説明

建設機械

【課題】マフラテールパイプの先端部分を標準カウンタウエイトの下部に形成した切り欠き部に挿入し、排気ガスを標準カウンタウエイト下部の切り欠き部から後方下向きに排出する方式の排気装置を備えた建設機械において、追加カウンタウエイトを装着した場合に追加カウンタウエイトと標準カウンタウエイト間の隙間への排気ガスの回り込みを抑制できるようにする。
【解決手段】標準カウンタウエイト13の第1切り欠き部37と追加カウンタウエイト15の第2切り欠き部38を橋渡し、標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15間の隙間Cを塞ぐよう、追加カウンタウエイト15の内面に排気漏れ防止エキゾーストパイプ40を取り付け、マフラテールパイプ33の先端部分を排気漏れ防止エキゾーストパイプ40内に挿通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベル等の建設機械に係わり、特に、標準カウンタウエイトに追加カウンタウエイト(増量カウンタウエイト)を装着した際のカウンタウエイト間の隙間から排気ガスが漏れるの防止するのに好適な構造を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前部に俯仰動可能に取り付けられたフロント作業機とを備えている。
【0003】
また、上部旋回体は、前側にフロント作業機が取付けられた旋回フレーム、旋回フレームに立設した床板上に設けられる運転席、旋回フレームの後端側に設けられたカウンタウエイト、旋回フレーム上に搭載されカウンタウエイトの前側に位置するエンジン、エンジンの排気ガスを外部に排出する排気装置等を備えている。
【0004】
排気装置はマフラとテールパイプを有し、エンジンから排出された排気ガスはマフラを通って消音された後、テールパイプから大気中に排出される。
【0005】
ここで、排気装置のマフラ及びテールパイプの配置方式には大きく2通りある。1つは、マフラを上向きに配置し、テールパイプを上方に伸ばし、排気ガスを車体上方に排出する方式(以下方式1という)であり、他の1つは、マフラを前後方向に水平に配置し、テールパイプの先端部分をカウンタウエイトの下部に形成した切り欠き部(凹所或いは開口)に挿通させ、排気ガスをカウンタウエイト下部の切り欠き部から後方下向きに排出する方式(以下方式2という)である。方式1は中型以上の油圧ショベルに採用され、方式2はミニショベル等の小型油圧ショベルに採用されている。
【0006】
方式2の排気装置を開示するものとして例えば特許文献1及び2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−165346号公報
【特許文献2】特開2000−27645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
中型等の油圧ショベルは、一般に、マフラは上向きに配置され、マフラテールパイプは上方に伸び、排気ガスは上方へ排出される(方式1)。これに対し、ミニショベル等の小型油圧ショベルは、中型の油圧ショベルと比較して車高が低いため、マフラを上向きにして排気ガスを上方に排出すると、人間の頭部付近で排気ガスが排出される可能性がある。また、ミニショベル等の小型油圧ショベルは街中等比較的狭い場所での使用が多く、排気ガスを上方に排出すると生け垣に排気ガスがかかる可能性もある。そこで、ミニショベル等の小型油圧ショベルにおいては、特許文献1及び2に記載のように、人間や生け垣に排気ガスがかからないように車体後部のカウンタウエイト下側部分から後方下向きに排気ガスを排出している(方式2)。
【0009】
ところで、小型油圧ショベルにおいては、安定性、吊上げ性能の確保のため、標準装備品としてのカウンタウエイト(以下、標準カウンタウエイトという)に追加カウンタウエイトを装着する場合がある。その際に、後付した追加カウンタウエイトと標準カウンタウエイトの間に隙間ができ、特許文献1及び2に記載のようにマフラテールパイプの先端部分を標準カウンタウエイトの切り欠き部内に納めた場合、その隙間に排気ガスが回り込み、標準カウンタウエイトと追加カウンタウエイトの表面に排気ガスが接触して排気煤が付着する。付着した排気煤はカウンタウエイトを汚したり、雨等により地面に垂れ、環境汚染の心配がある。
【0010】
本発明の目的は、マフラテールパイプの先端部分を標準カウンタウエイトの下部に形成した切り欠き部に挿入し、排気ガスを標準カウンタウエイト下部の切り欠き部から後方下向きに排出する方式の排気装置を備えた建設機械において、追加カウンタウエイトを装着した場合に、追加カウンタウエイトと標準カウンタウエイト間の隙間への排気ガスの回り込みを抑制できる建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と上部旋回体とフロント作業機とを備え、前記上部旋回体は旋回フレームとキャブとを有し、前記旋回フレームの後部にエンジンとこのエンジンの排気ガスを排出する排気装置が設けられ、前記旋回フレームの最前部に前記フロント作業機が取り付けられかつ前記旋回フレームの最後部に標準カウンタウエイトが装着され、前記排気装置はマフラと、このマフラに接続されたマフラテールパイプとを有し、前記マフラテールパイプの先端部分を前記標準カウンタウエイトの下部に形成した第1切り欠き部に挿通し、排気ガスを前記標準カウンタウエイト下部の第1切り欠き部から後方下向きに排出する建設機械において、前記標準カウンタウエイトの外側に追加装着可能に構成され、前記標準カウンタウエイトの前記第1切り欠き部と整合する第2切り欠き部を形成した追加カウンタウエイトと、前記第1切り欠き部と前記第2切り欠き部内に前記標準カウンタウエイトと前記追加カウンタウエイトとの間の隙間を塞ぐよう配置され、前記マフラテールパイプの先端部分が挿通される排気漏れ防止エキゾーストパイプとを備えるものとする。
【0012】
このように標準カウンタウエイトと追加カウンタウエイト間の隙間を塞ぐように排気漏れ防止エキゾーストパイプを設け、この排気漏れ防止エキゾーストパイプ内にマフラテールパイプの先端部分を挿通することにより、マフラテールパイプから排出された排気ガスが標準カウンタウエイトと追加カウンタウエイト間の隙間へ入り込む排気ガス漏れを抑制でき、これにより両カウンタウエイトの表面を清浄に維持することができる。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記排気漏れ防止エキゾーストパイプは、前記追加カウンタウエイトにボルトで取り付けされている。
【0014】
このように排気漏れ防止エキゾーストパイプを追加カウンタウエイトにボルトで取り付けることにより、追加カウンタウエイトを必要としない場合は、排気漏れ防止エキゾーストパイプが追加カウンタウエイトと一緒に取り外されるため、標準カウンタウエイトの外側表面から排気漏れ防止エキゾーストパイプが突出することはなく、ミニショベル特有の突起物のない後方小旋回を満足させ、現場作業での効率化を図ることができる。
【0015】
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記排気漏れ防止エキゾーストパイプは、前記追加カウンタウエイトと一体に鋳物成型されている。
【0016】
この場合も、上記(2)と同様に、追加カウンタウエイトを必要としない場合は、排気漏れ防止エキゾーストパイプが追加カウンタウエイトと一緒に取り外されるため、標準カウンタウエイトの外側表面から排気漏れ防止エキゾーストパイプが突出することはなく、ミニショベル特有の突起物のない後方小旋回を満足させ、現場作業での効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マフラテールパイプの先端部分を標準カウンタウエイトの下部に形成した切り欠き部に挿入し、排気ガスを標準カウンタウエイト下部の切り欠き部から後方下向きに排出する方式の排気装置を備えた建設機械において、追加カウンタウエイトを装着した場合に、追加カウンタウエイトと標準カウンタウエイト間の隙間への排気ガスの回り込みを抑制できる。また、その結果、カウンタウエイト表面を清浄に維持することができる。
【0018】
また、追加カウンタウエイトを取り外した場合は、排気漏れ防止エキゾーストパイプが追加カウンタウエイトと一緒に取り外されるため、標準カウンタウエイトの外側表面からの突起物をなくし、現場作業での効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態における小型油圧ショベルの斜視図である。
【図2】図1に示した油圧ショベルの側面図である。
【図3】図1に示す油圧ショベルから追加カウンタウエイトを取り外し標準カウンタウエイトのみとした、図1と同様な小型油圧ショベルの斜視図である。
【図4】上部旋回体の旋回フレームとカウンタウエイト部分を、旋回フレームに搭載される機器の一部(主にエンジンと排気装置)とともに示す斜視図である。
【図5】上部旋回体の旋回フレームとカウンタウエイト部分を、旋回フレームに搭載される排気装置とともに示す部分断面側面図である。
【図6】追加カウンタウエイトの内面側から見た追加カウンタウエイトと排気漏れ防止エキゾーストパイプを示す図であって、比較のため、追加カウンタウエイトを装着した状態も合わせて示す図である。
【図7】旋回フレーム及び標準カウンタウエイトと追加カウンタウエイトと排気漏れ防止エキゾーストパイプを分解して示す図である。
【図8】排気漏れ防止エキゾーストパイプが取り付けられていない従来の構成を比較例として示す図である。
【図9】上部旋回体の旋回フレームとカウンタウエイト部分を、旋回フレームに搭載される排気装置とともに示す、図5と同様な部分断面側面図である。
【図10】追加カウンタウエイトの内面側から見た追加カウンタウエイトと排気漏れ防止エキゾーストパイプを示す図であって、比較のため、追加カウンタウエイトを装着した状態も合わせて示す、図6と同様な図である。
【図11】旋回フレーム及び標準カウンタウエイトと追加カウンタウエイトを分離して示す、図7と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態における建設機械である小型油圧ショベル(ミニショベル)の基本構成を図1〜図3を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態における小型油圧ショベルの斜視図であり、図2は、同油圧ショベルの側面図である。図3は、図1に示す油圧ショベルから追加カウンタウエイトを取り外し標準カウンタウエイトのみとした、図1と同様な小型油圧ショベルの斜視図である。以下の説明において、油圧ショベルが図1に示す状態にて作業員が運転席に着座した場合における作業員の前側、後側、右側、左側を、単に前側、後側、右側、左側という。
【0022】
図1〜図3において、この油圧ショベルは、下部走行体1と、上部旋回体2と、フロント作業機3とを備えている。下部走行体1は右・左の走行装置1R,1Lを有し、走行装置1R,1Lは、それぞれ、上部旋回体2の下側に位置する図示しないトラックフレーム本体の右・左の脚部と一体の右・左のトラックフレーム部分9R,9Lと、右・左のトラックフレーム部分9R,9Lを取り巻く右・左の履帯10R,10Lと、右・左のトラックフレーム部分9R,9Lの後端側に取り付けられた右・左の走行用油圧モータ12R,12Lとを有し、走行用油圧モータ12R,12Lで履帯10R,10Lを駆動することで、走行を行うようになっている。トラックフレーム本体の前方側には図示しないブレード用油圧シリンダにより上下動する排土用のブレード14が設けられている。上部旋回体2は下部走行体1上に旋回可能に搭載され、図示しない旋回用油圧モータにより旋回駆動される。
【0023】
上部旋回体2は、基礎下部構造をなす旋回フレーム4と、この旋回フレーム4の先端部に垂直ピン(図示せず)を中心にして水平方向に回動可能に取付けられたスイングポスト5と、旋回フレーム4上に設けられたキャノピタイプの運転台7とを備えている。スイングポスト5は、旋回フレーム4に設けられた図示しないスイング用油圧シリンダを伸縮させることで垂直ピンの軸心まわりに回動し、フロント作業機3を右・左にスイングするようになっている。上部旋回体2の側面は、サイドカバー8a、ポンプ前カバー8b、左後カバー8c、化粧カバー8dからなる外装カバー8で覆われ、上部旋回体2の後部は、旋回フレーム4の後部に装着された標準カウンタウエイト13で覆われ、標準カウンタウエイト13の中央部分はエンジンカバー14で覆われている。
【0024】
また、図1及び2に示す油圧ショベルは、車体の安定性確保のため、上部旋回体2の後部の標準カウンタウエイト13の上側に追加カウンタウエイト15が装着されている。
【0025】
フロント作業機3は、ブーム17と、ブーム17に上下方向に回動可能に連結されたアーム18と、アーム18に上下方向に回動可能に連結されたバケット19とを備え、ブーム17はスイングポスト5に上下方向に回動可能に連結されている。ブーム17、アーム18及びバケット19は、それぞれブーム用油圧シリンダ20、アーム用油圧シリンダ21、及びバケット用油圧シリンダ22により駆動され、上下方向に回動する。
【0026】
上部旋回体2の後部は、標準カウンタウエイト13を含め、円弧形状に形成され、追加カウンタウエイト15を装着しない場合は、ミニショベルの特徴である後方小旋回を可能とする車体となっている。後方小旋回とは、上部旋回体2を旋回させた場合、上部旋回体2の後部が車幅(右・左の履帯10R,10Lの外側端部間距離)からはみ出さないか、はみ出しても僅かにはみ出す程度で旋回できることをいう。
【0027】
図4は、上部旋回体の旋回フレームとカウンタウエイト部分を、旋回フレーム4に搭載される機器の一部(主にエンジンと排気装置)とともに示す斜視図であり、図5は、上部旋回体の旋回フレームとカウンタウエイト部分を、旋回フレーム4に搭載される排気装置とともに示す部分断面側面図である。
【0028】
図4及び図5において、旋回フレーム4は、底板4Aと、この底板4Aの上面側に立設され前後方向に略V字型に延びる左・右の縦板4B,4Cと、これら縦板4B,4Cの前端部に設けられ、スイングポスト5を接続する支持ブラケット4Dと、底板4Aの前側に位置し左右方向に延びた前梁4Eと、縦板4B,4Cの後側に設けられ左右方向に延びた中梁4Fと、左右のサイドフレーム4G,4H等で構成されている。
【0029】
旋回フレーム4上の中梁4Fの後側部分には、エンジン23が横置き状態で配置されている。また、エンジン23の左側には、エンジン23によって駆動する油圧ポンプ24が設けられ、エンジン23の右側には、ラジエータやオイルクーラ等の熱交換器25が配設されている。また、熱交換器25の前側には図示しない作動油タンク、燃料タンク、バッテリ等が配置されている。旋回フレーム4の左側(言い換えれば、運転台7の下側)には、油圧ポンプ24から複数の油圧アクチュエータ(詳細には、右・左走行用油圧モータ11R,11L、ブレード用油圧シリンダ(図示せず)、旋回用油圧モータ(図示せず)、スイング用油圧シリンダ(図示せず)、ブーム用油圧シリンダ20、アーム用油圧シリンダ21、及びバケット用油圧シリンダ22)への圧油の流れをそれぞれ制御する複数のコントロールバルブを内蔵した図示しないコントロールバルブユニットが配置されている。
【0030】
また、エンジン23の左側でかつ油圧ポンプの上方に消音器としてのマフラ31が配置されている。マフラ31は、排気ガス出口を備えた円筒端面が後方を向くようにエンジン23に直交して水平に配置された円筒形のマフラ本体31aと、マフラ本体31aの円筒端面の排気ガス出口に接続された連結パイプ31bとを有し、連結パイプ31bにマフラテールパイプ33が接続されている。マフラ本体31とマフラテールパイプ33は、エンジンから発生する排気ガスを外部に排出するための排気装置を構成し、マフラテールパイプ33の先端部分の開口部33c(図8参照)から排気ガスが大気中に放出される。
【0031】
連結パイプ31bはマフラ本体31aの円筒端面の排気ガス出口から後方に水平に伸びる第1部分31b1と、標準カウンタウエイト13の内面付近で第1部分31b1から下方に曲げられた第2部分31b2とを有する形状をしており、マフラテールパイプ33は連結パイプ31bの第2部分31b2に締結バンド34によって連結され、当該第2部分31b2から更に下方に伸びる第1部分33aと、標準カウンタウエイト13の下端付近で第1部分33aから後方に曲げられて斜め下方に伸びる第2部分33bとを有する形状をしている。マフラテールパイプ33の第1部分33aは、締結バンド34の下側において、旋回フレーム4に取り付けられたブラケットホルダ35にボルトで固定され、振動を拘束されている。
【0032】
標準カウンタウエイト13の下端には第1切り欠き部37が形成され、マフラテールパイプ33の先端部分の開口部33cは標準カウンタウエイト13の第1切り欠き部37内に位置している(図8参照)。また、追加カウンタウエイト15の下端の標準カウンタウエイト13の第1切り欠き部37と整合する位置に第2切り欠き部38が形成され、第1切り欠き部37と第2切り欠き部38を橋渡し、標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15との間の隙間Cを塞ぐよう排気漏れ防止エキゾーストパイプ40が取り付けら、マフラテールパイプ33の先端部分は排気漏れ防止エキゾーストパイプ40内に挿通されている。
【0033】
図6は、追加カウンタウエイト15の内面側から見た追加カウンタウエイト15と排気漏れ防止エキゾーストパイプ40を示す図であって、比較のため、追加カウンタウエイト15を装着したも合わせて示す図であり、図7は、旋回フレーム4及び標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15と排気漏れ防止エキゾーストパイプ40を分解して示す図である。
【0034】
排気漏れ防止エキゾーストパイプ40は、円筒体40aと取り付けフランジ40bとを有し、取り付けフランジ40bは円筒体40aの外周上側に上向きに取り付けられている。取り付けフランジ40bにはボルト41a,41bの挿通孔42a,42bが形成されている。
【0035】
追加カウンタウエイト15は、その内面にボルト43a,43bの挿通穴44a,44bが開けられた2つの凸部45a,45bを有し、標準カウンタウエイト13の外面の対応する位置に凸部45a,45bが嵌合する2つの凹部46a,46bが形成されている。
【0036】
排気漏れ防止エキゾーストパイプ40は、取り付けフランジ40bの挿通孔42a,42bにボルト41a,41bを挿通し、取り付けフランジ40bを追加カウンタウエイト15の内面にボルト41a,41bで固定することにより追加カウンタウエイト15の内面に取り付けられる。
【0037】
排気漏れ防止エキゾーストパイプ40が取り付けられた追加カウンタウエイト15の凸部45a,45bを標準カウンタウエイト13の凹部46a,46bに嵌め込んで追加カウンタウエイト15を標準カウンタウエイト13と組み合わせ、追加カウンタウエイト15の挿通穴44a,44bにワッシャ47a,47bを介してボルト43a,43bを差し込んでボルト43a,43bを締め込むことにより、追加カウンタウエイト15は標準カウンタウエイト13に装着される。
【0038】
図8は、排気漏れ防止エキゾーストパイプ40が取り付けられていない従来の構成を比較例として示す図である。
【0039】
標準カウンタウエイト13に追加カウンタウエイト15を装着した場合、追加カウンタウエイト15と標準カウンタウエイト13の間に隙間Cができる。
【0040】
従来の小型油圧ショベルでは、マフラテールパイプ33の先端部分が標準カウンタウエイト13の第1切り欠き部37内に直接挿通されている。そのため、マフラテールパイプ33の先端部分の開口部33cから排出された排気ガスがカウンタウエイト13,15間の隙間Cに回り込み、標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15の表面に排気ガスが接触して排気煤が付着する。付着した排気煤はカウンタウエイト13,15を汚したり、雨等により地面に垂れ、環境汚染の心配がある。
【0041】
解決策として、マフラテールパイプ33の斜め下方に伸びる第2部分33bに追加テールパイプを接続して、マフラテールパイプ33をカウンタウエイト13,15間の隙間Cより更に後方へ伸ばす方法も考えられる。しかし、追加カウンタウエイト15を装着しない場合は、標準カウンタウエイト13の外側表面からテールパイプ先端部分が突出し、特にミニショベルの特徴でもある後方小旋回を有する車体では、車体の旋回半径からテールパイプがはみ出して、後方小旋回のメリットである現場作業での効率化が損ねられてしまう。
【0042】
本実施の形態では、標準カウンタウエイト13の第1切り欠き部37と追加カウンタウエイト15の第2切り欠き部38を橋渡しし、標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15間の隙間Cを塞ぐように排気漏れ防止エキゾーストパイプ40が取り付けられている。
【0043】
これによりマフラテールパイプ33から排出された排気ガスが標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15間の隙間Cへ入り込む排気ガス漏れを防止することができ、これによりカウンタウエイト13,15表面を清浄に維持することができる。また、追加カウンタウエイト15を必要としない場合は、排気漏れ防止エキゾーストパイプ40が追加カウンタウエイト15と一緒に取り外されるため、ミニショベル特有の突起物のない後方小旋回を満足させ、現場作業での効率化を図ることができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における建設機械の要部を図9〜図11を用いて説明する。
【0044】
図9は上部旋回体の旋回フレームとカウンタウエイト部分を、旋回フレームに搭載される排気装置とともに示す、図5と同様な部分断面側面図であり、図10は、追加カウンタウエイトの内面側から見た追加カウンタウエイトと排気漏れ防止エキゾーストパイプを示す図であって、比較のため、追加カウンタウエイトを装着した状態も合わせて示す、図6と同様な図であり、図11は、旋回フレーム及び標準カウンタウエイトと追加カウンタウエイトを分離して示す、図7と同様な図である。
【0045】
本実施の形態においては、排気漏れ防止エキゾーストパイプ40Aは、追加カウンタウエイト15の内面の第2切り欠き部38の周囲に側に追加カウンタウエイト15と一体に鋳物成型されている。排気漏れ防止エキゾーストパイプ40Aは、追加カウンタウエイト15を標準カウンタウエイト13に装着した場合、標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15との間の隙間Cを塞ぐように標準カウンタウエイト13の第1切り欠き部37に挿入され、かつ排気漏れ防止エキゾーストパイプ40A内にマフラテールパイプ33の先端部分が挿通される。
【0046】
本実施の形態によっても、マフラテールパイプ33から排出された排気ガスが標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15間の隙間Cへ入り込む排気ガス漏れを防止することができ、カウンタウエイト13,15表面を清浄に維持することができる。また、追加カウンタウエイト15を必要としない場合は、排気漏れ防止エキゾーストパイプ40Aが追加カウンタウエイト15と一緒に取り外されるため、ミニショベル特有の突起物のない後方小旋回を満足させ、現場作業での効率化を図ることができる。
<その他>
上述した実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、排気漏れ防止エキゾーストパイプは追加カウンタウエイト側に設けたが、標準カウンタウエイト側に設けてもよい。このようにした場合も、排気漏れ防止エキゾーストパイプが標準カウンタウエイト13と追加カウンタウエイト15との間の隙間Cを塞ぐように配置される限り、隙間Cへ入り込む排気ガス漏れが防止され、カウンタウエイト13,15表面を清浄に維持することができる。
【0047】
また、第1切り欠き部37及び第2切り欠き部38は標準カウンタウエイト13及び追加カウンタウエイト15の下端に形成した凹状の切り欠き部としたが、標準カウンタウエイト13及び追加カウンタウエイト15の下側部分をそれぞれを全周にわたって貫通して形成された円形の開口部であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 フロント作業機
4 旋回フレーム
5 スイングポスト
7 運転台
13 標準カウンタウエイト
14 エンジンカバー
15 追加カウンタウエイト
23 エンジン
31 マフラ
31a マフラ本体
31b 連結パイプ
33 マフラテールパイプ
33c 開口部
34 締結バンド
35 ブラケットホルダ
37 第1切り欠き部
38 第2切り欠き部
40,40A 排気漏れ防止エキゾーストパイプ
40a 円筒体
40b 取り付けフランジ
41a,41b ボルト
42a,42b 挿通孔
43a,43b ボルト
44a,44b 挿通穴
45a,45b 凸部
46a,46b 凹部
47a,47b ワッシャ
C 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と上部旋回体とフロント作業機とを備え、前記上部旋回体は旋回フレームとキャブとを有し、前記旋回フレームの後部にエンジンとこのエンジンの排気ガスを排出する排気装置が設けられ、前記旋回フレームの最前部に前記フロント作業機が取り付けられかつ前記旋回フレームの最後部に標準カウンタウエイトが装着され、前記排気装置はマフラと、このマフラに接続されたマフラテールパイプとを有し、前記マフラテールパイプの先端部分を前記標準カウンタウエイトの下部に形成した第1切り欠き部に挿通し、排気ガスを前記標準カウンタウエイト下部の第1切り欠き部から後方下向きに排出する建設機械において、
前記標準カウンタウエイトの外側に追加装着可能に構成され、前記標準カウンタウエイトの前記第1切り欠き部と整合する第2切り欠き部を形成した追加カウンタウエイトと、
前記第1切り欠き部と前記第2切り欠き部内に前記標準カウンタウエイトと前記追加カウンタウエイトとの間の隙間を塞ぐよう配置され、前記マフラテールパイプの先端部分が挿通される排気漏れ防止エキゾーストパイプとを備えることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械において、
前記排気漏れ防止エキゾーストパイプは、前記追加カウンタウエイトにボルトで取り付けされていることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1記載の建設機械において、
前記排気漏れ防止エキゾーストパイプは、前記追加カウンタウエイトと一体に鋳物成型されていることを特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−19149(P2013−19149A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152241(P2011−152241)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】