説明

建築用膜構造体およびその製造方法

建築用膜構造体であって、好ましくはエーロゲル材料を含んでおり、エーロゲル材料は例えば2つの外側層間に配置されている。該エーロゲルはモノリスまたは顆粒形態であってよく、またはエーロゲル複合材中に存在していてもよい。建築用膜構造体の製造方法であって、挿入物、例えばエーロゲルブランケット、複合材または顆粒状エーロゲルを第1および第2の層の間に固定することを含んでいる。該建築用膜構造体は、膜、例えば屋根材、張り出し、天蓋もしくは他の建築的もしくは構造的繊維用途において張力パネルとして用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年3月23日出願の米国仮出願第60/896664号、2007年3月24日出願の米国仮出願第60/896904号、および2007年3月26日出願の米国仮出願第60/908057号の利益を主張する。これらの出願の教示は、ここに参照によりその全てを組み込む。
【背景技術】
【0002】
建築用膜(また引張構造体または張力構造体として知られる)は、空港、貯蔵施設、競技場(arenas)、活動センター(activity centers)、スポーツもしくは集会場、ドーム、ミュージアム、住宅などの建造に、ますます使用されている。建築用膜は、屋根材、天蓋、張り出し、および他の膜構造体に大きな設計の柔軟性を与える。建築用膜は種々の形状に誂えて作ることができる。前もって組み立てるモジュールもまた利用可能である。
【0003】
建築用膜を組み込んだ既存の設計の例としては、カナダのカルガリーのタリスマン(Talisman)センター、英国のミレニアムドーム、デンバー国際空港、インディアナポリスRCAドームで用いられているようなエアサポートドーム、およびその他多くのものが挙げられる。
【0004】
建築用膜は、その照明、エネルギー、耐久性または音響特性に関して、また周知の技術、規則および工業規格、例えば米国材料試験協会(ASTM)によって開発された工業規格を用いた耐火性能に関して特徴付けることができる。光透過率およびスペクトル反射は、例えばASTM E424を用いて測定することができ、音響特性はASTM E−90を用いて、また耐火性能はASTM E−108またはASTM E−84を用いて測定することができる。
【0005】
既存の建築用膜としては、サンゴバン社(Saint-Gobain Corporation)から供給されているシアフィル(Sheerfill)(登録商標)が挙げられる。通常は、シアフル(Sheerfill)(登録商標)建築用膜は、テフロン(Teflon)(登録商標)被覆された織られた繊維ガラス布帛を主成分としている。実際の設置においては、シアフィル(Sheerfill)(登録商標)建築用膜はしばしば、例えば音響的障害を最小限にするために設計された、1つまたはそれ以上の更なる裏張りと併せて用いられる。
幾つかの種類のシアフィル(Sheerfill)(登録商標)建築用膜が、例えば、インターネット(URL:http://www.birdair.com)から入手可能なバードエアー(Birdair)の技術仕様および布帛の特徴(Technical Specification & Fabric Characteristics)に記載されており、その教示の全てをここに参照によって組み込む。
【0006】
通常は、建築用膜に基づく膜は、永久構造体よりも軽く、より容易に組み立てや取り壊しができ、また地震のような破壊力に耐える傾向にある。
【0007】
建築用膜での設計は、しばしば慣用の建造物を設計する場合に考慮されるのと同じ基準の幾つか、例えば、基礎荷重、風圧その他、を考慮に入れる。このような基準は、地域の建築規則または権限を有する模範規則によって定義されている。更に、設計過程はまた、膜の引張形状、形状生成、2軸挙動、応力および構造解析などに関する原理を含むことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】技術仕様および布帛の特徴(Technical Specification & Fabric Characteristics)、インターネット(URL:http://www.birdair.com)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
省エネルギーならびに「グリーン」建築の材料および実行への要求の増加に伴い、それらが通常用いられる設計および用途に柔軟性を維持し、また改善された光透過率および良好な断熱を与える軽量の建築用膜への要求が存在し続けている。改善された音響および高反射率、例えばUV反射率特性を有する系への要求もまた存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は広くは、建築用および/または構造体用布帛用途に用いることができる構造体に関する。本発明の多くの好ましい態様が、建築用膜構造体に関しており、それは絶縁または光透過特性、および好ましくはその両方を有する材料を含んでいる。
【0011】
本発明の建築用膜構造体に組み込むことができる材料としては、エーロゲルおよびその他の材料、例えば、多孔質の、例えば、微多孔性もしくはナノ多孔性材料を含んでいる。具体的な例では、この材料は粒状である。他の例では、この材料はモノリス、または複合材料である。更に他の例では、この材料は、実質的に一定のままであるか、また好ましくは荷重および/もしくは圧力によって減少する熱伝導率(k−値)を有している。また更なる例では、この構造体は耐荷重性の絶縁材を含んでいる。
【0012】
本発明の具体的な実施においは、該建築用膜構造体は多重の構造体である。例えば、この構造体は第1の層、第2の層、ならびに第1および第2の層の間のモノリスのもしくは粒子状のエーロゲル、またはエーロゲル複合材のような材料、を含んでいる。エーロゲルまたは他の適切な材料が単一の層に接着もしくはさもなければ貼り付けられた配置も用いることができる。
【0013】
本発明の態様はまた、本質的に同じままであるか、あるいは荷重および/もしくは圧力によって減少する熱伝導率またはk−値を有する建築用膜構造体を指向している。
【0014】
実施の多くにおいては、本発明の建築用膜は、次の特性の1つまたはそれ以上を有している:0.25超、好ましくは0.5%超、そして最大0.80%以上の光透過率;60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の反射率;0.05以上の太陽取得係数(a solar gain coefficient);3〜38の範囲のR値;および/または更に以下に記載する他の特性。
【0015】
本発明の態様はまた、建築用膜構造体を製造する方法に関する。1つの例では、この方法はエーロゲル材料を第1および第2の層の間に取付ける方法を含んでいる。
【0016】
本発明の態様は、建築用または構造体用膜、例えば屋根材、天蓋、壁、張り出し、エアサポート構造体、例えばクッション(cushions)もしくはピロー(pillows)および他の建築要素、に用いることができ、ここで開示された構造体は、柔軟な、被覆もしくは積層された構造体用布帛または膜で作られており、また課された負荷要求を満足させることができ、そして負荷を支持要素に伝達することができる既存の建築用膜を置き換えることができる。
【発明の効果】
【0017】
慣用の建築用膜のように、本発明の構造体は軽量であり、布帛構造体技術に適切な引張特性を有し、またかなりの量の堆積した雪を支持することができる。本発明の構造体は、種々の形状および用途に設計することができ、また良好な耐久性および耐火特性を有することができる。多くの場合には、この構造体は、半透明であり、屋内を照明する必要性を低減、または最小限にする。好ましくは、この構造体は良好な絶縁特性を有し、また暖房および/または冷房の要求を低減することを手助けすることができる。幾つかの態様では、本発明は、既存の絶縁系と同じ全体強度、およびそれよりも低コストを得る、より軽量の、より半透明の布帛要素の使用を可能にする。
【0018】
例えば、ここで開示されるサンドイッチ型の複合材は、シアフィルム(登録商標)膜を用いた既存の系よりもより薄くできる。本発明の幾つかの態様の中で用いられる3層の配置もまた、4またはそれ以上の層を含む既存の膜系の幾つかよりも、製造がより単純であり、またより容易であることができる。多くの場合において、本発明のサンドイッチ型の複合材の底面の膜もしくは層が設置され、そして張力を掛けられた場合には、これは構造的に用いられ、また従って、取り囲まれた空間への障壁として働くことができるので、建築過程の間の早い時期に、適合および仕上げに安全に取り掛かることができる。
【0019】
添付の図面において、参照符号は個々の図を通して同じ部分を参照している。この図面は必ずしも計測するためものではなく、本発明の原理を説明するために、むしろ強調がなされている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の建築用または構造体用複合材の断面図であり、外側層および挿入物、もしくは内側層を示している。
【図2】図2は、本発明の建築用または構造体用複合材を固定するための締め付けシステムを含む配置の断面図である。
【図3】図3は、本発明の建築用または構造体用複合材を固定するための他の種類の締め付けシステムを含む他の配置の断面図である。
【図4】図4Aは、本発明の複合材を用いることができる屋根を含む建造物の側面断面図である。
【図5】図4Bは、図4A中に示した建造物の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
建築および部品の組み合わせの種々の詳細を含む、本発明の上記の、および他の特徴、ならびに他の利点が、ここに添付の図面を参照してより詳細に記載され、また特許請求の範囲中に示される。本発明に用いられる特定の方法および装置は、説明のために示されるのであり、そして本発明を限定するものではないことが理解されなければならない。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から乖離することなく、種々の、そして多くの態様で用いることができる。
【0022】
本発明は、概して建築用および/または構造体用の要素に関し、より具体的には「布帛構造体」(ここではまた「建築用膜構造体」、「建築用構造体」または単に「構造体」もしくは「複合材」とも称する)に関し、最後の2つの用語は互換可能に用いられる。多くの態様において、本発明は、柔軟な、そして多数重なった、すなわち2またはそれ以上の層を有している建築用構造体に関している。
【0023】
幾つかの態様では、本構造体は張力を掛けた、または引張構造体であり、これは通常は、圧縮または曲げなしに、張力応力のみを支えている。具体的な例では、ここに開示した本構造体は、膜の平面の中でのみ張力または剪断を支えるための工業標準案に適合する。
【0024】
他の態様では、本構造体は、構造体用布帛用途で用いられる既存の建築用膜、例えば張力膜、エアーサポート建築用膜、クッション(cushions)もしくはピロー(pillows)、ひだ状である膜、テンセグリティーサポート膜、トラスおよびドームサポート柔軟性被覆材(claddings)、建物前面(building facades)、屋根材、建物膜材(envelopes)など、の置き換えとして用いることができる。既存の建築用布帛は、永久構造体または移動可能構造体に分類することができ、そしてここに開示する複合材は、その両方に組み合わせて、またはその両方への置き換えとして用いることができる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施においては、本複合材または構造体は、第1層、第2層を含み、これらの層はまたここでは、「外側層」および内側層と称され、またここでは第1層と第2層の間の「挿入層」または「挿入」と称される。例えば、図1に示したように、3層構造体10は、外側層12および14、ならびにその間にサンドイッチされた挿入物16を含んでいる。実際の膜設置では、外側層は底面層および上面層と称することができ、上面層は建築構造体の内部からみて外側に面している。一方または両方の外側層は、1つまたはそれ以上の裏張りまたは被覆をなされていてもよい。設置される場合には、一方または両方の層に張力を掛けることができる。
【0026】
更なる層および/または挿入物を用いることもできる。例えば、第1の挿入物は第1層上に重ねることができ、また第2層で被覆されていてよく、この第2層は同様に第2の挿入物を支持し、他の層で被覆され、任意の挿入物および更なる層がその上に配置されていてもよい。
【0027】
本発明の幾つかの態様では、1つまたはそれ以上の内側層(図1中には示されていない)があってもよく、例えば挿入物の中に組み入れられている。他の態様では、少なくとも1つの更なる外側層(これもまた図1中には示されていない)が上面または底面層の上もしくは下にそれぞれ配置されていてもよい。
【0028】
これらの層は、全体の構造体中で所望される特性を改善するのに用いることができ、例えば全体の強度を増し、耐磨耗性を向上させ、所望の音響、太陽光および/または光特性を与える。内側層および/または更なる外側層は、構造体の表面全体に及んでいてもよく、または特定の領域に適用されていてもよい。
【0029】
この外側層は同じでも異なっていてもよい。既存の布帛もしくは構造体用膜、またはそれらの層を用いることができる。一方または両方の外側層は、補強された布帛膜であることができる。構造用でない外側層もまた用いることができる。一方または両方の外側層は裏張りを含んでいてもよく、またはそれ自身が複合材であってもよい。エアーサポート構造体に用いられる膜もまた、一方または両方の外側層として用いることができる。
【0030】
これらの外側層は、建造物および設計仕様に適合するように寸法を合わせ、また成形することができ、また同じまたは異なる厚さを有することができる。この層厚は、例えば0.10ミリメートル(mm)以上、また約60mm以下であることができる。通常は、これらの層は約22mm〜約40mmの範囲の厚さを有している。
【0031】
1つの例では、一方または両方の外側層は織物材料を含むことができる。他の例では、一方または両方の外側層は不織材料である。
【0032】
本発明の好ましい態様では、少なくとも一方、そして好ましくは両方の外側層は半透明である。構造抵抗、耐火性、耐UV性、防菌性、耐水性および/または耐候性を有する外側層が好ましい。
【0033】
一方または両方の外側層を作るのに用いることができる材料としては、繊維ガラス、メッシュ材料、例えば金属メッシュ、繊維のバッティング(batting)、アラミド、オレフィン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、天然繊維、例えば綿、ハロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えばテフロン(登録商標)の商標で入手可能である)など、またこれらの材料の組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。膜、例えばエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)(例えばテフゼル(Tefzel)(登録商標)の名称でデュポン(Dupont)から入手可能である)から作られる膜、もまた用いることができる。
【0034】
織られていても、不織でも、第1層および/または第2層はPTFE、ビニル、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーン、ウレタン、アクリル、二酸化チタン(TiO)、他の材料またはそれらの組み合わせで被覆されていてもよい。この被覆は塗装、浸漬、噴霧、蒸着技術、ラミネーションまたは当技術分野で知られている他の方法によって適用することができる。
【0035】
1つの態様では、少なくとも一方の、そして好ましくは両方の外側層がサンゴバン社から入手可能なシアフィル(登録商標)膜材料で作られている。他の商業的に入手可能で、用いることのできるPTFE被覆の繊維ガラス膜としては、タコニックインターナショナルエルティーディー(Taconic International Ltd.)のソーラス(Solus)(登録商標)膜、フェルザイダークシーミーユーエスインク(Verseidag Seemee US Inc.)のデュラスキン(Duraskin)(登録商標)またはチューコーケミカルインダストリーズエルティーディー(Chukoh Chemical Industries LTD.)のPTFE被覆繊維ガラス膜、が挙げられる。延伸された織物PTFE(ePTFE)膜、例えばダブリュエルゴアアソシインク(W. L. Gore Assoc. Inc.)のテナラ(Tenara)(登録商標)の商品名で知られるもの、もまた適切である。
【0036】
商業的に入手可能で、用いることのできるシリコーン被覆繊維ガラス膜としては、ファブリマックス(Fabrimax)のアーキファブ(Archifab)(登録商標)、インターグラス(Interglas)のエイテックス(Atex)(登録商標)およびフェラーリテクスタイルス(Ferrari Textiles)のスカイ(Sky)(登録商標)300、が挙げられる。シリコーン被覆ポリエステル膜としては、PDインターグラス(Interglas)によって開発されたものがある。原料染め(Sokution-Dyed)ポリエステル膜が、セーフティーコンポーネンツファブリックテクノロジーズインク(Safety Components Fabric Technologies Inc)によるウエザーマン(Weatherman)、またはグレンラーヴェンカスタムファブリックスエルエルシー(Glen Raven Custom Fabrics L.L.C.)のファイアーセット(Fireset)HUV(登録商標)として商業的に入手可能である。
【0037】
オレフィンを主成分とする膜としては、エンジニアードコーテッドプロダクツ(Engineered Coated Products)によるノバシールド(Nova-Shield)(登録商標)、インターラップ(Inter Wrap)によるトゥイリウム(Twillium)(登録商標)およびシンセシスファブリックス(Synthesis Fabrics)によるランドマーク(Landmark)(登録商標)の名称で知られているものが挙げられる。オレフィンの糸目の粗い織りの両面編みのメッシュの例としては、ソーラーファブインク(Solarfab Inc.)のポリテックス(登録商標)およびゲイルパシフィック(Gale Pacific)のクーラールー(Coolaroo)(登録商標)が挙げられる。織物ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、ダッカーズアンドフレンズ(Duckers & Friends)からフーガラックス(Fugalux)(登録商標)の名称のもとに、商業的に入手可能である。
【0038】
第1層および/または第2層を形成するのに用いることのできる、商業的に入手可能なアクリル被覆ポリエステルとしては、ジョーンボイル(John Boyle)のメインストリート(Main Street)(登録商標)、グラナイトビルスペシャルティファブリックス(Graniteville Specialty Fabrics)のアヴェニュー(Avenue)(登録商標)およびマーケムコーティドファブリックスインク(Marchem coated Fabrics Inc.)のホリデー (Holiday)(登録商標)が挙げられる。
【0039】
光起電性の膜、例えばパワーフィルムインク(PowerFilm Inc.)のパワーフィルム(登録商標)およびコナルカテクノロジーズ(Konarka Technologies)のパワープラスチックス(Power Plastics)(登録商標)もまた用いることができる。
【0040】
一方または両方の外側層はまた、柔軟で、また好ましくは建築用張力膜用途に十分な強度である他の材料から作ることもできる。
【0041】
場合によっては、いずれか一方または両方の外側層は、紫外線(UV)反射膜、染色膜もしくは引掻き傷防止膜、または他の適切な被覆材で被覆されている。
【0042】
もしも更なる外側層および/または内側層が用いられるのであれば、それらはここに記載されたような材料または他の適切な材料から作ることができる。
【0043】
1つの層に、例えば、接着によって固定された挿入物を用いた配置もまた用いることができる。例えば、該建築用膜構造体は、挿入物によって裏張りされた単一の層からなることができ、または挿入物が固定された層を含むことができる。
【0044】
本発明の多くの実施においては、該建築用膜構造体はエーロゲルまたは他の多孔質の、好ましくはナノ多孔質の材料を含むことができる。幾つかの例では、この材料は一方または両方の外側層への裏張りとして提供されてもよい。好ましい態様では、この材料は挿入層中にあり、エーロゾルおよび/または他の多孔質材料からなり、から本質的になり、またはそれらを含むことができる。
【0045】
エーロゾルは低密度の多孔質な固体であり、大きな粒子内細孔容積を有している。通常は、エーロゾルは細孔液体を湿式ゲルから取り除くことによって生成される。しかしながら、この乾燥過程はゲル細孔中の毛細管力によって複雑にされる可能性があり、ゲルの収縮および緻密化を引き起こす可能性がある。製造の取り組みの1つでは、三次元構造の崩壊は、超臨界乾燥を用いることによって基本的になくすことができる。湿式ゲルはまた、周囲圧を用いても乾燥することができ、非超臨界乾燥方法とも呼ばれる。例えば、シリカを主成分とする湿式ゲルに適用する場合には、乾燥の前に実施された表面改質、例えばエンドキャッピングが、乾燥生成物の永久的な収縮を防止する。このゲルは、乾燥の間になお収縮する可能性があるが、しかしながらその従前の気孔率に跳ね戻る。
【0046】
「キセロゲル」と称される生成物もまた、液体が取り除かれた湿式ゲルから得ることができる。この用語は、しばしば乾燥の間に毛細管力によって圧縮された乾燥ゲルを指し、永久的な変化および固体相ネットワークの崩壊によって特徴付けられる。
【0047】
便宜上、用語「エーロゲル」はここでは広い意味で用いられ、「エーロゲル」および「キセロゲル」の両方を指している。
【0048】
エーロゲルは通常は、低い嵩密度(約0.15g/cm以下、好ましくは約0.03〜0.3g/cm)、非常に大きな表面積(通常は約300〜約1000平方メートル/グラム(m/g)以上、好ましくは約600〜約1000m/g)、高い気孔率(約90%以上、好ましくは約95%以上)および比較的に大きな細孔容積(約3ミリリットル/グラム(mL/g)、好ましくは約3.5mL/g以上)、を有している。エーロゲルは、1ミクロン(μm)未満の細孔を備えたナノ多孔質構造を有することができる。しばしば、エーロゲルは約20ナノメータ(nm)の平均細孔直径を有している。アモルファス構造におけるこれらの特性の組み合わせは、低い熱伝導率値(例えば、平均温度37℃および1気圧で、9〜16(mW)/m・K)を与える。エーロゲルは透明に近く、または半透明であり、青色を散乱するか、または不透明であることができる。
【0049】
通常の種類のエーロゲルはシリカを主成分とするものである。ケイ素以外の金属、例えばアルミニウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、イットリウムおよびその他、またはそれらの混合物、の酸化物を主成分とするエーロゲルもまた用いることができる。
【0050】
有機エーロゲル、例えばホルムアルデヒドと組み合わされたレソルシノールもしくはメラミン、樹脂状ポリマー(dendredic polymer)などもまた知られており、そして本発明はこれらの材料を用いても実施することができる。
【0051】
適切なエーロゲルおよびその調製方法が、例えば2001年10月25日に公開されたシュヴェルトフェーガー(Schwertfeger)らの、米国特許出願公開第2001/0034375号明細書中に記載されており、その教示をここに参照によりその全てを組み込む。
【0052】
用いられるエーロゲル材料は疎水性であることができる。ここで用いられる「疎水性」および「疎水化された」は、完全に疎水化されたエーロゲルと同様に、部分的に疎水化されたエーロゲルも指している。部分的に疎水化されたエーロゲルの疎水性は、更に増大させることができる。完全に疎水化されたエーロゾルにおいては、適用範囲は最大程度に達しており、そして基本的に全ての化学的に達成可能な基は改質されている。
【0053】
疎水性は、当技術分野で知られている方法、例えば接触角測定によって、またはメタノール(MeOH)湿潤性によって、測定することができる。エーロゲルに関する疎水性の議論が、2004年3月23日発行の、Hrubeshらの米国出願第6709600号明細書中に見出され、その教示をここに参照によりその全てを組み込む。
【0054】
疎水性エーロゲルは、疎水化剤、例えばシリル化剤、ハロゲン、および特にはフッ素含有化合物、例えばフッ素含有アルコキシシランもしくはアルコキシシロキサン、例えばトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(TFPTMOS)および当技術分野で知られている他の疎水化化合物、を用いることによって生成することができる。疎水化剤はエーロゲルの形成の間、および/またはそれに続く処理過程、例えば表面処理の中で用いることができる。
【0055】
シリル化化合物、例えばケイ素、ハロシラン、ハロアルキルシラン、アルコキシシラン、アルコキシアルキルシラン、アルコキシハロシラン、ジシロキサン、ジシラザンおよびその他が好ましい。適切なシリル化剤の例としては、ジエチルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、エチルフェニルジクロロシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、例えばトリメチルブトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、sym−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、トリビニルトリメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ペンチルメチルジクロロシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}テトラスルフィド、ヘキサメチルジシラザンおよびそれらの組み合わせ、が挙げられるが、これらには限定されない。
【0056】
該エーロゲルは、顆粒状、ペレット、ビーズ、粉末、または他の粒子状の形状であることができ、そして意図した用途に適切ないずれかの粒子径であることができる。例えば、粒子は、約0.01ミクロン(μm)〜約10.0ミリメータ(mm)の範囲にあることができ、そして好ましくは0.3〜4.0mmの範囲の平均粒径を有している。
【0057】
粒子状の形態にある商業的に入手可能なエーロゲルの例は、マサチューセッツ州、ビレリカ(Bilerica)のキャボットコーポレーション(Cabot Corporation)からナノゲル(Nanogel)(登録商標)の商標で供給されているものである。ナノゲル(Nanogel)(登録商標)顆粒は、大きな表面積を有しており、約90%超の多孔質であり、そして特定の寸法範囲、例えば約8μm〜約10mm、で入手可能である。
【0058】
エーロゲルはまた、モノリスの形状、例えば剛構造、半剛構造、半柔構造または柔構造、例えば繊維を含むマット形状の複合材、として生成することができる。柔モノリスもしくは半柔モノリスは、ここに記載した挿入物中での使用に好ましい。
【0059】
粒子状またはモノリス形状のどちらであっても、該エーロゲルは1種またはそれ以上の添加剤、例えば繊維、乳白剤、着色顔料、染料およびそれらの混合物を含むことができる。例えば、シリカエーロゲルは、添加剤、例えば繊維および/または1種またはそれ以上の金属もしくはそれらの化合物を含むように調製することができる。具体的な例としては、アルミニウム、錫、チタン、ジルコニウムまたは他の非シリカの金属、およびそれらの酸化物が挙げられる。乳白剤の限定のためでない例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、およびそれらの混合物が挙げられる。添加剤は、例えば、所望の特性および/または特定の用途によって、いずれかの適切な量で供給される。
【0060】
繊維およびエーロゲル(例えば繊維補強エーロゲル)ならびに、場合によっては少なくとも1種の結合剤を含む複合材もまた用いることができる。この繊維はいずれかの適切な構造を有していることができる。例えば、この繊維は構造を持たなくてもよい(例えば、非関連繊維(unassociated fibers))。この繊維はマトリックス構造または同様のマット様構造を有することができ、それはパターン化されていても、または不規則そして無作為であってよい。繊維を含む材料の好ましい複合材としては、エーロゲルおよび繊維から形成される複合材が挙げられ、この繊維は、高い(lofty)繊維状の構造、中綿(batting)またはスチールウールパッドに似た形態を有していてよい。高い(lofty)繊維状の構造の調製に用いられる適切な材料としては、繊維ガラス、有機ポリマー繊維、シリカ繊維、石英繊維、有機樹脂を主成分とする繊維、炭素繊維など、が挙げられる。高い(lofty)繊維状の構造を有する材料は、それ自身で、または第2の開放気泡の材料、例えばエーロゲル材料と組み合わせて用いることができる。例えば、ブランケットは高い(lofty)繊維状の構造を有する材料の中に分散したシリカエーロゲルを有していることができる。
【0061】
挿入層の形成に適切な他の複合材料としては、少なくとも1種のエーロゲルおよび少なくとも1種の合成発泡体が挙げられる。このエーロゲルは、例えば発明の名称がエーロゲルを主成分とする複合材である国際公開第2007/047970号中に記載されているように、エーロゲルの細孔中へのポリマーの浸入を防ぐために、被覆されていてもよく、この出願の教示をここに参照によりその全てを組み込む。
【0062】
1つの具体的な例では、挿入物は、フランク(Frank)らに1998年8月4日付けで交付された米国特許第5789075号明細書中に記載されているような割れ目のあるエーロゲル(cracked aerogel)モノリスであるか、またはそれを含んでおり、この出願の教示をここに参照によりその全てを組み込む。好ましくは、この割れ目(cracks)はエーロゲル断片を取り囲んでおり、このエーロゲル断片は繊維によって結合されている。エーロゲル断片は0.001mm〜1cmの平均体積を有することができる。1つの複合材では、このエーロゲル断片は0.1mm〜30mmの平均体積を有している。
【0063】
他の具体的な例では、挿入物は、フランク(Frank)らに2005年5月3日付けで交付された米国特許第6887563号明細書に記載されているような、エーロゲル材料、結合剤および少なくとも1種の繊維物質を含む複合材であり、この出願の教示をここに参照によりその全てを組み込む。
【0064】
エーロゲルを主成分とする挿入物の他の具体的な例は、繊維のウエブ/エーロゲル複合材であり、これはフランク(Frank)らに1998年7月28日付けで交付された米国特許第5786059号明細書に開示されているような2成分繊維を含んでおり、この出願の教示をここに参照によりその全てを組み込む。このような複合材は少なくとも1つの繊維のウエブおよびエーロゲル粒子を用いており、この繊維のウエブは少なくとも1種の2成分繊維材料を含んでおり、この2成分繊維材料は低融点領域および高融点領域を有していて、またこのウエブの繊維はエーロゲル粒子に結合しているだけでなく、繊維材料の低融点領域によって互いに結合してもいる。幾つかの用途では、この2成分繊維は人造繊維であり、これは、異なる化学的および/または物理的構造の、2つの堅固に相互結合したポリマーから構成されており、また異なる融点を有する領域、すなわち低融点領域および高融点領域を有している。
【0065】
上記で参照した特許に記載されているように、2成分繊維はコア−シース構造を有することができる。この繊維のコアはポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマーであり、その融点はシースを形成する熱可塑性ポリマーの融点よりも高い。この2成分繊維は好ましくはポリエステル/コポリエステル2成分繊維である。ポリエステル/ポリオレフィン、例えばポリエステル/ポリエチレン、もしくはポリエステル/コポリオレフィンから構成された2成分繊維の変形、または弾力性のあるシースポリマーを有する2成分繊維を用いることもまた可能である。並列の(side-by-side)2成分繊維もまた用いることができる。
【0066】
この繊維ウエブは更に、少なくとも1つの単体繊維材料を含むことができ、これは温度圧密の過程で、2成分繊維の低融点領域に結合するようになる。この単体繊維は、有機ポリマー繊維、例えばポリエステル、ポリオレフィンおよび/またはポリアミド繊維、好ましくはポリエステル繊維である。この繊維は、断面が円形、三つに分かれた形、五裂葉状、八裂葉状、リボン状、クリスマスツリー状、ダンベル形、または星形であることができる。単純に中空の繊維を用いることもできる。これらの単一繊維の融点は、2成分繊維の低融点領域の融点を上回る必要がある。
【0067】
更なる具体的な例では、挿入層はエーロゲルシートまたはブランケットの形態である。このシートまたはブランケットとしては、例えば繊維中に分散したエーロゲル粒子が挙げられる。他の場合には、このシートまたはブランケットとしては、全体を通して連続したエーロゲルを備えた繊維のバッティング(batting)が挙げられる。シートまたはブランケットは、例えば、共にリー(Lee)らの、2005年3月3日公開の米国特許出願第2005/0046086号明細書、および2005年8月4日公開の米国特許出願第2005/0167891号明細書に記載されているような湿潤ゲル構造から生成することができ、その教示はここに参照によりそれらの全てを組み込む。
【0068】
この挿入物はまた、エーロゲル以外の多孔質材料からなっていても、エーロゲル以外の多孔質材料から本質的になっていても、またはエーロゲル以外の多孔質材料を含んでいてもよい。具体的な例では、この材料は、金属、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニア、チタン、ハフニウム、バナジウム、イットリウムなど、および/またはそれらの混合物の微小孔性の、好ましくはナノ多孔性の酸化物である。ここで用いられる用語「微小孔性の」は、約1μm以上の細孔を有する材料を指し、用語「ナノ多孔性の」は、約1μm未満、好ましくは約0.1μm未満の細孔を有する材料を指す。細孔径は当技術分野で知られている方法、例えば水銀浸入ポロシメータ、または顕微鏡によって測定することができる。好ましくは、細孔は相互に連結していて開放型の気孔率を生じさせる。
【0069】
上記したような絶縁材料の組み合わせもまた用いることができる。例えば、該挿入物は異なる種類のエーロゲル、例えば、微粒子状の、および/またはモノリス形態のエーロゲルを含んでいてもよい。
【0070】
エーロゲルはまた、非エーロゲル材料、例えば1種またはそれ以上の慣用の絶縁材、例えば気体、例えばアルゴン、空気、二酸化炭素、真空;パーライト;繊維ガラス;シリカ;アルミナシリケート;プラスチックス;または建設業界で知られている他のものと組み合わせることもできる。もしも透明性が重要であるならば、エーロゲル材料は透明または半透明の非エーロゲル材料、例えばガラスマイクロビースもしくはマイクロスフェア、例えば3M社から商業的に入手可能なもの、と組み合わせることもできる。
【0071】
非エーロゲル材料は、この用途に適切な粒子径を有することができる。例えば、非エーロゲル材料の好ましい粒子径は、約0.05mm〜約4mmの範囲にあることができる。
【0072】
エーロゲルおよび非エーロゲル材料は、この用途に適切ないずれかの比率で混合することができる。要求価格、絶縁特性、光透過率、建造物全体の中の複合材の機能が、考慮することができる要因の一部である。通常は、非エーロゲル材料は、0%〜99%のいずれかの量で混合物中に存在することができる。例えば、エーロゲルおよび非エーロゲル材料は20:80〜80:20の比、例えば60:40、50:50または40:60で混合することができる。他の比率も用いることができる。
【0073】
場合によっては、挿入層または挿入物、例えば遊離したエーロゲル粒子または他の粒状材料を形成するのに用いられる材料は、1種またはそれ以上のポリマー、例えばナイロン、ポリカーボネート、金属シート、または他の適切な材料で作られた膜もしくは外皮(casing)で包み込まれて、ピロー(pillow)、マット、袋などを形成していてもよい。この材料はまた、層になって存在していてもよい。
【0074】
挿入層は、建築および設計仕様に適合するような大きさおよび形状にされる。説明のための例としては、この挿入物は約0.318cm(0.125インチ)以上の厚さを有している。好ましくは、この挿入物は約25mm〜約200mmの範囲の厚さを有している。
【0075】
本発明の1つの態様では、この挿入層は約0.5g/cm未満、好ましくは約0.3g/cm未満、そしてより好ましくは約0.1g/cm未満の密度を有している。本発明の他の態様では、この挿入物は約10%以上、そして好ましくは50%以上の空隙容量比を有している。具体的な例では、この挿入物は90%以上の空隙容量を有している。
【0076】
好ましい実施においては、この挿入物は0%超、そして好ましくは半透明の光透過率を有している。ここで用いられる用語「半透明」は、可視光の波長で測定した場合に0.5%以上の光透過率(%T)を指している。好ましくは、この挿入材料は、0.64cm(0.25インチ)の厚さで、10%以上の%Tを有している。1つの例としては、ナノゲル(Nanogel)(登録商標)で作られ、そして25mmの厚さを有する挿入物は約53%の可視光透過率を有し、一方でナノゲル(Nanogel)(登録商標)で作られ、50mmの厚さを有する挿入物は約26%の可視光透過率を有している。本発明の更なる態様では、絶縁材料はまぶしさをなくし、日光の柔らかく、奥行きのある配光を可能にする。ナノゲル(Nanogel)(登録商標)絶縁材を通した光透過は、例えば拡散した、と言うことができる。
【0077】
絶縁材である挿入層が好ましい。ここで用いられる用語「絶縁」または「絶縁材」は、熱的、音響的または電気的絶縁特性を指している。好ましい実施では、この挿入物は2種またはそれ以上の絶縁特性を組み合わせている。
【0078】
1つの例では、この挿入物は断熱材である。多くの実施においては、この挿入物は2以上、より好ましくは3〜38の範囲のR値を有している。「R値」は建築材料を表現するのによく知られたパラメータであり、そして熱流量への熱抵抗の尺度である。
【0079】
他の例では、この挿入層は実質的に一定の熱伝導率(k値)を有しており、37℃で、1気圧において、約12〜約30(mW)/m・Kである。挿入物の熱伝導率またはk値が一定であるか、または好ましくは荷重もしくは圧力で減少する挿入物もまた好ましい。
【0080】
更なる例では、この挿入物は防音材である。ナノゲル(Nanogel)(登録商標)エーロゲル粒子は、例えば構造体を通した音の速度を低下させ、特に40〜500Hzの低〜中周波数範囲の騒音を低減する。
【0081】
更に他の例では、この挿入物は電気絶縁体である。
【0082】
疎水性の挿入物が好ましい。より好ましいのは耐水性および防菌性の挿入物である。適切な挿入物はまた、耐火性または防炎性能を有している。
【0083】
この挿入層は弾力性、および/または圧縮性であることができる。本発明の幾つかの実施においては、この挿入材料は弾性的な圧縮性を有しており、この圧縮性材料の大部分の量に加えた圧力は、この圧縮性材料によって占有されている体積の減少をもたらし、そして圧力の開放後にこの圧縮性材料の体積は増加し、そして好ましくは圧力を加える前と実質的に同じ値に戻る。従って、圧縮への弾性的応答または「圧縮の跳ね返り」は、圧迫が取り除かれた時に、挿入物の厚さの回復、好ましくは最大限の挿入物厚さ、をもたらす。
【0084】
1つの例では、この挿入物は圧縮性であり、また圧縮の跳ね戻り力を有しており、このことはこの材料が層の間の適所にしっかりと保たれることを可能にする。この挿入物は7KPa(1psi)、もしくは好ましくは69KPa(10psi)、もしくはより好ましくは690KPa(100psi)、もしくは更により好ましくは(6895KPa)1000psiの圧力に、永久的な損傷および破壊なしで、耐えることができる。この挿入物は、第二の体積への体積圧縮(volumetric compression)を経験することができ、第二の体積は、圧縮荷重の下に置かれた場合にその最初の体積の、例えば5%〜80%少ない。この挿入物は次いで、最終的な体積に跳ね戻ることができ、最終的な体積は、荷重が減じられた時に、第二の体積よりも実質的に大きい。この挙動は、層間の体積が風荷重、クリープ、機械的圧力または他の外力によって変化したとしても、挿入物が層間の体積を実質的に満たす系をもたらす。
【0085】
上記のような材料の、建築用膜用途に適切な構造体または複合材への組み込みは、複合材の製造の間に行なうことができる。既存の組立品もまた、エーロゲルのような材料を含むように、現場において、もしくは現地外で、改造し、また改修することができる。例えば、既存の建築用膜は、モノリスのエーロゾルブランケットで裏打ちすることができ、場合によっては上記の第1または第2の層によって、または他の方法によって支持することができる。エアーサポートされたクッション(cushions)またはピロー(pillow)もまたエーロゲルまたはここに記載された他の材料を含むように設計され、または改修することができる。
【0086】
建築用膜構造体を生成するために、幾つかの手法を用いることができる。1つの例では、モノリス構造、例えばエーロゲルブランケットが、積み重ねまたは層化によって構造体もしくは複合材に組み込まれる。例えば、モノリス挿入物は底面層の上に配置され、次いで上面層で覆われることができる。材料、例えば遊離の顆粒は、覆い(sheath)または外皮(casing)中に保持され、同様の方法で組み込むことができる。
【0087】
複合材を生成するために、材料、例えばモノリスもしくは顆粒状の形態の、または複合材の一部としてのエーロゲルを、上記の第1および第2の層の間に形成された隙間の空間に供給することもできる。多層を有する組立体は、この材料を1つの、1超の、または全ての隙間空間中に含むことができる。微粒子材料、例えばエーロゲルは1つの隙間空間に加えることができ、一方でモノリス材料、例えばエーロゲルブランケットを他の隙間空間に供給することができる。
【0088】
1つの例では、構造体は、微粒子材料を挿入物として層間に配置することによって、例えば微粒子材料を2つの外側層によって定義される空間中に導入し、次いで層間の材料をしっかりと囲い込む機構を用いることによって、生成される。この囲い込みは作るのに用いることができる方法としては、機械的な圧縮、層伸長(layer tensioning)、真空封止、または他の方法が挙げられる。挿入材料が圧縮性で、また弾力性がある場合には、挿入材料は、まとまることなく、流れることなく、または著しく壊れることなく、堅固に適所に保たれるであろう。1気圧の下での体積圧縮の水準は、最初の嵩密度に比較して、10%以上、好ましくは25%以上、またはより好ましくは40%以上であることができる。
【0089】
具体的な実施では、体積変化が、風、クリープ、機械的力またはそれらの組み合わせによって引き起こされる場合には、この材料の圧縮は、隙間の空間における体積変化に適応するか、体積変化を克服するか、または体積変化を維持するのに十分である。
【0090】
他の例では、エーロゲルまたは他の適切な材料が、建築用膜構造体の中に、例えば、2003年7月29日付でルアネット(Rouanet)らに発行された米国特許第6598283号明細書中に開示されている技術によって組み込まれ、その教示をここに参照によりその全てを組み込む。米国特許第6598283号明細書には、例えば大気圧未満の第1の空気圧の下にエーロゾル粒子を含む第1の封止した容器を準備することを含む方法が記載されている。第1の空気圧におけるエーロゲル微粒子の非拘束の体積は、第1の空気圧よりも大きい第2の空気圧の下のエーロゲル微粒子の非拘束の体積よりも小さい。封止された第1の容器は第2の容器、例えば外側層間の空間中に配置され、そして封止された第1の容器は、第1の容器と第2の容器の間で空気圧を、第2の空気圧に等しくし、またエーロゲル微粒子の体積を増加するために破壊され、それによって絶縁物品を形成する。
【0091】
2006年12月7日付けで公開されたディノン(Dinon)らの米国特許出願公開第2006/0272727号明細書に開示されている技術はまた、ここに開示した構造体中に挿入材料を組み込むのに適用することができる。米国特許出願公開第2006/0272727号明細書には、(a)少なくとも1つの内側パイプ、(b)その少なくとも1つの内側パイプの周りに配置され、外側パイプと内側パイプの間に環状の空間を創出するように配置される外側パイプ、(c)この環状の空間に配置された多孔質の、弾力性のある、圧縮性の材料、および(d)先にこの環状空間に配置されており、この環状空間にある前記圧縮性材料の体積よりも小さい体積でこの圧縮性物質を先に保持していた容器の残部とを含む絶縁されたパイプ・イン・パイプ組立体を開示されている。このような絶縁されたパイプ・イン・パイプ組立体を製造する方法もまた記載されている。
【0092】
具体的な例では、遊離した顆粒材料が層間で、結合剤物質とともに用いられる。この層は上記のように、この材料をしっかりと囲い込むか、またはこの物質を緩く囲い込むかのいずれかであることができる。緩い囲い込みでは、ピロー(pillow)様の形態の中で、層は空気によって離れ離れで保持されていてよい。この場合には、挿入材料はピロー(pillow)の内部領域を完全に満たすか、またはこの領域を部分的に満たすことができ、1つまたはそれ以上の外側層と所望による結合剤によって貼り付けられている。
【0093】
他の適切な方法を、顆粒材料をエアーサポート構造体、例えばピロー(pillow)またはクッション(cushion)中に組み込むために用いることができる。更に、エアーサポートクッションまたはピロー構造体は、モノリスおよび/または複合材、例えばエーロゾルブランケットなどを用いて形成することができる。
【0094】
空隙の沈降(settling)および形成を低減または最小化するために、外側層の間の空間または隙間の体積は「過剰充填され」、または「過剰に詰め込まれ」てもよい。過剰に詰め込まれた系は、少なくともタップ密度程の大きさの密度を有することができる。エーロゲル微粒子では、過剰充填はタップ密度よりも大きい密度になる。比較的に重い支持構造体に比べて非常に軽いエーロゲルで満たされた系では、密度はタップ密度よりもかなり大きく、例えばタップ密度の約105%から約115%〜120%以上である。
【0095】
場合によっては、挿入材料から、建築用膜構造体を形成するために添加する前、途中または後に、水分を除去することができる。
【0096】
製造および製作過程は、更に第1の層、挿入層および第2の層(すなわち層(plies))の2つまたはそれ以上を互いに接着することを含むことができる。非接着技術もまた用いることができ、非接着の少なくとも2つの層をもたらす。2つまたはそれ以上の層を一緒に結合する具体的な方法としては、層を一緒に縫い合わせること、層を一緒にラミネートすること、層を一緒に粉体結合すること、または他の適切な方法が挙げられる。これらの層は直接に結合していてもよく、またはそれらは介在する物質によって互いに間接的に結合されていてもよい。
【0097】
本発明の建築用膜構造体を生成するのに用いることができる適切な技術としては、ラミネーション、接着、2つの張力を掛けた層の間にサンドイッチすること、縫い付けること、リベットで留めること、遊離した材料を吹き込むこと、湿式法で、複合材の形態にすることなどが挙げられるが、それらには限定されない。
【0098】
本発明の建築用複合材はパネルに仕上げることができる。この複合材の複合材端部および/または角部を仕上げるために、構造体は封止または一緒にクランプで固定することができる。本発明の複合材を用いたパネルの端部の状態を図2および図3に示した。図2および図3にはまた、本発明の複合材と組み合わせて用いることができる締結システムまたは装置を示した。
【0099】
図2には、例えばパネル42を固定するための端部バー40を含む締結装置が示されている。パネル42としては、上記のような複合材が挙げられ、挿入物16および場合によっては封止された外側層12および14を有している。このパネルは、ロープで縛った(roped)、または玉状になった端部52を与えられている。端部バー40は、層を捉え、そして支持する、もしくは周囲の部品に固定することができる。
【0100】
上記のような複合材を固定する他の方法を図3に示した。図3には、挿入物16を有する複合材を含むパネル62を固定するための固定装置60が示してある。この例では、複合材は非構造性の外側層64および単一の補強された繊維外側層66を含み、そしてパネルはロープで縛った(roped)端部72およびクリップ74を用いて固定されている。
【0101】
図2および図3中に描いた固定システムは、アルミニウムもしくは他の適切な材料から全体を、または一部を製作することができる。図2および図3に描いたもの以外の固定方法もまた用いることができる。
【0102】
本発明の建築用膜構造体は、実質的に一定の厚さを有することができ、この厚さは、例えば約0.64cm(0.25インチ)〜10cm(約4インチ)、好ましくは約0.953cm(0.375インチ)〜約8cm(3インチ)の範囲である。
【0103】
好ましい実施では、この構造体は熱流量に対する熱抵抗の基準を有することができ、それはここで「R」値と称され、2以上、好ましくは約3〜38の範囲である。全体の構造体または複合材の望ましいR値は、挿入物なしの外側層のR値よりも大きい値である。
【0104】
好ましくは、建築用膜構造体の断熱特性は、荷重または圧縮に伴って増加する。具体的な実施では、この構造体は一定に維持される、または好ましくは荷重および/または圧縮に伴って減少する熱伝導率(k値)を有している。
【0105】
いくつかの態様では、建築用膜構造体は、0%超、例えば約0.25%以上、好ましくは約0.5%以上、例えば約0.5%〜2%の範囲内、より好ましくは2以上、例えば約2%〜10%の範囲、そして最も好ましくは約10%超〜80%以下もしくはそれ以上の、光、例えば可視光透過率(%T)を有している。高い光反射率、例えば60%以上、好ましくは70%以上、そしてより好ましくは80%以上、を有する複合材もまた好ましい。光透過率および分光反射の適切な測定方法は、欧州標準EN410またはASTM E424中に規定されている。
【0106】
太陽熱利得係数は、例えば約0.21〜0.73の範囲にあることができる。
【0107】
該建築用構造体は、好ましくは音の吸収および拡散の特別な性質を備え、またOITC等級(屋外室内伝達等級)において、40〜400Hzの範囲で、改善された性能を備えた防音を提供する。
【0108】
好ましい実施では、この建築用膜構造体は耐荷重性絶縁材を含んでおり、すなわち絶縁材は、機械的な荷重の下で、1つまたはそれ以上のその絶縁特性を維持、もしくは実質的に維持する。
【0109】
具体的な例では、例えば風のような条件下で、挿入物が外側層間の荷重を伝達し、この場合1つの層、例えば膜は1つの方向からの、例えば複合材の中への圧力に耐え、そして他方の層、もしくは膜は同じ方向からの、例えば複合材からの圧力に耐える。これらの圧力は480〜1900Pa(10〜40ポンド/平方フット(psf))の水準であることができる。ここで開示される構造体は好ましくはまた、雪荷重にも絶えられ、この場合は圧力は通常は最上層のみに発生し、これらの圧力は1.0kPa〜4.8kPa以上(20psf〜100psf以上)の範囲であることができる。
【0110】
幾つかの実施では、1つまたは両方の外側層は、部分的にそして、好ましくは全体に挿入物によって支持されている。
【0111】
本発明の他の例では、ここに開示された建築用膜構造体は耐火性能を有しており、そして好ましくは防炎性である。更に、この構造体は耐水性、耐候性および/または防菌性であることができる。
【0112】
この構造体または複合材は、建築用要素、構造用要素を構成するか、またはその両方として役目を果たすことができる。慣用の建築用膜のように、本発明の複合材は、前もって組み立てられるモジュールを製造するのに用いることができる。
【0113】
幾つかの実施では、該建築用膜構造体は空気で支持されたクッション(cushion)またはピロー(pillow)である。
【0114】
他の実施では、本発明の構造体または複合材は、張力構造体に用いられ、張力構造体は複合材中の張力および支持構造の形状によって決められる形状を有している。通常は、この構造体は、柔軟性要素(例えば複合材およびケーブル)、非柔軟性要素(例えば、支柱、マスト、梁、リング(rings)、アーチ)および固定するもの(anchorage)(例えば、支持および基礎)を含んでいる。好ましくは、設置された場合に、張力層は底面層である。
【0115】
三次元曲線に加えて、本発明の複合材は、例えばこの建築用構造体または複合材のライフサイクルの間に予測される荷重を基に計算された、予備張力の値にまで前もって張力を掛けることができる。好ましくは、予備張力はいずれかの可能な条件の下に両方の方向に最小の張力を有するのに十分な大きさである。もしも予備張力が小さ過ぎたならば、この複合材は風によって引き起こされる振動に影響を受け易くなる可能性がある。もしも予備張力が大き過ぎたならば、この複合材は重く、そして高価な支持構造および/または基礎を必要とする可能性がある。
【0116】
単独で、もしくは組み合わせて用いることのできる形状としては、シンクラスティック(synclastic)、例えば球形またはドーム、アンチクラスティック(anticlastic)、例えば鞍様などが挙げられる。従って、本発明の複合材は、ドーム、円錐形の、波形、シンクラスティック、アンチクラスティック、ひだを付けた、および他の形状として建築または予め加工・組み立て(prefabricated)することができる。
【0117】
本発明による建築用膜複合材は、膜構造体、例えば屋根材、張り出し、天蓋、テントおよびテント様の構造体、壁、芸術的表示、空港の設計および建造物中に一体化することができる美的なもしくは他の構造体、貯蔵施設、格納庫、競技場(arenas)、活動センター(activity centers)、スポーツもしくは集会場、ドーム、温室、住居用もしくは商業用建物、製造施設、ミュージアム、ホテル、大学、鉄道、バスもしくは地下鉄の駅、待合所、劇場、オペラハウス、円形劇場(競技場)、建物間の通路、工業施設内の接続ジョイントなどに用いることができる。
【0118】
ここに開示される複合材を含む膜構造体は、既存の建築用膜を用いた膜の置き換えとして、またはそれに追加して用いることができる。
【0119】
ここに開示されている建築用膜構造体は、被覆材として用いることができ、またはドームおよび他の建造物に一体化することができ、それらは、1988年4月12日に、ガイガー(Geiger)に発行された米国特許第4736553号明細書、1992年4月14日に、ガイガー(Geiger)およびキャンベル(Campbell)に発行された米国特許第5103600号明細書、ウィーバー(Wieber)らに1993年11月16日に発行された米国特許第5261193号明細書および1995年7月11日に発行された米国特許第5430979号明細書の両方、1996年4月2日に、テリー(Terry)に発行された米国特許第5502928号明細書、2001年9月4日に、シーメンス(Simens)に発行された米国特許第6282842号明細書およびその他多くに記載されている。ここに開示されている建築用膜構造体は、既存の材料、例えば2006年12月26日にサーリン(Sahlin)らに発行された米国特許第7153792号明細書記載された柔軟な複合材を置換することができ、またはそれと組み合わせることができる。これらの特許の教示をここに参照によりその全てを組み込む。
【0120】
図4Aおよび4Bに例として示されているのは建造物200であり、壁202および204および屋根206を含んでいる。ここに記載されているような複合材が梁208によって支持されている。ビーム208に替えて、またはそれに加えて、他の支持手段、例えばケーブルおよび/もしくは空気圧、を用いることができる。
【0121】
ここに開示された複合材を種々の建築用設計に一体化するための工学的取り組みは、この膜の目的、その機能、形状、求める特性その他の因子に因る。これらの取り組みは、既存の建築用膜について知られている、または開発されてきた取り組みと同じであるか、もしくは異なっていることができる。
【0122】
例が、例えば1996年4月2日にテリー(terry)に発行された米国特許第5502928号明細書、および1988年4月12日にガイガー(Geiger)に発行された米国特許第4736553号明細書に記載されており、その教示をここに参照によりその全てを組み込む。他の例が、インターネット(URL:http://www.geigerengineers.com)から入手可能な以下のような文献中に記載されている。(i)デー.キャンベル(D. Campbell)、デー.チェン(D. Chen)およびピー.ゴッセン ピー.イー.(P. Gossen P. E.)による非線形張力を基準とした系:テント、トラスおよびテンセグリティー、(ii)カズオイシイ(Kazuo Ishii)編集の、世界の膜の設計および構造、(iii)デー.キャンベル(D. Campbell)らによる、「テンセグリティー」ドームのための張力繊維膜屋根。これらの文献をここに参照によりその全てを組み込む。
【0123】
本発明を、好ましい実施態様を参照して具体的に示し、また記載してきたが、形態および詳細について種々の変化が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく為し得ることが、当業者には理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明による建築用膜複合材は、膜構造体、例えば屋根材、張り出し、天蓋、テントおよびテント様の構造体、壁、芸術的表示、空港の設計および建造物中に一体化することができる美的なもしくは他の構造体、貯蔵施設、格納庫、競技場(arenas)、活動センター(activity centers)、スポーツもしくは集会場、ドーム、温室、住居用もしくは商業用建物、製造施設、ミュージアム、ホテル、大学、鉄道、バスもしくは地下鉄の駅、待合所、劇場、オペラハウス、円形劇場(競技場)、建物間の通路、工業施設内の接続ジョイントなどに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーロゲルを含む建築用膜構造体。
【請求項2】
前記のエーロゲルが、エーロゲル複合材中にモノリスで存在するか、または微粒子の形態である、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項3】
前記のエーロゲルがブランケット、マットまたはシート中に存在する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項4】
前記のエーロゲルが繊維のウエブ/エーロゲル複合材中に存在する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項5】
前記の構造体が実質的に一定の厚さを有する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項6】
前記の構造体が第1の層、第2の層および該第1および第2の層の間に前記のエーロゾルを含んでいる挿入層を有している、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項7】
前記の挿入層が0.953cm(0.375インチ)以上の厚さを有する、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項8】
前記の挿入層中に組み入れられた更なる外側層または内側層を含む、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項9】
前記の第1の層および第2の層の1つ以上が織物である、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項10】
前記の第1の層および第2の層の1つ以上が不織である、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項11】
前記の第1の層および第2の層の1つ以上が繊維ガラス、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、金属メッシュ、繊維のバッティングまたはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項12】
前記の第1の層および第2の層の1つ以上がポリテトラフルオロエチレン、ビニル、シリコーン、二酸化チタンまたはそれらのいずれかの組み合わせで被覆されている、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項13】
前記の第1の層および第2の層によって定められた空間が実質的に完全に前記のエーロゲルによって満たされている、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項14】
前記の第1の層および第2の層によって定められた空間が部分的に前記のエーロゲルによって満たされている、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項15】
前記の第1の層および第2の層が同じ厚さを有する、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項16】
前記の第1の層または第2の層が約0.076cm(0.03インチ)以上の厚さを有する、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項17】
前記の第1の層、挿入層および第2の層の2つ以上が互いに接着されている、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項18】
前記の第1の層、挿入層および第2の層の2つ以上が互いに接着されていない、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項19】
封止またはクランプされた少なくとも1つの端部または角部を有する、請求項6記載の建築用膜構造体。
【請求項20】
2以上の断熱R値を有する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項21】
0%超の%Tを有する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項22】
前記の構造体が張力構造体である、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項23】
前記のエーロゾルが第1の層と第2の層の間に配置され、またそれらの層の唯一つが張力を掛けられている、請求項22記載の建築用膜構造体。
【請求項24】
前記のエーロゾルが第1の層と第2の層の間に配置され、またそれらの層間で荷重を転移させる、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項25】
前記のエーロゲルが層に接着されている、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項26】
設置する時に前記のエーロゲルが圧縮されている、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項27】
前記の圧縮は隙間の空間における体積変化に適応するのに十分であり、また該体積変化が、風、クリープ、機械的力またはそれらのいずれかの組み合わせによって引き起こされる、請求項26記載の建築用膜構造体。
【請求項28】
前記のエーロゾルが圧縮に対して弾性的応答を有している、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項29】
前記のエーロゲルが、荷重または圧縮に伴って減少する熱伝導率値を有している層中に存在している、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項30】
前記の複合材が断熱特性、電気絶縁特性、防音特性またはそれらのいずれかの組み合わせを有している、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項31】
前記のエーロゲルが0.5g/cm以下の密度を有する層中に存在する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項32】
前記のエーロゲルが50%以上の空隙体積を有する層中に存在する、請求項1記載の建築用膜構造体。
【請求項33】
請求項1記載の建築用膜構造を含む建築用または構造用膜。
【請求項34】
柔軟性要素、非柔軟性要素および固定する要素からなる群から選ばれる少なくとも1つの更なる要素を更に含む、請求項33記載の膜。
【請求項35】
前記の膜が、屋根材、張り出し、天蓋、壁、美的もしくは芸術的構造体である、請求項33記載の膜。
【請求項36】
前記のエーロゲルが、体積圧縮に付され、次いで体積伸張した時に層間の空間を実質的に満たす、請求項33記載の膜。
【請求項37】
請求項33記載の膜を含む建造物。
【請求項38】
前記の建造物が、空港、貯蔵施設、格納庫、競技場、活動センター、スポーツ会場、集会場、ドーム、温室、住居用もしくは商業用建物、製造施設、ミュージアム、ホテル、鉄道、バスもしくは地下鉄の駅、天蓋、通路または大学である、請求項37記載の建造物。
【請求項39】
固定装置および請求項1記載の建築用膜構造を含むシステム。
【請求項40】
顆粒材料を含む建築用膜構造体。
【請求項41】
3〜38の範囲の断熱R値を有する、請求項40記載の建築用膜構造体。
【請求項42】
約0.25〜約80%の範囲の%Tを有する、請求項40記載の建築用膜構造体。
【請求項43】
80%以上の反射率を有する、請求項40記載の建築用膜構造体。
【請求項44】
基本的に同一のままであるか、または荷重もしくは圧縮に伴って減少する熱伝導率を有する建築用膜構造体。
【請求項45】
実質的に耐荷重性の絶縁体を含む建築用膜構造体。
【請求項46】
第1の膜層、第2の膜層およびそれらの層の間のナノ多孔質材料を含む建築用膜構造体。
【請求項47】
前記のナノ多孔質材料がモノリス、微粒子状材料またはナノ多孔質複合材である、請求項46記載の建築用膜構造体。
【請求項48】
前記の層間に更に結合剤物質を含む、請求項46記載の建築用膜構造体。
【請求項49】
第1および第2層の間にエーロゲル材料を固定することを含む建築用膜構造体の製造方法。
【請求項50】
前記の第1の層、前記のエーロゲル材料を含む挿入層および前記の第2の層の少なくとも2つが互いに接着されている、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記の第1の層、前記のエーロゲル材料を含む挿入層および前記の第2の層の少なくとも2つが互いにラミネートされている、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記の建築用膜構造体の端部または角部の少なくとも1つを封止またはクランプすることを更に含む、請求項49記載の方法。
【請求項53】
前記のエーロゲル材料が微粒子の形態である、請求項49記載の方法。
【請求項54】
前記のエーロゲル材料が、機械的な圧縮、層に張力を掛けること、真空封止、またはそれらのいずれかの組み合わせによって前記の層間の空間に囲い込まれる、請求項49記載の方法。
【請求項55】
前記のエーロゲル材料が前記の層間に配置された少なくとも1つの容器中に提供される、請求項49記載の方法。
【請求項56】
前記の容器を破壊することを更に含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記のエーロゲル材料がブランケット、マットまたは複合材中に提供される、請求項49記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2010−525188(P2010−525188A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554766(P2009−554766)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/057810
【国際公開番号】WO2008/118776
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509263250)バードエアー,インコーポレイティド (1)
【出願人】(509263249)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】