説明

弾力的な画像位置合わせ

画像位置合わせは、従来、非常にしばしば手動で実行する必要のある面倒な仕事であった。本発明のある例示的な実施形態によれば、目印と類似性値との組み合わせに基づく逐次精製プロセスによる非剛体的な画像位置合わせが提案される。有利なことに、非常に高速かつ堅牢な方法が提供されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル撮像の分野に、たとえば医療撮像の分野に関する。特に、本発明は第一の画像(たとえばフローティング画像)および第二の画像(たとえば参照画像)を位置合わせする方法、画像処理装置ならびに第一の画像および第二の画像を位置合わせするためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
同じオブジェクトの2つの画像が異なる投影から、または異なる時点において、あるいは関心のある対象の異なる動きの段階の間に撮られたとき、あるいは2つの画像が同じ対象からのものでなく同じクラスの複数の対象(たとえば2つの顔または2つの脳)からのものであるとき、対応を確立することがきわめて望ましいことがある。これらの対応を確立するために、2つのクラスの変形を補償してやる必要がある:撮像対象の平行移動および回転運動からくる剛体変形ならびに撮像対象の弾力的変形から来る非剛体変形である。そのような適用の例は、脳を、異状を解剖学的にみつけるため、あるいは脳に解剖学上の名称をラベル付けするために解剖学アトラスと対応させることである。もう一つの例は、たとえば拍動する心臓の時間的な変形を観察したり、あるいは患者の変形しうる領域(たとえば腹)の異なる時刻に撮られた画像を位置合わせすることである。もう一つの例は、コンピュータ断層撮影(CT: Computer Tomography)、磁気共鳴撮像(MRI: Magnetic Resonance Imaging)、超音波(US: Ultra Sound)、陽電子放射断層撮影(PET: Positron Emission Tomography)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT: Single Photon Emission Computed Tomography)といった異なる様式で取得された画像を組み合わせて、解剖学的および生理学的情報を組み合わせた分析を通じて診断プロセスを改善することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された画像位置合わせを提供することが本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある例示的な実施形態によれば、上記の目的は第一の画像および第二の画像を位置合わせする方法によって解決されうる。ここで、少なくとも一つの第一の目印が前記第一の画像中に選択され、少なくとも一つの第二の目印が前記第二の画像中に選択される。次いで、これらの第一および第二の画像が、少なくとも一つの第一の目印によって決定される前記第一の画像中のある第一の領域と少なくとも第二の目印によって決定される前記第二の画像中のある第二の領域との類似性に関係する類似性値を使うことによって位置合わせされる。前記第一および第二の目印は互いに対応している。
【0005】
換言すれば、本発明のこの例示的な実施形態によれば、目印、たとえば医療用途では解剖学的目印が、画像中で自動または手動で選択される。こうした目印が画像中で対応する領域を定義するために使われる。たとえば、異なる心位相に関係する血管造影像において、LAD(left anterior descending[左前下降枝])およびLCX(left circumflex[左回旋枝])の交差点が異なる位相の画像における目印として使うことができる。次いで、第一の画像における第一の目印(単数または複数)によって示される領域と第二の画像における第二の目印(単数または複数)によって示される領域との間の類似性を表すための類似性値が決定される。この類似性値が画像を位置合わせするために使われる。
【0006】
第一および第二の画像における対応する目印とは、たとえば解剖学的用途については、第一の画像や第二の画像において同じまたは対応する解剖学的構造をマークするものである。すなわち、第一の画像や第二の画像における対応する目印は、理想的には互いに位置合わせさせられるべき点または領域である。
【0007】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、前記第一および第二の目印は選抜関数(qualifying function)に従って選択される。これはすなわち、たとえば最も重要な目印だけが、すなわち最も重要な対応特徴だけが目印として選択されるということを意味する。換言すれば、本発明のこの例示的な実施形態は、計算作業を、たとえば大きくて高度に非線形な変形および/または曖昧さのない精密な位置合わせを許容するよく描かれた解剖学的構造のために必要となる領域における、少ないが重要な目印に集中させる。目印は対話的に選択しても自動的に選択されてもよいことを注意しておく。
【0008】
有利なことに、本発明のこの例示的な実施形態によれば、重要な目印と高度に非線形な変形を示す画像領域だけに集中することによって画像位置合わせのスピードおよび堅牢性が改善されうる。
【0009】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、前記第一および第二の画像における各目印について局所的な変形が決定される。これらの局所的な変形は画像についての大域的な変形に拡張される。大域的な変形は位置合わせを実行するために使用されうる。
【0010】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、前記第一および第二の画像中の目印によって定義される前記第一および第二の画像中のそれぞれの領域の間の類似性を記述するための類似性値が決定される。このことは大域的な変形場によってなされる。有利には、これにより、前記第一および第二の領域中の定義された領域の類似性値が決定されることができ、類似性値がまだ十分でない領域が識別されうる。
【0011】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、類似性値がまだ十分でない領域について前記第一および第二の画像中で新たな目印が定義され、上記の方法が逐次的に反復される。すなわち、この新たな目印によって定義された新たな部分領域について、新しい部分類似性値を用いて新しい部分類似性が、この新しい目印の局所的な変形場を使うことにより決定される。この局所変形場は当該画像についての大域的変形場に拡張される。そして、新たに定義された部分領域すべてが、それぞれの類似性値が所定の閾値を満たすかどうかについてテストされ、まだだめなら、本発明のこの例示的な実施形態によれば、新たな目印または新たな領域が反復的に定義されうる。
【0012】
精製プロセスが常に、類似性が不十分な領域に限られていて画像全体に適用されないという事実により、計算負荷が軽減されうる。さらに、この逐次的な精製を自動的または対話的のいずれかで実行することにより、非常に精密な位置合わせを許容する。
【0013】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、すべての領域およびすべての部分領域のすべての類似性が所定の閾値を超えるまで当該方法が逐次的に反復される。
【0014】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、当該方法はCTデータセット、MRIデータセット、PETデータセット、SPECTデータセットおよびUSデータセットのうちの一つに対する医療画像処理において適用される。
【0015】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、目印および当該画像中のある領域の測定に基づく濃淡値のような類似性値に基づいた逐次的な精製によって非剛体的な画像位置合わせ方法を実行することを許容する画像処理装置が提供される。
【0016】
有利なことに、本発明のこの例示的な実施形態に基づく画像処理装置は位置合わせスピードが改善されており、第一および第二の画像の非常に精密かつ堅牢な位置合わせを提供する。
【0017】
本発明のもう一つの例示的な実施形態によれば、第一および第二の画像を位置合わせするためのコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムはC++のようないかなる好適なプログラミング言語で書かれてもよく、CD-ROMのようなコンピュータ可読装置上に保存されうる。本発明に基づくコンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で呈され、そこからプロセッサの内部的な作業メモリなどにダウンロードされるのでもよい。
【0018】
本発明の例示的な実施形態の要旨として、非剛体的な画像位置合わせが局所的なテンプレートマッチングを組み合わせる目印に基づいた逐次的な精製プロセスによって実行されるということを見ることができる。局所的テンプレートマッチングの例は、たとえばP. R¨osch et al., “3D respiratory motion compensation by template propagation”、T. Dohi and R. Kikinis(編) “Proceedings of the 5th international conference on medical image computing and computer-assisted intervention”―MICCAI 2002, pp. 639-646, Springer, 2002に記載されており、これはここに参照により組み込まれる。
【0019】
それぞれの領域における画像類似性は、たとえばJ. V. Hajnaletal(編)“Medical image registration”, CRC Press, 2001に従って決定でき、これはここに参照により組み込まれる。該方法は計算作業を少ないが重要な目印に集中させ、大きく高度に非線形な変形および/または曖昧さのない精密な位置合わせを許容するよく描かれた解剖学的構造のために必要とされている領域においてのみ自動的に変形場を精製する。画像Aを参照画像Bと位置合わせする必要があるとすると、少ないが重要な目印から出発して、画像Aはd+1(d=当該データセットの次元)個の隣り合う目印によって張られる単体PAを用いて単体分割される。近傍における局所的な(たとえばアフィン)変形に基づいてBにおける目印を位置特定することによって大域的な変形場Dが構築される。すべての単体(前記諸目印によって定義される領域)PAは単体PB=D(PA)に変換され、たとえばPA内にある画像Aの濃淡値とPB内にある画像Bの濃淡値との類似性が互いの情報すなわち相互相関を使って推定される。PAとPBが十分に類似していなければ、ある新たな目印がPA内に位置指定され、PAはd+1個のより小さな複数の単体に分割される。有利には、このため、タイリングは所望の類似性が達成されるまで逐次的に精製され、結果として局所的な非線形性に、およびたとえば解剖学的構造に自動的に適応するタイリンググリッドを生じる。
【0020】
これらのことを含む本発明のさまざまな側面は以下に述べる実施形態を参照して明らかとなり、明快となるであろう。
【0021】
本発明の例示的な実施形態について以下に図面を参照しつつ述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明に基づく方法の例示的な実施形態を実行するための、本発明に基づく画像処理装置の例示的な実施形態を描いている。図1に描かれた画像処理装置は中央処理装置(CPU: central processing unit)または画像プロセッサ1を有している。これは当該方法の間に使用または生成される画像または類似性値を保存するためのメモリ2に接続されている。画像プロセッサ1は複数の入出力ネットワークまたはMR装置もしくはCT装置といった診断装置に接続されていてもよい。さらに、画像プロセッサ1は超音波スキャナに接続されていてもよい。画像プロセッサはさらに、画像プロセッサ1で計算または適応された情報または画像を表示するための表示装置4(たとえばコンピュータモニタ)に接続されている。操作者はキーボード5および/または図1には描かれていないその他の入出力装置を通じて画像プロセッサ1と対話できる。
【0023】
図2は、第一の画像および第二の画像を位置合わせするための方法の例示的な実施形態のフローチャートを示している。
【0024】
以下では、本発明を医療画像処理との関連で述べる。ここでは目印は画像中の解剖学的特徴に、ならびに/または大きく高度に非線形な変形および/もしくは曖昧さのない精密な位置合わせを許容するよく描かれた解剖学的構造をもつ領域に関係する。しかし、本発明は医療以外の用途にも適用可能であることを注意しておくべきである。たとえば材料試験や品質管理において実際の製品が参照画像と比較される場合などである。また、この技法は、撮影された顔をあらかじめ登録されている顔とマッチさせて顔または人物を識別する画像認識システムに使ってもよい。
【0025】
要するに、以下で図2を参照しつつ述べる本発明のこの例示的な実施形態に基づく方法は、局所的テンプレートマッチングと画像類似性の測定に基づく濃淡値とを組み合わせる解剖学的目印に基づいた逐次的精製プロセスによる非剛体的な画像位置合わせに関するものである。画像Aを参照画像Bと位置合わせする必要があるフロート画像とする。少ないが重要な目印(対話的または自動的に選択される)から出発して、画像Aはd+1(d=当該データセットの次元)個の隣り合う目印によって張られる単体PAを用いてタイル分割される。近傍における局所的な(たとえばアフィン)変形に基づいて画像Bにおける目印を位置特定することによって大域的な変形場Dが構築される。すべての単体PAは単体PB=D(PA)に変換され、PA内にある画像Aの濃淡値とPB内にある画像Bの濃淡値との類似性がたとえば互いの情報すなわち相互相関を使って推定される。PAとPBが十分に類似していなければ、ある新たな目印がPA内に位置指定され、PAはd+1個のより小さな単体に分割される。このようにして、タイル分割は所望の類似性が達成されるまで逐次的に精製され、結果として局所的な非線形性および解剖学的構造に自動的に適応するタイル分割グリッドを生じる。逐次反復は、類似性の尺度がすべての単体において十分良好となったときに、あるいは精製ステップの最大回数に達したときに停止されうる。結果として得られる大域的変形場は次いで所与の画像の位置合わせをするのに使用される。当該方法は、目印を選択するための選抜関数、目印を中心としたテンプレートマッチングのための局所的類似性の尺度、単体どうしの類似性を推定するための大域的類似性尺度および非線形変形をモデル化するために使われる変換のタイプを関係する様態、解剖学的領域およびコントラスト機構に合わせて調整する余地がある。これについて図2を参照しつつさらに詳細に述べる。
【0026】
図2では、位置合わせされるべき画像が取得されるステップS1での開始後、ステップS2では、画像AおよびBの両方において曖昧さなく互いに割り当てまたは付与できる、すなわち曖昧さなく互いに対応する重要な目印(複数)の集合{Li}が選択される。ここで目印の重要性が所定の選抜関数によって定義されうる。これらの目印Liを用いて画像の単体タイル分割{Pi}が決定される。二次元画像については単体は三角形であり、三次元画像については単体は四面体である。このことは画像Aまたは画像Bを描いている図3においてさらに詳細に示されている。ここでは5つの目印(landmark)L1からL5が選択されている。図3からわかるように、目印は互いに線で結ばれており、それにより単体(ここでは三角形)が形成されている。これらの単体が画像領域をタイル分割する。これは単体タイリングと称することもできる。
【0027】
上に示したように、目印Liの選択は自動的にまたは操作者によって対話的に実行されうる。そのような目印選択を自動的に実行するため、たとえば画像中で最も明るい点または画像中のある勾配を検出する上記の選抜関数が適用されうる。
【0028】
次いでその後のステップS3では、局所的な変形場Di(Li,Ui)が各目印Liについて決定される。つまり、各目印Liを囲んで局所的変形場Di(Li,Ui)が、該それぞれの目印Liを囲む近傍または領域Ui内で決定される。
【0029】
領域Uiの形、大きさおよび/または次元は、十分な構造、すなわち局所的変形を曖昧さなく決定できるようにする十分な画像エネルギーが領域Ui内に存在するよう設定される。さらに、Uiの大きさ、形および/または次元は、局所的変形がアフィン変換によって十分に近似されうるように選択される。
【0030】
このことは図4においてさらに詳細に示されている。ここではそれぞれの目印L1からL5を囲む領域U1からU5が示されている。図4からわかるように、領域U1からU5の形は円である。しかし、長方形などその他の形も適用しうることを注意しておくべきである。これらの領域U1からU5の内部ではそれぞれの局所変形場D1(L1,U1) からD5(L5,U5)が決定される。
【0031】
その後のステップS4では、局所変形場Di(Li,Ui)は領域I上の大域的変形場に拡張される。つまり、局所変形場Di(Li,Ui)は画像A内の全画像領域Iの上への大域的変形Dに拡大されるのである。
【0032】
ある例示的な実施形態によれば、局所的変形場Di(Li,Ui)が大域的変形場Dに拡張される仕方を変えることによって、本方法は個別の用途に適応されうる。そのような拡張を実行するために、たとえば、ガウス関数、多項式関数、たわみ関数すなわちスプラインを使うことができる。
【0033】
その後のステップS5では、類似性(similarity)Si=S(B|D(Pi),D(A)|D(Pi))が決定される。換言すれば、各タイル、領域またはタイリングの部分Piにおいて、参照画像B|D(Pi)と変換されたフロート画像D(A)|D(Pi)との間の、あるいは変換された参照画像とフロート画像との間の類似性を表す類似性Siである。有利には、類似性値は、画像間の一致度が高いほど大きくなり、最大値まで単調であるように選択される。次いで、その後のステップS6において、Sj≦Σとなる単体Pjがあるかどうかが決定される。
【0034】
類似性値Sのあらかじめ選択された値Σは、タイル分割{Pi}のどの部分において、すなわちどの単体において参照画像Bと変換されたフロート画像Aとの間の一致度がまだ十分でないかを決定する。ステップS6でSj<Σとなる単体Pjがあると判定された場合には、本方法はステップS7に進んで、精製が実行される。そうでなければ本方法はステップS8に進んで終了する。
【0035】
ステップS7では、Sj<Σとなる単体Pjにおいて、すなわち精製されるべき単体内で新たな目印が選択される。図5に示された本発明の例示的な実施形態によれば、新たな目印L6が前記選抜関数に従って単体Pj内の最も重要な目印L′であるように選択される。この目印が目印の集合に{Li}={Li}∪L6として追加される。新たな目印L6を用いて単体Pjがタイル分割される。ここで、L6は各バーテックス(目印L2、L4、L5)に直線で結ばれている。これにより、二次元画像については、三つの新たな三角形が生成され、三次元画像については四つの新たな四面体が生成される。一般に、空間次元dについて(d+1)個の新たな単体が生成される。単体の集合{Pi}において、当該単体Pjは(d+1)個の新たな単体によって置き換えられる。次いで、新たな目印の集合{Li}および単体の集合{Pi}を用いて、逐次反復はステップS3に戻る。ここで、既存の目印および既存の領域Uiについては、局所的変形Diが維持される。本方法はSj<Σとなる単体Pjが残っていなくなるまで逐次的に継続される。
【0036】
図5および図6は、ステップS3からS7によって述べられたような本発明に基づく方法に基づくさらなる処理を描いている。図5では、Sj<Σとなる単体Pjに斜線が施されている。類似性値がある閾値よりも小さい目印L2、L4、L5によって定義されるこの斜線の単体Pjについて、新たな目印L6が選択される。好ましくは、上に示したように、目印L6は領域Pj内の重要な、または最重要な目印である。次いで、L6をPjの目印L2、L4、L5と結ぶことによって、三つの新たな単体が生成される。次いで、局所的変形場D6(L6,U6)が決定され、ローカル変形場は大域的な変形場に拡張される。次いで、これら三つの新しい三角形について類似性値が決定される。類似性値が所定の閾値未満である、すなわちSF<Σとなる三角形がある場合には、図6に示すように三角形PF内に新たな目印L7が選択される。本方法は、各三角形についての類似性値が閾値以上になるまで逐次的に続けられる。
【0037】
上記の方法の適用例が図7に描かれている。図7では、呼吸系の呼気状態(A)(図7の左の画像)と吸気状態(B)(図7の右の画像)における2つのMR画像が示されている。目印L10、L11およびL12を使うことによる位置合わせは、横隔膜の動きが十分再構築できないため二つの画像の十分精密な登録を許容しない。そのため、逐次的に新しい重要な目印L13が追加されている。
【0038】
有利なことに、上記の方法は、単一または複数の様式による画像データセットの非常に精密で信頼できる弾力的位置合わせを許容する。それは、重要な目印および高度に非線形な変形を示す画像領域に集中することによって画像位置合わせのスピードおよび堅牢性を改善することを許容しうる。さらに、それは、目印の重要な順位付けおよびマッチング、位置合わせの局所的および大域的品質ならびに非線形変換のタイプが、様式、解剖学的領域および期待される変形または適用領域に関して独立して最適化されることを許容しうる。それは、これらの重要度および品質の尺度に解剖学的構造についての先験的知識を組み込むことによって非常に異なった撮像様式どうしで位置合わせをすることも許容しうる。少ないが重要な目印に対する集中ならびにその非線形変形への自動的および空間的適応性により、上記の発明は、非常に高速で、たとえばインターベンション処置の間のリアルタイム位置合わせに好適となりうる。医療用途では、大域的な弾力的位置合わせは、異なる時点において、異なる様式を用いて、あるいは異なる患者について取得された画像を揃える必要があるさまざまな臨床的用途のために必要とされうる。たとえば異なる様式の画像が腫瘍の異なる側面を示す腫瘍診断および手術という重要な例では、事前および事後のインターベンション画像の比較、医療画像の時系列の解析、個々の画像のコホート研究から導かれる解剖学アトラスとのマッチングなどがある。しかし、上記の発明はいかなる二次元または三次元データセットにも適用しうることを注意しておく必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の例示的な実施形態に基づく方法を実行するよう適応された、本発明の例示的な実施形態に基づく画像処理装置の概略図である。
【図2】図1に描かれた画像処理装置において実行されうる、本発明に基づく方法の例示的な実施形態の簡略化したフローチャートである。
【図3】本発明に基づく方法の例示的な実施形態に基づく、画像および該画像に対して実行される指示された操作の簡略化されたスケッチを示す図である。
【図4】本発明に基づく方法の例示的な実施形態に基づく、画像および該画像に対して実行される指示された操作の簡略化されたスケッチを示す図である。
【図5】本発明に基づく方法の例示的な実施形態に基づく、画像および該画像に対して実行される指示された操作の簡略化されたスケッチを示す図である。
【図6】本発明に基づく方法の例示的な実施形態に基づく、画像および該画像に対して実行される指示された操作の簡略化されたスケッチを示す図である。
【図7】本発明に基づく方法の例示的な実施形態に基づいて実行される呼吸系の呼吸運動の間の大域的な弾力的位置合わせの例として2枚の画像を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
S1 開始
S2 目印{Li}およびタイル{Pi}を生成
S3 局所的変形場Di(Li,Ui)を決定
S4 局所的変形場を領域I上の大域的変形場Dに拡張
S5 類似性Si=S(B|D(Pi),D(A)|D(Pi))を決定
S6 Sj<Σとなる単体Pjがあるか
S7 Pjの新たな目印L′を{Li}に追加;{Pi}内のPjをPj′,...,Pjd+1で置き換え
S8 終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の画像および第二の画像を位置合わせする方法であって:前記第一の画像中で少なくとも一つの第一の目印を選択し、前記第二の画像中で少なくとも一つの第二の目印を選択し、前記第一および第二の画像を、前記少なくとも一つの第一の目印によって決定される前記第一の画像中のある第一の領域と前記少なくとも一つの第二の目印によって決定される前記第二の画像中のある第二の領域との類似性に関係する類似性値を使うことによって位置合わせするステップを有しており、前記少なくとも一つの第一の目印が前記少なくとも一つの第二の目印に対応することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、ある第一の数の次元を有する前記第一の画像について、ある第二の数の第一の目印が選択され、前記第一の数の次元を有する前記第二の画像について、前記第二の数の第二の目印が選択され、前記第一の画像中のある第三の数の第三の諸領域を決定するために前記第二の数の第一の目印が第一の諸単体の第一の諸バーテックスを決定し、前記第二の画像中の前記第三の数の第四の諸領域を決定するために前記第二の数の第二の目印が第二の諸単体の第二の諸バーテックスを決定し、前記第二の数が前記第一の数に1を加えたものであり、前記第一および第二の目印がある選抜関数に従って選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記第一の画像が前記第二の画像との位置合わせのために必要とする変形を近似的に記述する第一の大域的変形場を決定するために、前記第二の数の第二の目印のそれぞれについて局所的な変形場が決定されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第一の大域的変形場を使うことによって、前記第三の数の第三の領域のそれぞれについて、該第三の領域のそれぞれのものと前記第四の領域のそれぞれ対応するものとの間の類似性に関係するある第一の類似性値が決定されることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、前記第三の領域のうちに第一の類似性値がある所定の閾値よりも小さい第五の領域があるかどうかが判別され、第五の領域がある場合にある第三の目印が前記第五の領域内で選択されてそれにより該第五の領域内に第三の諸単体を決定してそれが複数の第六の領域を決定し、第五の領域がある場合にある第四の目印が第四の領域のある第七の領域内で選択されてそれにより該第七の領域内に第四の諸単体を決定してそれが複数の第八の領域を決定し、前記第三の目印が前記第四の目印に対応し、それにより前記第六の領域が前記第八の領域に対応し、前記第三の目印のさらなる局所的変形場を使うことによって精製された第二の大域的変形場を使うことによって、前記第六の領域のそれぞれについて、前記第六の領域のそれぞれのものと前記第八の領域のそれぞれのものとの間の類似性に関係するある第二の類似性値が決定されることを特徴とする方法。
【請求項6】
すべての類似性が前記所定の閾値を超えるまで当該方法が逐次反復されることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
当該方法がCTデータセット、MRIデータセット、PETデータセット、SPECTデータセットおよび超音波撮像データセットのうちの一つに対する医療画像処理において適用されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一の画像および第二の画像を保存するためのメモリと、前記第一の画像および前記第二の画像の位置合わせをするための画像プロセッサとを有する画像処理装置であって、前記画像プロセッサが以下の動作:前記第一の画像中で少なくとも一つの第一の目印を選択し、前記第二の画像中で少なくとも一つの第二の目印を選択し、前記第一および第二の画像を、前記少なくとも一つの第一の目印によって決定される前記第一の画像中のある第一の領域と前記少なくとも一つの第二の目印によって決定される前記第二の画像中のある第二の領域との類似性に関係する類似性値を使うことによって位置合わせすること、を実行するよう適応されており、前記少なくとも一つの第一の目印が前記少なくとも一つの第二の目印に対応することを特徴とする装置。
【請求項9】
第一の画像および第二の画像を位置合わせするためのコンピュータプログラムであって、プロセッサ上で実行されたときに該プロセッサをして以下の動作:前記第一の画像中で少なくとも一つの第一の目印を選択し、前記第二の画像中で少なくとも一つの第二の目印を選択し、前記第一および第二の画像を、前記少なくとも一つの第一の目印によって決定される前記第一の画像中のある第一の領域と前記少なくとも一つの第二の目印によって決定される前記第二の画像中のある第二の領域との類似性に関係する類似性値を使うことによって位置合わせすること、を実行せしめるもので、前記少なくとも一つの第一の目印が前記少なくとも一つの第二の目印に対応することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−516744(P2007−516744A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543707(P2006−543707)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052746
【国際公開番号】WO2005/059831
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】