説明

建物の太陽熱集熱装置

【課題】太陽光が有する光エネルギ及び熱エネルギの両方を利用できる構成において、太陽熱の利用効率を高める。
【解決手段】建物10の傾斜屋根部22の上には、太陽光発電を行う太陽光パネル32が設けられており、太陽光パネル32が設置されていない非設置部分には、太陽熱を集熱する集熱板37が設けられている。傾斜屋根部22の屋根面と太陽光パネル32との間には第1集熱空間42が形成されており、傾斜屋根部22の屋根面と集熱板37との間には第2集熱空間46が形成されている。第1集熱空間42及び第2集熱空間46には暖気共用通路71が接続されており、各集熱空間42,46にて太陽熱により暖められた空気は暖気共用通路71を通じて一階空間15a及び二階空間16aに供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の太陽熱集熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の屋根に太陽光発電パネルが設置されている場合、太陽光発電パネルにおいては、太陽光発電パネルが有する光エネルギ及び熱エネルギのうち光エネルギが電気エネルギに変換される為、その電気エネルギを建物において利用することができる。ここで、太陽光の光エネルギ及び熱エネルギの両方を利用することができる技術が提案されている。例えば特許文献1には、太陽光発電パネル(太陽電池モジュール)と屋根面との間に集熱空間(空気流通層)が形成され、太陽光発電パネルを介して集熱空間に付与された太陽熱を床暖房に利用するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−1713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建物の屋根部においては、屋根面の全域ではなく、一部を除く部分に太陽光発電パネルが設置される場合もある。例えば、重量負担の観点から軒先やけらば付近を除く部分に太陽光発電パネルが設置されることが考えられる。こうして屋根部において太陽光発電パネルが設置されない非設置部分があると、その非設置部分では太陽光のエネルギを有効利用できているとは言えず、その点で改善の余地があると考えられる。
【0005】
本発明は、太陽光が有する光エネルギ及び熱エネルギの両方を利用できる構成において、太陽熱の利用効率を高めることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明の建物の太陽熱集熱設備は、傾斜屋根部を有する建物に適用され、前記傾斜屋根部の上に設けられ、太陽光発電を行う太陽光発電パネルと、前記傾斜屋根部の上において前記太陽光発電パネルが設置されていない非設置部分に設けられ、太陽熱を集熱する集熱板と、を備え、前記傾斜屋根部の屋根面と前記太陽光発電パネルとの間には第1集熱空間が設けられ、前記傾斜屋根部の屋根面と前記集熱板との間には第2集熱空間が形成されており、前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間には、これら集熱空間で集熱された空気を前記建物の屋内空間に空気を供給するための給気通路が接続されていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、傾斜屋根部上において、太陽光発電パネルの設置部分に設けた第1集熱空間だけでなく、それ以外に設けた第2集熱空間でも集熱を行わせることにより、建物において暖房等に利用できる熱エネルギを増やすことができる。ここで、傾斜屋根部において例えば軒先やけらば付近等に太陽光発電パネルを設置せずこの部分を非設置部分とすることがあるが、こうした非設置部分において、集熱板とその下の集熱空間(第2集熱空間)とを設けることで、傾斜屋根部における集熱範囲を拡張できる。これにより、太陽熱の利用効率を高めることができる。
【0008】
なお、集熱板は、太陽光発電パネルに比べて重量が小さいため、傾斜屋根部の軒先やけらばに集熱板を設けたとしても重量負担が問題になることはない。
【0009】
第2の発明では、前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のそれぞれから前記屋内空間への空気の供給を個別に遮断する給気遮断手段を備えている。
【0010】
太陽光発電パネルの下方に設けられる第1集熱空間と、集熱板の下方に設けられる第2集熱空間とでは、空気の暖まり方が相違し、一方では暖房に利用できる程度に空気が暖まっているが、他方では暖房に利用できる程度に空気が暖まっていないという状況も起こり得る。具体的には、第1集熱空間の方が第2集熱空間より内部空気の暖まりが遅いと考えられる。
【0011】
この点、第2の発明によれば、第1集熱空間及び第2集熱空間のうち内部空気が暖房に利用できる程度に暖まっていない集熱空間からは屋内空間への空気の供給を停止することができる。例えば、第1集熱空間の方が第2集熱空間より内部空気の暖まりが遅い場合に、第1集熱空間の内部空気が暖まるまではその第1集熱空間から屋内空間への空気の供給を停止する。これにより、屋内空間の暖房を行う際に、十分に暖まっていない空気が屋内空間に供給されることを抑制できる。
【0012】
第3の発明では、前記第1集熱空間の温度を検出する第1温度検出手段と、前記第2集熱空間の温度を検出する第2温度検出手段と、前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のそれぞれについて検出温度が所定温度よりも低いか否かを判定する手段と、前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のうち前記検出温度が前記所定温度より低い集熱空間を対象として、前記屋内空間への空気の供給を前記給気遮断手段に遮断させる制御手段と、を備えている。
【0013】
第3の発明によれば、第1集熱空間及び第2集熱空間のうち内部空気が暖房に利用できる程度に暖まっていない集熱空間からは屋内空間への空気の供給を停止するという構成を実現できる。
【0014】
第4の発明では、前記集熱板は、前記傾斜屋根部の傾斜方向に直交する方向にて前記太陽光発電パネルに隣接して設けられ且つ前記傾斜屋根部の傾斜方向に沿って延びる部分を含んで構成され、前記第1集熱空間は、該第1集熱空間の屋根傾斜方向の上端部分において第1連通部を介して前記給気通路に連通され、前記第2集熱空間は、該第2集熱空間の屋根傾斜方向の上端部分において第2連通部を介して前記給気通路に連通されている。
【0015】
第4の発明によれば、第1集熱空間及び第2集熱空間はいずれも傾斜屋根部の傾斜に沿って設けられているため、各集熱空間ではそれぞれの内部空気が暖められることで傾斜上方に暖気が集まり、その暖気が各集熱空間の上端部(各連通部)から各々給気通路に順次取り込まれる。この場合、両方の集熱空間において太陽熱の利用(熱回収)を効率よく実施できる。
【0016】
第5の発明では、前記建物には、前記傾斜屋根部の下方の屋根裏空間部を含むようにして吹抜空間が設けられており、前記吹抜空間の天井部分には、前記屋根裏空間部の空気を前記給気通路に取り込む取込口が設けられており、前記給気通路は、上下方向に延びる縦通路部を有し、前記給気通路に流入した空気が前記縦通路部を介して前記吹抜空間の床側空間部に供給される。
【0017】
第5の発明によれば、第1集熱空間及び第2集熱空間にて暖められた空気を、給気通路を介して吹抜空間の床側部分に供給できることに加え、吹抜空間の上部空間である屋根裏空間部に溜まった暖気を、吹抜空間の床側空間部に供給できる。これにより、各集熱空間からの暖気供給と同時に、吹抜空間での内部循環を実施でき、特に吹抜空間の床付近における暖房効率を向上できる。
【0018】
ここで、各集熱空間と屋根裏空間部とは、傾斜屋根部を挟んで上下に隣接する空間であり、いずれも暖気が集まる空間である。したがって、各集熱空間及び屋根裏空間部から暖気を給気通路に取り込む場合、その構成を容易に実現できる。
【0019】
第6の発明では、前記第1集熱空間における屋根傾斜方向の下端部分には、前記屋内空間から内気を取り込むための第1内気取込通路が接続されており、前記第2集熱空間における屋根傾斜方向の下端部分には、前記屋内空間から内気を取り込むための第2内気取込通路が接続されている。
【0020】
第6の発明によれば、屋内空間から第1集熱空間及び第2集熱空間に取り込まれた内気が、それら集熱空間にて暖められてから再び屋内空間に供給される。この場合、屋内空間と各集熱空間とで内気循環が行われるため、屋内空間の暖房効率を高めることができる。しかも、内気は各集熱空間において下端部分から上端部分まで流れるため、各集熱空間にて内気に付与される太陽熱を極力大きくできる。したがって、内気循環が行われる構成において、暖房等に利用できる熱エネルギをより一層増やすことができる。
【0021】
第7の発明では、前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のうち一方には前記屋内空間の内気が取り込まれ、他方には外気が取り込まれる構成とした。
【0022】
第7の発明によれば、第1集熱空間及び第2集熱空間のうち一方と屋内空間とで内気循環を行うことにより、屋内空間の暖房効率を高めることができる。しかも、一方の集熱空間により屋内空間の暖房能力を確保した上で、他方の集熱空間により屋内空間に屋外の新鮮な空気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】建物の外観を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線断面斜視図。
【図3】太陽熱集熱装置の構成を示す図。
【図4】第1集熱空間及び第2集熱空間の各空気の流れについて説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明を二階建ての建物において具体化している。図1は建物10の外観を示す斜視図、図2は図1のA−A線断面斜視図である。
【0025】
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設置された建物本体12と、建物本体12の上に設置された屋根13とを有している。建物本体12は、下階部としての一階部分15と、一階部分15の上に設置された上階部としての二階部分16とを有している。一階部分15には一階空間15aが設けられ、二階部分16には二階空間16aが設けられている。これら各階空間15a,16aはそれぞれ屋内空間に相当する。なお、各階空間15a,16aによりリビングやキッチン、浴室、廊下などが形成されている。
【0026】
屋根13は、切妻式の屋根とされており、棟21を挟んで配置された一対の傾斜屋根部22を有している。一対の傾斜屋根部22は、それぞれ棟21を上端として軒先23に向けて斜め下方に傾斜しており、一対の傾斜屋根部22の各軒先23はそれぞれ建物本体12よりも側方へ突出している。各傾斜屋根部22の妻側端部であるけらば24は、建物本体12よりも側方へ突出している。傾斜屋根部22は、屋根下地材及び屋根仕上材を含んで構成されている。屋根下地材としては、棟21に沿って延びる棟木により支持された垂木やその垂木の上に載置された野地板などが挙げられ、屋根仕上材としては、野地板の上に載置された瓦などが挙げられる。
【0027】
建物10には、太陽光発電を行う太陽光発電装置31が設けられている。太陽光発電装置31は、太陽光が照射されることにより太陽光発電を行う太陽光発電パネルとしての太陽光パネル32を有しており、太陽光パネル32は屋根13に設置されている。太陽光パネル32は、一対の傾斜屋根部22のうち一方(例えば南側)の上に配置され、傾斜屋根部22の屋根面(上面)に沿って複数並べられている。この場合、太陽光パネル32の受光面32aは屋根面と平行に延びている。なお、太陽光パネル32は、一対の傾斜屋根部22のそれぞれの上に配置されていてもよい。
【0028】
太陽光パネル32は、傾斜屋根部22において、棟21に沿って水平方向に延びる棟部S1、軒先23に沿って水平方向に延びる軒先部S2、及びけらば24に沿って屋根傾斜方向に延びるけらば部S3の各部を除く部分に、複数並べて配置されている。この場合、棟部S1、軒先部S2及びけらば部S3が太陽光パネル32の非設置部分に相当する。ただし、本実施形態では、最下列の太陽光パネル32の一部が、傾斜屋根部22の上において建物外壁よりも軒先側に突出している(図3参照)。
【0029】
一対の傾斜屋根部22のうち太陽光パネル32が設置された方の傾斜屋根部22において、太陽光パネル32の非設置部分には集熱板37が設けられている。集熱板37は、傾斜屋根部22の上において太陽光パネル32の周囲を囲むように配置されている。この場合、集熱板37は屋根面が延びる方向において太陽光パネル32と横並びに配置されていることになる。
【0030】
集熱板37は、ガルバリウム等の金属材料により全体として略矩形状とされた化粧板であり、比較的高い熱伝導率を有している。集熱板37は、板材が横断面波形状となるように折り曲げられることで形成されており、波形状よりなる複数の溝部が傾斜屋根部22の傾斜方向(流れ方向)に沿って延びるように配置されている。集熱板37の波形状としては、正弦波形状や矩形波形状が挙げられる。集熱板37は太陽光パネル32に比べて軽量である。したがって、傾斜屋根部22において軒先部S2やけらば部S3といった建物本体12から側方に突出した部分に設置されても、重量負担が問題になることはない。
【0031】
図2に示すように、太陽光パネル32は、傾斜屋根部22から上方に離間した位置にて太陽光パネル支持部材41により支持されており、各太陽光パネル32と傾斜屋根部22との離間部分が第1集熱空間42とされている。太陽光パネル32に太陽光が照射されると、その太陽光パネル32自体の温度が上昇し、それに伴って太陽光パネル32の下方の第1集熱空間42内の空気の温度が上昇する。つまり、太陽光パネル32に太陽光が照射された場合には、太陽光パネル32において太陽光発電が行われるだけでなく、太陽光パネル32を介して第1集熱空間42に太陽熱が付与される。
【0032】
集熱板37は、傾斜屋根部22から上方に離間した位置にて集熱板支持部材45により支持されており、集熱板37と傾斜屋根部22との離間部分が第2集熱空間46とされている。したがって、集熱板37に太陽光が照射された場合には、集熱板37を介して第2集熱空間46に太陽熱が付与される。集熱板37の上面(波部の上端)は、傾斜屋根部22の屋根面に対して太陽光パネル32の受光面32aと同じ高さ位置にある。
【0033】
ここで、集熱空間42,46では、いずれも太陽熱により内部空間の温度が上昇するが、それら集熱空間42,46での温度上昇の具合は各々相違するものとなっている。具体的には、太陽光パネル32の下方に形成された第1集熱空間42は、太陽光パネル32に太陽光が照射された場合にその太陽光パネル32の温度上昇を経て空間内温度が上昇するものであり、その温度上昇は、集熱板37の下方に形成された第2集熱空間46での温度上昇に比べて遅くなる。
【0034】
集熱板支持部材45は、金属材料や合成樹脂材料により形成されており、第2集熱空間46の周縁部を内外二重で遮蔽状態で囲む通気遮断部であり、傾斜屋根部22の周縁部を囲む部分と太陽光パネル32の周縁部を囲む部分とを有している。このうち傾斜屋根部22の周縁を囲む部分(内外二重の外側部分)は囲い部48であり、この囲い部48は棟21、軒先23及びけらば24に沿うようにして設けられている。この囲い部48は、破風板やの化粧板を兼ねるものであってもよい。
【0035】
また、集熱板支持部材45において太陽光パネル32の周縁部を囲む部分は(内外二重の内側部分)は仕切部49であり、この仕切部49は第1集熱空間42と第2集熱空間46とを仕切る部分となっている。
【0036】
なお、太陽光パネル支持部材41と仕切部49とを一体化して構成することも可能であり、かかる場合、少なくとも第1集熱空間42と第2集熱空間46との境界部に配置される太陽光パネル支持部材41が、その境界部に沿って延びる長尺材により構成されているとよい。
【0037】
本実施形態では、第1集熱空間42及び第2集熱空間46を含んで太陽熱集熱装置50が形成されている。太陽熱集熱装置50は、第1集熱空間42や第2集熱空間46の空気が太陽熱により暖められて暖気となった場合にその暖気により建物10内の暖房を行うことが可能となっている。
【0038】
ここでは、太陽熱集熱装置50の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は太陽熱集熱装置50の構成を示す図である。なお、図3においては太陽熱集熱装置50の電気的な構成を示すブロック図を含んで図示している。
【0039】
図3に示すように、建物10において一階空間15aと二階空間16aとは、一階/二階の階間部分(一階天井及び二階床の部分)に設けられた吹抜開口部18を通じて連通されている。二階空間16aは、傾斜屋根部22の下面側まで繋がる空間部となっており、二階空間16aの天井面は傾斜屋根部22の下面に沿って延びる傾斜面となっている。つまり、本実施形態の建物10では、屋内空間として、一階部分15の床から屋根13まで(すなわち屋根13の下方の屋根裏空間部まで)延びる吹抜空間が設けられている。
【0040】
なお、二階部分16の天井部16bには開口部が設けられており、その開口部により二階空間16aと屋根裏空間部とが連通されている。これにより、吹抜空間は二階空間16aよりも傾斜屋根部22の下側にまで拡張されている。
【0041】
太陽熱集熱装置50において第1集熱空間42には、第1集熱空間42に外気を取り込むための外気取込通路53と、第1集熱空間42の暖気を屋外に放出するための暖気放出通路54と、第1集熱空間42に建物10の内気を取り込むための内気取込通路55と、第1集熱空間42の暖気を建物10内に供給するための暖気供給通路56とが接続されている。
【0042】
同様に、第2集熱空間46には、第2集熱空間46に外気を取り込むための外気取込通路63と、第2集熱空間46の暖気を屋外に放出するための暖気放出通路64と、第2集熱空間46に建物10の内気を取り込むための内気取込通路65と、第2集熱空間46の暖気を建物10内に供給するための暖気供給通路66とが接続されている。
【0043】
外気取込通路53,63は、傾斜屋根部22を厚み方向に貫通する貫通孔により形成されている。第1集熱空間42に通じる外気取込通路53は、その第1集熱空間42の軒先側端部と屋外空間とを連通している。第2集熱空間46に通じる外気取込通路63は、その第2集熱空間46において第1集熱空間42よりも軒先23側にある部分の軒先側端部と屋外部分とを連通している。
【0044】
暖気放出通路54,64は、集熱板37を厚み方向に貫通する貫通孔により形成されている。第1集熱空間42に通じる暖気放出通路54は、その第1集熱空間42の棟側端部と屋外空間とを連通している。第2集熱空間46に通じる暖気放出通路64は、その第2集熱空間46において第1集熱空間42よりも棟21側にある部分の棟側端部と屋外空間とを連通している。
【0045】
なお、外気取込通路53,63や暖気放出通路54,64は通気ダクトを含んで構成されていてもよく、軒先23や棟21に沿って複数設けられていてもよい。
【0046】
内気取込通路55,65及び暖気供給通路56,66は、外気取込通路53,63と同様に傾斜屋根部22を厚み方向に貫通する貫通孔と、その貫通孔に接続された通気ダクトとを含んでそれぞれ構成されている。第1集熱空間42に通じる内気取込通路55は、第1集熱空間42の軒先23寄りの部分と二階空間16aとを連通しており、第2集熱空間46に通じる内気取込通路65は、第2集熱空間46の軒先23寄りの部分と二階空間16aとを連通している。
【0047】
第1集熱空間42に通じる暖気供給通路56は、その第1集熱空間42の棟側端部から屋根裏空間部に向けて延びている。第2集熱空間46に通じる暖気供給通路66は、その第2集熱空間46において第1集熱空間42よりも棟21側にある部分の棟側端部から屋根裏空間部に向けて延びている。
【0048】
図1を用いて上記各通路の設置場所を例示すると、第2集熱空間46に通じる外気取込通路63と内気取込通路65とはけらば部S3、すなわち太陽光パネル32の両サイドに各々設けられ、それ以外の各通路(通路53〜56,64,66)は、傾斜屋根部22の左右方向の中央部に設けられているとよい。ただし、屋内空間に通じる内気取込通路55,65と暖気供給通路56,66との設置位置は、屋内空間においてどこの屋内空間(内気)を取り込むかや、どこに後述の暖気共用通路71が設けられているかに応じて適宜定められるとよい。第2集熱空間46に通じる内気取込通路65の位置に近づけるべく、第1集熱空間42に通じる内気取込通路55を太陽光パネル32の両サイド付近に設けることも可能である。なお、上記各通路の設置場所や個数は適宜変更可能である。
【0049】
暖気供給通路56,66の二階空間16a側の各端部は、一階空間15a及び二階空間16aに通じる暖気共用通路71にそれぞれ接続されている。暖気共用通路71は通気ダクトにより形成されており、一階部分15、二階部分16に亘って上下方向に延びるように配置されている。この場合、暖気共用通路71における上下方向に延びる部分が縦通路部に相当する。なお、暖気共用通路71を形成する通気ダクトは、一階空間15aや二階空間16aに露出しないように外壁や間仕切壁の内部などに設置されている。
【0050】
暖気共用通路71は、一階連通口72を介して一階空間15aに通じているとともに、二階連通口73を介して二階空間16aに通じている。一階連通口72及び二階連通口73は、暖気共用通路71を形成する通気ダクトの周面部を貫通する貫通孔により形成されている。一階連通口72は一階空間15aの下部(床面付近)に配置され、二階連通口73は二階空間16aの下部(床面付近)に配置されている。
【0051】
また、暖気共用通路71は、屋根裏連通口74を介して屋根裏空間部に通じている。屋根裏連通口74は、一階連通口72等と同様に、暖気共用通路71を形成する通気ダクトの周面部を貫通する貫通孔により形成されており、屋根13直下の二階天井部において屋根裏空間部の頂部(棟側部分)付近に配置されている。この場合、屋根裏連通口74は吹抜空間の天井部分又はその付近に配置されていることになる。
【0052】
上記した各通路53〜56,63〜66,71には、それぞれの通路における通気を遮断する通気遮断バルブ76が個別に設けられている。各通気遮断バルブ76は開閉弁により形成されており、開状態にある場合に通気を可能とし、閉状態にある場合に通気を遮断する。特に、暖気共用通路71においては、一階連通口72、二階連通口73及び屋根裏連通口74のそれぞれに通気遮断バルブ76が設けられている。
【0053】
なお、暖気共用通路71が給気通路に相当し、屋根裏連通口74が給気通路の取込口に相当する。第1集熱空間42に通じる暖気供給通路56が第1連通部に相当し、第2集熱空間46に通じる暖気供給通路66が第2連通部に相当する。暖気供給通路56,66の各通気遮断バルブ76が給気遮断手段に相当する。第1集熱空間42に通じる内気取込通路55が第1内気取込通路に相当し、第2集熱空間46に通じる内気取込通路65が第2内気取込通路に相当する。
【0054】
暖気共用通路71の一階連通口72及び二階連通口73には、暖気を一階空間15a及び二階空間16aに供給するための給気ファン77がそれぞれ設けられている。給気ファン77は電動モータを含んで構成されており、回転することで暖気を暖気共用通路71から強制的に吹き出させる。
【0055】
次に、太陽熱集熱装置50の電気的な構成について説明する。
【0056】
太陽熱集熱装置50は、制御手段としてのコントローラ81を有している。コントローラ81は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば二階空間16aの壁面に取り付けられている。コントローラ81は、記憶部82と、住人等により入力操作が行われる操作部83とを有している。
【0057】
コントローラ81には、第1集熱空間42の温度を検出する第1温度検出手段としての第1温度センサ85と、第2集熱空間46の温度を検出する第2温度検出手段としての第2温度センサ86とが接続されており、これら温度センサ85,86は検出信号をコントローラ81に対して出力する。第1温度センサ85は、第1集熱空間42において例えば傾斜屋根部22の屋根面に取り付けられており、第2温度センサ86は第2集熱空間46において第1温度センサ85と同様に屋根面に取り付けられている。
【0058】
コントローラ81には、各通気遮断バルブ76及び各給気ファン77がそれぞれアクチュエータとして接続されており、コントローラ81は指令信号を出力することにより各アクチュエータの動作制御を個別に行う。
【0059】
なお、コントローラ81には、各階空間15a,16aの空調を行うエアコン等の空調装置が接続されており、空調装置は、冷房や暖房といった運転状態、目標温度などといった空調運転に関する空調運転情報をコントローラ81に対して出力する。ちなみに、空調装置は各階空間15a,16aの温度を検出する温度センサを有しており、空調運転情報には温度センサの検出信号が含まれている。この場合、コントローラ81は空調運転情報から各階空間15a,16aの温度を取得する。
【0060】
コントローラ81は、太陽熱集熱装置50の各アクチュエータを制御対象とした太陽熱集熱制御を行う。太陽熱集熱制御においては、空調装置から取得した空調運転情報に基づいて、太陽熱集熱装置50による暖房を行うか否かを判定する。例えば、各階空間15a,16aの検出温度が目標温度より低いか否かを個別に判定し、検出温度が目標温度よりも低い空間がある場合に、その空間を暖房対象として設定する。この場合、暖房対象に合わせて一階連通口72及び二階連通口73の各通気遮断バルブ76の開閉状態を設定するとともに、給気ファン77の運転状態を設定する。
【0061】
太陽熱集熱装置50による暖房を行う場合、第1温度センサ85及び第2温度センサ86により検出された第1集熱空間42及び第2集熱空間46の各検出温度が暖房判定値(例えば20℃)より小さいか否かを個別に判定し、検出温度が暖房判定値よりも小さい集熱空間がある場合に、その集熱空間を暖気の供給元として設定せず、その他の集熱空間を暖気の供給元として設定する。この場合、供給元に合わせて暖気供給通路56,66の暖気供給通路56,66の開閉状態を設定する。なお、暖房判定値はあらかじめ定められた所定温度に相当し、記憶部82に記憶されている。
【0062】
また、太陽熱集熱装置50による暖房を行う際、操作部83に対して換気のための入力操作が行われたか否かを判定し、換気のための入力操作が行われた場合に暖房対象(各階空間15a,16a)の換気を行うとする。この場合、換気の実行/非実行に合わせて外気取込通路53,63及び内気取込通路55,65の各通気遮断バルブ76の開閉状態を設定する。
【0063】
さらに、太陽熱集熱装置50による暖房を行う際、屋根裏空間部に暖気が滞留しているか否かを判定する。例えば、空調装置による暖房運転の継続時間、及び太陽熱集熱装置50による暖房実行の継続時間の少なくとも一方が所定時間に達したか否かの判定を行い、少なくとも一方が所定時間に達している場合に屋根裏空間部に滞留しているとする。そして、屋根裏空間部での暖気の滞留状況に合わせて屋根裏連通口74の通気遮断バルブ76の開閉状態を設定する。
【0064】
一方、太陽熱集熱装置50による暖房を行わない場合、第1集熱空間42及び第2集熱空間46の各検出温度が放熱判定値(例えば40℃)より大きいか否かを個別に判定する。そして、検出温度が放熱判定値よりも大きい集熱空間がある場合に、その集熱空間を放熱が必要な放熱対象として設定する。この場合、放熱対象に合わせて外気取込通路53,63、暖気放出通路54,64、内気取込通路55,65、暖気供給通路56,66の各通気遮断バルブ76の開閉状態を設定する。
【0065】
続いて、コントローラ81により太陽熱集熱制御が行われた場合の第1集熱空間42及び第2集熱空間46の空気の流れについて図4を参照しつつ説明する。図4は集熱空間42,46の空気の流れについて説明するための図である。なお、図4においては空気の流れを矢印で図示しており、その空気の流れる部分については通気遮断バルブ76の図示を省略している。
【0066】
図4(a)には、一階空間15a及び二階空間16aの両方を暖房対象とし、第1集熱空間42及び第2集熱空間46の両方を暖気の供給元とし、各階空間15a,16aの換気を行い、屋根裏空間部に暖気が滞留していない、という内容で太陽熱集熱制御が行われた場合の集熱空間42,46の空気の流れを示す。具体的には、外気取込通路53,63、暖気供給通路56,66、連通口72,73の各通気遮断バルブ76がそれぞれ開状態とされ、暖気放出通路54,64、内気取込通路55,65、屋根裏連通口74の各通気遮断バルブ76がそれぞれ閉状態とされている。
【0067】
この場合、連通口72,73の各給気ファン77の駆動に伴って、外気取込通路53,63から集熱空間42,46に外気が取り込まれ、その外気が集熱空間42,46において太陽熱により暖められて暖気となり、その暖気が暖気供給通路56,66から暖気共用通路71の連通口72,73を通じて各階空間15a,16aのそれぞれに供給される。これにより、各階空間15a,16aの換気及び暖房が両方ともおこなわれる。
【0068】
図4(b)に示す太陽熱集熱制御の内容は、暖房対象(各階空間15a,16a)の換気を行わないという点が図4(a)と異なっている。具体的には、外気取込通路53,63の各通気遮断バルブ76が閉状態とされ、内気取込通路55,65の各通気遮断バルブ76が閉状態とされている。
【0069】
この場合、連通口72,73の各給気ファン77の駆動に伴って、外気ではなく二階空間16aの空気(内気)が集熱空間42,46を通じて暖気となって各階空間15a,16aに供給される。ここで、暖房実行時においては内気が外気より温度が高くなっていると想定されるため、換気を行わずに集熱空間42,46に内気を取り込むことにより、集熱空間42,46から各階空間15a,16aに供給する暖気の温度を高くなる。この結果、各階空間15a,16aの暖房効率が向上する。
【0070】
また、屋根裏連通口74の通気遮断バルブ76が開状態とされている。この場合、各給気ファン77の駆動に伴って、屋根裏空間部の空気が屋根裏連通口74から取り込まれて各階空間15a,16aに供給される。ここで、空調装置や太陽熱集熱装置50により暖房が行われている場合、建物10内においては吹抜開口部18等を通じて屋根裏空間部に暖気が溜まりやすい。したがって、屋根裏空間部の暖気を再び各階空間15a,16aに戻すことにより吹抜空間を含んで各階空間15a,16aの暖房効率が向上する。
【0071】
図4(c)に示す太陽熱集熱制御の内容は、集熱空間42,46の一方に外気を取り込み他方に内気を取り込むという点が図4(a)と異なっている。具体的には、第1集熱空間42については、外気取込通路53の通気遮断バルブ76が閉状態とされている一方で内気取込通路55の通気遮断バルブ76が開状態とされている。第2集熱空間46については、外気取込通路63の通気遮断バルブ76が開状態とされる一方で内気取込通路65の通気遮断バルブ76が閉状態とされている。
【0072】
この場合、連通口72,73の各給気ファン77の駆動に伴って、内気が第1集熱空間42を通じて各階空間15a,16aに供給され、外気が第2集熱空間46を通じて各階空間15a,16aに供給される。つまり、各階空間15a,16aの換気と内気循環とが同時に行われる。したがって、仮に外気が内気に比べて低温であっても、各階空間15a,16aの換気を行う上でその各階空間15a,16aの暖房効率の低下が抑制される。
【0073】
図4(d)には、太陽熱集熱装置50による暖房を行わずに、集熱空間42,46に付与された熱気を屋外に放出する場合の集熱空間42,46の空気の流れを示す。具体的には、外気取込通路53,63、暖気放出通路54,64の各通気遮断バルブ76が開状態とされ、内気取込通路55,65、暖気供給通路56,66の各通気遮断バルブ76が閉状態とされている。ここで、集熱空間42,46においては太陽熱により空気が暖められることで上昇気流が生じているため、その上昇気流によって外気取込通路53,63からの外気の流れ込みと暖気放出通路54,64からの暖気の放出が行われる。したがって、夏期等において集熱空間42,46に太陽熱が滞留して屋根裏空間部や各階空間15a,16aの温度が上昇するということを抑制できる。
【0074】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0075】
傾斜屋根部22の上において、太陽光パネル32の下方に形成された第1集熱空間42に加えて、太陽光パネル32の非設置部分において集熱板37の下方に形成された第2集熱空間46にも太陽熱を集熱することが可能となるため、建物10において暖房等に利用できる熱エネルギの取得量を増やすことができる。したがって、傾斜屋根部22において棟部S1や軒先部S2、けらば部S3などが太陽光パネル32の非設置部分とされていても、その非設置部分を使用することで傾斜屋根部22における集熱範囲を拡張できる。これにより、したがって、太陽光が有する光エネルギ及び熱エネルギの両方を利用できる構成において、太陽熱の利用効率を高めることができる。
【0076】
暖気供給通路56,66には通気遮断バルブ76が個別に設けられているため、第1集熱空間42及び第2集熱空間46のうち内部空気が暖房に利用できる程度に暖まっていない集熱空間からは各階空間15a,16aへの暖気の供給を停止することができる。例えば、第1集熱空間42の方が第2集熱空間46より内部空気の暖まりが遅い場合に、第1集熱空間42の内部空気が暖まるまではその第1集熱空間42から各階空間15a,16aへの空気の供給を停止する。これにより、各階空間15a,16aの暖房を行う際に、十分に暖まっていない空気が各階空間15a,16aに供給されることを抑制できる。
【0077】
第1集熱空間42及び第2集熱空間46はいずれも傾斜屋根部22の傾斜に沿って設けられているため、それら集熱空間42,46ではそれぞれの内部空気が温められることで傾斜上方に暖気が集まり、その暖気が各集熱空間42,46の上端部(暖気供給通路56及び暖気供給通路66)からそれぞれ暖気共用通路71に順次取り込まれる。この場合、両方の集熱空間42,46において太陽熱の利用(熱回収)を効率よく実施できる。
【0078】
暖気共用通路71には、集熱空間42,46に加えて屋根裏空間部から空気が流れ込むため、集熱空間42,46にて太陽熱により暖められた空気を暖気として各階空間15a,16aに供給できることに加えて、吹抜空間の上部空間である屋根裏空間部に溜まった暖気を各階空間15a,16aに供給することができる。しかも、それら暖気は各階空間15a,16aの各床側空間部に供給されるため、集熱空間42,46からの暖気供給と同時に、吹抜空間での内部循環を実施でき、特に吹抜空間の床付近における暖房効率を向上させることができる。
【0079】
集熱空間42,46には、外気取込通路53,63がそれぞれ設けられているため、それら集熱空間42,46に取り込まれた外気を暖気として各階空間15a,16aに供給することができる。また、集熱空間42,46に外気を取り込むことで太陽熱集熱装置50による暖房効率の低下が顕著な場合などには、外気取込通路53,63の各通気遮断バルブ76を閉状態とすることにより、集熱空間42,46への外気の取り込みを停止できる。したがって、新鮮な外気を集熱空間42,46を通じて各階空間15a,16aに好適に供給することができる。
【0080】
内気取込通路55,65を通じて第1集熱空間42及び第2集熱空間46に二階空間16aの内気が取り込まれるため、その内気を集熱空間42,46において太陽熱により暖めてから各階空間15a,16aに供給することができる。この場合、集熱空間42,46と各階空間15a,16aとで内気循環が行われるため、吹抜空間を含めた各階空間15a,16aの暖房効率を高めることができる。しかも、内気は集熱空間42,46の下端部分から上端部分まで流れるため、集熱空間42,46にて内気に付与される太陽熱を極力大きくできる。したがって、暖房等に利用できる熱エネルギをより一層増やすことができる。
【0081】
外気取込通路53,63及び内気取込通路55,65の各通気遮断バルブ76の開閉状態が切り替えられることにより、第1集熱空間42及び第2集熱空間46のうち一方を介して外気が各階空間15a,16aに供給されるとともに、他方を介して二階空間16aの内気が各階空間15a,16aに供給される。この場合、一方の集熱空間を介して各階空間15a,16aとの内気循環が行われるため、各階空間15a,16aの暖房効率を高めることができる。しかも、一方の集熱空間により各階空間15a,16aの暖房能力を確保した上で、他方の集熱空間により各階空間15a,16aに屋外の新鮮な空気を供給することができる。
【0082】
集熱板37の上面が太陽光パネル32の受光面32aと同一平面を形成しているため、太陽光パネル32が傾斜屋根部22において上方に突出した状態となることを回避できる。したがって、太陽光パネル32が設置された屋根13の見栄えを良くすることができる。
【0083】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0084】
(1)上記実施形態では、傾斜屋根部22において、棟部S1、軒先部S2及びけらば部S3を太陽光パネル32の非設置部分とし、その非設置部分に集熱板37が設置されているが、これを変更してもよい。例えば、棟部S1、軒先部S2及びけらば部S3のうち、棟部S1及びけらば部S3を太陽光パネル32の非設置部分としてその非設置部分に集熱板37が設置されている構成や、けらば部S3を太陽光パネル32の非設置部分としてその非設置部分に集熱板37が設置されている構成とする。
【0085】
これらの構成においては、集熱板37は、少なくとも傾斜屋根部22の傾斜方向に直交する方向にて太陽光パネル32に隣接して設けられ且つ傾斜屋根部22の傾斜方向に沿って延びる部分を含んで構成されていることが望ましく、こうした太陽光パネル32の隣接部分(例えばけらば部S3に設けられるパネル部分)を有することにより、上記実施形態と同様、両方の集熱空間42,46において太陽熱の利用(熱回収)を効率良く実施できる。
【0086】
また、集熱板37は、傾斜屋根部22の傾斜方向に沿って延びていれば、けらば部S3よりも中央側に配置されていてもよい。つまり、傾斜屋根部22において建物本体12よりも側方に突出した位置ではなく、建物本体12の上方位置に設けられていてもよい。
【0087】
(2)第1集熱空間42及び第2集熱空間46に内気を取り込むための内気取込通路55,65は、二階空間16aに限らず建物10内のいずれかの居住空間に通気可能に通じていればよい。
【0088】
(3)外気取込通路53,63及び内気取込通路55,65は、それぞれ少なくとも一方が設けられていればよい。例えば、外気が第1集熱空間42及び第2集熱空間46の一方に取り込まれ、内気が他方に取り込まれる構成とする。つまり、外気取込通路53,63のうち外気取込通路53が第1集熱空間42に接続されており、内気取込通路55,65のうち内気取込通路65が第2集熱空間46に接続されている構成とする。
【0089】
(4)太陽光パネル32として、シースルー型の太陽光発電パネルを用いることも可能である。この場合、太陽光発電パネルを透過した太陽光の熱が集熱空間において集熱される。
【0090】
(5)上記実施形態では、暖気共用通路71の出口部分(各連通口72,73)に給気ファン77を設け、この給気ファン77の駆動により各通路53〜56,63〜66,71や各集熱空間42,46で空気を流通させる構成としたが、これを変更し、暖気共用通路71の入口部分に給気ファン77を設ける構成としてもよい。
【0091】
(6)上記実施形態では、第1集熱空間42と第2集熱空間46とを仕切部49により仕切り、これら集熱空間42,46から個別に暖気共用通路71に対して空気(暖気)を供給する構成としたが、これを変更し、両集熱空間42、46同士を直接連通する通路を設け、それら集熱空間42,46内で、両集熱空間42,46の空気を混合することができる構成としてもよい具体的には、仕切部49において連通口を1箇所又は複数箇所に設け、その連通口を通じて相互に空気の出入りを可能とする。また、仕切部49の連通口に開閉手段を設け、必要に応じて開放又は閉鎖できるようにする。かかる場合、両集熱空間42,46を傾斜方向上下に並べて設け、これにより、両集熱空間42,46を連通する場合に両集熱空間42,46のうち一方が上流、他方が下流となるように(言うなれば両集熱空間42,46を直列に空気が流通するように)空気が流通する構成としてもよい。
【0092】
(7)コントローラ81は、第1集熱空間42及び第2集熱空間46のうち一方を居住空間への暖気の供給元として設定してもよい。例えば、第1集熱空間42及び第2集熱空間46のうち温度が高い方から居住空間に暖気が供給されるように暖気供給通路56,66の各通気遮断バルブ76の動作制御を行う。この場合、第1集熱空間42及び第2集熱空間46から温度の低い空気が居住空間に供給されることが阻止されるため、太陽熱集熱装置50による居住空間の暖房効率が低下することを抑制できる。
【符号の説明】
【0093】
10…建物、13…屋根、15a…居住空間としての一階空間、16a…居住空間としての二階空間、22…傾斜屋根部、22a…屋根面、32…太陽光発電パネルとしての太陽光パネル、32a…受光面、37…集熱板、41…第1集熱空間、46…第2集熱空間、50…太陽熱集熱装置、53…第1集熱空間の外気取込通路、55…第1内気取込通路としての内気取込通路、56…第1連通部としての暖気供給通路、63…第2集熱空間の外気取込通路、65…第2内気取込通路としての内気取込通路、66…第2連通部としての暖気供給通路、71…給気通路としての暖気共用通路、74…給気通路の取込口としての屋根裏連通口、76…給気遮断手段としての通気遮断バルブ、81…制御手段としてのコントローラ、85…第1温度検出手段としての第1温度センサ、86…第2温度検出手段としての第2温度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜屋根部を有する建物に適用され、
前記傾斜屋根部の上に設けられ、太陽光発電を行う太陽光発電パネルと、
前記傾斜屋根部の上において前記太陽光発電パネルが設置されていない非設置部分に設けられ、太陽熱を集熱する集熱板と、
を備え、
前記傾斜屋根部の屋根面と前記太陽光発電パネルとの間には第1集熱空間が設けられ、
前記傾斜屋根部の屋根面と前記集熱板との間には第2集熱空間が形成されており、
前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間には、これら集熱空間で集熱された空気を前記建物の屋内空間に空気を供給するための給気通路が接続されていることを特徴とする建物の太陽熱集熱装置。
【請求項2】
前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のそれぞれから前記屋内空間への空気の供給を個別に遮断する給気遮断手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項3】
前記第1集熱空間の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記第2集熱空間の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のそれぞれについて検出温度が所定温度よりも低いか否かを判定する手段と、
前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のうち前記検出温度が前記所定温度より低い集熱空間を対象として、前記屋内空間への空気の供給を前記給気遮断手段に遮断させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項4】
前記集熱板は、前記傾斜屋根部の傾斜方向に直交する方向にて前記太陽光発電パネルに隣接して設けられ且つ前記傾斜屋根部の傾斜方向に沿って延びる部分を含んで構成され、
前記第1集熱空間は、該第1集熱空間の屋根傾斜方向の上端部分において第1連通部を介して前記給気通路に連通され、
前記第2集熱空間は、該第2集熱空間の屋根傾斜方向の上端部分において第2連通部を介して前記給気通路に連通されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項5】
前記建物には、前記傾斜屋根部の下方の屋根裏空間部を含むようにして吹抜空間が設けられており、
前記吹抜空間の天井部分には、前記屋根裏空間部の空気を前記給気通路に取り込む取込口が設けられており、
前記給気通路は、上下方向に延びる縦通路部を有し、前記給気通路に流入した空気が前記縦通路部を介して前記吹抜空間の床側空間部に供給されることを特徴とする請求項4に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項6】
前記第1集熱空間における屋根傾斜方向の下端部分には、前記屋内空間から内気を取り込むための第1内気取込通路が接続されており、
前記第2集熱空間における屋根傾斜方向の下端部分には、前記屋内空間から内気を取り込むための第2内気取込通路が接続されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項7】
前記第1集熱空間及び前記第2集熱空間のうち一方には前記屋内空間の内気が取り込まれ、他方には外気が取り込まれる構成としたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建物の太陽熱集熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−2665(P2013−2665A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131808(P2011−131808)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】