引戸式ドア装置
【課題】建築物の躯体開口部を開閉する引戸式のドア体と、前記開口部の屋内外何れか一方の戸尻側半部に配した戸袋とを備えて構成される引戸式ドア装置において、前記開口部の他方の戸尻側半部に、開閉移動可能な防護パネルを設ける。
【解決手段】防護パネル4の開閉移動を規制するロック手段と、防護パネル4とドア体2の重合部の少なくとも上框材の重合部に設けられ、ロック状態ではドア体2が防護パネル4に対して開閉移動し、ロック解除状態では防護パネル4がドア体2に対して開閉移動するための開閉移動手段とを設け、該防護パネル4を既存のドア装置へ後付けした場合であっても、上枠1a内に収容される自動開閉機構Mのメンテナンス性を損なわないように構成した。
【解決手段】防護パネル4の開閉移動を規制するロック手段と、防護パネル4とドア体2の重合部の少なくとも上框材の重合部に設けられ、ロック状態ではドア体2が防護パネル4に対して開閉移動し、ロック解除状態では防護パネル4がドア体2に対して開閉移動するための開閉移動手段とを設け、該防護パネル4を既存のドア装置へ後付けした場合であっても、上枠1a内に収容される自動開閉機構Mのメンテナンス性を損なわないように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商店や公共施設等の建築物の出入口部等に設けられる引戸式ドア装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、引戸式ドア装置のドア体は屋内外方向何れか一方の空間において剥き出しの状態であるため、該一方側においては、ドア体のスライド開閉作動の過程で、戸尻側躯体の近傍に人がいたり物体があるとドア体が当接して怪我をしたり破損したりする惧れがある。
【0003】
そこで、既存の引戸式ドア装置において、戸尻側躯体に沿って防護パネルを設けて、戸尻側躯体と防護パネルとのあいだにおいてドア体が開閉作動するよう構成し、開閉移動するドア体が人や物体に当接するのを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−116770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記特許文献1に記載される防護パネルは、ドア枠を構成している上枠に、左右方向開閉移動自在にした引き戸式の防護パネルを吊持したものであるため、ドア体が電動式のものであって、該電動駆動装置が上枠内に備えられているものである場合、電動駆動装置等のメンテナンスを行うためには、まず、防護パネルを上枠から外した後、上枠の外板を取り外して電動駆動装置を露出させる必要があって、作業性に劣るといった問題がある。
さらに、前記特許文献1に記載される開き戸式の防護パネルは、戸先側をフランス落し錠で固定するものであるため、床面に挿入穴を設ける必要があって、該挿入穴にゴミや水等が溜まるといった問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建築物の躯体開口部を開閉する引戸式のドア体と、前記開口部の屋内外何れか一方の戸尻側半部に配した戸袋とを備えて構成される引戸式ドア装置において、前記開口部の他方の戸尻側半部に、開閉移動可能な防護パネルを、ドア体を全閉姿勢にしたときに防護パネルの戸先側端部とドア体の戸尻側端部とが屋内外側に重なり合う重合部を有するようにして設けるにあたり、該防護パネルが開閉移動をすることのロックおよびロック解除ができるロック手段と、防護パネルとドア体の重合部の少なくとも上框材の重合部に設けられ、前記ロックがなされた状態ではドア体が防護パネルに対して開閉移動し、ロック解除がなされた状態では防護パネルがドア体に対して開閉移動するための開閉移動手段とが設けられていることを特徴とする引戸式ドア装置である。
請求項2の発明は、前記防護パネルは、戸尻側端部が躯体開口部の戸尻側部位に縦支軸を介して内外方向揺動自在に軸支されたものであり、開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、他方の重合部に設けられ、前記ガイドローラを防護パネルが開放方向に揺動するのを規制する状態で防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドするガイドレールとで構成され、ロック手段は、ドア体が全閉した状態でガイドローラがガイドレールから抜け出し可能に構成され、通常時には該ガイドローラの抜け出しを規制し、メンテナンス時に該規制を解除操作できる操作体を備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置である。
請求項3の発明は、ロック手段は、ガイドレールに形成された切欠き部と、該切欠き部を開閉自在に覆蓋するキャップとで構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置である。
請求項4の発明は、ロック手段は、ガイドレールに出没自在に挿入するガイドローラにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置である。
請求項5の発明は、前記防護パネルは、前記開閉移動手段によって左右方向スライド移動自在に支持されたものであり、開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、他方の重合部に設けられ、防護パネルがスライド移動するのを規制するロック状態において、防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドし、ロック解除状態において、防護パネルがスライド移動できるようガイドするガイドレールとで構成され、ロック手段は、防護パネルの戸尻側框材に設けられるロック体が、ドア体の戸尻側縦枠の屋内側に固着される補助枠に係脱可能に設けられ、通常時には該ロック体を補助枠に係止することで防護パネルの移動を規制し、メンテナンス時には該規制を解除できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明とすることにより、必要において開放操作し、戸袋内の清掃等の作業ができる防護パネルを、既存のドア装置へ後付けしたとしても、上枠内に収容される自動開閉機構のメンテナンス性を損なうことがない。
請求項2の発明とすることにより、ロック手段を備えた開き戸式の防護パネルを容易に設置でき、しかも、戸袋内の清掃等の作業性がよいものとすることができる。
請求項3、4の発明とすることにより、開き戸式にした防護パネルのロック手段を簡易に実現することができる。
請求項5の発明とすることにより、ロック手段を備えた引戸式の防護パネルを容易に設置することができ、しかも、戸袋内の清掃等の作業性がよいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】引戸式ドア装置の正面図である。
【図2】第一の実施の形態における引戸式ドア装置の横断面図である。
【図3】第一の実施の形態における引戸式ドア装置の(A)は要部拡大正面図、(B)は要部拡大横断面図、(C)は補強板及び補強爪の斜視図である。
【図4】第一の実施の形態における引戸式ドア装置の縦断面図である。
【図5】(A)、(B)は、それぞれ第一の実施の形態における要部拡大縦断面図である。
【図6】第一の実施の形態のキャップを表す(A)、(B)は斜視図、(C)は正面図、(D)はA−A断面図である。
【図7】第二の実施の形態における(A)は要部拡大横断面図、(B)は要部拡大縦断面図である。
【図8】(A)、(B)は、それぞれ第二の実施の形態におけるキャップおよびガイドレールの斜視図である。
【図9】(A)、(B)は、それぞれ第三の実施の形態における要部拡大縦断面図である。
【図10】(A)、(B)は、それぞれ第四の実施の形態における要部拡大断面図である。
【図11】(A)、(B)は、それぞれ第五の実施の形態における要部拡大断面図である。
【図12】(A)〜(D)は、それぞれ第六〜第九の実施の形態における要部拡大断面図である。
【図13】第十の実施の形態における引戸式ドア装置の正面図である。
【図14】第十の実施の形態における引戸式ドア装置の横断面図である。
【図15】第十の実施の形態における引戸式ドア装置の縦断面図である。
【図16】(A)〜(C)は、それぞれ第十の実施の形態における防護パネルの移動状態を示す横断面図である。
【図17】第十一の実施の形態における引戸式ドア装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建築物の躯体開口部に設けられ、該開口部を開閉するドア体2を有する引戸式ドア装置であるが、前記開口部は、ドア枠を構成する上枠1a、左右の縦枠(戸尻側縦枠1b、戸先側縦枠1c)および下枠(沓摺り)1dに囲繞されて形成されており、かつ開口部の屋内外何れか一方(本実施の形態においては、屋外側)の戸尻側一半部は戸袋パネル3により覆蓋されているが、該戸袋パネル3はガラス材を用いて構成されている。さらに、前記ドア体2は、戸袋パネル3の屋内側面に沿って配され、後述するように、戸袋パネル3の屋内側面に沿ってスライド移動することにより、開口部の他半部を閉鎖する全閉姿勢と、戸袋パネル3に並列して開口部他半部を開放する全開姿勢とに開閉移動するように構成されている。
【0010】
なお、前記ドア体2は、四周の框材2aにより囲繞される空間にガラス材2bが嵌め込まれた構成となった上吊り式のものであり、かつ前記上枠1a内には、上下方向に幅広い収容室Rが確保され、該収容室R内に電動開閉機等からなる自動開閉機構Mが収容され、該電動開閉機の駆動によってドア体2は左右方向に自動的に移動することで前記開閉移動をするものであるが、これらの具体的構成については、従来通りのものを採用しているので、ここでは説明を省略する。尚、上枠1aは、屋内側板が開閉できるカバー板1eになっており、該カバー板1eを開放することで自動開閉機構Mのメンテナンスができるようになっている。
【0011】
4は本発明が実施された防護パネルであって、該防護パネル4は、上側框材4a、左右の縦框材(戸尻側框材4b、戸先側框材4c)および下側框材4dにより四周を囲繞された空間にガラス材4eを嵌め込んで構成される。そして防護パネル4は、ドア体2の移動軌跡を挟む状態で戸袋パネル3に対向する前記躯体開口部の他方の戸尻側半部(本実施の形態においては、屋内側)位置に、ドア体2を全閉姿勢にしたときに該防護パネル4の戸先側端部とドア体2の戸尻側端部とが屋内外に重なり合う重合部を有するようにして設けられ、これによって、防護パネル4と戸袋パネル3とがドア体2の内外の戸袋として機能するように構成され、ドア体2が開放方向にスライド移動することに伴い、ドア体2が戸袋パネル3と防護パネル4との間に引込まれるように構成されている。
【0012】
次に防護パネル4の取付け構造について具体的に説明する。
前記戸尻側縦枠1bの上下には、一対の支持部材5が防護パネル4側(屋内側)に向けて突出するようにして固定(本実施の形態ではビス6を介して固定)されている。上下支持部材5の防護パネル4側突出片5aの上下端縁には戸先側に向けて支持片5bがそれぞれ折曲形成されている。
一方、防護パネル4の戸尻側框材4bの戸尻側端部には筒状をした補助框材7が一体的に固着されるが、該補助框材7は、前記上下支持部材5に組み込まれ、上下の縦支軸8を介して内外方向揺動自在に軸支され、これによって防護パネル4は開き戸構造に構成されている。そして防護パネル4は、上下支持片5aに設けたストッパ5cにより、ドア体2に対して隙間Sを存した平行な閉鎖姿勢よりもドア体2側への揺動が規制され、該閉鎖姿勢と屋内側に開放した開放姿勢とのあいだの開閉揺動ができるようになっている。
【0013】
尚、縦支軸8は、上下支持部材5の上下外端面に摺動自在に当接するフランジ板9から一体に突設されると共に、上下支持部材5をあいだに挟むようにして設けた補強板10に溶着されているが、該補強板10には、補助框材7の内周面に当接する状態で該補助框材7内に嵌入する補強爪11の基端部が溶着されている。
【0014】
一方、前記防護パネル4の戸先側端部の戸袋パネル3と対向する面の上下框材4a、4dには、逆L字形をしたブラケット12が取付けられ、該ブラケット12の前記隙間S側に向いた突出片にはガイドローラ13のローラ軸13aの下端部が固着されている。
【0015】
また、ドア体2の上下框材2aの防護パネル4との対向面には、ガイドレール14がそれぞれ固着されるが、該ガイドレール14は、縦断面視したときクランク形状をしていて、前記上下框材2aに当接してビス15を介して固定される支持部14aと、該支持部14aから防護パネル4方向に突出する突出部14bと、該突出部14bから下方に延出するレール部14cとで構成されるが、該レール部14cのドア体2側面下半部を前記ガイドローラ13が転動するようになっており、これによって防護パネル4は、戸袋パネル3と対向する状態となって屋内側への開放揺動が規制され、これによって防護パネル4は閉鎖姿勢のままロックされ、ドア体2のみがスライド移動できるようになっている。
前記ガイドレール14の戸尻側端部には、ドア体2を全閉したとき位置するガイドローラ13の対向位置に、該ガイドローラ13がガイドレール14から抜け出すための抜け出し手段としての切欠き部14dが形成され、これによって、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、ガイドローラ13を切欠き部14dから抜き出すことで、防護パネル4は縦支軸8を支軸として閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動できるロック解除状態となるようになっている。なお、該ガイドローラ13とガイドレール14が本発明の開閉移動手段に相当する。
【0016】
16は前記切欠き部14dを覆蓋するキャップ(本発明の「ロック手段」に相当する)であって、該キャップ16は、矩形状の本体部16a、該本体部16aの上端からドア体2方向へ突出する突出部16b、該突出部16bの先端から上方へ略L字状に延出形成される摘み部16cから成るが、本体部16aの左右二箇所には上下方向に長い一対の長孔16d、16eが穿設されており、該長孔16d、16eには、ガイドレール14に固着された留め具17、17aが長孔16d、16eから抜止めする状態で上下方向に移動自在に貫通しており、これによってキャップ16は、切欠き部14dを開閉できるよう上下移動自在になっている。尚、留め具17、17aは、ガイドローラ13の上端よりも上位置でガイドレール14に固着されている。
【0017】
そして、防護パネル4を閉鎖姿勢とし、ドア体2のみをスライド移動させる通常時においては、突出部16bがガイドレール14の突出部14bに上方から当接していてキャップ16が下げられた姿勢とする、つまり留め具17、17aが長孔16d、16eの上端に位置する姿勢とすることで、ガイドレール14の切欠き部14dがキャップ16によって覆蓋される構成となり、この状態では、ドア体2を全閉姿勢にして防護パネル4を開こうとしても、キャップ16が切欠き部を閉鎖しているため、ガイドローラ13がガイドレール14の切欠き部14dから抜け出ることがないため、防護パネル4の開放作動は規制されたロック状態とすることができる。つまり、該キャップ16が防護パネル4のロック手段の役割を果たす。さらに、キャップ16の裏面(ドア体2側面)には凸部16fが設けられているが、該凸部16fが切欠き部14dに嵌まり込むことで該切欠き部14dとキャップ16との段差をなくして、ガイドローラ13がスムーズに転動できるように構成されている。
【0018】
次ぎに、防護パネル4を開く場合、つまり、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、防護パネル4を閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動させる場合について説明する。
まず、摘み部16cを摘んでロック手段であるキャップ16を持ち上げ、キャップ16の長孔16d、16eの下端に留め具17、17aが位置するようにスライド移動させると、ガイドレール14の切欠き部14dが開口する。なお、前記長孔16d、16eは上下方向中間部が僅かに幅狭になっていて、前記キャップ16を持ち上げたときに該持ち上げ姿勢に仮保持して切欠き部14dを開放姿勢に維持できるようになっている。
そして、ドア体2を全閉姿勢とした状態で前記開口した切欠き部14dからガイドローラ13を臨むことができ、この状態で防護パネル4を屋内側に引くと、ガイドローラ13が切欠き部14dから抜き出され、これによって防護パネル4は閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動し、該防護パネル4が開き戸として機能することになる。
【0019】
叙述の如く構成された第一の実施の形態において、戸尻側縦枠1bに固着させた支持部材5に防護パネル4の戸尻側を回動自在に取り付ける一方、該防護パネル4の戸先側にはガイドローラ13をブラケットを介して取り付けて、ドア体2の上下框材2aに設けたガイドレール14を該ガイドローラ13が転動するように構成することで、既存の戸袋を一方側にのみ有する引戸式ドア装置であっても、他方側に戸袋の機能を備えた防護パネル4を容易に取り付けることができる。
しかも該取付けられた防護パネル4は、戸尻側縦枠1bとドア体2とに取付けられるものであるから、フランス落し錠を設けた場合のように床面に落し穴を設けるような必要がない。
そして通常は、キャップ16が切欠き部14dを覆っていてガイドローラ13が切欠き部から抜け出ることがないようにして防護体4が開くのをロックしているため、防護パネル4は移動することなく、ドア体2のみの開閉作動をすることができる。
【0020】
このような防護パネル4を戸袋内を掃除する等で開放するときには、ドア体2を全閉姿勢にすると共にキャップ16を持ち上げることで切欠き部14d位置にガイドローラ13が位置することになってロック解除状態となり、この状態で防護パネル4を屋内方向に引くことで該切欠き部14dからガイドローラ13が抜け出ることになって、防護パネル4を開き戸として開放させることができ戸袋パネル3および防護パネル4のドア体側面の掃除等をすることができる。
【0021】
そしてこのものでは、ガイドレール14に、ガイドローラ13を抜き出すための切欠き部14dを設けられているが、該切欠き部14dは、キャップ16の裏面に設けた凸部16fが嵌まり込むことによりガイドレール14のレール面とフラットになり、通常時のドア体2のスライド移動時に支障をきたすことがなく、ドア体2をスムーズにスライド移動させることができる。
【0022】
さらにこのものでは、防護パネル4を後付けしたとしても、防護パネル4が上枠1aではなく、框材2a及び支持部材5に取り付けられることになるため、上枠1a内に収容される自動開閉機構Mのメンテナンスをする際に、防護パネル4、支持部材5、ガイドローラ13、ガイドレール14等の各種部材を取り外す必要がなく、上枠のカバー板1eを取り外すだけで、自動開閉機構Mが露出するため、メンテナンス作業を容易に行うことができるものである。
【0023】
尚、本発明は前記第一の実施の形態に限定されるものでなく、防護パネル4のロック機構を、図7、8に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。尚、第一の実施の形態と同じものについては同じ符号を付すと共に詳細な説明は省略する。
18はドア体2の上下框材2aの防護パネル4との対向面に固着されるガイドレールであって、支持部18a、突出部18b、レール部18cからなるクランク形状をしていて、ビス15で上下框材2aに固定される点、該レール部18cのドア体2側面した半部をガイドローラ13が転動する点等については、第一の実施の形態のガイドレール14と同様であるため、説明を省略する。
前記ガイドレール18のレール部18cの戸尻側先端部位、つまり、ドア体2を全閉したとき位置するガイドローラ13の対向位置は、該ガイドローラ13が抜け出すための抜け出し手段である切欠き部18dが切り欠き形成されている。これによって、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、切欠き部18dからガイドローラ13を抜き出すことで防護パネル4を閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動できるようになっている。
【0024】
19は、前記ガイドレール18の切欠き部18dを覆うキャップであって、ガイドレール18の突出部18bの上面に当接する本体部19a、該本体部19aの防護パネル4側端縁から垂下している垂下片19bから形成されている。さらに、前記本体部19aには左右方向に長い長孔19cが穿設され、該長孔19cに、ガイドレール18の戸先側先端部位から上方に突出したピン20に対し移動自在に貫通している。そして、本体部19aの戸先側部位に設けられた操作部(本実施の形態では凹孔であるが例えば摘みであってもよい。)19dに指(工具でも良い。)を入れながらキャップ19を左右にスライドさせることで、キャップ19がガイドレール18に対し、スライド移動できるように構成されている。
【0025】
そして、防護パネル4を閉鎖姿勢とし、ドア体2をスライド移動させる通常時においては、キャップ19をガイドレール18に嵌め込んだ状態、つまり、前記ピン20が長孔19cの戸尻側端部に位置しておけば、ガイドレール18のレール部18cの戸尻側先端18eとキャップ19の延出片19bの戸先側先端19eとが当接した状態となって、ガイドレール切欠き部18dは該垂下片19bによって塞がれて、段差のない一平面状のレールが形成される。この状態で、ドア体2をスライド移動させると、戸先から戸尻まで、ガイドローラ13がガイドレール18内を滑らかに転動することとなって、ドア体2がスムーズに開閉できる。
また、このとき、仮にドア体2を全閉姿勢にして防護パネル4を開こうとしても、該キャップ19がガイドレール切欠き部18dを覆っているため、ガイドローラ13がガイドレール18から外れることはなく、防護パネル4を開くことができないロック状態とすることができる。つまり、該キャップ19が防護パネル4のロック手段の役割を果たしている。
【0026】
次ぎに、防護パネル4を開く場合、つまり、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、防護パネル4を閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿させる場合について説明する。
まず、キャップ19の操作部19dに指を入れ、ピン20が長孔19cの戸先側端部に位置するようにキャップを戸尻側方向へスライド移動させ、これによって切欠き部18dを開口させると共に、ドア体2を全閉姿勢としすると、前記開口した切欠き部18dからガイドローラ13を臨むことができ、この状態で防護パネル4を屋内側に引くと、ガイドローラ13が切欠き部14dから抜き出され、これによって防護パネル4は閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動し、該防護パネル4が開き戸として機能することになり、このようにしても、前記第一の実施の形態と同様、戸袋として機能する防護パネル4を簡単に後付できると共に、床面に穴を開けたるすることなく戸袋姿勢にロックすることができ、しかも必要において開き戸として開放することができる。
【0027】
また、図9に示す第三の実施の形態のようにしても本発明を実施することができる。つまりこのものでは、ガイドローラ21の下端から、防護パネル4側のブラケット12に固定された雌螺子部22に螺合する雄螺子部23aを有した摘み23を設け、該摘み23を回し操作することでガイドローラ21の上下移動をし、これによってガイドローラ21のガイドレール24に対する挿脱ができ、防護パネルをロックできるようにしたものであり、このようにすることで前記第一、第二の実施の形態のものと同様のものとすることができる。そしてこの場合には、ガイドレール側に切欠き部を設ける必要がないものにできる。
【0028】
さらに、摘みを図10に示す第四の実施の形態のような構成としても本発明を実施することができる。
このものは、防護パネル4側のブラケット25に、該ブラケット25に設けた孔25aに嵌合する板バネ26aを有した摘み26を設け、該摘み26を把持して上下方向に押し引き操作をすることで、該板バネ26に形成の山部26bが前記ブラケット孔25a部位を無理越えすることになって上下移動し、これによってガイドローラ21のガイドレール24に対する挿脱ができるようにしたものであり、このようにすることで摘みの挿脱操作が簡単になると共に、ガイドローラ21のガイドレール24への挿入姿勢の維持が簡単になる。
【0029】
また、図11に示す第五の実施の形態のもののように、防護パネル4に取り付けるブラケット27に弾機27aにより付勢されたボール27bを配し、摘み28の中間部の上下二箇所に凹部28a、28bを設けたボールロックピン形式(デテント構造)のものとし、そして第四の実施の形態と同様に摘み28を把持して上下方向に押し引き操作することで、上下凹部28a、28bの何れか一方にボール27bが嵌合することになり、これによってガイドローラ21のガイドレール24に対する挿脱操作と、挿入姿勢および脱出姿勢の維持とがができるようにしたものである。
【0030】
またさらに、ガイドレールの形状を、図12(A)〜(D)に示す第六〜第九の実施の形態のもののようにすることもできる。
まず、図12(A)に示す第六の実施の形態において、ガイドレール29は、略冂字状をした頭部29a、略コ字状をした固着部29b、略冂字状をしたレール部29cが上下方向に一体形成されたものである。そして、該ガイドレール29は、ガイドレール固着部29bにおいてレール補助材30を介してドア体2の上下框材2aに固着させるが、上框材2a側のガイドレール29は、上枠1aのカバー体1eの下端から僅かに間隙を設けた位置に該ガイドレール頭部29aの上端が位置するようにして設けられる。
次に、図12(B)〜(D)に示す第七〜第九の実施の形態について、各ガイドレール31、32、33の固着部31b、32b、32b及びレール部31c、32c、33cは前記第六の実施の形態のガイドレール29と同様の構成を有するものであるため、説明を省略する。
図12(B)に示す第七の実施の形態のものは、頭部31aが、上方向凸状に湾曲した形状をしたガイドレール31として、図12(C)に示す第八の実施の形態のものは、頭部32aが傾斜した形状をしたガイドレール32として、図12(D)に示す第九の実施の形態のものは、頭部33aが下方向凸状に湾曲した形状をしたガイドレール33として構成されている。
そして、これらのようにすることで、上枠カバー体1eとガイドレール29、31、32、33とが意匠的に一体となったものとすることができて、防護パネル4を後付けする場合であっても、美感に優れたものとすることができる。
【0031】
なお、第一〜第九の実施の形態において、防護パネル4にガイドローラを、ドア体2にガイドレールを設けた構成としたが、防護パネル4側にガイドレールを、ドア体2側にガイドローラを設けた逆の構成としても本発明を実施することができる。
【0032】
さらに、開き戸式の防護パネルだけでなく、図13に示す第十の実施の形態のように、引戸式の防護パネル34とすることもできる。なお、第一の実施の形態と同じものについては同じ符号を付すと共に詳細な説明は省略する。
防護パネル34は、上側框材34a、左右の縦框材(戸尻側框材34b、戸先側框材34c)および下側框材34dにより四周を囲繞された空間にガラス材34eを嵌め込んで構成されているが、該防護パネル34の取付け位置や、ドア体2が開放方向にスライド移動する際に、戸袋パネル3と該防護パネル34との間に引き込まれるように構成され、該戸袋パネル3と防護パネル34とがドア体2の内外の戸袋として機能するように構成されている点は第一の実施の形態と同様である。
【0033】
引戸式ドア装置1の戸尻側、戸先側縦枠1b、1cには、それぞれ戸尻側、戸先側補助枠35a、35bが防護パネル34側(屋内側)に向けて突出するようにして固定されている。
一方、防護パネル34の戸尻側框材34bの上下端部には、摘み部36aを備えた鎌錠36(本発明の「ロック手段」に相当する)が組み付けられており、前記戸尻側補助枠35aに設けられている錠受け35cに鎌錠36の錠部36bを係合させて施錠することで、防護パネル34の移動を規制して、防護パネル34は閉鎖姿勢のまま、ドア体2のみがスライド移動できるように構成され、逆に、鎌錠36を開錠することで防護パネル34が移動できるように構成されている。
【0034】
そして、防護パネル34の戸袋パネル3と対向する面の上下框材34aの戸尻側端部、戸先側端部には、逆L字形をしたブラケット12がそれぞれ取り付けられ、該ブラケット12の隙間S側に向いた突出片12aには、戸尻側、戸先側ガイドローラ37、38のローラ軸37a、38aの下端部がそれぞれ固着されている。
さらに、ガイドローラ37、38のローラ中間位置には、後述するレール凸部39cが嵌入するための凹溝37b、38bが周回り方向に一周形成されている。
【0035】
一方、ドア体2の上下框材2aの防護パネル34との対向面には、ガイドレール39がそれぞれ固着されるが、該ガイドレール39は、縦断面視において略h字形状をしていて、前記上下框材2aに当接してビス40を介して固定される支持部39aと、略冂字状のレール部39bとで構成されている。
さらに、該レール部39bの縦方向中間位置には、レール内部方向に向けて突出する凸部39cが形成されており、該凸部39cにガイドローラ凹溝37b、38bが回動自在な状態で支持され、これによって、ドア体2が防護パネル34に対して、防護パネル34がドア体2に対して、スライド移動できるように構成されている。
なお、ガイドローラ37、38とガイドレール39が本発明の開閉移動手段に相当する。
【0036】
しかも、防護パネル34には、該防護パネル34の下端の戸先側には戸車41が配されているが、防護パネル34を開閉移動させる際に、戸車41が片持ち状になった防護パネル34の戸先側下端を支えることになって、スムーズにスライド移動できるように構成されている。
【0037】
ここで、防護パネル34を閉鎖姿勢とし、ドア体2のみをスライド移動させる通常の場合について説明する。
この場合、防護パネル34は、鎌錠36によって補助枠35に固定されていて、移動が規制され、戸袋を閉鎖する閉鎖姿勢を保っている。そして、この状態でドア体2が躯体開口部を開放、閉鎖する方向、つまり左右にスライド移動させることになるが、ドア体2と防護パネル34とは重合部を有するため、本実施の形態では、戸先側ガイドローラ38のみがガイドレール39に嵌入して該ガイドレール39内を転動し、ドア体2が全開姿勢の場合でも戸尻側ガイドローラ37はガイドレール39に嵌入しない。
【0038】
次に、戸袋内の掃除等のために戸袋を開放する場合、つまり、防護パネル34をスライド移動させる場合について説明する。
この場合、ドア体2を全閉姿勢にした状態で、防護パネル34の戸袋を開放する方向(戸先側)へスライド移動させることになる。
まず、鎌錠36の摘み部36aによって開錠操作をして、補助枠35の錠受け35bと錠部36bとの係合を解除し、防護パネル34がスライド移動可能な状態にする。そしてこの状態で、防護パネル34を戸先側方向へスライド移動させると、戸先側ガイドローラ38がガイドレール39内を転動しながら移動する。その後、戸尻側ガイドローラ37がガイドレール39の戸尻側端部に至ると、該戸尻側ガイドローラ37がガイドレール39に嵌入して、戸先側ガイドローラ38と同様にガイドレール39内を転動する。このとき、戸車41によって、戸尻側ガイドローラ37とガイドレール39との嵌入がスムーズにできるよう、誘導支持されている。
さらに防護パネル34を移動させると、戸先側ガイドローラ38がガイドレール39の戸先側端部から抜け出て、戸尻側ガイドローラ37のみがガイドレール39内を転動し、防護パネル34が戸先側縦枠1cに至って戸袋全開状態となる。そして、この戸袋全開状態で戸袋内を清掃することになる。
【0039】
なお、ドア体2を予め全閉姿勢にしてから防護パネル34を戸先側へスライド移動させたが、ドア体2を全開姿勢にした状態でドア体2と防護パネル34とを同時に戸先側へスライド移動させることも可能である。
【0040】
また、ドア体2を全開姿勢にした状態で、防護パネル34のみを戸先側へスライド移動させることも可能である。このときも同様に、戸先側ガイドローラ38のみがガイドレール39に嵌入している状態から、戸尻側ガイドローラ37もガイドレール39に嵌入し、さらに防護パネル34を戸先側へ移動させると、戸先側ガイドローラ38はガイドレール39から抜け出て、戸尻側ガイドローラ37のみがガイドレール39内を転動し、これによって防護パネル34を戸先側縦枠1cに至るまでスライド移動できるように構成されている。
このようにドア体2は全開状態で、防護パネル34のみ戸先側へ移動させると、例えば、防護パネル34のドア体2との対向面を掃除することができる。
【0041】
一方、戸先側縦枠1cに防護パネル34の戸先側框材34cが当接している状態である戸袋全開状態から、戸袋全閉状態にするためには、防護パネル34を戸尻側へ向けてスライド移動させることになる。
この場合、戸袋を開放する場合と逆の動きとなって、スライド移動開始時は、戸尻側ガイドローラ37のみがガイドレール39内を転動し、さらに防護パネル34を移動させると、ガイドレール39の戸先側端部に戸先側ガイドローラ37が至って、戸先側ガイドローラ38がガイドレール39内に嵌入し、その後、戸尻側ガイドローラ37がガイドレール39から抜け出て、戸先側ガイドローラ38のみがガイドレール39内を転動する状態で、防護パネル34の戸尻側框材34bが補助枠35に当接し、鎌錠36によって防護パネル34は補助枠35に係止、施錠される。
【0042】
このように構成することで、戸尻側縦枠1bに補助枠35を固着させる一方、防護パネル34の上下框材34a、34dの戸尻側及び戸先側にガイドローラ37、38をブラケット12を介して取り付け、ドア体2の上下框材2aに設けたガイドレール39を該ガイドローラ37、38が転動するように構成することで、既存の戸袋を一方側にのみ有する引戸式ドア装置であっても、他方側に戸袋の機能を備えた引戸式の防護パネル34を容易に取り付けることができる。
そして、開き戸式の防護パネルを開閉させるスペースが確保できないような場合であっても、取付け作業がしやすく、清掃やメンテナンス性に優れた引き戸式の防護パネル34を設置することができる。
しかも、戸車41を防護パネル34の下端に設けることで、ガイドローラ37、38の何れか一方のみがガイドレール39内を転動する場合であっても、防護パネル34が傾くことなくスムーズにスライド移動でき、さらに、ガイドローラ37、38とガイドレール39との嵌入や抜出しがスムーズにできるため、防護パネル34のスライド移動が容易である。そしてこのものも、防護パネル34は上枠ではなく上框材に設けたから、自動開閉機構M等の上枠内に収納された部材をメンテナンスする場合、防護パネル34を取外すことなく作業できるため、該防護パネル34を後付けした場合であっても、作業性を損なうことがない。
【0043】
またさらに、ガイドローラを用いず、図17に示す第十一の実施の形態のように略コ字状をした第一、第二ガイドレール42a、42bを用いた所謂スライドレール42を採用することもできる。なお、スライドレール42は第一、第二ガイドレール42a、42bが中間部に配したボール42cを介して、戸先側、戸尻側の両方向にスライド移動できるように構成されたものであるが、これらの具体的構成については、従来通りのものを採用しているため、ここでは説明を省略する。
また、スライドレール42以外の構成については前記第十の実施の形態のものと同じものを用いることができるため、同じ符号を付すると共に、詳細な説明は省略する。
【0044】
まず、ドア体2の上下框材2aの防護パネル34との対向面に第一ガイドレール42aを固着させ、防護パネル34の上下框材34a、34dのドア体2との対向面に第二ガイドレール42bを固着させて、スライドレール42を組み付ける。
そして、通常のドア体2を開閉移動させる場合は、鎌錠36を施錠して防護パネル34を固定し、ドア体2をスライド移動させると、固定されている第二ガイドレール42bに対して第一ガイドレール42aがベアリング42cを介して摺動することになって、ドア体2を左右に開閉移動させることができる。
一方、防護パネル34を開閉移動させる場合は、鎌錠36を開錠して防護パネル34の移動規制を解除し、この状態で防護パネル34をスライド移動させると、第一ガイドレール42aに対して第二ガイドレール42bがベアリング42cを介して摺動することになって、防護パネル34を開閉移動させることができる。
【0045】
このように構成することで、ドア体2および防護パネル34を滑らかにスライド移動させることができ、作業性に優れたものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、建築物の出入口部等に設けられる引戸式ドア装置の技術分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 引戸式ドア装置
1e カバー体
2 ドア体
2a 框材
4 防護パネル
5 支持部材
7 補助框材
12 ブラケット
13 ガイドローラ
14 ガイドレール
14a 支持部
14b 突出部
14c レール部
14d 切欠き部
16 キャップ
18 ガイドレール
19 キャップ
19c 長孔
S 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、商店や公共施設等の建築物の出入口部等に設けられる引戸式ドア装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、引戸式ドア装置のドア体は屋内外方向何れか一方の空間において剥き出しの状態であるため、該一方側においては、ドア体のスライド開閉作動の過程で、戸尻側躯体の近傍に人がいたり物体があるとドア体が当接して怪我をしたり破損したりする惧れがある。
【0003】
そこで、既存の引戸式ドア装置において、戸尻側躯体に沿って防護パネルを設けて、戸尻側躯体と防護パネルとのあいだにおいてドア体が開閉作動するよう構成し、開閉移動するドア体が人や物体に当接するのを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−116770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記特許文献1に記載される防護パネルは、ドア枠を構成している上枠に、左右方向開閉移動自在にした引き戸式の防護パネルを吊持したものであるため、ドア体が電動式のものであって、該電動駆動装置が上枠内に備えられているものである場合、電動駆動装置等のメンテナンスを行うためには、まず、防護パネルを上枠から外した後、上枠の外板を取り外して電動駆動装置を露出させる必要があって、作業性に劣るといった問題がある。
さらに、前記特許文献1に記載される開き戸式の防護パネルは、戸先側をフランス落し錠で固定するものであるため、床面に挿入穴を設ける必要があって、該挿入穴にゴミや水等が溜まるといった問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建築物の躯体開口部を開閉する引戸式のドア体と、前記開口部の屋内外何れか一方の戸尻側半部に配した戸袋とを備えて構成される引戸式ドア装置において、前記開口部の他方の戸尻側半部に、開閉移動可能な防護パネルを、ドア体を全閉姿勢にしたときに防護パネルの戸先側端部とドア体の戸尻側端部とが屋内外側に重なり合う重合部を有するようにして設けるにあたり、該防護パネルが開閉移動をすることのロックおよびロック解除ができるロック手段と、防護パネルとドア体の重合部の少なくとも上框材の重合部に設けられ、前記ロックがなされた状態ではドア体が防護パネルに対して開閉移動し、ロック解除がなされた状態では防護パネルがドア体に対して開閉移動するための開閉移動手段とが設けられていることを特徴とする引戸式ドア装置である。
請求項2の発明は、前記防護パネルは、戸尻側端部が躯体開口部の戸尻側部位に縦支軸を介して内外方向揺動自在に軸支されたものであり、開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、他方の重合部に設けられ、前記ガイドローラを防護パネルが開放方向に揺動するのを規制する状態で防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドするガイドレールとで構成され、ロック手段は、ドア体が全閉した状態でガイドローラがガイドレールから抜け出し可能に構成され、通常時には該ガイドローラの抜け出しを規制し、メンテナンス時に該規制を解除操作できる操作体を備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置である。
請求項3の発明は、ロック手段は、ガイドレールに形成された切欠き部と、該切欠き部を開閉自在に覆蓋するキャップとで構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置である。
請求項4の発明は、ロック手段は、ガイドレールに出没自在に挿入するガイドローラにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置である。
請求項5の発明は、前記防護パネルは、前記開閉移動手段によって左右方向スライド移動自在に支持されたものであり、開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、他方の重合部に設けられ、防護パネルがスライド移動するのを規制するロック状態において、防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドし、ロック解除状態において、防護パネルがスライド移動できるようガイドするガイドレールとで構成され、ロック手段は、防護パネルの戸尻側框材に設けられるロック体が、ドア体の戸尻側縦枠の屋内側に固着される補助枠に係脱可能に設けられ、通常時には該ロック体を補助枠に係止することで防護パネルの移動を規制し、メンテナンス時には該規制を解除できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明とすることにより、必要において開放操作し、戸袋内の清掃等の作業ができる防護パネルを、既存のドア装置へ後付けしたとしても、上枠内に収容される自動開閉機構のメンテナンス性を損なうことがない。
請求項2の発明とすることにより、ロック手段を備えた開き戸式の防護パネルを容易に設置でき、しかも、戸袋内の清掃等の作業性がよいものとすることができる。
請求項3、4の発明とすることにより、開き戸式にした防護パネルのロック手段を簡易に実現することができる。
請求項5の発明とすることにより、ロック手段を備えた引戸式の防護パネルを容易に設置することができ、しかも、戸袋内の清掃等の作業性がよいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】引戸式ドア装置の正面図である。
【図2】第一の実施の形態における引戸式ドア装置の横断面図である。
【図3】第一の実施の形態における引戸式ドア装置の(A)は要部拡大正面図、(B)は要部拡大横断面図、(C)は補強板及び補強爪の斜視図である。
【図4】第一の実施の形態における引戸式ドア装置の縦断面図である。
【図5】(A)、(B)は、それぞれ第一の実施の形態における要部拡大縦断面図である。
【図6】第一の実施の形態のキャップを表す(A)、(B)は斜視図、(C)は正面図、(D)はA−A断面図である。
【図7】第二の実施の形態における(A)は要部拡大横断面図、(B)は要部拡大縦断面図である。
【図8】(A)、(B)は、それぞれ第二の実施の形態におけるキャップおよびガイドレールの斜視図である。
【図9】(A)、(B)は、それぞれ第三の実施の形態における要部拡大縦断面図である。
【図10】(A)、(B)は、それぞれ第四の実施の形態における要部拡大断面図である。
【図11】(A)、(B)は、それぞれ第五の実施の形態における要部拡大断面図である。
【図12】(A)〜(D)は、それぞれ第六〜第九の実施の形態における要部拡大断面図である。
【図13】第十の実施の形態における引戸式ドア装置の正面図である。
【図14】第十の実施の形態における引戸式ドア装置の横断面図である。
【図15】第十の実施の形態における引戸式ドア装置の縦断面図である。
【図16】(A)〜(C)は、それぞれ第十の実施の形態における防護パネルの移動状態を示す横断面図である。
【図17】第十一の実施の形態における引戸式ドア装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建築物の躯体開口部に設けられ、該開口部を開閉するドア体2を有する引戸式ドア装置であるが、前記開口部は、ドア枠を構成する上枠1a、左右の縦枠(戸尻側縦枠1b、戸先側縦枠1c)および下枠(沓摺り)1dに囲繞されて形成されており、かつ開口部の屋内外何れか一方(本実施の形態においては、屋外側)の戸尻側一半部は戸袋パネル3により覆蓋されているが、該戸袋パネル3はガラス材を用いて構成されている。さらに、前記ドア体2は、戸袋パネル3の屋内側面に沿って配され、後述するように、戸袋パネル3の屋内側面に沿ってスライド移動することにより、開口部の他半部を閉鎖する全閉姿勢と、戸袋パネル3に並列して開口部他半部を開放する全開姿勢とに開閉移動するように構成されている。
【0010】
なお、前記ドア体2は、四周の框材2aにより囲繞される空間にガラス材2bが嵌め込まれた構成となった上吊り式のものであり、かつ前記上枠1a内には、上下方向に幅広い収容室Rが確保され、該収容室R内に電動開閉機等からなる自動開閉機構Mが収容され、該電動開閉機の駆動によってドア体2は左右方向に自動的に移動することで前記開閉移動をするものであるが、これらの具体的構成については、従来通りのものを採用しているので、ここでは説明を省略する。尚、上枠1aは、屋内側板が開閉できるカバー板1eになっており、該カバー板1eを開放することで自動開閉機構Mのメンテナンスができるようになっている。
【0011】
4は本発明が実施された防護パネルであって、該防護パネル4は、上側框材4a、左右の縦框材(戸尻側框材4b、戸先側框材4c)および下側框材4dにより四周を囲繞された空間にガラス材4eを嵌め込んで構成される。そして防護パネル4は、ドア体2の移動軌跡を挟む状態で戸袋パネル3に対向する前記躯体開口部の他方の戸尻側半部(本実施の形態においては、屋内側)位置に、ドア体2を全閉姿勢にしたときに該防護パネル4の戸先側端部とドア体2の戸尻側端部とが屋内外に重なり合う重合部を有するようにして設けられ、これによって、防護パネル4と戸袋パネル3とがドア体2の内外の戸袋として機能するように構成され、ドア体2が開放方向にスライド移動することに伴い、ドア体2が戸袋パネル3と防護パネル4との間に引込まれるように構成されている。
【0012】
次に防護パネル4の取付け構造について具体的に説明する。
前記戸尻側縦枠1bの上下には、一対の支持部材5が防護パネル4側(屋内側)に向けて突出するようにして固定(本実施の形態ではビス6を介して固定)されている。上下支持部材5の防護パネル4側突出片5aの上下端縁には戸先側に向けて支持片5bがそれぞれ折曲形成されている。
一方、防護パネル4の戸尻側框材4bの戸尻側端部には筒状をした補助框材7が一体的に固着されるが、該補助框材7は、前記上下支持部材5に組み込まれ、上下の縦支軸8を介して内外方向揺動自在に軸支され、これによって防護パネル4は開き戸構造に構成されている。そして防護パネル4は、上下支持片5aに設けたストッパ5cにより、ドア体2に対して隙間Sを存した平行な閉鎖姿勢よりもドア体2側への揺動が規制され、該閉鎖姿勢と屋内側に開放した開放姿勢とのあいだの開閉揺動ができるようになっている。
【0013】
尚、縦支軸8は、上下支持部材5の上下外端面に摺動自在に当接するフランジ板9から一体に突設されると共に、上下支持部材5をあいだに挟むようにして設けた補強板10に溶着されているが、該補強板10には、補助框材7の内周面に当接する状態で該補助框材7内に嵌入する補強爪11の基端部が溶着されている。
【0014】
一方、前記防護パネル4の戸先側端部の戸袋パネル3と対向する面の上下框材4a、4dには、逆L字形をしたブラケット12が取付けられ、該ブラケット12の前記隙間S側に向いた突出片にはガイドローラ13のローラ軸13aの下端部が固着されている。
【0015】
また、ドア体2の上下框材2aの防護パネル4との対向面には、ガイドレール14がそれぞれ固着されるが、該ガイドレール14は、縦断面視したときクランク形状をしていて、前記上下框材2aに当接してビス15を介して固定される支持部14aと、該支持部14aから防護パネル4方向に突出する突出部14bと、該突出部14bから下方に延出するレール部14cとで構成されるが、該レール部14cのドア体2側面下半部を前記ガイドローラ13が転動するようになっており、これによって防護パネル4は、戸袋パネル3と対向する状態となって屋内側への開放揺動が規制され、これによって防護パネル4は閉鎖姿勢のままロックされ、ドア体2のみがスライド移動できるようになっている。
前記ガイドレール14の戸尻側端部には、ドア体2を全閉したとき位置するガイドローラ13の対向位置に、該ガイドローラ13がガイドレール14から抜け出すための抜け出し手段としての切欠き部14dが形成され、これによって、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、ガイドローラ13を切欠き部14dから抜き出すことで、防護パネル4は縦支軸8を支軸として閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動できるロック解除状態となるようになっている。なお、該ガイドローラ13とガイドレール14が本発明の開閉移動手段に相当する。
【0016】
16は前記切欠き部14dを覆蓋するキャップ(本発明の「ロック手段」に相当する)であって、該キャップ16は、矩形状の本体部16a、該本体部16aの上端からドア体2方向へ突出する突出部16b、該突出部16bの先端から上方へ略L字状に延出形成される摘み部16cから成るが、本体部16aの左右二箇所には上下方向に長い一対の長孔16d、16eが穿設されており、該長孔16d、16eには、ガイドレール14に固着された留め具17、17aが長孔16d、16eから抜止めする状態で上下方向に移動自在に貫通しており、これによってキャップ16は、切欠き部14dを開閉できるよう上下移動自在になっている。尚、留め具17、17aは、ガイドローラ13の上端よりも上位置でガイドレール14に固着されている。
【0017】
そして、防護パネル4を閉鎖姿勢とし、ドア体2のみをスライド移動させる通常時においては、突出部16bがガイドレール14の突出部14bに上方から当接していてキャップ16が下げられた姿勢とする、つまり留め具17、17aが長孔16d、16eの上端に位置する姿勢とすることで、ガイドレール14の切欠き部14dがキャップ16によって覆蓋される構成となり、この状態では、ドア体2を全閉姿勢にして防護パネル4を開こうとしても、キャップ16が切欠き部を閉鎖しているため、ガイドローラ13がガイドレール14の切欠き部14dから抜け出ることがないため、防護パネル4の開放作動は規制されたロック状態とすることができる。つまり、該キャップ16が防護パネル4のロック手段の役割を果たす。さらに、キャップ16の裏面(ドア体2側面)には凸部16fが設けられているが、該凸部16fが切欠き部14dに嵌まり込むことで該切欠き部14dとキャップ16との段差をなくして、ガイドローラ13がスムーズに転動できるように構成されている。
【0018】
次ぎに、防護パネル4を開く場合、つまり、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、防護パネル4を閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動させる場合について説明する。
まず、摘み部16cを摘んでロック手段であるキャップ16を持ち上げ、キャップ16の長孔16d、16eの下端に留め具17、17aが位置するようにスライド移動させると、ガイドレール14の切欠き部14dが開口する。なお、前記長孔16d、16eは上下方向中間部が僅かに幅狭になっていて、前記キャップ16を持ち上げたときに該持ち上げ姿勢に仮保持して切欠き部14dを開放姿勢に維持できるようになっている。
そして、ドア体2を全閉姿勢とした状態で前記開口した切欠き部14dからガイドローラ13を臨むことができ、この状態で防護パネル4を屋内側に引くと、ガイドローラ13が切欠き部14dから抜き出され、これによって防護パネル4は閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動し、該防護パネル4が開き戸として機能することになる。
【0019】
叙述の如く構成された第一の実施の形態において、戸尻側縦枠1bに固着させた支持部材5に防護パネル4の戸尻側を回動自在に取り付ける一方、該防護パネル4の戸先側にはガイドローラ13をブラケットを介して取り付けて、ドア体2の上下框材2aに設けたガイドレール14を該ガイドローラ13が転動するように構成することで、既存の戸袋を一方側にのみ有する引戸式ドア装置であっても、他方側に戸袋の機能を備えた防護パネル4を容易に取り付けることができる。
しかも該取付けられた防護パネル4は、戸尻側縦枠1bとドア体2とに取付けられるものであるから、フランス落し錠を設けた場合のように床面に落し穴を設けるような必要がない。
そして通常は、キャップ16が切欠き部14dを覆っていてガイドローラ13が切欠き部から抜け出ることがないようにして防護体4が開くのをロックしているため、防護パネル4は移動することなく、ドア体2のみの開閉作動をすることができる。
【0020】
このような防護パネル4を戸袋内を掃除する等で開放するときには、ドア体2を全閉姿勢にすると共にキャップ16を持ち上げることで切欠き部14d位置にガイドローラ13が位置することになってロック解除状態となり、この状態で防護パネル4を屋内方向に引くことで該切欠き部14dからガイドローラ13が抜け出ることになって、防護パネル4を開き戸として開放させることができ戸袋パネル3および防護パネル4のドア体側面の掃除等をすることができる。
【0021】
そしてこのものでは、ガイドレール14に、ガイドローラ13を抜き出すための切欠き部14dを設けられているが、該切欠き部14dは、キャップ16の裏面に設けた凸部16fが嵌まり込むことによりガイドレール14のレール面とフラットになり、通常時のドア体2のスライド移動時に支障をきたすことがなく、ドア体2をスムーズにスライド移動させることができる。
【0022】
さらにこのものでは、防護パネル4を後付けしたとしても、防護パネル4が上枠1aではなく、框材2a及び支持部材5に取り付けられることになるため、上枠1a内に収容される自動開閉機構Mのメンテナンスをする際に、防護パネル4、支持部材5、ガイドローラ13、ガイドレール14等の各種部材を取り外す必要がなく、上枠のカバー板1eを取り外すだけで、自動開閉機構Mが露出するため、メンテナンス作業を容易に行うことができるものである。
【0023】
尚、本発明は前記第一の実施の形態に限定されるものでなく、防護パネル4のロック機構を、図7、8に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。尚、第一の実施の形態と同じものについては同じ符号を付すと共に詳細な説明は省略する。
18はドア体2の上下框材2aの防護パネル4との対向面に固着されるガイドレールであって、支持部18a、突出部18b、レール部18cからなるクランク形状をしていて、ビス15で上下框材2aに固定される点、該レール部18cのドア体2側面した半部をガイドローラ13が転動する点等については、第一の実施の形態のガイドレール14と同様であるため、説明を省略する。
前記ガイドレール18のレール部18cの戸尻側先端部位、つまり、ドア体2を全閉したとき位置するガイドローラ13の対向位置は、該ガイドローラ13が抜け出すための抜け出し手段である切欠き部18dが切り欠き形成されている。これによって、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、切欠き部18dからガイドローラ13を抜き出すことで防護パネル4を閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動できるようになっている。
【0024】
19は、前記ガイドレール18の切欠き部18dを覆うキャップであって、ガイドレール18の突出部18bの上面に当接する本体部19a、該本体部19aの防護パネル4側端縁から垂下している垂下片19bから形成されている。さらに、前記本体部19aには左右方向に長い長孔19cが穿設され、該長孔19cに、ガイドレール18の戸先側先端部位から上方に突出したピン20に対し移動自在に貫通している。そして、本体部19aの戸先側部位に設けられた操作部(本実施の形態では凹孔であるが例えば摘みであってもよい。)19dに指(工具でも良い。)を入れながらキャップ19を左右にスライドさせることで、キャップ19がガイドレール18に対し、スライド移動できるように構成されている。
【0025】
そして、防護パネル4を閉鎖姿勢とし、ドア体2をスライド移動させる通常時においては、キャップ19をガイドレール18に嵌め込んだ状態、つまり、前記ピン20が長孔19cの戸尻側端部に位置しておけば、ガイドレール18のレール部18cの戸尻側先端18eとキャップ19の延出片19bの戸先側先端19eとが当接した状態となって、ガイドレール切欠き部18dは該垂下片19bによって塞がれて、段差のない一平面状のレールが形成される。この状態で、ドア体2をスライド移動させると、戸先から戸尻まで、ガイドローラ13がガイドレール18内を滑らかに転動することとなって、ドア体2がスムーズに開閉できる。
また、このとき、仮にドア体2を全閉姿勢にして防護パネル4を開こうとしても、該キャップ19がガイドレール切欠き部18dを覆っているため、ガイドローラ13がガイドレール18から外れることはなく、防護パネル4を開くことができないロック状態とすることができる。つまり、該キャップ19が防護パネル4のロック手段の役割を果たしている。
【0026】
次ぎに、防護パネル4を開く場合、つまり、ドア体2を全閉姿勢とした状態で、防護パネル4を閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿させる場合について説明する。
まず、キャップ19の操作部19dに指を入れ、ピン20が長孔19cの戸先側端部に位置するようにキャップを戸尻側方向へスライド移動させ、これによって切欠き部18dを開口させると共に、ドア体2を全閉姿勢としすると、前記開口した切欠き部18dからガイドローラ13を臨むことができ、この状態で防護パネル4を屋内側に引くと、ガイドローラ13が切欠き部14dから抜き出され、これによって防護パネル4は閉鎖姿勢から開放姿勢に変姿揺動し、該防護パネル4が開き戸として機能することになり、このようにしても、前記第一の実施の形態と同様、戸袋として機能する防護パネル4を簡単に後付できると共に、床面に穴を開けたるすることなく戸袋姿勢にロックすることができ、しかも必要において開き戸として開放することができる。
【0027】
また、図9に示す第三の実施の形態のようにしても本発明を実施することができる。つまりこのものでは、ガイドローラ21の下端から、防護パネル4側のブラケット12に固定された雌螺子部22に螺合する雄螺子部23aを有した摘み23を設け、該摘み23を回し操作することでガイドローラ21の上下移動をし、これによってガイドローラ21のガイドレール24に対する挿脱ができ、防護パネルをロックできるようにしたものであり、このようにすることで前記第一、第二の実施の形態のものと同様のものとすることができる。そしてこの場合には、ガイドレール側に切欠き部を設ける必要がないものにできる。
【0028】
さらに、摘みを図10に示す第四の実施の形態のような構成としても本発明を実施することができる。
このものは、防護パネル4側のブラケット25に、該ブラケット25に設けた孔25aに嵌合する板バネ26aを有した摘み26を設け、該摘み26を把持して上下方向に押し引き操作をすることで、該板バネ26に形成の山部26bが前記ブラケット孔25a部位を無理越えすることになって上下移動し、これによってガイドローラ21のガイドレール24に対する挿脱ができるようにしたものであり、このようにすることで摘みの挿脱操作が簡単になると共に、ガイドローラ21のガイドレール24への挿入姿勢の維持が簡単になる。
【0029】
また、図11に示す第五の実施の形態のもののように、防護パネル4に取り付けるブラケット27に弾機27aにより付勢されたボール27bを配し、摘み28の中間部の上下二箇所に凹部28a、28bを設けたボールロックピン形式(デテント構造)のものとし、そして第四の実施の形態と同様に摘み28を把持して上下方向に押し引き操作することで、上下凹部28a、28bの何れか一方にボール27bが嵌合することになり、これによってガイドローラ21のガイドレール24に対する挿脱操作と、挿入姿勢および脱出姿勢の維持とがができるようにしたものである。
【0030】
またさらに、ガイドレールの形状を、図12(A)〜(D)に示す第六〜第九の実施の形態のもののようにすることもできる。
まず、図12(A)に示す第六の実施の形態において、ガイドレール29は、略冂字状をした頭部29a、略コ字状をした固着部29b、略冂字状をしたレール部29cが上下方向に一体形成されたものである。そして、該ガイドレール29は、ガイドレール固着部29bにおいてレール補助材30を介してドア体2の上下框材2aに固着させるが、上框材2a側のガイドレール29は、上枠1aのカバー体1eの下端から僅かに間隙を設けた位置に該ガイドレール頭部29aの上端が位置するようにして設けられる。
次に、図12(B)〜(D)に示す第七〜第九の実施の形態について、各ガイドレール31、32、33の固着部31b、32b、32b及びレール部31c、32c、33cは前記第六の実施の形態のガイドレール29と同様の構成を有するものであるため、説明を省略する。
図12(B)に示す第七の実施の形態のものは、頭部31aが、上方向凸状に湾曲した形状をしたガイドレール31として、図12(C)に示す第八の実施の形態のものは、頭部32aが傾斜した形状をしたガイドレール32として、図12(D)に示す第九の実施の形態のものは、頭部33aが下方向凸状に湾曲した形状をしたガイドレール33として構成されている。
そして、これらのようにすることで、上枠カバー体1eとガイドレール29、31、32、33とが意匠的に一体となったものとすることができて、防護パネル4を後付けする場合であっても、美感に優れたものとすることができる。
【0031】
なお、第一〜第九の実施の形態において、防護パネル4にガイドローラを、ドア体2にガイドレールを設けた構成としたが、防護パネル4側にガイドレールを、ドア体2側にガイドローラを設けた逆の構成としても本発明を実施することができる。
【0032】
さらに、開き戸式の防護パネルだけでなく、図13に示す第十の実施の形態のように、引戸式の防護パネル34とすることもできる。なお、第一の実施の形態と同じものについては同じ符号を付すと共に詳細な説明は省略する。
防護パネル34は、上側框材34a、左右の縦框材(戸尻側框材34b、戸先側框材34c)および下側框材34dにより四周を囲繞された空間にガラス材34eを嵌め込んで構成されているが、該防護パネル34の取付け位置や、ドア体2が開放方向にスライド移動する際に、戸袋パネル3と該防護パネル34との間に引き込まれるように構成され、該戸袋パネル3と防護パネル34とがドア体2の内外の戸袋として機能するように構成されている点は第一の実施の形態と同様である。
【0033】
引戸式ドア装置1の戸尻側、戸先側縦枠1b、1cには、それぞれ戸尻側、戸先側補助枠35a、35bが防護パネル34側(屋内側)に向けて突出するようにして固定されている。
一方、防護パネル34の戸尻側框材34bの上下端部には、摘み部36aを備えた鎌錠36(本発明の「ロック手段」に相当する)が組み付けられており、前記戸尻側補助枠35aに設けられている錠受け35cに鎌錠36の錠部36bを係合させて施錠することで、防護パネル34の移動を規制して、防護パネル34は閉鎖姿勢のまま、ドア体2のみがスライド移動できるように構成され、逆に、鎌錠36を開錠することで防護パネル34が移動できるように構成されている。
【0034】
そして、防護パネル34の戸袋パネル3と対向する面の上下框材34aの戸尻側端部、戸先側端部には、逆L字形をしたブラケット12がそれぞれ取り付けられ、該ブラケット12の隙間S側に向いた突出片12aには、戸尻側、戸先側ガイドローラ37、38のローラ軸37a、38aの下端部がそれぞれ固着されている。
さらに、ガイドローラ37、38のローラ中間位置には、後述するレール凸部39cが嵌入するための凹溝37b、38bが周回り方向に一周形成されている。
【0035】
一方、ドア体2の上下框材2aの防護パネル34との対向面には、ガイドレール39がそれぞれ固着されるが、該ガイドレール39は、縦断面視において略h字形状をしていて、前記上下框材2aに当接してビス40を介して固定される支持部39aと、略冂字状のレール部39bとで構成されている。
さらに、該レール部39bの縦方向中間位置には、レール内部方向に向けて突出する凸部39cが形成されており、該凸部39cにガイドローラ凹溝37b、38bが回動自在な状態で支持され、これによって、ドア体2が防護パネル34に対して、防護パネル34がドア体2に対して、スライド移動できるように構成されている。
なお、ガイドローラ37、38とガイドレール39が本発明の開閉移動手段に相当する。
【0036】
しかも、防護パネル34には、該防護パネル34の下端の戸先側には戸車41が配されているが、防護パネル34を開閉移動させる際に、戸車41が片持ち状になった防護パネル34の戸先側下端を支えることになって、スムーズにスライド移動できるように構成されている。
【0037】
ここで、防護パネル34を閉鎖姿勢とし、ドア体2のみをスライド移動させる通常の場合について説明する。
この場合、防護パネル34は、鎌錠36によって補助枠35に固定されていて、移動が規制され、戸袋を閉鎖する閉鎖姿勢を保っている。そして、この状態でドア体2が躯体開口部を開放、閉鎖する方向、つまり左右にスライド移動させることになるが、ドア体2と防護パネル34とは重合部を有するため、本実施の形態では、戸先側ガイドローラ38のみがガイドレール39に嵌入して該ガイドレール39内を転動し、ドア体2が全開姿勢の場合でも戸尻側ガイドローラ37はガイドレール39に嵌入しない。
【0038】
次に、戸袋内の掃除等のために戸袋を開放する場合、つまり、防護パネル34をスライド移動させる場合について説明する。
この場合、ドア体2を全閉姿勢にした状態で、防護パネル34の戸袋を開放する方向(戸先側)へスライド移動させることになる。
まず、鎌錠36の摘み部36aによって開錠操作をして、補助枠35の錠受け35bと錠部36bとの係合を解除し、防護パネル34がスライド移動可能な状態にする。そしてこの状態で、防護パネル34を戸先側方向へスライド移動させると、戸先側ガイドローラ38がガイドレール39内を転動しながら移動する。その後、戸尻側ガイドローラ37がガイドレール39の戸尻側端部に至ると、該戸尻側ガイドローラ37がガイドレール39に嵌入して、戸先側ガイドローラ38と同様にガイドレール39内を転動する。このとき、戸車41によって、戸尻側ガイドローラ37とガイドレール39との嵌入がスムーズにできるよう、誘導支持されている。
さらに防護パネル34を移動させると、戸先側ガイドローラ38がガイドレール39の戸先側端部から抜け出て、戸尻側ガイドローラ37のみがガイドレール39内を転動し、防護パネル34が戸先側縦枠1cに至って戸袋全開状態となる。そして、この戸袋全開状態で戸袋内を清掃することになる。
【0039】
なお、ドア体2を予め全閉姿勢にしてから防護パネル34を戸先側へスライド移動させたが、ドア体2を全開姿勢にした状態でドア体2と防護パネル34とを同時に戸先側へスライド移動させることも可能である。
【0040】
また、ドア体2を全開姿勢にした状態で、防護パネル34のみを戸先側へスライド移動させることも可能である。このときも同様に、戸先側ガイドローラ38のみがガイドレール39に嵌入している状態から、戸尻側ガイドローラ37もガイドレール39に嵌入し、さらに防護パネル34を戸先側へ移動させると、戸先側ガイドローラ38はガイドレール39から抜け出て、戸尻側ガイドローラ37のみがガイドレール39内を転動し、これによって防護パネル34を戸先側縦枠1cに至るまでスライド移動できるように構成されている。
このようにドア体2は全開状態で、防護パネル34のみ戸先側へ移動させると、例えば、防護パネル34のドア体2との対向面を掃除することができる。
【0041】
一方、戸先側縦枠1cに防護パネル34の戸先側框材34cが当接している状態である戸袋全開状態から、戸袋全閉状態にするためには、防護パネル34を戸尻側へ向けてスライド移動させることになる。
この場合、戸袋を開放する場合と逆の動きとなって、スライド移動開始時は、戸尻側ガイドローラ37のみがガイドレール39内を転動し、さらに防護パネル34を移動させると、ガイドレール39の戸先側端部に戸先側ガイドローラ37が至って、戸先側ガイドローラ38がガイドレール39内に嵌入し、その後、戸尻側ガイドローラ37がガイドレール39から抜け出て、戸先側ガイドローラ38のみがガイドレール39内を転動する状態で、防護パネル34の戸尻側框材34bが補助枠35に当接し、鎌錠36によって防護パネル34は補助枠35に係止、施錠される。
【0042】
このように構成することで、戸尻側縦枠1bに補助枠35を固着させる一方、防護パネル34の上下框材34a、34dの戸尻側及び戸先側にガイドローラ37、38をブラケット12を介して取り付け、ドア体2の上下框材2aに設けたガイドレール39を該ガイドローラ37、38が転動するように構成することで、既存の戸袋を一方側にのみ有する引戸式ドア装置であっても、他方側に戸袋の機能を備えた引戸式の防護パネル34を容易に取り付けることができる。
そして、開き戸式の防護パネルを開閉させるスペースが確保できないような場合であっても、取付け作業がしやすく、清掃やメンテナンス性に優れた引き戸式の防護パネル34を設置することができる。
しかも、戸車41を防護パネル34の下端に設けることで、ガイドローラ37、38の何れか一方のみがガイドレール39内を転動する場合であっても、防護パネル34が傾くことなくスムーズにスライド移動でき、さらに、ガイドローラ37、38とガイドレール39との嵌入や抜出しがスムーズにできるため、防護パネル34のスライド移動が容易である。そしてこのものも、防護パネル34は上枠ではなく上框材に設けたから、自動開閉機構M等の上枠内に収納された部材をメンテナンスする場合、防護パネル34を取外すことなく作業できるため、該防護パネル34を後付けした場合であっても、作業性を損なうことがない。
【0043】
またさらに、ガイドローラを用いず、図17に示す第十一の実施の形態のように略コ字状をした第一、第二ガイドレール42a、42bを用いた所謂スライドレール42を採用することもできる。なお、スライドレール42は第一、第二ガイドレール42a、42bが中間部に配したボール42cを介して、戸先側、戸尻側の両方向にスライド移動できるように構成されたものであるが、これらの具体的構成については、従来通りのものを採用しているため、ここでは説明を省略する。
また、スライドレール42以外の構成については前記第十の実施の形態のものと同じものを用いることができるため、同じ符号を付すると共に、詳細な説明は省略する。
【0044】
まず、ドア体2の上下框材2aの防護パネル34との対向面に第一ガイドレール42aを固着させ、防護パネル34の上下框材34a、34dのドア体2との対向面に第二ガイドレール42bを固着させて、スライドレール42を組み付ける。
そして、通常のドア体2を開閉移動させる場合は、鎌錠36を施錠して防護パネル34を固定し、ドア体2をスライド移動させると、固定されている第二ガイドレール42bに対して第一ガイドレール42aがベアリング42cを介して摺動することになって、ドア体2を左右に開閉移動させることができる。
一方、防護パネル34を開閉移動させる場合は、鎌錠36を開錠して防護パネル34の移動規制を解除し、この状態で防護パネル34をスライド移動させると、第一ガイドレール42aに対して第二ガイドレール42bがベアリング42cを介して摺動することになって、防護パネル34を開閉移動させることができる。
【0045】
このように構成することで、ドア体2および防護パネル34を滑らかにスライド移動させることができ、作業性に優れたものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、建築物の出入口部等に設けられる引戸式ドア装置の技術分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 引戸式ドア装置
1e カバー体
2 ドア体
2a 框材
4 防護パネル
5 支持部材
7 補助框材
12 ブラケット
13 ガイドローラ
14 ガイドレール
14a 支持部
14b 突出部
14c レール部
14d 切欠き部
16 キャップ
18 ガイドレール
19 キャップ
19c 長孔
S 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の躯体開口部を開閉する引戸式のドア体と、前記開口部の屋内外何れか一方の戸尻側半部に配した戸袋とを備えて構成される引戸式ドア装置において、
前記開口部の他方の戸尻側半部に、開閉移動可能な防護パネルを、ドア体を全閉姿勢にしたときに防護パネルの戸先側端部とドア体の戸尻側端部とが屋内外側に重なり合う重合部を有するようにして設けるにあたり、
該防護パネルが開閉移動をすることのロックおよびロック解除ができるロック手段と、
防護パネルとドア体の重合部の少なくとも上框材の重合部に設けられ、前記ロックがなされた状態ではドア体が防護パネルに対して開閉移動し、ロック解除がなされた状態では防護パネルがドア体に対して開閉移動するための開閉移動手段とが設けられていることを特徴とする引戸式ドア装置。
【請求項2】
前記防護パネルは、戸尻側端部が躯体開口部の戸尻側部位に縦支軸を介して内外方向揺動自在に軸支されたものであり、
開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、
他方の重合部に設けられ、前記ガイドローラを防護パネルが開放方向に揺動するのを規制する状態で防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドするガイドレールとで構成され、
ロック手段は、ドア体が全閉した状態でガイドローラがガイドレールから抜け出し可能に構成され、通常時には該ガイドローラの抜け出しを規制し、メンテナンス時に該規制を解除操作できる操作体を備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置。
【請求項3】
ロック手段は、ガイドレールに形成された切欠き部と、該切欠き部を開閉自在に覆蓋するキャップとで構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置。
【請求項4】
ロック手段は、ガイドレールに出没自在に挿入するガイドローラにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置。
【請求項5】
前記防護パネルは、前記開閉移動手段によって左右方向スライド移動自在に支持されたものであり、
開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、
他方の重合部に設けられ、防護パネルがスライド移動するのを規制するロック状態において、防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドし、ロック解除状態において、防護パネルがスライド移動できるようガイドするガイドレールとで構成され、
ロック手段は、防護パネルの戸尻側框材に設けられるロック体が、ドア体の戸尻側縦枠の屋内側に固着される補助枠に係脱可能に設けられ、通常時には該ロック体を補助枠に係止することで防護パネルの移動を規制し、メンテナンス時には該規制を解除できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置。
【請求項1】
建築物の躯体開口部を開閉する引戸式のドア体と、前記開口部の屋内外何れか一方の戸尻側半部に配した戸袋とを備えて構成される引戸式ドア装置において、
前記開口部の他方の戸尻側半部に、開閉移動可能な防護パネルを、ドア体を全閉姿勢にしたときに防護パネルの戸先側端部とドア体の戸尻側端部とが屋内外側に重なり合う重合部を有するようにして設けるにあたり、
該防護パネルが開閉移動をすることのロックおよびロック解除ができるロック手段と、
防護パネルとドア体の重合部の少なくとも上框材の重合部に設けられ、前記ロックがなされた状態ではドア体が防護パネルに対して開閉移動し、ロック解除がなされた状態では防護パネルがドア体に対して開閉移動するための開閉移動手段とが設けられていることを特徴とする引戸式ドア装置。
【請求項2】
前記防護パネルは、戸尻側端部が躯体開口部の戸尻側部位に縦支軸を介して内外方向揺動自在に軸支されたものであり、
開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、
他方の重合部に設けられ、前記ガイドローラを防護パネルが開放方向に揺動するのを規制する状態で防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドするガイドレールとで構成され、
ロック手段は、ドア体が全閉した状態でガイドローラがガイドレールから抜け出し可能に構成され、通常時には該ガイドローラの抜け出しを規制し、メンテナンス時に該規制を解除操作できる操作体を備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置。
【請求項3】
ロック手段は、ガイドレールに形成された切欠き部と、該切欠き部を開閉自在に覆蓋するキャップとで構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置。
【請求項4】
ロック手段は、ガイドレールに出没自在に挿入するガイドローラにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の引戸式ドア装置。
【請求項5】
前記防護パネルは、前記開閉移動手段によって左右方向スライド移動自在に支持されたものであり、
開閉移動手段は、ドア体と前記防護パネルとの前記重合部同士のうちの何れか一方の重合部に設けられ、他方の重合部側に向けて突出するガイドローラと、
他方の重合部に設けられ、防護パネルがスライド移動するのを規制するロック状態において、防護パネルは残してドア体のみが開閉移動するようガイドし、ロック解除状態において、防護パネルがスライド移動できるようガイドするガイドレールとで構成され、
ロック手段は、防護パネルの戸尻側框材に設けられるロック体が、ドア体の戸尻側縦枠の屋内側に固着される補助枠に係脱可能に設けられ、通常時には該ロック体を補助枠に係止することで防護パネルの移動を規制し、メンテナンス時には該規制を解除できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の引戸式ドア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−202095(P2012−202095A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67073(P2011−67073)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(391008582)昭和フロント株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(391008582)昭和フロント株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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