説明

建設機械

【課題】ボンネット14内にエンジン30及び熱交換器31を収納する建設機械において、熱交換器の冷却ファン側の清掃を容易にできるようにする。
【解決手段】エンジン30に取り付けられる冷却ファン33と、該冷却ファン33に対向して配置される熱交換器31との間に、手が入る空間29を設け、前記ボンネット14における冷却ファン33から熱交換器31の上方と側方を覆う部分を別体のカバー34として構成し、前記熱交換器31と面する部分のカバーにガード36を有する開口部を設けるとともに、該カバー34を開閉可能に構成し、冷却ファン33を吐き出し式とし、前記熱交換器を同一面上に複数並べて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のエンジンに備える熱交換装置に関し、該熱交換装置のエアの吸い込み部の清掃を容易にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンにはシリンダブロック等を冷却するために熱交換器としてラジエータが配置されている。該ラジエータは上部タンクと下部タンクの間にラジエータコアを配置し、下部タンクをホース等を介してウォーターポンプと接続して、ラジエータコアで熱交換されて冷やされた冷却水をエンジンのウォータジャケットに送水し、エンジンを冷却した後の温められた冷却水はホースを介して上部タンクに戻される。前記ラジエータコアは上部タンクと下部タンクの間に多数の細いチューブを縦方向に並べて配置し、該チューブと直交してフィンを多数平行に配置したり、或いは、チューブ間に波形状のコルゲートフィンを配置したりして、放熱性を高めている。そして更に冷却するために、ラジエータコアに対向して冷却ファンが配置され、ラジエータコアが目詰まりしないように、冷却ファンとラジエータコアの間にはフィルターが配置されている。
【0003】
このラジエータコアまたはフィルターは長期の使用により目詰まりが発生してしまい、特に、ラジエータがバックホー等の建設機械に装備されている場合に、ビルの解体等の作業を行うと、断熱材として使用されているガラス繊維等の繊維状の塵埃が熱交換器に堆積してオーバーヒートとなり易く、オーバーヒートとなるたびに清掃する必要があった。この清掃作業を容易にするために塵埃捕獲ネットをレールに沿って上下方向に出し入れ可能した技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
また、熱交換器(ラジエータ)を着脱可能とする技術も公知となっている(例えば、特許文献2参照)。この技術は上部側隔壁と下部側隔壁を分離して、台座部からボルトを外すことで、取り外せるようにしている。
【特許文献1】特開平10−47061号公報
【特許文献2】特開2001−323506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術の場合、ネットの目をガラス繊維を捕獲できるほど細かくすると短時間で詰まってしまい却って清掃作業が増えるので好ましくない。
また、特許文献2の技術では、上部タンクや下部タンクにそれぞれホースが接続されているため、熱交換器を移動できる範囲は限られており、所望位置に設置して清掃することは難しく、却って、捩れたりホースが外れたりすることが生じて、余計な手間がかかることがあった。
一方、近年のエンジンルーム内はエンジンや熱交換器や油圧機器等をコンパクトに収納して、小型化できるように、冷却ファンの熱交換器の間の隙間はかなり小さくなるように配設し、その隙間に手を突っ込んでメンテナンスすることは殆ど困難な状態となっており、分解するしか方法はなかった。また、キャビン仕様の場合には空調装置が配設されるようになり、コンデンサやオイルクーラー等の熱交換器もボンネット内に収納されるようになり、熱交換器と冷却ファンとの間の隙間はますます狭くなってきているのである。
【0005】
そこで本発明は、フィルターや熱交換器を着脱することなく、フィルターやラジエータコア等の清掃作業が容易にできる熱交換装置とエンジンの位置構成を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、ボンネット内にエンジン及び熱交換器を収納する建設機械において、エンジンに取り付けられる冷却ファンと、該冷却ファンに対向して配置される熱交換器との間に、手が入る空間を設けたものである。
【0008】
請求項2においては、前記ボンネットにおける冷却ファンから熱交換器の上方と側方を覆う部分を別体のカバーで構成し、前記熱交換器に面する部分のカバーに、ガードを有する開口部を設けるとともに、該カバーを開閉可能に構成したものである。
【0009】
請求項3においては、前記ボンネット内に配置する冷却ファンを吐き出し式としたものである。
【0010】
請求項4においては、前記熱交換器を同一面上に複数並べて配置したものである。
【0011】
請求項5においては、前記冷却ファンと熱交換器との間に配置する空間を、平面視略三角形状としたものである。
【0012】
請求項6においては、前記冷却ファンと熱交換器との間に、冷却ファンの冷却風の送風方向を変更するスプリッタを配置し、該スプリッタを着脱可能に構成したものである。
【0013】
請求項7においては、前記スプリッタをプレート状の取付板より下方に垂設し、該取付板をボンネット内に設けたシュラウド上面に開口したメンテナンス孔に着脱可能に設けたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1の如く構成することにより、冷却ファンと熱交換器の間に手を挿入することができるようになり、従来、圧縮した水やエア等を熱交換器に吹きつけて清掃しても除去しきれなかった熱交換器のコア部に付着したゴミや塵埃等を、手作業で容易に除去できるようになり、隅々まで清掃できるようになった。また、エンジンと熱交換器の間に大きな空間ができるので、エンジンからの輻射熱の影響が小さくなり、冷却効率も向上する。
【0015】
請求項2の如く構成することにより、カバーを開けるだけで、冷却ファンと熱交換器の間に上方または後方または側方より手を挿入して清掃作業ができるようになり、熱交換器の外側は側方(外側)より容易に清掃作業ができる。また、ボンネット本体と分離して開放できるため、清掃のために全体を開放する必要がなく、清掃時に塵埃等がエンジン側のボンネット内に飛散することもない。
【0016】
請求項3の如く構成することにより、吐き出し方向と逆方向となる外側の側方より熱交換器に水またはエアを吐出することができ、熱交換器に付着した塵埃等を吹き飛ばしたり、流し出して容易に除去することができる。
【0017】
請求項4の如く構成することにより、冷却ファンと熱交換器との間の空間は手が入る大きさに維持されたまま複数の熱交換器が配置されることになり、何れの熱交換器に対しても空間内に手を挿入して清掃することができる。
【0018】
請求項5の如く構成することにより、後方小旋回型のバックホー等のボンネットの場合には、手を挿入するための空間を備えながら、熱交換器の収まりが良好とすることができ、無駄な空間をなくすことができる。
【0019】
請求項6の如く構成することにより、スプリッタで冷却ファンの冷却風の送風方向を変えて、ラジエータやオイルクーラーなどの熱交換器の隅々にまで冷却風を行き渡らせ、冷却効率を向上させることができる。さらに、外部へ漏出するボンネット内の騒音を低減することができる。また、スプリッタを外すことにより、冷却ファンや熱交換器のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0020】
請求項7の如く構成することにより、スプリッタを簡単な構成で着脱することができる。また、ボンネットを開けて上方よりスプリッタを取り外すことができ、メンテナンス孔より手を挿入して冷却ファンや熱交換器のメンテナンスが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の熱交換装置を装備した建設機械としてての掘削作業車の全体側面図、図2はボンネット内を示す後面図、図3はカバーを開けた状態のラジエータ部分の斜視図、図4(a)はエンジン作動時のエンジンと熱交換器の後面図、(b)はボンネットを開けて水を熱交換器に吐出して清掃している状態を示す後面図、図5は熱交換器を複数並べて配置した実施例の平面図、図6はラジエータと冷却ファンの間に三角形状の空間を形成した実施例の平面図、図7はラジエータと冷却ファンの間に三角形状の空間を形成した実施例の平面図、図8はラジエータと冷却ファンの間に三角形状の空間を形成した実施例の平面図である。
【0022】
まず、本発明の熱交換装置を装備した建設機械としての掘削作業車としてバックホーを実施例として説明する。図1において、バックホーは、本機の前部に作業機7を装着しており、本機はクローラ式走行装置1の上部中央に旋回台軸受17を介して旋回フレーム2を左右旋回可能に支持しており、該旋回フレーム2上には旋回用の油圧モータ13が配置されている。該クローラ式走行装置1の前後一側には、ブレード3を上下回動自在に配設している。旋回フレーム2の上部にはエンジン等を被覆するボンネット14が配設され、該ボンネット14上またはボンネット14の前部に運転席16を配置し、該運転席16の近傍に油圧操作レバー21・22やロックレバー23等を配置し、運転席16前方に走行レバー25やペダル等を配置して運転操作部を構成している。該運転操作部の上方にはキャノピー8が配設されている。
【0023】
また、旋回フレーム2の前端部にはブームブラケット12が左右回動可能に取り付けられ、該ブームブラケット12にはブーム6の下端部が上下回動自在に支持されている。ブーム6は途中部で前方に屈曲して側面視略「く」字状に形成されており、該ブーム6の上端部にはアーム5が回動自在に支持され、該アーム5の先端部には作業用アタッチメントであるバケット4が回動自在に支持されている。これらのブーム6、アーム5、及びバケット4等により作業機7が構成されている。
【0024】
そして、前記ブーム6はブームシリンダ11により回動動作され、アーム5はアームシリンダ10により回動動作され、バケット4はバケットシリンダ9により回動動作され、クローラ式走行装置1上の旋回体は油圧モータ13により旋回される。前記ブームシリンダ11、アームシリンダ10、及びバケットシリンダ9は油圧シリンダにより構成され、運転操作部に配設される油圧操作レバー21やペダル等の回動操作によりパイロットバルブ(リモコン弁)が切り換えられて、該パイロットバルブから主バルブ(コントロールバルブ)を切り換えて、旋回フレーム2のボンネット14内に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて圧油が供給されることにより伸縮駆動や油圧モータ13が回転駆動される。
【0025】
次に、本発明のボンネット14内に配置される熱交換装置について説明する。
図2に示すように、ボンネット14内をエンジンルームとしており、該ボンネット14内にはエンジン30やラジエータ31や油圧ポンプ32や図示しないバッテリや作動油タンク等が収納されている。エンジン30の一端の出力軸に油圧ポンプ32が連結されて油圧シリンダ等の油圧機器を駆動可能としている。エンジン30の他端の出力軸には冷却ファン33を固定している。但し、エンジン30の出力軸の高さが低く、冷却ファン33とラジエータ31の高さが異なる場合には、その高さに合わせられるように、出力軸にプーリーを固定して、ベルト等を介して冷却ファン33に動力を伝達して駆動可能に構成している。
【0026】
ラジエータ31は図2に示すように、上部タンク31aと下部タンク31bとラジエータコア31c等からなり、上部タンク31aの上面にはラジエータキャップ31dを設けて補給や点検できるようにし、上部タンク31aに図示しない戻りホースを連通し、下部タンク31bには供給ホースとドレンを連通し、供給ホースは冷却水ポンプと接続してエンジンのウォータジャケットに冷却水を送水して冷却し、前記戻りホースよりラジエータ31に戻るようにしている。こうして、エンジン30から送られた高温の冷却水は上部タンク31aに集められ、該上部タンク31aからラジエータコア31cの多数のチューブを介して下部タンク31bに送られ、このチューブには多数のフィンが固設されて、放熱性を高めている。下部タンク31bから冷却水がエンジン30のウォータジャケット等に送られる。そして、このラジエータコア31cの冷却風の入口側には前記フィンが目詰まりしないようにフィルター43が着脱自在に配置されている。
【0027】
そして、本発明では前記ラジエータ31と冷却ファン33との間に少なくとも手が入る空間29を設けている。即ち、図2に示すように、ラジエータ31の冷却風入口側をエンジン30の冷却ファン33と対向して配置した場合、言い換えれば、冷却ファン33の送風方向(駆動軸)に対して直角方向にラジエータ31を配置した場合には、ラジエータ31と冷却ファン33との間の距離L1は、その空間29内に手を挿入してラジエータ31の清掃作業ができる距離としており、掌を大きく広げた程度が適当であり具体的には距離L1が少なくとも20〜30cmの長さを有することとしている。但し、掌を広げた長さ以上とした空間とすると、エンジン30と熱交換器(ラジエータ)31の設置スペースが大きくなり、エンジンルーム内に収納できなくなり、手が入る長さが適当である。
【0028】
このように、ラジエータ(熱交換器)31と冷却ファン33の間に手が入る空間29を設けることにより、フィルター43またはラジエータコア31cを直接清掃ができるようになり、フィルターを設けない構成であったり、目が粗いフィルターを有するラジエータコアに詰まり発生した場合等であったりしても、容易に清掃作業ができるのである。そして、繊維状の塵埃の場合にはフィルターまたはラジエータコアに絡み付き易いが、このような繊維状の塵埃や粘着性の高い塵埃等であっても直接手で除去することが可能となり、塵埃の除去残しをなくすことができる。なお、ラジエータ31と冷却ファン33との間に冷却風をガイドするシュラウドを着脱可能に設けることも可能である。
【0029】
また、エンジン30を覆うボンネット14は図3に示すように、メインカバー44とカバー34からなり、エンジン30や油圧ポンプ等はメインカバー44で覆われ、カバー34はラジエータ31の周囲三方を覆うようにしている。該カバー34は上面34aと側面34bと後面34cが一体的に構成されて開閉可能に構成されている。つまり、エンジンルームはボンネット14を構成するメインカバー44とカバー34により覆われ、該カバー34の一辺がバックホー本体またはメインカバー44の一辺に枢支されて、回動可能として開閉できるようにしている。本実施例では側板34bの前縦辺に蝶番35・35を設けて本体に対して回動自在に枢支している。なお、冷却ファン33の周囲には遮蔽板40が設けられ、メインカバー44で収納する部屋とカバー34で収納する部屋を分離し、メインカバー44で収納する部屋内の空気がカバー34で収納部屋の空気と行き来して混ざることを防止し、冷却風の流れが一方向となるとともに、エンジン30の輻射熱がカバー34内のラジエータコア31c等を温めないようにしている。
【0030】
そして、ラジエータ31と対向するカバー34の側面34bには冷却風の吐出または吸引するための開口部14aが設けられ、該開口部14aはラジエータ31を保護するために横桟を上下平行に横架し、または、縦桟とし、または、格子状とし、または、網状としたガード36を設けている。
上面34a及び後面34cの機体中央側は冷却ファン33の上方及び後方まで延設している。なお、後方小旋回型のバックホー等平面視半円状にボンネットが形成される場合には、側面及び後面は一体的となる。
【0031】
このように構成することで、冷却ファン33の回転により起風される冷却風は、ガード36を通過して排出または吸入される。そして、ラジエータ31の目詰まりを除去する場合には、カバー34を開くことにより、ラジエータ31の上方、側方、後方が開放されて、ラジエータ31の外側面のメンテナンスが可能となる。前記冷却ファン33を吐き出し(吹き出し)式に構成した場合には、図4(a)に示すように、ラジエータ31の冷却ファン33側に塵埃が堆積するので、図4(b)に示すように、外側面からラジエータコア31cに向かって圧縮空気や高圧水等を吹きつけることにより、堆積した塵埃等を容易に除去することができる。更に、ラジエータ31と冷却ファン33との間の空間29には上方や後方より手を挿入することができるので、ラジエータコア31cの冷却ファン33側に絡みついて水等ではどうしてもとれないような塵埃を手作業で除去することができるのである。なお、吸い込み式の冷却ファンとした場合であっても、水ホースの先端をラジエータ31と冷却ファン33の間に挿入することはできるので、この場合も清掃作業が容易にできるようになる。
【0032】
また、図5に示すように、ラジエータ31と冷却ファン33との間に少なくとも手が入る空間29を設け、更に、ラジエータ31の隣に別の熱交換器37を並べて配置することもできる。即ち、冷却ファン33の冷却風の送風方向に対して略直角方向に面するようにラジエータ31と熱交換器としてオイルクーラー37または空調装置の室外機用熱交換器(コンデンサ)を同一面上に並べて配置している。該ラジエータ31とオイルクーラー37は前後に並列配置され、後面視で重なるように、側面視で重ならないように配置している。但し、複数の熱交換器は横方向だけでなく上下方向に配置することも可能であり、この場合平面視で重なり、後面視では重ならず、側面視でも重ならないように配置することになる。つまり、冷却風は複数の熱交換器を一度だけ通り、連続して通過することはない配置としている。
【0033】
このように構成することによって、冷却ファン33からの冷却風はラジエータ31とオイルクーラー37の両方同時に当たって冷却することができ、冷却ファンに対して面するラジエータ31とオイルクーラー37のコア部の清掃も互いに邪魔することなく両方同じ手間で行うことができる。つまり、ラジエータ31とオイルクーラー37が側面視で重なるように平行に重ねて配置すると、冷却風は一方を冷却した後に他方のコア部に入って冷却することになり、冷却効率は低下するが、横に並べているので、略同じ条件で冷却風により冷却できる。また、ラジエータ31とオイルクーラー37の重なった部分の清掃作業は一方を外して分解する必要があり、手間がかかってしまうが、本発明ではラジエータ31及びオイルクーラー37と、冷却ファン33との間の空間29に手を挿入して容易に清掃することができるのである。
【0034】
また、図6に示すように、冷却ファン33に対して所定の空間を開けてラジエータ31を斜めに配置することもできる。即ち、後方小旋回型のバックホーの場合、ボンネット14の後部形状は、平面視において旋回中心を中心とした略半円状に構成されている。例えば、このボンネット14内にエンジン30のクランク軸38を左右方向となるように収納するときには、ラジエータ31は平面視で前側が外方向に開くように設置し、クランク軸38の延長線はラジエータ31の略前後中心を通るようにし、ラジエータ31と冷却ファン33の間に平面視で略三角形状の空間39ができるように配設するのである。なお、エンジン30はクランク軸38が左右方向に配置されるとは限らず斜め方向に配置される場合もあるから、言い換えると、平面視半円状のボンネット内にエンジン30とラジエータ31を収納する場合には、平面視において、エンジン30及びラジエータ31をボンネット14の内周に接するように、クランク軸及びラジエータ31の長手方向を弦方向に配置し、ラジエータ31の一端は冷却ファン33の回転面の外側の延長線に近づくように配置し、ラジエータ31の他端は冷却ファン33の回転面から離れるように配置して、ラジエータ31と冷却ファン33の間に平面視で略三角形状の空間39を形成するのである。この空間39は手が十分入る大きさとする。
【0035】
このように構成することにより、後方小旋回型のバックホーにおいて、エンジン30とラジエータの収まりが良くなり、ボンネットが円弧状の外周に沿ってラジエータ33を配置する場合に、ラジエータ31と冷却ファン33との間に生じる三角形状の空間をメンテナンスのために有効に利用することができる。
【0036】
さらに、図7、図8に示すように、冷却ファン33に対して斜めに配置したラジエータ31の隣に別の熱交換器37を並べて配置することもできる。即ち、後方小旋回型のバックホーの場合には、ラジエータ31と熱交換器としてオイルクーラー37または空調装置の室外機用熱交換器(コンデンサ)を同一面上に並べて配置し、オイルクーラー37もラジエータ31と同様に平面視で前側が外方向に開くように設置し、ラジエータ31及びオイルクーラー37と冷却ファン33との間に平面視で略三角形状の空間41を形成する。そして、該空間41を囲むようにボンネット14内にシュラウド42を設け、内部に逆流したりしないようにし、該シュラウド42上面にはメンテナンス孔42aを開口して、前記空間41に手を挿入することができるようにしている。更に、前記シュラウド42内の空間41には冷却ファン33の冷却風の送風方向を変更する複数のスプリッタ46・46を設けている。これらのスプリッタ46・46はプレート状の取付板47に前後方向に所定間隔を空けて下方へ垂設して取り付け、該取付板47は前記シュラウド42上面に開口したメンテナンス孔42aを覆う大きさとし、かつ、スプリッタ46・46は該メンテナンス孔42aに入るように取り付けている。そして、スプリッタ46・46をメンテナンス孔42aからシュラウド42内の空間41に先端が冷却ファン33の下端付近に位置するように挿入している。そして、前記取付板47をシュラウド42上面にボルト等により固定して着脱可能に取り付けて、スプリッタ46・46をラジエータ31及びオイルクーラー37の間に簡単な構成で着脱可能に構成している。なお、スプリッタ46・46は冷却ファン33の冷却風をラジエータ31及びオイルクーラー37の端部まで送風することができる傾きを有して、冷却ファン33に対して斜めに配置されている。
【0037】
このように構成することにより、スプリッタ46・46で冷却ファン33の冷却風の送風方向を変えて、ラジエータ31やオイルクーラー37などの熱交換器の隅々にまで冷却風を行き渡らせ、冷却効率を向上させることができる。さらに、外部へ漏出するボンネット14内の騒音を低減することができる。また、スプリッタ46・46をボンネット14を開けて上方から簡単に取り外すことが可能となり、シュラウド42のメンテナンス孔42aから手を挿入して、冷却ファン33や熱交換器のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の熱交換装置を装備した建設機械としてての掘削作業車の全体側面図。
【図2】ボンネット内を示す後面図。
【図3】カバーを開けた状態のラジエータ部分の斜視図。
【図4】(a)はエンジン作動時のエンジンと熱交換器の後面図、(b)はボンネットを開けて水を熱交換器に吐出して清掃している状態を示す後面図。
【図5】熱交換器を複数並べて配置した実施例の平面図。
【図6】ラジエータと冷却ファンの間に三角形状の空間を形成した実施例の平面図。
【図7】ラジエータ及びオイルクーラーと冷却ファンの間に三角形状の空間を形成した実施例の平面図。
【図8】スプリッタ取付部の斜視図。
【符号の説明】
【0039】
14 ボンネット
29 空間
30 エンジン
31 熱交換器
33 冷却ファン
34 カバー
36 ガード
42 シュラウド
42a メンテナンス孔
46 スプリッタ
47 取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネット内にエンジン及び熱交換器を収納する建設機械において、エンジンに取り付けられる冷却ファンと、該冷却ファンに対向して配置される熱交換器との間に、手が入る空間を設けたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ボンネットにおける冷却ファンから熱交換器の上方と側方を覆う部分を別体のカバーで構成し、前記熱交換器に面する部分のカバーに、ガードを有する開口部を設けるとともに、該カバーを開閉可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ボンネット内に配置する冷却ファンを吐き出し式としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記熱交換器を同一面上に複数並べて配置したことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記冷却ファンと熱交換器との間に配置する空間を、平面視略三角形状としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の建設機械。
【請求項6】
前記冷却ファンと熱交換器との間に、冷却ファンの冷却風の送風方向を変更するスプリッタを配置し、該スプリッタを着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の建設機械。
【請求項7】
前記スプリッタをプレート状の取付板より下方に垂設し、該取付板をボンネット内に設けたシュラウド上面に開口したメンテナンス孔に着脱可能に設けたことを特徴とする請求項6に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−112217(P2006−112217A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196871(P2005−196871)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】