説明

弁装置の漏水排出構造

【課題】液体製品の流路内に配置される複数の弁座とこれらの複数の弁座を閉止しうる複数のシール部材を備えた弁装置において、搬送する液体製品の搬送効率を低下させることなく、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供すること。
【解決手段】複数の主弁座の間に設けられた漏水流入孔部と、上記主弁棒の上記主弁座の閉止後には上記漏水流入孔部を開放すると共に上記主弁棒の開放時には上記漏水流入孔部を閉止するように進退動する副弁棒と、上記漏水流入孔部に連通すると共に上記副弁棒が進退動する漏水流入路部と、上記漏水流入路部に対して略直交して配設され弁装置外部へ開口する漏水排出流路部とにより構成された漏水排出機構部を有する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造であって、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弁装置の漏水排出構造に係り、特に、各種の液体製品を製造し処理するサニタリープラントにおける管路に使用される弁装置の漏水排出構造に関する。
【0002】
一般に、液体食品又は医薬品を製造するサニタリープラントにおいては、開口部に設けられた主弁座と、上記主弁座を当接及び離間制御している主弁棒により弁装置を構成し、液体管路の開口部を開閉制御している。
【0003】
従来、弁棒と弁座との間のシール性を向上させる観点から、弁棒は上記弁棒先端に設けられた2つのシール部材が夫々一対の弁座に圧接するように構成され、一方のシール部材が破損した場合であっても、閉止された管路への各種液体製品の漏れを防止するような流体管路の閉止構造が従来より提案されている(特許文献1)。
また、このような二重シール弁棒を使用した流体管路の閉止構造においては、
一方のシール部材が破損した場合に下部管路への液体の流入を防止しコンタミネーションが発生する可能性を軽減させるために、2つのシール部材の間に漏れ出た液体を流体管路の外部へ排出させる液体排出機構が設けられている。
【0004】
このような液体排出機構は、上記一方の弁座と他方の弁座との間に開口する漏水流入孔部と、上記主弁棒の主弁座の閉止後には上記漏水流入孔部を開放すると共に上記主弁棒の開放時には上記漏水流入孔部を閉止するように進退動する副弁棒と、上記漏水流入孔部に連通すると共に上記副弁棒が進退動する漏水流入路部と、上記漏水流入路部に対して略直交して配設され弁装置外部へ開口する漏水排出流路部とを備えている。
従来、上記液体排出機構にあっては、上記漏水流入路部は、主弁棒の移動方向に対して直角に、即ち、主弁棒の軸方向に対して直角に設けられている場合が一般的である。このような配置により上記漏水流入路部を設けた場合には、上記副弁棒も主弁棒の移動方向に対して直角に設けられることとなり、漏水排出機構は弁装置の軸方向に対して直角に配設される。
この場合、このような管路途中に配設される弁装置にあっては、大気中の雑菌が液体製品中に侵入しないように弁装置内に加圧無菌エアを供給していることから、上記加圧エアにより上記開孔部から流入する漏水は上記主弁棒に対して直角に設けられた漏水流入路内を介して上記漏水排出流路部から弁装置外方へ排出される。
しかしながら、上記漏水流入路部は弁装置内部の液体流路に対して直交するように配置されていることから、上記加圧エアの作用によってもなお液体流路内に残存する漏水が溜まり、このような漏水がコンタミネーションの原因となる、という不具合が存していた。
【0005】
このような不具合を解消するために、特許文献2に開示されているように、弁装置の軸方向に対して45度に配置される漏水流入路部が備えられた液体排出機構が提案されている。
しかしながら、このような従来技術にあっては、図9に示すように、漏水流入路部91が弁装置90の軸方向95に対しての角度θ9が45度に配置されていることから、一対の洗浄用バルブ92,93の間の空間寸法は限定されることとなり、下方管路を構成する「分岐配管94」は細径とせざるを得ず、上方管路95の径と接続される下方管路94の径とが異なってしまい、流通する液体製品の搬送効率が低下する不具合が存していた。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−94064号
【特許文献2】特表2000−515618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、液体製品の流路内に配置される複数の弁座とこれらの複数の弁座を閉止しうる複数のシール部材を備えた弁装置において、搬送する液体製品の搬送効率の低下を抑え、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、請求項1記載の発明は、流体開口部の周縁部に設けられた主弁座と、上記主弁座に圧接しうる主弁棒とを有し、上記主弁座は、単一の流体開口部の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記主弁棒には上記複数の主弁座に夫々当接しうるシール部材を備え、上記複数の主弁座の間に設けられた漏水流入孔部と、上記主弁棒の上記主弁座の閉止後には上記漏水流入孔部を開放すると共に上記主弁棒の開放時には上記漏水流入孔部を閉止するように進退動する副弁棒と、上記漏水流入孔部に連通すると共に上記副弁棒が進退動する漏水流入路部と、上記漏水流入路部に対して略直交して配設され弁装置外部へ開口する漏水排出流路部とにより構成された漏水排出機構部を有する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造であって、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置され、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置されていることにより上記複数の主弁座間の間隔寸法を短くしうることを特徴とする。
【0009】
従って、請求項1記載の発明にあっては、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置されているので、上記漏水流入路部内に漏水が溜まり難い構成である。
また、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置されていることにより上記複数の主弁座間の間隔寸法を短くしうるので、主弁棒が主弁座を圧接した場合の上記主弁棒の複数のシール部材の間に挟みこまれる液体量を抑えることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して60度に配置され、主弁棒の移動方向に対して60度に配置されていることにより上記複数の主弁座間の間隔寸法を最短にしうることを特徴とする。
【0011】
従って、請求項2記載の発明にあっては、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して60度に配置されているので、上記漏水流入路部内に漏水が溜まり難い構成である。
また、主弁棒の移動方向に対して60度に配置されていることにより上記複数の主弁座間の間隔寸法を最短にしうるので、上記主弁棒が上記主弁座に圧接した場合の上記主弁棒の複数のシール部材の間に挟みこまれる液体量を最小にすることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、第一の管路部と、上記第一の管路部に直交するように配置された第二の管路部と、上記第一の管路部と上記第二の管路部とが配設され、上記第一の管路部の軸方向に膨出すると共に上記第一の管路部及び第二の管路部の外径よりも大径に形成された接合部とを備え、上記漏水流入孔部は、上記接合部において、上記第一の管路部の径方向に沿って一対に設けられ、上記漏水流入路部及び副弁棒は上記主弁棒の移動方向に対して60度の角度に拡開して配置され、上記漏水排出流路部は上記漏水流入路部に対して上記第一の管路部に沿った状態で略直交して設けられていることを特徴とする。
【0013】
従って、請求項3記載の発明にあっては、第一の管路部と、上記第一の管路部に直交するように配置された第二の管路部と、上記第一の管路部と上記第二の管路部とが配設され、上記第一の管路部の軸方向に膨出すると共に上記第一の管路部及び第二の管路部の外径よりも大径に形成された接合部とを備え、上記漏水流入孔部は、上記接合部において、上記第一の管路部の径方向に沿って一対に設けられ、上記漏水流入路部及び副弁棒は上記主弁棒の移動方向に対して60度の角度に拡開して配置されているので、上記漏水流入路部内に漏水がより溜まり難い構成であり、上記複数の弁座間の間隔寸法が最短である構成である。
また、上記漏水排出流路部は上記漏水流入路部に対して上記第一の管路部に沿った状態で略直交して設けられているので、上記漏水排出流路部から弁装置外方へ漏水を排出することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記第一の管路部の外径寸法と上記第二の管路部の外径寸法とは略同一に形成されていることを特徴とする。
【0015】
従って、請求項4記載の発明にあっては、上記第一の管路部の外径寸法と上記第二の管路部の外径寸法とは略同一に形成されていることから、搬送される液体製品の上記第一の管路部と上記第二の管路部の搬送効率の低下を従来より抑えることができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、上記複数の主弁座は、上記流体開口部における流路方向に沿って設けられ、第一弁座及び第二弁座により構成され、上記シール部材は、上記第一弁座に圧接しうる第一のシール部材と、上記第二弁座に圧接しうる第二のシール部材とにより構成されていることを特徴とする。
【0017】
従って、請求項5記載の発明にあっては、上記複数の主弁座は、上記流体開口部における流路方向に沿って設けられ、第一弁座及び第二弁座により構成され、上記シール部材は、上記第一弁座に圧接しうる第一のシール部材と、上記第二弁座に圧接しうる第二のシール部材とにより構成されているので、第一弁座と第二弁座の間に漏水流入孔部が設けられている。
【0018】
請求項6記載の発明は、上記漏水排出機構部は、上記漏水流入孔部の上記漏水流入路部側の周縁部に設けられた副弁座と、上記副弁座に圧接しうる上記副弁棒と、上記副弁棒が漏水流水孔部を開放するように付勢しうる付勢部材とを有し、上記副弁棒は、樹脂材により形成され、上記副弁棒を駆動操作することにより上記副弁座に上記副弁棒を圧接させて上記漏水流入孔部を閉止しうることを特徴とする。
【0019】
従って、請求項6記載の発明にあっては、上記漏水排出機構部は、上記漏水流入孔部の上記漏水流入路部側の周縁部に設けられた副弁座と、上記副弁座に圧接しうる上記副弁棒と、上記副弁棒が漏水流水孔部を開放するように付勢しうる付勢部材とを有し、上記副弁棒は、樹脂材により形成され、上記副弁棒を駆動操作することにより上記副弁座に上記副弁棒を圧接させて上記漏水流入孔部を閉止しうるので、上記副弁棒の駆動操作により、上記漏水流入孔部を開閉することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明に係る弁装置の漏水排出構造にあっては、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置され、上記漏水流入路部内に漏水が溜まり難い構成であるので、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
また、上記漏水流入路部は主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置され、上記漏水流入路部内に漏水が溜まり難い構成であるので、従来の主弁棒の移動方向に対して漏水流入路部が直角に設けられた場合に加圧無菌エアを供給されていることにより漏水が弁装置外方へ排出される構成の場合とは異なり、加圧無菌エアの供給がない場合においても漏水を有効に弁装置外方へ排出する弁装置の漏水排出構造であるので、加圧無菌エアの供給部を不要とし、製造コストを低減できる。
また、上記複数の主弁座間の間隔寸法を短くしうる構成であり、主弁棒が主弁座を圧接した場合の上記主弁棒の複数のシール部材の間に挟みこまれる液体量を抑えることができるので、漏水流入孔部から弁装置外部へ排出される液体製品の排出量を抑えることができる。
【0021】
請求項2記載の発明に係る弁装置の漏水排出構造にあっては、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して60度に配置されており、上記漏水流入路部内に漏水が溜まり難い構成であるので、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
また、上記複数の主弁座間の間隔寸法が最短な構成であり、上記主弁棒が上記主弁座に圧接した場合の上記主弁棒の複数のシール部材の間に挟みこまれる液体量を最小にすることができるので、漏水流入孔部から排出される液体製品を最小限に抑えることができる。
【0022】
請求項3記載の発明に係る弁装置の漏水排出構造にあっては、上記漏水流入路部及び副弁棒は上記主弁棒の移動方向に対して60度の角度に拡開して配置されており、上記漏水流入路部内に漏水がより溜まり難い構成であるので、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
また、上記複数の主弁座間の間隔寸法が最短な構成であり、上記主弁棒が上記主弁座に圧接した場合の上記主弁棒の複数のシール部材の間に挟みこまれる液体量を最小にすることができるので、漏水流入孔部から排出される液体製品を最小限に抑えることができる。
また、上記漏水排出流路部は上記漏水流入路部に対して上記第一の管路部に沿った状態で略直交して設けられ、上記漏水排出流路部から弁装置外方へ漏水を排出することができるので、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
【0023】
請求項4記載の発明に係る弁装置の漏水排出構造にあっては、上記第一の管路部の外径寸法と上記第二の管路部の外径寸法とは略同一に形成され、搬送される液体製品の上記第一の管路部と上記第二の管路部の搬送効率の低下を従来より抑えることができるので、搬送する液体製品の搬送効率の低下を抑え、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
【0024】
請求項5記載の発明に係る弁装置の漏水排出構造にあっては、第一弁座と第二弁座の間に漏水流入孔部が設けられているので、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
【0025】
請求項6記載の発明に係る弁装置の漏水排出構造にあっては、上記漏水排出機構部は、上記漏水流入孔部の上記漏水流入路部側の周縁部に設けられた副弁座と、上記副弁座に圧接しうる上記副弁棒と、上記副弁棒が漏水流水孔部を開放するように付勢しうる付勢部材とを有し、上記副弁棒は、樹脂材により形成され、上記副弁棒を駆動操作することにより上記副弁座に上記副弁棒を圧接させて上記漏水流入孔部を閉止し、上記副弁棒の駆動操作により、上記漏水流入孔部を開閉することができるので、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る弁装置の漏水排出構造の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明に係る弁装置の漏水排出構造は、流体開口部11の周縁部に設けられた主弁座12,13と、上記主弁座12,13に圧接しうる主弁棒14とを有し、上記主弁座12,13は、単一の流体開口部11の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記主弁棒14には上記複数の主弁座12,13に夫々当接しうるシール部材15,16を備え、上記複数の主弁座12,13の間に設けられた漏水流入孔部17と、図2に示すように、上記主弁棒14の上記主弁座12,13の閉止後には上記漏水流入孔部17を開放すると共に、図1に示すように、上記主弁棒14の開放時には上記漏水流入孔部17を閉止するように進退動する副弁棒18と、上記漏水流入孔部17に連通すると共に上記副弁棒18が進退動する漏水流入路部19と、上記漏水流入路部19に対して略直交して配設され弁装置外部へ開口する漏水排出流路部20とにより構成された漏水排出機構部10を有する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造であって、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18は、主弁棒14の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置され、主弁棒14の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置されていることにより上記複数の主弁座12,13間の間隔寸法を短くしうる構成である。
また、図1又は図2に示すように、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18は、主弁棒14の移動方向54に対して角度θ1は60度に配置され、主弁棒の移動方向に対して60度に配置されていることにより上記複数の主弁座12,13間の間隔寸法を最短にしうる構成である。
【0027】
また、図1に示すように、第一の管路部21と、上記第一の管路部21に直交するように配置された第二の管路部22と、上記第一の管路部21と上記第二の管路部22とが配設され、上記第一の管路部21の軸方向に膨出すると共に上記第一の管路部21及び第二の管路部22の外径よりも大径に形成された接合部23とを備え、上記漏水流入孔部17,17は、上記接合部23において、上記第一の管路部21の径方向に沿って一対に設けられ、上記漏水流入路部19及び副弁棒18は上記主弁棒14の移動方向に対して60度の角度に拡開して配置され、上記漏水排出流路部20は上記漏水流入路部19に対して上記第一の管路部21に沿った状態で略直交して設けられている。
【0028】
また、図1に示すように、上記第一の管路部21の外径寸法と上記第二の管路部22の外径寸法とは略同一に形成されている。
また、上記複数の弁座は、上記流体開口部11における流路方向に沿って設けられ、第一弁座12及び第二弁座13により構成され、上記シール部材は、上記第一弁座12に圧接しうる第一のシール部材15と、上記第二弁座13に圧接しうる第二のシール部材16とにより構成されている。
【0029】
また、図6(a)又は(b)に示すように、上記漏水排出機構部10は、上記漏水流入孔部17の上記漏水流入路部19側の周縁部に設けられた副弁座24と、上記副弁座24に圧接しうる上記副弁棒18と、上記副弁棒18を漏水流水孔部17を開放するように付勢しうる付勢部材25とを有し、上記副弁棒18は、樹脂材により形成され、図6(a)に示すように、上記副弁棒18を駆動操作することにより上記副弁座24に上記副弁棒18を圧接させて上記漏水流入孔部17を閉止しうる。
【実施例】
【0030】
以下に、図面を用いて本実施例について、詳細を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施例においては、主弁座が、第一弁座12及び第二弁座13の2つの弁座により構成され、シール部材が、上記第一弁座12に圧接しうる第一のシール部材15と、上記第二弁座13に圧接しうる第二のシール部材16の2つのシール部材により構成され、また、漏水流入路部19及び上記副弁棒18が、主弁棒14の移動方向54に対して角度θ1は60度に配置されている場合を例に説明する。
【0031】
図3に示すように、例えば、本実施例に係る液体管路は、バルブ装置100に適用される。
図3に示すように、上記バルブ装置100は、内部にアクチュエータ(図示せず)が収納された収納管部58と、上記アクチュエータに接続されると共に上記収納管部58の底面部に図3の上下方向に進退しうるように上端部が挿通された主弁棒14と、上記主弁棒14の下端部が上下方向に進退しうるように開口部27に挿通されると共に液体製品が流通しうる液体管路59と、上記主弁棒14の進退動により上記流体管路59の開口部11を開閉しうる図4に示すような流体管路の二重シール閉止構造60と、上記閉止構造60の一方のシール部材が破損した場合に生じる漏水を外部へ排出しうる図3にしめすような漏水排出機構部10とにより構成されている。
図3に示すように、上記液体管路59は、夫々が断面略円形状の第一の管路部21と、上記第一の管路部21の中間部において直交するように配置された第二の管路部22と、上記第一の管路部21と上記第二の管路部22とが配設され上記第一の管路部21の軸方向に膨出すると共に上記第一の管路部21及び第二の管路部22の外形より大径に形成された接合部23を備えている。
また、上記第一の管路部21の外径寸法と上記第二の管路部22の外径寸法とは略同一に形成されている。
また、上記第一の管路部21は、一方の第一の管路部21aと、上記第一の管路部21aの直線上に配置された他方の第一の管路部21bと、上記一方の第一の管路部21aと上記他方の第一の管路部21bとの間に配設され、上記第二の管路部22の径方向に略球状に膨出すると共に流体開口部11において上記接合部23に接合された接合ボディ部26とを備えている。
また、図1に示すように、上記接合ボディ部26は、上部に開口部27を有し、主弁棒14は、管路内部のシール性を保ちながら進退動して主弁座12,13に圧接しうるように開口部27に挿通されている。
【0032】
また、図4に示すように、上記流体管路の二重シール閉止構造60は、上記第二の管路22の流体開口部11の周縁部には、第一弁座12及び第二弁座13の2つの弁座が管路構成部材と一体に設けられており、第二弁座13が第一弁座12よりも流路内方へ段違いに突出形成されており、上記第一の弁座12は流体開口部11の上部に形成された第一の凸部28上に形成され、上記第二の弁座13は流体排出口11の下部に形成された第二の凸部29上に形成されている。
上記第一の凸部28は、上端面30が上記第一の管路部21に沿って形成されると共に、側壁面31が上記上端面30に対して略垂直に形成され、上記上端面30と上記側壁面31が連設されることにより形成されている。
同様に、上記第二の凸部29は、上端面32が上記第一の管路21に略平行に形成されると共に、側壁面33が上記上端面32に対して略垂直に形成され、上記上端面32と上記側壁面33が連設されることにより形成されている。
また、第二の凸部29が第一の凸部28よりも流路内方へ段違いに突出形成されている。
また、上記第一弁座12及び第二弁座13は、第一のシール部材15が第一弁座、第二のシール部材16が第二弁座13に圧接される際に、主弁棒14と弁座12,13との間をシールしうるように、上記第一の凸部28及び上記第二の凸部29の角部分が流路内方に傾斜するような環状斜面により形成されている。
【0033】
また、図5に示すように、上記第一の凸部28の上記側壁面31及び上記第二の凸部29の上端面32は、上記主弁座12,13にシール部材15,16が圧接される際に、上記側壁面31及び上記上端部32と、上記弁棒14の上記第一のシール部材15及び第二のシール部材16と、主弁棒14との間に空間部55を有する。
【0034】
また、図2に示すように、漏水流入孔部17,17は、第一弁座12と第二弁座13との間に設けられると共に上記主弁座12,13にシール部材15,16が圧接される際に形成される上記空間部55の下端部に連通するように形成されている。
また、上記漏水流入孔部17,17は、上記第一の管路部21の配管を妨げないように、第一の管路部21と第二の管路部22との接合部23において、上記第一の管路部21の径方向に沿って対向するように一対設けられている。
【0035】
また、図4に示すように、上記主弁棒14は、第一弁座12に圧接しうる第一のシール部材15と、上記第二弁座13に圧接しうる第二のシール部材16とにより構成されている。
また、図4に示すように、上記主弁棒14は、弁軸部34と、上記弁軸部34の基端部に設けられた基板部35とを有する主弁棒本体36と、上記基板部35に当接して配置される上記第一のシール部材15と、上記第一のシール部材15に当接して配置される上記第一のステム37と、上記第一のステム37に当接して反弁軸部34側に配置される上記第二のシール部材16と、上記第二のシール部材16に当接して反弁軸部34側に配置される第二のステム38とを有し、上記第一のシール部材15、上記第一のステム37、上記第二のシール部材16及び上記第二のステム21は、単一の固定部材39により上記基板部35に対して着脱可能に固定されている。
また、図4に示すように、上記第一のステム37は、上記第一のシール部材15よりも小径であって、かつ上記第二のシール部材16よりも大径に形成され、上記第二のステム38は、上記第二のシール部材16よりも小径に形成されている。
【0036】
また、図1又は2に示すように、漏水排出機構部10は、上記漏水流入孔部17と、図2に示すように、上記主弁棒14が上記主弁座12,13を閉止後には上記漏水流入孔部17を開放すると共に、図1に示すように、上記主弁棒14の開放時には上記漏水流入孔部17を閉止するように進退動する副弁棒18と、上記漏水流入孔部17に連通すると共に上記副弁棒18が進退動する漏水流入路部19と、上記漏水流入路部19に対して略直交して配設され弁装置外部へ開口する漏水排出流路部20とにより構成されている。
また、図6(a)又は(b)に示すように、上記漏水排出機構部10は、上記漏水流入孔部17の上記漏水流入路部19側の周縁部に設けられた副弁座24と、上記副弁座24に圧接しうる上記副弁棒18と、上記副弁棒18が漏水流水孔部17を開放するように付勢しうるコイルスプリング25とを有し、上記副弁棒18を駆動操作することにより上記副弁座24に上記副弁棒18を圧接させて上記漏水流入孔部17を閉止しうるように構成されている。
【0037】
また、図6(a)又は(b)に示すように、上記副弁棒18は、略円柱状に形成され、樹脂材により形成され、円筒状の副弁棒収納管部40の内部に配置されている。
また、上記副弁棒18は、上記漏水流入孔部17の上記漏水流入路部19側の周縁部に設けられた副弁座24に圧接しうる先端部41と、上記先端部41に連設されると共に上記先端部41より大きい径からなる中間部42と、上記中間部42の反先端部41側端部において径方向外方に延設された係止面部45を介して上記中間部42の軸方向に連設されると共に上記中間部42より大きい径からなる後端部43により構成されている。
また、上記先端部41は、略半球ドーム形状に形成されると共に上記副弁座24に圧接しうる頭部41aと、上記頭部41aの底面と同径の円柱状に形成されると共に上記頭部41aの底面側に連設される先端本体部41bとにより構成されている。
【0038】
また、図6(a)又は(b)に示すように、上記副弁棒収納管部40は、上記副弁棒42の中間部42を収納しうる径からなる一方の円筒部40aと、上記副弁棒42の後端部43を収納しうる径を有すると共に上記一方の円筒部40aの端部において径方向外方に延設された段差面部44を介して上記一方の円筒部40aの軸方向に連設された上記一方の円筒部40aより大きい径からなる他方の円筒部40bとにより構成されている。
また、上記一方の円筒部40aは、上記副弁棒18の先端部41より長寸に形成され、上記一方の円筒部40aと上記副弁棒18の先端部41との間には漏水が侵入しうる空隙56が形成されている。
また、上記副弁棒収納管部40の上記一方の円筒部40aの上端部には、漏水流入路部19が形成されており、上記一方の円筒部40aの上端部は、上記漏水流入孔部17に連通している。
また、上記副弁棒収納管部40の上記他方の円筒部40bの下端部には、上記副弁棒18をコイルスプリング25の付勢力に抗して動作させうるエア供給部48が連設され、上記エア供給部48にはエア供給が停止した場合にエア圧力を徐々に低下させうるエア圧調整部61が設けられ、端部57には適宜の圧搾エア供給部が接合されるように構成されている。
また、上記副弁棒収納管部40は、円筒状の副弁棒ボディ部49内に形成され、上記副弁棒ボディ部49は、上記第一の管路21と上記第二の管路22の接合部23に副弁棒ボディ凹面部50を介して接続されている。
また、上記副弁棒ボディ部49の先端部は、取り扱い容易又はメンテナンス容易の観点から、着脱可能な副弁棒キャップ51により固定されている。上記副弁棒キャップ51の固定内周面には、上記エア供給部48を介して供給されたエアの弁装置外部への排出を阻止しうるシール部材52が備えられている。
【0039】
また、図6(a)又は(b)に示すように、上記コイルスプリング25は、略円筒状に形成され、上記副弁棒18の中間部42の外周縁に配置されると共に上記副弁棒収納管部40の他方の円筒部40bの内部に配置されている。
また、上記コイルスプリング25は、軸方向一端部が上記コイルスプリング25の付勢力により上記副弁棒収納管部40の段差面部44に圧接され、軸方向他端部が上記コイルスプリング25の付勢力により上記副弁棒18の後端部43の係止面部45に圧接されることにより、上記副弁棒18が上記漏水流水孔部17を開放するように付勢されている。
【0040】
また、図6(a)又は(b)に示すように、上記先端部41と上記中間部42との間には、上記漏水流路部19に侵入した漏水の上記中間部42側への侵入を阻止しうるシール部材46が上記中間部42の外周に沿って配置され、上記後端部43の軸方向略中央部には、上記エア供給部48を介して供給されたエアの上記中間部42側への侵入を阻止しうるシール部材47が上記後端部43の軸方向略中央部の外周に沿って配置されている。
【0041】
また、図7に示すように、上記漏水排出流路部20は、上記漏水流入路部19に対して略直交して配設されると共に上記第一の管路21に沿った状態で設けられ、図6(a)、(b)又は図7に示すように、自重により上記漏水流入路部19の下端部に溜まった漏水を弁装置外部へ排出しうるように、上記漏水流入路部19の下端部に開口している。
また、図7に示すように、上記漏水排出流路部20には、上記漏水排出流路部20からの漏水を弁装置外部へ排出しうる排出ドレーン53が、上記接続部23において上記第一の管路21に沿って上記漏水排出流路部20に連設され、所定の長さ延設された後、L字状に折曲されて上記第二の管路22に沿った状態で下方へ延設されている。
【0042】
また、図8に示すように、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18は、主弁棒14の移動方向54に対して角度θ1が60度になるように配置されている。
従って、上記漏水流入部19には、主弁棒14の移動方向54に対して60度の傾斜面が形成されており、上記一方の円筒部40aと上記副弁棒18の先端部41との間には漏水が侵入しうる空隙56が形成され、上記漏水流入路部19の下端部に漏水流出流路部20が開口されていることから、上記副弁棒17が開放された場合に、漏水が上記漏水流入孔部17から上記漏水流入路部19に流入し、上記漏水流入路部19に形成された傾斜面により漏水の自重で上記漏水流入路部19の下端部へ誘導され、弁装置外部へ開口する上記漏水流出流路部20へ流出し、弁装置外部へ排出される流路が形成される。
【0043】
また、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18が、主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1が60度である構成は、様々の検討の結果、最適な構成であることが判明している。
【0044】
以下に、図面を用いて、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18の配置角度を60度にした理由について詳細に説明する。
まず前提として、上記漏水流路部19に漏水を溜まり難い構成とするためには、記漏水流入路部19及び上記副弁棒18を上記主弁棒14の移動方向54に対して直角ではなく、漏水の溜まり難いように上記主弁棒14の移動方向54に対して鋭角となるように配置することが必要である。
上記前提に基づき、例えば、図8に示すように、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18が主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1が60度より小さい角度に配置されている場合を想定した場合には、上記角度θ1を小さくするほど上記副弁棒ボディ部49の外縁部が上記第二の管路部22の外縁部に近づき当接し易い状態となる。
この状態を回避するためには、上記第一の管路部21と上記第二の管路部22との接合部23の径を大きくすることにより上記第一の管路部21の軸方向に膨出した接合部23の外方への膨出量を大きくして、上記接合部23の外端部に上記副弁棒ボディ部49を上記第一の管路部21の外縁に当接しないように外方へ配置接続することによって、上記副弁棒ボディ部49の接合部23への接続部は、上記接合部23の膨出量が少ない場合に比して外方に配置するように構成することもできる。
このように構成した場合には、上記角度θ1を小さくした場合であっても、上記副弁棒ボディ部49の外縁部が上記第二の管路部22の外縁部に近づき難くなるようにすることができる。
しかしながら、このように構成した場合には、製造コスト上の観点から、上記副弁棒ボディ部49を汎用部材として用いることを要するため、上記副弁棒18の軸を長くして対応させる必要性があるという不具合が生ずる。
このため、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18が主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1が60度より小さい角度に配置されている場合には、上記接合部23の径を大きくすることによる弁装置の大型化、さらに上記副弁棒18を長くする必要がある、という不具合が発生することとなる。
【0045】
一方、例えば、図8に示すように、仮に、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18は、主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1が60度より大きい角度に配置される場合を想定する。
この場合、漏水排出孔部17の位置を変えることなく配置角度を変更するためには、上記副弁棒ボディ部49と接合部23との接合位置を上方に配置して接合することにより、主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1を60度より大きい角度で配置することとなる。
しかしながら、上記接合部23の上部に延設されている第二の管路部22の径方向に略球状に膨出する接合ボディ部26が存在するため、上記副弁棒ボディ部49と接合部23との接合位置を上方に移動させて接合することは製造上困難である。
その結果、主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1を60度より大きい角度で配置するためには、上記漏水排出孔部17を上記角度θ1が60度である場合より下方へ位置させることが必要となる。
このように上記漏水排出孔部17を下方へ位置させる場合には、第二弁座13を上記漏水排出孔部17に合わせて下方へ位置させることが必要となり、その結果、第一弁座12と第二弁座13との間の距離が広がり、主弁棒14が主弁座12,13を閉止した場合に、空間部55の容積が、上記第一弁座12と第二弁座13との間の距離が狭い場合と比して大きくなる。
そして、上記主弁棒14が主弁座12,13を閉止する過程においては、上記空間部55に液体製品の一部が保持される可能性を有することから、上記空間部55の容積が大きい程、上記液体製品が上記空間部55に保持される液体量が多くなる可能性を有する。
その結果、上記主弁棒14が主弁座12,13を閉止後、上記副弁棒18の動作により上記漏水流入孔部17が開放された場合に、上記空間部55に保持された液体製品は弁装置外部へ排出されてしまう。
このため、上記主弁棒14が主弁座12,13を閉止した場合における上記空間部55に保持された液体製品は、漏水でないにも関わらず、弁装置外部へ排出されてしまう、という不具合が発生する。
従って、このように上記空間部55に保持される液体量を減少させるために、第一弁座12と第二弁座13との間の距離を短くすることにより、上記空間部55の容積を小さくすることが必要となる。
【0046】
従って、上記観点から、図8に示すように、上記漏水流入路部19及び上記副弁棒18を、主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1を60度とする配置にすることにより、第一弁座12と第二弁座13との間の距離を最短にできることが接合部23構成や各管路構成を検討した結果判明している。
【0047】
以下に、上記実施例の作用について説明する。
図1に示すように、主弁棒14が、流体開口部11を閉止してない場合には、エア供給部48を介してエアが供給されているため、図6(a)に示すように、副弁棒18の先端部41は、コイルスプリング25の付勢力に抗して副弁座24に圧接され、漏水流入孔部17は、上記副弁棒18の先端部41により閉止されている。
また、図1に示すように、このように主弁棒14が流体開口部11を閉止してない場合には、例えば、第一の管路部21から液体製品を流入させた場合には、主弁棒14が流体開口部11を閉止していないので、第一の管路部21から流入された液体製品は、接続部23内部を通過して下方管路を構成する第二の管路部22へ流通する流路を形成する。
この場合、図1に示すように、漏水流入路部19及び上記副弁棒18は、主弁棒14の移動方向54に対しての角度θ1が60度に配置されることにより、副弁棒18を被覆している副弁棒ボディ部49の間の空間が確保されていることから、上記第一の管路部21の外径寸法と上記第二の管路部22の外径寸法とは略同一に形成されることから、従来のように下方管路の径を細径とすることはなく、搬送される液体製品の搬送効率の低下を抑えることができる。
【0048】
そして、図1に示すような上記主弁棒14が流体開口部11を開放している状態から、図2に示すような流体開口部11の閉止状態へと移行させる場合には、上記主弁棒14が開放状態から上記流体開口部11を閉止するまでの間は、上記流体排出孔部17が開放されると液体製品が流体排出孔部17を介して弁装置外部に排出されてしまうことを防止するため、図2に示すように、上記主弁棒14が流体開口部11を閉止した後、図6(b)に示すように、上記漏水流入孔部17を開放させるように弁装置が制御されている。
このような場合、上記主弁棒14及び上記副弁棒18は同一のエア供給部からのエア供給により動作しており、エアが供給されている場合には、図1に示すように上記主弁棒14が流体開口部11を開放していると共に上記副弁棒18の先端部41は、コイルスプリング25の付勢力に抗して副弁座24に圧接されている。
そして、図2に示すような流体開口部11の閉止状態へと移行させる場合には、上記主弁棒14及び上記副弁棒18へのエア供給を停止させるので、上記主弁棒14は流体開口部11を閉止するように動作すると共に上記副弁棒18の先端部41はコイルスプリング25の付勢力により上記漏水流入孔部17を解放するように動作する。
しかしながら、上記主弁棒14が開放状態から上記流体開口部11を閉止するまでの間は、液体製品が流体排出孔部17を介して弁装置外部に排出されてしまうことを防止するため、上記副弁棒18のエア供給部48にはエア供給が停止した場合にエア圧力を徐々に低下させうるエア圧調整部61が設けられ、上記主弁棒14が上記流体開口部11を閉止するまでの間は、上記副弁棒18の先端部41は、コイルスプリング25の付勢力に抗して副弁座24に圧接されている状態を保持するようにエア圧調整部61によりエア圧力の低下は調整されている。
【0049】
このように上記主弁棒14が流体開口部11を閉止した後に上記漏水流入孔部17が開放された場合には、図2に示すように、上記主弁棒14の第一のシール部材15が第一弁座12に当接し、第二のシール部材16が第二弁座に当接することによるシール効果により上記流体開口部11は閉止されている。
このような状態において、上方のシール部材15が、例えば、経年変化等ににより、シール性が損なわれた場合、図6(b)に示すように、空間部55の下端部に連通するように漏水流入孔部17が形成され、上記のように上記漏水流入孔部17は開放されていることから、シール性が損われることにより上記空間部55に流入した漏水は、上記漏水流入孔部17を介して上記漏水流入孔部17に連通された漏水流入路部19に流入する。
【0050】
そして、図2に示すように、上記漏水流入部19には、主弁棒14の移動方向54に対して60度の傾斜面が形成されており、上記一方の円筒部40aと上記副弁棒18の先端部41との間には漏水が侵入しうる空隙56が形成され、上記漏水流入路部19の下端部に漏水流出流路部20が開口されていることから、上記漏水流入路部19に流入した漏水は、上記漏水流入路部19に形成された傾斜面により漏水の自重で上記漏水流入路部19の下端部へ誘導され、弁装置外部へ開口する上記漏水流出流路部20へ流れ込む。
【0051】
そして、図7に示すように、上記漏水排出流路部20には、上記漏水排出流路部20からの漏水を弁装置外部へ排出しうる排出ドレーン53が上記接続部23から弁装置外部へ延設されているので、一つのシール部材のシール性が損われた場合に生じる漏水を上記排出ドレーン53を介して弁装置外部へ排出することができる。
従って、漏水を有効に弁装置外方へ排出する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造を提供することができる。
【0052】
また、図2に示すような上記主弁棒14が流体開口部11を閉止している状態から図1に示すような流体開口部11の開放状態に移行させる場合には、図2に示すような上記漏水流入孔17の開放状態から、図1に示すように、エア供給部48を介してエアを供給することにより、上記副弁棒18を上記漏水流入孔17に圧接させ、上記漏水流入孔17の閉止状態に移行させた後に、図1に示すように流体開口部11から上記主弁棒14を離間させ開放状態に移行する。
このような制御をすることにより、上記漏水流入孔17が開放されたまま流体開口部11が開放されることがなく、液体製品が漏水流入孔17を介して弁装置外部へ排出されることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、弁装置の漏水排出構造に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る弁装置の漏水排出構造の一実施の形態を示す断面図であって、副弁棒が漏水流入孔部を閉止している場合を示す図である。
【図2】本発明に係る弁装置の漏水排出構造の一実施の形態を示す断面図であって、副弁棒が漏水流入孔部を開放している場合を示す図である。
【図3】本発明に係る弁装置の漏水排出構造が適用された弁装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る弁装置の漏水排出構造が適用された弁装置の管路構成、主弁棒及び主弁座を示す一実施の形態を示す断面図であって、主弁棒が流体開口部を開放している場合を示す図である。
【図5】本発明に係る弁装置の漏水排出構造が適用された弁装置の管路構成、主弁棒及び主弁座を示す一実施の形態を示す断面図であって、主弁棒が流体開口部を閉止している場合を示す図である。
【図6】(a)及び(b)は、本発明に係る弁装置の漏水排出構造の一実施の形態を示す断面図であって、(a)は、副弁棒が漏水流入孔部を閉止している場合を示す図であり、(b)は、副弁棒が漏水流入孔部を開放している場合を示す図である。
【図7】本発明に係る弁装置の漏水排出構造の漏水流入路部及び漏水排出流路部の断面図である。
【図8】本発明に係る弁装置の漏水排出構造の一実施の形態を示す一部断面図であって、副弁棒が漏水流入孔部を閉止している場合を示す図である。
【図9】従来の弁装置の漏水排出構造の一実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 漏水排出機構部
11 流体開口部
12 第一弁座
13 第二弁座
14 主弁棒
15 第一のシール部材
16 第二のシール部材
17 漏水流入孔部
18 副弁棒
19 漏水流入路部
20 漏水排出流路部
21 第一の管路部
22 第二の管路部
23 接合部
24 副弁座
25 付勢部材(コイルスプリング)
26 接合ボディ部
27 開口部
28 第一の凸部
29 第二の凸部
30 上端面
31 側壁面
32 上端面
33 側壁面
34 弁軸部
35 基板部
36 主弁棒本体
37 第一のステム
38 第二のステム
39 固定部材
40 副弁棒収納管部
40a 一方の円筒部
40b 他方の円筒部
41 先端部
41a 頭部
41b 先端本体部
42 中間部
43 後端部
44 段差面部
45 係止面部
46 シール部材
47 シール部材
48 エア供給部
49 副弁棒ボディ部
50 凹面部
51 副弁棒キャップ
52 シール部材
53 排出ドレーン
54 主弁棒の移動方向
55 空間部
56 空隙
57 エア供給部
58 収納管部
59 流体管路
60 二重シール閉止構造
61 エア圧調整部
90 従来の弁装置
91 漏水流入路部
92 洗浄用バルブ
93 洗浄用バルブ
94 下方管路
95 弁装置の軸方向
100 バルブ装置
θ1 主弁棒の移動方向に対する角度
θ9 弁装置の軸方向に対する角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体開口部の周縁部に設けられた主弁座と、上記主弁座に圧接しうる主弁棒とを有し、上記主弁座は、単一の流体開口部の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記主弁棒には上記複数の主弁座に夫々当接しうるシール部材を備え、上記複数の主弁座の間に設けられた漏水流入孔部と、上記主弁棒の上記主弁座の閉止後には上記漏水流入孔部を開放すると共に上記主弁棒の開放時には上記漏水流入孔部を閉止するように進退動する副弁棒と、上記漏水流入孔部に連通すると共に上記副弁棒が進退動する漏水流入路部と、上記漏水流入路部に対して略直交して配設され弁装置外部へ開口する漏水排出流路部とにより構成された漏水排出機構部を有する流体管路に配置される弁装置の漏水排出構造であって、上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置され、主弁棒の移動方向に対して45度より大きい鋭角に配置されていることにより上記複数の主弁座間の間隔寸法を短くしうることを特徴とする弁装置の漏水排出構造。
【請求項2】
上記漏水流入路部及び上記副弁棒は、主弁棒の移動方向に対して60度に配置され、主弁棒の移動方向に対して60度に配置されていることにより上記複数の主弁座間の間隔寸法を最短にしうることを特徴とする請求項1記載の弁装置の漏水排出構造。
【請求項3】
第一の管路部と、上記第一の管路部に直交するように配置された第二の管路部と、上記第一の管路部と上記第二の管路部とが配設され、上記第一の管路部の軸方向に膨出すると共に上記第一の管路部及び第二の管路部の外径よりも大径に形成された接合部とを備え、上記漏水流入孔部は、上記接合部において、上記第一の管路部の径方向に沿って一対に設けられ、上記漏水流入路部及び副弁棒は上記主弁棒の移動方向に対して60度の角度に拡開して配置され、上記漏水排出流路部は上記漏水流入路部に対して上記第一の管路部に沿った状態で略直交して設けられていることを特徴とする請求項2記載の弁装置の漏水排出構造。
【請求項4】
上記第一の管路部の外径寸法と上記第二の管路部の外径寸法とは略同一に形成されていることを特徴とする請求項3記載の弁装置の漏水排出構造。
【請求項5】
上記複数の主弁座は、上記流体開口部における流路方向に沿って設けられ、第一弁座及び第二弁座により構成され、上記シール部材は、上記第一弁座に圧接しうる第一のシール部材と、上記第二弁座に圧接しうる第二のシール部材とにより構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の弁装置の漏水排出構造。
【請求項6】
上記漏水排出機構部は、上記漏水流入孔部の上記漏水流入路部側の周縁部に設けられた副弁座と、上記副弁座に圧接しうる上記副弁棒と、上記副弁棒が漏水流入孔部を開放するように付勢しうる付勢部材とを有し、上記副弁棒は、樹脂材により形成され、上記副弁棒を駆動操作することにより上記副弁座に上記副弁棒を圧接させて上記漏水流入孔部を閉止しうることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の弁装置の漏水排出構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−127761(P2009−127761A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304148(P2007−304148)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000157946)岩井機械工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】