説明

建設機械の軸継手

【課題】高弾性材料と金属材料によりトルク伝達面を構成した建設機械の軸継手において、使用時間の経過に伴うトルク伝達面の磨耗量を減少させることが可能なものを提供する。
【解決手段】金属側のトルク伝達面5bまたは8gに、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化カルシウムまたは二酸化ケイ素でなる固体潤滑被膜を設ける。また、より好ましくは、金属側トルク伝達面5bまたは8gに、塩浴窒化、ガス軟窒化、窒化、焼入れ焼戻し、高周波焼入れ、浸炭焼入れまたは浸炭窒化による表面硬化層を形成し、表面硬化層上に固体潤滑被膜を設ける。また、より好ましくは、表面硬化層をリン酸マンガン処理やサンドブラスト等により粗面化してその後に固体潤滑被膜を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械において、エンジン等の回転動力源と油圧ポンプ等の被駆動回転体との間で回転力を伝達する軸継手に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械においては、動力源回転体であるエンジンと、被駆動回転体である油圧ポンプとの間で軸継手により回転力を伝達する。このような軸継手において、エンジンと油圧ポンプの軸心のずれの吸収や、エンジンの回転に伴う回転トルク変動の吸収等のため、特許文献1に記載のように、トルク伝達面の一方を金属材料により形成し、他方をゴムや樹脂からなる高弾性材料によって形成する。このようにトルク伝達面を形成すれば、回転トルク変動を高弾性材料で吸収することにより、安定した回転でトルクを伝達可能となる。また、良好な摺動性を有する材料の組合せのため、接触面に潤滑油を供給する必要がなく、単純な構成で安価に機能を実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−27835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のようにトルク伝達面の一方を金属材料により形成し、他方を高弾性材料により形成する場合、高弾性材料は一般的に硬度および強度が金属材料よりも低く、長時間使用に伴い高弾性材料のトルク伝達面は摩耗しやすい。このため、この種の軸継手に使用する高弾性材料は硬度および強度を高めた材料を使用している。その結果、高弾性材料の金属材料との硬度差が小さくなり、長時間使用した場合には、金属側のトルク伝達面もある程度磨耗する。
【0005】
ここで、トルク伝達面を高弾性材料と金属材料とで形成した軸継手は、潤滑油を用いないため、トルク伝達面には金属粉を含む磨耗粉が滞留しやすく、この磨耗粉により磨耗が促進され、金属材料側、高弾性材料側共に時間当たりの磨耗量が増加する。この磨耗量は、高弾性材料の硬度および強度を高めるために高弾性材料中にガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を添加した場合には更に顕著に増加する。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、高弾性材料と金属材料によりトルク伝達面を構成した軸継手において、使用時間の経過に伴うトルク伝達面の磨耗量を減少させることが可能な建設機械の軸継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の建設機械の軸継手は、動力源回転体の回転力を被駆動回転体にトルク伝達面を有し、トルク伝達面の一方は金属材料により形成され、他方はゴムまたは樹脂でなる高弾性材料により形成された建設機械の軸継手において、
金属側のトルク伝達面に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化カルシウムまたは二酸化ケイ素でなる固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の建設機械の軸継手は、請求項1に記載の建設機械の軸継手において、
前記金属側トルク伝達面に、塩浴窒化、ガス軟窒化、窒化、焼入れ焼戻し、高周波焼入れ、浸炭焼入れまたは浸炭窒化により表面硬化層を形成し、前記表面硬化層上に前記固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の建設機械の軸継手は、請求項1に記載の建設機械の軸継手において、
前記金属側トルク伝達面を化学的表面処理または物理的表面処理により粗面化し、粗面化した表面に前記固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の建設機械の軸継手は、請求項2に記載の表面硬化層を請求項3に記載の表面処理により粗面化し、前記粗面化した表面に前記固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の建設機械の軸継手は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の建設機械の軸継手において、
前記動力源回転体の出力軸に取付けられ、歯にトルク伝達面を形成した内歯歯車または外歯歯車からなる第1の歯車と、
前記被駆動回転体の入力軸に取付けられ、前記第1の歯車と噛合する外歯歯車または内歯歯車であって、歯にトルク伝達面を形成した第2の歯車とを備え、
前記第1の歯車と前記第2の歯車の一方が金属材料、他方が高弾性材料でなることを特徴とする。
【0012】
請求項6の建設機械の軸継手は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の建設機械の軸継手において、
前記動力源回転体の出力円盤に周方向に等間隔に取付けられ、回転方向の両面にトルク伝達面を形成した複数の第1の部材と、
前記被駆動回転体の入力軸に取付けられ、前記各第1の部材のトルク伝達面にそれぞれ間隔を有して設置されるトルク伝達面を有する第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟持され、前記第1の部材のトルク伝達面と前記第2の部材のトルク伝達面にそれぞれ当接する面をトルク伝達面とした第3の部材とを備え、
前記第1の部材および前記第2の部材が金属材料で前記第3の部材が高弾性材料でなるか、または前記第1の部材および前記第2の部材が高弾性材料で前記第3の部材が金属材料でなることを特徴とする。
【0013】
請求項7の建設機械の軸継手は、請求項1から6までのいずれか1項に記載の建設機械の軸継手において、
前記高弾性材料は強化繊維を添加したものでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、潤滑油を用いない軸継手において、二硫化モリブデン等の固体潤滑被膜を金属材料の表面に設けたので、高弾性材料との摺動性を改善し、高弾性材料の磨耗量を低減し、軸継手の延命化が可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、塩浴窒化等の前記各種表面処理により、金属材料の表面を硬化させたので、軸継手の寿命をさらに延ばすことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、金属材料の表面を粗面化して固体潤滑被膜を設けたので、固体潤滑被膜が金属材料表面に強固に固着し、軸継手のさらなる延命化が達成できる。
【0017】
請求項4の発明によれば、請求項2の表面硬化層の形成と、請求項3の粗面化による固体潤滑被膜により、単に表面を硬化させた場合や粗面化した場合に比較し、軸継手のさらなる延命化が達成される。
【0018】
請求項5,6の発明によれば、このような構成の軸継手において本発明の処理を施した金属材料が軸継手の延命化に貢献できる。
【0019】
請求項7の発明によれば、高弾性材料中に強化繊維を添加したので、高弾性材料の磨耗量の低減による軸継手のさらなる延命化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の建設機械の軸継手の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1のE−E断面図である。
【図3】図1、図2に示す実施の形態の油圧ポンプ入力軸に対する外歯歯車の取付け構造を示す断面図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】本発明の建設機械の軸継手の他の実施の形態を示す側面図である。
【図6】図5のF−F断面図である。
【図7】図5、図6に示す実施の形態の動力伝達部材の構造を示す分解斜視図である。
【図8】図6の部分拡大図である。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】本発明の実施例と従来例の金属材料に対する高弾性材料の摺動実験における磨耗量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明による建設機械の軸継手の一実施の形態を示す側面断面図、図2はそのE−E断面図、図3は図2の一部拡大図である。1は動力源となるエンジン、2はエンジンにより駆動される油圧ポンプである。3はエンジン1の出力軸(図示せず)に設けられた円盤状の動力源回転体であり、フライホイールを構成するものである。4は動力源回転体3を収容したハウジングである。エンジン1においては、爆発力をピストンの往復動に変換し、このピストンの往復動をクランクシャフトにより出力軸(いずれも図示せず)の回転力に変換し、出力軸に取付けられた動力源回転体3を回転させる。
【0022】
5は動力源回転体3にボルト6により動力伝達部材として固定された内歯歯車である。7は被駆動回転体であり、油圧ポンプ2の入力軸として設けられたものである。8は内歯歯車5の歯5aと噛合する歯8aを有する外歯歯車である。この外歯歯車8は、図3に示すように、油圧ポンプ2の入力軸7に設けたスプライン溝7aにボス部8bの溝8cが嵌合して取付けられる。また、この外歯歯車8は、その中心から半径方向にスリット8dを形成し、ボス部8bにおいて、スリット8dを挟んで貫通するようにボルト挿通孔8eとねじ孔8fを設け、ボルト9をボルト挿通孔8eから挿通してねじ孔8fに螺合し締結することにより、外歯歯車8を入力軸7に固定する。この油圧ポンプ2はシリンダブロックやピストンを内蔵したものであり、入力軸7が回転することにより、油を吸入し、圧油を吐出する機能をもつものである。
【0023】
図4に示すように、内歯歯車5の各歯5aはそれぞれ外歯歯車8の各歯8aと側面部において相互に回転方向に摺動可能に当接してトルク伝達面5b、8gを形成する。
【0024】
このような軸継手において、内歯歯車5と外歯歯車8の少なくとも歯5a,8aうちの一方を金属材料により構成し、他方をゴムまたは樹脂にガラス繊維あるいは炭素繊維等の強化繊維を添加した高弾性材料を使用する。このようにしてトルク伝達面5b,8gを金属材料と高弾性材料とで構成することにより、エンジン1と油圧ポンプ2の軸心のずれの吸収や、エンジンの回転に伴う回転トルク変動の吸収が行なわれ、安定した回転でトルクを伝達可能となる。また、良好な摺動性を有する材料の組合せのため、接触面に潤滑油を供給する必要がなく、単純な構成で安価に機能を実現することが可能となる。
【0025】
本発明においては、内歯歯車5と外歯歯車8のうち、金属材料でなるものトルク伝達面5bまたは8gに二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化カルシウムまたは二酸化ケイ素でなる固体潤滑被膜を、焼付け等によって設けることにより、高弾性材料との摺動性を改善し、高弾性材料の磨耗量を低減して軸継手の延命化を可能としたものである。
【0026】
このような固体潤滑被膜をトルク伝達面5bまたは8gに形成する場合、塩浴窒化、ガス軟窒化、窒化、焼入れ焼戻し、高周波焼入れ、浸炭焼入れまたは浸炭窒化により表面硬化層を形成し、この表面硬化層上に前記固体潤滑被膜を設ければ、高弾性材料側のトルク伝達面との摺動性を改善し、高弾性材料の磨耗量をより低減することができる。
【0027】
また、金属側トルク伝達面5bまたは8gをリン酸マンガン処理等による化学的表面処理またはサンドブラスト等の物理的表面処理により粗面化し、粗面化した表面に固体潤滑被膜を設ければ、固体潤滑被膜をより安定してトルク伝達面に定着させることができ、より長期にわたり高弾性材料との摺動性を改善し、磨耗量の低減に寄与することができる。
【0028】
また、前記金属側トルク伝達面における表面硬化層の形成と、粗面化とを共に行なった後、固体潤滑被膜の形成を行なうことによってより長期にわたり高弾性材料との摺動性を改善し、磨耗量の低減に寄与することができる。
【0029】
また、図1、図2の例においては、動力源回転体3に内歯歯車5を取付け、被駆動回転体(入力軸)7側にその内歯歯車5に噛合する外歯歯車8を取付けたが、その反対に、動力源回転体3に外歯歯車を取付け、被駆動回転体(入力軸)7側にその外歯歯車に噛合する内歯歯車を取付ける構造も採用可能であり、この場合も一方を金属材料により構成し、他方を高弾性材料として用いる。
【0030】
図5は本発明による建設機械の軸継手の他の実施の形態を示す側面断面図、6はそのF−F断面図、図7はこの実施の形態の動力伝達部材を示す斜視図である。図5、図6において、図1、図2と同じ符号は同様の構成部材を示す。10はボルト挿通孔10aに挿通するボルト11により、動力源回転体3に固定される第1の部材であり、金属製ブロックでなる。
【0031】
12は被駆動回転体(入力軸)7に取付ける第2の部材である。図7に示すように、この第2の部材12はボス12aとこのボス12aの外周に半径方向に突出させて設けた突出部材12bとからなる。図8に示すように、ボス12aの中心孔に設けた溝12cを、入力軸7のスプライン溝7aに嵌合すると共に、ボス12aに半径方向に設けたねじ孔12dにボルト13を螺合し、このボルト13を入力軸7に締め付け固定してボス12aを入力軸7に固定する。
【0032】
突出部材12bは金属材料でなり、前記第1の部材10と同数設けられ、この突出部材12bに貫通して設けたボルト挿通孔12eにボルト14を挿通し、ボス12aに設けたねじ孔12fに螺合し締結することにより、突出部材12bをボス12aに固定する。
【0033】
15はゴムあるいは樹脂製高弾性材料でなる第3の部材である。この第3の部材15は概略円環状をなし、第2の部材12の突出部材12b,12b間に嵌るU字形部15aを、第1の部材10と同数有する。図8に示すように、この第3の部材15は、第1の部材10と第2の部材12との間に、各U字形部15a,15a間に嵌め、U字形部15a内に第1の部材10を嵌合して組み合わされる。各U字形部15aの外周は、突出部材12bの外端に設けた突出片12gと、第1の部材10の外端に設けた突出片10bに当接し、固定される。
【0034】
図9は図8の部分拡大図であり、図9において、第1の部材10と第3の部材15は相互の当接面10c,15bがトルク伝達面となり、第3の部材15と第2の部材12との相互の当接面15b,12hもトルク伝達面となる。
【0035】
この実施の形態において、金属材料でなる第1の部材10と第2の部材12との少なくともトルク伝達面に前述のような固体潤滑被膜をそれぞれ形成することにより、高弾性材料でなる第3の部材15とのトルク伝達面との摺動性を向上させて第3の部材15の磨耗量を低減し、軸継手を延命化することが可能となる。また、このような固体潤滑被膜をトルク伝達面に形成する場合、前述したような手段により表面硬化層を形成し、この表面硬化層上に前記固体潤滑被膜を設ければ、高弾性材料側のトルク伝達面との摺動性を改善し、高弾性材料の磨耗量をより低減することができる。さらに前述したように、粗面化した表面に固体潤滑被膜を設ければ、固体潤滑被膜をより安定してトルク伝達面に固体潤滑被膜を形成することができる。
【0036】
図5ないし図9に示した実施の形態においては、第1の部材10と第2の部材12とを金属材料により構成し、第3の部材15を高弾性材料により構成したが、第1の部材10と第2の部材12の少なくとも突出部材12bとを高弾性材料により構成し、第3の部材15を金属材料により構成してもよい。
【実施例】
【0037】
次に実施例について説明する。軸継手に用いる金属材料としてS45Cの鋼材を用い、高弾性材料としてポリアミド樹脂にガラス繊維を添加したもの(KTR社製カップリング)を用い、本発明による固体潤滑被膜を形成したものと、固体潤滑被膜を形成していない従来例との磨耗試験を行なった。磨耗試験は、金属材料の固体潤滑被膜を形成したものと形成していないものの表面に、前記高弾性材料を一定形状に形成したものを10MPaで往復摺動させて高弾性材料の時間経過に伴う磨耗量を計測することにより行なった。高弾性材料の摺動面のサイズは1mm×6mmとした。
【0038】
固体潤滑被膜の形成は、二硫化モリブデンの焼付けにより行なった。すなわち平均粒子径が10μm前後の二硫化モリブデン粒子をバインダーにより液状化したもの((株)川邑研究所製デフリックコートAまたはB)を用い、これを表面に散布後、焼き付けた。ここで、デフリックコートAとデフリックコートBは、二硫化モリブデン含有量の点で異なるものである。
【0039】
また、この固体潤滑被膜の形成の前に、金属材料の表面を硬化するため、塩浴窒化による表面硬化処理を行なった。塩浴窒化は、窒化材として青酸カリや炭酸カリ、炭酸ナトリウム等を用いて行なった。
【0040】
また、固体潤滑被膜の安定した固着を図るため、前述のように表面硬化処理を行なったものをリン酸マンガンにより粗面化し、その後前記固体潤滑被膜の形成を行ない、粗面化処理を行なわないものと比較した。
【0041】
図10は金属材料(S45C)の表面に固体潤滑被膜の形成を行なわないもの(従来技術)と、塩浴窒化後に二硫化モリブデンコーティングAにより固体潤滑被膜を形成したものと、塩浴窒化後、二硫化モリブデンコーティングによる固体潤滑被膜形成前にリン酸マンガン処理を行なったものの摺動時間当たりの高弾性材料の磨耗量を比較して示すグラフである。
【0042】
図10から分かるように、二硫化モリブデンからなる固体潤滑被膜形成により、高弾性材料との摺動性が改善され、高弾性材料の磨耗量を低減することが可能となり、軸継手の寿命を長くすることができる。また、リン酸マンガン処理による粗面化により、さらに高弾性材料との摺動性が改善され、高弾性材料の磨耗量をさらに低減でき、軸継手のさらなる延命化が可能となる。なお、金属材料の表面の硬化処理を行なわない場合や、硬化処理と粗面化処理の双方を行なわない場合にも従来例に比較して高弾性材料の磨耗量の低減が可能となることが確認されている。
【0043】
本発明は、動力源が電動機で被駆動回転体が油圧ポンプである場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1:エンジン、2:油圧ポンプ、3:動力源回転体、4:ハウジング、5:内歯歯車、5a:歯、5b:トルク伝達面、6:ボルト、7:被駆動回転体(入力軸)、7a:スプライン溝、8:外歯歯車、8a:歯、8b:ボス部、8c:溝、8d:スリット,8e:ボルト挿通孔、8f:ねじ孔、8g:トルク伝達面、9:ボルト、10:第1の部材、10a:ボルト挿通孔、10b:突出片、10c:トルク伝達面、11:ボルト、12:第2の部材,12a:ボス、12b:突出部材、12c:溝、12d:ねじ孔、12e:ボルト挿通孔、12f:ねじ孔、12g:突出片、12h:トルク伝達面、13:ボルト、14:ボルト、15:第3の部材、15a:U字形部、15b,15c:トルク伝達面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク伝達面の一方は金属材料により形成され、他方はゴムまたは樹脂でなる高弾性材料により形成された建設機械の軸継手において、
金属側のトルク伝達面表面に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化カルシウムまたは二酸化ケイ素でなる固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする建設機械の軸継手。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の軸継手において、
前記金属側トルク伝達面に、塩浴窒化、ガス軟窒化、窒化、焼入れ焼戻し、高周波焼入れ、浸炭焼入れまたは浸炭窒化による表面硬化層を形成し、前記表面硬化層上に前記固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする建設機械の軸継手。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械の軸継手において、
前記金属側トルク伝達面を化学的表面処理または物理的表面処理により粗面化し、粗面化した表面に前記固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする建設機械の軸継手。
【請求項4】
請求項2に記載の表面硬化層を請求項3に記載の表面処理により粗面化し、前記粗面化した表面に前記固体潤滑被膜を設けたことを特徴とする建設機械の軸継手。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の建設機械の軸継手において、
前記動力源回転体の出力軸に取付けられ、歯にトルク伝達面を有する内歯歯車または外歯歯車からなる第1の歯車と、
前記被駆動回転体の入力軸に取付けられ、前記第1の歯車と噛合する外歯歯車または内歯歯車であって、歯にトルク伝達面を有する第2の歯車とを備え、
前記第1の歯車と前記第2の歯車の一方が金属材料、他方が高弾性材料でなることを特徴とする建設機械の軸継手。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の建設機械の軸継手において、
前記動力源回転体の出力円盤に周方向に等間隔に取付けられ、回転方向の両面にトルク伝達面を形成した複数の第1の部材と、
前記被駆動回転体の入力軸に取付けられ、前記各第1の部材のトルク伝達面にそれぞれ間隔を有して設置されるトルク伝達面を有する第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟持され、前記第1の部材のトルク伝達面と前記第2の部材のトルク伝達面にそれぞれに当接する面をトルク伝達面とした第3の部材とを備え、
前記第1の部材および前記第2の部材が金属材料で前記第3の部材が高弾性材料でなるか、または前記第1の部材および前記第2の部材が高弾性材料で前記第3の部材が金属材料でなることを特徴とする建設機械の軸継手。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の建設機械の軸継手において、
前記高弾性材料は強化繊維を添加したものでなることを特徴とする建設機械の軸継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−137137(P2012−137137A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289563(P2010−289563)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】