説明

建築用パネルの取付構造

【課題】施工下地に対して建築用パネルが固定されるとともに、その取付及び取り外しを容易な構成とした建築用パネルの取付構造を提案することを目的とする。
【解決手段】施工下地1と建築用パネル2それぞれに、建築用パネル2を係着させるための係着手段として、突設された固定用係止部材10及び凹設された係止部20、又は、凹設された固定用係止部材11及び突設された係止部21が設けられる。この係着手段により、建築用パネル2をスライドさせることで、建築用パネル2が脱着可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の建築用パネルによって施工下地を覆うように敷設する建築用パネルの取付構造に関するもので、特に、建築用パネル間に乾式の目地部材を埋め込む建築用パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の屋内における装飾性や機能性を高めることを目的として、建築用パネルを壁や床を覆うように敷設する建築用パネル取付構造が利用されている。即ち、部屋の審美性を満たすために、薄層表面化粧合板やタイルなどの、装飾性を備えた建築用パネルが用いられ、又、より良い住環境を提供するために、照明や耐火性などの機能性を備えた建築用パネルが用いられる。このような建築用パネルを用いた建築用パネル取付構造の1つとして、特許文献1に、床や壁に貼り付けられたタイルによるものが提案されている。
【0003】
この特許文献1の工法においては、施工下地に貼り付けるタイルに対して、その縁に溝を設けることにより、施工下地に固着されたジョイナーにタイルの縁の溝を嵌合させることで、タイルの位置決めを行うことができる。そして、ジョイナーを利用して位置決めを行うことで、互いの間隔が一定となるようにタイルが施工下地に敷設されると、施工下地への接着固定を行うために、タイルと施工下地の間に発泡プラスチックが注入される。そして、ジョイナーの設置部分が目地部分となるため、この目地部分にモルタルが塗り込まれる。
【0004】
このような湿式目地による施工方式以外にも、例えば、特許文献2の外壁パネルの構造のように、乾式目地による施工方式においても、ジョイナーを利用してパネルの位置決めを行うものがある。この特許文献2における構造においては、パネルの位置決めを行うジョイナーを、目地部材となるガスケット材を嵌め込まれる目地受け部材としても利用している。
【特許文献1】特開昭59−154253号公報
【特許文献2】特開平08−218502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1による構造も含め、従来の建築用パネルの取付構造においては、建築用パネルを床や壁などの施工下地に接着固定するものが多く、再施工を行う場合において、施工下地に固着された建築用パネルを取り外すことが困難である。又、室内の壁や天井や床などに設置される建築用パネルとして用いられる建築用パネルにおいては、機能性を備える場合には、その機能劣化による部分的な取り換えが、又、審美性の目的とされる場合には、部屋の模様替えなどを目的に部分的な取り換えが、それぞれ必要となる。
【0006】
しかしながら、上記のように接着固定されることで施工されている場合、取り換えを必要とする部分の建築用パネルだけを取り外すことが困難であるだけでなく、無理に取り外すことによって、建築用パネルを破損してしまい、再利用することができなくなる。特に、目地幅を狭くした建築用パネルの取付構造においては、建築用パネルの部分的な取り外しが更に困難なものとなる。
【0007】
このような問題に鑑みて、本発明は、施工下地に対して建築用パネルが固定されるとともに、その取付及び取り外しを容易な構成とした建築用パネルの取付構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の建築用パネルの取付構造は、施工下地に複数枚の建築用パネルを敷設するとともに、隣接する該建築用パネル同士の間に目地溝を形成し、それぞれの目地溝には、前記施工下地面に固着される目地受け部材と、該目地溝の開口部から挿入して該目地受け部材に着脱可能に結合させる目地部材とを設けて、前記建築用パネルを前記施工下地面に固定させる建築用パネルの取付構造において、前記目地部材を前記目地受け部材から取り外したときに、前記建築用パネルを前記目地受け部材側に移動させることで係着が解除される、相互に着脱可能な係着手段を、前記建築用パネルの裏面と前記施工下地面のそれぞれの対応箇所に対応させて設けることを特徴とする。
【0009】
このように、前記係着手段を設けることで、前記目地受け部材から前記目地部材を取り外した後、前記建築用パネルをスライドさせて前記係着手段による係止を解除させて、当該建築用パネルの取付構造の一部の前記建築用パネルを前記施工下地より取り外すことができる。
【0010】
このような建築用パネルの取付構造において、前記建築用パネルを、前記目地部材を前記目地受け部材から取り外したときに前記目地受け部材側に移動可能な大きさの切欠部を形成した構造としてもよい。
【0011】
このように、前記切欠部を前記建築用パネルに形成することで、前記係着手段による前記建築用パネルの着脱を行う際に、前記切欠部によって、前記建築用パネルと前記目地受け部材との緩衝を防ぐことができる。
【0012】
このとき、前記建築用パネルが、前記切欠部を、前記係着手段によって係止される第1方向に形成される前記目地溝側に有するものとし、又、前記係着手段は、一方が、前記第1方向に向かって先端を折曲させたフックで構成され、他方が、該フックの先端を係止させる係止溝部と、該係止溝部に嵌入される該フックの先端の出し入れを許容する開口部とを有するとともに、前記係止溝部に対して前記開口部を前記第1方向における前記切欠部と逆側に連設させたフック係止穴で構成されるものとして、前記建築用パネルを前記切欠部側に移動させることで、前記フックを前記フック係止穴から抜き出して、前記係着手段による係着を解除させるものとしてもよい。
【0013】
このように構成されるとき、前記フックを、前記第1方向に対して垂直となる第2方向に延ばした形状とするとともに、前記開口部が前記第2方向を長手方向とした開口形状としたものとしてもよい。そして、前記フック係止穴が前記建築用パネルに設けられるとき、前記建築用パネルの前記第2方向の幅全体に前記開口部及び前記係止溝部が形成されるものとしてもよい。
【0014】
又、前記建築用パネルが、前記切欠部を、前記係着手段によって係止される第1方向に対して垂直な第2方向に形成される前記目地溝側に有するものとし、前記係着手段は、一方が、前記第1方向に向かって先端を折曲させたフックで構成されるとともに、他方が、該フックの先端を係止させる係止溝部と、該係止溝部に嵌入される該フックの先端の出し入れを許容する開口部とを有するとともに、前記係止溝部に対して前記開口部を前記第2方向における前記切欠部と逆側に連設させたフック係止穴で構成されるものとして、前記建築用パネルを前記切欠部側に移動させることで、前記フックを前記フック係止穴から抜き出して、前記係着手段による係着を解除させるものとしてもよい。
【0015】
このような構成において、前記フック及び前記フック係止穴それぞれが、前記第2方向に断続的に設けられるものとしてもよい。
【0016】
又、前記建築用パネルが、前記係着手段によって係止される第1方向と、該第1方向に対して垂直な第2方向のそれぞれに形成される前記目地溝側に、前記切欠部である第1及び第2の切欠部を有するものとし、前記係着手段は、一方が、前記第1方向に向かって先端を折曲させたフックで構成されるとともに、他方が、該フックの先端を係止させる係止溝部と、該係止溝部に嵌入される該フックの先端の出し入れを許容する開口部とを有するとともに、前記係止溝部に対して前記開口部を前記第1及び第2方向における前記切欠部と逆側に連設させたフック係止穴で構成されるものとして、前記建築用パネルを前記第1及び第2切欠部側それぞれに対して順番に移動させることで、前記フックを前記フック係止穴から抜き出して、前記係着手段による係着を解除させるものとしてもよい。
【0017】
このとき、前記開口部に、前記係着手段による前記建築用パネルの係着時に前記第1方向への前記建築用パネルの移動を規制した構造を設けるものとし、前記施工下地から前記建築用パネルを取り外す際に、前記建築用パネルを前記第2方向に移動させた後に前記第1方向に移動させて、前記係着手段による係止を解除するものとしてもよい。又、前記係止溝部に、前記係着手段による前記建築用パネルの係着時に前記第2方向への前記建築用パネルの移動を規制した構造を設けるものとし、前記施工下地から前記建築用パネルを取り外す際に、前記建築用パネルを前記第1方向に移動させた後に前記第2方向に移動させて、前記係着手段による係止を解除するものとしてもよい。
【0018】
更に、本発明の建築用パネルの取付構造において、前記係着手段は、前記施工下地面に設けられる係着手段が、前記施工下地面を基準として前記目地受け部材の表面以上の高さとなる位置に構成されるとともに、前記建築用パネルの裏面に設けられる係着手段が、前記目地受け部材の表面以上の高さとなる位置で係着するものとしてもよい。
【0019】
このように、前記施工下地面に設けられる係着手段を、前記施工下地面を基準として前記目地受け部材の表面以上の高さとなる位置に構成することで、前記建築用パネルが前記目地受け部材よりも高い位置に設置されることとなり、前記係着手段による前記建築用パネルの着脱を行う際に、前記建築用パネルと前記目地受け部材との緩衝を防ぐことができる。
【0020】
このような建築用パネルの取付構造において、前記建築用パネルが、前記施工下地に固着されるとともに、その表面が前記施工下地面を基準として前記目地受け部材の表面以上の位置となる基板パネルと、該基板パネルに対して着脱可能となる化粧パネルと、を有するとともに、前記基板パネルの表面と前記化粧パネルの裏面のそれぞれの対応箇所に、前記化粧パネルを着脱可能に係着させる係着手段を対応させて設けた構造としてもよい。
【0021】
このように構成する建築用パネルの取付構造において、前記建築用パネルを前記化粧パネルと前記基板パネルに分離した構造とするとともに、前記基板パネルの取付下地面からの高さが、前記目地受け部材の高さ以上となるものとすることで、前記建築用パネルの前記化粧パネルと前記目地受け部材との緩衝を防ぐことができる。そして、前記化粧パネルと前記基板パネルとの間に係着手段を設けることで、前記係着手段による前記化粧パネルの着脱を行うことができる。これにより、前記目地受け部材から前記目地部材を取り外した後、前記化粧パネルをスライドさせて前記係着手段による係止を解除させて、当該建築用パネルの取付構造の一部の前記化粧パネルを前記基板パネルより取り外すことができる。
【0022】
上述のいずれかに記載の建築用パネルの取付構造において、前記目地受け部材が前記建築用パネルの辺縁に向かって突設された雄実部を有し、前記建築用パネルの辺縁に前記雄実部が挿入される雌実部を有するものとしてもよい。
【0023】
このとき、前記切欠部の反対側に前記雄実部と係合する前記雌実部を、前記建築用パネルに設けることで、前記目地受け部材によって、前記建築用パネルの位置決め及び前記施工下地への固着補助が行われるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、建築用パネルの裏面と施工下地面の対応箇所に係着手段を設けることにより、目地部材を目地受け部材から取り外した後に、建築用パネルを目地受け部材側に移動させて、建築用パネルの係着を簡単に解除させることができる。これにより、着脱を目的とする建築用パネル周辺の目地部材を取り外すことで、簡単に建築用パネルの着脱ができ、建築用パネルの部分着脱が可能となる。このとき、取り外した建築用パネル及び目地部材については、係着及び嵌着を解除して取り外されるため、破損させずに取り外すことができ、それぞれの再利用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<基本構成>
本発明の建築用パネルの取付構造の特徴部分の基本構成について、図1を参照して説明する。図1(a)及び図1(b)はそれぞれ、本発明の建築用パネルの取付構造における係止手段の構造を示す概略断面図である。尚、以下では、建築用パネルを敷設する施工面を壁面とする場合を説明するものとし、又、図1(a)及び図1(b)それぞれにおいて、紙面上側が天井側となるものとする。更に、本明細書において、建築用パネルの取付構造における係止手段として施工下地に設けられる側のものを、「パネル固定用係止部材」と呼び、建築用パネルに設けられる側のものを、「係止部」と呼ぶものとする。
【0026】
本発明の建築用パネルの取付構造は、その基本構成として、図1(a)又は図1(b)に示すように、施工下地1に建築用パネル2を係着させるための構造を備える。即ち、図1(a)に示す構造においては、施工下地1の施工面(建築用パネル2と対向する面)に、L字状の断面となるフックで構成されたパネル固定用係止部材10が突設されるとともに、建築用パネル2が、施工下地1上のパネル固定用係止部材10を係止するフック係止穴として構成される係止部20を備える。又、図1(b)に示す構造においては、フックとして構成される係止部21が、建築用パネル2の施工下地1側に突設されるとともに、施工下地1の施工面に、建築用パネル2の係止部21を係止するフック係止穴として構成されるパネル固定用係止部材11が凹設される。
【0027】
そして、図1(a)に示す構造では、建築用パネル2に設けられた係止部20が、その深さがパネル固定用係止部材10の高さ以上となることでパネル固定用係止部材10全体の出し入れを許容した構成となる開口部20aと、この開口部20aに挿入されたパネル固定用係止部材10を係止する溝となる係止溝部20bとを備える。即ち、建築用パネル2の裏面(施工下地1と対向する面)において、開口部20aが設けられる部分に、パネル固定用係止部材10の施工面側(建築用パネル2と対向する面)表面の面積よりも大きな開口面が設けられることとなる。
【0028】
又、この開口部20aとの隣接位置には、開口部20aの底面を延長させる側に掘削されたような形状となる係止溝部20bが、建築用パネル2の裏面下に設けられ、この係止溝部20bを覆う建築用パネル2の裏面部分が鈎形状となる。更に、係止溝部20bが、天井側に向かって掘削された形状となるとともに、パネル固定用係止部材10が、施工下地1より突起させた先端側における折曲させた部分が、天井側に向かって延びるように構成される。このようにパネル固定用係止部材10と係止溝部20bとを構成することで、係止溝部20bがパネル固定用係止部材10に係止して、建築用パネル2が施工下地1に係着する。
【0029】
一方、図1(b)に示す構造では、施工下地1にパネル固定用係止部材11が凹設されるため、パネル固定用係止部材11が、図1(a)の係止部20と同様の構成となる。即ち、パネル固定用係止部材11は、建築用パネル2の係止部21全体が挿入される開口部11aと、この開口部11aに挿入された係止部21を係止する溝となる係止溝部11bとを備える。
【0030】
そして、この図1(b)に示す構造では、図1(a)の構造とは逆に、パネル固定用係止部材11の係止溝部11bが、床側に向かって掘削された形状となるとともに、建築用パネル2の係止部21が、裏面より突起させた先端側における折曲させた部分が、床側に向かって延びるように構成される。このように係止溝部11bと係止部21とを構成することで、係止部21がパネル固定用係止部材11の係止溝部11bに係止して、建築用パネル2が施工下地1に係着する。
【0031】
尚、基本構成においては、図1に示すような、建築用パネル2を係止させる方向(換言すれば、床面に対して垂直な方向に相当する。以下、単に「縦方向」と呼ぶ。)に、建築用パネル2をスライドさせて施工下地1に係止させる構成を例に挙げて、その特徴となる部分を説明したが、第2の実施形態で後述するように、建築用パネル2を係止させる方向に対して垂直な方向(換言すれば、床面に対して平行な方向に相当する。以下、単に「横方向」と呼ぶ。)にスライドさせて施工下地1に係止させるものにおいても、その係止させる部分の構造は同様である。
【0032】
即ち、図1(a)における開口部20aと係止溝部20bとの配置関係、及び、図1(b)における開口部11aと係止溝部11bとの配置関係が、図1では縦方向に隣接しているものを、横方向に隣接させたものとすることにより実現できる。尚、以下の各実施形態では、その説明を簡単にするため、図1(a)のように、施工下地1にフックなどの構成となるパネル固定用係止部材10が突設され、建築用パネル2にフック係止穴などの構成となる係止部20が凹設されたものについて説明するが、図1(b)のように、施工下地1にパネル固定用係止部材11が凹設され、建築用パネル2に係止部21が突設されるものとしてもよい。
【0033】
<建築用パネルの取付構造例>
上述のように、パネル固定用係止部材に係止部を係止させることで施工下地に対して固着される建築用パネルを用いた、建築用パネルの取付構造の一例を、図2に示す。この図2に示す建築用パネルの取付構造について、その施工方法と共に、図面を参照して以下に説明する。尚、図3及び図4は、図2に示す建築用パネルの取付構造に対する各施工状態を示す概略図である。又、以下では、各実施形態において共通となる建築用パネルの取付構造の概要について簡単に説明するものとし、本発明の特徴部分となる係着手段の詳細については、各実施形態において後述する。よって、図3は、その説明を簡単なものとするため、パネル固定用係止部材を省略したものとしている。
【0034】
尚、以下では、壁面に対して建築用パネルを取付けた例を示し、それに応じて床面に対して垂直、水平となる方向を縦、横として示しているが、床面や天井面に対して建築用パネルを取付けた場合には、縦及び横の方向が限定されるものではない。又、以下で示す上下方向は、図2の構造のように、施工下地に対して対面した状態における手前側を上方、施工下地側を下方として説明している。
【0035】
1.全体の構成
図2に示す建築用パネルの取付構造Aは、施工下地1となる壁面に対して部分的に施工した例を示しており、複数枚(図例では12枚)の建築用パネル2を縦横にそれぞれ並列配置して、施工下地1を覆うように建築用パネル2を取付施工したものである。そして、互いに隣接する建築用パネル2が離間して敷設されることで、建築用パネル2の間に目地溝が設けられ、この目地溝にカバー目地部材50及び中間目地部材51を配置して、格子状となる目地を形成する。
【0036】
このとき、カバー目地部材50が横方向の目地を形成するとともに、中間目地部材51が縦方向の目地を形成する。即ち、縦方向には、隣接する2枚の建築用パネル2がカバー目地部材50を介在して敷設され、横方向には、隣接する2枚の建築用パネル2が中間目地部材51を介在して敷設される。そして、中間目地部材51は、縦方向に並んで敷設された建築用パネル2と同様、縦方向に隣接するもの同士の間に隙間が形成されるよう、離間されて設置される。これにより、縦方向に隣接する中間目地部材51の間には、カバー目地部材50を挿入するための隙間が形成され、隣接する2本の中間目地部材51がカバー目地部材50を介在して設置される。
【0037】
又、縦横にそれぞれ並列配置させた複数枚の建築用パネル2の最外周端部に沿って縦見切り部材52及び横見切り部材53を配設するようにしている。即ち、複数枚の建築用パネル2が配置された壁構造において、この壁構造の外枠部分が、縦見切り部材52及び横見切り部材53により構成される。そして、各見切り部材52,53の四隅の突合せ部には、コーナーキャップ6が該突合せ部を覆うように、それぞれ固着されている。
【0038】
この図2のように構成される建築用パネルの取付構造例では、カバー目地部材50及び中間目地部材51がそれぞれ、後述のカバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55(図3及び図4参照)に着脱可能に係合保持され、又、縦見切り部材52及び横見切り部材53がそれぞれ、後述の縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57(図3及び図4参照)に着脱可能に係合保持されている。尚、図2において、符号3は、天井面、符号4は、腰壁を示している。
【0039】
2.施工手順
このような構成となる図2に示す建築用パネルの取付構造Aの施工手順について、図3及び図4を参照して説明する。尚、図3及び図4による施工手順例では、6枚の建築用パネル2を内壁面となる施工下地1に取付施工する例を示している。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、6枚の建築用パネル2の最外周端部に沿って配設される各見切り受け部材56,57のうち左側端部の縦見切り受け部材56と、床側端部の横見切り受け部材57とをそれぞれ施工下地1に固着する。この際、各見切り受け部材56,57それぞれは、その固定板状部66,67に設けられた目印溝の適所に、釘(フィニッシュネイル、ステイプル等)やビス等の固着具(不図示)が止着されることで、施工下地1に固着する。
【0041】
尚、図例では、縦見切り受け部材56の床側端部内方側に、横見切り受け部材57の一端面が突合せられた状態を示している。又、不図示であるが、最左方側かつ最床面側に配置される建築用パネル2を係着するための係着手段となるパネル固定用係止部材(図1参照)も、施工下地1に固着される。
【0042】
そして、図3(b)に示すように、最左方側かつ最床面側に配置される建築用パネル2が、図1に示す構造の係着手段で係着することで、施工下地1面に固着させる。このとき、その左側及び床側の辺縁を見切り受け部材56,57によって、建築用パネル2の位置決めを行うことができる。尚、見切り受け部材56,57それぞれの上方には、固着板状部66,67より突設した基台部76,77を備える。又、この基台部76,77はそれぞれ、その表面に設けられた上方に開口する係合凹部を備え、この係合凹部にはそれぞれ、見切り部材52,53に設けられた係合突部が嵌入される。
【0043】
この図3(b)に示すようにして、建築用パネル2を係着させると、この建築用パネル2の右側の辺縁に沿うように、中間目地受け部材55を施工下地1に固着する。このとき、中間目地受け部材55の更に右側には、最右方側かつ最床面側に配置される建築用パネル2を係着するためのパネル固定用係止部材(図1参照)が、施工下地1に固着される。
【0044】
尚、この中間目地受け部材55においても、見切り受け部材56,57と同様、固着具が止着される固定板状部65と、固着板状部65より突設した基台部75を備えるとともに、基台部75の表面に、中間目地部材51に設けられた係合突部が嵌入される係合凹部が設けられる。又、中間目地受け部材55は、基台部75において、固着板状部65と逆側に延びた固定短片を備え、この固定短片が建築用パネル2の裏面と施工下地1との間に挿入される。
【0045】
その後、図3(c)に示すように、最右方側かつ最床面側に配置される建築用パネル2が係着されると、この施工下地1に係着された2枚の建築用パネル2の天井面側の辺縁に沿って、カバー目地受け部材54を施工下地1に固着する。このとき、カバー目地受け部材54よりも天井面側において、最左方側に建築用パネル2を係着するためのパネル固定用係止部材(図1参照)が、施工下地1に固着される。
【0046】
尚、このカバー目地受け部材54においても、中間目地受け部材55と同様、固着具が止着される固定板状部64と、建築用パネル2の裏面と施工下地1との間に挿入される固定短片と、この固定短片及び固定板状部64より突設した基台部74とを、備えるとともに、基台部74の表面に、カバー目地部材50に設けられた係合突部が嵌入される係合凹部が設けられる。
【0047】
そして、図3(b)、(c)と同様の手順により施工を施すことによって、図3(d)に示すように、カバー目地受け部材54に沿って、中間目地受け部材55を介在して、2枚の建築用パネル2を係着させた後、この係着させた2枚の建築用パネル2の更に天井側に、カバー目地受け部材54を固着させる。その後、同様にして、図3(d)のように天井側に固着されたカバー目地受け部材54に沿って、中間目地受け部材55を介在して、左側から順番に2枚の建築用パネル2を係着させる。
【0048】
このように、建築用パネル2の係着と、カバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55の固着とが、図3(a)〜(d)で示される手順で繰り返し行われる。これにより、図4(a)に示すように、複数枚(図例では6枚)の建築用パネル2が、縦方向及び横方向それぞれにおいてカバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55を介在して隣接した状態で、施工下地1に敷設される。よって、施工下地1面の縦横それぞれに並列配置された複数枚の建築用パネル2の集合体が形成されることとなる。
【0049】
そして、更に、図4(a)に示すように、天井側端部の横見切り受け部材57及び右側端部の縦見切り受け部材56をそれぞれ施工下地1に固着する。このとき、各見切り受け部材56,57の固定板状部66,67は、基台部76,77より内方(建築用パネル存在側)に向けて延出させた形状であることから、建築用パネル2の裏面と施工下地1との間に挿入された状態となり、固着具が止着できない。そのため、見切り受け部材56,57に基台部76,77の外方側に各固着具受部(不図示)を設け、この固着具受部に対して固着具を止着させるようにしてもよい。
【0050】
このようにして施工を行うことで、建築用パネル2に挟まれた目地溝には、カバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55それぞれの基台部74,75表面に凹設された係合凹部が現れた状態となる。又、建築用パネル2による集合体の外郭側には、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57それぞれの基台部76,77表面に凹設された係合凹部が現れた状態となる。
【0051】
そして、まず、図4(a)に示すように、中間目地受け部材55それぞれの係合凹部に対して、中間目地部材51の係合突部を嵌入させて係合することで、中間目地受け部材55それぞれに中間目地部材51を嵌着させる。その後、図4(b)に示すように、カバー目地受け部材54それぞれの係合凹部に対して、カバー目地部材50の係合突部を嵌入させて係合することで、カバー目地受け部材54それぞれにカバー目地部材50を嵌着させる。
【0052】
尚、カバー目地部材50は、その上方先端に鍔部を備えるとともに、当該鍔部が建築用パネル2の表面に当接することで、建築用パネル2を係止する機能を備える。又、中間目地部材51については、カバー目地部材50と同様の構成とし、建築用パネル2を係止する鍔部を備えるものとしてもよいが、その意匠性をよくするために、上方先端表面を建築用パネル2の表面と略同一面として、その端部がカバー目地部材50の鍔部により覆われるような構成としてもよい。
【0053】
このようにしてカバー目地部材50と中間目地部材51の嵌着を行った後、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57のそれぞれの係合凹部に対して、縦見切り部材52及び横見切り部材53のそれぞれの係合突部を嵌入させて係合する。これにより、図4(c)に示すように、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57のそれぞれに、縦見切り部材52及び横見切り部材53が嵌着される。
【0054】
尚、縦見切り部材52及び横見切り部材53はそれぞれ、その長手方向に対する垂直な断面において、内方側の一部を開口とした略四角枠形状となるとともにその下端部から下方に向けて係合突部が突設された基部を備える。そして、この基部によって立ち上がり壁部が構成されるとともに、その内方側側面が、建築用パネル2のうちの最外方に位置するものの辺縁及びカバー目地部材50の両端部端面に対面して、当接あるいは近接配置されている。
【0055】
又、基部の外方側側面に沿って下方に向けて延設された見切りカバー部が、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57それぞれの外方を覆うカバーとして機能する。更に、基部の上端部には、内方に向けて延出する突片部が設けられ、この突片部の内方の裏面が最外方に位置する建築用パネル2の辺縁側及びカバー目地部材50の両端部の表面に対面して、当接あるいは近接配置されている。
【0056】
このようにして縦見切り部材52及び横見切り部材53の嵌着を行い、それぞれの見切りカバー部により、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57を固着する固着具などを覆い、意匠性に優れたものとすることができる。次いで、図4(d)に示すように、各見切り部材52,53のそれぞれ四隅の突合せ部に、この突合せ部を覆うように、コーナーキャップ6をそれぞれ固着する。
【0057】
3.建築用パネル
以上のように図2に示す建築用パネルの取付構造Aを用いて取付施工された建築用パネル2は、例えば、その一部に不良があったような場合や模様替え等をしたい場合には、カバー目地部材50、中間目地部材51及び各見切り部材52,53を脱離させることで、建築用パネル2の係着を解除可能な状態とすることができる。又、これらの脱離させたカバー目地部材50、中間目地部材51及び各見切り部材52,53については、建築用パネル2の交換後に再利用できる。尚、建築用パネル2についても、不良や破損がない限りにおいては、その係着を取り外すことにより、再利用可能となる。
【0058】
又、このように構成される建築用パネルの取付構造Aにおいて、建築用パネル2は、矩形状の板状体からなり、例えば、木質系材料や合成樹脂系材料、窯業系材料、金属系材料等から形成されている。そして、木質系材料としては、無垢の木材、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板等や、これらを基材として、突き板や樹脂シート等の化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものが挙げられる。
【0059】
又、合成樹脂系材料としては、熱硬化性樹脂材、熱可塑性樹脂材等が挙げられ、窯業系材料としては、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料等が挙げられる。更に、金属系材料としては、アルミ材や、ステンレス材等が挙げられる。これら樹脂系材料、窯業系材料及び金属系材料についても、上記木質系材料と同様、これらを基材として、更に突き板や樹脂シート等の化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものとしてもよい。
【0060】
更に、建築用パネル2は、種々の機能性が付与された機能性パネルとしてもよい。機能性パネルとしては、例えば、調湿パネルや吸音パネル、防音パネル、防汚パネル、抗菌パネル等が挙げられる。或いは、機能性パネルとなる建築用パネル2として、照明装置を内蔵した照明パネルや、棚板を手前側に向けてパネルに突設した棚板パネル、前面開口箱形状の収納箱をパネルに付設した収納パネルとしてもよい。これら照明装置や棚板、収納箱は、パネルに対して着脱可能に設けるようにしてもよい。更に、棚板や収納箱をパネルと一体成形するようにしてもよい。
【0061】
又、このような建築用パネル2の形状は、図例のような略正方形状に限らず、長方形状のものとしてもよい。そして、建築用パネル2の大きさは、施工箇所等に応じて適宜、設定可能であり、一辺が100mm〜600mm程度の比較的小モジュールのもの、一辺が600mm〜900mm程度の中モジュールのもの、あるいは、一辺が900mm〜1800mm程度の比較的大モジュールのものとしてもよい。
【0062】
4.目地部材、目地受け部材、見切り部材、見切り受け部材
隣接する建築用パネル2の間の目地溝に設けられるカバー目地部材50及び中間目地部材51はそれぞれ、アルミニウム材から押出成形や射出成形、プレス成形あるいは切削加工等によって、一体的に成形されることで、長尺に形成されるものとしてもよい。そして、カバー目地部材50の長手方向に沿う長さは、中間目地部材51を介在させて横方向に並設された複数枚の建築用パネル2の全長に亙って配設される長さとされる。一方、中間目地部材51の長さは、建築用パネル2の縦辺の長さと略同じ長さとされる。
【0063】
又、このカバー目地部材50及び中間目地部材51はそれぞれ、その材料費を低減すべく、その基部の適宜箇所に長手方向に沿って凹所を形成するようにして押出成形によって形成されている。尚、カバー目地部材50及び中間目地部材51の材質は、上記アルミニウム材に限られず、ステンレス材等の他の金属系材料あるいはポリプロピレンや、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS等の合成樹脂系材料としてもよい。尚、縦見切り部材52の材質及び形成方法が、カバー目地部材50と同様となるとともに、横見切り部材53の材質及び形成方法が、中間目地部材51と同様となる。
【0064】
一方、カバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55それぞれについても、カバー目地部材50及び中間目地部材51と同様、上記した金属材料や合成樹脂系材料などから、押出成形や射出成形、プレス成形あるいは切削加工等によって、一体的に成形されるものとしてもよい。このとき、カバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55は、カバー目地部材50及び中間目地部材51と同様、長尺に形成されるとともに、基台部74,75については、その表面に形成された係合凹部が広がるような弾性が与えられた構造となる。尚、縦見切り受け部材56の材質及び形成方法が、カバー目地受け部材54と同様となるとともに、横見切り受け部材57の材質及び形成方法が、中間目地受け部材55と同様となる。
【0065】
又、カバー目地部材50の基部及びカバー目地受け部材54の基台部74の下端部近傍の幅寸法、中間目地部材51の基部及び中間目地受け部材55の基台部75の下端部近傍の幅寸法は、形成する目地幅に応じて適宜、設定可能である。よって、例えば、建築用パネル2間に形成される目地幅を5mm程度としたい場合には、各目地部材の基部及び各目地受け部材の基台部それぞれの下端部近傍の幅寸法を5mm程度とすればよい。又、カバー目地部材50に設けられる、建築用パネル2を係止するための鍔部の延出幅も適宜、設定可能であり、建築用パネル2及び中間目地部材51の寸法誤差や取付誤差等を考慮して、1〜4mm程度としてもよい。
【0066】
更に、中間目地部材51の施工下地1から上側先端面までの高さは、中間目地受け部材55に係合保持された状態で、施工下地1に係着された建築用パネル2の表面と略面一となるような高さとすることが好ましい。又、カバー目地部材50の施工下地1から上側先端面までの高さは、カバー目地受け部材54に係合保持された状態で、中間目地部材51の高さ及び建築用パネル2の厚さに応じて、建築用パネル2及び中間目地部材51それぞれの表面に対して、カバー目地部材50の鍔部の裏面が当接あるいは近接して対面配置されるような高さとすることが好ましい。
【0067】
そして、縦見切り部材52の長手方向に沿う長さが、縦方向に並設された建築用パネル2の縦方向幅に応じて、又、横見切り部材53の長手方向に沿う長さが、横方向に並設された建築用パネル2の横方向幅に応じて、それぞれ適宜長さに設定されている。又、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57のそれぞれの長手方向に沿う長さは、縦見切り部材52及び横見切り部材53それぞれと略同じ長さとされている。更に、カバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55のそれぞれの固定板状部64,65及び固定短片の厚さ、及び各見切り受け部材56,57の各固定板状部66,67の厚さは、1mm程度〜2mm程度の薄板状とすることが好ましい。
【0068】
以下において、図1に示すような基本構造に基づく本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の各実施形態においては、その説明を簡単なものとするため、図2に示す建築用パネルの取付構造Aと同様、施工下地を内壁面とした場合のものを例に挙げて説明するが、施工下地を天井面、床面、或いは外壁面とした場合においても、適用可能である。
【0069】
又、以下の各実施形態における建築用パネルの取付構造において、建築用パネル、各見切り部材、各見切り受け部材、各目地部材、及び各目地受け部材のそれぞれについては、図2に示す建築用パネルの取付構造Aで説明したものによって構成されるため、その詳細については上述の内容を参照するものとして説明を省略する。更に、以下の各実施形態において、図1(a)に示す構造による例を挙げて説明するが、図1(b)に示す構造のものによっても同様に構成することができる。
【0070】
そして、以下の各実施形態においては、各目地受け部材及び各目地部材によって囲まれた建築用パネルを例に挙げて説明するが、上述したように、目地受け部材と目地部材の関係が、見切り受け部材と見切り部材との関係と同じであるため、その一部を各見切り受け部材及び各見切り部材によって囲まれた建築用パネルにおいても、以下の各実施形態で説明する構成を適用することができる。
【0071】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。図5は、本実施形態で使用する係着手段を説明するための図であり、(a)が、パネル固定用係止部材の構成を示す外観斜視図であり、(b)が、目地部材を取り外したときの目地受け部材とパネル固定用係止部材の設置関係を示す上面図である。又、図6は、本実施形態における建築用パネルの裏面側からみた外観斜視図である。
【0072】
図5(a)に示すように、本実施形態の建築用パネルの取付構造における、パネル固定用係止部材10は、その先端が折曲されて断面がL字形状となるフック101と、フック101の基部から両側に延出させた固定板状部102を備える。即ち、パネル固定用係止部材10は、固定板板状部102の中央部分に、フック101が突設された構成となる。そして、固定板状部102は、フック101のL字断面に対して垂直な方向を長手方向とした板状とするとともに、この固定板状部102の長手方向に対してフック101も延びた形状となる。即ち、フック101と固定板状部102とによって、固定板状部102の長手方向に沿った溝が形成される。
【0073】
このように構成されるパネル固定用係止部材10において、固定板状部102は、上述のカバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55それぞれの固定板状部64,65と同様、釘(フィニッシュネイル、ステイプル等)やビス等の固着具5(図5(b)参照)が目印溝に止着される。又、この固定板状部102の厚さについても、カバー目地受け部材54及び中間目地受け部材55それぞれの固定板状部64,65と同様、1mm程度〜2mm程度の薄板状とすることが好ましい。
【0074】
上述した図3及び図4の例のように、床面側且つ左側の建築用パネル2から順番に施工下地1に敷設するとともに、2つの固定用係止部材10によって、建築用パネル2を係着させる場合において、建築用パネル2を外したときの構成の一部を、図5(b)に示す。図5(b)において、符号10aが、床面側に配置されるパネル固定用係止部材を示し、符号10bが、天井面側に配置されるパネル固定用係止部材を示す。
【0075】
パネル固定用係止部材10a,10bを固着するとき、図5(b)に示すように、パネル固定用係止部材10a,10bそれぞれの左側辺縁を、左側の中間目地受け部材55aにおける固定板状部65の右側辺縁に当接させて、パネル固定用係止部材10a,10bの横方向の位置決めを行う。尚、中間目地受け部材55a,55bは、図5(b)に示すように、その床面側辺縁が、床面側に固着されるカバー目地受け部材54aにおける固定板状部64の天井面側辺縁に当接する一方で、その天井面側辺縁が、天井面側に固着されるカバー目地受け部材54bにおける固定短片84の床面側辺縁の近傍に位置することとなる。
【0076】
このとき、パネル固定用係止部材10aは、その固定板状部102の床面側辺縁を、カバー目地受け部材54aにおける固定板状部64の天井面側辺縁に当接させて、パネル固定用係止め部材10aの縦方向の位置決めを行う。即ち、パネル固定用係止部材10aの固定板状部102における床面側辺縁が、中間目地受け部材55aの床面側辺縁と略同一線上に配置される。
【0077】
一方、パネル固定用係止部材10bは、その固定板状部102の天井面側辺縁が、中間目地受け部材55aの天井面側辺縁と略同一線上に配置されるようにして、パネル固定用係止部材10bの縦方向の位置決めを行う。即ち、カバー目地受け部材54bを、その固定短片84の床面側辺縁が、パネル固定用係止部材10bの固定板状部102の天井面側辺縁の近傍位置で、この固定板状部102と平行となるように、固着されることとなる。
【0078】
このようにして、パネル固定用係止部材10a,10bの縦方向及び横方向それぞれの位置決めが成されると、それぞれの固定板状部102に対して、フック101よりも床面側及び天井面側のそれぞれに固着具5が止着される。この固着具5による固定板状部102への止着が成されることで、パネル固定用係止部材10a,10bが施工下地1に固着される。そして、上述のようにパネル固定用係止部材10a,10bの位置決めが成されることにより、後述する建築用パネル2に設けられた係止部に対応した位置に、パネル固定用係止部材10a,10bそれぞれのフック101が設置されることとなる。
【0079】
一方、このようにして位置決めが成されて施工下地1の表面上に固着されたパネル固定用係止部材10に係着する建築用パネル2は、図6に示すように、その裏面に、パネル固定用係止部材10のフック101に係止する係止部20x,20y(図1(a)における係止部20に相当する。)を備える。この係止部20x,20yは、パネル固定用係止部材10のフック101の先端における折曲部103が形成する面よりも広い開口面を構成する開口部20aと、パネル固定用係止部材10との係止方向(縦方向)に対して開口部20aと連設けられた係止溝部20bとによって構成される。
【0080】
又、図5(b)のように、1枚の建築用パネル2に対して2つのパネル固体用係止部材10a,10bが固着されるため、図6に示すように、建築用パネル2に形成される係止部20x,20yは、建築用パネル2の裏面において、その開口部20aにおける長手方向が平行となるように、縦方向の2箇所に並設される。そして、この係止部20x,20yのそれぞれにおいて、開口部20aに対して天井面側に係止溝部20bが設けられる場合、建築用パネル2の天井面側の辺縁における裏面側に、建築用パネル2の天井面側の辺縁に沿って延びた切欠部201が設けられる。
【0081】
そして、本実施形態における建築用パネルの取付構造において、係着された建築用パネル2とパネル固定用係止部材10との関係が、図7に示す縦断面図のようになる。この図7に示す縦断面図を参照して、建築用パネル2,パネル固定用係止部材10a,10b、カバー目地部材50a,50b、及び、カバー目地受け部材54a,54bそれぞれの構成の詳細について、以下に説明する。尚、この図7において、カバー目地受け部材54a,54bと、パネル固定用係止部材10a,10bとが、図5(b)のように施工下地1に対して固着されたものであるとともに、カバー目地部材50a、50bが、カバー目地受け部材54a,54bそれぞれに嵌着するものとなる。
【0082】
まず、カバー目地部材50a,50bは、縦断面形状が略I形状(倒伏略H形状)の基部501と、基部501の上端部に幅方向両側に向けて延出する鍔部502と、基部501の下端部から下方に向けて突設された係合突部503とを有している。又、このカバー目地部材50a,50bが嵌着されるカバー目地受け部材54a、54bは、上述したように、カバー目地部材50a,50b側に突出した基台部74と、基台部74の施工下地1側において天井面側及び床面側のそれぞれに延出させた固定板状部64及び固定短片84とを備えるとともに、基台部74の上方端面には、カバー目地部材50a,50bの係合突起503が嵌入される係合凹部94を備える。
【0083】
そして、上述したように、カバー目地部材50a,50bそれぞれにおける基部501の縦方向の幅、及び、カバー目地受け部材54a,54bそれぞれにおける基台部74の縦方向の幅が、縦方向に隣接する建築用パネル2間の目地溝の幅D1と同等の長さとなる。このように構成することで、建築用パネル2の天井面側の辺縁が、カバー目地部材50bの床面側の端面と当接するとともに、建築用パネル2の床面側の辺縁が、カバー目地部材50a及びカバー目地受け部材54aの天井面側の端面と当接する。
【0084】
又、建築用パネル2に設けられた切欠部201は、その縦方向の幅D3が、建築用パネル2間における目地溝の縦方向の幅D1以上の長さで、且つ、カバー目地受け部材54a,54bにおける固定短片84の縦方向の幅D2よりも短い長さとされる。更に、この切欠部201の施工下地1からの高さH2が、施工下地1からカバー目地受け部材54a,54bにおける基台部74の上方端面までの高さH1以上の高さとされる。
【0085】
このように構成することで、カバー目地部材50a,50bを取り外した状態で、建築用パネル2を天井面側にスライドさせたとき、カバー目地受け部材54bとの緩衝を防ぐことができる。又、カバー目地受け部材54bの固定短片84を、建築用パネル2の切欠部201よりも床面側の裏面と施工下地1との間で挟持して、固定することができる。
【0086】
更に、建築用パネル2の裏面に設けられる係止部20x,20yは、裏面側を開口させた開口部20aについて、その底部から建築用パネル2の裏面までの高さを、パネル固定用係止部材10a,10bそれぞれのフック101の高さ以上とすることで、フック101の挿入が可能となる。そして、この開口部20aの底部を天井面側に延出した係止溝部20bを形成することで、係止溝部20bを覆う建築用パネル2の裏面部分の断面が鈎形状となる。
【0087】
よって、開口部20aの底部まで挿入されたフック101の折曲部103が、更に、係止溝部20bに挿入されることによって、フック101が係止溝部20bで係止する。このとき、係止溝部20bの天井面側底部がフック101の折曲部103先端に当接することで、建築用パネル2が縦方向(係止方向)の支持を得るものとしてもよいし、開口部20aの天井面側内壁がフック101と固定板状部102との接続部となる基部104に当接することで、建築用パネル2が縦方向の支持を得るものとしてもよい。又、フック101の折曲部103の施工下地1側の面と、係止溝部20bにおける建築用パネル2の裏面側の内壁とが当接することにより、建築用パネル2が上方向(施工下地1面に対して垂直な方向)の支持を得る。
【0088】
このように構成されることで、本実施形態における建築用パネルの取付構造においては、建築用パネル2を縦方向にスライドさせることで、建築用パネル2の部分的な着脱が可能な構成となる。即ち、図7に示すように、パネル固定用係止部材10a,10b及びカバー目地部材50a,50bによって施工下地1に係着された建築用パネル2を取り外すとき、まず、図8(a)に示すように、目的の建築用パネル2の床面側及び天井面側それぞれに設置されたカバー目地部材50a,50bを、カバー目地受け部材54a,54bより引き抜いて、取り外す。
【0089】
これにより、カバー目地部材50a,50bそれぞれの鍔部502による、建築用パネル2の表面への係止が解除されるとともに、建築用パネル2の天井面側辺縁における基部501との当接が解除される。よって、建築用パネル2が天井面側へスライド可能な状態となる。そして、建築用パネル2を天井面側へスライドさせることで、パネル固定用係止部材10a,10bそれぞれのフック101が、係止部20x,20yそれぞれの係止溝部20bから引き抜かれる。
【0090】
このようにして、係止部20x,20yそれぞれの開口部20aによって、パネル固定用係止部材10a,10bそれぞれのフック101が覆われた状態となると、パネル固定用係止め部材10a,10bによる係着が解除される。そして、図8(b)に示すように、建築用パネル2を上方に移動させることによって、建築用パネル2を施工下地1より取り外すことができる。
【0091】
又、建築用パネル2を施工下地1に取り付ける場合は、取り外すときの作業工程と逆の手順で行う。即ち、まず、図8(b)のようにして、パネル固定用係止部材10a,10bそれぞれのフック101を、係止部20x,20yそれぞれの開口部20aに挿入するように、建築用パネル2を施工下地1側に移動させる。その後、図8(a)のように、建築用パネル2を床面側にスライドさせることで、パネル固定用係止部材10a,10bにより係着させる。そして、建築用パネル2の床面側及び天井面側それぞれに、カバー目地部材50a,50bを嵌め込むことによって、図7に示す構成として、建築用パネル2を固定することができる。
【0092】
尚、本実施形態においては、図5(b)に示すように、1枚の建築用パネル2を係着するために、2つのパネル固定用係止部材10a,10bが用いられるものとしたが、1つのパネル固定用係止部材10のみが用いられるものとしてもよいし、3つ以上のパネル固定用係止部材10が用いられるものとしてもよい。このとき、建築用パネル2は、係着するパネル固定用軽視部材10の個数と同数の係止部20を備える。これらの構成については、後述する各実施形態においても同様に適用することが可能である。
【0093】
又、天井面側に配置されるパネル固定用係止部材10bにおける縦方向の位置決めについては、その固定板状部102の床面側辺縁を、床面側に配置されるパネル固定用係止部材10aにおける固定板状部102の天井面側辺縁に当接させることで、成されるものとしても構わない。この構成についても、後述する各実施形態においても同様に適用することが可能である。
【0094】
更に、図5(a)と異なり、1つのパネル用係止部材10に、その長手方向が平行となるとともに縦方向に並んだ2つ以上のフック101が設けられる構成としても構わない。このように2つ以上のフック101を備えたパネル用係止部材10とした場合、このパネル用係止部材10は、固定板状部102の床面側辺縁をカバー目地受け部材54における固定板状部64の天井面側辺縁に当接させるのみで、このパネル用係止部材10に設けられた複数のフック101の位置決めを行うことができる。この構成についても、後述する各実施形態においても同様に適用することが可能である。
【0095】
又、建築用パネル2の裏面において、その横方向の一部に、係止部20が設けられる構成としたが、係止部20が、建築用パネル2の裏面における横方向の幅と同一の幅となるように構成されるものとしてもよい。即ち、建築用パネル2の左右の辺縁において、開口部20a及び開口溝20bそれぞれの縦方向断面と同一形状の開口面が形成される。これにより、係止部20の形状を単純なものとして構成することができ、建築用パネル2の製造工程を簡単化することができる。
【0096】
尚、図1(b)のように、建築用パネル2の係止部21を突起させるとともに、パネル固定用係止部材11を施工下地1に凹設させる場合においても、上述のパネル固定用係止部材10と係止部20との関係が逆になったものと等しいため、それぞれの構造を、パネル固定用係止部材10と係止部20の構造と同様のものとすればよい。このとき、係止部21を構成するフックの折曲部の先端が、床面側を指す方向に形成され、この係止部21の形状に応じて、パネル固定用係止部材11の開口部11a及び係止溝部11bが構成される。更に、パネル固定用係止部材11を施工下地1に設置する際、パネル固定用係止部材11を構成する金具などを施工下地1に設けた開口穴に挿入することで、凹設されるパネル固定用係止部材11を構成することできる。
【0097】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。図9は、本実施形態で使用する係着手段を説明するための図であり、(a)が、パネル固定用係止部材の構成を示す外観斜視図であり、(b)が、目地部材を取り外したときの目地受け部材とパネル固定用係止部材の設置関係を示す上面図である。又、図10は、本実施形態における建築用パネルの裏面側からみた外観斜視図である。尚、図9及び図10に示す構成において、図5及び図6に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0098】
本実施形態における建築用パネルの取付構造は、第1の実施形態のものと異なり、建築用パネル2を横方向(係止方向に対して垂直な方向)にスライドさせることで、施工下地1に対する係着を解除させる構成とする。そのため、パネル固定用係止部材10は、図9(a)のように、固定板状部102に、1列に断続的に並んだ複数(図例では、3個)のフック101a〜101cが設けられた構造となる。即ち、フック101a〜101cは、第1の実施形態におけるフック101(図5(a)参照)を分断した形状となる。又、パネル固定用係止部材10に設けられるフックの個数は、1個以上の複数個であればよいが、安定した係着のためには、その個数を多くすることが望ましい。
【0099】
このフック101a〜101cを備えたパネル固定用係止部材10c,10dを、図9(b)のように、第1の実施形態のパネル固定用係止部材10a,10b(図5(b)参照)と同様、床面側のカバー目地受け部材54aと左側の中間目地受け部材55aとによって位置決めを行い、固着具5により施工下地1に固着する。これにより、パネル固定用係止部材10c,10dのフック101a〜101cが、横方向に3個ずつ、縦方向に2個ずつ並設されることとなる。
【0100】
又、建築用パネル2の裏面には、開口部20aと係止溝部20bとが横方向に連設された複数(図例では、3×2個)の係止部20p〜20uが、横方向及び縦方向それぞれに断続的に並設される。即ち、係止部20p〜20uが、施工下地1に固着されたパネル固定用係止部材10c,10dのフック101a〜101cそれぞれに対応する位置に設けられる。
【0101】
更に、この係止部20p〜20uにおいて、開口部20aは、その一部が係止め溝部20bの床面側にも設けられる。即ち、開口部20aの開口面が、係止溝部20bの二辺を囲むL字状となる。この開口部20aにおける係止溝部20bの床面側部分は、フック101a〜101cにおける固定板状部102と接続する基部104が通過可能となるように、この基部104の縦方向の幅よりも広い幅で開口するように形成される。
【0102】
又、図10に示すように、建築用パネル2の裏面において、係止部20p〜20uが、開口部20aの大部分を係止溝部20bの右側(図9(b)においては左側に相当する。)に構成しているとき、建築用パネル2の裏面側における左側辺縁(図9(b)においては右側辺縁に相当する。)に切欠部202が設けられる。この切欠部202は、第1の実施形態の切欠部201と同様の機能を有するもので、建築用パネル2を横方向にスライドさせたときに、中間目地受け部材55との緩衝を防ぐことができる。
【0103】
そして、本実施形態における建築用パネルの取付構造において、係着された建築用パネル2とパネル固定用係止部材10との関係が、図11(a)、(b)に示す縦断面図、及び図12(a)に示す横断面図のようになる。尚、図11において、(a)が、パネル固定用係止部材のフック周辺の構成を示す縦断面図であり、(b)が、建築用パネルの係止部における開口部周辺の構成を示す縦断面図である。又、図12(a)は、パネル固定用係止部材におけるフックの折曲部と建築用パネルにおける係止部との関係を示す横断面図である。
【0104】
このように構成されるとき、図11(a)、(b)に示すように、カバー目地受け部材54a,54bと、パネル固定用係止部材10c,10dとが、図9(b)のように施工下地1に対して固着されたものであるとともに、カバー目地部材50a、50bが、カバー目地受け部材54a,54bそれぞれに嵌着するものとなる。尚、図11(a)、(c)においては、パネル固定用係止部材10c,10dのフック101aに対する断面形状を示し、図11(b)においては、係止部20p,20sに対する断面形状を示すが、パネル固定用係止部材10c,10dのフック101b,101cや係止部20q,20r,20t,20uに対する断面形状についても、同様の形状となる。
【0105】
又、図12(a)に示すように、中央目地受け部材55a,55bと、パネル固定用係止部材10c(10d)とが、図9(b)のように施工下地1に対して固着されたものであるとともに、中央目地部材51a、51bが、中央目地受け部材55a,55bそれぞれに嵌着するものとなる。尚、図12(a)〜(c)においては、天井面から見たパネル固定用係止部材10cに対する断面形状を示すが、パネル固定用係止部材10dに対する断面形状についても同様の形状となる。
【0106】
図11(a)又は図11(b)に示すように、カバー目地部材50a,50bはそれぞれ、第1の実施形態と同様、基部501と、鍔部502と、係合突部503とを有する構成となる。それに対して、図12(a)に示すように、中央目地部材51a,51bはそれぞれ、中央目地受け部材55a,55bに嵌着された状態において、その上方端面が建築用パネル2の表面と略同一面となるような形状となる。
【0107】
即ち、カバー目地部材50a,50bにおける鍔部502を除くとともに、カバー目地部材50a,50bの基部501よりも高さの低い基部511に係合突部503を設けた構成となる。このように構成することで、中央目地部材51a,51bの端部をカバー目地部材50a,50bの鍔部502で覆うことができ、その意匠性を向上することができる。
【0108】
尚、中央目地部材51a,51bにおいて、その長手方向の長さを、カバー目地部材50a,50bの鍔部502と重ならない長さとする場合、その断面形状をカバー目地部材50a,50bと同様にしてもよい。即ち、この場合、中央目地部材51a,51bが、カバー目地部材50a,50bと同様、基部501と、鍔部502と、係合突部503とによって構成される。
【0109】
又、カバー目地受け部材54a,54bは、図11(a)及び図11(b)に示すように、第1の実施形態と同様、固定板状部64と、基台部74と、固定短片84と、係合凹部94とを有する構成となる。尚、本実施形態で使用する建築用パネル2は、第1の実施形態のような切欠部201(図6参照)が設けられないため、建築用パネル2の床面側辺縁が、カバー目地受け部材54aの基台部74の天井面側端面と当接するとともに、建築用パネル2の天井面側辺縁が、カバー目地受け部材54bの基台部74の床面側端面と当接する。
【0110】
一方、中央目地受け部材55a,55bはそれぞれ、図12(a)に示すように、固定板状部65と、基台部75と、固定短片85と、係合凹部95とを備えることにより、カバー目地受け部材54a,54bと同じ断面構造を有する。そして、建築用パネル2が、図10に示すように、横方向に切欠部202が設けられる。この切欠部202は、切欠部201(図7参照)と同様、その横方向の幅D6が、目地溝の横方向の幅D4以上で、且つ、中央目地受け部材55a,55bの固定短片85の横方向の幅D5よりも短い長さとされ、その高さH4が、中央目地受け部材55a,55bにおける基台部75の上方端面までの高さH3以上の高さとされる。
【0111】
このように構成することで、建築用パネル2は、その横方向の辺縁が、中央目地部材51a,51b及び中央目地受け部材55aと当接することとなる。これにより、中央目地部材51a,51bを取り外した状態で、建築用パネル2を右側(図9と同様)にスライドさせたとき、中央目地受け部材55bとの緩衝を防ぐことができる。又、中央目地受け部材55bの固定短片85を、建築用パネル2の切欠部202よりも左側(図9と同様)の裏面と施工下地1との間で挟持して、固定することができる。
【0112】
又、係止部20p〜20uは、図11(a)の縦断面図のように、その係止溝部20bが、フック101a〜101cの折曲部103と相似形状であり折曲部103の幅よりも大きくなる溝で構成され、係止溝部20bを覆う建築用パネル2の裏面部分の断面が鈎形状となる。そして、係止溝部20bの床面側が建築用パネル2の裏面に向かって延出されて、係止溝部20bの床面側に、フック101a〜101cの基部104が嵌入する開口部20aの一部が形成される。即ち、係止溝部20bにおける係止部20p〜20uの縦方向の断面構造が、フック101a〜101cと同様のL字形状となる。
【0113】
更に、図12(a)の横断面図に示すように、係止溝部20bの横方向の幅D7が、フック101a〜101cの横方向の幅と略同等の幅とされるとともに、目地溝の横方向の幅D4以下となるように形成される。そして、係止部20p〜20uは、この係止溝部20bの左側(図10の右側)に連設する、図11(b)の縦断面図に示すような開口部20aを備える。即ち、図12(a)の横断面図に示すように、開口部20aの底部側を右側(図10の左側)に延出させることで係止溝部20bが形成される。
【0114】
このように構成することによって、開口部20aの底部まで挿入されたフック101a〜101cの折曲部103が、更に、係止溝部20bに挿入されることで、フック101a〜101cは、その折曲部103が係止溝部20bで係止され、その基部104が係止溝部20bの床面側に設けられた開口部20aの一部で係止されることとなる。
【0115】
このとき、係止溝部20bの天井面側底部が折曲部103先端に当接することで、又は、係止溝部20bの床面側の開口部20aの一部における天井面側内壁がフック101の基部104に当接することで、建築用パネル2が縦方向の支持を得る。又、折曲部103の施工下地1側の面と、係止溝部20bにおける建築用パネル2の裏面側の内壁とが当接することにより、建築用パネル2が上方向(施工下地1面に対して垂直な方向)の支持を得る。
【0116】
このように構成されることで、本実施形態における建築用パネルの取付構造においては、建築用パネル2を横方向にスライドさせることで、建築用パネル2の部分的な着脱が可能な構成となる。即ち、図11(a)及び図12(a)に示すように、パネル固定用係止部材10c,10d及びカバー目地部材50によって施工下地1に係着された建築用パネル2を取り外すとき、第1の実施形態と同様、まず、図11(c)の縦方向断面に示すように、目的の建築用パネル2の床面側及び天井面側それぞれに設置されたカバー目地部材50a,50bを、カバー目地受け部材54a,54bより引き抜いて、取り外す。
【0117】
これにより、カバー目地部材50a,50bそれぞれの鍔部502による、建築用パネル2及び中央目地部材51a,51bの表面への係止が解除される。次いで、図12(b)の横方向断面に示すように、中央目地部材51a,51bを、中央目地受け部材55a,55bより引き抜いて、取り外す。これにより、建築用パネル2の右側辺縁(図10においては左側辺縁)における基部511との当接が解除される。よって、建築用パネル2が右側へスライド可能な状態となる。
【0118】
そして、図12(b)に示すように、建築用パネル2を右側へスライドさせることで、パネル固定用係止部材10c,10dそれぞれのフック101a〜101cが、係止部20p〜20uそれぞれの係止溝部20bから引き抜かれる。即ち、図11(c)及び図12(b)に示すように、パネル固定用係止部材10c,10dそれぞれのフック101a〜101cが、係止部20p〜20uそれぞれの開口部20aに覆われた状態となり、パネル固定用係止め部材10c,10dによる係着が解除される。その後図11(c)及び図12(c)に示すように、建築用パネル2を上方に移動させることによって、建築用パネル2を施工下地1より取り外すことができる。
【0119】
又、建築用パネル2を施工下地1に取り付ける場合は、取り外すときの作業工程と逆の手順で行う。即ち、まず、図11(c)及び図12(c)のようにして、建築用パネル2を施工下地1側に移動させて、パネル固定用係止部材10c,10dそれぞれのフック101a〜101cを、係止部20p〜20uそれぞれの開口部20aに嵌入させる。その後、図12(b)の状態から図12(a)の状態となるように、建築用パネル2を左側にスライドさせて、パネル固定用係止部材10c,10dにより係着させる。
【0120】
そして、図12(a)に示すように、建築用パネル2の左右それぞれに、中央目地部材51a,51bを嵌め込むことによって、係止方向(横方向)への移動を規制させた状態とする。その後、床面側及び天井面側それぞれに、カバー目地部材50a,50bを嵌め込むことによって、図11(a)及び図11(b)に示す構成として、建築用パネル2を固定することができる。
【0121】
尚、本実施形態における図9(a)に示すパネル固定用係止部材10は、第1の実施形態における建築用パネルの取付構造に対しても採用することができる。このとき、建築用パネル2の係止部20については、図6のような構成の係止部20x,20yによって構成するものとしてもよいし、図6のような構成の係止部20x,20yを分離させて、パネル固定用係止部材10のフック101a〜101cそれぞれに対応させた複数箇所に係止部20を形成するものとしてもよい。又、本実施形態又は第1の実施形態において、横方向に複数の係止部20を構成する場合、係止部20をだるま穴によって構成するものとしてもよい。
【0122】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施の形態について、図面を参照して説明する。図13は、本実施形態で使用する建築用パネルの構成を説明するための外観斜視図である。尚、本実施形態の構成において、第1及び第2の実施形態に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0123】
本実施形態における建築用パネルの取付構造は、上述の第1の実施形態において特徴とする、建築用パネル2の縦方向のスライドによる施工下地1からの着脱可能な構成と、第2の実施形態において特徴とする、建築用パネル2の横方向のスライドによる施工下地1からの着脱可能な構成とを、組み合わせた構成である。この図13の構成とした建築用パネル2を用いた構成について、以下に簡単に説明する。尚、図13に示す構成例は、第1の実施形態と同様、L字断面を横方向に連続的に延ばした形状となるフック101を備えた図5(a)に示すパネル固定用係止部材10に係着される建築用パネル2を対象としている。又、図13は、裏面側から見た建築用パネル2の外観斜視図である。
【0124】
図13に示す建築用パネル2は、その裏面において、図6に示す建築用パネル2と同様、天井面側の辺縁に切欠部201を備えるとともに、図10に示す建築用パネル2と同様、左側の辺縁に切欠部202を備える。そして、係止部20X,20Yにおいて、その開口部20aが、図6に示す建築用パネル2における係止部20x,20yの開口部20aの天井面側の一部を左側に延ばして開口させた形状となるとともに、その係止溝部20bについても、図6に示す建築用パネル2における係止部20x,20yの係止溝部20bを左側に延ばすように構成される。
【0125】
即ち、図13に示す建築用パネル2の係止部20X,20Yは、図6に示す建築用パネル2における係止部20x,20yの左側に、図10に示す建築用パネル2に設けられた係止部20p〜20uにおける係止溝部20bとその床面側に設けられた開口部20aの一部とが設けられた構成となる。そして、係止部20X,20Yの係止溝部20bの横方向の幅が、図5(a)のフック101の横方向の幅に横方向に隣接する建築用パネル20間の目地溝の幅を加えた長さよりも長くなるように構成される。又、開口部20aについては、フック101全体を挿入可能な部分における横方向の幅が、フック101の横方向の幅と同等とされるとともに、フック101の基部104のみが挿入可能な部分における横方向の幅が、横方向に隣接する建築用パネル20間の目地溝の幅以下とされる。
【0126】
この図13(a)のように構成することで、建築用パネル2をパネル固定用部材10に係着する場合は、まず、開口部20aにおける縦方向に開いた部分にフック101を挿入し、床面側に建築用パネル2をスライドさせて、フック101の折曲部103を係止溝部20bに挿入する。次いで、建築用パネル2を右側(図5においては左側)にスライドさせて、開口部20aにおけるフック101の基部104のみが挿入可能な部分に、フック101の基部104を挿入させることによって、建築用パネル2を縦方向にスライドすることを規制して係着させる。その後、中間目地部材51a,51b(図5参照)を嵌入させた後、カバー目地部材50a,50b(図5参照)を嵌入させて、建築用パネル2を完全に固定する。
【0127】
逆に、建築用パネル2を取り外す場合は、カバー目地部材50a,50b(図5参照)を取り外した後、中間目地部材51a,51b(図5参照)を取り外すことによって、建築用パネル2がスライド可能な状態とする。このとき、係止部20X,20Yの開口部20aによって、縦方向の移動が規制されているため、まず、建築用パネル2を左側(図5においては右側)にスライドさせて、フック101全体を開口部20aにおける縦方向に開いた部分の位置に配置する。次いで、建築用パネル2を天井面側にスライドさせて、フック101を開口部20aで覆われた状態とした後、手前側に建築用パネル2を引き抜くことにより、建築用パネル2が取り外される。
【0128】
尚、図14に示す建築用パネル2のように、図13に示す構成と同様、切欠部201,202を備えることにより、縦方向及び横方向それぞれへのスライドが可能な構成とされるものとしてもよい。この図14に示す建築用パネル2に設けられる係止部20Z,20Wは、図6に示す建築用パネル2における係止部20x,20yに対して、開口部20aのみを更に右側に広げた構成となる。尚、この開口部20aの広げられた部分の縦方向の幅は、係止部20x,20yにおける開口部20aの縦方向の幅と同一の幅であり、フック101全体が挿入可能な幅とされる。
【0129】
この図14のように構成することで、建築用パネル2をパネル固定用部材10に係着する場合は、まず、作業者の作業を行いやすい位置で開口部20aにフック101を挿入するとともに、フック101の折曲部103を係止溝部20bに挿入可能な位置まで、建築用パネル2を右側(図5においては左側)にスライドさせる。次いで、床面側に建築用パネル2をスライドさせて、フック101の折曲部103を係止溝部20bに挿入することで、係止溝部20bの横方向の内壁により建築用パネル2を横方向にスライドすることを規制して係着させる。その後、中間目地部材51a,51b(図5参照)を嵌入させた後、カバー目地部材50a,50b(図5参照)を嵌入させて、建築用パネル2を完全に固定する。
【0130】
逆に、建築用パネル2を取り外す場合は、カバー目地部材50a,50b(図5参照)を取り外した後、中間目地部材51a,51b(図5参照)を取り外すことによって、建築用パネル2がスライド可能な状態とする。このとき、係止部20W,20Zの係止溝部20bによって、縦方向の移動が規制されているため、まず、建築用パネル2を天井面側にスライドさせて、フック101を開口部20aの位置に配置する。次いで、建築用パネル2をフック101を開口部20aで覆われた状態となるため、作業者の作業を行いやすい位置に、建築用パネル2を横方向にスライドさせた後、手前側に建築用パネル2を引き抜くことで、建築用パネル2が取り外される。
【0131】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施の形態について、図面を参照して説明する。図15は、本実施形態で使用する目地受け部材の構成を説明するための縦方向断面図であり、(a)が、建築用パネルの係着時の構成を示し、(b)が、建築用パネルを取り外したときの構成を示す。尚、本実施形態の構成において、第1の実施形態に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0132】
本実施形態における建築用パネルの取付構造は、第1の実施形態のものと異なり、図15(a)及び図15(b)に示すように、カバー目地受け部材54a,54bが、更に、基台部74の上端部に幅方向両側に向けて延出する雇い実部541,541を設けた構成となる。そして、建築用パネル2は、その床面側辺縁において、カバー目地受け部材54aの天井面側に設けられた雇い実部541が嵌合される凹溝状の雌実部203が形成される。又、建築用パネル2の裏面の床面側辺縁に設けられる切欠部201は、その縦方向の幅D8が、縦方向の目地溝の幅D1とカバー目地受け部材54bの床面側に設けられた雇い実部541の幅D9とが加算された長さよりも長くなるように構成される。
【0133】
このように構成されることによって、本実施形態の建築用パネルの取付構造においては、建築用パネル2が係着されているとき、図15(a)に示すように、第1の実施形態と同様、建築用パネル2の係止部20x,20yが、パネル用固定係止部材10a,10bにより係止される。そして、上述のように、カバー目地受け部材54a,54bに雇い実部541を設けた構成とするため、建築用パネル2の床面側辺縁に設けられた雌実部203が、カバー目地受け部材54aの天井面側に設けられた雇い実部541に嵌合されることで、係止される。
【0134】
又、上述のように、切欠部201の縦方向の幅D8が設定されることにより、カバー目地部材50a,50bを取り外した後に、天井面側に建築用パネル2をスライドさせたとき、図15(b)に示すように、切欠部201により、カバー目地受け部材54aとの緩衝が防がれる。又、このように天井面側に建築用パネル2をスライドさせることで、係止部20x、20yにおけるパネル固定用係止部材10a,10bとの係止と、雌実部203における雇い実部541との係止がそれぞれ解除される。これにより、建築用パネル2を施工下地1より取り外すことができる。
【0135】
尚、本実施形態において、カバー目地受け部材54a,54bの基台部74の両側に雇い実部541,541が設けられるものとしたが、建築用パネル2に設けられる雌実部203に嵌合させる雄実部となる実部のみが設けられるものとしても構わない。即ち、図15の構成の場合、カバー目地受け部材54a,54bそれぞれが、その基台部74の天井面側にのみ雄実部となる実部が形成されることとなる。
【0136】
又、本実施形態の特徴について、第2及び第3の実施形態についても適用することは可能である。即ち、第2の実施形態においては、中間目地受け部材55a,55bのみに、その基台部75の上端部に幅方向両側に向けて延出する雇い実部が設けられるとともに、建築用パネル2については、切欠部202が設けられた辺縁と逆側の辺縁に雌実部が設けられる。又、第3の実施形態においては、カバー目地受け部材54a,54b及び中間目地受け部材55a,55bそれぞれに、それぞれの基台部74,75の上端部に幅方向両側に向けて延出する雇い実部が設けられるとともに、建築用パネル2については、切欠部201,202の設けられていない2つの辺縁に雌実部が設けられる。
【0137】
更に、縦見切り受け部材56及び横見切り受け部材57のそれぞれにおいて、それぞれの基台部76,77に雄実部となる実部を設けた場合についても、建築用パネル2を上述と同様の構成とすることで、着脱可能とすることができる。
【0138】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施の形態について、図面を参照して説明する。図16は、本実施形態で使用する建築用パネルの構成を説明するための縦方向断面図であり、(a)が、化粧パネルの係着時の構成を示し、(b)が、化粧パネルを取り外したときの構成を示す。尚、本実施形態の構成において、第4の実施形態に示す構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0139】
本実施形態における建築用パネルの取付構造は、第4の実施形態のものと異なり、建築用パネル2を、化粧パネル22と基板パネル23とで分離した構成とし、基板パネル23がパネル固定用係止部材として利用される。そして、化粧パネル22が、カバー目地受け部材54a,54bの基台部74の上端面よりも上側に設置されるとともに、その裏面側に、図6と同形状となる係止部20x,20yを備える。尚、この化粧パネル22は、図6の建築用パネルと異なり、その裏面の辺縁に切欠部201が設けられることがない。
【0140】
又、パネル固定用係止部材となる基板パネル23は、施工下地1への固着時における、その上端面(表面)が、カバー目地受け部材54a,54bの基台部74の上端面の高さ以上の位置となる。そして、基板パネル23の表面には、化粧パネル22の係止部20x,20yと係止するために、係止部20x,20yとの対応位置に、パネル固定用係止部材10のフック101(図5(a)参照)と同一形状となるフック101x,101yが上方に突設されるとともに、天井面側辺縁及び床面側辺縁それぞれに、カバー目地受け部材54a,54bに設けられた雇い実部541に係止される切欠部231が設けられる。
【0141】
このように構成されるとき、基板パネル23は、施工下地1面に塗布された接着剤24によって固着されるとともに、雇い実部541が切欠部231に係止することによって、雇い実部541が施工下地1側に基板パネル23を押圧して、基板パネル23が固定される。尚、基板パネル23の上端面が、カバー目地受け部材54a,54bの基台部74の上端面に比べて十分に高い位置にある場合は、第4の実施形態と同様、基板パネル23の辺縁に雌実部を凹設するものとしてもよい。
【0142】
この施工下地1に固着された基板パネル23に設けられたフック101x,101yに、その裏面に設けられた係止部20x,20yを係止させることで、化粧パネル22が係着されることとなる。即ち、化粧パネル22は、カバー目地受け部材54a,54bの基台部74の上端面よりも上側に設置されるため、カバー目地部材50a,50bを取り外すことにより、縦方向にスライド可能となる。
【0143】
よって、施工下地1に係着されている化粧パネル22を取り外すときは、まず、カバー目地部材50a,50bを取り外した後、天井面側に化粧パネル22をスライドさせることで、係止部20x,20yとフック101x,101yとによる係止を解除することで、化粧パネル22の取り外しが可能となる。一方、化粧パネル22を取り付ける場合には、化粧パネル22を床面側にスライドさせて、係止部20x,20yとフック101x,101yとを係止させることで、化粧パネル22を基板パネル23に係着させた後、カバー目地部材50a,50bを嵌入させることで、化粧パネルの取付が成される。
【0144】
尚、本実施形態において、建築用パネル2を取り外し可能な化粧パネル22のみの構成とし、基板パネル23の代わりに、フック101の高さをカバー目地受け部材54a,54bの基台部74の上端面の高さ以上の位置まで延ばしたパネル固定用係止部材によって構成されるものとしてもよい。このような構成とすることで、化粧パネル22の裏面とパネル固定用係止部材の固定板状部の表面との間に、空間を設けることができるため、当該空間に照明灯を設置するとともに、光透過性を有するアクリル樹脂で化粧パネル22を構成することで、照明器具として機能させることができる。又、このとき、化粧パネル22を容易に着脱できるため、化粧パネル22の裏面側の空間に設置される照明灯の取り換えも簡単に行うことができる。
【0145】
又、本実施形態の特徴について、第1〜第3の実施形態についても適用することは可能である。即ち、第1〜第3の実施形態のように、縦方向のみのスライド、横方向のみのスライド、又は、縦方向及び横方向の両方向へのスライドにより、着脱可能な構成としてもよい。更に、カバー目地受け部材54a,54bや中間目地受け部材55a,55bに実部がないものとしてもよいし、カバー目地受け部材54a,54bや中間目地受け部材55a,55bの双方に実部を設けたものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、建築用パネルを複数枚敷設することによって構成する建築用パネルの取付構造であれば、天井面、床面、内壁面、外壁面などのいずれの場所に設置する取付構造においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明の建築用パネルの取付構造における特徴部分となる係止手段の基本構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の建築用パネルの取付構造を用いた建築用パネルの施工状態を示す概略正面図である。
【図3】本発明の建築用パネルの取付構造の施工手順の概要を説明するための図であり、(a)〜(d)は、建築用パネルを施工下地面に貼付ける作業工程を示している。
【図4】本発明の建築用パネルの取付構造の施工手順の概要を説明するための図であり、(a)〜(d)は、施工下地面に貼付けた建築用パネルに目地部材、見切り部材を取付ける作業工程を示している。
【図5】は、本発明の第1の実施形態に使用する施工下地側の係着手段の一例を示す説明図であり、(a)は、固定用係止部材の外観斜視図であり、(b)は、その敷設状態を示す上面図である。
【図6】は、本発明の第1の実施形態に使用する建築用パネルの構成を示す外観斜視図(裏面)である。
【図7】は、本発明の第1の実施形態に係る建築用パネルの取付構造の一例を示す断面図である。
【図8】(a)、(b)は、いずれも図7に示す建築用パネルの着脱時の状態を示す断面図である。
【図9】は、本発明の第2の実施形態に使用する施工下地側の係着手段の一例を示す説明図であり、(a)は、固定用係止部材の外観斜視図であり、(b)は、その敷設状態を示す上面図である。
【図10】は、本発明の第2の実施形態に使用する建築用パネルの構成を示す外観斜視図(裏面)である。
【図11】は、本発明の第2の実施形態に係る建築用パネルの取付構造における各部の縦断面図であり、(a)は、建築用パネルを施工下地面に取り付けた状態における係止溝部周辺の構成を示す断面図であり、(b)は、建築用パネルを施工下地面に取り付けた状態における開口部周辺の構造を示す断面図であり、(c)は、建築用パネルの着脱時における開口部周辺の構成を示す断面図である。
【図12】は、本発明の第2の実施形態に係る建築用パネルの取付構造における各部の横断面図であり、(a)は、建築用パネルを施工下地面に取付けた状態における係着部分周辺の構成を示す断面図であり、(b)、(c)のそれぞれは、建築用パネルの着脱時における係着部分周辺の構成を示す断面図である。
【図13】は、本発明の第3の実施形態に使用する建築用パネルの一例を示す外観斜視図(裏面)である。
【図14】は、本発明の第3の実施形態に使用する建築用パネルの別の一例を示す外観斜視図(裏面)である。
【図15】は、本発明の第4の実施形態に係る建築用パネルの取付構造の縦断面図であり、(a)は、建築用パネルの係着時における係着部分周辺の構造を示す断面図であり、(b)は、建築用パネルの着脱時における係着部分周辺の構造を示す断面図である。
【図16】は、本発明の第5の実施形態に係る建築用パネルの取付構造の縦断面図であり、(a)は、化粧パネルの係着時における係着部分周辺の構造を示す断面図であり、(b)は、化粧パネルの着脱時における係着部分周辺の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0148】
1 施工下地
2 建築用パネル
3 天井面
4 腰壁
5 固着具
6 コーナーキャップ
10 パネル固定用係止部材(係着手段;フック)
10a〜10d パネル固定用係止部材
11 パネル固定用係止部材(係着手段;フック係止穴)
11a 開口部
11b 係止溝部
20 係止部(係着手段;フック係止穴)
21 係止部(係着手段;フック)
20a 開口部
20b 係止溝部
20p〜20u 係止部
20x,20y 係止部
20X〜20W 係止部
22 化粧パネル
23 基板パネル
24 接着剤
50,50a,50b カバー目地部材
51,51a,51b 中間目地部材
52 縦見切り部材
53 横見切り部材
54,54a,54b カバー目地受け部材
55,55a,55b 中間目地受け部材
56 縦見切り受け部材
57 横見切り受け部材
64〜67 固定板状部
74〜77 基台部
84,85 固定短片
94,95 係合凹部
101 フック
101a〜101c フック
101x,101y フック
102 固定板状部
103 折曲部
104 基部
201,202 切欠部
203 雌実部
231 切欠部
501,511 基部
502 鍔部
503 係合突部
541 雇い実部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工下地に複数枚の建築用パネルを敷設するとともに、隣接する該建築用パネル同士の間に目地溝を形成し、それぞれの目地溝には、前記施工下地面に固着される目地受け部材と、該目地溝の開口部から挿入して該目地受け部材に着脱可能に結合させる目地部材とを設けて、前記建築用パネルを前記施工下地面に固定させる建築用パネルの取付構造において、
前記目地部材を前記目地受け部材から取り外したときに、前記建築用パネルを前記目地受け部材側に移動させることで係着が解除される、相互に着脱可能な係着手段を、前記建築用パネルの裏面と前記施工下地面のそれぞれの対応箇所に対応させて設けることを特徴とする、建築用パネルの取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記建築用パネルを、前記目地部材を前記目地受け部材から取り外したときに前記目地受け部材側に移動可能な大きさの切欠部を形成した構造とすることを特徴とする、建築用パネルの取付構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記建築用パネルが、前記切欠部を、前記係着手段によって係止される第1方向に形成される前記目地溝側に有し、
前記係着手段は、
一方が、前記第1方向に向かって先端を折曲させたフックで構成され、
他方が、該フックの先端を係止させる係止溝部と、該係止溝部に嵌入される該フックの先端の出し入れを許容する開口部とを有するとともに、前記係止溝部に対して前記開口部を前記第1方向における前記切欠部と逆側に連設させたフック係止穴で構成され、
前記建築用パネルを前記切欠部側に移動させることで、前記フックを前記フック係止穴から抜き出して、前記係着手段による係着を解除させることを特徴とする、建築用パネルの取付構造。
【請求項4】
請求項2において、
前記建築用パネルが、前記切欠部を、前記係着手段によって係止される第1方向に対して垂直な第2方向に形成される前記目地溝側に有し、
前記係着手段は、
一方が、前記第1方向に向かって先端を折曲させたフックで構成されるとともに、
他方が、該フックの先端を係止させる係止溝部と、該係止溝部に嵌入される該フックの先端の出し入れを許容する開口部とを有するとともに、前記係止溝部に対して前記開口部を前記第2方向における前記切欠部と逆側に連設させたフック係止穴で構成され、
前記建築用パネルを前記切欠部側に移動させることで、前記フックを前記フック係止穴から抜き出して、前記係着手段による係着を解除させることを特徴とする、建築用パネルの取付構造。
【請求項5】
請求項2において、
前記建築用パネルが、前記係着手段によって係止される第1方向と、該第1方向に対して垂直な第2方向のそれぞれに形成される前記目地溝側に、前記切欠部である第1及び第2の切欠部を有し、
前記係着手段は、
一方が、前記第1方向に向かって先端を折曲させたフックで構成されるとともに、
他方が、該フックの先端を係止させる係止溝部と、該係止溝部に嵌入される該フックの先端の出し入れを許容する開口部とを有するとともに、前記係止溝部に対して前記開口部を前記第1及び第2方向における前記切欠部と逆側に連設させたフック係止穴で構成され、
前記建築用パネルを前記第1及び第2切欠部側それぞれに対して順番に移動させることで、前記フックを前記フック係止穴から抜き出して、前記係着手段による係着を解除させることを特徴とする、建築用パネルの取付構造。
【請求項6】
請求項1において、
前記係着手段は、
前記施工下地面に設けられる係着手段が、前記施工下地面を基準として前記目地受け部材の表面以上の高さとなる位置に構成されるとともに、
前記建築用パネルの裏面に設けられる係着手段が、前記目地受け部材の表面以上の高さとなる位置で係着することを特徴とする、建築用パネルの取付構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記目地受け部材が前記建築用パネルの辺縁に向かって突設された雄実部を有し、
前記建築用パネルの辺縁に前記雄実部が挿入される雌実部を有することを特徴とする、建築用パネルの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−191537(P2009−191537A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34310(P2008−34310)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】