建物内サービスシステム
【課題】居住者が、自分の住戸に留まったまま、人との対面を省略して、欲しい商品を購入して、速やかに受取ることができる賃貸マンションを提供する。
【解決手段】建物内搬送装置は、賃貸マンションに装備され、各住戸へ個別に物品を搬送可能になっている。居住者がタッチパネルを介して商品を購入すると、建物内搬送装置が作動し、購入商品は、自販機型商品供給装置から建物内搬送装置へ渡され、建物内搬送装置により居住者の住戸へ搬送される(STEP101〜104)。購入商品が居住者の住戸に到着しだい、居住者に購入商品の代金を課金され、後日、家賃等と共に請求して、支払いを受ける(STEP105,106)。
【解決手段】建物内搬送装置は、賃貸マンションに装備され、各住戸へ個別に物品を搬送可能になっている。居住者がタッチパネルを介して商品を購入すると、建物内搬送装置が作動し、購入商品は、自販機型商品供給装置から建物内搬送装置へ渡され、建物内搬送装置により居住者の住戸へ搬送される(STEP101〜104)。購入商品が居住者の住戸に到着しだい、居住者に購入商品の代金を課金され、後日、家賃等と共に請求して、支払いを受ける(STEP105,106)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の搬送装置を使って建物内の各顧客へサービスを提供する建物内サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、集合住宅に配備される物流システムを開示する。該物流システムでは、物品が集合住宅において地下スペースから地上の各住戸へ一方向へ自動配送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−48005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物流システムは、集合住宅内において物品を地下スペースから指定の各住戸へ単に搬送するのみであり、各住戸の居住者に対しては物品の搬送以外のサービスは提供していない。
【0005】
建物が住戸や部屋等の複数の区画に区画されている場合に、各区画の住人等が、自分の区画に留まりつつ、所望の用事を済ませることができるサービスの提供があれば、建物の価値を高めることができる。
【0006】
本発明の目的は、建物内搬送装置を使用して、建物の付加価値を高めることができる建物内サービスシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の建物内サービスシステムは、建物内に配備され該建物内において各顧客区画と物品保管場所との間で物品を搬送する搬送装置と、各顧客区画に配備され顧客が指示を出す端末機と、建物内通信経路を介して各端末機と双方向通信自在になっているホスト機とを備える。前記ホスト機は、各端末機からの顧客の指示を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた各顧客からの指示に対し物品を該顧客の顧客区画と前記物品保管場所との間で前記搬送装置に搬送させる搬送制御手段と、前記搬送装置による搬送物品の顧客に該搬送物品についての料金を課す課金手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、各顧客区画と物品保管場所との間で物品を搬送する搬送装置と共に、各顧客区画に配備された端末機と、各端末機と双方向通信自在となっているホスト機とが備えられ、各顧客区画の顧客が、自分の区画の端末機を操作して、ホスト機の受付手段に指示を出すことにより、搬送制御手段が顧客区画と物品保管場所との間で該指示に従った物品の搬送を行う。また、課金手段が端末機から指示を出した建物内の各区画の顧客に対して課金を行うので、有料サービスに支障なく対応できる。こうして、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、物品の受け渡しを伴う充実したサービスを受けることができることになり、建物の付加価値を高めることができる。
【0009】
第2発明の建物内サービスシステムは、第1発明の建物内サービスシステムにおいて、前記課金手段は、前記物品保管場所に保管され各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入し前記物品保管場所から該顧客区画へ搬送する購入商品に対し、その購入料金を該顧客に課金することを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、商品の購入、受取りを行うことができる。
【0011】
第3発明の建物内サービスシステムは、第2発明の建物内サービスシステムにおいて、前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入したサービスの対象とされ該顧客の顧客区画から前記物品保管場所へ搬送するサービス対象物品に対し、該サービス対象物品に応じた料金を購入者としての該顧客に課金することを特徴とする。
【0012】
第3発明によれば、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、自分の区画から外への物品の搬出が必要となるサービスの提供を受けることができる。
【0013】
第4発明の建物内サービスシステムは、第3発明の建物内サービスシステムにおいて、前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの物品が複数、存在するとき、前記物品保管場所から前記顧客区画への物品搬送を前記顧客区画から前記物品保管場所への物品搬送よりも優先して前記搬送装置に行わせる事を特徴とする。
【0014】
第4発明によれば、購入商品についての物品保管場所からの顧客区画への搬送が、サービス対象品についての顧客区画から物品保管場所への搬送よりも優先される結果、各区画の顧客が受取り及び引き取らせる物品間において緊急性に応じた物品の搬送が実施され、全体の顧客満足度を上げることができる。
【0015】
第5発明の建物内サービスシステムは、第4発明の建物内サービスシステムにおいて、前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの購入商品が複数、存在するとき、飲食品を非飲食品より優先して前記搬送装置に搬送させることを特徴とする。
【0016】
第5発明によれば、購入商品の内、飲食品についての搬送が、非飲食品についての搬送よりも優先される結果、飲食品及び非飲食品間において緊急性に応じた物品の搬送が実施され、顧客満足度を上げることができる。
【0017】
第6発明の建物内サービスシステムは、第5発明の建物内サービスシステムにおいて、前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して受取りを了解して前記物品保管場所から該顧客の顧客区画へ搬送する代引き宅配品に対し、該代引き宅配品を前記物品保管場所へ配達した宅配員の代引き処理機と通信接続されて、該代引き処理機へ代引き料金の立替払い承諾データを送信するとともに、該顧客に代引き料金を課金することを特徴とする。
【0018】
第6発明によれば、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、自分の区画宛ての代引き宅配品を受取ることができる。
【0019】
第7発明の建物内サービスシステムは、第1〜第6発明のいずれかの発明の建物内サービスシステムにおいて、前記ホスト機は、前記搬送装置により搬送中の物品について搬送経路における現在位置を検出する現在位置検出手段と、搬送中の物品についての指示を出した顧客区画の端末機へ、前記現在位置検出手段が検出した現在位置の情報を送信する送信手段とを備え、前記端末機は、モニターと、該端末機から指示が出され現在、搬送中の物品について前記ホスト機から受信した現在位置情報を前記モニターに表示する表示制御手段とを備え、前記課金手段は、前記搬送装置により搬送中の物品に対し、前記現在位置検出手段が検出した現在位置が搬送先となった時に、該物品の顧客に該物品についての課金を行うことを特徴とする。
【0020】
建物内の各区画の顧客が自分の物品が現在、どこにあるかを知ることができるとともに、課金の時期を顧客が納得できるものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】建物内搬送装置を装備する賃貸マンションの模式図。
【図2】建物内搬送装置全体の模式図。
【図3】建物内搬送装置の地階部分を上方から見た詳細図。
【図4】地階における建物内搬送装置の水平方向移送装置−昇降バスケット間を水平方向移送装置の延び方向の視線で見た詳細図。
【図5】昇降装置と住戸の物品出し入れ部との間における建物内搬送装置の部分を水平方向の視線で見た構造図。
【図6】建物内サービスシステムの全体構成図。
【図7】各住戸の顧客がタッチパネルを介して指示を出す場合のタッチパネルの表示画面を示す図。
【図8】図7の表示画面に続いて表示される表示画面図。
【図9】各住戸の顧客からの商品注文に対して実施するサービスのフローチャート。
【図10】居住者が注文した購入商品が自分の住戸に配達されるまでの搬送情報を表示するタッチパネルの画面図。
【図11】各住戸の顧客からの洗濯依頼に対して実施するサービスのフローチャート。
【図12】各住戸の顧客が代引き宅配を受け取る際に実施するサービスのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、この賃貸マンション10は、道路11に面して、建築されており、地上部分12と地下部分13とから成るとともに、建物内搬送装置17を装備する。建物内搬送装置17は、図1の水平方向移送装置31及び昇降装置32の他に後述の横送り装置38(図3)を備える。地上部分12の各階は複数の住戸14に区画されている。地下部分13は、物品保管場所となっており、物品操作装置20が配備される。物品操作装置20は、水平方向移送装置31との間で物品を引き渡し又は取り込む自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23を有している。
【0023】
自販機型商品供給装置21から水平方向移送装置31への商品の引渡しには、ドリンク等の自動販売機に採用されている周知の商品選択構造(図3の吐出口突出型自販機型商品供給装置21は該構造を採用)が採用される他、多関節ロボット25を利用することもできる。多関節ロボット25は、自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23のそれぞれに専用に設けられてもよいが、それらの共用とすることもできる。多関節ロボット25を自販機型商品供給装置21として利用する場合、商品を銘柄ごとに所定の範囲に保管する保管箱又は保管棚が用意され、多関節ロボット25は、該保管箱等において所望の銘柄の商品を1対の把持爪30で把持し、水平方向移送装置31の上まで運んでから、把持を解除して、水平方向移送装置31に載せる。水平方向移送装置31は例えばストラット式コンベアから成る。
【0024】
多関節ロボット25について詳細に説明する。多関節ロボット25は基部側から順番に第1アーム27、第2アーム28及び第3アーム29を備えている。ガイドレール26は、水平方向移送装置31に対して平行に自販機型商品供給装置21から代引き宅配品引渡し装置23までの長さ範囲以上にわたって延びており、第1アーム27を水平方向移送装置31に沿って案内する。多関節ロボット25は、自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23に対応する位置へ適宜移動して、そこで停止自在になっている。第1アーム27−第2アーム28間、第2アーム28−第3アーム29間は回転自在の関節結合となっている。また、第1アーム27は伸縮自在であり、第2アーム28は、伸縮自在であるだけでなく、先側部分が基側部分に対して軸線の周りに回転できるようになっている。1対の把持爪30は、第3アーム29の先端部に取り付けられ、開閉自在になっており、物品を把持する際は閉じ、物品を放す際は開く。
【0025】
なお、本発明が適用される建物は、賃貸マンション10に限定されず、分譲マンションであったり、ビジネスホテルやリゾートマンション等のように、複数の住戸ではなく、複数の部屋に区画されているものであったり、SOHO(Small Office Home Office)型共同事務所のようなものであったり、全部の部屋がレンタルである建物であったりしてもよい。また、物品操作装置20の配置場所は、地階に限定されず、商品や物品の搬入や搬出、さらにスペースに適した場所のある階であれば、1階等のその他の階の場所にすることができる。賃貸マンション10はそのすべての住戸14が賃貸である必要はない。一部の住戸14は持ち主が居住していてもよいし、全住戸14が持ち主居住のものであってもよい。本発明が適用される建物の各区画内の人は、居住者に限定されず、居住することなく仕事や会議等のために一時的に使用したり滞在したりしている人も含まれる。
【0026】
賃貸マンション10では、各住戸14ごとに持ち主が相違していてもよい。また、一人の持ち主が複数の住戸14を所有していてもよい。さらに、各住戸14について、その居住者と持ち主とが相違していてもよい。各持ち主は、共通の管理者に自分の住戸の管理を委託している。後述の図6の建物内サービスシステム70は、典型的には該共通の管理者が管理、運営する。
【0027】
図2において、(B1)、(F1)、(F2)、・・・(F7)はそれぞれ地下1階、地上1階、地上2階、・・・地上7階を示している。(A)、(B)、・・・(H)は水平方向の各位置を示している。建物内搬送装置17は、(B1)に配備される水平方向移送装置31と、水平方向へ(A)〜(H)の各位置に配備される昇降装置32とを有している。なお、賃貸マンション10が地下1階、地上7階であること、及び賃貸マンション10において昇降装置32が計7基、配備されてることは、あくまで本発明の一例であり、本発明をそれに限定するものではない。
【0028】
水平方向移送装置31は、水平方向へ延び、物品を上に載せて、水平方向へ搬送する。自販機型商品供給装置21は、水平方向移送装置31の一端側に配置され、水平方向移送装置31へ商品を供給する。図2及び後述の図3では、図1の洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23は図示を省略されているが、それらも、水平方向移送装置31の延び方向で水平方向移送装置31との間で物品を支障なく受け渡し可能である場所に設置される。
【0029】
各昇降装置32は、(B1)から(F7)までの高さ範囲で昇降する1つの昇降バスケット33を有している。各昇降バスケット33は、(B1)及び(F1)〜(F7)の物品出し入れ部64の高さで停止可能であり、(B1)では、水平方向移送装置31との間で物品を受け渡しする。なお、物品出し入れ部64については、図5で詳しく説明する。
【0030】
水平方向移送装置31を上方から見た図3において、点検通路34は、水平方向移送装置31に対して昇降装置32とは反対側において水平方向移送装置31に沿って設けられ、点検員が歩行して、水平方向移送装置31等の作動や水平方向移送装置31上の搬送物品の状況を点検できるようにしている。各バッファ台35は、水平方向移送装置31の上面に高さを揃えて、水平方向移送装置31と各昇降装置32との間に配設されている。横送り装置38は、水平方向移送装置31の延び方向へ各昇降装置32に対応して1つずつ配設され、水平方向移送装置31と各昇降装置32との間で物品を搬送する。無端式の水平方向移送装置31は、その上面では自販機型商品供給装置21側の端から反対側の端の方へ動いており、各移動止め装置39は、各横送り装置38に対し自販機型商品供給装置21側とは反対側において上下動自在に配設されている。各移動止め装置39は、その上側位置では、水平方向移送装置31に載って流れてくる物品を通過させ、下側位置では当接して、停止させる。
【0031】
図4は水平方向移送装置31と昇降装置32の昇降バスケット33との間で商品48を受け渡しする状況を水平方向移送装置31の延び方向の視線で見た図である。商品48は、トレー49に載せられて、トレー49と一緒に水平方向移送装置31により搬送される。自販機型商品供給装置21が商品48を水平方向移送装置31へ載せる時に、商品48は、単独ではなく、トレー49に載せられた状態にして、水平方向移送装置31に載る。あるいは、多関節ロボット25が、先に水平方向移送装置31にトレー49を載せ、次に、トレー49に商品48を載せることにより、以降、商品48はトレー49と一体に搬送されるようになっている。
【0032】
移動止め装置39は、所定の商品48を載せたトレー49が自販機型商品供給装置21の方から移動して来ると、その通過前に上側位置から下側位置へ下がり、トレー49に当接して、商品48の移動を止める。
【0033】
横送り装置38はベルトコンベア42、ブラケット43及び連行板44を備える。ベルトコンベア42は、水平方向移送装置31の延び方向に対して直角の水平方向へ水平方向移送装置31と昇降装置32の近傍との間の範囲に延在し、下面側では水平方向移送装置31から昇降装置32へ向かう方向へ運動する。ブラケット43は、ベルトコンベア42の所定位置に固定され、ベルトコンベア42と一体に周回する。連行板44は各ブラケット43の進行方向の前面側に固定されている。商品48及びトレー49は、図4では2つ図示されているが、これは説明の便宜上であり、実際は1つずつである。連行板44は、ベルトコンベア42に単一よりは複数、装備させておいた方が、目的の商品48が移動止め装置39に止められた時に、水平方向移送装置31の方へ迅速に取り込むことができる。
【0034】
バッファ台35は水平方向移送装置31と昇降装置32との間に配設される。横送り装置38では、それが搬送する商品48及びトレー49がベルトコンベア42に載せられて対応の移動止め装置39の個所において停止させられると、ベルトコンベア42が作動して、連行板44が、トレー49に当接して、商品48及びトレー49をバッファ台35の所へ運んでから、ベルトコンベア42は、停止し、商品48及びトレー49は、バッファ台35の所で、昇降装置32の昇降バスケット33が地階に下りて来るのを待つ。
【0035】
昇降バスケット33は、水平方向移送装置31側とその反対側とにそれぞれ上下動自在の開閉扉53,54を有している。ベルトコンベア55は昇降バスケット33の床に配設され、上面側において開閉扉53から開閉扉54の方へ運動する。昇降バスケット33が地階に到着すると、開閉扉53が、上昇して、昇降バスケット33内を開放する。ベルトコンベア42は、開閉扉53が開いたことに同期して、再作動し、バッファ台35上で待機している商品48及びトレー49を連行板44により昇降バスケット33内へ送り込む。
【0036】
開閉扉53は,商品48及びトレー49を昇降バスケット33内に収容した後、下降して、昇降バスケット33を閉じる。昇降バスケット33内のベルトコンベア55は、開閉扉53の開きに伴い、作動して、昇降バスケット33内へ進入した商品48及びトレー49を昇降バスケット33の中央へ移動させて、停止する。昇降バスケット33は、その後、商品48の配送先の住戸の階へ上昇する。
【0037】
図5は昇降装置32の昇降バスケット33と住戸14の物品出し入れ部64との間で商品48を受け渡しする範囲を水平方向の視線で見た図である。ガイドタワー59は、昇降装置32の昇降バスケット33を賃貸マンション10内において上下動させる空間を内側に画成するように、賃貸マンション10内に建設される。複数のガイドレール60はガイドタワー59の内壁に沿って配設されている。昇降バスケット33は、ガイドタワー59内においてガイドレール60により上下方向へ案内される。
【0038】
物品出し入れ部64は、各住戸14内においてガイドタワー59の近傍の場所に配設され、収容ケース65、開閉扉66、ローラコンベア67及び保護カバー68を備える。収容ケース65は、商品48を収容する容積を確保されている。開閉扉66は、図示していない駆動装置により上下動して、収容ケース65の昇降装置32側の壁に穿設されて商品48及びトレー49が通過自在になっている開口を開閉する。ローラコンベア67は、収容ケース65の床部に配設され、図示しない駆動装置による駆動により周回する。保護カバー68は収容ケース65内において、商品48の通過部を除いて、開閉扉66側を覆っている。
【0039】
昇降バスケット33が、商品48及びトレー49を載せて、住戸14の物品出し入れ部64の高さに到着すると、開閉扉54,66が相互に同期して上昇し、昇降バスケット33内と収容ケース65内とは相互に連通状態になる。その後、昇降バスケット33内のベルトコンベア55及び収容ケース65内のローラコンベア67が作動して、商品48はトレー49と共に昇降バスケット33から収容ケース65内へ移動する。開閉扉54,66は、商品48が収容ケース65内へ移動しだい、下降して、それぞれ昇降バスケット33及び収容ケース65を閉じる。ベルトコンベア55は商品48及びトレー49が昇降バスケット33から出しだい、作動を停止する。ローラコンベア67は、商品48及びトレー49が収容ケース65内のほぼ中央位置に着きしだい、作動を停止する。
【0040】
商品48が収容ケース65内に到着すると、住戸14の居住者に到着がブザー音や視覚表示により通知される。ブザー音はタッチパネル72(図6)に装備されているブザーが生成する。視覚表示は、文字やアイコン等を使ってタッチパネル72の画面として生成される。住戸14の居住者は、収容ケース65内に到着した商品48を、収容ケース65の側面などに設けられた取出し用扉を開いて、取り出す。
【0041】
図6において、各タッチパネル72は、各住戸14に1つずつ、モニターとして配備され、個々にLAN71へ接続されている。LAN71には、さらに、制御盤73、マンション管理装置74及び代引きインターフェース75が接続されている。
【0042】
制御盤73は本発明におけるホスト機に相当する。本発明におけるホスト機の受付手段、搬送制御手段、課金手段、現在位置検出手段及び送信手段は、ホスト機に実装されたソフトウェアにより実現される。タッチパネル72は本発明における端末機に相当する。本発明における端末機が装備する表示制御手段はタッチパネル72における所定のハード素子又はROM内のソフトウェアにより実現される。LAN71は本発明における建物内通信経路に相当する。
【0043】
制御盤73は、LAN71を介して各タッチパネル72、マンション管理装置74及び代引きインターフェース75とデータを送受自在になっている。制御盤73は、物品操作装置20と共に賃貸マンション10の地階に配備され、専用の制御ケーブルを介して建物内搬送装置17、自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23と接続され、それらに制御信号を送って、物品の受け渡しや搬送を制御する。図6の物品操作装置20のブロックには、多関節ロボット25が記載されていないが、自販機型商品供給装置21等に代えて、多関節ロボット25を使用することもできる。
【0044】
図6の建物内サービスシステム70についての具体的な作用を説明する前に、各住戸14の居住者が商品を購入する際にタッチパネル72に表示する画面について図7及び図8を参照して概略説明する。
【0045】
図7(a)は、住戸14の居住者がタッチパネル72をオンにした時にタッチパネル72に表示されるメニュー画面であり、このメニュー画面では、建物内サービスシステム70が各住戸14の居住者に対して販売する商品及びサービスが分類別に表示される。図7(a)の例では、販売商品は、「ソフトドリンク」、「パン・お菓子」及び「生活雑貨」の3つに分類されている。また、販売サービスについては分類分けはなく、サービス項目は現在は「ランドリー」の1つのみである。これら商品分類やサービス項目は、タッチパネル72の画面に表示されたタッチボタンとなっている。
【0046】
図7(a)の画面では、また、下部に商品がその注文時点から自分の住戸14の物品出し入れ部64に届くまでの予想時間(“2分00秒”)が情報として表示される。予想時間は、物品操作装置20の場所から購入者の住戸14までの経路及び搬送の込み具合等に基づき算出される。なお、飲食品の販売については、電子レンジで加熱処理してから搬送開始するようにしてもよく、その場合、商品届け時間が長引いたりすることもあり得る。販売商品には、冷蔵保管又は冷凍保管しておいた低温飲食品が含まれるものとする。
【0047】
住戸14の各居住者(以下、タッチパネル72により洗濯を依頼する居住者や宅配品を受け取る居住者と区別するために、「購入者」と呼ぶ。)は、図7(a)の画面から自分が購入したい分類が記載されている項目のタッチボタンを指でタッチする。購入者は例えば「ソフトドリンク」のタッチボタンをタッチしたと想定する。これにより、タッチパネル72の画面は図7(b)の画面へ切り替わる。
【0048】
図7(b)では、ソフトドリンクの分類に含まれる商品名(銘柄)が表示される。ソフトドリンクの分類に含まれる商品名が多い場合には、すべて商品名をタッチパネル72に一度に表示することができないので、所定数の商品名ごとに1ページにまとめ、商品名全体としては複数のページに分けられて、タッチパネル72に表示される。すなわち、タッチパネル72の画面下部には、「前ページ」及び「次ページ」のタッチボタンが表示され、購入者がどちらかを指でタッチすると、前ページ又は次ページの商品名が表示される。購入者は、購入希望の商品名が含まれるページを、「前ページ」及び「次ページ」のタッチボタンへのタッチ操作により選択してから、表示中の商品名のタッチボタンをタッチする。購入者は例えば「みかんジュース」のタッチボタンをタッチしたと想定する。これにより、タッチパネル72の画面は図8(a)の画面へ切り替わる。なお、購入者が「取り消し」のタッチボタンをタッチしたときには、タッチパネル72の画面は図7(a)のメニュー画面へ戻る。
【0049】
図8(a)では、ユーザが指定した商品名の「みかんジュース(※「みかんジュース」は、普通名称であるが、商品名として説明する。)を表示しつつ、「購入」及び「取り消し」のタッチボタンが表示される。購入者が「購入」のタッチボタンをタッチすると、タッチパネル72の画面は図8(b)の画面へ切り替わる。購入者が「取り消し」のタッチボタンをタッチすると、タッチパネル72の画面は図7(b)の画面へ戻る。なお、図7(b)の画面と図8(a)の画面との間に購入商品の購入個数を入力する画面を介在させ、購入者がその介在画面で購入個数を指定してから、図8(a)の画面で購入商品と購入個数との両方を確認するようにすることもできる。購入個数の指示がないときには、購入個数は1とされる。
【0050】
図8(b)の画面では、「ありがとうございました」が表示され、購入者の注文が受け付けられたことが通知される。また、「続けて購入」及び「メニュー」のタッチボタンが表示される。購入者が「続けて購入」のタッチボタンをタッチすると、図7(b)の画面へ戻り、「メニュー」のタッチボタンをタッチすると、図7(a)の最初のメニュー画面へ戻る。
【0051】
図9の商品販売サービス処理のフローチャートについて説明する。図9の商品販売サービス処理及び後述の図11のランドリーサービス処理は、共に、制御盤73に実装されたコンピュータプログラムにより実施され、住戸14のタッチパネル72に図7(a)の画面を表示するタイミングで開始される。図9及び図11のサービス処理の実施に伴い、対応の制御信号が制御盤73から自販機型商品供給装置21(又は多関節ロボット25)及び建物内搬送装置17へ送られて、自販機型商品供給装置21及び建物内搬送装置17に該処理に対応する作動を行わせる。なお、図9の商品販売サービス処理と図11のランドリーサービス処理とでは、建物内搬送装置17における物品の流れは逆になる。すなわち、図9の商品販売サービス処理では、購入商品が物品操作装置20から居住者の住戸14へ搬送され、図11のランドリーサービス処理では、洗濯品が居住者の住戸14から物品操作装置20へ搬送される。
【0052】
図9において、STEP101では、タッチパネル72からの商品購入の受付があったか否かを判定し、あれば、STEP102へ進み、なければ、該処理を終了する。タッチパネル72からの商品購入の受付があったか否かは具体的には図8(a)の画面において購入者が「購入」のタッチボタンをタッチしたか否かにより判定される。
【0053】
STEP102では、購入者の住戸14及び購入商品を検出する。各タッチパネル72には識別番号が付与されており、制御盤73は、各タッチパネル72との通信時に通信相手のタッチパネル72の識別番号情報を受信して、該識別番号情報から購入者の住戸14を割り出すことができる。購入商品は、厳密には購入商品の銘柄であるが、該銘柄は制御盤73がタッチパネル72から受信した購入商品の識別番号情報から検出する。各銘柄にも銘柄を相互に識別するための識別番号があらかじめ付与されている。
【0054】
STEP103では、購入商品としての商品48を自販機型商品供給装置21から水平方向移送装置31へ移動する。商品48は建物内搬送装置17において水平方向移送装置31から出発する。STEP104では、建物内搬送装置17により商品48が配達先の購入者の住戸14へ配達される。
【0055】
STEP104における建物内搬送装置17による商品48の配達を具体的に説明すると、商品48は、トレー49に載せられて、トレー49と共に水平方向移送装置31により水平方向へ搬送され、購入者の住戸14へ上がる昇降装置32の位置で移動止め装置39により停止され、横送り装置38により該昇降装置32の昇降バスケット33内へ運ばれる。昇降バスケット33は、商品48を搬入された後、上昇し、購入者の住戸14の物品出し入れ部64の高さで停止する。商品48は、トレー49に載せられたまま、収容ケース65内のローラコンベア67により収容ケース65内の適正な場所に移動される。
【0056】
STEP105では、商品48が購入者の住戸14に到着したか否かを判定し、到着しだい、STEP106へ進む。購入者の住戸14への商品48の到着は、例えば、昇降バスケット33からの商品48の送り出しが終了し、開閉扉54が閉まった時刻とすることができる。開閉扉54の開閉は制御盤73から昇降装置32への制御信号により実施されるので、制御盤73は開閉扉54が閉まった時刻を検出することができる。到着時刻は次のSTEP106の実行時刻としての課金時刻の判断に使用される。
【0057】
STEP106では、該商品48の購入代金を該購入者に課金する。具体的には、制御盤73からLAN71を介してマンション管理装置74に該商品48の購入代金を該購入者に課金する指示を出す。マンション管理装置74は、該購入者の住戸14に対して請求する月額家賃に商品48の課金額を上乗せして、その居住者に請求する。典型的には、各居住者への購入代金の請求は、個々の購入ごとではなく、月ごとの全購入についての総額となる。請求金額に対する各居住者の支払いは、具体的には、該居住者の名義の銀行口座からの自動引き落としや、居住者が銀行等に出向いて行う銀行送金手続き等により実施される。
【0058】
図10の搬送情報画面は、購入者のタッチパネル72に図8(b)の画面に続いてタッチパネル72に表示されるものであり、図9のSTEP104,105の実行期間に表示される。該搬送情報画面では、商品保管庫アイコン80、地下コンベアアイコン81、エレベータアイコン82及び住戸アイコン83は、購入者が現実の賃貸マンション10内における自販機型商品供給装置21、水平方向移送装置31、昇降バスケット33及び住戸14のレイアウトにほぼ等しいレイアウトで表示され、購入者が、搬送情報画面を見て、商品48の搬送状況をイメージし易いようにする。商品アイコン84a〜84cは、購入者が購入した商品48に対応付けられており、該商品48についての建物内搬送装置17による搬送中、該商品48の現在位置に対応する搬送情報画面上の位置に、表示される。
【0059】
図10では、便宜上、商品アイコン84a〜84cの3つが同時に表示されているように記載されているが、現実の搬送情報画面では、商品48の搬送の進行に伴い、商品アイコン84a→商品アイコン84b→商品アイコン84cの順番に1つずつ表示される。商品48が物品出し入れ部64に入ると、商品アイコン84cがタッチパネル72に表示されるとともに、タッチパネル72に配備されているブザー(図示せず)が鳴ったり、物品出し入れ部64への商品48の到着を知らせる着通知アイコン85が点滅表示して、購入者に商品48の到着を知らせる。
【0060】
図10は、搬送情報画面に表示する商品48が地下コンベアアイコン81、エレベータアイコン82及び住戸アイコン83の3つの内のどこにあるかしか示していないが、商品48の現在位置情報をこの3つに限定することを意味するものではなく、水平方向移送装置31により搬送中の位置を図2の(A)、(B)、・・・(H)の位置に細かく分けて表示したり、昇降装置32により搬送中の位置を(B1)、(F1)、(F2)、・・・(F7)の位置に細かく分けて表示したりすることもできる。
【0061】
図10は商品48の搬送情報画面となっているが、後述の図11のランドリーサービス処理における洗濯品及び図12の代引き宅配品受取りサービス処理における代引き宅配品の搬送情報画面にも同様に適用することができる。なお、ランドリーサービス処理における洗濯品についての搬送情報画面中の移動過程は、商品48や代引き宅配品との移動過程とは逆方向となる。
【0062】
複数の住戸14からほぼ同時に商品が注文されて、複数の商品が建物内搬送装置17による搬送待ちの状態となっていることが起こり得る。原則的には、注文の受付順に商品を建物内搬送装置17により搬送するが、搬送待ちの購入商品が複数、生じた場合には、購入商品の分類に応じて搬送に優先度を付けることができる。すなわち、飲食品には、冷蔵状態や加温状態のものが存在し、それらについてはなるべく急いで搬送しないと、温度が変化して、商品価値が低下するとともに、購入者もすぐに飲食したい場合が多い。このような現状に対応するために、制御盤73は、購入商品の搬送待ちが複数生じた場合には、飲食品の搬送を非飲食品(例:雑貨)の搬送よりも優先して搬送する。ただし、待ち時間に限界時間を設定し、購入商品が、非飲食品のために搬送を先延ばしされ、搬送待ち時間が限界時間を超えたときは、直ちに搬送する仕組みとすることができる。
【0063】
図11のランドリーサービス処理のフローチャートについて説明する。STEP111では、タッチパネル72からの洗濯依頼の受付があったか否かを判定し、あれば、STEP112へ進み、なければ、該処理を終了する。タッチパネル72からの洗濯依頼の受付があったか否かは具体的には図7(a)の画面において居住者が「ランドリー」のタッチボタンをタッチした後、次の確認画面(図示せず)で、「決定」等のタッチボタンをタッチしたか否かにより判定される。なお、依頼者としての居住者は、確認画面の決定用タッチボタンにタッチする前に、洗濯品を洗濯ネット又は洗濯かごに入れて、収容ケース65内に投入しておく。
【0064】
STEP112では、依頼者の住戸14を検出する。住戸14の具体的な検出の仕方は図9のSTEP102と同じである。STEP113では、建物内搬送装置17による物品出し入れ部64から物品操作装置20の洗濯品取込み装置22への洗濯品の搬送が実施される。
【0065】
洗濯品の搬送を具体的に説明する。最初に、依頼者の住戸14に対応する昇降装置32の昇降バスケット33を空の状態で該住戸14に停止させる。収容ケース65内のローラコンベア67が洗濯品を昇降バスケット33の方へ移動するように周回して、洗濯品は昇降バスケット33内へ移動する。昇降バスケット33は、洗濯品を載せて、地階まで下降する。昇降バスケット33が地階に到着すると、ベルトコンベア55が昇降バスケット33内の洗濯品を昇降バスケット33から出す方向へ周回するとともに、横送り装置38のベルトコンベア42が購入商品の配達時と逆方向へ周回し、洗濯品は昇降バスケット33内からバッファ台35へ、さらに、連行板44による水平方向移送装置31の方への連行により水平方向移送装置31の上面へ移動する。水平方向移送装置31は、購入商品の配達時とは逆の方向へ周回しており、これにより、洗濯品は水平方向移送装置31により洗濯品取込み装置22の所へ運ばれて、取り込まれる。
【0066】
なお、自販機型商品供給装置21及び洗濯品取込み装置22が、水平方向移送装置31の延び方向の同じ端側に配設されるのではなく、相互に反対の端側に配設されているときには、水平方向移送装置31の周回方向は、購入商品の配達時と洗濯品の収集時とで同一とすることができる。また、水平方向移送装置31上を流れる洗濯品の水平方向移送装置31からの取り込みは、洗濯品取込み装置22(図1)又は多関節ロボット25(図1)により行われる。洗濯業者は、1日1回等、取込み場所を定期的に訪れて、取り込まれた洗濯品をまとめて収集し、自分の洗濯会社へ持ち帰って、洗濯を行い、後日、届ける。
【0067】
STEP114では、洗濯依頼品が依頼者の住戸14に到着したか否かを判定し、到着しだい、STEP115へ進む。STEP115では、依頼者に洗濯品の洗濯料金を該依頼者に課金する。具体的には、制御盤73からLAN71を介してマンション管理装置74に該購入商品の洗濯料金を該依頼者に課金する指示を出す。該指示に対するマンション管理装置74における具体的な処理は図9のSTEP106のものと同一である。
【0068】
図12の代引き宅配品受取りサービス処理のフローチャートについて説明する。該代引き宅配品受取りサービス処理は、制御盤73に実装されたコンピュータプログラムにより実施される。
【0069】
STEP121では、代引き宅配品の受付があったか否かを判定し、あれば、STEP122へ進み、なければ、該処理を終了する。代引き宅配品の受付があったか否かは、具体的には、賃貸マンション10の住戸14の居住者が配達先となっている代引き宅配品を代引き宅配品引渡し装置23へ持ち込んだ宅配員が、代引きインターフェース75(図6)に付属の所定のスイッチを操作した等の所定の操作を行ったか否かにより判定される。
【0070】
STEP122では、代引き宅配品の配達先の住戸14のタッチパネル72のブザーを鳴らすとともに、該タッチパネル72の画面に該住戸14宛ての代引き宅配品が代引き宅配品引渡し装置23に届いている旨を表示する。代引き宅配品の配達先の住戸14は、宅配員が、代引きインターフェース75(図6)に付属のキーを操作して指定することになる。
【0071】
STEP123では、呼出し先の住戸14の居住者から応答があったか否かを判定し、応答があれば、STEP124へ進み、所定時間持っても応答がなければ、該処理を終了する。具体的には、応答の有無は、居住者がタッチパネル72の画面に表示した応答用のタッチボタンをタッチしたか否かにより判定する。
【0072】
STEP124では、代引き宅配品の配達先の居住者が代引き宅配品の受取り及び支払いを諒解したか否かを判定し、諒解すれば、STEP125へ進み、諒解しなければ、該処理を終了する。具体的には、了解したか否かは、居住者がタッチパネル72の画面に表示した受取り了解及び受取り拒否のどちらのタッチボタンをタッチしたかにより判定する。居住者が受取り了解であるならば、宅配員は、携帯して来た自分の代引き処理機を代引きインターフェース75に接続する。
【0073】
STEP125では、建物内搬送装置17を作動させて、代引き宅配品を代引き宅配品引渡し装置23から配達先の住戸141へ搬送する。STEP125における建物内搬送装置17による代引き宅配品の具体的な配達の仕方は、図9のSTEP104における建物内搬送装置17による商品48の具体的な配達の仕方と同一である。
【0074】
STEP126では、代引き宅配品が配達先の住戸14に到着したか否かを判定し、到着しだい、STEP127へ進む。STEP126における到着について具体的な判定の仕方例は図9のSTEP105と同一である。
【0075】
STEP127では、代引きインターフェース75に接続されている代引き処理機に対して配達先の住戸14の居住者に代わって代引き料をマンション管理装置74の管理会社が立替払いする処理が実施される。これにより、宅配員の宅配会社は建物内サービスシステム70の管理会社から代引き料を受け取ることになる。
【0076】
STEP128では、代引き料を居住者に課金する。課金額には立替に係る所定の手数料を代引き料に対して上乗せすることができる。STEP128における具体的な課金の仕方は、それぞれ図9のSTEP106と同一である。
【0077】
各住戸14の居住者による商品48の購入、洗濯品の洗濯依頼、及び代引き宅配品の受取りが時間的に集中し、賃貸マンション10内に搬送待ちの物品が複数、存在する場合がある。そのような場合には、商品48の搬送を洗濯品や代引き宅配品の搬送よりも優先することが好ましい。なぜならば、商品48には、飲食品等、急ぐものが多いのに対し、商品48以外の洗濯品や代引き宅配品等の物品は搬送に多少の時間がかかっても、問題が少ないからである。
【0078】
図12の代引き宅配品受取りサービス処理では、建物内搬送装置17を代引き宅配品に限定して使用しているが、建物内搬送装置17の双方向搬送を使用して、代引き宅配品だけでなく、普通の宅配品の配達にも有効に利用することができる。すなわち、代引き宅配品であるか普通の宅配品であるかに関係なく、宅配員は配達先の居住者から受取り印や署名等を貰う必要がある。そこで、宅配品と共に、伝票を配達先の住戸14へ送る。ここまでの処理は、図12のSTEP121〜STEP125の代引き宅配品を宅配品に変更しただけである。次に、配達先の住戸14の居住者が宅配品を受け取り、伝票に押印又は署名して、該伝票は建物内搬送装置17により住戸14から代引き宅配品引渡し装置23の所まで逆搬送されて、宅配員に引き渡される。伝票の該逆搬送の処理は、図11のSTEP111〜STEP113の洗濯品を伝票に変更しただけであるとともに、該伝票の戻し先は、宅配員が該伝票の戻りを待っている代引き宅配品引渡し装置23の近辺になる。
【0079】
本発明を実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形した構成を含むことを付言する。
【符号の説明】
【0080】
10・・・賃貸マンション、14・・・住戸、17・・・建物内搬送装置、20・・・物品操作装置、21・・・自販機型商品供給装置、22・・・洗濯品取込み装置、23・・・代引き宅配品引渡し装置、25・・・多関節ロボット25、31・・・水平方向移送装置、32・・・昇降装置、38・・・横送り装置、64・・・物品出し入れ部、70・・・建物内サービスシステム、72・・・タッチパネル、73・・・制御盤、74・・・マンション管理装置、75・・・代引きインターフェース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の搬送装置を使って建物内の各顧客へサービスを提供する建物内サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、集合住宅に配備される物流システムを開示する。該物流システムでは、物品が集合住宅において地下スペースから地上の各住戸へ一方向へ自動配送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−48005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物流システムは、集合住宅内において物品を地下スペースから指定の各住戸へ単に搬送するのみであり、各住戸の居住者に対しては物品の搬送以外のサービスは提供していない。
【0005】
建物が住戸や部屋等の複数の区画に区画されている場合に、各区画の住人等が、自分の区画に留まりつつ、所望の用事を済ませることができるサービスの提供があれば、建物の価値を高めることができる。
【0006】
本発明の目的は、建物内搬送装置を使用して、建物の付加価値を高めることができる建物内サービスシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の建物内サービスシステムは、建物内に配備され該建物内において各顧客区画と物品保管場所との間で物品を搬送する搬送装置と、各顧客区画に配備され顧客が指示を出す端末機と、建物内通信経路を介して各端末機と双方向通信自在になっているホスト機とを備える。前記ホスト機は、各端末機からの顧客の指示を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた各顧客からの指示に対し物品を該顧客の顧客区画と前記物品保管場所との間で前記搬送装置に搬送させる搬送制御手段と、前記搬送装置による搬送物品の顧客に該搬送物品についての料金を課す課金手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、各顧客区画と物品保管場所との間で物品を搬送する搬送装置と共に、各顧客区画に配備された端末機と、各端末機と双方向通信自在となっているホスト機とが備えられ、各顧客区画の顧客が、自分の区画の端末機を操作して、ホスト機の受付手段に指示を出すことにより、搬送制御手段が顧客区画と物品保管場所との間で該指示に従った物品の搬送を行う。また、課金手段が端末機から指示を出した建物内の各区画の顧客に対して課金を行うので、有料サービスに支障なく対応できる。こうして、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、物品の受け渡しを伴う充実したサービスを受けることができることになり、建物の付加価値を高めることができる。
【0009】
第2発明の建物内サービスシステムは、第1発明の建物内サービスシステムにおいて、前記課金手段は、前記物品保管場所に保管され各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入し前記物品保管場所から該顧客区画へ搬送する購入商品に対し、その購入料金を該顧客に課金することを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、商品の購入、受取りを行うことができる。
【0011】
第3発明の建物内サービスシステムは、第2発明の建物内サービスシステムにおいて、前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入したサービスの対象とされ該顧客の顧客区画から前記物品保管場所へ搬送するサービス対象物品に対し、該サービス対象物品に応じた料金を購入者としての該顧客に課金することを特徴とする。
【0012】
第3発明によれば、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、自分の区画から外への物品の搬出が必要となるサービスの提供を受けることができる。
【0013】
第4発明の建物内サービスシステムは、第3発明の建物内サービスシステムにおいて、前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの物品が複数、存在するとき、前記物品保管場所から前記顧客区画への物品搬送を前記顧客区画から前記物品保管場所への物品搬送よりも優先して前記搬送装置に行わせる事を特徴とする。
【0014】
第4発明によれば、購入商品についての物品保管場所からの顧客区画への搬送が、サービス対象品についての顧客区画から物品保管場所への搬送よりも優先される結果、各区画の顧客が受取り及び引き取らせる物品間において緊急性に応じた物品の搬送が実施され、全体の顧客満足度を上げることができる。
【0015】
第5発明の建物内サービスシステムは、第4発明の建物内サービスシステムにおいて、前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの購入商品が複数、存在するとき、飲食品を非飲食品より優先して前記搬送装置に搬送させることを特徴とする。
【0016】
第5発明によれば、購入商品の内、飲食品についての搬送が、非飲食品についての搬送よりも優先される結果、飲食品及び非飲食品間において緊急性に応じた物品の搬送が実施され、顧客満足度を上げることができる。
【0017】
第6発明の建物内サービスシステムは、第5発明の建物内サービスシステムにおいて、前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して受取りを了解して前記物品保管場所から該顧客の顧客区画へ搬送する代引き宅配品に対し、該代引き宅配品を前記物品保管場所へ配達した宅配員の代引き処理機と通信接続されて、該代引き処理機へ代引き料金の立替払い承諾データを送信するとともに、該顧客に代引き料金を課金することを特徴とする。
【0018】
第6発明によれば、建物内の各区画の顧客は、自分の区画内に留まりつつ、自分の区画宛ての代引き宅配品を受取ることができる。
【0019】
第7発明の建物内サービスシステムは、第1〜第6発明のいずれかの発明の建物内サービスシステムにおいて、前記ホスト機は、前記搬送装置により搬送中の物品について搬送経路における現在位置を検出する現在位置検出手段と、搬送中の物品についての指示を出した顧客区画の端末機へ、前記現在位置検出手段が検出した現在位置の情報を送信する送信手段とを備え、前記端末機は、モニターと、該端末機から指示が出され現在、搬送中の物品について前記ホスト機から受信した現在位置情報を前記モニターに表示する表示制御手段とを備え、前記課金手段は、前記搬送装置により搬送中の物品に対し、前記現在位置検出手段が検出した現在位置が搬送先となった時に、該物品の顧客に該物品についての課金を行うことを特徴とする。
【0020】
建物内の各区画の顧客が自分の物品が現在、どこにあるかを知ることができるとともに、課金の時期を顧客が納得できるものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】建物内搬送装置を装備する賃貸マンションの模式図。
【図2】建物内搬送装置全体の模式図。
【図3】建物内搬送装置の地階部分を上方から見た詳細図。
【図4】地階における建物内搬送装置の水平方向移送装置−昇降バスケット間を水平方向移送装置の延び方向の視線で見た詳細図。
【図5】昇降装置と住戸の物品出し入れ部との間における建物内搬送装置の部分を水平方向の視線で見た構造図。
【図6】建物内サービスシステムの全体構成図。
【図7】各住戸の顧客がタッチパネルを介して指示を出す場合のタッチパネルの表示画面を示す図。
【図8】図7の表示画面に続いて表示される表示画面図。
【図9】各住戸の顧客からの商品注文に対して実施するサービスのフローチャート。
【図10】居住者が注文した購入商品が自分の住戸に配達されるまでの搬送情報を表示するタッチパネルの画面図。
【図11】各住戸の顧客からの洗濯依頼に対して実施するサービスのフローチャート。
【図12】各住戸の顧客が代引き宅配を受け取る際に実施するサービスのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、この賃貸マンション10は、道路11に面して、建築されており、地上部分12と地下部分13とから成るとともに、建物内搬送装置17を装備する。建物内搬送装置17は、図1の水平方向移送装置31及び昇降装置32の他に後述の横送り装置38(図3)を備える。地上部分12の各階は複数の住戸14に区画されている。地下部分13は、物品保管場所となっており、物品操作装置20が配備される。物品操作装置20は、水平方向移送装置31との間で物品を引き渡し又は取り込む自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23を有している。
【0023】
自販機型商品供給装置21から水平方向移送装置31への商品の引渡しには、ドリンク等の自動販売機に採用されている周知の商品選択構造(図3の吐出口突出型自販機型商品供給装置21は該構造を採用)が採用される他、多関節ロボット25を利用することもできる。多関節ロボット25は、自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23のそれぞれに専用に設けられてもよいが、それらの共用とすることもできる。多関節ロボット25を自販機型商品供給装置21として利用する場合、商品を銘柄ごとに所定の範囲に保管する保管箱又は保管棚が用意され、多関節ロボット25は、該保管箱等において所望の銘柄の商品を1対の把持爪30で把持し、水平方向移送装置31の上まで運んでから、把持を解除して、水平方向移送装置31に載せる。水平方向移送装置31は例えばストラット式コンベアから成る。
【0024】
多関節ロボット25について詳細に説明する。多関節ロボット25は基部側から順番に第1アーム27、第2アーム28及び第3アーム29を備えている。ガイドレール26は、水平方向移送装置31に対して平行に自販機型商品供給装置21から代引き宅配品引渡し装置23までの長さ範囲以上にわたって延びており、第1アーム27を水平方向移送装置31に沿って案内する。多関節ロボット25は、自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23に対応する位置へ適宜移動して、そこで停止自在になっている。第1アーム27−第2アーム28間、第2アーム28−第3アーム29間は回転自在の関節結合となっている。また、第1アーム27は伸縮自在であり、第2アーム28は、伸縮自在であるだけでなく、先側部分が基側部分に対して軸線の周りに回転できるようになっている。1対の把持爪30は、第3アーム29の先端部に取り付けられ、開閉自在になっており、物品を把持する際は閉じ、物品を放す際は開く。
【0025】
なお、本発明が適用される建物は、賃貸マンション10に限定されず、分譲マンションであったり、ビジネスホテルやリゾートマンション等のように、複数の住戸ではなく、複数の部屋に区画されているものであったり、SOHO(Small Office Home Office)型共同事務所のようなものであったり、全部の部屋がレンタルである建物であったりしてもよい。また、物品操作装置20の配置場所は、地階に限定されず、商品や物品の搬入や搬出、さらにスペースに適した場所のある階であれば、1階等のその他の階の場所にすることができる。賃貸マンション10はそのすべての住戸14が賃貸である必要はない。一部の住戸14は持ち主が居住していてもよいし、全住戸14が持ち主居住のものであってもよい。本発明が適用される建物の各区画内の人は、居住者に限定されず、居住することなく仕事や会議等のために一時的に使用したり滞在したりしている人も含まれる。
【0026】
賃貸マンション10では、各住戸14ごとに持ち主が相違していてもよい。また、一人の持ち主が複数の住戸14を所有していてもよい。さらに、各住戸14について、その居住者と持ち主とが相違していてもよい。各持ち主は、共通の管理者に自分の住戸の管理を委託している。後述の図6の建物内サービスシステム70は、典型的には該共通の管理者が管理、運営する。
【0027】
図2において、(B1)、(F1)、(F2)、・・・(F7)はそれぞれ地下1階、地上1階、地上2階、・・・地上7階を示している。(A)、(B)、・・・(H)は水平方向の各位置を示している。建物内搬送装置17は、(B1)に配備される水平方向移送装置31と、水平方向へ(A)〜(H)の各位置に配備される昇降装置32とを有している。なお、賃貸マンション10が地下1階、地上7階であること、及び賃貸マンション10において昇降装置32が計7基、配備されてることは、あくまで本発明の一例であり、本発明をそれに限定するものではない。
【0028】
水平方向移送装置31は、水平方向へ延び、物品を上に載せて、水平方向へ搬送する。自販機型商品供給装置21は、水平方向移送装置31の一端側に配置され、水平方向移送装置31へ商品を供給する。図2及び後述の図3では、図1の洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23は図示を省略されているが、それらも、水平方向移送装置31の延び方向で水平方向移送装置31との間で物品を支障なく受け渡し可能である場所に設置される。
【0029】
各昇降装置32は、(B1)から(F7)までの高さ範囲で昇降する1つの昇降バスケット33を有している。各昇降バスケット33は、(B1)及び(F1)〜(F7)の物品出し入れ部64の高さで停止可能であり、(B1)では、水平方向移送装置31との間で物品を受け渡しする。なお、物品出し入れ部64については、図5で詳しく説明する。
【0030】
水平方向移送装置31を上方から見た図3において、点検通路34は、水平方向移送装置31に対して昇降装置32とは反対側において水平方向移送装置31に沿って設けられ、点検員が歩行して、水平方向移送装置31等の作動や水平方向移送装置31上の搬送物品の状況を点検できるようにしている。各バッファ台35は、水平方向移送装置31の上面に高さを揃えて、水平方向移送装置31と各昇降装置32との間に配設されている。横送り装置38は、水平方向移送装置31の延び方向へ各昇降装置32に対応して1つずつ配設され、水平方向移送装置31と各昇降装置32との間で物品を搬送する。無端式の水平方向移送装置31は、その上面では自販機型商品供給装置21側の端から反対側の端の方へ動いており、各移動止め装置39は、各横送り装置38に対し自販機型商品供給装置21側とは反対側において上下動自在に配設されている。各移動止め装置39は、その上側位置では、水平方向移送装置31に載って流れてくる物品を通過させ、下側位置では当接して、停止させる。
【0031】
図4は水平方向移送装置31と昇降装置32の昇降バスケット33との間で商品48を受け渡しする状況を水平方向移送装置31の延び方向の視線で見た図である。商品48は、トレー49に載せられて、トレー49と一緒に水平方向移送装置31により搬送される。自販機型商品供給装置21が商品48を水平方向移送装置31へ載せる時に、商品48は、単独ではなく、トレー49に載せられた状態にして、水平方向移送装置31に載る。あるいは、多関節ロボット25が、先に水平方向移送装置31にトレー49を載せ、次に、トレー49に商品48を載せることにより、以降、商品48はトレー49と一体に搬送されるようになっている。
【0032】
移動止め装置39は、所定の商品48を載せたトレー49が自販機型商品供給装置21の方から移動して来ると、その通過前に上側位置から下側位置へ下がり、トレー49に当接して、商品48の移動を止める。
【0033】
横送り装置38はベルトコンベア42、ブラケット43及び連行板44を備える。ベルトコンベア42は、水平方向移送装置31の延び方向に対して直角の水平方向へ水平方向移送装置31と昇降装置32の近傍との間の範囲に延在し、下面側では水平方向移送装置31から昇降装置32へ向かう方向へ運動する。ブラケット43は、ベルトコンベア42の所定位置に固定され、ベルトコンベア42と一体に周回する。連行板44は各ブラケット43の進行方向の前面側に固定されている。商品48及びトレー49は、図4では2つ図示されているが、これは説明の便宜上であり、実際は1つずつである。連行板44は、ベルトコンベア42に単一よりは複数、装備させておいた方が、目的の商品48が移動止め装置39に止められた時に、水平方向移送装置31の方へ迅速に取り込むことができる。
【0034】
バッファ台35は水平方向移送装置31と昇降装置32との間に配設される。横送り装置38では、それが搬送する商品48及びトレー49がベルトコンベア42に載せられて対応の移動止め装置39の個所において停止させられると、ベルトコンベア42が作動して、連行板44が、トレー49に当接して、商品48及びトレー49をバッファ台35の所へ運んでから、ベルトコンベア42は、停止し、商品48及びトレー49は、バッファ台35の所で、昇降装置32の昇降バスケット33が地階に下りて来るのを待つ。
【0035】
昇降バスケット33は、水平方向移送装置31側とその反対側とにそれぞれ上下動自在の開閉扉53,54を有している。ベルトコンベア55は昇降バスケット33の床に配設され、上面側において開閉扉53から開閉扉54の方へ運動する。昇降バスケット33が地階に到着すると、開閉扉53が、上昇して、昇降バスケット33内を開放する。ベルトコンベア42は、開閉扉53が開いたことに同期して、再作動し、バッファ台35上で待機している商品48及びトレー49を連行板44により昇降バスケット33内へ送り込む。
【0036】
開閉扉53は,商品48及びトレー49を昇降バスケット33内に収容した後、下降して、昇降バスケット33を閉じる。昇降バスケット33内のベルトコンベア55は、開閉扉53の開きに伴い、作動して、昇降バスケット33内へ進入した商品48及びトレー49を昇降バスケット33の中央へ移動させて、停止する。昇降バスケット33は、その後、商品48の配送先の住戸の階へ上昇する。
【0037】
図5は昇降装置32の昇降バスケット33と住戸14の物品出し入れ部64との間で商品48を受け渡しする範囲を水平方向の視線で見た図である。ガイドタワー59は、昇降装置32の昇降バスケット33を賃貸マンション10内において上下動させる空間を内側に画成するように、賃貸マンション10内に建設される。複数のガイドレール60はガイドタワー59の内壁に沿って配設されている。昇降バスケット33は、ガイドタワー59内においてガイドレール60により上下方向へ案内される。
【0038】
物品出し入れ部64は、各住戸14内においてガイドタワー59の近傍の場所に配設され、収容ケース65、開閉扉66、ローラコンベア67及び保護カバー68を備える。収容ケース65は、商品48を収容する容積を確保されている。開閉扉66は、図示していない駆動装置により上下動して、収容ケース65の昇降装置32側の壁に穿設されて商品48及びトレー49が通過自在になっている開口を開閉する。ローラコンベア67は、収容ケース65の床部に配設され、図示しない駆動装置による駆動により周回する。保護カバー68は収容ケース65内において、商品48の通過部を除いて、開閉扉66側を覆っている。
【0039】
昇降バスケット33が、商品48及びトレー49を載せて、住戸14の物品出し入れ部64の高さに到着すると、開閉扉54,66が相互に同期して上昇し、昇降バスケット33内と収容ケース65内とは相互に連通状態になる。その後、昇降バスケット33内のベルトコンベア55及び収容ケース65内のローラコンベア67が作動して、商品48はトレー49と共に昇降バスケット33から収容ケース65内へ移動する。開閉扉54,66は、商品48が収容ケース65内へ移動しだい、下降して、それぞれ昇降バスケット33及び収容ケース65を閉じる。ベルトコンベア55は商品48及びトレー49が昇降バスケット33から出しだい、作動を停止する。ローラコンベア67は、商品48及びトレー49が収容ケース65内のほぼ中央位置に着きしだい、作動を停止する。
【0040】
商品48が収容ケース65内に到着すると、住戸14の居住者に到着がブザー音や視覚表示により通知される。ブザー音はタッチパネル72(図6)に装備されているブザーが生成する。視覚表示は、文字やアイコン等を使ってタッチパネル72の画面として生成される。住戸14の居住者は、収容ケース65内に到着した商品48を、収容ケース65の側面などに設けられた取出し用扉を開いて、取り出す。
【0041】
図6において、各タッチパネル72は、各住戸14に1つずつ、モニターとして配備され、個々にLAN71へ接続されている。LAN71には、さらに、制御盤73、マンション管理装置74及び代引きインターフェース75が接続されている。
【0042】
制御盤73は本発明におけるホスト機に相当する。本発明におけるホスト機の受付手段、搬送制御手段、課金手段、現在位置検出手段及び送信手段は、ホスト機に実装されたソフトウェアにより実現される。タッチパネル72は本発明における端末機に相当する。本発明における端末機が装備する表示制御手段はタッチパネル72における所定のハード素子又はROM内のソフトウェアにより実現される。LAN71は本発明における建物内通信経路に相当する。
【0043】
制御盤73は、LAN71を介して各タッチパネル72、マンション管理装置74及び代引きインターフェース75とデータを送受自在になっている。制御盤73は、物品操作装置20と共に賃貸マンション10の地階に配備され、専用の制御ケーブルを介して建物内搬送装置17、自販機型商品供給装置21、洗濯品取込み装置22及び代引き宅配品引渡し装置23と接続され、それらに制御信号を送って、物品の受け渡しや搬送を制御する。図6の物品操作装置20のブロックには、多関節ロボット25が記載されていないが、自販機型商品供給装置21等に代えて、多関節ロボット25を使用することもできる。
【0044】
図6の建物内サービスシステム70についての具体的な作用を説明する前に、各住戸14の居住者が商品を購入する際にタッチパネル72に表示する画面について図7及び図8を参照して概略説明する。
【0045】
図7(a)は、住戸14の居住者がタッチパネル72をオンにした時にタッチパネル72に表示されるメニュー画面であり、このメニュー画面では、建物内サービスシステム70が各住戸14の居住者に対して販売する商品及びサービスが分類別に表示される。図7(a)の例では、販売商品は、「ソフトドリンク」、「パン・お菓子」及び「生活雑貨」の3つに分類されている。また、販売サービスについては分類分けはなく、サービス項目は現在は「ランドリー」の1つのみである。これら商品分類やサービス項目は、タッチパネル72の画面に表示されたタッチボタンとなっている。
【0046】
図7(a)の画面では、また、下部に商品がその注文時点から自分の住戸14の物品出し入れ部64に届くまでの予想時間(“2分00秒”)が情報として表示される。予想時間は、物品操作装置20の場所から購入者の住戸14までの経路及び搬送の込み具合等に基づき算出される。なお、飲食品の販売については、電子レンジで加熱処理してから搬送開始するようにしてもよく、その場合、商品届け時間が長引いたりすることもあり得る。販売商品には、冷蔵保管又は冷凍保管しておいた低温飲食品が含まれるものとする。
【0047】
住戸14の各居住者(以下、タッチパネル72により洗濯を依頼する居住者や宅配品を受け取る居住者と区別するために、「購入者」と呼ぶ。)は、図7(a)の画面から自分が購入したい分類が記載されている項目のタッチボタンを指でタッチする。購入者は例えば「ソフトドリンク」のタッチボタンをタッチしたと想定する。これにより、タッチパネル72の画面は図7(b)の画面へ切り替わる。
【0048】
図7(b)では、ソフトドリンクの分類に含まれる商品名(銘柄)が表示される。ソフトドリンクの分類に含まれる商品名が多い場合には、すべて商品名をタッチパネル72に一度に表示することができないので、所定数の商品名ごとに1ページにまとめ、商品名全体としては複数のページに分けられて、タッチパネル72に表示される。すなわち、タッチパネル72の画面下部には、「前ページ」及び「次ページ」のタッチボタンが表示され、購入者がどちらかを指でタッチすると、前ページ又は次ページの商品名が表示される。購入者は、購入希望の商品名が含まれるページを、「前ページ」及び「次ページ」のタッチボタンへのタッチ操作により選択してから、表示中の商品名のタッチボタンをタッチする。購入者は例えば「みかんジュース」のタッチボタンをタッチしたと想定する。これにより、タッチパネル72の画面は図8(a)の画面へ切り替わる。なお、購入者が「取り消し」のタッチボタンをタッチしたときには、タッチパネル72の画面は図7(a)のメニュー画面へ戻る。
【0049】
図8(a)では、ユーザが指定した商品名の「みかんジュース(※「みかんジュース」は、普通名称であるが、商品名として説明する。)を表示しつつ、「購入」及び「取り消し」のタッチボタンが表示される。購入者が「購入」のタッチボタンをタッチすると、タッチパネル72の画面は図8(b)の画面へ切り替わる。購入者が「取り消し」のタッチボタンをタッチすると、タッチパネル72の画面は図7(b)の画面へ戻る。なお、図7(b)の画面と図8(a)の画面との間に購入商品の購入個数を入力する画面を介在させ、購入者がその介在画面で購入個数を指定してから、図8(a)の画面で購入商品と購入個数との両方を確認するようにすることもできる。購入個数の指示がないときには、購入個数は1とされる。
【0050】
図8(b)の画面では、「ありがとうございました」が表示され、購入者の注文が受け付けられたことが通知される。また、「続けて購入」及び「メニュー」のタッチボタンが表示される。購入者が「続けて購入」のタッチボタンをタッチすると、図7(b)の画面へ戻り、「メニュー」のタッチボタンをタッチすると、図7(a)の最初のメニュー画面へ戻る。
【0051】
図9の商品販売サービス処理のフローチャートについて説明する。図9の商品販売サービス処理及び後述の図11のランドリーサービス処理は、共に、制御盤73に実装されたコンピュータプログラムにより実施され、住戸14のタッチパネル72に図7(a)の画面を表示するタイミングで開始される。図9及び図11のサービス処理の実施に伴い、対応の制御信号が制御盤73から自販機型商品供給装置21(又は多関節ロボット25)及び建物内搬送装置17へ送られて、自販機型商品供給装置21及び建物内搬送装置17に該処理に対応する作動を行わせる。なお、図9の商品販売サービス処理と図11のランドリーサービス処理とでは、建物内搬送装置17における物品の流れは逆になる。すなわち、図9の商品販売サービス処理では、購入商品が物品操作装置20から居住者の住戸14へ搬送され、図11のランドリーサービス処理では、洗濯品が居住者の住戸14から物品操作装置20へ搬送される。
【0052】
図9において、STEP101では、タッチパネル72からの商品購入の受付があったか否かを判定し、あれば、STEP102へ進み、なければ、該処理を終了する。タッチパネル72からの商品購入の受付があったか否かは具体的には図8(a)の画面において購入者が「購入」のタッチボタンをタッチしたか否かにより判定される。
【0053】
STEP102では、購入者の住戸14及び購入商品を検出する。各タッチパネル72には識別番号が付与されており、制御盤73は、各タッチパネル72との通信時に通信相手のタッチパネル72の識別番号情報を受信して、該識別番号情報から購入者の住戸14を割り出すことができる。購入商品は、厳密には購入商品の銘柄であるが、該銘柄は制御盤73がタッチパネル72から受信した購入商品の識別番号情報から検出する。各銘柄にも銘柄を相互に識別するための識別番号があらかじめ付与されている。
【0054】
STEP103では、購入商品としての商品48を自販機型商品供給装置21から水平方向移送装置31へ移動する。商品48は建物内搬送装置17において水平方向移送装置31から出発する。STEP104では、建物内搬送装置17により商品48が配達先の購入者の住戸14へ配達される。
【0055】
STEP104における建物内搬送装置17による商品48の配達を具体的に説明すると、商品48は、トレー49に載せられて、トレー49と共に水平方向移送装置31により水平方向へ搬送され、購入者の住戸14へ上がる昇降装置32の位置で移動止め装置39により停止され、横送り装置38により該昇降装置32の昇降バスケット33内へ運ばれる。昇降バスケット33は、商品48を搬入された後、上昇し、購入者の住戸14の物品出し入れ部64の高さで停止する。商品48は、トレー49に載せられたまま、収容ケース65内のローラコンベア67により収容ケース65内の適正な場所に移動される。
【0056】
STEP105では、商品48が購入者の住戸14に到着したか否かを判定し、到着しだい、STEP106へ進む。購入者の住戸14への商品48の到着は、例えば、昇降バスケット33からの商品48の送り出しが終了し、開閉扉54が閉まった時刻とすることができる。開閉扉54の開閉は制御盤73から昇降装置32への制御信号により実施されるので、制御盤73は開閉扉54が閉まった時刻を検出することができる。到着時刻は次のSTEP106の実行時刻としての課金時刻の判断に使用される。
【0057】
STEP106では、該商品48の購入代金を該購入者に課金する。具体的には、制御盤73からLAN71を介してマンション管理装置74に該商品48の購入代金を該購入者に課金する指示を出す。マンション管理装置74は、該購入者の住戸14に対して請求する月額家賃に商品48の課金額を上乗せして、その居住者に請求する。典型的には、各居住者への購入代金の請求は、個々の購入ごとではなく、月ごとの全購入についての総額となる。請求金額に対する各居住者の支払いは、具体的には、該居住者の名義の銀行口座からの自動引き落としや、居住者が銀行等に出向いて行う銀行送金手続き等により実施される。
【0058】
図10の搬送情報画面は、購入者のタッチパネル72に図8(b)の画面に続いてタッチパネル72に表示されるものであり、図9のSTEP104,105の実行期間に表示される。該搬送情報画面では、商品保管庫アイコン80、地下コンベアアイコン81、エレベータアイコン82及び住戸アイコン83は、購入者が現実の賃貸マンション10内における自販機型商品供給装置21、水平方向移送装置31、昇降バスケット33及び住戸14のレイアウトにほぼ等しいレイアウトで表示され、購入者が、搬送情報画面を見て、商品48の搬送状況をイメージし易いようにする。商品アイコン84a〜84cは、購入者が購入した商品48に対応付けられており、該商品48についての建物内搬送装置17による搬送中、該商品48の現在位置に対応する搬送情報画面上の位置に、表示される。
【0059】
図10では、便宜上、商品アイコン84a〜84cの3つが同時に表示されているように記載されているが、現実の搬送情報画面では、商品48の搬送の進行に伴い、商品アイコン84a→商品アイコン84b→商品アイコン84cの順番に1つずつ表示される。商品48が物品出し入れ部64に入ると、商品アイコン84cがタッチパネル72に表示されるとともに、タッチパネル72に配備されているブザー(図示せず)が鳴ったり、物品出し入れ部64への商品48の到着を知らせる着通知アイコン85が点滅表示して、購入者に商品48の到着を知らせる。
【0060】
図10は、搬送情報画面に表示する商品48が地下コンベアアイコン81、エレベータアイコン82及び住戸アイコン83の3つの内のどこにあるかしか示していないが、商品48の現在位置情報をこの3つに限定することを意味するものではなく、水平方向移送装置31により搬送中の位置を図2の(A)、(B)、・・・(H)の位置に細かく分けて表示したり、昇降装置32により搬送中の位置を(B1)、(F1)、(F2)、・・・(F7)の位置に細かく分けて表示したりすることもできる。
【0061】
図10は商品48の搬送情報画面となっているが、後述の図11のランドリーサービス処理における洗濯品及び図12の代引き宅配品受取りサービス処理における代引き宅配品の搬送情報画面にも同様に適用することができる。なお、ランドリーサービス処理における洗濯品についての搬送情報画面中の移動過程は、商品48や代引き宅配品との移動過程とは逆方向となる。
【0062】
複数の住戸14からほぼ同時に商品が注文されて、複数の商品が建物内搬送装置17による搬送待ちの状態となっていることが起こり得る。原則的には、注文の受付順に商品を建物内搬送装置17により搬送するが、搬送待ちの購入商品が複数、生じた場合には、購入商品の分類に応じて搬送に優先度を付けることができる。すなわち、飲食品には、冷蔵状態や加温状態のものが存在し、それらについてはなるべく急いで搬送しないと、温度が変化して、商品価値が低下するとともに、購入者もすぐに飲食したい場合が多い。このような現状に対応するために、制御盤73は、購入商品の搬送待ちが複数生じた場合には、飲食品の搬送を非飲食品(例:雑貨)の搬送よりも優先して搬送する。ただし、待ち時間に限界時間を設定し、購入商品が、非飲食品のために搬送を先延ばしされ、搬送待ち時間が限界時間を超えたときは、直ちに搬送する仕組みとすることができる。
【0063】
図11のランドリーサービス処理のフローチャートについて説明する。STEP111では、タッチパネル72からの洗濯依頼の受付があったか否かを判定し、あれば、STEP112へ進み、なければ、該処理を終了する。タッチパネル72からの洗濯依頼の受付があったか否かは具体的には図7(a)の画面において居住者が「ランドリー」のタッチボタンをタッチした後、次の確認画面(図示せず)で、「決定」等のタッチボタンをタッチしたか否かにより判定される。なお、依頼者としての居住者は、確認画面の決定用タッチボタンにタッチする前に、洗濯品を洗濯ネット又は洗濯かごに入れて、収容ケース65内に投入しておく。
【0064】
STEP112では、依頼者の住戸14を検出する。住戸14の具体的な検出の仕方は図9のSTEP102と同じである。STEP113では、建物内搬送装置17による物品出し入れ部64から物品操作装置20の洗濯品取込み装置22への洗濯品の搬送が実施される。
【0065】
洗濯品の搬送を具体的に説明する。最初に、依頼者の住戸14に対応する昇降装置32の昇降バスケット33を空の状態で該住戸14に停止させる。収容ケース65内のローラコンベア67が洗濯品を昇降バスケット33の方へ移動するように周回して、洗濯品は昇降バスケット33内へ移動する。昇降バスケット33は、洗濯品を載せて、地階まで下降する。昇降バスケット33が地階に到着すると、ベルトコンベア55が昇降バスケット33内の洗濯品を昇降バスケット33から出す方向へ周回するとともに、横送り装置38のベルトコンベア42が購入商品の配達時と逆方向へ周回し、洗濯品は昇降バスケット33内からバッファ台35へ、さらに、連行板44による水平方向移送装置31の方への連行により水平方向移送装置31の上面へ移動する。水平方向移送装置31は、購入商品の配達時とは逆の方向へ周回しており、これにより、洗濯品は水平方向移送装置31により洗濯品取込み装置22の所へ運ばれて、取り込まれる。
【0066】
なお、自販機型商品供給装置21及び洗濯品取込み装置22が、水平方向移送装置31の延び方向の同じ端側に配設されるのではなく、相互に反対の端側に配設されているときには、水平方向移送装置31の周回方向は、購入商品の配達時と洗濯品の収集時とで同一とすることができる。また、水平方向移送装置31上を流れる洗濯品の水平方向移送装置31からの取り込みは、洗濯品取込み装置22(図1)又は多関節ロボット25(図1)により行われる。洗濯業者は、1日1回等、取込み場所を定期的に訪れて、取り込まれた洗濯品をまとめて収集し、自分の洗濯会社へ持ち帰って、洗濯を行い、後日、届ける。
【0067】
STEP114では、洗濯依頼品が依頼者の住戸14に到着したか否かを判定し、到着しだい、STEP115へ進む。STEP115では、依頼者に洗濯品の洗濯料金を該依頼者に課金する。具体的には、制御盤73からLAN71を介してマンション管理装置74に該購入商品の洗濯料金を該依頼者に課金する指示を出す。該指示に対するマンション管理装置74における具体的な処理は図9のSTEP106のものと同一である。
【0068】
図12の代引き宅配品受取りサービス処理のフローチャートについて説明する。該代引き宅配品受取りサービス処理は、制御盤73に実装されたコンピュータプログラムにより実施される。
【0069】
STEP121では、代引き宅配品の受付があったか否かを判定し、あれば、STEP122へ進み、なければ、該処理を終了する。代引き宅配品の受付があったか否かは、具体的には、賃貸マンション10の住戸14の居住者が配達先となっている代引き宅配品を代引き宅配品引渡し装置23へ持ち込んだ宅配員が、代引きインターフェース75(図6)に付属の所定のスイッチを操作した等の所定の操作を行ったか否かにより判定される。
【0070】
STEP122では、代引き宅配品の配達先の住戸14のタッチパネル72のブザーを鳴らすとともに、該タッチパネル72の画面に該住戸14宛ての代引き宅配品が代引き宅配品引渡し装置23に届いている旨を表示する。代引き宅配品の配達先の住戸14は、宅配員が、代引きインターフェース75(図6)に付属のキーを操作して指定することになる。
【0071】
STEP123では、呼出し先の住戸14の居住者から応答があったか否かを判定し、応答があれば、STEP124へ進み、所定時間持っても応答がなければ、該処理を終了する。具体的には、応答の有無は、居住者がタッチパネル72の画面に表示した応答用のタッチボタンをタッチしたか否かにより判定する。
【0072】
STEP124では、代引き宅配品の配達先の居住者が代引き宅配品の受取り及び支払いを諒解したか否かを判定し、諒解すれば、STEP125へ進み、諒解しなければ、該処理を終了する。具体的には、了解したか否かは、居住者がタッチパネル72の画面に表示した受取り了解及び受取り拒否のどちらのタッチボタンをタッチしたかにより判定する。居住者が受取り了解であるならば、宅配員は、携帯して来た自分の代引き処理機を代引きインターフェース75に接続する。
【0073】
STEP125では、建物内搬送装置17を作動させて、代引き宅配品を代引き宅配品引渡し装置23から配達先の住戸141へ搬送する。STEP125における建物内搬送装置17による代引き宅配品の具体的な配達の仕方は、図9のSTEP104における建物内搬送装置17による商品48の具体的な配達の仕方と同一である。
【0074】
STEP126では、代引き宅配品が配達先の住戸14に到着したか否かを判定し、到着しだい、STEP127へ進む。STEP126における到着について具体的な判定の仕方例は図9のSTEP105と同一である。
【0075】
STEP127では、代引きインターフェース75に接続されている代引き処理機に対して配達先の住戸14の居住者に代わって代引き料をマンション管理装置74の管理会社が立替払いする処理が実施される。これにより、宅配員の宅配会社は建物内サービスシステム70の管理会社から代引き料を受け取ることになる。
【0076】
STEP128では、代引き料を居住者に課金する。課金額には立替に係る所定の手数料を代引き料に対して上乗せすることができる。STEP128における具体的な課金の仕方は、それぞれ図9のSTEP106と同一である。
【0077】
各住戸14の居住者による商品48の購入、洗濯品の洗濯依頼、及び代引き宅配品の受取りが時間的に集中し、賃貸マンション10内に搬送待ちの物品が複数、存在する場合がある。そのような場合には、商品48の搬送を洗濯品や代引き宅配品の搬送よりも優先することが好ましい。なぜならば、商品48には、飲食品等、急ぐものが多いのに対し、商品48以外の洗濯品や代引き宅配品等の物品は搬送に多少の時間がかかっても、問題が少ないからである。
【0078】
図12の代引き宅配品受取りサービス処理では、建物内搬送装置17を代引き宅配品に限定して使用しているが、建物内搬送装置17の双方向搬送を使用して、代引き宅配品だけでなく、普通の宅配品の配達にも有効に利用することができる。すなわち、代引き宅配品であるか普通の宅配品であるかに関係なく、宅配員は配達先の居住者から受取り印や署名等を貰う必要がある。そこで、宅配品と共に、伝票を配達先の住戸14へ送る。ここまでの処理は、図12のSTEP121〜STEP125の代引き宅配品を宅配品に変更しただけである。次に、配達先の住戸14の居住者が宅配品を受け取り、伝票に押印又は署名して、該伝票は建物内搬送装置17により住戸14から代引き宅配品引渡し装置23の所まで逆搬送されて、宅配員に引き渡される。伝票の該逆搬送の処理は、図11のSTEP111〜STEP113の洗濯品を伝票に変更しただけであるとともに、該伝票の戻し先は、宅配員が該伝票の戻りを待っている代引き宅配品引渡し装置23の近辺になる。
【0079】
本発明を実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形した構成を含むことを付言する。
【符号の説明】
【0080】
10・・・賃貸マンション、14・・・住戸、17・・・建物内搬送装置、20・・・物品操作装置、21・・・自販機型商品供給装置、22・・・洗濯品取込み装置、23・・・代引き宅配品引渡し装置、25・・・多関節ロボット25、31・・・水平方向移送装置、32・・・昇降装置、38・・・横送り装置、64・・・物品出し入れ部、70・・・建物内サービスシステム、72・・・タッチパネル、73・・・制御盤、74・・・マンション管理装置、75・・・代引きインターフェース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に配備され該建物内において各顧客区画と物品保管場所との間で物品を搬送する搬送装置と、
各顧客区画に配備され顧客が指示を出す端末機と、
建物内通信経路を介して各端末機と双方向通信自在になっているホスト機と
を備え、
前記ホスト機は、
各端末機からの顧客の指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた各顧客からの指示に対し物品を該顧客の顧客区画と前記物品保管場所との間で前記搬送装置に搬送させる搬送制御手段と、
前記搬送装置による搬送物品の顧客に該搬送物品についての料金を課す課金手段と
を備えることを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項2】
請求項1記載の建物内サービスシステムにおいて、
前記課金手段は、前記物品保管場所に保管され各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入し前記物品保管場所から該顧客区画へ搬送する購入商品に対し、その購入料金を該顧客に課金することを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項3】
請求項2の建物内サービスシステムにおいて、
前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入したサービスの対象とされ該顧客の顧客区画から前記物品保管場所へ搬送するサービス対象物品に対し、該サービス対象物品に応じた料金を購入者としての該顧客に課金することを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項4】
請求項3の建物内サービスシステムにおいて、
前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの物品が複数、存在するとき、前記物品保管場所から前記顧客区画への物品搬送を前記顧客区画から前記物品保管場所への物品搬送よりも優先して前記搬送装置に行わせることを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項5】
請求項4の建物内サービスシステムにおいて、
前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの購入商品が複数、存在するとき、飲食品を非飲食品より優先して前記搬送装置に搬送させることを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項6】
請求項5の建物内サービスシステムにおいて、
前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して受取りを了解して前記物品保管場所から該顧客の顧客区画へ搬送する代引き宅配品に対し、該代引き宅配品を前記物品保管場所へ配達した宅配員の代引き処理機と通信接続されて、該代引き処理機へ代引き料金の立替払い承諾データを送信するとともに、該顧客に代引き料金を課金することを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の建物内サービスシステムにおいて、
前記ホスト機は、
前記搬送装置により搬送中の物品について搬送経路における現在位置を検出する現在位置検出手段と、
搬送中の物品についての指示を出した顧客区画の端末機へ、前記現在位置検出手段が検出した現在位置の情報を送信する送信手段と
を備え、
前記端末機は、
モニターと、
該端末機から指示が出され現在、搬送中の物品について前記ホスト機から受信した現在位置情報を前記モニターに表示する表示制御手段と
を備え、
前記課金手段は、前記搬送装置により搬送中の物品に対し、前記現在位置検出手段が検出した現在位置が搬送先となった時に、該物品の顧客に該物品についての課金を行うことを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項1】
建物内に配備され該建物内において各顧客区画と物品保管場所との間で物品を搬送する搬送装置と、
各顧客区画に配備され顧客が指示を出す端末機と、
建物内通信経路を介して各端末機と双方向通信自在になっているホスト機と
を備え、
前記ホスト機は、
各端末機からの顧客の指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた各顧客からの指示に対し物品を該顧客の顧客区画と前記物品保管場所との間で前記搬送装置に搬送させる搬送制御手段と、
前記搬送装置による搬送物品の顧客に該搬送物品についての料金を課す課金手段と
を備えることを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項2】
請求項1記載の建物内サービスシステムにおいて、
前記課金手段は、前記物品保管場所に保管され各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入し前記物品保管場所から該顧客区画へ搬送する購入商品に対し、その購入料金を該顧客に課金することを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項3】
請求項2の建物内サービスシステムにおいて、
前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して購入したサービスの対象とされ該顧客の顧客区画から前記物品保管場所へ搬送するサービス対象物品に対し、該サービス対象物品に応じた料金を購入者としての該顧客に課金することを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項4】
請求項3の建物内サービスシステムにおいて、
前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの物品が複数、存在するとき、前記物品保管場所から前記顧客区画への物品搬送を前記顧客区画から前記物品保管場所への物品搬送よりも優先して前記搬送装置に行わせることを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項5】
請求項4の建物内サービスシステムにおいて、
前記搬送制御手段は、複数の顧客からの搬送指示に対して搬送待ちの購入商品が複数、存在するとき、飲食品を非飲食品より優先して前記搬送装置に搬送させることを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項6】
請求項5の建物内サービスシステムにおいて、
前記課金手段は、各顧客区画の顧客が該顧客区画の端末機を介して受取りを了解して前記物品保管場所から該顧客の顧客区画へ搬送する代引き宅配品に対し、該代引き宅配品を前記物品保管場所へ配達した宅配員の代引き処理機と通信接続されて、該代引き処理機へ代引き料金の立替払い承諾データを送信するとともに、該顧客に代引き料金を課金することを特徴とする建物内サービスシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の建物内サービスシステムにおいて、
前記ホスト機は、
前記搬送装置により搬送中の物品について搬送経路における現在位置を検出する現在位置検出手段と、
搬送中の物品についての指示を出した顧客区画の端末機へ、前記現在位置検出手段が検出した現在位置の情報を送信する送信手段と
を備え、
前記端末機は、
モニターと、
該端末機から指示が出され現在、搬送中の物品について前記ホスト機から受信した現在位置情報を前記モニターに表示する表示制御手段と
を備え、
前記課金手段は、前記搬送装置により搬送中の物品に対し、前記現在位置検出手段が検出した現在位置が搬送先となった時に、該物品の顧客に該物品についての課金を行うことを特徴とする建物内サービスシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−94001(P2012−94001A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241352(P2010−241352)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【特許番号】特許第4764952号(P4764952)
【特許公報発行日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(507153069)プロパティエージェント株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【特許番号】特許第4764952号(P4764952)
【特許公報発行日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(507153069)プロパティエージェント株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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