説明

建設機械用キャブ

【課題】 外形の美観を向上させることができる建設機械用キャブを提供する。
【解決手段】 キャブフレーム12は、ベース枠体13、前部ピラー22,23、後部ピラー24,25、上部ピラー26,27、後部横梁部材31を備えている。キャブフレーム12の左側面にはドア34が取付けられる。また、後部ピラー24,25、上部ピラー26,27および後部横梁部材31は、後部連結部材32,33によって連結されている。プレスカバー38は、左後部パネル39および後部横梁カバー40を備えている。左後部パネル39は、ドア34側の後部連結部材32を覆っている。後部横梁カバー40は、左後部パネル39に接続されて後部横梁部材31を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の運転室を形成するために好適に用いられる建設機械用キャブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械では、下部走行体上に旋回可能に上部旋回体が搭載されると共に、上部旋回体に運転室を形成するキャブを設けている。また、キャブは、複数の柱部材と梁部材とを含むフレーム体を備えると共に、該フレーム体には複数の外装パネルが取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された建設機械では、運転室の後側に左後柱部材と右後柱部材とを設けると共に、これらの左後柱部材と右後柱部材の上端を後方梁部材によって連結している。また、後方梁部材の左,右方向の両端側には、前方に向けて延びる梁部が連結されている。さらに、後方梁部材を樹脂製のカバー部材によって覆うと共に、後方梁部材とカバー部材との間に形成された空間にGPSアンテナを収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−69799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された建設機械では、キャブの左,右の側面には、外装カバーとしてのサイドパネルが設けられている。該サイドパネルは金属製の板金部材を用いて形成されているから、樹脂製のカバー部材と別部材として形成する必要があり、サイドパネルとカバー部材との接続部分が不連続になって外形の美観が低下し易いという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、外形の美観を向上させることができる建設機械用キャブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、骨組み構造体をなすキャブフレームと、該キャブフレームの右側側面または左側側面に設けられたドアとを備え、前記キャブフレームは、下側のベース枠体と、該ベース枠体の前端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の前部ピラーと、前記ベース枠体の後端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の後部ピラーと、該各後部ピラーの上端側を前記各前部ピラーの上端側に連結するために左,右方向に離間して前,後方向に延びる左,右の上部ピラーと、前記左,右の後部ピラーの上端側を連結するために左,右方向に延びる後部横梁部材とを備えた建設機械用キャブに適用される。
【0008】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記キャブフレームのうち左,右方向のドア側に位置して、前記後部横梁部材のドア側端部と、前記ドア側に位置する後部ピラーの上端側と、前記ドア側に位置する上部ピラーとを連結するドア側連結部を設け、該ドア側連結部および前記後部横梁部材を覆う化粧カバーを設け、該化粧カバーは、前記ドア側連結部を覆うと共に前記ドア後方の側面を構成するドア側後方パネルと、該ドア側後方パネルに接続され前記後部横梁部材を覆う後部横梁カバーとを備える構成としたことにある。
【0009】
請求項2の発明では、前記後部横梁カバーには、周囲よりも凹陥してアンテナを収容するアンテナ収容凹部を設け、該アンテナ収容凹部は、樹脂製のアンテナカバーによって覆う構成としている。
【0010】
請求項3の発明では、前記アンテナ収容凹部には前記後部横梁カバー内に配置された配線を挿通する配線挿通孔を設け、前記アンテナカバーには、該配線挿通孔からの配線を外部に取り出す取出口を設ける構成としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、化粧カバーはドア側後方パネルと後部横梁カバーとを備えるから、ドア側の上部後方に位置して後部横梁部材、後部ピラーおよび上部ピラーを連結するドア側連結部をドア側後方パネルによって覆うことできると共に、後部横梁部材をドア側後方パネルに接続された後部横梁カバーによって覆うことができる。このため、ドア側からキャブを見たときにはドア側後方パネルによってドア側連結部を全て覆うことができるから、外部から見易いドア側後方の外観に不連続な部分が生じることがなく、外形の美観を向上させることができる。また、ドア側からキャブを見たときに、ドア側後方パネルによって隠れる位置で後部横梁カバーを接続することができるから、これらの接続部分を目立たなくすることができ、外観品質を向上することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、後部横梁カバーには周囲よりも凹陥したアンテナ収容凹部を設けると共に、アンテナ収容凹部を樹脂製のアンテナカバーによって覆う構成としたから、後部横梁カバーよりも外側にアンテナを配置することができる。このため、金属製の後部横梁カバーによって後部横梁部材を覆った場合でも、後部横梁カバーによって電波を遮断することがなく、アンテナ収容凹部に設けたアンテナは樹脂製のアンテナカバーを透過して電波を受信することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、アンテナ収容凹部には配線挿通孔を設けると共に、アンテナカバーには取出口を設けたから、配線挿通孔および取出口を通じて後部横梁カバー内に配置された配線を外部に取り出すことができる。このため、例えばキャブの上部に後方照明灯や回転灯を取付けるときでも、これらの照明灯等に容易に配線を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す正面図である。
【図3】キャブフレームにプレスカバーおよびルーフパネルを取付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3中のキャブフレーム、プレスカバーおよびルーフパネルを分解した状態で示す斜視図である。
【図5】アンテナカバーを取り外した状態で後部横梁カバー等を拡大して示す斜視図である。
【図6】アンテナ収容凹部等を拡大して示す斜視図である。
【図7】アンテナカバーの取出口を示す図5と同様な斜視図である。
【図8】アンテナ収容凹部等を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による建設機械用キャブを油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図において、1は建設機械としての油圧ショベルを示している。該油圧ショベル1は、履帯を備えた下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3とによって構成され、上部旋回体3の前部には土砂の掘削作業等を行う作業装置4が俯仰動可能に設けられている。
【0017】
また、上部旋回体3は、旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の前部左側に搭載された後述のキャブ11と、図1に示すように該キャブ11の右側から後側に亘って旋回フレーム5上に設けられエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)等を収容する建屋カバー6と、旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイト7とを備えている。
【0018】
11は旋回フレーム4の前部左側に搭載されたキャブを示している。該キャブ11は、オペレータが乗車する運転室を画成するもので、内部には運転席、各種レバー類(いずれも図示せず)等が配設されている。そして、キャブ11は、図2ないし図8に示すように、後述するキャブフレーム12、ドア34、ルーフパネル37、プレスカバー38等によって大略構成されている。
【0019】
12はキャブ11の骨組み構造体をなすキャブフレームで、該キャブフレーム12は、図3および図4に示すように、後述のベース枠体13、前部ピラー22,23、後部ピラー24,25、上部ピラー26,27、前部連結部材28,29、前部横梁部材30、後部横梁部材31、後部連結部材32,33等によって構成されている。
【0020】
13はキャブ11の下側に位置してベースをなすベース枠体で、該ベース枠体13は、前部左側、前部右側、後部左側、後部右側のコーナ部にそれぞれ配設された4個の取付ベース14,15,16,17と、該各取付ベース14,15,16,17間を接続する左,右の縦フレーム18,19、前,後の横フレーム20,21とによって枠体状に形成されている。
【0021】
22,23はベース枠体13の前側に位置して左,右のコーナ部に配置された前部ピラーをそれぞれ示し、これらの前部ピラー22,23は、例えば前側に向けて湾曲している。そして、前部ピラー22,23は、例えば中空の異形鋼管によって形成され、その下端側が前部に配置された取付ベース14,15に溶接手段によって固着されている。また、前部ピラー22,23の間には、フロントウインド(図示せず)が取り付けられる。
【0022】
24,25はベース枠体13の後側に位置して左,右のコーナ部に配置された後部ピラーをそれぞれ示し、これらの後部ピラー24,25は、例えば前部ピラー22,23と同様に、それぞれ1本の異形鋼管によって構成されている。そして、後部ピラー24,25は、その下端側が後部に配置された取付ベース16,17に溶接手段によって固着されている。
【0023】
26は左側の前部ピラー22と後部ピラー24の上部を前,後方向に延びて設けられた左側の上部ピラーを示している。一方、27は右側の前部ピラー23と後部ピラー25の上部を前,後方向に延びて設けられた右側の上部ピラーを示している。これらの上部ピラー26,27には、例えば前述した前部ピラー22,23と同様の異形鋼管が用いて形成されている。
【0024】
そして、上部ピラー26,27の前端部は、円弧状に湾曲した前部連結部材28,29を介して前部ピラー22,23の上端部に取付けられている。ここで、左側の前部連結部材28は、一端側を前部ピラー22の上端に嵌合して溶接手段によって固着し、他端側を上部ピラー26の前端に嵌合して溶接手段によって固着することにより、左側の前部ピラー22と上部ピラー26とを連結している。右側の前部連結部材29も、左側の前部連結部材28と同様に、溶接手段によって前部ピラー23の上端と上部ピラーの一端側に固着され、これらを連結している。また、前部連結部材28,29には、左,右方向に延びる前部横梁部材30が溶接手段によって固着されている。これにより、前部ピラー22,23の上側および上部ピラー26,27の一端側は、前部連結部材28,29を介して左,右方向に連結されている。
【0025】
31は左,右の後部ピラー24,25の上端側を連結する後部横梁部材を示し、該後部横梁部材31は、左,右方向に延びると共に、後述の後部連結部材32,33を用いて後部ピラー24,25の上端側に連結されている。
【0026】
32は左側の後部ピラー24と上部ピラー26との間に設けられた左側の後部連結部材を示している。該後部連結部材32は、例えば鋳物によって略直方体のブロック状に形成され、キャブフレーム12のうち左,右方向のドア34側に位置してドア側連結部を構成している。後部連結部材32は、前面側が上部ピラー26の後端に嵌合して溶接手段によって固着され、下面側が後部ピラー24の上端に嵌合して溶接手段によって固着されている。また、後部連結部材32は、右側面側が後部横梁部材31のうちドア34側の端部となる左端に溶接手段によって固着されている。これにより、後部連結部材32は、後部横梁部材31の左端側、後部ピラー24の上端側および上部ピラー26の後端側を連結している。
【0027】
33は右側の後部ピラー25と上部ピラー27との間に設けられた右側の後部連結部材を示している。該後部連結部材33は、後部連結部材32と同様に例えば鋳物によって略直方体のブロック状に形成され、前面側が上部ピラー27の後端に嵌合して溶接手段によって固着され、下面側が後部ピラー25の上端に嵌合して溶接手段によって固着されている。また、後部連結部材33は、左側面側が後部横梁部材31の右端に溶接手段によって固着されている。これにより、後部連結部材33は、後部横梁部材31の右端側、後部ピラー25の上端側および上部ピラー27の後端側を連結している。
【0028】
34は後述するセンタピラー43と前部ピラー22との間に設けられたドアで、該ドア34は、キャブ11の左,右方向のうち作業装置4とは反対側の左側の側面に取付けられている。具体的には、ドア34は、後部側が後述のセンタピラー44にヒンジ34Aを介して開閉可能に取付けられている。また、ドア34の中央位置には係合フック34Bが設けられ、該係合フック34Bは、キャブ11の左後面に設けられた係合ラッチ35に係合して、ドア34を全開状態に保持する。さらに、ドア34の上部と下部には、緩衝部材36に接触する接触部34Cが設けられている。ここで、緩衝部材36は、例えば弾性材料を用いて形成され、左側の後部連結部材32および左側の後部ピラー24の下端側に取付けられている。そして、接触部34Cは、ドア34を全開状態にしたときに緩衝部材36に接触し、ドア34のがたつきを抑制するものである。
【0029】
37はキャブ11の天井面を構成するルーフパネルで、該ルーフパネル37は、例えば金属製の板金部材をプレス加工することによって形成されている。また、ルーフパネル37は、例えば溶接手段によって左,右の上部ピラー26,27、前部連結部材30に固着されている。そして、ルーフパネル37の後端側は、後部横梁部材31の近傍に位置して、後述するプレスカバー38の後部横梁カバー40に接続されている。
【0030】
38は後部横梁部材31および後部連結部材32を覆う化粧カバーとしてのプレスカバーで、該プレスカバー38は、左側の後部連結部材32を覆うと共に左後方の側面を形成するドア側後方パネルとしての左後部パネル39と、該左後部パネル39に接続され後部横梁部材31を覆う後部横梁カバー40と、右側の後部ピラー25を覆う右後カバー41とを備えている。
【0031】
これらの左後部パネル39、後部横梁カバー40および右後カバー41は、例えば金属製の板金部材をプレス加工することによってそれぞれ形成され、例えば溶接手段等によってキャブフレーム12に固着されている。
【0032】
ここで、左後部パネル39および後部横梁カバー40は、ルーフパネル37の周囲に接続されると共に、ルーフパネル37との境界部分は滑らかに連続している。また、左後部パネル39は、左後側面を形成する平板部39Aと、該平板部39Aの上部側および後部側の周縁から右側に向けて湾曲した周縁部39Bとを備えている。周縁部39Bは、後部ピラー24および後部連結部材32の後面側に配置され、後部ピラー24の後面、後部ピラー24と後部連結部材32との接続部分および後部ピラー24と取付ベース16との接続部分をそれぞれ覆っている。そして、左後部パネル39は、ドア34側からキャブ11を見たときに、左側の後部連結部材32を全て覆っている。
【0033】
また、左後部パネル39の平面部39Aには、後方上部および後方下部に位置して、緩衝部材36を取付けるための貫通孔42がそれぞれ形成されている。さらに、左後部パネル39の前側には、例えば溶接手段等によって略コ字状に屈曲して上,下方向に延びる内側パネル43が固着されている。該内側パネル43と左後部パネル39とによって、中空の板体からなるセンタピラー44が形成されている。そして、センタピラー44は、溶接手段によって下端側が縦フレーム18に固着され、上端側が上部ピラー26に固着されている。
【0034】
後部横梁カバー40は、後部横梁部材31の上部を覆う上面部40Aと、該上面部40Aの後端から略L字状に屈曲して形成され後部横梁部材31の後部を覆う後面部40Bとを備えている。また、後部横梁カバー40は、左端側が後部横梁部材31を超えて後部連結部材32に掛かる位置まで延び、後部横梁部材31と後部連結部材32との接続部分を覆っている。また、後部横梁カバー40の右端側は、後部横梁部材31を超えて後部連結部材33に掛かる位置まで延び、後部連結部材33の外表面に滑らかに繋がっている。
【0035】
右後カバー41は、右側の後部ピラー25の右側面を覆う右側面部41Aと、該右側面部41Aの後端から略L字状に屈曲して形成され後部ピラー25の後部を覆う後面部41Bとを備えている。ここで、右後カバー41の上端側は、後部ピラー25を超えて後部連結部材33に掛かる位置まで延び、後部連結部材33の外表面に滑らかに繋がっている。一方、右後カバー41の下端側は、後部ピラー25の略中間位置で、かつ建屋カバー6の上面部の近傍位置または建屋カバー6の上面部よりも下方の位置まで延設されている。
【0036】
45は後部横梁カバー40に形成されたアンテナ収容凹部で、該アンテナ収容凹部45は、後部横梁カバー40の周囲よりも後部横梁部材31側に向けて凹陥して形成されている。具体的には、アンテナ収容凹部45は、後部横梁カバー40の上面部40Aよりも下側に凹陥した水平面部45Aと、後部横梁カバー40の後面部40Bよりも前側に凹陥した垂直面部45Bとを備えている。
【0037】
水平面部45Aの中央付近には、第1の配線挿通孔46が貫通して形成される共に、該配線挿通孔46の近傍にはGPSアンテナ47が取付けられる。そして、GPSアンテナ47のアンテナケーブル47Aは、第1の配線挿通孔46を通じて後部横梁カバー40の内部に挿入され、各種の演算処理を行なう処理装置(図示せず)に接続されている。
【0038】
一方、垂直面部45Bには、左,右方向に離間して第2,第3の配線挿通孔48,49が貫通して形成されている。第2,第3の配線挿通孔48,49は、後部横梁カバー40内に配置された配線50を挿通するために設けられ、該配線50は、例えばオプションの後方照明灯や回転灯に接続される。このため、第2,第3の配線挿通孔48,49は、後方照明灯等を使用しない場合には、キャップ51によってそれぞれ閉塞されている。また、垂直面部45Bには、第2,第3の配線挿通孔48,49の間に位置して後方に向けて突出した突起部52が形成されている。該突起部52によって、垂直面部45Bにおける第2の配線挿通孔48と第3の配線挿通孔49との間は仕切られている。
【0039】
53はアンテナ収容凹部45を覆う樹脂製のアンテナカバーで、該アンテナカバー53は、アンテナ収容凹部45の開口部分に合わせて略L字状に屈曲して形成されている。そして、アンテナカバー53は、略全周にわたってアンテナ収容凹部45の外周縁に接着固定されると共に、後部横梁カバー40の外表面と滑らかに連続した状態で取付けられている。また、アンテナカバー53の後面には、第2,第3の配線挿通孔48,49と対面した位置に取出口54,55が形成されると共に、該取出口54,55はキャップ56によってそれぞれ閉塞されている。そして、オプションの後方照明灯等を使用する場合には、キャップ56はキャップ51と一緒に取外される。これにより、取出口54,55を通じて、配線50を外部に取り出すことができる。
【0040】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、作業現場等ではキャブ11内でオペレータが走行用レバーを傾転操作することにより、例えば下部走行体2を前進、後退させる。そして、土砂の掘削作業等を行うときには、作業用レバーを傾転操作して作業装置4を作動させたり、上部旋回体3を旋回動作させる。
【0041】
然るに、本実施の形態によれば、プレスカバー38は左後部パネル39と後部横梁カバー40とを備えるから、ドア34側の上部後方に位置して後部横梁部材31、後部ピラー24および上部ピラー26を連結する後部連結部材32は左後部パネル39によって覆うことできると共に、後部横梁部材31は左後部パネル39に接続された後部横梁カバー40によって覆うことができる。このため、ドア34側からキャブ11を見たときには左後部パネル39によって左側の後部連結部材32を全て覆うことができるから、外部から見易いドア34側後方の外観に不連続な部分が生じることがなくなる。これに加え、後部連結部材32が左後部パネル39等と異質な鋳物のよって形成されているときでも、後部連結部材32が外部に露出することがないから、キャブ11の外観を向上させることができる。また、ドア34側からキャブ11を見たときに、左後部パネル39によって隠れる位置で後部横梁カバー40を接続することができるから、これらの接続部分を目立たなくすることができ、外観品質を向上することができる。
【0042】
一方、左,右方向でドア34と反対側に位置する右側の後部連結部材33は、プレスカバー38によって覆うことはなく、一部が露出する構成とした。一般的にキャブ11のうちドア34と反対側には作業装置4が設けられるから、外部から目視し難く、キャブ11の美観に与える影響が少ない。このため、本実施の形態では、製造コストの抑制等を図る観点から、後部連結部材33はそのまま露出させ、後部横梁カバー40と右後カバー41を滑らかに繋げる構成とした。
【0043】
また、後部横梁カバー40には周囲よりも凹陥したアンテナ収容凹部45を設けると共に、アンテナ収容凹部45を樹脂製のアンテナカバー53によって覆う構成としたから、後部横梁カバー40よりも外側にGPSアンテナ47を配置することができる。このため、金属製の後部横梁カバー40によって後部横梁部材31を覆った場合でも、後部横梁カバー40によって電波を遮断することがなく、アンテナ収容凹部45に設けたGPSアンテナ47は樹脂製のアンテナカバー53を透過して電波を受信することができる。
【0044】
また、周囲よりも凹陥したアンテナ収容凹部45をアンテナカバー53によって覆うから、アンテナカバー53は後部横梁カバー40の上面部40Aおよび後面部40Bに滑らかに連続した状態で取付けることができる。このため、GPSアンテナ47を周囲よりも突出した状態で取付けた場合に比べて、GPSアンテナ47が外部の障害物等に接触することがなく、GPSアンテナ47を確実に保護することができる。また、アンテナカバー53によって閉塞状態で取付けることができるから、盗難防止等を図ることができる。
【0045】
さらに、アンテナ収容凹部45には配線挿通孔48,49を設けると共に、アンテナカバー53には取出口54,55を設けたから、配線挿通孔48,49および取出口54,55を通じて後部横梁カバー40内に配置された配線50を外部に取り出すことができる。このため、例えばキャブ11の上部に後方照明灯や回転灯を取付けるときでも、これらの照明灯等に容易に配線50を接続することができる。
【0046】
なお、前記実施の形態では、前部ピラー22,23と上部ピラー26,27とは前部連結部材28,29を用いて連結する構成としたが、例えば前部ピラーと上部ピラーとを連続した1本の鋼管によって形成してもよい。
【0047】
また、前記実施の形態では、後部ピラー24,25、上部ピラー26,27および後部横梁部材31は後部連結部材32,33を用いて連結する構成としたが、例えば後部連結部材を省いて後部ピラー、上部ピラーおよび後部横梁部材を直接的に連結する構成としてもよい。
【0048】
また、前記実施の形態では、キャブ11の左側にドア34を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーンのように上部旋回体の右側にキャブを配置する場合には、キャブの右側にドアを設ける構成としてもよい。この場合、例えば右側の後部ピラー、上部ピラーおよび後部横梁部材を連結する後部連結部材がドア側連結部を構成するから、化粧カバーはドア側後方パネルとしての右後部パネルと後部横梁カバーとを備えるものである。
【0049】
また、前記実施の形態では、後部横梁カバー40にはアンテナ収容凹部45を形成する構成としたが、アンテナ収容凹部45を省く構成としてもよい。
【0050】
さらに、前記実施の形態では、建設機械用キャブとして油圧ショベル1のキャブ11を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン等の他の建設機械用キャブにも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 油圧ショベル(建設機械)
11 キャブ
12 キャブフレーム
13 ベース枠体
22,23 前部ピラー
24,25 後部ピラー
26,27 上部ピラー
31 後部横梁部材
32 後部連結部材(ドア側連結部)
38 プレスカバー(化粧カバー)
39 左後部パネル(ドア側後方パネル)
40 後部横梁カバー
45 アンテナ収容凹部
47 GPSアンテナ(アンテナ)
48,49 配線挿通孔
53 アンテナカバー
54,55 取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨組み構造体をなすキャブフレームと、該キャブフレームの右側側面または左側側面に設けられたドアとを備え、
前記キャブフレームは、下側のベース枠体と、該ベース枠体の前端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の前部ピラーと、前記ベース枠体の後端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の後部ピラーと、該各後部ピラーの上端側を前記各前部ピラーの上端側に連結するために左,右方向に離間して前,後方向に延びる左,右の上部ピラーと、前記左,右の後部ピラーの上端側を連結するために左,右方向に延びる後部横梁部材とを備えた建設機械用キャブにおいて、
前記キャブフレームのうち左,右方向のドア側に位置して、前記後部横梁部材のドア側端部と、前記ドア側に位置する後部ピラーの上端側と、前記ドア側に位置する上部ピラーとを連結するドア側連結部を設け、
該ドア側連結部および前記後部横梁部材を覆う化粧カバーを設け、
該化粧カバーは、前記ドア側連結部を覆うと共に前記ドア後方の側面を構成するドア側後方パネルと、該ドア側後方パネルに接続され前記後部横梁部材を覆う後部横梁カバーとを備える構成としたことを特徴とする建設機械用キャブ。
【請求項2】
前記後部横梁カバーには、周囲よりも凹陥してアンテナを収容するアンテナ収容凹部を設け、該アンテナ収容凹部は、樹脂製のアンテナカバーによって覆う構成としてなる請求項1に記載の建設機械用キャブ。
【請求項3】
前記アンテナ収容凹部には前記後部横梁カバー内に配置された配線を挿通する配線挿通孔を設け、前記アンテナカバーには、該配線挿通孔からの配線を外部に取り出す取出口を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械用キャブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−219516(P2012−219516A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86584(P2011−86584)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】