説明

弱酸性泡状洗浄剤組成物

【課題】 起泡力、泡質および泡もちに優れ、すすぎ時および洗浄後の感触が良好であり、かつメイクや皮脂などの汚れを落とす効果(洗浄力)、保存安定性、および低温保存復元性に優れる、低刺激性の弱酸性泡状洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】 アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤、アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤およびアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤、アルキルベタイン型両性界面活性剤およびアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤、および炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(d成分)を特定の割合で含有する弱酸性泡状洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起泡力、泡質および泡もちに優れ、すすぎ時および洗浄後の感触が良好であり、かつメイクや皮脂などの汚れを落とす効果(洗浄力)、保存安定性、および低温保存復元性に優れる、低刺激性の弱酸性泡状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボディシャンプー、洗顔料などの皮膚洗浄剤の主成分は高級脂肪酸アルカリ塩(せっけん)である。このせっけんは、洗浄後に独特のさっぱり感を有するだけでなく、生分解性も良好であり、環境に対しても優しい洗浄基剤として現在でも広く使用されている。
【0003】
ところで、皮膚洗浄剤に求められる機能としては、一般的に、洗浄力、泡の質感(泡質)、すすぎ性(すすぎ時の感触)、皮膚に対する低刺激性などが挙げられる。しかし、従来の皮膚洗浄剤は、手、タオルなどに適量を取り、水や湯を加えて、摩擦により泡立ててから洗浄を行うものであるため、温度や摩擦力によって、あるいは使用する水や湯の品質によって泡立ちおよび泡質が異なるという問題がある。さらに、洗浄時の過剰の摩擦により、皮膚に対する刺激性が強い場合がある。そして、洗浄後には、つっぱり感が残ることがあり、すすぎが不十分である場合には、残存する洗浄剤がアルカリ性を呈するため、皮膚に対する刺激性が問題となる。さらには色焼けを起こし易いなどの経時安定性も問題である。
【0004】
そこで、近年、皮膚洗浄剤として、泡質の均一性、低刺激性などを考慮し、さらには1回の使用量を一定にすることが容易であるなどの利用性を考慮した泡状洗浄剤が提案されている。この泡状洗浄剤は、トリガー式、スクイズ式、エアゾール式、またはポンプ式などのフォーマー容器から吐出・発泡させて使用され、例えば、特許文献1〜3には、フォーマー容器に充填する洗浄剤組成物が提案されている。しかしながら、これらの洗浄剤組成物は、泡質および泡もちが十分でなく、また、少なからず、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感を有するとともに、低温化での安定性やメイクなどの汚れに対しての洗浄力が充分でない。
【0005】
一方、低刺激性、すすぎ時のぬめり感の改善などを目的として「皮膚などに対してマイルド」といわれる低刺激性の合成界面活性剤を組み合わせ、かつpHを弱酸性に調整した低刺激性皮膚洗浄剤が提案されている。例えば、特許文献4にはアシルアルキルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤およびアミドアミノ酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤を組み合わせた、起泡性に優れた低刺激性の洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、これらの洗浄剤組成物は、粘度が比較的高く、フォーマー容器から吐出しにくい。仮に、これらの洗浄剤組成物を水で希釈して粘度を低くした場合、界面活性剤濃度が低くなるため、良好な泡質や泡もち、および洗浄力が得られず、さらに低温下での安定性が悪くなる。
【0006】
そこで、泡質および泡もちに優れ、すすぎ時のぬめり感がなく、かつ洗浄力に優れた、低刺激性の泡状洗浄剤が求められている。
【特許文献1】特開平5−132700号公報
【特許文献2】特開平7−252132号公報
【特許文献3】特開平7−252133号公報
【特許文献4】特許第3178085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、起泡力、泡質および泡もちに優れ、すすぎ時および洗浄後の感触が良好であり、かつメイクや皮脂などの汚れを落とす効果(洗浄力)、保存安定性、および低温保存復元性に優れる、低刺激性の弱酸性泡状洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の界面活性剤を特定の比率で組み合わせることによって、上記目的を達成できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の弱酸性泡状洗浄剤組成物は、アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a);アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)およびアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(b);アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)およびアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(c);および炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(d)を含有し、該アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a)が、式(I)で示される化合物:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である)であり、該アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)が、式(II)で示される化合物:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、Mは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である)であり、該アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)が、式(III)で示される化合物:
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属原子であり、そしてmおよびnはそれぞれ1〜3の整数である)であり、該アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)が、式(IV)で示される化合物:
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基である)であり、該アルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)が、式(V)で示される化合物:
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基である)であり、該組成物中に、該(a)が0.1〜10質量%、該(b)が0.5〜10質量%、該(c)が0.1〜2質量%、および該(d)が1〜15質量%含有され、かつ該(a)、該(b)、および該(c)の合計量が3〜13質量%、該(a)および該(c)の合計量と該(b)との質量比(a+c)/(b)が1/5〜10/1、該(a)および該(b)の合計量と該(d)との質量比(a+b)/(d)が1/10〜6/1、ならびに該(c)と該(d)との質量比(c)/(d)が1/40〜1/1となるように含有され、そして該組成物の25℃におけるpHが3.5〜6.5である。
【0020】
好ましい実施態様においては、さらに、少なくとも以下の式(VI):
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、R、R、およびRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基であり、そしてpは2〜4の整数である)
で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として含むポリマー(e)を0.001〜1質量%含有し、該ポリマー(e)の構成単位のうち、該2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの質量比が100/0〜10/90であり、そして該ポリマー(e)が、該2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを合計量で60〜100質量%含有するように構成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の弱酸性泡状洗浄剤組成物は、低刺激性で、起泡力、泡質および泡もちに優れ、すすぎ時および洗浄後の感触が良好であり、かつメイクや皮脂などの汚れを落とす効果(洗浄力)、保存安定性、および低温保存復元性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の弱酸性泡状洗浄剤組成物は、アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a);アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)およびアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(b);アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)およびアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(c);および炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(d)を特定の割合で含有し、好ましくはさらにポリマー(e)を特定割合で含有し、必要に応じて、その他の成分(f)を含有し得る。以下、各成分および弱酸性泡状洗浄剤組成物について順次説明する。
【0025】
(アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a))
本発明の組成物に用いられるアシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(以下、a成分という場合がある)は、以下の一般式(I)で示される:
【0026】
【化7】

【0027】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である)。
【0028】
上記一般式(I)において、RCOの炭素数8〜20のアシル基は、特に制限されず、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸酸のいずれに由来するアシル基であってもよいし、直鎖状脂肪酸および分岐鎖を有する脂肪酸のいずれに由来するアシル基であってもよい。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの飽和脂肪酸由来のアシル基;パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸由来のアシル基;およびこれらの混合物であるヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などの天然油脂由来の混合脂肪酸由来のアシル基などが挙げられる。これらの中でも、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、または牛脂脂肪酸由来のアシル基であり、さらに好ましくはラウリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、またはパーム核油脂肪酸由来のアシル基である。炭素数が8未満の場合は、得られる洗浄剤組成物の皮膚への刺激性が強くなり、炭素数が20を超える場合は、得られる洗浄剤組成物の起泡力が低下する。
【0029】
上記一般式(I)において、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である。Mとしては、具体的には、カリウム原子、ナトリウム原子、1/2マグネシウム原子、1/2カルシウム原子、アンモニウム基、トリエタノールアミンの陽イオン性残基、アルギニンの陽イオン性残基などが挙げられる。好ましくはカリウム原子、ナトリウム原子、1/2マグネシウム原子、または1/2カルシウム原子である。
【0030】
上記一般式(I)で示されるアシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンマグネシウムなどが挙げられる。
【0031】
(両性界面活性剤(b))
本発明の組成物に用いられる両性界面活性剤(b)(以下、b成分という場合がある)は、アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)および/またはアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)である。これらの両性界面活性剤(b)は、それぞれ単独で用いてよく、組み合わせて用いてもよい。
【0032】
(アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1))
上記アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤は、以下の一般式(II)で示される:
【0033】
【化8】

【0034】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、Mは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である)。
【0035】
上記一般式(II)において、RCOの炭素数8〜20のアシル基は、特に制限されず、例えば、上記式(I)のRCOと同様の脂肪酸由来のアシル基を用いることができる。好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、またはパーム核油脂肪酸由来のアシル基であり、さらに好ましくはラウリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、またはパーム核油脂肪酸由来のアシル基である。炭素数が8未満の場合は、得られる洗浄剤組成物を用いて洗浄すると、洗浄後の感触が悪い。炭素数が20を超える場合は得られる洗浄剤組成物の起泡力が低下する。
【0036】
上記一般式(II)において、Mは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である。Mとしては、具体的には、カリウム原子、ナトリウム原子、1/2マグネシウム原子、1/2カルシウム原子、アンモニウム基、トリエタノールアミンの陽イオン性残基、アルギニンの陽イオン性残基などが挙げられる。好ましくはカリウム原子またはナトリウム原子である。
【0037】
上記一般式(II)で示されるアルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)としては、具体的には、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウムなどが挙げられる。
【0038】
(アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2))
上記アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤は、以下の一般式(III)で示される:
【0039】
【化9】

【0040】
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属原子であり、そしてmおよびnはそれぞれ1〜3の整数である)。
【0041】
上記一般式(III)において、Rは、上述のように、炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基である。例えば、次の基が挙げられる:オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などのアルキル基;テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イソオクタデセニル基、エイコセニル基などのアルケニル基;およびこれらの混合物であるヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、牛脂アルキル基などの混合アルキル基。これらの中で、好ましくは炭素数10〜18のアルキル基またはアルケニル基である。炭素数が8未満の場合は、洗浄剤組成物の起泡力および泡質が悪くなり、炭素数が20を超える場合は得られる洗浄剤組成物の保存安定性が悪くなる。
【0042】
上記一般式(III)において、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属原子であり、MおよびMは同一であっても異なっていてもよい。例えば、水素原子、カリウム原子、ナトリウム原子などが挙げられる。好ましくは水素原子またはナトリウム原子である。
【0043】
上記一般式(III)において、mおよびnはそれぞれ1〜3の整数である。好ましくは1〜2の整数であり、より好ましくはmおよびnが共に1である。mまたはnが0の場合は得られる洗浄剤組成物の保存安定性が悪くなり、3を超える場合は上記洗浄剤組成物の泡質が悪くなる。
【0044】
上記一般式(III)で示されるアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)としては、具体的には、ドデシルイミノジ酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0045】
(両性界面活性剤(c))
本発明の組成物に用いられる両性界面活性剤(c)(以下、c成分という場合がある)は、アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)および/またはアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)である。これらの両性界面活性剤(c)は、それぞれ単独で用いてよく、組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1))
上記アルキルベタイン型両性界面活性剤は、以下の一般式(IV)で示される:
【0047】
【化10】

【0048】
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基である)。
【0049】
上記一般式(IV)において、Rは、上述のように、炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、例えば、上記式(III)のRと同様のアルキル基またはアルケニル基が用いられ得る。好ましくはドデシル基、テトラデシル基、オクタデセニル基、ヤシ油アルキル基、またはパーム核油アルキル基であり、より好ましくはドデシル基、オクタデセニル基、ヤシ油アルキル基、またはパーム核油アルキル基である。炭素数が8未満の場合は、洗浄剤組成物の起泡力および泡質が悪くなり、炭素数が20を超える場合は得られる洗浄剤組成物の保存安定性が悪くなる。
【0050】
上記一般式(IV)で示されるアルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)としては、具体的には、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
【0051】
(アルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2))
上記アルキルアミドベタイン型両性界面活性剤は、以下の一般式(V)で示される:
【0052】
【化11】

【0053】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基である)。
【0054】
上記一般式(V)において、RCOの炭素数8〜20のアシル基は、特に制限されず、例えば、上記式(I)のRCOと同様の脂肪酸由来のアシル基を用いることができる。好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、または牛脂脂肪酸由来のアシル基であり、より好ましくはラウリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、またはパーム核油脂肪酸由来のアシル基である。炭素数が8未満の場合は、洗浄剤組成物の起泡力が悪くなり、炭素数が20を超える場合は得られる洗浄剤組成物の保存安定性が悪くなる。
【0055】
上記一般式(V)で示されるアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)としては、具体的には、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
【0056】
(炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(d))
本発明の組成物に用いられる炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(以下、d成分という場合がある)としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの中でも、メイク汚れに対する洗浄力や泡質に優れた洗浄剤組成物を得る点から、好ましくは1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、およびジプロピレングリコールが用いられる。
【0057】
(ポリマー(e))
本発明の組成物は、泡質のさらなる改善および洗浄後の感触をさらに高める点から、ポリマー(e)(以下、e成分という場合がある)を含有することが好ましい。このポリマー(e)は、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、PCという場合がある)を必須の構成単位として含み、さらに(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびその他の化合物を構成単位として含み得る。すなわち、ポリマー(e)は、上記PCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの質量比が100/0〜10/90、好ましくは100/0〜30/70、より好ましくは95/5〜50/50で、かつ上記PCと該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの合計量が60〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量含有されるように構成される。このポリマー(e)は、具体的には、PCのホモポリマーあるいはPCと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを少なくとも構成単位として含む共重合体ポリマーである。
【0058】
上記ポリマー(e)の必須の構成単位であるPCは、以下の一般式(VI)で示される:
【0059】
【化12】

【0060】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、R、R、およびRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基であり、そしてpは2〜4の整数である)。
【0061】
上記PCの中でも、一般式(VI)において、R、R、R、およびRがメチル基であり、かつpが2である、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。
【0062】
上記ポリマー(e)の必須の構成単位となり得る(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルであり、例えば、メタクリル酸またはアクリル酸と、炭素数1〜6のアルコールとから得られる。上記アルコールの炭素数は、好ましくは2〜5、より好ましくは3〜4である。
【0063】
上記ポリマー(e)の必須の構成単位となり得るその他の化合物は、PCおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合性を有する、付加重合可能な二重結合を有する化合物であればよく、本発明の効果を損なわない範囲で含有され得る。このような化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、スチレンなどのオレフィン系炭化水素、およびそれらの異性化オレフィン、多量化オレフィン、またはこれらに各種誘導体を導入したオレフィン性化合物;アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの多量体、無水物、炭素数1〜6の多価アルコールとのエステル、またはこれらにカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基などを導入したエチレン性不飽和カルボン酸誘導体;ビニルアルコールおよびこれと各種カルボン酸とのエステル、各種アルコールとのエーテル、またはこれらにカルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトリル基などを導入したビニルアルコールの誘導体などが挙げられる。
【0064】
本発明に用いられ得るポリマー(e)の分子量は、重量平均分子量で10,000〜10,000,000が好ましく、50,000〜5,000,000がより好ましく、50,000〜1,000,000がさらに好ましい。
【0065】
(その他の成分(f))
本発明の組成物に用いられ得るその他の成分は、当業者が洗浄剤に通常用いる添加剤であり、本発明の洗浄剤組成物の性能を損なわない範囲で含有され得る。例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィンなどの炭化水素系油、牛脂、豚脂、魚油などの天然油脂類、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどの合成トリグリセライド、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル油、ミツロウ、カルナバロウなどのロウ類、直鎖および環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキザンなどのシリコーン誘導体、セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチンなどの油性基剤、脂肪酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシドなどの非イオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシドなどの半極性界面活性剤、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムなどの水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩、亜硫酸塩などの有機塩類または無機塩類、キレート剤、抗酸化剤、動植物由来の天然エキス、酵素、色素、香料、殺菌防腐剤、防黴剤などが挙げられる。
【0066】
(弱酸性泡状洗浄剤組成物)
本発明の弱酸性泡状洗浄剤組成物は、アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a成分);アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤およびアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(b成分);アルキルベタイン型両性界面活性剤およびアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(c成分);および炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(d成分)を特定の割合で含有し、必要に応じて、ポリマー(e成分)およびその他の成分(f成分)を含有し得る。本発明の弱酸性泡状洗浄剤組成物は、液状であり得る。
【0067】
本発明の組成物中のa成分の含有量は0.1〜10質量%、好ましくは1〜9質量%、より好ましくは1〜8質量%である。0.1質量%未満では、泡質が悪くなり、10質量%を超える場合には、保存安定性および低温保存復元性が悪くなると共に、すすぎ時および洗浄後の感触が悪くなる。
【0068】
本発明の組成物中のb成分の含有量は0.5〜10質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。また、0.5質量%未満では、すすぎ時および洗浄後の感触が悪くなると共に、メイク汚れなどを落とす洗浄力が十分でなく、10質量%を超える場合には、泡質が悪く、保存安定性および低温保存復元性に問題があり、さらに得られる組成物の粘度が高くなり、フォーマー容器から押し出すことが困難になる。
【0069】
本発明の組成物中のc成分の含有量は0.1〜2質量%、好ましくは0.3〜2質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。0.1質量%未満では泡質が悪くなり、2質量%を超える場合には、すすぎ時および洗浄後の感触が悪くなる。
【0070】
本発明の組成物中のd成分の含有量は1〜15質量%、好ましくは2〜13質量%、より好ましくは4〜11質量%である。また、1質量%未満ではメイク汚れなどを落とす洗浄力が十分でなく、15質量%を超える場合には泡質が悪くなる。
【0071】
本発明の組成物中のa成分、b成分、およびc成分の合計量は、3〜13質量%、好ましくは5〜12質量%、より好ましくは6〜11質量%である。3質量%未満では洗浄力が弱くなると共に泡質および泡もちが悪くなり、13質量%を超える場合には、洗浄剤組成物を水で希釈せずにそのまま使用することが困難であり、泡状洗浄剤としての特性が失われる。
【0072】
本発明の組成物中のa成分およびc成分の合計量とb成分との質量比(a+c)/(b)は、1/5〜10/1、好ましくは1/5〜8/1、より好ましくは1/4〜6/1である。1/5未満では泡質が悪くなり、10/1を超える場合にはすすぎ時および洗浄後の感触が悪くなる。
【0073】
本発明の組成物中のa成分およびb成分の合計量とd成分との質量比(a+b)/(d)は、1/10〜6/1、好ましくは1/5〜5/1、より好ましくは1/2〜3/1である。1/10未満では泡質や泡もちが悪くなり、6/1を超える場合には、泡質が悪く、保存安定性および低温保存復元性の点で劣る。
【0074】
本発明の組成物中のc成分とd成分との質量比(c)/(d)は1/40〜1/1、好ましくは1/20〜1/1、より好ましくは1/10〜1/2である。1/40未満では泡質や泡もちが悪くなり、1/1を超える場合にはメイク汚れなどを落とす洗浄力が十分でなくなる。
【0075】
本発明の組成物中にe成分を含有する場合、その含有量は、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.002〜0.7質量%である。0.001質量%未満の場合は、泡質の改善効果、洗浄後の感触を高める効果、または皮膚刺激性を低下させる効果を十分に付与できない場合があり、1質量%を超える場合には配合が困難な場合がある。
【0076】
本発明の組成物のpHは、3.5〜6.5、好ましくは4.0〜6.0である。上記のpHの範囲にない場合は、塩酸、クエン酸、乳酸などの無機酸または有機酸を添加することによって調整される。上記組成物のpHが3.5未満の場合は、起泡力および保存安定性が悪くなると共に、皮膚刺激性が強くなり、6.5を超える場合にはすすぎ時および洗浄後の感触が悪くなる。
【0077】
本発明の組成物は、通常、フォーマー容器に充填されて使用される。このフォーマー容器は、単数または複数の一定の孔径を有する多孔体を有し、上記組成物を泡状に吐出できるものであれば特に制限されない。具体的には、トリガー式、スクイズ式、エアゾール式、またはポンプ式などのフォーマー容器が好適に使用される。これらの中でも、使用性の点から、キャップの頭部を手指で押圧することにより使用するポンプ式フォーマー容器がより好適に使用される。多孔体としては、ネット、スポンジなどが挙げられるが、目詰まり解消の点からネットを用いることが好ましい。ネットのメッシュは、好ましくは100〜400メッシュである。このフォーマー容器を用いることによって、上記組成物と空気とを所定の割合で混合し、クリーミィな泡を形成することができ、洗浄時に良好な感触を得ることができる。
【実施例】
【0078】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0079】
以下の実施例および比較例で調製された各組成物について、以下の(1)〜(8)の方法により評価した。
【0080】
(評価方法)
(1)泡もちの評価
組成物の濃度が5質量%となるように希釈した水溶液50gをミルサー(型番IFM−100、岩谷産業株式会社製)のカップに入れ、液温を25℃に保持しつつ5秒間撹拌する。撹拌停止から1分後および5分後に泡の高さ(カップの最低位置からの泡の高さ)を測定し、以下の式:
泡持続率(%)={(5分後の泡の高さ)/(1分後の泡の高さ)}×100
から泡持続率(%)を算出し、以下の基準で評価する:
泡持続率の値が90%以上:泡もちが良好である(○)
泡持続率の値が90%未満:泡もちが不十分である(×)
【0081】
(2)泡質の評価
20名の男女をパネラーとし、ポンプフォーマー容器(型番F2,大和製罐株式会社製)から洗浄剤を吐出させた時に形成される泡質について、以下の基準で採点する:
2点:泡質が細かく弾力性がある。
1点:泡質が若干粗い。
0点:泡質が粗く、弾力性がない。
得られた点数の合計が30点以上であれば泡質が良好であり(○)、30点未満であれば泡質が不十分である(×)として評価する。
【0082】
(3)使用性(洗顔のし易さ)の評価
20名の男女をパネラーとし、ポンプフォーマー容器(型番F2,大和製罐株式会社製)から3回吐出させて得られた泡状の洗浄剤を用いて洗顔する。洗顔のし易さについて、以下の基準で採点する:
2点:泡状の洗浄剤を水で希釈せずにそのまま使用できるため、洗顔し易い。
1点:泡状の洗浄剤を水で希釈せずにそのまま使用できるが、洗顔しにくい。
0点:泡状の洗浄剤を水で希釈せずに使用することが困難である。
得られた点数の合計が30点以上であれば使用性が良好である(○)、30点未満であれば使用性に劣る(×)として評価する。
【0083】
(4)すすぎ時の感触の評価
20名の男女をパネラーとし、ポンプフォーマー容器(型番F2,大和製罐株式会社製)から洗浄剤を3回吐出させて得られた泡状の洗浄剤を用いて洗顔する。洗顔時の洗浄剤のすすぎ易さついて以下の基準で採点する:

2点:ぬめり感がなく、すすぎ易い。
1点:ぬめり感がややあり、若干すすぎにくい。
0点:ぬめり感が強く、すすぎに時間がかかる。
得られた点数の合計が30点以上であればすすぎ時の感触が良好である(○)、30点未満であればすすぎ時の感触が不十分である(×)として評価する。
【0084】
(5)洗浄後の感触の評価
20名の男女をパネラーとし、ポンプフォーマー容器(型番F2,大和製罐株式会社製)から洗浄剤を3回吐出させて得られた泡状の洗浄剤を用いて洗顔する。洗顔後の感触ついて以下の基準で採点する:
2点:洗顔後にぬめり感およびつっぱり感がない。
1点:洗顔後にぬめり感またはつっぱり感が若干ある。
0点:洗顔後にぬめり感およびつっぱり感が非常にある。
得られた点数の合計が30点以上であれば洗浄後の感触が良好である(○)、30点未満であれば洗浄後の感触が不十分である(×)として評価する。
【0085】
(6)洗浄力の評価
20名の男女をパネラーに口紅およびファンデーションを用いてメイクした後、ポンプフォーマー容器(型番F2,大和製罐株式会社製)から洗浄剤を3回吐出させて得られた泡状の洗浄剤を用いて洗顔する。洗浄力について以下の基準で採点する。
2点:洗顔後にメイクが十分落ちている。
1点:洗顔後にメイクが若干残る。
0点:洗顔後にメイクがほとんど落ちていない。
得られた点数の合計が30点以上であれば優れた洗浄力を有する(○)、30点未満であれば洗浄力が不十分である(×)として評価する。
【0086】
(7)保存安定性の評価
洗浄剤を透明ガラス容器に入れ、密閉後、5℃、25℃、および45℃でそれぞれ1ヶ月保存する。保存終了後、洗浄剤の外観を観察して、以下の基準で評価する:
○:いずれの温度条件においても、液状を保ち、かつ外観に変化がない(安定性良好)。
△:いずれかの温度条件において外観が変化している(安定性やや不良)。
×:いずれかの温度条件において外観の変化が著しい(安定性不良)。
【0087】
(8)低温保存復元性の評価
洗浄剤を透明ガラス容器に入れ、密閉後、−10℃にて12時間および25℃にて12時間保存する。保存終了後、洗浄剤の外観を観察して、以下の基準で評価する:
○:試験前後で外観および状態に変化がない(復元性良好)。
△:オリ、沈殿が若干生じる、あるいは状態が若干変化する(復元性やや不良)。
×:凝固する、あるいは相分離、沈殿を生じる(復元性不良)。
【0088】
(実施例1〜5)
表1に示す各成分を表1に示す割合で混合し、該混合物のpHをクエン酸一水和物を含有する水溶液を用いて5.5に調整して洗浄剤組成物を得た(組成物1〜5)。得られた組成物1〜5を用いて、泡もち、泡質、すすぎ時の感触、洗浄後の感触、洗浄力、保存安定性、および低温保存復元性について、上記試験方法により評価した。結果を表1に示す。なお、組成物1および2、ならびに後述する組成物1〜11に使用されるe成分の共重合体は、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ブチルとが8:2の質量比で構成されている。
【0089】
(比較例1〜11)
表2に示す各成分を表2に示す割合で混合し、該混合物のpHをクエン酸一水和物を含有する水溶液を用いて5.5に調整して洗浄剤組成物を得た(組成物6〜16)。得られた組成物6〜16を用いて、泡もち、泡質、すすぎ時の感触、洗浄後の感触、洗浄力、保存安定性、および低温保存復元性について、上記試験方法により評価した。結果を表2に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
表1の結果から、実施例1〜5の洗浄剤組成物は、いずれも泡質、泡もちに優れ、すすぎ時および洗浄後の感触が良好であり、メイクなどの汚れを落とす効果に優れ、かつ保存安定性、低温保存復元性にも優れていた。特に組成物1〜3および組成物5は、e成分を含有しており、e成分を含有していない場合に比べて、泡質および洗浄後の感触が良好であった。なお、実施例1〜5の洗浄剤組成物は、使用の際、優れた起泡力を有していた。
【0093】
他方、表2の結果から、比較例1〜11の洗浄剤組成物は、本発明の範囲を満たさず、弱酸性泡状洗浄剤としての性能が十分得られないことがわかる。すなわち、比較例1では、a成分とb成分とc成分との合計量が高いため、使用性が悪く、水で希釈せずに使用できるという泡状洗浄剤の特性が失われていた。比較例2では、a成分とb成分とc成分との合計量が低いため、泡質、泡もち、および洗浄力の点で劣った。比較例3ではa成分の含有量が高く、さらに(a+c)/bの値も高いため、保存安定性、低温保存復元性、すすぎ時および洗浄後の感触の点で劣った。比較例4ではa成分が含有されていないため、泡質が悪かった。比較例5ではb成分の含有量が高く、さらに(a+b)/dの値も高いため、保存安定性が悪かった。さらに、洗浄剤が増粘し、フォーマー容器から吐出することが困難であり、泡質も悪かった。比較例6ではb成分が含有されていないため、すすぎ時および洗浄後の感触および洗浄力の点で劣った。比較例7ではc成分の含有量が高く、さらにc/dの値も高いため、すすぎ時および洗浄後の感触、ならびに洗浄力の点で劣った。比較例8ではc成分が含有されていないため、泡質の点で劣った。比較例9ではd成分の含有量が高く、さらにc/dの値も低いため、泡もちおよび泡質の点で劣った。比較例10ではd成分の含有量が低いため、保存安定性および洗浄力の点で劣った。比較例11ではd成分が含有されていないため、泡質、保存安定性、低温保存復元性、および洗浄力の点で劣った。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、起泡力、泡質および泡もちに優れ、すすぎ時および洗浄後の感触が良好であり、かつメイクや皮脂などの汚れを落とす効果(洗浄力)、保存安定性、および低温保存復元性に優れる、低刺激性の弱酸性泡状洗浄剤組成物が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a);アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)およびアルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(b);アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)およびアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤(c);および炭素数2〜6の水溶性2価アルコール(d)を含有する弱酸性泡状洗浄剤組成物であって、
該アシルメチルタウリン塩型陰イオン性界面活性剤(a)が、式(I)で示される化合物:
【化1】

(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、Mはアルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である)であり、
該アルキルアミドアミノ酸塩型両性界面活性剤(b1)が、式(II)で示される化合物:
【化2】

(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、Mは水素原子、アルカリ金属原子、1/2アルカリ土類金属原子、アンモニウム、有機アンモニウム、または塩基性アミノ酸である)であり、
該アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤(b2)が、式(III)で示される化合物:
【化3】

(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属原子であり、そしてmおよびnはそれぞれ1〜3の整数である)であり、
該アルキルベタイン型両性界面活性剤(c1)が、式(IV)で示される化合物:
【化4】

(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基である)であり、
該アルキルアミドベタイン型両性界面活性剤(c2)が、式(V)で示される化合物:
【化5】

(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基である)であり、
該組成物中に、該(a)が0.1〜10質量%、該(b)が0.5〜10質量%、該(c)が0.1〜2質量%、および該(d)が1〜15質量%含有され、かつ該(a)、該(b)、および該(c)の合計量が3〜13質量%、該(a)および該(c)の合計量と該(b)との質量比(a+c)/(b)が1/5〜10/1、該(a)および該(b)の合計量と該(d)との質量比(a+b)/(d)が1/10〜6/1、ならびに該(c)と該(d)との質量比(c)/(d)が1/40〜1/1となるように含有され、そして
該組成物の25℃におけるpHが3.5〜6.5である、組成物。
【請求項2】
さらに、少なくとも以下の式(VI):
【化6】

(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、R、R、およびRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基であり、そしてpは2〜4の整数である)
で示される2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として含むポリマー(e)を0.001〜1質量%含有する請求項1に記載の組成物であって、
該ポリマー(e)の構成単位のうち、該2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの質量比が100/0〜10/90であり、そして
該ポリマー(e)が、該2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと該(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを合計量で60〜100質量%含有するように構成される、
組成物。

【公開番号】特開2006−206720(P2006−206720A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19821(P2005−19821)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】