説明

弾性波フィルタ

【課題】通過帯域の高域側または低域側において急峻な減衰が得られる選択性の高い弾性波フィルタを提供すること。
【解決手段】弾性波の伝搬方向に見て、入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極の各電極指群を構成する各電極指が、その幅寸法が互いに同じであり、且つ隣り合う電極指間の間隔寸法が前記電極指の幅寸法と同じ大きさに形成され、前記弾性波の伝搬方向に見て前記グレーティング反射器の電極指群は、その電極指群を構成する各電極指の幅寸法が同じであり、且つ隣り合う電極指間の間隔寸法が前記幅寸法と同じ大きさに形成され、前記電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法が、前記入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法の最小値以下または最大値以上に設定されるように弾性波フィルタを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波フィルタ例えば(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
SAWデバイスは、弾性表面波を利用したものであり、圧電基板上にIDT(インターディジタルトランスデューサ)と呼ばれる電極指を配置し、電気信号と弾性波との間の電気−機械相互変換を行って周波数選択(帯域フィルタ)特性を持たせたものである。SAWデバイスの一つであるSAWフィルタは、高機能化、小型化が進められている各種通信機器例えば携帯電話等のパンドパスフィルタとして使用されており、近年ワイヤレスデータ通信の高速化、大容量化に伴い、挿入損失(入力電力に対する出力電力の減衰量)が小さく、周波数選択性に優れたフィルタ特性を有し、かつ広帯域幅、平坦性、小型化への要求が強まっている。このような要求を満たすためには、例えばテーパー型IDTフィルタが有利である。
【0003】
図18に一般的な構成のテーパー型IDTフィルタであるフィルタ100を示す。フィルタ100は、圧電基板101上に形成されたテーパー型の電極である入力側テーパー型IDT電極102と出力側テーパー型IDT電極103とを備えており、入力側テーパー型IDT電極102側から出力側テーパー型IDT電極103側へ向けて弾性波が伝搬するように構成されている。これらの電極102、103間には、電極102、103間におけるカップリングを抑えるためのシールド104が設けられており、このシールド104は、角型の面状金属膜(いわゆるベタ膜)として構成されている。なお、テーパー型IDT電極は傾斜型すだれ状電極、SFITまたはスラント型電極などと呼ばれることもある。
【0004】
各々の電極102、103は、複数の電極指106を備えた2本の平行なバスバー105からなり、それぞれの電極102、103において、バスバー105に接続された電極指106が向き合い、また電極指106が例えば2本ずつ組となり互い違いに伸び出して櫛歯状となることによって、SPLIT電極として構成されている。
【0005】
各々の電極102、103において、弾性波の伝搬方向に対しては、電極指106の幅寸法が一定となり、また電極指106、106間の間隔寸法についても一定となるように、電極指106が形成されている。この電極指106の幅と電極指106、106間の間隔とからなる配列パターンは、ある長さの周期単位λidtが繰り返されるように設計されている。この例では、4本の電極指106とこの電極指106間の間隔領域とによって、一つの周期単位λidtが構成されており、このフィルタ100においては、周期単位λidtと同じ長さの波長の弾性波が入力側テーパー型IDT電極102から出力側テーパー型IDT電極103に向かって伝搬していく。弾性波の伝搬方向に対して一方のバスバー105から他方のバスバー105に向かった直交方向において、この周期単位λidtの長さは徐々に広がるように、つまり電極指106の幅及び電極指106、106間の間隔がそれぞれ徐々に広がるように設計されている。なお、IDT電極の構成については実施の形態で詳細に述べるので、ここでは細かく記載せず、図についても便宜上、簡略化して示しており、電極指106の幅及び電極指106,106間の幅を一定に示している。
【0006】
このように電極指106の配列パターンを徐々に広げてテーパー型IDTを構成することにより、このフィルタ100では、周期単位λidtが狭い領域に対応する高周波から周期単位λidtが広い領域に対応する低周波までの弾性波が伝搬することとなる。このような構成をとることにより、フィルタ100の広帯域化が図られている。
【0007】
ところで、より選択度に優れたSAWフィルタの登場が強く望まれており、通過帯域から阻止域にかけての周波数領域におけるフィルタ特性の急峻化を果たす様々な手法が検討されている。特にこのようなSAWフィルタ100においては高周波数側(高域側)の減衰特性が低周波数側(低域側)の減衰量に比べて悪くなるという問題があるのでその改善が求められている。
【0008】
このように減衰特性が劣化する原因について簡単に説明する。弾性波の波長に対応する周期単位λidtが形成された伝搬路をトラックと呼ぶことにすると、SAWフィルタ100のIDT電極102、103において電極指106が形成された領域では通過帯域を形成する低周波数から高周波数までのトラックで同一の励振情報を持っている。つまり、電極指106が形成された領域では弾性波の伝搬状態(伝搬速度)は同一である。しかし、この電極指106が形成されていない領域と形成された領域とではその伝搬状態に差が生じるので、例えば図中L0で示すように入力側テーパー型IDT電極102の所定のトラックを通過した弾性波が入力側テーパー型IDT電極102の出力側テーパー型IDT電極103側の端縁から当該出力側テーパー型IDT電極103に放射されるときにこの弾性波について屈折が起こり、出力側テーパー型IDT電極103の対応するトラックに入射せず、エネルギー損失が発生する。このエネルギー損失により高域側、低域側のどちらについても減衰特性の劣化が起きる。
【0009】
そして、低周波を伝搬させるトラックの周期単位λidtに比べて高周波を伝搬させるトラックの周期単位λidtは小さく形成されている。従って図に示した例えばλidtが狭く構成された高周波側の弾性波伝搬領域Tr1を通過する弾性波と、λidtが広く構成された低周波側の弾性波伝搬領域Tr2を通過する弾性波とから夫々入力側IDT電極102と出力側IDT電極103との間の伝搬距離Lを見た場合、Tr1を通過する弾性波から見た方がこの伝搬距離Lが長くなる。このように伝搬距離Lが長くなると、前記屈折によるエネルギー損失が起こりやすくなる。
【0010】
更に、入力側テーパー型IDT電極102の端部から放射される弾性波について回折が起こるため、入力側テーパー型IDT電極102と出力側テーパー型IDT電極103との間のエネルギー伝搬にはその回折に基づく損失が発生するが、この回折損も前記伝搬距離Lが長いほど増大する。これらのような理由で低域側に比べて高域側の減衰特性の劣化が大きくなる。
【0011】
ところで特許文献1にはテーパー型入力側IDT電極とテーパー型出力側IDT電極との間に所定周波数のSAWを反射するグレーティング構造物を所定の間隔で配置し、通過帯域中に周波数阻止域を形成する、つまりノッチフィルタ特性を得るように構成されたSAWフィルタについて記載されている。また、特許文献2には入力側IDT、出力側IDT間にグレーティング反射器を設けて、スプリアス信号の生じる周波数帯にこの反射器の反射帯域幅を合わせ込むことで、スプリアス信号を抑制することについて記載されている。しかし、これら特許文献1及び特許文献2には上記の問題については記載されておらず、この問題を解決できるものではない。
【0012】
【特許文献1】特開昭61−289714(図4及び図5など)
【特許文献2】特開平8−335848(図1及び段落0027など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、通過帯域の高域側または低域側において急峻な減衰が得られる選択性の高い弾性波フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の弾性波フィルタは、圧電基板に互いに平行となるように形成された一対のバスバーと、これら一対のバスバーの各々から互いに交互に伸び出して櫛歯状に形成された電極指群と、を備え、電極指の幅及び電極指間の間隔が前記バスバーの一方側から他方側に向かうにつれて広がるように形成された入力側テーパー型IDT電極と、
前記圧電基板にて、前記入力側テーパー型IDT電極の前記バスバーの延長方向に伸び、当該入力側テーパー型IDT電極からは弾性波の伝搬方向に対して間隔を置いて設けられた一対のバスバーと、これら一対のバスバーの各々から互いに交互に伸び出して櫛歯状に形成された電極指群と、を備え、電極指の幅及び電極指間の間隔が前記バスバーの一方側から他方側に向かうにつれて広がるように形成された出力側テーパー型IDT電極と、
前記入力側テーパー型IDT電極と、出力側テーパー型IDT電極との間に弾性波の伝搬方向に沿って配列され、前記伝搬方向に直交するように伸びた電極指群を備えたグレーティング反射器と、を備え、
前記弾性波の伝搬方向に見て、前記入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極の各電極指群を構成する各電極指は、その幅寸法が互いに同じであり、且つ隣り合う電極指間の間隔寸法が前記電極指の幅寸法と同じ大きさに形成され、
前記弾性波の伝搬方向に見て前記グレーティング反射器の電極指群は、その電極指群を構成する各電極指の幅寸法が同じであり、且つ隣り合う電極指間の間隔寸法が前記幅寸法と同じ大きさに形成され、前記電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法が、前記入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法の最小値以下または最大値以上に設定されたことを特徴とする。
【0015】
通過帯域の高域側の急峻度を大きくするために前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法は、前記IDT電極の電極指の幅寸法と電極指間の間隔寸法の最小値と同じかあるいはその最小値よりも若干小さく構成されてもよく、また通過帯域の低域側の急峻度を大きくするために前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法は、前記IDT電極の電極指の幅寸法と電極指間の間隔寸法の最大値と同じかあるいはその最大値よりも若干大きく構成されていてもよい。
【0016】
弾性波の伝搬方向に直交する方向における前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法は、夫々同一であってもよく、前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法が弾性波の伝搬方向に対して直交する方向に見て次第に広がっていてもよい。前記グレーティング反射器の電極指群は、例えば入力側テーパー型IDT電極または出力側テーパー型IDT電極の一方側のバスバーの延長領域から他方側のバスバーの延長領域に跨るように形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の弾性波フィルタによれば、入力側テーパー型IDT電極、出力側テーパー型IDT電極との間に設けられたグレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法の大きさは、IDT電極の電極指の幅寸法と電極指間の間隔寸法との大きさの最小値以下またはその最大値以上に構成されている。従って阻止域における減衰を大きくすることができ、その減衰を通過帯域の高域側または低域側の近傍に合わせ込むことで、それら高域側または低域側で急峻な減衰を得ることができ、フィルタの選択性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照して本発明の第1の実施の形態である弾性波フィルタ10について説明する。この弾性波フィルタ10は通過帯域の高域側の減衰が急峻となるように設計されたものであり、圧電基板11の表面に既述の図に示すフィルタ100の入力側テーパー型IDT電極102及び出力側テーパー型IDT電極103と同じ構成である入力側テーパー型IDT電極12及び出力側テーパー型IDT電極13が形成されている。入力側テーパー型IDT電極12及び出力側テーパー型IDT電極13は、弾性波の伝搬方向に対して間隔をおいて設けられている。なお、フィルタの構成を示す各図では圧電基板と、電極及び反射器とを区別するために便宜上これら電極及び反射器に多数の点を付して示している。
【0019】
入力側テーパー型IDT電極12において12a、12bは、夫々一方側のバスバー、他方側のバスバーであり、互いに平行し且つ対向するように形成されている。一方側のバスバー12aは、入力ポート21に接続され、他方側のバスバー12bは接地されている。
【0020】
また、15は入力側テーパー型IDT電極12における電極指である。これらの複数の電極指15からなる電極指群はSPLIT電極となるように、2本が組となり、これらの組が互い違いに配列されて櫛歯状になるように、バスバー12aからバスバー12bに向かって伸びると共にバスバー12bからバスバー12aに伸びるように形成されている。
【0021】
図2に示すように、各電極指15は弾性波の伝搬方向に見て、その幅寸法が一定であり、さらに隣り合う電極指15、15間の間隔寸法(ピッチ)が一定であり且つ前記幅寸法と等しくなるように形成されている。そして、各電極指15は一方側のバスバー12aから伸びる2本の電極指15の組と、他方側のバスバー12bから伸びる2本の電極指15の組と、からなる長さがλidtの周期単位が繰り返される配列パターンを構成するように配置されている。この弾性波フィルタ10では、この周期単位λidtの長さと同じ長さの波長の弾性波が伝搬する。
【0022】
この例では、上記のように4本の電極指15、詳しくは4本の電極指15及び電極指15、15間の間隔により周期単位λidtを形成しているので、隣り合う電極指15、15では、電極指15の中心を通る直線同士の間の寸法がλidt/4となっている。そして、この例では、電極指15の幅寸法をλidt/8としているので、電極指15、15間の間隔寸法についてもλidt/8(λidt/4−λidt/8=λidt/8)となっている。
【0023】
この配列パターンは、図中上側から下側に向けて、弾性波の伝搬方向に対して直交方向に電極指15間のピッチが徐々に広くなり、また各々の幅についても、上側から下側に向かうにつれて、徐々に広くなるように形成されている。従って、弾性波の伝搬方向に対して直交方向には、既述の周期単位λidtが狭い領域であるTr1から広い領域であるTr2まで、弾性波の伝搬路であるトラックが広い周波数帯域に亘って形成されていることになる。なお、図1では、電極指15の幅については、図示の簡略化のため、一定の幅として描画してある。
【0024】
出力側テーパー型IDT電極13は、入力側テーパー型IDT電極12と同様に構成されており、対となり且つ互いに対向するバスバー13a,13bを備えている。バスバー13aはバスバー12aの延長線上に、バスバー13bはバスバー13bの延長線上に夫々設けられており、バスバー13aは出力ポート22に接続され、バスバー13bは接地されている。
【0025】
また、出力側テーパー型IDT電極13は、入力側テーパー型IDT電極12と同様の配列パターンをなす多数の電極指15を備えており、それらの電極指15は弾性波の伝搬方向に対しては周期単位λidtが一定となり、弾性波の伝搬方向に直交する方向に対しては前記周期単位λidtがトラックTr1からTr2まで広がるように形成されている。そして、弾性波の伝搬方向に見て、出力側テーパー型IDT電極13の電極指15の幅寸法及び隣り合う電極指15,15間の間隔寸法は、既述の入力側テーパー型IDT電極12における電極指15の幅寸法及び隣り合う電極指間の間隔寸法と同じになるように形成されている。
【0026】
このように周期単位λidtはトラックTr1からトラックTr2に至るまで変化する。そして、トラックTr1を形成する最も小さい周期単位λidtを構成する電極指15の幅及び電極指15,15間のピッチを最小λidt/8、トラックTr2を形成する最も大きい周期単位λidtを構成する電極指15の幅及び電極指15、15間の間隔寸法を最大λidt/8と表記する。
【0027】
入力側テーパー型IDT電極12と出力側テーパー型IDT電極13との間には、図1及び図2に示すようにこれらの電極と間隔をおいて、グレーティング反射器16が形成されている。このグレーティング反射器16は後述する当該反射器16に設けられた電極指18の配列周期に応じた波長λgrを持つ弾性波を反射させ、その弾性波の入力側テーパー型IDT電極12から出力側テーパー型IDT電極13への伝搬を抑えて、その波長λgrに対応する周波数の信号強度を減衰させる、いわゆるストップバンドを形成するためのものである。そして、この例では前記ストップバンドがSAWフィルタ10の通過帯域よりも高域側の阻止域に合わせこまれ、その高域側の減衰特性が急峻になるように前記電極指18が形成されている。上記のようにこのSAWフィルタ10では周期単位λidtの長さの範囲と同じ長さの範囲の波長の弾性波が伝搬するので、ここでは前記波長λgrは最も小さい周期単位λidtよりも若干小さい値である。
【0028】
このグレーティング反射器16は、対となり且つ互いに対向するバスバー16a,16bとを互いに備えており、バスバー16aはバスバー12a,13aの延長線上に、バスバー16bはバスバー12b,13bの延長線上に夫々設けられている。
【0029】
また、グレーティング反射器16は、バスバー16aの入力側の端部からバスバー16bの入力側の端部へと伸び出した電極指17aと、バスバー16aの出力側の端部からバスバー16bの出力側の端部へと伸び出した電極指17bとを備えている。
【0030】
そして、電極指17a,17b間にはバスバー16aからバスバー16bへ向かって伸びる前記電極指18が弾性波の伝搬方向に沿って多数設けられており、電極指18は各バスバーの伸長方向、即ち弾性波の進行方向に対して直交するように伸長している。上記のように電極指18は波長λgrの弾性波を反射させ、入力側から出力側への伝搬を抑えるために形成されており、その目的を果たすためにこの例ではその幅寸法がλgr/4に形成され、また電極指18,18の間隔寸法(ピッチ)は前記幅寸法と同じλgr/4に構成されている。
【0031】
上記のようにこの例では波長λgrの値は周期単位λidtの最小値よりも若干小さいため、この電極指18の幅寸法及び電極指18、18の間隔寸法であるλgr/4は、トラックTr1を形成する電極指15の幅及び電極指15、15の間隔寸法である前記最小λidt/8よりも若干小さい値に構成されている。若干小さい値とは、フィルタの高域側での減衰特性を急峻にすることができる範囲における値である。
【0032】
そして、電極指17a、17b及び電極指18はIDT電極12、13の電極指15と共に弾性波の伝搬領域を形成しており、上記のようにλgr以外の波長を有する弾性波はその伝搬領域を伝搬して、グレーティング反射器16を入力側から出力側へと向かう。
【0033】
以上説明した弾性波フィルタ10において、入力側テーパー型IDT電極12に周波数信号が入力されると、即ち入力ポート21とアースとの間に周波数信号が入力されると、音響的な波である弾性表面波(SAW)が発生する。この弾性波は、入力側テーパー型IDT電極12において、その波長の長さ(λidt)に対応する周期単位λidtが形成されたトラックにおいて出力側(図中右側)に伝搬して行く。このように所定のトラックにはそのトラックの周期単位λidtに対応した波長を持った弾性波が主に伝搬するが、背景技術の欄でも説明したように、トラックにおいて周期単位λidtに対応しない波長を持った弾性波も出力側へと伝搬する。
【0034】
図3はこの弾性波が伝搬する様子を示した模式図であり、直線L1、L2、L3は、電極指15、18の長さ方向における3カ所の位置毎に伝搬する弾性波を示している。L1は上述の電極指15の幅及び電極指間が最も小さく形成されたトラックTr1を伝搬する弾性波、L2は電極指15の幅及び電極指15間が最も大きく形成されたトラックTr2を伝搬する弾性波、L3はトラックTr1,Tr2間を伝搬する弾性波を夫々示したものであり、この場合L1<L3<L2の順で波長が長くなっていく。このように図3では入力側から出力側へと向かう弾性波を3種類だけ示しているが、この弾性波フィルタ10には、実際には電極指15、17、18により形成される最小トラックTr1から最大トラックTr2までの間の各波長に対応したトラックが存在し、夫々のトラックに対応する弾性波が伝搬する。
【0035】
入力側テーパー型IDT電極12から出力側に放射された弾性波は、グレーティング反射器16に入射し、入力側から出力側へと伝搬するが、このとき波長λgrを持つ弾性波は、図3に示すようにグレーティング反射器16の電極指18により反射され、出力側への伝搬が抑えられる。そして、グレーティング反射器16の出力側の端部まで伝搬した弾性波はグレーティング反射器16から出力側テーパー型IDT電極13に入射し、その波長の長さ(λidt)に対応する周期単位λidtが形成されたトラックにおいて出力側(図中右側)に伝搬して行く。その後、前記IDT電極13の各々のトラックを伝搬する弾性波に対応する電気信号が出力される。
【0036】
図4では、この弾性波フィルタ10におけるフィルタ特性の概略を実線のグラフで示している。また、図4では上記のように波長λgrを有する弾性波の伝搬を抑えた効果を示すために、グレーティング反射器16が設けられない他は弾性波フィルタ10と同様の構成を有するフィルタの特性の概略を点線のグラフで示している。図中弾性波フィルタ10の通過帯域はa〜bとして示しており、a、bは夫々λidtの最大値、λidtの最小値に対応する値である。弾性波フィルタ10では上記のように通過帯域よりも若干高域側の阻止域における波長λgrに対応する周波数信号cが減衰されるので、グラフに示すように高域側の減衰がグレーティング反射器16を設けない場合に比べて急峻になる。従ってグレーティング反射器16がない場合よりもフィルタの選択性が向上する。既述のようにテーパー型IDT電極を備えた弾性波フィルタにおいて高域側の減衰特性は劣化しやすいので、このように高域側の減衰を急峻にすることは特に有効である。
【0037】
上述の弾性波フィルタ10について電極指18の幅及び電極指18のピッチであるλgr/4は最小の電極指15の幅及び最小の電極指15のピッチである最小λidt/8よりも若干小さく形成されているが、これらが互いに等しく形成されていても、通過帯域の高域側の端部で減衰が得られるので上記の効果を得ることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
続いて図5、図6を用いて第2の実施形態の弾性波フィルタ30について説明する。この弾性波フィルタ30はその通過帯域の低域側の減衰が急峻となるように設計されたものであり、以下に弾性波フィルタ10との構成の差異点を中心に説明する。弾性波フィルタ30のグレーティング反射器16は、多数の電極指18の代わりに多数の電極指31を備えている。電極指31はその幅が等しく形成され、バスバーから16aから16bに伸びており、入力側から出力側へと繰り返し、等間隔で配列されている。そして、電極指31の幅寸法及び隣り合う電極指31と31との間隔寸法(ピッチ)λgr/4はIDT電極12、13の電極指15の幅寸法及び電極指15、15間の間隔寸法の最大λidt/8よりも若干大きく形成されている。ここでいう若干大きく形成するとは、通過帯域の低域側の減衰を急峻にすることができる範囲で大きく形成するということである。
【0039】
そして、第1の実施形態と同様に弾性波が入力側テーパー型IDT電極12から出力側テーパー型IDT電極13へ向かって伝搬するときには、グレーティング反射器16にて電極指31の幅寸法及び前記間隔寸法に対応する周波数の弾性波が出力側テーパー型IDT13電極に向かって伝搬することが抑えられる。
【0040】
図7では、この弾性波フィルタ30において上記のようにグレーティング反射器16によって波長λgrを持つ弾性波の伝搬を抑えた場合におけるフィルタ特性の概略を実線のグラフで示している。また、第1の実施形態の説明と同様、前記波長λgrを有する弾性波の伝搬を抑えた効果を示すためにグレーティング反射器16が設けられない場合の弾性波フィルタ30のフィルタの特性の概略を点線のグラフで示している。上記のようにこの例では通過帯域よりも若干低域側の阻止域で減衰が得られるように電極指32の配列が設計されているので、実線で示すように通過帯域a〜bの低域側のλgrに対応する周波数信号cが減衰され、それによって前記低域側にてグレーティング反射器16を設けない場合に比べて急峻な減衰特性が得られる。
【0041】
また、上記のように弾性波フィルタ30において電極指31の幅寸法及び間隔寸法であるλgr/4はIDT電極12、13の電極指15の最大幅寸法及び最大間隔寸法である最大λidt/8よりも若干大きく形成されているが、そのλgr/4は最大λidt/8と同じ大きさに設定してもよく、その場合も通過帯域の低域側の端部で信号を減衰させ、急峻な減衰特性を得ることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
続いて図8、図9を用いて第3の実施形態の弾性波フィルタ40について説明する。この弾性波フィルタ40は第1の実施形態の弾性波フィルタ10と同様にその通過帯域の高域側の阻止域にて減衰が急峻となるように設計されたものであるが、その阻止域で弾性波フィルタ10よりも広い範囲の周波数信号を減衰させるように構成されている。以下に弾性波フィルタ10との構成の差異点を中心に説明する。弾性波フィルタ40のグレーティング反射器16において既述の電極指16の代わりに設けられた電極指41の配列パターンは、図中上側から下側に向けて、つまり弾性波の伝搬方向に対して直交方向にその隣り合う電極指41,41間の間隔が徐々に広くなり、また各々の幅についても、上側から下側に向かうにつれて、徐々に広くなるように形成されている。
【0043】
そして、弾性波の伝搬方向に見ると、電極指41の幅寸法及び隣り合う電極指41、41間の間隔寸法は等しく形成されている。第1の実施形態で説明したように波長λgrを持つ弾性波について、グレーティング反射器16の電極指の幅寸法及び間隔寸法をλgr/4にすることでその弾性波を反射させ、その波長に対応する周波数信号を減衰させることができるので、このようにバスバー16aからバスバー16bに向かって前記幅及びピッチを変化させることで、第1の実施形態よりも広い範囲の周波数信号を減衰させることができる。
【0044】
上記のようにこの例では通過帯域の高域側で減衰を得ることを目的としているために、このグレーティング反射器16ではIDT電極12、13の周期単位λidtの最小値よりも若干小さい値から更に低い値の範囲における波長λgrを持った弾性波を反射させて、その目的を果たすことができるように、グレーティング反射器16の電極指41の最も大きい幅寸法及び間隔寸法(最大λgr/4)はIDT電極12、13の電極指15の最小幅及び最小間隔寸法である最小λidt/8よりも若干小さく形成されている。なお、図9ではグレーティング反射器16の電極指41の幅及び間隔とIDT電極12、13の電極指15の幅及び間隔との関係を表すために、各部の上下の長さに対して各部の横方向の長さを図8よりも大きく示しており、また電極指41の本数を図8より少なく示している。
【0045】
図10では、この弾性波フィルタ40におけるフィルタ特性の概略を実線のグラフで示し、また、第1の実施形態の説明と同様、前記弾性波の伝搬を抑えた効果を示すためにグレーティング反射器16が設けられない場合の弾性波フィルタ30のフィルタ特性の概略を点線のグラフで示している。上記のようにこの弾性波フィルタ40では、弾性波フィルタ10よりも広い範囲における波長λgrの伝搬を抑えており、その結果としてその伝搬が抑制される波長λgrの最大値〜最小値に対応する、通過帯域の高域側のd〜eの範囲において周波数信号が減衰される。このSAWフィルタ40のグレーティング反射器16ではバスバー16aからバスバー16bに向かい、電極指の幅及びピッチが変化することで、トラック毎に異なる波長の弾性波が反射されるので、所定の周波数における減衰量としてはSAWフィルタ10の減衰量に比べて小さくなるが、上記のように広い範囲で減衰が得られ、高域側の減衰を急峻なものにできる。なお、この例において反射させる弾性波の波長λgrは周期単位λidt以下であってもよく、従って最小λidt/8と最大λgr/4とは互いに同じ大きさに設定してもよい。
【0046】
(第4の実施形態)
続いて図11、図12を用いて第2の実施形態の弾性波フィルタ50について説明する。この弾性波フィルタ50は第2の実施形態の弾性波フィルタ20と同様にその通過帯域の低域側の阻止域における減衰が急峻となるように設計されたものであるが、その阻止域で弾性波フィルタ20よりも広い範囲の周波数信号を減衰させるように構成されている。弾性波フィルタ50のグレーティング反射器16においてその電極指51の配列パターンは、第3の実施形態と同様に図中上側から下側に向けて、弾性波の伝搬方向に対して直交方向に電極指51間の間隔が徐々に広くなり、また各々の幅についても、上側から下側に向かうにつれて、徐々に広くなるように形成されている。弾性波の伝搬方向に見ると、電極指51の幅寸法及び電極指51、51間の間隔寸法は等しくなっている。
【0047】
このグレーティング反射器16ではIDT電極の周期単位λidtの最大値よりも若干大きい値から更にそれよりも大きい値の範囲における波長λgrを持った弾性波を反射させて、上記のように低域側で減衰を得るために、グレーティング反射器16の電極指51の最も小さい幅寸法及び間隔寸法(最小λgr/4)はIDT電極12、13の電極指15の最大幅及び最大間隔寸法である最大λidt/8よりも若干大きく形成されている。なお、図12ではグレーティング反射器16の電極指51の幅及び間隔とIDT電極12、13の電極指15の幅及び間隔との関係を表すために、各部の上下の長さに対して各部の横方向の長さを図11よりも大きく示しており、また電極指51の本数を図11より少なく示している。
【0048】
図13は、この弾性波フィルタ50において、上記のようにグレーティング反射器16によりλgrを持つ弾性波の伝搬を抑えた場合におけるフィルタ特性の概略を実線で示し、また、第1の実施形態の説明と同様、前記弾性波の伝搬を抑えた効果を示すためにグレーティング反射器16が設けられていない場合の弾性波フィルタ50のフィルタの特性の概略を点線で示している。上記のようにこの例では弾性波フィルタ10に比べて通過帯域よりも高域側の阻止域において広い範囲の周波数の弾性波の伝搬を抑えている。この弾性波フィルタ50のグレーティング反射器16の各トラックも弾性波フィルタ40のグレーティング反射器の各トラックと同様に夫々異なる波長の弾性波を反射させるので、所定の周波数における減衰量としてはSAWフィルタ20の減衰量に比べて小さくなるが、図に示すように広い範囲で減衰が得られ、通過帯域の低域側の減衰を急峻にできる。
なお、この例において反射させる弾性波の波長λgrは周期単位λidt以上であってもよく、従って前記最大λidt/8と前記最小λgr/4とは互いに同じ大きさに設定してもよい。
【0049】
第3及び第4の実施形態においてグレーティング反射器16の電極指及びピッチは下に向かうにつれて広くなっているが、上に向かうにつれて広くなるように構成してもよい。
【0050】
また、図14は第1の実施形態の弾性波フィルタ10の入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極をSPLIT電極とする代わりに一方向性電極とした例を示している。この例の弾性波フィルタ60では、弾性波フィルタ10と同様に、4本の電極指15とこの電極指15間の間隔領域とにより周期単位λidtとしているが、入力側テーパー型IDT電極12と出力側テーパー型IDT電極13とにおいて、一方側のバスバー12a、13aから伸びる1本の電極指15と、当該電極指15と隣接して並ぶ他方のバスバー12b、13bから伸びる3本の電極指15と、の組により周期単位λidtを構成している。そして、幅が例えば3/8λidtの電極指である反射源61を幅がλidt/8である電極指15の間に設けて、DART(Distributed acoustic reflection transducer)電極として構成されている。この反射源61は、電極指15と同様に各トラックTrにてその幅が3/8λidtとなっており、実際には図の上下方向で異なる幅を有している。
【0051】
入力側テーパー型IDT電極12及び出力側テーパー型IDT電極13はDART電極とする代わりに、EWC−SPUDT(Electlode Width Controlled−SPUDT)電極としてもよい。
また、反射源61の幅は例えばグレーティング反射器の電極指の幅と同じλidt/4であってもよく、また、入力側テーパー型IDT電極12と出力側テーパー型IDT電極13とにおける電極指15を、夫々におけるバスバー12a(13a)、12b(13b)の両方に接続させた場合には、上記の反射源31の幅を5/8λidt以下としてもよい。
【0052】
この弾性波フィルタ60では、多重反射を積極的に使用することで、更に低損失化を図り、また選択性を高め、また、このように反射源31を設けることにより、TTE(トリプルトランジットエコー)によるリップル増大を伴うことなく低損失化を図ることができる。また、一方向性電極としては、このような構成以外にも、例えばFEUDT(Floating Electrode type Uni−Direction Transducer)電極あるいはDWSF−SPUDT(Different Width Split Finger−SPUDT)電極等であっても良い。更に、既述の図1に示す入力側テーパー型IDT電極12あるいは出力側テーパー型IDT電極13として、これらの一方向性電極のいずれかを用いても良い。
【0053】
また、上記の各例では、テーパー型IDT電極12、13の各電極指15は連続的に直線的に広げていたが、図15に示す弾性波フィルタ70の電極指のように曲線的に広げたり、図16に示す弾性波フィルタ80のように、段階的に広げたりする、いわば疑似テーパー型となるようにしても良い。尚、この図15及び図16においても、上記の各例と同様に、図中上側から下側に向けて、各々の電極指15の幅と間隔領域とからなる配列パターンが広くなるように配置されているが、図示の簡略化のため省略している。
【0054】
上記の入力側テーパー型IDT電極12及び出力側テーパー型IDT電極13として、SPLIT電極となるように2本の電極指15を組として交互に配置したが、シングル電極となるように1本の電極指15を交互に配置しても良い。
尚、以上の例においては、圧電基板11上に入力側テーパー型IDT電極12と出力側テーパー型IDT電極13との組を一対形成した例を示したが、二対以上形成しても良い。
また、以上の各弾性波フィルタとしては、表面波でなくとも、圧電基板11の表層よりも内部を伝搬する弾性波を利用したものであっても良い。
【0055】
また、上記の各例では、入力側IDT電極と出力側IDT電極との間の領域において、バスバー12a、13aの延長領域からバスバー12b、13bの延長領域に向かって、これら延長領域間全体に亘る長さでグレーティング反射器の電極指を形成している、つまり入力側IDT電極と出力側IDT電極との開口部全体に亘って反射器の電極指が設けられている。しかし、このように開口部全体に形成されず、前記延長領域間の一部をカバーする長さで反射器の電極指を形成してもよい。
【0056】
(評価試験)
既述の実施形態の弾性波フィルタ10と背景技術の欄で説明した弾性波フィルタ100について夫々周波数特性を調べた。図17(a)、(b)はSAWフィルタ10の通過特性、弾性波フィルタ100の通過特性を夫々示している。各グラフ中通過帯域の高域側を丸で囲みA,Bとして示しているが、これらA,Bを比較して明らかなように弾性波フィルタ10の特性の方が高域側の急峻度が高くなっている。そして、夫々のグラフについてシェイプファクタ(S.F)を測定し比較した。ここではS.F.は30dB帯域幅と1dB帯域幅との比として計算した。その結果として弾性波フィルタ10のS.F.は1.67であり、弾性波フィルタ100のS.F.は1.70であった。この結果から弾性波フィルタ10の構成が減衰の急峻度を上げるために有効であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る弾性波フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】前記弾性波フィルタの一部を拡大した平面図である。
【図3】前記弾性波フィルタにおける弾性波の伝搬の様子を示す概略図である。
【図4】前記弾性波フィルタにおける周波数の減衰特性の概略を示すグラフ図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る弾性波フィルタを示す平面図である。
【図6】前記弾性波フィルタの一部を拡大した平面図である。
【図7】前記の弾性波フィルタにおける周波数の減衰特性の概略を示すグラフ図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る弾性波フィルタを示す平面図である。
【図9】前記弾性波フィルタの一部を拡大した平面図である。
【図10】前記の弾性波フィルタにおける周波数の減衰特性の概略を示すグラフ図である。
【図11】本発明の更に他の実施の形態に係る弾性波フィルタを示す平面図である。
【図12】前記弾性波フィルタの一部を拡大した平面図である。
【図13】前記の弾性波フィルタにおける周波数の減衰特性の概略を示すグラフ図である。
【図14】本発明の更に他の実施の形態に係る弾性波フィルタを示す平面図である。
【図15】本発明の更に他の実施の形態に係る弾性波フィルタを示す平面図である。
【図16】本発明の更に他の実施の形態に係る弾性波フィルタを示す平面図である。
【図17】上述の弾性波フィルタの減衰特性及び従来の弾性波フィルタの減衰特性を示したグラフ図である。
【図18】従来の弾性波フィルタを示す平面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 弾性波フィルタ
11 圧電基板
12 入力側テーパー型IDT電極
12a,12b バスバー
13 出力側テーパー型IDT電極
13a,13b バスバー
15 電極指
16 グレーティング反射器
16a,16b バスバー
18 電極指
Tr トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板に互いに平行となるように形成された一対のバスバーと、これら一対のバスバーの各々から互いに交互に伸び出して櫛歯状に形成された電極指群と、を備え、電極指の幅及び電極指間の間隔が前記バスバーの一方側から他方側に向かうにつれて広がるように形成された入力側テーパー型IDT電極と、
前記圧電基板にて、前記入力側テーパー型IDT電極の前記バスバーの延長方向に伸び、当該入力側テーパー型IDT電極からは弾性波の伝搬方向に対して間隔を置いて設けられた一対のバスバーと、これら一対のバスバーの各々から互いに交互に伸び出して櫛歯状に形成された電極指群と、を備え、電極指の幅及び電極指間の間隔が前記バスバーの一方側から他方側に向かうにつれて広がるように形成された出力側テーパー型IDT電極と、
前記入力側テーパー型IDT電極と、出力側テーパー型IDT電極との間に弾性波の伝搬方向に沿って配列され、前記伝搬方向に直交するように伸びた電極指群を備えたグレーティング反射器と、を備え、
前記弾性波の伝搬方向に見て、前記入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極の各電極指群を構成する各電極指は、その幅寸法が互いに同じであり、且つ隣り合う電極指間の間隔寸法が前記電極指の幅寸法と同じ大きさに形成され、
前記弾性波の伝搬方向に見て前記グレーティング反射器の電極指群は、その電極指群を構成する各電極指の幅寸法が同じであり、且つ隣り合う電極指間の間隔寸法が前記幅寸法と同じ大きさに形成され、前記電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法が、前記入力側テーパー型IDT電極及び出力側テーパー型IDT電極の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法の最小値以下または最大値以上に設定されたことを特徴とする弾性波フィルタ。
【請求項2】
通過帯域の高域側の急峻度を大きくするために前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法は、前記IDT電極の電極指の幅寸法と電極指間の間隔寸法の最小値と同じかあるいはその最小値よりも若干小さく構成されたことを特徴とする請求項1記載の弾性波フィルタ。
【請求項3】
通過帯域の低域側の急峻度を大きくするために前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法は、前記IDT電極の電極指の幅寸法と電極指間の間隔寸法の最大値と同じかあるいはその最大値よりも若干大きく構成されたことを特徴とする請求項1記載の弾性波フィルタ。
【請求項4】
弾性波の伝搬方向に直交する方向における前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法は、夫々同一であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波フィルタ。
【請求項5】
前記グレーティング反射器の電極指の幅寸法及び電極指間の間隔寸法が弾性波の伝搬方向に対して直交する方向に見て次第に広がることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波フィルタ。
【請求項6】
前記グレーティング反射器の電極指群は、入力側テーパー型IDT電極または出力側テーパー型IDT電極の一方側のバスバーの延長領域から他方側のバスバーの延長領域に跨るように形成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の弾性波フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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