説明

建物の床下換気構造

【課題】床下における結露の発生を好適に抑制することができる建物の床下換気構造を提供する。
【解決手段】基礎11の上方には建物10が設けられている。基礎11の天端13と建物10の土台18との間にはスペーサ17が介在され、このスペーサ17により連通路23が形成されている。基礎11により囲まれた床下空間15と屋外空間とは連通路23により連通されている。基礎11の屋外側には、ガイド部材35が設けられている。ガイド部材35は、基礎11の外表面に対向して設けられ、その外表面とガイド部材35との間には通過空気の除湿を行う通気路39が形成されている。通気路39は、連通路23を介して床下空間15に通じており、外気は通気路39及び連通路23を通じて床下空間15に流れ込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床下換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物においては、一般に基礎等によって囲まれた床下空間が形成されている。床下空間にはその構造上湿気が溜まり易い。そのため、基礎とその上方に設けられた建物との間に隙間を設ける等して床下空間と屋外とを連通し、その連通路を通じて床下空間の換気を行うようにしている。
【0003】
ところで、夏場は屋外が高温多湿となっているのに対し、床下空間は比較的低温となっている。そのため、湿気を含んだ外気が上記連通路を通じて床下空間に流れ込むと、床下において結露が生じるおそれがある。結露が生じると、木材からなる床材が腐朽したり床下に設置された鋼材に錆が発生したりするため問題となる。そこで、その対策として床下に外気の水分を吸収する調湿面材を設け、この調湿面材により床下空間を除湿する方法が考えられている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−56518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、夏場には外気の高湿状態が長時間継続されるため、上記特許文献1の技術では、調湿面材による吸湿量が飽和する可能性がある。その場合、調湿面材による吸湿機能が働かなくなり、その結果床下空間に湿気が溜まるおそれがある。したがって、上記の技術は、床下における結露の発生を抑制するにあたり未だ改善の余地があるといえる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、床下における結露の発生を好適に抑制することができる建物の床下換気構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の床下換気構造は、基礎により囲まれた床下空間と屋外空間とを連通する床下換気通路を通じて前記床下空間の換気が行われる建物の床下換気構造であって、前記基礎の外表面に対向して設けられ、その外表面との間に前記床下換気通路の一部であり通過空気の除湿を行う除湿通路部を形成するガイド部材を備えることを特徴とする。
【0008】
一般に地中の温度は季節による変動が少ないため夏場には地中の温度が外気温よりも低くなることが想定される。ここで、基礎は地中に一部埋没して設けられるため、夏場には地中の冷熱により冷やされて外気よりも低温となっていることが考えられる。そこで、本発明ではこの点に着目し、基礎の冷熱により外気(通過空気)を冷やして結露を生じさせ、その結露により外気を除湿することとしている。そして、その除湿された外気を床下空間に取り込むこととしている。具体的には、基礎の外表面に対向してガイド部材を設けることで基礎とガイド部材との間に除湿通路部を形成し、この除湿通路部を通じて外気を床下空間に導く。この場合、外気が基礎の外表面に沿って床下空間に導かれるため、外気は基礎により除湿されてから床下空間に入る。これにより、床下における結露の発生を抑制することができる。また、基礎が冷えている限りその除湿効果が持続されるため、外気の高湿状態が長期にわたり継続する夏場においても好適に結露の発生を抑制できる。
【0009】
第2の発明の建物の床下換気構造は、第1の発明において、前記ガイド部材は、前記基礎の立ち上がり部の屋外側面に対向して設けられ、前記除湿通路部は、前記立ち上がり部の屋外側面と前記ガイド部材との間に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、基礎の立ち上がり部の屋外側面に対向して設けられたガイド部材により外気が同立ち上がり部の屋外側面に沿って床下空間に導かれる。この場合、基礎に対する外気の接触面積を大きくすることができるため、外気の除湿効果を高めることができる。これにより、床下における結露の発生をより一層抑制することができる。
【0011】
第3の発明の建物の床下換気構造は、第1又は第2の発明において、前記基礎の外表面とそれに対向する前記ガイド部材との間には、前記除湿通路部の通路長を前記除湿通路部の通路入口部から通路出口部までに相当する前記基礎の外表面長さよりも長くする通路延長部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、除湿通路部の通路長を、除湿通路部の通路入口部から通路出口部までに相当する基礎の外表面長さよりも長くすることができるため、除湿通路部において基礎に対する通過空気の接触時間を長くすることができる。これにより、基礎における結露の発生を促進することができるため、外気の除湿効果を高めることができる。したがって、床下空間における結露の発生のさらなる抑制を図ることができる。
【0013】
第4の発明の建物の床下換気構造は、第3の発明において、前記床下空間には、前記除湿通路部を通じて当該床下空間に外気を引き込むファン装置が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ファン装置により床下空間へ外気を積極的に導くことができるため、除湿通路部に仕切部材を設けた場合でも床下空間の換気性能の低下を抑制でき、ひいては床下空間に外気が停滞して湿気がこもるのを抑制できる。
【0015】
第5の発明の建物の床下換気構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記床下換気通路を開閉する開閉部材と、屋外の湿度が所定の湿度以上になった場合に、前記床下空間への外気の流入を遮断すべく前記開閉部材を閉状態とする閉鎖手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、屋外の湿度が所定以上となった場合には、開閉部材により床下換気通路が閉鎖され床下空間への外気の流入が遮断されるため、梅雨場等外気の湿度がとりわけ高く基礎による除湿が追いつかない場合でも床下空間に結露が生じるのを抑制できる。
【0017】
第6の発明の建物の床下換気構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記建物における外壁部の下方には、前記外壁部の表面に沿って流下する水を前記基礎よりも屋外側へ排出する水切り材が取り付けられており、前記ガイド部材は、前記水切り材により構成されていることを特徴とする。
【0018】
一般に建物の外壁部の下方には、同外壁部の表面に沿って流下する雨水を基礎よりも外側へ排出する水切り材が設けられている。そこで、本発明では、この水切り材をガイド部材として兼用することとしている。これにより、部品点数の増加を抑制しつつ第1乃至第5の発明の効果を得ることができる。
【0019】
第7の発明の建物の床下換気構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記床下空間の地盤面上には、地盤断熱材が敷設されていることを特徴とする。
【0020】
上述したとおり、夏場には地中の温度が外気温よりも低くなり、その結果床下空間が屋外よりも低温となることが想定される。本発明では、この点に着目し、床下空間の地盤面上に地盤断熱材を敷設し、これにより地盤の冷えが床下空間側に伝わるのを抑制している。この場合、床下における結露の発生を好適に抑制することができる。また、地盤の冷えが床下空間に伝わるのを抑制することで地盤の冷えを基礎へ集中させることができるため、基礎の冷熱による除湿効果を高めることができる。
【0021】
第8の発明の建物の床下換気構造は、第7の発明において、前記床下空間の地盤面上には、放射熱を反射する熱反射材が設けられていることを特徴とする。
【0022】
ところで、床下空間の地盤面は上述した地中からの冷えにより冷やされる他に、同地盤面からの熱放射によっても冷やされると考えられる。そこで、本発明では、地盤面上に放射熱を反射する熱反射材を設け、これにより地盤面からの熱放射を抑制することとしている。この場合、地盤面からの熱放射に伴う同地盤面の冷え(温度低下)を抑制できるため、その結果地盤面による床下空間の冷えを抑制できる。これにより、床下における結露の発生を抑制する効果を高めることができる。
【0023】
第9の発明の建物の床下換気構造は、第7又は第8の発明において、前記基礎の立ち上がり部の内側面には、前記地盤断熱材に連続して基礎断熱材が設けられていることを特徴とする。
【0024】
一般に基礎は地中に一部埋没されて設けられるため、地中の冷えが基礎を介して床下空間に伝達されることが想定される。そこで、本発明では、地盤面上に断熱材を設けることに加え、基礎の立ち上がり部の内側面に断熱材を設けることとしている。これにより、地中の冷えが基礎を介して床下空間に伝わるのを抑制できるため、床下における結露の発生をより一層抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】基礎周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】ガイド部材の構成を示す横断面図。
【図3】床下換気通路の開閉機構を示す縦断面図。
【図4】仕切材を備えたガイド部材を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、木造軸組工法により構築された建物について具体化している。なお、図1は基礎周辺の構成を示す縦断面図である。
【0027】
図1に示すように、建物10が構築される地盤には、鉄筋コンクリート造の布基礎からなる基礎11が設けられており、その基礎11上に建物10が設置されている。基礎11は、地盤内部に埋設されたフーチング部11aと、その上方に延びる立ち上がり部11bとからなる。基礎11は、建物外周部に沿って設けられており、基礎11により囲まれた内側空間は床下空間15となっている。
【0028】
基礎11の天端13上には、ゴムパッキン等からなるスペーサ17が設けられている。スペーサ17は、基礎11の延びる方向に沿って所定間隔で複数設けられている。スペーサ17上には木製角材からなる土台18が設置されている。土台18は、基礎11の天端13に沿って延び、基礎11から延びるアンカーボルト(図示略)により固定されている。この場合、基礎11の天端13と土台18の下面との間にはスペーサ17の高さ分の間隙が形成されており、この間隙(以下、この間隙を連通路23という)を介して床下空間15と屋外とが連通されている。これにより、この連通路23を通じて床下空間15への外気の出入りが、すなわち床下空間15の換気が可能となっており、そのため床下空間15に湿気が溜まるのが抑制されている。なお、本実施形態では、建物外周部の全域に連通路23が形成されており、所謂全周換気が実現されている。
【0029】
土台18上には、屋内外を仕切る外壁部21が設けられている。外壁部21は、外装材や内装材等を備えてなる。土台18の屋内側には、屋内と床下空間15とを仕切る床部22が設けられている。床部22は、床面材やそれを下方から支持する根太等を備えてなる。また、床部22には床下断熱材が設けられ、いわゆる床断熱工法が採用されている。
【0030】
ところで、一般に地中の温度は季節による変動が少ないため夏場には地中の温度が外気温よりも低くなる。そのため、地中の冷えが地盤面を介して床下空間15に伝わり、その結果床下空間15が屋外よりも低温となることが想定される。この場合、高温多湿の外気が床下空間15に入り込むと外気が冷やされ結露が生じる。そして、結露が生じると床下に設けられた土台18等が腐朽する等の不都合が生じうる。そこで、本実施形態では、その対策として床下及び基礎11周辺に特徴的な構成を有しており、以下ではその詳細を説明する。
【0031】
床下空間15の地盤(以下、床下地盤28という)上には、地盤断熱材31が設けられている。地盤断熱材31は、発泡ポリエチレン等の発泡体からなる発泡系断熱材により構成され、床下地盤28の地盤面に沿って設けられている。具体的には、地盤断熱材31は、床下地盤面の全域に設けられている。
【0032】
基礎11の立ち上がり部11bの内側面(床下空間15に面した側の側面)には、地盤断熱材31に連続して基礎断熱材32が設けられている。基礎断熱材32は、例えば地盤断熱材31と同様、発泡ポリエチレン等の発泡体からなる発泡系断熱材により構成されている。基礎断熱材32は、基礎11の立ち上がり部11bの内側面において床下地盤28より露出した露出面全域(詳しくは地盤断熱材31により覆われている部分を除く)に設けられている。
【0033】
地盤断熱材31及び基礎断熱材32の表面には、熱反射材としての熱反射シート34が設けられている。熱反射シート34は、熱反射性能に優れたアルミニウム等の金属からなるシート部材であり、本実施形態ではアルミ箔により形成されている。熱反射シート34は、地盤断熱材31の表面と基礎断熱材32の表面とに跨って設けられており、詳しくはこれら各断熱材31,32の表面全域に設けられている。熱反射シート34は、各断熱材31,32の表面に接着材等により貼り付けられている。
【0034】
なお、熱反射シート34は、必ずしも各断熱材31,32の表面側に設ける必要はなく、各断熱材31,32の裏面側に設けてもよい。
【0035】
ここで、基礎11は上述したように地盤に一部埋没して設けられているため、夏場には床下地盤28と同様に地中の冷熱により冷やされていると考えられる。そこで、本実施形態では、基礎11の冷熱を利用して外気を冷やし結露を生じさせ、その結露により除湿された外気を床下空間15に取り込むこととしている。以下、それを実現するための構成を説明する。
【0036】
基礎11の屋外側には、ガイド部材35が設けられている。図2は、図1のA−A線断面図である。図1及び図2に示すように、ガイド部材35は、基礎11の長手方向に沿って延びるように形成されている。ガイド部材35は、土台18の屋外側面にビス等により取り付けられた取付板部35aと、基礎11の立ち上がり部11bの屋外側面に対向して設けられたガイド板部35bとを備える。ガイド部材35は、例えば熱伝導率の低い樹脂材料からなる。また、本実施形態では、ガイド部材35が外壁部21の表面に沿って流下する雨水を基礎11よりも屋外側に排出する水切り材により構成されている。
【0037】
ガイド板部35bと基礎11の立ち上がり部11bの屋外側面との間には通気路39が形成されている。なおここで、通気路39が除湿通路部に相当し、通気路39と上記連通路23とにより床下換気通路が構成されている。通気路39は、連通路23を介して床下空間15に通じている。ガイド板部35bの下端部と屋外の地盤面との間には所定の隙間(以下、外気導入口41という)が設けられており、この外気導入口41から外気が通気路39に入り同通気路39(及び連通路23)を通じて床下空間15に流れ込む。つまり、このガイド板部35bによって外気は基礎11の立ち上がり部11bの外側面に沿って床下空間15に導かれる。
【0038】
通気路39には、当該通気路39を流れる外気を冷やすためのフィン43が設けられている。フィン43は、熱伝導に優れたアルミニウム等の金属材からなり、上下方向に沿って長尺状にかつ平板状に形成されている。フィン43は、その短手方向を屋内外方向に向けた状態で通気路39に設けられ、屋外側の端部がガイド部材35のガイド板部35bに固定されている。一方、フィン43の屋内側の端部は基礎11の立ち上がり部11bに接触しており、それ故フィン43にはその接触部を通じて基礎11の冷熱が伝達される。したがって、フィン43は基礎11の冷熱により冷やされる。また、通気路39には、フィン43が複数設けられており、これら各フィン43は基礎11の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。
【0039】
上記の構成において、外気が外気導入口41より通気路39に入ると、外気は通気路39において各フィン43の間を通じて上方に、つまり床下空間15側に流れる。このとき、外気は基礎11の立ち上がり部11b及びフィン43と接触するため、基礎11及びフィン43によって冷却される。そのため、基礎11の立ち上がり部11bの外側面及びフィン43の表面には結露が生じ、その結果外気が除湿される。これにより、床下空間15には除湿された外気が入り込む。よって、この場合床下空間15における結露の発生が抑制される。
【0040】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0041】
基礎11の外表面に対向して設けられることでその外表面との間に通気路39を形成するガイド部材35を備え、外気を床下空間15に通気路39を通じて導くようにした。この場合、外気が基礎11の外表面に沿って床下空間15に導かれるため、地中の冷熱により冷やされた基礎11により外気を冷却し除湿することができる。これにより、その除湿された外気を床下空間15に取り込むことができるため、床下における結露の発生を抑制することができる。また、基礎11が冷えている限りその除湿効果が持続されるため、外気の高湿状態が長期にわたり継続する夏場においても好適に結露の発生を抑制できる。
【0042】
ガイド部材35(詳細にはガイド板部35b)を基礎11の立ち上がり部11bの屋外側面に対向して設けることで、立ち上がり部11bの屋外側面とガイド部材35との間に通気路39を形成した。この場合、基礎11に対する外気の接触面積を大きくすることができるため、外気の除湿効果を高めることができる。これにより、床下における結露の発生をより一層抑制することができる。
【0043】
通気路39に、基礎11に接触させた状態でフィン43を設けた。この場合、基礎11の冷熱がフィン43に伝わりフィン43が冷やされるため、基礎11だけではなくフィン43によっても外気を冷やすことができる。これにより、結露の発生を促進させ外気の除湿効果を高めることができるため、床下の結露発生をさらに抑制できる。
【0044】
水切り材を用いてガイド部材35を構成した。つまり、水切り材を、基礎11に沿って外気を床下空間15に導くガイド部材35として兼用した。この場合、部品点数の増加を抑制しつつ床下空間15における結露の発生を抑制できる。
【0045】
床下地盤28上に地盤断熱材31を敷設したため、床下地盤28面の冷えが床下空間15側に伝わるのを抑制できる。この場合、床下における結露の発生を好適に抑制できる。また、地盤の冷えが床下空間15に伝わるのを抑制することで地盤の冷えを基礎11へ集中させることができるため、基礎11の冷熱による除湿効果を高めることができる。
【0046】
基礎11の立ち上がり部11bの内側面に基礎断熱材32を設けたため、地中の冷えが基礎11を介して床下空間15に伝わるのを抑制できる。これにより、床下における結露の発生をより一層抑制できる。
【0047】
床下地盤28上に放射熱を反射する熱反射シート34を設けたため、床下地盤面からの熱放射を抑制することができる。この場合、床下地盤面からの熱放射に伴う同地盤面の冷えを抑制できるため、その結果床下地盤面により床下空間15が冷やされるのを抑制できる。これにより、床下における結露の発生を抑制する効果を高めることができる。
【0048】
また、熱反射シート34を基礎11の立ち上がり部11bの内側にも設けたため、立ち上がり部11bの内側面からの熱放射に伴う同側面の冷えについても抑制できる。
【0049】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0050】
(1)上記実施形態では、ガイド部材35を基礎11の立ち上がり部11bの外側面(屋外側面)に対向して設けたが、立ち上がり部11bの天端13又は内側面に対向して設けてもよい。また、ガイド部材を基礎11の立ち上がり部11bの両側面及び天端13の各面のうち複数の面に対向して設けてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、フィン43をガイド部材35に一体に設けたが、フィン43を基礎11の立ち上がり部11bに取り付ける等して同立ち上がり部11b一体に設けてもよい。その場合、フィン43をガイド部材35のガイド板部35bと接触しないように設けるのが望ましい。そうすれば、外気の熱がガイド部材35を介してフィン43に伝わるのを、さらにはフィン43を介して基礎11に伝わるのを抑制できるため、基礎11及びフィン43の温度上昇を抑制できる。また、フィン43とガイド部材35との間に熱伝導率の低い断熱材等を介在させても同様の効果が得られる。なお、フィン43は必ずしも設ける必要はない。
前記除湿通路部には、当該除湿通路部における前記通過空気の入口部から出口部までの前記基礎の外縁長さよりも前記除湿通路部の通路長を長くする通路延長部材が設けられていることを特徴とする。
【0052】
本発明によれば、除湿通路部における通過空気の入口部から出口部までの基礎の外縁長さよりも除湿通路部の通路長を長くすることができるため、除湿通路部において基礎に対する通過空気の接触時間を長くすることができる。これにより、基礎における結露の発生を促進することができるため、外気の除湿効果を高めることができる。したがって、床下空間における結露の発生のさらなる抑制を図ることができる。
【0053】
(3)通気路39に、当該通気路39の通路長を、通気路39の通路入口部から通路出口部までに相当する基礎11の外表面長さよりも長くする通路延長部材を設けてもよい。図3にはその具体例を示す。図3(a)に示すように、本例のガイド部材40には、ガイド板部40aより基礎11の立ち上がり部11b側に延びる複数の仕切板部40bが設けられている。詳細には、仕切板部40bの端部は基礎11の立ち上がり部11bの外側面に当接している。ここで、仕切板部40bが上記通路延長部材に相当する。ガイド部材40は、つまりガイド板部40a等と仕切板部40bとは、例えば樹脂材料により一体形成されている。
【0054】
図3(b)に示すように、各仕切板部40bは、ガイド板部40aの長手方向に沿って長尺状に形成されている。各仕切板部40bは、ガイド板部40aに対して上下方向に多段にかつ上下方向に見て一段ずつ互い違いに(つまり千鳥状に)配置されており、通気路39に入った外気は隣り合う仕切板部40bの間を通って床下空間15へ導かれる。したがって、外気は仕切板部40bにより床下空間15に迂回して導かれる。この場合、通気路39において基礎11に対する外気の接触時間を長くすることができるため、基礎11における結露の発生を促進させることができ、その結果外気の除湿効果を高めることができる。これにより、床下空間15における結露の発生のさらなる抑制を図ることができる。
【0055】
なお、上記の仕切板部40bは必ずしも千鳥状に配置する必要はなく、渦巻き状等その他の配置態様で配置してもよい。また、通路延長部材をフィンにより構成してもよい。そうすれば、通路延長部材による上記の効果と、フィンによる除湿効果とを部品点数の増大を伴うことなく得ることができる。
【0056】
(4)床下空間15に通気路39を通じて外気を床下空間15に引き込むファン装置を設けてもよい。この場合、ファン装置により床下空間15へ外気を積極的に導くことができるため、床下空間15の換気効率を向上させることができ、その結果床下空間15に外気が停滞して湿気がこもるのを抑制できる。特に、通気路39に仕切部材を設けることで換気性能の低下が懸念される上記(3)の構成の場合には好都合といえる。
【0057】
また、屋外の温度又は屋外の湿度を検知する検知手段(例えば温度センサや湿度センサ等)と、その検知手段により検知された屋外の温度又は屋外の湿度が所定値以上になった場合にファン装置を作動させる制御手段(例えばコントローラ等)とを設けてもよい。そうすれば、屋外が高温多湿となった場合にファン装置による床下空間15の換気が自動で行われる。そのため、床下空間15において結露を生じさせやすい高温多湿の外気が同空間15に停滞するのを抑制するに際し都合がよい。
【0058】
(5)床下換気通路を開閉する開閉部材と、屋外の湿度が所定以上になった場合に床下空間15への外気の流入を遮断すべく開閉部材を閉状態とする閉鎖手段とを備える構成としてもよい。以下、その具体例を図4に基づいて説明する。
【0059】
図4に示すように、連通路23には、当該連通路23を開閉する開閉板51が設けられている。開閉板51は、基礎11の長手方向(連通路23の延びる方向)に沿って長尺状に形成された平板からなり、その短手方向を屋内外方向に向けた状態で連通路23に設けられている。開閉板51は、その床下空間15側の端部が土台18の下面に取り付けられたヒンジ52により回動可能に軸支されており、その回動によって開閉板51が連通路23を開閉する構成となっている。具体的には、開閉板51の屋外側端部が基礎11の立ち上がり部11bの天端13から上方に離間されて連通路23が開放される開位置(図4(a)参照)と、開閉板51の屋外側端部が立ち上がり部11bの天端13に当接されて連通路23が閉鎖される閉位置(図4(b)参照)との間で、開閉板51が回動可能とされている。
【0060】
開閉板51の屋外側端部には、長尺状をなす湿度伸縮部材54の一端が取り付けられており、その他端は上方に延びてガイド部材56に取り付けられている。具体的には、湿度伸縮部材54は、リング部材55を介して開閉板51及びガイド部材56に取り付けられている。湿度伸縮部材54は、湿度の変化に基づいて伸縮する部材であり、詳細には湿度が高くなると伸び湿度が低くなると縮む性質を有している。湿度伸縮部材54としては、例えば馬毛やナイロンテープ等を用いることができる。
【0061】
上記の構成において、外気の湿度が低い場合には、図4(a)に示すように、湿度伸縮部材54が縮んで開閉板51の屋外側端部が湿度伸縮部材54により上方に持ち上げられる。この場合、連通路23が開放されるため、連通路23(及び通気路39)を通じて床下空間15に外気が取り込まれる。一方、外気の湿度が高い場合には、図4(b)に示すように、湿度伸縮部材54が延びて開閉板51の屋外側端部が基礎11の立ち上がり部11bの天端13上に降ろされる。この場合、開閉板51により連通路23が閉鎖されるため、同連通路23を通じた床下空間15への外気の取り込みが遮断される。そのため、梅雨場等外気の湿度がとりわけ高く基礎11による除湿が追いつかない場合でも床下空間15に結露が生じるのを抑制することができる。
【0062】
なお、開閉部材により連通路23を開閉する構成に代えて、開閉部材により通気路39を開閉する構成としてもよい。
【0063】
(6)水切り材を冷却する冷却装置を別途設け、この冷却装置により水切り材を冷却することで水切り材に結露を生じさせるようにしてもよい。この場合、外気の除湿効果を高めることができるため、床下空間15に湿気が入るのをより一層抑制できる。また、連通路23を形成している土台18を冷却装置により冷却してもよい。この場合にも同様の効果が得られる。
【0064】
(7)上記実施形態では、ガイド部材50を水切り材により構成したが、ガイド部材50は必ずしも水切り材により構成する必要はなく別途構成してもよい。
【0065】
(8)上記実施形態では、ガイド部材35を土台18にビスにより固定したが、ガイド部材35を土台18に対して着脱自在に取り付けてもよい。具体的には、土台18の外表面にフック等の係合部を設ける一方、ガイド部材35にはその係合部に係合される被係合部を設けることが考えられる。この場合、ガイド部材35の長期の使用により通気路39に詰まったごみを除去する際等に、ガイド部材35を容易に取り外せるため便利である。
【0066】
(9)上記実施形態では、基礎11の立ち上がり部11bの天端13と土台18との間に連通路23が設けられている場合を例に説明したが、基礎11の立ち上がり部11bに同立ち上がり部11bを厚み方向に貫通するようにして連通路(例えば矩形状の貫通孔からなる)が設けられている場合にも本発明を適用できる。この場合、ガイド部材を連通路の開口面積よりも大きく形成し、同ガイド部材を基礎11の立ち上がり部11bの屋外側面に対向させ、かつ、連通路の開口全体を覆った状態で設けることが考えられる。そうすれば、連通路の開口部の周囲にガイド部材と基礎とに挟まれた除湿通路部が形成され、外気をこの除湿通路部を通じて連通路に導くことができる。
【0067】
(10)上記実施形態では、木造軸組工法により構築された建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、建物ユニットにより構築されるユニット式建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。例えば、ユニット式建物では、床下に金属製の形鋼からなる床梁が設置されているため、本発明を適用することで結露により床梁に錆びが発生するのを抑制できる。
【符号の説明】
【0068】
10…建物、11…基礎、11b…立ち上がり部、15…床下空間、23…連通路、31…地盤断熱材、32…基礎断熱材、34…熱反射材としての熱反射シート、35…ガイド部材、39…除湿通路部としての通気路、51…開閉部材としての開閉板、54…閉鎖手段としての湿度伸縮部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎により囲まれた床下空間と屋外空間とを連通する床下換気通路を通じて前記床下空間の換気が行われる建物の床下換気構造であって、
前記基礎の外表面に対向して設けられ、その外表面との間に前記床下換気通路の一部であり通過空気の除湿を行う除湿通路部を形成するガイド部材を備えることを特徴とする建物の床下換気構造。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記基礎の立ち上がり部の屋外側面に対向して設けられ、
前記除湿通路部は、前記立ち上がり部の屋外側面と前記ガイド部材との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の床下換気構造。
【請求項3】
前記基礎の外表面とそれに対向する前記ガイド部材との間には、前記除湿通路部の通路長を前記除湿通路部の通路入口部から通路出口部までに相当する前記基礎の外表面長さよりも長くする通路延長部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の床下換気構造。
【請求項4】
前記床下空間には、前記除湿通路部を通じて当該床下空間に外気を引き込むファン装置が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の建物の床下換気構造。
【請求項5】
前記床下換気通路を開閉する開閉部材と、
屋外の湿度が所定の湿度以上になった場合に、前記床下空間への外気の流入を遮断すべく前記開閉部材を閉状態とする閉鎖手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の床下換気構造。
【請求項6】
前記建物における外壁部の下方には、前記外壁部の表面に沿って流下する水を前記基礎よりも屋外側へ排出する水切り材が取り付けられており、
前記ガイド部材は、前記水切り材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物の床下換気構造。
【請求項7】
前記床下空間の地盤面上には、地盤断熱材が敷設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に建物の床下換気構造。
【請求項8】
前記床下空間の地盤面上には、放射熱を反射する熱反射材が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の建物の床下換気構造。
【請求項9】
前記基礎の立ち上がり部の内側面には、前記地盤断熱材に連続して基礎断熱材が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の建物の床下換気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−247018(P2011−247018A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122823(P2010−122823)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】