説明

建材の製造方法

【課題】表面に塗装が施され、かつ、端部側面がシーリングと十分に密着する建材の製造方法を提供する。
【解決手段】建材の表面に塗装を施す工程と、塗装された建材の端部側面にレーザーを照射して、該端部側面に形成された塗膜を除去、又は減らす工程とを備えることを特徴とする建材の製造方法。また、端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって5mm以上の幅で行う、又は該建材の表面側から裏面側に向かって全面に行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材の製造方法に関するものである。より詳しくは、表面に塗装が施され、かつ、端部側面がシーリングと密着性が良い建材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に建材には、水の吸収による物性の変化を抑える、耐候性を向上させる、外観を向上させるために、基材の表面や裏面に塗料を施すことが多い。
そして、塗装が施された建材は、住宅の外壁や内壁などに複数枚施工し、住宅の壁面を形成する。その際に、上下に隣り合った建材、及び/又は左右に隣り合った建材同士を接合するために、隣り合った建材の間にジョイナー又はバックアップ材等により一定間隔の隙間を設け、該隙間にシリコーン、変成シリコーン、ポリウレタン、ポリサルファイドなどのポリマーから成る、防水性で、伸縮性の大きいゴム状弾性体のシーリングを充填することが多い。これは、建築板の寸法が経時で変動するため、シーリングを充填することで、建築板の経時変動に対応しているのである(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−343024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、建材の端部側面に塗膜が形成されている場合、該塗膜に接着したシーリングは、該塗膜が該端部側面から剥がれることにより、シーリングも剥がれてしまう恐れがある。
シーリングが建材から剥がれると、該建材と該シーリングの間に隙間が生じ、該隙間から雨水が浸入する。侵入した雨水は該建材の端部側面から吸収されて該建材の物性を劣化させるとともに、該建材の裏面側で拡がり、該建材以外の部材にも悪影響を及ぼす。
【0004】
シーリングを建材から剥がれにくくするために、該建材の端部側面に塗膜を形成させなければ良いが、該建材の表面を塗装する際に、表面に塗布された塗料が端部側面にまで拡がり、該端部側面に望まない塗膜を形成することが多い。
特に、スプレーやフローコーターなどの塗装方法を用いて建材の表面を塗装した際には端部側面に塗料が塗布されやすく、望まない塗膜を形成することが多い。
【0005】
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであり、表面に塗装が施され、かつ、端部側面がシーリングと十分に密着する建材の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本請求項1に記載の発明は、建材の製造方法であって、建材の表面に塗装を施す工程と、塗装された建材の端部側面にレーザーを照射して、該端部側面に形成された塗膜を除去、又は減らす工程とを備えることを特徴とする建材の製造方法である。なお、本発明における端部側面とは、建材の実部を有さず、かつ、施工した際に隣り合った建材に対向し、シーリングを接着する部分である。
本発明は、建材が搬送されるラインに、レーザーを搬送される建材の端部側面のみに照射可能となるよう設置し、搬送中の建材の端部側面にレーザーを照射することにより、建材を搬送させながら端部側面に形成された塗膜を除去する、又は減らすので、生産性が良い。
レーザーの出力値は、塗膜の状態、及び建材の材質により異なるが、通常1.8〜30ワットである。1.8ワットより小さいと、建材の端部側面に形成された塗膜を十分に除去、又は減らすことができない。一方、30ワットより大きくしても、それ以上顕著な効果は得られない。
本発明によれば、建材の端部側面に形成された塗膜のみを除去する、又は減らすことができるので、表面の塗装に影響を与えることがない。レーザー照射部分は塗膜が除去されている、又は減らされているので、表面の意匠性を損なわずに、施工した際にシーリングが剥がれにくい建材を提供することができる。
【0007】
本請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建材の製造方法であって、前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって5mm以上の幅で行うことを特徴とする建材の製造方法である。
通常、建材の厚みは10mm以上であり、隣り合った建材の間に一定間隔を設けるために施工されるジョイナー又はバックアップ材等の高さは3mm以上である。そのため、端部側面へのレーザーの照射範囲によっては、該端部側面に、レーザー非照射でシーリング剤に接触する塗膜部分が残ることとなる。しかし、レーザー照射部分は塗膜が除去されている、又は減らされているので、該端部側面へのレーザーの照射を、建材の表面側から裏面側に向かって5mm以上の幅で行うと、該レーザー照射部分に密着したシーリングは剥がれにくく、全体として十分な密着性が得られ、施工後も建材からシーリングが剥がれにくくなる。レーザー照射部分が該建材の表面側から裏面側に向かって5mmより小さい幅で行うと、施工現場におけるシーリングの充填精度のバラツキもあり、全体としてのシーリングへの密着は十分とはいえず、建材からシーリングが剥がれる恐れがある。
本発明では、建材の端部側面のレーザー照射部分を、建材の表面側から裏面側に向かって5mm以上の幅と必要最小限とするので、施工した際にシーリングが剥がれにくい建材を提供することができると共に、変動費を抑えることができ、かつ、生産性が良い。
【0008】
本請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の建材の製造方法であって、前記建材は表面に凹凸の意匠を有し、前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mm以上の幅で行うことを特徴とする建材の製造方法である。
また、本発明によれば、表面に凹凸の意匠を有する建材においても施工した際にシーリングが剥がれにくくすることができると共に、建材の端部側面のレーザー照射の部分を、該建材の凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mm以上の幅と必要最小限とするので、変動費を抑えることができ、かつ、生産性が良い。
【0009】
本請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の建材の製造方法であって、前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって全面に行うことを特徴とする建材の製造方法である。
本発明では、建材の端部側面の表面側から裏面側に向かって全面にレーザー照射を行うので、非常にシーリングが剥がれにくい建材を提供することができる。
【0010】
本請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の建材の製造方法であって、前記建材は表面に凹凸の意匠を有し、前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって全面に行うことを特徴とする建材の製造方法である。
本発明では、表面に凹凸の意匠を有する建材において、建材の端部側面の表面側から裏面側に向かって全面にレーザー照射を行うので、非常にシーリングが剥がれにくい、表面に凹凸の意匠を有する建材を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の建材の製造方法によれば、建材の端部側面に形成された塗膜のみを除去、又は減らすことができるので、表面の意匠性を損なわずに、施工した際にシーリングが剥がれにくい建材を提供することができる。また、施工した際にシーリングが剥がれにくい、表面に凹凸の意匠を有する建材も提供することができる。
また、本発明の建材の製造方法は、手作業等による除去に比べて生産性が良く、変動費も安く抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、端部側面に塗膜が形成された試験片を用い、レーザー照射による影響を評価した。
端部側面にまでシリコンアクリルエマルジョン塗料がかかっている窯業系サイディング板の試験片を4つ用意し、1つはブランクとして端部側面にレーザー照射を行わず、そのまま密着性を評価した。残りはキーエンス製炭酸ガスレーザーを使用して、それぞれ18ワット、24ワット、30ワットの出力で端部側面の表面側から裏面側に向かって全体にレーザーを照射し、塗膜を除去した。そして、得られた各サンプルについて、それぞれ密着性を評価した。なお、18ワットのレーザー出力でもほとんどの塗膜を除去することができたが、24ワット、30ワットと出力をあげるほど、より塗膜を除去することができた。密着性の評価としては、粘着テープを得られたサンプルの端部側面全体に貼り、該粘着テープを剥がした際に剥離した(粘着テープ側に付着した)塗膜などの付着物の量で評価した。すなわち、剥離した(粘着テープ側に付着した)付着物が多いほど密着力は弱く、シーリングを接着させても剥がれる恐れがある。
【0013】
ブランク(レーザー非照射のサンプル)では、粘着テープ側への塗膜の剥離が多く見られた。すなわち、ブランクでは端部側面に塗膜が形成されていたが、該塗膜の密着性は弱く、施工した際にシーリングを接着させても、該シーリングが塗膜と共に剥がれやすいことを示している。
一方、レーザーを照射したサンプルでは、いずれのサンプルもほとんどの塗膜が除去されているため、粘着テープ側への付着物はほとんど見られなかった。
この結果は、レーザーを照射した端部側面を有する建材は、塗膜がほとんど除去されているので、シーリングを接着させても該シーリングが剥がれにくいことを示唆している。
【0014】
更に、端部側面の塗膜へのレーザー照射によるシーリングの密着性の評価として、別の試験を行った。
まず、端部側面にまでシリコンアクリルエマルジョン塗料がかかっている窯業系サイディング板の試験片(幅50mm×厚さ16mm×長さ50mm)を4つ用意し、2つはブランクとして端部側面がレーザー非照射の試験片とし、残り2つは端部側面にキーエンス製炭酸ガスレーザーにより24ワットの出力で端部側面の表面側から裏面側に向かって全体にレーザーを照射して塗膜を除去し、端部側面にレーザーを照射した試験片とした。そして、各試験片の端部側面にウレタン系樹脂を主成分とするプライマーを塗布した後に、レーザーを照射した2つの試験片の端部側面を10mmの間隔をあけて対面させた状態で、該試験片の間に1液成分形変成シリコーンからなるシーリングを幅10mm×深さ7mm×長さ50mmとなるよう充填し、28℃で2日養生した後、50℃95%RHで1日養生し、更に80℃で10時間養生、14日間水浸漬して、端部側面がレーザーで照射された2つの試験片の間にシーリングが充填されたサンプルを用意した。同様の処理をブランクの試験片に対しても行い、端部側面がレーザー非照射の2つの試験片の間にシーリングが充填されたサンプルを用意した。そのようにして得られた各サンプルに対し、室温下、速度50mm/minにて、シーリングを介して接着した試験片をそれぞれ外側に引っ張ることにより、シーリングが該試験片から剥がれる強度を測定し、該強度を引張強度として、シーリングの密着性の指標とした。すなわち、引張強度の値が高いほど、シーリングが試験片から剥がれるのに高い強度が必要ということであり、シーリングが該試験片から剥がれにくいことを示す。
【0015】
ブランクの試験片を用いたサンプル(端部側面がレーザー非照射の2つの試験片の間にシーリングが充填されたサンプル)の引張強度は15N/cmであった。剥がれたシーリングを観察したところ、シーリングの剥離面には端部側面の塗膜が付着しており、シーリングの剥離は端部側面の塗膜の剥離を伴うものであった。
一方、端部側面がレーザーで照射された2つの試験片の間にシーリングが充填されたサンプルの引張強度は48N/cmであり、ブランクの試験片を用いたサンプルと比較して非常に高い値であった。また、剥がれたシーリングを観察したところ、シーリングの剥離面への塗膜の付着はほとんど見られなかった。これは、レーザー照射により端部側面のほとんどの塗膜が除去されているためである。
この結果は、レーザーを照射した端部側面を有する建材は、塗膜がほとんど除去されているので、シーリングを接着させても該シーリングが剥がれにくいことを示している。
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図9に従って具体的に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、表面が平滑な建築板の一例を示した図である。建築板A1は、スプレー、フローコーター、ロールコーターなどの表面に塗料を塗装する工程により表面が塗装されて、塗装された表面と、実部を有さない端部側面とを有する。端部側面には塗料が拡がっており、塗料がかかっている部分a1からなる。なお、図示されていないが、奥側の端部側面も実部を有さず、かつ、塗料が拡がっており、塗料がかかっている部分a1からなる。
【0018】
図2は、建築板の両側の端部側面にレーザー照射を行う設備の概図である。該設備は建築板の表面に塗装を施す工程の後工程に設置される。
ベルトコンベアCが回転することより、ベルトコンベアC上に置かれた建築板A1が矢印方向に搬送される。ベルトコンベアCの上には、搬送される建築板A1の両側の端部側面にレーザーを照射するよう、レーザー光源Bが設けてある。レーザー光源Bは上下及び前後に可動なのでレーザー照射範囲を自由に設定することができ、レーザーを建築板A1の端部側面にのみ照射されるよう設定することができる。なお、レーザー光源Bの手前にリミットスイッチを設けておき、リミットスイッチに建築板A1が接触したときにスイッチが入るようにしてもよい。
本設備によれば、建築板の表面を塗装して建築板A1を得た後に、建築板A1を搬送しながら両側の端部側面のみにレーザーを照射することができるので、生産性が良い。
【0019】
図3は、端部側面にレーザーが照射された建築板の一例を示した図である。
建築板A2は、建築板の表面を塗装して得た建築板A1を、図2に示した設備において、両側の端部側面にのみにレーザーを照射することにより製造した建築板であり、該端部側面におけるレーザーの照射範囲を、該端部側面の表面側から裏面側に向かって全体とした建築板である。
建築板A2の両側の端部側面には、表面側から裏面側に向かって全体にレーザーが照射されているので、建築板A2の端部側面は、レーザー照射部分a2のみである。レーザー照射部分a2はレーザーにより塗膜が除去されており、基材が現れた状態なので、建築板A2の端部側面は、全面にわたり塗膜が除去された状態である。すなわち、建築板A2は、端部側面のみ塗膜が除去された状態である。よって、建築板A2を施工した場合、表面の外観を損なわず、かつ、シーリングが剥がれにくい。
【0020】
図4は、端部側面にレーザーが照射された建築板の別の一例を示した図である。
建築板A3は、建築板の表面を塗装して得た建築板A1を、図2に示した設備において、両側の端部側面にのみにレーザーを照射することにより製造した建築板であり、該端部側面におけるレーザーの照射範囲を、該端部側面の表面側から裏面側に向かって一定の幅とした建築板である。
建築板A3の両側の端部側面には、表面側から裏面側に向かって5mmの幅でレーザーが照射されており、建築板A3の端部側面は、レーザー照射部分a2と塗料がかかっている部分a1とを有する。すなわち、建築板A3の両側の端部側面は、表面側から裏面側に向かって5mmの幅でレーザー照射部分a2が形成されており、それ以外の部分はレーザー非照射である塗料がかかっている部分a1である。レーザー照射部分a2はレーザーにより塗膜が除去されており、基材が現れた状態なので、建築板A3の端部側面は、表面側から裏面側に向かって5mmの幅で塗膜が除去されて基材が現れており、それ以外の部分は塗膜が残った状態である。
建築板A3を施工した場合、両側の端部側面のレーザー照射部分a2に接着したシーリングは剥がれにくく、かつ、その範囲が表面側から裏面側に向かって5mmの幅で形成されているので、シーリング全体として十分な密着力が得られ、シーリングは剥がれにくい。また、表面にレーザーは照射されていないので、表面の外観を損なわない。
【0021】
図5は、端部側面にレーザーが照射された建築板の更に別の一例を示した図である。
建築板A4は、建築板の表面を塗装して得た建築板A1を、図2に示した設備において、両側の端部側面にのみにレーザーを照射することにより製造した建築板であるが、建築板A1が通過するよりも短い間隔でレーザー光源Bの可動、停止を繰り返して、端部側面にレーザー照射部分とレーザー非照射部分を設けるよう製造した建築板である。なお、レーザー光源の可動は、建築板A1の端部側面へのレーザー照射部分a2がレーザー非照射部分である塗料がかかっている部分a1よりも多くなるよう調整した。
建築板A4の両側の端部側面は、表面側から裏面側に向かってレーザーを照射したレーザー照射部分a2と、塗料がかかっている部分a1とを有し、レーザー照射部分a2は塗料がかかっている部分a1よりも多い。レーザー照射部分a2はレーザーにより塗膜が除去されており、基材が現れた状態なので、建築板A4の両側の端部側面は、表面側から裏面側に向かって塗膜が除去されて基材が現れたレーザー照射部分a2と、塗料がかかっている部分a1を有する。
建築板A4を施工した場合、両側の端部側面のレーザー照射部分a2に接着したシーリングは剥がれにくく、かつ、レーザー照射部分a2はレーザー非照射部分である塗料がかかっている部分a1よりも多く形成されているので、シーリング全体として十分な密着力が得られ、シーリングは剥がれにくい。また、表面にレーザーは照射されていないので、表面の外観を損なわない。
【0022】
図6は、表面に凹凸の意匠を有する建築板の一例を示した図である。建築板A’1は、スプレー、フローコーター、ロールコーターなどの表面に塗料を塗装する工程により表面が塗装されて、塗装された表面と、実部を有さない端部側面とを有する。端部側面には塗料が拡がっており、塗料がかかっている部分a’1からなる。なお、図示されていないが、奥側の端部側面も実部を有さず、かつ、塗料が拡がっており、塗料がかかっている部分a’1からなる。
【0023】
図7は、表面に凹凸の意匠を有する建築板の端部側面にレーザーが照射された一例を示した図である。
建築板A’2は、建築板の表面を塗装して得た建築板A’1を、図2に示した設備において、両側の端部側面にのみにレーザーを照射することにより製造した建築板であり、該端部側面におけるレーザーの照射範囲を、該端部側面の表面側から裏面側に向かって全体とした建築板である。
建築板A’2の両側の端部側面には、凸部の頂辺から裏面側に向かって全体にレーザーが照射されているので、建築板A’2の両側の端部側面はレーザー照射部分a’2のみである。レーザー照射部分a’2はレーザーにより塗膜が除去されており、基材が現れた状態なので、建築板A’2の両側の端部側面は、全面にわたり塗膜が除去された状態である。すなわち、建築板A’2は、端部側面のみ塗膜が除去された状態である。よって、建築板A’2を施工した場合、表面の外観を損なわず、かつ、シーリングが剥がれにくい。
【0024】
図8は、表面に凹凸の意匠を有する建築板の端部側面にレーザーが照射された別の一例を示した図である。
建築板A’3は、建築板の表面を塗装して得た建築板A’1を、図2に示した設備において、両側の端部側面にのみにレーザーを照射することにより製造した建築板であり、該端部側面におけるレーザーの照射範囲を、該端部側面の表面側から裏面側に向かって一定の幅とした建築板である。
建築板A’3の両側の端部側面には、凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mmの幅でレーザーが照射されており、建築板A’3の端部側面は、レーザー照射部分a’2と塗料がかかっている部分a’1とを有する。すなわち、建築板A’3の両側の端部側面の凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mmの幅でレーザー照射部分a’2が形成されており、それ以外の部分はレーザー非照射である塗料がかかっている部分a’1である。レーザー照射部分a’2はレーザーにより塗膜が除去されており、基材が現れた状態なので、建築板A’3の両側の端部側面は、凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mmの幅で塗膜が除去されて基材が現れており、それ以外の部分は塗膜が残った状態である。
建築板A’3を施工した場合、レーザー照射部分a’2に接着したシーリングは剥がれにくく、かつ、その範囲が凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mmの幅で形成されているので、シーリング全体として十分な密着力が得られ、シーリングは剥がれにくい。また、表面にレーザーは照射されていないので、表面の外観を損なわない。
【0025】
図9は、表面に凹凸の意匠を有する建築板の端部側面にレーザーが照射された更に別の一例を示した図である。
建築板A’4は、建築板の表面を塗装して得た建築板A’1を、図2に示した設備において、両側の端部側面にのみにレーザーを照射することにより製造した建築板であるが、建築板A’1が通過するよりも短い間隔でレーザー光源Bの可動、停止を繰り返して、端部側面にレーザー照射部分とレーザー非照射部分を設けるよう製造した建築板である。なお、レーザー光源の可動は、建築板A’1の端部側面へのレーザー照射部分a’2がレーザー非照射部分である塗料がかかっている部分a’1よりも多くなるよう調整した。
建築板A’4の両側の端部側面は、表面側から裏面側に向かってレーザー照射部分a’2と塗料がかかっている部分a’1とを有し、レーザー照射部分a’2は塗料がかかっている部分a’1よりも多い。レーザー照射部分a’2はレーザーにより塗膜が除去されており、基材が現れた状態なので、建築板A’4の両側の端部側面は、表面側から裏面側に向かって塗膜が除去されて基材が現れたレーザー照射部分a’2と、塗料がかかっている部分a’1とを有する。
建築板A’4を施工した場合、レーザー照射部分a’2に接着したシーリングは剥がれにくく、かつ、レーザー照射部分a’2は塗料がかかっている部分a’1よりも多く形成されているので、シーリング全体として十分な密着力が得られ、シーリングは剥がれにくい。また、表面にレーザーは照射されていないので、表面の外観を損なわない。
【0026】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲において種々の変形態を取り得る。また、建材の端部側面へのレーザーの照射は、端部側面の1面、すなわち片側だけに行っても良し、実部を有さない建材においては、3面、又は4面全ての端部側面にレーザー照射を行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上説明したように、本発明の建材の製造方法によれば、建材の端部側面に形成された塗膜のみを除去、又は減らすことができるので、表面の意匠性を損なわずに、施工した際にシーリングが剥がれにくい建材を提供することができる。また、施工した際にシーリングが剥がれにくい、表面に凹凸の意匠を有する建材も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】表面が平滑な建築板の一例を示した図である。
【図2】建築板の端部側面にレーザー照射を行う設備の概図である。
【図3】端部側面にレーザーが照射された建築板の一例を示した図である。
【図4】端部側面にレーザーが照射された建築板の別の一例を示した図である。
【図5】端部側面にレーザーが照射された建築板の更に別の一例を示した図である。
【図6】表面に凹凸の意匠を有する建築板の一例を示した図である。
【図7】表面に凹凸の意匠を有する建築板の端部側面にレーザーが照射された一例を示した図である。
【図8】表面に凹凸の意匠を有する建築板の端部側面にレーザーが照射された別の一例を示した図である。
【図9】表面に凹凸の意匠を有する建築板の端部側面にレーザーが照射された更に別の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
A1〜A4、A’1〜A’4 建築板
a1、a’1 塗料がかかっている部分
a2、a’2 レーザー照射部分
B レーザー光源
C ベルトコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材の製造方法であって、
建材の表面に塗装を施す工程と、
塗装された建材の端部側面にレーザーを照射して、該端部側面に形成された塗膜を除去、又は減らす工程と
を備えることを特徴とする建材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の建材の製造方法であって、
前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって5mm以上の幅で行うこと
を特徴とする建材の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の建材の製造方法であって、
前記建材は表面に凹凸の意匠を有し、
前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の凸部の頂辺から溝部の最下辺までと、該溝部の最下辺から裏面側に向かって5mm以上の幅で行うこと
を特徴とする建材の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の建材の製造方法であって、
前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって全面に行うこと
を特徴とする建材の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の建材の製造方法であって、
前記建材は表面に凹凸の意匠を有し、
前記建材の端部側面におけるレーザーの照射は、該建材の表面側から裏面側に向かって全面に行うこと
を特徴とする建材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−287300(P2009−287300A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141809(P2008−141809)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】