説明

強心配糖体抽出プロセスおよび組成物

【課題】本発明は、強心配糖体をアロエの使用により強心配糖体含有植物材料(例えば、ネリウム・オレアンデル(Nerium oleander)など)から抽出する方法に関する。本発明はさらに、そのような抽出から得られる組成物、医薬組成物、化粧用組成物、および、皮膚状態を処置する方法を提供する。
【解決手段】強心配糖体含有植物種(例えば、キョウチクトウ属に由来する種など)に由来する植物材料の抽出を行う方法であって、植物材料をアロエ粘液において撹拌すること、および、抽出物を何らかの残留固体物質から分離することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国仮特許出願第61/105,133号(2008年10月14日出願)の利益を主張する(これはその全体において参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0002】
本発明は、物質を、化粧用途および医療用途のために、生物学的供給源から、具体的には植物体から抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な生物学的供給源が、人類のごく初期から、医薬品および化粧品のための基礎を提供してきている。そのような供給源のほとんどが植物であり、当初はそのままで使用されていた。しかしながら、例えば、所望される物質が所与植物のほんの小さい割合を構成するとき、または、所望される物質が他の望ましくない構成成分の存在下で存在するときには、多くの場合、物質を植物から抽出することが望ましい。
【0004】
配糖体は、植物供給源から抽出される化合物の重要な一群を表す。例えば、強心配糖体として、グリコシル化ステロイド、すなわち、炭水化物成分に抱合されるステロイドが挙げられる。強心配糖体の例には、ジゴキシンおよびジギトキシンのような薬物の製造において有用な強心配糖体が含まれる。重要な一群の配糖体がキョウチクトウ属(Nerium)から得られ、この属には、ネリウム・インジクム(Nerium indicum)、ネリウム・オドルム(Nerium odorum)およびネリウム・オレアンデル(Nerium oleander)のような種が含まれる(ネリウム・オレアンデルは、アジアおよび地中海沿岸地域を原産とするセイヨウキョウチクトウ植物であり、今では合衆国の各地でも見つかっている)。キョウチクトウ属の様々な種が、医療における広範囲の使用が見出されるオレアンドリンのような配糖体をもたらす。
【0005】
様々な強心配糖体がネリウム・オレアンデルから抽出されることは、力価および純度が既知である組成物の投与を可能にすることによってそれらの使用を臨床において容易にする。これらの配糖体を抽出する以前の方法では、米国特許第5,135,745号および米国特許第6,565,897号ならびに米国特許出願公開第20060188585号に記載されるように、熱水が用いられている(これらのそれぞれが本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)。しかしながら、大きい親油性ステロイド成分のために、オレアンドリンは水溶性が悪く、このために、水性抽出の有効性が制限される。さらに、植物は一般に、ワックス状クチクラが、乾燥を最小限に抑えるためにその外側表面を取り囲んでいる。このワックス状クチクラは、水が植物から外部に出て行くことを制限するだけでなく、水が外部から植物の中に入ってくることも制限し、したがって、所望される強心配糖体の効率的な水性抽出をさらに妨げる。また、所望される強心配糖体は、熱水に長くさらされると、加水分解し得るか、または、そうでない場合には分解し得る。
【0006】
これらの問題に対する1つの解決策がこれまで、純水を用いるのではなく、米国特許出願公開第20070154573号(これは本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)に記載されるように、水および水混和性アルコール(例えば、メタノールまたはエタノールなど)の混合物を用いて抽出を行うことであった。水性アルコールの使用は、植物内部への抽出溶媒の浸透と、強心配糖体の溶解性との両方をある程度増大させる。より近年には、米国特許第7,402,325号(これは本明細書によりその全体において参照によって本明細書中に組み込まれる)は、より大きい収量の所望される産物をセイヨウキョウチクトウの粉末化された葉から抽出する場合に、超臨界COを使用することを記載している。超臨界COによる抽出は、あらゆる危険が伴う(約100気圧を超える)高圧装置の使用を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,135,745号
【特許文献2】米国特許第6,565,897号
【特許文献3】米国特許出願公開第20060188585号
【特許文献4】米国特許出願公開第20070154573号
【特許文献5】米国特許第7,402,325号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、オレアンドリンおよび他の強心配糖体を、過度な熱または高圧装置を使用せずに、様々な植物種(例えば、キョウチクトウ属など)からより効率的に抽出するための方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、強心配糖体を、アロエ(例えば、アロエ・ベラ(Aloe vera)由来のアロエなど)の使用により、強心配糖体含有植物種(例えば、キョウチクトウ属の種など)から抽出するための方法を提供する。本発明はさらに、そのような抽出から得られる組成物を提供する。
【0010】
具体的には、本発明は、強心配糖体含有植物種(例えば、キョウチクトウ属に由来する種など)に由来する植物材料の抽出を行う方法であって、植物材料をアロエ粘液において撹拌すること、および、抽出物を何らかの残留固体物質から分離することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明の抽出方法は、必要な場合には抽出補助剤(例えば、アルコール、ケトンおよびエステルなど)の使用を含めて、溶液を約40℃〜約100℃に加熱することを伴う。
【0012】
1つの実施形態により、強心配糖体植物種を、抽出混合物を形成するために選択される条件のもとでアロエと混合することを含む、強心配糖体を抽出する方法が提供される。
【0013】
1つの実施形態によりさらに、抽出混合物を、強心配糖体を強心配糖体植物種から抽出するために選択される条件のもとで状態調節して、残存強心配糖体植物種と、強心配糖体アロエ混合物とを含む状態調節された抽出混合物を形成することが提供される。
【0014】
1つの実施形態によりさらに、強心配糖体アロエ混合物の少なくとも一部を残存強心配糖体植物種から分離して、強心配糖体アロエ抽出物を形成することが提供され、ただし、強心配糖体アロエ抽出物は、強心配糖体植物種から抽出される強心配糖体を含み、かつ、強心配糖体アロエ抽出物は残存強心配糖体植物種を実質的に含まない。
【0015】
いくつかの実施形態において、強心配糖体植物種は、キョウチクトウ科(Apocynaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、オオバコ科(Plantaginaceae)、ナギイカダ科(Ruscaceae)またはヒアシンス科(Hyacinthaceae)から選択される科に属する。
【0016】
いくつかの実施形態において、強心配糖体植物は、ネリウム・インジクイム(Nerium indicuim)またはネリウム・オレアンデル(Nerium oleander)の種に属する。
【0017】
いくつかの実施形態において、状態調節することは、状態調節された抽出混合物を形成するために、抽出混合物を約40℃〜約100℃の範囲における温度に加熱することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、状態調節することは、抽出混合物を約1時間〜約10時間の範囲における加熱時間にわたって加熱することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、分離することは、状態調節された抽出混合物を、ろ過、遠心分離およびデカンテーションからなる群から選択される分離方法に供することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、抽出混合物は、抽出混合物の総重量に基づいて、約1重量部〜約50重量部の範囲における量の強心配糖体植物種と、約1重量部〜約100重量部の範囲における量のアロエとを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、抽出混合物は、アルコール、ケトンおよびエステルからなる群から選択される補助剤を含む。
【0022】
1つの実施形態により、アロエおよび少なくとも1つの強心配糖体を含む強心配糖体アロエ組成物が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態において、強心配糖体は、強心配糖体植物種から得られる強心配糖体アロエ抽出物である。
【0024】
いくつかの実施形態において、強心配糖体アロエ組成物は、強心配糖体植物種がネリウム・オレアンデルである強心配糖体アロエ抽出物である。
【0025】
1つの実施形態により、アロエ、少なくとも1つの強心配糖体、および、医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物が提供される。別の実施形態により、アロエ、少なくとも1つの強心配糖体、および、皮膚作用因を含む化粧用組成物が提供される。
【0026】
特定の実施形態において、ある種の皮膚状態を有する対象を特定すること、および、アロエと、少なくとも1つの強心配糖体とを含む医薬組成物の効果的な量を対象の皮膚に適用して、それにより、皮膚状態を処置することを含む処置方法が提供される。
【0027】
特定の実施形態において、皮膚状態が、膿瘍、ざ瘡、光線性角化症、老年性色素斑、肝斑、火傷、日焼け、熱傷、放射線熱傷、口唇ヘルペス、鶏眼、湿疹、乾癬、白癬、疥癬、皮膚ガン、基底皮膚ガン、扁平上皮皮膚ガン、メラノーマ皮膚ガン、懸垂線維腫およびいぼからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これらの実施形態および他の実施形態が下記においてより詳しく記載される。
【0029】
1つの実施形態により、強心配糖体植物種を、抽出混合物を形成するために選択される条件のもとでアロエと混合することを含む、強心配糖体を抽出する方法が提供される。
【0030】
強心配糖体植物種の例には、キョウチクトウ科(Apocynaceae)(バシクルモン)における強心配糖体植物種(具体的には、キョウチクトウ属(Nerium)、ストロファンツス属(Strophanthus)、バシクルモン属(Apocynum)、キバナキョウチクトウ属(Thevetia)およびニチニチソウ属(Catharanthus)における強心配糖体植物種)、アブラナ科(Brassicaceae)における強心配糖体植物種(具体的には、ニセイアラセイトウ属(Cheiranthus)における強心配糖体植物種)、オオバコ科(Plantaginaceae)における強心配糖体植物種(具体的には、ジギタリス属(Digitalis)における強心配糖体植物種)、ナギイカダ科(Ruscaceae)における強心配糖体植物種(具体的には、スズラン属(Convallaria)における強心配糖体植物種)、および、ヒアシンス科(Hyacinthaceae)における強心配糖体植物種(具体的には、カイソウ属(Urginea)における強心配糖体植物種)が含まれる。
【0031】
具体的な強心配糖体植物種の例には、ネリウム・オレアンデル(Nerium oleander)、テベチア・ネリホリア(Thevetia nerifolia)、ジギタリス・プルプレア(Digitalis purpurea)、ジギタリス・ラナテ(Digitalis lanate)、コンバラリア・マジャリス(Convallaria majalis)、ウルギネア・マリチマ(Urginea maritima)、ウルギネア・インジカ(Urginea indica)、ストロファンツス・グラツス(Strophanthus gratus)、アポシヌム・カンナビヌム(Apocynum cannabinum)、ケイランツス・ケイリ(Cheiranthus cheiri)が含まれる。
【0032】
用語「アロエ」は、アロエ・アルボレセンス(Aloe arborescens)、アロエ・アリスタタ(Aloe aristata)、アロエ・ジコトマ(Aloe dichotoma)、アロエ・ニエリエンシス(Aloe nyeriensis)、アロエ・バルベガタ(Aloe varvegata)、アロエ・ウィルジイ(Aloe wildii)およびアロエ・バルバデンシス・ミラー(Aloe barbadensis miller)を含めて約400の種を含む、アフリカ原産の植物の1つの属を示す。
【0033】
いくつかの実施形態において、抽出混合物を形成するために選択される条件は、アロエを、必要な場合には抽出を容易にするために小片に細断されるか、または、粉砕されるか、または、粉末化される強心配糖体植物種の葉および茎と混合することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、抽出混合物は、抽出混合物の総重量に基づいて、約1重量部〜約50重量部の範囲における量の強心配糖体植物種と、約1重量部〜約100重量部の範囲における量のアロエとを含む。
【0035】
1つの実施形態によりさらに、抽出混合物を、強心配糖体を強心配糖体植物種から抽出するために選択される条件のもとで状態調節して、残存強心配糖体植物種と、強心配糖体アロエ混合物とを含む状態調節された抽出混合物を形成することが提供される。
【0036】
抽出混合物を、強心配糖体を強心配糖体植物種から抽出するために選択される条件のもとで状態調節することの例には、抽出混合物を加熱すること、抽出混合物を撹拌すること、および、抽出混合物を撹拌とともに加熱することが含まれる。
【0037】
いくつかの実施形態において、抽出混合物を、強心配糖体を強心配糖体植物種から抽出するために選択される条件のもとで状態調節することは、状態調節された抽出混合物を形成するために、抽出混合物を約40℃〜約100℃の範囲における温度に加熱することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、抽出混合物を、強心配糖体を強心配糖体植物種から抽出するために選択される条件のもとで状態調節することは、状態調節された抽出混合物を形成するために、抽出混合物を約1時間〜約10時間の範囲における時間にわたって加熱することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、状態調節された抽出混合物は、強心配糖体植物種からの強心配糖体の一部が、混合物に存在するアロエに抽出される混合物を含む。したがって、状態調節することの結果は、残存強心配糖体植物種と、アロエ、および、強心配糖体植物種からアロエに抽出される強心配糖体(1つまたは複数)の両方を含有する強心配糖体アロエ混合物とを含有する状態調節された抽出混合物を形成することである。
【0040】
1つの実施形態によりさらに、強心配糖体アロエ混合物の少なくとも一部を残存強心配糖体植物種から分離して、強心配糖体アロエ抽出物を形成することが提供される。
【0041】
当業者は、強心配糖体アロエ抽出物が、強心配糖体(1つまたは複数)に加えて、強心配糖体植物種からアロエによって抽出される他の成分(例えば、多糖)を含有し得ることを理解する。
【0042】
強心配糖体アロエ混合物の少なくとも一部を残存強心配糖体植物種から分離することの例には、ろ過、遠心分離およびデカンテーションが含まれる。
【0043】
いくつかの実施形態において、強心配糖体アロエ抽出物は、強心配糖体植物種から抽出される強心配糖体を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、強心配糖体アロエ抽出物は残存強心配糖体植物種を実質的に含まない。
【0045】
いくつかの実施形態において、抽出混合物は、アルコール、ケトンおよびエステルからなる群から選択される補助剤を含む。
【0046】
さらなる実施形態により、アロエおよび少なくとも1つの強心配糖体を含む強心配糖体アロエ組成物が提供される。
【0047】
いくつかの実施形態において、強心配糖体は、強心配糖体植物種から得られる強心配糖体アロエ抽出物である。
【0048】
いくつかの実施形態において、強心配糖体アロエ組成物は、強心配糖体植物種がネリウム・オレアンデルである強心配糖体アロエ抽出物である。
【0049】
1つの実施形態により、アロエ、少なくとも1つの強心配糖体を含む強心配糖体アロエ組成物と、医薬的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物が提供される。医薬的に許容されるにキャリアの例には、皮膚作用因、同様にまた、経口投与可能な形態物(例えば、ピル、カプセルおよび舌下用組成物など)に含むために製薬分野において当業者に知られているキャリアが含まれる。
【0050】
皮膚作用因の例には、皮膚作用因を配合する技術分野における当業者に知られている化粧用組成物および様々な成分が含まれ、例えば、油状軟膏、水性軟膏、クリーム、ローション(例えば、化粧用ローション、化粧水)、乳液、パック、石けん、洗顔剤、化粧品(ボディー化粧品、フェイス化粧品)、および、それらの組み合わせなどが含まれる。
【0051】
1つの実施形態により、強心配糖体植物種から得られる強心配糖体アロエ抽出物と、皮膚作用因とを含む医薬組成物が提供される。
【0052】
特定の実施形態において、ある種の皮膚状態を有する対象を特定すること、および、(例えば、アロエおよび少なくとも1つの強心配糖体を含む)医薬組成物の効果的な量を対象の皮膚に適用して、それにより、その皮膚状態を処置することを含む処置方法が提供される。この関連において、皮膚状態の処置は医学的な処置を必ずしも暗示せず、したがって、例えば、化粧品を適用することに典型的には伴う利益(例えば、皮膚および/または毛髪を和らげること、軟らかくすること、または、保湿することなど)を提供することを含むことができる。
【0053】
1つの実施形態により、皮膚状態を処置するための医薬品の調製における、アロエおよび少なくとも1つ強心配糖体を含む医薬組成物の使用が提供される。
【0054】
「皮膚状態」の例には、膿瘍、乾燥肌、日光損傷皮膚、加齢皮膚、ざ瘡、光線性角化症、老年性色素斑、肝斑、火傷、日焼け、熱傷、放射線熱傷、口唇ヘルペス、鶏眼、湿疹、乾癬、白癬、疥癬、皮膚ガン、基底皮膚ガン、扁平上皮皮膚ガン、メラノーマ皮膚ガン、懸垂線維腫および/またはいぼが含まれる。
【0055】
1つの実施形態により、化合物(具体的には、医療的に有益な配糖体を含む)を、強心配糖体含有植物種に由来する材料から抽出する方法が提供される。強心配糖体含有植物種が、キョウチクトウ科(バシクルモン)(具体的には、キョウチクトウ属、ストロファンツス属、バシクルモン属、キバナキョウチクトウ属およびニチニチソウ属)、アブラナ科(具体的には、ニセイアラセイトウ属)、オオバコ科(具体的には、ジギタリス属)、ナギイカダ科(具体的には、スズラン属)、および、ヒアシンス科(具体的には、カイソウ属)において見出される。
【0056】
具体的な種には、ネリウム・オレアンデル、テベチア・ネリホリア、ジギタリス・プルプレア、ジギタリス・ラナテ、コンバラリア・マジャリス、ウルギネア・マリチマ、ウルギネア・インジカ、ストロファンツス・グラツス、アポシヌム・カンナビヌム、ケイランツス・ケイリが含まれる。好ましい実施形態において、材料は、ネリウム・オレアンデル(広く知られているセイヨウキョウチクトウ植物)に由来する。
【0057】
本出願人は、アロエ粘液の使用により、強心配糖体含有植物種(例えば、上記で示される強心配糖体含有植物種など)からの医療的に有用な抽出物の抽出効率が高まることを見出している。用語「アロエ」は、アロエ・アルボレセンス、アロエ・アリスタタ、アロエ・ジコトマ、アロエ・ニエリエンシス、アロエ・バルベガタ、アロエ・ウィルジイおよびアロエ・バルバデンシス・ミラーを含めて約400の種を含む、アフリカ原産の植物の1つの属を示し、一方、「粘液」は、それらの葉の内部から得られる粘液質ゲルを示す。
【0058】
使用において、アロエ種(例えば、アロエ・バルバデンシス・ミラーなど)に由来する粘液が、当業者に広く知られている方法によって得られる。例えば、米国特許第4,957,907号(これは本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)は、アロエ植物材料を抽出するための1つの手順を詳しく記載する。
【0059】
その後、アロエは、強心配糖体を抽出するために選択される様式で植物材料と混合される。例えば、アロエ植物から得られる粘液が、その後、キョウチクトウ属の種(例えば、ネリウム・オレアンデルなど)から得られる植物材料と、重量基準で1部のセイヨウキョウチクトウに対して約1部〜100部のアロエの比率で、好ましくは、1部のセイヨウキョウチクトウに対して5部〜20部のアロエの比率で、最も好ましくは、1部のセイヨウキョウチクトウに対して約9部のアロエの比率で混合される。しかし、厳密な割合は重要ではない。植物材料には、必要な場合には抽出を容易にするために小片に細断されるか、または、粉砕されるか、または、粉末化される葉および茎が含まれ得る。所望されるならば、植物材料は抽出前に乾燥することができ、そして、表面積を増大させるために粉末化することができる。
【0060】
1つの実施形態において、容器が、その後、撹拌とともに、約1時間〜10時間、約40℃〜約100℃に加熱される。しかし、時間は重要ではない。所望される程度の抽出を達成するための時間が当業者によって容易に決定され得る。同様に、撹拌が、振とう、ボルテックス撹拌、超音波処理または他の方法によって達成され得るが、どの方法を選択するかは重要ではない。
【0061】
好ましい実施形態において、容器が、撹拌とともに、約5時間、約80℃に加熱される。その後、容器は室温に冷却され、固形物が、好適な方法によって、例えば、静置、ろ過、デカンテーション、ふるい分けまたは遠心分離、あるいは、これらの分離方法の何らかの組み合わせなどによって抽出物から分離される。
【0062】
所望されるならば、得られた流出液は、その後、1ミクロンのふるいによりろ過することができ、続いて、必要な場合にはさらに、直径が約0.5ミクロン〜1ミクロンの間の開口部を有するふるいによりろ過することができる。
【0063】
1つの実施形態において、抽出が、強心配糖体含有植物種(例えば、ネリウム・オレアンデルなど)から得られる材料を、アロエ含有抽出溶液を含有する容器において浸漬することによって行われる。植物材料には、必要な場合には抽出を容易にするために小片に細断される葉および茎が含まれ得る。所望されるならば、植物材料は抽出前に乾燥され、そして、必要な場合には同様にまた、表面積を増大させるために粉末化することもできる。
【0064】
同様に、抽出を、溶液の凝固点よりも高い任意の温度で行うことができる。1つの実施形態において、抽出が室温で行われ、しかし、温度は重要ではないので、所望されるならば、高い温度もまた使用することができる。
【0065】
さらには、所望されるならば、抽出補助剤を溶液に加えることができる。そのような補助剤は、有機のアルコール、エーテル、ケトンまたはエステルが可能である。例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチルエーテル、アセトン、ブタノンおよび酢酸エチル、ならびに、そのような溶媒の混合物が含まれる。
【0066】
抽出が、所望される程度に進行した後で、抽出物を、アロエに基づく抽出物を生成するために、ろ過、遠心分離およびデカンテーションを含む様々な方法(すべての方法がこの技術分野では広く知られている)によって、残留する植物材料から分離することができる。
【0067】
アロエに基づく得られた抽出物は、調製時のまま医薬品として使用することができ、あるいは、所望されるならば、例えば、溶液の一部を、大気圧または減圧のどちらかで、また、室温または高温のどちらかで蒸発させることによってさらに処理することができる。代替では、所望されるならば、抽出物組成物は凍結乾燥することができ、または、噴霧乾燥することができ、または、液液抽出に供することができる。
【0068】
用語「医薬組成物」は、本明細書中に記載されるような強心配糖体アロエ抽出物と、他の化学的成分(例えば、希釈剤またはキャリアなど)との混合物を示す。医薬組成物は、生物へのそのようなアロエ抽出物の適用または投与を容易にする。化合物を投与する多数の技術がこの技術分野では存在し、これらには、経口による適用または投与、注射による適用または投与、エアロゾルによる適用または投与、非経口による適用または投与、および、局所的な適用または投与が含まれるが、これに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「医薬組成物」には、特定の疾患または状態の処置における使用のために意図されない化粧用組成物および栄養補助組成物が含まれ、したがって、この関連における用語「医薬(的な)」は、組成物が、この組成物を薬物として有用にするであろう量またはタイプの強心配糖体アロエ抽出物を含有することを必ずしも暗示しない。
【0069】
用語「キャリア」は、細胞内または組織内への化合物の取り込みを容易にする化学化合物を示す。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、多くの有機化合物が生物の細胞または組織に取り込まれることを容易にするので、一般に利用されるキャリアである。
【0070】
用語「希釈剤」は、アロエ抽出物を溶解し、同様にまた、生物学的活性な形態を安定化する、水に希釈される化学化合物を示す。緩衝化溶液に溶解される塩が、この技術分野では希釈剤として利用される。1つの一般に使用される緩衝化溶液がリン酸塩緩衝化生理的食塩水である。これは、リン酸塩緩衝化生理的食塩水がヒト血液の塩状態をまねるからである。緩衝剤塩は溶液のpHを低い濃度で調節することができるので、緩衝化された希釈剤は化合物の生物学的活性を改変することがほとんどない。
【0071】
用語「医薬的に許容される」により、アロエ抽出物の生物学的な活性および特性を妨げないキャリアまたは希釈剤が定義される。
【0072】
本明細書中に記載される医薬組成物は、ヒト患者に対して、それ自体で、あるいは、アロエ抽出物が、混合療法の場合のように他の有効成分と混合されるか、または、好適なキャリアもしくは賦形剤と混合される医薬組成物で投与することができる。本出願の化合物の配合および投与のための様々な技術が、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、第18版、1990年)に見出され得る。
【0073】
好適な適用経路および/または投与経路には、例えば、局所的投与(例えば、化粧用組成物または頭髪ケア製造物としての形態で)、経口投与、舌下投与、直腸投与、経粘膜投与または腸管投与;非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、髄内注射、同様にまた、クモ膜下腔内注射、直接的な脳室内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。
【0074】
本明細書中に記載される医薬組成物は、それ自体は知られている様式で製造することができ、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、閉じ込めまたは錠剤化の従来的プロセスによって製造することができる。
【0075】
したがって、本発明に従って使用される医薬組成物は、活性化合物を加工し、医薬品として使用することができる調製物にしやすくする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合することができる。適正な配合は、使用目的(例えば、化粧品として使用するのか、疾患または状態の処置として使用するのか)、選択した貼付経路または投与経路によって異なる。広く知られている技術、キャリアおよび賦形剤のどれもが、好適であるとして、また、この技術分野において理解されるように、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(上記)において理解されるように使用することができる。
【0076】
注射のために、アロエ抽出物は水溶液において配合することができ、好ましくは、生理的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス液、リンゲル液または生理学的な生理的食塩水緩衝液)において配合することができる。経粘膜投与のために、浸透すべきバリアに対して適切な浸透剤が配合物において使用される。そのような浸透剤が、この技術分野では一般に知られている。
【0077】
経口投与のために、アロエ抽出物は、この技術分野では広く知られている医薬的に許容されるキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアは、アロエ抽出物が、処置されるべき患者による経口摂取のための錠剤、ピル、舌下用組成物、糖衣錠、カプセル、液体剤、ゲル、シロップ、スラリー剤および懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、1つまたは複数の固体賦形剤を本明細書中に記載されるアロエ抽出物と混合すること、必要な場合には得られた混合物を粉砕すること、および、好適な補助剤を、所望されるならば、錠剤または糖衣錠コアを得るために加えた後で、顆粒の混合物を加工することによって得ることができる。好適な賦形剤が、特に、フィラー(例えば、糖、これには、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールが含まれる)、セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、および/または、ポリビニルピロリドン(PVP)である。所望されるならば、崩壊剤を加えることができ、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、あるいは、アルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などを加えることができる。
【0078】
糖衣錠コアは典型的には、好適な被覆が施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、そのような糖溶液は、必要な場合には、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに、好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有することができる。色素または顔料を、識別のために、または、活性な化合物の用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠被覆に加えることができる。
【0079】
経口使用することができる医薬調製物には、ゼラチンから作製されるプッシュフィット(push−fit)型カプセル、同様にまた、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製される軟らかい密封カプセルが含まれる。プッシュフィット型カプセルは、アロエ抽出物を、フィラー(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)および/または滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに、必要な場合には安定剤との混合で含有することができる。ソフトカプセルでは、アロエ抽出物を、好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状ポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁することができる。加えて、安定剤を加えることができる。経口投与用のすべての配合物は、そのような投与のために好適である投薬量でなければならない。
【0080】
口腔内投与のために、組成物は、従来の様式で配合される錠剤またはトローチ剤の形態を取ることができる。
【0081】
代替において、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェン非含有水)により使用前に構成されるための粉末形態であり得る。
【0082】
疎水性のアロエ抽出物のための医薬用キャリアの一例が、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相を含む共溶媒系である。使用される一般的な共溶媒系がVPD共溶媒系であり、これは、3%(w/v)のベンジルアルコール、8%(w/v)の非極性界面活性剤Polysorbate80(商標)および65%(w/v)のポリエチレングリコール300の溶液で、無水エタノールで所定の体積にされる溶液である。当然のことながら、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性の特性を損なうことなく、かなり変化させることができる。さらに、共溶媒成分の素性は様々であり得る:例えば、他の低毒性の非極性界面活性剤をPOLYSORBATE80(商標)の代わりに使用することができる;ポリエチレングリコールの分画物サイズが様々であり得る;他の生体適合性ポリマーがポリエチレングリコールに取って代わり得る(例えば、ポリビニルピロリドン);また、他の糖または多糖がデキストロースの代用として使用され得る。
【0083】
代替では、疎水性のアロエ抽出物のための他の送達システムを用いることができる。リポソームおよびエマルションが、疎水性薬物のための送達ビヒクルまたはキャリアの広く知られている例である。ある種の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドなど)もまた用いることができ、しかし、これは通常、毒性がより大きいという代償を払う。加えて、アロエ抽出物は、持続放出システムを使用して送達することができる。様々な持続放出材料が確立されており、当業者によって広く知られている。持続放出カプセルは、その化学的性質に依存して、アロエ抽出物の放出を数時間から数週間に至るまで延ばすことができる。
【0084】
使用のために好適な医薬組成物には、アロエ抽出物が、その意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果的な量は、疾患の症状を防止するか、または、緩和するか、または、改善するために、あるいは、処置されている対象の生存を延ばすために効果的なアロエ抽出物の量を意味する。測定された治療効果的な量は、とりわけ、本明細書中に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0085】
医薬組成物の的確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選ぶことができる。(例えば、Fingl他、1975、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”、第1章、1頁を参照のこと)。典型的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者の体重1kgあたり約0.5mg〜1000mgであり得る。投薬は、患者によって必要とされるように、1日またはそれ以上の日数の経過において与えられるただ1回だけまたは2回以上の連続であり得る。本開示において述べられる、水およびCOに基づく植物抽出物については、少なくとも何らかの状態を処置するためのヒトへの投薬量が確立されていることには留意すること。したがって、ほとんどの場合において、その同じ投薬量をアロエ抽出物のために使用することができ、すなわち、確立されたヒトへの投薬量の約0.1%〜500%の間(より好ましくは、約25%〜250%の間)である投薬量をアロエ抽出物のために使用することができる。ヒトへの投薬量が確立されていない場合、ヒトへの好適な投薬量をED50またはID50の値から推定することができ、あるいは、動物における毒性研究および効力研究によって認定されるような、インビトロ研究またはインビボ研究に由来する他の適切な値から推定することができる。
【0086】
投与されるアロエ抽出物の量は一般に、処置されている対象、対象の体重、苦痛の重篤度、投与様式および主治医の判断に依存する。
【実施例1】
【0087】
抽出混合物を下記のように作製した。 ネリウム・オレアンデルを含む強心配糖体植物種の乾燥した葉および茎(100g)を微粉末に粉砕し、ガラス容器に計り取り、その後、1ppmのアントラキノン(アロインおよび/またはアロエエモジン)最大含有量および3.7〜4.1のpHを有し、かつ、0.1%のソルビン酸ナトリウムを含有する液体に加工されている、アロエ・バルバデンシスの葉汁から構成されるアロエ(900g)と混合した。
【0088】
抽出混合物を、均質になるまで撹拌し、抽出混合物を有する容器を、水浴における水レベルが容器内の抽出混合物のレベルの60%〜80%で維持される温度制御された水浴の中に置いた。水浴を80℃〜85℃に加熱し、その温度で、撹拌することなく5時間保った。その後、状態調節された抽出混合物を被覆し、冷却した。
【0089】
状態調節された抽出混合物が冷えた後、強心配糖体アロエ混合物の一部を下記のように残存強心配糖体植物種から分離した。状態調節された抽出混合物の上部における強心配糖体アロエ混合物をデカンテーションした。その後、強心配糖体アロエ混合物を、漉すことによって残存強心配糖体植物種から分離した。その後、強心配糖体アロエ抽出物液体を一緒にし、均一になるまで撹拌した。
【0090】
その後、均一な強心配糖体アロエ抽出物をおよそ1ミクロンの多孔性の媒体によりろ過し、続いて、0.5ミクロン〜1.0ミクロンの多孔性の媒体による第2のろ過を行い、得られた強心配糖体アロエ抽出物(これは残存強心配糖体植物種を実質的に含まない)を密封ガラス容器において周囲温度で貯蔵した。
【実施例2】
【0091】
医薬組成物を下記のように調製した:実施例1で記載されるように調製される強心配糖体アロエ抽出物(これは残存強心配糖体植物種を実質的に含まない)を、医薬組成物の総重量に基づいて、4重量部の強心配糖体アロエ抽出物対1重量部の皮膚用作用因の比率で皮膚用作用因と一緒にした。皮膚用作用因は、グリセリン、メチルスルホニルメタン、オリゾ・サチバ(Oryzo sativa)油(米ぬか油)、リシヌス・コンムニス(Ricinus Communis)油(ひまし油)、グリセリルステアレート、スチレン/アクリレートコポリマー、PEG−100ステアレート、セチルアルコール、ジメチコーン、カルボマー、カプリリルグリコール、グリセリン、グリセリルカプリレート、フェニルプロパノール、メチルパラベン、トコフェロール(ビタミンE)および香料を含有した。
【実施例3】
【0092】
老年性色素斑/肝斑に悩まされる対象者を特定した。各対象者の病変部の色を、黒色、暗褐色、明褐色から、周囲の色素と同じ色(老年性色素斑がもはや視認されない)にまで及ぶ4段階の色スケールで求めた。14名の対象者が、その老年性色素斑/肝斑を処置するために、実施例2で記載されるように調製される医薬組成物を使用した。6名の対象者が、その老年性色素斑/肝斑を処置するために、熱水によるネリウム・オレアンデル抽出物を用いて作製されるクリームを含有する医薬組成物を使用した。
【0093】
処置後、結果を下記のスケールに従って測定した:完全な治癒(老年性色素斑の完全な消失)、良好(病変部の色における3段階の低下)、部分的(病変部の色における2段階の低下)、または、不良(病変部の色における1段階の低下または無変化)。
【0094】
実施例2に記載されるように調製される医薬組成物を使用した14名の対象者のうち、7名の対象者、すなわち、50%が、完全な治癒、または、病変部の色における3段階の低下のどちらかを報告した。熱水抽出物を用いて作製されるクリームを含有する医薬組成物を使用した6名の対象者のうち、4名の対象者、すなわち、67%が、完全な治癒、または、病変部の色における3段階の低下のどちらかを報告した。
【実施例4】
【0095】
瘡に悩まされる対象者を特定した。13名の対象者が、ざ瘡を処置するために、実施例2で記載されるように調製される医薬組成物を使用したとき、9名の対象者、すなわち、70%が、この製造物は、ざ瘡を有する人による使用のために知られており、Guthy−Renker,LLC.によって市販されているフェイスクレンザーであるプロアクティブ・リニューイング・クレンザー(Proactive Renewing Cleanser)と同じくらい良好であるか、または、それよりも良好であることを見出した。
【実施例5】
【0096】
日焼けに悩まされる対象者を特定した。対象者のうちの16名が、日焼けを処置するために、実施例2で記載されるように調製される医薬組成物を使用したとき、13名の対象者、すなわち、85%が、この製造物は、市販されている日焼け止め製造物(チャノキ油を伴うアロエベラの日焼け手入れ用ボディー・ローション)と同じくらい良好であるか、または、それよりも良好であることを見出した。
【実施例6】
【0097】
医薬組成物を下記のように調製した:実施例1で記載されるような強心配糖体アロエ抽出物(これは残存強心配糖体植物種を実質的に含まない)を、実施例2で記載されるような様式で皮膚用作用因と混合した。皮膚用作用因は、L−リシン、スチレン/アクリレートコポリマー、グリセリン、オリゾ・サチバ油(米ぬか油)、グリセリルステアレート、セチルアルコール、ジメチコーン、カルボマー、C14〜22アルコールおよびC12〜20アルキルグルコシド、オレア・オイロパエア(Olea Europaea)(オリーブ)の葉抽出物、カプリリルグリコール、グリセリン、グリセリルカプリレート、フェニルプロパノール、メチルパラベン、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、グリセリン、水、オイゲニア・カリオフィルス(チョウジ)(Eugenia Caryophyllus)の花精油およびショウノウを含有した。
【実施例7】
【0098】
口唇ヘルペスに悩まされる対象者を特定した。口唇ヘルペスを有する対象者のうちの19名が、実施例6で記載されるように調製される医薬組成物を適用したとき、下記の結果が認められた:
【0099】
他の口唇ヘルペス処置を以前に使用していた14名の対象者のうち、4名の対象者、すなわち、29%が、上記医薬組成物は以前の処置と同じくらい良好に働いたことを見出し、8名の対象者、すなわち、57%が、上記医薬組成物は以前の処置よりも良好に働いたことを見出した。
【0100】
口唇ヘルペスを有する19名の対象者が上記医薬組成物を適用したとき、12名の対象者、すなわち、63%が、上記医薬組成物により、以前の製造物による経験と比較して、口唇ヘルペスの出現/発赤が減少したことを見出した。
【0101】
数多くの様々な改変が、本発明の精神から逸脱することなく行われ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書中に記載される本発明の様々な実施形態は一例にすぎず、本発明の範囲を狭めるためのものではないことを明確に理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強心配糖体を抽出する方法であって、
強心配糖体植物種を、抽出混合物を形成するために選択される条件のもとでアロエと混合すること;
前記抽出混合物を、強心配糖体を前記強心配糖体植物種から抽出するために選択される条件のもとで状態調節して、それにより、残存強心配糖体植物種と、強心配糖体アロエ混合物とを含む状態調節された抽出混合物を形成すること;
前記強心配糖体アロエ混合物の少なくとも一部を前記残存強心配糖体植物種から分離して、それにより、強心配糖体アロエ抽出物を形成することを含み、
前記強心配糖体アロエ抽出物は、前記強心配糖体植物種から抽出される強心配糖体を含み、かつ、
前記強心配糖体アロエ抽出物は前記残存強心配糖体植物種を実質的に含まない、方法。
【請求項2】
前記強心配糖体植物種が、キョウチクトウ科(Apocynaceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、オオバコ科(Plantaginaceae)、ナギイカダ科(Ruscaceae)またはヒアシンス科(Hyacinthaceae)から選択される科に属する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記強心配糖体植物が、ネリウム・インジクイム(Nerium indicuim)またはネリウム・オレアンデル(Nerium oleander)の種に属する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記状態調節することが、前記状態調節された抽出混合物を形成するために、前記抽出混合物を約40℃〜約100℃の範囲における温度に加熱することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記状態調節することが、前記抽出混合物を約1時間〜約10時間の範囲における加熱時間にわたって加熱することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離することが、前記状態調節された抽出混合物を、ろ過、遠心分離およびデカンテーションからなる群から選択される分離方法に供することを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抽出混合物が、約1重量部〜約50重量部の範囲における量の前記強心配糖体植物種と、約1重量部〜約100重量部の範囲における量の前記アロエとを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抽出混合物が、アルコール、ケトンおよびエステルからなる群から選択される補助剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アロエおよび少なくとも1つの強心配糖体を含む強心配糖体アロエ組成物。
【請求項10】
前記強心配糖体が、強心配糖体植物種から得られる強心配糖体アロエ抽出物である、請求項9に記載の強心配糖体アロエ組成物。
【請求項11】
前記強心配糖体植物種がネリウム・オレアンデル(Nerium oleander)である、請求項10に記載の強心配糖体アロエ組成物。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載される強心配糖体アロエ組成物および医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物。
【請求項13】
ピルまたは舌下用組成物の形態である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬的に許容されるキャリアが皮膚用作用因を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
化粧用組成物の形態である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ある種の皮膚状態を有する対象を特定すること、および
請求項9〜11のいずれか一項に記載される強心配糖体アロエ組成物あるいは請求項12または請求項14に記載される医薬組成物の効果的な量を前記対象の皮膚に適用して、それにより、前記皮膚状態を処置すること
を含む処置方法。
【請求項17】
前記皮膚状態が、膿瘍、乾燥肌、日光損傷皮膚、加齢皮膚、ざ瘡、光線性角化症、老年性色素斑、肝斑、火傷、日焼け、熱傷、放射線熱傷、口唇ヘルペス、鶏眼、湿疹、乾癬、白癬、疥癬、皮膚ガン、基底皮膚ガン、扁平上皮皮膚ガン、メラノーマ皮膚ガン、懸垂線維腫およびいぼからなる群から選択される、請求項16に記載の処置方法。
【請求項18】
化粧品を適用する方法であって、
化粧品適用を必要としている対象を特定すること、および
請求項15に記載される化粧用組成物の化粧効果的な量を前記対象の皮膚に適用すること
を含む、方法。
【請求項19】
皮膚状態を処置するための医薬品の調製における、請求項12〜14のいずれか一項に記載される医薬組成物の使用。
【請求項20】
前記皮膚状態が、膿瘍、乾燥肌、日光損傷皮膚、加齢皮膚、ざ瘡、光線性角化症、老年性色素斑、肝斑、火傷、日焼け、熱傷、放射線熱傷、口唇ヘルペス、鶏眼、湿疹、乾癬、白癬、疥癬、皮膚ガン、基底皮膚ガン、扁平上皮皮膚ガン、メラノーマ皮膚ガン、懸垂線維腫およびいぼからなる群から選択される、請求項19に記載の使用。

【公表番号】特表2012−505894(P2012−505894A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532187(P2011−532187)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/060523
【国際公開番号】WO2010/045243
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511093225)ネリウム バイオテクノロジー、インク. (1)
【Fターム(参考)】