説明

弁装置

【課題】 流路の開閉する弁体を開位置と閉位置に確実に設定し得るようにする。
【解決手段】 弁ブロック11に形成された弁収容室14内には、流入孔12と流出孔13とを連通させる連通開口部15を開閉する弁体21が設けられ、弁体21には弁磁石22が設けられている。空気圧シリンダ24によって駆動用磁石32が弁体21に接近離反移動自在となっており、駆動用磁石32を弁体21に接近させると弁体21は連通開口部15を閉じる閉位置に移動する。駆動用磁石32を弁体21から離反させると弁体21はこれに設けられた弁磁石22が磁性体33に吸引されて開位置を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁力を用いて流路を開閉する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの製造技術分野を始め、液晶基板製造技術分野や多層配線基板製造技術などの分野では、フォトレジスト液、及びアルカリ性や酸性の処理液などの薬液が使用されている。これらの薬液は、薬液貯留槽に蓄えられており、薬液貯留槽と薬液ノズルとを接続する流路に設けられた弁装置を制御することにより、その流路を介して薬液ノズルに案内され所定量ずつウエハ等に滴下されるようになっている。
【0003】
薬液貯留槽に蓄えられた薬液を吸引し薬液ノズルに吐出するための薬液供給装置には、特許文献1に記載されるように、可撓性チューブなどの弾性部材によりポンプ室が区画形成され、その弾性部材を変形させてポンプ室内の容積を変化させることにより薬液貯留槽内の薬液を吸引し薬液ノズルに吐出する薬液ポンプを有するものがある。薬液貯留槽と薬液ポンプとを接続する薬液吸引路及び薬液ポンプと薬液ノズルとを接続する薬液吐出路のそれぞれには、特許文献2に記載されるように、ポンプ室内の容積変化に対応させて流路を開閉する弁装置が設けられている。
【特許文献1】特開平2003−148353号公報
【特許文献2】特開平8−285125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬液供給装置の薬液吸引路と薬液吐出路に設けられ流路を開閉する開閉弁として、磁力により弁体を開閉させる場合には、弁体内に弁磁石を組み込み、弁体により流路を閉じるときに駆動用磁石を駆動部材により弁体に接近させるようにしており、弁体が流路を開くときには駆動用磁石を弁体から離反させるようにしている。したがって、弁体により流路が開かれるときの弁体の開度は流路内の流体の圧力により設定されることになる。
【0005】
流路内の流体の流量を正確に設定するためには、弁体を開位置と閉位置とに移動させるとともに、それぞれの位置では振動することなく安定してその位置を保持させ流路の開閉を確実にする必要がある。
【0006】
本発明の目的は、流路を開閉させる弁体を開位置と閉位置にいずれも磁力により設定し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の弁装置は、流体の流入孔と流出孔とを連通させる連通開口部を有する弁収容室が形成される弁ブロックと、前記弁収容室に組み込まれ、前記連通開口部を閉じる閉位置と開く開位置とに移動するとともに弁磁石が設けられた弁体と、前記弁磁石に駆動用磁石を接近させて前記弁体を前記開位置と前記閉位置との一方に駆動する接近位置、および前記駆動用磁石を前記弁磁石から離反させる離反位置に移動させる駆動手段と、前記弁ブロックに設けられ、前記駆動用磁石が離反位置となったときに前記弁磁石を引き寄せて前記弁体を前記開位置と前記閉位置の他方に駆動する磁性体とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の弁装置は、前記駆動用磁石が前記弁磁石に接近したときに前記弁磁石を反発させて前記弁体を前記閉位置に駆動し、前記駆動用磁石が前記弁磁石から離反したときに前記弁磁石が前記磁性体に接近して前記弁体を開位置に駆動することを特徴とする。
【0009】
本発明の弁装置は、前記弁体は前記弁磁石が封入される樹脂製の磁石収容体を有し、前記弁体が開閉動作する際に前記弁体室の内周面に接触する複数の突起を前記磁石収容体の外周面に設けることを特徴とする。
【0010】
本発明の弁装置は、前記弁体は前記弁磁石が封入される樹脂製の磁石収容体と、前記弁ブロックに固定される止め付け部とを有し、前記磁石収容体と前記止め付け部とを複数の弾性支持片により連結し、前記磁石収容体と前記止め付け部との間に流体の通路を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明の弁装置は、前記駆動手段は先端部に前記駆動用磁石が設けられたピストンを往復動自在に駆動する空気圧シリンダであることを特徴とする。
【0012】
本発明の弁装置は、ポンプ室内の容積を増減させることにより薬液貯留槽内の薬液を吸引し薬液ノズルに吐出する薬液ポンプに接続される流入側流路及び流出側流路のうち少なくともいずれか一方に装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、弁磁石が設けられた弁体に対し駆動用磁石を接近移動させて弁体を開位置または閉位置の一方に作動し、駆動用磁石を弁体に対し離反移動させたときには弁体に設けられた弁磁石が磁性体に引き寄せられて弁体を開位置または閉位置の他方に作動させるようにしたので、弁体を確実に開位置または閉位置に設定することができる。
【0014】
本発明によれば、弁磁石を複数の突起や弾性支持片を備える磁石収容体で支持することにより、弁体を開位置と閉位置との間で安定的に移動させることができるとともに、それぞれの位置での振動発生を防止することができ、流路の開閉を安定した状態で確実に行なうことができる。弾性支持片を備える磁石収容体においては、弁体の開閉にともなって弁収容室に摺動接触することがないので、摺動接触による発塵が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である弁装置を示す断面図である。
【0016】
この弁装置10は樹脂製の弁ブロック11を有しており、この弁ブロック11には薬液が流入する流入孔12と薬液が流出する流出孔13とが形成されるとともにこれらの流入孔12と流出孔13と連通する弁収容室14が形成されている。流入孔12の弁収容室14側の開口部は流入孔12と流出孔13とを連通させる連通開口部15となっており、この連通開口部15の周囲は弁座面16となっている。弁ブロック11には流入孔12に薬液を供給するための配管が接続されるジョイント部17と、流出孔13から薬液を外部に案内するための配管が接続されるジョイント部18が設けられており、それぞれのジョイント部17,18にはナットからなる継手17a,18aがねじ結合されるようになっている。継手17aにより流入孔12は薬液貯留槽などが接続される一次側流路に接続されるようになっており、継手18aにより流出孔13は薬液ノズルなどが接続される二次側流路に接続されるようになっている。
【0017】
弁ブロック11には弁収容室14に連通するとともに弁座面16に対向させて取付孔19が形成されており、この取付孔19には樹脂製の隔壁カバー20が組み付けられている。隔壁カバー20は、弁ブロック11の一部を構成しており、弁ブロック11の取付孔19に嵌め込まれる円筒部20aと弁座面16に対向する隔壁部20bとを有している。
【0018】
弁収容室14内には弁体21が組み込まれており、この弁体21は図1に示すように弁座面16に接触して連通開口部15を閉じる閉位置と、弁座面16から離れて隔壁カバー20に接触して連通開口部15を開く開位置とに開閉移動する。弁体21は弁磁石22とこれが封入される樹脂製の磁石収容体23とからなり磁石収容体23の中に弁磁石22を埋め込むことにより弁磁石22は液体にさらされないようになっている。
【0019】
弁ブロック11には、駆動手段を構成する空気圧シリンダ24が組み付けられており、空気圧シリンダ24は、先端部と弁ブロック11とにより隔壁カバー20を挟み込むシリンダチューブ24aを有しており、シリンダチューブ24aはアルミニウム合金などの非磁性材料により形成されている。シリンダチューブ24aの内部にはピストンロッド25が一体となったピストン26が往復動自在に収容されており、ピストンロッド25およびピストン26はアルミニウムや樹脂などの非磁性材料により形成されている。ピストン26のロッド側端面と空気圧シリンダ24とにより後退用圧力室27が形成され、シリンダチューブ24aの端部に固定されるカバー28の内側はばね収容室29となっている。ばね収容室29には圧縮コイルばね30が組み込まれており、ピストン26には常時、これを前進つまり隔壁カバー20に向かう方向のばね力が加えられている。後退用圧力室27に連通する空気圧ポート31がシリンダチューブ24aに形成されており、この空気圧ポート31に接続される図示しない正圧源から正圧空気を後退用圧力室27に供給することによって、ピストン26はコイルばね30の押圧力に抗して後退つまり隔壁カバー20から離反させる方向に移動する。
【0020】
なお、ピストン26を往復動するための手段としては、ばね収容室29を前進用圧力室としてこれに圧縮空気を供給してピストン26を前進移動させることによってピストン26を正圧空気により前進後退移動するようにしても良い。また、後退用圧力室27をばね室としてばね力によりピストン26を後退移動させるようにしても良く、その場合には正圧空気により前進移動を行う。さらには、正圧空気に代えて負圧空気によりピストン26を駆動するようにしても良い。
【0021】
ピストンロッド25の先端部には永久磁石である駆動用磁石32が装着されている。駆動用磁石32は、ピストン26を前進移動させることにより図1に示すように隔壁部20bに接触して弁体21の弁磁石22に最接近する接近位置と、ピストン26をカバー28に接触させる後退限位置に移動させて弁磁石22から最も離反した離反位置との間を往復動する。
【0022】
駆動用磁石32と弁磁石22は、駆動用磁石32の弁磁石22側の領域と弁磁石22の駆動用磁石32側の領域とが同極性となるように、相互に同一の磁極(例えば、S極)が対向するように配置されており、弁磁石22は駆動用磁石32を弁体21に接近させると駆動用磁石32に反発し、弁体21は連通開口部15を図1に示すように閉じる閉位置となる。一方、駆動用磁石32を離反位置までピストン26により移動させると、駆動用磁石32の磁力は弁磁石22に対して磁力の影響が低下ないし消滅することになり、駆動用磁石32により連通開口部15を流体の圧力に抗して弁体21を閉位置に保持する磁力は弁磁石22には加えられなくなる。
【0023】
駆動用磁石32が離反位置となった状態のもとで弁体21を開位置に保持するために、隔壁部20bとシリンダチューブ24aとの間には環状の磁性体33が取り付けられている。この磁性体33は強磁性の材料により形成されており、弁ブロック11に弁体21を介して弁座面16に対するように取り付けられ、駆動用磁石32が離反位置となった状態のもとでは弁磁石22の磁力によって自発磁化を形成して弁磁石22を引き寄せて弁体21を開位置に駆動する。駆動用磁石32が接近位置となったときには、図1に示すように駆動用磁石32は磁性体33の内側に入り込むことになるが、このときには駆動用磁石32の磁力が強く弁磁石22に作用して弁体21は閉位置に駆動される。
【0024】
図2(A)は図1に示す弁体21の外観構成を示す斜視図であり、図2(B)は図2(A)の正面図であり、図2(C)は図2(A)の側面図である。
【0025】
弁磁石22が組み込まれた磁石収容体23は、円筒状の本体部34を有しこれの端面からは弁座面16に接触する接触部35が突出しており、本体部34の前後両端部には円周方向に所定の間隔で径方向外方に突出する突起部36が設けられている。弁体21は、このような磁石収容体23とこの内部に封入されて薬液などの流体が直接接触しないようになった弁磁石22とにより形成され、弁体21を弁収容室14内に収容したとき、複数の突起部36のうちいずれかが弁収容室14の内周面に接触し、突起部36相互間の隙間を介して薬液が流れるようになっている。
【0026】
図1に示す弁装置10における弁体21は以下のように開閉作動する。後退用圧力室27に正圧空気が供給されない状態では、図1に示すように、ピストン26は駆動用磁石32が隔壁部20bに当接する前進限位置まで移動し、弁磁石22に対して駆動用磁石32の磁界が強く影響して、その反発力により弁磁石22は閉位置に移動する。これにより、弁体21が連通開口部15を閉じて流入孔12が塞がれて、流入孔12と流出孔13との連通が遮断される。
【0027】
図1に示す状態から、後退用圧力室27に正圧空気を供給すると、ピストン26は後退つまり隔壁部20bから遠ざかる方向に移動し、駆動用磁石32が形成する磁界が弁磁石22に及ぼす影響が弱くなる。これにより、弁磁石22は磁性体33に引き付けられるようになり、弁体21が連通開口部15から離れて流入孔12と流出孔13とが連通状態となる。
【0028】
後退用圧力室27に対する正圧空気の供給を停止して後退用圧力室27内の空気を排出すると、弁体21は閉位置に移動して、上述のように流入孔12と流出孔13の連通を遮断させる。このように、後退用圧力室27に対する正圧空気の供給と排出とを行うことにより、連通開口部15の開閉操作を行うことができる。このとき、一定容積の弁収容室14に配置された弁体21をその外部に配置される駆動用磁石32を近づけたり遠ざけたりすることによって連通開口部15の開閉を行うので、連通開口部15の開閉前後で弁収容室14の内部容積が変化することがなく、ダイヤフラム式のバルブのように連通開口部を閉じた後に流体が流動することがなく、弁体21の開閉時に流路内に流体が流れることが防止される。弁収容室14の内周面に摺接する突起部36によって弁体21が往復動自在に支持されるので、弁体21の移動は安定しており、開位置及び閉位置のそれぞれにおいて安定してその位置を保持することができる。また、弁収容室14内はほぼ円柱形状となっており、安定した流れを形成することができ、薬液を滞留させることはない。
【0029】
図3は本発明の他の実施の形態である弁装置が装着された薬液供給装置を示す断面図であり、図4は図3に示す薬液吐出路に接続される弁装置を拡大して示す断面図である。なお、図1及び図2に示す部材と共通する部材には同一の符合を付して重複した説明を省略する。
【0030】
図3に示す薬液供給装置38は、可撓性チューブ39を径方向に膨張収縮させてポンプ室40内の容積を変化させることにより薬液貯留槽41内の薬液を吸引し薬液ノズル42に吐出する薬液ポンプ43を有しており、薬液貯留槽41と薬液ポンプ43とを接続する薬液吸引路44及び薬液ポンプ43と薬液ノズル42とを接続する薬液吐出路45のそれぞれには、ポンプ室40内の容積変化に対応させて薬液吸引路44および薬液吐出路45を開閉する弁装置46,47が設けられている。図示する場合には、薬液吸引路44に設けられる弁装置46の流体流出側のジョイント部18は可撓性チューブ39の流入側に連通し、薬液吐出路45に設けられる弁装置47の流体流入側のジョイント部17は可撓性チューブ39の流出側に連通している。
【0031】
この可撓性チューブ39は、ジョイント部18に嵌合される流入側の固定端部53と、ジョイント部17に嵌合される流出側の固定端部54とを有し、両方の固定端部53,54の間は弾性変形部55となっており、弾性変形部55の内部は上述のポンプ室40となっている。ポンプ室40の容積を変化させるために、可撓性チューブ39の外部にはベローズ56が配置されている。ベローズ56は、固定端部53を挟み込むようにしてジョイント部18に固定される流入側の固定ディスク57と、固定端部54を挟み込むようにしてジョイント部17に固定される流出側の固定ディスク58と、固定ディスク57に連結される大径ベローズ部59及び固定ディスク58に連結される小径ベローズ部60の間に配置される作動ディスク61とを有している。
【0032】
大径ベローズ部59及び小径ベローズ部60を軸方向に変形させてポンプ室40の容積を変化させるために、可撓性チューブ39とベローズ56との間には非圧縮性媒体62が封入されており、作動ディスク61にはポンプ駆動機構63が取り付けられている。このポンプ駆動機構63はモータ64により駆動されるボールねじ65と、このボールねじ65にねじ結合され作動ディスク61に係合するボールナット66とを有している。非圧縮性媒体62の容積は一定となっているので、モータ64を駆動して作動ディスク61を固定ディスク57に向けて移動させると可撓性チューブ39の弾性変形部55が収縮してポンプ室40の容積が収縮し、作動ディスク61を固定ディスク58に向けて移動させると弾性変形部55が膨張してポンプ室40の容積が膨張する。
【0033】
次に、弁装置46,47を有する薬液供給装置38によるポンプ動作について説明すると、まず、弁装置46の後退用圧力室27に空気圧ポート31から正圧空気を供給して弁体21を開くとともに、弁装置47の後退用圧力室27内の正圧空気を排出して弁体21を閉じる。次いで、モータ64を駆動してポンプ室40の容積を増大させることによって、薬液貯留槽41内の薬液を弁装置46を介してポンプ室40内に取り込む。その後、弁装置47の後退用圧力室27に正圧空気を供給して弁体21を開くとともに、弁装置46の後退用圧力室27内の空気を排出して弁体21を閉じる。次いで、モータ64を駆動してポンプ室40の容積を減少させることによって、ポンプ室40内の薬液を弁装置47を介して薬液ノズル42に供給する。
【0034】
ここで、それぞれの弁装置46,47は、従来のダイヤフラム式のバルブのように閉弁後にバブル内の容積が変化して薬液がバルブ外に押し流されてしまうことがないので、薬液供給装置38は高精度で薬液を吐出させることができる。これらの弁装置46,47が装着された薬液供給装置38は、薬液の吸引量及び吐出量のそれぞれがポンプ室40の変化量によって行われるため、モータ64の駆動を制御することにより、所定量の薬液を吸引し薬液ノズル42に吐出することができる。
【0035】
所定量の薬液を供給し終えた後は、それぞれの弁装置46,47の弁体21は閉じられるが、その前に、弁装置47の弁体21を開き弁装置46の弁体21を閉じた状態のもとで、モータ64を駆動してポンプ室40の容積を増大させることによって、薬液ノズル42内に残留した薬液をポンプ室40に向けてサックバックさせることができる。サックバック動作後、弁装置47の後退用圧力室27への正圧空気の供給を停止して弁体21を閉じることにより、薬液ノズル42内に残留した薬液の液垂れを防止することができる。このとき、弁体21により薬液吐出路45を閉じるようにすることで、従来のダイヤフラム式のバルブのように閉弁後にバブル内の容積が変化して薬液がバルブ外に押し流されてしまうことがないので、サックバック量も正確に管理することができ、薬液供給装置38の吐出精度を向上させることができる。
【0036】
図5は本発明の他の実施の形態である弁装置を示す断面図であり、図6は図5に示す弁体の外観構成を示す斜視図である。なお、図5において図1に示される部材と共通する部材には同一の符合を付して重複した説明を省略する。
【0037】
図5に示す弁体21の磁石収容体68の形状は、図1に示す磁石収容体23の形状と相違しており、磁石収容体68は、弁磁石22を収容する円柱状の本体部69と、本体部69よりも大径となっており弁ブロックに固定される環状の止め付け部71とを有しており、本体部69の先端には接触部70が突出して設けられ、本体部69と止め付け部71は複数の弾性支持片72により連結されており、弾性支持片72の相互間には流体の通路が形成されている。図5に示す弁ブロック73は止め付け部71が装着される環状溝が形成される第1ブロック74と、隔壁カバー20が一体として形成される第2ブロック75とを組み合わせることにより構成されている。
【0038】
このような磁石収容体68を備える弁体21は、接触部70が連通開口部15に対向するとともに、止め付け部71がブロック74,75に挟み込まれて弁収容室14内に組み込まれている。この弁体21は、その開閉動作に際して、弁収容室14の内周面に摺動接触することがなく、弁磁石22は複数の弾性支持片72により往復動自在に支持されるので、摺動接触にともなう発塵を防止することができる。なお、薬液は、図6に矢印で示すように、弾性支持片72の間の通路を通って流出孔13に流出する。
【0039】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、磁性体33は、駆動用磁石32が隔壁部20bから遠ざかったときに弁磁石22が吸引されて連通開口部15を開くことができる位置であれば空気圧シリンダ24の先端部に限られることなく、弁ブロック11やブロック75の内部など任意の位置に配置することができ、弁磁石22を引き付けることができれば、その形状も環状のものに限られず、その個数も任意である。磁性体33としては強磁性材料に代えて、常磁性材料を用いることもできる。さらに、流出孔13の開口部を連通開口部としてこれを弁体21により開閉するようにしても良く、駆動用磁石32を弁体21に接近させたときに開くようにし離反させたときに磁性体33により弁体を閉じるようにしても良い。駆動用磁石32を接近位置および離反位置に移動させる駆動手段としては、空気圧シリンダ24のような空気圧を用いるものに限られることなく、例えば、モータなどを用いて駆動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態である弁装置を示す断面図である。
【図2】(A)は弁体の外観構成を示す斜視図であり、(B)は図2(A)の正面図であり、(C)は図2(A)の側面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態である弁装置が装着された薬液供給装置を示す断面図である。
【図4】図3に示す薬液吐出路に接続される弁装置を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態である弁装置を示す断面図である。
【図6】図5に示す弁体の外観構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10 弁装置
11 弁ブロック
12 流入孔
13 流出孔
14 弁収容室
15 連通開口部
16 弁座面
17,18 ジョイント部
19 取付孔
20 隔壁カバー
21 弁体
22 弁磁石
23 磁石収容体
24 空気圧シリンダ
25 ピストンロッド
26 ピストン
27 後退用圧力室
28 カバー
29 ばね収容室
30 コイルばね
31 空気圧ポート
32 駆動用磁石
33 磁性体
34 本体部
35 接触部
36 突起部
38 薬液供給装置
39 可撓性チューブ
40 ポンプ室
41 薬液貯留槽
42 薬液ノズル
43 薬液ポンプ
44 薬液吸引路
45 薬液吐出路
46,47 弁装置
53,54 固定端部
55 弾性変形部
56 ベローズ
57,58 固定ディスク
59 大径ベローズ部
60 小径ベローズ部
61 作動ディスク
62 非圧縮性媒体
67 磁石弁
68 磁石収容体
69 本体部
70 接触部
71 止め付け部
72 弾性支持片
73 弁ブロック
74 第1ブロック
75 第2ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入孔と流出孔とを連通させる連通開口部を有する弁収容室が形成される弁ブロックと、
前記弁収容室に組み込まれ、前記連通開口部を閉じる閉位置と開く開位置とに移動するとともに弁磁石が設けられた弁体と、
前記弁磁石に駆動用磁石を接近させて前記弁体を前記開位置と前記閉位置との一方に駆動する接近位置、および前記駆動用磁石を前記弁磁石から離反させる離反位置に移動させる駆動手段と、
前記弁ブロックに設けられ、前記駆動用磁石が離反位置となったときに前記弁磁石を引き寄せて前記弁体を前記開位置と前記閉位置の他方に駆動する磁性体とを有することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1記載の弁装置において、前記駆動用磁石が前記弁磁石に接近したときに前記弁磁石を反発させて前記弁体を前記閉位置に駆動し、前記駆動用磁石が前記弁磁石から離反したときに前記弁磁石が前記磁性体に接近して前記弁体を開位置に駆動することを特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の弁装置において、前記弁体は前記弁磁石が封入される樹脂製の磁石収容体を有し、前記弁体が開閉動作する際に前記弁体室の内周面に接触する複数の突起を前記磁石収容体の外周面に設けることを特徴とする弁装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の弁装置において、前記弁体は前記弁磁石が封入される樹脂製の磁石収容体と、前記弁ブロックに固定される止め付け部とを有し、前記磁石収容体と前記止め付け部とを複数の弾性支持片により連結し、前記磁石収容体と前記止め付け部との間に流体の通路を形成することを特徴とする弁装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の弁装置において、前記駆動手段は先端部に前記駆動用磁石が設けられたピストンを往復動自在に駆動する空気圧シリンダであることを特徴とする弁装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の弁装置において、ポンプ室内の容積を増減させることにより薬液貯留槽内の薬液を吸引し薬液ノズルに吐出する薬液ポンプに接続される流入側流路及び流出側流路のうち少なくともいずれか一方に装着することを特徴とする弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−207781(P2006−207781A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24278(P2005−24278)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【Fターム(参考)】