説明

建材用化粧シート

【課題】最表面に硬化型樹脂層を有する建材用化粧シートであって、耐衝撃性や耐傷性に優れるとともに、硬化型樹脂層の上からエンボス加工をした場合にクラックの発生が抑制されている建材用化粧シート。
【解決手段】熱可塑性樹脂基材シート2上に硬化型樹脂層3が形成されている建材用化粧シート1であって、前記硬化型樹脂層3は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する樹脂混合物の硬化物層である建材用化粧シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材用化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建具又は床材を装飾するための建材用化粧シートとしては、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂シートが一般に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系エラストマーからなる基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、ポリオレフィン系樹脂からなる透明性樹脂層、及び透明性表面保護層を順に積層してなる化粧シートが開示されている。なお、透明性表面保護層としては、硬化型樹脂層(樹脂を硬化させた層)が用いられる場合が多い。
【0004】
また、特許文献2には、主原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含む材料から構成される着色基材シート上に、直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂層が形成されている化粧シートが開示されている。
【0005】
最表面層の硬化型樹脂層は、建材用化粧シートの表面強度を高める観点から、概して高硬度である。そのため、衝撃が加わった場合に割れやすく、また硬化型樹脂層の上からエンボス加工を施す場合には、硬化型樹脂層にクラックが入りやすいという問題がある。硬化型樹脂層には、耐衝撃性、耐傷性(耐スクラッチ性)に優れると共に、容易にエンボス模様を賦型できる特性が望まれるため、更なる改善の余地がある。
【特許文献1】特開2003−103742号公報
【特許文献2】特開平10−45926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、最表面に硬化型樹脂層を有する建材用化粧シートであって、耐衝撃性や耐傷性に優れるとともに、硬化型樹脂層の上からエンボス加工をした場合にクラックの発生が抑制されている建材用化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、硬化型樹脂層として、2種のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを特定比率で含む樹脂混合物の硬化物層を用いる場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の建材用化粧シート及びその製造方法に関する。
1.熱可塑性樹脂基材シート上に硬化型樹脂層が形成されている建材用化粧シートであって、
前記硬化型樹脂層は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する樹脂混合物の硬化物層であることを特徴とする建材用化粧シート。
2.前記熱可塑性樹脂基材シートは、ポリオレフィン系樹脂シートである、上記項1に記載の建材用化粧シート。
3.前記硬化型樹脂層は、電離放射線硬化型樹脂層である、上記項1又は2に記載の建材用化粧シート。
4.前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、アルキレングリコールとアジピン酸とから形成される重量平均分子量500〜2000のポリエステルポリオールと、イソホロンジイソシアネートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの重付加反応生成物であり、重量平均分子量が1000〜3000である、上記項1〜3のいずれかに記載の建材用化粧シート。
5.前記熱可塑性樹脂基材シートと前記硬化型樹脂層との間に、更にプライマー層を有する、上記項1〜4のいずれかに記載の建材用化粧シート。
6.前記硬化型樹脂層の上からエンボス加工が施されている、上記項1〜5のいずれかに記載の建材用化粧シート。
7.下記工程を有することを特徴とする建材用化粧シートの製造方法:
(1)熱可塑性樹脂基材シートを用意する工程1、
(2)前記熱可塑性樹脂基材シート上に、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する樹脂混合物の硬化物層を形成する工程2、
(3)前記硬化物層の上から、エンボス加工を施す工程3。
8.前記工程2に先立ち、前記熱可塑性樹脂基材シート上に、プライマー層を形成する工程を更に有する、上記項7に記載の製造方法。

以下、本発明の建材用化粧シートについて詳細に説明する。
【0009】
本発明の建材用化粧シート1は、例えば、図1に示すように、ポリオレフィン樹脂などからなる熱可塑性樹脂基材シート2の表面に電離放射線硬化性樹脂などからなる硬化型樹脂層3が形成された化粧シートである。ここで、硬化型樹脂層3は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する樹脂混合物の硬化物層である。
【0010】
上記「ウレタン(メタ)アクリレート」は、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレートのことを言う。
【0011】
上記「重量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)等の公知の手法により測定可能である。
【0012】
図1に例示する建材用化粧シート1(以下、単に「化粧シート」とも言う)は、プライマー層4を基材シート2の表面に設ける前に、基材シート2の表面にエンボス加工を施して凹凸模様5を設けて、凹凸模様の凹部内にワイピングインキ6を充填した後に、表面にプライマー層4を設け硬化型樹脂層3を積層したものである。また、熱可塑性樹脂基材シート2の裏面側には、裏面側プライマー層7を介して絵柄層8、ベタ層9を印刷して形成したものである。この態様は、いわゆる「バックプリントシート」と称されるタイプの化粧シートである。なお、ベタ層とは装飾層の一種で、全面着色層のことを示す。
【0013】
図2は本発明化粧シートの他の例を示すものである。図2に示す化粧シートは、第2の熱可塑性樹脂シート22の表面にプライマー層10を設け、ベタ層9及び絵柄層8を印刷形成したシート11を、接着剤層12を介して、第1の熱可塑性樹脂シート21に積層し、第1の熱可塑性樹脂シート21の表面にエンボス加工を施して凹凸模様5を設け、その後、図1に示す化粧シートと同様に、凹凸模様の凹部内にワイピングインキ6を充填した後に、表面にプライマー層4を設け硬化型樹脂層3を形成したものである。この態様は、いわゆる「ダブリングシート」或いは「ダブリングエンボスシート」と称されるタイプの化粧シートである。第2の熱可塑性樹脂シート22は、一般に着色樹脂シートが用いられるが、無着色シートを用いてもよい。この化粧シートは、熱可塑性樹脂基材シートが、第1の熱可塑性樹脂シート21と第2の熱可塑性樹脂シート22との二つからなるものである。
【0014】
図3は本発明化粧シートの他の例を示すものであり、具体的には化粧シート1の硬化型樹脂層3にエンボス加工を施して凹凸模様5’を設けたものである。本発明化粧シートは硬化型樹脂層が特定の樹脂混合物の硬化層であるため、このように最表面に凹凸模様5’を設けた場合にも硬化型樹脂層にクラック等が入りにくい。
【0015】
その他の態様としては、熱可塑性樹脂基材シートの上に絵柄層を形成し、更にその上に透明性接着剤層、透明性樹脂層及び硬化型樹脂層を積層する態様も挙げられる。この態様では、必要により、熱可塑性樹脂シートの表裏にプライマー層を更に設けてもよく、また、透明性樹脂層と硬化型樹脂層との間にも更にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は隣接する層どうしの密着性を高めるための補助層である。
【0016】
本発明化粧シートは、表面の保護層として上記特定の樹脂混合物の硬化物からなる硬化型樹脂層3を設けたことにより、耐傷性や耐衝撃性に優れるとともに、硬化型樹脂層の上からエンボス加工を施した場合にも硬化型樹脂層にクラックが生じることが防止又は抑制されている。このような化粧シートは、建具や床材を装飾する用途に広く適用できる。
【0017】
硬化型樹脂層に用いられるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する、いわゆる2官能ウレタンアクリレートオリゴマーである。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ジイソシアネートと、1分子中に水酸基を2個以上有する重量平均分子量が500〜2000の多価アルコールと、末端に水酸基を有するとともにラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレート化合物とが結合してなる、重量平均分子量が1000〜4000のオリゴマーである。
【0018】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は分子量が1000未満では、硬化後の樹脂層においてウレタン(メタ)アクリレートの持つ柔軟性を充分発揮できず、Vカット加工やラッピング加工などの曲げ加工性及びエンボス加工性が低下する。また分子量が4000を超えると、耐汚染性等の特性が低下する。
【0019】
上記ジイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式または芳香族のイソシアネートであり、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】
重量平均分子量が500〜2000の多価アルコールとしては、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール等がある。上記ポリエステルポリオールとしては、(イ)芳香族またはスピロ環骨格を有するジオール化合物と、ラクトン化合物またはその誘導体またはエポキシ化合物との付加反応生成物、(ロ)多塩基酸とアルキレングリコールとの縮合生成物、及び(ハ)環状エステル化合物から誘導される開環ポリエステル化合物があり、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどがある。上記(ロ)の多塩基酸としてアジピン酸を用い、アルキレングリコールとの縮合生成物として得られる重量平均分子量500〜2000の、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが、各種物性が良好であるため好ましい。
【0021】
また、末端に水酸基を有するとともにラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートは、アクリル酸またはメタクリル酸もしくはこれらの誘導体のエステル化合物であって、末端に水酸基を有するものである。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルアクリレートなどの重合性不飽和基を1個有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、あるいはその他の1分子中に重合性不飽和基を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル化合物などが例示される。
【0022】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)としては、好ましくは、多価アルコール成分を、アルキレングリコールとアジピン酸から形成される重量平均分子量500〜2000のポリエステルポリオールとし、また、ジイソシアネート成分をイソホロンジイソシアネートとし、アクリレート成分をヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとし、これらを反応(重付加反応)させて得られる、重量平均分子量が1000〜3000のオリゴマーが望ましい。
【0023】
硬化型樹脂層に用いられる、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)は、1分子中に3個〜15個の、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性不飽和基を有するものである。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)は、脂肪族ジイソシアネートと、多官能ポリオールと、末端に水酸基を有するとともにラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られる、多官能(3〜15官能)ウレタンアクリレートである。
【0024】
上記脂肪族ジイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
また、末端に水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルアクリレートなどの、重合性不飽和基を1個有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
【0026】
脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)は、具体的には、市販品としてUA−306H(共栄社化学製の6官能脂肪族ウレタンアクリレート)、U−15HA(新中村化学工業製の15官能ウレタンアクリレートオリゴマー)、紫光UV7550(日本合成化学製の3官能脂肪族ウレタンアクリレート)などが入手可能である。
【0027】
硬化型樹脂層を形成するための樹脂混合物において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の配合量は、樹脂混合物のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の含有量が70重量%よりも多く95重量%以下であり、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の含有量が5重量%以上30重量%以下である。上記の中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の含有量は71重量%以上95重量%以下が好ましく、75重量%以上85重量%以下がより好ましい。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の含有量は15重量%以上25重量%以下が好ましい。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)が70重量%以下になると、硬化型樹脂層の硬度が過度に高くなり、硬化型樹脂層に衝撃が加わった場合に割れたり、エンボス加工をする際にクラックが生じたりする可能性がある。他方、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)が95重量%を超えると、耐傷性が悪くなるおそれがある。尚、上記のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)の配合量は、上記オリゴマー(A)とオリゴマー(B)の合計重量に対する、各成分の重量%を表すものである。
【0029】
硬化型樹脂層3には、艶消し(マット化)や、耐擦傷性を更に高めることを目的として、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド等の無機粒子、及び合成樹脂ビーズなどの平均粒径1μm〜30μm程度の粉末を添加してもよい。これらの粉末の粒子形状としては、各種形状のものが用いられるが、特に球形状ないしはこれに類似した球類似形状のものを用いる場合には、耐擦傷性が良好であり、塗工適性も良く、手触り感も粗くなく好ましい。上記粉末の添加量は、オリゴマー(A)とオリゴマー(B)の合計量100重量部に対して5〜30重量部が好ましい。
【0030】
硬化型樹脂層3には、表面の滑りを良くするために滑剤を添加することができる。滑剤としては、ポリエチレンワックス、4フッ化エチレン樹脂粉末、金属石鹸類、プラスチックビーズ、シリコーンオイルなどが挙げられる。滑剤の添加量は、オリゴマー(A)とオリゴマー(B)の合計量100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。
【0031】
また硬化型樹脂層3には、耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。紫外線吸収剤を添加する場合は電子線を照射して樹脂層を硬化させる。また、紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン、又、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を用いる。
【0032】
硬化型樹脂層3は、上記の各成分を含む塗工組成物を適宜手段で塗工し、電子線などの電離放射線を照射して硬化させる。この塗工組成物には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、艶調製剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。硬化型樹脂層3は、乾燥後膜厚10〜50μm程度に形成するのが好ましい。また、硬化型樹脂層は、加熱により硬化させることもできる。加熱による硬化は、硬化型樹脂層中にベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドなどの有機過酸化物を1重量%〜5重量%添加し、塗膜形成後、不活性雰囲気中で100℃〜150℃にして2分〜5分加熱する。
【0033】
電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射する。照射量が0.1Mrad未満の場合、硬化が不十分となるおそれがあり、又、照射量が30Mradを超えると、硬化した塗膜或いは基材が損傷を受けるおそれが出てくる。又、紫外線により硬化させる場合の照射量は、好ましくは50〜1000mJ/cmである。紫外線の照射量が50mJ/cm未満では硬化が不十分となるおそれがあり、又、照射量が1000mJ/cmを超えると、硬化した塗膜が黄変化するおそれがある。
【0034】
電離放射線硬化型樹脂の硬化に用いられる電離放射線照射装置は、紫外線を照射する場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が用いられ、又、電子線を照射する場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いる。
【0035】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
硬化型樹脂層3を形成する方法は、1)塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、2)剥離性の基材表面に樹脂層を予め形成した後、該層を転写する、転写コーティング法等が用いられる。
【0037】
上記1)の直接コーティング法は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができるが、好ましいのはグラビアコートである。
【0038】
上記2)の転写コーティング法は、一旦、薄いシート(フィルム)に塗膜を形成後、塗膜を架橋硬化させ、次いで硬化した塗膜を所望の部位に転写する方法である。なお、薄いシートに硬化型樹脂層を形成する手段は、上記の直接コーティング法と同じ各種のコーティング手段を用いることができる。転写コーティング法としては、下記(a)〜(d)が利用できる。
(a)特公平2−42080号公報、特公平4−19924号公報等に開示されるような射出成形同時転写法。或いは特公昭50−19132号公報に開示されるような射出成形同時ラミネート法。
(b)特開平4−288214号公報、特開平5−57786号公報に開示されるような真空成形同時転写法。或いは特公昭56−45768号公報に開示されるような真空成形同時ラミネート法。
(c)特公昭59−51900号公報、特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に開示されるように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時ラミネート法。
(d)実公大15−31122号公報等に開示されているVカット加工同時ラミネート法、或いは特公昭56−7866号公報等に開示されているVカット加工同時転写法。
【0039】
又、上記2)の転写コーティング法の一つとして下記(A)〜(D)の工程を順次行う方法を用いることもできる(特開平2−26673号公報等記載)。
(A)非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化液状の電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工する工程。
(B)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗布面が基材と接するようにラミネートする工程。
(C)前記電離放射線硬化性型樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射して架橋、硬化させる工程。
(D)合成樹脂シートを剥離除去する工程。
【0040】
上記の工程において、電離放射線硬化型性樹脂として溶剤で希釈されたものを使用する場合には、工程(A)と(B)との間に溶剤を乾燥する工程を行う。
【0041】
熱可塑性樹脂基材シート2、第1の熱可塑性樹脂シート、第2の熱可塑性樹脂シートなどは、ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。ポリオレフィン系樹脂シートに用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(低密度、又は高密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、シンジオタクチック型、又はこれらの混合型)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン樹脂、或いは下記に記載した各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーのシートが用いられる。ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれも使用可能であるが、このシートには、必要に応じ、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加する。また、ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは、限定的ではないが、20〜300μm程度が好ましい。
【0042】
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、I)主原料がハードセグメントである高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなるもの、II)特公平6−23278号公報記載の、ハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトゼグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物からなるもの、III)特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載のエチレン−プロピレン−ブテン共重合体からなるもの、が代表的なものである。必要に応じて着色剤等の添加剤をこれに添加して用いる。以下これらの詳細を述べる。
【0043】
I)高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
【0044】
上記エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性をアップさせる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させてもよい。
【0045】
上記エラストマーの添加量としては、10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%より低いと一定荷重伸度の温度に対する変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと透明性、耐候性及び耐クリープ性の低下が生じる。
【0046】
上記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度である。1重量%より低いと耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じると共に製膜が難しくなる。
【0047】
II)特公平6−23278号公報記載の、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。この種のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、いわゆる「ネッキング」を生じ難く、加熱、加圧を用いて各種形状に成形したりエンボス加工したりする際に適性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上50重量%以下であるものである。
【0048】
ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマー自体はすでに公知のものであるが、包装容器等の公知の用途に用いられる場合は、強度を重視する為に、ソフトセグメントとなるアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%未満のものが専ら使用されていた。しかしながら三次元形状乃至凹凸形状に成形したり、エンボス加工する場合、前記の如くネッキングを生じて良好な加工が不可能である。これに対し、従来の組成設計とは逆に、ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマーに於いて、アタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上とする事によって、エンボス加工や三次元形状乃至凹凸形状の物品に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点が解消できる。特にアタクチックポリプロピレンの重量比が20重量%以上の場合が良好である。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比が増加し過ぎると、シート自体が変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場合に見当(Resister)が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。又、成形時にも破れ易くなる為、好ましくない。アタクチックポリプロピレンの重量比の上限としては、輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて絵柄層を印刷し、又、シートのエンボス加工、真空成形、Vカット加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0049】
III)エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテンとして、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部含む。上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体の好ましい具体例としては次の(i)〜(iii)が挙げられる。
【0050】
(i)特開平9−111055号公報記載のもの。これはエチレン・プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプロピレンが90重量%以上とする。そして、このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を熔融混練したものである。
【0051】
(ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、非晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加したものである。
【0052】
(iii)特開平7−316358号公報記載のもの。これは、エチレン・プロピレン・1ブテン3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%に混合した組成物100重量部に対してNアシルアミン酸アミン塩、Nアシルアミン酸エステル等の油ゲル化剤を5重量%添加したものである。
【0053】
エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、上記(i)〜(iii)に必要に応じ他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。ポリオレフィン系樹脂には着色剤を添加してもよい。着色剤は、化粧シートとして必要な色彩を持たせるためのものであり、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料或いは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも可であるが、図1の熱可塑性樹脂基材シート2及び図2の第1熱可塑性樹脂シート21の場合には、絵柄層8やベタ層9などの意匠が見える程度の透明着色に形成するのが好ましい。また、図2の第1熱可塑性樹脂シート22は、下層が見えない不透明着色としてもよい。
【0054】
さらに、ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ラジカル捕捉剤等を添加する。熱安定剤は、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系等公知のものであり、熱加工時の熱変色等の劣化を防止する場合に用いられる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられ、これらは難燃性を付与する必要がある場合に添加する。
【0055】
上記材料をブレンドしたものをカレンダー製法等の常法により製膜してポリオレフィン系樹脂シートが得られる。尚、ポリオレフィン系樹脂として着色剤、無機充填剤、又はその両方を添加した組成物を用い、熔融押出法で製膜する場合、薄膜に製膜すると製膜適性が低下し、表面が平滑に仕上がらない。一般的には着色剤等を計10重量部程度以上添加し、80μm以下に製膜する場合にこの傾向が目立つ。そこでこの様な場合、3層共押出とし中心の層のみに着色剤を添加し、表裏の最外層には顔料等は無添加にするとよい。
【0056】
図2に示す態様の化粧シートの場合、第2の熱可塑性樹脂シートを用いたシート11に第1熱可塑性樹脂シートを積層するには、すでに製膜された熱可塑性樹脂シート21を接着剤層12を介して積層することができる。接着剤層12は2液硬化型のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などのドライラミネート接着剤が用いられる。また上記方法以外にも、第2熱可塑性樹脂シートを用いたシート11にポリオレフィン系樹脂からなる第1熱可塑性樹脂基材シート21を熔融押出塗工(エクストルージョンコート)して、シート製膜と同時に積層する方法を用いても良い。
【0057】
プライマー層4は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(イソシアネート硬化剤と各種ポリオールからなる2液硬化型)、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどの溶液を塗工して形成される。熱可塑性樹脂基材シートとしてポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用する場合は、2液硬化型ポリウレタン樹脂を用いイソシアネート硬化剤を添加して形成するのが好ましい。
【0058】
プライマー層4には上記樹脂以外に、シリカ微粉末などの充填剤、光安定剤、等の添加剤を添加しても良い。プライマー層は、これらの組成物を、塗工して、必要に応じ乾燥、硬化させることで形成される。具体的にはプライマー組成物をグラビアロールコート、ロールコート等の方法で塗工して乾燥(硬化)させて形成される。プライマー層4の塗布量は1〜20g/m(乾燥時)が好ましく、更に好ましくは1〜5g/m(乾燥時)である。
【0059】
図1に示す化粧シートの裏面側プライマー層7は、ポリオレフィン系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂基材シート2と絵柄層8あるいはベタ層9等の印刷層との接着性を向上させるものであり、前記した表面側のプライマー層4と同様の樹脂を用いるのが好ましい。また裏面側プライマー層7は、表面側のプライマー層4と同様の手段で形成できる。また、図2に示す化粧シートのプライマー層10は、第2の熱可塑性樹脂シート22とベタ層9などの印刷層との接着性を向上させるものであり、第2の熱可塑性樹脂シートにポリオレフィン系樹脂シートを用いた場合には、前記したプライマー層4と同様の材質を用いるのが好ましい。また形成手段なども同様に行うことができる。
【0060】
ポリオレフィン系樹脂シートの表面には、プライマー層4を形成する以前に、好ましくはコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施す。この易接着処理は、この種のシートに於いて通常使用される方法を用いることができる。この様な易接着処理を行うことによって、ポリオレフィン系樹脂シートの表面に、水酸基、カルボキシル基等の活性水素原子含有官能基を生成する。尚、ポリオレフィン系樹脂シートを熔融押出法で製膜する場合には、製膜時に表面に或る程度これら極性官能基が生成される。よって製膜時に生成される極性官能基が十分であれば、易接着処理は省いてもよい。
【0061】
熱可塑性樹脂基材シート2(あるいは第1熱可塑性樹脂シート21)の表面には、加熱プレスやヘアライン加工などにより、図1に示すように凹凸模様5を付与したり、該凹凸模様にワイピング加工を施して凹部にワイピングインキ6を充填したりしてもよい。凹凸模様5は、例えば、導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。凹凸模様5を形成するには、例えば、加熱・加圧によるエンボス加工法、ヘアライン加工法、賦形フィルム法等がある。エンボス加工法は硬化型樹脂層或いは熱可塑性樹脂シートを加熱して軟化させ、表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様を賦形し、冷却して固定化するもので、公知の枚葉式、或いは輪転式のエンボス機等が用いられる。エンボス加工は、例えば、シート温度120℃〜160℃にて凸版を硬化型樹脂層面或いは熱可塑性樹脂シート面に10〜40kg/cmの圧力で加圧し、凸版パターンを転写する。またワイピング加工は、特公昭58−14312号公報などに記載されているように、凹凸模様上に着色インキを塗布した後、ワイピング処理し、凹凸模様の凹部内に着色インキを充填することにより行う。
【0062】
また他のエンボス加工およびワイピング加工方法として、硬化型樹脂の液状物をロール凹版の少なくとも凹部に充填させると共にロール凹版に基材シートを重ね、電離放射線を照射して硬化型樹脂を半硬化させた後、基材シートをロール凹版から剥離して基材シート上に凹凸模様の硬化型樹脂層を転写し、さらに半硬化状態の凹凸模様上に着色インキを塗布した後、ワイピング処理し、凹凸模様の凹部内に着色インキを充填し、半硬化状態の凹凸模様に電離放射線を再度照射して硬化型樹脂層を硬化させる方法を用いてもよい。
【0063】
本発明では、硬化型樹脂層として2種類のオリゴマーを特定比率で含有する樹脂混合物の硬化物層を用いるため、硬化型樹脂層の上からエンボス加工を施した場合に硬化型樹脂層のクラック発生が抑制されている。よって、上記熱可塑性樹脂シート2に対するエンボス加工による凹凸付与に加えて、又はこれに替えて、硬化型樹脂層の上からエンボス加工を施して意匠性を向上させることができる。
【0064】
絵柄層8は、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学図形、文字、記号、線画、各種抽象模様の柄を印刷形成したものである。ベタ層9は、隠蔽性を有する着色インキにて、ベタ印刷して形成したものである。これらの印刷層は、絵柄層8のみから構成しても、あるいはベタ層9のみから構成しても、或いは絵柄層及びベタ層の両者から構成してもいずれでもよい。
【0065】
絵柄層8及びベタ層9は、一般的な絵柄印刷用のインキを用いて印刷或いは塗工することで形成できる。上記インキとしては、バインダーと着色剤とからなり、例えばバインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ウレタン樹脂、又は熱可塑性ウレタン樹脂)、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を、1種または2種以上混合したものが用いられる。上記着色剤としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青、フタロシアニンブルー、キナクリドン、イソインドリノン等の顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の金属箔粉、二酸化チタン被覆雲母等の箔粉からなる光輝性顔料を1種又は2種以上混合したものが挙げられる。絵柄層は、上記凹凸模様や凹部内の着色インキによる模様と位置を合わせて、重ね合わせることで、深みのある模様とすることができる。
【0066】
絵柄層のインキは、ポリオレフィン系樹脂シートを基材シートとして用いる場合は、ポリウレタン樹脂系インキや塩素化ポリオレフィン樹脂系インキを用いるのが好ましい。また絵柄層やベタ層として、印刷形成する以外に、金属薄膜により形成しても良い。例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅などの金属を用い、真空蒸着、スパッタリングなどの方法で金属薄膜を製膜する。金属薄膜は、全面ベタ、部分ベタ、絵柄のようなパターン状に形成でき、上記絵柄層およびベタ層と組み合わせてもよい。
【0067】
このようにして形成された化粧シートは、例えば、図1に示す化粧シートでは裏面側(図1に示す化粧シートではベタ層側、図2に示す化粧シートでは第2可塑性樹脂シート側)を他の基材に接着剤層などを介して貼着して化粧板などを形成し、各種建材に利用することができる。
【0068】
また化粧シート1には、抗菌性を付与する為に、基材シート、硬化型樹脂層、あるいは他の樹脂層に、抗菌剤を添加することができる。抗菌剤としては、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤がある。特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、耐熱性にも優れているため望ましい。無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。抗菌剤の平均粒子径は限定的ではないが、0.1〜10μmが好ましい。抗菌剤の平均粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法等の公知の手法により測定できる。抗菌剤の添加量はオリゴマー(A)とオリゴマー(B)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。また、更に10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等の防黴剤等を添加してもよい。
【0069】
接着剤層の材質としては、化粧シートを貼る他の基材(以下、被着体という)により適宜選択する。例えば、被着体が木質材料の場合には、水酸基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系接着剤が好ましい。また被着体がプラスチック材料の場合には、ホットメルト接着剤、ドライラミネート用接着剤などが利用できる。ホットメルト接着剤は、被着体を成形する際の予熱あるいは後加熱を利用できる。なお、被着体に化粧シート自体が熱融着などの手段で接着可能な場合には、接着剤層14を省略してもよい。
【0070】
化粧シートの被着体としては、各種の木質材料、金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、等が用いられる。化粧シートを上記材料に貼着し、所定の成形加工などを施すことで、各種用途に利用できる。例えば、壁、天井、床などの建築物の内装、窓枠、扉枠、扉、手すりなどの建具の表面化粧、箪笥などの家具、テレビジョン受像機などの弱電、OA機器などのキャビネットの表面化粧、自動車、電車などの車両の内装、航空機の内装、窓ガラスの化粧などに利用できる。
【発明の効果】
【0071】
本発明の建材用化粧シートは、熱可塑性樹脂基材シート上に硬化型樹脂層が形成された建材用化粧シートであって、硬化型樹脂層として、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する混合物の硬化物層を採用することにより、耐傷性や耐衝撃性に優れるとともに、硬化型樹脂層にエンボス加工を施す場合に硬化型樹脂層のクラック発生が抑制されている。最表面にエンボス模様を有する場合には、意匠性がさらに高まり、このような化粧シートは、各種用途に好適に適用できる。
【実施例】
【0072】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0073】
実施例1
下記の工程により、建材用化粧シートを作成した。
【0074】
厚み60μmの着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの表面及び裏面にコロナ放電処理を施した。次いで、シート表面に、ポリウレタン系樹脂とアクリルポリオール系樹脂の合計100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート8重量部を添加してなる樹脂をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/mとなるように塗工することにより、厚さ2μmの絵柄模様層形成用プライマー層を形成した。また、基材シートの絵柄模様層と反対側の面にウレタン系樹脂と硝化綿樹脂の合計100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/mとなるように塗工することにより、厚さ2μmの裏面プライマー層を形成した。
【0075】
絵柄模様層形成用プライマー層の上に、ポリウレタン樹脂及びアクリルポリオール樹脂をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液(印刷インキ)をグラビア印刷法により塗工して2μmの木目絵柄模様層を形成した。
【0076】
絵柄模様層の上に、ポリウレタン系樹脂とアクリルポリオール系樹脂の合計100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート11重量部を添加してなる樹脂からなる塗液を固形分量が3g/mとなるように塗工して厚み3μmの透明性接着剤層を形成した。
【0077】
透明性接着剤層の上に、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーをTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み80μmの透明性樹脂層を形成した。
【0078】
透明性樹脂層の上に、ポリウレタン系樹脂とアクリルポリオール系樹脂の合計100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート6重量部を添加してなる樹脂をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/mとなるように塗工することにより、厚さ2μmのプライマー層を形成した。
[電離放射線硬化型樹脂の調製と塗工]
ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の合成
攪拌機、温度調節装置、凝縮装置を備えた反応容器に、ポリエステルジオール(エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、旭電化工業製:アデカニューエースF15−20、重量平均分子量1000)1000重量部、イソホロンジイソシアネート444重量部を仕込み、75℃にて10時間反応させ、次いで、反応液を35℃に冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレート400重量部、メトキノン0.5重量部、ジラウリン酸ジブチル錫0.2重量部を仕込み75℃〜85℃で反応を行った。遊離イソシアネート基が0.1%以下になるまで反応させ、重量平均分子量1700のウレタンアクリレートオリゴマー(A)を得た。
【0079】
上記工程で得られた化粧シートの表面のプライマー層(透明性樹脂層の上のプライマー層)に、下記の塗工液組成(a)の電離放射線硬化型樹脂層の形成用塗工液をグラビアコート法により固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成した。その後、酸素濃度100ppmの雰囲気下、未硬化樹脂層に加速電圧175KeV、5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて15μm厚の電子線硬化型樹脂層(表面保護層)を形成し建材用化粧シートを作製した。
[電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(a)]
・ウレタンアクリレートオリゴマー(A) 80重量部
・UA306H(共栄社化学製6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) 20重量部
・シリカ(富士シリシア製:サイリシア450) 10重量部
・酢酸エチル 100重量部
実施例2
実施例1における電離放射線硬化型樹脂層の塗工液を下記の塗工液組成(b)に代えた以外は実施例1と同様にして建材用化粧シートを作製した。
[電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(b)]
・ウレタンアクリレートオリゴマー(A) 85重量部
・UA306H(共栄社化学製6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) 15重量部
・シリカ(富士シリシア製:サイリシア450) 10重量部
・酢酸エチル 100重量部
実施例3
実施例1における電離放射線硬化型樹脂層の塗工液を下記の塗工液組成(c)に代えた以外は実施例1と同様にして建材用化粧シートを作製した。
[電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(c)]
・ウレタンアクリレートオリゴマー(A) 95重量部
・U−15HA(新中村化学工業製:15官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) 5重量部
・シリカ(富士シリシア製:サイリシア450) 10重量部
・酢酸エチル 100重量部
実施例4
実施例1における電離放射線硬化型樹脂層の塗工液を下記の塗工液組成(d)に代えた以外は、実施例1と同様にして建材用化粧シートを作製した。
[電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(d)]
・ウレタンアクリレートオリゴマー(A) 75重量部
・紫光UV7550(日本合成化学製:3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) 25重量部
・シリカ(富士シリシア製:サイリシア450) 10重量部
・酢酸エチル 100重量部
実施例5
電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(a)に、抗菌剤(銀イオン担持ゼオライト:平均粒径6.4μm)を0.5重量部添加する以外は、実施例1と同様にして建材用化粧シートを作製した。
【0080】
実施例6
電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(b)に、抗菌剤(銀イオン担持ゼオライト:平均粒径6.4μm)を0.5重量部添加する以外は、実施例2と同様にして建材用化粧シートを作製した。
【0081】
実施例7
電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(c)に、抗菌剤(銀イオン担持ゼオライト:平均粒径6.4μm)を0.5重量部添加する以外は、実施例3と同様にして建材用化粧シートを作製した。
【0082】
実施例8
電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(d)に、抗菌剤(銀イオン担持ゼオライト:平均粒径6.4μm)を0.5重量部添加する以外は、実施例4と同様にして建材用化粧シートを作製した。
【0083】
比較例1
実施例1における電離放射線硬化型樹脂層の塗工液を下記の塗工液組成(e)に代えた以外は実施例1と同様にして建材用化粧シートを作製した。
[電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(e)]
・ウレタンアクリレートオリゴマー(A) 50重量部
・UA306H(共栄社化学製6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) 50重量部
・シリカ(富士シリシア製:サイリシア450)10重量部
・酢酸エチル 100重量部
比較例2
実施例1における電離放射線硬化型樹脂層の塗工液を下記の塗工液組成(f)に代えた以外は実施例1と同様にして建材用化粧シートを作製した。
[電離放射線硬化型樹脂層の塗工液組成(f)]
・ウレタンアクリレートオリゴマー(A) 70重量部
・UA306H(共栄社化学製6官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) 30重量部
・シリカ(富士シリシア製:サイリシア450) 10重量部
・酢酸エチル 100重量部
試験例1
上記で得た実施例1〜8、比較例1〜2の建材用化粧シートについて以下の評価試験を実施した。結果を表1に示す。
[エンボス工程でのクラックの有無]
硬化型樹脂層の上からエンボス加工機を用いてエンボスを施した。エンボス条件は、温度120℃〜170℃にて凸版を10〜40kg/cmの圧力で押圧して凸版パターンを転写し、硬化型樹脂層の表面に凹凸模様を形成した。このとき、硬化型樹脂層にクラックの発生が認められないものを○とし、クラックの発生が認められたものを×と評価した。
[耐スクラッチ性]
各化粧シートを、4mm厚の中密度繊維板(ホクシン製)に、主剤BA−10L(中央理化工業製)100重量部に対して硬化剤BA−11B(中央理化工業製)を2.5重量部添加してなる接着剤をウエットにて6〜8g/0.09m塗布し、ロールプレス機にて貼り付けて評価試験用試料を作製した。この試料についてホフマンスクラッチ試験機を用いて、耐スクラッチ性を調べた。電離放射線硬化型樹脂層表面にスジ、傷跡等が発生しない最大荷重を測定し、最大荷重が500g以上を合格:○とし、500g未満を不合格:×と評価した。最大荷重が500gであるものは、突板塗装品(木質基材に突板(木質板)を貼り合わせて表面をUV塗装したもの)と同等と評価される。
[耐衝撃性]
デュポン衝撃試験機にて500g荷重×30cm、r=6.3で耐衝撃性を確認し、表面が割れなかったものを○、割れたものを×と評価した。
【0084】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の建材用化粧シートの具体例を示す断面図である。
【図2】本発明の建材用化粧シートの具体例を示す断面図である。
【図3】本発明の建材用化粧シートの具体例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 建材用化粧シート
2 熱可塑性樹脂基材シート
3 硬化型樹脂層
4 プライマー層
5、5’凹凸模様
6 ワイピングインキ
7 裏面側プライマー層
8 絵柄層
9 ベタ層
10 プライマー層
11 第2熱可塑性樹脂シートを用いたシート
12 接着剤層
21 第1熱可塑性樹脂シート
22 第2熱可塑性樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂基材シート上に硬化型樹脂層が形成されている建材用化粧シートであって、
前記硬化型樹脂層は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する樹脂混合物の硬化物層であることを特徴とする建材用化粧シート。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂基材シートは、ポリオレフィン系樹脂シートである、請求項1に記載の建材用化粧シート。
【請求項3】
前記硬化型樹脂層は、電離放射線硬化型樹脂層である、請求項1又は2に記載の建材用化粧シート。
【請求項4】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、アルキレングリコールとアジピン酸とから形成される重量平均分子量500〜2000のポリエステルポリオールと、イソホロンジイソシアネートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの重付加反応生成物であり、重量平均分子量が1000〜3000である、請求項1〜3のいずれかに記載の建材用化粧シート。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂基材シートと前記硬化型樹脂層との間に、更にプライマー層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の建材用化粧シート。
【請求項6】
前記硬化型樹脂層の上からエンボス加工が施されている、請求項1〜5のいずれかに記載の建材用化粧シート。
【請求項7】
下記工程を有することを特徴とする建材用化粧シートの製造方法:
(1)熱可塑性樹脂基材シートを用意する工程1、
(2)前記熱可塑性樹脂基材シート上に、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を70重量%よりも多く95重量%以下含有し、1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を5重量%以上30重量%以下含有する樹脂混合物の硬化物層を形成する工程2、
(3)前記硬化物層の上から、エンボス加工を施す工程3。
【請求項8】
前記工程2に先立ち、前記熱可塑性樹脂基材シート上に、プライマー層を形成する工程を更に有する、請求項7に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−267126(P2008−267126A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62291(P2008−62291)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】