説明

引き違い戸およびその製法

【課題】比較的容易に製造することができ、かつ経年変化が生じにくく、住宅の雰囲気に調和した、引き違い戸を提供する。
【解決手段】この引き違い戸10は、閉じた位置において隣り合う戸先14,34が、斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面16,36が形成され、戸は、芯材50と芯材の外表面を覆う表面材52とを有し、芯材50は、戸先側先端に斜面部54aが形成された戸先側芯材54と、戸の後端側を形成する後端側芯材56とを有し、表面材52は、可撓性を有する表面シート60と、前記表面シート60の裏面側に設けられた表面板材62,64,66,68とを有し、前記表面材52は、表面板材62,64,66,68の斜め対向面を接近させるように表面シート60が折り曲げられ、表面板材62,64,66,68が戸先側芯材54の外表面に貼着されて、隣り合う戸先に、斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面16,36が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、家の部分の仕切りをするための戸としてとりつけられて用いられ、または、クローゼットドアーなどのような作り付け家具のドアーとして用いられる、引き違い戸およびその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、閉じた位置においてフラット配置(平面配置)された引き違い戸がいくつか提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−23539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の閉じた位置においてフラット配置(平面配置)された引き違い戸は、金属製であり、たとえば木造住宅や木調の家などにおいては、機能的には金属製でもよいが、やはり、その他の部分と調和した木質感のある引き違い戸が求められている。
しかも、室内の戸としては、開閉間仕切り、クローゼットドアー等に用いる場合、表面がきれいで反りなどの経年変化を生じることがなく、しかも、製造段階において加工がしやすく製造に手間がかからないようにしなければならないといった要望がある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、比較的容易に製造することができ、かつ経年変化が生じにくく、住宅の雰囲気に調和した、引き違い戸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1にかかる引き違い戸は、閉じた位置においてフラット配置(平面)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成された引き違い戸において、閉じた位置において隣り合う戸先が、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成され、戸は、芯材と芯材の外表面を覆う表面材とを有し、芯材は、戸先側先端に斜面部が形成され、該戸先に続く表側面及び裏側面が略平面に形成された戸先側芯材と、戸の後端側を形成する後端側芯材とを有し、表面材は、可撓性を有する表面シートと、前記表面シートの裏面側に設けられた表面板材とを有し、前記表面板材は、少なくとも、芯材の戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角部及び戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角部の間の長さ及び貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成され、前記表面材は、表面板材の斜め対向面を接近させるように表面シートが折り曲げられ、表面板材が戸先側芯材の外表面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成された、引き違い戸である。
この発明の請求項2にかかる引き違い戸は、前記戸先側芯材は、略平面状表側面に略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部と、該戸先稜角面部に続いて、裏側面に到る斜面部とを有し、前記表面板材は、少なくとも、戸先側芯材における、表側面と戸先稜角面部との境界の角部、該戸先稜角面部とそれに続く斜面部との境界の角部及び該斜面部と裏側面との境界の角部の間の長さ及び戸先側芯材における貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された、請求項1に記載の引き違い戸である。
この発明の請求項3にかかる引き違い戸は、表面材は、戸先側芯材と後端側芯材との間に跨って、平面状に架設された、請求項1または2に記載の引き違い戸である。
この発明の請求項4にかかる引き違い戸は、表面板材は、芯材側の貼着面と表面シート側の面とが平行な平面状に形成され、芯材の前記境界の角部に対応した位置において、芯材の貼着面に対応した貼着面より表面シート側の面に向けて切削されてなる断面V字型の斜め対向面が形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の引き違い戸である。
この発明の請求項5にかかる引き違い戸は、引き違い戸は、左右一対で形成され、閉位置から開位置に移動させるときに斜め前方に移動する一方の引き違い戸は、戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角度が鋭角に形成されるとともに、他方の引き違い戸は、戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角度が鋭角に形成された、請求項1ないし4のいずれかに記載の引き違い戸である。
この発明の請求項6にかかる引き違い戸の製法は、閉じた位置においてフラット配置(平面)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成された引き違い戸の製法において、戸先側先端に斜面部が形成され、該戸先に続く表側面及び裏側面が略平面に形成された戸先側芯材と、戸の後端側を形成する後端側芯材とを有する芯材を形成する、芯材を形成するステップと、可撓性を有する表面シートの裏面側に、少なくとも、芯材の戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角部及び戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角部の間の長さ及び貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された表面板材を形成する、表面材を形成するステップと、前記表面材は、表面板材の斜め対向面を接近させるように表面シートが折り曲げられ、表面板材を戸先側芯材の外表面に貼着して、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面を形成する、戸を形成するステップとを含む、引き違い戸の製法である。
この発明の請求項7にかかる引き違い戸の製法は、前記戸先側芯材は、略平面状表側面に略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部と、該戸先稜角面部に続いて、裏側面に到る斜面部とを有し、前記表面板材は、少なくとも、戸先側芯材における、表側面と戸先稜角面部との境界の角部、該戸先稜角面部とそれに続く斜面部との境界の角部及び該斜面部と裏側面との境界の角部の間の長さ及び戸先側芯材における貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された、請求項6に記載の引き違い戸の製法である。
この発明の請求項8にかかる引き違い戸の製法は、芯材の前記境界の角部に対応した位置において、芯材の貼着面に対応した貼着面より表面シート側の面に向けて切削して断面V字型の斜め対向面を形成して、表面板材を形成する、請求項6または7に記載の引き違い戸の製法である。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、閉じた位置において隣り合う戸先が、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成され、戸は、芯材と芯材の外表面を覆う表面材とを有し、芯材は、戸先側先端に斜面部が形成され、該戸先に続く表側面及び裏側面が略平面に形成された戸先側芯材と、戸の後端側を形成する後端側芯材とを有し、表面材は、可撓性を有する表面シートと、前記表面シートの裏面側に設けられた表面板材とを有し、前記表面板材は、少なくとも、芯材の戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角部及び戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角部の間の長さ及び貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成され、前記表面材は、表面板材の斜め対向面を接近させるように表面シートが折り曲げられ、表面板材が戸先側芯材の外表面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されているので、閉じた位置においてフラット配置(平面)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成された引き違い戸を比較的容易に製造することができ、かつ経年変化が生じにくく、住宅の雰囲気に調和した、引き違い戸を得ることができる。
請求項2の発明によれば、前記戸先側芯材は、略平面状表側面に略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部と、該戸先稜角面部に続いて、裏側面に到る斜面部とを有し、前記表面板材は、少なくとも、戸先側芯材における、表側面と戸先稜角面部との境界の角部、該戸先稜角面部とそれに続く斜面部との境界の角部及び該斜面部と裏側面との境界の角部の間の長さ及び戸先側芯材における貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成されているので、戸先が先鋭になることなく、且つ閉じた位置において隣り合う戸先の間に空間が形成されて、戸先において左右の戸が密着しなくても、不自然さを感じることはない。
請求項3の発明によれば、表面材は、戸先側芯材と後端側芯材との間に跨って、平面状に架設されているので、表面がフラットな戸を得ることができる。
請求項4の発明によれば、表面板材は、芯材側の貼着面と表面シート側の面とが平行な平面状に形成され、芯材の前記境界の角部に対応した位置において、芯材の貼着面に対応した貼着面より表面シート側の面に向けて切削されてなる断面V字型の斜め対向面が形成されているので、芯材の角部に沿わせて、表面板材を芯材の外表面に、密着させて貼着することができる。
請求項5の発明によれば、引き違い戸は、左右一対で形成され、閉位置から開位置に移動させるときに斜め前方に移動する一方の引き違い戸は、戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角度が鋭角に形成されるとともに、他方の引き違い戸は、戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角度が鋭角に形成されているので、その角度に対応して、左右の引き違い戸を開閉できる。
請求項6の発明によれば、戸先側先端に斜面部が形成され、該戸先に続く表側面及び裏側面が略平面に形成された戸先側芯材と、戸の後端側を形成する後端側芯材とを有する芯材を形成する、芯材を形成するステップと、可撓性を有する表面シートの裏面側に、少なくとも、芯材の戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角部及び戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角部の間の長さ及び貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された表面板材を形成する、表面材を形成するステップと、前記表面材は、表面板材の斜め対向面を接近させるように表面シートが折り曲げられ、表面板材を戸先側芯材の外表面に貼着して、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面を形成する、戸を形成するステップとを含むので、閉じた位置においてフラット配置(平面)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成された引き違い戸を比較的容易に製造することができる。
請求項7の発明によれば、前記戸先側芯材は、略平面状表側面に略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部と、該戸先稜角面部に続いて、裏側面に到る斜面部とを有し、前記表面板材は、少なくとも、戸先側芯材における、表側面と戸先稜角面部との境界の角部、該戸先稜角面部とそれに続く斜面部との境界の角部及び該斜面部と裏側面との境界の角部の間の長さ及び戸先側芯材における貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成されているので、製造された戸は、戸先が先鋭になることなく、且つ閉じた位置において隣り合う戸先の間に空間が形成されて、戸先において左右の戸が密着しなくても、不自然さを感じることはない。
請求項8の発明によれば、芯材の前記境界の角部に対応した位置において、芯材の貼着面に対応した貼着面より表面シート側の面に向けて切削して断面V字型の斜め対向面を形成して、表面板材を形成するので、芯材の角部に沿わせて、表面板材を芯材の外表面に、密着させて貼着することができる。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明の一実施の形態である引き違い戸装置の正面図解図であり、図2は、この発明の一実施の形態である引き違い戸装置の平面図解図であり、図3は、この発明の一実施の形態である引き違い戸の断面図解図である。
図4ないし図8は、この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す図解図である。
【0009】
この引き違い戸装置は、引き違い戸10を備え、引き違い戸10は、室内ドア、開閉間仕切りあるいはクローゼットドアーのドアーとして用いることができる。特にクローゼットドアーのドアーとして用いるに好適なものであり、閉じた位置において、並置された戸をフラット配置(平面配置)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成されている。
引き違い戸10には、走行ユニットが取り付けられ、走行ユニットのレールに沿って走行させることによって、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成されている。
【0010】
引き違い戸10は、左右一対で形成され、閉じた位置においてフラット配置(平面配置)されたとき隣り合う引き違い戸10の部分的に重なり合う戸先が、引き違い時において障害となることなく前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
【0011】
すなわち、閉位置から開位置に移動させるときに斜め前方に移動する一方の引き違い戸12(すなわち引きスライド扉202)は、戸先部14の戸先側先端の斜面部16と該戸先側先端の斜面部16に続く表側面18との境界の角度が鋭角(30°ないし60°)に形成され、戸先側先端の斜面部16と該戸先側先端の斜面部16に続く裏側面20との境界の角度が鈍角に形成されるとともに、他方の引き違い戸32(すなわちスライド扉204)は、戸先部34の戸先側先端の斜面部36と該戸先側先端の斜面部36に続く表側面38との境界の角度が鈍角に形成され、戸先側先端の斜面部36と該戸先側先端の斜面部36に続く裏側面40との境界の角度が鋭角(30°ないし60°)に形成されている。
【0012】
引き違い戸12は、図3ないし図7で示すように、芯材50と芯材50の外表面を覆う表面材52とを有し、表面材52は、芯材50の表面すなわち戸先側芯材54と後端側芯材56との間に跨って、平面状に架設されている。
【0013】
芯材50は、戸先側先端を形成する角柱状戸先側芯材54と、引き違い戸10の後端側を形成する角柱状後端側芯材56とを有する。
戸先側芯材54は、戸先側先端に斜面部54aが形成され、該戸先側先端の斜面部54aに続く表側面54b及び裏側面54cが略平面に形成されている。
前記戸先側芯材54は、略平面状表側面54bに、略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部54dと、該戸先稜角面部54dに続いて、裏側面54cに到る斜面部54aとを有する。
後端側芯材56は、戸先側芯材54の表側面54bと裏側面54cとの間の長さと同一の長さの厚さを有し、略平面状の表側面56bと略平面状の裏側面56cを備え、表側面56bと裏側面56cの後端縁には、表側面56b及び裏側面56cと略90゜の角度をもって連設された稜角面部56dが形成され、全体として断面略方形の角柱状に形成されている。
【0014】
芯材50の戸先側芯材54は、斜面部54aと裏側面54cとの境界の角部54eと、斜面部54aと戸先稜角面部54dとの境界の角部54fと、戸先稜角面部54dと表側面54bとの境界の角部54gとを備える。
芯材50の後端側芯材56は、表側面56bと稜角面部56dとの境界の角部56eと、裏側面56cと稜角面部56dとの境界の角部56fとを備える。
【0015】
芯材50は、図7で示すように、単板積層材(LVL;ラミネーテッドベニヤランバー)、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)、パーティクルボード等が略角柱状に成形され、この芯材50は、左右一対の戸先側芯材54と後端側芯材56との間に架設体58が架け渡されてなり、戸先側芯材54がそり等の防止目的により単板積層材(LVL;ラミネーテッドベニヤランバー)で形成されており、後端側芯材56と架設体58とがミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)等で形成されている。
【0016】
表面材52は、図3ないし図6で示すように、可撓性を有し、その表面に天然木の木目調の印刷模様等の天然系素材に近い模様を有する表面シート60と、前記表面シート60の裏面側に設けられた第1表面板材62、第2表面板材64及び第3表面板材66とを有する。
前記第1表面板材62、第2表面板材64及び第3表面板材66は、少なくとも、芯材50の戸先側先端の斜面部54aと該戸先側先端の斜面部54aに続く表側面54bとの境界の角部ならびに戸先側先端の斜面部54aと該戸先側先端の斜面部54aに続く裏側面54cとの境界の角部の間の長さ及び貼着面たる表側面54b及び裏面側54cの表面に対応した貼着面62a、貼着面64a、貼着面66aが形成されている。
【0017】
第1表面板材62は、芯材50側の貼着面と表面シート60側の面とが平行な平面状に形成され、芯材50の前記境界の角部54e及び角部54fに対応した位置において、芯材50の貼着面に対応した貼着面62aより表面シート60側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面62b、斜め対向面62cが形成されている。
第2表面板材64は、芯材50側の貼着面64aと表面シート60側の面とが平行な平面状に形成され、芯材50の前記境界の角部54g及び角部56eに対応した位置において、芯材50の貼着面に対応した貼着面64aより表面シート60側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面64b、斜め対向面64cが形成されている。
第3表面板材66は、芯材50側の貼着面と表面シート60側の面とが平行な平面状に形成され、芯材50の前記境界の角部54e及び角部56fに対応した位置において、芯材50の貼着面に対応した貼着面66aより表面シート60側の面に向けて断面V字型に切削されてなる対向面66b、斜め対向面66cが形成されている。
【0018】
第4表面板材68は、少なくとも、戸先側芯材54における、表側面54bと戸先稜角面部54dとの境界の角部54g、該戸先稜角面部54dとそれに続く斜面部54aとの境界の角部54fの間の長さ及び戸先側芯材54における貼着面に対応した貼着面68aが形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面68b、斜め対向面68cが形成されている。
【0019】
第5表面板材70は、芯材50側の貼着面と表面シート60側の面とが平行な平面状に形成され、芯材50の前記境界の角部56e及び角部56fに対応した位置において、芯材50の貼着面に対応した貼着面70aより表面シート60側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面70b、斜め対向面70cが形成されている。
第6表面板材72は、芯材50側の貼着面と表面シート60側の面とが平行な平面状に形成され、芯材50の前記境界の角部56fに対応した位置において、芯材50の貼着面に対応した貼着面72aより表面シート60側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面72bが形成されるとともに、第7表面板材74との対向面72cが形成されている。
第7表面板材74は、芯材50側の貼着面と表面シート60側の面とが平行な平面状に形成され、芯材50の前記裏面に対応した位置において、芯材50の貼着面に対応した貼着面74aより表面シート60側の面に向けて切削されてなる対向面74b、対向面74cが形成されている。
【0020】
更に、第1表面板材62及び第4表面板材68は、図5及び図6において示すように、前記戸先側芯材54の境界の角部54fに対応した角度を有するその両端の斜め対向面62cと斜め対向面68bとを接近させるように表面シート60が折り曲げられ、第1表面板材62及び第4表面板材68は、戸先側芯材54の外表面の貼着面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
更に、第1表面板材62及び第3表面板材66は、図5及び図6において示すように、前記戸先側芯材54の境界の角部54eに対応した角度を有するその両端の斜め対向面62bと斜め対向面66cとを接近させるように表面シート60が折り曲げられ、第1表面板材62及び第3表面板材66は、戸先側芯材54の外表面の貼着面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
更に、第2表面板材64及び第4表面板材68は、図5及び図6において示すように、前記戸先側芯材54の境界の角部54gに対応した角度を有するその両端の斜め対向面64bと斜め対向面68cとを接近させるように表面シート60が折り曲げられ、第2表面板材64及び第4表面板材68は、戸先側芯材54の外表面の貼着面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
【0021】
更に、第2表面板材64及び第5表面板材70は、図5及び図6において示すように、前記後端側芯材56の境界の角部56eに対応した角度を有するその両端の斜め対向面64cと斜め対向面70bとを接近させるように表面シート60が折り曲げられ、第2表面板材64及び第5表面板材70は後端側芯材56の外表面の貼着面に貼着されて、後端側稜角面部を形成している。
更に、第5表面板材70及び第6表面板材72は、図5及び図6において示すように、前記後端側芯材56の境界の角部56fに対応した角度を有するその両端の斜め対向面70cと斜め対向面72bとを接近させるように表面シート60が折り曲げられ、第5表面板材70及び第6表面板材72は、後端側芯材56の外表面の貼着面に貼着されて、後端側稜角面部を形成している。
【0022】
第3表面板材66及び第7表面板材74は、対向面66b及び対向面74bが対向するようにして、戸先側芯材54の裏面側外表面に貼着されて、引き違い戸12の平面状裏面が形成されている。
更に、第6表面板材72及び第7表面板材74は、対向面72c及び対向面74cが対向するようにして、後端側芯材56の裏面側外表面の貼着面に貼着されて、引き違い戸12の平面状裏面が形成されている。
【0023】
表面材52は、第2表面板材64の後端側をもって後端側芯材56の表側面56bに貼着されている。
更に、表面材52は、第2表面板材64に続いて、第5表面板材70及び第6表面板材72が連設されている。
第5表面板材70は、後端側芯材56の稜角面部56dに貼着され、第6表面板材72は、後端側芯材56の裏側面56cに貼着される。
【0024】
表面シート60としては、塩化ビニル,オレフィンなどのプラスチックシート、不織布の表面に天然木のつき板単板を貼着した突き板シート、樹脂含浸紙が適する。
表面シート60は、可撓性を有しており、第1表面板材62、第2表面板材64、第3表面板材66、第4表面板材68、第5表面板材70、第6表面板材72が外周面に接着剤で密着されており、前記芯材50の戸先側芯材54および後端側芯材56の貼着面に沿っても密に接着されている。
【0025】
もう一方の引き違い戸32は、図7ないし図10で示すように、芯材150と芯材150の外表面を覆う表面材152とを有し、表面材152は、芯材150の表面すなわち戸先側芯材154と後端側芯材156との間に跨って、平面状に架設されている。
【0026】
芯材150は、戸先側先端を形成する角柱状戸先側芯材154と、引き違い戸110の後端側を形成する角柱状後端側芯材156とを有する。
戸先側芯材154は、戸先側先端に斜面部154aが形成され、該戸先側先端の斜面部154aに続く表側面154c及び裏側面154bが略平面に形成されている。
前記戸先側芯材154は、略平面状表側面154cに、略190度の角度をもって連設された戸先稜角面部154dと、該戸先稜角面部154dに続いて、裏側面154bに到る斜面部154aとを有する。
後端側芯材156は、戸先側芯材154の表側面154cと裏側面154bとの間の長さと同一の長さの厚さを有し、略平面状の表側面156cと略平面状の裏側面156bを備え、表側面156cと裏側面156bの後端縁には、表側面156c及び裏側面156bと略90゜の角度をもって連設された稜角面部156dが形成され、全体として断面略方形の角柱状に形成されている。
【0027】
芯材150の戸先側芯材154は、斜面部154aと表側面154cとの境界の角部154eと、斜面部154aと戸先稜角面部154dとの境界の角部154fと、戸先稜角面部154dと裏側面154bとの境界の角部154gとを備える。
芯材150の後端側芯材156は、裏側面156bと稜角面部156dとの境界の角部156eと、表側面156cと稜角面部156dとの境界の角部156fとを備える。
【0028】
芯材150は、図7で示すように、単板積層材(LVL;ラミネーテッドベニヤランバー)、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)、パーティクルボード等が略角柱状に成形され、この芯材150は、左右一対の戸先側芯材154と後端側芯材156との間に架設体158が架け渡されてなり、戸先側芯材154がそり等の防止目的により単板積層材(LVL;ラミネーテッドベニヤランバー)で形成されており、後端側芯材156と架設体158とがミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)等で形成されている。
【0029】
表面材152は、図8ないし図10で示すように、可撓性を有し、その表面に天然木の木目調の印刷模様等の天然系素材に近い模様を有する表面シート160と、前記表面シート160の裏面側に設けられた第1表面板材162、第2表面板材164及び第3表面板材166とを有する。
前記第1表面板材162、第2表面板材164及び第3表面板材166は、少なくとも、芯材150の戸先側先端の斜面部154aと該戸先側先端の斜面部154aに続く表側面154cとの境界の角部ならびに戸先側先端の斜面部154aと該戸先側先端の斜面部154aに続く裏側面154bとの境界の角部の間の長さ及び貼着面たる表側面154c及び裏面側154bに対応した貼着面162a、貼着面164a、貼着面166aが形成されている。
【0030】
第1表面板材162は、芯材150側の貼着面と表面シート160側の面とが平行な平面状に形成され、芯材150の前記境界の角部154e及び角部154fに対応した位置において、芯材150の貼着面に対応した貼着面162aより表面シート160側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面162b、斜め対向面162cが形成されている。
第2表面板材164は、芯材150側の貼着面164aと表面シート160側の面とが平行な平面状に形成され、芯材150の前記境界の角部154gに対応した位置において、芯材150の貼着面に対応した貼着面164aより表面シート160側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面164bが形成されるとともに第7表面板材174との対向面164cが形成されている。
第3表面板材166は、芯材50側の貼着面と表面シート160側の面とが平行な平面状に形成され、芯材150の前記境界の角部154e及び角部156fに対応した位置において、芯材150の貼着面に対応した貼着面166aより表面シート160側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面166b、斜め対向面166cが形成されている。
【0031】
第4表面板材168は、少なくとも、戸先側芯材154における、裏側面154bと戸先稜角面部154dとの境界の角部154g、該戸先稜角面部154dとそれに続く斜面部154aとの境界の角部154fの間の長さ及び戸先側芯材154における貼着面に対応した貼着面168aが形成され、且つ前記境界の角部154g及び角部154fに対応した角度を有する斜め対向面168c、斜め対向面168bが形成されている。
【0032】
第5表面板材170は、芯材150側の貼着面と表面シート160側の面とが平行な平面状に形成され、芯材150の前記境界の角部156f及び角部156eに対応した位置において、芯材150の貼着面に対応した貼着面170aより表面シート160側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面170b、斜め対向面170cが形成されている。
第6表面板材172は、芯材150側の貼着面と表面シート160側の面とが平行な平面状に形成され、芯材150の前記境界の角部156eに対応した位置において、芯材150の貼着面に対応した貼着面172aより表面シート160側の面に向けて断面V字型に切削されてなる斜め対向面172bが形成されるとともに、第7表面板材174との対向面172cが形成されている。
第7表面板材174は、芯材150側の貼着面と表面シート160側の面とが平行な平面状に形成され、芯材150の前記裏面に対応した位置において、芯材150の貼着面に対応した貼着面174aより表面シート160側の面に向けて切削されてなる対向面174b、対向面174cが形成されている。
【0033】
更に、第1表面板材162及び第4表面板材168は、図9及び図10において示すように、前記戸先側芯材154の境界の角部に対応した角度を有するその両端の斜め対向面162cと斜め対向面168bとを接近させるように表面シート160が折り曲げられ、第1表面板材162及び第4表面板材168は、戸先側芯材154の外表面の貼着面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
更に、第1表面板材162及び第3表面板材166は、図9及び図10において示すように、前記戸先側芯材154の境界の角部に対応した角度を有するその両端の斜め対向面162bと斜め対向面166cとを接近させるように表面シート160が折り曲げられ、第1表面板材162及び第3表面板材166は、戸先側芯材154の外表面の貼着面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
更に、第2表面板材164及び第4表面板材168は、図9及び図10において示すように、前記戸先側芯材154の境界の角部に対応した角度を有するその両端の斜め対向面164bと斜め対向面168cとを接近させるように表面シート160が折り曲げられ、第2表面板材164及び第4表面板材168は、戸先側芯材154の外表面の貼着面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成されている。
【0034】
更に、第3表面板材166及び第5表面板材170は、図9及び図10において示すように、前記後端側芯材156の境界の角部に対応した角度を有するその両端の斜め対向面166bと斜め対向面170bとを接近させるように表面シート160が折り曲げられ、第3表面板材166及び第5表面板材170は後端側芯材56の外表面の貼着面に貼着されて、後端側稜角面部を形成している。
更に、第5表面板材170及び第6表面板材172は、図9及び図10において示すように、前記後端側芯材156の境界の角部に対応した角度を有するその両端の斜め対向面170cと斜め対向面172bとを接近させるように表面シート160が折り曲げられ、第5表面板材170及び第6表面板材172は、後端側芯材156の外表面の貼着面に貼着されて、後端側稜角面部を形成している。
【0035】
第2表面板材164及び第7表面板材174は、斜め対向面164c及び対向面174cが対向するようにして、戸先側芯材154の裏面側外表面に貼着されて、引き違い戸32の平面状裏面が形成されている。
更に、第6表面板材172及び第7表面板材174は、対向面172c及び対向面174bが対向するようにして、後端側芯材156の裏面側外表面の貼着面に貼着されて、引き違い戸32の平面状裏面が形成されている。
【0036】
表面材152は、第3表面板材166の後端側をもって後端側芯材156の表側面156cに貼着されている。
更に、表面材152は、第3表面板材166に続いて、第5表面板材170及び第6表面板材172が連設されている。
第5表面板材170は、後端側芯材156の稜角面部156dに貼着され、第6表面板材172は、後端側芯材156の裏側面156bに貼着される。
【0037】
表面シート160としては、塩化ビニル,オレフィンなどのプラスチックシート、不織布の表面に天然木のつき板単板を貼着した突き板シート、樹脂含浸紙が適する。
表面シート160は、可撓性を有しており、第1表面板材162、第2表面板材164、第3表面板材166、第4表面板材168、第5表面板材170、第6表面板材172が外周面に接着剤で密着されており、前記芯材150の戸先側芯材154および後端側芯材156の貼着面に沿っても密に接着されている。
【0038】
次に、前記した引き違い戸などの枠材の製造方法について、主として図4ないし図10に基づいて説明する。
まず、単板積層材(LVL;ラミネーテッドベニヤランバー)からなる戸先側芯材54、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)と単板積層材(LVL;ラミネーテッドベニヤランバー)からなる後端側芯材56との間に、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)、パーティクルボードからなる架設体58を固定して、芯材50を準備する。
いずれにしても、この芯材50は、芯材全体の反りを防止することができるようにしなければならないので、単板積層材が適しているが、その他この単板積層材とファイバーボード,パーティクルボードを混ぜて用いるようにしてもよい。
【0039】
次に、断面略台形状の第1表面板材62、第2表面板材64、第3表面板材66、第4表面板材68、第5表面板材70及び第6表面板材72の材料となるたとえばミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)の板材からなる表面板材素材80を準備し、その一方表面に塩化ビニル,オレフィンなどの可撓性を有する表面シート60を貼着する。
そして、表面シート60に向けて表面シート60の裏面に達する深さで、表面板材素材80に、前記芯材50の境界の角部54e、角部54f、角部54g、角部56e及び角部56fに対応した傾斜角のVカット加工を施して、その両端に斜め対向面62b、斜め対向面62c、斜め対向面64b、斜め対向面64c、斜め対向面66c、斜め対向面68b、斜め対向面68c、斜め対向面70b、斜め対向面70c、斜め対向面72bを形成する。
Vカット加工とは、表面板材素材80の裏面から断面V字型の溝を表面シート60の寸前まで切削し、断面V字型の溝を作る方法をいう。
Vカット加工を施す位置は、芯材50の各角部54e、角部54f、角部54g、角部56e及び角部56f間の長さに対応した位置とし、Vカット加工を施して形成されるV字溝によって形成される斜め対向面62bと斜め対向面66c、斜め対向面62cと斜め対向面68b、斜め対向面64bと斜め対向面68c、斜め対向面64cと斜め対向面70b、斜め対向面70cと斜め対向面72bのなす角度は、芯材50の角部54e、角部54f、角部54g、角部56e及び角部56fに対応した傾斜角を構成するようにVカット加工を施す。
たとえば、芯材50の角部54eに対応する斜め対向面66cと斜め対向面62bとのなすV字溝は、30°の二等辺三角形で、芯材50の角部54fに対応する斜め対向面62cと斜め対向面68bとのなすV字溝は、60°の二等辺三角形で、芯材50の角部54gに対応する斜め対向面68cと斜め対向面64bとのなすV字溝は、60°の二等辺三角形である。
【0040】
而して、一枚の表面シート60の裏面に、第3表面板材66,第1表面板材62,第2表面板材64,第5表面板材70及び第6表面板材72が貼着された、表面材52が形成される。
そして、前記断面略台形状の第1表面板材62は、角柱状芯材50の斜面部54aの長さおよび外周面に一致した貼着面62aが形成され、該貼着面62aより斜めに拡開する斜め対向面62b,斜め対向面62cが形成される。
【0041】
第2表面板材64を、芯材50の戸先側芯材54及び後端側芯材56の表面側表面に結合させ、斜め対向面64bを戸先側芯材54の角部54gに合致させ且つ斜め対向面64cを後端側芯材56の角部56eに合致させて、接着剤で貼着する。
次に、図6に示すように、第4表面板材68を、戸先側芯材54の戸先稜角面54dの表面に接合させ、斜め対向面68cを、角部54gに合致させ且つ斜め対向面68bを角部54fに合致させて、接着剤で貼着する。
次に、図4ないし図6に示すように、芯材50の外周面を被覆するために、芯材50の斜面部54aに断面略台形状の第1表面板材62の貼着面62aを接合させ、斜め対向面62bを戸先側芯材54の角部54eに合致させて貼着する。
すなわち、断面略台形状の第1表面板材62の貼着面62a(表面シート60が貼着された面とは反対側の面)を芯材50の斜面部54aに対応させて適宜接着剤で接着する。
次に、図6に示すように、第3表面板材66を芯材50の裏面に対応させて、第3表面板材66を適宜接着剤で接着する。
また、第5表面板材70を、後端側芯材56の稜角面部56dの表面に接合させ、斜め対向面70bを角部56eに合致させ且つ斜め対向面70cを角部56fに合致させて、接着剤で貼着する。更に、第6表面板材72を、後端側芯材56の裏側面56cの表面に接合させ、斜め対向面72bを角部56fに合致させて接着剤で貼着する。
更に第7表面板材74を戸先側芯材54及び後端側芯材56の裏面側表面に接合させ、対向面74bを第3表面板材66の対向面66bに対向させ且つ対向面74cを第6表面板材72の対向面72cに対向させて、接着剤で貼着する。
【0042】
次に、引き違い戸32を製造するために、断面略台形状の第1表面板材162、第2表面板材164、第3表面板材166、第4表面板材168、第5表面板材170及び第6表面板材172の材料となるたとえばミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)の板材からなる表面板材素材180を準備し、その一方表面に塩化ビニル,オレフィンなどの可撓性を有する表面シート160を貼着する。
そして、表面シート160に向けて表面シート160の裏面に達する深さで、表面板材素材180に、前記芯材150の境界の角部154e、角部154f、角部154g、角部156e及び角部156fに対応した傾斜角のVカット加工を施して、その両端に斜め対向面162b、斜め対向面162c、斜め対向面164b、斜め対向面164c、斜め対向面166c、斜め対向面168b、斜め対向面168c、斜め対向面170b、斜め対向面170c、斜め対向面172bを形成する。
Vカット加工とは、表面板材素材180の裏面から断面V字型の溝を表面シート160の寸前まで切削し、断面V字型の溝を作る方法をいう。
Vカット加工を施す位置は、芯材150の各角部154e、角部154f、角部154g、角部156e及び角部156f間の長さに対応した位置とし、Vカット加工を施して形成されるV字溝によって形成される斜め対向面162bと斜め対向面166c、斜め対向面162cと斜め対向面168b、斜め対向面164bと斜め対向面168c、斜め対向面166bと斜め対向面170b、斜め対向面170cと斜め対向面172bのなす角度は、芯材150の角部154e、角部154f、角部154g、角部156f及び角部156eに対応した傾斜角を構成するようにVカット加工を施す。
たとえば芯材150の角部154eに対応する斜め対向面166cと斜め対向面162bとのなすV字溝は、30°の二等辺三角形で、芯材150の角部154fに対応する斜め対向面162cと斜め対向面168bとのなすV字溝は、60°の二等辺三角形で、芯材150の角部154gに対応する斜め対向面168cと斜め対向面164bとのなすV字溝は、60°の二等辺三角形である。
【0043】
而して、一枚の表面シート160の裏面に、第3表面板材166,第1表面板材162,第2表面板材164,第5表面板材170及び第6表面板材172が貼着された、表面材152が形成される。
そして、前記断面略台形状の第1表面板材162は、角柱状芯材150の斜面部154aの長さおよび外周面に一致した貼着面162aが形成され、該貼着面162aより斜めに拡開する斜め対向面162b,斜め対向面162cが形成される。
【0044】
第3表面板材166を、図9に示すように、芯材150の戸先側芯材154及び後端側芯材156の裏面側表面に結合させ、斜め対向面166cを戸先側芯材154の角部154eに合致させ且つ斜め対向面166bを後端側芯材156の角部156fに合致させて、接着剤で貼着する。
次に、図10に示すように、第1表面板材162を、戸先側芯材154の斜面部154aの表面に接合させ、斜め対向面162bを、角部154eに合致させ且つ斜め対向面162cを角部154fに合致させて、接着剤で貼着する。
次に、図8ないし図10に示すように、芯材150の外周面を被覆するために、芯材150の戸先稜角面部154dに断面略台形状の第4表面板材168の貼着面168aを接合させ、斜め対向面168bを戸先側芯材154の角部154fに、斜め対向面168cを戸先側芯材154の角部154gに合致させて貼着する。
すなわち、断面略台形状の第1表面板材162の貼着面162a(表面シート160が貼着された面とは反対側の面)を芯材150の斜面部154aに対応させて適宜接着剤で接着する。
次に、図10に示すように、第2表面板材164を芯材150の裏面に接合させ、斜め対向面164bを角部154gに合致させて、第2表面板材164を適宜接着剤で接着する。
また、第5表面板材170を、後端側芯材156の稜角面部156dの表面に接合させ、斜め対向面170bを角部156fに合致させ且つ斜め対向面170cを角部156eに合致させて、接着剤で貼着する。更に、第6表面板材172を後端側芯材156の裏側面156bの表面に接合させ、斜め対向面172bを角部156eに合致させて接着剤で接着する。
更に第7表面板材174を戸先側芯材154及び後端側芯材156の裏面側表面に接合させ、対向面174cを第3表面板材166の対向面164cに対向させ且つ対向面174bを第6表面板材172の対向面172cに対向させて、接着剤で貼着する。
【0045】
この引き違い戸10は、引きスライド扉202とスライド扉204とによって一組の引き違い戸が構成され、引きスライド扉202とスライド扉204とは、閉める状態においてはフラット面を構成し、両引き違い戸の各表面が面一に並ぶ状態となるように構成されている。
引き違い状態のときは、引きスライド扉202は、引きスライド扉202の前面に平行移動するように構成され、後ろ側のスライド扉204は、引きスライド扉202の後ろ側に平行移動するように構成されている。
【0046】
引きスライド扉202は、その上部において左右二箇所に分かれて設けられた上扉支持体212と下扉支持体214とを備えている。
【0047】
また、スライド扉204は、その上部において左右に分かれて設けられた上扉支持体216とその下部において左右に分かれて設けられた下扉支持体218とを備える。
【0048】
引きスライド扉202の上扉支持体212及びスライド扉204の上扉支持体216は、上レール装置220に移動自在に固定され、引きスライド扉202の下扉支持体214及びスライド扉204の下扉支持体218は、下レール装置240に移動自在に固定される。
上レール装置220は、住宅の開口部又はクローゼット等の家具の開口部の上横材に敷設され、下レール装置240は、住宅の開口部又はクローゼット等の家具の開口部の下横材に敷設される。
【0049】
上レール装置220は、上横材の下面に固定されたレールブラケット222を備え、レールブラケット222の前側には、上・前ガイドレール224を備え、上・前ガイドレール224は、横方向に掛け渡された上ガイドレール支持体226に前後方向に回動自在に固定される。
【0050】
上扉支持体212は、引きスライド扉202の上部に固定された支持腕212aの上部に回転自在に固定されたローラ212bと、支持腕212aの上部に固定された案内体212cと備える。
上扉支持体212のローラ212bは、上・前ガイドレール224の上部に移動自在に支持されている。
また、上扉支持体212の案内体212cは、上横材の終端、この実施の形態においては右端に設けられたレールロック機構228を構成する案内ブロック232のガイド溝232aに嵌合される。案内ブロック232は、レールブラケット222に枢軸232bによって上下方向に回動自在に固定されており、上扉支持体212の案内体212cは、案内ブロック232のガイド溝232aによって右端に至るに従って奥側に向けて移動されるとともに、ガイド溝232aに沿って奥に向かうに従って案内体212cが上方に案内ブロック232を持ち上げるように、移動する。
【0051】
上・前ガイドレール224は、上扉支持体212の案内体212cが案内ブロック232のガイド溝232aに沿って奥側に向けて案内されるにしたがって、案内ブロック232が上ガイドレール支持体226において奥側に向けて回動する。
上ガイドレール224は、レールロック機構228によって適宜な位置に固定される。
【0052】
上レール装置220の上・奥ガイドレール230は、レールブラケット222の奥側に付設されている。
上・奥ガイドレール230は、スライド扉204の上扉支持体216を構成する支持腕216aの上部に回転自在に固定されたローラ216bを移動自在に支持するように固定されている。
【0053】
下レール装置240は、前記上横材と平行に設けられた下横材の上面に敷設されている。
下レール装置240は、引きスライド扉202を案内する下・前ガイドレール242とスライド扉204を案内する下・奥ガイドレール244とを備える。
下・前ガイトレール242は、下・奥ガイドレール244とほぼ平行に主路248a及び主路248bが設けられ、下・前ガイドレール242は、下・奥ガイドレール244の中央付近と、下・奥ガイドレール244の左端近傍とにおいて、下・奥ガイドレール244に向けて傾斜し接近する転換路246aおよび転換路246bが設けられている。
転換路246a及び転換路246bは、主路248a及び主路248bと約60度の角度をなして斜め方向において奥側または前側に向けて引きスライド扉202を案内するように、引きスライド扉202の幅よりやや狭い間隔をおいて、左右に分離して形成されている。
【0054】
下レール装置240の下・前ガイドレール242及び下・奥ガイドレール244は、引きスライド扉202の下扉支持体214及びスライド扉204の下扉支持体218を軌道に沿って案内するように、下扉支持体214の下面に突設された振止具214a及び下扉支持体218の下面に突設された振止具218aを挟んで脱輪を防ぐために、レール溝242a及びレール溝244aの開口縁に突縁242b及び突縁244bが形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施の形態である引き違い戸装置の正面図解図である。
【図2】この発明の一実施の形態である引き違い戸装置の平面図解図である。
【図3】この発明の一実施の形態である引き違い戸の断面図解図である。
【図4】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す断面図解図である。
【図5】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す断面図解図である。
【図6】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す断面図解図である。
【図7】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材を示す図解図である。
【図8】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す断面図解図である。
【図9】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す断面図解図である。
【図10】この発明の一実施の形態である戸を構成する芯材及び表面材の製造工程を示す断面図解図である。
【図11】図1図示戸の閉めた状態の平面図解図である。
【図12】図1図示引き違い戸の引き状態の平面図解図である。
【図13】図1図示引き違い戸の下レールの平面図解図である。
【図14】引きスライド扉の上扉支持体の図解図である。
【図15】スライド扉の上扉支持体の図解図である。
【図16】閉める状態の断面図解図である。
【図17】引き状態の断面図解図である。
【図18】閉める状態の上扉支持体の断面図解図である。
【図19】引き状態の上扉支持体の断面図解図である。
【図20】上レール装置の平断面図解図である。
【図21】閉める状態の下扉支持体の断面図解図である。
【図22】引き状態の下扉支持体の断面図解図である。
【符号の説明】
【0056】
10 引き違い戸
12 引き違い戸(引きスライド扉202)
14 戸先部
16 斜面部
18 表側面
20 裏側面
32 引き違い戸(スライド扉204)
34 戸先部
36 斜面部
38 表側面
40 裏側面
50 芯材
52 表面材
54 戸先側芯材
54a 斜面部
54b 表側面
54c 裏側面
54d 戸先稜角面
54e,54f,54g 角部
56 後端側芯材
56b 表側面
56c 裏側面
56d 稜角面部
56e,56f 角部
58 架設体
60 表面シート
62 第1表面板材
62a 貼着面
62b 斜め対向面
62c 斜め対向面
64 第2表面板材
64a 貼着面
64b 斜め対向面
64c 斜め対向面
66 第3表面板材
66a 貼着面
66b 対向面
66c 斜め対向面
68 第4表面板材
68a 貼着面
68b 斜め対向面
68c 斜め対向面
70 第5表面板材
70a 貼着面
70b 斜め対向面
70c 斜め対向面
72 第6表面板材
72a 貼着面
72b 斜め対向面
72c 対向面
74 第7表面板材
74a 貼着面
74b 対向面
74c 対向面
80 表面板材素材
150 芯材
152 表面材
154 戸先側芯材
154a 斜面部
154b 裏側面
154c 表側面
154d 戸先稜角面
154e,154f,154g 角部
156 後端側芯材
156b 裏側面
156c 表側面
156d 稜角面部
156e,156f 角部
158 架設体
160 表面シート
162 第1表面板材
162a 貼着面
162b 斜め対向面
162c 斜め対向面
164 第2表面板材
164a 貼着面
164b 斜め対向面
164c 斜め対向面
166 第3表面板材
166a 貼着面
166b 斜め対向面
166c 斜め対向面
168 第4表面板材
168a 貼着面
168b 斜め対向面
168c 斜め対向面
170 第5表面板材
170a 貼着面
170b 斜め対向面
170c 斜め対向面
172 第6表面板材
172a 貼着面
172b 斜め対向面
172c 対向面
174 第7表面板材
174a 貼着面
174b 対向面
174c 対向面
202 引きスライド扉
212 上扉支持体
212a 支持腕
212b ローラ
212c 案内体
214 下扉支持体
214a 振止具
204 スライド扉
216 上扉支持体
216a 支持腕
216b ローラ
218 下扉支持体
218a 振止具
220 上レール装置
222 レールブラケット
224 上・前ガイドレール
226 上ガイドレール支持体
228 レールロック機構
230 上・奥ガイドレール
232 案内ブロック
232a ガイド溝
232b 枢軸
240 下レール装置
242 下・前ガイドレール
242a レール溝
244a レール溝
242b 突縁
244b 突縁
244 下・奥ガイドレール
246a,246b 転換路
248a,248b 主路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた位置においてフラット配置(平面)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成された引き違い戸において、
閉じた位置において隣り合う戸先が、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成され、
戸は、芯材と芯材の外表面を覆う表面材とを有し、
芯材は、戸先側先端に斜面部が形成され、該戸先に続く表側面及び裏側面が略平面に形成された戸先側芯材と、戸の後端側を形成する後端側芯材とを有し、
表面材は、可撓性を有する表面シートと、前記表面シートの裏面側に設けられた表面板材とを有し、
前記表面板材は、少なくとも、芯材の戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角部及び戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角部の間の長さ及び貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成され、
前記表面材は、表面板材の斜め対向面を接近させるように表面シートが折り曲げられ、表面板材が戸先側芯材の外表面に貼着されて、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面が形成された、引き違い戸。
【請求項2】
前記戸先側芯材は、略平面状表側面に略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部と、該戸先稜角面部に続いて、裏側面に到る斜面部とを有し、
前記表面板材は、少なくとも、戸先側芯材における、表側面と戸先稜角面部との境界の角部、該戸先稜角面部とそれに続く斜面部との境界の角部及び該斜面部と裏側面との境界の角部の間の長さ及び戸先側芯材における貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された、請求項1に記載の引き違い戸。
【請求項3】
表面材は、戸先側芯材と後端側芯材との間に跨って、平面状に架設された、請求項1または2に記載の引き違い戸。
【請求項4】
表面板材は、芯材側の貼着面と表面シート側の面とが平行な平面状に形成され、芯材の前記境界の角部に対応した位置において、芯材の貼着面に対応した貼着面より表面シート側の面に向けて切削されてなる断面V字型の斜め対向面が形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の引き違い戸。
【請求項5】
引き違い戸は、左右一対で形成され、
閉位置から開位置に移動させるときに斜め前方に移動する一方の引き違い戸は、戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角度が鋭角に形成されるとともに、他方の引き違い戸は、戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角度が鋭角に形成された、請求項1ないし4のいずれかに記載の引き違い戸。
【請求項6】
閉じた位置においてフラット配置(平面)された複数の戸が、開閉時に、斜め前方及び/又は斜め後方に移動し且つ一方が他方の前面において平行に移動するように形成された引き違い戸の製法において、
戸先側先端に斜面部が形成され、該戸先に続く表側面及び裏側面が略平面に形成された戸先側芯材と、戸の後端側を形成する後端側芯材とを有する芯材を形成する、芯材を形成するステップと、
可撓性を有する表面シートの裏面側に、少なくとも、芯材の戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く表側面との境界の角部及び戸先側先端の斜面部と該戸先側先端に続く裏側面との境界の角部の間の長さ及び貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された表面板材を形成する、表面材を形成するステップと、
前記表面材は、表面板材の斜め対向面を接近させるように表面シートが折り曲げられ、表面板材を戸先側芯材の外表面に貼着して、前記隣り合う戸先に、前記斜め前方又は斜め後方に移動するための斜面を形成する、戸を形成するステップとを含む、引き違い戸の製法。
【請求項7】
前記戸先側芯材は、略平面状表側面に略90度の角度をもって連設された戸先稜角面部と、該戸先稜角面部に続いて、裏側面に到る斜面部とを有し、
前記表面板材は、少なくとも、戸先側芯材における、表側面と戸先稜角面部との境界の角部、該戸先稜角面部とそれに続く斜面部との境界の角部及び該斜面部と裏側面との境界の角部の間の長さ及び戸先側芯材における貼着面に対応した貼着面が形成され、且つ前記境界の角部に対応した角度を有する斜め対向面が形成された、請求項6に記載の引き違い戸の製法。
【請求項8】
芯材の前記境界の角部に対応した位置において、芯材の貼着面に対応した貼着面より表面シート側の面に向けて切削して断面V字型の斜め対向面を形成して、表面板材を形成する、請求項6または7に記載の引き違い戸の製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−321370(P2007−321370A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150609(P2006−150609)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000223344)株式会社トーマ (5)
【Fターム(参考)】