説明

建設機械のワイパー操作装置

【課題】小雨時などでワイパーを1回だけ往復動させたい場合に操作レバーから手を離すことなく、効率的な作業操作を維持できるようにする。
【解決手段】コンソールパネル(又はモニター)15近傍にワイパー17を作動させるための主ワイパースイッチ16が配設された建設機械のワイパー操作装置において、前記ワイパースイッチ16とは別に、ワイパー17を往復1回だけ作動させるための補助ワイパースイッチ19を操作レバー18に設ける。また、補助ワイパースイッチ19を1回操作することにより、ワイパー17が往復1回だけ作動するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械のワイパー操作装置に関するものであり、特に、コンソールパネル等の近傍にワイパースイッチが配設された建設機械のワイパー操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベル等の建設機械は、ブーム先端部又はロアフレーム前部に掘削用の作業機を備え、作業時に、オペレータはキャビン内よりフロントウインドーを通して作業機の位置を監視しながら、運転席近傍に設置した操作レバーにより作業機を操作している。
【0003】
しかし、雨天時にはフロントウインドーに水滴が付着するため、フロントウインドー前方の視界が悪くなる。そこで、作業に必要な前方の視界を確保すべく、ワイパースイッチによりワイパーを作動させることで、フロントウインドーに付着した水滴を拭き落としている。
【0004】
図5は上記ワイパー操作装置の従来例を示す。同図において、1はフロントウインドー2に取り付けたワイパーであり、該ワイパー2はワイパー駆動モータ3により連続して作動される。更に、ワイパー駆動モータ3にはワイパー駆動回路4が接続されていると共に、該ワイパー駆動回路4にワイパースイッチ5が接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−28159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のワイパー操作装置によれば、図6に示すように、ワイパースイッチ5はコンソールパネル(又はモニター)6近傍の箇所、即ち、作業機用の操作レバー7から離れた箇所に配設されている。そして、オペレータがワイパースイッチ5を操作すると、前記ワイパー2は連続して往復作動するように構成されている。
【0006】
ところで、例えば小雨がぱらつく時などのように、フロントウインドー2に付着する水滴が少ない場合には、オペレータはワイパー2を往復1回だけ作動したいことがある。しかし、このような場合でも、オペレータは作業中に操作レバー7から手を離して、ワイパースイッチ5を操作しなければならない。
【0007】
しかも、ワイパー2を往復1回だけ作動させるためには、ワイパースイッチ5のオン操作とオフ操作の複数回行う必要がある。その結果、オペレータは操作レバー7からその都度手を離して、ワイパースイッチ5を複数回操作することが非常に煩わしく、操作レバー7の作業操作が妨げられて作業効率が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、小雨時などでワイパーを1回だけ往復動させたい場合に操作レバーから手を離すことなく、効率的な作業操作を維持できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、コンソールパネル又はモニター近傍にワイパースイッチが配設された建設機械のワイパー操作装置において、前記ワイパースイッチとは別に、ワイパーを往復1回だけ作動させる
補助用のワイパースイッチを備え、該補助用のワイパースイッチは、運転席近傍に設置した操作レバーに設けられていることを特徴とする建設機械のワイパー操作装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、補助用のワイパースイッチを操作レバーに設けたので、小雨などの時には、補助用のワイパースイッチを操作することにより、ワイパーが往復1回だけ作動して、フロントウインドーに付着した水滴等が清浄に拭き落とされる。この場合、オペレータは操作レバーから手を離すことなく補助用のワイパースイッチを操作できる。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記補助用のワイパースイッチは1回の操作により上記ワイパーを往復1回だけ作動させることを特徴とする請求項1記載の建設機械のワイパー操作装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、ワイパーを往復1回だけ作動させるためには、補助用のワイパースイッチを1回だけ操作すればよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、小雨の時などのようにワイパーを往復1回だけ作動したい場合、オペレータは、操作レバーに設けた補助用のワイパースイッチを操作すればよいので、従来例のように操作レバーからその都度手を離す必要がなく、操作レバーによる作業操作を効率良く行うことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ワイパーを往復1回だけ作動させるためには、補助用のワイパースイッチの操作は1回で済むので、請求項1記載の発明の効果に加えて、複数回のスイッチ操作が必要であった従来例に比べて、スイッチ操作を一層簡便かつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、小雨時などにおいてワイパーを1回だけ往復動させたい場合に操作レバーから手を離すことなく、効率的な作業操作を維持できるようにするという目的を達成するために、コンソールパネル又はモニター近傍にワイパースイッチが配設された建設機械のワイパー操作装置において、前記ワイパースイッチとは別に、ワイパーを往復1回だけ作動させる補助用のワイパースイッチを備え、該補助用のワイパースイッチは、運転席近傍に設置した操作レバーに設けられていることにより実現した。
【実施例】
【0016】
以下、本発明に係る好適な一実施例を図1乃至図4に従って説明する。図1は本実施例に係る建設機械としての油圧ショベルを示す側面図、図2はワイパー操作装置が配設されたキャビン内を示す斜視図、図3は補助用のワイパースイッチが設けられた操作レバーを示す斜視図、図4はワイパー操作装置の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図1において、油圧ショベル10は、下部走行体11上に上部旋回体12が旋回自在に搭載されている。また、該上部旋回体12の前方中央部にはブーム及びアーム等から成る作業機13が上下回動自在に取り付けられている。更に、上部旋回体12の前方一側部にはキャビン14が設けられている。
【0018】
前記キャビン14内には、図2に示すように、コンソールパネル(又はモニター)15が設けられ、該コンソールパネル15の近傍にはワイパー作動用スイッチ(以下「主ワイパースイッチ」という。)16が設置されている。そして、主ワイパースイッチ16をオン操作すると、図3に示すワイパー17が多数回連続して往復動作するように構成されて
いる。
【0019】
又、キャビン14内の運転席9近傍には、前記作業機13を操作するための操作レバー18が設置され、該操作レバー18には、上記主ワイパースイッチ16とは別に、図3に示すように、補助用のワイパースイッチ(以下「補助ワイパースイッチ」という。)19が設けられている。そして、補助ワイパースイッチ19を1回操作すると、ワイパー17が往復1回だけ作動するように構成されている。
【0020】
次に、本発明に係るワイパー操作装置の構成例を図4に基づいて説明する。同図に示すように、フロントウインドー20にはワイパー17が左右回動可能に取り付けられている。又、ワイパー17の下端部にはワイパー駆動モータ21が連結されている。更に、ワイパー駆動モータ21にはワイパー駆動回路22が接続されている。そして、ワイパー駆動回路22には主ワイパースイッチ16及び補助ワイパースイッチ19が互いに独立に接続されている。
【0021】
従って、雨天時にフロントウインドー20に水滴が付着して、前方の視界が低下した場合には、主ワイパースイッチ16をオン操作することにより、ワイパー17が多数回連続して往復作動する。依って、フロントウインドー20に付着している水滴は、ワイパー17の連続作動により拭き落とされるので、フロントウインドー20を通じた前方の視界が良好に確保される。
【0022】
一方、小雨がぱらつく程度の時のように、フロントウインドー20に付着する水滴が少ない場合には、オペレータは主ワイパースイッチ16に代えて、操作レバー18に設けた補助ワイパースイッチ19を1回だけ操作すればよい。これにより、フロントウインドー20に付着している少量の水滴は、ワイパー17の往復1回の作動により拭き落とされる。
【0023】
以上の如く本発明によると、ワイパー17を往復1回だけ作動させる補助ワイパースイッチ19を操作レバー18に設けたので、例えば小雨の時には、補助ワイパースイッチ19を操作することにより、フロントウインドー20に付着した水滴を清浄に拭き落として、良好な前方視界を常に確保することができる。
【0024】
斯くして、補助ワイパースイッチ19を操作する際に、オペレータは操作レバー18からその都度手を離す必要がないので、操作レバー18を円滑かつ快適に操作でき、効率的な作業操作が安定して維持される。
【0025】
また、ワイパー17を往復1回だけ作動させるために、従来例では少なくともオン操作とオフ操作の2回以上行う必要があったが、本発明の補助ワイパースイッチ19は1回だけ操作すればよいので、スイッチ操作を一層簡便かつ迅速に行うことができる。
【0026】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示し、建設機械である油圧ショベルの側面図。
【図2】一実施例に係るワイパー操作装置が配設されたキャビン内を示す斜視図。
【図3】一実施例に係る補助ワイパースイッチが設けられた操作レバーを示す斜視図。
【図4】一実施例に係るワイパー操作装置の構成例を示すブロック図。
【図5】従来例に係るワイパー操作装置が設けられたキャビン内を示す斜視図。
【図6】従来例に係るワイパー操作装置の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0028】
10 油圧ショベル(建設機械)
13 作業機
14 キャビン
15 コンソールパネル(又はモニター)
16 主ワイパースイッチ
17 ワイパー
18 操作レバー
19 補助ワイパースイッチ
20 フロントウインドー
21 ワイパー駆動モータ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンソールパネル又はモニター近傍にワイパースイッチが配設された建設機械のワイパー操作装置において、前記ワイパースイッチとは別に、ワイパーを往復1回だけ作動させる補助用のワイパースイッチを備え、該補助用のワイパースイッチは、運転席近傍に設置した操作レバーに設けられていることを特徴とする建設機械のワイパー操作装置。
【請求項2】
上記補助用のワイパースイッチは1回の操作により上記ワイパーを往復1回だけ作動させることを特徴とする請求項1記載の建設機械のワイパー操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−105567(P2010−105567A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280499(P2008−280499)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】