建設機械
【課題】コントローラキャビネットがスライドする構成であっても、音や塵芥の運転室内への侵入を抑制する。
【解決手段】運転室の床部分を構成しかつ当該運転室内の所定位置に貫通孔3aが形成された床板本体3を有する床板3Aと、床板本体3の上に、前記貫通孔3aを覆いかつ床板本体3に沿う特定の方向Aにスライド可能に設けられるコントローラキャビネットと、床板本体3の貫通孔3a内に挿通され、コントローラキャビネットに一端が接続される線状部材15aと、コントローラキャビネットのスライド方向Aと同方向にスライド可能となるようにコントローラキャビネット内で床板本体3上に設けられ、貫通孔3aを上から覆うとともに、貫通孔3aよりも開口面積が小さくかつ線状部材15aの途中が挿通する挿通孔16aを有する遮蔽部材16とを備える。
【解決手段】運転室の床部分を構成しかつ当該運転室内の所定位置に貫通孔3aが形成された床板本体3を有する床板3Aと、床板本体3の上に、前記貫通孔3aを覆いかつ床板本体3に沿う特定の方向Aにスライド可能に設けられるコントローラキャビネットと、床板本体3の貫通孔3a内に挿通され、コントローラキャビネットに一端が接続される線状部材15aと、コントローラキャビネットのスライド方向Aと同方向にスライド可能となるようにコントローラキャビネット内で床板本体3上に設けられ、貫通孔3aを上から覆うとともに、貫通孔3aよりも開口面積が小さくかつ線状部材15aの途中が挿通する挿通孔16aを有する遮蔽部材16とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば運転椅子と一緒に或いは単独で操作レバーが前後方向にスライド可能に構成された、運転室を有する移動式クレーン或いは油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した建設機械として、運転室を備えるものが存在する。その運転室100は、図22に示すように、一般に箱形に形成され、アッパーフレーム106の上にマウント(図示せず)を介して設けられている。運転室100の内側には、床板101の上に運転椅子102が設けられるとともに、その運転椅子102の周りに、操作レバー103や各種スイッチなどを取付けたコントローラキャビネット104が配設される。
【0003】
上記コントローラキャビネット104の内部には、前記操作レバー103や各種スイッチなどに接続させた状態で、油圧配管用ホースまたはハーネス用電線などの線状部材105の一端が配設されていて、その線状部材105の他端側はコントローラキャビネット104の下方の床板101に設けた貫通孔101aを介して(図23参照)、床板101の下側のアッパーフレーム106における内側の空間106aへ導かれ、運転室外に配設された油圧機器や電気機器(共に図示せず)などに接続される。
【0004】
このような運転室を有する建設機械においては、作業時および走行時に、エンジンやその他の部材から種々の騒音が発生し、その発生した音が前記貫通孔101aを通って運転室内に侵入する。また、貫通孔101aを通って外部から塵芥も運転室内に侵入する。
【0005】
そこで、上述した音や塵芥が運転室内に侵入することを防止するために、図23に示すように、前記貫通孔101aの周縁部に中空筒状をした柔軟性材料からなるブーツ部材110を取付け、そのブーツ部材110に予め設けている挿通孔111に線状部材105を挿通させる構成が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案2541752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記コントローラキャビネットが前後方向にスライド可能な前記運転椅子と一体的に取付けられている場合がある。この場合にあっては、運転椅子を前後方向にスライドさせるとコントローラキャビネットも一緒に前後方向に移動することになる。そして、コントローラキャビネットの移動に伴って、コントローラキャビネットに取り付けた操作レバーや各種スイッチに一端が接続された線状部材も移動する。
【0008】
しかしながら、線状部材はブーツ部材の挿通孔に挿通させているので、線状部材の移動量を大きくとれなかった。そこで、線状部材の移動量を増大化させるべくブーツ部材の挿通孔を大きくすれば、その挿通孔と線状部材との隙間から音や塵芥が運転室内に侵入することになるという不都合があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、コントローラキャビネットがスライドする構成であっても、音や塵芥の運転室内への侵入を抑制することが可能な建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る建設機械は、運転室を有する建設機械であって、前記運転室の床部分を構成し、かつ、当該運転室内の所定位置に貫通孔が形成された床板本体を有する床板と、前記床板上に、前記貫通孔を覆いかつ前記床板本体に沿う特定の方向にスライド可能に設けられるコントローラキャビネットと、前記床板の貫通孔内に挿通され、前記コントローラキャビネットに設けられるレバー及びスイッチ類の少なくとも一方に一端が接続される線状部材と、前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向にスライド可能となるように前記コントローラキャビネット内で前記床板上に設けられ、前記床板の貫通孔を上から覆うととともに、前記床板の貫通孔よりも開口面積が小さくかつ前記線状部材の途中が挿通する挿通孔を有し、前記方向にスライドした場合も前記貫通孔を覆うことができる面積を有する遮蔽部材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る建設機械は、請求項1に記載の建設機械において、前記床板は、前記床板本体に設けられ、前記床板本体からの前記遮蔽部材の浮き上がりを規制しながらこの遮蔽部材を前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向に案内する遮蔽部材保持部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係る建設機械は、請求項2に記載の建設機械において、前記遮蔽部材は、前記床板本体と略平行な姿勢で配置される遮蔽板であり、前記遮蔽部材保持部は、前記遮蔽板が前記床板本体に接触する位置でこの遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る建設機械は、請求項1に記載の建設機械において、前記床板は、前記床板本体の上に、前記貫通孔の周縁から立上がってこの貫通孔に挿通される線状部材を囲み、かつ、前記遮蔽部材を前記コントローラキャビネットの下端よりも高い位置で支持するための支持面を有する立上り部を備え、前記遮蔽部材は、前記支持面と略平行な姿勢で配置され、前記支持面上に接触する状態で当該支持面に沿ってスライド可能となるように支持される遮蔽板であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る建設機械は、請求項4に記載の建設機械において、前記立上り部は、前記支持面からさらに上方に突出してこの支持面上の前記遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状をもつ遮蔽板保持部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係る建設機械は、請求項4または5に記載の建設機械において、前記立上り部の内周面上に吸音材が配設されることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7に係る建設機械は、請求項1乃至6のいずれかに記載の建設機械において、前記遮蔽部材は、その挿通孔を囲む領域で他の領域よりも部分的に下方に突出して前記床板の貫通孔内に嵌り込む嵌り込み部を有し、この嵌り込み部の嵌り込みにより前記貫通孔の領域から前記遮蔽部材が逸脱することが規制されることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8に係る建設機械は、請求項1乃至7のいずれかに記載の建設機械において、前記床板の貫通孔は、複数本の線状部材がまとめて挿通可能な開口面積を有し、前記遮蔽部材は、前記各線状部材が1本ずつ挿通される複数の挿通孔を有し、かつ、これらの挿通孔の配設領域が前記床板の貫通孔の開口領域内に包含されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明による場合には、コントローラキャビネットが特定方向にスライドすることに伴って線状部材も移動するが、その移動範囲としては線状部材と床板に設けられた貫通孔の周縁との隙間分に相当し、線状部材の可動範囲が拡大する。この範囲内で線状部材が可動しても遮蔽部材が貫通孔を覆うので、前記隙間に拘わらず音や塵芥が運転室内に侵入することを抑制できる。しかも遮蔽部材がスライド可能であるので、コントローラキャビネットを特定方向にスライドさせることに伴う前記線状部材の可動範囲を確保することができる。よって、コントローラキャビネットがスライドする構成であっても、音や塵芥の運転室内への侵入を抑制することができる。換言すれば、コントローラキャビネットのスライドに伴う線状部材の可動を許容し得る長さの貫通孔と、コントローラキャビネットのスライドに拘わらずにその貫通孔を覆い得る面積の遮蔽部材とを用いることにより、線状部材の可動許容長さの確保と音・塵芥の運転室内への侵入抑制との両立を図ることが可能となる。
【0019】
請求項2による場合には、遮蔽部材保持部が、コントローラキャビネットのスライド方向と同方向に遮蔽部材を案内しつつ、床板からの遮蔽部材の浮き上がりを規制するので、これにより貫通孔を確実に遮蔽することができる。
【0020】
請求項4による場合には、貫通孔の周縁から線状部材を囲むように立上った立上り部の支持面に支持された遮蔽板がコントローラキャビネットの下端よりも高いので、床板の下側から立上り部の内側を通ってコントローラキャビネットの内部空間に入り、コントローラキャビネットの下端と床板との高さギャップ部から漏れる音を、回折により減衰させ得るため、運転室内に侵入する音を抑えることが可能になる。
【0021】
また、請求項6のように、立上り部の内周面上に吸音材を配設することで、立上り部の内側を吸音ダクトとして機能させることができ、伝搬する音の減衰を高めることができる。
【0022】
請求項7による場合には、遮蔽部材の嵌り込み部が床板の貫通孔内に嵌り込むようにするとともに、その嵌り込み状態のとき、遮蔽部材が貫通孔を覆う大きさとなるように設定しておくことで、貫通孔の領域から遮蔽部材が逸脱することを規制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用した移動式クレーンを示す側面図である。
【図2】本発明を適用した運転室を前方から見た図である。
【図3】本発明を適用した運転室内を斜め前方から見た図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図5のIV−IV線による断面図)である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る建設機械の他の要部を示す側面断面図(図7のVI−VI線による断面図)である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る建設機械の他の要部を示す平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る建設機械の更に他の要部を示す側面断面図(図9のVIII−VIII線による断面図)である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る建設機械の更に他の要部を示す平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図であり、(a)は図11のX(A)−X(A)線による断面図、(b)は図11のX(B)−X(B)線による断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る建設機械の要部による音の減衰の説明図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る建設機械の要部を示す斜視図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図17のXVI−XVI線による断面図)である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図19のXVIII−XVIII線による断面図)である。
【図19】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図20】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図21のXX−XX線による断面図)である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図22】特許文献1の建設機械を示す側面図である。
【図23】図22の建設機械における貫通孔の近傍部分を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態につき説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る移動式クレーンを示す側面図、図2はそのクレーンに備わった運転室を前方から見た図、図3は同運転室の内部を斜め前方から見た図、図4は第1実施形態の要部を示す側面図、図5は第1実施形態の要部を示す平面図、図6は第1実施形態の他の要部を示す側面図、図7は第1実施形態の他の要部を示す平面図である。図8は第1実施形態の更に他の要部を示す側面図、図9は第1実施形態の更に他の要部を示す平面図である。
【0026】
この移動式クレーン20は、図1に示すように、クレーン本体21と、このクレーン本体21に装着されるアタッチメント22とを有する。クレーン本体21は、クローラ式の下部走行体24と、この下部走行体24上に縦軸(旋回軸)回りに旋回自在に搭載された上部旋回体25とを備えている。アタッチメント22は、上部旋回体25に横軸(起伏軸)回りに起伏可能に支持されたブーム31を備え、そのブーム31の先端部には種々のシーブ33が取り付けられる。
【0027】
上部旋回体25には、ブーム31等を起伏動作させるためのブーム起伏用ウィンチ34が設けられていて、このウィンチ34からブーム起伏用ロープ35が引き出されるようになっている。このブーム起伏用ロープ35の繰り出し、引き込みによりブーム31等を起伏動作させるようになっている。また、上部旋回体25には、フック36を上げ下げするための巻上げ装置が搭載されている。この巻上げ装置は、巻上げウィンチ37からの巻上げロープ39の繰り出し、引き込みにより、フック(吊り部)36を上げ下げするものである。なお、クレーン20は、上記ブーム31だけで荷物を吊るクレーン作業の他に、ブーム31の先端にラッフィングジブを取り付けて荷物を吊るラッフィング作業などにも適用される。
【0028】
また、上部旋回体25の前側には、上部旋回体25を構成するアッパーフレーム2の上にマウント(図示せず)を介して運転室1が設けられている。
【0029】
運転室1は、前記アッパーフレーム2の上方に設けられた床板3Aと、床板3Aの上に設けられた運転椅子5と、運転椅子5の右側に設けられた右手操作用のコントローラキャビネット6と、運転椅子5の左側に設けられた左手操作用のコントローラキャビネット7とを有する。上記床板3Aは、例えば鋼製であり、3つの貫通孔3a、3b、3cを有する床板本体3を備えており、これら3つの貫通孔3a〜3cはそれぞれ前後方向に長く形成されている。なお、図2中の4は、アッパーフレーム2の内側に設けた空間である。
【0030】
運転椅子5は、床板本体3の上に設けられた台部8及びスライド機構9を介して設けられていて、台部8の上面は平坦に形成されている。スライド機構9は、左右の両側に一対設けられていて、各スライド機構9は、台部8の上面に前後方向に設けた下部スライド部材9aと、運転椅子5の底面に設けた上部スライド部材9bとを有する公知のものであり、台部8の上面に対して固定した下部スライド部材9aに対し、上部スライド部材9bがスライドする。このスライドに伴って運転椅子5が前後方向にスライドする。なお、スライド機構9には、下部スライド部材9aに対して上部スライド部材9bを所望位置で停止させるストッパー機構が設けられている。
【0031】
左右の上部スライド部材9bは、これらの間に設けた補強部材10により補強されており、右側の上部スライド部材9bには、右手操作用のコントローラキャビネット6が支持片11aを介して支持されている。また、コントローラキャビネット6は、運転椅子5との間に設けた支持片11bを介して運転椅子5により支持されている。一方、左側の上部スライド部材9bには、左手操作用のコントローラキャビネット7が支持片12を介して支持されている。
【0032】
上記コントローラキャビネット6の下端6a及びコントローラキャビネット7の下端7aは、スライドを可能とすべく床板本体3よりも上方に位置させてあり、床板本体3との間に所定の高さギャップ部を有する。
【0033】
上記右手操作用のコントローラキャビネット6は、上面の前側に3本の操作レバー13a、13b、13cを有し、上面の後側に2本の操作レバー13d、13eを有する。コントローラキャビネット6の内側には、操作レバー13a、13b、13cの下方位置に第1リモコン弁13fが設けられ、操作レバー13d、13eの下方位置に第2リモコン弁13gが設けられている。
【0034】
第1リモコン弁13fの下方の床板本体3には前記第1貫通孔3aが設けられ、第1リモコン弁13fに一端が接続された油圧配管用ホースからなる第1線状部材15aの他端側は、第1貫通孔3aから前記空間4を経て他のバルブ等の油圧機器に繋がっている。上記第1リモコン弁13fは、前記操作レバー13a〜13cの操作方向及び操作量に対応した油圧信号を出力して、この第1リモコン弁13fに繋がっている他の油圧機器を制御し、操作レバー13a〜13cに対応したクレーン20の操作を実行させるものである。なお、第1線状部材15aは、図示例では4本備える。
【0035】
上記第2リモコン弁13gの下方の床板本体3には前記第2貫通孔3bが設けられており、第2リモコン弁13gに一端が接続された油圧配管用ホースからなる第2線状部材15bの他端側は、第2貫通孔3bから前記空間4を経て他のバルブ等の油圧機器に繋がっている。上記第2リモコン弁13gは、前記操作レバー13d、13eの操作方向及び操作量に対応した油圧信号を出力して、この第2リモコン弁13gに繋がっている他の油圧機器を制御し、操作レバー13d、13eに対応したクレーン20の操作を実行させるものである。なお、第2線状部材15bは、図示例では3本備える。
【0036】
一方、左手操作用のコントローラキャビネット7は、上面の前側に1本の操作レバー14aを有し、上面の後側に2個のスイッチ14b、14cを有する。コントローラキャビネット7の内側には、操作レバー14aの下方位置に第3リモコン弁14dが設けられ、2個のスイッチ14b、14cの下方位置に接続箱14eが設けられている。第3リモコン弁14dから接続箱14eまでの範囲の下方の床板本体3には前記第3貫通孔3cが設けられており、第3リモコン弁14dに一端が接続された油圧配管用ホースからなる第3線状部材15cの他端側は、第3貫通孔3cから前記空間4を経て他のバルブ等の油圧機器に繋がっている。上記第3リモコン弁14dは、前記操作レバー14aの操作方向及び操作量に対応した油圧信号を出力して、この第3リモコン弁14dに繋がっている他の油圧機器を制御し、操作レバー14aに対応したクレーン20の操作を実行させるものである。なお、第3線状部材15cは、図示例では2本備える。
【0037】
上記接続箱14eに一端が接続されたハーネス用電線からなる第4線状部材15dの他端側は、第3貫通孔3cから前記空間4を経て例えば他の電気機器などに繋がっている。なお、第4線状部材15dは、図示例では2本備える。
【0038】
上記床板本体3の上には、上記第1貫通孔3aを覆うように遮蔽部材としての第1遮蔽板16が設けられ、同様に床板本体3の上には、第2貫通孔3bを覆うように遮蔽部材としての第2遮蔽板17が設けられ、同様に床板本体3の上には、第3貫通孔3cを覆うように遮蔽部材としての第3遮蔽板18が設けられている。上記第1遮蔽板16及び第2遮蔽板17は共に、コントローラキャビネット6の内側に設けられ、第3遮蔽板18はコントローラキャビネット7の内側にそれぞれ設けられていて、これら第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18は、コントローラキャビネット6、7のスライド方向Aと同じ方向にスライドするようになっている。また、これら第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18は、床板本体3と略平行な姿勢で配置されるもので、例えばゴム等の弾性素材により作製されている。なお、コントローラキャビネット6の内側に設けられた第1遮蔽板16及び第2遮蔽板17は、個別に設けずに、単一のもので構成してもよい。
【0039】
第1遮蔽板16には、図4及び図5に示すように、第1線状部材15aの本数(図示例では4本)と同じ数の挿通孔16aが設けられ、各挿通孔16aには第1線状部材15aの途中が1本ずつ挿通される。これら挿通孔16aの径は、挿通される第1線状部材15aの外径と略同等であり、それらの合計の開口面積は、第1遮蔽板16を設けた第1貫通孔3aの開口面積よりも小さい。
【0040】
上記第1遮蔽板16は、スライド方向Aにスライドして、そのスライド方向の前側端の第1線状部材15a−1が第1貫通孔3aの前側の周縁部に当接した状態と、スライド方向の後側端の第1線状部材15a−2が第1貫通孔3aの後側の周縁部に当接した状態とのいずれの場合にも、第1貫通孔3aを覆い得る大きさ(面積)に設定される。また、第1遮蔽板16のスライド方向Aと直交する幅方向の寸法は、その幅方向に第1遮蔽板16が位置ずれを起こしても第1貫通孔3aを覆い得る大きさに設定される。
【0041】
なお、4本の第1線状部材15aは、それぞれ挿通孔16aに挿通した箇所から他のバルブ等の油圧機器まで、若しくは前記他の油圧機器よりも挿通孔16a寄りに第1線状部材15aを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。
【0042】
また、第2遮蔽板17には、図6及び図7に示すように、第2線状部材15bの本数(図示例では3本)と同じ数の挿通孔17aが設けられ、各挿通孔17aには第2線状部材15bの途中が1本ずつ挿通される。これら挿通孔17aの径は、挿通される第2線状部材15bの外径と略同等であり、それらの合計の開口面積は、第2遮蔽板17を設けた第2貫通孔3bの開口面積よりも小さい。
【0043】
上記第2遮蔽板17は、スライド方向Aにスライドして、そのスライド方向の前側端の第2線状部材15b−1が第2貫通孔3bの前側の周縁部に当接した状態と、スライド方向の後側端の第2線状部材15b−2が第2貫通孔3bの後側の周縁部に当接した状態とのいずれの場合にも、第2貫通孔3bを覆い得る大きさ(面積)に設定される。また、第2遮蔽板17のスライド方向Aと直交する幅方向の寸法は、その幅方向に第2遮蔽板17が位置ずれを起こしても第2貫通孔3bを覆い得る大きさに設定される。
【0044】
なお、3本の第2線状部材15bは、それぞれ挿通孔17aに挿通した箇所から他のバルブ等の油圧機器若しくは前記他の油圧機器よりも挿通孔17a寄りに第2線状部材15bを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。
【0045】
また、第3遮蔽板18には、図8及び図9に示すように、第3線状部材15cの本数(図示例では2本)と第4線状部材15dの本数(図示例では2本)の合計本数と同じ数(図示例では4つ)の挿通孔18aが設けられ、各挿通孔18aには第3線状部材15c及び第4線状部材15dの途中が1本ずつ挿通される。これら挿通孔18aの径は、挿通される第3線状部材15cの外径、第4線状部材15dの外径と略同等であり、それらの合計の開口面積は、第3遮蔽板16を設けた第3貫通孔3cの開口面積よりも小さい。
【0046】
上記第3遮蔽板18は、スライド方向Aにスライドして、そのスライド方向の前側端の第3線状部材15c−1が第3貫通孔3cの前側の周縁部に当接した状態と、スライド方向の後側端の第4線状部材15d−2が第3貫通孔3cの後側の周縁部に当接した状態とのいずれの場合にも、第3貫通孔3cを覆い得る大きさ(面積)に設定される。また、第3遮蔽板18のスライド方向Aと直交する幅方向の寸法は、その幅方向に第3遮蔽板18が位置ずれを起こしても第3貫通孔3cを覆い得る大きさに設定される。
【0047】
なお、第3線状部材15cは、挿通孔18aに挿通した箇所から他のバルブ等の油圧機器若しくは前記他の油圧機器よりも挿通孔18a寄りに第3線状部材15cを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。また、第4線状部材15dは、挿通孔18aに挿通した箇所から、例えば他の電気機器若しくは前記他の電気機器よりも挿通孔18a寄りに第4線状部材15dを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。
【0048】
したがって、第1実施形態による場合には、コントローラキャビネット6、7を特定のスライド方向Aにスライドさせることに伴って第1線状部材15a、第2線状部材15b、第3線状部材15c及び第4線状部材15dも移動するが、それらの移動範囲としては各線状部材15a等と該当する貫通孔3a等の周縁との床面に沿った隙間B(図5、図7及び図9にハッチングで示す)分に相当し、各線状部材15a等の可動範囲が拡大する。このような範囲(隙間B)内で各線状部材15a等が可動しても各遮蔽板16等が貫通孔3a等を覆うので、コントローラキャビネット6、7がスライドする構成であっても、前記隙間Bの存在に拘わらず音や塵芥が運転室1内に侵入することを抑制できる。換言すれば、コントローラキャビネット6、7のスライドに伴う線状部材15a等の可動を許容し得る長さの貫通孔3a等と、コントローラキャビネット6、7のスライドに拘わらずにその貫通孔3a等を覆い得る面積の遮蔽板16等とを用いることにより、線状部材15a等の可動許容長さの確保と、音・塵芥の運転室1内への侵入抑制との両立を図ることが可能となる。
【0049】
更に、第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18は、ゴム等の弾性素材により作製されているので、床板本体3との密着性が良くなり、より確実にシールすることができる。また、第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18を取付ける際も、その柔軟性により簡単に設置することができる。特に、ゴムにより作製した場合には、比重が重いため、遮音性を確保することが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
図10は本発明の第2実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図であり、(a)は図11のX(A)−X(A)線による断面図、(b)は図11のX(B)−X(B)線による断面図である。また、図11は第2実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。なお、図10及び図11は、第1実施形態における図6及び図7に示す第2遮蔽板に対応する箇所を示す。
【0051】
この第2実施形態にあっては、床板3A−1は、第2貫通孔3bを有する床板本体3と、この床板本体3の上であって第2貫通孔3bの周縁部に設けた遮蔽板保持部30とを有し、遮蔽板保持部30はスライド方向Aに一定距離だけ離して二対設けられている。
【0052】
各対の遮蔽板保持部30は、床板本体3からの第2遮蔽板17の浮き上がりを規制しながら第2遮蔽板17をコントローラキャビネット6のスライド方向Aに案内するものである。スライド方向Aとは直交する方向において第2遮蔽板17を挟む一対の遮蔽板保持部30は、第2遮蔽板17が床板本体3に接触する位置で、この第2遮蔽板17をスライド方向Aとは直交する方向の両側から抱き込む形状を有する。具体的には、前記一対の遮蔽板保持部30は、床板本体3の上表面に下端部31aが取付けられる起立部31と、起立部31の上端部31bに床板本体3の上表面と対向するように水平方向に突出した対向部32とをそれぞれ有する。
【0053】
起立部31の下端部31aは、第2貫通孔3bの周縁部に貫通孔3bから少し離れた箇所に溶接等により床板本体3に取付けられていて、各起立部31は互いに向くように配設されている。また、各対向部32は第2貫通孔3bの周縁部と対向するようになっている。また、下端部31aから対向部32までの距離(高さ)は第2遮蔽板17の厚みにほぼ一致し、互いに向き合うように配設された両起立部31の間の距離は第2遮蔽板17のスライド方向Aとは直交する水平方向の幅寸法にほぼ一致している。よって、一対の遮蔽板保持部30は、第2遮蔽板17を床板本体3に接触させる状態で、スライド方向Aとは直交する方向の両側から第2遮蔽板17の両端部を抱き込むこととなる。もう一対の遮蔽板保持部30も同様に設けられている。
【0054】
この第2実施形態による場合には、コントローラキャビネットのスライド方向Aと同じ方向に遮蔽板保持部30により第2遮蔽板17が案内されてスライドするので、第2遮蔽板17のスライドに支障が無い。また、第2遮蔽板17の上面が遮蔽板保持部30の上部の所定高さ位置に設けた対向部32で拘束されるので、第2遮蔽板17の浮き上がりを規制することになり、これにより第2貫通孔3bを確実に遮蔽することができる。
【0055】
なお、この第2実施形態では、二対の遮蔽板保持部30を一定距離だけ離して設けているが、本発明はこれに限らず、二対の遮蔽板保持部30の間が繋がったような(各対の遮蔽板保持部30の片方であってスライド方向Aに並んで設けられた2つの遮蔽板保持部30が繋がったような)長尺の一対の遮蔽板保持部を設けるようにしてもよい。その長さとしては、第2遮蔽板17がスライド方向Aにおいて揺動しない、または揺動を小さい状態にできる寸法以上に設定することが好ましい。また、本発明は、三対以上の遮蔽板保持部30を設けるようにしてもよい。
【0056】
また、この第2実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0057】
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態に係る建設機械の要部を示す側面図である。なお、図12は、第1実施形態における図6及び図7に示す第2遮蔽板に対応する箇所を示す。
【0058】
この第3実施形態では、床板3A−2は、第2貫通孔3bを有する床板本体3と、この床板本体3の上に設けられ、第2貫通孔3bの周縁から立上がって、第2貫通孔3bに挿通された線状部材15bを囲む環状の立上り部33とを有し、その立上り部33の上端の床板本体3からの高さH1が、コントローラキャビネット6における下端6aの床板本体3からの高さ位置よりも高く設定されている。
【0059】
この第3実施形態による場合には、スライドを可能とすべく床板本体3に対して高さギャップ部(床板3と下端6aとの間)Cを持つように配置されるコントローラキャビネット6の下端6aよりも第2遮蔽板17が高い位置に配される。そのため、運転室内に侵入する音を抑えることが可能になる。その理由は、例えば図4に示すような立上り部33が無い場合には、遮蔽板(図4に示す例では第1遮蔽板16)を透過してコントローラキャビネット6の内部空間に入った音が回折せずに直ちに高さギャップ部C(図13参照)から漏れることになり易いが、本実施形態のように立上り部33を設けた場合には、図13に破線にて示すように、床板本体3の下側から立上り部33の内側を通ってコントローラキャビネット6の内部空間に入り前記高さギャップ部Cから漏れる音を、回折により減衰させ得るからである。この場合、立上り部33の高さ(例えば図12ではH1)と前記下端6aの高さとの差が大きいほど、前記回折による音の減衰効果を高くすることができる。
【0060】
なお、この第3実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0061】
(第4実施形態)
図14は、本発明の第4実施形態に係る建設機械の要部を示す側面図である。
【0062】
この第4実施形態では、前記環状の立上り部33の内面側に筒状の吸音材34が配設され、吸音材34の外周面は立上り部33の内面に対し全周において密着させている。
【0063】
この第4実施形態による場合には、立上り部33の内側を吸音ダクトとして機能させることができ、伝搬する音の減衰を高めることができる。
【0064】
なお、この第4実施形態では、筒状の吸音材34の外周面の全周を立上り部33の内面に密着させているが、本発明はこれに限らず、筒状の吸音材34の外周面と立上り部33の内面との間に部分的に非密着部を設けてもよい。例えば、立上り部33にスペーサを介して吸音材を取り付けることにより、この吸音材と立上り部33との間に所定の厚みの空気層を介在させれば、吸音性能を高めることができる。また、本発明にあっては、立上り部33の内面の全周に吸音材を設ける必要はなく、一部にのみ吸音材を設けるようにしてもよい。
【0065】
また、この第4実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0066】
(第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態に係る建設機械の要部を示す斜視図である。
【0067】
この第5実施形態では、上部に一対の遮蔽板保持部36を有する立上り部35が床板本体3の上に設けられている。
【0068】
上記立上り部35は、前述した立上り部33と同一構成の環状の立上り部本体35aと、この立上り部本体35aの上側にスライド方向Aと直交する方向の2位置に設けられた一対の遮蔽板保持部36とを有する。立上り部本体35aは、床板本体3の上に第2貫通孔3bを囲むように設けられ、その上端面が第2遮蔽板17をスライド可能に支持する支持面35bとなっている。
【0069】
上記一対の遮蔽板保持部36は、スライド方向Aに第2遮蔽板17を案内するもので、支持面35b上の第2遮蔽板17をスライド方向Aと直交する方向の両側から抱き込む形状をもつように構成されている。具体的には、スライド方向Aと直交する方向に分離させて配設され、かつ前記環状の立上り部本体35aから上方に向けて延出した延出部36aと、その延出部36aの上端を互いに対向するよう内側に向けた対向部36bとを有する。
【0070】
前記延出部36aの高さは、第2遮蔽板17の厚みにほぼ一致させてあり、上記対向部36bは、上述したようにスライド可能に支持した第2遮蔽板17の上面を拘束し、一対の遮蔽板保持部36は、スライド方向Aと直交する方向の両側から第2遮蔽板17を抱き込み、第2遮蔽板17が上方に浮き上がるのを防止する。
【0071】
この第5実施形態による場合には、第3実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。即ち、コントローラキャビネットのスライド方向Aと同じ方向に第2遮蔽板17が案内されてスライドするので、第2遮蔽板17のスライドに支障が無いようにできる。また、第2遮蔽板17の上面が遮蔽板保持部36の対向部36bで拘束されるので、第2遮蔽板17の支持面35bからの浮き上がりが防止され、これにより第2貫通孔3bを確実に遮蔽することができる。
【0072】
なお、この第5実施形態では、一対の遮蔽板保持部36を設けているが、本発明はこれに限らず、図11に示したように二対の遮蔽板保持部を設けたり、或いは三対以上の遮蔽板保持部を設けたりしてもよい。
【0073】
また、この第5実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0074】
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面図であり、図17は第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【0075】
この第6実施形態では、第2貫通孔3b内に嵌り込む嵌り込み部としての段付部37を下面に有する第2遮蔽板17Aを備える。この第2遮蔽板17Aは、3つの挿通孔17aを囲む領域の全体が厚肉状となった段付部37を有し、その段付部37が下側へ突出形成されており、上記段付部37は床板本体3の第2貫通孔3bよりも小さい大きさで形成されている。この第2遮蔽板17Aは、上記段付部37が第2貫通孔3b内に嵌り込んだ状態で床板本体3の上に置かれている。
【0076】
この第6実施形態による場合には、段付部37が第2貫通孔3bの周縁部に当接することにより、第2遮蔽板17Aはスライドを規制されるので、第2遮蔽板17Aの大きさを規定しておくことで第2遮蔽板17Aが貫通孔3bから逸脱することを規制でき、これにより貫通孔3bから音や塵芥が運転室内に侵入することを確実に抑制することが可能になる。
【0077】
なお、上述した第6実施形態では、第2遮蔽板17Aを床板本体3の上に直接配設する構成に適用しているが、本発明はこれに限らず、前述したように床板本体3の貫通孔3bの周囲に環状の立上り部33を設け(図12参照)、その立上り部33の上に、第2遮蔽板17Aを設ける構成に対しても同様に適用することができ、同様の効果を奏する。
【0078】
また、上述した第6実施形態では、全ての挿通孔17aを囲む領域の全体を厚肉状にして段付部37を形成しているが、本発明はこれに限らず、図18及び図19に示すように挿通孔17aを囲むように嵌り込み部としての環状凸状部38を下面に有する第2遮蔽板17Bを用いてもよい。或いは、図20及び図21に示すように全ての挿通孔17aを囲むように部分的、図示例ではスライド方向Aの両側のそれぞれに嵌り込み部としての不連続凸状部39を有する第2遮蔽板17Cを用いてもよい。前記不連続凸状部39は、第2遮蔽板17Cの下面側に形成される。このような構成による場合でも、同様の効果が得られる。
【0079】
なお、不連続凸状部39は、環状凸状部38を部分的に欠落させた構成であってもよい。また、スライド方向Aの両側のそれぞれに設ける場合にあっても、2つ又は3つ以上に分断された構成としてもよい。
【0080】
更に、この第6実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0081】
更にまた、この第6実施形態では立上り部が無い床板本体の上に遮蔽板を貫通孔から逸脱しないように配設する構成について述べているが、本発明はこれに限らない。例えば、立上り部を有する床板に対しては、その床板の上に、貫通孔から逸脱しないように遮蔽板の下面の周縁に下側に突出した逸脱防止片を設ける構成とすることで対応することができる。
【0082】
更にまた、上述した第1実施形態から第6実施形態では、運転椅子にコントローラキャビネットを連結し、運転椅子とコントローラキャビネットが一体的に前後方向にスライドする構成としているが、本発明はこれに限らない。例えば、運転椅子とコントローラキャビネットが、それぞれ独立して前後方向にスライドする構成のもの、或いは運転椅子が固定でコントローラキャビネットのみが前後方向にスライドする構成のものに対しても同様に適用することができる。
【0083】
更にまた、上述した実施形態では運転室を有する移動式クレーンに対して適用しているが、本発明はこれに限らず、運転室を有する油圧ショベルなどにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 運転室
3A、3A−1、3A−2 床板
3 床板本体
3a 第1貫通孔
3b 第2貫通孔
3c 第3貫通孔
5 運転椅子
6、7 コントローラキャビネット
6a、7a 下端
9 スライド機構
15a 第1線状部材
15b 第2線状部材
15c 第3線状部材
15d 第4線状部材
16 第1遮蔽板
17、17A、17B、17C 第2遮蔽板
18 第3遮蔽板
16a、17a、18a 挿通孔
A スライド方向
20 移動式クレーン
30、36 遮蔽板保持部
31 起立部
32 対向部
33、35 立上り部
34 吸音材
37 段付部(嵌り込み部)
38 環状凸状部(嵌り込み部)
39 不連続凸状部(嵌り込み部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば運転椅子と一緒に或いは単独で操作レバーが前後方向にスライド可能に構成された、運転室を有する移動式クレーン或いは油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した建設機械として、運転室を備えるものが存在する。その運転室100は、図22に示すように、一般に箱形に形成され、アッパーフレーム106の上にマウント(図示せず)を介して設けられている。運転室100の内側には、床板101の上に運転椅子102が設けられるとともに、その運転椅子102の周りに、操作レバー103や各種スイッチなどを取付けたコントローラキャビネット104が配設される。
【0003】
上記コントローラキャビネット104の内部には、前記操作レバー103や各種スイッチなどに接続させた状態で、油圧配管用ホースまたはハーネス用電線などの線状部材105の一端が配設されていて、その線状部材105の他端側はコントローラキャビネット104の下方の床板101に設けた貫通孔101aを介して(図23参照)、床板101の下側のアッパーフレーム106における内側の空間106aへ導かれ、運転室外に配設された油圧機器や電気機器(共に図示せず)などに接続される。
【0004】
このような運転室を有する建設機械においては、作業時および走行時に、エンジンやその他の部材から種々の騒音が発生し、その発生した音が前記貫通孔101aを通って運転室内に侵入する。また、貫通孔101aを通って外部から塵芥も運転室内に侵入する。
【0005】
そこで、上述した音や塵芥が運転室内に侵入することを防止するために、図23に示すように、前記貫通孔101aの周縁部に中空筒状をした柔軟性材料からなるブーツ部材110を取付け、そのブーツ部材110に予め設けている挿通孔111に線状部材105を挿通させる構成が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案2541752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記コントローラキャビネットが前後方向にスライド可能な前記運転椅子と一体的に取付けられている場合がある。この場合にあっては、運転椅子を前後方向にスライドさせるとコントローラキャビネットも一緒に前後方向に移動することになる。そして、コントローラキャビネットの移動に伴って、コントローラキャビネットに取り付けた操作レバーや各種スイッチに一端が接続された線状部材も移動する。
【0008】
しかしながら、線状部材はブーツ部材の挿通孔に挿通させているので、線状部材の移動量を大きくとれなかった。そこで、線状部材の移動量を増大化させるべくブーツ部材の挿通孔を大きくすれば、その挿通孔と線状部材との隙間から音や塵芥が運転室内に侵入することになるという不都合があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、コントローラキャビネットがスライドする構成であっても、音や塵芥の運転室内への侵入を抑制することが可能な建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る建設機械は、運転室を有する建設機械であって、前記運転室の床部分を構成し、かつ、当該運転室内の所定位置に貫通孔が形成された床板本体を有する床板と、前記床板上に、前記貫通孔を覆いかつ前記床板本体に沿う特定の方向にスライド可能に設けられるコントローラキャビネットと、前記床板の貫通孔内に挿通され、前記コントローラキャビネットに設けられるレバー及びスイッチ類の少なくとも一方に一端が接続される線状部材と、前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向にスライド可能となるように前記コントローラキャビネット内で前記床板上に設けられ、前記床板の貫通孔を上から覆うととともに、前記床板の貫通孔よりも開口面積が小さくかつ前記線状部材の途中が挿通する挿通孔を有し、前記方向にスライドした場合も前記貫通孔を覆うことができる面積を有する遮蔽部材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る建設機械は、請求項1に記載の建設機械において、前記床板は、前記床板本体に設けられ、前記床板本体からの前記遮蔽部材の浮き上がりを規制しながらこの遮蔽部材を前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向に案内する遮蔽部材保持部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係る建設機械は、請求項2に記載の建設機械において、前記遮蔽部材は、前記床板本体と略平行な姿勢で配置される遮蔽板であり、前記遮蔽部材保持部は、前記遮蔽板が前記床板本体に接触する位置でこの遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る建設機械は、請求項1に記載の建設機械において、前記床板は、前記床板本体の上に、前記貫通孔の周縁から立上がってこの貫通孔に挿通される線状部材を囲み、かつ、前記遮蔽部材を前記コントローラキャビネットの下端よりも高い位置で支持するための支持面を有する立上り部を備え、前記遮蔽部材は、前記支持面と略平行な姿勢で配置され、前記支持面上に接触する状態で当該支持面に沿ってスライド可能となるように支持される遮蔽板であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る建設機械は、請求項4に記載の建設機械において、前記立上り部は、前記支持面からさらに上方に突出してこの支持面上の前記遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状をもつ遮蔽板保持部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係る建設機械は、請求項4または5に記載の建設機械において、前記立上り部の内周面上に吸音材が配設されることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7に係る建設機械は、請求項1乃至6のいずれかに記載の建設機械において、前記遮蔽部材は、その挿通孔を囲む領域で他の領域よりも部分的に下方に突出して前記床板の貫通孔内に嵌り込む嵌り込み部を有し、この嵌り込み部の嵌り込みにより前記貫通孔の領域から前記遮蔽部材が逸脱することが規制されることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8に係る建設機械は、請求項1乃至7のいずれかに記載の建設機械において、前記床板の貫通孔は、複数本の線状部材がまとめて挿通可能な開口面積を有し、前記遮蔽部材は、前記各線状部材が1本ずつ挿通される複数の挿通孔を有し、かつ、これらの挿通孔の配設領域が前記床板の貫通孔の開口領域内に包含されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明による場合には、コントローラキャビネットが特定方向にスライドすることに伴って線状部材も移動するが、その移動範囲としては線状部材と床板に設けられた貫通孔の周縁との隙間分に相当し、線状部材の可動範囲が拡大する。この範囲内で線状部材が可動しても遮蔽部材が貫通孔を覆うので、前記隙間に拘わらず音や塵芥が運転室内に侵入することを抑制できる。しかも遮蔽部材がスライド可能であるので、コントローラキャビネットを特定方向にスライドさせることに伴う前記線状部材の可動範囲を確保することができる。よって、コントローラキャビネットがスライドする構成であっても、音や塵芥の運転室内への侵入を抑制することができる。換言すれば、コントローラキャビネットのスライドに伴う線状部材の可動を許容し得る長さの貫通孔と、コントローラキャビネットのスライドに拘わらずにその貫通孔を覆い得る面積の遮蔽部材とを用いることにより、線状部材の可動許容長さの確保と音・塵芥の運転室内への侵入抑制との両立を図ることが可能となる。
【0019】
請求項2による場合には、遮蔽部材保持部が、コントローラキャビネットのスライド方向と同方向に遮蔽部材を案内しつつ、床板からの遮蔽部材の浮き上がりを規制するので、これにより貫通孔を確実に遮蔽することができる。
【0020】
請求項4による場合には、貫通孔の周縁から線状部材を囲むように立上った立上り部の支持面に支持された遮蔽板がコントローラキャビネットの下端よりも高いので、床板の下側から立上り部の内側を通ってコントローラキャビネットの内部空間に入り、コントローラキャビネットの下端と床板との高さギャップ部から漏れる音を、回折により減衰させ得るため、運転室内に侵入する音を抑えることが可能になる。
【0021】
また、請求項6のように、立上り部の内周面上に吸音材を配設することで、立上り部の内側を吸音ダクトとして機能させることができ、伝搬する音の減衰を高めることができる。
【0022】
請求項7による場合には、遮蔽部材の嵌り込み部が床板の貫通孔内に嵌り込むようにするとともに、その嵌り込み状態のとき、遮蔽部材が貫通孔を覆う大きさとなるように設定しておくことで、貫通孔の領域から遮蔽部材が逸脱することを規制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用した移動式クレーンを示す側面図である。
【図2】本発明を適用した運転室を前方から見た図である。
【図3】本発明を適用した運転室内を斜め前方から見た図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図5のIV−IV線による断面図)である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る建設機械の他の要部を示す側面断面図(図7のVI−VI線による断面図)である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る建設機械の他の要部を示す平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る建設機械の更に他の要部を示す側面断面図(図9のVIII−VIII線による断面図)である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る建設機械の更に他の要部を示す平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図であり、(a)は図11のX(A)−X(A)線による断面図、(b)は図11のX(B)−X(B)線による断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る建設機械の要部による音の減衰の説明図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る建設機械の要部を示す斜視図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図17のXVI−XVI線による断面図)である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図19のXVIII−XVIII線による断面図)である。
【図19】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図20】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図(図21のXX−XX線による断面図)である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【図22】特許文献1の建設機械を示す側面図である。
【図23】図22の建設機械における貫通孔の近傍部分を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態につき説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る移動式クレーンを示す側面図、図2はそのクレーンに備わった運転室を前方から見た図、図3は同運転室の内部を斜め前方から見た図、図4は第1実施形態の要部を示す側面図、図5は第1実施形態の要部を示す平面図、図6は第1実施形態の他の要部を示す側面図、図7は第1実施形態の他の要部を示す平面図である。図8は第1実施形態の更に他の要部を示す側面図、図9は第1実施形態の更に他の要部を示す平面図である。
【0026】
この移動式クレーン20は、図1に示すように、クレーン本体21と、このクレーン本体21に装着されるアタッチメント22とを有する。クレーン本体21は、クローラ式の下部走行体24と、この下部走行体24上に縦軸(旋回軸)回りに旋回自在に搭載された上部旋回体25とを備えている。アタッチメント22は、上部旋回体25に横軸(起伏軸)回りに起伏可能に支持されたブーム31を備え、そのブーム31の先端部には種々のシーブ33が取り付けられる。
【0027】
上部旋回体25には、ブーム31等を起伏動作させるためのブーム起伏用ウィンチ34が設けられていて、このウィンチ34からブーム起伏用ロープ35が引き出されるようになっている。このブーム起伏用ロープ35の繰り出し、引き込みによりブーム31等を起伏動作させるようになっている。また、上部旋回体25には、フック36を上げ下げするための巻上げ装置が搭載されている。この巻上げ装置は、巻上げウィンチ37からの巻上げロープ39の繰り出し、引き込みにより、フック(吊り部)36を上げ下げするものである。なお、クレーン20は、上記ブーム31だけで荷物を吊るクレーン作業の他に、ブーム31の先端にラッフィングジブを取り付けて荷物を吊るラッフィング作業などにも適用される。
【0028】
また、上部旋回体25の前側には、上部旋回体25を構成するアッパーフレーム2の上にマウント(図示せず)を介して運転室1が設けられている。
【0029】
運転室1は、前記アッパーフレーム2の上方に設けられた床板3Aと、床板3Aの上に設けられた運転椅子5と、運転椅子5の右側に設けられた右手操作用のコントローラキャビネット6と、運転椅子5の左側に設けられた左手操作用のコントローラキャビネット7とを有する。上記床板3Aは、例えば鋼製であり、3つの貫通孔3a、3b、3cを有する床板本体3を備えており、これら3つの貫通孔3a〜3cはそれぞれ前後方向に長く形成されている。なお、図2中の4は、アッパーフレーム2の内側に設けた空間である。
【0030】
運転椅子5は、床板本体3の上に設けられた台部8及びスライド機構9を介して設けられていて、台部8の上面は平坦に形成されている。スライド機構9は、左右の両側に一対設けられていて、各スライド機構9は、台部8の上面に前後方向に設けた下部スライド部材9aと、運転椅子5の底面に設けた上部スライド部材9bとを有する公知のものであり、台部8の上面に対して固定した下部スライド部材9aに対し、上部スライド部材9bがスライドする。このスライドに伴って運転椅子5が前後方向にスライドする。なお、スライド機構9には、下部スライド部材9aに対して上部スライド部材9bを所望位置で停止させるストッパー機構が設けられている。
【0031】
左右の上部スライド部材9bは、これらの間に設けた補強部材10により補強されており、右側の上部スライド部材9bには、右手操作用のコントローラキャビネット6が支持片11aを介して支持されている。また、コントローラキャビネット6は、運転椅子5との間に設けた支持片11bを介して運転椅子5により支持されている。一方、左側の上部スライド部材9bには、左手操作用のコントローラキャビネット7が支持片12を介して支持されている。
【0032】
上記コントローラキャビネット6の下端6a及びコントローラキャビネット7の下端7aは、スライドを可能とすべく床板本体3よりも上方に位置させてあり、床板本体3との間に所定の高さギャップ部を有する。
【0033】
上記右手操作用のコントローラキャビネット6は、上面の前側に3本の操作レバー13a、13b、13cを有し、上面の後側に2本の操作レバー13d、13eを有する。コントローラキャビネット6の内側には、操作レバー13a、13b、13cの下方位置に第1リモコン弁13fが設けられ、操作レバー13d、13eの下方位置に第2リモコン弁13gが設けられている。
【0034】
第1リモコン弁13fの下方の床板本体3には前記第1貫通孔3aが設けられ、第1リモコン弁13fに一端が接続された油圧配管用ホースからなる第1線状部材15aの他端側は、第1貫通孔3aから前記空間4を経て他のバルブ等の油圧機器に繋がっている。上記第1リモコン弁13fは、前記操作レバー13a〜13cの操作方向及び操作量に対応した油圧信号を出力して、この第1リモコン弁13fに繋がっている他の油圧機器を制御し、操作レバー13a〜13cに対応したクレーン20の操作を実行させるものである。なお、第1線状部材15aは、図示例では4本備える。
【0035】
上記第2リモコン弁13gの下方の床板本体3には前記第2貫通孔3bが設けられており、第2リモコン弁13gに一端が接続された油圧配管用ホースからなる第2線状部材15bの他端側は、第2貫通孔3bから前記空間4を経て他のバルブ等の油圧機器に繋がっている。上記第2リモコン弁13gは、前記操作レバー13d、13eの操作方向及び操作量に対応した油圧信号を出力して、この第2リモコン弁13gに繋がっている他の油圧機器を制御し、操作レバー13d、13eに対応したクレーン20の操作を実行させるものである。なお、第2線状部材15bは、図示例では3本備える。
【0036】
一方、左手操作用のコントローラキャビネット7は、上面の前側に1本の操作レバー14aを有し、上面の後側に2個のスイッチ14b、14cを有する。コントローラキャビネット7の内側には、操作レバー14aの下方位置に第3リモコン弁14dが設けられ、2個のスイッチ14b、14cの下方位置に接続箱14eが設けられている。第3リモコン弁14dから接続箱14eまでの範囲の下方の床板本体3には前記第3貫通孔3cが設けられており、第3リモコン弁14dに一端が接続された油圧配管用ホースからなる第3線状部材15cの他端側は、第3貫通孔3cから前記空間4を経て他のバルブ等の油圧機器に繋がっている。上記第3リモコン弁14dは、前記操作レバー14aの操作方向及び操作量に対応した油圧信号を出力して、この第3リモコン弁14dに繋がっている他の油圧機器を制御し、操作レバー14aに対応したクレーン20の操作を実行させるものである。なお、第3線状部材15cは、図示例では2本備える。
【0037】
上記接続箱14eに一端が接続されたハーネス用電線からなる第4線状部材15dの他端側は、第3貫通孔3cから前記空間4を経て例えば他の電気機器などに繋がっている。なお、第4線状部材15dは、図示例では2本備える。
【0038】
上記床板本体3の上には、上記第1貫通孔3aを覆うように遮蔽部材としての第1遮蔽板16が設けられ、同様に床板本体3の上には、第2貫通孔3bを覆うように遮蔽部材としての第2遮蔽板17が設けられ、同様に床板本体3の上には、第3貫通孔3cを覆うように遮蔽部材としての第3遮蔽板18が設けられている。上記第1遮蔽板16及び第2遮蔽板17は共に、コントローラキャビネット6の内側に設けられ、第3遮蔽板18はコントローラキャビネット7の内側にそれぞれ設けられていて、これら第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18は、コントローラキャビネット6、7のスライド方向Aと同じ方向にスライドするようになっている。また、これら第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18は、床板本体3と略平行な姿勢で配置されるもので、例えばゴム等の弾性素材により作製されている。なお、コントローラキャビネット6の内側に設けられた第1遮蔽板16及び第2遮蔽板17は、個別に設けずに、単一のもので構成してもよい。
【0039】
第1遮蔽板16には、図4及び図5に示すように、第1線状部材15aの本数(図示例では4本)と同じ数の挿通孔16aが設けられ、各挿通孔16aには第1線状部材15aの途中が1本ずつ挿通される。これら挿通孔16aの径は、挿通される第1線状部材15aの外径と略同等であり、それらの合計の開口面積は、第1遮蔽板16を設けた第1貫通孔3aの開口面積よりも小さい。
【0040】
上記第1遮蔽板16は、スライド方向Aにスライドして、そのスライド方向の前側端の第1線状部材15a−1が第1貫通孔3aの前側の周縁部に当接した状態と、スライド方向の後側端の第1線状部材15a−2が第1貫通孔3aの後側の周縁部に当接した状態とのいずれの場合にも、第1貫通孔3aを覆い得る大きさ(面積)に設定される。また、第1遮蔽板16のスライド方向Aと直交する幅方向の寸法は、その幅方向に第1遮蔽板16が位置ずれを起こしても第1貫通孔3aを覆い得る大きさに設定される。
【0041】
なお、4本の第1線状部材15aは、それぞれ挿通孔16aに挿通した箇所から他のバルブ等の油圧機器まで、若しくは前記他の油圧機器よりも挿通孔16a寄りに第1線状部材15aを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。
【0042】
また、第2遮蔽板17には、図6及び図7に示すように、第2線状部材15bの本数(図示例では3本)と同じ数の挿通孔17aが設けられ、各挿通孔17aには第2線状部材15bの途中が1本ずつ挿通される。これら挿通孔17aの径は、挿通される第2線状部材15bの外径と略同等であり、それらの合計の開口面積は、第2遮蔽板17を設けた第2貫通孔3bの開口面積よりも小さい。
【0043】
上記第2遮蔽板17は、スライド方向Aにスライドして、そのスライド方向の前側端の第2線状部材15b−1が第2貫通孔3bの前側の周縁部に当接した状態と、スライド方向の後側端の第2線状部材15b−2が第2貫通孔3bの後側の周縁部に当接した状態とのいずれの場合にも、第2貫通孔3bを覆い得る大きさ(面積)に設定される。また、第2遮蔽板17のスライド方向Aと直交する幅方向の寸法は、その幅方向に第2遮蔽板17が位置ずれを起こしても第2貫通孔3bを覆い得る大きさに設定される。
【0044】
なお、3本の第2線状部材15bは、それぞれ挿通孔17aに挿通した箇所から他のバルブ等の油圧機器若しくは前記他の油圧機器よりも挿通孔17a寄りに第2線状部材15bを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。
【0045】
また、第3遮蔽板18には、図8及び図9に示すように、第3線状部材15cの本数(図示例では2本)と第4線状部材15dの本数(図示例では2本)の合計本数と同じ数(図示例では4つ)の挿通孔18aが設けられ、各挿通孔18aには第3線状部材15c及び第4線状部材15dの途中が1本ずつ挿通される。これら挿通孔18aの径は、挿通される第3線状部材15cの外径、第4線状部材15dの外径と略同等であり、それらの合計の開口面積は、第3遮蔽板16を設けた第3貫通孔3cの開口面積よりも小さい。
【0046】
上記第3遮蔽板18は、スライド方向Aにスライドして、そのスライド方向の前側端の第3線状部材15c−1が第3貫通孔3cの前側の周縁部に当接した状態と、スライド方向の後側端の第4線状部材15d−2が第3貫通孔3cの後側の周縁部に当接した状態とのいずれの場合にも、第3貫通孔3cを覆い得る大きさ(面積)に設定される。また、第3遮蔽板18のスライド方向Aと直交する幅方向の寸法は、その幅方向に第3遮蔽板18が位置ずれを起こしても第3貫通孔3cを覆い得る大きさに設定される。
【0047】
なお、第3線状部材15cは、挿通孔18aに挿通した箇所から他のバルブ等の油圧機器若しくは前記他の油圧機器よりも挿通孔18a寄りに第3線状部材15cを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。また、第4線状部材15dは、挿通孔18aに挿通した箇所から、例えば他の電気機器若しくは前記他の電気機器よりも挿通孔18a寄りに第4線状部材15dを保持すべく設けたクランプ部までの長さを、前記スライドに支障がない寸法に設定している。
【0048】
したがって、第1実施形態による場合には、コントローラキャビネット6、7を特定のスライド方向Aにスライドさせることに伴って第1線状部材15a、第2線状部材15b、第3線状部材15c及び第4線状部材15dも移動するが、それらの移動範囲としては各線状部材15a等と該当する貫通孔3a等の周縁との床面に沿った隙間B(図5、図7及び図9にハッチングで示す)分に相当し、各線状部材15a等の可動範囲が拡大する。このような範囲(隙間B)内で各線状部材15a等が可動しても各遮蔽板16等が貫通孔3a等を覆うので、コントローラキャビネット6、7がスライドする構成であっても、前記隙間Bの存在に拘わらず音や塵芥が運転室1内に侵入することを抑制できる。換言すれば、コントローラキャビネット6、7のスライドに伴う線状部材15a等の可動を許容し得る長さの貫通孔3a等と、コントローラキャビネット6、7のスライドに拘わらずにその貫通孔3a等を覆い得る面積の遮蔽板16等とを用いることにより、線状部材15a等の可動許容長さの確保と、音・塵芥の運転室1内への侵入抑制との両立を図ることが可能となる。
【0049】
更に、第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18は、ゴム等の弾性素材により作製されているので、床板本体3との密着性が良くなり、より確実にシールすることができる。また、第1遮蔽板16、第2遮蔽板17及び第3遮蔽板18を取付ける際も、その柔軟性により簡単に設置することができる。特に、ゴムにより作製した場合には、比重が重いため、遮音性を確保することが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
図10は本発明の第2実施形態に係る建設機械の要部を示す側面断面図であり、(a)は図11のX(A)−X(A)線による断面図、(b)は図11のX(B)−X(B)線による断面図である。また、図11は第2実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。なお、図10及び図11は、第1実施形態における図6及び図7に示す第2遮蔽板に対応する箇所を示す。
【0051】
この第2実施形態にあっては、床板3A−1は、第2貫通孔3bを有する床板本体3と、この床板本体3の上であって第2貫通孔3bの周縁部に設けた遮蔽板保持部30とを有し、遮蔽板保持部30はスライド方向Aに一定距離だけ離して二対設けられている。
【0052】
各対の遮蔽板保持部30は、床板本体3からの第2遮蔽板17の浮き上がりを規制しながら第2遮蔽板17をコントローラキャビネット6のスライド方向Aに案内するものである。スライド方向Aとは直交する方向において第2遮蔽板17を挟む一対の遮蔽板保持部30は、第2遮蔽板17が床板本体3に接触する位置で、この第2遮蔽板17をスライド方向Aとは直交する方向の両側から抱き込む形状を有する。具体的には、前記一対の遮蔽板保持部30は、床板本体3の上表面に下端部31aが取付けられる起立部31と、起立部31の上端部31bに床板本体3の上表面と対向するように水平方向に突出した対向部32とをそれぞれ有する。
【0053】
起立部31の下端部31aは、第2貫通孔3bの周縁部に貫通孔3bから少し離れた箇所に溶接等により床板本体3に取付けられていて、各起立部31は互いに向くように配設されている。また、各対向部32は第2貫通孔3bの周縁部と対向するようになっている。また、下端部31aから対向部32までの距離(高さ)は第2遮蔽板17の厚みにほぼ一致し、互いに向き合うように配設された両起立部31の間の距離は第2遮蔽板17のスライド方向Aとは直交する水平方向の幅寸法にほぼ一致している。よって、一対の遮蔽板保持部30は、第2遮蔽板17を床板本体3に接触させる状態で、スライド方向Aとは直交する方向の両側から第2遮蔽板17の両端部を抱き込むこととなる。もう一対の遮蔽板保持部30も同様に設けられている。
【0054】
この第2実施形態による場合には、コントローラキャビネットのスライド方向Aと同じ方向に遮蔽板保持部30により第2遮蔽板17が案内されてスライドするので、第2遮蔽板17のスライドに支障が無い。また、第2遮蔽板17の上面が遮蔽板保持部30の上部の所定高さ位置に設けた対向部32で拘束されるので、第2遮蔽板17の浮き上がりを規制することになり、これにより第2貫通孔3bを確実に遮蔽することができる。
【0055】
なお、この第2実施形態では、二対の遮蔽板保持部30を一定距離だけ離して設けているが、本発明はこれに限らず、二対の遮蔽板保持部30の間が繋がったような(各対の遮蔽板保持部30の片方であってスライド方向Aに並んで設けられた2つの遮蔽板保持部30が繋がったような)長尺の一対の遮蔽板保持部を設けるようにしてもよい。その長さとしては、第2遮蔽板17がスライド方向Aにおいて揺動しない、または揺動を小さい状態にできる寸法以上に設定することが好ましい。また、本発明は、三対以上の遮蔽板保持部30を設けるようにしてもよい。
【0056】
また、この第2実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0057】
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態に係る建設機械の要部を示す側面図である。なお、図12は、第1実施形態における図6及び図7に示す第2遮蔽板に対応する箇所を示す。
【0058】
この第3実施形態では、床板3A−2は、第2貫通孔3bを有する床板本体3と、この床板本体3の上に設けられ、第2貫通孔3bの周縁から立上がって、第2貫通孔3bに挿通された線状部材15bを囲む環状の立上り部33とを有し、その立上り部33の上端の床板本体3からの高さH1が、コントローラキャビネット6における下端6aの床板本体3からの高さ位置よりも高く設定されている。
【0059】
この第3実施形態による場合には、スライドを可能とすべく床板本体3に対して高さギャップ部(床板3と下端6aとの間)Cを持つように配置されるコントローラキャビネット6の下端6aよりも第2遮蔽板17が高い位置に配される。そのため、運転室内に侵入する音を抑えることが可能になる。その理由は、例えば図4に示すような立上り部33が無い場合には、遮蔽板(図4に示す例では第1遮蔽板16)を透過してコントローラキャビネット6の内部空間に入った音が回折せずに直ちに高さギャップ部C(図13参照)から漏れることになり易いが、本実施形態のように立上り部33を設けた場合には、図13に破線にて示すように、床板本体3の下側から立上り部33の内側を通ってコントローラキャビネット6の内部空間に入り前記高さギャップ部Cから漏れる音を、回折により減衰させ得るからである。この場合、立上り部33の高さ(例えば図12ではH1)と前記下端6aの高さとの差が大きいほど、前記回折による音の減衰効果を高くすることができる。
【0060】
なお、この第3実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0061】
(第4実施形態)
図14は、本発明の第4実施形態に係る建設機械の要部を示す側面図である。
【0062】
この第4実施形態では、前記環状の立上り部33の内面側に筒状の吸音材34が配設され、吸音材34の外周面は立上り部33の内面に対し全周において密着させている。
【0063】
この第4実施形態による場合には、立上り部33の内側を吸音ダクトとして機能させることができ、伝搬する音の減衰を高めることができる。
【0064】
なお、この第4実施形態では、筒状の吸音材34の外周面の全周を立上り部33の内面に密着させているが、本発明はこれに限らず、筒状の吸音材34の外周面と立上り部33の内面との間に部分的に非密着部を設けてもよい。例えば、立上り部33にスペーサを介して吸音材を取り付けることにより、この吸音材と立上り部33との間に所定の厚みの空気層を介在させれば、吸音性能を高めることができる。また、本発明にあっては、立上り部33の内面の全周に吸音材を設ける必要はなく、一部にのみ吸音材を設けるようにしてもよい。
【0065】
また、この第4実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0066】
(第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態に係る建設機械の要部を示す斜視図である。
【0067】
この第5実施形態では、上部に一対の遮蔽板保持部36を有する立上り部35が床板本体3の上に設けられている。
【0068】
上記立上り部35は、前述した立上り部33と同一構成の環状の立上り部本体35aと、この立上り部本体35aの上側にスライド方向Aと直交する方向の2位置に設けられた一対の遮蔽板保持部36とを有する。立上り部本体35aは、床板本体3の上に第2貫通孔3bを囲むように設けられ、その上端面が第2遮蔽板17をスライド可能に支持する支持面35bとなっている。
【0069】
上記一対の遮蔽板保持部36は、スライド方向Aに第2遮蔽板17を案内するもので、支持面35b上の第2遮蔽板17をスライド方向Aと直交する方向の両側から抱き込む形状をもつように構成されている。具体的には、スライド方向Aと直交する方向に分離させて配設され、かつ前記環状の立上り部本体35aから上方に向けて延出した延出部36aと、その延出部36aの上端を互いに対向するよう内側に向けた対向部36bとを有する。
【0070】
前記延出部36aの高さは、第2遮蔽板17の厚みにほぼ一致させてあり、上記対向部36bは、上述したようにスライド可能に支持した第2遮蔽板17の上面を拘束し、一対の遮蔽板保持部36は、スライド方向Aと直交する方向の両側から第2遮蔽板17を抱き込み、第2遮蔽板17が上方に浮き上がるのを防止する。
【0071】
この第5実施形態による場合には、第3実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。即ち、コントローラキャビネットのスライド方向Aと同じ方向に第2遮蔽板17が案内されてスライドするので、第2遮蔽板17のスライドに支障が無いようにできる。また、第2遮蔽板17の上面が遮蔽板保持部36の対向部36bで拘束されるので、第2遮蔽板17の支持面35bからの浮き上がりが防止され、これにより第2貫通孔3bを確実に遮蔽することができる。
【0072】
なお、この第5実施形態では、一対の遮蔽板保持部36を設けているが、本発明はこれに限らず、図11に示したように二対の遮蔽板保持部を設けたり、或いは三対以上の遮蔽板保持部を設けたりしてもよい。
【0073】
また、この第5実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0074】
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態に係る建設機械の要部を示す側面図であり、図17は第6実施形態に係る建設機械の要部を示す平面図である。
【0075】
この第6実施形態では、第2貫通孔3b内に嵌り込む嵌り込み部としての段付部37を下面に有する第2遮蔽板17Aを備える。この第2遮蔽板17Aは、3つの挿通孔17aを囲む領域の全体が厚肉状となった段付部37を有し、その段付部37が下側へ突出形成されており、上記段付部37は床板本体3の第2貫通孔3bよりも小さい大きさで形成されている。この第2遮蔽板17Aは、上記段付部37が第2貫通孔3b内に嵌り込んだ状態で床板本体3の上に置かれている。
【0076】
この第6実施形態による場合には、段付部37が第2貫通孔3bの周縁部に当接することにより、第2遮蔽板17Aはスライドを規制されるので、第2遮蔽板17Aの大きさを規定しておくことで第2遮蔽板17Aが貫通孔3bから逸脱することを規制でき、これにより貫通孔3bから音や塵芥が運転室内に侵入することを確実に抑制することが可能になる。
【0077】
なお、上述した第6実施形態では、第2遮蔽板17Aを床板本体3の上に直接配設する構成に適用しているが、本発明はこれに限らず、前述したように床板本体3の貫通孔3bの周囲に環状の立上り部33を設け(図12参照)、その立上り部33の上に、第2遮蔽板17Aを設ける構成に対しても同様に適用することができ、同様の効果を奏する。
【0078】
また、上述した第6実施形態では、全ての挿通孔17aを囲む領域の全体を厚肉状にして段付部37を形成しているが、本発明はこれに限らず、図18及び図19に示すように挿通孔17aを囲むように嵌り込み部としての環状凸状部38を下面に有する第2遮蔽板17Bを用いてもよい。或いは、図20及び図21に示すように全ての挿通孔17aを囲むように部分的、図示例ではスライド方向Aの両側のそれぞれに嵌り込み部としての不連続凸状部39を有する第2遮蔽板17Cを用いてもよい。前記不連続凸状部39は、第2遮蔽板17Cの下面側に形成される。このような構成による場合でも、同様の効果が得られる。
【0079】
なお、不連続凸状部39は、環状凸状部38を部分的に欠落させた構成であってもよい。また、スライド方向Aの両側のそれぞれに設ける場合にあっても、2つ又は3つ以上に分断された構成としてもよい。
【0080】
更に、この第6実施形態では第2遮蔽板17に対して適用しているが、本発明はこれに限らず、第1遮蔽板16及び第3遮蔽板18に対しても同様に適用することができる。
【0081】
更にまた、この第6実施形態では立上り部が無い床板本体の上に遮蔽板を貫通孔から逸脱しないように配設する構成について述べているが、本発明はこれに限らない。例えば、立上り部を有する床板に対しては、その床板の上に、貫通孔から逸脱しないように遮蔽板の下面の周縁に下側に突出した逸脱防止片を設ける構成とすることで対応することができる。
【0082】
更にまた、上述した第1実施形態から第6実施形態では、運転椅子にコントローラキャビネットを連結し、運転椅子とコントローラキャビネットが一体的に前後方向にスライドする構成としているが、本発明はこれに限らない。例えば、運転椅子とコントローラキャビネットが、それぞれ独立して前後方向にスライドする構成のもの、或いは運転椅子が固定でコントローラキャビネットのみが前後方向にスライドする構成のものに対しても同様に適用することができる。
【0083】
更にまた、上述した実施形態では運転室を有する移動式クレーンに対して適用しているが、本発明はこれに限らず、運転室を有する油圧ショベルなどにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 運転室
3A、3A−1、3A−2 床板
3 床板本体
3a 第1貫通孔
3b 第2貫通孔
3c 第3貫通孔
5 運転椅子
6、7 コントローラキャビネット
6a、7a 下端
9 スライド機構
15a 第1線状部材
15b 第2線状部材
15c 第3線状部材
15d 第4線状部材
16 第1遮蔽板
17、17A、17B、17C 第2遮蔽板
18 第3遮蔽板
16a、17a、18a 挿通孔
A スライド方向
20 移動式クレーン
30、36 遮蔽板保持部
31 起立部
32 対向部
33、35 立上り部
34 吸音材
37 段付部(嵌り込み部)
38 環状凸状部(嵌り込み部)
39 不連続凸状部(嵌り込み部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室を有する建設機械であって、
前記運転室の床部分を構成し、かつ、当該運転室内の所定位置に貫通孔が形成された床板本体を有する床板と、
前記床板上に、前記貫通孔を覆いかつ前記床板本体に沿う特定の方向にスライド可能に設けられるコントローラキャビネットと、
前記床板の貫通孔内に挿通され、前記コントローラキャビネットに設けられるレバー及びスイッチ類の少なくとも一方に一端が接続される線状部材と、
前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向にスライド可能となるように前記コントローラキャビネット内で前記床板上に設けられ、前記床板の貫通孔を上から覆うととともに、前記床板の貫通孔よりも開口面積が小さくかつ前記線状部材の途中が挿通する挿通孔を有し、前記方向にスライドした場合も前記貫通孔を覆うことができる面積を有する遮蔽部材とを備えたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記床板は、前記床板本体に設けられ、前記床板本体からの前記遮蔽部材の浮き上がりを規制しながらこの遮蔽部材を前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向に 案内する遮蔽部材保持部を有することを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械において、
前記遮蔽部材は、前記床板本体と略平行な姿勢で配置される遮蔽板であり、
前記遮蔽部材保持部は、前記遮蔽板が前記床板本体に接触する位置でこの遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状を有することを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記床板は、前記床板本体の上に、前記貫通孔の周縁から立上がってこの貫通孔に挿通される線状部材を囲み、かつ、前記遮蔽部材を前記コントローラキャビネットの下端よりも高い位置で支持するための支持面を有する立上り部を備え、
前記遮蔽部材は、前記支持面と略平行な姿勢で配置され、前記支持面上に接触する状態で当該支持面に沿ってスライド可能となるように支持される遮蔽板であることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項4に記載の建設機械において、
前記立上り部は、前記支持面からさらに上方に突出してこの支持面上の前記遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状をもつ遮蔽板保持部を有することを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項4または5に記載の建設機械において、
前記立上り部の内周面上に吸音材が配設されることを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の建設機械において、
前記遮蔽部材は、その挿通孔を囲む領域で他の領域よりも部分的に下方に突出して前記床板の貫通孔内に嵌り込む嵌り込み部を有し、この嵌り込み部の嵌り込みにより前記貫通孔の領域から前記遮蔽部材が逸脱することが規制されることを特徴とする建設機械。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の建設機械において、
前記床板の貫通孔は、複数本の線状部材がまとめて挿通可能な開口面積を有し、
前記遮蔽部材は、前記各線状部材が1本ずつ挿通される複数の挿通孔を有し、かつ、これらの挿通孔の配設領域が前記床板の貫通孔の開口領域内に包含されることを特徴とする建設機械。
【請求項1】
運転室を有する建設機械であって、
前記運転室の床部分を構成し、かつ、当該運転室内の所定位置に貫通孔が形成された床板本体を有する床板と、
前記床板上に、前記貫通孔を覆いかつ前記床板本体に沿う特定の方向にスライド可能に設けられるコントローラキャビネットと、
前記床板の貫通孔内に挿通され、前記コントローラキャビネットに設けられるレバー及びスイッチ類の少なくとも一方に一端が接続される線状部材と、
前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向にスライド可能となるように前記コントローラキャビネット内で前記床板上に設けられ、前記床板の貫通孔を上から覆うととともに、前記床板の貫通孔よりも開口面積が小さくかつ前記線状部材の途中が挿通する挿通孔を有し、前記方向にスライドした場合も前記貫通孔を覆うことができる面積を有する遮蔽部材とを備えたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記床板は、前記床板本体に設けられ、前記床板本体からの前記遮蔽部材の浮き上がりを規制しながらこの遮蔽部材を前記コントローラキャビネットのスライド方向と同方向に 案内する遮蔽部材保持部を有することを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械において、
前記遮蔽部材は、前記床板本体と略平行な姿勢で配置される遮蔽板であり、
前記遮蔽部材保持部は、前記遮蔽板が前記床板本体に接触する位置でこの遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状を有することを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記床板は、前記床板本体の上に、前記貫通孔の周縁から立上がってこの貫通孔に挿通される線状部材を囲み、かつ、前記遮蔽部材を前記コントローラキャビネットの下端よりも高い位置で支持するための支持面を有する立上り部を備え、
前記遮蔽部材は、前記支持面と略平行な姿勢で配置され、前記支持面上に接触する状態で当該支持面に沿ってスライド可能となるように支持される遮蔽板であることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項4に記載の建設機械において、
前記立上り部は、前記支持面からさらに上方に突出してこの支持面上の前記遮蔽板を前記コントローラキャビネットのスライド方向と直交する方向の両側から抱き込む形状をもつ遮蔽板保持部を有することを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項4または5に記載の建設機械において、
前記立上り部の内周面上に吸音材が配設されることを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の建設機械において、
前記遮蔽部材は、その挿通孔を囲む領域で他の領域よりも部分的に下方に突出して前記床板の貫通孔内に嵌り込む嵌り込み部を有し、この嵌り込み部の嵌り込みにより前記貫通孔の領域から前記遮蔽部材が逸脱することが規制されることを特徴とする建設機械。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の建設機械において、
前記床板の貫通孔は、複数本の線状部材がまとめて挿通可能な開口面積を有し、
前記遮蔽部材は、前記各線状部材が1本ずつ挿通される複数の挿通孔を有し、かつ、これらの挿通孔の配設領域が前記床板の貫通孔の開口領域内に包含されることを特徴とする建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−116482(P2011−116482A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273730(P2009−273730)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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