説明

建設機械のシリンダ装置

【課題】センサカバーに作用した外力が油圧管路に直接的に伝達されるのを抑え、油圧管路の耐久性を高める。
【解決手段】ブームシリンダ12のチューブ12Aに雌ねじ孔13Aを有する取付座13を固定して設け、ロッド側油圧管路18に固定したブラケット21のボルト挿通孔21Cとセンサカバー23のボルト挿通孔23Cとに挿通した固定用ボルト24を、取付座13の雌ねじ孔13Aに螺着することにより、ブラケット21とセンサカバー23とを、固定用ボルト24によって取付座13に共締めする。これにより、センサカバー23を取付座13に強固に固定することができ、センサカバー23に作用する外力を主として取付座13によって受けることができるので、センサカバー23に作用する外力が、ロッド側油圧管路18に直接的に伝達されるのを抑え、ロッド側油圧管路18の耐久性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の作業装置を駆動するために用いられる建設機械のシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。そして、油圧ショベルは、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
油圧ショベルの作業装置は、上部旋回体に俯仰動可能に設けられたブームと、該ブームの先端側に回動可能に設けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に設けられたバケット等の作業具とにより大略構成され、これらブーム、アーム、作業具は、それぞれ油圧シリンダ等からなるシリンダ装置によって駆動される。
【0004】
一方、作業装置の先端部に吊荷用のフックを設け、このフックを用いて比較的軽量な荷物を吊上げるクレーン作業(吊荷作業)を行うことができるクレーン仕様の油圧ショベルが知られている。ここで、クレーン仕様の油圧ショベルの作業装置に用いられるシリンダ装置は、通常、チューブ及びロッドを有する油圧シリンダと、油圧シリンダに接続され、該油圧シリンダに接続されシリンダ伸縮用の圧油を給排する油圧管路と、該油圧管路に継手を介して接続され油圧シリンダ内の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサを保護するセンサカバーとを備えて構成されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
ここで、圧力センサは、例えばクレーン作業時にフックを用いて荷物を吊上げるときに、吊荷の荷重が過大であるか否かを判断するため、ブームシリンダのロッド側油室、ボトム側油室等の圧力を検出するものである。また、圧力センサは、ブームシリンダのロッド側油室、ボトム側油室に圧油を給排する油圧ホースが破損したか否かを検出するものである。この場合、電気部品である圧力センサは外力を受けることによって損傷するため、センサカバーに取囲まれた状態で保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−42867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来技術では、鋼管等を用いて形成された油圧管路に取付座を設け、この取付座にセンサカバーを取付ける構成となっている。このため、油圧ショベルが掘削作業等を行うことにより、土砂等がセンサカバーに衝突した場合には、センサカバーに作用した外力(衝撃)が取付座を介して油圧管路に直接的に伝達されることになる。この結果、油圧管路が損傷や破損を生じたり、油圧管路の耐久性が低下してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、センサカバーに作用した外力が油圧管路に直接的に伝達されるのを抑え、油圧管路の耐久性を高めることができるようにした建設機械のシリンダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため本発明は、建設機械の作業装置を駆動するために用いられ、チューブ及び該チューブに対して伸縮可能に設けられたロッドを有する油圧シリンダと、該油圧シリンダに接続されシリンダ伸縮用の圧油を給排する油圧管路と、該油圧管路に継手を介して接続され前記油圧シリンダ内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサを保護するセンサカバーとを備えてなる建設機械のシリンダ装置に適用される。
【0010】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記油圧シリンダのチューブには、前記油圧管路を取付ける取付座を固定して設け、前記油圧管路には、前記継手の近傍部位にブラケットを固定して設け、前記ブラケットと前記センサカバーとは、締結部材を用いて前記取付座に共締めする構成としたことにある。
【0011】
請求項2の発明は、前記取付座には雌ねじ孔を設け、前記締結部材は前記ブラケットとセンサカバーとに挿通され前記雌ねじ孔に螺着される固定用ボルトにより構成し、前記センサカバーは前記一のボルトに隣接して設けられた廻止め用ボルトを用いて前記ブラケットに対して廻止めする構成としたことにある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、油圧シリンダのチューブに固定した取付座に対し、油圧管路に固定したブラケットとセンサカバーとを締結部材を用いて共締めすることにより、油圧管路をブラケットを介して取付座に取付けると共に、センサカバーを取付座に取付けることができる。これにより、作業装置を用いた掘削作業時に土砂等がセンサカバーに衝突したとしても、センサカバーに作用する外力(衝撃)がブラケットを介して油圧管路に直接的に伝達されるのを抑え、センサカバーに作用する外力を主として取付座によって受けることができる。この結果、油圧管路の損傷、破損等を抑えることができ、その耐久性を高めることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、センサカバーとブラケットに挿通した固定用ボルトを取付座の雌ねじ孔に螺着するだけで、油圧管路とセンサカバーとを一緒に取付座に取付けることができる。しかも、固定用ボルトの近傍に設けた廻止め用ボルトによってセンサカバーをブラケットに対して廻止めすることにより、圧力センサに対するセンサカバーの適正な位置決めを行うことができ、センサカバーによって圧力センサを確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態によるシリンダ装置を備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中のブーム、ブームシリンダ、油圧管路、圧力センサ、T継手、センサカバー等を示す要部拡大図である。
【図3】ブーム、ブームシリンダ、油圧管路、落下防止弁等を図2の背面側からみた要部拡大図である。
【図4】ブームシリンダを単体で示す正面図である。
【図5】ブームシリンダ、取付座、油圧管路、ブラケット、T継手、圧力センサ、センサカバー等の組付け状態を示す斜視図である。
【図6】油圧管路、ブラケット、T継手、圧力センサ等を示す分解斜視図である。
【図7】ブームシリンダの取付座に対し、ボルトを用いてブラケットとセンサカバーを共締めする状態を示す分解斜視図である。
【図8】ブームシリンダ、取付座、油圧管路、ブラケット、圧力センサを取外したT継手等の組付け状態を示す斜視図である。
【図9】ブームシリンダの取付座に対し、ボルトを用いてブラケットを取付ける状態を示す分解斜視図である。
【図10】取付座の変形例を示す図7と同様な分解斜視図である。
【図11】ブラケットの変形例を示す図6と同様な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るシリンダ装置の実施の形態を、クレーン仕様の油圧ショベルのブームシリンダに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態では、圧力センサによってブームシリンダのロッド側油室の圧力を検出する場合を例示するが、ブームシリンダのボトム側油室の圧力を検出するものでもよい。一方、ブームシリンダのみならず、アームシリンダ、バケットシリンダに適用してもよいものである。
【0016】
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられたスイング式の作業装置4とにより大略構成され、この作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うものである。また、作業装置4の先端側には吊荷用のフック(図示せず)が格納されており、このフックを用いて荷物を吊上げるクレーン作業も行うことができる構成となっている。
【0017】
ここで、スイング式の作業装置4は、上部旋回体3のベースとなる旋回フレーム3Aの前端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト5と、該スイングポスト5の上端部に上,下方向に回動可能に取付けられたブーム6と、該ブーム6の先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたアーム7と、該アーム7の先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット8と、ブーム6を駆動する後述のブームシリンダ12と、アーム7を駆動するアームシリンダ9と、バケット8を駆動するバケットシリンダ10とにより大略構成されている。
【0018】
そして、作業装置4は、スイングシリンダ(図示せず)によってスイングポスト5を左,右方向に揺動させた状態で、ブーム6、アーム7、バケット8を回動させることにより、道路脇の側溝等の掘削作業を行うものである。
【0019】
次に、本実施の形態に用いられるシリンダ装置の代表例として、ブームシリンダを例に挙げて説明する。
【0020】
即ち、11は本実施の形態によるシリンダ装置を示し、該シリンダ装置11は、ブーム6を駆動するために用いられるものである。このシリンダ装置11は、後述のブームシリンダ12、取付座13、ロッド側油圧管路18、ブラケット21、T継手20、圧力センサ22、センサカバー23、固定用ボルト24、廻止め用ボルト25等により構成されている。
【0021】
12はスイングポスト5とブーム6との間に設けられた油圧シリンダとしてのブームシリンダを示している、このブームシリンダ12は、図2ないし図4に示すように、円筒状のチューブ12Aと、該チューブ12A内に摺動可能に挿嵌されたピストン12Bと、基端側がピストン12Bに固定され先端側がチューブ12Aから突出したロッド12Cとにより大略構成されている。チューブ12A内は、ピストン12Bによりロッド側油室12Dとボトム側油室12Eとに画成され、これらロッド側油室12Dとボトム側油室12Eに対する圧油の給排に応じてロッド12Cが伸縮する構成となっている。
【0022】
また、チューブ12Aのボトム側にはボトム側取付アイ(クレビス)12Fが一体的に設けられ、このボトム側取付アイ12Fは、スイングポスト5の前端部に上,下方向に回動可能にピン結合されている。一方、ロッド12Cの先端部にはロッド側取付アイ(クレビス)12Gが一体的に設けられ、このロッド側取付アイ12Gは、ブーム6の中間部位に設けられたシリンダ取付板6Aに上,下方向に回動可能にピン結合されている。
【0023】
13はブームシリンダ12のチューブ12Aに設けられた取付座を示し、該取付座13は、後述のブラケット21、センサカバー23等を取付けるものである。ここで、取付座13は、図7に示すように、短尺な円筒状に形成され、その中心部には1個の雌ねじ孔13Aが螺設されている。この取付座13は、チューブ12Aの外周面に溶接等の手段を用いて固定されている。
【0024】
14は取付座13とは反対側に位置してブームシリンダ12のチューブ12Aに取付けられた落下防止弁を示している。この落下防止弁14は、図3に示すように、弁取付板15を介してチューブ12Aに取付けられ、後述のボトム側油圧管路16、ボトム側油圧ホース17等が接続されている。そして、落下防止弁14は、例えば作業装置4を用いた掘削作業時において、ブームシリンダ12に圧油を給排する後述のボトム側油圧ホース17等が破損して油漏れが生じた場合に、ブームシリンダ12をオイルロックの状態に保持することにより、ブーム6の先端側が下方に落下してしまうのを防止するものである。
【0025】
16はブームシリンダ12のチューブ12Aに固定して設けられたボトム側油圧管路を示し、該ボトム側油圧管路16は、ブームシリンダ12のボトム側油室12Eと落下防止弁14との間を接続するものである。ここで、ボトム側油圧管路16は、鋼管等のパイプ材を用いて形成され、一端側16Aが落下防止弁14に接続されると共に、他端側16Bがボトム側油室12Eに接続されることにより、チューブ12Aの外周面に固定的に配設されている。
【0026】
17は落下防止弁14に接続されたボトム側油圧ホースを示し、該ボトム側油圧ホース17は、上部旋回体3に搭載された油圧源(図示せず)と落下防止弁14との間を接続するものである。ここで、ボトム側油圧ホース17は、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成されている。そして、ボトム側油圧ホース17は、上部旋回体3に搭載された油圧ポンプ(図示せず)からの圧油を、落下防止弁14、ボトム側油圧管路16等を介してブームシリンダ12のボトム側油室12Eに供給すると共に、ボトム側油室12E内の作動油を、ボトム側油圧管路16、落下防止弁14等を介して上部旋回体3に搭載されたタンク(図示せず)に排出するものである。
【0027】
次に、18はブームシリンダ12のチューブ12Aに固定して設けられたロッド側油圧管路を示している。このロッド側油圧管路18は、後述のT継手20、ロッド側油圧ホース19等を介して上部旋回体3に搭載された油圧源(図示せず)に接続されるものである。ここで、ロッド側油圧管路18は、鋼管等のパイプ材を用いて形成され、一端側18Aが後述のブラケット21を介してブームシリンダ12の取付座13に固定されると共に、他端側18Bがロッド側油室12Dに接続されることにより、チューブ12Aの外周面に固定的に配設されている。
【0028】
19は後述のT継手20を介してロッド側油圧管路18の一端側18Aに接続されたロッド側油圧ホースを示し、該ロッド側油圧ホース19は、上部旋回体3に搭載された油圧源とロッド側油圧管路18との間を接続するものである。ここで、ロッド側油圧ホース19は、可撓性を有するゴムホース等を用いて形成されている。そして、ロッド側油圧ホース19は、上部旋回体3に搭載された油圧ポンプ(図示せず)からの圧油を、T継手20、ロッド側油圧管路18等を介してブームシリンダ12のロッド側油室12Dに供給すると共に、ロッド側油室12D内の作動油を、ロッド側油圧管路18、T継手20等を介して上部旋回体3に搭載されたタンク(図示せず)に排出するものである。
【0029】
20はロッド側油圧管路18の一端側18Aに接続された継手としてのT継手(チー)を示している。このT継手20は、3個の接続口が設けられたT字型の管体からなり、ロッド側油圧管路18の一端側18Aとロッド側油圧ホース19との間を接続すると共に、後述の圧力センサ22が取付けられるものである。
【0030】
次に、21はロッド側油圧管路18の一端側18Aに固定して設けられたブラケットを示している。このブラケット21は、図6に示すように、例えば長方形の板材に折曲げ加工を施すことにより形成され、ロッド側油圧管路18の外周面とほぼ等しい曲率をもって凹円弧状に湾曲した凹湾曲面21Aと、該凹湾曲面21Aに連続する平板状の取付平面21Bとにより構成されている。取付平面21Bには、2個のボルト挿通孔21C,21Dが穿設され、一方のボルト挿通孔21Cには後述の固定用ボルト24が挿通され、他方のボルト挿通孔21Dには後述の廻止め用ボルト25が挿通される構成となっている。
【0031】
そして、ブラケット21の凹湾曲面21Aは、T継手20の近傍位置でロッド側油圧管路18の一端側18Aに嵌合した状態で、当該ロッド側油圧管路18に溶接等の手段を用いて強固に固定されている。従って、ブラケット21のボルト挿通孔21Cに後述の固定用ボルト24を挿通し、この固定用ボルト24をブームシリンダ12の取付座13に設けた雌ねじ孔13Aに螺着することにより、ロッド側油圧管路18の一端側18Aをブームシリンダ12のチューブ12Aに固定することができる。
【0032】
22はT継手20に取付けられた圧力センサを示している。この圧力センサ22は、T継手20を介してロッド側油圧管路18に接続され、ブームシリンダ12のロッド側油室12D内の圧力を検出するものである。ここで、油圧ショベル1の作業装置4を用いて荷物を吊上げるクレーン作業を行う場合には、例えば圧力センサ22によって検出されたロッド側油室12D内の圧力等に基づいて、吊荷の荷重が過大であるか否かを判断することができる構成となっている。一方、圧力センサ22は、ブームシリンダ12のロッド側油室12Dに圧油を給排するロッド側油圧ホース19が破損したか否かを検出するためにも用いられている。
【0033】
23はT継手20に取付けられた圧力センサ22を覆うセンサカバーを示している。このセンサカバー23は、図7に示すように、例えば長方形の板材に折曲げ加工を施すことにより形成され、ブラケット21の取付平面21Bに当接する取付面23Aと、該取付面23Aに連続して断面U字型に折曲げられ、圧力センサ22を外周側から取囲むように覆う覆い面23Bとにより構成されている。また、取付面23Aには、ブラケット21のボルト挿通孔21C,21Dに対応する2個のボルト挿通孔23C,23Dが穿設されている。
【0034】
24は締結部材としての固定用ボルトを示し、該固定用ボルト24は、ロッド側油圧管路18に固定されたブラケット21とセンサカバー23とを、ブームシリンダ12の取付座13に共締めして固定するものである。即ち、図7に示すように、固定用ボルト24を、センサカバー23の一方のボルト挿通孔23Cと、ブラケット21の一方のボルト挿通孔21Cとに挿通した状態で、ブームシリンダ12のチューブ12Aに固定された取付座13の雌ねじ孔13Aに螺着することにより、ブラケット21とセンサカバー23とを取付座13に強固に固定することができる構成となっている。
【0035】
この場合、ロッド側油圧管路18は、その一端側18Aに固定されたブラケット21が固定用ボルト24によって取付座13に固定され、他端側18Bがブームシリンダ12のロッド側油室12Dに接続されることにより、チューブ12Aの外周面に2点支持の状態で固定される。
【0036】
25は固定用ボルト24の近傍部位に設けられた廻止め用ボルトを示し、該廻止め用ボルト25は、センサカバー23をブラケット21に対して廻止めするものである。即ち、図7に示すように、廻止め用ボルト25を、センサカバー23の他方のボルト挿通孔23Dと、ブラケット21の他方のボルト挿通孔21Dとに挿通した状態で、ナット26を螺着することにより、ブラケット21に対してセンサカバー23を固定する。
【0037】
これにより、センサカバー23が、固定用ボルト24を中心として回転するのを廻止め用ボルト25によって規制することができ、図5に示すように、T継手20に取付けられた圧力センサ22に対するセンサカバー23の適正な位置決めを行うことができる構成となっている。
【0038】
なお、圧力センサ22を搭載しない場合には、図8及び図9に示すように、圧力センサ22が取付けられていたT継手20の接続口にプラグ27を取付けることにより、当該接続口を封止する。
【0039】
この場合には、圧力センサ22を保護するセンサカバー23が不要となるので、ロッド側油圧管路18に固定したブラケット21のボルト挿通孔21Cにのみ固定用ボルト24を挿通する。そして、固定用ボルト24を、ブームシリンダ12に固定した取付座13の雌ねじ孔13Aに螺着することにより、ロッド側油圧管路18の一端側18Aを取付座13に固定することができる。
【0040】
このように、圧力センサ22を搭載しない場合には、センサカバー23、廻止め用ボルト25、ナット26が不要となるだけで、ブラケット21及び固定用ボルト24は、圧力センサ22の有無に関らず共通部品として用いることができる構成となっている。
【0041】
本実施の形態によるシリンダ装置11は上述の如き構成を有するもので、以下、このシリンダ装置11の組付け手順について説明する。
【0042】
まず、図6に示すように、ロッド側油圧管路18の一端側18Aにブラケット21の凹湾曲面21Aを溶接することにより、ロッド側油圧管路18のうちT継手20の近傍部位にブラケット21を固定しておく。一方、ロッド側油圧管路18とロッド側油圧ホース19との間をT継手20によって接続し、このT継手20には圧力センサ22を取付ける。
【0043】
次に、図7に示すように、センサカバー23のボルト挿通孔23Cとブラケット21のボルト挿通孔21Cとに固定用ボルト24を挿通し、この固定用ボルト24を、ブームシリンダ12のチューブ12Aに固着された取付座13の雌ねじ孔13Aに螺着する。これにより、ブラケット21とセンサカバー23とを固定用ボルト24を用いて取付座13に共締めすることができ、ロッド側油圧管路18の一端側18Aを固定するための取付座13を利用して、センサカバー23を強固に固定することができる。
【0044】
この状態で、センサカバー23のボルト挿通孔23Dとブラケット21のボルト挿通孔21Dとに廻止め用ボルト25を挿通し、この廻止め用ボルト25にナット26を螺着する。これにより、センサカバー23がブラケット21に対して固定され、センサカバー23が、固定用ボルト24を中心として回転するのを廻止め用ボルト25によって規制することができる。
【0045】
この結果、図5に示すように、ロッド側油圧管路18の一端側18Aを、ブラケット21を介してブームシリンダ12の取付座13に強固に固定すると共に、T継手20に取付けられた圧力センサ22を覆うセンサカバー23を、取付座13を利用して強固に固定することができる。この場合、センサカバー23は、廻止め用ボルト25によりブラケット21に対して廻止めされるので、圧力センサ22に対するセンサカバー23の適正な位置決めを行うことができ、該センサカバー23によって圧力センサ22を確実に保護することができる。
【0046】
上述の如きシリンダ装置11を備えた油圧ショベル1においては、作業装置4を用いた掘削作業時にバケット8から土砂等が落下し、この落下した土砂等がセンサカバー23に衝突することにより、センサカバー23に対して大きな外力が作用する。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、ブームシリンダ12のチューブ12Aに固定した取付座13に対し、ロッド側油圧管路18の一端側18Aに固定したブラケット21とセンサカバー23とを、固定用ボルト24を用いて共締めすることにより、センサカバー23を取付座13に強固に固定することができる。これにより、土砂等がセンサカバー23に衝突したとしても、センサカバー23に作用する外力を主として取付座13によって受けることができる。この結果、センサカバー23に作用する外力が、ロッド側油圧管路18に直接的に伝達されるのを抑え、ロッド側油圧管路18の損傷、破損等を抑えることができるので、ロッド側油圧管路18の耐久性を高めることができる。
【0048】
さらに、固定用ボルト24の近傍に設けられた廻止め用ボルト25によって、センサカバー23をブラケット21に対して廻止めすることにより、圧力センサ22に対し、センサカバー23を常に適正な位置に固定することができる。この結果、センサカバー23によって圧力センサ22を確実に保護することができ、圧力センサ22の信頼性を高めることができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、ブラケット21の一方のボルト挿通孔21Cとセンサカバー23の一方のボルト挿通孔23Cとに挿通した1本の固定用ボルト24を、取付座13の雌ねじ孔13Aに螺着することにより、ブラケット21とセンサカバー23とを取付座13に固定すると共に、ブラケット21の他方のボルト挿通孔21Dとセンサカバー23の他方のボルト挿通孔23Dとに挿通した1本の廻止め用ボルト25に、ナット26を螺着することにより、ブラケット21に対してセンサカバー23を廻止めする構成としている。
【0050】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図10に示す変形例のように、ブームシリンダ12のチューブ12Aに、2個の雌ねじ孔31Aを有する取付座31を固定して設け、これら各雌ねじ孔31Aに螺着される2本の固定用ボルト24を用いて、ブラケット21とセンサカバー23とを取付座31に共締めする構成としてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、ロッド側油圧管路18に固定するブラケット21に凹湾曲面21Aを設け、この凹湾曲面21Aをロッド側油圧管路18に嵌合した状態で溶接等の手段を用いて固定する場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図11に示す第2の変形例のように、2個のボルト挿通孔32A,32Bが穿設された短尺な四角形状のブラケット32を用い、このブラケット32の端縁部をロッド側油圧管路18の外周面に溶接する構成としてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態では、ブームシリンダ12のロッド側油室12D内の圧力を検出する圧力センサ22と、該圧力センサ22を保護するセンサカバー23を備えたシリンダ装置11を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、ブームシリンダ12のボトム側油室12E内の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサを保護するセンサカバーを備えたシリンダ装置にも適用することができる。
【0053】
さらに、上述した実施の形態では、油圧ショベル1のブームシリンダ12を含むシリンダ装置11を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル1の作業装置4を駆動するアームシリンダ9、バケットシリンダ10、スイングシリンダ(図示せず)を含むシリンダ装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 油圧ショベル(建設機械)
4 作業装置
11 シリンダ装置
12 ブームシリンダ(油圧シリンダ)
12A チューブ
12C ロッド
13,31 取付座
13A,31A 雌ねじ孔
18 ロッド側油圧管路(油圧管路)
20 T継手(継手)
21,32 ブラケット
22 圧力センサ
23 センサカバー
24 固定用ボルト(締結部材)
25 廻止め用ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の作業装置を駆動するために用いられ、チューブ及び該チューブに対して伸縮可能に設けられたロッドを有する油圧シリンダと、該油圧シリンダに接続されシリンダ伸縮用の圧油を給排する油圧管路と、該油圧管路に継手を介して接続され前記油圧シリンダ内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサを保護するセンサカバーとを備えてなる建設機械のシリンダ装置において、
前記油圧シリンダのチューブには、前記油圧管路を取付ける取付座を固定して設け、
前記油圧管路には、前記継手の近傍部位にブラケットを固定して設け、
前記ブラケットと前記センサカバーとは、締結部材を用いて前記取付座に共締めする構成としたことを特徴とする建設機械のシリンダ装置。
【請求項2】
前記取付座には雌ねじ孔を設け、前記締結部材は前記ブラケットとセンサカバーとに挿通され前記雌ねじ孔に螺着される固定用ボルトにより構成し、前記センサカバーは前記一のボルトに隣接して設けられた廻止め用ボルトを用いて前記ブラケットに対して廻止めする構成としてなる請求項1に記載の建設機械のシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−57336(P2013−57336A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194867(P2011−194867)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】