且つ延伸温度を低くして二軸延伸した実施例6の延伸積層フィルムは、比較例3の延伸積層フィルムと酸素バリア性が同等であった。
延伸温度を更に低くして製膜した比較例4は延伸性が悪化したため延伸成型が困難であった。
【0056】
以上より、延伸温度を本発明で規定した温度範囲(Tg+5℃〜Tg+25℃)とすることによって、酸素バリア性を10〜20%程度向上させることができるため、MXD6Nyの使用樹脂量を10〜20重量%減量しても従来と同レベルの酸素バリア性を有するフィルムを得ることが可能である。さらに、MXD6Ny樹脂層を減らすことにより、従来のウィークポイントであった変形回復性を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、酸素バリア性能を低下させることなく薄膜化が可能なMXD6Ny樹脂層を有する多層延伸フィルムの製造方法であり、この製造方法から得られたフィルムは、熱シュリンク性、熱シール性、変形回復性に優れるため、飲食料品、医薬品、ハム・ソーセージ等をガスパック又は真空パック等してシュリンク包装する用途として適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタキシリレンジアミンと炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とを含む組成物を重合して得られる芳香族ポリアミド樹脂を含む層を有する積層体を、下記式(1)で表される条件を満たす延伸温度Tで延伸する、延伸積層フィルムの製造方法。
Tg+5℃≦T≦Tg+25℃ (1)
[式中、Tgは、前記芳香族ポリアミド樹脂を含む層のガラス転移温度(℃)を示す。]
【請求項2】
前記積層体が、ポリオレフィン系樹脂を含む外表面層と、ポリオレフィン系樹脂を含む内表面層と、を更に有し、
前記芳香族ポリアミド樹脂を含む層が前記外表面層及び前記内表面層の間に配置されている、請求項1に記載の延伸積層フィルムの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法で得られた延伸積層フィルムであって、
140℃におけるMD方向及びTD方向それぞれの熱収縮率が30%以上である、延伸積層フィルム。
【請求項4】
請求項3に記載の延伸積層フィルムを備える、ピローシュリンク包装体。
【請求項5】
請求項3に記載の延伸積層フィルムを備える、ケーシング包装体。

【公開番号】特開2012−250389(P2012−250389A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123399(P2011−123399)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】