説明

建築用材料、それからなる収納庫および壁材

【課題】
本発明は、意匠性に優れた絵柄模様を有し、耐汚染性などの表面物性、電磁波シールド性に優れ、かつ切断容易性を有する建築用材料、それを用いた収納庫を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明においては、金属板の片面に有機樹脂皮膜を被覆し、金属板のもう一方の面に有機材料または無機材料を被覆した建築用材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種家具類や建築内装材等に使用される建築用材料に関する。また、その建築用材料を用いた収納庫あるいは壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種家具類や建築内装材等に使用される化粧板としては、ポリ塩化ビニルフィルムの上に通常の方法を用いて印刷を施した後、透明なポリ塩化ビニルフィルムや2軸延伸ポリエステルフィルムを積層した化粧フィルムを、接着剤を介して金属板、合板、またはMDFなどの基板に積層したものが知られている。
しかしながら、上記化粧フィルムの内、ポリ塩化ビニルフィルムを用いて積層した化粧板は、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性が劣る(例えば特許文献1参照)。また、2軸延伸ポリエステルフィルムを積層した場合、基板として金属板を用いた場合、腰が弱く厚くする必要がある(例えば特許文献1参照)。
また、近年電子機器の誤作動を防ぐために、電磁波シールド性が要求されているため、基板として合板またはMDFを用いた場合、電磁波シールド性がなく、市場のニーズに応えることができない。
【0003】
本出願に関する先行技術文献情報として次のものがある。
【特許文献1】国際公開WO01/015901号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決することを目的として、従来と同等以上の意匠性、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性、電磁波シールド性に優れた建築用材料およびその建築材料を用いた収納庫あるいは壁材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の建築用材料は、金属板の片面に有機樹脂皮膜を被覆し、金属板のもう一方の面に有機材料または無機材料を積層することを特徴とする。
請求項2記載の建築用材料は、金属板の片面に有機樹脂皮膜を被覆し、金属板のもう一方の面に、下層から順次、有機材料または無機材料、金属板、有機樹脂被膜を積層することを特徴とする。これらの場合、有機樹脂皮膜が有機樹脂塗料を塗装してなる皮膜であることが望ましい(請求項3)。また、有機樹脂皮膜が合成樹脂接着層に短繊維群を植毛した皮膜であることが望ましい(請求項4)。また、有機樹脂皮膜が有機樹脂フィルムを積層してなる皮膜であることが望ましい(請求項5)。さらに、有機樹脂フィルムが下層に印刷層を有することが望ましい(請求項6)。
【0006】
請求項1または2記載の建築材料において、有機材料または無機材料が石膏ボード、MDFあるいは、パーチクルボードであることが望ましい(請求項7)。また、有機材料がプラスチックからなる有機高分子物質やプラスチックに粉末や繊維などを混ぜた混合体であることが望ましい(請求項8)。
請求項9の収納庫は、請求項1乃至8のいずれかに記載の建築用材料を扉として用いて製造してなる収納庫において、収納庫の棚の外枠の上下に電磁石を有し、電磁石に通電することによって電磁石が収納庫の扉と接して、収納庫の扉が閉まり、物を収納することを特徴とする。
請求項10の壁材は、請求項1乃至8のいずれかに記載の建築用材料を用いて製造してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建築用材料の金属板の厚みは、特に限定しないが、1.0mm以下が望ましい。ただし、本発明の建築用材料を木工用ハンディ式丸鋸で切断加工する用途の場合、基板として厚み0.1〜0.35mmと薄い金属板を用いると、木工用ハンディ式丸鋸で容易に切断でき、切断面は仕上がりの良い形状となるので、サイズなどの微調整が容易にできる。金属板の片面に有機樹脂層を被覆しているので、意匠性、耐汚染性、電磁波シールド性を有する。さらに、金属板のもう一方の面に有機材料または無機材料を被覆しているので、外力に対して変形しにくく、また、ハンディ式丸鋸等の切断手段を用いても、容易に切断加工ができ、切断後の切断面の形状も問題がなく良好である。
収納庫の棚に電磁石を取り付けることによって、電磁石と収納庫の扉とがよくくっついて、地震が来ても収納庫の扉は開くことがなく、収納庫の中の物は落ちることがないので、落下物により人などが傷つく危険性は無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の発明者等は、切断等の加工が容易であり、意匠性、耐汚染性に優れた建築用材料について鋭意検討した結果、薄い金属板の片面に有機樹脂皮膜を被覆し、該金属板のもう一方の面に有機材料または無機材料を被覆することにより、意匠性、耐汚染性だけでなく、電磁波シールド性、安全性、強度に優れていることを見出した。
以下に本発明についてその内容を説明する。図1及び図2は本発明の建築用材料の一例を示す断面図、図3は本発明の建築用材料を使った収納庫の例を示す概略図である。
本発明の建築用材料1は、図1に示すように金属板2を用いて、片面に有機樹脂皮膜3があり、もう一方の面に有機材料または無機材料4が被覆されている。図示しないが、金属板と有機材料または無機材料とは接着剤を用いて接着する。有機樹脂皮膜としては、有機樹脂塗料あるいは有機樹脂フィルムを用いることができる。図示しないが、有機樹脂フィルムを用いる場合、金属板との界面に印刷層を設けても良い。有機樹脂フィルムの場合、図示しないが、金属板との非接着面には、表面を凹凸にするエンボス加工を施しても良い。図示しないが、金属板と有機樹脂皮膜との界面あるいは金属板と印刷層との界面には接着剤を塗布しても良い。
また、本発明の建築用材料1は、図2に示すように基板として金属板2を用いて、金属板の片面に有機樹脂皮膜3があり、金属板のもう一方の面に、下層から順次、有機材料または無機材料4、金属板2、有機樹脂皮膜3を積層する。図示しないが、金属板と、有機材料または無機材料4とは接着剤を用いて接着する。有機樹脂皮膜3は、有機樹脂塗料あるいは有機樹脂フィルムからなる。有機樹脂フィルムを用いる場合、図示しないが、金属板との界面に印刷層を設けても良い。有機樹脂フィルムの場合、図示しないが、金属板との非接着面には、表面を凹凸にするエンボス加工を施しても良い。図示しないが、金属板と有機樹脂皮膜との界面あるいは金属板と印刷層との界面には接着剤を塗布しても良い。
【0009】
(金属板)
本発明の建築用材料の金属板としては、厚みは、特に限定しないが、1.0mm以下が望ましい。ただし、本発明の建築用材料を木工用ハンディ式丸鋸で切断加工する用途の場合、基板として厚み0.1〜0.35mmと薄い金属板を用いる。厚みが0.1mm未満では、数回の圧延工程が必要となり、また歩留まりが悪くなるので、製造コストの点で問題がある。逆に、0.35mmを超えると、ハンディ式丸鋸の切断手段を用いた場合、切断加工が困難で、切断後の形状仕上がりが良くない。
金属板の種類としては、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、アルミニウム板あるいはアルミニウム合金板などの公知のものが適用できる。ステンレス鋼板としては、JIS G4305に規定される材料が使用でき、SUS304に代表される18−8ステンレスやSUS430に代表されるクロム18ステンレスは加工性も良好で好適に使用される。アルミニウム板あるいはアルミニウム合金板は、JIS H4000に規定される材料などが使用できる。表面処理鋼板としては、亜鉛、亜鉛にニッケル、鉄、アルミニウム、マグネシウムなど1種以上添加した亜鉛合金、錫、クロム、銅、アルミニウム、、アルミニウム合金あるいはニッケルなどでめっきしためっき鋼板が含まれる。めっき方法としては、電気めっき方法、溶融めっき方法、新蒸着めっき方法など適用できる。これらのめっきを行った後、公知化成処理を施しても良い。公知の化成処理として、クロメート処理、リン酸塩処理シランカップリング剤処理、Zr処理などが含まれる。図2に示すように、金属板を2枚使用する場合、同じ金属板を用いても良く、異なった金属板を使用しても良い。この場合、それぞれの金属板の厚みが0.1〜0.35mmの範囲であれば、製造コスト面で良好であり、かつ木工用ハンディ式丸鋸で切断加工しても、切断面の形状仕上がりは良好である。
【0010】
(有機樹脂皮膜)
有機樹脂皮膜3は、上記金属板に有機樹脂塗料を塗装するか、有機樹脂フィルムを積層するか、または合成樹脂接着層を設け、該接着層に短繊維を植毛することによって得ることができる。
まず、有機樹脂塗料を金属板の片面に塗装する場合、有機樹脂塗料としては、熱硬化性または熱可塑性の樹脂塗料、例えば、フェノール・エポキシ塗料、尿素・エポキシ塗料、アミノ・エポキシ塗料、エポキシ・エステル塗料などの変性エポキシ塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体などの用いた−ビニル塗料、例えば、エポキシ変性−ビニル樹脂塗料、エポキシアミノ変性−ビニル樹脂塗料、エポキシフェノール変性−ビニル樹脂塗料などの変性ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂系塗料、油性塗料、アルキド樹脂塗料、ポリエステル塗料、スチレン−ブタジエン系共重合体などの合成ゴム系塗料などを用いることができる。塗布量としては耐食性、および経済性の観点から1〜200mg/dm、好ましくは10〜100mg/dmであることが好ましい。
【0011】
有機樹脂フィルムを金属板の片面に積層する場合、有機樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体、ブチレンテレフタレート・ブチレンイソフタレート共重合体などのポリエステル樹脂、あるいはこれらのポリエステル樹脂の2種類以上をブレンドした樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、およびそれらをマレイン酸変性したもの、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体などのポリオレフィン樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、さらに上記のポリエステル樹脂とアイオノマーをブレンドしたものからなる単層の有機樹脂フィルム、さらにこれらの樹脂の2種類以上からなる複層の有機樹脂フィルムなどを用いることができる。有機樹脂フィルムの厚さとしては、有機樹脂フィルム積層作業のし易さ、有機樹脂フィルムの接着強度、耐食性、および経済性の観点から10〜100μmであることが好ましい。有機樹脂フィルムには、公知の顔料を含んでも良い。例えば、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、ベンガラ、群青、カーボンブラック、黒鉛などの公知の無機顔料、あるいはフタロシアニン、ジオキサジン、アントラキノン系、キナクリドン、ウオッチアングレッド、ジオキサジンバイオレットなどの公知の有機顔料が適用できる。
有機樹脂フィルムにおいて、金属板側の面には、印刷層を施しても良い。例えば、木目、石目、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄などの模様を表現した絵柄印刷層と、有機樹脂フィルム層の全面を隠蔽し絵柄印刷層の印刷下地色を与えると共に、有機樹脂フィルム層と金属板との熱接着性を付与する、有機樹脂フィルム層の全面に印刷を施したベタ印刷層からなり、印刷層を形成するインキのビヒクルとしては、例えばニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステルウレタン樹脂などの公知のものが使用できるが、なかでも密着及び熱接着性の両観点からニトロセルロース―アルキッド樹脂系インキが好ましい。
【0012】
これらの樹脂フィルムは、樹脂ペレットを加熱溶融し、それを押出機のTダイから直接上記のSnめっき鋼板上に押し出して積層してもよいし、樹脂ペレットを加熱溶融し、それを押出機のTダイから押し出し、所望の厚さのフィルムに製膜したものを、上記の金属板に熱接着法を用いて接着してもよい。熱接着法は、樹脂が接着する温度範囲に加熱した金属板に樹脂フィルムを当接し、1対のロールで挟み付けて、加圧して圧接する方法である。熱接着法を用いて樹脂フィルムを金属板に熱接着する場合は、樹脂フィルムに延伸加工を施さずに製膜した樹脂フィルムを用いることにより、錫等の融点の低い金属上に被覆する場合、錫の融点よりかなり低い温度で熱接着することができる。1軸方向、または縦横2軸方向に延伸加工して製膜した樹脂フィルムを積層する場合は、延伸加工後の熱固定を錫の融点よりかなり低い温度で行わないと、樹脂の融点以上の温度より高温に加熱しないかぎり錫めっき鋼板との良好な接着強度が得られないので、融点が錫の融点よりも高い樹脂を用いる場合には、熱接着することが困難になる場合がある。また、有機樹脂フィルムを積層する場合、有機樹脂フィルムと金属板との界面、あるいは有機樹脂フィルムと化処理層との界面に接着剤があっても良い。接着剤として、公知の接着剤を用いることができる。例えば、酢酸ビニル樹脂系、エチレン―ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系などのエマルジョン型接着剤が、火気に対して安全で、臭気もなく、価格的にも安価なため好ましく用いられる。
また、意匠性を付与するために、有機樹脂フィルムの表面に凹凸を付与するエンボス加工を施しても良い。この場合、有機樹脂フィルもを金属板に積層した後、施しても良いし、金属板に積層する前の製膜する際に、有機樹脂フィルム表面に施しても良い。
【0013】
金属板の片面に、合成樹脂接着層を設け、該接着層に短繊維を植毛する場合、合成樹脂接着層として、水溶性あるいは溶剤系の樹脂が適用できるが、作業性の点で、スチレン・アクリル酸エステル系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、アクリルーウレタン系エマルジョン、ポリビニールアルコール系あるいは、酢酸ビニル系などの水溶性樹脂が望ましい。合成樹脂接着層の厚みとしては、乾燥後20〜80μmとなるようにすることが望ましい。 植毛に使う短繊維としては、再生繊維、合成繊維、半合成繊維などの化学繊維、または植物繊維、動物繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の天然繊維が使用できる。有機繊維あるいは無機繊維とも適用できる。有機繊維としては、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリリデンあるいはフッ素樹脂などからなる公知の繊維が適用できる。繊維の長さは0.4〜1.6mmが望ましい。繊維の径としては10〜30μmが望ましい。
植毛する方法としては、静電植毛法が適用でき、金属板の表面に接着剤を塗布し、接着剤を形成した金属板を静電室内にアース状態に置いて、該金属板に電極を対設し、該電極に高圧静電気を印加して、該電極と該金属板の間に生じた電界中に短繊維を飛翔させ、該短繊維を帯電させて、電界中の電気力線の方向に沿って短繊維を金属板表面に形成された接着層に密集状態で直立させて突き刺して植毛する。
【0014】
(有機材料または無機材料)
有機樹脂被膜を被覆しない金属板の面には、有機材料または無機材料としては、石膏ボード、MDFあるいは、パーチクルボードを接着する。予め金属板、有機材料あるいは無機材料の表面に接着剤を塗布し、有機材料または無機材料を金属板に接着する。有機材料または無機材料は、主に外力に対して変形しにくくさせるために用いる。厚みとしては、特に限定しないが、外力に対して変形しにくいことが重要である。接着後加熱等を行って、接着力を高める。接着剤の種類としては、ウレタン樹脂系、シリコーン変性樹脂、ユリア樹脂系、酢酸ビニルエマルジョン系、エポキシ樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、オレフィン樹脂、アクリルエマルジョン系、クロロプレン系、ニトリルゴム系、スチレンーブタジエンーゴム系シアノアクリレート系などの公知の接着剤が適用できる。その他、有機材料として、プラスチックからなる有機高分子物質やプラスチックに粉末や繊維などを混ぜた混合体を用いることができる。プラスチックからなる有機高分子物質としては、例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、アリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー、EEA樹脂(Ethylene Ethylacrylate樹脂)、AAS樹脂(Acrylonitrile Acrylate Styrene樹脂)、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene樹脂)、ACS樹脂(Acrylnitrile Chlorinated polyethylene Styrene樹脂)、AS樹脂(Acrylonitrile Styrene樹脂)、アイオノマー樹脂、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、エポキシ樹脂、珪素樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、弗化エチレンプロピレン、弗素樹脂、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド(6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロンなど)、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキンジメルテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリサルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどを用いてもよい。また、これらから再生した再生樹脂あるいは混合した再生樹脂を用いても良い。また高分子材料の厚みは、用途により適宜選定することができる。
【実施例】
【0015】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
金属板として板厚0.2mmの鋼板を用いて、亜鉛めっき10g/mを両面に施し、更にその表面にクロメート処理をCrとして25mg/m行った。次に、クロメート処理表面にポリエステル系接着剤を塗布後、金属板を加熱して、酸化チタンを20重量%含み、厚み70μmのポリブチレンテレフタレートからなる有機樹脂フィルムを片面に積層した。次いで、有機樹脂フィルムを積層していない金属板の表面に、乾燥後の厚みが130μmになるようにウレタン系の接着剤を塗布し、更に石膏ボードを積層して石膏ボードと金属板を接着した。このようにして、金属板の片面に有機樹脂フィルムを被覆し、もう一方の面に石膏ボードからなる無機材料を被覆した建築材料を得た。
(実施例2)
実施例1において、石膏ボードの代わりにMDFを用いて、建築材料を得た。その他の条件は実施例1と同じ。
(実施例3)
金属板として板厚0.2mmの鋼板を用いて、亜鉛めっき10g/mを両面に施し、更にその表面にクロメート処理をCrとして25mg/m行った。次に、クロメート処理表面にポリエステル系接着剤を塗布後、金属板を加熱して、酸化チタンを20重量%含み、厚み70μmのポリブチレンテレフタレートからなる有機樹脂フィルムを片面に積層した。次いで、有機樹脂フィルムを積層していない金属板の表面に、乾燥後の厚みが120μmになるようにウレタン系の接着剤を塗布し、更に石膏ボードを積層して、石膏ボードの両面に、金属板が石膏ボートと接するようにして有機樹脂フィルムを積層した金属板を接着した。このようにして、石膏ボードの両面に、有機樹脂フィルムを積層した金属板を接着させた建築材料を得た。
(実施例4)
実施例1において、板厚0.2mmの鋼板の代わりに板厚0.9mmの鋼板を用いて、建築材料を得た。その他の条件は実施例1と同じ。
(特性評価)
実施例1〜4で作成した建築用材料を、下記の特性について評価した。
(耐汚染性)
建築用材料の最表層の樹脂フィルム面に、黒色の油性マジックインキ(登録商標、以下同じ)で描画し24時間放置した後、エタノールを含浸させた布で清拭し、樹脂フィルム面に残存するマジックインキの程度を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
◎:マジックインキは全く認められない。
○:実用上問題ない程度の極くわずかなマジックインキの残存が認められる。
△:実用上問題となる程度のわずかなマジックインキの残存が認められる。
×:かなりの程度にマジックインキの残存が認められる。
(容易切断性)
ハンディ式丸鋸の切断手段を用いて、切断加工を行い、切断後の切断面の形状を評価した。金属板の切断面に折曲げあるいは著しい反りがなければ良(表では○で表示)とし、金属板の切断面に折曲げまたは著しい反りがある場合、あるいは全く切断できなかった場合を不良(表では×で表示)とした。
【0016】
【表1】


表1に示すように、実施例1〜3の建築用材料は、耐汚染性に優れ、かつハンディ式丸鋸で容易に切断できた。実施例4では、耐汚染性に優れていたが、ハンディ式丸鋸で切断できなかった。
図3に示すような収納庫において、扉に実施例1の建築用材料(有機樹脂被覆面を外側とした)を用いた場合、収納庫を揺らしても、電磁石が働いている間、扉は解放することがなかった。
また、実施例3の建築用材料を使った壁あるいは間仕切りは、耐汚染性に優れ、耐シールド性に優れれていた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の建築用材料は、基板として薄い金属板を用い、金属板の片面に有機樹脂層を被覆しているので、意匠性、耐汚染性、電磁波シールド性を有する。ハンディ式丸鋸で切断する必要性がある場合、基板として厚み0.1〜0,35mmと薄い金属板を用いると、切断容易性に優れ、切断面の形状仕上がりが良好となる。
さらに、金属板のもう一方の面に有機材料または無機材料を被覆しているので、外力に対して変形しにくく、また、ハンディ式丸鋸等の切断手段を用いても、容易に切断加工ができ、切断後の切断面の形状も問題がなく良好である。
収納庫の棚に電磁石を取り付けることによって、電磁石と収納庫の扉とがよくくっついて、地震が来ても収納庫の扉は開くことがなく、収納庫の中の物は落ちることがないので、落下物により人などが傷つく危険性は無くなる。また、有機樹脂皮膜を被覆した面を上にして、収納庫の棚として使った場合、底に磁石をつけた物品を棚に収納すると、地震が来ても物品は収納庫から落ちにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の建築用材料の一例を示す断面図。
【図2】本発明の建築用材料の他の一例を示す断面図。
【図3】本発明の収納庫の一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0019】
1 ; 建築用材料
2 : 金属板
3 : 有機樹脂皮膜
4 : 有機材料または無機材料
5 : 収納庫
6 : 扉
7 : 電磁石
8 : 外枠
9 : 棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の片面に有機樹脂皮膜を被覆し、金属板のもう一方の面に有機材料または無機材料を積層した建築用材料。
【請求項2】
金属板の片面に有機樹脂皮膜を被覆し、金属板のもう一方の面に、下層から順次、有機材料または無機材料、金属板、有機樹脂被膜を積層した建築用材料。
【請求項3】
有機樹脂皮膜が有機樹脂塗料を塗装してなる皮膜である請求項1または2に記載の建築用材料。
【請求項4】
有機樹脂皮膜が合成樹脂接着層に短繊維群を植毛した皮膜である請求項1または2に記載の建築用材料。
【請求項5】
有機樹脂皮膜が有機樹脂フィルムを積層してなる皮膜である請求項1または2に記載の建築用材料。
【請求項6】
有機樹脂フィルムが下層に印刷層を有することを特徴とする請求項5記載の建築用材料。
【請求項7】
有機材料または無機材料が石膏ボード、MDFあるいは、パーチクルボードである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建築用材料。
【請求項8】
有機材料がプラスチックからなる有機高分子物質やプラスチックに粉末や繊維などを混ぜた混合体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建築用材料。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の建築用材料を扉として用いて製造してなる収納庫において、収納庫の棚の外枠の上下に電磁石を有し、電磁石に通電することによって電磁石が収納庫の扉と接して、収納庫の扉が閉まり、物を収納することを特徴とする収納庫。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の建築用材料を用いて製造してなる壁材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−87404(P2008−87404A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272856(P2006−272856)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】